(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-04
(45)【発行日】2023-04-12
(54)【発明の名称】排水管洗浄用エアゾール製品
(51)【国際特許分類】
C09K 3/30 20060101AFI20230405BHJP
B08B 9/032 20060101ALI20230405BHJP
C11D 17/00 20060101ALI20230405BHJP
B05B 9/04 20060101ALI20230405BHJP
【FI】
C09K3/30 Z
B08B9/032 328
C11D17/00
B05B9/04
(21)【出願番号】P 2019105013
(22)【出願日】2019-06-05
【審査請求日】2022-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000222129
【氏名又は名称】東洋エアゾール工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000100539
【氏名又は名称】アース製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【氏名又は名称】藤本 信男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】山田 益男
(72)【発明者】
【氏名】坪内 誠
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-150461(JP,A)
【文献】特開昭59-024039(JP,A)
【文献】特開平06-065595(JP,A)
【文献】特開2013-060442(JP,A)
【文献】特開2009-243205(JP,A)
【文献】国際公開第2014/027410(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/30
A61K 6/00-135/00
A61Q 1/00- 90/00
B65D 83/00
B65D 83/08- 83/76
C11D 1/00- 19/00
E03C 1/12- 1/33
B05B 1/00- 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水および界面活性剤を含有する水性原液80~99.5質量%と、液化ガスおよび/または圧縮ガスを含有する噴射剤0.5~20質量%とからなる洗浄用エアゾール組成物が、バルブおよびアクチュエーターを備えたエアゾール容器内に充填されてなり、
前記液化ガスが、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテ
ル、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1-ジフロオロエタン
、あるいは、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO1234ze
)のいずれかであり、
前記アクチュエーターから前記洗浄用エアゾール組成物が噴射されたときの噴射力が1.0gf以上であり、
泡密度が0.35g/cm
3以下の泡沫を形成するものであり、
排水管内において目詰まりを引き起こす異物を除去するために用いられることを特徴とする排水管洗浄用エアゾール製品。
【請求項2】
前記アクチュエーターは、排水口を塞ぐよう当該排水口の周辺部に密着した状態で排水管内に前記洗浄用エアゾール組成物を噴射し得るものであることを特徴とする請求項1または請求項1に記載の排水管洗浄用エアゾール製品。
【請求項3】
前記水性原液には、洗浄剤が含有されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の排水管洗浄用エアゾール製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水管内において目詰まりを引き起こす異物を除去するために好適な排水管洗浄用エアゾール製品に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば洗面台等の排水管の洗浄においては、界面活性剤を含有する洗浄剤が用いられている。このような洗浄剤としては、界面活性剤、無機アルカリ剤およびグリコール類を含有する原液と、液化ガスや圧縮ガスを含有する噴射剤とを有するエアゾール型泡沫洗浄剤が提案されている(特許文献1等参照。)。このエアゾール型泡沫洗浄剤によれば、S型のトラップを備えた排水管であっても、油性の汚れ、ヌメリを除去することが可能とされている。
しかしながら、上記のエアゾール型泡沫洗浄剤においては、排水管のS型のトラップにおいて毛髪などの目詰まりを引き起こす異物を除去することが困難である。
【0003】
また、排水管内において目詰まりを引き起こす異物を除去する手段としては、上端部にキャップを嵌合したシリンダと、シリンダ内に往復移動自在に挿入したピストンと、先端部がピストンに連結され、基端部がキャップから突出するピストンロッドと、ピストンロッドの基端部に取り付けたハンドルと、シリンダの下端部に着脱自在に取り付けられ、先端部が排水口の周囲に密着する蛇腹構造の筒体とからなる手動式清掃用ポンプが知られている(特許文献2参照。)。
しかしながら、このような手動式清掃用ポンプにおいては、目詰まりの程度によっては、手動により相当に大きな力でピストンを動かす必要があり、また、異物を除去するまでに相当に長い時間を要する、という問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-260788号公報
【文献】実用新案登録第3143902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、排水管内において目詰まりを引き起こす異物を容易に除去することができる排水管洗浄用エアゾール製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の排水管洗浄用エアゾール製品は、水および界面活性剤を含有する水性原液80~99.5質量%と、液化ガスおよび/または圧縮ガスを含有する噴射剤0.5~20質量%とからなる洗浄用エアゾール組成物が、バルブおよびアクチュエーターを備えたエアゾール容器内に充填されてなり、
前記液化ガスが、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1-ジフロオロエタン、あるいは、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO1234ze)のいずれかであり、
前記アクチュエーターから前記洗浄用エアゾール組成物が噴射されたときの噴射力が1.0gf以上であり、
泡密度が0.35g/cm3以下の泡沫を形成するものであり、排水管内において目詰まりを引き起こす異物を除去するために用いられることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の排水管洗浄用エアゾール製品においては、前記アクチュエーターは、排水口を塞ぐよう当該排水口の周辺部に密着した状態で排水管内に前記洗浄用エアゾール組成物を噴射し得るものであることが好ましい。
【0009】
また、本発明の排水管洗浄用エアゾール製品においては、前記水性原液には、洗浄剤が含有されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の排水管洗浄用エアゾール製品によれば、噴射剤が、液化ガスおよび/または圧縮ガスを含有し、液化ガスが、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1-ジフロオロエタン、あるいは、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO1234ze)のいずれかであり、アクチュエーターから噴射されたときの噴射力が1.0gf以上であり、泡密度が0.35g/cm3以下の泡沫を形成するものであるため、排水管内において目詰まりを引き起こす異物を容易に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の排水管洗浄用エアゾール製品に適用することができるバルブの一例における構成を、エアゾール容器と共に示す説明用断面図である。
【
図2】本発明の排水管洗浄用エアゾール製品に適用することができるアクチュエーターの一例を示す外観図である。
【
図3】実施例の評価で使用したS型トラップを有する排水管を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の排水管洗浄用エアゾール製品について説明する。
本発明の排水管洗浄用エアゾール製品は、水および界面活性剤を含有する水性原液と、噴射剤とからなる洗浄用エアゾール組成物が、バルブおよびアクチュエーターを備えたエアゾール容器内に充填されてなるものであって、アクチュエーターから洗浄用エアゾール組成物が噴射されたときに、泡沫を形成するものである。本発明の排水管洗浄用エアゾール製品は、排水管内において目詰まりを引き起こす異物を除去するために好適に用いることができる。
【0013】
[水性原液]
水性原液における界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤を用いることができる。
陰イオン性界面活性剤の具体例としては、ラウレス硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ステアリン酸トリエタノールアミンやパルミチン酸カリウム等の脂肪酸塩などが挙げられる。
非イオン性界面活性剤の具体例としては、デシルグルコシド等のアルキルポリグルコシド、ラウリン酸ポリグリセリル-10等のポリグリセリン脂肪酸エステル、セテス-20等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、コカミドDEA等のアルキルアルカノールアミドなどが挙げられる。
陽イオン性界面活性剤の具体例としては、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等の塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(C12-C18)ジメチルアンモニウム等の塩化ジアルキルジメチルアンモニウムなどが挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアルキルジメチルアミンオキサイド、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等のアルキルアミドプロピルベタインなどが挙げられる。
これらの界面活性剤は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0014】
水性原液中における界面活性剤の含有割合は、0.05~25質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1~20質量%、更に好ましくは0.1~15質量%である。界面活性剤の含有割合が過小である場合には、十分な泡密度が得られず、目的とする効果が得られない恐れがある。一方、界面活性剤の含有割合が過大である場合には、泡切れが悪くなったり、排水管の種類によっては悪影響を及ぼす恐れがある。
【0015】
水性原液には、水および界面活性剤が必須成分として含有されているが、必要に応じて、これら以外の他の成分が含有されていてもよい。
このような他の成分としては、洗浄剤を用いることが好ましい。洗浄剤の具体例としては、ココイルグリシンカリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、重曹、クエン酸などが挙げられる。
【0016】
洗浄剤以外のその他の成分としては、エタノール、イソプロピルアルコール、グリセリン等のレオロジー調整剤、ヒドロキシエチルセルロース等の増粘剤、安息香酸ナトリウム等のpH調整剤、トリエタノールアミン、水酸化カリウム等の中和剤、モノエタノールアミン等のアルカリ剤、EDTA-4Na、EDTA-2Na等のキレート剤、イソプロピルメチルフェノール等の除菌剤、洗浄補助溶剤、消臭剤、香料、防錆剤、防腐剤、コーティング剤、染料、虫よけ剤、殺虫剤、酸化剤、還元剤などを用いることができる。
これらの他の成分は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0017】
水性原液は、その20℃における粘度が5000mPa・s以下であることが好ましい。
【0018】
[噴射剤]
噴射剤としては、液化ガスおよび/または圧縮ガスが用いられる。
液化ガスの具体例としては、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1-ジフロオロエタン、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO1234ze)などが挙げられる。
圧縮ガスの具体例としては、窒素ガス、亜酸化窒素ガス、炭酸ガス、圧縮空気またはこれらの混合ガスなどが挙げられる。
【0019】
[洗浄用エアゾール組成物]
洗浄用エアゾール組成物における水性原液および噴射剤の含有割合は、水性原液が80~99.5質量%、好ましくは85~99質量%であり、噴射剤が0.5~20質量%、好ましくは1~15質量%である。噴射剤の含有割合が過小である場合には、十分な噴射力が得られないため、排水管内において目詰まりを引き起こす異物を確実に除去することが困難となる。一方、噴射剤の含有割合が過大である場合には、噴射剤が引火性を有するものであるときには、引火や爆発が発生するおそれがある。また、エアゾール容器内の圧力が高くなりすぎて、高温下で保存されたときにエアゾール容器が破裂するおそれがある。
【0020】
[排水管洗浄用エアゾール製品]
本発明の排水管洗浄用エアゾール製品は、上記の洗浄用エアゾール組成物がバルブおよびアクチュエーターを備えたエアゾール容器内に充填されて構成されている。
エアゾール容器としては、特に限定されず、通常、エアゾール製品に用いられているものを用いることができる。
【0021】
バルブとしては、特に限定されず、種々の構造のものを用いることができる。
図1は、本発明の排水管洗浄用エアゾール製品に適用することができるバルブの一例における構成を、エアゾール容器と共に示す説明用断面図である。この例のエアゾール容器10においては、容器本体11の上部開口に、中央に開口を有するマウンテンカップ12がアウターガスケット13を介して気密に設けられている。
図示の例のバルブ20は、マウンテンカップ12、アウターガスケット13、ハウジング21、スプリング26、ステムガスケット27、ステム30で構成され、ステム30を押下することにより内容物を吐出することができる、エアゾール製品に一般的に用いられているバルブである。
【0022】
ハウジング21においては、底壁部および周壁部にハウジング孔22,23が形成されている。また、ハウジング21の底壁部には、ディップチューブ(図示省略)が接続される円筒状のチューブ接続部24が下方に伸びるよう設けられ、当該チューブ接続部24の筒孔が、ハウジング21の底壁部に形成されたハウジング孔22に連通している。
ステム30においては、筒孔によってステム通路31が形成されている。また、ステム30には、外周面に開口するステム孔32がステム30の径方向に伸びてステム通路31に連通するよう形成されている。
尚、ディップチューブおよび、チューブ接続部24の有無は、製品仕様に合わせて適宜選択することができる。
さらに、ハウジング孔は底壁部および周壁部の両方、或いはどちらか一方にだけ形成されていてもよい。また、ハウジング孔は1つ、或いは2つ以上形成されてもよい。
【0023】
ステム30のステム孔32の面積が0.07mm2以上のもの、特に0.19mm2以上のものを用いることが好ましい。ステム孔32の面積が過小である場合には、十分な噴射力が得られないことがある。また、ステム30には、複数のステム孔32が形成されていてもよい。
バルブ20におけるハウジング21のハウジング孔22,23の面積は、合計で0.7mm2以上であることが好ましい。
【0024】
アクチュエーターとしては、特に限定されるものではないが、排水口を塞ぐよう当該排水口の周辺部に密着した状態で排水管内に前記洗浄用エアゾール組成物を噴射し得るものを用いることが好ましい。
図2は、本発明の排水管洗浄用エアゾール製品に適用することができるアクチュエーターの一例を示す外観図である。このアクチュエーター1は、有底円筒状の押しボタン2を有する。押しボタン2の底壁の中央位置には、洗浄用エアゾール組成物を噴射する噴射口3が形成されている。この噴射口3は、バルブにおけるステムのステム孔に気密に接続されている。押しボタン2の底壁における噴射口3の周囲には、円形の凹面部4が形成されている。この凹面部4の周囲には、円環状の被押圧部5が形成されており、この被押圧部5が押圧されることにより、噴射口3から洗浄用エアゾール組成物が噴射される。
【0025】
このような構成のアクチュエーター1を用いることにより、当該アクチュエーター1から洗浄用エアゾール組成物を噴射したときに、洗浄用エアゾール組成物が排水口から漏れ出すことが防止され、また、排水管内に存在する異物に対して必要な噴射力が確実に作用されるので、排水管内において目詰まりを引き起こす異物を一層確実に除去することができる。
【0026】
噴射口3の面積は、0.19mm2以上であることが好ましく、より好ましくは0.5mm2以上である。
被押圧部5は、排水口の周辺部に密着し得る形態とされている。図示の例の被押圧部5は、その表面が平坦面とされ、その外径が排水口の内径より大きいものとされている。
【0027】
本発明の排水管洗浄用エアゾール製品においては、アクチュエーター1の噴射口3から洗浄用エアゾール組成物が噴射されたときの噴射力が1.0gf以上、好ましくは3.0gf以上とされる。本発明において、「噴射力」とは、噴射口から20cm離間した位置において測定された値を意味する。
噴射力が過小である場合には、排水管内において目詰まりを引き起こす異物を確実に除去することが困難となる。
【0028】
以上において、噴射力は、洗浄用エアゾール組成物における噴射剤の含有割合や、バルブ20におけるステム30のステム孔32の面積またはステム孔32の数を変更することによって調整することができる。例えば洗浄用エアゾール組成物における噴射剤の含有割合が大きいほど、噴射力が大きくなる傾向にあり、ステム孔32の面積が大きいまたはステム孔32の数が多いほど噴射力が大きくなる傾向にある。
【0029】
また、本発明の排水管洗浄用エアゾール製品においては、洗浄用エアゾール組成物が噴射されることによって形成された泡沫の泡密度が、0.35g/cm3以下であり、好ましくは0.01~0.3g/cm3である。
泡沫の泡密度が過大である場合には、排水管内において目詰まりを引き起こす異物を確実に除去することが困難となる。
【0030】
上記の排水管洗浄用エアゾール製品においては、アクチュエーター1における押しボタン2の被押圧部5が、排水口を塞ぐよう当該排水口の周辺部に密着した状態で押圧されることにより、押しボタン2に形成された噴射口3から洗浄用エアゾール組成物が噴射される。洗浄用エアゾール組成物は、噴射されることにより泡沫を形成し、この状態で、排水管内を流通する。泡沫は、排水管内、例えばトラップに存在する目詰まりを引き起こす異物に到達すると異物を押し出す。或いは泡沫が、排水管と異物との間隙に進入し、当該泡沫によって異物が包み込まれることにより異物の押し出しが容易になり、排水管内のトラップから目詰まりを引き起こす異物が除去される。
【0031】
以上説明したように、本発明の排水管洗浄用エアゾール製品によれば、アクチュエーターから噴射されたときの噴射力が1.0gf以上であり、泡密度が0.35g/cm3以下の泡沫を形成するものであるため、排水管内において目詰まりを引き起こす異物を容易に除去することができる。
【実施例】
【0032】
以下、本発明の排水管洗浄用エアゾール組成物の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0033】
[水性原液の調製]
下記表1に示す配合処方に従って、各成分を混合することにより、水性原液1~水性原液4を調製した。
【0034】
【0035】
〈実施例1~13および比較例1~2〉
下記に示す仕様のステムおよびハウジングを作製した。
(ステム)
ステム1:ステム孔の面積が1.13mm2、ステム孔の数が3つのもの
ステム2:ステム孔の面積が0.19mm2、ステム孔の数が2つのもの
ステム3:ステム孔の面積が0.19mm2、ステム孔の数が1つのもの
(ハウジング)
ハウジンク1:ハウジンク孔の面積が3.15mm2以上のもの
ハウジング2:ハウジンク孔の面積が3.14mm2のもの
ハウジング3:ハウジンク孔の面積が1.28mm2のもの
【0036】
表2に示す仕様に従って、エアゾール容器内に水性原液(200mL)および噴射剤を充填すると共に、当該エアゾール容器にハウジング、ステムおよびアクチュエーターを取り付けることにより、排水管洗浄用エアゾール製品を作製した。
【0037】
得られた排水管洗浄用エアゾール製品について、アクチュエーターから洗浄用エアゾール組成物が噴射されたときの噴射力および形成された泡沫の泡密度を、以下のようにして測定した。結果を表2に示す。
【0038】
(噴射力)
排水管洗浄用エアゾール製品におけるアクチュエーターの噴射口から20cm離間した位置に、ひずみゲージ式荷重変換器を備えた直径15cmの円盤状のステンレス板よりなる測定用パネルを配置した。この測定用パネルに向かって排水管洗浄用エアゾール製品から洗浄用エアゾール組成物を3秒間噴射させた。そして、ひずみゲージ式荷重変換器によって測定される、測定パネルに加えられた荷重の最大値を噴射力とした。
【0039】
(泡密度)
25℃にて保存された排水管洗浄用エアゾール製品を用い、容積が100cm3の容器内に洗浄用エアゾール組成物を噴射することにより、形成された泡沫によって容器内を満たした。容器内の泡沫の質量を測定し、測定された質量の値と泡沫の量の値(100cm3)とから、泡沫の泡密度を算出した。
【0040】
[異物除去試験]
図3に示すように、S型トラップ41を有する排水管40を用意した。この排水管40は、樹脂よりなり、内径が40mmで蛇腹状の形態を有するものである。また、S型トラップ41の底部42から排水口45までの高さh1は45cm、S型トラップ41の底部42から頂部43までの高さh2は15cmである。
排水口45から排水管40におけるS型トラップ41内に、長さが25cmの人毛3.6gを装填し、その後、排水管40内に水10Lを供給し、流水によって人毛をS型トラップ41から除去することができないことを確認した。
【0041】
そして、排水管洗浄用エアゾール製品のアクチュエーターにおける被押圧部を、排水口45の周辺部に密着させた。この状態で、アクチュエーターに形成された噴射口から洗浄用エアゾール組成物を排水管40内に噴射させ、人毛が除去されるか否かを調べ、下記の基準により、異物の除去の可否を評価した。以上、結果を表2に示す。
A:洗浄用エアゾール組成物の全量(水性原液200mL分)の1/3以下の量を噴射することにより、S型トラップ41から人毛が除去された場合
B:洗浄用エアゾール組成物の全量(水性原液200mL分)の1/3超1/2以下の量を噴射することにより、S型トラップ41から人毛が除去された場合
C:洗浄用エアゾール組成物の全量(水性原液200mL分)の1/2超2/3以下の量を噴射することにより、S型トラップ41から人毛が除去された場合
D:洗浄用エアゾール組成物の全量(水性原液200mL分)を噴射しても、S型トラップ41から人毛が除去されなかった場合
【0042】
【0043】
表2の結果から明らかなように、実施例1~13に係る排水管洗浄用エアゾール製品によれば、排水管40におけるS型トラップ41内において目詰まりを引き起こす人毛を容易に除去することができることが確認された。
これに対して、比較例1に係る排水管洗浄用エアゾール製品においては、形成される泡沫の泡密度が大きいため、排水管40におけるS型トラップ41内において目詰まりを引き起こす人毛を除去することができなかった。また、比較例2に係る排水管洗浄用エアゾール製品においては、噴射力が小さいため、排水管40におけるS型トラップ41内において目詰まりを引き起こす人毛を除去することができなかった。
【符号の説明】
【0044】
1 アクチュエーター
2 押しボタン
3 噴射口
4 凹面部
5 被押圧部
10 エアゾール容器
11 容器本体
12 マウンテンカップ
13 アウターガスケット
20 バルブ
21 ハウジング
22,23 ハウジング孔
24 チューブ接続部
26 スプリング
27 ステムガスケット
30 ステム
31 ステム通路
32 ステム孔
40 排水管
41 S型トラップ
42 底部
43 頂部
45 排水口