(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-04
(45)【発行日】2023-04-12
(54)【発明の名称】マルチループの金属冷却原子炉システムにおける逆流防止のための配管の改良
(51)【国際特許分類】
G21C 15/247 20060101AFI20230405BHJP
G21D 1/02 20060101ALI20230405BHJP
【FI】
G21C15/247
G21D1/02 L
(21)【出願番号】P 2021093864
(22)【出願日】2021-06-03
(62)【分割の表示】P 2018549132の分割
【原出願日】2016-12-05
【審査請求日】2021-06-04
(32)【優先日】2015-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508177046
【氏名又は名称】ジーイー-ヒタチ・ニュークリア・エナジー・アメリカズ・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】GE-HITACHI NUCLEAR ENERGY AMERICAS, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】ローウェン,エリック・ポール
(72)【発明者】
【氏名】ストレーゲ,セス・ライアン・ポール
(72)【発明者】
【氏名】オネイル,ニコラス・フランシス
(72)【発明者】
【氏名】オコナー,コリン・クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】カーティン,チェルシー・アン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,エドウィン
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-148891(JP,A)
【文献】特開平06-066983(JP,A)
【文献】実開昭54-057295(JP,U)
【文献】実開昭58-036142(JP,U)
【文献】特開平06-143571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 15/00
G21D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆流低減管の製造方法であって、
管を3D印刷することを含み、前記管が、
少なくとも1つの管状部分であって、前記少なくとも1つの管状部分の長さに沿って均一な
第1直径を有する少なくとも1つの管状部分と、
逆流を制限するように構成された少なくとも1つの流体ダイオード部分とを備え、
前記流体ダイオード部分が、
第1部分であって、前記第1部分の最大点において第2直径を有する第1部分と、
第2部分であって、前記第2部分の最大点において第3直径を有する第2部分とを含み、
前記第1部分は、前記第2部分と比べて、より前記管の入口に近く、その最も広い点において第1半径を有し、
前記第2部分が、その最も広い点において第2半径を有し、前記第1半径が、前記第2部分の前記第2半径の1.9~2.2倍であり、
前記第1部分および前記第2部分の断面が円錐台形である、製造方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの管状部分および前記少なくとも1つの流体ダイオード部分は、3D印刷によって一体的に形成される、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記第2直径が、前記第3直径および前記第1直径の各々よりも大きい、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの流体ダイオード部分が第2長さを有し、前記第2部分が第3長さを有し、前記第2長さが前記第2部分の前記第3長さの1.9~2.2倍である、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの流体ダイオード部分が第2長さを有し、前記第1部分が、その最も広い点において第1半径を有し、前記少なくとも1つの流体ダイオード部分の前記第2長さが、前記第1部分の前記第1半径の2.1~2.4倍である、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記第1部分が、前記管の入口端部に近づくほど大きな直径を有し、前記管の出口端部に近づくほど小さな直径を有する、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記第1部分および前記第2部分の各々が、前記管の入口端部に近づくほど大きな直径を有し、前記管の出口端部に近づくほど小さな直径を有し、前記第1部分が、ローブを含み、前記ローブの一部が、前記逆流低減管の長さに沿った前記少なくとも1つの管状部分の一部と重なり合う、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記逆流低減管が、前記逆流低減管の長さに沿って複数の流体ダイオード部分を含む、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
前記複数の流体ダイオード部分のうちの少なくとも1つが、前記逆流低減管の前記長さに沿って中心に配置されている、
請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記複数の流体ダイオード部分の少なくとも1つが、前記管の前記入口に隣接して配置されている、
請求項8に記載の製造方法。
【請求項11】
前記複数の流体ダイオード部分の少なくとも1つが、前記管の出口に隣接して配置されている、
請求項9に記載の製造方法。
【請求項12】
前記逆流低減管が、複数の管状部分を含み、前記複数の管状部分のうち少なくとも1つが、前記複数の流体ダイオード部分のうち隣接する2つの間にある、
請求項9に記載の製造方法。
【請求項13】
前記管の出口から前記管の前記入口への流れが、20psi~25psiの範囲の圧力降下を受ける、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項14】
前記管の前記入口から前記管の出口への流れが、5psi~8psiの範囲の圧力降下を受ける、
請求項1に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁ポンプの逆流低減管に関する。
【背景技術】
【0002】
ナトリウム冷却原子炉は、電磁ポンプを利用してナトリウム流体を熱交換器から炉心の底部に流す。一般に、各々が2つの出口管を含む4つの回路ポンプが使用される。1つのポンプが運転不能な場合、他の3つのポンプが、運転不能なポンプの出口に流体を逆流させてしまう場合がある。
【発明の概要】
【0003】
少なくとも1つの例示的実施形態は、逆流低減管を含むナトリウム冷却原子炉に関する。
【0004】
少なくとも1つの例示的実施形態では、ナトリウム冷却原子炉は、少なくとも1つの電磁ポンプアセンブリおよび逆流低減管を含む。逆流低減管は、入口と、出口と、第1長さおよび第1直径を有する少なくとも1つの管状部分と、入口と出口との間にある少なくとも1つの流体ダイオード部分とを含んでもよい。少なくとも1つの管状部分は、入口と出口との間にある。少なくとも1つの流体ダイオード部分は、第1部分の最大点において第2直径を有する第1部分と、第2部分の最大点において第3直径を有する第2部分とを含んでもよい。第1部分は、第2部分と比べて、より入口に近い。少なくとも1つの流体ダイオード部分は、逆流を制限するように構成されている。
【0005】
少なくとも1つの例示的実施形態では、第2直径は、第3直径および第1直径の各々よりも大きい。第1部分は、その最も広い点において第1半径を有してもよい。第2部分は、その最も広い点において第2半径を有してもよい。第1半径は、第2部分の第2半径の約1.9~約2.2倍である。
【0006】
少なくとも1つの例示的実施形態では、少なくとも1つの流体ダイオード部分は第2長さを有し、第2部分は第3長さを有する。第2長さは、第2部分の第3長さの約1.9~約2.2倍である。
【0007】
少なくとも1つの例示的実施形態では、少なくとも1つの流体ダイオード部分は第2長さを有し、第1部分はその最も広い点において第1半径を有する。少なくとも1つの流体ダイオード部分の第2長さは、第1部分の第1半径の約2.1~約2.4倍である。
【0008】
少なくとも1つの例示的実施形態では、第2部分の断面は、概して円筒形である。少なくとも1つの例示的実施形態では、第1部分の断面は、概して円錐台形であり、第1部分は、管の入口端部に近づくほど大きな直径を有し、管の出口端部に近づくほど小さな直径を有する。
【0009】
少なくとも1つの例示的実施形態では、第1部分および第2部分の断面は、概して、円錐台形である。
【0010】
少なくとも1つの例示的実施形態では、第1部分および第2部分の各々は、管の入口端部に近づくほど大きな直径を有し、管の出口端部に近づくほど小さな直径を有する。第1部分はローブを含んでもよい。ローブの一部は、少なくとも1つの管状部分の一部と重なり合ってもよい。
【0011】
少なくとも1つの例示的実施形態では、逆流低減管は、逆流低減管の長さに沿って複数の流体ダイオード部分を含む。複数の流体ダイオード部分の少なくとも1つは、逆流低減管の長さに沿って中心に配置されていてもよい。少なくとも1つの例示的実施形態では、複数の流体ダイオード部分の少なくとも1つは、逆流低減管の入口に隣接して配置されている。少なくとも1つの例示的実施形態では、複数の流体ダイオード部分の少なくとも1つは、逆流低減管の出口に隣接して配置されている。
【0012】
少なくとも1つの例示的実施形態では、逆流低減管は、複数の管状部分を含む。複数の管状部分のうち少なくとも1つは、複数の流体ダイオード部分の隣接する2つの間にある。
【0013】
少なくとも1つの例示的実施形態では、出口から入口への流れは、約20psi~約25psiの範囲の圧力降下を受ける。少なくとも1つの例示的実施形態では、入口から出口への流れは、約5psi~約8psiの範囲の圧力降下を受ける。
【0014】
少なくとも1つの例示的実施形態は、逆流低減管に関する。
【0015】
少なくとも1つの例示的実施形態では、ナトリウム冷却原子炉用の逆流低減管は、長さおよび直径を有する少なくとも1つの管状部分と、逆流を制限するように構成された少なくとも1つの流体ダイオード部分とを含む。少なくとも1つの管状部分の直径は、少なくとも1つの管状部分の長さに沿ってほぼ均一である。流体ダイオード部分は、少なくとも1つの管状部分の直径よりも大きな直径を有する少なくとも1つの部分を含んでもよく、この少なくとも1つの部分の直径は、少なくとも1つの管状部分の直径の約1.9~約2.2倍である。
【0016】
少なくとも1つの例示的実施形態は、ナトリウム冷却原子炉における逆流を低減する方法に関する。
【0017】
少なくとも1つの例示的実施形態では、ナトリウム冷却原子炉における逆流を低減する方法は、少なくとも1つの電磁ポンプアセンブリに逆流低減管を設置することを含む。
【0018】
少なくとも1つの例示的実施形態は、逆流低減管の製造方法に関する。
【0019】
少なくとも1つの例示的実施形態において、逆流低減管の製造方法は、管を3D印刷することを含む。管は、ある直径を有する少なくとも1つの管状部分と、逆流を制限するように構成された少なくとも1つの流体ダイオード部分とを含んでもよい。少なくとも1つの管状部分の直径は、少なくとも1つの管状部分の長さに沿ってほぼ均一である。流体ダイオード部分は、少なくとも1つの管状部分の直径よりも大きな直径を有する少なくとも1つの部分を含む。この少なくとも1つの部分の直径は、少なくとも1つの管状部分の直径の約1.9~約2.2倍である。
【0020】
少なくとも1つの例示的実施形態では、逆流低減管の製造方法は、複数の管状部分であって、各々が、その長さに沿ってほぼ均一な直径を有する複数の管状部分を機械加工することと、逆流を制限するように構成された複数の流体ダイオード部分を機械加工することとを含む。流体ダイオード部分の各々は、管状部分の各々の直径よりも大きな直径を有する少なくとも1つの部分を含む。この少なくとも1つの部分の直径は、管状部分の直径の約1.9~約2.2倍である。この方法はまた、複数の流体ダイオード部分のうちの少なくとも1つを、管状部分の隣接する2つの間に溶接することを含む。
【0021】
本明細書における非限定的な実施形態の様々な特徴および利点は、添付図面とあわせて詳細な説明を検討することにより、より明らかになるであろう。添付図面は、単に例示を目的として提供されているものであり、請求項の範囲を限定すると解釈されるべきではない。添付の図面は、別途明示されない限り、縮尺通りに描かれているとはみなされない。明確にするために、図面の様々な寸法は強調されている場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】少なくとも1つの例示的実施形態による逆流低減管を含むナトリウム冷却原子炉の概略図である。
【
図2】少なくとも1つの例示的実施形態による逆流低減管の一部の拡大図である。
【
図3】少なくとも1つの例示的実施形態による逆流低減管の一部の拡大図である。
【
図4】少なくとも1つの例示的実施形態による逆流低減管の一部の拡大図である。
【
図5】少なくとも1つの例示的実施形態による、互いに離間した複数の流体ダイオード部分を含む逆流低減管の図である。
【
図6】少なくとも1つの例示的実施形態による、管の入口付近の少なくとも1つの流体ダイオード部分を含む逆流低減管の図である。
【
図7】少なくとも1つの例示的実施形態による、管出口付近の少なくとも1つの流体ダイオード部分を含む逆流低減管の図である。
【
図8】少なくとも1つの例示的実施形態による逆流低減管の図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
いくつかの詳細な例示的実施形態が、本明細書に開示されている。しかし、本明細書に開示される特定の構造および機能の詳細は、例示的実施形態を説明するための代表例に過ぎない。しかし、例示的実施形態は、多くの代替的な形態で実現することができ、本明細書に説明される例示的実施形態のみに限定されると解釈されるべきではない。
【0024】
したがって、例示的実施形態は、様々な修正形態および変更形態が可能であるが、それらの例示的実施形態は、図面において例として示され、本明細書で詳細に説明される。しかし、例示的実施形態を開示された特定の形態に限定する意図はなく、逆に、例示的実施形態は、例示的実施形態の範囲内に含まれるすべての修正形態、均等物、および変更形態を包含するものであることを理解されたい。同様の数字は、図面の説明を通して同様の要素を指す。
【0025】
ある要素または層が別の要素または層に対して「上に(on)ある」、「接続される(connected to)」、「結合される(coupled to)」、または「覆う(covering)」と言及される場合には、他の要素または層に対して直接的に上にあり、接続され、結合され、または覆ってもよいし、あるいは介在する要素または層が存在してもよい。逆に、別の要素または層に対して「直接上にある」、「直接接続される」、または「直接結合される」と言及される場合には、介在する要素または層は存在しない。本明細書を通じて、同様の数字は同様の要素を指す。本明細書において、用語「および/または」は、関連する列挙された項目のうち1以上の、すべての組み合わせを含む。
【0026】
本明細書では、様々な要素、部品、領域、層および/または部分を第1、第2、第3等の用語を用いて記述するが、それらの要素、部品、領域、層、および/または部分が、これらの用語により限定されるものではないことを理解されたい。これらの用語は、1つの要素、部品、領域、層、または部分を、別の領域、層、または部分と区別するためにのみ使用される。よって、以下で検討される第1の要素、部品、領域、層、または部分を、例示的実施形態の教示から逸脱することなく、第2の要素、部品、領域、層、または部分と呼ぶこともできる。
【0027】
空間的に相対的な用語(例えば、「真下(beneath)」、「下方(below)」、「下側(lower)」、「上方(above)」、「上側(upper)」等)は、本明細書では、図に示すような、1つの要素または特徴と、他の要素または特徴との関係を説明するための説明を容易にするために用いられ得る。空間的に相対的な用語は、図に描かれている向きに加えて、使用中、すなわち運転中の装置の様々な向きを含むことを意図していることを理解されたい。例えば、図中の装置がひっくり返された場合、他の要素または特徴の「下方(below)」または「真下(beneath)」にあると説明されている要素は、他の要素または特徴の「上方」に向けられる。よって、用語「下方(below)」は、上および下の両方の方向を含み得る。装置を、それ以外の方向に向ける(90度回転させる、または他の方向に向ける)ことができ、したがって、本明細書で使用される空間的に相対的な記述はそれに応じて解釈される。
【0028】
本明細書で用いられる専門用語は、様々な実施形態の説明のみを目的とし、例示的実施形態を限定するものではない。本明細書で用いられるように、文脈上で別途明確に指示されていない限り、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「前記(the)」は複数形も含むものとする。「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「備える(comprises)」および/または「備えている(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、記載した特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素が存在することを明示するが、1以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの組の存在または追加を除外しないことがさらに理解されよう。
【0029】
本明細書では、例示的実施形態は、例示的実施形態の理想的な実施形態(および中間構造)の概略的な図示である断面図を参照して説明する。したがって、例えば、製造技術および/または許容誤差の結果として、図示した形状からの変形が想定される。したがって、例示的実施形態は、本明細書に例示した領域の形状に限定されるとみなされるものではなく、例えば製造により生じる形状の変更を含むものである。
【0030】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、例示的実施形態が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同一の意味を有する。一般的に使用される辞書で定義される用語を含む用語は、関連する技術分野の脈絡におけるそれらの意味と合致する意味を有するものと解釈すべきであり、本明細書で明示的に定義されない限り、理念化された意味、または過度に形式的な意味で解釈しないことがさらに理解されよう。
【0031】
少なくとも1つの例示的実施形態は、逆流低減管を含むナトリウム冷却原子炉に関する。
【0032】
図1は、少なくとも1つの例示的実施形態による逆流低減管を含むナトリウム冷却原子炉の概略図である。
【0033】
少なくとも1つの例示的実施形態では、
図1に示すように、ナトリウム冷却原子炉10は、熱交換器20および炉心30を含む。電磁ポンプ40は、ナトリウム流体が炉心30を通って上方に移動するように、ナトリウム流体を熱交換器20から炉心30の底部に汲み上げる。少なくとも1つの例示的実施形態では、ナトリウム冷却原子炉10は、4つの電磁ポンプ40を含む。各ポンプは、逆流低減管50を含み、この逆流低減管50を通ってナトリウム流体が熱交換器20から炉心30に流れる。
【0034】
少なくとも1つの例示的実施形態では、逆流低減管50は、熱交換器20と流体連通する入口52と、炉心30と流体連通する出口54とを含む。逆流低減管50は、少なくとも1つの管状部分56と、少なくとも1つの流体ダイオード部分58とを含む。流体ダイオード部分58は、第2方向と比べて、第1方向に流れる抵抗が高い。
【0035】
少なくとも1つの例示的実施形態では、少なくとも1つの管状部分56は、第1長さおよび第1直径を有する。少なくとも1つの管状部分56は、入口52と出口54との間にある。
【0036】
少なくとも1つの例示的実施形態では、少なくとも1つの流体ダイオード部分58は、第1部分62および第2部分60を含む。各流体ダイオード部分58の第1部分62は、第2部分60よりも逆流低減管50の入口52に近い。少なくとも1つの例示的実施形態では、第1部分62は、第1部分62の最大直径部において第2直径を有する。第2部分60は、第2部分60の最大直径部において第3直径を有する。少なくとも1つの流体ダイオード部分58は、逆流を制限するように構成される。少なくとも1つの例示的実施形態では、第2直径は、第3直径および第1直径の各々よりも大きい。
【0037】
少なくとも1つの例示的実施形態では、第2部分60の断面は、概して円筒形である(不図示)。少なくとも1つの例示的実施形態では、第1部分62の断面は、概して円錐台形であり、第1部分62は、管50の入口52に近づくほど直径が大きく、管50の出口54に近づくほど直径が小さくなる。
【0038】
少なくとも1つの例示的実施形態では、第1部分62は、第1部分62の円周の周りに延びるローブ100を含んでもよい。ローブ100の一部は、入口52と第1部分62との間に配置されている管状部分56の一部と重なり合ってもよい。渦流が、ローブ100において逆流方向に(出口54から入口52へ)形成され得る。
【0039】
少なくとも1つの例示的実施形態では、第1部分62および第2部分60の断面は、概して、円錐台形である。
【0040】
少なくとも1つの例示的実施形態では、第1部分62および第2部分60の各々は、管50の入口52に近づくほど直径が大きく、管50の出口54に近づくほど直径が小さくなる。
【0041】
少なくとも1つの例示的実施形態では、逆流低減管は、逆流低減管50の長さに沿って複数の流体ダイオード部分58を含む。複数の流体ダイオード部分58のうちの少なくとも1つは、逆流低減管50の長さに沿って中心に配置されていてもよい。
【0042】
少なくとも1つの例示的実施形態では、出口54から入口52への流れは、約20psi~約25psiの範囲の圧力降下を受ける。少なくとも1つの例示的実施形態では、入口52から出口54への流れは、約5psi~約8psiの範囲の圧力降下を受ける。
【0043】
少なくとも1つの例示的実施形態では、通常の流れ方向(入口52から出口54へ)において、第2部分60は流体の前進速度を増加させて第1部分62を通過する流体を推進し、流体の前進する流れに対する影響は最小限である。逆流方向(出口54から入口52へ)では、第2部分60の結果として面積が減少することにより、わずかに圧力が増加するが、第1部分62における流体の膨張により渦が形成され得、それにより圧力降下が大きくなる。
【0044】
少なくとも1つの例示的実施形態では、第2部分60は、可動部品を使用することなく、かつ追加の電気および/または制御システムインタフェースなしに、逆流方向の流れを制限することができる。流れの制限により、流れが、運転不能なポンプに逆流するのでなく、運転可能なポンプから炉心30を通って上方に流れる。これにより、ポンプの停止中における原子炉の出力が増加する。また、この流れの制限がなければ、4つのポンプのうちの1つが停止すると原子炉トリップが必要になるため、操作性が向上する。
【0045】
少なくとも1つの例示的実施形態では、流体ダイオード部分58は、ステンレス鋼または任意の他の適切な材料で形成される。
【0046】
少なくとも1つの例示的実施形態では、逆流低減管50は、単一の均一な管であってもよい。他の例示的実施形態では、流体ダイオード部分58は、隣接する管状部分56同士の間に溶接されるか、または別の方法で取り付けられる別個の部品である。流体ダイオード部分58の第1部分62および第2部分60は、一体的に形成されてもよいし、別個に形成されてもよい。
【0047】
少なくとも1つの例示的実施形態では、逆流低減管50は、約10フィート~約30フィートの長さである。流体ダイオード部分の各々は、約2フィート~約6フィートの長さであってもよい。逆流低減管50は、1~10個の流体ダイオード部分を含んでもよい。
【0048】
図2は、少なくとも1つの例示的実施形態による逆流低減管の一部の拡大図である。
【0049】
少なくとも1つの例示的実施形態では、第1部分62は、第1部分62の最大直径部において第1半径(W1)を有してもよい。第2部分60は、第2部分60の最大直径部において第2半径(W2)を有してもよい。第1部分62の第1半径(W1)は、第2部分60の第2半径(W2)の約1.9~約2.2倍である。
【0050】
図3は、少なくとも1つの例示的実施形態による逆流低減管の一部の拡大図である。
【0051】
少なくとも1つの例示的実施形態では、少なくとも1つの流体ダイオード部分58は第2長さ(L1)を有し、第2部分60は第3長さ(L2)を有する。第2長さ(L1)は、第2部分60の第3長さ(L2)の約1.9~約2.2倍である。
【0052】
図4は、少なくとも1つの例示的実施形態による逆流低減管の一部の拡大図である。
【0053】
少なくとも1つの例示的実施形態では、少なくとも1つの流体ダイオード部分58は第2長さ(L1)を有し、第1部分62は、その最も広い点で第1半径(W1)を有する。少なくとも1つの流体ダイオード部分58の第2長さ(L1)は、第1部分62の第1半径(W1)の約2.1~約2.4倍である。
【0054】
図5は、少なくとも1つの例示的実施形態による、互いに離間した流体ダイオード部分を含む逆流低減管の図である。
【0055】
少なくとも1つの例示的実施形態では、逆流低減管50は、複数の管状部分56を含む。複数の管状部分56のうち少なくとも1つは、複数の流体ダイオード部分58のうち隣接する2つの間にある。管状部分56の各々の長さは変化してもよく、管状部分56および流体ダイオード部分58のパターンは、逆流低減管50の長さに沿って形成されてもよい。
【0056】
図6は、少なくとも1つの例示的実施形態による、管の入口付近の少なくとも1つの流体ダイオード部分を含む逆流低減管の図である。
【0057】
少なくとも1つの例示的実施形態では、少なくとも1つの流体ダイオード部分58が、逆流低減管50の入口52に隣接して配置されている。少なくとも1つの例示的実施形態では、少なくとも1つの流体ダイオード部分58が、逆流低減管50の出口54よりも逆流低減管50の入口52の近くに配置されている。
【0058】
図7は、少なくとも1つの例示的実施形態による、管出口付近の少なくとも1つの流体ダイオード部分を含む逆流低減管の図である。
【0059】
少なくとも1つの例示的実施形態では、少なくとも1つの流体ダイオード部分58が、逆流低減管50の出口54に隣接して配置されている。少なくとも1つの例示的実施形態では、少なくとも1つの流体ダイオード部分58が、入口52よりも逆流低減管50の出口54の近くに配置されている。
【0060】
図8は、少なくとも1つの例示的実施形態による逆流低減管の図である。
【0061】
少なくとも1つの例示的実施形態では、
図8に示すように、逆流低減管50は、実質的に均一な外径を有してもよい。逆流低減管50の内径は、その長さに沿って変化して、逆流低減管50内に、管状部分56と、第1部分62および第2部分60を含む流体ダイオード部分58とを形成してもよい。
【0062】
ナトリウム冷却原子炉は、電磁ポンプを利用してナトリウム流体を熱交換器から炉心の底部に流す。一般に、各々が2つの出口管を含む4つの回路ポンプが使用される。1つのポンプが運転不能な場合、他の3つのポンプが、運転不能なポンプの出口に流体を逆流させてしまう場合がある。
【0063】
逆流低減管に流体ダイオード部分58を追加することは、通常方向の流れを乱すことなく、逆流方向の圧力勾配を形成することを助ける。このように、逆流低減管は、自然循環路を乱すことなく、逆流方向の流動抵抗を提供し、3つのポンプの運転で、定格出力の75%に近い運転を可能にする。逆流低減管は、ナトリウムポンプシステムの運転性と信頼性を向上させる。
【0064】
数値流体力学(CFD)解析を用いると、ほぼ直管(不図示)は、約0.2psiの圧力降下を有することができ、流動抵抗はいずれの方向においても同じである。これに対し、同じくCFD分析を用いると、この直管と同じ長さを有する逆流低減管50は、約0.2psiから約6psiに圧力降下を増加させることが予期される。流れが反転したとき(出口54から入口52へ)、圧力は約4倍、すなわち約24psiに上昇することが予期される。したがって、直管と比較して、逆流による流動抵抗の実質的な増加を示すことができる。さらに、第2部分60を通る前進速度は、幾何学的な第1部分62のバイパスを可能にするように加速されてもよい。逆流方向は、第1部分62のローブ100に隣接して実質的な渦形成を示すことができる。
【0065】
原子炉出力と直接相関する炉心流量の増加は、CFD分析データを用いて、単一のポンプがトリップしたシナリオでの管と比較して計算することができる。ポンプ配管が公称的に、流体ダイオード部分58の圧力降下に加えて5psiの圧力降下を引き起こすと仮定すると、炉心流量は、約34%から、可能な75%のうち52%超に増加する。単一原子炉に対する炉心流量の18%の増加は、約54MWの増加に相当する。
【0066】
少なくとも1つの例示的実施形態では、逆流低減管50を使用することにより、ポンプの1つが故障したときに複数の独立した電磁ポンプを用いて稼働する原子炉をトリップさせる必要性を防止する。逆流低減管50を使用することにより、蒸気の生成速度をより遅くしつつ、熱交換流を正しい方向に保つ方法が提供される。さらに、逆流低減管50は、管50を特定の条件に合わせて調整することができるようにモジュール式であってもよい。第1部分62と第2部分60とを組み合わせることにより、圧力比の効率が高まる。また、逆流低減管50は、どちらの方向においても、より良好な冷却剤の混合を可能にし、単一ポンプの故障中に運転することにより、寿命容量係数を増加させる。
【0067】
少なくとも1つの例示的実施形態は、ナトリウム冷却原子炉における逆流を低減する方法に関する。
【0068】
少なくとも1つの例示的実施形態では、ナトリウム冷却原子炉における逆流を低減する方法は、少なくとも1つの電磁ポンプアセンブリに逆流低減管を設置することを含む。
【0069】
少なくとも1つの例示的実施形態は、逆流低減管の製造方法に関する。
【0070】
少なくとも1つの例示的実施形態において、逆流低減管50の製造方法は、逆流低減管50を3D印刷することを含む。管50は、ある直径を有する少なくとも1つの管状部分56と、逆流を制限するように構成された少なくとも1つの流体ダイオード部分58とを含んでもよい。少なくとも1つの管状部分56および少なくとも1つの流体ダイオード部分58のうちの1以上は、3D印刷されてもよい。少なくとも1つの例示的実施形態では、少なくとも1つの管状部分56および少なくとも1つの流体ダイオード部分58は、3D印刷によって一体的に形成される。少なくとも1つの管状部分56の直径は、少なくとも1つの管状部分56の長さに沿ってほぼ均一である。流体ダイオード部分58は、少なくとも1つの管状部分56の直径よりも大きな直径を有する少なくとも1つの部分を含む。この少なくとも1つの部分の直径は、少なくとも1つの管状部分の直径の約1.9~約2.2倍である。
【0071】
少なくとも1つの例示的実施形態では、逆流低減管の製造方法は、複数の管状部分56を機械加工することを含む。管状部分56の各々は、その長さに沿ってほぼ均一な直径を有してもよい。この方法はまた、逆流を制限するように構成された複数の流体ダイオード部分58を機械加工することを含んでもよい。流体ダイオード部分58の各々は、管状部分56の各々の直径よりも大きな直径を有する少なくとも1つの部分を含んでもよい。この少なくとも1つの部分の直径は、管状部分56の直径の約1.9~約2.2倍である。この方法は、複数の流体ダイオード部分58のうちの少なくとも1つを、管状部分56のうち隣接する2つの間に溶接することを含んでもよい。
【0072】
実施形態の前述の説明は、例示および説明のために提供されたものである。網羅的であること、または開示を限定することを意図するものではない。特定の実施形態の個々の要素または特徴は一般にその特定の実施形態に限定されるものではなく、適切な場合には、交換可能であり、特に図示されておらず、説明されていない場合でも、選択された実施形態で使用できる。個々の要素または特徴はまた、多くの態様で変形させることができる。そのような変形は、本開示からの逸脱とみなされるべきではなく、そのような変形のすべては、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0073】
10 ナトリウム冷却原子炉
20 熱交換器
30 炉心
40 電磁ポンプ
50 逆流低減管
52 入口
54 出口
56 管状部分
58 流体ダイオード部分
60 第2部分
62 第1部分
100 ローブ