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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-04
(45)【発行日】2023-04-12
(54)【発明の名称】車両用補強ホイール
(51)【国際特許分類】
   B60B 1/12 20060101AFI20230405BHJP
【FI】
B60B1/12
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020517145
(86)(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 EP2018076387
(87)【国際公開番号】W WO2019063754
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-05-18
(31)【優先権主張番号】01193/17
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】514091231
【氏名又は名称】ムベア カルボ テック ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】MUBEA CARBO TECH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レナー、クリストフ
【審査官】村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-180201(JP,A)
【文献】特開昭59-067104(JP,A)
【文献】国際公開第2015/158780(WO,A1)
【文献】実開昭62-115901(JP,U)
【文献】特開2000-289401(JP,A)
【文献】米国特許第01737935(US,A)
【文献】特開平10-138701(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第10006400(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 1/00 - 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リム(2)とホイール中心(3)とを備える、ホイール(1)であって、
前記ホイール中心(3)は、ホイールハブ(5)から前記リム(2)まで長手方向に延びる複数のスポーク(4)を備え、
少なくとも1つのスポーク(4)が、前記少なくとも1つのスポーク(4)の長手方向に延びるキャビティ(7)を囲む外壁(18)を備え、前記キャビティ(7)は、内面によって前記外壁(18)から区切られ、
前記少なくとも1つのスポーク(4)は、前記内面に沿って延びる補強要素(9)を備え、
前記外壁(18)は、繊維強化複合材料から作られ、
前記繊維強化複合材料が、前記スポーク(4)の長手方向に対して異なる繊維方向を有する複数の層から少なくとも部分的に構成されており、
前記少なくとも1つの補強要素(9)は、少なくとも部分的に一方向繊維から作られており、
前記一方向繊維は、前記スポーク(4)の外壁(18)に少なくとも部分的に埋め込まれている、
ホイール(1)。
【請求項2】
前記リム(2)および前記ホイール中心(3)は、前記スポーク(4)の外側端部(6)において互いに相互接続された別個の構成要素である、請求項1に記載のホイール(1)。
【請求項3】
前記補強要素(9)は、前記少なくとも1つのスポーク(4)に相互接続された別個の構成要素である、請求項1または2に記載のホイール(1)。
【請求項4】
前記補強要素(9)は、少なくとも1つのリブ(10)を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載のホイール(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのリブ(10)は、前記少なくとも1つのスポーク(4)の長手方向に配置される、請求項4に記載のホイール(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのリブ(10)は、前記少なくとも1つのスポーク(4)の横断方向に配置される、請求項4に記載のホイール(1)。
【請求項7】
前記補強要素(9)は、少なくとも2つの交差するリブ(10)を備える、請求項4に記載のホイール(1)。
【請求項8】
前記少なくとも2つの交差するリブ(10)は、前記内面を少なくとも2つのゾーン(11)に分割する、請求項7に記載のホイール(1)。
【請求項9】
前記リブ(10)の領域における外壁(18)および前記リブ(10)のそれぞれの厚さの合計は、前記リブ(10)に隣接するゾーン(11)の領域における外壁(18)の厚さよりも大きい、請求項8に記載のホイール(1)。
【請求項10】
前記補強要素(9)は、互いに少なくとも部分的に平行に配置された少なくとも2つのリブ(10)を含む、請求項4に記載のホイール(1)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの補強要素(9)は、繊維強化複合材料で作られている、請求項1~10のいずれか1項に記載のホイール(1)。
【請求項12】
前記ホイール中心(3)は、繊維強化複合材料で作られている、請求項1~11のいずれか1項に記載のホイール(1)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの補強要素(9)は、前記内面から前記キャビティ(7)内に突出する、請求項1~12のいずれか1項に記載のホイール(1)。
【請求項14】
前記少なくとも1つのリブ(10)は、リング状または螺旋状のリブ(10)である、請求項4に記載のホイール(1)。
【請求項15】
前記少なくとも1つのリング状または螺旋状のリブ(10)は、前記少なくとも1つのスポーク(4)の中心軸(12)の周りに配向される、請求項14に記載のホイール(1)。
【請求項16】
前記少なくとも1つのリング状のリブ(10)は、前記スポーク(4)の中心軸(12)に対して垂直な第1の平面(13)に配向される、請求項14または15に記載のホイール(1)。
【請求項17】
前記少なくとも1つのリブ(10)はU字状である、請求項4に記載のホイール(1)。
【請求項18】
前記U字状のリブ(10)は、前記少なくとも1つのスポーク(4)の中心軸(12)および前記ホイール(1)の回転軸(15)によって画定される第2の平面(14)において配向される、請求項17に記載のホイール(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、自動二輪車などの乗用車用の少なくとも部分的に繊維強化材料から作られたホイールの分野にある。
【背景技術】
【0002】
車両用ホイールは、特定の寸法、最小機械的能力、最大総重量、特定の質量配分、耐久性および視覚的外観を含む、要件の包括的なリストを満たさなければならない。駆動品質および性能を向上させるだけでなく、全体の車両重量を軽量に維持するために、軽量の車両用ホイールが望ましい。同時に、特にホイールのリムの十分な耐久性を保証するための安全規制が存在する。一方で、設計はホイールを可能な限り軽量にすることを目的としており、他方では、十分な耐久性および頑丈な機械的構造を提供する必要がある。
【0003】
材料研究の進歩により、ホイール材料は、軽量で耐久性があり、同時に高負荷に耐えることができる、軽量金属材料および複合材料にさらにシフトした。繊維強化材料のみから作られる、または繊維強化プラスチックと軽量金属合金などの従来の材料との組み合わせから作られる、ハイブリッドホイールによって、非常に良好な結果が得られる。
【0004】
ホイールは、概して、ホイール中心からホイールのリムまで半径方向に延びる空気開口部およびスポークを特徴とする。鋳造プロセスで製造された金属軽合金から作られたホイールは、先行技術から既知である。軽量化のために、スポークは開断面を有しているか、または中空であるように設計される。これらの中空スポークは、成形前に金型内に配置され、成形後に再び除去される、いわゆるロストコアによって製造されることが知られている。これらのコアは、たとえば砂またはワックスで作られ得る。代替的に、ロストコアは、軽材料で作られ、製造されたホイールの内部に留まり得る。
【0005】
一部が合金で作られ、一部が中空スポークを有する複合材料で作られる、ハイブリッドホイールは、先行技術から既知である。Porsche AGによって2015年9月17日に公開された米国特許出願公開第2015/258864号明細書は、たとえば、繊維複合材料から本質的に構成される自動車両用のホイールを開示しており、ここでホイールのスポークは、各々、長手方向に延びるキャビティで形成されている。
【0006】
Kringlan Compositesによって2015年10月22日に公開された国際公開第15/158780号は、繊維強化プラスチック製の車両用ホイールであって、ホイールの回転軸に対して芯出しされ、ホイールを車両用ホイールハブに取り付けるための締結手段を有するハブ領域を備えた、車両用ホイールに関する。ここで、ホイールスパイダーは、内部および外部のホイールスパイダーシートを備え、それらは各々、繊維強化プラスチックで構成されている。内部および外部のホイールスパイダーシートの摩擦接合により、ホイールハブの領域内および/または少なくともスポークの一部領域内のホイールスパイダーの中空本体を硬化させるための少なくとも1つのキャビティが形成される。
【0007】
Bayrische Motoren Werke AGによって2014年1月30日に公開された国際公開第14/016211号は、複合繊維材料から作られ、リムおよびリムスパイダーから構成された車両用ホイールを開示しており、リムスパイダーは、スポークを形成し、予め成形されたコアを含んでいる。コアは、サンドイッチ構造の2つのホイールスパイダーのディスク間に配置される。その発明の変形例では、コアは、複数の支柱を備えるティンバーフレーム(timber frame)のようにさらに成形される。
【0008】
中空スポークを備えるホイール設計は、先行技術から既知であるように、中実断面を有するスポークを備える同等のホイールよりも安定性および剛性が低い。したがって、壁の厚さは、特定の荷重のケースに応じて慎重に設計され、局所的に厚くされなければならず、これによって再び、ホイールの全体的な重量がより大きくなる。
【0009】
本発明の1つの目的は、重量および材料消費の観点から、ならびにホイールの安定性および剛性の観点から、ホイールを最適化することにある。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、リムとホイール中心とを備えるホイールに関し、ホイール中心は、ホイール中心の中央に配置されたホイールハブからリムまで少なくとも部分的に(半径方向で)外側方向に延びる複数のスポークを備える。スポークは、半径方向に対して所定の角度で配置され得るか、または適切な場合には、湾曲した設計を有し得る。リムおよびホイール中心は、スポークの外側端部の領域において、1つの部品として、または互いに相互接続された別個の構成要素として製造され得る。ホイールは、ホイール中心が繊維強化複合材料から作られ、リムが金属合金または他の適切な材料から作られた、ハイブリッドホイールとして設計されてもよい。ホイール中心は、好ましくは一体的に製造される。
【0011】
存在するスポークの数に応じて、少なくとも1つのスポークは、スポークの内側で長手方向に延びるキャビティを備える。スポークは、キャビティを囲む閉断面を少なくとも部分的に有する外壁を有する。キャビティは、スポークの内面によって外壁から区切られている。外壁は、少なくとも1つのスポークの長手方向に可変の厚さを有することができ、および/または、厚さはキャビティの周囲で変わり得る。キャビティは、閉じたキャビティであってもよいし、少なくとも1つの開口部によって外側に接続されてもよい。開口部は、リムまたはホイールハブに向かって配向され、さらにキャビティの断面に対応することができる。代替的にまたは加えて、少なくとも1つの補助開口部は、たとえば、メンテナンスおよび/または製造目的のための使用が予測され、および/または排水穴としての使用が予測され得る。少なくとも1つの補助開口部は、スポークの一端、スポークの両端、またはそれらの間に配置され得る。
【0012】
少なくとも1つのスポークは、スポークの内面に沿って延びる補強要素を備える。好ましい変形例では、少なくとも1つの補強要素は、スポークの内面から、スポークの内面上に延びるキャビティ内に突出し、以下でより詳細に説明するように内面を複数のゾーンに分割する。代替的にまたは加えて、補強要素は、少なくとも部分的に内面からスポーク内に突出してもよく、および/または、固定を向上させることができる外壁のそれぞれの溝に配置されてもよい。さらに、それによって補強要素の取り付けを容易にすることができる。有利なことに、少なくとも1つの補強要素は繊維強化複合材料から少なくとも部分的に作られている。補強要素は、通常、たとえば上記繊維強化材料の樹脂などの接着剤によって外壁またはホイール中心に取り付けられる。補強要素の安定性および剛性の点での良好な結果は、補強要素が、スポークの外壁に少なくとも部分的に埋め込まれ得る一方向繊維から少なくとも部分的に作られている場合に達成することができる。外壁は、好ましくは、繊維強化複合材料から作られる。外壁の繊維強化材料が、スポークの長手方向に対して異なる繊維方向を有する複数の層から少なくとも部分的に構成されている場合に、良好な結果を達成することができる。適用分野に応じて、外壁、またはスポークは、金属から作られてもよい。補強要素は、少なくとも1つのスポークに相互接続された別個の構成要素であってもよく、および/または、スポークの一体的な部分として作られ得る、すなわち、同一の材料から作られていてもよい。ホイール中心が繊維強化複合材料で作られる場合、補強要素は、代替的にホイール中心と共に一体的に製造されてもよい。
【0013】
本発明の好ましい変形例では、補強要素は少なくとも1つのリブを備える。少なくとも1つのリブは、少なくとも1つのスポークの長手方向および/または横断方向、たとえば周方向に配置することができる。少なくとも1つのリブは、内面を複数のゾーンにさらに分け得る。このゾーンは、典型的に、リブの厚さが結果としてより大きな合計の壁の厚さにつながるリブを含む領域と比較して、より薄い(キャビティの領域における、スポークの外面と内面との間の)外壁厚さを有する領域である。リブは、より薄い外壁厚さを有するゾーンを少なくとも部分的に包囲し、それにより当該ゾーンを安定化させる。ゾーンは、キャビティの内面の一部であり、リブおよび/またはキャビティの外側端部のいずれかによって包囲される。スポークの形状および設計に応じて、ゾーンのいくつかの領域は、リブの厚さを含むリブの領域における合計の壁の厚さよりも厚い外壁厚さを依然として特徴とし得る。これは、たとえば、スポークの構造が、略長方形のスポークの隅などのより頑丈な構造を必要とする場合に当てはまり得る。これらの領域においてスポーク構造はすでに補強されているため、リブは、利点としてこれらの領域に変位される(たとえば代替させる)。
【0014】
キャビティの内面に沿った補強要素の複数のリブは、キャビティの範囲にわたってより均一な補強をもたらすという利点がある。複数のリブが存在する場合、少なくとも2つの交差するリブを有することはさらなる利点となる。好ましくは、リブのこのような交差によって、内面は少なくとも2つのゾーンに分割される。少なくとも2つのリブは、互いに少なくとも部分的に平行に配置されていてもよい。リブは、スポークによって伝達されることが意図される荷重に応じて、互いに距離が均一であり得るか、不均一であり得る。さらに、各リブは、個々の位置、スポークおよびキャビティ設計に応じて、様々な大きさまたは厚さを有し得る。
【0015】
ホイールの用途および設計に応じて、少なくとも1つのリブはさらに、異なる形状を有し得る。少なくとも1つのリブは、たとえば、リング状、螺旋状またはU字状であり得る。スポークの良好な補強は、少なくとも1つのスポークの(ハブからリムに向かって延びる)中心軸の周りにリブを配向させることによる、リング状または螺旋状のリブにより達成され得る。リング状のリブは、中心軸に対して略垂直な(したがって、横断方向に延びる)第1の平面に配向され得る。より顕著な補強効果のために、複数のリング状のリブを設けることができる。好ましくは、これらの複数のリブは、互いに少なくとも部分的に平行に配置される。U字状のリブは、リブが開口部を有するキャビティと共に長手方向に配置される場合の使用に利点があり得る。U字状の2つの脚部を接続するU字状のリブの底部は、その後、(開口部とは反対側の)キャビティの内側端部に配置され、それによって、2つの脚部の端部はキャビティの開口部に向かって方向付けられる。さらに、補強要素がリムに向かって延びる場合、補強要素の端部がリムの形状に従うと、リムとホイール中心との間の相互接続のための追加の支持がもたらされるという利点がある。これによって、U字状のリブは、好ましくは少なくとも1つのスポークの中心軸およびホイールの回転軸によって画定される第2の平面において配向されるか、または(中心軸の周りに)90度回転するように配置される。
【0016】
スポークの設計に応じて、複数のタイプのリブの組み合わせ、たとえば、少なくとも1つのU字状のリブと組み合わせて互いに少なくとも部分的に平行に配向される複数の円周リング状のリブの組み合わせなどを使用することにより、キャビティを支持して包囲する、ケージ状の構造が形成されるような補強要素を形成することができる。加えてまたは代替的に、補強要素はまた、互いに(中心軸の周りに)90度回転するように配置された2つのU字状のリブを特徴とし得る。
【0017】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方が実施形態を示し、本開示の性質および特性を理解するための概略または枠組みを提供するように意図されていることが理解されるべきである。添付の図面は、さらなる理解をもたらすために含まれ、本明細書の一部に組み込まれ、本明細書を構成する。図面は、様々な実施形態を例示し、説明と共に開示された概念の原理および動作を説明する役割を果たしている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本明細書に記載の本発明は、以下の詳細な説明および添付の図面からより十分に理解され、これらは、添付の特許請求の範囲に記載された本発明を限定するものとみなされるべきではない。図面は以下の通りである。
【0019】
図1】本発明によるホイールの第1の変形例の斜視図である。
図2図1によるホイールからの平面図である。
図3図2によるホイールの断面図(H-H)である。
図4図3によるホイールのスポークの詳細図である。
図5】本発明によるホイールの第2の変形例の正面図である。
図6図5によるホイールの断面図(D-D)である。
図7図6によるホイールのスポークの詳細図である。
図8図7または図5によるスポークの断面図(E-E)である。
図9】それぞれが異なる補強要素と共に例示されたキャビティを含む複数のスポークを有する本発明によるホイールの第3の変形例の斜視図である。
図10】図示されたかくれ線を用いた、本発明によるホイールの第1の変形例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
特定の実施形態に対する参照が詳細になされ、その実施例が添付の図面に例示され、そこで、すべてではないがいくつかの特徴が図示されている。実際に、本明細書に開示された実施形態は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に明記された実施形態に限定されるものとして理解されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。同様の参照符号が、同様の構成要素または部品を指すために使用される。
【0021】
図1から図4は、本発明によるホイール1の第1の変形例を示す。ホイール1はリム2とホイール中心3とを備えている。ホイール中心3は、半径方向外側にホイールハブ5からリム2に向かって延びる複数のスポーク4をさらに備えている。図3および図4は、これにより、キャビティ7を有するスポーク4の長手方向に延びる1つのスポーク4の断面図を提供している。キャビティ7は、長手方向に延びており、スポーク4の内面8に囲まれている。スポーク4には補強要素9が存在し、これはスポーク4の上記内面8に沿って延びている。図示された変形例では、補強要素9は複数のリブを備え、複数のリブはリング状のリブ10aおよびU字状のリブ10bである。リブ10a、10bは、内面8からキャビティ7内に突出する。リング状のリブ10aは、互いに少なくとも部分的に平行に配置されている。用途に応じて、各々のリング状のリブ10aが、長手方向に延びるキャビティ7および/またはスポーク4の中心軸12に略垂直な第1の平面13(図9と比較)において配向されていることにも利点があり得る。キャビティ7の形状が少なくとも部分的に湾曲される可能性があるため、上記中心軸は非直線形状を有し得る。さらに、図示された変形例では、キャビティ7はスポークの長さにわたって幅が(横断方向に)広がっているため、リング状のリブ10aの大きさもその方向で大きくなる。
【0022】
ホイール1の図示された第1の変形例では、各リブ10の厚さは、略同じであるが、補強要素9の厚さが異なる変形例も可能である。これによって、1つのリブ10の厚さは、その配置によって異なっていてもよく、および/または1つのリブ10の厚さは、それ自体において変わってもよい。図示された断面図(図3および図4)では、(リブの領域における)リブの厚さとともに外壁18の厚さが、リブ10の隣の隣接ゾーン11の外壁厚さよりも全体的に厚くなっていることがわかる。
【0023】
図示されたホイール1の第1の変形例では、リング状のリブ10aは、互いに略平行に配向されている。したがって、各々のリング状のリブ10aは、長手方向に延びるU字状のリブ10bと2回交差する。リブ10aとリブ10bとの間で、スポーク4の内面8は、別個のゾーン11に分割され、その結果、ゾーン11は、ほとんどの場合リブ10に囲まれる。スポーク4の外端6に配置されたゾーン11のみが、開口部またはキャビティ7の端部と、リブ10とによって境界付けられている。
【0024】
図5から図8には、本発明によるホイール1の第2の変形例が示されている。図示された変形例は、補強要素9の種類および配向において前述した変形例とは異なる。ここで、補強要素9は、略U字状であり、かつ長手方向に配向されている1つのリブ10bのみを備えている。図示された場合では、リブの構造は、ホイール1の回転軸15およびスポーク4の中心軸12によって画定されている第2の平面14(図9と比較)において配向されている。しかしながら、ホイール1の形状に応じて、リブはまた、中心軸の周りに90度回転されてもよい。リブ10bのU字形状は、キャビティ7または内面8の形状に起因して選択される。図7は、リブ10bが、特にスポークの外側端部6において、内面8の外形にどのように従うかをさらに例示している。ここで、U字形状は、キャビティ7の形状に従って、外側に向かってよりきつく曲げられている。さらに、図示されるように、補強要素9がリム2に向かって延びる場合には、補強要素9の端部がリム2の形状に従うと、リム2とホイール中心3との間の相互接続のための追加の支持がもたらされるという利点がある。
【0025】
図8は、図7に概説した本発明による第2の変形例の別の断面図(E-E)を示す。図8は、U字状のリブ10bの2つの脚部が、どのようにスポーク4の内面8を2つのゾーン11a、11bに分割するかを例示している。さらに、(スポーク4の外面16と内面8との間の)外壁厚さが変化していることがわかる。リブ10bまたは補強要素9の領域において、外壁18およびリブ10bは共に、リブ10bのすぐ隣の隣接ゾーン11a、11bの領域での外壁の厚さよりも厚い合計の壁厚を作り出す。しかしながら、外壁厚さは、(リブ厚さを含む)リブ10bの領域における合計の壁の厚さとして全体的により厚い、ゾーン11a、11bの領域が存在していてもよいことがわかっている。これは、スポークの構造が、図示されるように、長方形のスポーク4の隅17などのより頑丈な構造を必要とする場合であり得る。
【0026】
図9は、キャビティ7を有する、複数のスポーク4を備えた、本発明によるホイール1の第3の変形例を分解図で例示している。各キャビティ7には、様々な補強要素9a-cが挿入されている。補強要素9bは単一のU字状のリブ10bを含む。補強要素9aは、スポーク4および/またはキャビティ7の中心軸12の周りに互いに略平行に配置された複数のリング状のリブ10aを含む。補強要素9cは、補強要素9cがケージ状の構造を有するような、U字状のリブ10bと複数のリング状のリブ10aとの組み合わせである。
【0027】
図10は、可視のかくれ線で組み立てられた図1から図4によるホイールを例示している。組み立てられた状態の補強要素9は、観察者に対して完全に隠されていることがわかる。同時に、ホイール1は、全体的な質量がより薄い外壁厚さが原因で減少されるため、このような補強構造のないホイールよりもはるかに軽量である。
【0028】
本明細書で使用される用語は、限定ではなく説明のための用語であり、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされ得ることが理解される。
【符号の説明】
【0029】
1 ホイール
2 リム
3 ホイール中心
4 スポーク
5 ハブ
6 外側端部
7 キャビティ
8 内面
9 補強要素
10 リブ
11 ゾーン
12 中心軸
13 第1の平面
14 第2の平面
15 回転軸
16 外面
17 スポークの隅
18 外壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10