(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-04
(45)【発行日】2023-04-12
(54)【発明の名称】UVフィルタリングを備えるフォトポリマーフィルム
(51)【国際特許分類】
B41C 1/00 20060101AFI20230405BHJP
【FI】
B41C1/00
(21)【出願番号】P 2021545379
(86)(22)【出願日】2020-02-11
(86)【国際出願番号】 US2020017629
(87)【国際公開番号】W WO2020167740
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-08-03
(32)【優先日】2019-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506314391
【氏名又は名称】マクダーミッド グラフィックス ソリューションズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】ロシェリ、アルバート ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ヘイウッド、ニゲル
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0097889(US,A1)
【文献】特表2002-533761(JP,A)
【文献】特開2004-264818(JP,A)
【文献】特開2009-297871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41C 1/00-3/08
C09D 11/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体フォトポリマーの1つ以上の層を化学線
源に画像露光する工程の間、液体フォトポリマーの前記1つ以上の層の非画像領域をマスキングすることができる画像フィルムネガを作り出す方法であって、
a)前記画像フィルムネガ上の画像のネガを含む画像フィルムネガを提供する工程であって、
前記画像の前記ネガが第1のインクで印刷され、前記画像の前記ネガが不透明領域のパターンを含む、提供する工程と、その後、
b)前記不透明領域のパターンによって被覆されていない前記画像フィルムネガの部分上にフィルタリング層をインクジェット印刷する工程であって、
前記フィルタリング層が第2のインクで印刷され、前記画像フィルムネガの前記部分が、
液体フォトポリマーの1つ以上の層を化学線源に画像露光する露光工程において
変調された強度
の化学線に露光された部分を含む、インクジェット印刷する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記画像の前記ネガが、レーザを使用してバッキング層上にコーティングされたUV不透過性材料を選択的に除去することと、直接印刷することと、からなる群から選択される方法によって、又はイメージセッターを使用してハロゲン化銀コーティングされたプラスチックフィルムを露光することによって、作り出される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記画像の前記ネガが、レーザプリンタ又はインクジェットプリンタを使用して直接印刷することによって、作り出される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
a)前記画像フィルムネガを、液体フォトポリマー露光ユニット中に取り付ける工程と、
b)前記画像フィルムネガの上に、液体フォトポリマーの1つ以上の層をキャストする工程と、
c)液体フォトポリマーの前記1つ以上の層の上にバッキング層を置く工程と、
d)液体フォトポリマーの前記1つ以上の層を、前記画像フィルムネガを介して化学線
源に露光して、前記ネガ
の不透明部分によって被覆されていない液体フォトポリマーの前記1つ以上の層を、選択的に架橋及び硬化させる工程と、を更に含み、
前記フィルタリング層が、前記化学線の強度を変調する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記フィルタリング層
の第2のインクが、UV吸収染料インク
であり、前記UV吸収染料インクが、
インクジェット印刷後の前記露光工程において、化学線源のUV光強度の約10~約80%を吸収することができる配合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
液体フォトポリマーの前記1つ以上の層が、約0.15インチ未満の全厚を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
液体フォトポリマーの前記1つ以上の層が、約0.10インチ未満の全厚を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
液体フォトポリマーの前記1つ以上の層が、約0.075インチ未満の全厚を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
変調された強度の化学線
源に露光された前記部分が、
1%~5%ドット及び細線を含む部分を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
化学線
源が複数の個々の光源を含み、前記フィルタリング層が、前記複数の個々の光源によって発せられる全体的な光を平衡化させるために前記個々の光源の強度を変調する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
化学線
源が複数の個々の光源を含み、前記フィルタリング層が、前記複数の個々の光源によって発せられる全体的な光を平衡化させるために前記個々の光源の強度を変調する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
工程b)の前に、前記画像フィルムネガの上に固体キャップを適用する工程を更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項13】
工程d)の前に、前記バッキング層を介して液体フォトポリマーの前記1つ以上の層をバック露光して、前記バッキング層に隣接する液体フォトポリマーの前記1つ以上の層においてフロア層を作り出す工程を更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項14】
前記バッキング層上にフィルタリング層をインクジェット印刷して、前記バック露光
をする工程で使用される前記1つ以上の化学線源の強度を変調し、それにより一貫したフロア層が作り出される工程を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
液体フォトポリマーの1つ以上の層を化学線
源に画像露光する工程の間、液体フォトポリマーの前記1つ以上の層の非画像領域をマスキングすることができる画像フィルムネガを作り出す方法であって、
a)画像フィルムネガ上の画像のネガをインクジェット印刷する工程であって、
前記画像の前記ネガが第1のインクで印刷され、前記画像の前記ネガが不透明領域のパターンを含む、インクジェット印刷する工程と、
b)前記不透明領域のパターンによって被覆されていない前記画像フィルムネガの部分上にフィルタリング層をインクジェット印刷する工程であって、
前記フィルタリング層が第2のインクで印刷され、前記画像フィルムネガの前記部分が、
液体フォトポリマーの1つ以上の層を化学線源に画像露光する露光工程において
変調された強度
の化学線に露光された部分を含む、インクジェット印刷する工程と、を含む、方法。
【請求項16】
a)前記画像フィルムネガを、液体フォトポリマー露光ユニット中に取り付ける工程と、
b)前記画像フィルムネガの上に、液体フォトポリマーの1つ以上の層をキャストする工程と、
c)液体フォトポリマーの前記1つ以上の層の上にバッキング層を置く工程と、
d)液体フォトポリマーの前記1つ以上の層を、前記画像フィルムネガを介して化学線
源に露光して、前記ネガ
の不透明部分によって被覆されていない液体フォトポリマーの前記1つ以上の層を、選択的に架橋及び硬化させる工程と、を更に含み、
前記フィルタリング層が、前記化学線の強度を変調する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記フィルタリング層
の第2のインクが、UV吸収染料インク
であり、前記UV吸収染料インクが、
インクジェット印刷後の前
記露光工程において、化学線源のUV光強度の約10~約80%を吸収することができる配合物を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記画像の前記ネガを前記画像フィルムネガ上に印刷するために使用される前記インクが、前記フィルタリング層を前記画像フィルムネガ上に印刷するために使用される前記インクとは異なる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
液体フォトポリマーの前記1つ以上の層が、約0.15インチ未満の全厚を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
液体フォトポリマーの前記1つ以上の層が、約0.10インチ未満の全厚を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
液体フォトポリマーの前記1つ以上の層が、約0.075インチ未満の全厚を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
変調された強度の化学線
源に露光された前記部分が、
1%~5%ドット及び細線を含む部分を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
化学線
源が複数の個々の光源を含み、前記フィルタリング層が、前記複数の個々の光源によって発せられる全体的な光を平衡化させるために前記個々の光源の強度を変調する、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
化学線
源が複数の個々の光源を含み、前記フィルタリング層が、前記複数の個々の光源によって発せられる全体的な光を平衡化させるために前記個々の光源の強度を変調する、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
工程b)の前に、前記画像フィルムネガの上に固体キャップを適用する工程を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
工程d)の前に、前記バッキング層を介して液体フォトポリマーの前記1つ以上の層をバック露光して、前記バッキング層に隣接する液体フォトポリマーの前記1つ以上の層においてフロア層を作り出す工程を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項27】
前記バッキング層上にフィルタリング層をインクジェット印刷して、前記バック露光
をする工程で使用される前記1つ以上の化学線源の強度を変調し、それにより一貫したフロア層が作り出される工程を更に含む、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、フォトポリマー印刷要素、特に、液体フォトポリマーから作製されたフォトポリマー印刷要素のコピー又は階調の範囲を改善する方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
フレキソ印刷は、一般的に大量部数のために使用される印刷方法である。フレキソ印刷は、紙、板紙ストック、段ボール、フィルム、フォイル、及びラミネートなどの様々な基材に印刷するために採用される。新聞及び買い物袋は、顕著な例である。粗い表面及び延伸性のフィルムは、フレキソ印刷によってのみ経済的に印刷することができる。
【0003】
感光性印刷要素は、概して、支持層と、1つ以上の感光性層と、任意選択のスリップフィルム剥離層と、任意選択の保護カバーシートと、を含む。保護カバーシートは、使用準備が整うまでプレート又は光硬化性要素を損傷から保護することができる、プラスチック又は任意の他の取り外し可能な材料から形成される。使用される場合、スリップフィルム剥離層は、典型的には、保護カバーシートと光硬化性層(複数可)との間に配置されて、汚染からプレートを保護し、取り扱いの容易さを増加させ、インク受容層として機能する。露光及び現像の後、フォトポリマーフレキソ印刷版は、フロア層によって支持され、バッキング基材に固定された様々な画像要素からなる。
【0004】
フレキソ印刷版は、広範な条件下で良好に機能することが極めて望ましい。例えば、印刷版は、厚紙、コーティング紙、新聞、カレンダー紙、及びポリプロピレンなどの高分子フィルムを含む広範囲の基材にそれらのレリーフ画像を付与することができるべきである。重要なことに、プリンタが作製しようとしている多くの印刷のために、画像は、迅速かつ忠実に転送されるべきである。
【0005】
フレキソ印刷版に課される要求は多い。例えば、フレキソ印刷パテ(printing pate)は、印刷シリンダの周りを包むのに十分な可撓性を有していなければならないが、典型的な印刷プロセスの間に経験される過酷な状況に耐えるのに十分な強度が必要である。印刷版は、印刷中のインクの転送を促進するために、低硬度を呈するべきである。印刷版の表面は、保管中に寸法的に安定であることも重要である。加えて、印刷版はまた、フレキソ印刷で典型的に使用される水系又はアルコール系インクに対して耐薬品性を有するレリーフ画像も有していなければならない。最後に、印刷要素の物理的特性及び印刷特性が安定であり、印刷中に変化しないことも非常に望ましい。
【0006】
フレキソ印刷要素は、様々な方法によって、例えば、シート状ポリマーによって、及び液体フォトポリマー樹脂の加工によって、製造することができる。
【0007】
シート状ポリマー印刷版の生成は、例えば、Recchiaへの米国特許第8,158,331号に記載されており、その主題は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。光硬化性材料は、典型的には、エラストマー化合物、少なくとも1つの末端エチレン基を有するエチレン性不飽和化合物、及び光開始剤を含み、その例は、Gossらへの欧州特許出願第0456336(A2)号及び同第0640878(A1)号、英国特許第1,366,769号、Berrierらへの米国特許第5,223,375号、MacLahanへの米国特許第3,867,153号、Allenへの米国特許第4,264,705号、全てChenらへの米国特許第4,323,636号、同第4,323,637号、同第4,369,246号、及び同第4,423,135号、Holdenらへの米国特許第3,265,765号、Heinzらへの米国特許第4,320,188号、Gruetzmacherらへの米国特許第4,427,759号、Minへの米国特許第4,622,088号、並びにBohmらへの米国特許第5,135,827号に記載されており、それらの各々の主題は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。2つ以上の光硬化性層を使用してもよい。
【0008】
液体フォトポリマー樹脂から作製されたフレキソ印刷要素は、未硬化の樹脂を印刷要素の非画像領域から回収し、追加の印刷版を作製するために使用することができるという点で、シート状ポリマーよりも優れている。液体フォトポリマー樹脂は、シート状ポリマーと比較して可撓性の点で更なる利点を有し、これにより、機械設定を変更するだけで、任意の必要な版ゲージの生成を可能にする。
【0009】
例えば、Battistiらへの米国特許公開第2012/0082932号、Maneiraへの米国特許公開第2014/0080042号、Kojimaらへの米国特許第5,213,949号、Strongらへの米国特許第5,813,342号、Longらへの米国特許公開第2008/0107908号、
及びGushへの米国特許第3,597,080号に記載されているように、液体フォトポリマー樹脂から印刷版を生成するために様々なプロセスが開発されており、それらの各々の主題は参照にその全体が本明細書に組み込まれる。
【0010】
液体製版プロセスにおける典型的な工程は、
(1) キャスティングと、
(2) 回収と、
(3) 洗浄と、
(4) 後露光と、
(5) 乾燥と、
(6) 不粘着化と、を含む。
【0011】
キャスティング及び露光工程では、所望のレリーフ画像のネガを底部ガラスプラテン上に置き、露光ユニット中のネガの上にカバーフィルムを置く。露光ユニットは、概して、底部ガラスパテンより下に1つ以上のUV光源(下部光)を有する底部ガラスパテン(bottom glass paten)と、蓋の上に1つ以上のUV光源(上部光)を有する平らな頂部ガラスプラテンを有する蓋と、を含む。
【0012】
次いで、真空によって空気を全て除去し、それによってネガ又はカバーフィルムのいずれのしわも排除することができる。加えて、底部ガラスプラテンは、カバーフィルムとネガとの間のあらゆる空気を更に除去するために溝付きであってもよい。その後、液体フォトポリマーの1つ以上の層及びバッキングシート(すなわち、ポリエステル又はポリエチレンテレフタレートの薄層)を、カバーフィルム及びネガの頂部に所定の厚さまでキャストする。液体フォトポリマーと結合するために片面をコーティングすることができるバッキングシートを、キャストされた液体フォトポリマー層の上にラミネートして、露光後のプレートの裏面として機能させる。
【0013】
上部光及び下部光を使用して、フォトポリマーを化学線に露光させて、ネガに覆われていない領域中の液体フォトポリマー層を選択的に架橋及び硬化させる。上部光は、レリーフの深さ(すなわち、バック露光)を設定する印刷版のフロア層を作り出すために使用される一方で、下部光は、フォトポリマーを、ネガを介して化学線に面露光して、レリーフ画像を作り出すために使用される。プレートゲージは、保護された底部露光ガラス上に液体フォトポリマーを分配した後に、底部露光ガラスから所望の距離に頂部露出ガラスを配置することによって、設定することができる。
【0014】
上部光を所定の時間オンにして、フォトポリマーを基材に隣接させてプレートの表面全体にわたって均一に架橋させ、フロア層を形成する。その後、画像化される領域を、下部光からの(すなわち、底部ガラスプラテンを介して)化学線に露光する。化学線は、ネガの透明な領域を介して輝き、それにより、フォトポリマーはそれらの領域で架橋し、フロア層に結合するレリーフ画像を形成する。下部光源に露光されない液体フォトポリマー(すなわち、未硬化のフォトポリマー)は、液体状態のままであり、回収及び再利用することができる。
【0015】
露光が完了した後、印刷版を露光ユニットから取り除く。化学線に露光されていない全領域において、樹脂は、露光後に液体のままであり、その後、回収され得る。この「回収」工程は、印刷版の表面上に残っている液体フォトポリマーを、スクィージング、バキューミング、又は別の方法で除去することを伴うことができ、それにより、フォトポリマー樹脂の材料コストが節約されるだけでなく、現像する化学物質の使用及びコストが低減され、より安全で取り扱いが容易な軽量プレートを作製する。
【0016】
回収工程後に残っている液体樹脂の任意の残留痕跡を、ウォッシュアウト溶液を使用するノズル洗浄又はブラシ洗浄によって除去して、ウォッシュアウトしたプレートを取得し、硬化したレリーフ画像を残すことができる。典型的には、プレートは、石鹸及び/又は洗剤を含む水溶液が、任意の残留する未露光のフォトポリマーを洗い流すために使用されるウォッシュアウトユニット中に置かれる。現像後に、硬化光重合樹脂で形成されたレリーフ画像が取得される。硬化樹脂は、ある特定のインクに同様に不溶性であり、フレキソ印刷で使用可能である。
【0017】
ウォッシュアウト工程が完了した後、印刷版は、様々な後露光工程及び不粘着化工程に供され得る。例えば、後露光は、プレートを水及び塩溶液に浸漬することと、化学線(UV光)に対する印刷版の追加の露光を実施して、印刷版を完全に硬化させ、プレート強度を増加させることと、を伴うことができる。次いで、プレートに熱風を吹き付けることによって、赤外線ヒータを使用することによって、又は印刷版を後露光オーブン中に置くことによって、印刷版を、すすぎ、乾燥させることができる。
【0018】
使用される場合、不粘着化工程は、完全に非粘着性のプレート表面を確実にするために殺菌ユニット(すなわち、ライトフィニッシャー)の使用を伴うことができる。特定の樹脂は非粘着性であり、したがって、不粘着化工程を必要とせずに印刷機の準備を整えることができるため、この工程は全てのプレートに必要とされるわけではない。
【0019】
液体フォトポリマー組成物は、例えば、Plambeckへの米国特許第2,760,863号、Ibataらへの米国特許第3,960,572号及び同第4,006,024号、Pohlへの米国特許第4,137,081号、同第4,174,218号、並びに同第4,442,302号、Klingerへの米国特許第4,857,434号、及びHuangへの米国特許公開第2003/0152870号に記載されており、それらの各々の主題は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0020】
バッキングシート、少なくとも1つの液体フォトポリマー層、固体光硬化性層、及び写真ネガの保護のための任意選択のカバーシート層を含む、固体キャップされた液体フォトポリマー印刷要素を作製することもできる。固体キャップされた液体フォトポリマー印刷要素は、例えば、Kumpfmillerらへの米国特許第5,976,765号に記載されており、その主題は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0021】
フレキソ印刷要素を使用することによって生成される画像は、概して、ベタ画像領域及び様々なグレートーン領域の両方を含む。「ベタ領域」とは、所与の基材材料上でインクが生成することができる最高の濃度を有するインクによって領域が完全に被覆されていることを意味している。「グレー領域」とは、印刷画像の外観がインクの完全な非存在(すなわち、純粋な白色)とベタとの中間の濃度のものである画像領域であることを意味している。これらのグレー領域は、徐々に大きくなる表面積の単位面積当たりの複数のレリーフ表面積を使用して、異なる印刷濃度の錯覚を生成する「ハーフトーニング」のプロセスによって生成される。中間調パターンは、印刷要素上に再現されるドットのネガティブパターンを含むマスク又はフィルム画像ネガを使用して生成される。
【0022】
レリーフ画像印刷要素の表面品質及び特性は、印刷のための重要な属性である。1%~5%ドット(%は印刷プロセス中に印刷インクで被覆された紙の量を指す)を含む、ハイライトドットなどのより小さい特徴を保持又は完全に硬化させて、高品質の印刷画像を生成させるためには、長時間の露光時間が必要であり得る。しかしながら、この過剰露光は、リバースライン又は影領域を塗りつぶす傾向を有し、それは画像品質の劣化をもたらす可能性がある。
【0023】
「露光ラチチュード」又は「画像ラチチュード」という用語は、無視することができるほどの画質劣化だけで、印刷要素を過剰露光することができる程度を指している。露光ラチチュードはまた、低光量スループットフィーチャー、例えば1~2%ドットと、高光量スループットフィーチャー、例えば4ミルのリバースラインとを、フレキソレリーフ画像印刷要素上に同時に画像化する能力として定義することもできる。より大きな露光ラチチュードを有するレリーフ画像印刷要素は、画像露光中に使用される実際の露光時間に対してより寛容的であるため、望ましい。
【0024】
厚い、波形の液体プレートの生成は、微細なポジコピーと同時にオープン微細リバース(open fine reverse)を保持する問題を常に有していた。加えて、プレート粘着性の低減を呈するいくつかのポリマー配合物は、粘着性の目標を達成するために、画像ラチチュードをやや犠牲にする傾向を有する。
【0025】
画像ラチチュードを改善するための様々な方法が提案されてきた。例えば、画像ラチチュードを改善するための1つの方法は、高品質の銀画像フィルムの使用を含む。別の選択肢は、光散乱を低減することによって、逆忠実度(reverse fidelity)及び画像ラチチュードを維持するために、薄いゲージの超クリアな配向ポリプロピレン(OPP)カバーフィルムを使用することであった。しかしながら、これらの方法の両方を一緒に使用するときであっても、結果は依然として限定されている。加えて、多くの段ボールの顧客は、インクの転送をより良好にするためにプレート上にテクスチャ表面を作り出すために、マット仕上げフィルムを好む。更に、70ゲージのOPPフィルムは、生成中に製版を遅くし、挫折させる傾向を有する平坦性及びゲージバンドの問題で評価が低い。銀フィルム及び超高品質カバーフィルムの両方の一貫した供給を提供することも困難であり得る。したがって、最良の液体フォトポリマーと一緒に使用されるときであっても、キャップされていないプレートの画質は不良であり得る。
【0026】
高品質のキャップ樹脂と一緒に最良の液体フォトポリマー材料を使用することにより、印刷要素中に広範な画像ラチチュードを生成することができる。しかしながら、キャッピングプロセスは、その複雑さにより、特に、顧客が別個のキャッピングマニホールドに投資していない場合は、評価が低い。キャップされたプレートはまた、ベタ領域において被覆の問題を生じさせ得る。いくつかの場合では、汚れた印刷及びピッキングを含む他の印刷欠陥も報告されている。
【0027】
波形製版のために配合された液体フォトポリマー樹脂は、市場の大部分を占めるため、最も一般的には厚い(例えば、少なくとも約0.250インチ)プレートを迅速に作製するように設計される。このタイプのプレートは、フロアの厚さが急速にビルドアップするため典型的には「高速」製品と称されるが、均一性は制限される。一時は、多くの顧客は、単純なコピーを有する厚いプレートのためにのみ液体フォトポリマー樹脂を使用し、これらの高速フォトポリマーは良好に機能した。しかしながら、液体アイランドプレートの固有のより低いコストにより、顧客は液体でより広範囲のコピーを作製することをますます望んでいる。顧客はまた、より薄いプレートを作製することも望んでいる。しかしながら、薄いプレートとより困難なコピーとの組み合わせは、第2の薄いプレート配合物、又はそのコピー範囲を拡張することが可能な高速配合物を作製することを試みることができる一連の他の方法のいずれかを必要とする。
【0028】
液体フォトポリマーからより薄い印刷版を作製する際の別の問題は、画像領域全体にわたって均一であるように、フロアのビルドアップを制御する必要性に関するものである。厳密なフロア制御によってのみ、微細なポジコピーは、微細リバースの過剰露光なしで、保持することができる。
【0029】
近年、インクジェット印刷は、フレキソ版生成のための画像フィルムネガを作製するための実行可能な選択肢となっている。標準的な手順は、非画像領域中の全ての画像硬化を遮断するために、UV不透明インクのみを使用することである。画像領域は、画像堆積時に塗布されたインク又はコーティングを有していない。この方法論は、主に線状画像を含む低解像度の波形コピーのために銀フィルムの合理的な代替をもたらす。
【0030】
しかしながら、インクジェットプリンタ、インク、及び基材の直近の世代であっても、スクリーン線数が1インチ当たり55ラインを超えると、5%未満の画像に値するネガスクリーンドットを生成することは困難である。問題は、小さなドットは非常に長い露光を必要とし、逆に塗りつぶされる傾向がある。
【0031】
露光ユニット中の光を平衡化し、画像に値する微細な特徴を生成するために、プレートごとに手動で様々な技術が利用されてきた。これらの技術の多くは、所与の顧客の場所で入手可能なあらゆる材料を用いて、いくぶん無計画な仕方で実施されてきた。これらのアプローチに伴う明らかな問題は、ばらつきが大きく、簡単に再現できないことである。
【0032】
1つの技術は、逆領域(reverse area)を黄色又は赤色の染料で手動によって染色して、UV強度の一部をフィルタで除去し、逆硬化線量を選択的に低減し、逆の忠実度を改善することを伴う。しかしながら、この手動プロセスは複雑であるため、多くの顧客はこの実施を中止している。追加的に、この手動による適用は、限定されたコピーで機能するが、非常に遅く、かなりの技能が必要である。
【0033】
別の技術は、形状へと切断され、フィルタとして使用されるクリアなフィルムのシートを使用する。他の例では、フィルタチューブは、化学線源(例えば、蛍光ランプ)の少なくとも一部の上に設置されている。追加的に、強度を高めるために、化学線源の弱い領域に反射テープ又は研磨された金属反射板が設置されてきた。
【0034】
本発明の発明者は、液体フォトポリマー印刷要素のコピー範囲を拡張するための、より自動化され、かつ再現可能なアプローチを提供することが望ましく、それにより、広い画像生成が、より容易になり、より信頼できることを発見した。加えて、光硬化性印刷版前駆体からのレリーフ印刷版を調製するために信頼性が高く効率的であり、かつドットゲイン及び/又は画像解像度に悪影響を及ぼすことなく、基材へのインクの転送を改善するレリーフ構造を有するレリーフ印刷版を生成することができる改善された方法に対する当該技術分野のニーズは依然として存在する。また、微細な印刷要素及びハイライトドットを印刷することを含む、完全な色調範囲を印刷することができ、かつ改善された印刷品質を提供する、レリーフ画像印刷版を生成することも望ましい。
【0035】
液体製版プロセスに改善を提供することは、本発明の目的である。
【0036】
液体フォトポリマー印刷版のコピー範囲を拡張することは、本発明の別の目的である。
【0037】
拡張されたコピー範囲を有する液体フォトポリマーから作製されたより高品質の薄いプレートを提供することは、本発明の更に別の目的である。
【0038】
広い画像生成を容易にし、より信頼性が高く、再現可能にすることは、本発明の更に別の目的である。
【0039】
液体製版プロセスにおいて光を平衡化する改善された方法を提供することは、本発明の更に別の目的である。
【0040】
その目的のために、一実施形態では、本発明は、概して、液体フォトポリマーの1つ以上の層を化学線に対して画像露光する工程の間、液体フォトポリマーの1つ以上の層の非画像領域をマスキングすることができる画像フィルムネガを作り出す方法に関し、方法は、
a)画像フィルムネガ上の画像のネガを含む画像フィルムネガを提供する工程であって、画像のネガが不透明領域のパターンを含む、提供する工程と、その後、
b)不透明領域のパターンによって被覆されていない画像フィルムネガの部分上にフィルタリング層をインクジェット印刷する工程であって、画像フィルムネガの部分が後続の露光工程において化学線の強度を変調することが望ましい部分を含む、インクジェット印刷する工程と、を含む。
【0041】
別の実施形態では、本発明は、概して、液体フォトポリマーの1つ以上の層を化学線に対して画像露光する工程の間、液体フォトポリマーの1つ以上の層の非画像領域をマスキングすることができる画像フィルムネガを作り出す方法に関し、方法は、
a)画像フィルムネガ上の画像のネガをインクジェット印刷する工程であって、画像のネガが不透明領域のパターンを含む、インクジェット印刷する工程と、
b)不透明領域のパターンによって被覆されていない画像フィルムネガの部分上にフィルタリング層をインクジェット印刷する工程であって、画像フィルムネガの部分が後続の露光工程において化学線の強度を変調することが望ましい部分を含む、インクジェット印刷する工程と、を含む。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本明細書で使用するとき、「1つ(a)」、「1つ(an)」、及び「その(the)」は、文脈がそうでない旨を明確に指示しない限り、単数及び複数の両方の指示対象を指す。
【0043】
本明細書で使用するとき、「約」という用語は、パラメータ、量、持続時間などの測定可能な値を指し、具体的に列挙された値の、及びその値からの、+/-15%以下の変動、好ましくは+/-10%以下の変動、より好ましくは+/-5%以下の変動、更により好ましくは+/-1%以下の変動、及びまた更により好ましくは+/-0.1%以下の変動を、そのような変動が本明細書に説明される本発明で実施するために適切である限り、含むことを意味する。更に、修飾語「約」が指す値は、それ自体が本明細書に具体的に開示されていることも理解されたい。
【0044】
本明細書で使用するとき、「下(beneath)」、「下方(below)」、「下側(lower)」、「上方(above)」、「上側(upper)」などのような空間的に相対的な用語は、図で示されるように、別の要素(複数可)又は特徴(複数可)に対する1つの要素又は特徴の関係を説明するための説明を容易にするために使用される。空間的に相対的な用語は、図内に図示される配向に加えて、使用中又は動作中のデバイスの異なる配向を包含することが意図され得る。例えば、図中のデバイスが裏返される場合、他の要素又は特徴部の「下方」又は「下」として記載される要素は、次いで、他の要素又は特徴部の「上方」に配向されることになる。それゆえ、「下方」という例示的な用語は、上方及び下方の配向の両方を包含する可能性がある。デバイスは、(90度で又は他の配向で回転させて)別様に配向されてもよく、及び空間的に相対的な記述子はそれに応じて解釈されて本明細書で使用されてもよい。「前部(front)」及び「後部(back)」という用語は、限定することを意図するものではなく、適切な場合に交換可能であることが意図されていることが更に理解される。
【0045】
本明細書で使用するとき、「含む(comprises)」及び/又は「含む(comprising)」という用語は、記載された特徴、整数、工程、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を除外しない。
【0046】
本発明は、概して、液体フォトポリマーの1つ以上の層を化学線に対して画像露光する工程の間、液体フォトポリマーの1つ以上の層の非画像領域をマスキングすることができる画像フィルムネガを作り出す方法に関する。
【0047】
一実施形態では、方法は、
a)画像フィルムネガ上の画像のネガを含む画像フィルムネガを提供する工程であって、画像のネガが不透明領域のパターンを含む、提供する工程と、
b)不透明領域のパターンによって被覆されていない画像フィルムネガの部分上にフィルタリング層をインクジェット印刷する工程であって、画像フィルムネガの部分が後続の露光工程において化学線の強度を変調することが望ましい部分を含む、インクジェット印刷する工程と、を含む。
【0048】
液体フォトポリマーの少なくとも1つの層を画像露光する工程で使用される画像フィルムネガを作り出す工程の間に、約1%~5%のネガスクリーンドットなどの小さなドット及び細線を含む最精細な画像コピーを保持するために必要とされる長時間露光の間に過剰露光を受ける画像の領域における画像フィルムネガにUVフィルタリング層を追加する。
【0049】
画像フィルムネガは、例えば、従来の写真法、並びにイメージセッター(すなわち、レーザプリンタ)及びインクジェットプリンタなどのコンピュータ制御フィルム露光デバイスを含む様々な方法によって生成することができる。例えば、画像のネガは、レーザを使用してバッキング層上にコーティングされたUV不透過性材料を選択的に除去することと、直接印刷することと、からなる群から選択される方法によって、又はイメージセッターを使用してハロゲン化銀コーティングされたプラスチックフィルムを露光することによって、作り出すことができる。
【0050】
画像フィルムネガは、液体フォトポリマーの少なくとも1つの層上の非イメージ領域をマスクするために使用される画像のネガを含む。ネガは、不透明な領域と、透明又は半透明の領域と、を含み、画像フィルムネガの透明又は半透明の領域を光が通過するレリーフが作り出される。レリーフを生成するために、画像フィルムネガの不透明な領域によって被覆されたフォトポリマーは、光から完全に遮蔽されなければならない。
【0051】
一実施形態では、画像フィルムネガは、インクジェットプリンタを使用して調製される。画像フィルムネガのネガ部分は、複数のインクジェット印刷ヘッドを使用して、画像フィルムネガの一部の上に好適に不透明なインクジェットインクをインクジェット印刷することによって、作り出される。同時に、未使用のインクカラーヘッド(すなわち、インクジェット印刷ヘッドの第2の異なるセット)を使用してUVフィルタリング層を適用して、画像フィルムネガの様々な領域にUV吸収染料インクを適用する。1つの好適なインクジェットプリンタは、MPS Quadra(MacDermid Printing Solutions,LLCから入手可能)である。
【0052】
インクジェット印刷によって画像フィルムネガを作り出す際には、UV遮断インクは、ポリエステル又は他のクリアなプラスチック材料であり得るクリアな基材上に印刷される。この場合、基材の表面は、クリアで、鮮明で、かつ明確に画定された画像を生成するために、プラスチックに付着し、かつ迅速に乾燥する安定で詳細な画像を作り出すことを可能にするように、インクジェット受容性であるか、又はインクジェット受容性であるように作製される。基材は、インクジェット受容性コーティング、例えば、マイクロ多孔性コーティング又はインクジェット受容性ポリマーのコーティングでコーティングすることによって、インクジェット受容性にされてもよく、又は材料は、酸エッチングなどのような何らかの他の仕方で処理されて、インクがフィルムに付着し、かつ迅速に乾燥することを可能にする表面を生成してもよい。コーティングされていない基材は、代替的に、インクと基材とが相互に適合性である限り、インクジェットインクで直接印刷されてもよい。印刷画像はまた、液体フォトポリマーの露光された1つ以上の層及び任意のキャッピング層(複数可)を硬化させるのに必要な時間の間、液体フォトポリマーの露光されていない1つ以上の層及び任意のキャッピング層(複数可)のUV硬化を防止するのに十分な不透明度(例えば、少なくとも約3.0の不透明度)も有していなければならない。
【0053】
その後、UV吸収染料インクは、小さなドット及び細線などの高精細画像コピーを保持するのに必要な長時間露光の間に過剰露光を受けるフィルム画像担持体の部分に選択的に適用される。UV吸収インク染料は、化学線源のUV強度の約10~約80%、より好ましくは、化学線源のUV強度の約20~約50%を吸収する配合物を含む。一実施形態では、画像のネガを画像フィルムネガ上に印刷するために使用されるインクは、フィルタリング層を画像フィルムネガ上に印刷するために使用されるインクとは異なる。
【0054】
UV吸収染料インクは、ミッドトーン(mid tone)から逆トーンへのリバース及びトーンコピーを有する印刷面のベタ領域に選択的に適用される。これは、好適なプリプレスソフトウェア(prepress software)を使用して選択的に達成することができる。インク配合物に含めるのに好適なUV吸収染料の例としては、例えば、Chengらへの米国特許公開第2003/0219681号に記載されている染料が挙げられ、その主題は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。別の実施形態では、画像フィルムネガは、銀フィルム又はインクジェット画像フィルムの現在の生成に使用される標準的な黒色ではなく、着色された不透明又は透明な染料インクを使用して作製される。また、画像フィルムネガにおいて作り出された中間調ドット(halftone dot)のパターンがUV光に対して完全に不透明である必要もない。
【0055】
別の実施形態では、UVフィルタリング層は、元の画像フィルムネガが作り出された後、別個の工程で画像フィルムネガに適用され得る。この実施形態では、UVフィルタリング層は、インクジェットプリンタなどのコンピュータ制御された堆積デバイスを使用して、第2の工程で追加される。したがって、画像フィルムネガは、例えば、画像設定、レーザ印刷、又はインクジェット印刷を含む、当技術分野で知られている様々な手段を使用して最初に生成される。画像フィルムネガが作り出されると、その後、コンピュータ制御された堆積デバイスを使用して、UVフィルタリング層が画像フィルム又はネガに追加されて、フィルタ付き画像フィルムネガが生成される。
【0056】
これらの方法のいずれかは、結果として得られるレリーフ画像印刷要素の印刷品質を改善するために、化学線の光強度を変調することができるフィルタ付き画像フィルムネガを生成する。
【0057】
本明細書に記載する方法は、UV染料フィルタリングを正確なコンピュータ制御下に置き、広範囲のコピーで使用することができ、非常に再現性がある。また、フレキソ印刷版生成の通常は一部である普通のプリプレスコンピュータ作業以外に、追加のオペレータスキルは必要ない。
【0058】
画像フィルムネガを介する画像(すなわち、面)露光中、及び液体フォトポリマーの少なくとも1つの層にフロア層を作り出すために使用されるバック露光工程中の両方で使用される1つ以上の光源の光強度を制御するために、本明細書に記載のプロセスを使用することもできる。更に、プロセスは、液体製版の文脈で本明細書に記載されているが、プロセスは、シートフォトポリマー印刷版生成における光強度の制御にも適用可能である。
【0059】
本発明は、光露光ユニット中の光を平衡化するための、容易で再現可能な手段を提供する。光平衡化は、プレート全体にわたって一貫したフロア層を生成するためには、液体フォトポリマープレートのバック露光に関する重要な問題である。加えて、光平衡化は、液体フォトポリマープレートの面露光、並びにシートフォトポリマー製版プロセスにおける画像露光及びバック露光の両方にとっても重要である。
【0060】
光平衡化の主要要件は、個々の光源からの光強度を安定にすることであり、及び蛍光バンクランプ光システム(fluorescent bank lamp light system)の中心に見出される典型的なより高い強度、又は点アークランプもしくはより新しいLED照明設計などの他の光源からの任意の再現性パターンを除去することである。
【0061】
本明細書に記載されるように、化学線の強度を変調することが望ましい部分は、小さなドット及び細線を保持するために必要な長い露光の間に過剰露光を受ける部分を含む。加えて、又はその代わりに、化学線の強度を変調することが望ましい部分は、バンク光システムの中心に見出される全体的な光強度がより高い領域、又は1つ以上の光源からの再現性パターンを含み、化学線源からの全体的な光は平衡化される。したがって、本発明を画像フィルムネガとともに使用して、画像フィルムネガの特定の透明又は半透明部分をフィルタリングすることによって光を変調して露光ラチチュードを改善し、微細リバースの過剰露光で微細ポジティブコピーを保持できるようにすることができる。加えて、本発明は、フォトポリマーの1つ以上の層を化学線に画像露光するために使用される1つ以上の化学線源からの光を平衡化するために、又は厳密なフロア制御を提供するためのバック露光工程において、使用することができる。
【0062】
加えて、本発明はまた、よりゆっくりと、より制御された仕方でフロアをビルドアップさせるために露光時間を増加させることができるように、個々の光源の全体的な強度を同時に低下させることによる、キャップされた、及びキャップされていない液体フォトポリマーから生成される薄いレリーフ画像印刷要素の生成に使用することもできる。
【0063】
本明細書に記載される方法は、任意の所与の機械設計に対して調整され、次いで特定の状況のために改良することができる。フィルタファイルが作り出されると、いつでも出力することができ、元のファイルとまったく同じように実施する。フィルムプレプレスプロセス及び出力デバイスは、高度に再現可能であることが証明されている。
【0064】
コンピュータ制御された堆積デバイス(すなわち、インクジェットプリンタ)は、フィルタ付き画像フィルムネガの生成に必要なソフトウェアを含むように構成されている。加えて、複数のカラー印刷が伴う場合、典型的には、4つのフィルタ付き画像フィルムネガが存在し、各々色分解を表す。画像フィルムネガ自体がコンピュータ制御された堆積プロセスによって生成される場合、コンピュータは、コンピュータ制御された堆積デバイスを制御し、ドットが作り出される単位面積を表すタイルの個々のピクセルを露光する(又は露光しない)ことによって、中間調ドットを作り出す。複数のピクセルの組み合わせを使用して、異なる領域のドットを形成する。その後、コンピュータ制御された堆積デバイスは、画像フィルムネガ上にフィルタ付き部分を生成して、フィルタ付き画像フィルムネガを生成する。
【0065】
バック露光工程中に光強度を変調するための本明細書に記載のプロセスを使用して、制御された仕方でフロア層を生成する場合、液体フォトポリマーの1つ以上の層の上に置かれるバッキング層はフィルタリングされる。したがって、本明細書に記載のプロセスを使用する場合、インクジェットプリンタを使用してバッキング層上にフィルタリング層を印刷して、フィルタ付きバッキング層を作り出す。このフィルタリング層は、例えば、バック露光工程で使用される各化学線源(すなわち、複数の上部光の各々)の中心に向かってスクリーンパーセンテージがより高くなり、かつ各化学線源の中心から離れるとより低い強度へと各々移行するビネットのパターンを含み得る。このようにして、各化学線源からの光の強度は、個々の光源の各々の全体の強度を低下させ、かつ架橋及び硬化されている液体フォトポリマーの1つ以上の層全体にわたる化学線の一貫した強度を可能にするように制御することができる。
【0066】
本発明は、最も高い強度領域を低減させて、より低い強度領域と一致させるために中間調パーセント(halftone percentage)を使用する。各領域におけるスクリーン値は、その領域における光を正確に平衡化させるように調整される。より高い強度の領域は、より強度を除去するために、より大きいポジティブスクリーン値を有する。次いで、階調値が最小強度のエッジ、コーナー、又は他の領域に到達するにつれて、階調値は、ゼロに達するか、又はゼロに近づくまで、強度に関連して低下する。
【0067】
一実施形態では、本発明の発明者らは、Quadraインクジェットフィルムセッター及びEskoサーマルイメージャーをLaser Pointフィルムと使用することにより、良好な結果をもたらすことができることを見出した。フィルタ画像は、中心部の強度を低減し、かつエッジ及びコーナーで見出されるより低い強度への移行に対してビネットを作り出すために、ランプ(すなわち、化学線源)の中心部に向かってより高いポジティブ中間調スクリーンパーセントを有するように設計された。
【0068】
本明細書に記載される仕方のいずれかで画像フィルムネガが調製されると、液体フォトポリマー印刷版を、水平底部ガラスより下にUV光源(下部光)を備える水平底部ガラスと、蓋より上にUV光源(上部光)を備える平坦な頂部ガラスを有する蓋と、を有する露光ユニット中に作り出すことができる。
【0069】
画像フィルムネガは、底部ガラス上に置かれ、光学的にクリアな薄いカバーフィルムによって保護される。次いで、液体フォトポリマーの1つ以上の層が、カバーフィルムの上に所定の厚さまでキャストされる。次いで、フォトポリマーを支持するためのバッキング層が、液体フォトポリマーの上にラミネートされる。したがって、ネガ、カバーフィルム、液体フォトポリマー、及びバッキング層のサンドイッチが、作り出される。
【0070】
バッキング層は、硬化したフォトポリマーをバッキングシートに結合するために片面に「タイコート」が適用された、ポリエステルなどの光透過性ポリマーのシートを含み得る。バッキング層は、タイコートが液体フォトポリマーと直接接触するような仕方で置かれる。液体フォトポリマーは、画像フィルムネガ(カバーフィルムで保護されている)の上にキャストされ、タイコートによってポリエステルバッキング層に結合される。キャップされたプレートの場合、液体フォトポリマーは、カバーフィルム上に配置される固体フォトポリマーキャップの上にキャストされる。代替の方法では、固体フォトポリマーキャップの使用により、カバーフィルム層の必要性が軽減され、固体フォトポリマー層がネガに直接配置され、液体フォトポリマーの少なくとも1つの層がその上にキャストされる。
【0071】
加えて、厚い印刷要素(キャップされた又はキャップされていない)は、少なくとも約0.20インチ、より好ましくは少なくとも約0.25インチの厚さを有するが、薄い印刷要素は、約0.15インチ未満、より好ましくは約0.10インチ未満、更には約0.075インチ未満の厚さを有し得る。
【0072】
化学線源、すなわち、蓋中のUV光源(上部光)が所定の時間オンにされて、基材に隣接するフォトポリマーがプレート全体にわたって均一に架橋され、フロアを形成する。次いで、画像化される領域は、レリーフ画像ネガのクリアな領域を介して(底部ガラスの下から)輝く下部UV光源によって露光され、それにより、感光性ポリマーが架橋し、ポリマーのフロアに結合する画像が形成される。液体フォトポリマーの少なくとも1つの層及び任意のキャップ層は、液体フォトポリマーの少なくとも1つの層を化学線に露光して、ネガによって被覆されていない領域において液体フォトポリマーの少なくとも1つの層を架橋及び硬化させることによって硬化される。UV光に露光されない液体フォトポリマーは、回収及び再利用される液体状態のままである。
【0073】
化学線は、典型的には、フォトポリマー材料を硬化させることができる波長の範囲を含有する。化学線は、例えば、蛍光バンクランプ光システム、点アークランプ、又は特定の波長で動作する発光ダイオードを含む、紫外線(UV)又は紫光の光源であり得る。
【0074】
実施例:
本明細書に記載のプロセスを使用して、高い生産性のために短い露光時間で厚いプレートを作製するために設計されている市販の液体フォトポリマーLTL(MacDermid Printing Solutions,LLCから入手可能)を使用して薄いプレートを作製する試験を実施した。
【0075】
その結果は、完全階調範囲の85ラインスクリーンキャップ付きプレートを0.090インチ程度の厚さまで薄くすることが可能であることを実証した。これらのプレートは、全体の強度を低下させ、露光を制御し、上部ランプの均一性を劇的に改善するために、フィルタ付きフィルム画像担持体を使用して生成された。
【0076】
最後に、以下の「特許請求の範囲」は、本明細書に記載の本発明の一般的な特徴及び具体的な特徴の全て、並びに言語の問題としてその間にあり得る本発明の範囲の全ての記述を網羅することを意図していることも理解されたい。