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特許7256743ナノスケールまたはサブミクロンスケールのポリマー繊維ウェブを担体上に連続ニードルレス電界紡糸する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-04
(45)【発行日】2023-04-12
(54)【発明の名称】ナノスケールまたはサブミクロンスケールのポリマー繊維ウェブを担体上に連続ニードルレス電界紡糸する装置
(51)【国際特許分類】
   D01D 5/04 20060101AFI20230405BHJP
   D01F 13/04 20060101ALI20230405BHJP
   D04H 1/728 20120101ALI20230405BHJP
【FI】
D01D5/04
D01F13/04
D04H1/728
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019536903
(86)(22)【出願日】2018-01-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 US2018012475
(87)【国際公開番号】W WO2018129244
(87)【国際公開日】2018-07-12
【審査請求日】2020-12-08
(31)【優先権主張番号】62/443,121
(32)【優先日】2017-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521198963
【氏名又は名称】エスエイチピーピー グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジン シュエジー
(72)【発明者】
【氏名】ピーターズ リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ピアソン イブリン
【審査官】鈴木 祐里絵
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-533797(JP,A)
【文献】特表2011-503384(JP,A)
【文献】特開2009-127150(JP,A)
【文献】特開2012-122153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01D1/00-13/02
D04H1/00-18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノスケールまたはサブミクロンスケールのポリマー繊維ウェブ(110)を担体(120)上に連続ニードルレス電界紡糸する装置であって、
前記装置が、
少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイス(400)および電界紡糸ゾーン(Z)を含む電界紡糸筐体(300)と、
前記電界紡糸筐体(300)の外に設けられたワイヤ駆動システム(600)と、
前記電界紡糸筐体(300)の外に設けられた、リサイクルおよび供給タンク(1210)を含む液体ポリマーリサイクルおよび供給システム(1200)と、
前記電界紡糸筐体(300)の外に設けられた、前記電界紡糸筐体(300)内で発生した蒸気を収集および処理するための、また、前記電界紡糸筐体(300)内の圧力を大気圧よりも低く保つための、少なくとも1つの排気流(1605A,1605B,1605C,1650D)を含む、蒸気収集および溶媒回収システム(1600)と、
を含み、
前記ワイヤ駆動システム(600)が、複数の連続電極ワイヤを、前記電界紡糸筐体(300)と、その中に設けられた少なくとも1つの前記液体ポリマーコーティングデバイス(400)および前記電界紡糸ゾーン(Z)とを通って走行させ、
前記リサイクルおよび供給タンク(1210)が、少なくとも1つの前記液体ポリマーコーティングデバイス(400)へ液体ポリマーを供給し、また、少なくとも1つの前記液体ポリマーコーティングデバイス(400)からオーバーフローした液体ポリマーを受け入れる、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記液体ポリマーリサイクルおよび供給システム(1200)が、液体ポリマーを少なくとも1つの前記液体ポリマーコーティングデバイス(400)へ送る液体ポリマー循環および供給ポンプ(1220)と、液体ポリマーを所望の温度に保つ液体ポリマー熱交換器(1230)とを更に含むことを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の装置であって、少なくとも1つの前記液体ポリマーコーティングデバイス(400)が、液体ポリマー供給ポート(450)と液体ポリマー再循環ポート(455)とを含み、前記液体ポリマー供給ポート(450)が、前記液体ポリマーリサイクルおよび供給システム(1200)から液体ポリマーを受け入れ、前記液体ポリマー再循環ポート(455)が、重力流によって液体ポリマーを前記液体ポリマーリサイクルおよび供給システム(1200)へ戻すことを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の装置であって、液体ポリマー調製システム(1300)を更に含み、前記液体ポリマー調製システム(1300)が、ポリマー貯蔵および補給ユニット(1320)と液体ポリマー調製タンク(1310)とを含み、
前記ポリマー貯蔵および補給ユニット(1320)が、前記装置で使用するバルクポリマーを貯蔵し、
前記液体ポリマー調製タンク(1310)が、前記ポリマー貯蔵および補給ユニット(1320)からバルクポリマーを、溶媒供給源から溶媒を受け入れ、その中で前記装置のための液体ポリマーを調製することを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、前記液体ポリマー調製タンク(1310)と前記リサイクルおよび供給タンク(1210)との間に設けられた、前記液体ポリマー調製タンク(1310)内で調製した液体ポリマーを前記液体ポリマーリサイクルおよび供給システム(1200)へ供給するための液体ポリマー補給流(1305)を更に含むことを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の装置であって、前記電界紡糸筐体(300)内に設けられたワイヤクリーニングアセンブリ(500)と、前記電界紡糸筐体(300)の外に設けられた溶媒貯蔵および供給システム(1400)とを更に含み、
前記溶媒貯蔵および供給システム(1400)が、溶媒を前記ワイヤクリーニングアセンブリ(500)へ供給し、
前記ワイヤ駆動システム(600)が、複数の前記連続電極ワイヤ(1000)を、前記ワイヤクリーニングアセンブリ(500)を通って走行させて、それから残留ポリマーを清掃する、
ことを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、前記溶媒貯蔵および供給システム(1400)が、溶媒貯蔵タンク(1410)と、溶媒供給ポンプ(1450)と、溶媒供給流(1420)と、液体ポリマー希釈流(1440)とを含み、
前記溶媒貯蔵タンク(1410)が、前記装置のための溶媒を貯蔵し、
前記溶媒供給流(1420)が、前記溶媒貯蔵タンク(1410)と前記ワイヤクリーニングアセンブリ(500)との間に設けられており、
前記液体ポリマー希釈流(1440)が、前記溶媒貯蔵タンク(1410)と前記液体ポリマーリサイクルおよび供給システム(1200)との間に設けられており、
前記溶媒供給ポンプ(1450)が、前記溶媒供給流(1420)を用いて、溶媒を前記ワイヤクリーニングアセンブリ(500)へ供給し、
前記溶媒供給ポンプ(1450)が、前記液体ポリマー希釈流(1440)を用いて、溶媒を前記液体ポリマーリサイクルおよび供給システム(1200)へ供給する、
ことを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であって、前記溶媒貯蔵および供給システム(1400)が、前記ワイヤクリーニングアセンブリ(500)と前記溶媒貯蔵タンク(1410)との間に設けられた溶媒再循環流(1430)を更に含み、前記溶媒再循環流(1430)が、重力流によって前記ワイヤクリーニングアセンブリ(500)から溶媒を受け入れ、溶媒を前記溶媒貯蔵タンク(1410)へ戻すことを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の装置であって、前記溶媒貯蔵タンク(1410)と前記液体ポリマー調製タンク(1310)との間に設けられた溶媒補給流(1350)を更に含み、前記溶媒供給ポンプ(1450)が、前記溶媒補給流(1350)を用いて、溶媒を前記液体ポリマー調製タンク(1310)へ供給することを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項7から9のいずれかに記載の装置であって、前記蒸気収集および溶媒回収システム(1600)が、前記ワイヤクリーニングアセンブリ(500)から溶媒蒸気を受け入れる、溶媒蒸気流(1630)を更に含むことを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置であって、前記蒸気収集および溶媒回収システム(1600)が、
前記溶媒蒸気流(1630)を用いて前記ワイヤクリーニングアセンブリ(500)から受け入れた溶媒蒸気をその中で凝縮する溶媒凝縮装置(1640)と、
溶媒凝縮液流(1650)と、
吸着床(1660)と、
を更に含み、
前記溶媒凝縮液流(1650)が、凝縮した溶媒を前記溶媒凝縮装置(1640)から受け入れ、それを前記溶媒貯蔵タンク(1410)へ戻し、
前記吸着床(1660)が、前記溶媒凝縮装置(1640)を通過後も凝縮されずに残っている溶媒蒸気を除去する、
ことを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の装置であって、前記蒸気収集および溶媒回収システム(1600)が焼却炉(1620)を更に含み、前記焼却炉(1620)が、少なくとも1つの排気流(1605A,1605B,1605C,1650D)からベントガスを受け入れ、除去することを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の装置であって、担体コンベヤシステム(150)と、ドラフトガス供給源(1710)およびドラフトガス分配マニホールド(1720)を含むドラフトガスシステムとを更に含み、
前記担体コンベヤシステム(150)が、前記電界紡糸筐体(300)の外に設けられており、前記担体(120)を、前記電界紡糸筐体(300)と、その中に設けられた前記電界紡糸ゾーン(Z)とを通って走行させ、
前記電界紡糸ゾーン(Z)内で、前記ナノスケールまたはサブミクロンスケールのポリマー繊維ウェブ(110)が前記担体(120)上に集められ、
前記ドラフトガスシステムが、前記ドラフトガス分配マニホールド(1720)を用いて、前記電界紡糸ゾーン(Z)内の複数の前記連続電極ワイヤ(1000)上にドラフトガスを分配して、前記ナノスケールまたはサブミクロンスケールのポリマー繊維ウェブ(110)が前記担体(120)上に集まることを促す、
ことを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置であって、前記蒸気収集および溶媒回収システム(1600)が、ドラフトガスを前記ドラフトガスシステムへ供給する、熱ガス供給流(1670)を更に含むことを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載の装置であって、担体コンベヤシステム(150)と乾燥ガスシステムとを更に含み、
前記担体コンベヤシステム(150)が、前記電界紡糸筐体(300)の外に設けられており、前記担体(120)を、前記電界紡糸筐体(300)と、その中に設けられた前記電界紡糸ゾーン(Z)とを通って走行させ、前記電界紡糸ゾーン(Z)内で、前記ナノスケールまたはサブミクロンスケールのポリマー繊維ウェブ(110)が前記担体(120)上に集められ、
前記乾燥ガスシステムが、一次分配マニホールド(1690A)を含む一次乾燥領域を含み、前記一次分配マニホールド(1690A)が、一次乾燥ガスを、前記担体(120)と、その上に集められた前記ナノスケールまたはサブミクロンスケールのポリマー繊維ウェブ(110)に分配して、その乾燥を促すことを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項15に記載の装置であって、前記乾燥ガスシステムが、二次分配マニホールド(1690B)を含む二次乾燥領域を更に含み、前記二次分配マニホールド(1690B)が、二次乾燥ガスを、前記担体(120)と、その上に形成されたポリマー繊維ウェブ(110)に分配して、その乾燥を促すことを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項16に記載の装置であって、前記二次乾燥ガスが、前記一次乾燥ガスよりも相対的に低い溶媒蒸気含量と、相対的に高い温度を持つことを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項1から17のいずれかに記載の装置であって、少なくとも1つの前記排気流(1605A,1605B,1605C,1650D)が、蒸気とガスを前記電界紡糸筐体(300)から前記蒸気収集および溶媒回収システム(1600)へ吸引するための、少なくとも1つの送風機(1505,1510,1515,1520,1525)を更に含むことを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項1から18のいずれかに記載の装置であって、前記装置が、前記電界紡糸筐体(300)の近傍に設けられた少なくとも1つの排出制御ボックス(1800A,B,C)を更に含み、少なくとも1つの前記排出制御ボックス(1800A,B,C)が、複数の前記連続電極ワイヤ(1000)および前記担体(120)の1つ以上が前記電界紡糸筐体(300)に出入りするための開口部を含むことを特徴とする装置。
【請求項20】
ナノスケールまたはサブミクロンスケールのポリマー繊維ウェブ(110)を担体(120)上に連続ニードルレス電界紡糸する電界紡糸装置を作動させる方法であって、
前記電界紡糸装置が、
少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイス(400)および電界紡糸ゾーン(Z)を含む電界紡糸筐体(300)と、
前記電界紡糸筐体(300)の外に設けられたワイヤ駆動システム(600)と、
を含み、
前記ワイヤ駆動システム(600)が、複数の連続電極ワイヤ(1000)を、前記電界紡糸筐体(300)と、その中に設けられた少なくとも1つの前記液体ポリマーコーティングデバイス(400)および前記電界紡糸ゾーン(Z)とを通って走行させ、
前記方法が、
液体ポリマー供給物を、前記電界紡糸筐体(300)の外に設けられた液体ポリマーリサイクルおよび供給システム(1200)を備えている、少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイス(400)へ供給するステップと、
前記電界紡糸筐体(300)内で発生した蒸気を、前記電界紡糸筐体(300)の外に設けられた蒸気収集および溶媒回収システム(1600)で収集および処理するステップと、
を含み、
前記蒸気収集および溶媒回収システム(1600)が、前記電界紡糸筐体(300)内の圧力を大気圧よりも低く保つことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の開示内容は、液体ポリマーを、ナノスケールまたはサブミクロンスケールの繊維に電界紡糸する、より詳細には、従来のノズルまたはニードルを使用せずに、液体ポリマーをナノスケールまたはサブミクロンスケールの繊維に電界紡糸する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノスケールまたはサブミクロンスケールの繊維は、濾過、組織工学、防護衣料、複合材料、電池セパレータ、エネルギー貯蔵など様々な用途に有用である。このサイズの高品質な繊維の製造に使われる方法の1つが電界紡糸である。電界紡糸は比較的行い易いが、スループットが非常に低く、その結果、製造コストが非常に高い。このため、ナノスケールおよび/またはサブミクロンスケールの繊維を大量に電界紡糸することは費用効率が良くない。従って、高価値の用途以外では、ナノ繊維の電界紡糸は大部分が学術研究に含まれるものであった。
【0003】
現在の噴射ノズル、ニードルジェット、およびスピニングジェット製造法での生産速度は、通常、ノズル/ジェット当たり毎時約0.05グラム(g/時間)から約0.15g/時間の範囲である。生産速度を上げるため、多くの方法が研究および/または使用されてきた。このような方法としては、ガスアシスト電界紡糸、マルチノズルシステムの使用、ノズルレス/ニードルレスシステムの使用、スピニングジェットの総数の増加が挙げられる。これらの方法にはそれぞれ問題があるが、最大持続生産速度は、(工業用の)装置当たり毎時約2キログラム(kg/時間)に過ぎない。ノズル/ニードルシステムに関する問題としては、噴射ノズル/ニードルオリフィスの目詰まり、ノズル配置を最適化することの難しさ、各ノズルを通る流量を均一に保つことの難しさが挙げられる。ノズルレス/ニードルレスシステムに関する問題としては、溶液タンクからの溶媒の蒸発を制御できないため、溶液の濃度と粘度が変動すること、電界紡糸要素の表面にポリマー層コーティングが堆積して、繊維紡糸速度が著しく低下してしまうことが挙げられる。
WO/2009/010020は、少なくとも1つの紡糸電極と、それに対して(against)配置した収集電極との間の静電界内で、液体マトリックスを紡糸する方法に関し、この方法では、一方の電極を高電圧電源の一方の極に繋げ、第2の電極を接地し、そこにおいて、紡糸される液体マトリックは、紡糸電極であるひも状(cord)紡糸手段の活性紡糸ゾーン上の静電界内にある。
【0004】
本開示内容の態様では、これらおよびその他の欠点に取り組む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示内容の態様は、ナノスケールまたはサブミクロンスケールのポリマー繊維ウェブを担体上に連続ニードルレス電界紡糸する装置に関し、この装置は、
少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイスおよび電界紡糸ゾーンを含む電界紡糸筐体と、
電界紡糸筐体の外に設けられたワイヤ駆動システムと、
電界紡糸筐体の外に設けられた、リサイクルおよび供給タンクを含む液体ポリマーリサイクルおよび供給システムと、
電界紡糸筐体の外に設けられた、電界紡糸筐体内で発生した蒸気を収集および処理するための、また、電界紡糸筐体内の圧力を大気圧よりも低く保つための、少なくとも1つの排気流を含む、蒸気収集および溶媒回収システムと、
を含み、
ワイヤ駆動システムは、複数の連続電極ワイヤを、電界紡糸筐体と、その中に設けられた少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイスおよび電界紡糸ゾーンを通って走行させ、
リサイクルおよび供給タンクは、少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイスへ液体ポリマーを供給し、また、そこからオーバーフローした液体ポリマーを受け入れる。
【0006】
本開示内容の別の態様は、ナノスケールまたはサブミクロンスケールのポリマー繊維ウェブを担体上に連続ニードルレス電界紡糸する電界紡糸装置を作動させる方法に関し、
この電界紡糸装置は、
少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイスおよび電界紡糸ゾーンを含む電界紡糸筐体と、
電界紡糸筐体の外に設けられたワイヤ駆動システムと、
を含み、
ワイヤ駆動システムは、複数の連続電極ワイヤを、電界紡糸筐体と、その中に設けられた少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイスおよび電界紡糸ゾーンとを通って走行させ、
この方法は、
液体ポリマー供給物を、電界紡糸筐体の外に設けられた液体ポリマーリサイクルおよび供給システムを備えている、少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイスへ供給するステップと、
電界紡糸筐体内で発生した蒸気を、電界紡糸筐体の外に設けられた蒸気収集および溶媒回収システムで収集および処理するステップと、
を含み、
蒸気収集および溶媒回収システムは、電界紡糸筐体内の圧力を大気圧よりも低く保つ。
【0007】
図は必ずしも縮尺通りに描かれておらず、類似の数字は、異なる図中の同じ構成要素を示していることがある。異なる文字が末尾についた類似の数字は、同じ構成要素の別の例を表していることがある。図は、本明細書中で論じている様々な態様の例として一般的に描かれているものであり、限定しようとするものではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示内容の態様による、簡略化した電界紡糸装置を示す側面図である。
図2】本開示内容の態様による、液体ポリマーの層を、複数の連続電極ワイヤ上に塗布するための、液体ポリマーコーティングデバイスを示す側面図である。
図3図2の線A-Aから見た部分を示す詳細な断面図である。
図4A図2の線B-Bから見た部分を示す詳細な断面図である。
図4B】本開示内容の態様による、電極ワイヤクリーニングアセンブリの例を示す側面図である。
図5】電界紡糸筐体と、ワイヤ駆動システムと、ワイヤ緊張システムとを含む、複数の連続電極ワイヤの移動経路を示す略図の側面図である。
図6図5の線A-Aから見た部分を示す詳細な断面図である。
図7図6の線B-Bから見た部分を示す詳細な断面図である。
図8】本開示内容の態様による、電界紡糸装置の補助システムを示す配線配管図である。
図9】本開示内容の態様による、電界紡糸装置を示す詳細な配線配管図である。
図10図9のセクションAを示す、電界紡糸装置の部分的配線配管図である。
図11図9のセクションBを示す、電界紡糸装置の部分的配線配管図である。
図12図9のセクションCを示す、電界紡糸装置の部分的配線配管図である。
図13】本開示内容の態様による、液体ポリマー原料を、ナノスケールまたはサブミクロンスケールのポリマー繊維ウェブに連続ニードルレス電界紡糸する方法を示すブロック図である。
図14】本開示内容の態様による、複数の連続電極ワイヤを、電界紡糸装置を通って走行させる方法を示すブロック図である。
図15】本開示内容の態様による、電界紡糸筐体からナノスケールまたはサブミクロンスケールのポリマー繊維ウェブを収集する方法を示すブロック図である。
図16】担体上にナノスケールまたはサブミクロンスケールのポリマー繊維ウェブを連続ニードルレス電界紡糸する電界紡糸装置を作動させる方法を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な開示内容の記述とそれに含まれる実施形態を参照することで、本開示内容をより容易に理解できる。様々な態様において、本開示内容は、ポリマー繊維ウェブを担体上に電界紡糸し、それをローラ上に集めるための装置および方法に関する。文中に述べられている装置および方法は、現在利用でき、また知られている電界紡糸法に比べて、非常に高いスループットと生産強度-かつ、ずっと少ない資本投資と製造コスト-で、ナノスケールまたはサブミクロンスケールの繊維を生産することができる。
【0010】
本発明の化合物(compounds)、組成物(compositions)、物品、システム、デバイス、および/または方法を開示および記述する上で、別途指定のない限り、当然のことながら、これらは、特定のポリマー材料、ポリマー材料の特定の状態(即ち、溶融物または溶液)、ポリマー溶液の調製に使用する溶媒の特定のタイプ、または特定の作動条件(例えば、溶液中のポリマーの質量%、ポリマー溶液中の添加物、温度、電圧、電界の距離など)、あるいは特定の装置の大きさおよびその構成材料(例えば、電極ワイヤの組成、連続電極ワイヤの数、電極ワイヤの長さ、平行な電極ワイヤ間の距離、1本の電極ワイヤ径路中のポリマーコーティングデバイスの数、2つの液体ポリマーコーティングデバイス間の距離など)に限定されず、これらのパラメータは変えることができる。更に、当然のことながら、文中で使用されている専門用語は詳細な態様を記述することを目的としているだけであり、限定しようとするものではない。
【0011】
本件に開示されている要素の様々な組み合わせ、例えば、同じ独立クレームに基づく従属クレームの要素の組み合わせは、本開示内容に包含される。
【0012】
更に、当然のことながら、別途明白に述べられていない限り、文中に述べられている任意の方法が、特定の順序でそのステップを行うことを要求していると解釈されることは全く意図していない。従って、ある方法の請求が、そのステップが従うべき順序を実際に列挙していない、あるいは、ステップが特定の順序に限られていることが、請求項または記述に、別途明確に述べられていない場合、どの点においても、順序が暗示されていることは決して意図していない。これは、ステップまたは操作の流れの配置に関する論理の問題、文法構成または句読法に由来する平易な意味、および、本明細書に述べられている態様の数または種類など、解釈のための、可能な、表現されない基本の全てについて適用される。
【0014】
<電界紡糸装置>
図1から12を参照するならば、本開示内容の態様は、ポリマー繊維ウェブ110を担体120上に電界紡糸する装置100に関する。装置100の簡略化した配線配管図を図1に示す。この装置の特定の構成要素としては、電界紡糸筐体300、少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイス400、ワイヤ駆動システム600、ワイヤ緊張システム700、導電性接地板800、および高電圧を複数の連続電極ワイヤ1000に印加する少なくとも1つの高電圧電源ユニット820が挙げられる。担体120は、担体供給ローラ200から解かれ、電界紡糸筐体の中を通って走行する。複数の連続電極ワイヤ1000は、移動する担体120の面と、通常は平行に、ワイヤ駆動システム600およびワイヤ緊張システム700により、電界紡糸筐体の中を通って走行する。複数の連続電極ワイヤ1000と担体120の移動方向は、並走または逆走のいずれでも良い。複数の連続電極ワイヤ1000は、少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイス400のそれぞれの中で液体ポリマーの層を被覆され、少なくとも1つの高電圧電源ユニット820で複数の連続電極ワイヤ1000に印加された高電圧と、導電性接地板800との間の電圧差により、多くの液体テイラーコーンジェット840が、複数の連続電極ワイヤ1000の表面から噴出して担体120と接触し、担体120上にポリマー繊維ウェブ110が形成される。ポリマー繊維ウェブ110と担体120は電界紡糸筐体300から出て、例えば、コンビネーションローラ210(図1に示すような)に巻き取って、あるいは、別の態様では、文中に述べられているように、担体120からポリマー繊維ウェブ110を分離し、別の繊維ウェブローラに巻き取って集められる。ワイヤクリーニングアセンブリ500は、余分な液体ポリマーと、更に、固化したポリマーを、複数の連続電極ワイヤ1000の表面から取り除く。装置100の構成要素と働きについては以下で更に詳しく述べる。
【0015】
電界紡糸筐体300は、電界紡糸工程を内部で行い、作業環境へ放出される潜在的に有害な物質を少なくするために周囲を取り囲んでいる覆いである。電界紡糸筐体300は(複数の連続電極ワイヤ1000が電界紡糸筐体300を通り抜けられるよう、最小限のサイズとした開口部と、担体120(および、その上に形成されたポリマー繊維ウェブ110)が電界紡糸筐体300から出入りできるだけの狭い開口部を除いて)、ほぼ密閉されており、大気圧よりも低い圧力で作動する。電界紡糸工程で発生した蒸気は、電界紡糸筐体300内部に含まれていて、その後、文中で更に詳しく述べられているような蒸気収集および溶媒回収システム1600に集められる。一部の態様において、電界紡糸筐体300は、電界紡糸筐体300近傍の大気/空気が電界紡糸筐体300内へ吸い込まれ、蒸気収集および溶媒回収システム1600で収集されるよう、大気圧に比べて陰圧で作動し、これにより電界紡糸筐体300内の潜在的に有害な蒸気が大気中へ逃げ出すことを防ぐ。複数の連続電極ワイヤ1000は、使用する電極ワイヤの直径よりも僅かに大きい直径を持つ開口部を通って電界紡糸筐体300へ入り、その後にそこから出るよう走行し、また、文中で更に述べられているように、電界紡糸されたポリマー繊維ウェブ110中の繊維のポリマー原料となる液体ポリマーの層で被覆される。
【0016】
電界紡糸筐体300は、少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイス400を含む。少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイス400は、複数の連続電極ワイヤ1000に被覆する液体ポリマー原料を供給する。例示的な態様において、少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイス400は、液体ポリマーコーティングマニホールド410と液体ポリマーオーバーフローリザーバ420とを含む。
【0017】
液体ポリマーコーティングマニホールド410は、複数のワイヤ引入れ開口部430と、ワイヤ引入れ開口部430の数に対応した複数のワイヤ引出し開口部440を含む。ワイヤ引入れ開口部430およびワイヤ引出し開口部は、一部の態様において、液体ポリマーコーティングマニホールド410の外側表面から少しの長さ“L”外に伸びた部分があっても良く、あるいは、長さLはゼロでも良い(この場合、開口部の厚さは、液体ポリマーコーティングマニホールドの厚さに相当する)。開口部の直径と長さは、制御される液体ポリマーのオーバーフローの程度に応じて変えることができる。液体ポリマーは、液体ポリマーリサイクルおよび供給システム1200により、液体ポリマー供給ポート450を通って、液体ポリマーコーティングマニホールド410へ供給される。液体ポリマーリサイクルおよび供給システム1200については後で更に詳しく述べる。文中で更に詳しく説明するが、作動に関するいくつかの態様において、複数の連続電極ワイヤ1000のそれぞれは、連続ループとなって、少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイス400の中へ入り、ワイヤ引入れ開口部430を通って液体ポリマーコーティングマニホールド410中に入り、そこで液体ポリマーの層を被覆される。次に、被覆されたそれぞれの連続ワイヤ1000は、ワイヤ引入れ開口部430に対応する(それと一直線に並んだ)ワイヤ引出し開口部440を通って液体ポリマーコーティングマニホールド410から出て、また、液体ポリマーコーティングデバイス400から出る。
【0018】
液体ポリマーオーバーフローリザーバ420は、液体ポリマーコーティングマニホールド410から溢れた液体ポリマーと、液体ポリマーコーティングマニホールド410から出る複数の連続電極ワイヤ1000から滴る液体ポリマーを受け入れる。液体ポリマーオーバーフローリザーバ420が一杯になると、液体ポリマー再循環ポート455は、リザーバ内に集まった液体ポリマーを、液体ポリマーリサイクルおよび供給システム1200へ再循環させる。一部の態様において、液体ポリマー再循環ポート455は、重力流によって、液体ポリマーを液体ポリマーリサイクルおよび供給システム1200へ再循環させる。
【0019】
文中に述べられている液体ポリマーは、電界紡糸用途での使用に適したものであればどのようなポリマーであっても良く、純粋な溶融液体状態とした、あるいは、ポリマーを純粋溶媒または溶媒混合物に溶解して液状の溶液とした、天然由来および合成ポリマーが挙げられる。更に、液体ポリマーは、混ぜた合わせた1つ以上のポリマーを含むこともある。本開示内容の態様での使用に適した天然由来ポリマーの例としては、タンパク質、セルロース、リグニン、コラーゲン、DNA、およびゴムが挙げられる(但し、これらに限定しない)。本開示内容の態様での使用に適した合成ポリマーの例としては、ポリアミド、ポリウレタン、ポリベンゾイミダゾール、ポリカルボナート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリ乳酸、ポリエチレン-コ-酢酸ビニル、ポリメタクリラート、ポリエチレンオキシド、ポリアニリン、ポリスチレン、ポリビニルフェノール、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルイミド、ポリアラミド、および合成ゴムが挙げられる(但し、これらに限定しない)。一部の態様において、1つ以上の異なる種類のポリマー原料から、異なる繊維層を備えた単一のポリマー繊維ウェブ110を作成しても良い。例えば、複数の液体ポリマーコーティングデバイス400を含むシステムにおいて、ポリマー繊維ウェブ110が、担体120上で複数の層となった複数のポリマーを含むよう、それぞれの液体ポリマーコーティングデバイス400に原料の異なる液体ポリマーを供給することができる。
【0020】
ワイヤ駆動システム600は、電界紡糸筐体300を通って複数の連続電極ワイヤ1000を移動させる。ある態様において、ワイヤ駆動システムは、複数の連続電極ワイヤ1000を引っ張る、マスタワイヤ駆動ドラム610とスレーブワイヤ駆動ドラム620を含む。マスタワイヤ駆動ドラム610の駆動力は、可変周波数駆動装置(variable frequency drive:VFD)など、電源ユニットから直に来るが、スレーブワイヤ駆動ドラム620の駆動力は、マスタワイヤ駆動ドラム610から来ている。マスタおよびスレーブワイヤ駆動ドラム配置の特に有利な点は、各連続電極ワイヤに伝えることのできる牽引力の量が、ワイヤとドラムの間で滑りまたは横滑りを起こさずに著しく大きくなることである。
【0021】
マスタワイヤ駆動ドラム610はマスタギヤプレート630を含み、スレーブワイヤ駆動ドラム620は、マスタワイヤ駆動ドラム610が回転するとスレーブワイヤ駆動ドラム620が逆方向に回転するようにマスタギヤプレート630と連結している、スレーブギヤプレート640を含む。マスタワイヤ駆動ドラム610は、マスタワイヤ駆動ドラム610を回転させるモータ駆動軸650に連結している。一部の態様では、変速モータがマスタワイヤ駆動ドラム610を駆動する。マスタワイヤ駆動ドラム610の速度は、一部の態様において、毎分約1メートル(m/分)から約200m/分の速度で複数の連続電極ワイヤ1000を駆動するように変えることができる。ある態様では、固定速モータで、マスタワイヤ駆動ドラム610を駆動することがある。
【0022】
スレーブワイヤ駆動ドラム620は、マスタワイヤ駆動ドラム610の回転に応じてスレーブワイヤ駆動ドラム620を自由に回転させることのできる、自由回転軸660に連結している。別の態様において、スレーブワイヤ駆動ドラム620は、本文中に述べられているような連結したギヤプレート(630、640)ではなく、チェーンによって、マスタワイヤ駆動ドラム610で駆動しても良い。
【0023】
図6に示すように、マスタワイヤ駆動ドラムおよびスレーブワイヤ駆動ドラムはそれぞれ、複数の連続電極ワイヤ1000を離すための複数のワイヤガイド670を含んでいる。複数のワイヤガイドのそれぞれは、複数の電極ワイヤ1000の1本を導くための、導管(channel)または溝を含む。図5に示すように(1本のワイヤのみ)、連続電極ワイヤ1000は、マスタワイヤ駆動ドラム610とスレーブワイヤ駆動ドラム620で牽引される。連続電極ワイヤ1000は、これらのワイヤドラム上にそれぞれあるワイヤガイド670で導くことができる。連続電極ワイヤは、スレーブワイヤ駆動ドラム620からワイヤ緊張システム700を通る輪になっていても良い。
【0024】
ワイヤ緊張システム700は、複数の連続電極ワイヤ1000に必要量の張力を与える。ある態様において、ワイヤ緊張システムは、複数の連続電極ワイヤ1000のそれぞれに独立して張力を与える。これは、連続電極ワイヤに独立して張力を与える、独立したワイヤテンショナ710で、それぞれの連続電極ワイヤ1000を導くことで達成できるだろう。図5は、1本のワイヤの例についてであり、1つのワイヤテンショナ710を示している。一部の態様において、それぞれの連続電極ワイヤ1000が、それぞれのワイヤテンショナ710を持つことがあると分かるだろう。従って、250本のワイヤを含む装置は、250の個々のテンショナを含むことになる。ある態様において、個々のテンショナは、限られた設置スペースの問題に対処するため、グループに分けて異なる場所に設置することがある。例えば、連続電極ワイヤを互いに僅かな距離離す(例えば、5ミリメートル(mm)離す、10mm離す、15mm離す、または20mm離す)ことが望ましい場合、例えば250の個々のテンショナを一列に設置することは難しいと考えられる。従って、ある態様では、連続電極ワイヤを5つのグループに分け、グループ1が、ワイヤ1、6、11、16、 … および246のためのテンショナを含み、グループ2が、ワイヤ2、7、12、17、 … および247のためのテンショナを含み、グループ3が、ワイヤ3、8、13、18、 … および248のためのテンショナを含み、グループ4が、ワイヤ4、9、14、19、 … および249のためのテンショナを含み、グループ5が、ワイヤ5、10、15、20、 … および250のためのテンショナを含むようにしても良い。このようにすると、各ワイヤのテンショナ間の距離を25mmまで大きくすることができる。
【0025】
複数の連続電極ワイヤ1000は、編組線、撚線、ピアノ線、引き抜き線(drawn)など、適当であればどのような種類のワイヤであっても良い(但し、これらに限定しない)。より多くの液体ポリマーをワイヤ表面に被覆できるよう、比較的表面積が大きく、また電界紡糸に使用できるワイヤを選ぶことが望ましいが、面積の大きいワイヤは、残留する未反応ポリマーを保持する表面も多くなり、汚染/クリーニングの懸念が生じることがある。
【0026】
文中に述べられている装置100および関連要素(ワイヤ駆動システム600と、個別のワイヤテンショナ710を備えたワイヤ緊張システム700と、複数のワイヤ引入れ開口部430とそれに対応するワイヤ引出し開口部440とを備えた液体ポリマーコーティングマニホールド410を含む、少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイス400を含む電界紡糸筐体300と、を含む(但し、これらに限定しない))は、電界紡糸筐体300を通って、数ダースまたは数百もの連続電極ワイヤ1000を走行させることができ、そこでワイヤは液体ポリマーで被覆されて、電界紡糸工程で使用することができる。更に、これらの複数の(数ダース/数百の)連続電極ワイヤ1000は、電界紡糸筐体300を通って無限ループで連続的に循環するため、ポリマー繊維ウェブ110を作る電界紡糸工程を、現在知られている電界紡糸工程よりもずっと大きい(数桁大きい)生産量で行うことができる。
【0027】
本装置は、電界紡糸工程に必要な電界強度を発生する、少なくとも1つの高電圧電源ユニット820を含む。少なくとも1つの高電圧電源ユニット820はそれぞれ、負電源と正電源を備えている。一般に、負電源は、電界紡糸筐体300の内部、担体120の第1の側810の近くに設けられた導電性接地板800に有線接続し、一方、正電源は、複数の連続電極ワイヤ1000と接している、少なくとも1つの導電性の自由回転車軸850に有線接続しており、これは、図1および10に示すように、担体120の第2の側830の近くに設けられている。一部の態様において、少なくとも1つの導電性自由回転車軸850は、その表面に均一に広がっている複数の溝(例えば、V字型の溝)を含む。それぞれの溝は、1本の連続電極ワイヤ1000を受けている。少なくとも1つの高電圧電源ユニット820からの正電圧がそれぞれの電極ワイヤ1000に伝わるよう、対応するワイヤテンショナ710を調整して、溝と電極ワイヤとの良好な接触を保つ。作動中、導電性自由回転車軸850は、電極ワイヤ1000の動きに従って自由に回転する。一部の態様において、少なくとも1つの高電圧電源ユニット820の正および負の電源は、導電性接地板800と連続電極ワイヤ1000との間で切り替えることができる。このような態様では、負電圧電界紡糸工程が意図される。
【0028】
少なくとも1つの高電圧電源ユニット820(図1で、電界紡糸筐体300の外に示されている)は、導電性接地板800と複数の連続電極ワイヤ1000との間に電圧差を印加する。作動中、電界紡糸筐体300の電界紡糸ゾーンZ内の導電性接地板800を通過する、液体ポリマーで覆われた連続電極ワイヤ1000に正電圧を印加すると電界が生じ、これにより、連続電極ワイヤ1000上の液体ポリマーが荷電して、連続電極ワイヤ1000の表面から導電性接地板800の負電源へ向けて、荷電した液体テイラーコーンジェット840が噴出する。液体テイラーコーンジェット840は伸びて、飛行中に部分的に乾燥し、ナノメートルスケールまたはサブミクロンスケールの直径を持つポリマー繊維を形成する。この繊維は、担体120と接触してその上に集まり、また、電界紡糸筐体300を通って、複数の連続電極ワイヤ1000と、一般に平行に、同じ向きまたは逆方向へ移動する。このプロセスを、導電性接地板800の長さ(これを、電界紡糸ゾーンZと呼ぶことができる)に亘って繰り返すと、担体120上にポリマー繊維ウェブ110が形成される。文中において、ポリマー繊維はナノメートルスケールの直径またはサブミクロンスケールの直径を持つと述べられており、これらの繊維は一般にナノ繊維またはサブミクロン繊維と呼ばれるが、文中に述べられている装置および方法で製造される繊維は、ナノ繊維の大きさまたはサブミクロンの大きさである必要はなく、別の大きさの繊維が形成されるよう、プロセス条件を変えても良いことは認められるだろう。
【0029】
図1では、少なくとも1つの高電圧電源ユニット820を電界紡糸筐体300の外に示したが、そうである必要はない。必要ならば、これを電界紡糸筐体300の中に設けても良い。
【0030】
特に図3を参照するならば、ある態様において、1つ以上のワイヤ引入れ開口部430とワイヤ引出し開口部440は、ワイヤ引入れ開口部430/ワイヤ引出し開口部440と、そのそれぞれの連続電極ワイヤ1000の間に置かれた毛細管460を含む。図に示すように、毛細管460は、液体ポリマーコーティングマニホールド410から長さLに亘って外側へ伸びていても良く、それを通る連続電極ワイヤ1000の直径よりも僅かに大きく、小さな間隙470が生じる大きさの内径を持つサイズとすることができる。毛細管460の内径は、連続電極ワイヤ1000が最少の摩擦で液体ポリマーコーティングマニホールド410を通過するには十分大きいが、液体ポリマーコーティングマニホールド410から液体ポリマーが過剰に失われるのを防ぐには十分小さいサイズとする。更に、毛細管の長さLは、毛細管460から失われる液体ポリマーがより少なくなるよう、液体ポリマーコーティングマニホールド内に液体の背圧を生じる。毛細管460(および、そのそれぞれのワイヤ引入れ開口部/ワイヤ引出し開口部)から出た液体ポリマーは、文中に述べられているように、液体ポリマーオーバーフローリザーバ420へ流れ出る。
【0031】
一部の態様において、液体ポリマーコーティングデバイス400は、液体ポリマーオーバーフローポート480を更に含むことができる。液体ポリマーオーバーフローポート480は、文中に述べられている液体ポリマーオーバーフローリザーバ420へオーバーフローする、液体ポリマーの別の供給源となることができる。一部の態様において、液体ポリマーオーバーフローポート480は、液体ポリマーコーティングデバイス400内の液体ポリマーが動き続けて、比較的一定した温度を持つよう、一定のオーバーフロー量となるように設定することができる。
【0032】
ある態様において、液体ポリマーコーティングデバイス400は、少なくとも1組のワイヤ位置決めプーリ490を含むことができる。少なくとも1組のワイヤ位置決めプーリ490は、図2に示すように、複数のワイヤ引入れ開口部430の近くに設けることができ、複数の連続電極ワイヤ1000を、液体ポリマーコーティングマニホールド410の複数のワイヤ引入れ開口部430へ導くよう機能することができる。
【0033】
装置100は、ある態様において、ワイヤクリーニングアセンブリ500を含むことができる。ワイヤクリーニングアセンブリ500は、複数の連続電極ワイヤ1000の表面から、残留している液体ポリマーや他の電界紡糸残分を除くために含むことができる。ワイヤクリーニングアセンブリ500は、文中に述べられている液体ポリマーコーティングデバイス400と同じ機構を含むことができる(必ずしも含む必要はないが)。図4Bにワイヤクリーニングアセンブリ500の例を示すが、これは、連続電極ワイヤ1000の数に対応する、多数の溶媒マニホールドワイヤ引入れ開口部530と溶媒マニホールドワイヤ引出し開口部540を含む溶媒コーティングマニホールド510を含んでいる。溶媒コーティングマニホールド510は、更に、溶媒マニホールドワイヤ引入れ開口部530と溶媒マニホールドワイヤ引出し開口部540から溢れた溶媒を受ける、溶媒オーバーフローリザーバ520を含むことができる。新たな溶媒を(溶媒コーティングマニホールド510が含まれているならば、溶媒供給流1420に繋がっている溶媒コーティングポート550を用いて)、ワイヤクリーニングアセンブリ500に供給することができる。溶媒オーバーフローリザーバ520に集められた余分な溶媒は、溶媒再循環流1430に繋がっている溶媒再循環ポート555を用いて、溶媒貯蔵および供給システム1400に戻すことができる。このように、溶媒コーティングマニホールド510は、液体ポリマーコーティングマニホールド410と同じように作動するが、連続電極ワイヤ1000から残留液体ポリマーや他の電界紡糸残分を除くため、複数の連続電極ワイヤ1000へ溶媒溶液を供給することができる。溶媒は、液体ポリマー(例えば、ポリマー溶液)の調製に使用したものと同じ種類、または任意の別の適当な溶媒のいずれであっても良い。一部の態様において、溶媒再循環ポート555は、重力流によって溶媒を溶媒貯蔵および供給システム1400へ再循環させる。
【0034】
ワイヤクリーニングアセンブリ500は、図5に示すように電界紡糸筐体300の中に、あるいは、電界紡糸筐体300の外に(図示せず)に設けることができるが、いずれの場合も、ワイヤクリーニングアセンブリ500は、一般に、電界紡糸ゾーンZの後ろまたは下流に設けられることは理解されるだろう。文中で用いられている“上流”とその対義語の“下流”は、本装置を作動させる際の、複数の連続電極ワイヤ1000の移動方向に対する、ある構成要素と他のものとの位置に関する。一部の態様において、連続電極ワイヤ1000がワイヤクリーニングアセンブリ500から出て、電界紡糸筐体300から出る前に、ワイヤ表面に保持されている溶媒を溶媒乾燥ステップで蒸発させて、連続電極ワイヤ1000が潜在的に有害な溶媒を環境へ持ち出すのを防ぐことができる。
【0035】
一部の態様において、装置100は、導電性抵抗測定システム560を更に含む。抵抗測定システムは、上流の接点580(即ち、液体ポリマーをコーティングする前)と、下流の接点590(即ち、電界紡糸ゾーンZおよび/またはワイヤクリーニングアセンブリ500の後)の両方で、複数の連続電極ワイヤ1000の1本以上の抵抗を測定するよう構成されたオーム計570などのデバイスを含む。測定された抵抗は、電界紡糸筐体300から出る、複数の連続電極ワイヤ1000の1本以上が、その対応する表面に固体ポリマーを含んでいて、ワイヤスクラバ1900や他のクリーニングシステムなど、より厳しいクリーニング方法を用いて更に清掃する必要があるかどうかを示すことができる。特定の態様において、抵抗測定システムは、特定の時間間隔で(例えば、5ミリ秒(ms)毎に)、上流接点580と下流接点590で、複数の連続電極ワイヤ1000のそれぞれを測定するよう構成されている。
【0036】
図8を参照するならば、また先に説明したように、本装置は、液体ポリマーリサイクルおよび供給システム1200を含むことができる。液体ポリマーリサイクルおよび供給システム1200は、液体ポリマーコーティングデバイス400のそれぞれに備えられている液体ポリマーコーティングマニホールド410の液体ポリマー供給ポート450を用いて、少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイス400のそれぞれに液体ポリマーを供給する。更に、液体ポリマーリサイクルおよび供給システム1200は、少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイス400に備えられている液体ポリマー再循環ポート455を用いて、少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイス400のそれぞれから受けた、液体ポリマーオーバーフローを受け入れる。液体ポリマーリサイクルおよび供給システム1200は、少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイス400のそれぞれからリサイクルされた液体ポリマーを受け入れ、液体ポリマー供給物をそこへ送り込むためのリサイクルおよび供給タンク1210と、液体ポリマーを、少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイス400のそれぞれへポンプで送る(例えば、液体ポリマー分配マニホールド(図示せず)を通して)液体ポリマー循環および供給ポンプ1220と、望ましい液体ポリマー温度を保つように作動する液体ポリマー熱交換器1230とを含む。注目すべきは、図8の配線配管図に、様々なポンプ(“M”)、流量計(“F”)、バルブ(“V”)、成分分析器/送信器(“CA”)、および熱交換器/冷却器(“HC”)が描かれていることで、その適切な選択および操作は当業者に知られており、ここでは詳しく述べない。
【0037】
液体ポリマーリサイクルおよび供給システム1200は、液体ポリマー補給流1305を用いて、液体ポリマー調製システム1300から液体ポリマーを受け入れる。液体ポリマーリサイクルおよび供給システム1200は、電界紡糸工程で使用される液体ポリマーを、必要な濃度と温度で供給するよう作動する。液体ポリマー調製システム1300は、液体ポリマー調製タンク1310を含み、これは、一部の態様において、撹拌器とポリマー貯蔵および補給ユニット1320を含んでいる。一部の態様において、液体ポリマー調製システム1300は、バッチ処理で稼働し、この処理は、(a)液体ポリマー調製タンク1310に、溶媒貯蔵および供給システム1400から、溶媒補給流1350を用いて、所定の量の溶媒を受け入れるステップと、(b)液体ポリマー調製タンク1310に、所定の量のポリマーを、ポリマー貯蔵および補給ユニット1320から受け入れるステップと、(c)液体ポリマー調製タンク内で、固体のポリマーが完全に溶媒に溶けるまで、溶媒とポリマーを所定の温度に加熱して混合するステップと、(d)調製したポリマー溶液バッチをリサイクルおよび供給タンク1210へ移送するステップと、を含む。一部の態様において、液体ポリマー調製タンクは、液体ポリマーの調製を促すための撹拌および加熱機構を含んでいても良い。図8に示すように、液体ポリマー調製システムは、更に、ある態様において、液体ポリマー調製タンク1310内の液体ポリマーを、ポリマー調製熱交換器1340を通って循環させ、また、バッチの終わりに、液体ポリマー補給流1305を用いて、液体ポリマーをポリマー調製タンク1310からリサイクルおよび供給タンク1210へ移送する、液体ポリマー調製移送ポンプ1330を含むことができる。
【0038】
ある態様において、本装置100は、溶媒貯蔵および供給システム1400も含むことができる。溶媒貯蔵および供給システム1400は、溶媒を貯蔵し、液体ポリマー調製システム1300とワイヤクリーニングアセンブリ500へ溶媒を供給するよう作動する。一部の態様において、溶媒貯蔵および供給システムのための溶媒の一次供給源は、後でより詳しく説明するように、蒸気収集および溶媒回収システム1600で回収された溶媒である。このような態様において、ワイヤクリーニングアセンブリ500の稼働や、別の溶媒の処理の間に失われた溶媒を釣り合わせるため、新たな補充溶媒を別の供給源(図示せず)から加えることがある。溶媒貯蔵および供給システム1400は溶媒貯蔵タンク1410を含む。溶媒貯蔵タンク1410は、溶媒供給流1420を用いて、ワイヤクリーニングアセンブリ500へ溶媒を供給し、溶媒再循環流1430を用いて、ワイヤクリーニングアセンブリからオーバーフローした溶媒を受け入れる。更に、液体ポリマーリサイクルおよび供給システム1200内の液体ポリマーの濃度を希釈する必要があるならば、液体ポリマー希釈流1440を用いて、溶媒を液体ポリマーリサイクルおよび供給システム1200へ供給することができる。溶媒供給ポンプ1450は、溶媒を、ワイヤクリーニングアセンブリ500、液体ポリマーリサイクルおよび供給システム1200、および液体ポリマー調製システム1300へ送る。
【0039】
更に別の態様において、本装置100は、蒸気収集および溶媒回収システム1600を含み、これは、一部の態様において、いくつものサブシステムを含み、その操作と機能については後でより詳細に述べる。
【0040】
一部の態様において、蒸気収集および溶媒回収システム1600は、電界紡糸筐体300近傍の大気/空気を電界紡糸筐体300内に吸い込み、電界紡糸筐体300内の潜在的に有害な蒸気が大気中に逃げるのを防ぐために、電界紡糸筐体300を必要な程度に減圧する。ある態様では、図8に示すように、蒸気収集および溶媒回収システムは、蒸気とガスを電界紡糸筐体300から蒸気収集および溶媒回収システム1600へ引き込むための、5つの送風機(送風機#1 1505、送風機#2 1510、送風機#3 1515、送風機#4 1520、および送風機#5 1525)を含む。送風機#1 1505は、複数の連続電極ワイヤ1000が電界紡糸筐体300を出入りする開口部(排出制御ボックス1800A)、担体120が電界紡糸筐体300に入る開口部(排出制御ボックス1800B)、担体120が電界紡糸筐体300から出る開口部(排出制御ボックス1800C)など、様々な入口(周囲空気入口#1 1610A、#2 1610B、および#3 1610C)で、電界紡糸筐体300内へ周囲の空気を吸い込む。周囲の空気と少量のポリマーおよび溶媒は(排出制御ボックス排気流1605A、1605B、および1605Cを経て)送風機#1 1505を通って吸引され、集められて、最終的には焼却炉1620内で処理され、有害な残留蒸気を除去する。排出制御ボックス排気流は、一部の態様において、既知の機械的取り付け法によって排出制御ボックスに取り付けられ、または連結していても良い。一部の態様において、送風機#1 1505は、約-2”水柱ゲージ(water column gauge:WCG)から約-10”WCGの真空度で、排出制御ボックス1800A、1800B、および1800Cを作動させる。
【0041】
焼却炉1620からの排出物は、大気中へ放出することができる。ある態様において、送風機#3 1515は、発生した溶媒蒸気とドラフトガス(使用されているならば)を、比較的低温で、溶媒蒸気を多く含んでいる溶媒蒸気流1630を用いて収集する。一方、送風機#2 1510は、繊維の乾燥で生じた蒸気と、繊維の乾燥に用いた熱乾燥ガスを、比較的高温で蒸気濃度の低い熱ガス排気流1605Dを用いて収集する。送風機#2 1510からの蒸気/ガスは熱交換器#1 1540を通り、送風機#5 1525による、溶媒凝縮装置1640からのベントガス流と熱交換する。熱交換器#1の後、送風機#2 1510から出た流れ(温度が低下している)は、送風機#3 1515から出た溶媒蒸気流1630と合流する。この合流した蒸気/ガス流は、ベンチュリミキサ1565および溶媒凝縮装置1640に入る。ベンチュリミキサ1565は、蒸気/ガス温度を、溶媒凝縮装置1640内の溶媒液体の運転温度付近まで更に冷やすために、蒸気/ガス流と、ポンプ#1 1535からの冷たい液体循環流とを混合する。その結果、蒸気/ガス流中の溶媒蒸気の大半は凝縮されて液体となる。蒸気の凝縮により放出された熱は、ベンチュリミキサに入ってくる冷たい溶媒液体循環流によって吸収され、その後、この熱は、冷却水や冷水など(但し、これらに限定しない)の冷媒を用いて、熱交換器#2 1545で除かれる。ベンチュリミキサ1565の作動の間に凝縮されなかった溶媒蒸気は、溶媒凝縮装置1640から出たベントガスが熱交換器#5 1560を通る際に更に凝縮されると考えられる。溶媒凝縮装置1640内で回収された液体溶媒は、溶媒凝縮液流1650を用いて溶媒貯蔵および供給システム1400へ戻される。一部の態様において、戻す速度は、溶媒凝縮装置1640内の液面で制御することができる。
【0042】
熱交換器#5 1560の後、ベントガスは、ガス中の蒸気含量がより低くなる。ベントガス流を2つの流れに、一方を送風機#5 1525へ、もう一方を送風機#4 1520へ分けることができる。送風機#5 1525から出たベントガスを更に2つの流れに、一方を焼却炉1620へ、もう一方を熱交換器#1 1540へ分けることができる。焼却炉1620へのベント流の流量は、必要なガス抜き量に基づいて調節でき、その量は、溶媒蒸気流1630および熱ガス供給流1670中で測定した酸素濃度の、規定値からの逸脱に基づいて計算することができる。一部の態様において、既定値は、溶媒蒸気が発火する可能性を持つ酸素濃度より、公称で20~30%低い。逸脱が大きくなると、より多くのベント流ガスが焼却炉1620へ排出され、逆もまた同じである。送風機#5 1525からの別のベント流の温度は、熱交換器#2 1545を通過後に上昇する。この加熱されたベントガスは、電界紡糸筐体300へ戻り、電界紡糸工程のドラフトガスとして再使用される。送風機#4 1520へのベント流を、更に2つの別々な流れに、一方を熱交換器#3 1550に、もう一方を吸着床1660に分ける。熱交換器#3 1550から出たベント流の温度を既定値まで、一部の態様において、電界紡糸筐体300内で繊維ウェブの乾燥に用いる一次乾燥ガスの温度まで上昇させる。
【0043】
文中に述べられている装置100の態様は、大気圧よりも低い圧力で作動する電界紡糸筐体が、毒性および/または可燃性蒸気が大気/作業環境中に逃げ出すのを防ぐため、毒性または可燃性ポリマーの電界紡糸が可能となることで、少なくとも現在の電界紡糸法を超える付加的利点を提示する。これらの蒸気は、文中で論じられているように、収集され、安全に処理される。より詳細には、一部の態様において、電界紡糸筐体300は、筐体内の酸素含量を測定および/または監視するための、1つ以上の酸素センサを含む。検出された酸素含量が、既定の低値よりも高ければ、電界紡糸筐体300内部の酸素含量が既定の低値よりも下がるまで、送風機#5 1525からより多くのベントガスを焼却炉1620へ送り、新たな不活性ガス(窒素など、但しこれに限定しない)を、電界紡糸筐体300へ加えることができる。更に別の態様において、検出された酸素含量が、既定の高値よりも高くなったら、安全機能として、高電圧電源ユニット820を自動的に停止することがある。安全機能としては、例えば、高電圧電源ユニット820の接点を、接地系に切り替える、および/または、大量の新たな窒素を電界紡糸筐体300に加えることが挙げられる。このようにして、これらの機構は、電界紡糸筐体内の酸素濃度を既定の低値から既定の高値までの範囲内に制御することができ、この値は、一部の態様では、発火源を用いてガス/蒸気混合物が発火する酸素濃度よりも、およそ30%低い濃度である。
【0044】
図8に示すように、吸着床1660は、一部の態様において、電界紡糸筐体300内で繊維ウェブの乾燥に使用する二次乾燥ガスとして適当な所定の低濃度まで、送風機#4 1520からの残留溶媒蒸気を除去する、活性炭吸着床である。二次乾燥ガスの所要温度は、吸着床1660からのガス流を熱交換器#4 1555に通すことで達成できる。この加熱したガス(非常に低い溶媒蒸気含量)は電界紡糸筐体300へ送られ、乾燥ガス源として使用される。電界紡糸筐体300は、その中の圧力を監視する1つ以上の圧力センサを含むことができる。先に述べたように、電界紡糸筐体内の作動圧力は、大気圧よりも低い圧力に保たれ、これは、熱交換器1555の前に、必要量の新たな補給ガスをガス流へ送ることで制御する。例えば、電界紡糸筐体300内で測定した圧力が既定値よりも低ければ、より多くの新たな補給ガスをシステム内へ加えると考えられ、またその逆の場合も考えられる。一方、電界紡糸筐体300内で測定された圧力が既定値よりも高い場合(新たな補給ガスの流量をゼロにしても)、送風機#5 1525から焼却炉1620へのベントガス量をそれに対応して増加させることができる。このようにして、電界紡糸筐体内の作動圧力を、既定の低値から既定の高値までの範囲内に制御することができる。
【0045】
図9~12は、図1で概略的に示した装置100の、詳細な配線配管図を示している。装置全体を図9に示し、これを次の3つのセクションに分ける。セクションAを図10に示し、セクションBを図11に示し、セクションCを図12に示す。ある態様において、装置100は、先に述べた1つ以上の構成要素の他に、別の機構を含んでいても良い。
【0046】
図8に示した熱ガス供給流1670を含むドラフトガス供給源1710(図11に示す)と、ドラフトガス分配マニホールド1720とを含む、ドラフトガス供給システムを用いて、電界紡糸筐体300内の複数の連続電極ワイヤ1000上に、ドラフトガスを吹き付けることができる。ドラフトガス分配マニホールド1720は、一連の通気孔、ノズル、または他の適当な開口部を通して、複数の連続電極ワイヤ1000にドラフトガスを分配することができる。ドラフトガス供給システムは、複数の連続電極ワイヤ1000の表面から噴出する液体テイラーコーンジェット840に上向きの力を与え、液体テイラーコーンジェット840から形成されるポリマー繊維を担体120の表面に到達し易くする。一部の態様では、ドラフトガスの温度(熱交換器#1 1540を通る)および流量(熱交換器#1 1540の上側の制御バルブを通る)の一方または両方を、望ましいパフォーマンスとなるよう調節しても良い。ドラフトガスは、文中に述べられている送風機#3 1515(図8に示す)により、排出マニホールド1680を用いて除去することができる。
【0047】
担体120上に形成されたポリマー繊維ウェブ110は、形成されたときには完全に乾いておらず、残留溶媒を含んでいることがある。本開示内容の一部の態様では、2つの乾燥ステップ、一次乾燥ステップと二次乾燥ステップを用いてポリマー繊維ウェブ110を乾燥することができる。それぞれの乾燥ステップで、熱ガスを乾燥媒体として使用する。熱交換器#3 1550から出る熱ガスを一次乾燥ステップでの乾燥媒体(一次乾燥ガス)として使用する一方、熱交換器#4 1555から出る熱ガスを二次乾燥ステップでの乾燥媒体(二次乾燥ガス)として使用する。二次乾燥ガスは一次乾燥ガスよりも相対的に溶媒蒸気含有量が低く、温度が高い。
【0048】
一次乾燥ガスは、一次分配マニホールド1690A(図11参照)を通って一次乾燥領域へ入り、一方、二次乾燥ガスは、二次分配マニホールド1690B(図10)を通って二次乾燥領域へ入る。一次乾燥ガスおよび二次乾燥ガスの両者は、図8に示すように、送風機#2 1510により、熱ガス排気流1605Dを通って電界紡糸筐体300から出る。一次および二次分配マニホールド(1690Aおよび1690B)は、一連の通気孔、ノズル、または他の適当な開口部を通して、熱ガスを担体120/ポリマー繊維ウェブ110へ分配することができる。一部の態様において、一次乾燥ガスの温度と流量を、熱交換器#3 1550とそれに繋がる制御バルブで調節および制御しても良い。同様に、二次乾燥ガスの温度と流量を、熱交換器#4 1555とそれに繋がる制御バルブで調節および制御しても良い。
【0049】
文中に述べられているように、装置100は、電界紡糸筐体300を通って担体を移動させるための、担体コンベヤシステム150を含む。一部の態様において、担体120と、その上に形成されたポリマー繊維ウェブ110は、電界紡糸筐体300を出て、コンビネーションローラ210(図1に示すような)に巻き取って集めることができる。しかし、図10に示す別の態様では、ポリマー繊維ウェブ110を担体120から剥がして繊維ウェブローラ220に巻き取り、担体を別の担体仕上げローラ230に巻き取ることができる。更に別の態様(図示せず)では、担体が連続担体で、ポリマー繊維ウェブが担体から除かれて繊維ウェブローラに巻き取られるにつれ、担体が装置100へ連続的に循環して戻るものでも良い(多くは同じ方法で、複数の連続電極ワイヤ1000が連続的に作動する)。
【0050】
担体120は、望ましくは、軽量で、かつ、一次分配マニホールド1690Aおよび二次分配マニホールド1690Bからの熱ガスがその中を通ってポリマー繊維ウェブ110を乾燥できるような、多孔性/透過性材料である。しかし、装置100/電界紡糸筐体300を通って、裂けずに移動するために十分な強度を備えていなければならない。更に、担体120は、文中に述べられているローラに巻き取ることができ、電界紡糸工程の間に形成されるポリマー繊維を受け取るのに適しているものであればどのような材料であっても良い。担体120は、担体120が電界紡糸筐体300から出る際に担体120に張力を与える、担体テンショナ130を含むことができる。担体120が担体供給ローラ200から解かれる際、その進行方向を変えるために、担体リダイレクションローラ135を設けることがある。
【0051】
一部の態様において、装置100は、複数の連続電極ワイヤ1000が、電界紡糸筐体300に入る前および出た後に通り抜ける、排出制御ボックス1800Aを含むことができる。排出制御ボックス1800Aは、装置100の作動の間、電界紡糸筐体300内に入り込む電界紡糸筐体300近傍の大気/空気が最少となるよう最適化した、複数の連続電極ワイヤ1000のための間隙を含む。
【0052】
更に別の態様において、装置100は、ワイヤスクラバ1900を含むことができる。ワイヤスクラバ1900は、何箇所かの適当な位置(複数の連続電極ワイヤ1000が電界紡糸筐体に入る場所に近い位置(図12参照)など)で、複数の連続電極ワイヤ1000と接触することができ、また、複数の連続電極ワイヤ1000の表面を清掃する追加の機構となることができる。ある態様において、ワイヤスクラバは、電界紡糸筐体の外に設けられている。ある態様において、ワイヤスクラバは、サンドペーパーなどの研磨材である。ワイヤスクラバ1900は複数の連続電極ワイヤ1000と物理的に接触し、ワイヤ表面に残っている堆積および/または被覆ポリマーを擦り落とし、その結果、電極ワイヤの効率を高める。その他のワイヤスクラビング材料や、他の研磨材が知られており、ワイヤスクラバ1900で使用されることがある。
【0053】
図に示すように、装置100は、複数の連続電極ワイヤ1000、担体120、およびポリマー繊維ウェブ110の1つ以上の移動方向を維持および/または変更するための、多数のプーリPを含むことができる。
【0054】
文中に述べられている装置100の態様は、更に、数ダースまたは数百もの連続電極ワイヤを使って、数百kg/時間以上の大規模な工業生産を可能とすることで、従来の電界紡糸工程を超える、多くの利点を提示する。一部の態様において、本装置は、25を超える連続電極ワイヤ、50を超える連続電極ワイヤ、100を超える連続電極ワイヤ、150を超える連続電極ワイヤ、200を超える連続電極ワイヤ、300を超える連続電極ワイヤ、または400を超える連続電極ワイヤ、あるいは、最大500まで、または500以上もの連続電極ワイヤを含むことがある。更に、複数の連続電極ワイヤは、極めて長い長さを持つことができる。本開示内容の、ある態様では、バッチシステムを用いて作動する従来のシステムでは達成できない、連続ポリマー繊維生産速度で、5メートルから50m以上もの長さの連続電極ワイヤを使用することがある。
【0055】
<液体ポリマー原料をナノスケールまたはサブミクロンスケールのポリマー繊維ウェブに連続ニードルレス電界紡糸する方法>
更に、本開示内容は、液体ポリマー原料をナノスケールまたはサブミクロンスケールのポリマー繊維ウェブに連続ニードルレス電界紡糸する方法に関する。この方法は、文中に述べられている装置100の構成要素を含んでおり、その記述と働きについてここで重ねて述べることはせず、これらが本方法に含まれることを言及する際には、これらの構成要素の参照番号を使用するものとする。図13を参照するならば、ある態様において、方法2000は、2100において、電界紡糸筐体の外に設けられたワイヤ駆動システムを用いて、複数の連続電極ワイヤを、少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイスおよび電界紡糸ゾーンを含む電界紡糸筐体を通って走行させるステップを含む。ステップ2200は、電界紡糸筐体の外に設けられた担体コンベヤシステムを用いて、担体を、複数の連続電極ワイヤとほぼ平行に、電界紡糸筐体および電界紡糸ゾーンを通って走行させるステップを含む。ステップ2300では、少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイス内で、液体ポリマーの層を複数の連続電極ワイヤの表面に被覆する。ステップ2400では、複数の連続電極ワイヤの表面に被覆した液体ポリマーから、電界紡糸ゾーン内で、ナノスケールまたはサブミクロンスケールのポリマー繊維が生成される。ステップ2500は、ナノスケールまたはサブミクロンスケールのポリマー繊維を、ポリマー繊維ウェブとして担体上に集めるステップを含む。ステップ2600では、電界紡糸アセンブリ内に設けられたワイヤクリーニングアセンブリを用いて、複数の連続電極ワイヤの表面から残留ポリマーを除去する。
【0056】
別の態様が、文中に述べられている方法2000に含まれていても良く(但し、そうでなければならないという訳ではない)、この方法は、抵抗測定システム560を用いて、複数の連続電極ワイヤの1本以上の抵抗を測定するステップと、液体ポリマーリサイクルおよび供給システム1200を用いて、液体ポリマーをリサイクルし、また、液体ポリマー供給物を供給するステップと、液体ポリマー調製システム1300を用いて液体ポリマーを調製するステップと、溶媒貯蔵および供給システム1400を用いて溶媒を貯蔵および供給するステップと、蒸気収集および溶媒回収システム1600を用いて、蒸気を収集、洗浄(scrubbing)、および/または、清浄化するステップと、ドラフトガスを複数の連続電極ワイヤに吹き付け、および/または、乾燥ガス/熱ガスを、前述の担体/ポリマー繊維ウェブ上に吹き付けるステップと、電界紡糸筐体を通って担体を移動させるため、担体コンベヤシステム150を使用し、また、担体およびポリマー繊維ウェブを(それぞれに、または一緒に)ローラに巻き取るステップと、排出制御ボックス1800A、B、Cを使用して、電界紡糸筐体内へ入り込む空気を最少とするステップと、ワイヤスクラバ1900を用いて、複数の連続電極ワイヤを擦る(scrubbing)ステップと、を含む(但し、これらに限定しない)。
【0057】
<複数の連続電極ワイヤを、電界紡糸装置を通って走行させる方法>
本開示内容は更に、複数の連続電極ワイヤを、電界紡糸装置を通って走行させる方法に関する。この方法は、文中に述べられている装置100の構成要素を含んでおり、その記述と働きについてここで重ねて述べることはせず、これらが本方法に含まれることを言及する際には、これらの構成要素の参照番号を使用するものとする。電界紡糸装置100は、電界紡糸筐体300を含み、その中では、複数の連続電極ワイヤ1000上に被覆した液体ポリマー層から、ナノスケールまたはサブミクロンスケールのポリマー繊維ウェブ110が担体120上に形成される。図14を参照するならば、一部の態様において、方法3000は、3100で、複数の連続電極ワイヤを、マスタワイヤ駆動ドラムおよびスレーブワイヤ駆動ドラムの上に配置するステップを含む。それぞれのマスタワイヤ駆動ドラムおよびスレーブワイヤ駆動ドラムは、複数のワイヤガイドを含み、それぞれのワイヤガイドは、複数の連続電極ワイヤの1本を受けるための通路または溝を含む。ステップ3200では、マスタワイヤ駆動ドラムを回転させて、複数の連続電極ワイヤを、電界紡糸筐体を通って走行させる。マスタワイヤ駆動ドラムおよびスレーブワイヤ駆動ドラムは、電界紡糸装置の外にある。
【0058】
文中に述べられているこれらのシステムおよび構成要素を作動させる方法を含む(但し、これに限定しない)別の態様が、方法3000に含まれていても良い(但し、そうでなければならないという訳ではない)。
【0059】
<電界紡糸筐体からナノスケールまたはサブミクロンスケールのポリマー繊維を収集する方法>
本開示内容は更に、電界紡糸筐体からナノスケールまたはサブミクロンスケールのポリマー繊維ウェブを収集する方法に関する。この方法は、文中に述べられている装置100の構成要素を含んでおり、その記述と働きについてここで重ねて述べることはせず、これらが本方法に含まれていることを言及する際には、これらの構成要素の参照番号を使用するものとする。電界紡糸装置100は、電界紡糸筐体300および電界紡糸ゾーンZを含み、その中で、複数の連続電極ワイヤ1000に被覆した液体ポリマー層から、ナノスケールまたはサブミクロンスケールのポリマー繊維ウェブ110が担体120上に形成される。図15を参照するならば、一部の態様において、方法4000は、4100で、供給ローラから担体を解くステップを含む。ステップ4200において、担体テンショナで担体に張力を加える。4300で、担体を、液体ポリマー層を被覆した複数の連続電極ワイヤとほぼ平行に、電界紡糸筐体および電界紡糸ゾーンを通って走行させる。ステップ4400では、電界紡糸ゾーン内で、複数の連続電極ワイヤに被覆した液体ポリマー層から、ナノスケールまたはサブミクロンスケールのポリマー繊維が電界紡糸される。ステップ4500では、ナノスケールまたはサブミクロンスケールのポリマー繊維を、ポリマー繊維ウェブとして担体上に集める。ステップ4600では、ポリマー繊維ウェブと担体を電界紡糸筐体の外へ出す。
【0060】
文中に述べられているこれらのシステムおよび構成要素を作動させる方法を含む(但し、これに限定しない)別の態様が、方法4000に含まれていても良い(但し、そうでなければならないという訳ではない)。
【0061】
<ナノスケールまたはサブミクロンスケールのポリマー繊維ウェブを担体上に連続ニードルレス電界紡糸する電界紡糸装置を作動させる方法>
本開示内容は更に、ナノスケールまたはサブミクロンスケールのポリマー繊維ウェブを担体上に連続ニードルレス電界紡糸する電界紡糸装置を作動させる方法に関する。この方法は、文中に述べられている装置100の構成要素を含んでおり、その記述と働きについてここで重ねて述べることはせず、これらが本方法に含まれていることを言及する際には、これらの構成要素の参照番号を使用するものとする。電界紡糸装置100は、少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイス400および電界紡糸ゾーンZを含む電界紡糸筐体300と、電界紡糸筐体300の外に設けられたワイヤ駆動システム600を含む。ワイヤ駆動システム600は、電界紡糸筐体300と、その中に設けられた少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイス400および電界紡糸ゾーンZとを通って、複数の連続電極ワイヤ1000を走行させる。図16を参照するならば、一部の態様において、本方法5000は、5100において、電界紡糸筐体の外に設けられた液体ポリマーリサイクルおよび供給システムを備えている、少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイスへ、液体ポリマー供給物を供給するステップを含む。ステップ5200において、電界紡糸筐体内で発生した蒸気を、電界紡糸筐体の外に設けられた蒸気収集および溶媒回収システムで収集および処理する。蒸気収集および溶媒回収システムは、電界紡糸筐体内の圧力を大気圧よりも低く保つ。
【0062】
文中に述べられているこれらのシステムおよび構成要素を作動させる方法を含む(但し、これに限定しない)別の態様が、方法5000に含まれていても良い(但し、そうでなければならないという訳ではない)。
【0063】
本件に開示されている要素の様々な組み合わせ、例えば、同じ独立クレームに基づいている従属クレームの要素の組み合わせは本開示内容に包含される。
【0064】
様々な態様において、本開示内容は少なくとも以下の実施形態に関連し、また、これらを含む。
【0065】
実施形態1:ナノスケールまたはサブミクロンスケールのポリマー繊維ウェブを担体上に連続ニードルレス電界紡糸する装置であって、
この装置は、
少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイスおよび電界紡糸ゾーンを含む電界紡糸筐体と、
電界紡糸筐体の外に設けられたワイヤ駆動システムと、
電界紡糸筐体の外に設けられた、リサイクルおよび供給タンクを含む液体ポリマーリサイクルおよび供給システムと、
電界紡糸筐体の外に設けられた、電界紡糸筐体内で発生した蒸気を収集および処理するための、また、電界紡糸筐体内の圧力を大気圧よりも低く保つための、少なくとも1つの排気流を含む、蒸気収集および溶媒回収システムと、
を含み、
ワイヤ駆動システムは、複数の連続電極ワイヤを、電界紡糸筐体と、その中に設けられた少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイスおよび電界紡糸ゾーンとを通って走行させ、
リサイクルおよび供給タンクは、少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイスへ液体ポリマーを供給し、また、少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイスからオーバーフローした液体ポリマーを受け入れる。
【0066】
実施形態2:実施形態1に記載の装置であって、液体ポリマーリサイクルおよび供給システムは、液体ポリマーを少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイスへ送る液体ポリマー循環および供給ポンプと、液体ポリマーを所望の温度に保つ液体ポリマー熱交換器とを更に含む。
【0067】
実施形態3:実施形態1または2に記載の装置であって、少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイスは、液体ポリマー供給ポートと液体ポリマー再循環ポートとを含み、液体ポリマー供給ポートは、液体ポリマーリサイクルおよび供給システムから液体ポリマーを受け入れ、液体ポリマー再循環ポートは、重力流によって液体ポリマーを液体ポリマーリサイクルおよび供給システムへ戻す。
【0068】
実施形態4:実施形態1から3のいずれかに記載の装置であって、液体ポリマー調製システムを更に含み、液体ポリマー調製システムは、ポリマー貯蔵および補給ユニットと液体ポリマー調製タンクとを含み、
ポリマー貯蔵および補給ユニットは、本装置で使用するバルクポリマーを貯蔵し、
液体ポリマー調製タンクは、ポリマー貯蔵および補給ユニットからバルクポリマーを、溶媒供給源から溶媒を受け入れ、その中で装置のための液体ポリマーを調製する。
【0069】
実施形態5:実施形態4に記載の装置であって、液体ポリマー調製タンクとリサイクルおよび供給タンクとの間に設けられた、液体ポリマー調製タンク内で調製した液体ポリマーを液体ポリマーリサイクルおよび供給システムへ供給するための液体ポリマー補給流を更に含む。
【0070】
実施形態6:実施形態1から5のいずれかに記載の装置であって、電界紡糸筐体内に設けられたワイヤクリーニングアセンブリと、電界紡糸筐体の外に設けられた溶媒貯蔵および供給システムとを更に含み、
溶媒貯蔵および供給システムは、溶媒をワイヤクリーニングアセンブリへ供給し、
ワイヤ駆動システムは、複数の連続電極ワイヤを、ワイヤクリーニングアセンブリを通って走行させて、それから残留ポリマーを清掃する。
【0071】
実施形態7:実施形態6に記載の装置であって、溶媒貯蔵および供給システムは、溶媒貯蔵タンクと、溶媒供給ポンプと、溶媒供給流と、液体ポリマー希釈流とを含み、
溶媒貯蔵タンクは、本装置のための溶媒を貯蔵し、
溶媒供給流は、溶媒貯蔵タンクとワイヤクリーニングアセンブリとの間に設けられており、
液体ポリマー希釈流は、溶媒貯蔵タンクと液体ポリマーリサイクルおよび供給システムとの間に設けられており、
溶媒供給ポンプは、溶媒供給流を用いて、溶媒をワイヤクリーニングアセンブリへ供給し、
溶媒供給ポンプは、液体ポリマー希釈流を用いて、溶媒を液体ポリマーリサイクルおよび供給システムへ供給する。
【0072】
実施形態8:実施形態7の装置であって、溶媒貯蔵および供給システムは、ワイヤクリーニングアセンブリと溶媒貯蔵タンクとの間に設けられた溶媒再循環流を更に含み、溶媒再循環流は、重力流によってワイヤクリーニングアセンブリから溶媒を受け入れ、溶媒を溶媒貯蔵タンクへ戻す。
【0073】
実施形態9:実施形態7または8に記載の装置であって、溶媒貯蔵タンクと液体ポリマー調製タンクとの間に設けられた溶媒補給流を更に含み、溶媒供給ポンプは、溶媒補給流を用いて、溶媒を液体ポリマー調製タンクへ供給する。
【0074】
実施形態10:実施形態7から9のいずれかに記載の装置であって、蒸気収集および溶媒回収システムは、ワイヤクリーニングアセンブリから溶媒蒸気を受け入れる、溶媒蒸気流を更に含む。
【0075】
実施形態11:実施形態10に記載の装置であって、蒸気収集および溶媒回収システムは、
溶媒蒸気流を用いてワイヤクリーニングアセンブリから受け入れた溶媒蒸気をその中で凝縮する溶媒凝縮装置と、
溶媒凝縮液流と、
吸着床と、
を更に含み、
溶媒凝縮液流は、凝縮した溶媒を溶媒凝縮装置から受け入れ、それを溶媒貯蔵タンクへ戻し、
吸着床は、溶媒凝縮装置を通過後も凝縮されずに残っている溶媒蒸気を除去する。
【0076】
実施形態12:実施形態1から11のいずれかに記載の装置であって、蒸気収集および溶媒回収システムは焼却炉を更に含み、焼却炉は、少なくとも1つの排気流からベントガスを受け入れ、除去する。
【0077】
実施形態13:実施形態1から12のいずれかに記載の装置であって、担体コンベヤシステムと、ドラフトガス供給源およびドラフトガス分配マニホールドを含むドラフトガスシステムとを更に含み、
担体コンベヤシステムは、電界紡糸筐体の外に設けられており、担体を、電界紡糸筐体と、その中に設けられた電界紡糸ゾーンとを通って走行させ、
電界紡糸ゾーン内で、ナノスケールまたはサブミクロンスケールのポリマー繊維ウェブは担体上に集められ、
ドラフトガスシステムは、ドラフトガス分配マニホールドを用いて、電界紡糸ゾーン内の複数の連続電極ワイヤ上にドラフトガスを分配して、ナノスケールまたはサブミクロンスケールのポリマー繊維ウェブが担体上に集まることを促す。
【0078】
実施形態14:実施形態13に記載の装置であって、蒸気収集および溶媒回収システムは、ドラフトガスをドラフトガスシステムへ供給する、熱ガス供給流を更に含む。
【0079】
実施形態15:実施形態1から14のいずれかに記載の装置であって、担体コンベヤシステムと乾燥ガスシステムとを更に含み、
担体コンベヤシステムは、電界紡糸筐体の外に設けられており、担体を、電界紡糸筐体と、その中に設けられた電界紡糸ゾーンとを通って走行させ、電界紡糸ゾーン内で、ナノスケールまたはサブミクロンスケールのポリマー繊維ウェブは担体上に集められ、
乾燥ガスシステムは、一次分配マニホールドを含む一次乾燥領域を含み、一次分配マニホールドは、一次乾燥ガスを、担体と、その上に集められたナノスケールまたはサブミクロンスケールのポリマー繊維ウェブに分配して、その乾燥を促す。
【0080】
実施形態16:実施形態15に記載の装置であって、乾燥ガスシステムは、二次分配マニホールドを含む二次乾燥領域を更に含み、二次分配マニホールドは、二次乾燥ガスを、担体と、その上に形成されたポリマー繊維ウェブに分配して、その乾燥を促す。
【0081】
実施形態17:実施形態16に記載の装置であって、二次乾燥ガスは、一次乾燥ガスよりも相対的に低い溶媒蒸気含量と、相対的に高い温度を持つ。
【0082】
実施形態18:実施形態1から17のいずれかに記載の装置であって、少なくとも1つの排気流は、蒸気とガスを電界紡糸筐体から蒸気収集および溶媒回収システムへ吸引するための、少なくとも1つの送風機を更に含む。
【0083】
実施形態19:実施形態1から18のいずれかに記載の装置であって、この装置は、電界紡糸筐体の近傍に設けられた少なくとも1つの排出制御ボックスを更に含み、少なくとも1つの排出制御ボックスは、複数の連続電極ワイヤおよび担体の1つ以上が電界紡糸筐体に出入りするための開口部を含む。
【0084】
実施形態20:実施形態19に記載の装置であって、少なくとも1つの排気流は、少なくとも1つの排出制御ボックスに接続し、少なくとも1つの排出制御ボックスから蒸気を集める。
【0085】
実施形態21:実施形態1から20のいずれかに記載の装置であって、電界紡糸筐体は、その中に設けられた少なくとも1つの酸素センサを更に含み、蒸気収集および溶媒回収システムは焼却炉を更に含み、
焼却炉は、少なくとも1つの排気流からベントガスを受け入れ、これを除去し、
酸素センサは、電界紡糸筐体内の酸素含量を監視し、酸素センサからのフィードバックに応じて、焼却炉へのベントガスの流量を制御する。
【0086】
実施形態22:実施形態1から21のいずれかに記載の装置であって、電界紡糸筐体内に設けられた少なくとも1つの圧力センサを更に含み、少なくとも1つの圧力センサは、電界紡糸筐体内の運転圧力を監視し、少なくとも1つの圧力センサからのフィードバックに応じて、電界紡糸筐体への補給ガスの流量を制御する。
【0087】
実施形態23:ナノスケールまたはサブミクロンスケールのポリマー繊維ウェブを担体上に連続ニードルレス電界紡糸する電界紡糸装置を作動させる方法であって、
この電界紡糸装置は、
少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイスおよび電界紡糸ゾーンを含む電界紡糸筐体と、
電界紡糸筐体の外に設けられたワイヤ駆動システムと、
を含み、
ワイヤ駆動システムは、複数の連続電極ワイヤを、電界紡糸筐体と、その中に設けられた少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイスおよび電界紡糸ゾーンとを通って走行させ、
この方法は、
液体ポリマー供給物を、電界紡糸筐体の外に設けられた液体ポリマーリサイクルおよび供給システムを備えている、少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイスへ供給するステップと、
電界紡糸筐体内で発生した蒸気を、電界紡糸筐体の外に設けられた蒸気収集および溶媒回収システムで収集および処理するステップと、
を含み、
蒸気収集および溶媒回収システムは、電界紡糸筐体内の圧力を大気圧よりも低く保つ。
【0088】
実施形態24:実施形態23に記載の方法であって、液体ポリマーリサイクルおよび供給システム内のリサイクルおよび供給タンクを用いて、液体ポリマーを、少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイスへ供給するステップと、少なくとも1つの液体ポリマーコーティングデバイスからオーバーフローした液体ポリマーを受け入れるステップとを更に含む。
【0089】
実施形態25:実施形態23または24に記載の方法であって、液体ポリマーを調製するステップと、調製した液体ポリマーを液体ポリマー調製タンク内に貯蔵するステップと、調製した液体ポリマーを、液体ポリマー補給流を用いて液体ポリマーリサイクルおよび供給システムへ補給するステップとを更に含む。
【0090】
実施形態26:実施形態23から25のいずれかに記載の方法であって、複数の連続電極ワイヤを、電界紡糸筐体内に設けられたワイヤクリーニングアセンブリを通って走行させて、複数の連続電極ワイヤから残留ポリマーを清掃するステップを更に含み、このとき、ワイヤクリーニングアセンブリは溶媒を含む。
【0091】
実施形態27:実施形態26に記載の方法であって、溶媒を、溶媒貯蔵および供給システムからワイヤクリーニングアセンブリへ供給するステップを更に含み、このとき、溶媒をワイヤクリーニングアセンブリへ供給するステップは、溶媒を、溶媒供給流を用いて溶媒貯蔵タンクからワイヤクリーニングアセンブリへ供給するステップと、オーバーフロー溶媒を、溶媒再循環流を用いてワイヤクリーニングアセンブリから溶媒貯蔵タンクへ受け入れるステップとを含む。
【0092】
実施形態28:実施形態27に記載の方法であって、溶媒再循環流は、オーバーフロー溶媒を重力流によって溶媒貯蔵タンクへ供給する。
【0093】
実施形態29:実施形態26から28のいずれかに記載の方法であって、ワイヤクリーニングアセンブリから溶媒蒸気を収集するステップと、溶媒蒸気の少なくとも一部を溶媒凝縮装置内で凝縮するステップと、溶媒蒸気の少なくとも一部を吸着床内で除去するステップとを更に含む。
【0094】
実施形態30:実施形態23から29のいずれかに記載の方法であって、
電界紡糸ゾーン内で、ドラフトガスを複数の連続電極ワイヤに当てて、ナノスケールまたはサブミクロンスケールのポリマー繊維ウェブが担体上に連続ニードルレス電界紡糸することを促すステップ、
乾燥ガスをナノスケールまたはサブミクロンスケールのポリマー繊維ウェブと担体に当てて、その乾燥を促すステップ、
電界紡糸筐体内の酸素含量を監視し、酸素含量からのフィードバックに応じて、焼却炉へのベントガスの流量を制御するステップ、および、
電界紡糸筐体内の運転圧力を監視し、運転圧力からのフィードバックに応じて、電界紡糸筐体への補給ガスの流量を制御するステップ、
の1つ以上を更に含む。
【0095】
これらの非制限的な実施形態はそれぞれ、それ自体で自立可能であるが、1つ以上の他の実施形態と様々な順列または組み合わせで組み合わせることもできる。
【0096】
先の発明を実施するための形態は添付図への言及を含み、これも詳細な記述の一部を成す。図面は説明のためであり、本開示内容を実行できる具体的な態様を示している。これらの態様は、文中において“実施形態”としても言及されている。このような実施形態は、表示または記述されている要素以外の要素も含むことができる。しかし、本発明の発明者は、表示または記述されている要素だけを備えた実施形態も意図している。更に、発明者は、文中に表示または記述されている特定の実施形態(またはその1つ以上の態様)に関して、あるいは、別の実施形態(またはその1つ以上の態様)に関して、表示または記述されているこれらの要素の任意の組み合わせまたは順列を用いた実施形態(またはその1つ以上の態様)も意図している。
【0097】
本明細書と、引用して援用する任意の文書との間に矛盾した用法があった場合、本文書での用法に従うものとする。
【0098】
本文書において、用語“a”または“an”は、特許文献で共通しているように、“少なくとも1つ”または“1つ以上”という任意の他の例または用法とは無関係に、1つまたは1つより多い、を含むために用いられる。本文書において、用語“または(or)”は、別途指示のない限り、“AまたはB”が、“AであるがBではない”、“BであるがAではない”、および“AおよびB”を含むよう、非排他的な or を指すために用いられる。本文書において、用語“含む(including)”および“その中で(in which)”は、それぞれの用語“含む(comprising)”および“このとき(wherein)”に等しい平易な英語として用いられる。更に、後の請求項において、用語“含む(including)”および“含む(comprising)”はオープンエンドであり、つまり、請求項において、システム、デバイス、物品、組成物、構築物(formulation)、またはプロセスなどの用語の後に挙げられている要素以外の要素を含む、システム、デバイス、物品、組成物、構築物、またはプロセスも、その請求項の範囲に入るものとする。更に、後の請求項において、用語“第1”、“第2”、および“第3”などは標識として用いるだけであり、その対象に数的な要件を課そうとするものではない。
【0099】
文中に述べられている方法の例は、少なくとも一部を機械またはコンピュータで実現可能である。いくつかの例は、電子デバイスが、上記の実施形態に述べられている方法を実行するよう機能する命令をエンコードした、コンピュータ可読媒体または機械可読媒体を含むことができる。このような方法の実行には、マイクロコード、アセンブリ言語コード、より高次の言語コードなどのコードを含むことができる。このようなコードは、様々な方法を実行するコンピュータ可読命令を含むことができる。コードは、いくつかに分かれたコンピュータプログラム製品の形であっても良い。更に、ある例では、コードは、実行時、または他の時間などに、1つ以上の揮発性、非一時的、または不揮発性の有形コンピュータ可読媒体に実体として保存することができる。これらの有形コンピュータ可読媒体の例としては、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、リムーバブル光ディスク(例えば、コンパクトディスクおよびデジタルビデオディスク)、磁気カセットテープ、メモリカードまたはスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)などが挙げられる(但し、これらに限定しない)。
【0100】
記の実施形態(またはその1つ以上の態様)は、互いに組み合わせて用いることができる。技術的開示内容の本質を読者がより速く確認できるよう、37C.F.R.§1.72(b)に従って要約を提示する。これは、請求項の範囲または意図を解釈または制限するために使用されるものではないという理解のもとに提示されている。更に、先の発明を実施するための形態では、開示内容を簡素化するため、様々な特徴をひとまとめにしていることがある。これは、請求項に示されない開示された特徴が任意の請求項に必須であることを意図していると解釈すべきではない。むしろ、発明の主題が、特定の開示された態様の全ての特徴を含んでいないこともある。従って、後の請求項はこれにより、例または態様として発明を実施するための形態に含まれ、それぞれの請求項は個々の態様として自立しており、このような態様は、様々な組み合わせまたは順列で互いに組み合わせ可能であることが意図されている。本開示内容の範囲は、添付の請求項に準拠して決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
図16