(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-04
(45)【発行日】2023-04-12
(54)【発明の名称】射出成形機
(51)【国際特許分類】
B29C 45/17 20060101AFI20230405BHJP
B29C 45/77 20060101ALI20230405BHJP
B29C 45/24 20060101ALI20230405BHJP
【FI】
B29C45/17
B29C45/77
B29C45/24
(21)【出願番号】P 2019172082
(22)【出願日】2019-09-20
【審査請求日】2022-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000222587
【氏名又は名称】東洋機械金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樽家 宏治
(72)【発明者】
【氏名】中田 匡英
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3049681(JP,U)
【文献】特開2001-347543(JP,A)
【文献】実開平02-008913(JP,U)
【文献】実開平06-086913(JP,U)
【文献】特開2001-260176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00 - 45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可塑化樹脂を金型に射出して射出成形品を成形する射出成形機において、
先端に形成されたノズルが、前記金型のキャビティに連通する射出位置、及び前記金型から離間する待機位置の間を移動する加熱シリンダと、
前記待機位置の前記加熱シリンダからの可塑化樹脂の排出経路上に配置されて、前記ノズルから排出される可塑化樹脂を該射出成形機の外部へ搬送するコンベアと、
前記加熱シリンダ及び前記コンベアの動作を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記待機位置の前記加熱シリンダからの可塑化樹脂の排出経路上にセットされる受皿に可塑化樹脂を排出させる受皿パージが指示された場合に、前記待機位置の前記加熱シリンダに第1排出速度で可塑化樹脂を排出させ、
前記コンベアに可塑化樹脂を排出させるコンベアパージが指示された場合に、前記第1排出速度より遅い第2排出速度で、前記待機位置の前記加熱シリンダに可塑化樹脂を排出させることを特徴とする射出成形機。
【請求項2】
前記加熱シリンダ内の可塑化樹脂に加わる樹脂圧を検知する樹脂圧センサを備え、
前記制御装置は、前記コンベアパージが指示された場合において、
前記樹脂圧センサで検知された樹脂圧が閾値以上の場合に、前記待機位置の前記加熱シリンダに前記第2排出速度で可塑化樹脂を排出させ、
前記樹脂圧センサで検知された樹脂圧が閾値未満の場合に、前記第2排出速度より遅い第3排出速度で、前記待機位置の前記加熱シリンダに可塑化樹脂を排出させることを特徴とする請求項1に記載の射出成形機。
【請求項3】
加熱シリンダ内で進退及び回転可能なスクリューを備え、
前記制御装置は、
前記コンベアパージが指示された場合に、前記ノズルに最も近い位置に配置した前記スクリューを、前記可塑化樹脂をノズル側に移動させる向きに回転させることによって、前記ノズルから可塑化樹脂を排出させ、
前記スクリューの回転速度を増減させることによって、可塑化樹脂の排出速度を調整することを特徴とする請求項2に記載の射出成形機。
【請求項4】
前記制御装置は、前記コンベアパージ中の所定の間隔毎に、前記スクリューを後退させることを特徴とする請求項3に記載の射出成形機。
【請求項5】
加熱シリンダ内で進退及び回転可能なスクリューを備え、
前記制御装置は、前記コンベアパージが指示された場合に、前記スクリューを進退させることによって、可塑化樹脂を間欠的に排出させることを特徴とする請求項1に記載の射出成形機。
【請求項6】
前記加熱シリンダ内の可塑化樹脂に加わる樹脂圧を検知する樹脂圧センサを備え、
前記制御装置は、前記コンベアパージが指示された場合に、前記樹脂圧センサで樹脂圧を検知し、検知した樹脂圧に対応する速度で前記スクリューを前進させる処理を繰り返し実行させることを特徴とする請求項5に記載の射出成形機。
【請求項7】
前記制御装置は、前記コンベアパージが指示された場合に、前記加熱シリンダからの可塑化樹脂の排出速度に合わせて、前記コンベアの搬送速度を調整することを特徴とする請求項2~6のいずれか1項に記載の射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可塑化樹脂を金型内に射出して射出成形品を成形する射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、金型の樹脂注入孔に当接する当接位置と、当接位置より上方の後退限位置との間を上下動する加熱筒を備える竪型の射出成形機が開示されている。また、特許文献1には、加熱筒内の可塑化樹脂を排出するパージ動作を実行することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の射出成形機において、オペレータは、可塑化樹脂を受ける受け皿を、パージ動作を実行する前に加熱筒の直下のロケート部にセットし、再び射出成形を行う前にロケート部から取り除く必要がある。さらに、パージ動作で排出される可塑化樹脂の量が多い場合、オペレータは、パージ動作の途中で受け皿内の可塑化樹脂を除去する必要がある。
【0005】
そのため、上記構成の射出成形機では、パージ動作を実行する際のオペレータの作業負担が大きいと言う課題がある。なお、この課題は、竪型の射出成形機のみならず、加熱筒が水平方向に移動する横型の射出成形機においても生じ得る。
【0006】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、パージ動作中のオペレータの作業負担を低減した射出成形機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するため、可塑化樹脂を金型に射出して射出成形品を成形する射出成形機において、先端に形成されたノズルが、前記金型のキャビティに連通する射出位置、及び前記金型から離間する待機位置の間を移動する加熱シリンダと、前記待機位置の前記加熱シリンダからの可塑化樹脂の排出経路上に配置されて、前記ノズルから排出される可塑化樹脂を該射出成形機の外部へ搬送するコンベアと、前記加熱シリンダ及び前記コンベアの動作を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記待機位置の前記加熱シリンダからの可塑化樹脂の排出経路上にセットされる受皿に可塑化樹脂を排出させる受皿パージが指示された場合に、前記待機位置の前記加熱シリンダに第1排出速度で可塑化樹脂を排出させ、前記コンベアに可塑化樹脂を排出させるコンベアパージが指示された場合に、前記第1排出速度より遅い第2排出速度で、前記待機位置の前記加熱シリンダに可塑化樹脂を排出させることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、オペレータによる受皿の設置及び取り出しが必要な「受皿パージ」と、コンベアによる可塑化樹脂の自動排出が可能な「コンベアパージ」とを選択することができる。その結果、パージ動作の実行に際して受け皿を着脱する等のオペレータの作業負担を軽減することができる。
【0009】
なお、コンベアパージで可塑化樹脂を勢いよく排出すると、コンベアの表面に到達した可塑化樹脂が、コンベア外に飛散したり、コンベアの内部に侵入する可能性がある。そして、可塑化樹脂の飛散や侵入は、射出成形機をメンテナンスするオペレータの負担を増大させる。そこで上記構成のように、コンベアパージにおける排出速度を、受皿パージにおける排出速度より遅くすることによって、メンテナンス負担を増段させることなく、コンベアパージを適切に実現できる。
【0010】
また、前記加熱シリンダ内の可塑化樹脂に加わる樹脂圧を検知する樹脂圧センサを備え、前記制御装置は、前記コンベアパージが指示された場合において、前記樹脂圧センサで検知された樹脂圧が閾値以上の場合に、前記待機位置の前記加熱シリンダに前記第2排出速度で可塑化樹脂を排出させ、前記樹脂圧センサで検知された樹脂圧が閾値未満の場合に、前記第2排出速度より遅い第3排出速度で、前記待機位置の前記加熱シリンダに可塑化樹脂を排出させることを特徴としてもよい。
【0011】
樹脂圧が閾値以上の場合とは、加熱シリンダ内の可塑化樹脂の粘度がある程度高い状態である。そのため、コンベアに到達した可塑化樹脂の飛散や侵入の可能性は低い。一方、樹脂圧が閾値未満の場合とは、加熱シリンダ内の可塑化樹脂の粘度が低い状態である。そのため、コンベアに到達した可塑化樹脂の飛散や侵入の可能性が高い。そこで上記構成のように、樹脂圧(換言すれば、可塑化樹脂の粘度)に応じて排出速度を調整することにより、パージ動作のスループット維持と、メンテナンス負担の低減とを両立させることができる。
【0012】
一例として、加熱シリンダ内で進退及び回転可能なスクリューを備え、前記制御装置は、前記コンベアパージが指示された場合に、前記ノズルに最も近い位置に配置した前記スクリューを、前記可塑化樹脂をノズル側に移動させる向きに回転させることによって、前記ノズルから可塑化樹脂を排出させ、前記スクリューの回転速度を増減させることによって、可塑化樹脂の排出速度を調整することを特徴としてもよい。
【0013】
また、前記制御装置は、前記コンベアパージ中の所定の間隔毎に、前記スクリューを後退させることを特徴としてもよい。
【0014】
コンベアに到達した可塑化樹脂は、棒状に固化して排出される。そのため、長時間に亘って可塑化樹脂を排出し続けると、棒状の可塑化樹脂が長くなって処分し難くなる。そこで上記構成のように、所定の間隔毎にスクリューを後退させることによって、加熱シリンダ内のスクリューよりノズル側の空間が負圧になって、可塑化樹脂の排出が一時的に停止する。その結果、短く分断された複数の可塑化樹脂をコンベアから排出することができる。
【0015】
他の例として、加熱シリンダ内で進退及び回転可能なスクリューを備え、前記制御装置は、前記コンベアパージが指示された場合に、前記スクリューを進退させることによって、可塑化樹脂を間欠的に排出させることを特徴としてもよい。
【0016】
また、前記加熱シリンダ内の可塑化樹脂に加わる樹脂圧を検知する樹脂圧センサを備え、前記制御装置は、前記コンベアパージが指示された場合に、前記樹脂圧センサで樹脂圧を検知し、検知した樹脂圧に対応する速度で前記スクリューを前進させる処理を繰り返し実行させることを特徴としてもよい。
【0017】
可塑化樹脂の粘度は、加熱シリンダ内における滞留時間が長いほど低く、滞留時間が短いほど高くなる傾向がある。すなわち、パージ動作の開始時点で既に加熱シリンダ内にあった可塑化樹脂の粘度は相対的に低く、パージ動作中に加熱シリンダ内に新たに供給された可塑化樹脂の粘度は相対的に高くなる。そこで上記構成のように、スクリューを前進させる度に樹脂圧を検知して、適切な前進速度に設定することによって、パージ動作のスループット維持と、メンテナンス負担の低減とを両立させることができる。
【0018】
また、前記制御装置は、前記コンベアパージが指示された場合に、前記加熱シリンダからの可塑化樹脂の排出速度に合わせて、前記コンベアの搬送速度を調整することを特徴としてもよい。
【0019】
上記構成によれば、パージ動作によって排出された可塑化樹脂を、射出成形機の外に適切に排出することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、受皿パージ及びコンベアパージを状況に応じて切り換えることができるので、パージ動作中のオペレータの作業負担を低減することができる。また、コンベアパージにおける排出速度を、受皿パージにおける排出速度より遅くすることによって、メンテナンス負担を増段させることなく、コンベアパージを適切に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態に係る射出成形機の正面図である。
【
図3】射出成形機のハードウエアブロック図である。
【
図4】第1実施形態に係るパージ制御処理のフローチャートである。
【
図5】第2実施形態に係るパージ制御処理のフローチャートである。
【
図6】第3実施形態に係る射出成形機の概略構成を示す側面図である。
【
図7】第3実施形態に係る加熱シリンダを先端側から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る射出成形機10を図面に基づいて説明する。なお、以下に記載する本発明の実施形態は、本発明を具体化する際の一例を示すものであって、本発明の範囲を実施形態の記載の範囲に限定するものではない。従って、本発明は、実施形態に種々の変更を加えて実施することができる。
【0023】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る射出成形機10の正面図である。
図2は、射出装置30の拡大模式図である。
図3は、射出成形機10のハードウエアブロック図である。射出成形機10は、金型内に可塑化樹脂を射出して、射出成形品を成形する装置である。第1実施形態に係る射出成形機10は、所謂「竪型」である。
図1~
図3に示すように、射出成形機10は、型締装置20と、射出装置30と、表示入力装置40と、樹脂圧センサ41と、制御装置50とを主に備える。
【0024】
型締装置20は、金型21の開閉及び型締めを行う。具体的には、型締装置20は、固定側金型22を支持する固定ダイプレート23と、固定側金型22の直上で可動側金型24を支持する可動ダイプレート25と、可動ダイプレート25を上下方向に移動させる型開閉モータ61とを主に備える。
【0025】
型開閉モータ61は、可動ダイプレート25を上下方向に移動させるサーボモータである。型開閉モータ61の駆動力は、例えば、トグルリンク機構(図示省略)を通じて可動ダイプレート25に伝達される。
図1に示すように、可動ダイプレート25が上昇すると、固定側金型22と可動側金型24とが離間する。一方、可動ダイプレート25が降下すると、固定側金型22と可動側金型24とが当接して、金型21の内部にキャビティ(内部空間)が形成される。そして、可動ダイプレート25にさらに下向きの圧力が加わると、固定側金型22及び可動側金型24が型締めされる。
【0026】
射出装置30は、ホッパ(図示省略)から供給された樹脂を、可塑化し、計量し、射出する。第1実施形態に係る射出装置30は、型締装置20の上方に配置されている。射出装置30は、加熱シリンダ31と、スクリュー32と、コンベア33と、ファン34と、蓋35と、ノズルタッチモータ62と、計量モータ63と、射出モータ64と、コンベア進退モータ65と、コンベア駆動モータ66と、蓋進退モータ67とを主に備える。
【0027】
加熱シリンダ31は、上下方向に延びる円筒形状の部材である。加熱シリンダ31には、可塑化樹脂を射出するノズル36のノズル孔36aが先端(下端)に形成され、ホッパから樹脂の供給を受ける供給口(図示省略)が基端(上端)側に形成されている。そして、加熱シリンダ31の内部には、供給口からノズル36に至る直線状の内部空間が形成されている。また、加熱シリンダ31の外周面には、加熱シリンダ31を加熱するバンドヒータ(図示省略)が取り付けられていてもよい。
【0028】
ノズルタッチモータ62は、射出装置30を上下方向に移動させるサーボモータである。射出装置30は、ノズルタッチモータ62の駆動力が伝達されて、射出位置(
図2(A))と、待機位置(
図2(B)~(D))との間を上下方向に移動する。射出位置は、加熱シリンダ31先端のノズル36が可動ダイプレート25に設けられた開口(図示省略)に進入して、加熱シリンダ31の内部空間と金型21のキャビティとが連通する位置である。待機位置は、加熱シリンダ31先端のノズル36が可動ダイプレート25の開口から退出して、加熱シリンダ31と金型21とが離間する位置である。第1実施形態に係る待機位置は、射出位置より鉛直上方の位置である。
【0029】
スクリュー32は、外周面に螺旋溝が形成された長尺棒状の部材である。スクリュー32は、進退及び回転可能な状態で、加熱シリンダ31の内部空間に収容されている。計量モータ63は、加熱シリンダ31内でスクリュー32を回転させるサーボモータである。射出モータ64は、加熱シリンダ31内でスクリュー32を進退(前進及び後退)させるサーボモータである。射出装置30は、加熱シリンダ31内でスクリュー32を進退或いは回転させることによって、計量動作、射出動作、及びパージ動作を行う。
【0030】
計量動作は、スクリュー32を回転させることによって、加熱シリンダ31の先端側(ノズル36側)に所定量の可塑化樹脂を計量させる動作である。このとき、加熱シリンダ31に供給された樹脂は、加熱シリンダ31及びスクリュー32の間に生じる摩擦熱や剪断熱、及びバンドヒータが発生させる熱によって可塑化される。また、可塑化樹脂は、スクリュー32の螺旋溝に沿って加熱シリンダ31の先端側に移動して、加熱シリンダ31の先端側に溜まる。その結果、スクリュー32は、加熱シリンダ31内を回転しながら後退する。
【0031】
射出動作は、射出装置30が射出位置のときにスクリュー32を前進させることによって、加熱シリンダ31の先端側に計量された可塑化樹脂を、ノズル36を通じて加熱シリンダ31から射出する動作である。これにより、ノズル36から射出された可塑化樹脂が金型21のキャビティ内に充填される。
【0032】
パージ動作は、射出装置30が待機位置のときに、加熱シリンダ31から可塑化樹脂を排出する動作である。パージ動作は、スクリュー32を回転させて可塑化樹脂を排出する可塑化パージ動作と、スクリュー32を進退させて可塑化樹脂を排出する射出パージ動作とに大別される。
【0033】
可塑化パージ動作は、スクリュー32をノズル36に最も近い位置(以下、「最前進位置」と表記する。)に配置した状態で、可塑化樹脂をノズル36側に移動させる向きにスクリュー32を回転させる動作である。可塑化パージ動作では、スクリュー32を最前進位置に保持するために、射出モータ64によってスクリュー32に背圧を付加する。一方、射出パージ動作は、加熱シリンダ31内でスクリュー32を前進させることによって、加熱シリンダ31の先端側に計量された可塑化樹脂を、ノズル36を通じて加熱シリンダ31から排出する動作である。
【0034】
コンベア33は、射出装置30が待機位置のときに加熱シリンダ31から排出された可塑化樹脂を、射出成形機10の外部に搬送する役割を担う。すなわち、コンベア33は、待機位置の加熱シリンダ31からの可塑化樹脂の排出経路上(ノズル孔36aの直下)に配置される。また、コンベア33の表面は、可塑化樹脂との接触面積を小さくするために、メッシュ状になっている。
【0035】
コンベア33は、コンベア進退モータ65の駆動力が伝達されて、前進位置(
図2(C)、(D))と、退避位置(
図2(A)、(B))との間を進退する。前進位置は、待機位置の加熱シリンダ31先端のノズル36(ノズル孔36a)の直下に、コンベア33の搬送面(上面)が配置される位置である。退避位置は、加熱シリンダ31の移動経路からコンベア33が外れた位置である。前進位置及び退避位置は、コンベア33による可塑化樹脂の搬送方向(すなわち、
図2の左右方向)に離間した位置である。すなわち、コンベア33は、可塑化樹脂の搬送方向に沿って進退する。
【0036】
コンベア33が前進位置のとき、待機位置の加熱シリンダ31先端のノズル36(ノズル孔36a)から排出される可塑化樹脂はコンベア33の搬送面に到達し、射出装置30(加熱シリンダ31)は待機位置から射出位置に移動できない。一方、コンベア33が退避位置のとき、待機位置の加熱シリンダ31先端のノズル36(ノズル孔36a)から排出される可塑化樹脂はコンベア33の搬送面に到達せず、射出装置30(加熱シリンダ31)は射出位置と待機位置との間を移動できる。
【0037】
また、コンベア33は、コンベア駆動モータ66の駆動力が伝達されて、搬送面に到達した可塑化樹脂を、射出成形機10の外部に排出する方向(
図2の反時計回り)に回転する。また、コンベア33は、搬送速度を切り替え可能に構成されていてもよい。第1実施形態に係るコンベア33は、少なくとも第1搬送速度及び第2搬送速度に切り替え可能である。第1搬送速度は、第2搬送速度より速い速度である。
【0038】
ファン34は、コンベア33上を搬送される可塑化樹脂を冷却する役割を担う冷却装置である。具体的には、ファン34は、コンベア33の搬送面に向けて送風する。また、ファン34は、コンベア33の所定位置に固定されている。すなわち、ファン34は、前進位置及び退避位置の間を移動するコンベア33と一体となって進退する。また、ファン34の送風速度(単位時間当たりの送風量)は、コンベア33の搬送速度に連動して切り換え可能であってもよい。
【0039】
蓋35は、待機位置の加熱シリンダ31の先端に当接して、ノズル36を閉塞させる役割を担う。蓋進退モータ67は、蓋35を進退させるサーボモータである。蓋35は、蓋進退モータ67の駆動力が伝達されて、ノズル36を閉塞する閉塞位置(
図2(D))と、ノズル36を開放する開放位置(
図2(A)-(C))との間を進退する。
【0040】
図2に示すように、射出装置30は、加熱シリンダ31、コンベア33、及び蓋35を収容する箱体37を備える。箱体37は、加熱シリンダ31、コンベア33、及び蓋35それぞれが挿通されるスリット37a、37b、37cを有する。すなわち、加熱シリンダ31、コンベア33、蓋35は、スリット37a、37b、37cを通じて、箱体37の内部空間に対して進退する。
【0041】
なお、加熱シリンダ31先端のノズル36は、常に箱体37の内部空間に位置する。これにより、ノズル36から射出される可塑化樹脂にオペレータが触れることを防止できる。但し、箱体37は、メンテナンスのために内部空間を露出させる扉(図示省略)などを有していてもよい。
【0042】
表示入力装置40は、オペレータに報知すべき各種情報を表示するディスプレイ、及びオペレータによる操作を受け付けるボタン、スイッチ、ダイヤルなどを備えるユーザインタフェースである。また、表示入力装置40は、ディスプレイに重畳されたタッチパネルを備えてもよい。表示入力装置40は、例えば、射出動作の開始を指示するオペレータの操作と、パージ動作の開始を指示するオペレータの操作とを受け付け、受け付けた操作に対応する操作信号を制御装置50に出力する。
【0043】
樹脂圧センサ41は、加熱シリンダ31内の樹脂圧を検知し、検知結果を示す検知信号を制御装置50に出力する。樹脂圧とは、加熱シリンダ31内におけるスクリュー32の前方空間に計量されている可塑化樹脂に加わる圧力である。樹脂圧センサ41は、例えば、スクリュー32に加わる圧力を、樹脂圧として検知してもよい。
【0044】
制御装置50は、射出成形機10全体の動作を制御する。制御装置50は、表示入力装置40から出力される操作信号、樹脂圧センサ41から出力される検知信号、各モータ61~67のエンコーダ(図示省略)から出力されるエンコード信号を取得する。そして、制御装置50は、取得した各種信号に基づいて、各モータ61~67及びファン34を駆動させる。
【0045】
制御装置50は、例えば、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)51、各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)52、及び演算手段の作業領域となるRAM(Random Access Memory)53を備える。そして、ROM52に記憶されたプログラムをCPU51が読み出して実行することによって、後述する各処理を実現してもよい。
【0046】
但し、制御装置50の具体的な構成はこれに限定されず、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアによって実現されてもよい。
【0047】
次に
図4を参照して、第1実施形態に係る射出成形機10の動作を説明する。
図4は、第1実施形態に係るパージ制御処理のフローチャートである。パージ制御処理は、射出成形機10が外部からパージ指示を受け付けたタイミングで開始される。なお、パージ制御処理の開始時点において、射出装置30は待機位置に位置し、コンベア33は退避位置に位置し、蓋35は開放位置に位置しているものとする。
【0048】
パージ指示は、例えば、表示入力装置40を通じてオペレータから指示されてもよいし、パージ動作の実行タイミングが制御装置50に予め設定されていてもよいし、通信インタフェース(図示省略)を通じて外部装置から受信してもよい。
【0049】
パージ指示は、受皿(図示省略)に可塑化樹脂を排出させる「受皿パージ」と、コンベア33に可塑化樹脂を排出させる「コンベアパージ」とに大別される。受皿は、待機位置の加熱シリンダ31からの可塑化樹脂の排出経路上(すなわち、加熱シリンダ31の下方)に、オペレータによって着脱可能な容器である。
【0050】
まず、制御装置50は、受け付けたパージ指示の種類を判定する(S11)。制御装置50は、パージ指示が「受皿パージ」を示すと判定した場合に(S11:受皿)、加熱シリンダ31に可塑化樹脂を第1排出速度で排出させる(S12)。すなわち、制御装置50は、ステップS12において、可塑化パージ動作或いは射出パージ動作を実行する。可塑化パージ動作及び射出パージ動作で排出速度を調整する方法は、後述する。
【0051】
一方、制御装置50は、パージ指示が「コンベアパージ」を示すと判定した場合に(S11:コンベア)、現在の樹脂圧を示す検知信号を樹脂圧センサ41から取得する(S13)。そして、制御装置50は、樹脂圧センサ41で検知された樹脂圧と閾値とを比較する(S14)。閾値は、ROM52に予め記憶されているものとする
【0052】
制御装置50は、樹脂圧が閾値以上だと判定した場合に(S14:Yes)、加熱シリンダ31からの可塑化樹脂の排出速度を、第2排出速度に設定する(S15)。一方、制御装置50は、樹脂圧が閾値未満だと判定した場合に(S14:No)、加熱シリンダ31からの可塑化樹脂の排出速度を、第3排出速度に設定する(S16)。
【0053】
ここで、第1排出速度、第2排出速度、第3排出速度は、ノズル36を通過する可塑化樹脂の速度である。すなわち、第1~第3排出速度は、可塑化樹脂を排出する方法(可塑化パージ動作、射出パージ動作)に依存しない速度である。そして、第2排出速度は、第1排出速度より遅い。また、第3排出速度は、第2排出速度より遅い。
【0054】
次に、制御装置50は、コンベア33を待機位置から前進位置に移動させると共に、ステップS15、S16で設定した排出速度に合わせて、コンベア33の搬送速度を調整する(S17)。すなわち、制御装置50は、第2排出速度が設定された場合に第1搬送速度でコンベア33を駆動し、第3排出速度が設定された場合に第2搬送速度でコンベア33を駆動すればよい。排出速度及び搬送速度の関係は、予めROM52に記憶されているものとする。
【0055】
次に、制御装置50は、ステップS15、S16で設定した排出速度で、可塑化パージ動作を実行する(S18)。可塑化パージ動作で排出速度を調整するには、スクリュー32の回転速度を増減させればよい。すなわち、制御装置50は、ステップS15、S16で設定した排出速度に対応する大きさの電流を、計量モータ63に供給すればよい。排出速度及び電流値の関係は、予めROM52に記憶されているものとする。
【0056】
制御装置50は、可塑化パージ動作におけるスクリュー32の回転数をカウントし、カウントした回転数が閾値回転数に達するまで(S19:No)、可塑化パージ動作を継続する(S18)。そして、制御装置50は、カウントした回転数が閾値回転数に達した場合に(S19:Yes)、スクリュー32をサックバックさせる(S20)。
【0057】
「サックバック」とは、加熱シリンダ31内でスクリュー32を後退させる処理である。すなわち、制御装置50は、スクリュー32が後退する向きに射出モータ64を駆動する。これにより、スクリュー32の先端よりノズル36側の空間が負圧になって、ノズル36からの可塑化樹脂の排出が停止する。
【0058】
次に、制御装置50は、予め定められた量の可塑化樹脂を排出したか否かを判定する(S21)。制御装置50は、例えば、ステップS15、S16で設定した排出速度に、ステップS18の実行時間を乗じることによって、可塑化パージ動作で排出した可塑化樹脂の量を特定することができる。
【0059】
そして、制御装置50は、予め定められた量の可塑化樹脂を未だ排出していないと判定した場合に(S21:No)、ステップS18以降の処理を再び実行する。一方、制御装置50は、予め定められた量の可塑化樹脂を排出したと判定した場合に(S21:Yes)、パージ制御処理を終了する。
【0060】
第1実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0061】
第1実施形態によれば、オペレータによる受皿の設置及び取り出しが必要な「受皿パージ」と、コンベア33による可塑化樹脂の自動排出が可能な「コンベアパージ」とを選択することができる。その結果、パージ動作の実行に際して受皿を着脱する等のオペレータの作業負担を軽減することができる。
【0062】
なお、コンベアパージで可塑化樹脂を勢いよく排出すると、コンベア33の表面に到達した可塑化樹脂が、コンベア33外に飛散したり、メッシュの隙間からコンベア33の内部に侵入する可能性がある。可塑化樹脂の飛散や侵入は、射出成形機10をメンテナンスするオペレータの負担を増大させる。そこで第1実施形態のように、コンベアパージにおける第2排出速度及び第3排出速度を、受皿パージにおける第1排出速度より遅くすることによって、メンテナンス負担を増段させることなく、コンベアパージを適切に実現できる。
【0063】
また、樹脂圧が閾値以上の場合とは(S14:Yes)、加熱シリンダ31内の可塑化樹脂の粘度がある程度高い状態である。そのため、コンベア33に到達した可塑化樹脂の飛散や侵入の可能性は低い。一方、樹脂圧が閾値未満の場合とは(S14:No)、加熱シリンダ31内の可塑化樹脂の粘度が低い状態である。そのため、コンベア33に到達した可塑化樹脂の飛散や侵入の可能性が高い。
【0064】
そこで第1実施形態のように、樹脂圧(換言すれば、可塑化樹脂の粘度)に応じて排出速度を調整することにより、パージ動作のスループット維持と、メンテナンス負担の低減とを両立させることができる。なお、可塑化樹脂の粘度を推定するパラメータは、樹脂圧に限定されず、加熱シリンダ31内に可塑化樹脂が供給されてからの経過時間などであってもよい。
【0065】
また、コンベア33に到達した可塑化樹脂は、棒状に固化して排出される。そのため、長時間に亘ってパージ動作を継続すると、棒状の可塑化樹脂が長くなって処分し難くなる。そこで第1実施形態のように、スクリュー32の回転数が閾値回転数に達する度にスクリュー32をサックバックさせることによって、短く分断された複数の可塑化樹脂をコンベア33から排出することができる。
【0066】
なお、スクリュー32をサックバックさせるタイミングは、ステップS19の例に限定されない。他の例として、制御装置50は、可塑化パージ動作を開始してから所定の時間が経過したタイミングで、スクリュー32をサックバックさせてもよい。すなわち、制御装置50は、コンベアパージ中の所定の間隔毎に、スクリュー32をサックバックさせればよい。
【0067】
また、コンベア33から排出される棒状の可塑化樹脂を分断する方法は、スクリュー32のサックバックに限定されない。他の例として、制御装置50は、コンベアパージ中の所定の間隔毎に、蓋35を開放位置から閉塞位置に移動させてもよい。さらに他の例として、射出成形機10は、コンベア33上を搬送される棒状の可塑化樹脂を、所定の間隔毎に切断するカッターを備えていてもよい。
【0068】
(第2実施形態)
次に
図5を参照して、第2実施形態に係る射出成形機10の動作を説明する。
図5は、第2実施形態に係るパージ制御処理のフローチャートである。第2実施形態に係る射出成形機10のハードウェア構成は、第1実施形態と共通する。
【0069】
第2実施形態に係る制御装置50は、
図4のステップS13~S21に代えて、
図5のステップS31~S40の処理を実行する。なお、第2実施形態に係るパージ制御処理の開始時点において、射出装置30は待機位置に位置し、コンベア33は退避位置に位置し、蓋35は閉塞位置に位置しているものとする。
【0070】
第2実施形態に係る制御装置50は、パージ指示が「コンベアパージ」を示すと判定した場合に(S11:コンベア)、ノズル36からの可塑化樹脂の排出速度を、現在の樹脂圧に応じて設定する(S31~S34)。また、制御装置50は、コンベア33を待機位置から前進位置に移動させると共に、ステップS33、S34で設定した排出速度に合わせて、コンベア33の搬送速度を調整する(S35)。ステップS31~S35の処理は、
図4のステップS13~S17と共通する。
【0071】
次に、制御装置50は、蓋35を閉塞位置から開放位置に移動させる(S36)。次に、制御装置50は、ステップS33、S34で設定した排出速度で、射出パージ動作を実行する(S37)。射出パージ動作で排出速度を調整するには、スクリュー32の前進速度を増減させればよい。すなわち、制御装置50は、ステップS33、S34で設定した排出速度に対応する大きさの電流を、射出モータ64に供給すればよい。排出速度及び電流値の関係は、予めROM52に記憶されているものとする。
【0072】
次に、制御装置50は、予め定められた量の可塑化樹脂を排出したか否かを判定する(S38)。制御装置50は、例えば、射出パージ動作1回当たりの可塑化樹脂の排出量に、ステップS37の実行回数を乗じることによって、射出パージ動作で排出した可塑化樹脂の量を特定することができる。
【0073】
そして、制御装置50は、予め定められた量の可塑化樹脂を未だ排出していないと判定した場合に(S38:No)、蓋35を開放位置から閉塞位置に移動させ(S39)、射出装置30に計量動作を実行させたうえで(S40)、ステップS31以降の処理を再び実行する。すなわち、制御装置50は、樹脂圧センサ41で樹脂圧を検知する処理(S31)と、検知した樹脂圧に対応する速度でスクリュー32を前進させる処理(S32~S37)とを繰り返し実行することによって、可塑化樹脂を間欠的に排出する。一方、制御装置50は、予め定められた量の可塑化樹脂を排出したと判定した場合に(S38:Yes)、パージ制御処理を終了する。
【0074】
可塑化樹脂の粘度は、加熱シリンダ31内における滞留時間が長いほど低く、滞留時間が短いほど高くなる傾向がある。すなわち、パージ制御処理の開始時点で既に加熱シリンダ31内にあった可塑化樹脂の粘度は相対的に低く、パージ制御処理中に加熱シリンダ31内に新たに供給された可塑化樹脂の粘度は相対的に高くなる。
【0075】
そこで第2実施形態のように、スクリュー32を前進させる度に樹脂圧を検知して、適切な前進速度に設定することによって、前半の数ショットは第3排出速度が選択され、後半は第2排出速度が選択される。これにより、パージ動作のスループット維持と、メンテナンス負担の低減とを両立させることができる。
【0076】
(第3実施形態)
次に、
図6及び
図7を参照して、第3実施形態に係る射出成形機10Aを説明する。
図6は、射出成形機10Aの概略構成を示す側面図である。
図7は、加熱シリンダ31の先端側から見た正面図である。なお、第1実施形態と共通の機能を担う構成部品には、同一の参照符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0077】
第3実施形態に係る射出成形機10Aは、水平方向に離間した射出位置と待機位置との間を、射出装置30(加熱シリンダ31)が水平方向に移動する所謂「横型」である。すなわち、第3実施形態に係る射出成形機10Aは、主な構成要素22~25、31~32の位置関係が90°反転している点で、第1実施形態に係る射出成形機10と異なる。
【0078】
また、第3実施形態に係る射出成形機10Aは、蓋35に代えて、ガイド板38を備える。但し、射出成形機10Aは、蓋35を備えていてもよい。ガイド板38は、パージ動作で加熱シリンダ31から排出された可塑化樹脂を、コンベア33の搬送面に案内する役割を担う。ガイド板38は、ガイド板進退モータ(図示省略)の駆動力が伝達されて、退避位置(
図7(A))と、ガイド位置(
図7(B))との間を移動する。
【0079】
退避位置は、加熱シリンダ31の移動経路から外れた位置である。ガイド位置は、加熱シリンダ31の移動経路上の位置である。すなわち、ガイド板38が退避位置のとき、待機位置の加熱シリンダ31から排出される可塑化樹脂はガイド板38に到達せず、射出装置30(加熱シリンダ31)は待機位置及び射出位置の間を移動できる。一方、ガイド板38がガイド位置のとき、待機位置の加熱シリンダ31から排出される可塑化樹脂はガイド板38に到達し、射出装置30(加熱シリンダ31)は待機位置から射出位置に移動できない。
【0080】
さらに、第3実施形態に係るコンベア33は、待機位置における加熱シリンダ31先端のノズル36の直下で、且つガイド位置のガイド板38の直下に固定されている。すなわち、待機位置の加熱シリンダ31から少しずつ漏れ出る可塑化樹脂、及び待機位置の加熱シリンダ31から勢いよく排出されてガイド板38に到達した可塑化樹脂の両方は、コンベア33の搬送面に到達して、射出成形機10Aの外部に搬送される。
【0081】
第3実施形態に係る射出成形機10Aは、
図4或いは
図5に示すパージ制御処理を実行する。但し、また、第3実施形態に係る制御装置50は、射出装置30(加熱シリンダ31)を射出位置から待機位置に移動させた後に、ガイド板38を退避位置からガイド位置に移動させる。さらに、第3実施形態に係る制御装置50は、射出装置30(加熱シリンダ31)を待機位置から射出位置に移動させる前に、ガイド板38をガイド位置から退避位置に移動させる。
【0082】
第3実施形態によれば、パージ動作によって加熱シリンダ31先端のノズル36から勢いよく排出された可塑化樹脂が、ガイド位置のガイド板38に当たってコンベア33の搬送面に導かれる。その結果、横型の射出成形機10Aにおいて、パージ動作によって排出される可塑化樹脂を、コンベア33を通じて確実且つ効率的に射出成形機10Aの外部に排出できる。
【符号の説明】
【0083】
10,10A…射出成形機、20…型締装置、21…金型、22…固定側金型、23…固定ダイプレート、24…可動側金型、25…可動ダイプレート、30…射出装置、31…加熱シリンダ、32…スクリュー、33…コンベア、34…ファン(冷却装置)、35…蓋、36…ノズル、36a…ノズル孔、37…箱体、37a,37b,37c…スリット、38…ガイド板、40…表示入力装置、41…樹脂圧センサ、50…制御装置、51…CPU、52…ROM、53…RAM、61…型開閉モータ、62…ノズルタッチモータ、63…計量モータ、64…射出モータ、65…コンベア進退モータ、66…コンベア駆動モータ、67…蓋進退モータ