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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-04
(45)【発行日】2023-04-12
(54)【発明の名称】後付け手すり
(51)【国際特許分類】
   E04H 17/14 20060101AFI20230405BHJP
   E04F 11/18 20060101ALI20230405BHJP
【FI】
E04H17/14 103Z
E04F11/18
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019108525
(22)【出願日】2019-06-11
(65)【公開番号】P2020200674
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-11-05
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】武岡 慎之介
(72)【発明者】
【氏名】戸川 厚
(72)【発明者】
【氏名】平木 芳隆
(72)【発明者】
【氏名】永田 幸自
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-045035(JP,U)
【文献】特許第3503507(JP,B2)
【文献】特開2010-248771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 17/00 - 17/26
E04F 11/00 - 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設手すりに取り付けられる後付け手すりであって、
前記既設手すりよりも屋内側の位置で、前記既設手すりの上端部よりも上側に配置される手すり部と、
前記手すり部を前記既設手すりに連結する連結材と、
前記手すり部の屋外側の指掛かり部への指掛かりを規制する規制材と、を備え
前記規制材は、前記指掛かり部の屋外側に配置されて前記指掛かり部を屋外側から覆う後付け手すり。
【請求項2】
請求項1に記載された後付け手すりにおいて、
前記手すり部は、断面円形状に形成され、
前記規制材は、前記手すり部の円形状の中心の高さから下側の部分の屋外側に配置される後付け手すり。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された後付け手すりにおいて、
前記連結材は、前記既設手すりに設けられた支柱に固定される後付け手すり。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載された後付け手すりにおいて、
前記規制材は、前記手すり部と前記既設手すりの間の間隙を封鎖する後付け手すり。
【請求項5】
請求項4に記載された後付け手すりにおいて、
前記規制材は、前記手すり部から前記既設手すりの上端部よりも下側の位置まで配置される後付け手すり。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載された後付け手すりにおいて、
前記手すり部は、屋内側にのみ回転可能な回転手すり部である後付け手すり。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれかに記載された後付け手すりにおいて、
前記手すり部、前記連結材、及び、前記規制材は、一体に形成されている後付け手すり。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設手すりに取り付けられる後付け手すりに関する。
【背景技術】
【0002】
ベランダやバルコニー等には、人の転落を防止するため、手すりが設置されている。ところが、子供は、手すりに屋内側から手等を掛けて、手すりを登ろうとすることがある。そのため、既設手すりに後付け手すりを取り付けて、子供が手すりを乗り越え難くすることが行われている。また、従来、子供の乗り越えを防止するため、乗り越え防止用の突出部をフェンスの面材に設けたフェンスの構造が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された従来のフェンスの構造では、突出部の先端に手すり部を設けて、フェンスに手すりとしての機能を付加している。しかしながら、突出部が手すり部の下側部分に接続しており、手すり部の屋外側の部分と突出部の間に凹部が形成される。そのため、子供が手すり部を乗り越えようとするときに、手すり部の屋外側の部分に指が掛かることで、手すり部に力を掛け易くなることが懸念される。従って、手すりの安全性をより向上する観点から、更なる改良の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3503507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、後付け手すりにより、乗り越え防止機能を既設手すりに付加して、手すりの安全性を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、既設手すりに取り付けられる後付け手すりであって、前記既設手すりよりも屋内側の位置で、前記既設手すりの上端部よりも上側に配置される手すり部と、前記手すり部を前記既設手すりに連結する連結材と、前記手すり部の屋外側の指掛かり部への指掛かりを規制する規制材と、を備え、前記規制材は、前記指掛かり部の屋外側に配置されて前記指掛かり部を屋外側から覆う後付け手すりである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、後付け手すりにより、乗り越え防止機能を既設手すりに付加して、手すりの安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の既設手すりの正面図である。
図2】第1実施形態の既設手すりの縦断面図である。
図3】第1実施形態の手すりの正面図である。
図4】第1実施形態の手すりの縦断面図である。
図5】第1実施形態の手すりの上側部分を示す縦断面図である。
図6】第1実施形態の手すりの上側部分を示す斜視図である。
図7】第2実施形態の後付け手すりを示す縦断面図である。
図8】第3実施形態の後付け手すりを示す縦断面図である。
図9】第4実施形態の後付け手すりを示す縦断面図である。
図10】第5実施形態の後付け手すりを示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の後付け手すりの一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態の後付け手すりは、既設手すりに後付けされる手すり装置であり、既設手すりの屋内側に後から取り付けられる。既設手すりは、既に設けられている手すりであり、立てた状態で設置される。以下、ベランダに設置される既設手すりを例にとり、後付け手すりの複数の実施形態について説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の既設手すり1の正面図であり、屋外側からみた既設手すり1を示している。図2は、第1実施形態の既設手すり1の縦断面図である。なお、既設手すり1を正面からみたときに、上下となる方向が上下方向であり、左右となる方向が左右方向である。図1では、上下方向は垂直方向であり、左右方向は水平方向である。
【0011】
図示のように、既設手すり1の設置箇所では、既設手すり1を境界として、既設手すりの一方側と他方側の部分(空間)が既設手すり1により仕切られている。既設手すり1の一方側は、屋内側(建物側)であり、既設手すり1の他方側は、屋外側である。既設手すり1は、設置箇所で上方に向かって突出して、屋内側(一方側)の空間と屋外側(他方側)の空間の間に立設されている。
【0012】
既設手すり1は、上下方向に沿って設置された支柱10と、仕切り材であるパネル11と、既設手すり1の上部に設けられた笠木12を備えている。支柱10と笠木12は、それぞれ押出成形により形成された金属(例えば、アルミニウム合金)製の形材である。既設手すり1が設置される設置部13で、複数の支柱10は、左右方向に順に間隔を開けて配置されて、設置部13に固定されている。パネル11と笠木12は、複数の支柱10に掛け渡されて、支柱10に取り付けられている。
【0013】
パネル11は、上下方向に順に並べて配置された複数のパネル材14を有し、支柱10の屋外側に配置されている。パネル11及び複数のパネル材14は、複数の支柱10の屋外側の部分(屋外側部15)に取り付けられて、支柱10により支持されている。笠木12は、人が手を掛ける既設手すり1の手すり部(横木)であり、複数の支柱10の上端部16に掛け渡されている。また、笠木12は、支柱10の上端部16に取り付けられて、支柱10により支持されている。笠木12の上面部は、既設手すり1の上端部17であり、既設手すり1の最上部に位置している。
【0014】
図3は、第1実施形態の手すり2の正面図であり、後付け手すり3Aを含む手すり2を屋外側からみて示している。図4は、第1実施形態の手すり2の縦断面図である。
図示のように、手すり2は、既設手すり1と、既設手すり1に取り付けられた後付け手すり3Aと、既設手すり1の支柱10に取り付けられた閉塞材4を備えている。閉塞材4は、面状部材(例えば、ネット、パネル)であり、既設手すり1のパネル11の屋内側に配置される。また、閉塞材4は、左右方向に隣り合う2つの支柱10の間に配置されて、2つの支柱10の間の部分を閉塞する。
【0015】
後付け手すり3Aは、既設手すり1の複数の支柱10に取り付けられて、支柱10により支持される。また、後付け手すり3Aは、支柱10の屋内側の部分(屋内側部18)に取り付けられて、既設手すり1の上部に連結される。後付け手すり3Aは、既設手すり1の屋内側に設けられて、既設手すり1の上端部17よりも上側の位置まで配置される。後付け手すり3Aは、既設手すり1に併設されて、既設手すり1に沿って延びる。
【0016】
図5は、第1実施形態の手すり2の上側部分を示す縦断面図であり、図4に示す手すり2の後付け手すり3Aを含む部分を拡大して示している。図6は、第1実施形態の手すり2の上側部分を示す斜視図であり、図5に示す手すり2を屋内側かつ上側からみて示している。なお、図6では、図5に示す笠木12とは異なる形状に形成された笠木12の他の例を示している。
図示のように、後付け手すり3Aは、既設手すり1よりも高い位置に設けられる手すり部20と、手すり部20を既設手すり1に連結する連結材30と、パネル状の規制材40(図6では、模式的に鎖線で示す)を備えている。
【0017】
手すり部20は、後付け手すり3Aの人が手を掛ける部分(横木)であり、後付け手すり3A及び手すり2の上部に設けられる。また、手すり部20は、既設手すり1よりも屋内側の位置で、既設手すり1の上端部17よりも上側に配置される。手すり部20は、既設手すり1の上端部17及び笠木12よりも屋内側かつ上側に配置されて、既設手すり1の上端部17及び笠木12に並列して延びる。手すり部20は、連結材30により、既設手すり1の支柱10に連結されており、手すり部20及び後付け手すり3Aは、連結材30を介して、既設手すり1の支柱10に支持される。
【0018】
連結材30は、既設手すり1に設けられた支柱10の屋内側に配置されて、固定具であるボルト31により、支柱10に固定される。また、連結材30は、複数の支柱10のそれぞれの屋内側部18に固定されており、複数の連結材30は、複数の支柱10と同じ間隔で、左右方向に順に間隔を開けて配置される。それぞれの支柱10の屋内側で、連結材30は、支柱10の上部に固定されて、支柱10から手すり部20に向かって上側に突出する。連結材30は、手すり部20を保持する保持部32を有しており、保持部32は、連結材30の上部に筒状に形成されている。手すり部20は、複数の連結材30の保持部32に取り付けられて、複数の連結材30に掛け渡される。
【0019】
手すり部20は、中空の円管状部材であり、断面円形状に形成されている。また、手すり部20は、上下方向の上側からみたときに、屋内側にのみ回転可能(図5図6の矢印K参照)な回転手すり部であり、連結材30の保持部32内に配置される。連結材30は、保持部32内に、一方向の回転のみを許容する回転機構(例えば、ワンウェイクラッチ)を有しており、保持部32の回転機構により、手すり部20を断面円形状の周方向の一方側にのみ回転可能に保持する。手すり部20を上方から下方に向かってみた状態で、手すり部20は、屋外側には回転せず、屋内側にのみ回転する。そのため、手すり部20の上に手を掛けたときに、手すり部20の屋外側への回転が阻止され、手すり部20の屋内側への回転のみが許容される。
【0020】
規制材40は、左右方向に隣り合う2つの連結材30の間に配置されて、2つの連結材30に取り付けられる。規制材40の連結材30側の縁部が連結材30に当接して取り付けられ、規制材40が連結材30に支持される。規制材40は、隣り合う2つの連結材30、手すり部20、及び、既設手すり1に囲まれた領域に配置され、既設手すり1よりも屋内側で、手すり部20と既設手すり1の間の間隙5を封鎖する。手すり部20は、既設手すり1の屋内側で、既設手すり1の上端部17及び笠木12から斜め上方に離隔して配置される。間隙5は、手すり部20と既設手すり1の間に形成される空所である。規制材40は、間隙5に配置される封鎖材であり、2つの連結材30の間で、間隙5を隙間なく、又は、隙間がある状態で封鎖して、間隙5に屋内側から手が入るのを妨げる。
【0021】
規制材40は、手すり部20から、既設手すり1の上端部17の屋内側の位置を通って、既設手すり1の上端部17よりも下側の位置まで配置される。ここでは、規制材40は、手すり部20から既設手すり1に向かって斜め下方に傾斜している。また、規制材40は、手すり部20の屋外側の位置から笠木12の屋内側の位置まで配置されて、両位置の間の間隙5を封鎖する。規制材40は、既設手すり1の上端部17及び笠木12の屋内側に位置し、手すり部20と既設手すり1の間で、既設手すり1の屋内側から上端部17及び笠木12に至る箇所を遮る位置に配置される。笠木12の屋内側で、規制材40は、笠木12と対峙して、笠木12に沿って配置される。
【0022】
規制材40は、手すり部20の屋外側に配置されて、規制部41により、手すり部20の屋外側の指掛かり部21への指掛かりを規制する。指掛かり部21は、手すり部20の屋外側に位置する部分において、人が手すり部20の上に屋内側から手を掛けたときに、手すり部20の屋外側で人の指が掛かる部分である。規制材40の規制部41は、規制材40の上端部を含む上部であり、指掛かり部21の屋外側に配置されて、手すり部20の指掛かり部21を屋外側から覆う。規制材40の規制部41は、手すり部20の屋外側の外面部22及び指掛かり部21に近接して配置されて、指掛かり部21に向かう指を遮る。
【0023】
手すり部20の長手方向に直交する断面において、手すり部20及び手すり部20の外面部22の断面形状は、円形状である。手すり部20の下側部分は、手すり部20の円形状の中心(手すり部20の長手方向に直交する断面における中心)の高さから下側の部分であり、指掛かり部21は、手すり部20の下側部分の屋外側に位置している。規制材40の規制部41は、手すり部20の下側部分の屋外側に配置される。規制材40は、指掛かり部21を含む手すり部20の下側部分を屋外側から覆うように配置されて、規制部41により、手すり部20の下側部分に向かう指を遮り、手すり部20の下側部分への指掛かりを規制する。
【0024】
規制材40の規制部41は、手すり部20の外面部22に接触せずに、手すり部20の外面部22に沿って配置される。規制材40の規制部41と手すり部20の外面部22の間には、手すり部20と規制材40の間に指が入るのを規制可能な寸法の隙間が形成される。規制材40は、規制部41により、手すり部20の屋外側で、手すり部20と規制材40の間に指が入るのを規制するとともに、手すり部20の指掛かり部21に指が掛かるのを規制する。
【0025】
規制材40を手すり部20に向かって仮想的に延長したときに、規制材40の延長部(仮想延長部)は、手すり部20の屋外側で、手すり部20の外面部22(ここでは、屋外側の外面部22)との間に凹凸を形成せずに、手すり部20の外面部22に滑らかに連続する。規制材40の延長部は、規制材40と同一材をなすように、規制材40の規制部41から滑らかに延長されて、規制材40から手すり部20の外面部22まで滑らかに連続する。
【0026】
以上説明した後付け手すり3Aでは、手すり部20を既設手すり1よりも屋内側かつ高い位置に配置する。これにより、手すり部20に手を掛け難くして、手すり2の乗り越え動作を行い難くすることができる。また、規制材40により、手すり部20の屋外側の指掛かり部21に指を掛け難くすることができる。そのため、子供が手すり2を登ろうとするときに、子供が手すり2を乗り越え難くすることができる。このように、後付け手すり3Aにより、屋内側から屋外側への乗り越え防止機能を既設手すり1に付加して、手すり2の安全性を向上することができる。
【0027】
手すり部20の下側部分の屋外側に配置された後付け手すり3Aの規制材40により、指掛かり部21を含む手すり部20の下側部分への指掛かりを規制して、手すり部20に屋内側から指が掛かり難くすることができる。
【0028】
後付け手すり3Aの連結材30を既設手すり1の支柱10に固定しており、連結材30及び後付け手すり3Aを既設手すり1に容易に固定することができる。また、既設手すり1に対する連結材30の固定強度を確保でき、既設手すり1の支柱10により、連結材30及び後付け手すり3Aを安定して支持することもできる。
【0029】
手すり部20と既設手すり1の間の間隙5を規制材40で封鎖することで、手すり部20と既設手すり1の間に手等が入るのを抑制でき、既設手すり1に屋内側から手等が掛けられるのを妨げることができる。これにより、子供が既設手すり1に手を掛けて既設手すり1を登るのを防止することができる。また、規制材40により、間隙5からの転落を防止することもできる。そのため、手すり2の安全性を更に向上することができる。
【0030】
規制材40を手すり部20から既設手すり1の上端部17よりも下側まで配置しており、規制材40により、手すり2を登る子供の動作を規制して、子供が既設手すり1から手すり部20まで登るのを抑制することができる。規制材40により、既設手すり1の上端部17及び笠木12に手が掛けられるのを抑制することもでき、手すり2の乗り越え防止機能を向上することができる。
【0031】
手すり部20の上に手を掛けたときに、手すり部20は、屋外側には回転せず、屋内側にのみ回転する。従って、子供が手すり部20に屋内側から手を掛けて手すり2を乗り越えようとするときには、手すり部20が屋内側に回転することで、手すり部20に力を掛け難い。これにより、手すり部20の乗り越えを更に抑制することができる。また、布団等を手すり部20に掛けたときに、布団等が屋外側に落下するのを防止でき、大人が手すり部20に手を掛けたときに、大人が屋外側に転落するのを防止することもできる。
【0032】
なお、手すり部20と既設手すり1の間の間隙5に屋内側から手が入るときには、既設手すり1に手を掛けることで、既設手すり1が登り易くなる虞がある。これに対し、規制材40は、間隙5に屋内側から手が入るのを規制することで、既設手すり1に手が掛けられるのを妨げて、既設手すり1を登り難くする。ただし、規制材40は、間隙5に屋内側から手が入るのを規制可能なように間隙5を封鎖できればよい。従って、規制材40により間隙5を封鎖した状態で、規制材40と規制材40の周辺の部材との間には隙間があってもよく、規制材40と規制材40の周辺の部材との間に隙間がなくてもよい。また、規制材40は、例えば、金属(アルミニウム合金等)製のパネル、樹脂(ポリカーボネート等)製のパネル、又は、ネットであってもよい。手すり部20の形状は、断面円形状以外の形状であってもよい。
【0033】
次に、他の実施形態(第2~第5実施形態)の後付け手すりについて説明する。第2~第5実施形態の後付け手すりは、基本的には、第1実施形態の後付け手すり3Aと同様に構成されており、既設手すり1に取り付けられる。そのため、第2~第5実施形態の後付け手すりに関し、第1実施形態の後付け手すり3Aと同じ事項の説明は省略する。また、第2~第5実施形態の後付け手すりの構成に関し、第1実施形態の後付け手すり3Aの構成に相当する構成には、第1実施形態の後付け手すり3Aの構成と同じ名称を用いる。
【0034】
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態の後付け手すり3Bを示す縦断面図であり、図5と同様に、手すり2の上側部分を示している。
図示のように、後付け手すり3Bの手すり部20は、回転しない非回転手すり部であり、連結材30の板状の保持部32に取り付けられている。手すり部20の長手方向に直交する断面において、手すり部20は、滑らかに湾曲する凸状の湾曲形状に形成されている。規制材40は、手すり部20の屋外側の外面部22に接触しており、規制部41により、手すり部20の最も屋外側に位置する部分から下側の部分を屋外側から覆う。規制材40(規制部41)は、手すり部20の屋外側で、手すり部20の屋外側の外面部22に接続して、手すり部20の外面部22に沿って配置される。
【0035】
(第3実施形態)
図8は、第3実施形態の後付け手すり3Cを示す縦断面図であり、図5と同様に、手すり2の上側部分を示している。
図示のように、後付け手すり3Cの手すり部20は、回転しない非回転手すり部であり、連結材30の板状の保持部32に取り付けられている。手すり部20の長手方向に直交する断面において、手すり部20の上側部分は、下側部分よりも広く、屋内側と屋外側に突出している。手すり部20の屋外側の指掛かり部21は、手すり部20の屋外側に位置する段形状の屋外側部である。
【0036】
規制材40の規制部41は、手すり部20の屋外側で、手すり部20の外面部22との間に隙間を形成して、手すり部20の外面部22に沿って配置される。規制材40を手すり部20に向かって仮想的に延長したときに、規制材40の延長部は、手すり部20の屋外側で、手すり部20の外面部22(ここでは、上側の外面部22)との間に凹凸を形成せずに、手すり部20の外面部22に滑らかに連続する。
【0037】
(第4実施形態)
図9は、第4実施形態の後付け手すり3Dを示す縦断面図であり、図5と同様に、手すり2の上側部分を示している。
図示のように、後付け手すり3Dの手すり部20は、回転しない非回転手すり部であり、断面円形状に形成されている。また、手すり部20、連結材30、及び、規制材40は、一体に形成されている。連結材30と規制材40は、それらの機能を併せ持つ1つの部材であり、ボルト31により、既設手すり1の支柱10に固定されて、手すり部20を既設手すり1に連結する。連結材30の保持部32は、規制材40の手すり部20側の端部であり、手すり部20に接続している。
【0038】
規制材40(規制部41)は、手すり部20の屋外側の外面部22に接続しており、手すり部20の屋外側で、手すり部20の外面部22に沿って配置される。規制材40は、手すり部20の屋外側で、手すり部20の外面部22(ここでは、屋外側の外面部22)との間に凹凸を形成せずに、手すり部20の外面部22に滑らかに連続する。このように、手すり部20、連結材30、及び、規制材40を一体に形成することで、後付け手すり3Dの部品数を削減して、後付け手すり3Dを容易に製造することができる。これに対し、手すり部20と連結材30を一体に形成してもよく、手すり部20と規制材40を一体に形成してもよい。連結材30と規制材40を一体に形成してもよい。
【0039】
(第5実施形態)
図10は、第5実施形態の後付け手すり3Eを示す縦断面図であり、図5と同様に、手すり2の上側部分を示している。
図示のように、後付け手すり3Eの手すり部20は、回転しない非回転手すり部であり、断面円形状に形成されている。また、第4実施形態の後付け手すり3Dと同様に、手すり部20、連結材30、及び、規制材40は、一体に形成されている。
【0040】
規制材40は、屈曲形状に形成されており、斜め下方に傾斜した部分と手すり部20の間で、屋内外方向に沿って形成されている。規制材40(規制部41)は、手すり部20の上側で外面部22に接続しており、手すり部20の上側で、手すり部20の外面部22に沿って配置される。規制材40は、手すり部20の上側で、手すり部20の外面部22(ここでは、上側の外面部22)との間に凹凸を形成せずに、手すり部20の外面部22に滑らかに連続する。
【0041】
以上、支柱10に支持された既設手すり1を例にとり、後付け手すり3A~3Eについて説明したが、既設手すりは、支柱10を備えた手すりに限定されず、他の立設された手すり構造物であってもよい。既設手すりは、例えば、柵状の手すり、格子状の手すり、パネル状の手すり、壁状の手すり(腰壁タイプの手すり、手すり壁等)、又は、複数種類の手すりを組み合わせた手すりであってもよい。また、手すりを新設するときに、既設手すりに相当する手すりを先に設けて、先に設けた手すりに後付け手すりを取り付けてもよい。この場合には、先に設けた手すりが既設手すりである。
【0042】
以上のとおり、後付け手すりは、既設手すりに取り付けられる後付け手すりであって、
前記既設手すりよりも屋内側の位置で、前記既設手すりの上端部よりも上側に配置される手すり部と、
前記手すり部を前記既設手すりに連結する連結材と、
前記手すり部の屋外側の指掛かり部への指掛かりを規制する規制材と、を備えた後付け手すりである。
後付け手すりにより、乗り越え防止機能を既設手すりに付加して、手すりの安全性を向上することができる。
【0043】
前記手すり部は、断面円形状に形成され、前記規制材は、前記手すり部の円形状の中心の高さから下側の部分の屋外側に配置される。
屋外側の規制材により、手すり部の下側の部分への指掛かりを規制して、手すり部に屋内側から指が掛かり難くすることができる。
【0044】
前記連結材は、前記既設手すりに設けられた支柱に固定される。
従って、連結材を既設手すりに容易に固定でき、支柱により、連結材を安定して支持することもできる。
【0045】
前記規制材は、前記手すり部と前記既設手すりの間の間隙を封鎖する。
間隙を規制材で封鎖することで、子供が既設手すりに手を掛けて既設手すりを登るのを防止でき、間隙からの転落を防止することもできる。そのため、手すりの安全性を更に向上することができる。
【0046】
前記規制材は、前記手すり部から前記既設手すりの上端部よりも下側の位置まで配置される。
規制材により、手すりを登る子供の動作を規制して、子供が既設手すりから手すり部まで登るのを抑制することができる。規制材により、既設手すりの上端部に手が掛けられるのを抑制することもでき、手すりの乗り越え防止機能を向上することができる。
【0047】
前記手すり部は、屋内側にのみ回転可能な回転手すり部である。
手すり部が屋内側に回転することで、手すり部の乗り越えを更に抑制することができる。
【0048】
前記手すり部、前記連結材、及び、前記規制材は、一体に形成されている。
後付け手すりの部品数を削減して、後付け手すりを容易に製造することができる。
【符号の説明】
【0049】
1・・・既設手すり、2・・・手すり、3A~3E・・・後付け手すり、4・・・閉塞材、5・・・間隙、10・・・支柱、11・・・パネル、12・・・笠木、13・・・設置部、14・・・パネル材、15・・・屋外側部、16・・・上端部、17・・・上端部、18・・・屋内側部、20・・・手すり部、21・・・指掛かり部、22・・・外面部、30・・・連結材、31・・・ボルト、32・・・保持部、40・・・規制材、41・・・規制部。
図1
図2
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図8
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図10