(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-04
(45)【発行日】2023-04-12
(54)【発明の名称】ナチュラルキラー細胞免疫療法における切断されたNKG2Dキメラ受容体及びその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/62 20060101AFI20230405BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20230405BHJP
C12N 15/24 20060101ALI20230405BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20230405BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230405BHJP
C12N 15/867 20060101ALI20230405BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20230405BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20230405BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230405BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20230405BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230405BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20230405BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20230405BHJP
A61K 47/65 20170101ALI20230405BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20230405BHJP
C07K 14/74 20060101ALI20230405BHJP
C07K 14/54 20060101ALI20230405BHJP
【FI】
C12N15/62 Z ZNA
C12N15/12
C12N15/24
C12N5/0783
C12N5/10
C12N15/867 Z
A61K35/17
A61P31/00
A61P35/00
A61K38/16
A61K48/00
A61K35/76
A61K47/64
A61K47/65
C07K19/00
C07K14/74
C07K14/54
(21)【出願番号】P 2019553975
(86)(22)【出願日】2018-03-27
(86)【国際出願番号】 US2018024650
(87)【国際公開番号】W WO2018183385
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-19
(32)【優先日】2017-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507335687
【氏名又は名称】ナショナル ユニヴァーシティー オブ シンガポール
(73)【特許権者】
【識別番号】519346642
【氏名又は名称】エヌカルタ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【氏名又は名称】細田 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100187850
【氏名又は名称】細田 芳弘
(72)【発明者】
【氏名】レオン,ジュン,ハオ
(72)【発明者】
【氏名】シマサキ,ノリコ
(72)【発明者】
【氏名】ソウ,シー,ヴォーン
(72)【発明者】
【氏名】カンパナ,ダリオ
(72)【発明者】
【氏名】トレーガー,ジェームズ,バーナビー
(72)【発明者】
【氏名】ラゼティック,アレクサンドラ,レイダ リアナ
(72)【発明者】
【氏名】グオ,チャオ
(72)【発明者】
【氏名】ブーレン,ルーシュエン,グオ
(72)【発明者】
【氏名】マスラニ,シャム,サシカント
【審査官】福澤 洋光
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/188119(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/024131(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/139487(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0000828(US,A1)
【文献】米国特許第08399645(US,B2)
【文献】Cancer Journal,2014年,Vol.20, No.2,pp.156-159
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00-15/90
C07K 1/00-19/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Genbank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞によって発現されるキメラ受容体をコードするポリヌクレオチドであって、前記キメラ受容体は、
(a)ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)の天然リガンドに結合するペプチドを含む細胞外受容体ドメイン、
ここで、NKG2Dの天然リガンドに結合する前記ペプチドは
、(i)配列番号2と少なくとも95%の配列相同性を有するか、又は(
ii)配列番号3と少なくとも95%の配列相同性を有するポリヌクレオチドによってコードされる、並びに
(b)膜貫通領域及び細胞内シグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメイン、
ここで、前記細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζを含み、
前記CD3ζは、配列番号13と少なくとも95%の配列相同性を有するポリヌクレオチドによってコードされる、
を含み、前記ポリヌクレオチドは、膜結合性インターロイキン15(mbIL15)をさらにコードする、ポリヌクレオチド。
【請求項2】
前記エフェクタードメインの前記膜貫通領域は、CD8a膜貫通ドメインを含み、前記エフェクタードメインの前記膜貫通領域は、CD8aヒンジ領域をさらに含み、前記CD8aヒンジ領域は、配列番号5と少なくとも95%の配列相同性を有するポリヌクレオチドによってコードされる、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
前記mbIL15は、配列番号16と少なくとも95%の配列相同性を有するポリヌクレオチドによってコードされる、請求項1又は2に記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
前記mbIL15は、前記キメラ受容体と同じポリヌクレオチド
によりバイシストロン性に
コードされる、請求項1~3いずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
mbIL15は、配列番号17のアミノ酸配列を含む、請求項1~4いずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
前記キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD8a膜貫通ドメイン、OX-40ドメイン、及び前記CD3ζに連結された
NKG2Dの天然リガンドに結合する前記ペプチドを含む、請求項1~5いずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項7】
前記キメラ受容体は、mbIL15をコードしかつ配列番号16と少なくとも95%の配列相同性を有する核酸配列に連結された
、配列番号90と少なくとも95%の配列相同性を有する核酸配列によってコードされる、請求項6に記載のポリヌクレオチド。
【請求項8】
前記キメラ受容体は
、配列番号109のアミノ酸配列を含
み、
前記mbIL15は、配列番号17のアミノ酸配列を含む、請求項1~7いずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項9】
前記キメラ受容体は
、配列番号100の核酸配列によってコードされ
、前記mbIL15は、配列番号16によってコードされるか、又は前記キメラ受容体は
、配列番号101のアミノ酸配列を含
み、
前記mbIL15は、配列番号17のアミノ酸配列を含む、請求項1~7いずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含むベクターであって、前記ベクターは、ウイルスベクター、任意にレトロウイルスベクターである、ベクター。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド又は請求項10に記載のベクターを含む、免疫細胞。
【請求項12】
細胞によって発現されるキメラ受容体をコードするポリヌクレオチドであって、前記キメラ受容体は、
(a)NKG2Dの天然リガンドに結合するペプチドを含む細胞外受容体ドメイ
ン、
ここで、NKG2Dの天然リガンドに結合する前記ペプチドは、(i)配
列番号2と少なくとも95%の配列相同性を有するか、又は(ii)配列
番号3と少なくとも95%の配列相同性を有するポリヌクレオチドによっ
てコードされる、並びに
(b)膜貫通領域及び細胞内シグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメイン、
ここで、前記細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζを含む、
を含み、前記ポリヌクレオチドは、膜結合性インターロイキン15(mbIL15)をさらにコードする、ポリヌクレオチド。
【請求項13】
(a)ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)の天然リガンドに結合するペプチドを含む細胞外受容体ドメイン、並びに
(b)膜貫通領域及び細胞内シグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメイン、
ここで、前記膜貫通領域は、CD8a膜貫通ドメインを含み、
前記エフェクタードメインは、配列番号107と少なくとも95%の配列
同一
性を有するアミノ酸配列を含むOX40ドメインを含み、
前記細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζを含み、
を含むキメラ受容体を含むポリペプチドであって、前記ポリペプチドは、膜結合性インターロイキン15(mbIL15)をさらにコードするヌクレオチドによってコードされる、ポリペプチド。
【請求項14】
前記CD3ζドメインは、配列番号13と少なくとも95%の配列相同性を有する核酸配列によってコードされる、請求項13に記載のポリペプチド。
【請求項15】
前記キメラ受容体は、CD8αヒンジドメインに連結された
NKG2Dの天然リガンドに結合するペプチドを含む細胞外受容体ドメインを含み、前記CD8αヒンジドメインは、CD8α膜貫通ドメインに連結されており、前記CD8α膜貫通ドメインは、OX40ドメインに連結されており、前記OX40ドメインは、CD3ζドメインに連結されている、請求項13又は14に記載のポリペプチド。
【請求項16】
前記キメラ受容体は、配列番号109のアミノ酸配列を有する、請求項13~15いずれかに記載のポリペプチド。
【請求項17】
ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)のリガンドを標的化するキメラ受容体を発現する免疫細胞であって、前記キメラ受容体は、
NKG2Dの天然リガンドに結合するペプチドを含む細胞外受容体ドメイン、
ここで、
NKG2Dの天然リガンドに結合する前記ペプチドは
、(i)配列番号2と少なくとも95%の配列相同性を有するか、又は(
ii)配列番号3と少なくとも95%の配列相同性を有するポリヌクレオチドによってコードされる、並びに
膜貫通領域及び細胞内シグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメイン、
ここで、前記細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζを含み、
前記CD3ζは、配列番号13と少なくとも95%の配列相同性を有するポリヌクレオチドによってコードされる、
を含み、前記細胞は、膜結合性インターロイキン15(mbIL15)を発現する、免疫細胞。
【請求項18】
前記エフェクタードメインの前記膜貫通領域は、CD8a膜貫通ドメインを含み、前記エフェクタードメインの前記膜貫通領域は、CD8aヒンジ領域をさらに含み、前記CD8aヒンジ領域は、配列番号5と少なくとも95%の配列相同性を有するポリヌクレオチドによってコードされる、請求項17に記載の免疫細胞。
【請求項19】
前記mbIL15は、配列番号16と少なくとも95%の配列相同性を有するポリヌクレオチドによってコードされる、請求項17又は18に記載の免疫細胞。
【請求項20】
前記mbIL15は、前記キメラ受容体と同じポリヌクレオチド上でバイシストロン性に発現される、請求項17~19いずれかに記載の免疫細胞。
【請求項21】
mbIL15は、配列番号17のアミノ酸配列を含む、請求項17~20いずれかに記載の免疫細胞。
【請求項22】
前記エフェクタードメインは、OX-40ドメインをさらに含む、請求項17~21いずれかに記載の免疫細胞。
【請求項23】
前記キメラ受容体は、mbIL15をコードしかつ配列番号16と少なくとも95%の配列相同性を有する核酸配列に連結された配列番号90と少なくとも95%の配列相同性を有する核酸配列によってコードされる、請求項17~22いずれかに記載の免疫細胞。
【請求項24】
前記キメラ受容体は、配列番号17のアミノ酸配列を含む前記mbIL15に連結された配列番号109のアミノ酸配列を含む、請求項17~23いずれかに記載の免疫細胞。
【請求項25】
前記キメラ受容体は、配列番号16によってコードされる前記mbIL15に連結された配列番号100の核酸配列によってコードされるか、又は前記キメラ受容体は、配列番号17のアミノ酸配列を含む前記mbIL15に連結された配列番号101のアミノ酸配列を含む、請求項17~22いずれかに記載の免疫細胞。
【請求項26】
前記免疫細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞である、請求項17~25いずれかに記載の免疫細胞。
【請求項27】
前記免疫細胞は、T細胞である、請求項17~25いずれかに記載の免疫細胞。
【請求項28】
ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)のリガンドを標的化するキメラ受容体を発現する免疫細胞であって、前記キメラ受容体は、
ポリヌクレオチドによってコードされるNKG2Dの天然リガンドに結合す
るペプチドを含む細胞外受容体ドメイン、
ここで、前記ポリヌクレオチドは、(i)配列番号2と少なくとも95%の
配列相同性を有するか、又は(ii)配列番号3と少なくとも95%の配列
相同性を有する、並びに
膜貫通領域及び細胞内シグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメイン、
ここで、前記細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζを含む、
を含み、前記細胞は、膜結合性インターロイキン15(mbIL15)を発現する、免疫細胞。
【請求項29】
癌の治療のためのキメラ受容体を発現する免疫細胞の集団のインビトロ製造方法であって、前記方法は、
免疫細胞の集団に、キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドを含むベクタ
ーをインビトロ送達する工程
ここで、前記キメラ受容体は、
ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)の天
然リガンドに結合するペプチドを含む細胞外受容体ドメイン、
ここで、NKG2Dの天然リガンドに結合する前記ペプチド
は、(i)配列番号2と少なくとも95%の配列相同性を有す
るか、又は(ii)配列番号3と少なくとも95%の配列相同
性を有するポリヌクレオチドによってコードされる、並びに
膜貫通領域及び細胞内シグナル伝達ドメインを含むエフェク
タードメイン、
ここで、前記細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζを含
み、
を含む、
を含み、それによって、キメラ受容体を発現する免疫細胞の集団が製造され、前記ベクターは、膜結合性インターロイキン15(mbIL15)をコードするポリヌクレオチドをさらに含むか、又は前記方法は、前記免疫細胞の集団に、mbIL15をコードするさらなるベクターをインビトロ送達する工程をさらに含む、インビトロ製造方法。
【請求項30】
前記mbIL15は、配列番号16と少なくとも95%の配列相同性を有する配列によってコードされる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記CD3ζは、配列番号13と少なくとも95%の配列相同性を有するポリヌクレオチドによってコードされる、請求項29~30いずれかに記載の方法。
【請求項32】
NKG2Dの天然リガンドに結合する前記ペプチドは、配列番号2と少なくとも95%の配列相同性を有するポリヌクレオチドによってコードされる、請求項29~31いずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記キメラ受容体は、配列番号90と少なくとも95%の配列相同性を有する核酸配列によってコードされる、請求項29~32いずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記キメラ受容体は、配列番号109の配列を有するアミノ酸配列を含む、請求項29~33いずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記免疫細胞の集団は、ナチュラルキラー細胞を含む、請求項29~34いずれかに記載の方法。
【請求項36】
癌の治療のための医薬の製造におけるキメラ受容体をコードするポリヌクレオチドの使用であって、前記キメラ受容体は、
(a)ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)の天然リガンドに結合するペプチドを含む細胞外受容体ドメイン、
ここで、NKG2Dの天然リガンドに結合する前記ペプチドは
、(i)配列番号2と少なくとも95%の配列相同性を有するか、又は(
ii)配列番号3と少なくとも95%の配列相同性を有するポリヌクレオチドによってコードされる、並びに
(b)膜貫通領域及び細胞内シグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメイン、
ここで、前記細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζを含み、
前記CD3ζは、配列番号13と少なくとも95%の配列相同性を有するポリヌクレオチドによってコードされる、
を含
み、
前記ポリヌクレオチドは、膜結合性インターロイキン15(mbIL15)をさらにコードする、使用。
【請求項37】
癌の治療のための医薬の製造におけるキメラ受容体をコードするポリヌクレオチドの使用であって、前記キメラ受容体は、
ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)の天然リガンドに結
合するペプチドを含む細胞外受容体ドメイン、
ここで、NKG2Dの天然リガンドに結合する前記ペプチドは、(i)配列番
号2と少なくとも95%の配列相同性を有するか、又は(ii)配列番号3と
少なくとも95%の配列相同性を有するポリヌクレオチドによってコードされ
る、並びに
膜貫通領域及び細胞内シグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメイン、
ここで、前記細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζサブドメイン及びOX
-40サブドメインを含み、
を含み、前記ポリヌクレオチドは、膜結合性インターロイキン15(mbIL15)をさらにコードする、使用。
【請求項38】
癌の治療のための医薬の製造におけるキメラ受容体を発現する免疫細胞の集団の使用であって、前記キメラ受容体は、
ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)の天然リガンドに結合
するペプチドを含む細胞外受容体ドメイン、
ここで、NKG2Dの天然リガンドに結合する前記ペプチドは、(i)配列番
号2と少なくとも95%の配列相同性を有するか、又は(ii)配列番号3と少
なくとも95%の配列相同性を有するポリヌクレオチドによってコードされる、
並びに
膜貫通領域及び細胞内シグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメイン、
ここで、前記細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζサブドメイン及びOX
-40サブドメインを含み、
を含み、前記免疫細胞は、膜結合性インターロイキン15(mbIL15)を発現する、使用。
【請求項39】
前記mbIL15は、配列番号16と少なくとも95%の配列相同性を有する配列によってコードされ、
NKG2Dの天然リガンドに結合する前記ペプチドは、配列番号2と少なくとも95%の配列相同性を有するポリヌクレオチドによってコードされる、請求項37~38いずれかに記載の使用。
【請求項40】
前記キメラ受容体は、配列番号90と少なくとも95%の配列相同性を有するポリヌクレオチドによってコードされるか、又はコードされるキメラ受容体は、配列番号109の配列を有する、請求項36~39いずれかに記載の使用。
【請求項41】
前記癌は、白血病、任意に、急性骨髄性白血病である、請求項36~40いずれかに記載の使用。
【請求項42】
前記癌は、肝癌である、請求項36~40いずれかに記載の使用。
【請求項43】
請求項13~16いずれかに記載のポリペプチドを発現する免疫細胞。
【請求項44】
配列番号109の
アミノ酸配列を含むキメラ受容体および配列番号17の
アミノ酸配列を含むmbIL15を発現する免疫細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2017年3月27日に出願された米国仮特許出願第62/477,335号明細書及び2018年2月9日に出願された米国仮特許出願第62/628,774号明細書の利益を主張する。上掲の出願の各々の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
ASCIIテキストファイルでのマテリアルの参照による援用
本願は、本明細書と同時に提出されている以下のASCIIテキストファイル中に含まれる配列表を参照により援用する。
a)ファイル名:44591144002SequenceListing.txt;186KBのサイズで2018年3月27日に作成
【背景技術】
【0003】
多くの疾患の出現及び持続性は、悪性及びウイルス感染細胞を含む異常細胞に対する不十分な免疫応答によって特徴付けられる。免疫療法は、様々な疾患を治療するための患者の免疫系の使用及び操作である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
免疫療法は、疾患の治療における新しい技術的進歩を提示し、免疫細胞は、罹患又は損傷細胞に対して特異的に同定及び反応する特定の標的化及び/又はエフェクター分子を発現するように操作される。これは、より従来の手法、例えば化学療法(すべての細胞が影響を受ける場合)と異なり、少なくとも部分的に、罹患又は損傷細胞を特異的に標的にするという能力に基づく有望な進歩を表し、また所望の結果は、十分な健常細胞が生存することで患者の生存を可能にすることである。1つの免疫療法アプローチは、目的の異常細胞の標的化された認識及び破壊を達成するための免疫細胞におけるキメラ受容体の組換え発現である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
罹患又は感染細胞に対する特異的標的化及び破壊、無能化又は特に不活性化に関するこの必要性に対処するため、細胞、例えばナチュラルキラー細胞に対して増強された標的化及び細胞傷害性を付与するキメラ受容体をコードするポリヌクレオチド、アミノ酸及びベクターが本明細書で提供される。さらに、その細胞を作製するための方法並びにその細胞を用いて罹患又は損傷細胞を標的化及び破壊する方法が提供される。いくつかの実施形態では、細胞外受容体ドメイン並びに膜貫通領域及び細胞内シグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメインを含むキメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、細胞外受容体ドメインは、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)の天然リガンドに結合するペプチドを含み、NKG2Dの天然リガンドに結合するペプチドは、NKG2Dの断片である。
【0006】
いくつかの実施形態では、(a)細胞外受容体ドメインと、(b)膜貫通領域及び細胞内シグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメインとの一方又は両方を含む、キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供される。いくつかの実施形態では、細胞外受容体ドメインは、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)の天然リガンドに結合するペプチドを含む。いくつかの実施形態では、NKG2Dの天然リガンドに結合するペプチドは、NKG2Dの断片であり、例えば、NKG2Dの断片は、配列番号2を含むポリヌクレオチドによってコードされる。本明細書で開示される通り、追加的なNKG2D断片も実施形態に応じて用いられる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζを含む。一実施形態では、CD3ζは、配列番号13を含むポリヌクレオチドによってコードされるが、本明細書で開示される通り、CD3ζと異なるが、類似機能を共有する配列も実施形態に応じて用いられ得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、エフェクタードメインの膜貫通領域は、CD8a膜貫通ドメインを含む。一実施形態では、エフェクタードメインの膜貫通領域は、CD8aヒンジ領域をさらに含む。いくつかの実施形態では、CD8aヒンジ領域は、配列番号5を含むポリヌクレオチドによってコードされる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、4-1BBをさらに含む。一実施形態では、4-1BBは、配列番号12を含むポリヌクレオチドによってコードされるが、本明細書で開示される通り、4-1BBと異なるが、類似機能を共有する配列も実施形態に応じて用いられ得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8a、4-1BB及びCD3zに共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、かかるキメラ受容体は、配列番号18の核酸配列によってコードされる。さらなる実施形態では、キメラ受容体は、配列番号108の核酸配列によってコードされるが、本明細書で開示される通り、配列番号108と異なるが、類似機能を共有する配列も実施形態に応じて用いられ得る。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号19のアミノ酸配列を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるキメラ受容体のいずれかはまた、膜結合性インターロイキン15(mbIL15)と同時発現され得る。いくつかの実施形態では、mbIL15は、配列番号16を含むポリヌクレオチドによってコードされる。いくつかの実施形態では、mbIL15は、配列番号17のアミノ酸配列を含む。mbIL15用の他の配列も実施形態に応じて用いられ得る。いくつかの実施形態では、mbIL15は、キメラ受容体と同じポリヌクレオチド上でバイシストロン性に発現される。他の実施形態では、mbIL15は、別々の構築物上で同時発現される。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、その発現を膜結合性インターロイキン15(mbIL15)の場合と共役させることにより、さらに増強される。
【0010】
いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、OX-40ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、OX-40ドメインは、mbIL15を代替するもの又は追加するもののいずれかである。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD8a膜貫通ドメイン、OX-40ドメイン及びCD3ζに共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド構築物は、mbIL15をバイシストロン性に同時発現するように設計される。いくつかのかかる実施形態では、ポリヌクレオチド構築物は、例えば、細胞質プロテアーゼによって認識及び切断された1つ以上の切断部位(例えば、T2A、P2A、E2A及び/又はF2A切断部位(複数))を含む。いくつかの実施形態では、mbIL15は、細胞質プロテアーゼ切断部位により、キメラ受容体に共役される。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、細胞質プロテアーゼ切断部位により、配列番号16によってコードされるmbIL15に共役された配列番号90の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、細胞質プロテアーゼ切断部位により、配列番号16によってコードされるmbIL15に共役された配列番号109の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号91のアミノ酸配列を含み、配列番号17のアミノ酸配列を含むmbIL15と同時発現される。本明細書で開示される通り、配列番号90、91、109、16及び/又は16と異なるが、類似機能を共有する配列も実施形態に応じて用いられ得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、IgG4ヒンジ、CD8a膜貫通ドメイン、OX-40ドメイン及びCD3ζに共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド構築物は、mbIL15をキメラ受容体とバイシストロン性に同時発現するように設計される。いくつかのかかる実施形態では、ポリヌクレオチド構築物は、細胞質プロテアーゼにより認識及び切断された1つ以上の切断部位(例えば、T2A、P2A、E2A及び/又はF2A切断部位(複数))を含む。いくつかの実施形態では、mbIL15は、細胞質プロテアーゼ切断部位によりキメラ受容体に共役される。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、細胞質プロテアーゼ切断部位により、配列番号16によってコードされるmbIL15に共役された配列番号100の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号101のアミノ酸配列を含み、配列番号17のアミノ酸配列を含むmbIL15と同時発現される。本明細書で開示される通り、配列番号100、101及び/又は16と異なるが、類似機能を共有する配列も実施形態に応じて用いられ得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、癌を治療するための方法であって、上記又は本明細書中の他の箇所に記載のポリヌクレオチドによってコードされるキメラ受容体を発現するナチュラルキラー(NK)細胞を含む組成物を、癌を有する対象に投与することを含む方法が提供される。
【0013】
一実施形態では、NK細胞は、癌又は感染性疾患を有する患者から単離された自家細胞である。さらなる実施形態では、NK細胞は、ドナーから単離された同種細胞である。
【0014】
NK細胞の細胞傷害性の増強を、それを必要とする哺乳動物において行うための薬剤の製造における、上記又は本明細書中の他の箇所に記載のポリヌクレオチドの使用も本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、癌又は感染性疾患の治療又は予防を、それを必要とする哺乳動物において行うための薬剤の製造における、上記又は本明細書中の他の箇所に記載のポリヌクレオチドの使用が提供される。
【0015】
いくつかの実施形態によると、細胞外受容体ドメイン並びに膜貫通領域及び細胞内シグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメインを含む、キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供される。本明細書中でより詳細に考察される通り、細胞外受容体ドメインは、標的細胞上のリガンドを認識及び結合することに役立つ。エフェクタードメインは、(細胞外ドメインによる標的細胞との結合時に)標的細胞に対する細胞傷害活性をもたらすシグナルカスケードを発動させるシグナルを伝達するのに役立つ。いくつかの実施形態によると、ポリヌクレオチドは、意外にも操作されていないNK細胞と比べて増強された細胞傷害性をもたらすキメラ受容体をコードする。
【0016】
いくつかの実施形態では、細胞外受容体ドメインは、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)の天然リガンドに結合するペプチドを含む。いくつかの実施形態によると、NKG2Dの天然リガンドに結合するペプチドは、NKG2Dの機能断片(例えば、完全長NKG2Dの切断部、断片又は部分である。本明細書で用いられるとき、用語「断片」、「切断部」及び「部分」は、それらの通常の意味が与えられるものとし、互いに交換可能なものとする。例えば、いくつかの実施形態では、NKG2Dの断片は、配列番号1の配列の断片を含むポリヌクレオチドによってコードされる。いくつかの実施形態では、NKG2Dの断片が配列番号2の配列を含む一方、さらなる実施形態では、NKG2Dをコードする断片は、コドン最適化され、例えば配列番号3の配列を含む。さらなる実施形態では、NKG2Dをコードする断片は、コドン最適化され、例えば配列番号68の配列を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、CD16、NCR1、NCR2、NCR3、4-1BB、NKp80、CD3ζ及び2B4の1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、これらのエフェクタードメインは、CD8αに共役される。
【0018】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD16に共役されたNKG2Dの断片を含む。本明細書で用いられるとき、共役されたとは、その通常の意味が与えられるものとし、ヌクレオチド配列の、ヌクレオチド配列の発現を例えばインビトロ転写/翻訳系、宿主細胞(例えば、インビトロ及び/又はインビボ)において可能にするような方法での直接的(例えば、第1のヌクレオチドに第2のヌクレオチドが直接的に後続する)又は間接的(例えば、配列が互いにインフレームであっても介在ヌクレオチドによって分離される)結合も指すこととする。本明細書で用いられるとき、「連結された」及び「共役された」は、交換可能に用いられる。いくつかの実施形態では、NKG2D/CD16キメラ受容体は、配列番号23の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、NKG2D/CD16キメラ受容体は、配列番号24のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、NCR1に共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、かかるキメラ受容体は、配列番号27の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号28のアミノ酸配列を含む。
【0019】
上で考察の通り、いくつかの実施形態では、NKG2D断片は、NCR2に共役され、得られるキメラ受容体は、配列番号21のアミノ酸配列の少なくとも一部を含む。いくつかの実施形態は、NCR3に共役されたNKG2Dの断片を含むキメラ受容体を提供する。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号29の核酸配列によってコードされ、キメラ受容体は、配列番号30のアミノ酸配列を含む。
【0020】
以下により詳細に考察される通り、膜貫通及び細胞内ドメインの組み合わせは、いくつかの実施形態で用いられ、キメラ受容体の成分間に相乗的相互作用をもたらし、増強された細胞傷害性効果をもたらす。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD16膜貫通/細胞内ドメイン及び4-1BBに共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD16膜貫通/細胞内ドメイン及び4-1BBに共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、かかるキメラ受容体は、配列番号25の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、得られたキメラ受容体は、配列番号26のアミノ酸配列を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、NCR1がNKG2D断片と併用される。いくつかの実施形態では、NKG2D断片は、NCR1に単独で連結される。さらなる実施形態では、キメラ受容体は、NCR1及び4-1BBに共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかのかかる実施形態では、キメラ受容体は、配列番号20のNCR1アミノ酸配列を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8a、4-1BB及びCD3zに共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、かかるNKG2D/CD8a/4-1bb/CD3zキメラ受容体は、配列番号18の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号19のアミノ酸配列を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、NCR3は、キメラ受容体に含まれる。例えば、NKG2D/NCR3構築物がいくつかの実施形態において提供される。それにより得られたキメラ受容体は、配列番号22のNCR3アミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、NKG2D/NCR2/4-1BB構築物又はNKG2D/NCR3/4-1BB構築物を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、リンカー、ヒンジ又は他の「スペーシング」エレメントがキメラ受容体構築物において提供される。例えば、いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、リンカーを含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、構築物の部分間、例えば4-1BB、CD16、NCR1、NCR3、2B4又はNKp80のいずれかの間でGSリンカーをコードする。いくつかの実施形態では、1つ以上、例えば1、2、3、4、5、6又は7つ以上のGSリンカーが提供される。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域を含むキメラ受容体が提供される。特定の構築物中の位置に応じて、ヒンジ領域は、リンカー領域と同義であり得、またその逆であり得る。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、配列番号5の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、所望の長さに切断でき、したがって配列番号5の核酸配列の断片によってコードされる。いくつかの実施形態では、グリシン-セリンモチーフがヒンジとして用いられる。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、(GGGGS)n(ここで、nは、反復数である)のアミノ酸配列(配列番号31)を有するグリシン-セリン反復モチーフを含む。いくつかの実施形態では、9回反復が用いられることで、配列番号33のアミノ酸配列を含むヒンジ領域が得られる。いくつかの実施形態では、3回反復が用いられることで、配列番号34のアミノ酸配列を含むヒンジ領域が得られる。
【0025】
いくつかの実施形態では、2つの別々の分子をヒンジ又はリンカー、例えば配列番号32のアミノ酸配列として用いることができる(CD8a/GS3)。いくつかの実施形態では、βアドレナリン受容体の一部がヒンジ又はリンカーとして用いられる。いくつかの実施形態では、β2アドレナリン受容体の一部が用いられる。一実施形態では、配列番号40の核酸配列によってコードされる、β2アドレナリン受容体の細胞外ドメインが用いられる。いくつかの実施形態では、配列番号42の核酸配列によってコードされる、β2アドレナリン受容体の第1の膜貫通らせんが用いられる。実施形態に応じて、これらの2つのβ2アドレナリン受容体部分がキメラ受容体と一緒に用いられる。いくつかの実施形態では、細胞外受容体ドメインは、配列番号4の核酸配列を含むCD8aシグナルペプチドをさらに含む。任意選択により、実施形態に応じて、他のシグナルペプチドが用いられる。シグナルペプチドは、いくつかの実施形態に従い、多量体形式で用いられ得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、1つ以上のヘミITAM配列を含む。いくつかのかかる実施形態では、ヘミITAMは、アミノ酸モチーフDGYXXL(式中、Xは、任意のアミノ酸である;配列番号14)を含む。複数のヘミITAMがいくつかの実施形態において用いられる。いくつかの実施形態では、ヘミITAMは、NKp80を含む。いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、1つ以上のITSM配列を含む。ITSM配列は、いくつかの実施形態では、ヘミITAMモチーフと併用される。いくつかの実施形態では、ITSMは、アミノ酸モチーフS/TXYXXL/I(式中、Xは、任意のアミノ酸である;配列番号15)である。いくつかの実施形態では、エフェクターは、2B4ドメインを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、GS3リンカー、CD8aヒンジ、CD16膜貫通/細胞内ドメイン及び4-1BBに共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、GS3リンカー、CD16膜貫通/細胞内ドメイン及び4-1BBに共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD16膜貫通/細胞内ドメイン及び4-1BBに共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD8a膜貫通ドメイン、4-1BB及び2B4に共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、βアドレナリン細胞外ドメイン、βアドレナリン膜貫通ドメイン、4-1BB及び2B4に共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD8a膜貫通ドメイン、4-1BB、2B4、GS3リンカー及びNKp80に共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD8a膜貫通ドメイン、4-1BB、GS3リンカー及びNKp80に共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、NKG2Dの断片を含み、この断片は、GS3リンカー、追加的なNKG2D断片、βアドレナリン細胞外ドメイン、βアドレナリン膜貫通ドメイン、4-1BB、追加的なGS3リンカー及びNKp80に共役されている、コドン最適化されている配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、GS3リンカー、追加的なNKG2D断片、CD8aヒンジ、CD8a膜貫通ドメイン、4-1BB、追加的なGS3リンカー及びNKp80に共役されている、コドン最適化されているNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、GS3リンカー、追加的なNKG2D断片、CD8aヒンジ、CD16膜貫通/細胞内ドメイン及び4-1BBに共役されている、コドン最適化されているNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD16膜貫通/細胞内ドメイン、4-1BB及び2B4に共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD16膜貫通/細胞内ドメイン、4-1BB、GS3リンカー及びNKp80に共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ及びCD8a膜貫通ドメインに共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、エフェクターは、4-1BBを含む。いくつかのかかる実施形態では、エフェクターは、任意選択により、NKp80、2B4、CD3ζ、Dap10、Dap12、CD28又は本明細書中に提供される他のシグナル伝達ドメインの1つ以上と併せて4-1BBを含む)。いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、CD3ζをさらに含む。いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、2B4の細胞内ドメインを含む。いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、DAP10の細胞内ドメインをさらに含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD8a膜貫通ドメイン、4-1BB、2B4及びCD3ζに共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号58の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号59のアミノ酸配列を含む。
【0029】
加えて、本明細書で開示されるキメラ受容体のいずれかはまた、膜結合性インターロイキン15(mbIL15)と同時発現され得る。例えば、いくつかの実施形態では、NKG2Dの断片である、NKG2Dの天然リガンドに結合するペプチドを含む細胞外受容体ドメイン、膜貫通領域、エフェクタードメインを含むキメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、このポリヌクレオチドは、膜結合性インターロイキン15(mbIL15)をコードする追加的な構築物と同時発現される。いくつかの実施形態では、本明細書で考察されるようなキメラ受容体は、mbIL-15と同時発現される。いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、4-1BB及びCD3ζを含み、膜貫通領域は、CD8aを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、DNAX活性化タンパク質10(DAP10)を含まないように操作される。加えて、いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、ITAMモチーフを含まないように操作される。
【0031】
いくつかの実施形態では、(a)NKG2Dの天然リガンドに結合するNKG2Dの断片を含む細胞外受容体ドメイン、(b)CD8aを含む膜貫通領域、及び(c)4-1BB及び2B4又はDAP10の細胞内ドメインを含むエフェクタードメインの1つ、2つ又は全部を含む、キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供される。いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、2B4、その後の4-1BBを含む。さらなる実施形態では、エフェクタードメインは、4-1BB、その後の2B4を含む。いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、DAP10、その後の4-1BBを含む。さらなる実施形態では、エフェクタードメインは、4-1BB、その後のDAP10を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD8a膜貫通ドメイン、4-1BB及びDAP10に共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号60の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号61のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD8a膜貫通ドメイン、4-1BB、2B4及びDAP10に共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、4-1BB、その後のDAP10、その後の2B4を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号62の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号63のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、4-1BB、その後の2B4、その後のDAP10を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号64の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号65のアミノ酸配列を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、細胞内エフェクタードメインに共役されている、コドン最適化されているNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、NKG2Dの複数の断片が用いられ、例えば、(任意選択によりコドン最適化された)追加的なNKG2D断片が例えばGS3リンカーにより第1の断片に共役される。いくつかの実施形態では、かかるキメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD8a膜貫通ドメイン、4-1BB及びCD3ζをさらに含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号66の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号67のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、膜結合性インターロイキン15(mbIL15)をコードする追加的な構築物と同時発現される。
【0033】
いくつかの実施形態では、NKG2Dの天然リガンドに結合し、且つ配列番号1の断片によってコードされるNKG2Dの断片を含む細胞外受容体ドメイン、CD3ζ膜貫通領域を含む膜貫通領域及びエフェクタードメインを含む、キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供される。いくつかの実施形態では、NKG2Dの天然リガンドに結合し、且つ配列番号2によってコードされるNKG2Dの断片を含む細胞外受容体ドメイン、CD3ζ膜貫通領域を含む膜貫通領域及びエフェクタードメインを含む、キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供される。いくつかの実施形態では、NKG2Dの天然リガンドに結合し、且つ配列番号3によってコードされるNKG2Dの断片を含む細胞外受容体ドメイン、CD3ζ膜貫通領域を含む膜貫通領域及びエフェクタードメインを含む、キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供される。いくつかの実施形態では、NKG2Dの天然リガンドに結合し、且つ配列番号68によってコードされるNKG2Dの断片を含む細胞外受容体ドメイン、CD3ζ膜貫通領域を含む膜貫通領域及びエフェクタードメインを含む、キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供される。いくつかの実施形態では、配列番号2、3又は68のいずれかによってコードされるNKG2Dの断片も用いられ得る。いくつかの実施形態では、CD3ζ膜貫通領域は、配列番号69のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、配列番号69の配列の断片、すなわち(二量体を含む)天然CD3ζサブユニットのシグナル伝達の少なくとも約65%、約75%、約85%又は約95%を伝達する能力を保持する断片も用いられる。いくつかの実施形態では、細胞外受容体ドメインは、CD3ζ膜貫通領域に隣接した追加的な残基をさらに含む。いくつかの実施形態では、追加的なアミノ酸は、天然CD3ζ配列の細胞外残基である。他の実施形態では、追加的なアミノ酸は、無作為に選択される。いくつかの実施形態では、2、3、4、5、6、8、10、15又は20の追加的なアミノ酸が存在する。いくつかの実施形態では、キメラ受容体ドメインは、ヒンジ領域、いくつかの実施形態では、配列番号5の核酸配列によってコードされるCD8aヒンジを含む。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、配列番号5の核酸配列の断片によってコードされるCD8aヒンジである。実施形態に応じて、この断片は、配列番号5の核酸配列の長さの約75%、約80%、約85%、約90%、約95%である。実施形態に応じて、この断片は、配列番号5の核酸配列に対して約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%又は約99%相同である。いくつかの実施形態では、細胞外受容体ドメインは、CD8aシグナルペプチドをさらに含み、実施形態に応じて、配列番号4の核酸配列を含み得る。いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、4-1BBを含む。いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、CD16細胞内ドメインを含む。いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、(構築物中の「第1」対「第2」である部分のいずれかとともに)4-1BB及びCD16を含む。いくつかの実施形態では、4-1BB及び/又はCD16の1つ以上の反復が用いられる。
【0034】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD3ζ膜貫通領域及び4-1BBを含むエフェクタードメインに共役されている、コドン最適化されているNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号78の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号79のアミノ酸配列を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD3ζ膜貫通領域及びCD16、その後の4-1BBを含むエフェクタードメインに共役されている、コドン最適化されているNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号71のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号70の核酸配列によってコードされる。
【0036】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD3ζ膜貫通領域及び4-1BB、その後のCD16を含むエフェクタードメインに共役されている、任意選択によりGS3リンカーによって共役されている、コドン最適化されているNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号85のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号84の核酸配列によってコードされる。
【0037】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、GS3リンカー、追加的なNKG2D断片、CD8aヒンジ、CD3ζ膜貫通領域並びにCD16及び4-1BBを含むエフェクタードメインに共役されている、コドン最適化されているNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号72の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号73のアミノ酸配列を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、NKp80を含む。いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、NKp80である。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD3ζ膜貫通領域並びにCD16、4-1BB及びNKp80を含むエフェクタードメイン、また任意選択によりGS3リンカーなどに共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号74の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号75のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、GS3リンカー、追加的なNKG2D断片(任意選択によりコドン最適化された)、CD8aヒンジ、CD3ζ膜貫通領域並びにCD16、4-1BB及びNKp80を含むエフェクタードメイン、また任意選択によりGS3リンカーなどに共役されている、コドン最適化されているNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号76の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号77のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD3ζ膜貫通領域並びに4-1BB及びNKp80を含むエフェクタードメイン、また任意選択によりGS3リンカーなどに共役されている、コドン最適化されているNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号82の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号83のアミノ酸配列を含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、CD3ζを含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD3ζ膜貫通領域並びに4-1BB及びCD3ζを含むエフェクタードメインに共役されている、コドン最適化されているNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号80の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号81のアミノ酸配列を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、FcRγを含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD3ζ膜貫通領域並びに4-1BB及びFcRγを含むエフェクタードメインに共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号86の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号87のアミノ酸配列を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、CD28を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD3ζ膜貫通領域並びにCD28及びCD3ζを含むエフェクタードメインに共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号102の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号103のアミノ酸配列を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、GSリンカーを含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるポリヌクレオチドは、膜結合性インターロイキン15(mbIL15)と同時発現される。
【0044】
いくつかの実施形態では、NKG2Dの天然リガンドに結合する能力があり、且つ配列番号1の配列、配列番号2の配列、配列番号3の配列又は配列番号68の配列のいずれか1つの断片によってコードされるNKG2Dの断片を含む細胞外受容体ドメイン並びに膜貫通領域及び細胞内シグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメインを含む、キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、NKG2Dの天然リガンドに結合する能力があり、且つ(i)配列番号1の配列の断片、(ii)配列番号2の配列、(iii)配列番号3の配列、又は(iv)配列番号68の配列によってコードされるNKG2Dの断片を含む細胞外受容体ドメイン並びに膜貫通領域及び細胞内シグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメインを含む、キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供される。いくつかの実施形態では、NKG2Dの天然リガンドに結合する能力があり、且つ配列番号2の配列によってコードされるNKG2Dの断片を含む細胞外受容体ドメイン並びに膜貫通領域及び細胞内シグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメインを含む、キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、NKG2Dの天然リガンドに結合する能力があり、且つ配列番号3の配列によってコードされるNKG2Dの断片を含む細胞外受容体ドメイン並びに膜貫通領域及び細胞内シグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメインを含む、キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、NKG2Dの天然リガンドに結合する能力があり、且つ配列番号68の配列の断片によってコードされるNKG2Dの断片を含む細胞外受容体ドメイン並びに膜貫通領域及び細胞内シグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメインを含む、キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、細胞外受容体ドメインは、ヒンジ領域を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、配列番号5の核酸配列又は任意選択により配列番号5の核酸配列の断片(例えば、配列番号5に対して約75%、約85%、約95%相同である断片)によってコードされるCD8aヒンジである。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、配列番号104の核酸配列によってコードされる免疫グロブリンG4(IgG4)ヒンジである。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、配列番号104の核酸配列の断片(例えば、配列番号104に対して約75%、約85%、約95%相同である断片)によってコードされる免疫グロブリンG4(IgG4)ヒンジである。いくつかの実施形態では、細胞外受容体ドメインは、配列番号4の核酸配列を含むCD8aシグナルペプチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、OX40(CD134)、CD3ζ、4-1BB、CD28及びDAP12からなる群から選択される少なくとも1つのシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体膜貫通ドメインは、CD8膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD8a膜貫通ドメイン、4-1BB及びCD3zに共役されたNKG2Dの断片に(任意選択によりGS3リンカーにより)連結されたIL-15を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号88の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号89のアミノ酸配列を含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、IgG4ヒンジ、CD8a膜貫通ドメイン、4-1BB及びCD3ζに共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号96の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号97のアミノ酸配列を含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、OX40を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD8a膜貫通ドメイン、OX40及びCD3zに共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号90の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号109の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号91のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、IgG4ヒンジ、CD8a膜貫通ドメイン、OX40及びCD3ζに共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号100の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号101のアミノ酸配列を含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD28膜貫通/細胞内ドメインを含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD28膜貫通/細胞内ドメイン及びCD3ζに共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号92の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号93のアミノ酸配列を含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD28膜貫通/細胞内ドメイン、4-1BB及びCD3ζに共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号94の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号95のアミノ酸配列を含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、IgG4ヒンジ、CD28膜貫通/細胞内ドメイン及びCD3ζに共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号98の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号99のアミノ酸配列を含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、GSリンカーを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるポリヌクレオチドは、膜結合性インターロイキン15(mbIL15)と(同じポリヌクレオチド上又は別のポリヌクレオチド上のいずれかで)同時発現されるように設計される。
【0051】
キメラ受容体のいずれかは、任意選択により、NKG2Dの天然リガンドに結合する第2のペプチドを含む細胞外受容体ドメインを含み得る。いくつかの実施形態では、第2のペプチドは、NKG2Dと相同である一方、他の実施形態では、第2のペプチドは、NKG2Dについて異種である。キメラ受容体が二量体化された細胞外受容体ドメインを含むか否かにかかわらず、細胞外受容体ドメインは、NKG2Dの少なくとも以下の天然リガンド:MICA、MICB、ULBP1、ULBP2、ULBP3、ULBP4、ULBP5又はULBP6を認識し得る。
【0052】
以下により詳細に考察される通り、NKG2Dリガンド結合ドメインの機能的変異体がいくつかの実施形態において用いられる。例えば、NKG2Dの天然リガンドに結合するペプチドは、いくつかの実施形態では、配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号68に対して少なくとも80%相同である。いくつかの実施形態では、NKG2Dの天然リガンドに結合するペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号68に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同である。
【0053】
加えて、いくつかの実施形態では、キメラ受容体を発現するためのベクターが本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるポリヌクレオチドは、mRNAであり、キメラ受容体の発現のための少なくとも1つの調節エレメントに対する作動可能な結合を含み得る。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、1つ以上の内部リボソーム進入部位(IRES)をさらに含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、レトロウイルスである。
【0054】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるキメラ受容体構築物のいずれかを発現する操作されたナチュラルキラー細胞も提供され、操作されたNK細胞は、標的細胞に対する増強された細胞傷害性効果を示す。増強された細胞傷害性効果は、限定されないが、標的(例えば、癌性)細胞に対する、正常(例えば、非癌性)細胞と比べてより高い親和性、標的細胞に特異的なより大きい殺滅効果、低下したオフターゲット効果、細胞傷害性効果の持続時間の増加、より効率的な細胞傷害性などを含む。かかる増強効果は、様々なインビトロ細胞傷害性アッセイの使用(例えば、サイトカイン産生の測定など)、標的細胞死の測定又は様々な臨床成績(例えば腫瘍量の減少)を通じて同定可能である。いくつかの実施形態では、操作されたNK細胞は、患者から単離された自家細胞である。さらなる実施形態では、操作されたNK細胞は、ドナーから単離された同種細胞から作製される。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるような操作されたNK細胞が用いられ、かかるNK細胞を投与することにより、NK細胞の細胞傷害性の増強を、それを必要とする哺乳動物において行う。いくつかの実施形態では、哺乳動物における癌又は感染性疾患を治療又は予防するため、これらの操作されたNK細胞が用いられる。いくつかの実施形態では、(例えば、癌又は感染性疾患を治療又は予防するために)NK細胞の細胞傷害性を増強するための薬剤の製造において、本明細書で開示される様々なキメラ受容体をコードするポリヌクレオチド、それらを担持するベクター及びそれらを発現するNK細胞を用いることもできる。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるキメラ受容体構築物は、操作されたNK細胞の正常細胞に対する細胞傷害性を増強することが有意でなく、また本明細書に記載の通り、非操作NK細胞と比べて有利に改善される。いくつかの実施形態では、細胞外受容体ドメイン、膜貫通領域及びエフェクタードメインを含む、キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供される。いくつかの実施形態では、細胞外受容体ドメインは、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)の天然リガンドに結合するペプチドを含み、NKG2Dの天然リガンドに結合するペプチドは、NKG2Dの断片である。いくつかの実施形態は、(a)ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)の天然リガンドに結合するペプチドを含む細胞外受容体ドメインであって、NKG2Dの天然リガンドに結合するペプチドは、NKG2Dの断片であり、NKG2Dの断片は、(i)配列番号1の配列の断片、(ii)配列番号2の配列、(iii)配列番号3の配列、又は(iv)配列番号68の配列を含むポリヌクレオチドによってコードされる、細胞外受容体ドメイン、(b)膜貫通領域、及び(c)エフェクタードメインを含む、キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドに関する。
【0055】
いくつかの実施形態では、(a)ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)の天然リガンドに結合するペプチドを含む細胞外受容体ドメインであって、NKG2Dの天然リガンドに結合するペプチドは、NKG2Dの断片であり、NKG2Dの断片は、(i)配列番号1の配列の断片、(ii)配列番号2の配列、(iii)配列番号3の配列、(iv)又は配列番号68の配列を含むポリヌクレオチドによってコードされる細胞外受容体ドメイン;及び(b)膜貫通領域及び細胞内シグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメインを含む、キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供される。
【0056】
いくつかの実施形態では、膜貫通領域は、CD3ζ膜貫通領域を含む。いくつかの実施形態では、CD3ζ膜貫通領域は、配列番号69のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通領域は、CD8aを含む。いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、4-1BB、2B4の細胞内ドメイン、NKp80、CD16細胞内ドメイン、天然細胞傷害誘発受容体1(NCR1)、天然細胞傷害誘発受容体2(NCR2)、天然細胞傷害誘発受容体3(NCR3)及び/又はDAP10の細胞内ドメインを含む。一実施形態では、エフェクタードメインは、4-1BB及びCD16を含む。いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、4-1BB及びCD3ζを含む。いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、4-1BB及び2B4又はDAP10の細胞内ドメインを含む。いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、2B4、その後の4-1BBを含む一方、他の実施形態では、エフェクタードメインは、4-1BB、その後の2B4を含む。いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、DAP10、その後の4-1BBを含む。いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、4-1BB、その後のDAP10を含む。いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、CD3ζをさらに含む。いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、OX40(CD134)、CD3ζ、4-1BB、CD28及びDAP12からなる群から選択される少なくとも1つのシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、1つ以上のヘミITAM配列を含む。いくつかの実施形態では、ヘミITAMは、配列番号14のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヘミITAMは、配列番号37のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、1つ以上のITSM配列を含む。いくつかの実施形態では、ITSMは、配列番号15のアミノ酸配列又は配列番号35のアミノ酸配列を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD8a膜貫通ドメイン、4-1BB、2B4及びCD3ζに共役されたNKG2Dの断片を含む。一実施形態では、キメラ受容体は、配列番号58の核酸配列によってコードされる。一実施形態では、キメラ受容体は、配列番号59のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD8a膜貫通ドメイン、4-1BB及びDAP10に共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号60の核酸配列によってコードされ、配列番号61のアミノ酸配列を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD8a膜貫通ドメイン、4-1BB、2B4及びDAP10に共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、4-1BB、その後のDAP10、その後の2B4を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号62の核酸配列によってコードされ、キメラ受容体は、配列番号63のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、4-1BB、その後の2B4、その後のDAP10を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号64の核酸配列によってコードされ、キメラ受容体は、配列番号65のアミノ酸配列を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、GS3リンカー、追加的なNKG2D断片、CD8aヒンジ、CD8a膜貫通ドメイン、4-1BB及びCD3ζに共役されている、コドン最適化されているNKG2Dの断片を含む。一実施形態では、キメラ受容体は、配列番号66の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号67のアミノ酸配列を含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD3ζ膜貫通領域及び4-1BBを含むエフェクタードメインに共役されている、コドン最適化されているNKG2Dの断片を含み、配列番号78の核酸配列によってコードされ、且つ/又は配列番号79のアミノ酸配列を含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD3ζ膜貫通領域及びCD16、その後の4-1BBを含むエフェクタードメインに共役されている、コドン最適化されているNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号70の核酸配列によってコードされ、且つ/又は配列番号71のアミノ酸配列を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD3ζ膜貫通領域並びに4-1BB、その後のGS3リンカー及びCD16を含むエフェクタードメインに共役されている、コドン最適化されているNKG2Dの断片を含む。一実施形態では、キメラ受容体は、配列番号85のアミノ酸配列を含み、且つ/又は配列番号84の核酸配列によってコードされる。
【0063】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、GS3リンカー、追加的なNKG2D断片、CD8aヒンジ、CD3ζ膜貫通領域並びにCD16及び4-1BBを含むエフェクタードメインに共役されている、コドン最適化されているNKG2Dの断片を含む。一実施形態では、キメラ受容体は、配列番号72の核酸配列によってコードされ、且つ/又は配列番号73のアミノ酸配列を含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD8a膜貫通ドメイン、4-1BB及びCD3ζに共役されたNKG2Dの断片にGS3リンカーにより連結されたIL-15を含み、配列番号88の核酸配列によってコードされ、且つ/又は配列番号89のアミノ酸配列を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、IgG4ヒンジ、CD8a膜貫通ドメイン、4-1BB及びCD3ζに共役されたNKG2Dの断片を含み、配列番号96の核酸配列によってコードされ、且つ/又は配列番号97のアミノ酸配列を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD8a膜貫通ドメイン、OX40及びCD3zに共役されたNKG2Dの断片を含み、配列番号90の核酸配列によってコードされ、且つ/又は配列番号91のアミノ酸配列を含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、IgG4ヒンジ、CD8a膜貫通ドメイン、OX40及びCD3ζに共役されたNKG2Dの断片を含み、配列番号100の核酸配列によってコードされ、且つ/又は配列番号101のアミノ酸配列を含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD28膜貫通/細胞内ドメイン及びCD3ζに共役されたNKG2Dの断片を含み、配列番号92の核酸配列によってコードされ、且つ/又は配列番号93のアミノ酸配列を含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD28膜貫通/細胞内ドメイン、4-1BB及びCD3ζに共役されたNKG2Dの断片を含み、配列番号94の核酸配列によってコードされ、且つ/又は配列番号95のアミノ酸配列を含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、IgG4ヒンジ、CD28膜貫通/細胞内ドメイン及びCD3ζに共役されたNKG2Dの断片を含み、配列番号98の核酸配列によってコードされ、且つ/又は配列番号99のアミノ酸配列を含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD3ζ膜貫通領域並びにCD16、4-1BB、GS3リンカー及びNKp80を含むエフェクタードメインに共役されたNKG2Dの断片を含む。一実施形態では、キメラ受容体は、配列番号74の核酸配列によってコードされ、且つ/又は配列番号75のアミノ酸配列を含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、GS3リンカー、追加的なNKG2D断片、CD8aヒンジ、CD3ζ膜貫通領域並びにCD16、4-1BB、GS3リンカー及びNKp80を含むエフェクタードメインに共役されている、コドン最適化されているNKG2Dの断片を含む。一実施形態では、キメラ受容体は、配列番号76の核酸配列によってコードされ、且つ/又は配列番号77のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD3ζ膜貫通領域並びに4-1BB、GS3リンカー及びNKp80を含むエフェクタードメインに共役されている、コドン最適化されているNKG2Dの断片を含む。一実施形態では、キメラ受容体は、配列番号82の核酸配列によってコードされ、且つ/又は配列番号83のアミノ酸配列を含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD3ζ膜貫通領域並びに4-1BB及びCD3ζを含むエフェクタードメインに共役されている、コドン最適化されているNKG2Dの断片を含む。一実施形態では、キメラ受容体は、配列番号80の核酸配列によってコードされ、且つ/又は配列番号81のアミノ酸配列を含む。
【0074】
実施形態に応じて、エフェクタードメインは、FcRγも含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD3ζ膜貫通領域並びに4-1BB及びFcRγを含むエフェクタードメインに共役されたNKG2Dの断片を含む。一実施形態では、キメラ受容体は、配列番号86の核酸配列によってコードされ、且つ/又は配列番号87のアミノ酸配列を含む。
【0075】
実施形態に応じて、エフェクタードメインは、CD28も含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD3ζ膜貫通領域並びにCD28及びCD3ζを含むエフェクタードメインに共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号102の核酸配列によってコードされ、且つ/又は配列番号103のアミノ酸配列を含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、GSリンカーを含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、細胞外受容体ドメインは、CD8aシグナルペプチドをさらに含み、シグナルペプチドは、配列番号4の核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、細胞外受容体ドメインは、CD3ζ膜貫通領域に直に隣接したCD3ζの2つの細胞外残基をさらに含む。いくつかの実施形態では、細胞外受容体ドメインは、CD8aシグナルペプチドを含み、シグナルペプチドは、配列番号4の核酸配列を含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、1つ以上のGS3リンカーを含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体ドメインは、ヒンジ領域を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、配列番号5の核酸配列によってコードされる一方、いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、配列番号5の核酸配列の断片によってコードされる。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、CD8aヒンジである。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、配列番号31のアミノ酸配列を有するグリシン-セリン反復モチーフを含む。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、配列番号32のアミノ酸配列を含み、いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、配列番号33のアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、ヒンジ領域は、配列番号34の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、βアドレナリン受容体の一部を含む。いくつかのかかる実施形態では、ヒンジ領域は、配列番号40の核酸配列によってコードされる。さらなる実施形態では、ヒンジ領域は、配列番号42の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、配列番号104の核酸配列によってコードされる免疫グロブリンG4(IgG4)ヒンジである。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、配列番号104の核酸配列の断片によってコードされる免疫グロブリンG4(IgG4)ヒンジである。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ及びCD8a膜貫通ドメインに共役されたNKG2Dの断片を含む。
【0079】
一実施形態では、キメラ受容体は、CD16に共役されたNKG2Dの断片を含み、配列番号23の核酸配列によってコードされ、且つ/又は配列番号24のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、キメラ受容体は、NCR1に共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかのかかる実施形態では、キメラ受容体は、配列番号27の核酸配列によってコードされ、且つ/又は配列番号28のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号21のアミノ酸配列の少なくとも一部を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、NCR3に共役されたNKG2Dの断片を含み、いくつかの実施形態では、配列番号29の核酸配列によってコードされ、且つ/又は配列番号30のアミノ酸配列を含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD16膜貫通/細胞内ドメイン及び4-1BBに共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD16膜貫通/細胞内ドメイン及び4-1BBに共役されたNKG2Dの断片を含み、配列番号25の核酸配列によってコードされ、且つ/又は配列番号26のアミノ酸配列を含む。
【0081】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、NCR1及び4-1BBに共役されたNKG2Dの断片を含み、キメラ受容体は、配列番号20のNCR1アミノ酸配列を含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8a、4-1BB及びCD3zに共役されたNKG2Dの断片を含み、配列番号18の核酸配列によってコードされ、且つ/又は配列番号19のアミノ酸配列を含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、NCR3及び4-1BBに共役されたNKG2Dの断片を含み、NCR3は、配列番号22のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、キメラ受容体は、配列番号20のNCR1膜貫通/細胞内ドメイン又は配列番号22のNCR3膜貫通/細胞内ドメインの1つ以上を含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、GS3リンカー、CD8aヒンジ、CD16膜貫通/細胞内ドメイン及び4-1BBに共役されたNKG2Dの断片を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号43の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、GS3リンカー、CD16膜貫通/細胞内ドメイン及び4-1BBに共役されたNKG2Dの断片を含む。一実施形態では、キメラ受容体は、配列番号44の核酸配列によってコードされる。
【0085】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD16膜貫通/細胞内ドメイン及び4-1BBに共役されたNKG2Dの断片を含み、配列番号45の核酸配列によってコードされる。
【0086】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD8a膜貫通ドメイン、4-1BB及び2B4に共役されたNKG2Dの断片を含み、配列番号46の核酸配列によってコードされる。
【0087】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、βアドレナリン細胞外ドメイン、βアドレナリン膜貫通ドメイン、4-1BB及び2B4に共役されたNKG2Dの断片を含み、配列番号47の核酸配列によってコードされる。
【0088】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD8a膜貫通ドメイン、4-1BB、2B4、GS3リンカー及びNKp80に共役されたNKG2Dの断片を含み、配列番号48の核酸配列によってコードされる。
【0089】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD8a膜貫通ドメイン、4-1BB、GS3リンカー及びNKp80に共役されたNKG2Dの断片を含み、配列番号49の核酸配列によってコードされる。
【0090】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、GS3リンカー、追加的なNKG2D断片、βアドレナリン細胞外ドメイン、βアドレナリン膜貫通ドメイン、4-1BB、追加的なGS3リンカー及びNKp80に共役されている、コドン最適化されているNKG2Dの断片を含み、配列番号50の核酸配列によってコードされる。
【0091】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、GS3リンカー、追加的なNKG2D断片、CD8aヒンジ、CD8a膜貫通ドメイン、4-1BB、追加的なGS3リンカー及びNKp80に共役されている、コドン最適化されているNKG2Dの断片を含み、配列番号51の核酸配列によってコードされる。
【0092】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、GS3リンカー、追加的なNKG2D断片、CD8aヒンジ、CD16膜貫通/細胞内ドメイン及び4-1BBに共役されている、コドン最適化されているNKG2Dの断片を含み、配列番号52の核酸配列によってコードされる。
【0093】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD16膜貫通/細胞内ドメイン、4-1BB及び2B4に共役されたNKG2Dの断片を含み、配列番号53の核酸配列によってコードされる。
【0094】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD16膜貫通/細胞内ドメイン、4-1BB、GS3リンカー及びNKp80に共役されたNKG2Dの断片を含み、配列番号54の核酸配列によってコードされる。
【0095】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体構築物は、キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドによってコードされ、細胞外受容体ドメインは、NKG2Dの天然リガンド(例えば、MICA、MICB、ULBP1、ULBP2、ULBP3、ULBP4、ULBP5又はULBP6の1つ以上に結合する第2のペプチドを含む。実施形態に応じて、NKG2Dの天然リガンドに結合するペプチドは、配列番号1、配列番号2又は配列番号3に対して少なくとも80%相同である。
【0096】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、膜結合性インターロイキン15(mbIL15)をコードする追加的な構築物と同時発現される。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号18の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、配列番号19のアミノ酸配列によってコードされる。
【0097】
いくつかの実施形態によると、キメラ受容体は、DNAX活性化タンパク質10(DAP10)を含まず、且つ/又はキメラ受容体は、免疫受容体チロシンに基づく活性化(ITAM)モチーフをコードしない。
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるポリヌクレオチドは、mRNAである。加えて、いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるポリヌクレオチドは、キメラ受容体の発現のため、少なくとも1つの調節エレメントに作動可能に連結される。
【0099】
本明細書では、本明細書で開示されるポリヌクレオチドを含むベクターも提供される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、キメラ受容体の発現のため、少なくとも1つの調節エレメントに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、ベクターは、レトロウイルスである。
【0100】
本明細書では、本明細書で開示されるポリヌクレオチドのいずれか1つ以上を含む遺伝子操作されたナチュラルキラー細胞も提供される。いくつかの実施形態では、ナチュラルキラー細胞は、自家使用を目的とする一方、いくつかの実施形態では、同種使用を目的とする。
【0101】
本明細書では、NK細胞の細胞傷害性の増強を、それを必要とする哺乳動物において行う方法であって、NK細胞を哺乳動物に投与することを含み、前記NK細胞は、本明細書で開示されるポリヌクレオチドによってコードされるキメラ受容体を発現する、方法も提供される。
【0102】
加えて、癌又は感染性疾患の治療又は予防を、それを必要とする哺乳動物において行うための方法であって、治療有効量のNK細胞を前記哺乳動物に投与することを含み、前記NK細胞は、本明細書で開示されるポリヌクレオチドによってコードされるキメラ受容体を発現する、方法が提供される。上で開示される通り、NK細胞は、同種又は自家であり得る。
【0103】
NK細胞の細胞傷害性の増強を、それを必要とする哺乳動物において行うための薬剤の製造における、本明細書で開示されるようなポリヌクレオチドの使用が提供される。さらに、癌又は感染性疾患の治療又は予防を、それを必要とする哺乳動物において行うための薬剤の製造におけるポリヌクレオチドの使用が提供される。
【0104】
NK細胞の細胞傷害性の増強を、それを必要とする哺乳動物において行うための薬剤の製造における、本明細書で開示されるポリヌクレオチドを含むベクターの使用も提供される。癌又は感染性疾患の治療又は予防を、それを必要とする哺乳動物において行うための薬剤の製造における、本明細書で開示されるポリヌクレオチドを含むベクターの使用も提供される。
【0105】
NK細胞の細胞傷害性の増強を、それを必要とする哺乳動物において行うための、本明細書で開示されるようなキメラ受容体を発現する単離された遺伝子操作されたナチュラルキラー細胞の使用も提供される。癌又は感染性疾患の治療又は予防を、それを必要とする哺乳動物において行うための、本明細書で開示されるようなキメラ受容体を発現する単離された遺伝子操作されたナチュラルキラー細胞の使用も提供される。
【0106】
上で概説され、以下でさらに詳細に示される組成物及び関連の方法は、施術者によってとられる特定の行動を説明するが、それらが別の団体によるそれら行動の指示も含み得ることが理解されるべきである。したがって、「キメラ受容体を発現するNK細胞の集団を投与すること」などの行動は、「キメラ受容体を発現するNK細胞の集団の投与を指示すること」を含む。
【0107】
下図の説明は、本明細書で開示される本発明の非限定的な実施形態を表す実験及び結果に関する。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【
図1A-1C】本明細書で開示されるいくつかの実施形態に従うキメラ受容体の概略図を示す。
図1Aは、内因性NKG2Dを示し、
図1Bは、NKG2D-DAP10-CD3ζを示し、
図1Cは、NKG2D-41BB-CD3ζを示す。
【
図2A-2B】本明細書で開示されるいくつかの実施形態に従うキメラ受容体の概略図を示す。
図2Aは、NKG2D-CD16を示し、
図2Bは、NKG2D-CD16-41BBを示す。
【
図3A-3B】いくつかの実施形態に従う特定の構築物のプラスミドへの挿入のポイントを例示するプラスミドマップを示し、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)プラスミドが例示される。
図3Aは、ベクター内のIRES-GFP配列が除去され、EcoRI及びNotI制限部位に挿入された、NKG2D-DAP10-CD3ζ及びNKG2D-41BB-CD3ζにおける遺伝子構築物を示す。
図3Bは、複数のクローニング部位(MCS)に位置するEcoRI及びXhoI制限部位に挿入された、NKG2D-CD16及びNKG2D-CD16-41BBに対するプラスミドを示す。ベクター内のIRES-GFP配列は、形質導入効率の追跡を可能にする。
【
図4A-4C】NK細胞におけるNKG2D-DAP10-CD3ζ及びNKG2D-41BB-CD3ζの発現に関するデータを示す。
図4Aは、形質導入後のNKG2D陽性NK細胞の百分率を例示するフローサイトメトリーデータを示す。
図4Bは、NKG2D陽性NK細胞の百分率を要約するドットプロットを示す。
図4Cは、形質導入後のNK細胞の異なる群における平均蛍光強度(MFI)に関するデータを示す。
【
図5A-5C】培養されたREH細胞に対するドナー1、ドナー2及びドナー3(それぞれ
図5A、5B及び5C)からのNK細胞から作成された様々な構築物の細胞傷害性に関するデータを示す。
【
図6A-6C】培養されたU-2 OS細胞に対するドナー1、ドナー2及びドナー3(それぞれ
図6A、6B及び6C)からのNK細胞から作成された様々な構築物の細胞傷害性に関するデータを示す。
【
図7A-7B】REH細胞による刺激の存在下及び不在下での様々なNKG2D構築物を発現するNK細胞によるインターフェロンγの産生に関するデータを示す。
図7Aは、REH細胞による刺激の存在下及び不在下でのNK細胞の異なる群におけるIFNγの相対量を示す。
図7Bは、刺激後でのNK細胞の異なる群間でのIFNγのレベルを示す(中央値で表される)。
【
図8A-8C】NK細胞におけるNKG2D-DAP10-CD3ζ及びNKG2D-CD16の発現に関するデータを示す。
図8Aは、形質導入後のNKG2D陽性NK細胞の百分率を例示するフローサイトメトリーデータを示す。
図8Bは、NKG2D陽性NK細胞の百分率を要約するドットプロットを示す。
図8Cは、形質導入後のNK細胞の異なる群における平均蛍光強度(MFI)に関するデータを示す。
【
図9A-9C】培養されたREH細胞に対するドナー3名(それぞれ
図9A、9B及び9C)からのNK細胞から作成された様々な構築物の細胞傷害性に関するデータを示す。
【
図10A-10C】培養されたU-2 OS細胞に対するドナー3名(それぞれ
図10A、10B及び10C)からのNK細胞から作成された様々な構築物の細胞傷害性に関するデータを示す。
【
図11】REH細胞による刺激の存在下及び不在下で様々なNKG2D構築物を発現するNK細胞によるインターフェロンγの産生に関するデータを示す。
【
図12A-12B】NK細胞におけるNKG2D-DAP10-CD3ζ及びNKG2D-CD16-41BBの発現に関するデータを示す。
図12Aは、形質導入後のNKG2D陽性NK細胞の百分率を例示するフローサイトメトリーデータを示す。
図12Bは、NK細胞上での様々な構築物の表面発現の相対量に関するヒストグラムを示す。
【
図13A-13B】様々なNKG2d構築物の細胞傷害性の程度に関するデータを示す。
図13Aは、培養されたREH細胞に対する細胞傷害性の程度を示す。
図13Bは、培養されたU2OS細胞に対する細胞傷害性の程度を示す。
【
図14】本明細書で開示されるいくつかの実施形態に従う、いくつかのNKG2D構築物の構築物マップを概略的に示す。
【
図15】本明細書で開示されるいくつかの実施形態に従う、追加的なNKG2D構築物の構築物マップを概略的に示す。
【
図16A-16C】NK細胞における様々なNKG2D構築物の発現に関するデータを示す。
図16Aは、NK細胞における様々なNKG2D構築物の平均蛍光強度(MFI)に関するデータを示す。
図16Bは、様々なNKG2D構築物のドナー2名(505及び870)のNK細胞への形質導入後のNKG2D陽性及びCD56陽性NK細胞の百分率を例示するフローサイトメトリーデータを示す。
図16Cは、形質導入から7日後のドナー2名からのNK細胞における平均蛍光強度(MFI)に関するデータを示す。
【
図17】NK細胞への形質導入から14日後の1:1のE:T比での様々なNKG2D構築物の細胞傷害性に関するデータを示す。
【
図18A-18B】NK細胞への形質導入後の様々なNKG2D構築物の発現に関するデータを示す。
図18Aは、形質導入から7日後のNK細胞における平均蛍光強度(MFI)に関するデータを示す。
図18Bは、モック形質導入NK細胞と比べた様々なNKG2D構築物のMFIにおける倍数変化に関するデータを示す。
【
図19A-19B】様々なNKG2D構築物の細胞傷害性に関するデータを示す。
図19Aは、1:1のE:T比でのNK細胞に形質導入された様々なNKG2D構築物の細胞傷害性に関するデータを示す。
図19Bは、モック形質導入NK細胞と比べた様々なNKG2D構築物の細胞傷害性におけるパーセント変化に関するデータを示す。
【
図20】NK細胞への形質導入から14日後の1:1のE:T比での様々なNKG2D構築物の細胞傷害性に関するデータを示す。分析前、NK細胞は、40IUのIL-2/mLが添加された培地中で培養された。
【
図21】(2日ごとに40IUのIL-2/mLが添加された培地中での4日間の培養を伴う)ドナー238のNK細胞への形質導入から10日後の、様々なNKG2D構築物の、1:1及び1:2のE:T比で2時間培養されたREH細胞に対する細胞傷害性に関するデータを示す。
【
図22】本明細書で開示される実施形態に従う追加的なNKG2D構築物の構築物マップを概略的に示す。
【
図23A-23B】2つの異なるドナー(それぞれ
図23A及び23Bにおけるドナー61及びドナー103)からのNK細胞から作成された様々なNKG2D構築物の持続性に関するデータを示す。NK細胞は、40IUのIL-2/mLが添加された培地中で培養された。
【
図24】様々なNKG2D構築物の発現に関するデータを示す。NK細胞は、健常ドナー4名(224、225、362及び363)の末梢血単核球(PBMC)から拡大され、指定の構築物の発現を指示するウイルスが形質導入された。形質導入から3日後、NK細胞は、蛍光標識抗NKG2D抗体で染色され、フローサイトメトリーを用いて分析された。相対的なNKG2Dの発現は、標識細胞の平均蛍光強度(MFI)により評価された。
【
図25A-25B】様々なNKG2D構築物が形質導入されたNK細胞の細胞傷害性に関するデータを示す。NK細胞は、ドナー4名のPBMCから拡大され;形質導入から8日後、培養されたREH及びHL60細胞(それぞれ
図25A及び25B)に対するNK細胞傷害性を1:1のE:T比で測定した。NK細胞は、分析前、40IUのIL-2/mLが添加された培地中で培養された。
【
図26A-26C】REH腫瘍細胞による一晩刺激後の様々なNKG2D構築物を発現するNK細胞によるインターフェロンγ(IFNγ)、腫瘍壊死因子α(TNFα)及び顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)の産生に関するデータを示す。指定の構築物の形質導入から8日後、1×10
5個のNK細胞を96ウェル丸底プレートの各ウェル内で1×10
5個のREH細胞で刺激し;一晩のインキュベーション後、上清を収集し、関連の標準に対するサイトカインレベルを、Meso Scale Discovery装置を用いて測定した。刺激後のNK細胞の異なる群において、
図26Aは、IFNγの蓄積されたレベルを示し、
図26Bは、TNFαのレベルを示し、
図26Cは、GM-CSFのレベルを示す。分析前、NK細胞は、40IUのIL-2/mLが添加された培地中で培養された。
【
図27A-27B】形質導入から7、14及び21日後の、様々なNKG2D構築物を発現するドナー2名(それぞれ
図27A及び27Bにおけるドナー224及び225)からのNK細胞の持続性に関するデータを示す。分析前、NK細胞は、40IUのIL-2/mLが添加された培地中で培養された。
【
図28A-28B】指定のNKG2D構築物が形質導入されたNK細胞の細胞傷害性に関するデータを示す。NK細胞傷害性が、赤色蛍光タンパク質を発現するように安定に形質導入されたU2OS細胞に対して測定され;U2OS細胞は、1:4及び1:2のE:T比(それぞれ
図28A及び28B)でNK細胞とともに培養された。生きたU2OS細胞が、Incucyte S3 Live-Cell Analysis Systemを用いて、60分ごとに72時間カウントされた。分析前、NK細胞は、40IUのIL-2/mLが添加された培地中で培養された。
【発明を実施するための形態】
【0109】
概要
多くの疾患の基礎をなす(ウイルス感染及び悪性細胞を含む)異常細胞の出現及び持続は、前記異常細胞に対する不十分な免疫応答によって可能になる。免疫療法の目標は、患者の免疫系の応答を開始又は増強する例えば免疫細胞、例えばナチュラルキラー(NK)細胞が損傷又は異常細胞を損傷させるか、殺滅するか、又は他に阻害する能力を後押しすることである。1つの免疫療法アプローチは、異常細胞の認識及び破壊を標的にするための免疫細胞におけるキメラ受容体の組換え発現である。一般に、キメラ受容体は、標的細胞上のリガンドを認識する細胞外受容体ドメイン、アンカー膜貫通ドメイン及びリガンド結合時のシグナルの活性化を伝達するエフェクタードメインを含む。本明細書で開示されるいくつかの実施形態では、その一般的構造を有するか又はその一般的構造におけるバリエーションを有するキメラ受容体が用いられる。加えて、いくつかの実施形態では、膜貫通ドメイン及びエフェクタードメインは、一緒に融合された別々のペプチドである。いくつかの他の実施形態では、膜貫通及びエフェクタードメインは、同じペプチドに由来する。いくつかのかかる実施形態では、膜貫通及びエフェクタードメインは、単一のペプチド(例えば、膜を貫通することに加え、平衡が保たれ、シグナルカスケードを開始させる1つのペプチド)を含む。以下により詳細に考察される通り、免疫細胞(例えばNK細胞)において所望の程度の発現を示し、非標的細胞に対する有害作用を回避する程度の標的結合活性と平衡した、NK細胞から細胞傷害活性を誘導するキメラ受容体構築物を作製するため、切断、突然変異、追加的なリンカー/スペーサーエレメント、二量体などが用いられる。免疫細胞の表面上での本明細書で開示されるようなキメラ受容体の組換え発現により、目的の異常細胞に対する免疫細胞の標的化が再誘導され、且つ会合時の免疫活性化が増強される可能性がある。
【0110】
免疫療法のためのNK細胞
1つの免疫療法アプローチは、キメラ受容体を発現するように操作されたT細胞を患者に投与し、陽性免疫応答を誘発することを含む。しかし、この手法の欠点は、患者における移植片対宿主病の誘導を予防するために自家細胞の使用が必要である点である。本明細書で開示されるいくつかの実施形態において提供される通り、操作されたNK細胞を含む組成物は、いくつかの利点を享受する。例えば、自家又はドナー由来同種細胞のいずれかは、NK細胞アプローチで用いることができる。加えて、いくつかの実施形態によると、本明細書で提供されるような操作されたNK細胞は、正常細胞に対して細胞傷害性を増強することが有意でない。さらに、NK細胞は、活性化されると、有意な細胞傷害性効果を有する。これを考慮すると、本明細書で提供されるような操作されたNK細胞が、その細胞傷害性効果をさらに高めることにより、罹患した標的細胞を選択的に殺滅するといったさらにより有効な手段を提供し得ることは、想定外である。したがって、いくつかの実施形態では、癌又は感染性疾患を治療又は予防する方法であって、治療有効量の、本明細書に記載のキメラ受容体を発現するNK細胞を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、投与されるNK細胞は、自家細胞である。さらなる実施形態では、投与されるNK細胞は、ドナー由来(同種)細胞である。
【0111】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体を発現する(例えば、標的細胞上のリガンドに結合することによる)組換えNK細胞の会合及び活性化により、細胞溶解によるストレス及び/又は異常細胞(例えば、腫瘍細胞、ウイルス感染細胞など)の直接的殺滅がもたらされる。したがって、いくつかの実施形態では、NK細胞の細胞傷害性を増強する方法であって、本明細書に記載のキメラ受容体を発現するように操作されたNK細胞を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、投与されるNK細胞は、自家細胞である。さらなる実施形態では、NK細胞は、ドナー由来(同種)細胞である。いくつかの実施形態では、操作されたNK細胞は、ストレス及び/又は異常細胞(例えば、腫瘍細胞、ウイルス感染細胞など)の間接的破壊又は阻害をもたらす。
【0112】
リガンド結合ドメイン
上記の通り、いくつかの実施形態では、NK細胞は、腫瘍細胞及びウイルス感染細胞を含む異常細胞を認識及び破壊する。これらの天然免疫細胞の細胞傷害活性は、細胞表面上に存在する阻害性及び活性化受容体の各々からのシグナル伝達の平衡によって調節される。前者は、健常細胞の表面上に発現される自己分子に結合する一方、後者は、異常細胞上に発現されるリガンドに結合する。阻害性受容体に対する活性化受容体の会合の増加により、NK細胞の活性化及び標的細胞の溶解がもたらされる。ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)は、ストレス及び異常細胞上に発現されるいくつかのリガンドを認識する重要なNK細胞の活性化受容体である。様々なNKG2Dリガンドの表面発現は、健常細胞において一般に低いが、悪性形質転換又はウイルス感染時に上方制御される。NKG2Dによって認識されるリガンドの非限定例として、限定されないが、MICA、MICB、ULBP1、ULBP2、ULBP3、ULBP4、ULBP5及びULBP6並びにNK細胞の細胞溶解又は細胞傷害性機能を制御する、標的細胞上に発現される他の分子が挙げられる。
【0113】
細胞ストレス及び感染の複数の表面マーカーを認識するNKG2Dの能力は、それをキメラ受容体に基づく免疫療法アプローチの潜在的に有用な成分にする。しかし、キメラ受容体としてのNKG2Dの使用を複雑化していることは、パートナーDAP10とのその関係性である。NKG2Dは、ホモ二量体を形成し、DNAX活性化タンパク質10(DAP10)の2つのホモ二量体と集合し、膜表面上に六量体複合体を生成するII型膜貫通糖タンパク質である。このNKG2D-DAP10の会合は、内因性NKG2Dの表面膜発現とリガンド結合時の活性化シグナルの伝達との両方にとって必要である。いくつかの実施形態では、完全長NKG2Dが用いられる。一実施形態では、完全長NKG2Dは、配列番号1の核酸配列を有する。本明細書で開示されるいくつかの実施形態によると、キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、細胞外受容体ドメインは、その天然膜貫通又は細胞内ドメインを欠いているが、有利にはNKG2Dの天然リガンドに結合するとともに、リガンド結合時に活性化シグナルを伝達するその能力を保持するNKG2Dの断片である。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるポリペプチドによってコードされるキメラ受容体は、DAP10を含まない。いくつかの実施形態では、NKG2D断片は、配列番号2によってコードされる。いくつかの実施形態では、NKG2Dの断片は、完全長野生型NKG2Dと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同である。いくつかの実施形態では、この断片は、配列番号2から1つ以上の追加的な突然変異を有し得るが、リガンド結合機能を保持するか、又はいくつかの実施形態では増強している。いくつかの実施形態では、NKG2D断片は、二量体、三量体又は他のコンカテマー形式として提供され、かかる実施形態は、リガンド結合活性の増強をもたらす。いくつかの実施形態では、NKG2D断片をコードする配列は、任意選択により完全に又は部分的にコドン最適化される。一実施形態では、コドン最適化されたNKG2D断片をコードする配列は、配列番号3の配列を含む。加えて、いくつかの実施形態では、シグナルペプチドが用いられる。シグナルペプチドの種又は配列は、構築物とともに変化し得る。しかし、いくつかの実施形態では、CD8由来のシグナルペプチドが用いられる。一実施形態では、シグナルペプチドは、CD8aに由来し、配列番号4の配列を有する。一実施形態では、コドン最適化されたNKG2D断片をコードする配列は、配列番号68の配列を含む。いくつかの実施形態では、この断片は、配列番号68から1つ以上の追加的な突然変異を有し得るが、リガンド結合機能を保持する。いくつかの実施形態では、この断片は、配列番号68から1つ以上の追加的な突然変異を有し得るが、改善されたリガンド結合機能を有する。
【0114】
膜貫通、シグナル伝達及び組み合わせドメイン
上記の通り、一般的なキメラ抗原受容体構造は、リガンド結合ドメインをシグナル伝達ドメインに連結する少なくとも1つの膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、しかし、膜貫通ドメインは、シグナル伝達機能を提供することにも役立ち得る。
【0115】
いくつかの実施形態では、NKG2D断片は、その正常な膜貫通ドメインの少なくとも一部を保持する。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、通常、T細胞及びNK細胞の両方で発現される膜貫通糖タンパク質であるCD8の少なくとも一部を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインがCD8αを含む一方、いくつかの実施形態では、CD8βが用いられる。いくつかの実施形態では、CD8αの「ヒンジ」は、配列番号5の配列を有する。いくつかの実施形態では、CD8αは、配列番号5の配列を有するCD8αと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%相同であるように切断又は修飾され得る。いくつかの実施形態では、CD8βは、配列番号6の配列を有する。いくつかの実施形態では、CD8βは、配列番号6の配列を有するCD8βと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%相同であるように切断又は修飾され得る。いくつかの実施形態では、CD8α及びCD8βの二量体が用いられる。
【0116】
いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、シグナル伝達ドメインとして同様に役立つCD16を含む。CD16は、2つのアイソフォームa及びb(それぞれFcγ受容体IIIa及びIIIbとしても公知)で存在する。これらの受容体は、通常、順番にNK細胞を活性化するIgG抗体のFc部分に結合する。したがって、いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインがCD16aを含む一方、いくつかの実施形態では、CD16bが用いられる。いくつかの実施形態では、CD16aは、配列番号7の配列を有する。いくつかの実施形態では、CD16aは、配列番号7の配列を有するCD16aと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%相同であるように切断又は修飾され得る。いくつかの実施形態では、CD16bは、配列番号8の配列を有する。いくつかの実施形態では、CD16bは、配列番号8の配列を有するCD16bと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%相同であるように切断又は修飾され得る。いくつかの実施形態では、CD16a及びCD16bの二量体が用いられる。いくつかの実施形態では、CD16膜貫通ドメインに対する修飾は、ドメインの長さを増加するための追加的な核酸残基を含む。代わりに、CD16は、短縮され得る。CD16の長さに対する修飾は、有利にはリガンド-受容体相互作用の増強を促進し得る。
【0117】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、シグナル伝達ドメインとして同様に役立つナチュラルキラー受容体2B4ドメイン(本明細書中で「2B4」と称され、CD244としても公知である)を含む。2B4は、NK細胞上で発現され、この受容体と標的細胞上のそのリガンドとの相互作用を通じて、非主要組織適合複合体(MHC)制限による殺滅を制御する。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、2B4を含む一方、いくつかの実施形態では、2B4ドメインは、細胞内シグナル伝達ドメインである。いくつかの実施形態では、2B4は、配列番号9の配列を有する。いくつかの実施形態では、2B4は、配列番号9の配列を有する2B4と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%相同であるように切断又は修飾され得る。いくつかの実施形態では、2B4は、構築物中の唯一の膜貫通/シグナル伝達ドメインとして用いられるが、いくつかの実施形態では、2B4は、1つ以上の他のドメインと併用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、CD16、4-1BB及び/又は2B4の組み合わせが用いられる。
【0118】
いくつかの実施形態では、シグナル伝達は、上述した通り、DAP10を通じて達成される。いくつかの実施形態では、NKG2Dの断片は、NK細胞に前細胞傷害性シグナルを提供するためにDAP10と会合する。いくつかの実施形態では、DAP10の二量体が用いられる。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、DAP10を含む。いくつかの実施形態では、DAP10は、配列番号10の配列を有する。いくつかの実施形態では、DAP10は、配列番号10の配列を有するDAP10と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%相同であるように切断又は修飾され得る。同様に、いくつかの実施形態では、DAP12もかかるシグナルを伝達し得るために使用可能である。いくつかの実施形態では、DAP12は、配列番号11の配列を有する。いくつかの実施形態では、DAP12は、配列番号11の配列を有するDAP12と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%相同であるように切断又は修飾され得る。いくつかの実施形態では、DAP10及びDAP12のヘテロ二量体が用いられる。
【0119】
いくつかの実施形態では、4-1BB(CD137及び腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー9(TNFRSF9)としても公知である)を通じてシグナル伝達が提供される。4-1BBは、典型的には活性化T細胞のための刺激性分子として機能する(例えば、4-1BBの架橋によりT細胞増殖及び細胞溶解活性が増強される)同時刺激性の免疫チェックポイント分子である。しかし、いくつかの実施形態では、4-1BBの機能は、有利にはNK細胞と併せて用いられる。いくつかの実施形態では、4-1BBは、配列番号12の配列を有する。いくつかの実施形態では、4-1BBは、配列番号12の配列を有する4-1BBと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%相同であるように切断又は修飾され得る。いくつかの実施形態では、4-1BBは、唯一のシグナル伝達ドメインであるが、上で考察の通り、いくつかの実施形態では、4-1BBは、本明細書で開示される他の膜貫通/シグナル伝達ドメインの1つ以上と併せて意外にも十分に機能する。例えば、いくつかの実施形態では、CD16は、4-1BBと併せて相乗的刺激効果をもたらし、特に有効な(例えば、細胞傷害性)NK細胞をもたらす。いくつかの実施形態では、DAP10は、4-1BBと併せて相乗的刺激効果をもたらし、特に有効な(例えば、細胞傷害性)NK細胞をもたらす。いくつかの実施形態では、DAP10は、4-1BB及び/又は2B4と併せて相乗的刺激効果をもたらし、特に有効な(例えば、細胞傷害性)NK細胞をもたらす。他の改善された特徴により、いくつかの実施形態では、例えば改善された発現、改善された持続性などが得られる。
【0120】
いくつかの実施形態では、シグナル伝達ドメインは、CD3 T細胞受容体複合体の少なくとも一部を含む。T細胞受容体複合体は、ζ、α、β、γ、δ及びεサブユニットを含む複数のサブユニットを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるいくつかの実施形態に従って操作されたNK細胞は、これらサブユニット(又はその断片)の少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、シグナル伝達ドメインは、CD3ζサブユニットを含む。いくつかの実施形態では、CD3ζは、配列番号13の配列を有する。いくつかの実施形態では、CD3ζは、配列番号13の配列を有するCD3ζと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%相同であるように切断又は修飾され得る。いくつかの実施形態では、CD3ζは、ドメインがもはや基準の免疫受容体チロシンに基づく活性化モチーフ又はITAMモチーフに一致しないように突然変異される(例えば、アミノ酸の突然変異、挿入又は欠失)。したがって、いくつかの実施形態では、NK細胞は、ITAMモチーフを含まない操作された受容体を含む。いくつかの実施形態では、得られる操作されたNK細胞は、特に標的細胞に対して増強された細胞傷害性を示すとともに、有害な副作用は、制限又は低減される。いくつかの実施形態では、これは、その所与の実施形態において用いられるキメラ受容体の様々な部分の相乗的相互作用に起因する。いくつかの実施形態では、CD3ζは、4-1BBと併せて相乗的刺激効果をもたらし、特に有効な(例えば、細胞傷害性)NK細胞をもたらす。いくつかの実施形態では、CD3ζは、2B4と併せて相乗的刺激効果をもたらし、特に有効な(例えば、細胞傷害性)NK細胞をもたらす。いくつかの実施形態では、CD3ζは、2B4及び4-1BBと併せて相乗的刺激効果をもたらし、特に有効な(例えば、細胞傷害性)NK細胞をもたらす。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、その膜貫通ドメインを介してCD3ζの二量体化に影響する。したがって、いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、CD3ζ膜貫通ドメイン(又はその断片)を含む。いくつかの実施形態では、1、2、3、4、5、6つ又はそれを超える細胞外CD3ζ残基(「膜近傍部分」)は、CD3ζ膜貫通ドメインに直に隣接する。いくつかの実施形態では、CD3ζ膜貫通ドメインは、配列番号69の配列を有する。いくつかの実施形態では、CD3ζ膜貫通ドメインは、配列番号69の配列を有するCD3ζ膜貫通ドメインと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%相同であるように切断又は修飾され得る。いくつかの実施形態では、CD3ζ膜貫通ドメインに対する修飾は、ドメインの長さを増加させるための追加的な核酸残基を含む。いくつかの実施形態では、CD3ζ膜貫通ドメイン及びCD3ζ膜近傍部分は、完全長CD3ζ分子をシナプスに動員する。いくつかの実施形態では、天然CD3ζの(CD3ζ膜貫通ドメインを有しない受容体と比べて)操作された受容体への動員は、実施形態に応じて、約20%、約30%、約40%、約50%又はそれを超えて増強される。いくつかの実施形態では、CD3ζ膜貫通ドメインは、CD16、NCR1、NCR2、NCR3、4-1BB、NKp80、FcRγ、CD3ζ及び2B4の1つ以上を含むエフェクタードメインに共役される。
【0121】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD28ドメインを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、CD28を含む一方、いくつかの実施形態では、CD28ドメインは、細胞内シグナル伝達ドメインであり、またいくつかの実施形態では、CD28ドメインは、膜貫通/細胞内シグナル伝達ドメインである。いくつかの実施形態では、CD28膜貫通ドメインは、配列番号105の配列を有する。いくつかの実施形態では、CD28膜貫通ドメインは、配列番号105の配列を有するCD28と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%相同であるように切断又は修飾され得る。いくつかの実施形態では、CD28細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号106の配列を有する。いくつかの実施形態では、CD28細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号106の配列を有するCD28と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%相同であるように切断又は修飾され得る。いくつかの実施形態では、CD28は、構築物中の唯一の膜貫通/シグナル伝達ドメインとして用いられるが、いくつかの実施形態では、CD28は、1つ以上の他のドメインと併用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、CD28、OX40、4-1BB及び/又はCD3ζの組み合わせが用いられる。
【0122】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、OX40ドメインを含む。いくつかの実施形態では、OX40ドメインは、細胞内シグナル伝達ドメインである。いくつかの実施形態では、OX40細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号107の配列を有する。いくつかの実施形態では、OX40細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号107の配列を有するOX40と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%相同であるように切断又は修飾され得る。いくつかの実施形態では、OX40は、構築物中の唯一の膜貫通/シグナル伝達ドメインとして用いられるが、いくつかの実施形態では、OX40は、1つ以上の他のドメインと併用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、CD28、OX40、4-1BB及び/又はCD3ζの組み合わせが用いられる。
【0123】
なおさらなる実施形態では、キメラ受容体のシグナル伝達部分は、ITAMの一部、例えばヘミ-タムを含む。いくつかの実施形態では、これらの部分は、基準のITAM配列を構成しないというよりも、NK細胞の細胞傷害性に要求されるシグナルをさらに伝達し得る部分を含む。いくつかの実施形態では、ヘミ-タムは、配列番号14の配列を有する(ここで、Xは、任意の残基であり得る)。いくつかの実施形態では、ヘミ-タムは、配列番号14の配列を有するヘミ-タムと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%相同であるように切断又は修飾され得る。いくつかの実施形態では、キメラ受容体構築物は、配列番号14のヘミ-タムを含む。いくつかの実施形態では、複数のヘミ-タムは、例えば、ヘッドトゥテール、テールトゥヘッド、ヘッドトゥヘッド又はテールトゥテールの配置で使用可能である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのヘミ-タムの存在は、少なくとも1つのヘミ-タムを用いるキメラ受容体を含むNK細胞に対し、増強されたシグナル伝達及び細胞傷害性をもたらす。以下により詳細に考察される通り、いくつかのキメラ受容体は、ヘミ-タムの1つの非限定例であるNKp80を含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、例えば、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAM)ファミリーの受容体に由来するシグナル伝達領域を含む追加的なシグナル伝達領域が用いられる。これらの受容体として、限定されないが、2B4(上で考察)が挙げられる。SLAMファミリーの受容体は、それらの細胞質側末端においてチロシンに基づく共通モチーフを共有する。そのモチーフは、免疫受容体チロシンに基づくスイッチモチーフ(ITSM)と称されるS/TxYxxL/Iである(配列番号15)。これらの受容体は、チロシンキナーゼFynを動員するSLAM関連タンパク質(SAP、遺伝子SH2D1Aによってコードされる)を通じて活性化シグナルを伝達する。したがって、いくつかの実施形態によると、シグナル伝達領域は、ITSMモチーフを含むポリペプチド配列(又はそれをコードする核酸)を含む。いくつかの実施形態では、ITSMモチーフは、完全にコードされる必要はないが、シグナル伝達領域は、SAP(又は別の類似経路)を通じて活性化シグナルを伝達することができる。いくつかの実施形態では、ITSMモチーフは、配列番号15の配列を有する(ここで、Xは、任意のアミノ酸残基であり得る)。いくつかの実施形態では、ITSMモチーフは、配列番号15の配列を有するITSMモチーフと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%相同であるように切断又は修飾され得る。いくつかの実施形態では、ITSMモチーフは、配列番号15の配列を含む。
【0125】
NKG2D受容体、膜貫通ドメイン及びシグナル伝達ドメイン(及び膜貫通/シグナル伝達ドメインの組み合わせ)におけるこれらのバリエーションに加えて、いくつかの実施形態では、追加的な同時活性化分子が提供され得る。例えば、いくつかの実施形態では、NK細胞は、膜結合性インターロイキン15(mbIL15)を発現するように操作される。かかる実施形態では、NK細胞上でのmbIL15の存在は、NK細胞の増殖及び寿命を相乗的に高めることにより、NK細胞の細胞傷害性効果をさらに増強するように機能する。いくつかの実施形態では、mbIL15は、配列番号16の核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、mbIL15は、配列番号16の配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%相同であるように切断又は修飾され得る。いくつかの実施形態では、mbIL15は、配列番号17のアミノ酸配列を有する。本明細書で開示されるキメラ受容体と併せて、かかる実施形態は、特定の標的細胞を標的化及び破壊するのに特に有効なNK細胞組成物を提供する。
【0126】
キメラ受容体構築物
本明細書に記載された本開示を考慮して、特定の標的細胞(例えば、疾患細胞又は癌細胞)に標的を定めて破壊するために、NK細胞中で生成及び発現され得る様々なキメラ受容体が存在する。そのようなキメラ受容体の非限定的な例を下記でより詳細に論じる。
【0127】
上記で論じたように、T細胞受容体複合体の一部(具体的にはCD3ζ)は、免疫シグナル伝達カスケードの強力な活性化因子として機能する。同様に、腫瘍壊死因子スーパーファミリーのメンバーである受容体4-1BBは、リガンドの結合時にNK細胞を活性化する。いくつかの実施形態では、これらの2つのシグナル伝達成分は、キメラ受容体へのリガンドの結合時に相乗的に作用してNK細胞を活性化する。そのため、いくつかの実施形態では、NKG2D/CD8a/4-1BB/CD3ζキメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、このキメラ受容体は、NKG2Dの天然リガンドに結合するNKG2D断片細胞外受容体ドメインと、CD8膜貫通領域と、4-1BB及びCD3ζのシグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメインとを含む。一実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号18の核酸配列によってコードされる。一実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号108の核酸配列によってコードされる。さらに別の実施形態では、NKG2D-CD8a-4-1BB-CD3ζキメラ受容体は、配列番号19のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、この構築物は、NK細胞がmbIL15を同時に発現する場合に特に有効であり、mbIL15は、NK細胞の活性化及び細胞傷害性に関してさらなる相乗効果をもたらす。一部の実施形態では、このキメラ受容体の配列は、配列番号18と異なり得る(例えば、配列番号108)が、実施形態に応じて、配列番号18と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号18と異なり得る(例えば、配列番号108)が、このキメラ受容体は、NK細胞の活性化機能及び/又は細胞傷害機能を保持するか、又は一部の実施形態では増強している。
【0128】
受容体2B4は、いくつかの免疫受容体チロシンベーススイッチモチーフ(ITSM)を有し、活性化シグナルを伝達する可能性がある。同様に、腫瘍壊死因子スーパーファミリーのメンバーである受容体4-1BBを介したシグナル伝達もリガンドの結合時にNK細胞を活性化する。そのため、これらのシグナル伝達分子が協働して細胞傷害性NK細胞を予想外にも効果的に生成する能力を利用して、いくつかの実施形態では、NKG2D/CD8a/2B4/4-1BBキメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、このキメラ受容体は、NKG2Dの天然リガンドに結合するNKG2D断片細胞外受容体ドメインと、CD8a膜貫通領域と、4-1BB及び2B4のシグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメインとを含む。加えて、いくつかの実施形態では、この構築物は、任意選択によりmbIL15と同時発現され得る。
【0129】
いくつかの実施形態では、2B4とCD3ζとの組み合わせは、NK細胞とともに使用されて標的細胞に対する細胞傷害性を高める。そのため、いくつかの実施形態では、NKG2D/CD8a/2B4/CD3ζキメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、このキメラ受容体は、NKG2Dの天然リガンドに結合するNKG2D断片細胞外受容体ドメインと、CD8a膜貫通領域と、CD3ζ及び2B4のシグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメインとを含む。加えて、いくつかの実施形態では、この構築物は、任意選択によりmbIL15と同時発現され得る。上記で論じたように、4-1BBは、CD3ζ及び2B4と同様に、免疫シグナル伝達カスケードの強力な活性化因子として機能し得る。いくつかの実施形態では、これらの3つのシグナル伝達成分は、キメラ受容体へのリガンドの結合時に相乗的に作用してNK細胞を活性化する。そのため、いくつかの実施形態では、NKG2D/CD8a/4-1BB/2B4/CD3ζキメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、このキメラ受容体は、NKG2Dの天然リガンドに結合するNKG2D断片細胞外受容体ドメインと、CD8膜貫通領域と、4-1BB、2B4及びCD3ζのシグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメインとを含む。一実施形態では、このキメラセレプターは、配列番号58の核酸配列によってコードされる。さらに別の実施形態では、NKG2D-CD8a-4-1BB-CD3ζキメラ受容体は、配列番号59のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、この構築物は、NK細胞がmbIL15を同時に発現する場合に特に有効であり、mbIL15は、NK細胞の活性化及び/又は細胞傷害性に関してさらなる相乗効果をもたらす。一部の実施形態では、このキメラ受容体の配列は、配列番号58と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号58と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号58と異なり得るが、このキメラ受容体は、NK細胞の活性化機能及び/又は細胞傷害機能を保持するか、又は一部の実施形態では増強している。
【0130】
いくつかの代替実施形態では、NKG2D/CD8a/DAP10/4-1BBキメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、このキメラ受容体は、NKG2Dの天然リガンドに結合するNKG2D断片細胞外受容体ドメインと、CD8a膜貫通領域と、4-1BB及びDAP10のシグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメインとを含む。一実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号60の核酸配列によってコードされる。さらに別の実施形態では、NKG2D-CD8a-4-1BB-DAP10キメラ受容体は、配列番号61のアミノ酸配列を含む。加えて、いくつかの実施形態では、この構築物は、任意選択によりmbIL15と同時発現され得る。いくつかの実施形態では、この構築物は、NK細胞がmbIL15を同時に発現する場合に特に有効であり、mbIL15は、NK細胞の活性化及び細胞傷害性に関してさらなる相乗効果をもたらす。一部の実施形態では、このキメラ受容体の配列は、配列番号60と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号60と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号60と異なり得るが、このキメラ受容体は、NK細胞の活性化機能及び/又は細胞傷害機能を保持するか、又は一部の実施形態では増強している。さらに、上記で論じたように、2B4は、DAP10及び4-1BBと同様に、免疫シグナル伝達カスケードの強力な活性化因子である。いくつかの実施形態では、これらの3つのシグナル伝達成分は、キメラ受容体へのリガンドの結合時に相乗的に作用してNK細胞を活性化する。そのため、いくつかの実施形態では、NKG2D/CD8a/4-1BB/DAP10/2B4キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、このキメラ受容体は、NKG2Dの天然リガンドに結合するNKG2D断片細胞外受容体ドメインと、CD8膜貫通領域と、4-1BB、2B4及びDAP10のシグナル伝達ドメインを含むエフェクードメインとを含み、4-1BBの後にDAP10が続き、DAP10の後に2B4が続く。一実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号62の核酸配列によってコードされる。さらに別の実施形態では、NKG2D-CD8a-4-1BB-CD3ζキメラ受容体は、配列番号63のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、この構築物は、NK細胞がmbIL15を同時に発現する場合に特に有効であり、mbIL15は、NK細胞の活性化及び細胞傷害性に関してさらなる相乗効果をもたらす。一部の実施形態では、このキメラ受容体の配列は、配列番号62と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号62と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号62と異なり得るが、このキメラ受容体は、NK細胞の活性化機能及び/又は細胞傷害機能を保持するか、又は一部の実施形態では増強している。いくつかの他の実施形態では、NKG2D/CD8a/4-1BB/2B4/DAP10キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、このキメラ受容体は、NKG2Dの天然リガンドに結合するNKG2D断片細胞外受容体ドメインと、CD8膜貫通領域と、4-1BB、2B4及びDAP10のシグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメインとを含み、4-1BBの後に2B4が続き、2B4の後にDAP10が続く。一実施形態では、このキメラセレプターは、配列番号64の核酸配列によってコードされる。さらに別の実施形態では、NKG2D-CD8a-4-1BB-CD3ζキメラ受容体は、配列番号65のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、この構築物は、NK細胞がmbIL15を同時に発現する場合に特に有効であり、mbIL15は、NK細胞の活性化及び細胞傷害性に関してさらなる相乗効果をもたらす。一部の実施形態では、このキメラ受容体の配列は、配列番号64と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号64と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号64と異なり得るが、このキメラ受容体は、NK細胞の活性化機能及び/又は細胞傷害機能を保持するか、又は一部の実施形態では増強している。
【0131】
いくつかの追加的な実施形態では、本キメラ受容体の膜貫通ドメイン及びエフェクタードメイン(並びに関連する機能)は、同一のペプチドに由来する。CD16は、NK細胞の表面上で発現される強力な活性化受容体である。そのため、いくつかの実施形態では、NKG2D/CD16キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、このキメラ受容体は、NKG2Dの天然リガンドに結合するNKG2D断片細胞外受容体ドメインと、膜貫通領域及び細胞内エフェクタードメインの両方を含むCD16ペプチドとを含む。一実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号23の核酸配列を含む。さらに別の実施形態では、このキメラセレプターは、配列番号24のアミン酸配列によってコードされる。一部の実施形態では、このキメラ受容体の配列は、配列番号23と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号23と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号23と異なり得るが、このキメラ受容体は、NK細胞の活性化機能及び/又は細胞傷害機能を保持するか、又は一部の実施形態では増強している。加えて、いくつかの実施形態では、この構築物は、任意選択によりmbIL15と同時発現され得る。
【0132】
いくつかの追加的な実施形態では、NKG2D/CD16/4-1BBキメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、4-1BBのシグナル伝達ドメインは、エフェクタードメイン中における活性化シグナルの第2のトランスデューサーとして機能する。加えて、いくつかの実施形態では、この構築物は、任意選択によりmbIL15と同時発現され得る。
【0133】
CD3ζは、その膜貫通ドメインを介して二量体化する。そのため、いくつかの実施形態では、CD3ζ膜貫通ドメインがシナプスに完全長CD3ζ分子を補充するキメラ受容体が提供される。いくつかの実施形態では、NKG2Dの天然リガンドに結合するNKG2D断片と、CD8aヒンジと、CD3ζ膜貫通ドメインに直接隣接する0、1、2、3、4、5、6つ又はより多くの細胞外CD3ζ残基(「膜近傍部分」)と、CD16、NCR1、NCR2、NCR3、4-1BB、NKp80、FcRγ、CD3ζ及び2B4の1つ又は複数を含むエフェクタードメインとを含む、キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供される。
【0134】
いくつかの実施形態では、CD3ζ膜貫通ドメインが、4-1BB及びCD16の一方又は両方を含むエフェクタードメインに共役されているキメラ受容体が提供される。そのため、いくつかの実施形態では、NKG2D/CD3ζTM/4-1BBキメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、このキメラセレプターは、CD8aヒンジに共役されている、コドン最適化されているNKG2Dの断片と、CD3ζ膜貫通領域と、4-1BBを含むエフェクタードメインとを含む。一実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号78の核酸配列を含む。さらの別の実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号79のアミノ酸配列によってコードされる。一部の実施形態では、このキメラ受容体の配列は、配列番号78と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号78と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号78と異なり得るが、このキメラ受容体は、NK細胞の活性化機能及び/又は細胞傷害機能を保持するか、又は一部の実施形態では増強している。加えて、いくつかの実施形態では、この構築物は、任意選択によりmbIL15と同時発現され得る。
【0135】
いくつかの実施形態では、NKG2D/CD3ζTM/CD16/4-1BBキメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、このキメラ受容体は、CD8aヒンジに共役されている、コドン最適化されているNKG2Dの断片と、CD3ζ膜貫通領域と、CD16及びそれに続く4-1BBを含むエフェクタードメインとを含む。一実施形態では、このキメラセレプターは、配列番号70の核酸配列を含む。さらに別の実施形態では、このキメラセレプターは、配列番号71のアミノ酸配列によってコードされる。一部の実施形態では、このキメラ受容体の配列は、配列番号70と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号70と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号70と異なり得るが、このキメラ受容体は、NK細胞の活性化機能及び/又は細胞傷害機能を保持するか、又は一部の実施形態では増強している。加えて、いくつかの実施形態では、この構築物は、任意選択によりmbIL15と同時発現され得る。さらに、いくつかの実施形態では、NKG2D/CD3ζTM/4-1BB/CD16キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、このキメラセプターは、CD8aヒンジに共役されている、コドン最適化されているNKG2Dの断片と、CD3ζ膜貫通領域と、4-1BB及びそれに続くCD16を含むエフェクタードメインとを含む。一部の実施形態では、このエフェクタードメインは、GS3リンカーをさらに含む。一部の実施形態では、このGS3リンカーは、4-1BBとCD16との間に位置する。一実施形態では、このキメラセレプターは、配列番号84の核酸配列を含む。さらに別の実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号85のアミノ酸配列によってコードされる。一部の実施形態では、このキメラ受容体の配列は、配列番号84と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号84と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号84と異なり得るが、このキメラ受容体は、NK細胞の活性化機能及び/又は細胞傷害機能を保持するか、又は一部の実施形態では増強している。加えて、いくつかの実施形態では、この構築物は、任意選択によりmbIL15と同時発現され得る。さらに、いくつかの実施形態では、NKG2Dx2/CD3ζTM/CD16/4-1BBキメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、このキメラ受容体は、GS3リンカーに共役されている、コドン最適化されているNKG2Dの断片と、追加的なNKG2D断片と、CD8aヒンジと、CD3ζ膜貫通領域と、CD16及び4-1BBを含むエフェクタードメインとを含む。一実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号72の核酸配列を含む。さらに別の実施形態では、このキメラセレプターは、配列番号73のアミノ酸配列によってコードされる。一部の実施形態では、このキメラ受容体の配列は、配列番号72と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号72と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号72と異なり得るが、このキメラ受容体は、NK細胞の活性化機能及び/又は細胞傷害機能を保持するか、又は一部の実施形態では増強している。加えて、いくつかの実施形態では、この構築物は、任意選択によりmbIL15と同時発現され得る。
【0136】
いくつかの実施形態では、CD3ζ膜貫通ドメインが、NKp80を含むエフェクタードメインに共役されているキメラ受容体が提供される。そのため、いくつかの実施形態では、NKG2D/CD3ζTM/CD16/4-1BB/NKp80キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、このキメラセレプターは、CD8aヒンジに共役されたNKG2Dの断片と、CD3ζ膜貫通領域と、CD16、4-1BB及びNKp80を含むエフェクタードメインとを含む。一部の実施形態では、このエフェクタードメインは、GS3リンカーをさらに含む。一部の実施形態では、このGS3リンカーは、4-1BBとNKp80との間に位置する。一実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号74の核酸配列を含む。さらに別の実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号75のアミノ酸配列によってコードされる。一部の実施形態では、このキメラ受容体の配列は、配列番号74と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号74と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号74と異なり得るが、このキメラ受容体は、NK細胞の活性化機能及び/又は細胞傷害機能を保持するか、又は一部の実施形態では増強している。加えて、いくつかの実施形態では、この構築物は、任意選択によりmbIL15と同時発現され得る。さらに、いくつかの実施形態では、2xNKG2D/CD3ζTM/CD16/4-1BB/NKp80キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、このキメラ受容体は、GS3リンカーに共役されている、コドン最適化されているNKG2Dの断片と、追加的なNKG2D断片と、CD8aヒンジと、CD3ζ膜貫通領域と、CD16、4-1BB及びNKp80を含むエフェクタードメインとを含む。一部の実施形態では、このエフェクタードメインは、GS3リンカーをさらに含む。一部の実施形態では、このGS3リンカーは、4-1BBとNKp80との間に位置する。一実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号76の核酸配列を含む。さらに別の実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号77のアミノ酸配列によってコードされる。一部の実施形態では、このキメラ受容体の配列は、配列番号76と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号76と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号76と異なり得るが、このキメラ受容体は、NK細胞の活性化機能及び/又は細胞傷害機能を保持するか、又は一部の実施形態では増強している。加えて、いくつかの実施形態では、この構築物は、任意選択によりmbIL15と同時発現され得る。さらに、いくつかの実施形態では、NKG2D/CD3ζTM/4-1BB/NKp80キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、このキメラ受容体は、CD8aヒンジに共役されている、コドン最適化されているNKG2Dの断片と、CD3ζ膜貫通領域と、4-1BB及びNKp80を含むエフェクタードメインとを含む。一部の実施形態では、このエフェクタードメインは、GS3リンカーをさらに含む。一部の実施形態では、このGS3リンカーは、4-1BBとNKp80との間に位置する。一実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号82の核酸配列を含む。さらに別の実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号83のアミノ酸配列によってコードされる。一部の実施形態では、このキメラ受容体の配列は、配列番号82と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号82と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号82と異なり得るが、このキメラ受容体は、NK細胞の活性化機能及び/又は細胞傷害機能を保持するか、又は一部の実施形態では増強している。加えて、いくつかの実施形態では、この構築物は、任意選択によりmbIL15と同時発現され得る。
【0137】
いくつかの実施形態では、CD3ζ膜貫通ドメインが、CD3ζを含むエフェクタードメインに共役されているキメラ受容体が提供される。そのため、いくつかの実施形態では、NKG2D/CD3ζTM/4-1BB/CD3ζキメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、このキメラ受容体は、CD8aヒンジに共役されている、コドン最適化されているNKG2Dの断片と、CD3ζ膜貫通領域と、4-1BB及びCD3ζを含むエフェクタードメインとを含む。一実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号80の核酸配列を含む。さらに別の実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号81のアミノ酸配列によってコードされる。一部の実施形態では、このキメラ受容体の配列は、配列番号80と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号80と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号80と異なり得るが、このキメラ受容体は、NK細胞の活性化機能及び/又は細胞傷害機能を保持するか、又は一部の実施形態では増強している。加えて、いくつかの実施形態では、この構築物は、任意選択によりmbIL15と同時発現され得る。
【0138】
いくつかの実施形態では、CD3ζ膜貫通ドメインが、FcRγを含むエフェクタードメインに共役されているキメラ受容体が提供される。そのため、いくつかの実施形態では、NKG2D/CD3ζTM/4-1BB/FcRγキメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、このキメラ受容体は、CD8aヒンジに共役されたNKG2Dの断片と、CD3ζ膜貫通領域と、4-1BB及びFcRγを含むエフェクタードメインとを含む。一実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号86の核酸配列を含む。さらに別の実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号87のアミノ酸配列によってコードされる。一部の実施形態では、このキメラ受容体の配列は、配列番号86と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号86と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号86と異なり得るが、このキメラ受容体は、NK細胞の活性化機能及び/又は細胞傷害機能を保持するか、又は一部の実施形態では増強している。加えて、いくつかの実施形態では、この構築物は、任意選択によりmbIL15と同時発現され得る。
【0139】
いくつかの実施形態では、CD3ζ膜貫通ドメインが、CD28を含むエフェクタードメインに共役されているキメラ受容体が提供される。そのため、いくつかの実施形態では、NKG2D/CD3ζTM/CD28/CD3ζキメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、このキメラ受容体は、NKG2Dの天然リガンドに結合するNKG2D断片細胞外受容体ドメインと、CD8aヒンジと、CD3ζ膜貫通領域と、CD28及びCD3ζを含む細胞内エフェクタードメインとを含む。一実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号102の核酸配列を含む。さらに別の実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号103のアミノ酸配列によってコードされる。一部の実施形態では、このキメラ受容体の配列は、配列番号102と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号102と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号102と異なり得るが、このキメラ受容体は、NK細胞の活性化機能及び/又は細胞傷害機能を保持するか、又は一部の実施形態では増強している。加えて、いくつかの実施形態では、この構築物は、任意選択によりmbIL15と同時発現され得る。
【0140】
いくつかの実施形態では、細胞外ドメインが、IL15に結合したNKG2Dの断片を含むキメラ受容体が提供される。そのため、いくつかの実施形態では、IL15/NKG2D/CD8a/4-1BB/CD3ζキメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、このキメラ受容体は、IL-15に共役されたNKG2Dの天然リガンドに結合するNKG2D断片細胞外受容体ドメインと、CD8aヒンジと、CD8a膜貫通ドメインと、4-1BB及びCD3zを含む細胞内エフェクタードメインとを含む。一部の実施形態では、この細胞外ドメインは、GS3リンカーをさらに含む。一部の実施形態では、このGS3リンカーは、IL15とNKG2D断片細胞外受容体ドメインとの間に位置する。一実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号88の核酸配列を含む。さらに別の実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号89のアミノ酸配列によってコードされる。一部の実施形態では、このキメラ受容体の配列は、配列番号88と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号88と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号88と異なり得るが、このキメラ受容体は、NK細胞の活性化機能及び/又は細胞傷害機能を保持するか、又は一部の実施形態では増強している。
【0141】
いくつかの実施形態では、細胞外ドメインが、IgG短ヒンジに共役されたNKG2Dの断片を含むキメラ受容体が提供される。そのため、いくつかの実施形態では、NKG2D/IgG4/CD8a/4-1BB/CD3ζキメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、このキメラ受容体は、NKG2Dの天然リガンドに結合するNKG2D断片細胞外受容体ドメインと、IgG4短ヒンジと、CD8a膜貫通ドメインと、4-1BB及びCD3ζを含む細胞内エフェクタードメインとを含む。一実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号96の核酸配列を含む。さらに別の実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号97のアミノ酸配列によってコードされる。一部の実施形態では、このキメラ受容体の配列は、配列番号96と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号96と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号96と異なり得るが、このキメラ受容体は、NK細胞の活性化機能及び/又は細胞傷害機能を保持するか、又は一部の実施形態では増強している。加えて、いくつかの実施形態では、この構築物は、任意選択によりmbIL15と同時発現され得る。
【0142】
いくつかの実施形態では、エフェクタードメインがOX40を含むキメラ受容体が提供される。そのため、いくつかの実施形態では、NKG2D/CD8a/OX40/CD3zキメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、このキメラ受容体は、NKG2Dの天然リガンドに結合するNKG2D断片細胞外受容体ドメインと、CD8aヒンジと、CD8a膜貫通ドメインと、OX40及びCD3zを含む細胞内エフェクタードメインとを含む。一実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号90の核酸配列を含む。さらに別の実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号91のアミノ酸配列によってコードされる。一部の実施形態では、このキメラ受容体の配列は、配列番号90と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号90と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号90と異なり得るが、このキメラ受容体は、NK細胞の活性化機能及び/又は細胞傷害機能を保持するか、又は一部の実施形態では増強している。加えて、いくつかの実施形態では、この構築物は、任意選択によりmbIL15と同時発現され得る。いくつかの実施形態では、NKG2D/IgG4/CD8a/OX40/CD3ζキメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、このキメラ受容体は、NKG2Dの天然リガンドに結合するNKG2D断片細胞外受容体ドメインと、IgG4ヒンジと、CD8a膜貫通ドメインと、OX40及びCD3ζを含む細胞内エフェクタードメインとを含む。一実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号100の核酸配列を含む。さらに別の実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号101のアミノ酸配列によってコードされる。一部の実施形態では、このキメラ受容体の配列は、配列番号100と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号100と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号100と異なり得るが、このキメラ受容体は、NK細胞の活性化機能及び/又は細胞傷害機能を保持するか、又は一部の実施形態では増強している。加えて、いくつかの実施形態では、この構築物は、任意選択によりmbIL15と同時発現され得る。
【0143】
いくつかの実施形態では、膜貫通領域及び細胞内エフェクタードメインの両方を含むCD28ペプチドを含むキメラ受容体が提供される。そのため、いくつかの実施形態では、NKG2D/CD28/CD3ζキメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、このキメラ受容体は、NKG2Dの天然リガンドに結合するNKG2D断片細胞外受容体ドメインと、CD8aヒンジと、CD28膜貫通/細胞内ドメインと、CD3ζとを含む。一実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号92の核酸配列を含む。さらに別の実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号93のアミノ酸配列によってコードされる。一部の実施形態では、このキメラ受容体の配列は、配列番号92と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号92と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号92と異なり得るが、このキメラ受容体は、NK細胞の活性化機能及び/又は細胞傷害機能を保持するか、又は一部の実施形態では増強している。加えて、いくつかの実施形態では、この構築物は、任意選択によりmbIL15と同時発現され得る。さらなる実施形態では、NKG2D/CD28/CD3ζ/4-1BBキメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、このキメラ受容体は、NKG2Dの天然リガンドに結合するNKG2D断片細胞外受容体ドメインと、CD8aヒンジと、CD28膜貫通/細胞内ドメインと、4-1BB及びCD3ζとを含む。一実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号94の核酸配列を含む。さらに別の実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号95のアミノ酸配列によってコードされる。一部の実施形態では、このキメラ受容体の配列は、配列番号94と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号94と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号94と異なり得るが、このキメラ受容体は、NK細胞の活性化機能及び/又は細胞傷害機能を保持するか、又は一部の実施形態では増強している。加えて、いくつかの実施形態では、この構築物は、任意選択によりmbIL15と同時発現され得る。さらなる実施形態では、NKG2D/IgG4/CD28/CD3ζキメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、このキメラ受容体は、NKG2Dの天然リガンドに結合するNKG2D断片細胞外受容体ドメインと、IgG4ヒンジと、CD28膜貫通/細胞内ドメインと、CD3ζとを含む。一実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号98の核酸配列を含む。さらに別の実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号99のアミノ酸配列によってコードされる。一部の実施形態では、このキメラ受容体の配列は、配列番号98と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号98と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号98と異なり得るが、このキメラ受容体は、NK細胞の活性化機能及び/又は細胞傷害機能を保持するか、又は一部の実施形態では増強している。加えて、いくつかの実施形態では、この構築物は、任意選択によりmbIL15と同時発現され得る。
【0144】
NCR1(NKp46)、NCR2(NKp44)及びNCR3(NKp30)は、リガンドの結合時に活性化シグナルを伝達する、NK細胞上の受容体である。そのため、いくつかの実施形態では、NKG2D/NCR1キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、このキメラ受容体は、NKG2Dの天然リガンドに結合するNKG2D断片細胞外受容体ドメインと、膜貫通領域及び細胞内エフェクタードメインの両方を含むNCR1ペプチドとを含む。一実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号27の核酸配列を含む。さらに別の実施形態では、このキメラセレプターは、配列番号28のアミノ酸配列によってコードされる。一部の実施形態では、このキメラ受容体の配列は、配列番号30と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号27と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号27と異なり得るが、このキメラ受容体は、NK細胞の活性化機能及び/又は細胞傷害機能を保持するか、又は一部の実施形態では増強している。加えて、いくつかの実施形態では、この構築物は、任意選択によりmbIL15と同時発現され得る。
【0145】
いくつかの追加的な実施形態では、NKG2D/NCR1/4-1BBキメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、4-1BBのシグナル伝達ドメインは、エフェクタードメイン中における活性化シグナルの第2のトランスデューサーとして機能し、NK細胞の活性化及び細胞傷害性が相乗的に増強される。いくつかの追加的な実施形態では、NKG2D/NCR2キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、このキメラ受容体は、NKG2Dの天然リガンドに結合するNKG2D断片細胞外受容体ドメインと、膜貫通領域及び細胞内エフェクタードメインの両方を含むNCR2ペプチドとを含む。NCR1と同様に、いくつかの実施形態では、これらの構築物は、それらの比較的小さいサイズ及び配列の単純さに起因して、このキメラ受容体を発現するNK細胞の作成での使用に特に適している。しかしながら、これらの構築物は、いくつかの実施形態では、この構築物の見かけ上の単純さにもかかわらず、非常に効果的なNK細胞を生じる能力を保持する。加えて、いくつかの実施形態では、これらの構築物は、任意選択によりmbIL15と同時発現され得る。
【0146】
いくつかの追加的な実施形態では、NKG2D/NCR3キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、このキメラ受容体は、NKG2Dの天然リガンドに結合するNKG2D断片細胞外受容体ドメインと、膜貫通領域及び細胞内エフェクタードメインの両方を含むNCR3ペプチドとを含む。NCR1及び又はNCR2と同様に、いくつかの実施形態では、これらの構築物は、それらの比較的小さいサイズ及び配列の単純さに起因して、このキメラ受容体を発現するNK細胞の作成での使用に特に適している。しかしながら、これらの構築物は、いくつかの実施形態では、この構築物の見かけ上の単純さにもかかわらず、非常に効果的なNK細胞を生じる能力を保持する。一実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号29の核酸配列を含む。さらに別の実施形態では、このキメラセレプターは、配列番号30のアミノ酸配列によってコードされる。一部の実施形態では、このキメラ受容体の配列は、配列番号29と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号29と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号29と異なり得るが、このキメラ受容体は、NK細胞の活性化機能及び/又は細胞傷害機能を保持するか、又は一部の実施形態では増強している。加えて、いくつかの実施形態では、この構築物は、任意選択によりmbIL15と同時発現され得る。
【0147】
いくつかの追加的な実施形態では、NKG2D/NCR2/4-1BBキメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、4-1BBのシグナル伝達ドメインは、エフェクタードメイン中における活性化シグナルの第2のトランスデューサーとして機能し、それにより、シグナル伝達ドメイン間の相乗効果と、予想外にも効果的な細胞傷害性NK細胞とが生じる。加えて、いくつかの実施形態では、この構築物は、任意選択によりmbIL15と同時発現され得る。
【0148】
いくつかの追加的な実施形態では、NKG2D/NCR3/4-1BBキメラ受容体をコードするポリヌクレオチドが提供され、4-1BBのシグナル伝達ドメインは、エフェクタードメイン中における活性化シグナルの第2のトランスデューサーとして機能し、それにより、シグナル伝達ドメイン間の相乗効果と、予想外にも効果的な細胞傷害性NK細胞とが生じる。加えて、いくつかの実施形態では、この構築物は、任意選択によりmbIL15と同時発現され得る。
【0149】
一部の実施形態では、本明細書で開示されたキメラ受容体の表面発現及び効力は、いくつかの実施形態では、NKG2D断片と膜貫通ドメインとの間の細胞外ドメインに位置するスペーサー領域(ヒンジ)の変動により増強される。一部の実施形態では、このヒンジ領域は、このキメラ受容体の他の部分間(例えば、細胞内ドメインと膜貫通ドメインとの間又は複数の細胞内ドメイン間)に含まれ得る。一部の実施形態では、本明細書の他の箇所で開示される特定の目的に役立つドメインは、追加的な機能を果たし得る。例えば、いくつかの実施形態では、CD8aは、(いくつかの実施形態では配列番号5の核酸配列によってコードされる)ヒンジ領域として機能するように再利用される。さらに別の実施形態では、このヒンジ領域は、CD8aのN末端切頭型及び/又はCD8aのC末端切頭型を含む。実施形態に応じて、これらの切頭は、配列番号5によってコードされるヒンジに対して少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%又は少なくとも約90%相同であり得る。いくつかの追加的な実施形態では、このヒンジは、グリシン残基及びセリン残基のスパン(本明細書では「GSリンカー」と称される)を含み、GSnは、配列(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)n(配列番号42)を表す。一実施形態では、このヒンジは、CD8a及びGS3の両方を含み、配列番号32のアミノ酸配列によってコードされ、例えばn=3である。追加的な実施形態では、nの値は、実施形態に応じて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15と等しいか又はそれより高いことができる。いくつかの実施形態では、このヒンジは、GSn/CD8aとして構成されている可能性もある。代わりに、このGSリンカーは、ヒンジ領域全体を含み得る。そのような一実施形態では、このヒンジ領域は、配列番号33の核酸配列によってコードされる。別のそのような実施形態では、このヒンジ領域は、配列番号34の核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、IgG4は、(いくつかの実施形態では配列番号104の核酸配列によってコードされる)ヒンジ領域として再利用される。さらに別の実施形態では、このヒンジ領域は、IgG4のN末端切頭型及び/又はIgG4のC末端切頭型を含む。実施形態に応じて、これらの切頭は、配列番号104によってコードされるヒンジに対して少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%又は少なくとも約90%相同であり得る。
【0150】
いくつかの実施形態では、本キメラ受容体構築物は、2B4細胞内シグナル伝達ドメインを利用する。いくつかの実施形態では、このドメインは、配列番号35のアミノ酸配列によってコードされる。一部の実施形態では、この2B4ドメインは、配列番号36の核酸配列によってコードされる。一部の実施形態では、キメラ受容体中で使用される2B4細胞内ドメインの配列は、配列番号36と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号36と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体のシグナル伝達ドメインは、配列番号36と異なり得るが、このキメラ受容体は、NK細胞の活性化機能及び/又は細胞傷害機能を保持するか、又は一部の実施形態では増強している。同様に、いくつかの実施形態では、NKp80細胞内ドメインがいくつかの実施形態で使用される。一部の実施形態では、このNKp80ドメインは、唯一の細胞内シグナル伝達ドメインであるが、一部の実施形態では、このドメインは、1つ又は複数の追加的なドメインとともに使用される。いくつかの実施形態では、このNKp80は、配列番号37のアミノ酸配列によってコードされる。一部の実施形態では、このNKp80ドメインは、配列番号38の核酸配列によってコードされる。一部の実施形態では、キメラ受容体中で使用されるNKp80細胞内ドメインの配列は、配列番号38と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号38と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体のシグナル伝達ドメインは、配列番号38と異なり得るが、このキメラ受容体は、NK細胞の活性化機能及び/又は細胞傷害機能を保持するか、又は一部の実施形態では増強している。
【0151】
いくつかの実施形態では、本キメラ受容体は、膜貫通ドメインとしてβアドレナリン受容体の一部を使用する。いくつかの実施形態では、この部分は、βアドレナリン細胞外ドメインの一部を含む。いくつかの実施形態では、この部分は、βアドレナリン受容体膜貫通ドメインの一部である。いくつかの実施形態では、βアドレナリン受容体の細胞外ドメイン及び膜貫通ドメインの組み合わせが使用される。実施形態に応じて、この部分は、β-1及び/β-2のアドレナリン受容体に由来する。いくつかの実施形態では、このβ-2アドレナリン受容体のN末端細胞外領域の一部が使用される。いくつかの実施形態では、この部分は、配列番号39のアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、細胞外β-2アドレナリンドメインは、配列番号40の核酸配列によってコードされる。一部の実施形態では、キメラ受容体中で使用される細胞外β-2アドレナリンドメインの配列は、配列番号39と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号39と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、このβ-2アドレナリン受容体の第1の膜貫通ヘリックスは、任意選択により細胞外β-2アドレナリンドメインとともに使用される。いくつかの実施形態では、このβ-2アドレナリン受容体の第1の膜貫通ヘリックスは、配列番号41のアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、このβ-2アドレナリン受容体の第1の膜貫通ヘリックスは、配列番号42の核酸配列によってコードされる。一部の実施形態では、キメラ受容体中で使用されるβ-2アドレナリン受容体の第1の膜貫通ヘリックスの配列は、配列番号41と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号41と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。
【0152】
一実施形態では、本キメラ受容体は、CD8、切頭型NKG2D、CD8a、膜貫通ドメイン、CD16細胞内ドメイン及び共刺激分子として4-1BBを含む。いくつかの実施形態では、そのような構築物は、配列番号25によってコードされる。一部の実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号25と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号25と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、CD8を囲むヒンジ領域は、非限定的な例としてGS3等のGSリンカー(本明細書で開示されている)の追加により増加する。そのような実施形態では、この構築物は、配列番号43の核酸によってコードされる。一部の実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号43と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号43と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、CD8を囲むヒンジ領域は、GS12等のより長いGSリンカー又は他のリンカーの追加により増加する。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、CD8を切頭することにより減少する。例えば、いくつかの実施形態では、CD8aのN末端領域は、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%又は少なくとも50%切頭されている。いくつかの実施形態では、このCD8ヒンジ領域は、GSリンカーに置き換えられている。例えば、いくつかの実施形態では、このヒンジ領域は、GS3リンカーを含み、それにより、構築物は、NKG2D-GS3-CD16-4-1BBを含む。一実施形態では、そのような構築物は、配列番号44の核酸によってコードされる。一部の実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号44と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号44と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、CD8又はGSnのいずれも使用されない。一実施形態では、そのような構築物は、配列番号45の核酸によってコードされる。一部の実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号45と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号45と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。
【0153】
上記で論じたように、いくつかの実施形態では、コドン最適化された配列が利用される。例えば、いくつかの実施形態では、コドン最適化(完全又は部分的)は、キメラ受容体のNKG2Dドメイン上で実施される。しかしながら、いくつかの実施形態では、コドン最適化は、実施されない。いくつかの実施形態では、キメラ受容体構築物は、最適化されていないNKG2D細胞外ドメインと、CD8aヒンジと、4-1BBシグナル伝達ドメインとを備えている。いくつかの実施形態では、キメラ受容体構築物は、最適化されていないNKG2D細胞外ドメインと、CD8ヒンジ及び膜貫通ドメインと、4-1BBシグナル伝達ドメインとを備えている。いくつかの実施形態では、キメラ受容体構築物は、最適化されていないNKG2D細胞外ドメインと、CD8aヒンジ及び膜貫通ドメインと、4-1BBシグナル伝達ドメインと、2B4シグナル伝達ドメインとを備えている。いくつかの実施形態では、そのような構築物は、配列番号46の核酸配列を有する。一部の実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号46と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号46と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。
【0154】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体構築物は、最適化されていないNKG2D細胞外ドメインと、βアドレナリン由来膜貫通ドメインと、4-1BBシグナル伝達ドメインとを備えている。いくつかの実施形態では、キメラ受容体構築物は、最適化されていないNKG2D細胞外ドメインと、β-2アドレナリン受容体の細胞外領域及びβ-2アドレナリン受容体の第1の膜貫通ヘリックスで構成されているβアドレナリン由来膜貫通ドメインと、4-1BBシグナル伝達ドメインとを備えている。いくつかの実施形態では、キメラ受容体構築物は、最適化されていないNKG2D細胞外ドメインと、β-2アドレナリン受容体の細胞外領域及びβ-2アドレナリン受容体の第1の膜貫通ヘリックスで構成されているβアドレナリン由来膜貫通ドメインと、4-1BBシグナル伝達ドメインと、2B4シグナル伝達ドメインとを備えている。いくつかの実施形態では、そのような構築物は、配列番号47の核酸配列を有する。一部の実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号47と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号47と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。
【0155】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体構築物は、最適化されていないNKG2D細胞外ドメインと、CD8aヒンジと、2B4シグナル伝達ドメインとを備えている。いくつかの実施形態では、キメラ受容体構築物は、最適化されていないNKG2D細胞外ドメインと、CD8aヒンジ及び膜貫通ドメインと、2B4シグナル伝達ドメイン及び4-1BBシグナル伝達ドメインの両方とを備えている。いくつかの実施形態では、キメラ受容体構築物は、最適化されていないNKG2D細胞外ドメインと、CD8ヒンジ及び膜貫通ドメインと、4-1BBシグナル伝達ドメイン及び2B4シグナル伝達ドメインと、NKp80ドメインとを備えている。いくつかの実施形態では、2B4ドメイン及びNKp80ドメインは、GS3リンカー等のGSリンカーにより連結されている。いくつかの実施形態では、そのような構築物は、配列番号48の核酸配列を有する。一部の実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号48と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号48と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。
【0156】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体構築物は、最適化されていないNKG2D細胞外ドメインと、CD8aヒンジと、NKp80シグナル伝達ドメインとを備えている。いくつかの実施形態では、キメラ受容体構築物は、最適化されていないNKG2D細胞外ドメインと、CD8aヒンジ及び膜貫通ドメインと、NKp80シグナル伝達ドメインとを備えている。いくつかの実施形態では、キメラ受容体構築物は、最適化されていないNKG2D細胞外ドメインと、CD8aヒンジ及び膜貫通ドメインと、4-1BBシグナル伝達ドメインと、NKp80ドメインとを備えている。いくつかの実施形態では、4-1BBドメイン及びNKp80ドメインは、GS3リンカー等のGSリンカーにより連結されている。いくつかの実施形態では、そのような構築物は、配列番号49の核酸配列を有する。一部の実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号49と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号49と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。
【0157】
いくつかの実施形態では、CD8膜貫通ドメインは、2B4細胞内ドメインに共役されている。いくつかの実施形態では、CD8膜貫通ドメインは、膜貫通であり且つ細胞内である2B4ドメインに置き換えられている。いくつかの実施形態では、このCD8膜貫通ドメインは、2B4に置き換えられており、4-1BBは、近位配置で発現される。
【0158】
いくつかの実施形態では、CD16細胞内シグナル伝達ドメインは、本明細書で説明されたキメラ受容体に対してトランスで外因的に発現されるCD3ζ又はγサブユニットに共役されている。上記で論じたように、そのような構築物は、予想外にも増強されたシグナル伝達をもたらし得、そのため、NK細胞の細胞毒性効果の予想外の増加をもたらし得る。
【0159】
いくつかの実施形態では、本明細書でさらに詳細に論じられているように、本キメラ受容体は、二量体化するように構成されている。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されたいくつかの実施形態に係る切頭型NKG2D受容体は、任意選択により二量体化されている。二量体化は、実施形態に応じてホモ二量体又はヘテロ二量体を含み得る。いくつかの実施形態では、二量体化により、このキメラ受容体(したがって、この受容体を発現するNK細胞)のアビディティは、有害な毒性効果の減少(又は欠如)における同等のバランスを有してより良好なリガンド認識にシフトされる。さらなる実施形態では、細胞外受容体ドメインは、CD8aシグナルペプチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、内部二量体を利用するか、又は1つ若しくは複数の成分サブユニットの繰り返しを利用する。例えば、いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、第2のNKG2D細胞外ドメインに共役されたNKG2D細胞外ドメインと、膜貫通/シグナル伝達領域(又は別個のシグナル伝達領域とともに別個の膜貫通領域)とを含む。いくつかの実施形態では、このNKG2D細胞外ドメインの1つ又は複数は、コドン最適化されている。いくつかの実施形態では、2つのNKG2D細胞外ドメインがリンカー(例えば、GSnリンカー)により分離されている。一実施形態では、GS3リンカーが使用される。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、βアドレナリン受容体の細胞外領域を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメイン膜貫通ドメインは、β-2アドレナリン受容体の細胞外領域を含み、β-2アドレナリン受容体の第1の膜貫通ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、シグナル伝達領域は、4-1BBを含む。いくつかの実施形態では、シグナル伝達領域は、NKp80を含む。いくつかの実施形態では、シグナル伝達領域は、CD16膜貫通-細胞内ドメインを含む。いくつかの実施形態では、シグナル伝達領域は、NKp80又はCD16膜貫通-細胞内ドメインとともに4-1BBを含む。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号50の核酸配列を有する。一部の実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号50と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号50と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号51の核酸配列を有する。一部の実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号51と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号51と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号52の核酸配列を有する。一部の実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号52と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号52と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、ヒンジ領域を含む。いくつかの実施形態では、CD8aは、(いくつかの実施形態では配列番号5の核酸配列によってコードされる)ヒンジ領域として機能するように再利用される。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、CD8a膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、このシグナル伝達領域は、2B4及びCD3ζとともに4-1BBを含む。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、GS3リンカーに共役されている、コドン最適化されているNKG2Dの断片と、追加的なNKG2D断片と、CD8aヒンジと、CD8a膜貫通ドメインと、4-1BB及びCD3ζを含むエフェクタードメインとを含む。いくつかの実施形態では、このキメラセプターは、配列番号66の核酸配列を有する。一部の実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号66と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号50と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。いくつかの実施形態では、このキメラセプターキメラ受容体は、配列番号67のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号66と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号50と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。
【0160】
いくつかの実施形態では、本明細書でさらに詳細に論じられているように、本キメラ受容体は、二重特異性であるように構成されている。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されたいくつかの実施形態に係る切頭型NKG2D受容体は、例えば、非NKG2Dリガンドに結合する第2のペプチドに起因して二重特異性である。いくつかの実施形態では、二重特異性により、このキメラ受容体(したがって、この受容体を発現するNK細胞)のターゲティングは、有害な毒性効果の減少(又は欠如)における同等のバランスを有してより良好な標的細胞認識にシフトされる。さらなる実施形態では、細胞外受容体ドメインは、CD8シグナルペプチドをさらに含む。例えば、いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、他の(非NKG2D)リガンドに結合する第2の細胞外ドメインに共役されたNKG2D細胞外ドメインと、膜貫通/シグナル伝達領域(又は別個のシグナル伝達領域とともに別個の膜貫通領域)とを含む。いくつかの実施形態では、2つの細胞外ドメインがリンカー(例えば、GSnリンカー)により分離されている。一実施形態では、GS3リンカーが使用される。
【0161】
本明細書で開示されたいくつかの実施形態によれば、コドン最適化されたNKG2Dドメインを利用する追加的なキメラ受容体が提供される(任意選択により、この構築物は、最適化されていないか又は部分的に最適化されたドメインによっても複製され得る)。例えば、いくつかの実施形態では、コドン最適化された細胞外ドメインは、ヒンジ及び少なくとも2つの膜貫通/シグナル伝達ドメインに共役されている。いくつかの実施形態では、複数のシグナル伝達ドメインによりNK細胞の細胞傷害効力が増強され、なぜなら、複数の非冗長のシグナルカスケードが開始されるからである。いくつかの実施形態では、これらの複数の経路は、単一のシグナル伝達分子(例えば、IFNγ)に収束し得るが、細胞傷害エンドポイントを駆動するシグナル伝達分子の全体的な大きさのため、全体的な細胞傷害効果が予想外にも増加する。非限定的な例として、いくつかの実施形態では、NKG2Dは、CD16膜貫通-細胞内シグナル伝達ドメイン及び4-1BBシグナル伝達ドメインが後に続くCD8aヒンジに共役されている。いくつかの実施形態では、この構築物は、2B4シグナル伝達ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、そのようなキメラ受容体は、配列番号53の核酸配列を有する。一部の実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号53と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号53と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。追加的な実施形態では、NKG2D-CD8a-CD16IC/TM構築物は、NKp80シグナル伝達ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、そのような構築物は、4-1BBドメインとNKp80ドメインとの間にGS3リンカーをさらに含む。いくつかの実施形態では、そのようなキメラ受容体は、配列番号54の核酸配列を有する。一部の実施形態では、このキメラ受容体は、配列番号54と異なり得るが、実施形態に応じて、配列番号54と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%相同のままである。
【0162】
さらに追加的な実施形態では、キメラ受容体の特定の成分は、効力(例えば、NK細胞の活性化又は細胞傷害性)の増強をもたらす1つ又は複数の追加的なサブユニットに置き換えられ得る。例えば、一実施形態では、CD16細胞内シグナル伝達ドメインは、DAP10の四重反復(例えば、4×DAP10)に置き換えられ得る。追加的な実施形態では、CD16細胞内シグナル伝達ドメインは、Zap70サブユニットに置き換えられ得る。特定のそのような実施形態は、NK細胞の細胞傷害性の予想外の増強をもたらす。
【0163】
いくつかの追加的な実施形態では、エフェクタードメインは、リガンドの結合時に活性化シグナル伝達を増強するために1つ又は複数のコンセンサスヘミITAM配列を含む。追加的な実施形態では、4-1BB、CD16、NCR1、NCR2及び/又はNCR3のシグナル伝達ドメイン間のGSリンカーの包含によりシグナル伝達が増強される。さらに、いくつかの実施形態では、CD3ζ及びFcRγの一方又は両方は、(同一又は別個の構築物上で)本明細書で説明されたキメラ受容体とともにさらに発現され、これによりシグナル伝達が予想外にも増強され、そのため、NK細胞の細胞傷害効果が予想外にも増加する。実施形態に応じて、CD3ζ及びFcRγの1つ又は複数の操作された発現は、NK細胞によるこれらの分子の内因性発現を補い、それによりNK細胞のシグナル伝達及び究極の細胞傷害効力がさらに増強される。
【0164】
任意選択により、実施形態に応じて、本明細書で開示されたポリヌクレオチドのいずれかは、キメラ受容体の構成サブユニットの1つ又は複数の切頭及び/又はバリアントもコードし得、NK細胞を標的細胞に向ける能力を依然として保持し得、いくつかの実施形態では、結合時に細胞傷害性を予想外にも増強し得る。加えて、本明細書で開示されたポリヌクレオチドのいずれかは、任意選択により、キメラ受容体の様々な構成サブユニットをコードするコドン最適化ヌクレオチド配列も含み得る。本明細書で使用される場合、用語「断片」及び「切頭型」は、それらの通常の意味が与えられるものとし、且つタンパク質のN末端欠失バリアント及びC末端欠失バリアントも含むものとする。
【0165】
本明細書で説明されたキメラ受容体をコードするポリヌクレオチドをベクターに挿入して、NK細胞中での組換えタンパク質発現を達成し得る。一実施形態では、このポリヌクレオチドは、このキメラ受容体の発現のための少なくとも1つの調節エレメントに作動可能に連結されている。具体的な実施形態では、本明細書で開示されたペプチドに対して異種の転写調節エレメント(例えば、内部リボソーム侵入部位(IRES)又はエンハンサーエレメント)を利用して、このキメラ受容体の転写が指示される。いくつかの実施形態では、このポリヌクレオチドは、1つ又は複数の細胞質プロテアーゼ開裂部位を含む。いくつかの実施形態では、この開裂部位は、細胞質プロテアーゼにより認識されて開裂される。一部の実施形態では、この開裂部位は、T2A開裂部位、P2A開裂部位、E2A開裂部位及びF2A開裂部位を含む群から選択される。実施形態に応じて、キメラ受容体の様々な構成部分は、単一のベクターで又は代わりに複数のベクターでNK細胞に送達され得る。一部の実施形態では、キメラ受容体構築物は、単一のベクターで送達されるが、キメラ受容体の効力を増強する別の因子(例えば、mbIL15)は、別個のベクターで送達される。いくつかの実施形態では、キメラ受容体及びこのキメラ受容体の効力を増強する因子(例えば、mbIL15)は、単一のベクターで送達される。使用されるベクターの数に関係なく、任意のポリヌクレオチドは、タグ配列を任意選択により含み得、この構築物を発現するNK細胞の存在の認識を可能にする。例えば、いくつかの実施形態では、FLAGタグ(DYKDDDDK、配列番号55)が使用される。同様に利用可能であるのは、他のタグ配列であり、例えばポリヒスチジンタグ(His-タグ)(HHHHHH、配列番号56)、HA-タグ又はmyc-タグ(EQKLISEEDL;配列番号57)である。代わりに、緑色蛍光タンパク質又は他の蛍光部分が使用される。タグのタイプの組み合わせも使用して、キメラ受容体のサブコンポーネントを個別に認識し得る。
【0166】
いくつかの実施形態では、本キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドは、エレクトロポレーションによりNK細胞中に導入され得るmRNAである。別の実施形態では、ベクターは、形質導入によりNK細胞中に導入され得るウイルス(好ましくはレトロウイルス)である。いくつかの実施形態では、このベクターは、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)である。追加的な実施形態では、他のベクターが使用され得、例えばレンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス及び同様のものが使用され得る。いくつかの実施形態では、非HIV由来レトロウイスルが使用される。選択されるベクターは、様々な因子(例えば、限定されないが、転写調節エレメントの強度及びタンパク質を発現するために使用される細胞)に依存するであろう。このベクターは、プラスミド、ファージミド、コスミド、ウイルスベクター、ファージ、人工染色体及び同様のものであり得る。追加的な実施形態では、このベクターは、エピソームの非相同的に又は相同的に組み込むベクターであり得、このベクターは、このベクターを形質転換するための任意の適切な手段(形質転換、遺伝子導入、コンジュゲーション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、直接マイクロインジェクション等)により、適切な細胞中に導入され得る。いくつかの実施形態では、NK細胞中でキメラ受容体の発現を誘導するための他のアプローチが使用され、このアプローチとして例えば下記が挙げられる:SV40初期プロモーター領域、ラウス肉腫ウイルスの3’長末端反復に含まれるプロモーター、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター、メタロチオネイン遺伝子の調節配列、アデノウイルス(ADV)プロモーター、サイトメガロウイスル(CMV)プロモーター、ウシパピローマウイルス(BPV)プロモーター、パロウイルスB19p6プロモーター、βラクタマーゼプロモーター、tacプロモーター、ノパリンシンテターゼプロモーター領域又はカリフラワーモザイクウイルス35S RNAプロモーター、リブロースビスリン酸カルボキシラーゼのプロモーター、Gal 4プロモーター、ADC(アルコールデヒドロゲナーゼ)プロモーター、PGK(ホスホグリセロールキナーゼ)プロモーター、骨髄増殖性肉腫ウイルスエンハンサーとともに、操作されたMoMuLV LTRのU3領域を含む合成MNDプロモーター及びアルカリホスファターゼプロモーター。
【0167】
本明細書で開示されたキメラ受容体を発現するようにナチュラルキラー細胞を操作し得る。キメラ受容体発現構築物は、当業者に既知の技術のいずれかを使用してNK細胞に導入され得る。一実施形態では、このキメラ受容体は、NK細胞中で一時的に発現される。別の実施形態では、このキメラ受容体は、NK細胞中で安定的に発現される。追加的な実施形態では、このNK細胞は、自己細胞である。さらに別の実施形態では、このNK細胞は、ドナー由来(同種)細胞である。
【0168】
本明細書でさらに提供されるのは、癌又は感染性疾患を有する対象を処置する方法であって、本明細書で開示されたキメラ受容体を発現するように操作されたNK細胞を含む組成物を対象に投与することを含み、このキメラ受容体は、損傷又は罹患した細胞又は組織上で差次的に発現される(例えば、正常な細胞又は組織と比較して異なる程度で発現される)マーカー又はリガンドを標的とするように設計されている、方法である。本明細書で使用される場合、用語「発現する」、「発現される」及び「発現」は、それらの通常の意味が与えられ、遺伝子配列又はポリヌクレオチド配列の情報の顕在化を可能にすること又は引き起こすことを指すものとし、例えば対応する遺伝子配列又はDNA配列の転写及び翻訳に関与する細胞機能を活性化させることによるタンパク質の産生を指すものとする。発現産物自体(例えば、結果として生じるタンパク質)が細胞により「発現される」と呼ばれる場合もある。発現産物は、細胞内、細胞外又は膜貫通として特徴付けられ得る。用語「細胞内」は、その通常の意味が与えられるものとし、且つ細胞の内側を指すものとする。用語「細胞外」は、その通常の意味が与えられるものとし、且つ細胞の外側を指すものとする。用語「膜貫通」は、その通常の意味が与えられるものとし、且つポリペプチドの少なくとも一部が細胞膜に埋め込まれていることを指すものとする。用語「細胞質」は、その通常の意味が与えられるものとし、且つ細胞膜内、核外に存在することを指すものとする。本明細書で使用される場合、対象への治療の投与に関連する用語「処置する」、「処置すること」及び「処置」は、それらの通常の意味が与えられるものとし、且つ対象が治療から得られる有益な効果を指すものとする。いくつかの実施形態では、本明細書で説明された遺伝子操作細胞による対象の処置により、例えば下記で挙げられる効果の1つ、2つ、3つ、4つ又はより多くが達成される:(i)疾患又はそれに関連する症状の重症度の軽減又は寛解;(ii)疾患に関連する症状の持続時間の短縮;(iii)疾患又はそれに関連する症状の進行に対する保護;(iv)疾患又はそれに関連する症状の退行;(v)疾患に関連する症状の発生又は発症に対する保護;(vi)疾患に関連する症状の再発に対する保護;(vii)対象の入院の減少;(viii)入院の長さの短縮;(ix)疾患を有する対象の生存率の増加;(x)疾患に関連する症状の数の減少;(xi)別の治療の予防効果又は治療効果の増強、改善、補充、補完又は増大。投与は、様々な経路(例えば、限定されないが、罹患した組織への静脈内送達、動脈内送達、皮下送達、筋肉内送達、肝内送達、腹腔内送達及び/又は局所送達)によるものであり得る。NK細胞の用量は、所定の対象に関して、この対象の体重、疾患の種類及び状態並びに所望の処置の積極性に基づいて用意に決定され得るが、実施形態に応じて、1kg当たり約105個の細胞~1kg当たり約1012個の細胞の範囲(例えば、105~107個、107~1010個、1010~1012個及びそれらの重複範囲)である。一実施形態では、用量漸増レジメンを使用する。いくつかの実施形態では、ある範囲のNK細胞(例えば、約1×106個の細胞/kg~約1×108個の細胞/kg)を投与する。実施形態に応じて、様々な種類の癌又は感染性疾患を処置し得る。本明細書で提供される様々な実施形態は、下記の癌の非限定的な例の処置又は予防を含む:例えば、限定されないが、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、副腎皮質癌、カポジ肉腫、リンパ腫、胃腸癌、虫垂癌、中枢神経癌、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳腫瘍(例えば、限定されないが、星状細胞腫、脊髄腫瘍、脳幹グリオーマ、頭蓋咽頭腫、上衣芽細胞腫、上衣腫、髄芽腫、髄上皮腫)、乳癌、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、子宮頸癌、結腸癌、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄増殖性障害、乳管癌、子宮内膜癌、食道癌、胃癌、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、有毛細胞白血病、腎細胞癌、白血病、口腔癌、上咽頭癌、肝癌、肺癌(例えば、限定されないが、非小細胞肺癌(NSCLC)及び小細胞肺癌)、膵癌、腸癌、リンパ腫、黒色腫、眼癌、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、下垂体癌、子宮癌並びに腟癌。
【0169】
さらに、本明細書で提供される様々な実施形態は、下記の非限定的な例の感染性疾患の処置又は予防を含み、この感染性疾患として細菌起源の感染が挙げられるが、それに限定されず、例えば下記の属の1つ又は複数からの細菌による感染が含まれ得る:ボルデテラ(Bordetella)、ボレリア(Borrelia)、ブルセラ(Brucella)、カンピロバクター(Campylobacter)、クラミジア(Chlamydia)及びクラミドフィラ(Chlamydophila)、クロストリジウム(Clostridium)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、エンテロコッカス(Enterococcus)、エシェリキア(Escherichia)、フランシセラ(Francisella)、ヘモフィルス(Haemophilus)、ヘリコバクター(Helicobacter)、レジオネラ(Legionella)、レプトスピラ(Leptospira)、リステリア(Listeria)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、マイコプラズマ(Mycoplasma)、ナイセリア(Neisseria)、シュードモナス(Pseudomonas)、リケッチア(Rickettsia)、サルモネラ(Salmonella)、シゲラ(Shigella)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、トレポネーマ(Treponema)、ビブリオ(Vibrio)及びエルシニア(Yersinia)並びにこれらの変異体又は組み合わせ。いくつかの実施形態では、ウイルス感染(例えば、1つ又は複数のウイルスにより引き起こされるもの)を処置するために様々なものを処置する方法が提供され、このウイルとして下記が挙げられる:アデノウイルス、コクサッキーウイルス、エプスタイン-バーウイルス、a型肝炎ウイルス、b型肝炎ウイルス、c型肝炎ウイルス、単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型、サイトメガロウイルス、デボラウイルス、ヒトヘルペスウイルス8型、HIV、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、ヒトパピローマウイルス、パラインフルエンザウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、呼吸器合抱体ウイルス、風疹ウイルス及び水痘帯状疱疹ウイルス。
【0170】
いくつかの実施形態では、同様に本明細書で提供されるのは、配列番号1~68のそれぞれの核酸配列又はアミノ酸配列と比較して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%(及びそれらの中の範囲)相同であり、且つそれぞれの配列番号1~68と比較して機能の1つ又は複数も示す核酸配列及びアミノ酸配列であり、この機能として下記が挙げられるが、それらに限定されない:(i)増殖の増強、(ii)活性化の増強、(iii)核酸配列及びアミノ鎖配列によってコードされる受容体を有するNK細胞が結合するリガンドを提示する細胞に対する細胞傷害活性の増強、(iv)腫瘍又は感染部位へのホーミングの増強、(v)オフターゲット細胞傷害効果の減少、(vi)免疫刺激性サイトカイン及びケモカイン(例えば、限定されないが、IFNg、TNFa、IL-22、CCL3、CCL4及びCCL5)の分泌の増強、(vii)さらなる自然免疫応答及び適応免疫応答を刺激する能力の増強、並びに(viii)これらの組み合わせ。
【0171】
加えて、いくつかの実施形態では、核酸コードの縮重を説明しつつ、本明細書で開示された核酸のいずれかに対応するアミノ鎖配列が提供される。さらに、本明細書で明示的に開示されたものと異なるが、機能の類似性又は均等性を有するこの配列(核酸又はアミノ酸)も本開示の範囲内で企図される。上記には、変異体、切頭、置換又は他の種類の改変が含まれる。
【0172】
本明細書では、いくつかの実施形態に従い、細胞外受容体ドメインを含む、キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドであって、この細胞外受容体ドメインは、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)の天然リガンドに結合するペプチドを含み、NKG2Dの天然リガンドに結合するペプチドは、膜貫通領域及び細胞内シグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメインであるNKG2Dの断片である、ポリヌクレオチドが提供される。いくつかの実施形態では、NKG2Dの断片は、配列番号2、若しくは3、若しくは68の配列を含むポリヌクレオチド又はその機能的均等物によってコードされる。いくつかの実施形態では、このポリヌクレオチドは、CD16を含むエフェクタードメインをコードする。いくつかの実施形態では、このポリヌクレオチドは、NCR1を含むエフェクタードメインをコードする。いくつかの実施形態では、このポリヌクレオチドは、NCR2を含むエフェクタードメインをコードする。いくつかの実施形態では、このポリヌクレオチドは、NCR3を含むエフェクタードメインをコードする。いくつかの実施形態では、このポリヌクレオチドは、4-1BBを含む追加的なエフェクタードメイン部分をコードする。いくつかの実施形態では、このポリヌクレオチドは、NKG2D及びCD16で構成されたキメラ受容体をコードする。いくつかの実施形態では、このポリヌクレオチドは、NKG2D及びNCR1で構成されたキメラ受容体をコードする。いくつかの実施形態では、このポリヌクレオチドは、NKG2D及びNCR2で構成されたキメラ受容体をコードする。追加的な実施形態では、このポリヌクレオチドは、CD16及び任意選択により4-1BBに共役されたNKG2Dで構成されたキメラ受容体をコードする。いくつかの実施形態では、CD16は、NCR1に置き換えられており、いくつかの実施形では、実施形態に応じて、NCR2又はさらにNCR3に置き換えられている。いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、例えば、4-1BBとCD16、NCR1、NCR2又はNCR3の1つとの間にGSリンカーをさらに含む。
【0173】
いくつかの実施形態では、細胞外受容体ドメインは、ヒンジ領域をさらに含む。いくつかの実施形態では、このヒンジ領域は、CD8aを含む。しかしながら、追加的な実施形態では、このヒンジ領域は、1つ又は複数のリンカーを含み、このリンカーは、いくつかの実施形態では、GS9、CD8a/GS3、切頭型CD8a、GS3及び同様のものを含む。
【0174】
いくつかの実施形態では、この細胞外受容体ドメインは、CD8aシグナルペプチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、エフェクタードメインは、1つ又は複数のヘミITAM配列を含む。いくつかの実施形態では、本キメラ受容体は、DNAX活性化タンパク質10(DAP10)を含まない。いくつかの実施形態では、このキメラ受容体は、ITAMモチーフを含まず、むしろ代替シグナル伝達領域(例えば、ITSM、ヘミ-タム又は他の共刺激領域)を利用する。
【0175】
一実施形態では、細胞外受容体ドメインを含む、キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドであって、この細胞外受容体ドメインは、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)の天然リガンドに結合するペプチドを含み、このNKG2Dの天然リガンドに結合するペプチドは、膜貫通領域であるNKG2Dの断片であり、この膜貫通領域は、CD8a及びエフェクタードメインを含み、このエフェクタードメインは、4-1BB及びCD3ζを含み、このポリヌクレオチドは、膜結合インターロイキン15(mbIL15)をコードする追加的な構築物と同時発現される、ポリヌクレオチドが提供される。
【0176】
いくつかの実施形態では、細胞外受容体ドメインを含む、キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドであって、この細胞外受容体ドメインは、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)の天然リガンドに結合するペプチドを含み、このNKG2Dの天然リガンドに結合するペプチドは、膜貫通領域であるNKG2Dの断片であり、この膜貫通領域は、CD8a及びエフェクタードメインを含み、このエフェクタードメインは、4-1BBと2B4又はDAP10の細胞内ドメインとを含む、ポリヌクレオチドも提供される。本明細書で説明されたキメラ受容体をコードするポリヌクレオチドは、NKG2Dの天然リガンドに結合する第2のペプチドを含む。いくつかの実施形態では、NKG2Dの天然リガンドとして、MICA、MICB、ULBP1、ULBP2、ULBP3、ULBP4、ULBP5又はULBP6が挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、NKG2Dの天然リガンドに結合するキメラ受容体の部分は、配列番号1、2、3又は68に対して少なくとも80%相同である。
【0177】
いくつかの実施形態では、提供されるポリヌクレオチドは、mRNAである。一部の実施形態では、このポリヌクレオチドは、キメラ受容体の発現のための少なくとも1つの調節エレメントに作動可能に連結されている。本明細書で使用される場合、用語「核酸」、「ヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」は、その通常の意味が与えられるものとし、デオキシリボヌクレオチド、デオキシリボ核酸、リボヌクレオチド及びリボ核酸並びにそれらのポリマー形態を含むものとし、且つ一本鎖形態又は二本鎖形態を含む。核酸は、天然に存在する核酸(例えば、デオキシリボ核酸(「DNA」)及びリボ核酸(「RNA」))並びに核酸類似体を含む。核酸類似体として、天然に存在するホスホジエステル結合以外の他のヌクレオチドと結合するヌクレオチドである、天然に存在しない塩基を含むもの又はホスホジエステル結合以外の結合を介して付着した塩基を含むものが挙げられる。そのため、核酸類似体として、例えば、限定されないが、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロトリエステル、ホスホルアミデート、ボラノホスフェート、メチルホスホネート、キラルメチルホスホネート、2-O-メチルリボヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA)及び同様のものが挙げられる。本明細書で使用される場合、例えば異種核酸配列に「作動可能に連結されている」調節核酸配列に関連する用語「作動可能に連結されている」は、その通常の意味が与えられるものとし、且つこの調節核酸配列が異種核酸配列と機能的関係に置かれていることを意味するものとする。IRESに関連して、「作動可能に連結されている」は、内部リボソーム侵入部位を含む核酸配列と、異種コード配列が翻訳されるmRNA配列の中央での異種コード配列開始との間の機能的連結を指す。本明細書で使用される場合、用語「ベクター」は、その通常の意味が与えられるものとし、且つDNA配列又はRNA配列(例えば、外来遺伝子)を遺伝子操作細胞中に導入し、遺伝子操作された細胞を形質転換させて、導入された配列の発現(例えば、転写及び/又は翻訳)を促進し得る媒体を指すものとする。ベクターとして、ウイルス、プラスミド、ファージ等が挙げられる。用語「キメラ受容体」は、本明細書で使用される場合、その通常の意味が与えられるものとし、且つ単一タンパク質上で天然に一緒に見出されない少なくとも2つのポリペプチドドメインを含む細胞表面受容体を指すものとする。用語「キメラ受容体複合体」は、本明細書で使用される場合、単一タンパク質上で自然界において一緒に見出されない組み合わせで少なくとも2つのポリペプチドドメインを含み得る第1のポリペプチドを指し、この第1のポリペプチドは、第2のポリペプチド(例えば、アダプターポリペプチド)、シグナル伝達分子又は刺激分子と関連している。本明細書で開示されたキメラ受容体の生成及び使用に関する追加的な用語は、当業者により容易に理解され、且つ国際公開第2014/117121号パンフレット及び米国特許第7,994,298号明細書(これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)でも見出され得る。
【0178】
いくつかの実施形態に従って追加で提供されるのは、本明細書で提供されたポリヌクレオチドのいずれかをコードするポリヌクレオチドを含むベクターであって、このポリヌクレオチドは、任意選択により、キメラ受容体の発現のための少なくとも1つの調節エレメントに作動可能に連結されている、ベクターである。いくつかの実施形態では、このベクターは、レトロウイルスである。
【0179】
本明細書でさらに提供されるのは、本明細書で開示されたポリヌクレオチド、ベクター又はキメラ受容体を含む操作されたナチュラルキラー細胞である。いくつかの実施形態では、このNK細胞は、疾患(例えば、癌及び/又は感染性疾患)の予防の処置での使用に適している。
【実施例】
【0180】
方法
以下の実験方法及び材料は、以下に開示される非限定的な実験例において用いられる。
【0181】
細胞株及び培養条件
ヒト急性リンパ芽球性白血病細胞株REH、ヒト骨肉腫細胞株U-2 OS及びヒト胚性腎線維芽細胞293T(HEK293T)細胞は、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(ATCC;Manassas,Virginia)から入手した。REH細胞は、10%ウシ胎仔血清(FBS;Hyclone,Logan,Utah)及び1%ペニシリン-ストレプトマイシンを添加したRoswell Park Memorial Instituteシリーズ1640(RPMI-1640;Gibco,Carlsbad、California)中で維持し、増殖させた。HEK293T及びU-2 OS細胞の両方は、10%FBS及び1%ペニシリン-ストレプトマイシンを添加したダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM;Hyclone)中で維持し、増殖させた。すべての哺乳動物細胞を5%CO2下において37℃でインキュベートした。
【0182】
DNAプラスミド
キメラ受容体NKG2D-DAP10-CD3ζを含有するDNAプラスミドを前述のように作製した(Chang et al.Cancer research,Vol.73(6):2013を参照されたい)。伸長ポリメラーゼ連鎖反応(SOE-PCR)を重複させることによるスプライシングを用いて、NKG2D-41BB-CD3ζ構築物を形成する個々のドメインを融合させた。次に、その構築物をマウス幹細胞ウイルス(MSCV)レトロウイルスベクターに挿入した(
図3A)。NKG2D-CD16及びNKG2D-CD16-41BBにおける構築物は、GenScript(Nanjing,China)により、コドン最適化し、MSCVベクターに挿入した(
図3B)。構築物の配列は、DNA配列決定により検証した。
【0183】
ヒトNK細胞の拡大
ヒト末梢血単核球(PBMC)は、健常成人ドナーからの血液サンプルのフィコール密度遠心分離により入手した。NK細胞を拡大するため、PBMCを膜結合性IL-15及び4-1BBリガンド(K562-mb15-41BBL)で遺伝子組換えしたK562とともに培養した。細胞は、40IUのIL-2/mlを2日ごとに添加した幹細胞増殖培地(SCGM;Cell Genix,Freiburg,Germany)中で培養した。
【0184】
7日間の培養後、NK細胞において、抗CD3 Dynabeads(Invitrogen,Carlsbad,California)を用いてT細胞を欠失させた。次に、NK細胞を、40~200IUのIL-2/mlを2日ごとに添加したSCGM中で培養した。
【0185】
レトロウイルスの産生及びNK細胞の形質導入
HEK293T細胞にレトロウイルスパッケージングプラスミドを一過性にトランスフェクトすることにより、レトロウイルスの産生を実施した。HEK293T細胞をトランスフェクションの18時間前、まず12ml中2.5×10
6個の細胞の濃度のDMEMに播種した。次に、この細胞に、各NKG2Dキメラ受容体を含有する3.5μgのMSCVベクター(非限定的な構築物を
図1B~1C及び2A~2Bに概略的に示す)、3.5μgのpEQ-PAM3及び3.0μgのpRDFをトランスフェクトした。対照として、GFPを含有する空のMSCVベクターを用いた。X-tremeGENE 9 DNAトランスフェクション試薬(Roche,Basel,Switzerland)をトランスフェクションのために用いた。トランスフェクションから24時間後にDMEMを馴化RPMI-1640と交換した。
【0186】
培地の変更から18時間後、NKG2Dキメラ受容体導入遺伝子のNK細胞への形質導入を行った。まずNK細胞を2mlの馴化RPMI-1640に0.25×106個の細胞の濃度で懸濁した。その後、細胞をレトロネクチン(タカラバイオ株式会社、大津、日本)でコーティングしたチューブに播種した。レトロウイルスを含有するRPMI-1640(ウイルス上清)をHEK293T細胞培養物から収集し、新しい馴化培地を培養物に戻し添加した。ウイルス上清に200IUのIL-2/mlを添加し、ウイルス上清3mlを(播種したNK細胞を含有する)各々のレトロネクチンでコーティングしたチューブに分注した。NK細胞を生成する特定の実施形態に従い、播種したNK細胞に新しいウイルス培地を12時間ごとに1回で6回、形質導入した。次に、形質導入したNK細胞を最終の形質導入から48時間後に収集し、200IUのIL-2/mlを2日ごとに添加したSCGM中で培養した。形質導入したNK細胞を拡大後の14~28日の実験中に用いた。
【0187】
フローサイトメトリーによるキメラ受容体発現の検出
形質導入したNK細胞を、アルブミンを含有するリン酸緩衝食塩水で1回洗浄し、ウサギ血清2μlを添加した。次に、暗所で細胞をペリジニンクロロフィル(PerCP)コンジュゲート抗ヒトNKG2D抗体(クローン149810;R&D Systems,Minneapolis,USA)で10分間染色した。対照として、形質導入したNK細胞を各々のPerCPコンジュゲートIgGアイソタイプ抗体で染色した。Accuri C6フローサイトメーター(BD,Franklin Lakes,NewJersey)を用いる分析前、すべてのNK細胞を再洗浄し、0.5%ホルムアルデヒド300μlで固定した。対応t検定を用いて、データを分析した。
【0188】
細胞傷害性アッセイ
REH細胞をカルセインAMの赤-オレンジ(Thermo Fisher Scientific,Waltham,Massachusetts)で染色した。REH細胞を96ウェル丸底プレート(CoStar,Corning,New York)に播種した。次に、形質導入したNK細胞を様々なエフェクター:標的(E:T)比で添加した。細胞培養物を37℃及び5%CO2で4時間インキュベートした。Accuri C6フローサイトメーターを用いて、染色した生存可能標的細胞をカウントした。U-2 OS細胞を96ウェル平底白色プレート(Costar)に播種し、4時間インキュベートした。次に、形質導入したNK細胞を異なるE:T比に応じて添加した。次に、細胞培養物をさらに4時間インキュベートした。分析前、Bright-Glo基質(Promega,Madison,Wisconsin)をこの細胞に添加した。生存可能標的細胞からの発光の強度を、FL×800 Fluorescence Reader(Bio Tek,Winooski,Vermont)を用いて測定した。発光の強度と対照との差を細胞傷害性の百分率に変換した。
【0189】
インターフェロンγ(IFNγ)産生アッセイ
NK細胞によって産生されるIFNγの量を判定するため、エフェクター及び標的細胞をまず96ウェル丸底プレート内、(1:1のE:T)又はREH不在下で培養した。GolgiPlug(ブレフェルジンA;BD Biosciences)の添加前、細胞を1時間インキュベートした。さらに5時間の培養後、細胞をフィコエリトリン(PE)コンジュゲート抗ヒトCD56抗体(クローンMY31,BD Biosciences)で標識した。専売透過処理試薬を用いて細胞を透過処理し、暗所で40分間インキュベートした。次に、この細胞を専売洗浄緩衝液で洗浄した。細胞内IFNγを、アロフィコシアニン(APC)コンジュゲートIFNγ抗体(クローン25723.11;BD Biosciences)を用いて45分間検出した。次に、この細胞を固定し、Accuri C6フローサイトメーターを用いて分析した。
【0190】
実施例1 - NKG2D構築物を含有するCD3ζ
本明細書で開示される通り、様々な膜貫通及び/又はシグナル伝達ドメインと共役されたNKG2D及び/又はNKG2D変異体を含む様々な構築物を準備する。CD3ζシグナル伝達ドメインを含む構築物の発現及び細胞傷害活性を評価するため、本実験を実施した。上記の方法及び材料に従い、2つのCD3ζ構築物を調製し、試験した。構築物に応じて、用いる方法を容易に調節することで、構築物の生成、発現及び試験にとって必要とされるバリエーションを構成することができる。2つの構築物は、NKG2D-DAP10-CD3ζ及びNKG2D-41BB-CD3ζであった。参照として、
図1Aは、内因性NKG2Dを概略的に示す。NK細胞では、NKG2Dの膜貫通領域間のイオン相互作用により、そのアダプタータンパク質DAP10との会合が可能になる(Wu et al.,1999)。リガンド結合時、NKG2Dシグナルは、DAP10上に見出されるシグナル伝達モチーフYxNMを通じて伝達される。CD3ζは、その免疫受容体チロシンに基づく活性化モチーフ(ITAM;Lanier,2008)を通じてシグナルを伝達する。2つの実験構築物をそれぞれ
図1B及び1Cに概略的に示す。
図1Bは、YxNM及びITAMモチーフの両方を通じてシグナル伝達が生じるNKG2D-DAP10-CD3ζを示す。
図1Cは、膜貫通ドメインとしてCD8aヒンジ領域、またシグナル伝達ドメインとして4-1BB及びCD3ζを用いるNKG2D-41BB-CD3ζ構築物を示す。
【0191】
まず、NK細胞がこれらの構築物を有効に発現する能力を評価した。健常成人ドナーのPBMCから拡大したNK細胞に2つのキメラ受容体の一方を形質導入した。モック形質導入NK細胞を(GFPのみを含有する空のMSCVベクターを形質導入した)対照として用いた。NK細胞をPer-CPコンジュゲート抗NKG2D抗体で染色することを通じて、キメラ受容体の存在及び相対的存在量を判定した。
図4Aは、モック(左パネル)、NKG2D-DAP10-CD3ζ(中央パネル)又はNKG2D-41BB-CD3ζ(右パネル)構築物の形質導入後の、NKG2D陽性NK細胞の百分率に関する代表的なフローサイトメトリーデータを示す。モック形質導入NK細胞は、抗体を用いて、NKG2Dの発現を示さない(活性化NK細胞上で天然に高いNKG2Dの発現に反して、アイソタイプマッチ非反応性抗体を上回る染色を示さない)一方、NKG2D-DAP10-CD3ζ構築物を形質導入した細胞の60%弱は、アイソタイプマッチ非反応性抗体対照を上回り、またNKG2D-41BB-CD3ζを形質導入したNK細胞の80%を上回るようなNKG2Dの発現を示した。すべてのドナーからのNKG2D陽性NK細胞の百分率についてのプールデータを
図4Bに示す。操作したNKG2D構築物の両方は、モックと比べてNKG2Dの発現における実質的増加をもたらすが、2つの構築物のパーセント発現間での有意差は、認められない。
図4Cは、NKG2D構築物を発現する集団内での細胞がこの構築物を発現する程度を表す、平均蛍光強度(MFI)に基づく発現データを示す(例えば、1細胞当たりの構築物の複数コピーであれば、より高いMFIを生じることになる)。この尺度によると、NKG2D-41BB-CD3ζの発現は、NKG2D-DAP10-CD3ζ構築物の場合よりも有意に高い。
【0192】
まとめると、これらのデータは、本明細書で開示されるいくつかの実施形態によると、操作した構築物がNK細胞上で十分に発現され得ることを示す。いくつかの実施形態では、構築物の増強された発現は、NK細胞への特定構築物の形質導入の反復により達成され得る。いくつかの実施形態では、構築物の成分は、単一のベクターで又は代わりに複数のベクターを用いて細胞に送達され得る。実施形態に応じて、構築物自体が増強された発現をもたらし得、例えば、線状又はヘッドトゥテール構築物は、複数のサブユニット構築物が必要とする細胞内アセンブリの程度減少が理由で、増強された発現をもたらし得る。
【0193】
NK細胞上でNKG2D構築物を十分に発現することに加えて、NK細胞の有効なシグナル伝達が標的細胞上で作用することが要求される。形質導入したNK細胞の2つの集団の効力を評価するため、細胞傷害性アッセイを、NK細胞活性に対して感受性がある細胞株に対してREH(懸濁細胞)及びU-2 OS(接着性細胞)を用いて実施した。独立ドナーを通じてREH細胞に対するNK細胞の異なる群の2つのE:T比での細胞傷害性百分率をまとめたデータを
図5A~5Cに示す(エラーバーは、標準偏差を表す;すべての実験は、3連で実施する;n=3(P<0.001))。
図5A~5Cに表す通り、NKG2Dキメラ受容体のいずれか((a)表示の矢印で示すNKG2D-DAP10-CD3ζ及び(b)表示の矢印で示すNKG2D-41BB-CD3ζ)を発現するNK細胞は、3つすべてのドナーにおいて、((c)表示の矢印で示す)モックNK細胞と比べてREHに対する有意により高い細胞傷害性を有した。NKG2D-DAP10-CD3ζを発現するNK細胞の細胞傷害性の平均百分率は、91.8%±5.8%(1:1のE:T比)及び83.9%±5.6%(1:2のE:T比)であった。NKG2D-41BB-CD3ζを形質導入したNK細胞は、類似の効力(1:1のE:T比で87.4%±6.1%及び1:2のE:T比で76.2%±4.8%)を示した。キメラ受容体を発現するNK細胞は、モック形質導入NK細胞と比べてU-2 OSに対して増強された細胞傷害性も示した(
図6A~6Cを参照されたく、
図6Aは、(a)表示の矢印で示すNKG2D-DAP10-CD3ζを表し、
図6Bは、(b)表示の矢印で示すNKG2D-41BB-CD3ζを表し、
図6Cは、(c)表示の矢印で示すモックNK細胞を表す)。
【0194】
これらのデータは、キメラ受容体構築物を発現するように操作され得るだけでなく、キメラ受容体を発現するそれら細胞が、活性化され、標的細胞に対して増強された細胞傷害性効果を十分にもたらすことができるという証拠を提示する。重要なことに、これらのデータは、より多数の(この実験では倍増された)標的細胞の存在下で細胞の効力におけるごくわずかな低下が認められることも示す。これは、臨床使用であり得る状況として、NK細胞が標的細胞と相対的により少数で存在するときでも、操作されたNK細胞の所望の細胞傷害性効果をやはり実現できることを示唆する。さらに、これらのデータは、いくつかの実施形態によると、所与のNK細胞上でのキメラ受容体発現の密度又は程度が低下することが細胞傷害性効果の協調的低下を必ずしももたらさず、それらの構築物発現の低下に照らしたNK細胞の想定外の有効性に関連し得ることを示す。加えて、これらのデータは、いくつかの実施形態に応じて達成される想定外に増強された細胞傷害性を例示する。非操作NK細胞が細胞傷害性を示し、活性化時にNKG2Dを有意な量で発現する一方、本明細書で開示される操作された細胞が、細胞傷害性効果を既に達した上限と考え得るもの(例えば天然NK細胞の細胞傷害性)を超えて有意に増強し得ることは、想定外である。
【0195】
細胞傷害性データに加えて、NK細胞がこれらの効果を発揮している機構を、様々なNKG2D構築物を発現するNK細胞によるインターフェロンγ(IFNγ)の産生を評価することにより試験した。IFNγは、マクロファージを動員し、免疫刺激効果を有する、(典型的には自然免疫応答中に)NK細胞によって産生及び放出される主要なサイトカインである。
図7Aは、REH細胞による刺激下又は非刺激下での、モック(左パネル)、NKG2D-DAP10-CD3ζを発現するNK細胞(中央パネル)及びNKG2D-41BB-CD3ζを発現するNK細胞(右パネル)における(MFIによって測定した)IFNγ産生の相対量を示す。NK細胞は、細胞内IFNγに対するAPCコンジュゲート抗IFNγ抗体により染色した。データは、対応t検定により分析した。これらのデータは、NK細胞の3群の各々が非刺激下で類似レベルのIFNγ産生を有することが認められ、REH細胞による刺激後に増加が認められたことを示す。いくつかの実施形態において提示される通り、NKG2D構築物を発現する操作されたNK細胞は、強力なサイトカイン産生をもたらし得る。操作されたNK細胞が応答する対象の標的細胞(ここではREH細胞)の存在により、IFNγ産生、最終的に細胞傷害性効果をもたらす生化学的カスケードが開始する。
図7Aに示すように、NKG2D-41BB-CD3ζを発現するNK細胞は、刺激性REH細胞の存在下でIFNγの強力な産生を示す。興味深いことに、NKG2D-DAP10-CD3ζを発現するNK細胞は、類似した応答度を示さなかった。これは、
図7Bにさらに示され、ここでは、REH細胞による刺激後のNK細胞の異なる群間でのIFNγのレベル(中央値を表示した;データを独立t検定によって分析した)を評価する。すべてのIFNγ実験は、3つの独立ドナー(n=9)の場合に3連で実施した。
図7Bは、NKG2D-DAP10-CD3ζを発現するNK細胞によるIFNγ産生がモック形質導入NK細胞と有意に異ならなかったことを示す。それに対し、NKG2D-41BB-CD3ζを発現するNK細胞は、モック形質導入NK細胞と比べてIFNγ産生における有意な増加を示す。これらのデータは、本明細書で考察の通り、リガンド結合に応答したキメラ受容体によるシグナル伝達が、目的の標的細胞に対する細胞傷害性効果をもたらす上での本質的なステップであることを示すことから興味深い。しかし、2つの異なるキメラ受容体を形質導入したNK細胞がいずれも比較的類似した細胞傷害性を示すが、ミラーリングレベルのIFNγ産生を伴わないことから、様々な構築物がシグナル伝達するための唯一の経路は存在しない。したがって、いくつかの実施形態によると、正常なNK細胞と比べて、IFNγ又は他の免疫刺激サイトカインの増強された産生を通じて細胞傷害性効果を達成する構築物が提供される。しかし、いくつかの実施形態では、増強された細胞傷害性効果を達成するため、IFNγの増強された産生が必ずしも達成又は検出されず、むしろ別の免疫刺激経路が所与のキメラ構築物により利用され得る。
【0196】
実施例2 - CD16及びCD16-4-1BBを含有するNKG2D構築物
発現、細胞傷害性及びサイトカイン産生を評価するため、追加的な構築物を作製した。本明細書で提供される通り、いくつかの実施形態は、CD16膜貫通及び/又はシグナル伝達ドメインを用いる、(いくつかの実施形態ではコドン最適化された)切断されたNKG2Dを含む構築物に関する。この実験における評価のために作製した構築物を
図2A~2Bに概略的に示し、それは、A)NKG2D-CD16、及びB)NKG2D-CD16-41BBキメラ受容体の構造を示す。両方のキメラ受容体は、CD16の膜貫通領域に依存し、CD3ζ又はFcRγのいずれかと会合する。これらの構築物を作製するために用いるプラスミドを
図3Bに示す。上で考察の通り、いくつかの実施形態では、用いる構築物は、CD3ζ又はFcRγの内因性発現に依存するが、いくつかの実施形態では、キメラ受容体をコードするプラスミド(又は分離プラスミド)は、NK細胞によるCD3ζ及び/又はFcRγの発現を高め、それによりこの細胞の効力を増強するように設計する。
【0197】
上記の通り、構築物の発現レベルを評価した。
図8Aは、モック(左パネル)、NKG2D-DAP10-CD3ζを発現するNK細胞(中央パネル)及びNKG2D-CD16を発現するNK細胞についての代表的なフローサイトメトリーデータを示す(実験は、異なる記号によって表される3つの独立ドナーからの細胞を用いて実施した。データは、対応t検定により分析した)。
図8Bは、NKG2D(したがって構築物)を発現する細胞の百分率に関するサマリーデータを示す。予想通り、モックトランスフェクトNK細胞は、抗体を用いると、低レベルのNKG2D発現を示す。それに対し、操作した構築物の両方は、有意に増強された発現を示し、NKG2D-CD16形質導入NK細胞は、モック形質導入NK細胞と比べて35.8%±6.9%高い発現を表した。加えて、MFIによる評価として(
図8C)、NKG2D-CD16形質導入NK細胞は、この構築物の増強された発現も示した。これらのデータは、この構築物がNK細胞に有効に導入可能であり、発現されることを実証するために重要である。
【0198】
この構築物の発現を樹立しており、それらが細胞傷害性効果を示す能力を評価した。上で考察の通り、3つのドナーからのNK細胞を、REH細胞及びU-2 OS細胞に対する細胞傷害性効果について各々3つのE:T比で試験した(すべての実験を3連で実施した,n=3)。興味深いことに、NKG2D-CD16構築物のモックNK細胞と比べて増強された発現は、細胞傷害性の増強をもたらさなかった(
図9A~9Cを参照されたい、エラーバーは、標準偏差を表す)。先行例と同様に、((a)表示の矢印で示す)NKG2D-DAP10-CD3ζを発現するNK細胞は、確かに増強された細胞傷害性を示した。U-2 OS細胞に対する細胞傷害性に関して、((b)表示の矢印で示す)NKG2D-CD16は、((c)表示の矢印で示す)モックNK細胞と比べて確かに増強された細胞傷害性を示した(
図10A~10Cを参照されたい)。これらのデータは、特定の所与の標的細胞型に対する細胞傷害性の影響度がNK構築物の使用とともに変化する場合があることを示す。いくつかの実施形態では、特定の構築物が有効とされないことがあるが、いくつかの実施形態では、NK細胞の集団の組み合わせが使用可能であり、相乗効果を示し得る。換言すれば、NK細胞の集団は、NKG2D-CD16を発現する部分及びNKG2D-DAP10-CD3ζ(又は本明細書で開示される構築物のいずれかの他の組み合わせ)を発現する部分を伴い、いずれかの亜集団単独と比べて予想外に増強された細胞傷害性を示すことがある。
【0199】
トランスフェクトNK細胞の作用機構を確認するため、次にインターフェロンγ産生を測定した。様々な構築物を発現するNK細胞は、REH細胞によって刺激したか又は刺激せず、IFNγの産生を測定した。これらのデータを
図11に示す(データは、対応t検定により分析した)。NK細胞のすべての群が刺激不在下で類似レベルのIFNγを有し、REH細胞とのインキュベーション後に増加を有した。NKG2D-CD16を発現するNK細胞は、IFNγ産生における634±211MFIの増加を示し、それは、モック形質導入NK細胞によって示された増加(423±70MFI)よりも大きかった。しかし、その増加は、2041±411MFI増加した、NKG2D-DAP10-CD3ζを発現するNK細胞で認められた場合よりも低かった。いくつかの実施形態に従うデータと合致して、IFNγの産生は、特定の構築物を発現するNK細胞が示す細胞傷害性効果と相関する。
【0200】
本明細書で開示されるいくつかの実施形態によると、複数のシグナル伝達領域が用いられ得る。拡大されたNK細胞におけるNKG2D-CD16-41BBの発現を評価するため、追加的実験を実施した(実験は、ドナー1名からの細胞を用いて実施した)。発現データを
図12A~12Bに示す。
図12Aは、4-1BBシグナル伝達領域の追加が、NKG2D-CD16構築物と比べて、NK細胞による構築物の発現を損なうことが有意でないことを実証する生フローサイトメトリーデータを示す。これは、試験したNK細胞群の各々の表面上でのNKG2D受容体の相対量を示す
図12Bの要約ヒストグラム中にも反映される。NKG2D-CD16-41BBは、NKG2D-CD16と比べてやや低下したMFIを示すが、両方の構築物は、モックに対して増強された発現を示す。
【0201】
REH及びU-2 OS細胞の両方を標的として用いて、細胞傷害性効果を上記のように評価した。
図13A~13Bは、得られたデータを示す(エラーバーは、標準偏差を表す;すべての実験は、3連で実施した,n=3)。
図13Aは、REH細胞に対する構築物の細胞傷害性効果を示す。上の実験と同様に、((b)表示の矢印で示すNKG2D-CD16を発現する細胞は、(a)表示の矢印で示すモックNK細胞と比べて有意に増強された細胞傷害性効果を示さなかった。それに対し、((c)表示の矢印で示す)NKG2D-CD16-41BBを発現するNK細胞は、REH細胞に対して増強された細胞傷害性を示した。U-2 OS細胞に対する有効性に関して、NKG2D-CD16及びNKG2D-CD16-41BBを発現する細胞の両方は、増強された細胞傷害性を示し、NKG2D-CD16-41BBを発現する細胞は、より強力な細胞傷害性効果を示した。これは、いくつかの実施形態によると、シグナル伝達ドメインの組み合わせの使用により、形質導入NK細胞の有効性における想定外の増強がもたらされ得ることを示す。したがって、上記の通り、いくつかの実施形態では、標的細胞に対する増強された細胞傷害性をもたらすように一緒に相乗的に機能する2つ以上の膜貫通/シグナル伝達ドメインを用いる。
【0202】
実施例3 - 追加的なNKG2D構築物
異なる細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン及び細胞内エフェクタードメインを有する追加的な構築物を作製し、それらの発現及び細胞傷害性を評価した。この実験において評価のために作製した12の構築物を
図14に概略的に示す。これらキメラ受容体変異体の一部は、CD16膜貫通領域に依存し、CD3ζ又はFcRγのいずれかと会合する。上で考察の通り、いくつかの実施形態では、用いる構築物は、CD3ζ又はFcRγの内因性発現に依存するが、いくつかの実施形態では、このキメラ受容体をコードするプラスミド(又は分離プラスミド)は、NK細胞によるCD3ζ及び/又はFcRγの発現を高め、それによりこの細胞の効力を増強するように設計する。上記のように、この構築物の発現レベルを評価した。モックトランスフェクトNK細胞は、MFIによる評価として、低レベルのNKG2D発現を示す(
図16A)。それに対し、上記のNKG2D変異体構築物を形質導入したNK細胞は、異なるレベルのNKG2D発現を示し、操作した変異体構築物4及び9は、NK細胞における有意に増強された発現を示した。
図16Bは、NKG2D変異体構築物1、4、8、9の、2つのドナーのNK細胞への形質導入後についての代表的なフローサイトメトリーデータを示す。モック形質導入NK細胞と比べて、変異体8及び9の形質導入NK細胞は、キメラ受容体の特に強力な発現を示した。変異体構築物の発現は、形質導入後7日間、2つのドナーのNK細胞において持続し、変異体8及び9は、MFIによる評価として特に上昇したレベルを示した(
図16C)。これらのデータは、構築物がNK細胞に有効に導入可能であり、発現されることを実証するために重要である。構築物の発現を樹立しており、それらが細胞傷害性効果を形質導入NK細胞に送達する能力についても評価した。NKG2D変異体構築物4、8及び9の細胞傷害性を、1:1のE:T比でNK細胞に形質導入してから14日後に評価した(
図17)。
【0203】
作製したさらなる変異体構築物を、様々な細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン及び細胞内エフェクタードメインを含むキメラ受容体の構造を示す
図15に概略的に示す。これらのキメラ受容体変異体の一部は、CD3ζ及び/又は別のシグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメインに依存し、リガンド結合時にシグナルを伝達する一方、他のキメラ受容体変異体は、二量体化を通じて完全長CD3ζ分子をシナプスに動員するCD3ζ膜貫通ドメインを含む。上記のように、この構築物の発現レベルを評価した。MFIによる評価として(
図18A~B)、操作した構築物を形質導入したNK細胞は、モック形質導入細胞と比べてキメラ受容体の増強された発現を示した。細胞傷害性効果を、1:1のエフェクター:標的比を用いて、上記のように評価した。
図19A~Bに示す通り、操作した構築物(特に変異体18)を形質導入したNK細胞は、モック対照と比べて増強された細胞傷害性を有する。
【0204】
変異体18が増強された細胞傷害性効果を伴うNK細胞において強力な発現を示したことから、CD3ζ膜貫通ドメインを含む一連のNKG2D変異体構築物を作製した。これらの変異体は、「NK39」と称し、
図15に概略的に示す。ドナーNK細胞へのトランスフェクションから14日後(低IL-2条件下での4日間の培養を伴う)、形質導入NK細胞の細胞傷害性を評価した。
図21は、1:1及び1:2のE:T比で培養したREH細胞に対するこの構築物の細胞傷害性効果を示す。操作されたNK39構築物を発現するNK細胞のすべては、1:1のE:T比で対照NK細胞と比べて有意に増強された細胞傷害性効果を示した。1:2のE:T比で評価したとき、キメラ構築物16-7、39-1、39-2、39-3及び39-5の各々は、それらの各形質導入NK細胞の細胞傷害性効果をモック対照と比べて増強した。活性化受容体の外因性発現がNK細胞のアネルギー及び細胞死をもたらし得ることから、操作した構築物を2つのドナーNK細胞に形質導入し、21日後に生存を評価した。
図23A~Bに示すように、NK39-5及びNK39-10形質導入細胞は、2つの試験ドナーにおいてNK16よりも良好な生存を示す。
【0205】
実施例4 - NK45 NKG2D構築物の評価
本明細書で開示される実施形態に記載の異なる細胞外ドメイン、ヒンジ、膜貫通ドメイン及び細胞内エフェクタードメインを有する追加的な構築物を
図22に概略的に示す。本実施例において、これらの7つの構築物によって媒介される発現、細胞傷害性、持続性及びサイトカイン産生を、実施例3に記載のNK39構築物の3つ(NK39-5、NK39-6、NK39-10)並びに膜結合性インターロイキン15をバイシストロン性に発現するNK16の一バージョン(NK26-8)に対して評価した。本明細書で開示されるいくつかの実施形態によると、複数のシグナル伝達領域を用い得る。これらのキメラ受容体変異体の一部は、CD3ζ及び/又は別のシグナル伝達ドメイン(例えば、OX40、CD28及び/又は4-1BB同時刺激ドメイン)を含むエフェクタードメインに依存し、リガンド結合時にシグナルを伝達する一方、他のキメラ受容体変異体は、二量体化を通じて完全長CD3ζ分子をシナプスに動員するCD3ζ膜貫通ドメインを含む。本明細書で開示される通り、これらの構築物は、膜結合性IL15を同時発現するようにさらに設計する。
【0206】
上記のように、まずNK細胞がこれらの構築物を有効に発現する能力を評価した。ドナー4名のPBMCから拡大したNK細胞にこの変異体構築物(又はGFPのみを含有する空のMSCVコントロールベクター)を形質導入し、3日後にNKG2Dの発現をMFIにより評価した。
図24に示す通り、モックトランスフェクトNK細胞は、比較的低いレベルのNKG2Dの発現を示す。それに対し、操作した変異体構築物は、有意に増強された発現を示し、NK45-4(NKG2D-OX40-CD3ζ)は、意外にもすべてのドナーにおいて強力な発現を示した。OX40は、活性化NK細胞で発現されるが、その役割は、十分に確立されていない。CD28同時刺激ドメイン(NK45-2;NKG2D-CD28-CD3ζ)を含有するエフェクタードメインを有するキメラ受容体変異体も形質導入から3日後に強力な発現を示した。
【0207】
この変異体構築物の発現を樹立しており、それらが細胞傷害性効果を発揮する能力を、標的としてREH及びHL60細胞を用いて、上記のように評価した。形質導入から14日後、1:1のE:T比でREH細胞(
図25A)及びHL60細胞(
図25B)に対するドナー4名からのNK細胞の効力を試験した。
図25A~Bに示す通り、操作した構築物は、4つ全部のドナーにおけるREH及びHL60細胞の両方に対して、モックNK細胞と比べて増強された細胞傷害性を発揮した。その明白な発現特性に加えて、NK45-4(NKG2D-OX40-CD3ζ)を発現する細胞も、モック対照及び試験した他の構築物と比べて意外にも増強された細胞傷害性を示した。NK45-1及びNK45-2を発現するNK細胞もこれらのアッセイにおいて明白な細胞傷害性を示した。これらのデータは、いくつかの実施形態によると、シグナル伝達ドメインの組み合わせ(特にOX40同時刺激ドメイン)の使用により、形質導入NK細胞の有効性において想定外の増強がもたらされ得ることを示す。
図28A~Bは、様々なE:T比(1:2及び1:4)での、いくつかの変異体構築物を形質導入したNK細胞のU2OS細胞に対する、より長期間にわたり評価した細胞傷害活性を示す。意外にも、45-4構築物を形質導入したNK細胞は、全期間を通じて細胞傷害活性を維持するように思われる。有利には、これらの実験は、本明細書で開示されるいくつかの実施形態によると、NKG2D変異体構築物が、実施形態に応じて、2~3日、3~5日、5~7日、7~8日、8~10日、10~14日、14~21日又は21~50日の範囲(及びエンドポイントを含む、列挙された日数間の任意の範囲)であり得るような長期間にわたり、想定外に増強された細胞傷害性をもたらすことを示す。いくつかの実施形態では、細胞傷害性効果がさらにより長い持続期間で達成される。
【0208】
細胞傷害性データに加えて、NK細胞がこれらの効果を発揮している機構を、REH細胞による刺激後にIFNγ、TNFα及びGM-CSFのその産生を評価することにより試験した。
図26A~Cに示す通り、変異体構築物の各々の発現により、GFP発現対照NK細胞によって示されたIFNγ、TNFα及びGM-CSFの産生と比べてサイトカイン分泌の増強がもたらされた。キメラ受容体NK45-1は、一貫して高いサイトカイン産生を媒介したが、この構築物が実質的にNK26-8(専らヒンジ領域についてそれと異なる)よりも低いレベルで発現することから、それは、意外である。したがって、これらのデータは、刺激に応答した強力なサイトカイン産生を媒介することに対する本明細書で開示されるヒンジ領域の想定外の重要性を示す。加えて、NKG2D-OX40-CD3ζを発現するNK細胞もIFNγ、TNFα及びGM-CSFの増強された産生を示した。
【0209】
活性化受容体の外因性発現がNK細胞のアネルギー及び細胞死をもたらし得ることから、操作した構築物を2つのドナーNK細胞に形質導入し、形質導入から7、14及び21日後に総細胞数を評価した。意外にも、NK45-4の想定外に強力な発現は、培養下でのNK細胞の持続性低下という不利な状況で生じず、なぜなら、総細胞数は、GFP発現対照細胞と同等のレベルで維持されるからである(
図27A及び27B)。同様に、変異体構築物を高いレベルで発現する他のNK細胞は、形質導入後の少なくとも3週間、ドナー2名において増殖し続けた。まとめると、これらのデータは、本明細書で開示されるいくつかの実施形態によると、操作した構築物がNK細胞において高レベルで十分に発現され、細胞傷害性効果を媒介し得ること、したがって、この増強された発現がNK細胞の増殖及び/又は生存の低下という不利な状況で生じないことを示す。
【0210】
上に開示された実施形態の具体的特徴及び態様の様々な組み合わせ又は部分的組み合わせが本発明の1つ以上の範囲内に設けられ、さらに属し得ることが考慮される。さらに、本明細書で示されるすべての他の実施形態において、実施形態に関連した任意の特定の特色、態様、方法、特性、特徴、品質、属性、要素などに関する本明細書中の開示を用いることができる。したがって、開示される本発明の異なる態様を形成するため、開示される実施形態の様々な特徴及び態様は、相互に組み合わせるか又は置き換えられ得ることが理解されるべきである。したがって、本明細書で開示される本発明の範囲は、上記の特定の開示される実施形態によって限定されるべきでないことが意図される。さらに、本発明は、様々な修飾形態及び代替形態が可能であるが、その具体例は、図面で示されており、本明細書中で詳述される。しかし、本発明が開示される特定の形態又は方法に限定されるべきでなく、逆に、本発明は、記述される様々な実施形態及び添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に入るすべての修飾形態、均等物及び代替物を網羅するべきであることが理解されるべきである。本明細書で開示される任意の方法は、列挙される順序で実施される必要はない。本明細書で開示される方法は、施術者によってとられる特定の行動を含むが、それらは、明示的又は暗示的のいずれかでそれらの行動についての任意の第三者の指示も含み得る。例えば、「拡大されたNK細胞の集団を投与すること」などの行動は、「拡大されたNK細胞の集団の投与を指示すること」を含む。さらに、本開示の特色又は態様がマーカッシュグループの観点で説明される場合、当業者は、本開示が、それにより、マーカッシュグループの任意の個々のメンバー又はそのメンバーのサブグループの観点でも説明されることを理解するであろう。
【0211】
本明細書で開示される範囲は、あらゆる重複、部分範囲及びそれらの組み合わせも包含する。「最大」、「少なくとも」、「~よりも大きい」、「~よりも少ない」、「~の間」などの文言は、列挙される数を含む。「約」又は「概ね」などの用語が先行する数は、列挙される数を含む。例えば、「約90%」は、「90%」を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも95%の相同性は、参照配列に対する96%、97%、98%、99%及び100%の相同性を含む。さらに、配列がヌクレオチド又はアミノ酸配列を「含んでいる」として開示されるとき、かかる参照は、別段の指示がない限り、この配列が列挙される配列「を含む」、「からなる」又は「から本質的になる」ことも含むものとする。
本発明の態様として以下のものが挙げられる。
項1
(a)ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)の天然リガンドに結合するペプチドを含む細胞外受容体ドメインであって、
NKG2Dの天然リガンドに結合する前記ペプチドは、NKG2Dの断片であり、
前記NKG2Dの断片は、配列番号2を含むポリヌクレオチドによってコードされる、細胞外受容体ドメイン、及び
(b)膜貫通領域及び細胞内シグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメインであって、
前記細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζを含み、
前記CD3ζは、配列番号13を含むポリヌクレオチドによってコードされる、エフェクタードメイン
を含む、キメラ受容体をコードするポリヌクレオチド。
項2
前記エフェクタードメインの前記膜貫通領域は、CD8a膜貫通ドメインを含む、項1に記載のポリヌクレオチド。
項3
前記エフェクタードメインの前記膜貫通領域は、CD8aヒンジ領域をさらに含む、項1に記載のポリヌクレオチド。
項4
前記CD8aヒンジ領域は、配列番号5を含むポリヌクレオチドによってコードされる、項3に記載のポリヌクレオチド。
項5
前記細胞内シグナル伝達ドメインは、4-1BBをさらに含む、項1に記載のポリヌクレオチド。
項6
前記4-1BBは、配列番号12を含むポリヌクレオチドによってコードされる、項5に記載のポリヌクレオチド。
項7
前記キメラ受容体は、CD8a、4-1BB及びCD3zに共役された前記NKG2Dの断片を含む、項1に記載のポリヌクレオチド。
項8
前記キメラ受容体は、配列番号18の核酸配列によってコードされる、項7に記載のポリヌクレオチド。
項9
前記キメラ受容体は、配列番号108の核酸配列によってコードされる、項7に記載のポリヌクレオチド。
項10
前記キメラ受容体は、配列番号19のアミノ酸配列を含む、項7に記載のポリヌクレオチド。
項11
癌を治療するための方法であって、項1~10のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドによってコードされる前記キメラ受容体を発現するナチュラルキラー(NK)細胞を含む組成物を、癌を有する対象に投与することを含む方法。
項12
前記NK細胞は、癌又は感染性疾患を有する患者から単離された自家細胞である、項11に記載の方法。
項13
前記NK細胞は、ドナーから単離された同種細胞である、項11に記載の方法。
項14
NK細胞の細胞傷害性の増強を、それを必要とする哺乳動物において行うための薬剤の製造における、項1~10のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドの使用。
項15
癌又は感染性疾患の治療又は予防を、それを必要とする哺乳動物において行うための薬剤の製造における、項1~10のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドの使用。
項16
細胞によって発現されるキメラ受容体をコードするポリヌクレオチドであって、
(a)ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)の天然リガンドに結合するペプチドを含む細胞外受容体ドメインであって、
NKG2Dの天然リガンドに結合する前記ペプチドは、NKG2Dの断片であり、
前記NKG2Dの断片は、配列番号2を含むポリヌクレオチドによってコードされる、細胞外受容体ドメイン、及び
(b)膜貫通領域及び細胞内シグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメインであって、
前記細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζを含み、
前記CD3ζは、配列番号13を含むポリヌクレオチドによってコードされる、エフェクタードメイン
を含み、前記細胞は、膜結合性インターロイキン15(mbIL15)をさらに含む、ポリヌクレオチド。
項17
前記エフェクタードメインの前記膜貫通領域は、CD8a膜貫通ドメインを含む、項16に記載のポリヌクレオチド。
項18
前記エフェクタードメインの前記膜貫通領域は、CD8aヒンジ領域をさらに含む、項16に記載のポリヌクレオチド。
項19
前記CD8aヒンジ領域は、配列番号5を含むポリヌクレオチドによってコードされる、項18に記載のポリヌクレオチド。
項20
前記mbIL15は、配列番号16を含むポリヌクレオチドによってコードされる、項16に記載のポリヌクレオチド。
項21
前記mbIL15は、前記キメラ受容体と同じポリヌクレオチド上でバイシストロン性に発現される、項20に記載のポリヌクレオチド。
項22
mbIL15は、配列番号17のアミノ酸配列を含む、項20に記載のポリヌクレオチド。
項23
前記エフェクタードメインは、OX-40ドメインをさらに含む、項20に記載のポリヌクレオチド。
項24
前記キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD8a膜貫通ドメイン、前記OX-40ドメイン、前記CD3ζに共役された前記NKG2Dの断片を含む、項23に記載のポリヌクレオチド。
項25
前記キメラ受容体は、配列番号16によってコードされる前記mbIL15に共役された配列番号90の核酸配列によってコードされる、項24に記載のポリヌクレオチド。
項26
前記キメラ受容体は、配列番号17のアミノ酸配列を含む前記mbIL15に共役された配列番号91のアミノ酸配列を含む、項25に記載のポリヌクレオチド。
項27
前記キメラ受容体は、IgG4ヒンジ、CD8a膜貫通ドメイン、前記OX-40ドメイン、前記CD3ζに共役された前記NKG2Dの断片を含む、項23に記載のポリヌクレオチド。
項28
前記キメラ受容体は、配列番号16によってコードされる前記mbIL15に共役された配列番号100の核酸配列によってコードされる、項27に記載のポリヌクレオチド。
項29
前記キメラ受容体は、配列番号17のアミノ酸配列を含む前記mbIL15に共役された配列番号101のアミノ酸配列を含む、項28に記載のポリヌクレオチド。
項30
癌を治療するための方法であって、項15~29のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドによってコードされる前記キメラ受容体を発現するナチュラルキラー(NK)細胞を含む組成物を、癌を有する対象に投与することを含む方法。
項31
前記NK細胞は、癌を有する患者から単離された自家細胞である、項30に記載の方法。
項32
前記NK細胞は、ドナーから単離された同種細胞である、項30に記載の方法。
項33
NK細胞の細胞傷害性の増強を、それを必要とする哺乳動物において行うための薬剤の製造における、項15~29のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドの使用。
項34
癌又は感染性疾患の治療又は予防を、それを必要とする哺乳動物において行うための薬剤の製造における、項15~29のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドの使用。
項35
キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドであって、
(a)ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)の天然リガンドに結合するペプチドを含む細胞外受容体ドメインであって、
NKG2Dの天然リガンドに結合する前記ペプチドは、NKG2Dの断片であり、
前記NKG2Dの断片は、(i)配列番号1、(ii)配列番号2、又は(iii)配列番号3の断片を含むポリヌクレオチドによってコードされる、細胞外受容体ドメイン、及び
(b)膜貫通領域及び細胞内シグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメイン
を含むポリヌクレオチド。
項36
前記エフェクタードメインは、CD16を含む、項35に記載のポリヌクレオチド。
項37
前記エフェクタードメインは、天然細胞傷害誘発受容体1(NCR1)を含む、項35に記載のポリヌクレオチド。
項38
前記エフェクタードメインは、天然細胞傷害誘発受容体2(NCR2)又は天然細胞傷害誘発受容体3(NCR3)を含む、項35に記載のポリヌクレオチド。
項39
前記エフェクタードメインは、4-1BBをさらに含む、項35~38のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
項40
前記キメラ受容体は、CD16に共役された前記NKG2Dの断片を含む、項36に記載のポリヌクレオチド。
項41
前記キメラ受容体は、配列番号23の核酸配列によってコードされる、項40に記載のポリヌクレオチド。
項42
前記キメラ受容体は、配列番号24のアミノ酸配列を含む、項40に記載のポリヌクレオチド。
項43
前記キメラ受容体は、NCR1に共役された前記NKG2Dの断片を含む、項40に記載のポリヌクレオチド。
項44
前記キメラ受容体は、配列番号27の核酸配列によってコードされる、項43に記載のポリヌクレオチド。
項45
前記キメラ受容体は、配列番号28のアミノ酸配列を含む、項43に記載のポリヌクレオチド。
項46
前記キメラ受容体は、配列番号21のアミノ酸配列の少なくとも一部を含む、項38に記載のポリヌクレオチド。
項47
前記キメラ受容体は、NCR3に共役された前記NKG2Dの断片を含む、項36に記載のポリヌクレオチド。
項48
前記キメラ受容体は、配列番号29の核酸配列によってコードされる、項47に記載のポリヌクレオチド。
項49
前記キメラ受容体は、配列番号30のアミノ酸配列を含む、項47に記載のポリヌクレオチド。
項50
前記キメラ受容体は、CD16膜貫通/細胞内ドメイン及び4-1BBに共役された前記NKG2Dの断片を含む、項39に記載のポリヌクレオチド。
項51
前記キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD16膜貫通/細胞内ドメイン及び4-1BBに共役された前記NKG2Dの断片を含む、項39に記載のポリヌクレオチド。
項52
前記キメラ受容体は、配列番号25の核酸配列によってコードされる、項51に記載のポリヌクレオチド。
項53
前記キメラ受容体は、配列番号26のアミノ酸配列を含む、項51に記載のポリヌクレオチド。
項54
前記キメラ受容体は、NCR1及び4-1BBに共役された前記NKG2Dの断片を含む、項39に記載のポリヌクレオチド。
項55
前記キメラ受容体は、配列番号20のNCR1アミノ酸配列を含む、項54に記載のポリヌクレオチド。
項56
前記キメラ受容体は、CD8a、4-1BB及びCD3zに共役された前記NKG2Dの断片を含む、項39に記載のポリヌクレオチド。
項57
前記キメラ受容体は、配列番号18の核酸配列によってコードされる、項56に記載のポリヌクレオチド。
項58
前記キメラ受容体は、配列番号19のアミノ酸配列を含む、項56に記載のポリヌクレオチド。
項59
前記キメラ受容体は、NCR3及び4-1BBに共役された前記NKG2Dの断片を含み、前記NCR3は、配列番号22のアミノ酸配列を含む、項39に記載のポリヌクレオチド。
項60
前記キメラ受容体は、配列番号20のNCR1膜貫通/細胞内ドメイン又は配列番号22のNCR3膜貫通/細胞内ドメインの1つ以上を含む、項39に記載のポリヌクレオチド。
項61
前記エフェクタードメインは、4-1BBと、CD16、NCR1、NCR3、2B4又はNKp80の1つとの間にGSリンカーを含む、項39に記載のポリヌクレオチド。
項62
前記キメラ受容体ドメインは、ヒンジ領域を含む、項35~61のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
項63
前記ヒンジ領域は、配列番号5の核酸配列によってコードされる、項62に記載のポリヌクレオチド。
項64
前記ヒンジ領域は、配列番号5の核酸配列の断片によってコードされる、項62に記載のポリヌクレオチド。
項65
前記ヒンジ領域は、配列番号31のアミノ酸配列を有するグリシン-セリン反復モチーフを含む、項62に記載のポリヌクレオチド。
項66
前記ヒンジ領域は、配列番号32のアミノ酸配列を含む、項62に記載のポリヌクレオチド。
項67
前記ヒンジ領域は、配列番号33のアミノ酸配列を含む、項62に記載のポリヌクレオチド。
項68
前記ヒンジ領域は、配列番号34の核酸配列によってコードされる、項62に記載のポリヌクレオチド。
項69
前記ヒンジ領域は、βアドレナリン受容体の一部を含む、項62に記載のポリヌクレオチド。
項70
前記ヒンジ領域は、配列番号40の核酸配列によってコードされる、項69に記載のポリヌクレオチド。
項71
前記ヒンジ領域は、配列番号42の核酸配列によってコードされる、項69に記載のポリヌクレオチド。
項72
前記細胞外受容体ドメインは、CD8aシグナルペプチドをさらに含み、前記シグナルペプチドは、配列番号4の核酸配列を含む、項35~71のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
項73
前記エフェクタードメインは、1つ以上のヘミITAM配列を含む、項35~72のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
項74
ヘミITAMは、配列番号14のアミノ酸配列を含む、項72に記載のポリヌクレオチド。
項75
ヘミITAMは、配列番号37のアミノ酸配列を含む、項72に記載のポリヌクレオチド。
項76
前記エフェクタードメインは、1つ以上のITSM配列を含む、項35~75のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
項77
前記ITSMは、配列番号15のアミノ酸配列を含む、項76に記載のポリヌクレオチド。
項78
前記ITSMは、配列番号35のアミノ酸配列を含む、項76に記載のポリヌクレオチド。
項79
前記エフェクタードメインは、2B4ドメインを含む、項76に記載のポリヌクレオチド。
項80
前記キメラ受容体は、GS3リンカー、CD8aヒンジ、CD16膜貫通/細胞内ドメイン及び4-1BBに共役された前記NKG2Dの断片を含む、項35に記載のポリヌクレオチド。
項81
前記キメラ受容体は、配列番号43の核酸配列によってコードされる、項80に記載のポリヌクレオチド。
項82
前記キメラ受容体は、GS3リンカー、CD16膜貫通/細胞内ドメイン及び4-1BBに共役された前記NKG2Dの断片を含む、項35に記載のポリヌクレオチド。
項83
前記キメラ受容体は、配列番号44の核酸配列によってコードされる、項82に記載のポリヌクレオチド。
項84
前記キメラ受容体は、CD16膜貫通/細胞内ドメイン及び4-1BBに共役された前記NKG2Dの断片を含む、項35に記載のポリヌクレオチド。
項85
前記キメラ受容体は、配列番号45の核酸配列によってコードされる、項84に記載のポリヌクレオチド。
項86
前記キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD8a膜貫通ドメイン、4-1BB及び2B4に共役された前記NKG2Dの断片を含む、項35に記載のポリヌクレオチド。
項87
前記キメラ受容体は、配列番号46の核酸配列によってコードされる、項86に記載のポリヌクレオチド。
項88
前記キメラ受容体は、βアドレナリン細胞外ドメイン、βアドレナリン膜貫通ドメイン、4-1BB及び2B4に共役された前記NKG2Dの断片を含む、項35に記載のポリヌクレオチド。
項89
前記キメラ受容体は、配列番号47の核酸配列によってコードされる、項88に記載のポリヌクレオチド。
項90
前記キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD8a膜貫通ドメイン、4-1BB、2B4、GS3リンカー及びNKp80に共役された前記NKG2Dの断片を含む、項35に記載のポリヌクレオチド。
項91
前記キメラ受容体は、配列番号48の核酸配列によってコードされる、項90に記載のポリヌクレオチド。
項92
前記キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD8a膜貫通ドメイン、4-1BB、GS3リンカー及びNKp80に共役された前記NKG2Dの断片を含む、項35に記載のポリヌクレオチド。
項93
前記キメラ受容体は、配列番号49の核酸配列によってコードされる、項92に記載のポリヌクレオチド。
項94
前記キメラ受容体は、GS3リンカー、追加的なNKG2D断片、βアドレナリン細胞外ドメイン、βアドレナリン膜貫通ドメイン、4-1BB、追加的なGS3リンカー及びNKp80に共役されている、コドン最適化されている前記NKG2Dの断片を含む、項35に記載のポリヌクレオチド。
項95
前記キメラ受容体は、配列番号50の核酸配列によってコードされる、項94に記載のポリヌクレオチド。
項96
前記キメラ受容体は、GS3リンカー、追加的なNKG2D断片、CD8aヒンジ、CD8a膜貫通ドメイン、4-1BB、追加的なGS3リンカー及びNKp80に共役されている、コドン最適化されている前記NKG2Dの断片を含む、項35に記載のポリヌクレオチド。
項97
前記キメラ受容体は、配列番号51の核酸配列によってコードされる、項96に記載のポリヌクレオチド。
項98
前記キメラ受容体は、GS3リンカー、追加的なNKG2D断片、cd8aヒンジ、CD16膜貫通/細胞内ドメイン及び4-1BBに共役されている、コドン最適化されている前記NKG2Dの断片を含む、項35に記載のポリヌクレオチド。
項99
前記キメラ受容体は、配列番号52の核酸配列によってコードされる、項98に記載のポリヌクレオチド。
項100
前記キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD16膜貫通/細胞内ドメイン、4-1BB及び2B4に共役された前記NKG2Dの断片を含む、項35に記載のポリヌクレオチド。
項101
前記キメラ受容体は、配列番号53の核酸配列によってコードされる、項100に記載のポリヌクレオチド。
項102
前記キメラ受容体は、CD8aヒンジ、CD16膜貫通/細胞内ドメイン、4-1BB、GS3リンカー及びNKp80に共役された前記NKG2Dの断片を含む、項35に記載のポリヌクレオチド。
項103
前記キメラ受容体は、配列番号54の核酸配列によってコードされる、項102に記載のポリヌクレオチド。
項104
前記キメラ受容体は、DNAX活性化タンパク質10(DAP10)を含まない、項35~103のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
項105
前記キメラ受容体は、ITAMモチーフを含まない、項35~55又は60~104のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
項106
(a)ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)の天然リガンドに結合するペプチドを含む細胞外受容体ドメインであって、NKG2Dの天然リガンドに結合する前記ペプチドは、NKG2Dの断片である、細胞外受容体ドメイン、
(b)CD8aを含む膜貫通領域、及び
(c)4-1BB及びCD3ζを含むエフェクタードメイン
を含む、キメラ受容体をコードするポリヌクレオチドであって、膜結合性インターロイキン15(mbIL15)をコードする追加的な構築物と同時発現されるポリヌクレオチド。
項107
(a)ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)の天然リガンドに結合するペプチドを含む細胞外受容体ドメインであって、NKG2Dの天然リガンドに結合する前記ペプチドは、NKG2Dの断片である、細胞外受容体ドメイン、
(b)CD8aを含む膜貫通領域、及び
(c)4-1BB及び2B4又はDAP10の細胞内ドメインを含むエフェクタードメイン
を含む、キメラ受容体をコードするポリヌクレオチド。
項108
膜結合性インターロイキン15(mbIL15)をコードする追加的な構築物と同時発現される、項106又は107に記載のポリヌクレオチド。
項109
(a)ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)の天然リガンドに結合するペプチドを含む細胞外受容体ドメインであって、NKG2Dの天然リガンドに結合する前記ペプチドは、NKG2Dの断片であり、前記NKG2Dの断片は、(i)配列番号1の配列、(ii)配列番号2の配列、(iii)配列番号3の配列、又は(iv)配列番号68の配列の断片を含むポリヌクレオチドによってコードされる、細胞外受容体ドメイン、
(b)CD3ζ膜貫通領域を含む膜貫通領域、及び
(c)エフェクタードメイン
を含む、キメラ受容体をコードするポリヌクレオチド。
項110
膜結合性インターロイキン15(mbIL15)と同時発現される、項109に記載のポリヌクレオチド。
項111
(a)ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)の天然リガンドに結合するペプチドを含む細胞外受容体ドメインであって、
NKG2Dの天然リガンドに結合する前記ペプチドは、NKG2Dの断片であり、
前記NKG2Dの断片は、(i)配列番号1の配列、(ii)配列番号2の配列、(iii)配列番号3の配列、(iv)又は配列番号68の配列の断片を含むポリヌクレオチドによってコードされる、細胞外受容体ドメイン、及び
(b)膜貫通領域及び細胞内シグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメイン
を含む、キメラ受容体をコードするポリヌクレオチド。
項112
前記キメラ受容体の発現のための少なくとも1つの調節エレメントに作動可能に連結される、項35~111のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
項113
項35~112のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含むベクターであって、前記ポリヌクレオチドは、前記キメラ受容体の発現のための少なくとも1つの調節エレメントに作動可能に連結される、ベクター。
項114
レトロウイルスである、項113に記載のベクター。
項115
項35~112のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含む遺伝子操作されたナチュラルキラー細胞。
項116
患者から単離された自家細胞である、項115に記載の単離された遺伝子操作されたナチュラルキラー細胞。
項117
ドナーから単離された同種細胞である、項115に記載の単離された遺伝子操作されたナチュラルキラー細胞。
項118
NK細胞の細胞傷害性の増強を、それを必要とする哺乳動物において行うための方法であって、NK細胞を前記哺乳動物に投与することを含み、前記NK細胞は、項35~112のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドによってコードされるキメラ受容体を発現する、方法。
項119
前記NK細胞は、患者から単離された自家細胞である、項118に記載の方法。
項120
前記NK細胞は、ドナーから単離された同種細胞である、項118に記載の方法。
項121
癌又は感染性疾患の治療又は予防を、それを必要とする哺乳動物において行うための方法であって、治療有効量のNK細胞を前記哺乳動物に投与することを含み、前記NK細胞は、項35~112のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドによってコードされるキメラ受容体を発現する、方法。
項122
前記NK細胞は、癌又は感染性疾患を有する患者から単離された自家細胞である、項121に記載の方法。
項123
前記NK細胞は、ドナーから単離された同種細胞である、項121に記載の方法。
項124
NK細胞の細胞傷害性の増強を、それを必要とする哺乳動物において行うための薬剤の製造における、項35~112のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドの使用。
項125
癌又は感染性疾患の治療又は予防を、それを必要とする哺乳動物において行うための薬剤の製造における、項35~112のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドの使用。
項126
NK細胞の細胞傷害性の増強を、それを必要とする哺乳動物において行うための薬剤の製造における、項114又は115に記載のベクターの使用。
項127
癌又は感染性疾患の治療又は予防を、それを必要とする哺乳動物において行うための薬剤の製造における、項114又は115に記載のベクターの使用。
項128
NK細胞の細胞傷害性の増強を、それを必要とする哺乳動物において行うための、項115~117のいずれか一項に記載の単離された遺伝子操作されたナチュラルキラー細胞の使用。
項129
癌又は感染性疾患の治療又は予防を、それを必要とする哺乳動物において行うための、項116又は117に記載の単離された遺伝子操作されたナチュラルキラー細胞の使用。
項130
(a)ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)の天然リガンドに結合するペプチドを含む細胞外受容体ドメインであって、
NKG2Dの天然リガンドに結合する前記ペプチドは、NKG2Dの断片であり、
前記NKG2Dの断片は、(i)配列番号1、(ii)配列番号2、(iii)配列番号3、又は(iv)配列番号68の断片を含むポリヌクレオチドによってコードされる、細胞外受容体ドメイン、及び
(b)膜貫通領域及び細胞内シグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメイン
を含む、キメラ受容体をコードするポリヌクレオチド。
項131
a)キメラ受容体を含む免疫細胞であって、前記キメラ受容体は、
(i)ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)の天然リガンドに結合するペプチドを含む細胞外受容体ドメインであって、NKG2Dの天然リガンドに結合する前記ペプチドは、NKG2Dの断片である、細胞外受容体ドメイン、及び
(ii)膜貫通領域及び細胞内シグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメインであって、前記細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζを含む、エフェクタードメイン
を含む、免疫細胞、
b)膜結合性インターロイキン15(mbIL15)
を含むトランスジェニック細胞。
項132
癌を治療するための方法であって、
a)キメラ受容体を含む免疫細胞であって、前記キメラ受容体は、
(i)ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)の天然リガンドに結合するペプチドを含む細胞外受容体ドメインであって、NKG2Dの天然リガンドに結合する前記ペプチドは、NKG2Dの断片である、細胞外受容体ドメイン、及び
(ii)膜貫通領域及び細胞内シグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメインであって、前記細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζを含む、エフェクタードメイン
を含む、免疫細胞、
b)膜結合性インターロイキン15(mbIL15)
を発現するナチュラルキラー(NK)細胞を含む組成物を、癌を有する対象に投与することを含む方法。
【配列表】