(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-04
(45)【発行日】2023-04-12
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B65H 23/032 20060101AFI20230405BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20230405BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20230405BHJP
B65H 43/04 20060101ALI20230405BHJP
B65H 26/02 20060101ALI20230405BHJP
【FI】
B65H23/032
B41J2/01 305
B41J2/01 401
B41J2/01 451
G03G21/00 500
B65H43/04
B65H26/02
(21)【出願番号】P 2019177762
(22)【出願日】2019-09-27
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷 和真
【審査官】前原 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-65875(JP,A)
【文献】特開2017-202889(JP,A)
【文献】特開2012-240067(JP,A)
【文献】特開昭63-180661(JP,A)
【文献】実開平2-43861(JP,U)
【文献】特開2014-189337(JP,A)
【文献】特開2017-171436(JP,A)
【文献】特開2018-43870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 23/00 - 23/16
23/24 - 23/34
27/00
B41J 15/00 - 15/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の基材を送り出す基材送り出し部と、
前記基材送り出し部から送り出される基材を搬送方向に搬送する基材搬送部と、
前記基材搬送部により搬送される基材の幅サイズを記憶する記憶部と、
前記基材の蛇行を検出する蛇行検出センサを備え、当該蛇行検出センサの出力と前記記憶部が記憶する前記基材の幅サイズとを参照して、前記基材の蛇行を補正する蛇行補正部と、
前記基材に画像記録を行う画像記録部と、
前記蛇行補正部よりも前記搬送方向の上流側において前記基材の幅サイズの変更箇所を検出する第1センサと、
前記第1センサが前記基材の幅サイズの変更箇所を検出すると、前記基材搬送部による前記基材の搬送を継続しつつ、前記蛇行補正部による前記基材の蛇行補正を停止する蛇行補正停止制御を実行し、前記基材の幅サイズの変更箇所が前記蛇行補正部よりも下流側の基準位置に到達したと判断した後に、前記蛇行補正停止制御を解除して前記蛇行補正部による前記基材の蛇行補正を再開する蛇行補正再開制御を実行する制御部と、を備えた印刷装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1センサまたは前記蛇行検出センサの出力に基づいて前記記憶部に記憶された前記基材の幅サイズを更新する更新制御を行う、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1センサが前記幅サイズの変更箇所を検出してからの経過時間と前記基材搬送部の搬送速度とに基づいて、または前記第1センサが前記幅サイズの変更箇所を検出してからの前記基材搬送部による前記基材の搬送距離に基づいて、前記基材の幅サイズの変更箇所が前記基準位置に到達したと判断する、請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記基材搬送部は前記基材を搬送するローラと、前記ローラの搬送速度を検出するエンコーダとを備え、前記制御部は、前記第1センサが前記幅サイズの変更箇所を検出してからの経過時間と前記エンコーダの出力信号とに基づいて前記基材の幅サイズの変更箇所が前記基準位置に到達したと判断する、請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記基材搬送部は前記基材を搬送するローラと、指令パルスに従って前記ローラを回転する搬送モータとを備え、前記制御部は、前記第1センサが前記幅サイズの変更箇所を検出してからの前記指令パルスの数に基づいて前記基材の幅サイズの変更箇所が前記基準位置に到達したと判断する、請求項3に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記基材の幅サイズを検出する第2センサを前記基準位置に備え、前記制御部は前記第2センサの出力に基づいて前記基材の幅サイズの変更箇所が前記基準位置に到達したと判断する、請求項1における印刷装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第2センサの出力に基づいて前記記憶部に記憶された前記基材の幅サイズを更新する更新制御を行う、請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記画像記録部は前記基材に向けてインク滴を吐出することによる画像を形成する記録ヘッドを含む、請求項1から7のいずれかに記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺帯状の基材に対する印刷を行う印刷装置に関し、特に、基材の蛇行を補正する蛇行補正部を備えた印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置は基材巻き出し部から基材の供給を受ける。基材巻き出し部は、基材ロールから基材を巻き出して印刷装置本体に向けて供給する。また、印刷装置は、基材の蛇行を補正する蛇行補正部を備えていることが多い(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
印刷装置を流れる基材の幅サイズが作業の途中で変更されることがある。この場合、蛇行補正部での基材の破断を防止するため、幅サイズの変更箇所が蛇行補正部に到達する前に、基材の搬送を一旦停止し、幅サイズの変更箇所が蛇行補正部を通過するまで基材を手動で搬送し、その後、基材の搬送を再開するという手順をとっていた。
【0005】
この場合、印刷装置でダウンタイムが発生するため、印刷装置の能力を十分に活用できないという問題が発生する。そこで、本発明は、幅サイズの異なる基材が蛇行補正部に向けて流れてきても基材の搬送を継続することのできる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、つぎのような構成をとる。
【0007】
すなわち、請求項1に記載の発明は、長尺の基材を送り出す基材送り出し部と、前記基材送り出し部から送り出される基材を搬送方向に搬送する基材搬送部と、前記基材搬送部により搬送される基材の幅サイズを記憶する記憶部と、前記基材の蛇行を検出する蛇行検出センサを備え、当該蛇行検出センサの出力と前記記憶部が記憶する前記基材の幅サイズとを参照して、前記基材の蛇行を補正する蛇行補正部と、前記基材に画像記録を行う画像記録部と、前記蛇行補正部よりも前記搬送方向の上流側において前記基材の幅サイズの変更箇所を検出する第1センサと、前記第1センサが前記基材の幅サイズの変更箇所を検出すると、前記基材搬送部による前記基材の搬送を継続しつつ、前記蛇行補正部による前記基材の蛇行補正を停止する蛇行補正停止制御を実行し、前記基材の幅サイズの変更箇所が前記蛇行補正部よりも下流側の基準位置に到達したと判断した後に、前記蛇行補正停止制御を解除して前記蛇行補正部による前記基材の蛇行補正を再開する蛇行補正再開制御を実行する制御部と、を備えた印刷装置である。
【0008】
請求項1に係る印刷装置によると、幅サイズの違う基材が蛇行補正部に流れてきたときに、蛇行補正部を自動的に停止させ、基材の搬送を継続する。このため、蛇行補正部で基材を破断させることなく、安全に基材の搬送を継続することが可能である。
【0009】
請求項2の印刷装置は、前記制御部は、前記第1センサまたは前記蛇行検出センサの出力に基づいて前記記憶部に記憶された前記基材の幅サイズを更新する更新制御を行う、請求項1に記載の印刷装置である。
【0010】
請求項2に係る印刷装置によると、基材の幅サイズの更新を自動的に行うことができる。
【0011】
請求項3の印刷装置は、前記制御部は、前記第1センサが前記幅サイズの変更箇所を検出してからの経過時間と前記基材搬送部の搬送速度とに基づいて、または前記第1センサが前記幅サイズの変更箇所を検出してからの前記基材搬送部による前記基材の搬送距離に基づいて、前記基材の幅サイズの変更箇所が前記基準位置に到達したと判断する、請求項1または2に記載の印刷装置である。
【0012】
請求項3に係る印刷装置によると、基材の幅サイズの変更箇所が基準位置に到達したことを簡易に判断することができる。
【0013】
請求項4の印刷装置は、前記基材搬送部は前記基材を搬送するローラと、前記ローラの搬送速度を検出するエンコーダとを備え、前記制御部は、前記第1センサが前記幅サイズの変更箇所を検出してからの経過時間と前記エンコーダの出力信号とに基づいて前記基材の幅サイズの変更箇所が前記基準位置に到達したと判断する、請求項3に記載の印刷装置である。
【0014】
請求項4に係る印刷装置によると、基材の幅サイズの変更箇所が基準位置に到達したことを簡易に判断することができる。
【0015】
請求項5に係る印刷装置は、前記基材搬送部は前記基材を搬送するローラと、指令パルスに従って前記ローラを回転する搬送モータとを備え、前記制御部は、前記第1センサが前記幅サイズの変更箇所を検出してからの前記指令パルスの数に基づいて前記基材の幅サイズの変更箇所が前記基準位置に到達したと判断する、請求項3に記載の印刷装置である。
【0016】
請求項5に係る印刷装置によると、基材の幅サイズの変更箇所が基準位置に到達したことを簡易に判断することができる。
【0017】
請求項6の印刷装置は、前記基材の幅サイズを検出する第2センサを前記基準位置に備え、前記制御部は前記第2センサの出力に基づいて前記基材の幅サイズの変更箇所が前記基準位置に到達したと判断する、請求項1に記載の印刷装置である。
【0018】
請求項6に係る印刷装置によると、第2センサの出力に基づいて制御部が基材の幅サイズの変更箇所が基準位置に到達したと判断できるため、基材の幅サイズの変更箇所が基準位置に到達したことを確実に判断することができる。
【0019】
請求項7の印刷装置は、前記制御部は、前記第2センサの出力に基づいて前記記憶部に記憶された前記基材の幅サイズを更新する更新制御を行う、請求項6に記載の印刷装置である。
【0020】
請求項7に係る印刷装置によると、基材の幅サイズの更新を自動的に行うことができる。
【0021】
請求項8の印刷装置は、前記画像記録部は前記基材に向けてインク滴を吐出することによる画像を形成する記録ヘッドを含む、請求項1から7のいずれかに記載の印刷装置である。
【0022】
請求項8に係る印刷装置によると、インク滴を吐出して画像形成するタイプの印刷装置に対して本発明を適用することが可能である。
【発明の効果】
【0023】
各請求項に記載の発明によれば、第1センサが基材の幅サイズの変更を検出すると制御部が蛇行補正部による蛇行補正を停止する。このため、幅サイズの異なる基材が蛇行補正部に向けて流れてきても蛇行補正部で基材を破断させることなく安全に基材の搬送を継続することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】実施形態に係る印刷装置1の概略構成図である。
【
図2】第1エッジセンサ20の構造を模式的に示した図である。
【
図4】エッジ検出センサ44の構造を模式的に示した図である。
【
図5】制御部60と印刷装置1内の各部との接続を示したブロック図である。
【
図6】印刷装置1の動作の流れを説明するフローチャートである。
【
図7】印刷装置1の動作の流れを説明するフローチャートである。
【
図8】印刷用紙ロールの交換に伴う印刷用紙9の幅サイズの変化を説明する状態遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下では、印刷用紙9が搬送される方向を「搬送方向」、搬送方向に直交する水平方向を「幅方向」とそれぞれ称する。
<1.印刷装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る印刷装置1の概略構成図である。この印刷装置1は、長尺の基材である印刷用紙9を長手方向に搬送しつつ、印刷用紙9の表面にインクジェット方式で画像を記録する装置である。
図1に示すように、印刷装置1は、搬送機構10、第1エッジセンサ20、第2エッジセンサ30、蛇行補正部40、画像記録部50、および制御部60を備えている。
【0026】
搬送機構10は、所定の搬送経路に沿って印刷用紙9を搬送するための機構である。本実施形態の搬送機構10は、巻き出し部11、巻き取り部12、および複数の搬送ローラ13,14を有する。巻き出し部11および巻き取り部12には、動力源となるモータ(図示省略)が連結されている。巻き出し部11は印刷用紙9のロール(印刷用紙ロールR)を保持する部材であり、使用中の印刷用紙ロールRとこれとは別の予備の印刷用紙ロールRとを保持することができる。巻き出し部11は、オートスプライス機能を備えており、使用中の印刷用紙ロールRからの印刷用紙9の巻き出しが終了すると、その印刷用紙9の後端に予備の印刷用紙ロールRから巻き出した印刷用紙9の先端をテープなどで自動的にスプライス(紙継ぎ)することができる。これにより、印刷用紙9の連続送りが可能になっている。なお、印刷用紙9には様々な幅が存在するので、印刷用紙ロールRの交換のタイミングで印刷用紙9の幅サイズが大きく変化することが考えられる。
【0027】
但し、印刷用紙ロールRは手動で交換してもよい。この場合にも印刷用紙9の幅サイズが大きく変化することがある。
【0028】
複数の搬送ローラ13,14は、モータの動力によって自発的に回転する駆動ローラ13と、モータに連結されず、印刷用紙9の動きに従って回転する従動ローラ14とを含む。駆動ローラ13はニップローラ13aと協働して印刷用紙9をニップして印刷用紙9を搬送する。
【0029】
複数の搬送ローラ13,14は、印刷用紙9の搬送経路を構成する。各搬送ローラ13,14は、水平軸を中心として回転することによって、巻き出し部11から送り出された印刷用紙9を搬送経路の下流側へ案内する。また、複数の搬送ローラ13,14に印刷用紙9が接触することで、印刷用紙9に張力が与えられる
【0030】
制御部60が巻き出し部11、巻き取り部12、および駆動ローラ13に連結されたモータを駆動させると、巻き出し部11、巻き取り部12および駆動ローラ13が、それぞれ回転する。これにより、印刷用紙9は、巻き出し部11から繰り出され、複数の搬送ローラ13,14を経て、巻き取り部12まで搬送される
【0031】
第1エッジセンサ20は、巻き出し部11より搬送方向の下流側であって、後述する蛇行補正部40の上流側に位置し、搬送経路を搬送される印刷用紙9の幅サイズを検出する。
図2は、第1エッジセンサ20の構造を模式的に示した図である。
図2に示すように、第1エッジセンサ20は、印刷用紙9のエッジ91の上方に位置する投光器21と、エッジ91の下方に位置するラインセンサ22とを有する。投光器21は、下方へ向けて平行光を照射する。ラインセンサ22は、幅方向両方のエッジ91aおよび91bに近接する位置に配置された、幅方向に配列された複数の受光素子221を有する。
図2のように、印刷用紙9のエッジ91よりも外側においては、投光器211から照射された光が受光素子221に入射し、受光素子221が光を検出する。一方、印刷用紙9のエッジ91よりも内側においては、投光器301から照射された光が印刷用紙9に遮られるため、受光素子221は光を検出しない。第1エッジセンサ20は、このような複数の受光素子221における光検出の有無に基づいて、印刷用紙9の幅方向両方のエッジ91aおよび91bの幅方向の位置を検出し、検出したエッジ91aおよび91bの位置に基づいて印刷用紙9の幅サイズを検出する。
【0032】
前述のように、ロール交換のタイミングで印刷用紙9の幅サイズが大きく変化することがある。このとき、印刷用紙9のエッジ91は通常の蛇行よりも大きく幅方向に大きくシフトする。このような大きな幅方向のシフトに対応できるように第1エッジセンサ20の投光器21およびラインセンサ22は幅方向に十分な長さを有している。
【0033】
なお、第1エッジセンサ20は印刷用紙9の全幅の撮像が可能なカメラであってもよい。
【0034】
第2エッジセンサ30は、蛇行補正部40よりも搬送経路の下流側であって、後述する画像記録部50の搬送経路の上流側に位置し、搬送経路を搬送される印刷用紙9の幅方向のエッジを検出する。第2エッジセンサ20の構造は第1エッジセンサ20と同様であるため詳細な説明は省略する。第2エッジセンサ30第1エッジセンサ20と同様に幅方向に十分な長さを有している。また、第2エッジセンサ30は、後述の蛇行補正部40よりも下流側の位置(基準位置)に設置されている。
【0035】
蛇行補正部40は、印刷用紙9の幅方向の位置を補正するための機構を有する。蛇行補正部40は、第1エッジセンサ20よりも搬送経路の下流側であって、第2エッジセンサ30よりも搬送経路の上流側に位置している。
【0036】
図3は、蛇行補正部40の例を示した図である。
図3の蛇行補正部40は、一対の固定ローラ41の間に、一対のガイドローラ42、移動機構43、蛇行検出センサ44、箱体46、回転軸47、および保持部48を有している。
【0037】
一対の固定ローラ41および一対のガイドローラ42は、それぞれ、印刷用紙9に接触しつつ回転することによって、印刷用紙9を下流側へ案内する。
【0038】
一対のガイドローラ42は、保持部48に回転自在に保持されている。保持部48は箱体46の上面に固定されている。箱体46の底面からは回転軸47が突出している。回転軸47は移動機構43に連結されている。移動機構43は例えばアクチュエータであって、後述する蛇行制御部63の制御を受けて作動する。移動機構43が作動すると、箱体46が回転軸47を中心に矢印A方向に回動し、1対のガイドローラ42が同じく回動する。これにより、蛇行補正部40は印刷用紙9を幅方向に変位させることができる。
【0039】
蛇行検出センサ44は上流側の固定ローラ41のさらに上流側の位置において印刷用紙9のエッジ91の幅方向の位置を検出して、蛇行検出センサ44位置における印刷用紙9のエッジ位置を示すエッジ検出信号Sfを蛇行制御部63に出力する。
【0040】
図4は蛇行検出センサ44の構造を模式的に示した図である。蛇行検出センサ44は、印刷用紙9のエッジ91の上方に位置する投光器441と、エッジ91の下方に位置するラインセンサ442とを有する。投光器441は、下方へ向けて平行光を照射する。ラインセンサ442は、幅方向に配列された複数の受光素子4421を有する。
【0041】
ただし、蛇行検出センサ44は、第1、第2エッジセンサ20および30と異なり、蛇行検出センサ44の本体(投光器441およびラインセンサ442)の設置位置を幅方向に調整するためのセンサ移動機構443を備えている。移動機構443は例えばモータであり、当該モータの回転軸に連結された調整軸444を幅方向に移動させることにより、当該調整軸444に連結された蛇行検出センサ44本体の幅方向位置を調整することができる。
【0042】
蛇行検出センサ44は、さらに、位置調整後の蛇行検出センサ44の位置をチェックする位置チェックセンサ445を備えている。位置チェックセンサ445は幅方向位置が異なる複数の検知素子4451からなり、これらの検知素子4451の出力(センサ位置検出信号Sh)に基づいて蛇行検出センサ44本体の幅方向位置を確認することができる。
【0043】
なお、移動機構443がパルスモータであれば移動機構443に送出される指令パルスの数に基づいて蛇行検出センサ44本体の幅方向の位置を確認してもよい。
【0044】
なお、蛇行検出センサ44が第1、第2エッジセンサ20および30と同様に幅方向に十分なサイズを有していればそもそも移動機構443を備えていなくてもよい。
【0045】
なお、本発明の蛇行補正部は、
図3の構造に限定されるものではない。蛇行補正部は、例えば、ガイドローラを傾斜させることによって、印刷用紙9を幅方向に変位させるものであってもよい。
【0046】
図1に戻って、画像記録部50は、搬送機構10により搬送される印刷用紙9に対して、インク滴dを吐出する機構を有する。
図1の例では、第2エッジセンサ30よりも搬送経路の下流側、かつ、巻き取り部12よりも搬送経路の上流側に、画像記録部50が配置されている。
【0047】
本実施形態の画像記録部50は、4つの記録ヘッド51を有する。4つの記録ヘッド51は、印刷用紙9の搬送経路の上方に、搬送方向に間隔をあけて配列されている。各記録ヘッド51は、印刷用紙9の幅方向と平行に配列された複数の吐出口を有する。4つの記録ヘッド51は、複数の吐出口から印刷用紙9の上面へ向けて、カラー画像の色成分となるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色のインク滴を、それぞれ吐出する。これにより、印刷用紙9の上面にカラー画像が記録される。
【0048】
実施形態の画像記録部50は、いわゆるワンパス方式の記録部である。すなわち、4つの記録ヘッド51は、幅方向に往復移動しない。画像記録部50は、印刷用紙9が各記録ヘッド51の下方を1回だけ通過する間に、各記録ヘッド51からインク滴を吐出することにより、印刷用紙9の上面に画像を記録する。
【0049】
制御部60は、印刷装置1内の各部を動作制御するための手段である。
図1中に概念的に示したように、制御部60は、CPU等の演算処理部601、RAM等のメモリ602、および、ハードディスクドライブ等の記憶部603を有するコンピュータにより構成される。
【0050】
図5は、制御部60と、印刷装置1内の各部との接続を示したブロック図である。
図5に示すように、制御部60は、上述した搬送機構10、第1エッジセンサ20、第2エッジセンサ30、蛇行補正部40、画像記録部50、および操作者とのインターフェースとして機能する入出力部70と、それぞれ通信可能に接続されている。
【0051】
制御部60は、記憶部603に記憶されたコンピュータプログラムPやデータDを、メモリ602に一時的に読み出し、当該コンピュータプログラムPおよびデータDに基づいて、演算処理部601が演算処理を行うことにより、印刷装置1内の各部を動作制御する。これにより、印刷装置1における印刷処理や、後述する蛇行補正処理が進行する。
【0052】
また、
図5中に概念的に示したように、制御部60は、搬送制御部61、ヘッド制御部62、および蛇行制御部63を有する。これらの各部の機能は、制御部60としてのコンピュータが、コンピュータプログラムPに従って動作することにより、実現される。
【0053】
搬送制御部61は、搬送機構10による印刷用紙9の搬送動作を制御する。具体的には、搬送制御部61は、巻き出し部11、巻き取り部12、および複数の駆動ローラ13のそれぞれに接続されたモータに対して、駆動指令信号Saを出力する。これにより、各モータを、それぞれ指定された回転数で駆動させる。各モータが駆動すると、巻き出し部11、巻き取り部12、および複数の駆動ローラ13の回転によって、印刷用紙9が搬送経路に沿って搬送される。
【0054】
ヘッド制御部62は、4つの記録ヘッド51の各々におけるインク滴の吐出動作を制御する。ヘッド制御部62は、入稿された画像データに基づいて、4つの記録ヘッド51に吐出指令信号Sbを出力する。吐出指令信号Sbには、インク滴を吐出すべきノズル、インク滴のサイズ、およびインク滴の吐出タイミングを示す情報が含まれる。各記録ヘッド51は、吐出指令信号Sbにより指定されたノズルから、指定されたタイミングで、指定されたサイズのインク滴を吐出する。これにより、印刷用紙9の上面に、画像データに対応する画像が形成される。
【0055】
第1エッジセンサ20は印刷用紙9の幅方向両側のエッジ91aおよび91bを検出して、第1エッジセンサ20位置における印刷用紙9の幅サイズを示す第1サイズ信号Scとして制御部60の蛇行制御部63に出力する。
【0056】
同様に、第2エッジセンサ30は印刷用紙9の幅方向両側のエッジ91aおよび91bを検出して、第2エッジセンサ30位置における印刷用紙9の幅サイズを示す第2サイズ信号Sdとして制御部60の蛇行制御部63に出力する。
【0057】
蛇行制御部63は、蛇行補正部40を動作制御する。蛇行制御部63は記憶部630を有している。記憶部630には使用中の印刷用紙ロールRの幅サイズWが予め格納されている。蛇行制御部63は蛇行検出センサ44から出力されるエッジ検出信号Sfを参照して、搬送中の印刷用紙9のエッジ位置が幅サイズWに対応したエッジ位置になるように移動機構43に制御信号Seを出力する。移動機構43は制御信号Seを受けてガイドローラ42を揺動させる。これにより、印刷用紙9の幅方向の位置が補正される。記憶部630には後述する所定の閾値Thも格納されている。閾値Thの大きさは印刷用紙9の通常の搬送で起こりうる蛇行量に基づいて決定される。例えば、閾値Thは蛇行補正部40で補正しきれないような量の蛇行量を検出可能な値に設定される。
【0058】
蛇行制御部63には、第1エッジセンサ20および第2エッジセンサ30が接続されている。蛇行制御部63は、第1エッジセンサ20および第2エッジセンサ30から出力される第1サイズ信号Scおよび第2第2サイズ信号Sdと、記憶部630が記憶する幅サイズWおよび閾値Thと、を参照することにより、印刷用紙9の幅サイズが通常の蛇行の範囲を超えて変動したと判断することができる。
【0059】
また、制御部60には入出力部70が接続されている。操作者は入出力部70を介して印刷装置1を操作するための指示信号Siを与えることができる。例えば、操作者は入出力部70を介して、巻き出し部11にセットされ搬送機構10により搬送される印刷用紙ロールRの幅サイズWを制御部60(蛇行制御部63)の記憶部630に格納することができる。
【0060】
また、制御部60は状態信号Sjを入出力部70に出力することにより、操作者に対して印刷装置1の状態を表示することができる。例えば、制御部60は印刷装置1の緊急停止時に入出力部70にアラームおよび緊急停止の理由を表示するなどして、操作者に必要な情報を提供することができる。
<2.蛇行補正について>
続いて、印刷装置1における蛇行補正について、
図5、
図6、
図7、および
図8を参照してより詳細に説明する。
図6および
図7は印刷装置1の動作の流れを説明するフローチャートである。
図8は搬送経路の模式的な上面図であり、印刷用紙ロールRの交換後、異なる幅サイズの印刷用紙9が搬送経路を流れていく状態を時間の経過を追って示す状態遷移図である。
【0061】
まず最初に、操作者は巻き出し部11に印刷用紙ロールRをセットする(ステップS1)。
【0062】
次に、操作者はセットした印刷用紙ロールRの幅サイズWを入出力部70に入力する(ステップS2)。入力された幅サイズWは蛇行制御部630の記憶部630に格納される。
【0063】
次に、操作者は入出力部70を介して制御部60に指示信号Sgを送信して、印刷装置1を始動する(ステップS3)。
【0064】
次に、制御部60は以下のように印刷用紙9の搬送、蛇行補正、および画像記録を開始する(ステップS4)
【0065】
すなわち、制御部60の搬送制御部61は、搬送機構10に駆動指令信号Saを送り、搬送機構10の駆動ローラ13を回転させて、印刷用紙9の搬送を開始する。
【0066】
また、制御部60の蛇行制御部63はエッジ検出信号Sfを参照しながら蛇行補正部40に制御信号Seを送り、搬送中の印刷用紙9のエッジ位置がステップS2で入力された幅サイズWに対応するエッジ位置を維持するように移動機構43を制御する。
【0067】
印刷用紙9が所定の搬送速度に到達すると、制御部60のヘッド制御部62は画像記録部50に吐出指令信号Sbを送り、画像記録部50の各記録ヘッド51からインク滴dを吐出させて印刷用紙9の上面にカラー画像を形成する。
【0068】
制御部60は入出力部70から印刷終了が指示されたか判断し(ステップS5)、印刷終了が指示された場合には印刷装置1の稼働を停止する(ステップS6)。一方、印刷を停止しない場合には、ステップS7に進み、巻き出し部11で印刷用紙ロールRの交換が行われたか監視する。操作者は印刷用紙ロールRの交換を行うとき入出力部70にその旨を入力するので、制御部60は入出力部70からの指示信号Siを参照することにより巻き出し部11で印刷用紙ロールRの交換が行われたことを検知することができる。
【0069】
ステップS7でNoと判断されるとステップS5に戻り、Yesと判断されるとステップS8に進む。ステップS8では、第1エッジセンサ20が出力する第1サイズ信号Scを参照して、第1エッジセンサ20が検出する印刷用紙9の幅サイズWと記憶部630が保持する幅サイズWとの差分が閾値Thを超えるか否かを判断する。ステップS8でYesと判断されると、ステップS9に進み、後述する蛇行補正停止制御が行われる。一方、ステップS8でNoと判断されると、ステップS7から所定時間が経過したか否かを判断するステップS10に移行する。
【0070】
印刷用紙ロールRが交換されると、幅サイズWの異なる印刷用紙9が蛇行補正部40に向けて搬送経路を流れてくることがある。
図8は印刷用紙9の幅サイズWの変化を時系列で説明するための図であり、上から見た印刷用紙9の位置に加えて、第1エッジセンサ20、蛇行検出センサ44、および第2エッジ検出センサ30による印刷用紙9のエッジ検出位置が矢印により模式的に示されている。
【0071】
交換前の印刷用紙ロールRから巻き出した印刷用紙9aの後端と、交換後の印刷用紙ロールRから巻き出した印刷用紙9bの先端とはテープTで接続されている。印刷用紙9の幅サイズの変更箇所、すなわち、印刷用紙9aおよび9bの接続箇所をコネクト部Cという。
図8の例では、交換前の印刷用紙9aの幅サイズWaは交換後の印刷用紙9bの幅サイズWbよりも大きいものとする。また、交換後の印刷用紙9bの幅サイズWbと記憶部630に保持された幅サイズWとの差分は前述の閾値Thよりも大きいものとする。
【0072】
図8(a)の段階では、コネクト部Cが第1エッジセンサ20よりも搬送方向の上流側に位置している。この状態の時刻を時刻t1とする。
【0073】
印刷用紙9の搬送がさらに進むと、コネクト部Cが第1エッジセンサ20に到達する。
図8(b)はこの状態を示している。この状態の時刻を時刻t2とする。この状態に達すると、第1エッジセンサ30は交換後の印刷用紙9bの幅サイズWbを検出するようになる。
図8の例では、第1エッジセンサ30が検出する印刷用紙9の幅サイズWbと記憶部630が記憶する幅サイズWとの差分が閾値Thより大きくなる。これにより、フローチャートのステップS8がYesとなってステップS9に進み、制御部60は後述の蛇行補正停止制御並びに蛇行補正再開制御を実行する。このように、第1エッジセンサ20は印刷用紙9のコネクト部C(幅サイズの変更箇所)を検出できる。一方、ステップS8でNoと判断され、かつ、ステップS10でYesと判断されると、制御部60は印刷用紙ロールRの交換において幅サイズの変更が行われなかったとみなし、蛇行補正停止制御並びに蛇行補正再開制御を実行することなく、ステップS5に復帰する。
【0074】
処理の流れがステップS8からステップS9に進むと、蛇行制御部63は蛇行補正部40による蛇行補正を停止する蛇行補正停止制御を実行する。すなわち、蛇行制御部63は蛇行検出センサ44が検出する印刷用紙9の幅サイズWに関わりなく、印刷用紙9の搬送を継続しつつ、蛇行補正部40の移動機構43の動作を停止する。
【0075】
図7に進み、蛇行制御部63は第1エッジ検出センサ30が出力する第1サイズ信号Scに基づいて記憶部630に格納されている幅サイズWを更新する(ステップS11)。
図8の例では、交換前の印刷用紙9aの幅サイズWaから交換後の印刷用紙の幅サイズWbに更新される。
【0076】
続くステップS12からは、第1エッジ検出センサ30に基づく判断が、幅サイズWの拡大(小から大)であるのか、縮小(大から小)であるのかに応じて処理が分岐する。
【0077】
幅サイズが縮小したと判断されると(ステップS12でNo)、ステップS13に移行する。
【0078】
ステップS13では蛇行検出センサ44の出力に基づいて幅サイズWが縮小したことが確認される。印刷用紙9の搬送が進むと、コネクト部Cが蛇行検出センサ44に到達する。ステップS14では蛇行検出センサ44がコネクト部Cを検出することによって幅サイズWが縮小したことが確認される。
図8(c)はこの状態を示している。この状態の時刻を時刻t3とする。
図8の例では、交換後の印刷用紙9bの幅サイズWbと記憶部630に保持された幅サイズWとの差分は大きいため、通常であれば蛇行補正部40は印刷用紙9が大きく蛇行したものと判断して移動機構43を大きく動作させる。しかし、移動機構43が大きく動作すると印刷用紙9がコネクト部Cで破断してしまうおそれがある。本実施形態では、ステップS9において移動機構43の動作を停止しているため、このような印刷用紙9の破断を防止することができる。
【0079】
図7のフローチャートに戻り、ステップS14で印刷用紙9の幅サイズWが縮小されたことが確認されると(ステップS13でYes)、ステップS14に進む。ステップS14では、蛇行制御部63がセンサ移動機構443にセンサ移動信号Sgを送信し、蛇行検出センサ44の本体を、ステップS11で更新された幅サイズWの印刷用紙9の検出に適した位置まで移動させる。
【0080】
続くステップS15で、蛇行制御部63は、蛇行検出部4451からのセンサ位置検出信号Shに基づいて蛇行検出センサ44本体の位置調整が完了したことを確認する。
【0081】
ステップS15でYesと判断されると、ステップS16に進む。ステップS16では、蛇行制御部63は、第2エッジセンサ30からの第2サイズ信号Sdに基づいて、第2エッジセンサ30がステップS11で更新された新しい幅サイズWに対応するエッジ位置を検出したか否かを判断する。すなわち、印刷用紙9の搬送がさらに進むと、コネクト部Cが第2エッジセンサ30に到達し、第2エッジセンサ30は新しい幅サイズWに対応するエッジ位置を検出できるようになる。
図8(d)はこの状態を示している。この状態の時刻を時刻t3とする。
【0082】
印刷用紙9が
図8(d)の状態まで搬送されると、ステップS16でYesと判断され、ステップS17に進む。ステップS17で、蛇行制御部63は、新しい幅サイズWbに基づき、蛇行補正部40が印刷用紙9の蛇行補正を開始する蛇行補正再開制御を行う。
【0083】
図7のフローチャートのステップS12に戻る。ステップS12でYesと判断されると、ステップS20に進む。ステップS20では蛇行制御部63がセンサ移動機構443にセンサ移動信号Sgを送信し、蛇行検出センサ44の本体を、ステップS12で更新された幅サイズWの印刷用紙9の検出に適した位置まで移動させる。このようにステップS12で印刷用紙9の幅サイズの拡大が確認された後、直ちにエッジ検出センサ44を幅方向の外側に移動させているので、印刷用紙9のエッジがエッジ検出センサ44に接触することを確実に回避することができる。
【0084】
続くステップS21では、位置検出センサ445からのセンサ位置検出信号Shに基づいて蛇行検出センサ44の本体が所望位置まで移動したか判断する。
【0085】
ステップS21でYesと判断されると、ステップS22に進む。ステップS22では、蛇行制御部63は、蛇行検出センサ44からのエッジ検出信号Sfに基づいて、蛇行検出センサ44が拡大された幅サイズWに対応するエッジ位置91を検出できるようになったかを確認する。
【0086】
ステップS22でYesと判断されると、前述したステップS16に進む。
【0087】
このように本実施形態に係る印刷装置1によると、蛇行補正部40に異なる幅サイズの印刷用紙9が流れてくると、蛇行補正部40の動作を停止する蛇行補正停止制御を実行する。また、新しい幅サイズの印刷用紙9が蛇行補正部40の下流に位置する第2エッジセンサ30に到達した以降に蛇行補正を再開する。このため、印刷用紙9を破断させることなく、印刷用紙9の搬送を継続することができる。
【0088】
また、印刷中に印刷用紙ロールRが交換されるなどして印刷用紙9の幅サイズが変更された場合であっても、印刷用紙9の搬送中に新しい幅サイズを検出して記憶部630に記憶されている幅サイズWを更新することができるため、操作者の幅サイズWの入力ミスによるエラーが回避できる。
【0089】
さらに、更新された印刷用紙Pの幅サイズWに基づいて蛇行検出センサ44の設置位置を自動的に調節するため、印刷用紙9の搬送を止めることなく、蛇行補正部40の位置設定を行うことが可能である。
<3.変形例について>
なお、上記実施形態では、印刷用紙9のエッジ91に隣接する光センサにより印刷用紙9のエッジ91を検出したが、カメラ等で撮像することにより印刷用紙9のエッジや幅サイズを検出してもよい。
【0090】
基材の種類は印刷用紙に限られない。フィルム材の基材であっても本発明は適用可能である。
【0091】
印刷の方式はインクジェット方式に限られない。例えば、電子写真方式やオフセット方式の印刷装置であっても本発明は適用可能である。
【0092】
上記実施形態では、第1エッジセンサ20の出力に基づいて印刷用紙9の新しい幅サイズを更新したが、第2エッジセンサ30の出力に基づいて印刷用紙9の幅サイズWを更新してもよい。または第1エッジセンサ20および第2エッジセンサ30の出力の両方に基づいて、例えば両方の出力を平均するなどして、印刷用紙9の幅サイズWを更新してもよい。あるいは、蛇行検出センサ44の出力に基づいて印刷用紙9の幅サイズWを更新してもよい。操作者の入力に基づいて印刷用紙9の幅サイズWを更新してもよい。
【0093】
上記実施形態では、第2エッジセンサ30がコネクト部Cを実際に検出するタイミングに基づいて、蛇行制御部63はコネクト部Cが第2エッジセンサ30の位置に到達したことを判断した。この代わりに、蛇行制御部63は第1エッジセンサ20が印刷用紙9の幅サイズの変更箇所を検出してからの経過時間と搬送機構10の搬送速度とに基づいて、または、第1エッジセンサ20が印刷用紙9の幅サイズの変更箇所を検出してからの搬送機構10による印刷用紙9の搬送距離に基づいて、コネクト部Cが第2エッジセンサ30の位置(基準位置)に到達したことを判断してもよい。
【0094】
より具体的に述べる。搬送機構10の駆動ローラ13または従動ローラ14には各ローラの搬送速度、すなわち搬送機構10の搬送速度、を検出するエンコーダが接続されていてもよい。この場合、第1エッジセンサ20から第2エッジセンサ30までの距離は既知であるので、制御部60(蛇行制御部63)は、第1エッジセンサ20がコネクト部Cを検出してからの経過時間と前記エンコーダの出力信号とから、コネクト部Cが第2エッジセンサ30に到達したことを判断することができる。
【0095】
あるいは、駆動ローラ13に連結されたモータは制御部60(搬送制御部61)が送出する指令パルスに従って回転するサーボモータ、パルスモータ等の搬送モータであってもよい。この場合、制御部60は指令パルスの数をカウントすることにより搬送機構10による印刷用紙9の搬送距離を検知することができる。そして、第1エッジセンサ20から第2エッジセンサ30までの距離は既知であるので、第1エッジセンサ20がコネクト部Cを検出してからの指令パルスの数をカウントすることにより、制御部60(蛇行制御部63)はコネクト部Cが第2エッジセンサ30に到達したことを判断することができる。
【0096】
また、印刷用紙9の搬送開始前において、例えば第1エッジセンサ20で検出した幅サイズと記憶部630が記憶する印刷用紙9の幅サイズとの幅の差分が、閾値Thより大きいと判断できた場合、搬送開始前に蛇行補正停止制御を行っていてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 印刷装置
9 印刷用紙
10 搬送機構
11 巻き出し部
12 巻き取り部
13 駆動ローラ
14 従動ローラ
20 第1エッジセンサ
30 第2エッジセンサ
40 蛇行補正部
41 一対の固定ローラ
42 ガイドローラ
43 移動機構
44 蛇行検出センサ
50 画像記録部
51 記録ヘッド
60 制御部
61 搬送制御部
62 ヘッド制御部
63 蛇行制御部
70 入出力部