IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日機装株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-血液浄化システム及び液供給装置 図1
  • 特許-血液浄化システム及び液供給装置 図2
  • 特許-血液浄化システム及び液供給装置 図3
  • 特許-血液浄化システム及び液供給装置 図4
  • 特許-血液浄化システム及び液供給装置 図5
  • 特許-血液浄化システム及び液供給装置 図6
  • 特許-血液浄化システム及び液供給装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-04
(45)【発行日】2023-04-12
(54)【発明の名称】血液浄化システム及び液供給装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/14 20060101AFI20230405BHJP
【FI】
A61M1/14 100
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019102811
(22)【出願日】2019-05-31
(65)【公開番号】P2020192287
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-12-10
(31)【優先権主張番号】P 2019097203
(32)【優先日】2019-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 毅
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 晋也
(72)【発明者】
【氏名】片山 雄貴
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-249751(JP,A)
【文献】特開2012-249746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の血液を浄化する複数の血液浄化装置と、
前記複数の血液浄化装置の工程に応じた液体を供給する供給部、及びユーザから入力情報を受け付ける入力受付部を有する液供給装置と、を備える血液浄化システムであって、
前記複数の血液浄化装置の全て又は一部で構成される血液浄化装置群の工程に関する設定項目の入力情報を、前記入力受付部を介してユーザから受け付ける場合、前記血液浄化装置群に対して前記設定項目の当該入力情報を一括で設定する一括設定処理を行う一括設定部と、
前記血液浄化装置群において前記設定項目に関する工程が少なくとも実施されている間、前記一括設定部が前記一括設定処理を行うことを阻止する設定阻止部と、
を更に有する血液浄化システム。
【請求項2】
前記液供給装置及び前記血液浄化装置群のいずれか一方の装置が前記設定項目の入力情報を受け付けているとき、又は前記一方の装置が入力情報を受け付けた後の予め定められた期間内に、前記一方の装置と他方の装置との間で、前記設定項目の入力に関する情報を共有する、
請求項1に記載の血液浄化システム。
【請求項3】
前記液供給装置と前記血液浄化装置群とにおいて優先順位が予め定められ、
前記液供給装置と前記血液浄化装置群との間で、共通の前記設定項目に関するユーザの入力が競合する場合、前記優先順位が高い装置に入力された前記設定項目の入力情報が優先して設定される、
請求項1又は2に記載の血液浄化システム。
【請求項4】
前記設定項目に関する工程が終了した後、新たな設定項目の入力情報を受け付けるために当該工程に関する前記設定項目の設定情報を初期化する、
請求項3に記載の血液浄化システム。
【請求項5】
前記血液浄化装置群において前記設定項目に関する工程が実施されている場合、前記設定阻止部が、前記一括設定部の前記一括設定処理を阻止し、当該工程が終了した後、前記一括設定部が、前記一括設定処理を行う、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の血液浄化システム。
【請求項6】
前記液供給装置及び前記血液浄化装置群のうち前記設定項目の入力情報を設定した装置を示す識別情報を記憶する、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の血液浄化システム。
【請求項7】
前記血液浄化装置群は、前記液供給装置から設定指示を受ける前記設定項目の指示内容が、予め定められた設定範囲内に属することを条件として、前記設定項目の指示内容を設定する、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の血液浄化システム。
【請求項8】
前記液供給装置は、前記一括設定処理において、成否に関わらず、前記血液浄化装置群に対して前記設定項目の入力情報の設定指示を複数回繰り返す、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の血液浄化システム。
【請求項9】
前記設定項目に関する前記血液浄化装置群の工程は、前記供給部が透析液を供給することにより血液を浄化する治療工程、前記供給部が洗浄液又は消毒液を供給することにより前記透析液が流れる透析液回路を洗浄又は消毒する洗浄消毒工程、待機状態である待機工
程、及び、前記洗浄液又は消毒液とは異なる液体を前記供給部が供給することにより、前記洗浄消毒工程において使用された洗浄液又は消毒液を当該液体に置換する液置換工程の少なくとも1つの工程である、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の血液浄化システム。
【請求項10】
数の血液浄化装置の工程に応じた液体を供給する供給部と、
ユーザから入力情報を受け付ける入力受付部と、
前記複数の血液浄化装置の全て又は一部で構成される血液浄化装置群の工程に関する設定項目の入力情報を、前記入力受付部を介してユーザから受け付ける場合、前記血液浄化装置群に対して前記設定項目の当該入力情報を一括で設定する一括設定処理を行う一括設定部と、
前記血液浄化装置群において前記設定項目に関する工程が少なくとも実施されている間、前記一括設定部が前記一括設定処理を行うことを阻止する設定阻止部と、
を備えた液供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液浄化システム及び液供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、透析液を供給する透析液供給装置と、透析液供給装置から透析液の供給を受ける複数の透析装置と、を備えた透析システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-144721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の透析システムは、透析装置ごとに設定を行わなければならないので、作業時間を要し、また設定ミスが発生する可能性がある。
【0005】
従って本発明の目的は、作業時間を短縮すると共に設定ミスを抑制することができる血液浄化システム及び液供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の血液浄化システムは、
患者の血液を浄化する複数の血液浄化装置と、
前記複数の血液浄化装置の工程に応じた液体を供給する供給部、及びユーザから入力情報を受け付ける入力受付部を有する液供給装置と、を備える血液浄化システムであって、
前記複数の血液浄化装置の全て又は一部で構成される血液浄化装置群の工程に関する設定項目の入力情報を、前記入力受付部を介してユーザから受け付ける場合、前記血液浄化装置群に対して前記設定項目の当該入力情報を一括で設定する一括設定処理を行う一括設定部と、
前記血液浄化装置群において前記設定項目に関する工程が少なくとも実施されている間、前記一括設定部が前記一括設定処理を行うことを阻止する設定阻止部と、を更に有する。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記液供給装置及び前記血液浄化装置群のいずれか一方の装置が前記設定項目の入力情報を受け付けているとき、又は前記一方の装置が入力情報を受け付けた後の予め定められた期間内に、前記一方の装置と他方の装置との間で、前記設定項目の入力に関する情報を共有する、
請求項1に記載の血液浄化システムである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記液供給装置と前記血液浄化装置群とにおいて優先順位が予め定められ、
前記液供給装置と前記血液浄化装置群との間で、共通の前記設定項目に関するユーザの入力が競合する場合、前記優先順位が高い装置に入力された前記設定項目の入力情報が優先して設定される、
請求項1又は2に記載の血液浄化システムである。
【0009】
請求項4に記載の発明は、前記設定項目に関する工程が終了した後、新たな設定項目の入力情報を受け付けるために当該工程に関する前記設定項目の設定情報を初期化する、
請求項3に記載の血液浄化システムである。
【0010】
請求項5に記載の発明は、前記血液浄化装置群において前記設定項目に関する工程が実施されている場合、前記設定阻止部が、前記一括設定部の前記一括設定処理を阻止し、当該工程が終了した後、前記一括設定部が、前記一括設定処理を行う、
請求項1乃至4のいずれか1項に血液浄化システムである。
【0011】
請求項6に記載の発明は、前記液供給装置及び前記血液浄化装置群のうち前記設定項目の入力情報を設定した装置を示す識別情報を記憶する、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の血液浄化システムである。
【0012】
請求項7に記載の発明の前記血液浄化装置群は、前記液供給装置から設定指示を受ける前記設定項目の指示内容が、予め定められた設定範囲内に属することを条件として、前記設定項目の指示内容を設定する、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の血液浄化システムである。
【0013】
請求項8に記載の発明の前記液供給装置は、前記一括設定処理において、成否に関わらず、前記血液浄化装置群に対して前記設定項目の入力情報の設定指示を複数回繰り返す、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の血液浄化システムである。
【0014】
請求項9に記載の発明は、前記設定項目に関する前記血液浄化装置群の工程は、前記供給部が透析液を供給することにより血液を浄化する治療工程、前記供給部が洗浄液又は消毒液を供給することにより前記透析液が流れる透析液回路を洗浄又は消毒する洗浄消毒工程、待機状態である待機工程、及び、前記洗浄液又は消毒液とは異なる液体を前記供給部が供給することにより、前記洗浄消毒工程において使用された洗浄液又は消毒液を当該液体に置換する液置換工程の少なくとも1つの工程である、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の血液浄化システムである。
【0015】
請求項10に記載の発明の液供給装置は、
前記複数の血液浄化装置の工程に応じた液体を供給する供給部と、
ユーザから入力情報を受け付ける入力受付部と、
前記複数の血液浄化装置の全て又は一部で構成される血液浄化装置群の工程に関する設定項目の入力情報を、前記入力受付部を介してユーザから受け付ける場合、前記血液浄化装置群に対して前記設定項目の当該入力情報を一括で設定する一括設定処理を行う一括設定部と、
前記血液浄化装置群において前記設定項目に関する工程が少なくとも実施されている間、前記一括設定部が前記一括設定処理を行うことを阻止する設定阻止部と、
を備える。
【発明の効果】
【0016】
請求項1、10の発明によれば、作業時間を短縮すると共に設定ミスを抑制することができる。
【0017】
請求項2、3、4の発明によれば、意図しない設定変更を抑制することができる。
【0018】
請求項5の発明によれば、ユーザが工程の終了を待って一括設定の入力を行わなくても良い。
【0019】
請求項6の発明によれば、ユーザの認識と実際に反映された設定項目との齟齬を抑制することができる。
【0020】
請求項7の発明によれば、設定範囲外の動作を抑制することができる。
【0021】
請求項8の発明によれば、設定項目の設定漏れを抑制することができる。
【0022】
請求項9の発明によれば、血液浄化装置の複数の工程のうちの少なくとも1つの工程を対象として一括で設定項目を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、第1の実施の形態に係る血液浄化システムのブロック図の一例である。
図2図2は、第1の実施の形態に係る血液浄化システムの透析液などの流れの一例を示す概略図である。
図3図3(a)は、第1の実施の形態に係る血液浄化システムの血液浄化装置の一例を示す概略図であり、図3(b)は、血液浄化装置の構成の一例を示す概略図である。
図4図4は、第1の実施の形態に係る透析液供給装置の洗消記録画面の一例を示す概略図である。
図5図5は、第1の実施の形態に係る透析液供給装置の一括設定画面の一例を示す概略図である。
図6図6は、第1の実施の形態に係る血液浄化装置の設定画面の一例を示す概略図である。
図7図7は、第1の実施の形態に係る血液浄化システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1の実施の形態]
(血液浄化システム1の概要)
図1は、第1の実施の形態に係る血液浄化システムのブロック図の一例である。図2は、第1の実施の形態に係る血液浄化システムの透析液などの流れの一例を示す概略図である。図3(a)は、第1の実施の形態に係る血液浄化システムの血液浄化装置の一例を示す概略図であり、図3(b)は、血液浄化装置の構成の一例を示す概略図である。また図1では、主な情報の流れを矢印で示している。さらに図2では、主な配管を流れる液体などを矢印で示している。なお以下に記載する数値範囲を示す「A~B」は、A以上B以下の意味で用いるものとする。
【0025】
血液浄化システム1は、患者の血液から余分な水分や老廃物を取り除くと共に必要な物質を補充して浄化された血液を患者に戻す透析治療を行うためのシステムである。
【0026】
血液浄化システム1は、図1に示すように、患者の血液を浄化する複数の血液浄化装置3と、複数の血液浄化装置3の工程に応じた液体を供給する供給部22、及びユーザから入力情報を受け付ける入力受付部を有する液供給装置と、を備える血液浄化システムである。液供給装置は、複数の血液浄化装置3の全て又は一部で構成される血液浄化装置群の工程に関する設定項目の入力情報を、入力受付部を介してユーザから受け付ける場合、血液浄化装置群に対して設定項目の当該入力情報を一括で設定する一括設定処理を行う一括設定部20aと、血液浄化装置群において設定項目に関する工程が少なくとも実施されている間、一括設定部20aが一括設定処理を行うことを阻止する設定阻止部20bと、を備えて概略構成されている。
【0027】
本実施の形態の液供給装置は、一例として、透析液Lを供給する透析液供給装置2である。
【0028】
血液浄化システム1は、透析液供給装置2及び血液浄化装置群のうち設定項目の入力情報を設定した装置を示す識別情報を記憶するように概略構成されている。本実施の形態では、血液浄化装置群の血液浄化装置3が設定項目の設定元を示す情報として後述する履歴情報350を記憶する。
【0029】
さらに透析液供給装置2は、一括設定処理において、成否に関わらず、血液浄化装置群に対して設定項目の入力情報の設定指示を複数回繰り返すように概略構成されている。
【0030】
設定項目に関する血液浄化装置群の工程は、供給部22が透析液Lを供給することにより血液を浄化する治療工程、供給部22が洗浄液又は消毒液を供給することにより透析液Lが流れる透析液回路を洗浄又は消毒する洗浄消毒工程、待機状態である待機工程、及び、洗浄液又は消毒液とは異なる液体を供給部22が供給することにより、洗浄消毒工程において使用された洗浄液又は消毒液を当該液体に置換する液置換工程の少なくとも1つの工程である。透析液回路とは、後述する透析液導入ライン32a及び透析液排出ライン32bを含む回路である。
【0031】
血液浄化システム1は、一例として、図1に示すように、透析液供給装置2と複数の血液浄化装置3とがネットワーク4によって電磁気的に接続されている。なお透析液供給装置2は、一例として、40~100台の血液浄化装置3と接続されている。
【0032】
電磁気的に接続とは、導電体による接続、電磁波の一種である光による接続、及び電磁波の一種である電波による接続の少なくとも1つを用いた接続を示している。装置同士が導電体によって接続された場合は、装置間の通信としては、有線通信が行われ、光によって接続された場合は、光通信が行われ、電波によって接続された場合は、無線通信が行われる。本実施の形態では、有線接続による有線通信が行われる。
【0033】
血液浄化システム1は、ネットワーク4を介した通信の方法としてマルチキャストを用いている。血液浄化システム1は、マルチキャストを用いることにより、透析液供給装置2から複数の血液浄化装置3への同じ情報や同一の信号の送信を可能としている。
【0034】
また血液浄化システム1は、一例として、図2に示すように、RO水製造装置5、酸洗浄用薬液導入部6、消毒用薬液導入部7及び溶解装置8と、透析液供給装置2と、が複数の配管(=配管H~配管H)を介して接続されている。また透析液供給装置2は、配管Hから分岐した複数の配管Hのそれぞれに血液浄化装置3が接続されている。
【0035】
透析液供給装置2は、RO水製造装置5、酸洗浄用薬液導入部6、消毒用薬液導入部7及び溶解装置8と共に1つの部屋(機械室)に設置されている。また複数の血液浄化装置3は、透析液供給装置2とは異なる部屋(透析室)に配置されている。
【0036】
ここで血液浄化システム1は、複数の血液浄化装置3を少なくとも1つの血液浄化装置群に分け、この血液浄化装置群ごとに受け付けた設定項目を一括で設定する。この血液浄化装置群は、例えば、建物のフロア、病室、使用頻度、使用と未使用などに応じて分けられる。本実施の形態の血液浄化装置群は、一例として、透析液供給装置2に接続された全ての血液浄化装置3であるものとする。なお血液浄化装置群は、複数の血液浄化装置群のうちの1つの血液浄化装置3によって構成されても良い。血液浄化装置群は、後述の入力受付部等のユーザーインターフェイスを介してユーザが指定しても良い。
【0037】
(透析液供給装置2の構成)
透析液供給装置2は、図1に示すように、複数の血液浄化装置3の工程に応じた液体を供給する供給部22と、ユーザから入力情報を受け付ける入力受付部と、複数の血液浄化装置3の全て又は一部で構成される血液浄化装置群の工程に関する設定項目の入力情報を、入力受付部を介してユーザから受け付ける場合、血液浄化装置群に対して設定項目の当該入力情報を一括で設定する一括設定処理を行う一括設定部20aと、血液浄化装置群において設定項目に関する工程が少なくとも実施されている間、一括設定部が一括設定処理を行うことを阻止する設定阻止部20bと、を備えて概略構成されている。
【0038】
ここで図1に示す制御部20は、一例として、一括設定部20aと設定阻止部20bを備えて概略構成されているがこれに限定されず、少なくとも一方が制御部20とは別に設けられても良い。
【0039】
本実施の形態の入力受付部は、タッチパネル21として構成されている。このタッチパネル21は、有機EL(=Electro-Luminescence)ディスプレイなどの表示部と、タッチ操作やなぞり操作などの入力を受け付けるタッチパッドなどの入力部と、が表示部の上に入力部が重ねられて一体となったものである。なお入力受付部は、キーボード、マウス及びタッチパッドなどであっても良いし、これらとタッチパネルとを組み合わせて構成されても良い。この場合、表示部と入力受付部は、別々に配置される。
【0040】
さらに透析液供給装置2は、外部の入力部によって入力された入力情報を入力受付部によって間接的に受け付ける構成としても良い。
【0041】
また透析液供給装置2は、例えば、図1に示すように、通信部23と、記憶部24と、を備えている。通信部23は、ネットワーク4を介して複数の血液浄化装置3と信号や情報などの相互の交換を行う。記憶部24は、半導体メモリ、SSD(=Solid State Drive)及びHDD(=Hard Disk Drive)などを備えて概略構成されている。
【0042】
制御部20は、例えば、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工などを行うCPU(=Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM(=Random Access Memory)及びROM(=Read Only Memory)などから構成されるマイクロコンピュータである。このROMには、例えば、制御部20が動作するためのプログラムが格納されている。RAMは、例えば、一時的に演算結果などを格納する記憶領域として用いられる。また制御部20は、その内部にクロック信号を生成する手段を有し、このクロック信号に基づいて動作を行うと共に時間の測定を行う。なお記憶部24は、制御部20のRAMであっても良い。
【0043】
制御部20は、血液浄化装置3からネットワーク4を介して取得した動作情報Sを記憶部24に格納する。そして制御部20は、取得した血液浄化装置3ごとの動作情報Sに基づいて工程ごとの動作の記録をタッチパネル21の表示部に表示させる。
【0044】
一括設定部20aは、血液浄化装置群に設定項目を一括して設定するように構成されている。また設定阻止部20bは、血液浄化装置群が一括した設定の対象となる工程が少なくとも実施されている間、一括設定に関する一括設定処理を阻止するように概略構成されている。制御部20は、一括設定部20a及び設定阻止部20bを制御する。なお設定阻止部20bは、入力受付部が受け付けたユーザからの一括設定の指示内容を他の装置に送信し、一括設定の許否を問い合わせ、一括設定を阻止すべき旨の回答内容を受信する場合に、一括設定を阻止しても良い。他の装置は、血液浄化システム1に含まれても良いし、血液浄化システム1に含まれない外部の装置であっても良い。また設定阻止部20bは、一括設定を阻止した場合、阻止したことによりアラーム音を出力したり、メッセージを表示したりしてユーザに報知しても良い。
【0045】
ここで他の変形例としての設定阻止部20bは、入力受付部において、実施中の工程に関する設定項目・設定要素に対してユーザに操作(入力)させないように制御することで、一括設定を阻止するように構成されても良い。
【0046】
一括設定を阻止する方法は、例えば、設定項目・設定要素(アイコン、ボタン、ソフトキーなど)をグレイアウトする、実施中の工程に関する設定項目・設定要素を一時的に表示させないようにする、入力受付部がハードキーの場合、ハードキーを物理的に操作させないようにするなどの方法がある。
【0047】
設定項目・設定要素をグレイアウトする方法について
設定阻止部20bは、入力受付部がタッチパネル21である場合、実施中の工程に関してタッチパネル21に表示される設定項目・設定要素をグレイアウトすると共にグレイアウトした設定項目・設定要素に対する入力を受け付けないことで操作(入力)させないようにする。本実施の形態の設定阻止部20bは、グレイアウトすると共に入力を受け付けないことで一括設定を阻止している。なお変形例として設定阻止部20bは、表示部と入力受付部とが別々に配置される場合、表示部に表示された設定項目・設定要素をグレイアウトすると共に入力受付部による設定項目・設定要素に対する入力を受け付けないようにする。
【0048】
設定項目・設定要素を一時的に表示させないようにする方法について
設定阻止部20bは、入力受付部がタッチパネル21である場合、実施中の工程に関する設定項目・設定要素を一時的にタッチパネル21に表示させないようにする。なお変形例として設定阻止部20bは、表示部と入力受付部とが別々に配置される場合、表示部に設定項目・設定要素を一時的に表示させないようにする。
【0049】
ハードキーを物理的に操作させないようにする方法について
例えば、入力受付部の入力部がハードキーであって、ハードキーを覆う閉状態と、覆っていない開状態とで、開閉可能なカバーを備えた場合、設定阻止部20bは、カバーを閉状態に開閉制御することによって、ハードキーを物理的に操作させないようにする。
【0050】
また他の変形例としての透析液供給装置2は、一括設定部20aを備えなくても良い。本変形例の血液浄化システム1は、例えば、一括設定を行う際、一括設定部を備える透析液供給装置2以外の他の装置に依頼し、他の装置が代理で血液浄化装置群に対して一括で設定項目の設定を行うように構成される。
【0051】
さらに他の変形例としての透析液供給装置2は、設定阻止部20bを備えなくても良い。本変形例の血液浄化装置3は、例えば、一括設定の指示を透析液供給装置2から受け付ける場合に、一括設定の指示に関する設定項目の工程を自装置が実施しているときには、その一括設定指示を拒否するように構成される。
【0052】
供給部22は、溶解装置8によって生成される透析液原液(=A原液L4a及びB原液L4b)から予め定められた濃度の透析液Lを生成すると共に複数の血液浄化装置3に供給する。また供給部22は、血液浄化装置3を洗浄及び消毒する洗消工程において使用する洗浄水(RO水L)、消毒液L及び酸洗浄液Lを複数の血液浄化装置3に供給する。
【0053】
この供給部22は、配管H~配管Hと、ポンプ90~ポンプ92と、を備えている。また供給部22は、配管H~配管Hを介してRO水製造装置5、酸洗浄用薬液導入部6、消毒用薬液導入部7及び溶解装置8と接続されている。
【0054】
(血液浄化装置3の構成)
血液浄化装置3は、図1に示すように、制御部30と、タッチパネル31と、血液浄化部32と、検知部33と、通信部34と、記憶部35と、を備えて概略構成されている。
【0055】
制御部30は、例えば、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工などを行うCPU、半導体メモリであるRAM、及びROMなどから構成されるマイクロコンピュータである。このROMには、例えば、制御部30が動作するためのプログラムが格納されている。RAMは、例えば、一時的に演算結果などを格納する記憶領域として用いられる。また制御部30は、その内部にクロック信号を生成する手段を有し、このクロック信号に基づいて動作を行うと共に時間の測定を行う。なお記憶部35は、制御部30のRAMであっても良い。
【0056】
制御部30は、設定項目を設定した設定元、実施した工程に関する開始時間、終了時間、薬液の量などの情報を履歴情報350として記憶部35に記憶させる。そして制御部30は、例えば、周期的に履歴情報350から動作情報Sを生成し、ネットワーク4を介して透析液供給装置2に出力する。この動作情報Sは、一例として、設定項目を設定した設定元、実施した工程に関する開始時間、終了時間、電導度、吸光度及び薬液の量などの情報である。また設定項目を設定した設定元の情報は、透析液供給装置2の一括した設定(=一括設定)、血液浄化装置3の個別の設定(=個別設定)のいずれの設定が反映されているかの情報である。
【0057】
タッチパネル31は、タッチパネル21と同様に、表示部の上に入力部が重ねて一体とされている。
【0058】
血液浄化部32は、図3(a)及び図3(b)に示すように、透析液導入ライン32aと、透析液排出ライン32bと、ダイアライザ320と、を備えて概略構成されている。このダイアライザ320には、さらに動脈側血液回路32cと、静脈側血液回路32dとが接続されている。
【0059】
動脈側血液回路32cは、一方端である動脈側穿刺針が患者の動脈に穿刺され、他方端がダイアライザ320の血液導入口320aに接続されている。この動脈側血液回路32cには、しごき型ポンプである血液ポンプ327が接続されている。
【0060】
静脈側血液回路32dは、一方端である静脈側穿刺針が患者の静脈に穿刺され、他方端がダイアライザ320の血液導出口320bに接続されている。
【0061】
患者の血液は、動脈側血液回路32cを通ってダイアライザ320に至った後、ダイアライザ320によって血液浄化処理が行われ、静脈側血液回路32dを通って患者の体内に戻るようになっている。
【0062】
ダイアライザ320は、血液導入口320a、血液導出口320b、透析液導入口320c及び透析液導出口320dを備えている。透析液導入口320c及び透析液導出口320dは、カプラ321a及びカプラ321bを介して透析液導入ライン32a及び透析液排出ライン32bにそれぞれ接続されている。ダイアライザ320は、図3(a)に示すように、透析治療の間、カプラ受け328にセットされている。
【0063】
ダイアライザ320は、複数の中空糸を有し、この中空糸によって血液を浄化するように構成されている。またダイアライザ320は、血液浄化膜を介して血液導入口320aと血液導出口320bを繋ぐ血液流路と、透析液導入口320cと透析液導出口320dを繋ぐ透析液流路と、が形成されている。血液浄化膜を構成する中空糸は、外周面と内周面とを貫通した微小な孔が形成されて中空糸膜を形成しており、この中空糸膜を介して血液中の不純物などが透析液内に透過する。
【0064】
透析液導入ライン32aは、透析液供給装置2の配管Hから分岐した配管Hと接続されている。また透析液排出ライン32bは、透析液供給装置2から供給され、透析液導入ライン32a及びダイアライザ320を経由した透析液Lを排出する流路となっている。
【0065】
透析液導入ライン32a及び透析液排出ライン32bには、複式ポンプ325が配置されている。透析液Lは、複式ポンプ325によって透析液導入ライン32a及び透析液排出ライン32bを流れる。
【0066】
透析液導入ライン32aは、吸入側の複式ポンプ325とダイアライザ320との間に透析液Lを清浄化するための濾過フィルタ324a及び濾過フィルタ324bが接続されている。この濾過フィルタ324a及び濾過フィルタ324bは、透析液排出ライン32bとの間にバイパスラインが設けられている。そしてバイパスラインには、流路を開閉する電磁弁322c及び電磁弁322dが接続されている。
【0067】
透析液排出ライン32bは、吐出側の複式ポンプ325をバイパスする除水ポンプ326が配置されている。この除水ポンプ326は、ダイアライザ320を流れる患者の血液から余分な水分を除去するために設けられている。
【0068】
透析液導入ライン32a及び透析液排出ライン32bのダイアライザ320側には、電磁弁322a及び電磁弁322bが配置されている。この電磁弁322a及び電磁弁322bは、ダイアライザ320に導入及び排出される透析液Lの流路を開閉する。
【0069】
透析液導入ライン32a及び透析液排出ライン32bは、透析液導入ライン32aの上流側と透析液排出ライン32bの下流側との間にバイパスラインが設けられている。そしてこのバイパスラインには、流路を開閉する電磁弁322eが接続されている。また透析液排出ライン32bの当該バイパスラインとの接続部分より下流側には、流路を開閉する電磁弁322fが接続されている。
【0070】
制御部30は、電磁弁322a~電磁弁322fを制御して流路を開閉する。また制御部30は、複式ポンプ325及び血液ポンプ327を制御して透析液Lや血液の導入、排出を行う。
【0071】
検知部33は、配管内の液体の濃度を検知する濃度検知センサ33a~濃度検知センサ33cと、液体のpHを検知するpH検知センサ33dと、液体の温度を検知する温度検知センサ33e及び温度検知センサ33fと、液体の圧力を検知する液圧検知センサ33gと、を備えて概略構成されている。なお検知部33は、配管内の液体の流通の有無を検出する流通検出センサを備えていても良い。
【0072】
濃度検知センサ33aは、透析治療時の配管内の液体(透析液)の電導度を介して濃度を検知するものであると共に、非透析治療時の液体(薬液、RO水)の濃度を検知することができる。濃度検知センサ33bは、透析治療時の配管内の液体(透析液)に光を照射して漏血を検知すると共に非透析治療時の液体の濃度を介して流通の有無を検知することができる。また濃度検知センサ33cは、透析治療時の配管内の液体(透析液)に紫外線を照射して尿素濃度を検知すると共に非透析治療時の液体(薬液、RO水)の濃度を介して流通の有無を検知することができる。吸光度は、濃度検知センサ33cによって検知される。
【0073】
pH検知センサ33dは、透析治療時に供給される液体(透析液)のpHを検知すると共に非透析治療時の配管内の液体(薬液、RO水)のpHを検知することができる。具体的には、pH検知センサ33dは、非透析時において酸を検出した場合、配管内に過酢酸やクエン酸の液体が流通していることを検知することができ、アルカリを検出した場合、次亜塩素酸の液体が流通していることを検知することができ、中性を検出した場合、RO水L(=洗浄水)が流通していることを検知することができる。
【0074】
温度検知センサ33e及び温度検知センサ33fは、配管を流通する液体の温度を検知する。具体的には、温度検知センサ33e及び温度検知センサ33fは、非透析時において予め定められた温度以上の液体の検知を介して消毒のための熱湯の流通を検知することができる。なお温度検知センサ33eは、温度及び流通時間を検知するものであっても良い。
【0075】
液圧検知センサ33gは、配管を流通する液体の圧力を検知する。具体的には、液圧検知センサ33gは、配管を流通する液体の粘度や温度の変化に伴って液圧が異なるので、この液圧の検知を介して液体の種類を判定する。
【0076】
流通検知センサは、血液浄化部32の電磁弁322a~電磁弁322f、複式ポンプ325、除水ポンプ326などの上流側及び下流側に発振電極と受信電極とを配置し、液体の流通時におけるポンプの動作や電磁弁の開状態に伴う導通の有無によって、当該電磁弁の開閉やポンプの駆動を検知可能なものである。流通検知センサは、この導通の有無によって非透析治療時における液体の流通を検知することができる。
【0077】
通信部34は、ネットワーク4を介して透析液供給装置2と信号や情報などの相互の交換を行う。記憶部35は、半導体メモリ、SSD及びHDDなどを備えて構成されている。
【0078】
(RO水製造装置5の構成)
RO水製造装置5は、配管Hを介して透析液供給装置2と接続されている。このRO水製造装置5は、原水を浄化してRO水Lを生成する。このRO水Lは、配管Hを通して透析液供給装置2に供給される。供給されたRO水Lは、透析液Lの生成に用いられると共に配管などを洗浄する洗浄水として用いられる。
【0079】
(酸洗浄用薬液導入部6の構成)
酸洗浄用薬液導入部6は、配管Hを介して透析液供給装置2と接続されている。この酸洗浄用薬液導入部6には、配管H及び配管Hなどに析出した炭酸塩を溶解するための過酢酸Lが導入される。透析液供給装置2は、導入された過酢酸LとRO水Lとを混合して酸洗浄液Lを生成する。なお酸洗浄用薬液導入部6は、過酢酸に限定されず他の消毒用の薬剤や液体を導入するようにされても良い。
【0080】
(消毒用薬液導入部7の構成)
消毒用薬液導入部7は、配管Hを介して透析液供給装置2と接続されている。この消毒用薬液導入部7には、配管H及び配管Hなどを消毒及び殺菌するための次亜塩素酸Lが導入される。透析液供給装置2は、導入された次亜塩素酸LとRO水Lとを混合して消毒液Lを生成する。なお消毒用薬液導入部7は、次亜塩素酸に限定されず、例えば過酢酸及びクエン酸などの他の消毒用の薬剤や液体を導入するようにされても良い。
【0081】
変形例として、透析液供給装置2は、RO水製造装置5から供給されたRO水Lを加熱した熱水、又はRO水製造装置5が生成して供給した熱水を血液浄化装置3に供給するように構成されても良い。熱水による消毒を行う場合、透析液供給装置2は、酸洗浄用薬液導入部6又は消毒用薬液導入部7から導入されたクエン酸と熱水とを混合して消毒を行う。
【0082】
(溶解装置8の構成)
溶解装置8は、配管H及び配管Hを介して透析液供給装置2と接続されている。溶解装置8は、投入された透析用紛体薬剤と清浄水(例えばRO水L)とを混合して所定の濃度の透析液原液(=A原液L4a及びB原液L4b)を生成する。そして溶解装置8は、生成したA原液L4a及びB原液L4bを、配管H及び配管Hを介して透析液供給装置2に導入する。配管H及び配管Hは、ポンプ91及びポンプ92に接続されている。
【0083】
透析液供給装置2は、このポンプ91及びポンプ92の制御に基づいて任意のタイミングで得たA原液L4a及びB原液L4bと、RO水製造装置5から得たRO水Lと、を用いて透析液Lを生成する。なおRO水Lは、RO水製造装置5以外から供給されても良い。
【0084】
(血液浄化システム1の工程について)
血液浄化システム1の主な工程は、上述の血液浄化装置3における洗消工程、プリセット工程、液置換工程及び治療工程である。
【0085】
洗消工程とは、透析液供給装置2及び血液浄化装置3の配管H、配管H、透析液導入ライン32a及び透析液排出ライン32bなどを洗浄及び消毒する工程である。
【0086】
透析液供給装置2は、治療工程が終了してダイアライザ320がカプラ321a及びカプラ321bから取り外されると共にカプラ321aとカプラ321bとが接続されて透析液導入ライン32aと透析液排出ライン32bとがバイパス状態となったことに基づいて治療工程の終了を検知する。血液浄化装置3は、接続されたカプラ321a及びカプラ321bがセットされるカプラ受け328にスイッチを有し、このスイッチがバイパス状態を検知する。透析液供給装置2は、バイパス状態において洗消工程を行う。
【0087】
プリセット工程とは、洗消工程の終了から液置換工程が開始されるまでの待機状態にある工程である。液置換工程とは、治療工程の前工程であり、配管内の液体を透析液Lに置き換える工程である。治療工程とは、透析治療を行う工程である。
【0088】
(設定項目の一括設定について)
図4は、第1の実施の形態に係る透析液供給装置の洗消記録画面の一例を示す概略図である。図5は、第1の実施の形態に係る透析液供給装置の一括設定画面の一例を示す概略図である。図6は、第1の実施の形態に係る血液浄化装置の設定画面の一例を示す概略図である。図4では、透析液供給装置2を「DAB」、血液浄化装置3を「DCS」として図示している。「DCS」の左側の数字は、透析液供給装置2に接続された血液浄化装置3に付された番号である。
【0089】
透析液供給装置2の洗消記録画面210は、タッチパネル21の表示部に表示される画面である。この洗消記録画面210には、図4に示すように、「開始日時」、「工程」、「洗消完了時間」、「洗消完了判定」、「薬液使用量」、「通し番号」、「送液開始時刻」、「置換完了時刻」、「電導度(置換完了時)」、「吸光度(置換完了時)」、「洗消完了時刻」、「電導度(洗消完了時)」、「吸光度(洗消完了時)」、「合計液量」などの項目が表示されている。この洗消記録画面210は、血液浄化装置3から取得した複数の動作情報Sに基づいて生成される。
【0090】
「開始日時」は、洗消工程を開始した日時である。この洗消工程では、薬液消毒、酸洗浄及び過酢酸消毒が実施される。「工程」は、実施した工程を示している。「洗消完了時間」は、送液開始から最後に完了した血液浄化装置3の洗消完了時刻までの経過時間を示している。「洗消完了判定」は、(洗消工程が完了した台数)/(全血液浄化装置3の台数)で示されている。図4は、一例として、透析液供給装置2とネットワーク4を介して接続され、オンラインとなっている血液浄化装置3を70台とし、その全部が洗消工程を終了したことを示している。「薬液使用量」は、透析液供給装置2が洗消工程で使用した薬液の使用量である。
【0091】
「通し番号」は、ネットワーク4に接続されてオンラインとなっている血液浄化装置3を示している。「送液開始時刻」は、血液浄化装置3への送液を開始した時刻である。「置換完了時刻」は、「DAB」には最後の置換が完了した血液浄化装置3の置換完了時刻を示し、「DCS1」などには置換完了状態となった時刻を示している。「電導度(置換完了時)」及び「吸光度(置換完了時)」は、「DAB」には置換完了時刻を表示する際の電導度を示し、「DCS1」などには置換完了状態となった際の電導度と吸光度を示している。「洗消完了時刻」は、「DAB」には最後に完了した血液浄化装置3の消毒完了時刻を示し、「DCS1」などには消毒完了となった時刻を示している。「電導度(洗消完了時)」及び「吸光度(洗消完了時)」は、「DAB」には洗消完了時刻を表示する際の電導度を示し、「DCS1」などには洗消完了状態となった際の電導度と吸光度を示している。「合計液量」は、透析液供給装置2と血液浄化装置3が使用した液量を示している。
【0092】
また洗消記録画面210には、「洗消記録」、「一括設定」及び「データ出力」を実行させるアイコンが表示されている。この「一括設定」のアイコン210aは、血液浄化システム1の血液浄化装置群の設定項目を一括で設定させるための一括設定画面212に遷移するためのアイコンである。
【0093】
図5に示す一括設定画面212は、一例として、洗消工程における一括設定可能な設定項目を示している。一括設定画面212は、洗消工程において設定可能な設定項目として「薬液消毒」、「酸洗浄」及び「過酢酸消毒」の動作選択と、洗消時間と、を示している。
【0094】
「薬液消毒」の設定項目212aは、動作選択のアイコン212dと、洗消時間のアイコン212gとを含む。動作選択のアイコン212dを選択(操作)することによって、薬液消毒の実施有無を設定可能である。洗消時間のアイコン212gを選択(操作)することによって、薬液消毒の実施時間を設定可能である。図5では、動作選択が「実施する」であり、洗消時間が「A分」に設定されている。
【0095】
「酸洗浄」の設定項目212bは、動作選択のアイコン212eと、洗消時間のアイコン212hとを含む。動作選択のアイコン212eを選択(操作)することによって、酸洗浄の実施有無を設定可能である。洗消時間のアイコン212hを選択(操作)することによって、酸洗浄の実施時間を設定可能である。図5では、動作選択が「実施しない」であり、洗消時間が「A分」に設定されている。
【0096】
「過酢酸消毒」の設定項目212cは、動作選択のアイコン212fと、洗消時間のアイコン212iとを含む。動作選択のアイコン212fを選択(操作)することによって、過酢酸消毒の実施有無を設定可能である。洗消時間のアイコン212iを選択(操作)することによって、過酢酸消毒の実施時間を設定可能である。図5では、動作選択が「実施しない」であり、洗消時間が「A分」に設定されている。
【0097】
一括設定画面212には、送信アイコン212jが表示されている。透析液供給装置2の制御部20は、タッチパネル21の入力部が受け付けたユーザの送信アイコン212jに対するタッチ操作に基づいて一括設定画面212の設定項目に関する情報である設定項目情報Sを生成する。そして制御部20は、生成した設定項目情報Sを通信部23及びネットワーク4を介して一括して血液浄化装置群に送信し、設定項目の設定の指示を行う。なお図5に示す一括設定画面212は、薬液消毒のみをA分間行う設定を示している。
【0098】
本実施の形態では、血液浄化装置群は、透析液供給装置2に接続された全ての血液浄化装置3であるので、設定項目情報Sが全ての血液浄化装置3に送信される。なお接続された全ての血液浄化装置3がオンラインであるものとする。
【0099】
なお変形例として、透析液供給装置2は、一括設定処理の対象となる全ての血液浄化装置3がオンラインである必要はなく、オフラインであった全て、又は一部の血液浄化装置3がオンラインとなった時点で入力された設定項目の設定を行うように構成されても良い。
【0100】
ここで透析液供給装置2の制御部20は、一括設定処理において、成否に関わらず、血液浄化装置群に対して設定項目の入力情報の設定指示を複数回繰り返す。血液浄化システム1は、指示の受信を示す信号を必要としない通信を行うので、指示漏れが生じる可能性がある。そこで透析液供給装置2の制御部20は、指示が届かないことがないように、予め定められた期間、繰り返し設定項目情報Sを送信して設定に関する指示を行う。この予め定められた期間は、一例として、1分が好ましく、より好ましくは30秒であるがこれに限定されない。また指示を行う回数は、一例として、2~10回が好ましく、2~5回がより好ましい。
【0101】
また透析液供給装置2の制御部20は、取得した動作情報Sに基づいて一括設定に関する工程が血液浄化装置3側で実施中である場合、一括設定の指示を阻止する。一括設定は、例えば、一括設定に関する工程が実施されていない場合に行われる。
【0102】
制御部20は、洗消工程に関する一括設定を行う場合、当該工程が実施されていない場合としてプリセット工程期間中に一括設定を指示する。つまり制御部20は、一括設定の対象となる血液浄化装置群がプリセット工程を実施中であるか否かに基づいて一括設定を許可するか制限するかを判断する。これは、洗消工程中に当該工程に関する設定項目を変更すると、洗浄や消毒が正常に終了しない可能性があるからである。なお、洗消工程に関する一括設定を行う場合、一括設定に伴う意図しない誤作動や不具合を効果的に防止できるプリセット工程が望ましいが、洗消工程以外の工程であれば足り、例えば、治療工程又は液置換工程において一括設定を行うことも可能である。
【0103】
また制御部20は、治療工程に関する一括設定を行う場合、当該工程が実施されていない場合としてプリセット工程又は洗消工程期間中に一括設定を指示する。これは、治療工程中に当該工程に関する設定項目を変更すると、誤動作が生じる可能性があるからである。
【0104】
血液浄化装置3は、図6に示すように、タッチパネル31の表示部に、取得した設定項目情報Sに基づく設定画面214を表示する。設定画面214では、一括設定画面212によって設定された設定項目が反映されている。
【0105】
なおこの設定画面214において、ユーザが設定を変更することが可能である。この設定画面214には、一例として、図6に示すように、洗消工程において設定可能な設定項目として「薬液消毒」、「酸洗浄」及び「過酢酸消毒」の動作選択と、洗消時間と、洗消流量と、を示している。
【0106】
「薬液消毒」の設定項目214aは、操作選択のアイコン214dと、洗消時間のアイコン214gと、洗消流量のアイコン214jと、により設定することができる。図6の「薬液消毒」の設定項目214aは、動作選択が「実施する」であり、洗消時間が「A分」であり、洗消流量が「Bml/min」に設定されている。「酸洗浄」の設定項目214bは、操作選択のアイコン214eと、洗消時間のアイコン214hと、洗消流量のアイコン214kと、により設定することができる。図6の「酸洗浄」の設定項目214bは、動作選択が「実施しない」であり、洗消時間が「A分」であり、洗消流量が「Bml/min」に設定されている。「過酢酸消毒」の設定項目214cは、操作選択のアイコン214fと、洗消時間のアイコン214iと、洗消流量のアイコン214lと、により設定することができる。図6の「過酢酸消毒」の設定項目214cは、動作選択が「実施しない」であり、洗消時間が「A分」であり、洗消流量が「Bml/min」に設定されている。
【0107】
上述のように、工程に関する設定項目の設定は、血液浄化装置3側においても行うことが可能である。この場合、設定は、設定項目に関する工程が実施されている場合を除いて可能である。
【0108】
以下に、本実施の形態の血液浄化システム1の一括設定に関する動作について図7のフローチャートに従って説明する。
【0109】
(動作)
透析液供給装置2の制御部20は、ステップ1の「Yes」が成立する、つまりユーザによる血液浄化装置群の工程の実施に関わる設定項目の一括設定の指示を受け付けると(Step1:Yes)、設定阻止部20bが当該血液浄化装置群が現在実施している工程を動作情報Sに基づいて確認する。
【0110】
制御部20の設定阻止部20bは、現在実施されていない、つまり非実施の工程に関する一括設定の場合(Step2:Yes)、一括設定を許可する(Step3)。制御部20の一括設定部20aは、受け付けた設定項目に基づいて設定項目情報Sを生成して出力し、一括設定に関する動作を終了する。なお制御部20は、一括設定の指示を予め定められた期間内に複数回行う。
【0111】
ここでステップ2において制御部20の設定阻止部20bは、実施中の工程に関する一括設定であった場合(Step2:No)、一括設定を阻止(拒否)する(Step4)。
【0112】
(第1の実施の形態の効果)
本実施の形態に係る血液浄化システム1は、作業時間を短縮すると共に設定ミスを抑制することができる。具体的には、血液浄化システム1は、複数の血液浄化装置3の設定を一括で行なうことができるので、個別に設定する場合と比べて、作業時間を短縮することができる。また個別に設定する場合、入力ミスなどにより設定間違いが生じる可能性がある。しかし血液浄化システム1は、一括して設定することができるので、設定ミスを抑制することができる。
【0113】
血液浄化システム1は、透析液供給装置2及び血液浄化装置3のいずれの設定が反映されているのか、つまり設定元が動作情報Sから分かるので、この構成を採用しない場合と比べて、ユーザの認識と実際に反映された設定項目との齟齬を抑制することができる。
【0114】
血液浄化システム1は、予め定められた期間の間、設定項目情報Sを複数回送信するので、この構成を採用しない場合と比べて、設定項目の設定漏れを抑制することができる。
【0115】
血液浄化システム1は、血液浄化装置3の主要な4つの工程に対応して設定項目を設定することができるので、この構成を採用しない場合と比べて、4つの工程のいずれかの工程を対象として一括で設定項目を設定することができる。
【0116】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、一括設定と個別設定とを同時に受けた場合、設定変更を行うまでの猶予期間を設ける点で他の実施の形態と異なっている。
【0117】
本実施の形態の血液浄化システム1は、透析液供給装置2及び血液浄化装置群のいずれか一方の装置が設定項目の入力情報を受け付けているとき、又は一方の装置が入力情報を受け付けた後の予め定められた期間内に、一方の装置と他方の装置との間で、設定項目の入力に関する情報を共有するように概略構成されている。
【0118】
この予め定められた期間とは、一括設定と個別設定とが実質的に同時であるとされる期間が好ましい。従って予め定められた期間は、設定項目の入力が終了したユーザが装置から離れるまでの時間(一例として1分以内)を想定して定められることが好ましい。また血液浄化システム1は、一括設定と個別設定とを同時に受けたことを、表示と共に音や光などを用いて報知しても良い。
【0119】
血液浄化システム1は、例えば、ユーザが透析液供給装置2を操作して設定項目を入力中、又は入力終了後の予め定められた期間内において、他のユーザによって血液浄化装置群の血液浄化装置3が操作され、一括設定の対象となる工程の設定項目が変更された際、当該血液浄化装置3のタッチパネル31の表示部に設定項目の入力に関する情報を表示させると共に透析液供給装置2のタッチパネル31の表示部にも表示させる。
【0120】
この表示される内容は、例えば、他の装置によって変更中であること、入力中の装置における変更可能なタイミングについて、直前に設定が変更されたこと、一括設定が行われた後に個別設定が行われたこと、などである。
【0121】
本実施の形態の血液浄化システム1は、一括設定と個別設定とを同時に受けたことを透析液供給装置2及び血液浄化装置3とで共有することができるので、この構成を採用しない場合と比べて、ユーザの意図しない設定変更を抑制することができる。
【0122】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態は、優先順位に従って設定が行われる点で他の実施の形態と異なっている。
【0123】
本実施の形態の血液浄化システム1は、透析液供給装置2と血液浄化装置群とにおいて優先順位が予め定められ、透析液供給装置2と血液浄化装置群との間で、共通の設定項目に関するユーザの入力が競合する場合、優先順位が高い装置に入力された設定項目の入力情報が優先して設定されるように概略構成されている。
【0124】
ユーザによる設定項目の入力が競合するとは、例えば、透析液供給装置2の方が血液浄化装置3よりも優先度が高い場合、ある工程に関する設定項目が血液浄化装置3側で変更されても優先度が高い透析液供給装置2の設定が優先される、つまり血液浄化装置3側で変更された設定が破棄されることを示している。また言い換えるなら血液浄化システム1は、個別設定よりも一括設定が優先される。なお血液浄化装置3が優先される場合、一括設定よりも個別設定が優先される。
【0125】
なお変形例として、血液浄化システム1は、一定期間を受け付け期間とし、その期間経過後に、競合している場合には、設定された優先順位に基づいて設定を行っても良い。また他の変形例として、血液浄化システム1は、入力しているか否かに関わらず、ある画面を開いている状態が透析液供給装置2及び血液浄化装置3の間で競合する場合、設定された優先順位に基づいて設定を行っても良い。
【0126】
本実施の形態の血液浄化システム1は、優先順位に従って設定項目が設定されるので、この構成を採用しない場合と比べて、ユーザの意図しない設定変更を抑制することができる。
【0127】
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態は、設定項目を設定した工程が終了した後、この設定項目をリセットする点で他の実施の形態と異なっている。
【0128】
本実施の形態の血液浄化システム1は、設定項目に関する工程が終了した後、新たな設定項目の入力情報を受け付けるために当該工程に関する設定項目の設定情報を初期化するように概略構成されている。
【0129】
この血液浄化システム1は、一度優先して設定項目を設定した場合、工程が終了するまで設定変更を受け付けないように構成されている。そのため、血液浄化システム1は、優先順位に従って設定した設定項目に関する工程が終了した後、当該設定項目のリセットを行う。このリセットによって血液浄化装置3は、設定項目の変更を受け付けることが可能となる。
【0130】
本実施の形態の血液浄化システム1は、優先順位に従って設定項目を設定した工程が終了した後、この設定項目をリセットするので、この構成を採用しない場合と比べて、ユーザの意図した設定を優先することができる。
【0131】
[第5の実施の形態]
第5の実施の形態は、一括設定の予約を受け付ける点で他の実施の形態と異なっている。
【0132】
本実施の形態の血液浄化システム1は、血液浄化装置群において設定項目に関する工程が実施されている場合、設定阻止部20bが、一括設定部20aの一括設定処理を阻止し、当該工程が終了した後、一括設定部20aが、一括設定処理を行うように概略構成されている。
【0133】
この血液浄化システム1は、実施中の工程に関する一括設定を阻止して後、当該工程が終了した後に一括設定する、つまり一括設定の予約を受け付けることができる。ユーザは、当該工程が終了するまで一括設定の入力を待たなくても良くなる。
【0134】
本実施の形態の血液浄化システム1は、一括設定の予約を受け付けることができるので、予約を受け付けない場合と比べて、ユーザが工程の終了を待って一括設定の入力を行わなくても良くなる。
【0135】
[第6の実施の形態]
第6の実施の形態は、一括設定の指示がなされた設定項目が設定範囲外である場合に設定を行わない点で他の実施の形態と異なっている。
【0136】
本実施の形態の血液浄化システム1の血液浄化装置群は、透析液供給装置2から設定指示を受ける設定項目の指示内容が、予め定められた設定範囲内に属することを条件として、設定項目の指示内容を設定するように概略構成されている。
【0137】
血液浄化装置3は、装置ごとに設定可能な範囲を有している。血液浄化システム1は、一括設定においてその予め定められた設定範囲内の設定のみを受け付ける。例えば、洗消工程の最低時間が30分である場合、血液浄化装置3がノイズの影響などで設定範囲外の10分の設定を受け付けて実行すると、洗浄及び消毒が十分でない可能性がある。
【0138】
そこで血液浄化システム1は、設定範囲から外れた設定項目がある場合、その一括設定を受け付けないように構成されている。なお変形例として血液浄化システム1は、設定項目に上限値と下限値が設定されている場合、上限値を超えたら上限値に、下限値を下回ったら下限値に設定するように構成されても良い。
【0139】
本実施の形態の血液浄化システム1は、設定項目内の設定項目の一括設定のみを受け付けるので、この構成を採用しない場合と比べて、設定範囲外の動作を抑制することができる。
【0140】
以上述べた少なくとも1つの実施の形態の血液浄化システム1によれば、作業時間を短縮すると共に設定ミスを抑制することができる。
【0141】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した複数の実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号などを援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号などは、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材などに限定するものではない。
【0142】
[1]患者の血液を浄化する複数の血液浄化装置(3)と、
前記複数の血液浄化装置(3)の工程に応じた液体を供給する供給部(22)、及びユーザから入力情報を受け付ける入力受付部を有する液供給装置(3)と、を備える血液浄化システム(1)であって、
前記複数の血液浄化装置(3)の全て又は一部で構成される血液浄化装置群の工程に関する設定項目の入力情報を、前記入力受付部を介してユーザから受け付ける場合、前記血液浄化装置群に対して前記設定項目の当該入力情報を一括で設定する一括設定処理を行う一括設定部20aと、
前記血液浄化装置群において前記設定項目に関する工程が少なくとも実施されている間、前記一括設定部が前記一括設定処理を行うことを阻止する設定阻止部20bと、
を更に有する血液浄化システム(1)。
【0143】
[2]前記液供給装置(2)及び前記血液浄化装置群のいずれか一方の装置が前記設定項目の入力情報を受け付けているとき、又は前記一方の装置が入力情報を受け付けた後の予め定められた期間内に、前記一方の装置と他方の装置との間で、前記設定項目の入力に関する情報を共有する、
前記[1]に記載の血液浄化システム(1)。
【0144】
[3]前記液供給装置(2)と前記血液浄化装置群とにおいて優先順位が予め定められ、
前記液供給装置(2)と前記血液浄化装置群との間で、共通の前記設定項目に関するユーザの入力が競合する場合、前記優先順位が高い装置に入力された前記設定項目の入力情報が優先して設定される、
前記[1]又は[2]に記載の血液浄化システム(1)。
【0145】
[4]前記設定項目に関する工程が終了した後、新たな設定項目の入力情報を受け付けるために当該工程に関する前記設定項目の設定情報を初期化する、
前記[3]に記載の血液浄化システム(1)。
【0146】
[5]前記血液浄化装置群において前記設定項目に関する工程が実施されている場合、前記設定阻止部20bが、前記一括設定部20aの前記一括設定処理を阻止し、当該工程が終了した後、前記一括設定部20aが、前記一括設定処理を行う、
前記[1]乃至[4]のいずれか1つに記載の血液浄化システム(1)。
【0147】
[6]前記液供給装置(2)及び前記血液浄化装置群のうち前記設定項目の入力情報を設定した装置を示す識別情報を記憶する、
前記[1]乃至[5]のいずれか1つに記載の血液浄化システム(1)。
【0148】
[7]前記血液浄化装置群は、前記液供給装置(2)から設定指示を受ける前記設定項目の指示内容が、予め定められた設定範囲内に属することを条件として、前記設定項目の指示内容を設定する、
前記[1]乃至[6]のいずれか1つに記載の血液浄化システム(1)。
【0149】
[8]前記液供給装置(2)は、前記一括設定処理において、成否に関わらず、前記血液浄化装置群に対して前記設定項目の入力情報の設定指示を複数回繰り返す、
前記[1]乃至[7]のいずれか1つに記載の血液浄化システム(1)。
【0150】
[9]前記設定項目に関する前記血液浄化装置群の工程は、前記供給部(22)が透析液を供給することにより血液を浄化する治療工程、前記供給部(22)が洗浄液又は消毒液を供給することにより前記透析液が流れる透析液回路を洗浄又は消毒する洗浄消毒工程、待機状態である待機工程、及び、前記洗浄液又は消毒液とは異なる液体を前記供給部(22)が供給することにより、前記洗浄消毒工程において使用された洗浄液又は消毒液を当該液体に置換する液置換工程の少なくとも1つの工程である、
前記[1]乃至[8]のいずれか1つに記載の血液浄化システム(1)。
【0151】
[10]前記複数の血液浄化装置(3)の工程に応じた液体を供給する供給部(22)と、
ユーザから入力情報を受け付ける入力受付部と、
前記複数の血液浄化装置(3)の全て又は一部で構成される血液浄化装置群の工程に関する設定項目の入力情報を、前記入力受付部を介してユーザから受け付ける場合、前記血液浄化装置群に対して前記設定項目の当該入力情報を一括で設定する一括設定処理を行う一括設定部(20a)と、
前記血液浄化装置群において前記設定項目に関する工程が少なくとも実施されている間、前記一括設定部(20a)が前記一括設定処理を行うことを阻止する設定阻止部(20b)と、
を備えた液供給装置(2)。
【0152】
以上、本発明のいくつかの実施の形態及び変形例を説明したが、これらの実施の形態及び変形例は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。また、これら実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態及び変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0153】
1…血液浄化システム、2…透析液供給装置、3…血液浄化装置、4…ネットワーク、5…RO水製造装置、6…酸洗浄用薬液導入部、7…消毒用薬液導入部、8…溶解装置、12…通信部、20…制御部、20a…一括設定部、20b…設定阻止部、21…タッチパネル、22…供給部、23…通信部、24…記憶部、30…制御部、31…タッチパネル、32…血液浄化部、32a…透析液導入ライン、32b…透析液排出ライン、32c…動脈側血液回路、32d…静脈側血液回路、33…検知部、33a~33c…濃度検知センサ、33d…pH検知センサ、33e…温度検知センサ、33f…温度検知センサ、33g…液圧検知センサ、34…通信部、35…記憶部、90~92…ポンプ、210…洗消記録画面、210a…アイコン、212…一括設定画面、212a~212c…設定項目、212d~212i…アイコン、212j…送信アイコン、214…設定画面、214a~214c…設定項目、214d~214l…アイコン、215…一括設定画面、320…ダイアライザ、320a…血液導入口、320b…血液導出口、320c…透析液導入口、320d…透析液導出口、321a,321b…カプラ、322a~322f…電磁弁、324a,324b…濾過フィルタ、325…複式ポンプ、326…除水ポンプ、327…血液ポンプ、350…履歴情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7