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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-04
(45)【発行日】2023-04-12
(54)【発明の名称】電動調理器
(51)【国際特許分類】
   A47J 43/07 20060101AFI20230405BHJP
【FI】
A47J43/07
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019075398
(22)【出願日】2019-04-11
(65)【公開番号】P2020171531
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(72)【発明者】
【氏名】下田 英雄
【審査官】松井 裕典
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-108381(JP,A)
【文献】特開平3-162807(JP,A)
【文献】特開2015-58108(JP,A)
【文献】特開2015-144601(JP,A)
【文献】特開2001-327878(JP,A)
【文献】再公表特許第2014/162679(JP,A1)
【文献】特開昭61-69407(JP,A)
【文献】特開昭61-109526(JP,A)
【文献】国際公開第2019/053912(WO,A1)
【文献】特開2017-6730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00-29/06
A47J 33/00-36/42
A47J 42/00-44/02
A21C 1/00-15/04
A23L 7/109-7/113
A23P 10/00-30/40
B01F 27/00-27/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材が内部に収容される収容部と、
前記収容部の内部の空気を排出する吸引部と、
回転によって前記食材を調理する調理部と、
前記調理部を回転させるように駆動する駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記吸引部による吸引時間に基づいて、前記駆動部の駆動時間を設定する電動調理器。
【請求項2】
さらに、前記駆動部の負荷を検出する負荷検出部を備え、
前記制御部は、前記負荷に基づいて前記駆動時間を補正する請求項1に記載の電動調理器。
【請求項3】
前記制御部は、前記負荷の変動量に基づいて、前記駆動時間を補正する請求項2に記載の電動調理器。
【請求項4】
前記制御部は、前記負荷が所定の閾値以下の場合、前記駆動部の駆動を停止させる請求項2又は請求項3に記載の電動調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電動調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、野菜や果物等のような材料を調理するフードプロセッサが開示されている。フードプロセッサは、駆動モータを内蔵した本体及び材料を収容可能に形成された収容容器を備えており、収容容器を本体に載置して駆動モータからの動力を収容容器の内部に設けられる調理部材に伝達させることで材料の調理を可能としている。また、本体に内蔵される真空ポンプに配管を介して収容容器を接続して、収容容器の内部の気体を排気することで、食品成分の分解や酸化を防止することを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-119867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような電動調理器において、例えば、操作部を構成するボタン等を押圧している間、又は、予め設定されている時間だけ駆動モータを駆動させる構成となっている場合が多く、ユーザは食材の調理具合を確認しながら、操作部を操作する必要があり、煩雑であった。
【0005】
上記の問題点に鑑み、本発明は、一例として、調理時間を自動で調節することができる電動調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る電動調理器は、食材が内部に収容される収容部と、前記収容部の内部の空気を排出する吸引部と、回転によって前記食材を調理する調理部と、前記調理部を回転させるように駆動する駆動部と、前記駆動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記吸引部による吸引時間に基づいて、前記駆動部の駆動時間を設定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態1に係る電動調理器の斜視図である。
図2図1に示した電動調理器の断面図である。
図3】(a)図1に示した電動調理器の収容部を構成する蓋体を示す一部拡大断面図である(b)図1に示した電動調理器の収容部を構成する調理部を示す一部拡大断面図である。
図4図1に示した電動調理器のハードウェア構成を示すブロック図である。
図5図1に示した電動調理器の制御部の機能構成を示すブロック図である。
図6図1に示した電動調理器の制御部による自動調理処理を示すフローチャートである。
図7図1に示した電動調理器の制御部による調理時間の補正処理の第一実施形態を示すフローチャートである。
図8図1に示した電動調理器の制御部による調理時間の補正処理の第二実施形態を示すフローチャートである。
図9図1に示した電動調理器の制御部による調理時間の補正処理の第三実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施の形態について説明する。なお、本明細書及び図面において、同一又は同等の要素には同一の符号を付することにより重複する説明は省略し、また、本発明に直接関係のない要素は図示を省略する場合がある。さらに、かかる実施の形態に示す構成要素の形態はあくまでも例示であって、これらの形態に限定されるものではない。
【0009】
図1及び図2を参照して、本発明の実施形態1に係る電動調理器100について説明する。図1は、電動調理器100の斜視図である。図2は、電動調理器100の断面図である。図2に示す断面図では、装置本体110の内部構造について一部省略している。以下の説明において、電動調理器100の収容部120が設けられる側を前側又は正面と称し、正面と対向している電動調理器100の側を後側又は背面と称する。
【0010】
図1に示すように、電動調理器100は、装置本体110と、内部に食材を収容し、装置本体110に着脱自在に取り付けられる収容部120と、を備える。図2に示すように、収容部120は、内部に収容される食材を調理するための調理部130を備えており、装置本体110は、収容部120の内部の空気を排出する吸引部140と、調理部130に動力を伝達するための駆動部150と、を備えている。ここでの調理とは、例えば、食材を切削したり、撹拌したり、粉砕したりするものを指す。
【0011】
図1及び図2に示すように、装置本体110は、基部111と、基部111の後端から上方に立ち上がるように形成される立ち上がり部112と、立ち上がり部112の上端に接続される回動アーム113と、を備える。
【0012】
基部111には、収容部120を載置する載置部114が形成される。載置部114は、収容部120の底部を挿入して係止可能に構成される。載置部114の前方、具体的には、基部111の前部上面には、操作部115が設けられる。操作部115は、複数のボタンを有し、ユーザの操作によって電動調理器100の各種動作の設定を可能としている。電動調理器100の各種動作の設定とは、例えば、電動調理器100の各種の運転モードの設定や、各種の運転モードの開始や停止、駆動部150の回転数等の設定を指す。電動調理器100の運転モードは、一例として、調理部130による食材の調理のみを行う運転モードや、吸引部140による収容部120の内部の空気の吸引のみを行う運転モードや、収容部120の内部の空気を吸引してから連続して調理を行う運転モード等があげられる。
【0013】
基部111の後部(立ち上がり部112の下部)には、駆動部150が配置される。駆動部150は、調理部130を回転させるように駆動する。駆動部150は、一例として、モータからなり、基部111に設けられる各種の動力伝達部材を介して、調理部130へ動力を伝達している。載置部114上には、収容部120側の動力伝達部材135と連結可能な装置本体110側の動力伝達部材116が設けられている。載置部114に収容部120を載置(接続)することで、動力伝達部材135及び動力伝達部材116が連結(接触)し、収容部120(後述の調理部130)に動力を伝達可能としている。
【0014】
駆動部150には、負荷を検出する負荷検出部136(図4参照)が設けられる。負荷検出部136は、モータの回転速度を検出しており、駆動部150を所定の回転速度に制御したときのモータの回転速度に基づいて、駆動部150(モータ)の負荷を検出している。なお、負荷検出部136は、モータの回転速度に基づいて負荷を検出するものに限らず、モータの負荷電流に基づいて負荷を検出するものであってもよい。この場合、所定の回転速度に制御したときのモータを流れる電流は、モータに係る負荷が大きいときに多くなり、モータに係る負荷が小さい時に少なくなるため、モータを流れる電流値に基づいて負荷の状態を検出している。
【0015】
回動アーム113は、その先端部が立ち上がり部112の上端を支点として上下に回動可能に構成される。回動アーム113は、収容部120の上部に接続される接続位置(図1及び図2参照)と、接続位置から所定角度だけ上方に回動させた位置である解除位置(図示せず)と、の間で姿勢を変更可能に構成される。
【0016】
以上の構成において、収容部120の底部を載置部114に載置した状態において、回動アーム113を接続位置に回動させて、収容部120の上部に回動アーム113の先端部を接続させることで、収容部120を挟んで保持している。
【0017】
図2を用いて、吸引部140について説明する。吸引部140は、回動アーム113に設けられている。回動アーム113の先端部は、収容部120の上部と接続され、収容部120の内部の空気を排出可能に構成される。
【0018】
吸引部140は、例えば、真空ポンプからなる本体部141と、本体部141に接続されるチューブ部材142と、チューブ部材142の先端側に設けられ、吸引口となる吸引ノズル143と、吸引ノズル143を支持する支持部材144と、を備える。
【0019】
本体部141は、回動アーム113の内部に配置されている。チューブ部材142は、一端が本体部141に接続され、他端が回動アーム113の先端部に配置される。チューブ部材142には、圧力を検知する圧力検出部147(図4参照)が設けられている。圧力検出部147は、例えば、圧力センサからなり、チューブ部材142を介して収容部120の内部の圧力を検出している。
【0020】
吸引ノズル143は、吸引部140の吸引口として設けられる。吸引ノズル143は、ゴムなどの弾性材料からなる中空の筒状部材である。吸引ノズル143の基端部は、支持部材144によって支持されている。吸引ノズル143の先端部は、蛇腹状に形成されており、支持部材144から垂れ下げられている。
【0021】
支持部材144は、例えば、樹脂材料によって形成される輪状の部材であり、回動アーム113の先端部の底面側に取り付けられている。支持部材144は、その内周面に吸引ノズル143の基端部を嵌め込んだ状態で、回動アーム113に取り付けられることで、吸引ノズル143の先端部を所望の位置(後述の弾性弁124を中心とした位置)に合わせることができる。
【0022】
吸引ノズル143の先端部は、回動アーム113が接続位置にある状態において、付勢力によって、収容部120の上面を押さえつけるように構成される。すなわち、吸引ノズル143の先端部の長さは、蓋体122の外表面までの長さよりも長く設定される。これにより、吸引ノズル143の先端部と、収容部120の上面とが密着するため、吸引部140の吸引力を低減させることなく、収容部120の空気を排出することができる。
【0023】
図2及び図3を用いて、収容部120について説明する。図3(a)は、電動調理器100の収容部120を構成する蓋体122を示す一部拡大断面図である。図3(b)は、電動調理器100の収容部120を構成する調理部130を示す一部拡大断面図である。収容部120は、収容した食材を調理するとともに、吸引部140により内部の空気を排出可能としている。収容部120は、一例として、上端に開口部121aを有し、食材を収容する容器本体121と、開口部121aを密閉する蓋体122と、容器本体121の底部に支持される調理部130と、を備える。
【0024】
容器本体121は、内部を視認できるように、例えば、透明な樹脂材料やガラス部材等からなり、筒状に形成される。容器本体121の上端には、蓋体122が着脱自在に取り付けられる。
【0025】
図3(a)に示すように、蓋体122は、容器本体121の内部に連通する連通孔122aと、連通孔122aを外側から覆うとともに、容器本体121の内部側の圧力が外部側の圧力より所定の値以上低い場合に、連通孔122aを閉じる弾性弁124と、を備えている。これにより、吸引部140により容器本体121の内部の空気を排出した後、収容部120の内部側の圧力を維持することができる。
【0026】
図3(b)を用いて、調理部130について説明する。調理部130は、駆動部150からの動力によって回転して食材を調理している。調理部130は、回転軸131と、回転軸131に固定される調理部材132と、回転軸131を回転自在に支持する軸受部133と、軸受部133を保持する軸受ホルダ134と、装置本体110側の動力伝達部材116と連結するための動力伝達部材135と、を備える。
【0027】
回転軸131は、容器本体121の底部(軸受ホルダ134)を貫通して設けられる。回転軸131の上端には、調理部材132が固定される。調理部材132は、一例として、食材を切削するカッター部材からなる。調理部材132は、例えば、外周へ進むにつれて、上方へ湾曲する一対の湾曲刃と、外周へ進むにつれて下方へ湾曲する一対の湾曲刃と、から構成される。調理部材132は、材料を切削する部材に限らず、例えば、材料を撹拌したり、粉砕したりする部材であってもよい。
【0028】
軸受ホルダ134は、上方に隆起するように形成され、容器本体121の底部の一部を形成している。軸受ホルダ134の中央部には、回転軸131が貫通して設けられている。回転軸131の中途部(容器本体121の外部側)には、ベアリング等からなる軸受部133が軸受ホルダ134に収容されて取り付けられている。回転軸131の下端には、動力伝達部材135が固定されている。
【0029】
以上の構成において、収容部120が載置部114に接続されると、装置本体110側の動力伝達部材116と収容部120側の動力伝達部材135が連結することにより、駆動部150からの動力が回転軸131に伝達可能となり、調理部材132を回転させて食材を調理することができる。
【0030】
図4を用いて、電動調理器100のハードウェア構成について説明する。図4は、電動調理器100のハードウェア構成を示すブロック図である。電動調理器100は、主として、制御部170と、記憶部180と、操作部115と、負荷検出部136と、圧力検出部147と、吸引部140と、駆動部150と、を備える。
【0031】
制御部170は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)から構成される。制御部170は、記憶部180に記憶されるプログラムを読みだして実行することにより、電動調理器100の各部を制御するものである。記憶部180は、例えば、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等であって、制御部170によって実行されるプログラムや、制御部170にて使用される各種パラメータ等を記憶する。
【0032】
操作部115は、ユーザからの命令を受け付けて、制御部170に入力する。負荷検出部136は、駆動部150の負荷を検出しており、検出値を制御部170に入力している。圧力検出部147は、収容部120の内部の圧力を検出しており、検出値を制御部170に入力している。制御部170は、入力された情報に基づいて、吸引部140及び駆動部150を制御する。
【0033】
図5は、電動調理器100の制御部170の機能構成を示すブロック図である。図5に示すように、制御部170は、吸引部140による吸引時間を取得する吸引時間取得部171と、収容部120の内部に収容される食材の量(以下、食材量とも称する)を算出する食材量算出部172と、算出される食材量に基づいて調理時間を設定する調理時間設定部173と、設定された調理時間を補正する調理時間補正部174と、駆動部150を制御する駆動制御部175と、を備える。ここでの調理時間とは、駆動部150の駆動時間を指す。
【0034】
吸引時間取得部171は、吸引部140による吸引時間を取得している。電動調理器100では、制御部170からの指令に基づいて、吸引部140を駆動する。制御部170は、吸引部140を駆動して、圧力検出部147の検出値が所定の閾値以下であると判定した場合、すなわち、収容部120の内部が所定の圧力に到達すると、吸引部140の駆動を停止させる。この間、制御部170は、吸引部140の作動時間を計測しており、吸引時間取得部171は、吸引部140による吸引動作が完了すると、計測された吸引部140による吸引時間を取得する。
【0035】
食材量算出部172は、収容部120の内部に収容される食材量を算出している。食材量算出部172は、吸引部140の吸引能力及び吸引時間から食材の体積を除いた収容部120の容積を算出している。記憶部180には、収容部120の容積が予め格納されている。食材量算出部172は、記憶部180に格納される収容部120の容積から、食材の体積を除いた収容部120の容積を差し引くことで、食材の体積である食材量を算出している。
【0036】
調理時間設定部173は、算出される食材量に基づいて、調理時間を設定している。ここでの調理時間とは、標準的な食材の硬さをベースとしたときの食材を調理するのにかかる時間であり、食材量に応じて予め設定される値である。記憶部180には、食材量と、調理時間と、が対応付けて格納されている。調理時間設定部173は、食材量算出部172において算出された食材量から、記憶部180に格納される情報を参照して、調理時間を設定する。
【0037】
以上のように、制御部170は、吸引部140による吸引時間に基づいて、駆動部150の駆動時間(調理時間)を設定することができる。具体的には、吸引部140による吸引時間から食材量を算出して、算出した食材量に基づいて、駆動部150の駆動時間を設定することで、食材量に応じて調理時間を自動で調節することができる。以上の構成において、吸引時間から食材量を算出して調理時間を設定しているが、これに限らず、任意の吸引時間と、吸引時間に対応する調理時間と、を予め対応付けて記憶部180に格納してもよい。この場合、吸引時間取得部171により吸引時間が取得されると、記憶部180に格納される情報を参照して吸引時間に対応する調理時間を取得するように構成される。
【0038】
駆動制御部175は、駆動部150を制御するためのものである。調理時間設定部173によって調理時間が設定されると、設定された調理時間にて駆動部150を駆動させる。また、駆動制御部175は、調理時間補正部174において設定された調理時間が補正された場合、補正された調理時間にて駆動部150を駆動させる。
【0039】
調理時間補正部174は、駆動部150の負荷に基づいて、設定された調理時間を補正している。ここでは、駆動部150の負荷を検出することで、調理部130(調理部材132)の回転に係る負荷を検出しているものとする。
【0040】
調理時間補正部174は、一例として、駆動部150の駆動を開始したタイミング、具体的には、駆動部150を駆動してから、すなわち、調理運転を開始してから調理部材132が一回転するまでの間に係る負荷(以下、調理部130の一回転における負荷とも称する)に基づいて、調理時間を補正している。
【0041】
具体的には、調理時間補正部174は、調理部130の一回転における負荷が、所定の閾値以上である否かを判定する。所定の閾値とは、標準的な食材の硬さを基準として予め設定される値であり、記憶部180に格納されている。調理時間補正部174は、調理部130の一回転における負荷が、所定の閾値以上であると判定された場合、食材の硬さが標準的な硬さよりも硬いものであるとして、調理時間を所定時間長くするように補正する。調理時間補正部174は、調理部130の一回転における負荷が、所定の閾値以上でない、すなわち、所定の閾値よりも小さいと判定された場合、食材の硬さが標準的な硬さよりも柔らかいものであるとして、調理時間を所定時間短くするように補正する。
【0042】
これにより、食材の硬さに応じて調理時間を自動で調節することができる。なお、調理時間補正部174は、駆動部150を駆動させてから一定時間の間に、調理部材132が一回転に到達しない場合、非常に硬い食材や規定量以上の食材が収容部120に収容されているものとして、駆動部150の駆動を停止させてもよい。これにより、駆動部150に係る負荷によってモータ等が破損することを防止することができる。また、調理部130の一回転における負荷に基づいて、調理時間を補正しているが、これに限らず、駆動部150の駆動を開始してから調理部材132が所定回転数に達するまで、又は所定時間に達するまでに係る負荷に基づいて、調理時間を補正してもよい。また、調理時間を補正する際に、所定時間長く又は短くするように構成されているが、これに限らず、例えば、調理部130の一回転における負荷と、所定の閾値と、の差分量に基づいて、補正する調理時間を調節してもよい。また、所定の閾値に限らず、所定の閾値範囲を設定して、調理部130の一回転における負荷が所定の閾値範囲から外れた場合に調理時間を補正するように構成してもよい。この場合、調理部130の一回転における負荷が所定の閾値範囲に収まっている場合は調理時間を補正せず、所定の閾値範囲の上限値以上である場合に調理時間を長くするように補正し、所定の閾値範囲の下限値以下である場合に調理時間を短くするように補正する。
【0043】
また、調理時間補正部174は、駆動部150の負荷が、所定の閾値以下であるか否かを判定している。所定の閾値とは、実験等により予め定められた値であり、食材の調理が概ね完了した状態における負荷の値を指し、記憶部180に格納されている。調理時間補正部174は、駆動部150の負荷が、所定の閾値以下であると判定した場合、食材の調理が完了したものとして、調理時間設定部173により設定された調理時間に関わらず、駆動部150の駆動を停止させる。調理時間補正部174は、駆動部150の負荷が、所定の閾値以下でないと判定した場合、食材の調理は未だ完了していないものとして、調理時間の補正は行わない。
【0044】
なお、食材の調理が完了しているか否かを判定する際に、駆動部150の負荷が所定期間又は所定回数、連続して所定の閾値を下回っているか否かを判定することが好ましい。調理時間補正部174は、駆動部150の負荷が所定期間又は所定回数、連続して所定の閾値以下であると判定された場合、食材の調理が完了しているものとして、駆動部150の駆動を停止させるように調理時間を補正する。調理時間補正部174は、駆動部150の負荷が所定期間又は所定回数、連続して所定の閾値以下ではないと判定された場合、食材の調理は未だ完了していないものとして、調理時間の補正は行わない。
【0045】
これにより、食材の調理が完了しているにも関わらず、駆動部150を駆動させる、すなわち、調理運転を続けることを防止することができる。
【0046】
また、調理時間補正部174は、駆動部150の負荷の変動量に基づいて、調理時間を補正することができる。調理時間補正部174は、一例として、所定期間において検出される負荷の最大値と、最小値と、の差分が基準値以上であるか否かを判定している。基準値とは、実験等により予め定められる値であり、記憶部180に格納されている。所定期間とは、例えば、調理運転を開始してから所定時間経過するまでの期間を指す。調理時間補正部174は、所定期間において検出される負荷の最大値と、最小値と、の差分が基準値以上であると判定された場合、調理時間を所定時間だけ長くするように補正する。調理時間補正部174は、所定期間において検出される負荷の最大値と、最小値と、の差分が基準値よりも小さいと判定された場合、調理時間の補正を行わない。
【0047】
これにより、食材の硬さにばらつきがある場合であっても、ばらつきの程度に応じて調理時間を調節することができる。なお、所定期間に検出される負荷の最大値と、最小値と、の差分を用いて、調理時間を補正しているが、これに限らず、例えば、所定期間に検出される負荷の分散値などを用いて、負荷のばらつきの程度を示す量を算出して、負荷のばらつきの程度を示す量に応じて調理時間を補正してもよい。また、調理時間を補正する際に、所定時間長くするように構成されているが、これに限らず、例えば、負荷の変動量と、基準値と、の差分量に基づいて、補正する調理時間を調節してもよい。
【0048】
図6を用いて、電動調理器100による自動調理処理について説明する。図6は、電動調理器100による自動調理処理を示すフローチャートである。ここでは、内部の空気を排出してから食材の調理を行う調理運転が開始されているものとする。
【0049】
制御部170は、吸引部140による吸引動作が完了したか否かを判定している(ステップS101)。制御部170は、吸引部140による吸引動作が完了したと判定した場合、吸引時間取得部171は、吸引部140による吸引時間を取得する(ステップS102)。制御部170は、吸引部140による吸引動作が完了していないと判定した場合、ステップS101を繰り返す。そして、食材量算出部172は、吸引時間取得部171において取得された吸引時間に基づいて、食材量を算出する(ステップS103)。調理時間設定部173は、食材量算出部172において算出された食材量に基づいて、調理時間を設定する(ステップS104)。駆動制御部175は、調理時間設定部173において設定された調理時間に基づいて、駆動部150を駆動させる(ステップS105)。調理時間補正部174は、駆動部150の負荷に基づいて、調理時間の補正処理を行う(ステップS106)。制御部170は、設定又は補正された調理時間が終了したか否かを判定する(ステップS107)。制御部170は、設定又は補正された調理時間に到達したと判定した場合、調理運転は終了となる。制御部170は、設定又は補正された調理時間に到達していないと判定した場合、ステップS107を繰り返す。
【0050】
図7を用いて、電動調理器100の調理時間補正部174による調理時間の補正処理の第一実施形態について説明する。図7は、調理時間補正部174による調理時間の補正処理の第一実施形態を示すフローチャートである。
【0051】
駆動制御部175によって駆動部150が駆動されると、調理時間補正部174は、調理運転を開始してから調理部130(調理部材132)が一回転するまでの間に係る負荷を取得する(ステップS201)。そして、調理時間補正部174は、取得した負荷が、所定の閾値以上であるか否かを判定している(ステップS202)。調理時間補正部174は、取得した負荷が、所定の閾値以上であると判定した場合(ステップS202において、Yesの場合)、調理時間設定部173において設定された調理時間を所定時間長くするように補正(ステップS203)して補正処理は終了となる。調理時間補正部174は、取得した負荷が、所定の閾値以上でないと判定しない場合(ステップS202において、Noの場合)、調理時間設定部173において設定された調理時間を所定時間短くするように補正(ステップS204)して補正処理は終了となる。
【0052】
図8を用いて、電動調理器100の調理時間補正部174による調理時間の補正処理の第二実施形態について説明する。図8は、調理時間補正部174による調理時間の補正処理の第二実施形態を示すフローチャートである。
【0053】
駆動制御部175によって駆動部150が駆動されると、調理時間補正部174は、駆動部150の負荷を取得している(ステップS301)。調理時間補正部174は、駆動部150の負荷が所定期間、又は所定回数だけ連続して所定の閾値を下回っているか否かを判定する(ステップS302)。調理時間補正部174は、駆動部150の負荷が所定期間、又は所定回数だけ連続して所定の閾値を下回っていると判定した場合(ステップS302において、Yesの場合)、調理時間設定部173において設定された調理時間に関わらず、駆動部150の駆動を停止(ステップS303)するように調理時間を補正して、補正処理は終了となる。調理時間補正部174は、駆動部150の負荷が所定期間、又は所定回数だけ連続して所定の閾値を下回っていないと判定した場合(ステップS302において、Noの場合)、調理時間の補正は行わず、補正処理は終了となる。
【0054】
図9を用いて、電動調理器100の調理時間補正部174による調理時間の補正処理の第三実施形態について説明する。図9は、調理時間補正部174による調理時間の補正処理の第三実施形態を示すフローチャートである。
【0055】
駆動制御部175によって駆動部150が駆動されると、調理時間補正部174は、所定期間において検出される負荷を取得している(ステップS401)。調理時間補正部174は、取得した駆動部150の負荷において、最大値と、最小値と、の差分が基準値以上であるか否かを判定している(ステップS402)。調理時間補正部174は、差分が基準値以上であると判定した場合(ステップS402において、Yesの場合)、調理時間設定部173において設定された調理時間を所定時間長くするように補正(ステップS403)して、補正処理は終了となる。調理時間補正部174は、差分が基準値以下である場合(ステップS402において、Noの場合)、調理時間の補正を行わず、補正処理は終了となる。
【0056】
以上の構成において、調理時間の補正処理の3形態を個別に示したが、これに限らず、各形態を組み合わせて、調理時間を補正するように構成してもよい。なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0057】
100 電動調理器、110 装置本体、120 収容部、130 調理部、136 負荷検出部、140 吸引部、147 圧力検出部、150 駆動部、170 制御部、171 吸引時間取得部、172 食材量算出部、173 調理時間設定部、174 調理時間補正部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9