(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-04
(45)【発行日】2023-04-12
(54)【発明の名称】抵抗スポット溶接電極キャップ
(51)【国際特許分類】
B23K 11/30 20060101AFI20230405BHJP
B23K 35/04 20060101ALI20230405BHJP
B23K 11/11 20060101ALN20230405BHJP
【FI】
B23K11/30
B23K35/04
B23K11/11 540
(21)【出願番号】P 2021504557
(86)(22)【出願日】2018-12-18
(86)【国際出願番号】 CN2018121780
(87)【国際公開番号】W WO2019196494
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2020-12-09
(31)【優先権主張番号】201810327005.3
(32)【優先日】2018-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520397220
【氏名又は名称】シャンハイ インスティテュート オブ オプティクス アンド ファイン メカニクス,チャイニーズ アカデミー オブ サイエンシーズ
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI INSTITUTE OF OPTICS AND FINE MECHANICS,CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】No.390 Qinghe Road,Jiading District,Shanghai 201800,China
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,シャングルー
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ヤンジュン
(72)【発明者】
【氏名】タオ,ウー
【審査官】後藤 泰輔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0231729(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0192863(US,A1)
【文献】特開2000-288744(JP,A)
【文献】特開2005-193298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 11/30
B23K 35/04
B23K 11/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接点の端での気孔、スパッタの発生、および溶接変形を回避するために用い、
およびナゲットの直径を大きくし、溶接点の強度を向上させる
ための抵抗スポット溶接電極キャップであって、
第1の抵抗スポット溶接電極キャップと第2の抵抗スポット溶接電極キャップとを含み、溶接のあいだ、第1の抵抗スポット溶接電極キャップの接触面と第2の抵抗スポット溶接電極キャップの接触面とがそれぞれ2層以上の金属ワークピースと接触し、2層以上の金属ワークピースはアルミニウム合金ワークピースであり、
前記第1の抵抗スポット溶接電極キャップおよび前記第2の抵抗スポット溶接電極キャップは、いずれも
円筒形をなす電極キャップ本体(1)と、
溶接面(31)、円周(32)、へこみ(33)を有する接触面(3)と、ここでへこみ(33)は接触面(3)の中央に位置し、へこみ(33)の上部縁は溶接面(31)に連結され、円周(32)は溶接面(31)の外径であり、へこみ(33)の深さhは0.1~2mmであり、へこみ(33)が全体として弧面である場合、へこみ(33)弧面の曲率半径は1~50mmであり、へこみ底部が平坦面である場合、平坦面は半径が0.1~10mmの円である、
電極キャップ本体(1)から接触面(3)への遷移領域であり、その形状が弧面または錐面である側面(2)と、ここで側面(2)の上部表面および下部表面はそれぞれ接触面(3)および電極キャップ本体(1)のひとつの端部に弧面または面取りの形態で連結され、
溶接面(31)またはへこみ(33)に位置された環状隆起(4)と、ここで環状隆起(4)の断面形状は直線または曲線または直線と曲線の組み合わせであり、環状隆起(4)の突出高さHが20~500μmであり、環状隆起の幅は500~2000μmであり、環状隆起(4)の数が2-5であり、
隣接する2つの環状隆起(4)の間に形成された溝(43)であって溝(43)の幅は50~3000μmである前記溝と
を含み、
二層金属ワークを溶接する場合、溶接面(31)の加圧力と電流の作用で、まず二層金属ワークの外側が接触して環状溶融池を形成し、接触部分の金属材料の溶融と塑性変形で、環状溶融池は抵抗スポット溶接電極キャップの
へこみ(33)まで拡大し、外側から内側に向けて環状溶融池が成長することを特徴とする、前記抵抗スポット溶接電極キャップ。
【請求項2】
へこみ(33)の形状は全体として弧面であり、または底部は平坦面で、溶接面(31)との連結部分は弧面または錐面で遷移し、または中央は弧状のボスで、溶接面(31)との連結部分は弧面または錐面で遷移していることを特徴とする
請求項1に記載の抵抗スポット溶接電極キャップ。
【請求項3】
溶接面(31)は環状平坦面であり、または球の中心と電極キャップ本体が同じ側である環状球面であり、または球の中心と電極キャップ本体が反対側である環状球面であり、または上向きに突出された環状弧面であることを特徴とする
請求項1に記載の抵抗スポット溶接電極キャップ。
【請求項4】
請求項1に記載の抵抗スポット溶接電極キャップであって、2層の金属ワークピースの抵抗スポット溶接中に、電極キャップが外側から内側に向かって成長する環状溶融池を形成することによってナゲットを形成する前記抵抗スポット溶接電極キャップ
【請求項5】
抵抗スポット溶接方法であって、
(a)第1のおよび第2のアルミニウム合金ワークピースを提供するステップと、
(b)第1の溶接電極キャップおよび第2の溶接電極キャップが、それぞれ第1のアルミニウム合金ワークピースおよび第2のアルミニウム合金に接触するようにそれぞれの溶接ガンアームを操作するステップと、
(c)第1のおよび第2のワークピースの接触箇所が溶融しスポット溶接継手を形成するように、溶接ガンアームおよび第1および第2の電極キャップを介して圧力および電流を加えるステップとを含み、
第1の溶接電極キャップおよび/または第2の溶接電極キャップは請求項1に記載の抵抗スポット溶接電極キャップである、前記抵抗スポット溶接方法。
【請求項6】
(c)のステップにおいて、アルミニウム合金ワークピースの抵抗スポット溶接中に、電極キャップが外側から内側に向かって成長する環
状溶融池を形成することによってナゲットを形成する、請求項
5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗スポット溶接分野に関し、より具体的には、2層または複数の層の金属ワークピースの間で抵抗スポット溶接を行う場合に使用される溶接電極キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化やエネルギー枯渇の進展に伴い、自動車の排気ガスやエネルギー消費量はますます深刻化しており、実験によると、自動車の質量が半減すると、燃料消費量も半減することがわかった。環境保護と省エネの必要性から、自動車の軽量化は世界の自動車開発のトレンドとなっている。アルミニウム合金材料は、高強度、軽量、耐食性に優れ、さまざまな成形方法に適しているという利点があるため、鋼板溶接の代わりにアルミニウム合金を使用すると、構造重量を50%以上削減でき、自動車の車体に広く使用されている。
【0003】
現在、自動車製造におけるボディアルミニウム合金の連結方法は、主にリベッティングの機械的連結方法である。リベッティングは、コストが高く、プロセスが複雑であり、表面品質が低く、ボディの重量を増やす方法である。オールアルミニウムボディまたはハイブリッドボディには、通常、1500本以上のリベットが必要である。抵抗スポット溶接は、ワークピース自体と抵抗熱を利用して材料を溶かし、連結を実現し、連結工程で充填材を必要としないため、生産効率が高く、自動化が容易であるため、前記方法は、エンジンフード、車のドアなどの部品のような車体製造に広く採用されている。自動車にアルミニウム合金を適用するに際し、自動車メーカーはアルミニウム合金を連結するために抵抗スポット溶接を引き続き使用することを期待している。
【0004】
しかし、アルミニウム合金自体の物理的性質により、一般的なスポット溶接プロセスで溶接する場合、多くの問題がある。アルミニウム合金は電気伝導率と熱伝導率が高いため、スポット溶接では特に大きな電流と圧力が必要である。しかしながら、大電流と高い電極圧力を使用すると、アルミ合金の溶接には高い製造コストが必要となる。また、アルミ合金の成形温度範囲が狭いため、溶接時に申告なスパッタや内部欠陥、溶接変形の原因となる。表面に高抵抗の酸化皮膜が存在すると、スポット溶接プロセスでの溶接電極の摩耗が早くなり、電極寿命が短くなり、溶接点の強度が低下し、表面品質が低下する。
【0005】
したがって、より高い溶接強度、より長い電極寿命、低コスト、およびより容易な促進を達成することができるアルミニウム合金の抵抗スポット溶接のための方法が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、アルミニウム合金抵抗スポット溶接が有する、大きな溶接電流、溶接スパッタや欠陥が深刻で、溶接強度が比較的低く、溶接品質が不安定で、電極寿命が短いといった問題を解決するために、溶接接触面の中心にへこみを有する電極キャップを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の問題を解決するために、本発明によって採用される一技術的解決策は、抵抗スポット溶接電極キャップであって、
円筒形をなす電極キャップ本体1と、
溶接面31、円周32、へこみ33を有する接触面3と、ここでへこみ33は接触面3の中央に位置し、その上部縁は溶接面31に連結され、円周32は溶接面31の外径であり、
電極キャップ本体1から接触面3への遷移領域であり、その形状が弧面または錐面である側面2とを含み、
側面2の上部表面および下部表面はそれぞれ接触面3および電極キャップ本体1の他端に弧面または面取りの形態で連結される、前記抵抗スポット溶接電極キャップを提供する。
【0008】
別の好ましい実施例では、へこみ33の形状は全体として弧面であり、または底部は平坦面で、溶接面31との連結部分は弧面または錐面で遷移し、または中央は弧状のボスで、溶接面31との連結部分は弧面または錐面で遷移した。
別の好ましい実施例では、へこみの形状は球面であり、その外径は2~15mmであり、好ましくは2~10mmである。
別の好ましい実施例では、へこみ33と溶接面31は、円弧または面取りによって連結される。
別の好ましい実施例では、側面2と溶接面31および電極キャップ本体1は円弧または面取りによって連結される。
別の好ましい実施例では、側面2が弧面である場合、弧面の曲率半径は、電極キャップ本体1の円周半径以上である。
【0009】
別の好ましい実施例では、側面2が錐面である場合、錐面の傾斜角は0~90°であり、好ましくは10~80°である。
別の好ましい実施例では、へこみ33の深さhは0.1~2mmであり、またはより好ましくは、0.1~1.2mmである。
別の好ましい実施例では、へこみ33の弧面の曲率半径は1~50mmであり、へこみ底部が平坦面である場合、平坦面は半径が0.1~10mmの円である。
別の好ましい実施例では、溶接面31は環状平坦面であり、または球の中心と電極キャップ本体が同じ側である環状球面であり、または球の中心と電極キャップ本体が反対側である環状球面であり、または上向きに突出された環状弧面である。
別の好ましい実施例では、溶接面31が環状平坦面である場合、その外径は2~30mmの範囲であり、好ましくは6~20mmである。
別の好ましい実施例では、溶接面31が環状球面である場合、溶接面31が位置される球の半径は10~100mmである。
【0010】
別の好ましい実施例では、溶接面31が上向きに突出された環状弧面である場合、弧の曲率半径は1~10mmであり、弧面の最高点と最低点が位置される平坦面の垂直距離は0.1~5mmである。
別の好ましい実施例では、抵抗スポット溶接電極キャップは、溶接面31またはへこみ33に位置される環状隆起4をさらに含み、環状隆起の断面形状は直線または曲線または直線と曲線の組み合わせである。
別の好ましい実施例では、抵抗スポット溶接電極キャップは、隣接する2つの環状隆起4の間に形成された溝43をさらに含む。
別の好ましい実施例では、環状隆起4の突出高さHは20~500umである。
別の好ましい実施例では、環状隆起4の数は0~5である。
別の好ましい実施例では、隣接する2つの環状隆起4の間の距離は50~2000umである。
【0011】
本発明の範囲内で、本発明の上記の技術的特徴および以下(例えば、実施例)に具体的に説明する各技術的特徴を互いに組み合わせて、新規または好ましい技術的解決手段を形成することができることを理解されたい。スペースの制限のため、ここでは繰り返さない。
【0012】
本発明のメカニズムは、以下のとおりである:2層の金属ワークピースの溶接を例として、中央にくぼみを有する溶接面の圧力および電流の作用下で、2層の金属ワークピース外側が最初に接触し、接触された環状電極の影響を受ける一部の領域は抵抗熱を発生し、環状溶融池を形成し、溶接時間の延長と中央領域の接触が緩やかになると、熱伝導作用により環状溶融池が中心に向かって成長する。へこみに対応する2つの金属ワークピースの中心領域の面積(溶接点の内側)が小さく、電極キャップと接触していないため、熱は外側に集中し、接触領域の金属材料が溶けて変形すると、電極中央のくぼみに向かって圧迫、膨張し、中央に新たな接触面が発生し、新たな接触面に抵抗熱が発生し、環状溶融池が環状中心に向かって成長し、へこみに対応する2つの金属材料の接触部分がナゲットを形成し、溶接が完了する。
【発明の効果】
【0013】
へこみの存在により本発明の電極キャップと溶接する金属ワークピースの初期の接触面積が減少し、全体的な発熱が溶接点の外輪に集中し、熱放散が遅くなり、溶接が進むにつれて、接触面積が大きくなり、熱放散が速くなるので、普通の電極キャップと比較して、同じ大きさの溶接点を形成するために必要な溶接電流が減少し、電力コストが節約され、電極の寿命が向上される。なお、最初に環状溶融池が形成されるため、中央のへこみが存在すると、環状溶融池が外側から内側に向かって成長し、普通の電極キャップ溶融池が内側から外側に向かって成長するのとは逆に、可塑性となった金属材料は、圧力と電流の作用下で電極中央のへこみ領域に向かって圧迫され、溶接点の端での気孔、スパッタの発生、および溶接変形を回避するのに役立ち、それによってナゲットの直径を大きくし、溶接点の強度を向上させる。
【0014】
環状隆起が存在すると、環状隆起は接触中にアルミニウム合金の表面の酸化膜を貫通することができ、それによって接触抵抗を減少し、接触面積を増大し、熱放散を高め、それによって電極溶接面とアルミニウム合金プレートの接触面の熱を減少することにより、電極の寿命を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、接触面の中央にへこみを有する1つの電極キャップの模式図を示す。
【
図2】
図2は、
図1のA-A断面の断面図の1つの実施例を示す。
【
図3】
図3は、溶接面が環状平坦面であり、へこみが球面である
図1のA-A断面の断面図の1つの実施例を示す。
【
図4】
図4は、溶接面が環状平坦面であり、へこみ底部が平坦面で、溶接面とは弧面で遷移した
図1のA-A断面の断面図の1つの実施例を示す。
【
図5】
図5は、溶接面が環状平坦面であり、へこみの中央が弧状のボスで、溶接面との連結部分が弧面で遷移した
図1のA-A断面の断面図の1つの実施例を示す。
【
図6】
図6は、溶接面が球の中心と電極キャップ本体が同じ側である環状球面であり、へこみが球面である
図1のA-A断面の断面図の1つの実施例を示す。
【0016】
【
図7】
図7は、溶接面は球の中心と電極キャップ本体が同じ側である環状球面であり、へこみ底部は平坦面で、溶接面とは弧面で遷移した
図1のA-A断面の断面図の1つの実施例を示す。
【
図8】
図8は、溶接面が球の中心と電極キャップ本体が同じ側である環状球面であり、へこみの中央が弧状のボスで、溶接面との連結部分は弧面で遷移した
図1のA-A断面の断面図の1つの実施例を示す。
【
図9】
図9は、溶接面が球の中心と電極キャップ本体が反対側である環状球面であり、へこみが球面である
図1のA-A断面の断面図の1つの実施例を示す。
【
図10】
図10は、溶接面が球の中心と電極キャップ本体が反対側である環状球面であり、へこみ底部が平坦面で、溶接面とは弧面で遷移した
図1のA-A断面の断面図の1つの実施例を示す。
【
図11】
図11は、溶接面が球の中心と電極キャップ本体が反対側である環状球面であり、へこみの中央が弧状のボスで、溶接面との連結部分は弧面で遷移した
図1のA-A断面の断面図の1つの実施例を示す。
【0017】
【
図12】
図12は、溶接面が上向きに突出された環状弧面であり、へこみが球面である
図1のA-A断面の断面図の1つの実施例を示す。
【
図13】
図13は、溶接面が上向きに突出された環状弧面であり、へこみ底部が平坦面で、溶接面とは弧面で遷移した
図1のA-A断面の断面図の1つの実施例を示す。
【
図14】
図14は、溶接面が上向きに突出された環状弧面であり、へこみの中央が弧状のボスで、溶接面との連結部分は弧面で遷移した
図1のA-A断面の断面図の1つの実施例を示す。
【
図15】
図15は、接触面の中央にへこみを有し、溶接面に環状隆起を有する1つの電極キャップの模式図を示す。
【
図19】
図19は、両側は直線で、最上部は両側直線に接する円弧である環状隆起の横断面形状の1つの実施例を示す。
【0018】
【
図20】
図20は、両側は対称的な曲線で、最上部は両側曲線に接する円弧である環状隆起の横断面形状の1つの実施例を示す。
【
図21】
図21は、最上部と両側の両方が直線である環状隆起の横断面形状の1つの実施例を示す。
【
図22】
図22は、両側は直線で、最上部は両側直線と交差する円弧である環状隆起の横断面形状の1つの実施例を示す。
【
図23】
図23は、両側は異なる曲線で、最上部は両側曲線と連結された曲線である環状隆起の横断面形状の1つの実施例を示す。
【
図24】
図24は、両側は対称的な曲線で、最上部は直線である環状隆起の横断面形状の1つの実施例を示す。
【
図25】
図25は、一側は直線で、他側は曲線で、最上部は曲線または直線である環状隆起の横断面形状の1つの実施例を示す。
【0019】
【
図26】
図26は、横断面全体が弧状である環状隆起の横断面形状の1つの実施例を示す。
【
図27】
図27は、溶接面31が環状平坦面であり、へこみ33が球面である場合、環状隆起が溶接面に位置する
図15のB-B断面の断面図の1つの実施例を示す。
【
図28】
図28は、溶接面が環状平坦面であり、へこみが球面である場合、環状隆起が溶接面とへこみの両方に位置する
図15のB-B断面の断面図の1つの実施例を示す。
【
図29】
図29は、溶接面が環状平坦面であり、へこみ底部は平坦面で、溶接面とは弧面で遷移する場合、環状隆起が溶接面に位置する
図15のB-B断面の断面図の1つの実施例を示す。
【0020】
【
図30】
図30は、溶接面が環状平坦面であり、へこみの中央は弧状のボスで、溶接面との連結部分が弧面で遷移する場合、環状隆起が溶接面に位置する
図15のB-B断面の断面図の1つの実施例を示す。
【
図31】
図31は、溶接面が球の中心と電極キャップ本体が同じ側である環状球面であり、へこみが球面である場合、環状隆起が溶接面に位置する
図15のB-B断面の断面図の1つの実施例を示す。
【
図32】
図32は、溶接面が球の中心と電極キャップ本体が同じ側である環状球面であり、へこみ底部は平坦面で、溶接面とは弧面で遷移する場合、環状隆起が溶接面に位置する
図15のB-B断面の断面図の1つの実施例を示す。
【0021】
【
図33】
図33は、溶接面が球の中心と電極キャップ本体が同じ側である環状球面であり、へこみの中央は弧状のボスで、溶接面との連結部分が弧面で遷移する場合、環状隆起が溶接面に位置する
図15のB-B断面の断面図の1つの実施例を示す。
【
図34】
図34は、溶接面が上向きに突出された環状弧面であり、へこみが球面である場合、環状隆起が溶接面とへこみの両方に位置する
図15のB-B断面の断面図の1つの実施例を示す。
【
図35】
図35は、溶接面が上向きに突出された環状弧面であり、へこみ底部は平坦面で、溶接面とは弧面で遷移する場合、環状隆起が溶接面とへこみの両方に位置する
図15のB-B断面の断面図の1つの実施例を示す。
【
図36】
図36は、金属ワークピース抵抗スポット溶接で溶接する時の全体側面図を示す。
【0022】
【
図37】
図37は、本発明の電極キャップの溶接面に環状隆起設置されていない場合、本発明を使用して溶接した時の溶接初期の1つの横断面模式図を示す。
【
図38】
図38は、本発明の電極キャップの溶接面に環状隆起が設置された場合、本発明を使用して溶接した時の溶接初期の1つの横断面模式図を示す。
【
図39】
図39は、普通の電極キャップを使用して2つの2mmの5182-Oアルミニウム合金に抵抗スポット溶接した後の溶接点の断面形状を示す。
【
図40】
図40は、本発明の実施例1の電極キャップを使用して2つの2mmの5182-Oアルミニウム合金に抵抗スポット溶接した後の溶接点の断面形状を示す。
【符号の説明】
【0023】
1-電極キャップ本体、11-電極取り付けチャネル、12-電極キャップ本体円周、2-側面、3-接触面、31-溶接面、32-円周、4-環状隆起、41-実施例2の1つの環状隆起、42-実施例2の別の環状隆起、43-溝、44-環状隆起横断面、45-環状隆起41側面に位置する点、46-環状隆起42側面に位置する点、5-溶接ガン、51-第1の溶接ガンアーム、52-第2の溶接ガンアーム、53-第1の溶接電極キャップ、54-第2の溶接電極キャップ、6,7-溶接ワークピース、8-溶接ワークピース6および7溶接ナゲットゾーン、9-ナゲット、-円周12の直径、-円周32の直径、-へこみが球面である場合の外径サイズ、-隣接する2つの環状隆起の間の距離、-環状隆起の幅、h-へこみの深さ、H-環状隆起突出の高さ。
【発明を実施するための形態】
【0024】
広範囲にわたる綿密な調査の結果、本発明者らは、多数の実験を通じて、アルミニウム合金の抵抗スポット溶接のための大きな溶接電流を必要とし、溶接スパッタが深刻で溶接強度が比較的低い、電極寿命が短いなどの問題を解決することができる接触面の中央にへこみを有する電極キャップを発見し、本発明はこれに基づいて完成した。
本発明は、具体的な実施例と併せて以下でさらに説明される。これらの実施例は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。また、図面は模式図であるため、本発明の装置及び設備は、前記模式図のサイズまたは比率によって制限されない。
【0025】
この特許の特許請求の範囲および明細書において、第1および第2などの関係用語は、あるエンティティまたは操作を別のエンティティまたは操作から区別するためにのみ使用され、これらのエンティティまたは操作間のそのような実際の関係または順序を必ずしも必要としないことに留意されたい。なお、用語「含む」、「包含」またはその任意の他の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図しているので、一連の要素を含むプロセス、方法、物品、またはデバイスは、それらの要素だけでなく、明示的にリストされていない他の要素も含まれ、またはこのプロセス、方法、物品、またはデバイスに固有の要素も含まれる。これ以上の制限がない場合、「1つを含む」というフレーズで定義される要素は、その要素を含むプロセス、方法、物品、またはデバイス内に他の同じ要素が存在することを除外しない。
【0026】
実施例1
図1~2に示されたように、本実施例の抵抗スポット溶接電極キャップは、おおよそ円筒形をなす電極キャップ本体1と、および電極と溶接金属材料の接触面3とを含む。本体1の一端には電極取り付けチャネル11が備えられ、他端には円周12が備えられる。接触面3は、溶接面31、円周32、へこみ33を含む。前記へこみ33は、接触面3の中央領域に位置する。前記電極キャップは、側面2をさらに含み、側面2は本体1の円周12が接触面3の円周32に遷移する遷移領域であり、側面2の形状は弧面であり、側面2は円錐であってもよいことに留意されたい。側面2が弧面である場合、弧面の曲率半径は電極キャップ本体1の円周半径以上であり、側面2が錐面である場合、錐面の傾斜角は0~90°であり、好ましくは、10~80°である。側面2の上面はへこみと接触する部位であり、下面は本体1と接触する部位である。説明すべきのは、円周12の直径と円周32の直径が同じである場合、側面2は電極キャップ本体1の一部となる。ここで説明すべきのは、円周12の直径は電極キャップ本体1の直径であり、円周12の半径は電極キャップ本体1の半径である。側面2はまた、他の適切な形状を有することができる。
【0027】
前記本体1の一端は、抵抗スポット溶接時に、抵抗スポット溶接機に連結される一端を指し、他端は、溶接ワークピース接触面に近い一端を指す。
別の好ましい実施例では、電極取り付けチャネル11の形状は、切頭円錐形または円筒形であり、電極取り付けチャネル11の形状はまたは、他の適切な形状であることができる。
【0028】
前記円周32と円周12は平行であり、円周32は、円周12が本体1に垂直した軸線に沿って上向きに平行移動した後に直径のサイズが変化した円周であり、円周32の円心と円周12の円心の連結線は本体1の軸線を一致し、円周32の直径は円周12の直径以下であることを理解できる。
【0029】
へこみ33は、接触面3の中央に掘られた特定の形状の穴として理解することができ、前記へこみ33の形状は弧面であり、または中央は平坦面で、環状溶接面31との接触部分は弧面であり、または中央は弧状のボスであり、溶接面31との接触部分は弧面である。へこみ33の深さは0.1~2mmであり、好ましくは、0.1~1.2mmである。ここでのへこみ33の深さは、へこみ33上部が溶接面31と接触する縁が位置する平坦面からへこみ33最も底部が位置する平坦面の垂直距離である。
【0030】
別の好ましい実施例では、へこみ33の形状は球面であり、へこみ33の形状が球面である場合、その外径は2~15mmであり、好ましくは、4~12mmである。
前記溶接面31は環状平坦面であり、または球の中心と電極キャップ本体が同じ側である環状球面であり、または球の中心と電極キャップが反対側である環状球面であり、または上向きに突出された環状弧面である。
前記球の中心と電極キャップ本体が同じ側、および球の中心と電極キャップ本体が反対側であるとは、溶接面31を臨界面とし、球の中心が電極キャップ本体1に近づく方向が電極キャップ本体の同じ側の方向であり、球の中心が電極キャップ本体1から離れる方向が電極キャップ本体の反対側の方向を指す。
【0031】
溶接面31が環状平坦面である場合、その外径範囲、すなわち円周32の直径は2~30mmであり、好ましくは5~20mmであり、溶接面31が環状球面である場合、溶接面31が位置する球の半径は10~100mmであり、溶接面31が上向きに突出された環状弧面である場合、弧の曲率半径は1~10mmであり、弧面の最高点と最低点が位置する平坦面の垂直距離は0.1~5mmである。
【0032】
図3~14は、溶接面31とへこみ33の形状を組み合わせた場合の
図1のA-A断面の断面図の各実施例を示した。
図1のA-A断面の断面図は、以下のいずれの組み合わせでもよい。例えば、溶接面は環状平坦面であり、へこみは球面(
図3)または溶接面は環状平坦面であり、へこみ底部は平坦面で、溶接面とは弧面で遷移(
図4)または溶接面は環状平坦面であり、へこみの中央は弧状のボスで、溶接面との連結部分が弧面で遷移(
図5)または溶接面は球の中心と電極キャップ本体が同じ側である環状球面であり、へこみは球面(
図6)または溶接面は球の中心と電極キャップ本体が同じ側である環状球面であり、へこみ底部は平坦面で、溶接面とは弧面で遷移(
図7)または溶接面は球の中心と電極キャップ本体が同じ側である環状球面であり、へこみの中央は弧状のボスで、溶接面との連結部分が弧面で遷移(
図8)または溶接面は球の中心と電極キャップ本体が反対側である環状球面であり、へこみは球面(
図9)または溶接面は球の中心と電極キャップ本体が反対側である環状球面であり、へこみ底部は平坦面で、溶接面とは弧面で遷移(
図10)または溶接面は球の中心と電極キャップ本体が反対側である環状球面であり、へこみの中央は弧状のボス、溶接面との連結部分が弧面で遷移(
図11)または溶接面は上向きに突出された環状弧面であり、へこみは球面(
図12)または溶接面は上向きに突出された環状弧面であり、へこみ底部は平坦面で、溶接面とは弧面で遷移(
図13)または溶接面は上向きに突出された環状弧面であり、へこみの中央は弧状のボスで、溶接面との連結部分が弧面で遷移(
図14)の形状であることができる。
【0033】
注意すべきのは、本発明の電極キャップは、任意の導電性および熱伝導性材料で作ることができ、例えば、銅クロム(CuCr)合金、銅クロムジルコニウム(CuCrZr)合金、アルミナ粒子を含む銅を含む銅合金、電極材料として使用できる他のさまざまな銅合金で作ることができ、前記アルミニウム合金は、変形アルミニウム合金または鋳造アルミニウム合金を含み、アルミニウム-マグネシウム合金、アルミニウム-シリコン合金、アルミニウム-マグネシウム-シリコン合金、アルミニウム-亜鉛合金、およびアルミニウム-銅合金などのアルミニウム合金のようなコーティングまたは非コーティング表面を有するアルミニウム合金基板を含む。また、その材料状態は、アニーリング、ひずみ強化、固液強化などのさまざまな焼き戻しを含む。アルミニウム基板の厚さは、一般に0.3mmから6.0mmの間、好ましくは0.5mmから3.0mmの間である。
【0034】
実施例2
本実施例の抵抗スポット溶接電極キャップは実施例1と類似するが、異なるのは本実施例の溶接面31またはへこみ33は、
図15~16に示したように、突出された環状隆起4を有し、隣接する2つの環状隆起の間では溝43が形成される。前記環状隆起4は、横断面44として特定の形状である平坦面を、電極キャップの中心軸を中心に1周回転して形成された環状構造として理解でき、ここで横断面44の下部は溶接面31と接触し、全体の横断面44は溶接面31と垂直する。前記電極キャップの中心軸は円周12の円心を通過し、円周12に垂直した直線である。注意すべきのは、前記環状隆起の数は2つに限定されず、必要に応じて1つまたは複数であり得る。
【0035】
図17~18に示したように、前記突出した環状隆起4は溶接面31で
図17および
図18に示されたような2つの突出方法があり、溶接面31に対する前記環状隆起4の突出された高さHは20~500umであり得る。ここでの突出された高さとは、溶接面31またはへこみ表面に垂直した方向における環状隆起4下部から最上部までの垂直距離Hを指す。2つの隣接する環状隆起の間の間隔によって形成される溝43の幅、すなわち2つの環状隆起の間の距離は50~3000umである。ここでの隣接する2つの環状隆起の間の溝43の幅とは、環状隆起を有する電極キャップの部分断面図が
図17に示したように、2つの隣接する環状隆起41、環状隆起42にそれぞれ位置する2つの点45と4点6との間の距離であり、点45と点46は環状隆起41と環状隆起42の隣接する2つの側面に位置し、2つの点の間の連結線は溶接面31に平行する。環状隆起の幅は200~3000μmであり得、またはより好ましくは500~2000μmである。ここでの環状隆起の幅とは、同じ環状隆起の2つの側面の2つの点の間の距離を指し、前記2つの点は環状隆起の同じ横断面に位置する。説明すべきのは、環状隆起の数が3以上である場合、隣接する2つの環状隆起の間の溝幅は同じであっても異なっていてもよく、各環状隆起の幅は同じであっても異なっていてもよい。
【0036】
図19~26に示したように、環状隆起横断面44の可能な形状と構造(aは横断面の下部、bは横断面の最上部、cは横断面の両側を表す)が示されており、横断面44の形状は以下の構造であり得る:両側は直線で、最上部は両側直線と接する円弧(
図19)または両側は対称的な曲線で、最上部は両側曲線と接する円弧(
図20)または最上部および両側の両方は直線(
図21)または両側は直線で、最上部は両側直線と交差する円弧(
図22)または両側は異なる曲線で、最上部は両側曲線に連結する曲線(
図23)または両側は対称的な曲線で、最上部は直線(
図24)または一側は直線で、他側は曲線で、最上部は曲線または直線(
図25)または全体の横断面はが半円形(
図26)である。注意すべきことは、上記の環状隆起の横断面構造は、いくつかの好ましい構造にすぎず、環状隆起の断面形状に適した他の構造も使用できることである。
【0037】
図27~35に示したように、溶接面31とへこみ33の形状が異なる場合、環状隆起が溶接面31とへこみ33に位置する状況を示し、説明すべきことは、図は、環状隆起が溶接面とへこみでのいくつかの好ましい位置のみを示し、環状隆起は溶接面31のみ、またはへこみ33のみ、または溶接面31およびへこみ33の両方に位置することができ、溶接面31およびへこみ33に位置される環状隆起の数は使用状況に応じてランダムに選択できるということである。
【0038】
実施例3
本実施例は、本発明電極キャップ溶接アルミニウム合金ワークピースの装置およびプロセスを開示し、
図36に示したように、5は第1のアルミニウム合金ワークピース6および第2のアルミニウム合金ワークピース7を連結するための抵抗スポット溶接に使用できる溶接位置8の溶接ガンであり、溶接ガン5は、第1の溶接ガンアーム51、第2の溶接ガンアーム52、第1の溶接電極キャップ53および第2の溶接電極キャップ54を含む。第1のアルミニウム合金ワークピース6および第2のアルミニウム合金ワークピース7は、アルミニウム-マグネシウム合金、アルミニウム-シリコン合金、アルミニウム-マグネシウム-シリコン合金、またはアルミニウム-銅合金などのアルミニウム合金で構成され、アルミニウム合金ワークピースの厚さは0.5~3mmである。より好ましくは、アルミニウム合金ワークピースは厚さ2.0mmの5182-Oアルミニウム合金であり得る。溶接時に、アルミニウム合金ワークピースは、2つ(例えば、6と7のみ)であっても、2つ以上の組み合わせであってもよく、各アルミニウム合金ワークピースの厚さは同じであっても異なってもよい。説明すべきことは、本明細書で使用される用語「ワークピース」とは、金属シート層、突起部、鋳造物および抵抗スポット溶接できる他のアルミニウム合金部品または鋼およびマグネシウム合金ワークピースを指すということである。溶接ガンアーム51、52は通常、より大きな自動溶接操作の一部であり、一般にCタイプ、Xタイプ、およびその他のタイプの構造形状を含み、通常、当技術分野でよく理解されているロボットまたは自動コンポーネントによって実現される。
【0039】
第1の溶接ガンアーム51および第2の溶接ガンアーム52には、実施例1および実施例2に記載されたように取り付けられた第1の溶接電極キャップ53および第2の溶接電極キャップ54を備えている。スポット溶接時に、電極キャップ53、54がワークピース6、7に精密に張り付けるように、溶接ガンアームは操作され、溶接ガンアームおよび電極キャップを介してやつ力及び電流を伝導し、ワークピース6、7の張り合い部位8を溶融し、スポット溶接継手が形成されるようにする。2つの電極キャップ53、54は、実施例1および実施例2に記載の様々な構造を有し得、53および54の構造は、同じであっても異なってもよい。
【0040】
図37は、本発明の実施例1の電極キャップを使用して溶接する時の溶接初期の1つの横断面模式図を示す。電極53、54は、同じ構造サイズを有し、溶接時に溶接ガンは溶接面31を介して圧力及び電流を伝導し、2層の金属材料6、7の接触部分が環状電極作用を受ける領域は抵抗熱を発生し、それによりナゲット9を形成し、次いで環状溶融池を形成する。2層の金属ワークピースの外側が最初に接触し、接触部分が環状電極作用を受ける領域は抵抗熱を発生し、それに環状溶融池を形成し、溶接時間の延長と中央領域の緩やかな接触により、環状溶融池は熱伝導の作用で中央に向かって成長し、へこみに対応する2つの金属ワークピースの中央領域の面積(溶接点の内側)が比較的に小さく、電極キャップに接触していないため、熱は外側に集中し、接触領域の金属材料の溶融と塑性変形により、電極中央のくぼみに向けて押して展開し、次に中央に新しい接触面が生成され、新しい接触面に抵抗熱が発生してリングになり、溶融池はリングの中心に向かって成長し、新しい接触面に抵抗熱が発生して、環状溶融池が環状中央に向かって成長し、次にへこみに対応する2つの金属材料の接触部分がナゲットを形成するようにし、溶接を完了した。へこみの存在により、本発明の電極キャップは金属ワークピースとの初期接触面積が減少し、全体の発熱が集中し、熱放散が遅くなり、溶接が進むにつれて、接触面積が大きくなり、熱放散が速くなる。したがって、普通の電極キャップと比較して、同じサイズの溶接点を形成するために必要な溶接電流が減少し、電力コストが節約され、電極の寿命が向上される。なお、最初に環状溶融池が形成されるため、中央のへこみが存在すると、環状溶融池が外側から内側に向かって成長し、普通の電極キャップ溶融池が内側から外側に向かって成長するのとは逆に、
可塑性となった金属材料は、圧力と電流の作用下で電極中央のへこみ領域に向かって圧迫され、溶接点の端での気孔、スパッタの発生、および溶接変形を回避するのに役立ち、それによってナゲットの直径を大きくし、溶接点の強度を向上させる。
【0041】
環状隆起が存在する場合、接触時に、環状隆起は可以刺破アルミニウム合金表面の酸化膜を貫通することができ、それによって接触抵抗を減少し、接触面積を増大し、熱放散を高め、それによって電極溶接面とアルミニウム合金プレートの接触面の熱を減少することにより、電極の寿命を向上させる。
図38は、本発明の実施例2の電極キャップを使用して溶接した時の溶接初期の1つの横断面模式図を示す。溶接原理は、
図37の溶接原理と類する。
【0042】
実施例4
図39は、普通の電極キャップを使用して、2つの2mm颯佐の5182-Oアルミニウム合金に抵抗スポット溶接した後の溶接点の断面形状を示す。図から分かるように、ナゲットの直径はわずか6.08mmであり、内部に明らかな収縮欠陥が存在し、スパッタが深刻で、エッジ溶接変形が大きく、これにより、溶接点強度の低下をもたらした。
【0043】
実施例5
図40は、本発明の実施例1の電極キャップを使用し、かつ実施例3の溶接装置および溶接原理を採用して2つの2mm厚さの5182-Oアルミニウム合金に抵抗スポット溶接した後の2つのアルミニウム合金溶接点の断面形状を示す。図から分かるように、ナゲットの直径は8.23mmに達し、内部に明らかな溶接欠陥がなく、スパッタが発生せず、溶接点のエッジに明らかな変形がなく、これにより、溶接点の強度が大幅に向上した。
【0044】
本発明は、好ましい実施例において上記のように開示されたが、本発明を限定することを意図するものではない。当技術分野の当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な同等の変更または置換を行うことができ、すべてが本発明の保護範囲に属する。したがって、本発明の保護範囲は、本出願の添付の特許請求の範囲によって定義される範囲に従うものとする。