(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-04
(45)【発行日】2023-04-12
(54)【発明の名称】排気ガス浄化システム及び排気ガス浄化システムの制御装置
(51)【国際特許分類】
F01N 3/20 20060101AFI20230405BHJP
B60W 10/06 20060101ALI20230405BHJP
B60W 20/16 20160101ALI20230405BHJP
F01N 3/24 20060101ALI20230405BHJP
F01N 3/025 20060101ALI20230405BHJP
【FI】
F01N3/20 L
B60W10/06 900
B60W20/16
F01N3/24 L
F01N3/20 N
F01N3/025 201F
F01N3/025 201G
F01N3/025 201Z
(21)【出願番号】P 2022033588
(22)【出願日】2022-03-04
【審査請求日】2022-08-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】マレリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久永 徹
(72)【発明者】
【氏名】三石 俊一
(72)【発明者】
【氏名】鱒渕 宏章
(72)【発明者】
【氏名】成田 義樹
【審査官】稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-231693(JP,A)
【文献】特開平9-125939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/20
B60W 10/06
B60W 20/16
F01N 3/24
F01N 3/025
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガス浄化システムであって、
複数の浄化用触媒を含み、内燃機関からの排気ガスを浄化する浄化処理部と、
前記浄化処理部へ供給する燃焼ガスを生成するバーナと、
前記バーナにより生成される燃焼ガスを前記浄化処理部にて上流側に位置する第1浄化用触媒へ供給する第1燃焼ガス供給路と、
前記バーナにより生成される燃焼ガスを前記浄化処理部にて前記第1浄化用触媒よりも下流側に位置する第2浄化用触媒へ供給する第2燃焼ガス供給路と、を備え、
前記第1燃焼ガス供給路は、前記第2燃焼ガス供給路の長さよりも短い供給路で設けられるとともに、前記内燃機関からの排気ガスを前記第1浄化用触媒へ導くための流路に接続され、
前記第1浄化用触媒は、前記第1燃焼ガス供給路から供給される燃焼ガスによって触媒活性が得られる所定温度に昇温され
、
前記浄化処理部は、
第1方向に沿って流れる排気ガスを浄化する前記第1浄化用触媒と、
前記第1浄化用触媒を通過した排気ガスであって前記第1方向と交差する第2方向に沿って流れる排気ガスを浄化する前記第2浄化用触媒と、
前記第1浄化用触媒及び前記第2浄化用触媒を収容するケースと、
前記第1浄化用触媒の外周面と前記ケースの内周面との間に設けられ、前記第1浄化用触媒を覆う外周流路と、
前記ケースの内側に形成され、前記第1浄化用触媒を通過した排気ガスを前記第2浄化用触媒及び前記外周流路のそれぞれに導くように分岐させる分岐部と、を備え、
前記ケースは、前記第1浄化用触媒の外周面との間に排気ガスが流れる前記外周流路を形成する筒状部を有し、
前記第1浄化用触媒は、前記第1方向において互いに間隔を空けて配置される上流側触媒及び下流側触媒を有し、
前記上流側触媒及び前記下流側触媒は、前記ケース内に設けられ前記外周流路を挟んで前記筒状部と対向するインナケース内に収容され、
前記下流側触媒及び前記第2浄化用触媒は、前記ケースに対して前記第2燃焼ガス供給路から供給される燃焼ガスによって昇温される、
排気ガス浄化システム。
【請求項2】
請求項
1に記載の排気ガス浄化システムであって、
前記第2燃焼ガス供給路は、前記ケースの前記筒状部と連通する、
排気ガス浄化システム。
【請求項3】
排気ガス浄化システムであって、
複数の浄化用触媒を含み、内燃機関からの排気ガスを浄化する浄化処理部と、
前記浄化処理部へ供給する燃焼ガスを生成するバーナと、
前記バーナにより生成される燃焼ガスを前記浄化処理部にて上流側に位置する第1浄化用触媒へ供給する第1燃焼ガス供給路と、
前記バーナにより生成される燃焼ガスを前記浄化処理部にて前記第1浄化用触媒よりも下流側に位置する第2浄化用触媒へ供給する第2燃焼ガス供給路と、を備え、
前記第1燃焼ガス供給路は、前記第2燃焼ガス供給路の長さよりも短い供給路で設けられるとともに、前記内燃機関からの排気ガスを前記第1浄化用触媒へ導くための流路に接続され、
前記第1浄化用触媒は、前記第1燃焼ガス供給路から供給される燃焼ガスによって触媒活性が得られる所定温度に昇温され、
前記第1燃焼ガス供給路から前記第1浄化用触媒へ供給される燃焼ガスの流量は、前記第2燃焼ガス供給路から前記第2浄化用触媒へ供給される燃焼ガスの流量よりも大きい、
排気ガス浄化システム。
【請求項4】
排気ガス浄化システムであって、
複数の浄化用触媒を含み、内燃機関からの排気ガスを浄化する浄化処理部と、
前記浄化処理部へ供給する燃焼ガスを生成するバーナと、
前記バーナにより生成される燃焼ガスを前記浄化処理部にて上流側に位置する第1浄化用触媒へ供給する第1燃焼ガス供給路と、
前記バーナにより生成される燃焼ガスを前記浄化処理部にて前記第1浄化用触媒よりも下流側に位置する第2浄化用触媒へ供給する第2燃焼ガス供給路と、を備え、
前記第1燃焼ガス供給路は、前記第2燃焼ガス供給路の長さよりも短い供給路で設けられるとともに、前記内燃機関からの排気ガスを前記第1浄化用触媒へ導くための流路に接続され、
前記第1浄化用触媒は、前記第1燃焼ガス供給路から供給される燃焼ガスによって触媒活性が得られる所定温度に昇温され、
前記第1燃焼ガス供給路から前記第1浄化用触媒へ供給される単位時間当たりの燃焼ガスの熱量は、前記第2燃焼ガス供給路から前記第2浄化用触媒へ供給される単位時間当たりの燃焼ガスの熱量よりも大きい、
排気ガス浄化システム。
【請求項5】
排気ガス浄化システムであって、
複数の浄化用触媒を含み、内燃機関からの排気ガスを浄化する浄化処理部と、
前記浄化処理部へ供給する燃焼ガスを生成するバーナと、
前記バーナにより生成される燃焼ガスを前記浄化処理部にて上流側に位置する第1浄化用触媒へ供給する第1燃焼ガス供給路と、
前記バーナにより生成される燃焼ガスを前記浄化処理部にて前記第1浄化用触媒よりも下流側に位置する第2浄化用触媒へ供給する第2燃焼ガス供給路と、を備え、
前記第1燃焼ガス供給路は、前記第2燃焼ガス供給路の長さよりも短い供給路で設けられるとともに、前記内燃機関からの排気ガスを前記第1浄化用触媒へ導くための流路に接続され、
前記第1浄化用触媒は、前記第1燃焼ガス供給路から供給される燃焼ガスによって触媒活性が得られる所定温度に昇温され、
前記第2燃焼ガス供給路の内径は、前記第1燃焼ガス供給路の内径よりも小さい、
排気ガス浄化システム。
【請求項6】
排気ガス浄化システムであって、
複数の浄化用触媒を含み、内燃機関からの排気ガスを浄化する浄化処理部と、
前記浄化処理部へ供給する燃焼ガスを生成するバーナと、
前記バーナにより生成される燃焼ガスを前記浄化処理部にて上流側に位置する第1浄化用触媒へ供給する第1燃焼ガス供給路と、
前記バーナにより生成される燃焼ガスを前記浄化処理部にて前記第1浄化用触媒よりも下流側に位置する第2浄化用触媒へ供給する第2燃焼ガス供給路と、を備え、
前記第1燃焼ガス供給路は、前記第2燃焼ガス供給路の長さよりも短い供給路で設けられるとともに、前記内燃機関からの排気ガスを前記第1浄化用触媒へ導くための流路に接続され、
前記第1浄化用触媒は、前記第1燃焼ガス供給路から供給される燃焼ガスによって触媒活性が得られる所定温度に昇温され、
前記バーナは、前記浄化処理部に対して隙間を空けて配置され、
前記第2燃焼ガス供給路は、前記バーナ及び前記浄化処理部の前記隙間を通って前記第2浄化用触媒の上流側に接続される、
排気ガス浄化システム。
【請求項7】
請求項1から
6のいずれか1項に記載の排気ガス浄化システムであって、
前記バーナによる生成直後の燃焼ガスの温度は、前記第1浄化用触媒の触媒活性が得られる前記所定温度より高い温度であり、
前記第1浄化用触媒に到達する直前の燃焼ガスの温度は、前記所定温度よりも高く、かつ、前記第1浄化用触媒の耐熱温度以下である、
排気ガス浄化システム。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれか1項に記載の排気ガス浄化システムであって、
前記第2燃焼ガス供給路から前記第2浄化用触媒に燃焼ガスが供給されるタイミングは、前記第1浄化用触媒を通過した燃焼ガスが前記第2浄化用触媒に到達するタイミングより早い、
排気ガス浄化システム。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか1項に記載の排気ガス浄化システムであって、
前記第2燃焼ガス供給路は、前記第1燃焼ガス供給路のうち前記浄化処理部への接続側とは反対の前記バーナ側に近い位置で前記第1燃焼ガス供給路から分岐される、
排気ガス浄化システム。
【請求項10】
請求項1から
8のいずれか1項に記載の排気ガス浄化システムであって、
前記第2燃焼ガス供給路は、前記第1燃焼ガス供給路のうち前記バーナ側とは反対の前記浄化処理部への接続側に近い位置で前記第1燃焼ガス供給路から分岐される、
排気ガス浄化システム。
【請求項11】
排気ガス浄化システムを制御する制御装置であって、
前記排気ガス浄化システムは、
複数の浄化用触媒を含み、内燃機関からの排気ガスを浄化する浄化処理部と、
前記浄化処理部へ供給する燃焼ガスを生成するバーナと、
前記バーナにより生成される燃焼ガスを前記浄化処理部にて上流側に位置する第1浄化用触媒へ供給する第1燃焼ガス供給路と、
前記バーナにより生成される燃焼ガスを前記浄化処理部にて前記第1浄化用触媒よりも下流側に位置する第2浄化用触媒へ供給する第2燃焼ガス供給路と、
外部と前記バーナとを連通させるエア供給路と、
外部からのエアを前記バーナへ供給するように前記エア供給路に設けられるエアポンプと、
前記エアポンプよりも下流側に位置するように前記エア供給路に設けられるバルブと、
燃料供給源と前記バーナとを連通させる燃料供給路と、
前記燃料供給路又は前記バーナに設けられる燃料供給スイッチと、
を備え、
前記第1燃焼ガス供給路は、前記第2燃焼ガス供給路の長さよりも短い供給路で設けられるとともに、前記内燃機関からの排気ガスを前記第1浄化用触媒へ導くための流路に接続され、
前記第1浄化用触媒は、前記第1燃焼ガス供給路から供給される燃焼ガスによって触媒活性が得られる所定温度に昇温され、
前記制御装置は、前記内燃機関が始動される始動時点の先である第1時点に前記エアポンプをオフからオンに切り替えるとともに前記バルブを閉状態から開状態に切り替え、前記第1時点と前記始動時点との間にある第2時点に前記燃料供給スイッチをオフからオンに切り替え、前記始動時点の後である第3時点に前記エアポンプ及び前記燃料供給スイッチをオンからオフに切り替えるとともに前記バルブを開状態から閉状態に切り替えるように制御する、
排気ガス浄化システムの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス浄化システム及び排気ガス浄化システムの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バーナにより生成された燃焼ガスを導管を経由して排気ガスの浄化処理を行う処理部へ供給する排気ガス浄化システムが開示されている。この排気ガス浄化システムでは、パティキュレートフィルタの強制再生だけでなく排気浄化触媒の昇温も良好に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の排気ガス浄化システムでは、バーナと処理部との間の導管を長くする必要がある。この場合に、バーナにより生成された燃焼ガスは、浄化用触媒に導入される前に導管によって外部に放熱されるので、燃焼ガスの熱量の利用率が低くなるおそれがある。
【0005】
本発明は、この問題点に着目してなされたものであり、浄化用触媒への熱害防止及び燃焼ガスによる熱量の高利用率の両立を図ることができる排気ガス浄化システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によれば、排気ガス浄化システムであって、複数の浄化用触媒を含み、内燃機関からの排気ガスを浄化する浄化処理部と、前記浄化処理部へ供給する燃焼ガスを生成するバーナと、前記バーナにより生成される燃焼ガスを前記浄化処理部にて上流側に位置する第1浄化用触媒へ供給する第1燃焼ガス供給路と、前記バーナにより生成される燃焼ガスを前記浄化処理部にて前記第1浄化用触媒よりも下流側に位置する第2浄化用触媒へ供給する第2燃焼ガス供給路と、を備え、前記第1燃焼ガス供給路は、前記第2燃焼ガス供給路の長さよりも短い供給路で設けられるとともに、前記内燃機関からの排気ガスを前記第1浄化用触媒へ導くための流路に接続され、前記第1浄化用触媒は、前記第1燃焼ガス供給路から供給される燃焼ガスによって触媒活性が得られる所定温度に昇温される排気ガス浄化システムが提供される。
【0007】
本発明の他の態様によれば、内燃機関及び電動機により駆動するハイブリッド車両に搭載され、前記内燃機関からの排気ガスの浄化処理を制御する排気ガス浄化システムの制御装置であって、前記排気ガス浄化システムは、複数の浄化用触媒を含み、前記内燃機関からの排気ガスを浄化する浄化処理部と、前記浄化処理部へ供給する燃焼ガスを生成するバーナと、前記バーナにより生成される燃焼ガスを前記浄化処理部にて上流側に位置する第1浄化用触媒へ供給する第1燃焼ガス供給路と、前記バーナにより生成される燃焼ガスを前記浄化処理部にて前記第1浄化用触媒よりも下流側に位置する第2浄化用触媒へ供給する第2燃焼ガス供給路と、を備え、前記第1燃焼ガス供給路は、前記第2燃焼ガス供給路の長さよりも短い供給路で設けられると共に、前記内燃機関からの排気ガスを前記第1浄化用触媒へ導くための流路に接続され、前記制御装置は、前記第1燃焼ガス供給路から前記第1浄化用触媒へ燃焼ガスが供給されるように前記ハイブリッド車両の駆動条件に基づいて前記バーナの駆動を制御することにより、前記第1浄化用触媒を触媒活性が得られる所定温度に昇温する排気ガス浄化システムの制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
これらの態様によれば、浄化用触媒への熱害防止及び燃焼ガスによる熱量の高利用率の両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る排気ガス浄化システムを示す概略構成図である。
【
図2】
図2は、第1比較例に係る排気ガス浄化システムを示す概略構成図である。
【
図3】
図3は、コントローラ及びコントローラに接続される主要構成を示す構成ブロック図である。
【
図4】
図4は、ハイブリッド車両の停止状態における排気ガス浄化処理を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、エアポンプ、バルブ、バーナ及びエンジンの動作タイミングを示すテーブルである。
【
図6】
図6は、ハイブリッド車両の走行状態における排気ガス浄化処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、バッテリ容量又は冷却水温によるエンジン始動の各パラメータの関係を示すタイムチャートである。
【
図8】
図8は、第2比較例に係る触媒温度によるエンジン始動の各パラメータの関係を示すタイムチャートである。
【
図9】
図9は、第1変形例に係る浄化処理部を示す概略構成図である。
【
図10】
図10は、第2変形例に係る浄化処理部を示す概略構成図である。
【
図11】
図11は、変形例に係るハイブリッド車両の走行状態における排気ガス浄化処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態(以下、本実施形態ともいう。)について説明する。本明細書においては、全体を通じて、同一の要素には同一の符号を付する。
【0011】
(排気ガス浄化システムの構成)
まず、
図1を参照しながら本実施形態に係る排気ガス浄化システム100について説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る排気ガス浄化システム100を示す概略構成図である。
【0013】
図1に示すように、車両(図示しない)としてのハイブリッド車両は、内燃機関としてのエンジンENG、電動機としてのモータM、バッテリBAT、燃料供給源としての燃料タンクT、エアフィルタAF、イグニッションスイッチSW、バッテリ容量検出部としてのバッテリ容量検出センサS1、冷却水温検出部としての冷却水温検出センサS2及び排気ガス浄化システム100を備える。
【0014】
エンジンENGは、ハイブリッド車両の一方の駆動源を構成する。エンジンENGの動力は、駆動輪(図示しない)へ伝達される。
【0015】
モータMは、ハイブリッド車両の他方の駆動源を構成する。モータMの動力は、駆動輪へ伝達される。
【0016】
バッテリBATは、例えば、モータMに接続されるリチウムイオン二次電池によって構成される。バッテリBATには、モータMが回生制御されて発電した電気エネルギが充電される。そして、モータMは、バッテリBATに充電された電気エネルギによって駆動輪を駆動する。
【0017】
そして、ハイブリッド車両がエンジンENGによって駆動される場合(すなわち、ハイブリッド車両がエンジン走行モードで走行する場合)に、バッテリBATにモータMが回生制御されて発電した電気エネルギが充電されて、バッテリBATの電気エネルギ残量(以下、単にバッテリ容量ともいう)は、時間の経過に伴い増大する。一方、ハイブリッド車両がモータMによって駆動される場合(すなわち、ハイブリッド車両がEV走行モードで走行する場合)に、バッテリBATのバッテリ容量は、時間の経過に伴い減少する。
【0018】
燃料タンクTは、燃料(例えば、ガソリン等)を貯蔵する。燃料タンクTの燃料は、第1燃料供給路L1を通じてエンジンENGへ供給される。
【0019】
エアフィルタAFは、ハイブリッド車両外から吸入されるエアから異物を除去する。エアフィルタAFを通過したエアは、第1エア供給路L2を通じてエンジンENGへ供給される。
【0020】
イグニッションスイッチSWは、ハイブリッド車両の電気系統のオン/オフを切り替えるスイッチである。
【0021】
バッテリ容量検出センサS1は、バッテリBATのバッテリ容量を検出するセンサである。ハイブリッド車両がエンジン走行モードで走行する場合に、バッテリ容量検出センサS1によって検出されたバッテリBATのバッテリ容量は、時間の経過に伴い増大する。一方、ハイブリッド車両がEVモードで走行する場合に、バッテリ容量検出センサS1によって検出されたバッテリBATのバッテリ容量は、時間の経過に伴い減少する。
【0022】
冷却水温検出センサS2は、エンジンENGを冷却する冷却水(例えば、LLC等)の温度(以下、単に冷却水温ともいう)を検出するセンサである。ハイブリッド車両がエンジン走行モードで走行する場合に、冷却水温検出センサS2によって検出された冷却水温は、時間の経過に伴い上昇する。一方、ハイブリッド車両がEVモードで走行する場合に、冷却水温検出センサS2によって検出された冷却水温は、時間の経過に伴い下降する。
【0023】
排気ガス浄化システム100は、浄化処理部1、バーナ2、エア供給路としての第2エア供給路3、エアポンプ4、バルブとしての電磁バルブ5、燃料供給路としての燃料分岐路6、燃料ポンプ7、排気ガス供給路8、燃焼ガス供給機構9及び制御装置としてのコントローラ10を備える。
【0024】
浄化処理部1は、エンジンENGにより生成された排気ガスの浄化処理を行う。浄化処理部1は、上流側から下流側に向かって直列に配列される先頭の浄化用触媒としての第1浄化用触媒11及び後続の浄化用触媒としての第2浄化用触媒12と、第1浄化用触媒11(具体的には、第1浄化用触媒11の排気ポート)及び第2浄化用触媒12(具体的には、第2浄化用触媒12の吸気ポート)を連通させる連通路13と、を有する。
【0025】
第1浄化用触媒11は、三元触媒TWC(Three-Way Catalyst)から構成され、第1所定温度以上に昇温された状態において、排気ガスの微粒子を捕集する機能(以下、単に「浄化機能」ともいう)を発揮する。一方、第1浄化用触媒11が第1所定温度よりも高い第1限界温度を超えるように昇温された場合に、第1浄化用触媒11は、熱害を受けて劣化しやすくなる。浄化処理部1において、第1浄化用触媒11は、最も上流側に位置する。
【0026】
第2浄化用触媒12は、ガソリン・パティキュレート・フィルタGPF(Gasoline Particulate Filter)から構成され、第2所定温度以上に昇温された状態において、排気ガスの微粒子を捕集する機能を発揮する。一方、第2浄化用触媒12が第2所定温度よりも高い第2限界温度を超えるように昇温された場合に、第2浄化用触媒12は、熱害を受けて劣化しやすくなる。浄化処理部1において、第2浄化用触媒12は、第1浄化用触媒11よりも下流側に位置する。また、本実施形態では、第2浄化用触媒12は、ガソリン・パティキュレート・フィルタGPFから構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、三元触媒TWCから構成されてもよい。
【0027】
本実施形態では、浄化用触媒は、第1浄化用触媒11及び第2浄化用触媒12から構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、第1浄化用触媒11及び第2浄化用触媒12に加え、さらに他の浄化用触媒を備えて構成されてもよい。この場合に、他の浄化用触媒は、第1浄化用触媒11と第2浄化用触媒12との間に設けられてもよいし、第2浄化用触媒12よりも下流側に位置するように設けられてもよい。すなわち、他の浄化用触媒は、第1浄化用触媒11よりも下流側に位置するように設けられれば足りる。
【0028】
バーナ2は、燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する。バーナ2は、浄化処理部1に対して隙間を空けて配置される。また、バーナ2は、エア及び燃料が供給される燃焼室21と、燃焼室21に供給されたエア及び燃料の混合物を点火するプラグ22と、第2エア供給路3の一端が接続されるエア入力ポート23と、オン又はオフを切り替えることにより燃焼室21への燃料供給の可否を制御する燃料供給スイッチとしてのインジェクタ24と、を有する。
【0029】
第2エア供給路3は、バーナ2とエアフィルタAFとを連通させる供給管である。第2エア供給路3は、一端がバーナ2のエア入力ポート23に接続されるとともに他端がエアフィルタAFに接続される。
【0030】
エアポンプ4は、エアフィルタAFを通過したエアをバーナ2(具体的には、バーナ2の燃焼室21)へ圧送(供給)する。エアポンプ4は、電磁バルブ5よりも上流側に位置するように第2エア供給路3に設けられる。
【0031】
電磁バルブ5は、開閉を切り替えることによりバーナ2(具体的には、バーナ2の燃焼室21)へのエア供給の可否を制御する。電磁バルブ5は、エアポンプ4よりも下流側に位置するように第2エア供給路3に設けられる。
【0032】
燃料分岐路6は、第1燃料供給路L1の途中から分岐される供給管である。燃料分岐路6は、一端がインジェクタ24に接続されるとともに他端が燃料タンクTに接続される。本実施形態では、燃料タンクTとバーナ2とを連通させる燃料供給管は、第1燃料供給路L1の一部及び燃料分岐路6から構成される。
【0033】
燃料ポンプ7は、燃料タンクTからの燃料をエンジンENGへ圧送(供給)する。また、燃料ポンプ7は、燃料タンクTからの燃料をバーナ2(具体的には、バーナ2のインジェクタ24)へ圧送(供給)する。燃料ポンプ7は、燃料分岐路6よりも上流側に位置するように第1燃料供給路L1に設けられる。
【0034】
排気ガス供給路8は、第1浄化用触媒11とエンジンENGとを連通させる供給管である。排気ガス供給路8は、一端が第1浄化用触媒11の吸気ポートに接続されるとともに他端がエンジンENGの排気ポートに接続される。
【0035】
燃焼ガス供給機構9は、バーナ2により生成された燃焼ガスを浄化処理部1へ供給することにより、浄化処理部1の第1浄化用触媒11及び第2浄化用触媒12を昇温させる供給路である。燃焼ガス供給機構9は、第1燃焼ガス供給路91及び第2燃焼ガス供給路92を有する。
【0036】
第1燃焼ガス供給路91は、バーナ2により生成される燃焼ガスの一部を第1浄化用触媒11へ供給する供給管である。第1燃焼ガス供給路91は、第1浄化用触媒11とバーナ2とを直接又は間接的に連通させる。また、本実施形態では、第1燃焼ガス供給路91は、一端が第1浄化用触媒11の吸気ポートに接続されるとともに他端がバーナ2の排気ポートに接続されているが、これに限定されるものではなく、例えば、一端が排気ガス供給路8に接続されるとともに他端がバーナ2の排気ポートに接続されてもよい。
【0037】
第2燃焼ガス供給路92は、バーナ2により生成される燃焼ガスの他部(すなわち、余剰熱)を第2浄化用触媒12へ供給するように第1燃焼ガス供給路91から分岐される供給管である。具体的には、第2燃焼ガス供給路92は、浄化処理部1及びバーナ2の隙間を通って第2浄化用触媒12の上流側に接続される。第2燃焼ガス供給路92は、第2浄化用触媒12と第1燃焼ガス供給路91とを直接又は間接的に連通する。これにより、第1浄化用触媒11への熱害防止及び燃焼ガスによる熱量の高利用率の両立を図ることができるという優れた効果が得られる。なお、当該効果の詳細については後述する。
【0038】
また、バーナ2から第2燃焼ガス供給路92を経由してダイレクトに第2浄化用触媒12へ供給される燃焼ガスは、第1浄化用触媒11を経由していないため、燃焼ガスが第1浄化用触媒11を経由して供給される場合に比べ、燃焼ガスが第2浄化用触媒12へ供給される際の温度低下を抑制することができる。なぜならば、第1浄化用触媒11を通過する際に熱を奪われないので、高い温度を維持して第2触媒を昇温させることができる。
【0039】
また、本実施形態では、第2燃焼ガス供給路92は、一端が第2浄化用触媒12の吸気ポートに接続されるとともに他端が第1燃焼ガス供給路91に接続されているが、これに限定されるものではなく、例えば、一端が連通路13に接続されるとともに他端が第1燃焼ガス供給路91に接続されてもよい。
【0040】
また、本実施形態では、第2燃焼ガス供給路92は、延在方向が異なる二本の直進管から構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、単一の直進管又は屈曲管から構成されてもよいし、直進管と屈曲管との組み合わせから構成されてもよい。
【0041】
第2燃焼ガス供給路92の内径は、第1燃焼ガス供給路91の内径よりも小さい。これにより、第2燃焼ガス供給路92による燃焼ガスの放熱を抑制することができるため、燃焼ガスによる熱量の利用率を向上させることができる。
【0042】
また、第1燃焼ガス供給路91から第1浄化用触媒11へ供給される燃焼ガスの流量は、第2燃焼ガス供給路92から第2浄化用触媒12へ供給される燃焼ガスの流量よりも大きい。
【0043】
さらに、第1燃焼ガス供給路91から第1浄化用触媒11へ供給される単位時間当たりの燃焼ガスの熱量は、第2燃焼ガス供給路92から第2浄化用触媒12へ供給される単位時間当たりの燃焼ガスの熱量よりも大きい。
【0044】
第1燃焼ガス供給路91は、第2燃焼ガス供給路92の長さよりも短い供給路で設けられるとともに、エンジンENGからの排気ガスを第1浄化用触媒へ導くための流路に接続され、第1浄化用触媒11は、第1燃焼ガス供給路91から供給される燃焼ガスによって触媒活性が得られる所定温度としての第1所定温度に昇温される。
【0045】
これにより、第2燃焼ガス供給路92よりも短い供給路で設けられる第1燃焼ガス供給路91によって、必要な熱量(具体的には、触媒活性が得られる第1所定温度に必要な熱量)のみ早く第1浄化用触媒11へ供給して、その後、余剰熱量を第2浄化用触媒12へ供給することにより、第1浄化用触媒11への熱害防止及び燃焼ガスの放熱を抑制することができる。
【0046】
また、第2燃焼ガス供給路92は、第1燃焼ガス供給路91のうち浄化処理部1への接続側とは反対のバーナ2側に近い位置で第1燃焼ガス供給路91から分岐される。これにより、第1燃焼ガス供給路91による燃焼ガスの放熱を抑制することができるため、燃焼ガスによる熱量の利用率をより向上させることができる。
【0047】
本実施形態では、第2燃焼ガス供給路92は、第1燃焼ガス供給路91のうち浄化処理部1への接続側とは反対のバーナ2側に近い位置で第1燃焼ガス供給路91から分岐されているが、これに限定されるものではなく、例えば、第1燃焼ガス供給路91のうちバーナ2側とは反対の浄化処理部1への接続側に近い位置で第1燃焼ガス供給路91から分岐されてもよい。この場合に、第2燃焼ガス供給路92を短くすることができる。
【0048】
また、本実施形態では、燃焼ガス供給機構9は、第1燃焼ガス供給路91及び第2燃焼ガス供給路92から構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、第1燃焼ガス供給路91及び第2燃焼ガス供給路92に加え、第1燃焼ガス供給路91から分岐される他の燃焼ガス供給路を有して構成されてもよい。この場合に、他の燃焼ガス供給路は、第1浄化用触媒11よりも下流側に位置する他の浄化用触媒と第1燃焼ガス供給路91と連通する。
【0049】
コントローラ10は、排気ガス浄化システム100の動作(具体的には、プラグ22の点火、インジェクタ24のオン/オフ、エアポンプ4のオン/オフ、電磁バルブ5の開閉、燃料ポンプ7のオン/オフ)を制御する制御部である。コントローラ10は、プラグ22、インジェクタ24、エアポンプ4、電磁バルブ5、燃料ポンプ7、エンジンENG、モータM、イグニッションスイッチSW、バッテリ容量検出センサS1及び冷却水温検出センサS2とは電気的に接続される。
【0050】
コントローラ10は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)101(
図3参照)を備えたマイクロコンピュータで構成される。コントローラ10は、複数のマイクロコンピュータで構成することも可能である。なお、コントローラ10の詳細については後述する。
【0051】
バーナ2による生成直後の燃焼ガスの温度は、第1浄化用触媒11の触媒活性が得られる第1所定温度より高い温度である。そして、第1浄化用触媒11に到達する直前の燃焼ガスの温度は、第1所定温度よりも高く、かつ、第1浄化用触媒11の耐熱温度としての第1限界温度以下である。
【0052】
第2燃焼ガス供給路92から第2浄化用触媒12に燃焼ガスが供給されるタイミングは、第1浄化用触媒11を通過した燃焼ガスが第2浄化用触媒12に到達するタイミングより早い。
【0053】
(実施形態と第1比較例との対比)
次に、
図1及び
図2を参照しながら、第1浄化用触媒11への熱害防止及び燃焼ガスによる熱量の高利用率の両立を図ることができるという優れた効果について第1比較例を用いて詳しく説明する。
【0054】
図2は、第1比較例に係る排気ガス浄化システム100Aを示す概略構成図である。
【0055】
まず、
図2を参照しながら第1比較例に係る排気ガス浄化システム100Aについて説明する。
【0056】
図2に示すように、第1比較例に係る排気ガス浄化システム100Aは、第2燃焼ガス供給路92を備えておらず、第1燃焼ガス供給路91Aの長さを第1燃焼ガス供給路91の長さよりも長くする点で上述した実施形態に係る排気ガス浄化システム100とは相違するが、その他の構成は排気ガス浄化システム100と一致する。すなわち、第1比較例に係る燃焼ガス供給機構9Aは、単一の第1燃焼ガス供給路91Aのみから構成される。
【0057】
排気ガス浄化システム100Aでは、第1浄化用触媒11の迅速昇温及び第1浄化用触媒11への熱害防止(すなわち、第1浄化用触媒11を第1所定温度と第1限界温度との間に昇温させること)の両立を図るために、第1燃焼ガス供給路91Aの長さを所定範囲とする必要がある。
【0058】
第1燃焼ガス供給路91Aの長さが所定範囲を下回る場合に、第1浄化用触媒11の迅速昇温を図ることができるものの、第1燃焼ガス供給路91Aによる燃焼ガスの放熱が足りず、余剰熱量によって第1浄化用触媒11を第1限界温度を超えるように昇温させてしまうため、第1浄化用触媒11への熱害を防止することができず、第1浄化用触媒11が劣化するおそれがある。
【0059】
一方、第1燃焼ガス供給路91Aの長さが所定範囲を上回る場合に、第1燃焼ガス供給路91Aによる放熱が足り、第1浄化用触媒11への熱害を防止することができるものの、第1浄化用触媒11へ供給される燃焼ガスの熱量が足りないため、第1浄化用触媒11を、その浄化機能を発揮させるための第1所定温度に迅速に昇温させることができない。
【0060】
図2に示すように、バーナ2の排気ポートにおける燃焼ガスの熱量がQ100である場合に、燃焼ガスが第1燃焼ガス供給路91Aを経由して第1浄化用触媒11へ供給される際に燃焼ガスの熱量の一部であるQ40が第1燃焼ガス供給路91Aによって放熱される。これにより、第1浄化用触媒11の吸気ポートへ供給される燃焼ガスの熱量をQ60とすることができるため、第1浄化用触媒11の迅速昇温及び第1浄化用触媒11への熱害防止の両立を図ることができる。
【0061】
ところが、余剰熱量としての燃焼ガスの熱量の一部であるQ40は、第1燃焼ガス供給路91によって放熱されてしまうため、燃焼ガスによる熱量の利用率を十分に向上させることができない。また、燃焼ガスの余剰熱量の放熱を実現するために、第1燃焼ガス供給路91Aの長さを所定範囲とする必要があるため、第1燃焼ガス供給路91の短縮を図ることができない。この結果、バーナ2を浄化処理部1から遠ざけて設けなければならず、排気ガス浄化システム100A全体のコンパクト化を図ることができない。
【0062】
次に、
図1を参照しながら上述した実施形態による優れた効果について第1比較例と対比して説明する。
【0063】
図1に示すように、上述した実施形態に係る排気ガス浄化システム100では、燃焼ガス供給機構9は、第1燃焼ガス供給路91に加え、第1燃焼ガス供給路91と第2浄化用触媒12とを連通させる第2燃焼ガス供給路92から構成される。これにより、第1燃焼ガス供給路91は、バーナ2により生成された燃焼ガスの一部を第1浄化用触媒11へ供給するとともに、第2燃焼ガス供給路92は、バーナ2により生成された燃焼ガスの他部を第1燃焼ガス供給路91を経由して第2浄化用触媒12へ供給する。このため、本来、第1燃焼ガス供給路91によって放熱される燃焼ガスの余剰熱量を、第1燃焼ガス供給路91によって放熱されることなく、第2燃焼ガス供給路92によって第2浄化用触媒12へ供給することができる。したがって、排気ガス浄化システム100によれば、第1比較例に係る排気ガス浄化システム100Aに比べ、燃焼ガスによる熱量の利用率を向上させることができる。
【0064】
また、第1燃焼ガス供給路91と第2浄化用触媒12とを連通させる第2燃焼ガス供給路92を設けることにより、バーナ2により生成された燃焼ガスの他部が第2燃焼ガス供給路92を経由して供給される。このため、第1燃焼ガス供給路91の長さを第1比較例に係る第1燃焼ガス供給路91Aの長さほど長くすることなく、第1浄化用触媒11への熱害防止を図る(すなわち、第1浄化用触媒11を第1所定温度と第1限界温度との間に昇温させる)ことができる。
【0065】
以上のことから、上述した本実施形態に係る排気ガス浄化システム100によれば、第1浄化用触媒11への熱害防止及び燃焼ガスによる熱量の高利用率の両立を図ることができる。
【0066】
さらに、バーナ2により生成された燃焼ガスの他部が第2燃焼ガス供給路92を経由して供給されるため、第1燃焼ガス供給路91Aに比べ第1燃焼ガス供給路91の放熱を小さく抑制する必要がある。そこで、第1燃焼ガス供給路91の長さを第1燃焼ガス供給路91Aの長さよりも短くすることが考えられる。
【0067】
よって、第1燃焼ガス供給路91Aに比べ第1燃焼ガス供給路91の短縮を図ることができるため、排気ガス浄化システム100Aに比べ燃焼ガスがバーナ2から第1浄化用触媒11へ供給される速度を向上させることができる。この結果、第1浄化用触媒11の迅速昇温をより図ることができる。また、バーナ2を浄化処理部1に近づけて設けることができ、排気ガス浄化システム100全体のコンパクト化を図ることができる。
【0068】
図1に示すように、バーナ2の排気ポートにおける燃焼ガスの熱量がQ100である場合に、燃焼ガスの一部が第1燃焼ガス供給路91を経由して第1浄化用触媒11へ供給される際に燃焼ガスの熱量の一部であるQ20が第1燃焼ガス供給路91によって放熱される。
【0069】
同時に、燃焼ガスの他部が第1燃焼ガス供給路91の一部及び第2燃焼ガス供給路92を経由して第2浄化用触媒12へ供給されるため、余剰熱量としての燃焼ガスの熱量であるQ20は、第2燃焼ガス供給路92の第1燃焼ガス供給路91から分岐される他端へ供給される。そして、燃焼ガスの他部が第2燃焼ガス供給路92を経由して第2浄化用触媒12へ供給される際に燃焼ガスの熱量の一部であるQ10が第2燃焼ガス供給路92によって放熱される。
【0070】
これにより、排気ガス浄化システム100Aと同様に、第1浄化用触媒11の吸気ポートへ供給される燃焼ガスの熱量をQ60とすることができるため、第1浄化用触媒11の迅速昇温及び第1浄化用触媒11への熱害防止の両立を図ることができる。また、第2浄化用触媒12の吸気ポートへ供給される燃焼ガスの熱量をQ10とすることができるため、このような余剰熱量を放熱されることなく、第2浄化用触媒12への昇温に用いることができる。
【0071】
(コントローラの構成)
次に、
図3を参照しながらコントローラ10の構成について詳細に説明する。
【0072】
図3は、コントローラ10及び電気的にコントローラ10に接続される主要構成を示す構成ブロック図である。
【0073】
図3に示すように、コントローラ10は、互いに電気的に接続される入力インタフェース101、出力インタフェース102、記憶部103、タイマー104、判定部105、排気ガス浄化制御部106及びエンジン制御部107を有する。
【0074】
本実施形態では、コントローラ10は、排気ガス浄化システム100の各動作を制御する機能(以下、単に「浄化制御機能」ともいう)及びエンジンENGの動作を制御する機能(以下、単に「エンジン制御機能」ともいう)の両方を発揮する。
【0075】
入力インタフェース101は、イグニッションスイッチSW、バッテリ容量検出センサS1及び冷却水温検出センサS2からの出力信号が入力されるものである。
【0076】
排気ガス浄化制御部106により生成されたエアポンプ制御信号、バルブ制御信号、燃焼ポンプ制御信号、プラグ制御信号、インジェクタ制御信号、エンジン制御部107により生成されたエンジン制御信号、及び、モータ制御部108により生成されたモータ制御信号は、出力インタフェース102を介して、それぞれエアポンプ4、電磁バルブ5、燃料ポンプ7、プラグ22、インジェクタ24、エンジンENGへ出力される。
【0077】
記憶部103は、排気ガス浄化制御部106、エンジン制御部107及びモータ制御部108において実行される処理プログラム及びアルゴリズムプログラムを記憶している。また、記憶部103は、バッテリ容量検出センサS1及び冷却水温検出センサS2により検出された検出値を一時的に記憶する。本実施形態では、記憶部33は、コントローラ10に内蔵されているが、これに限定されるものではなく、例えば、コントローラ10とは別体に設けられてもよい。
【0078】
また、記憶部103は、後述するハイブリッド車両の停止状態における排気ガス浄化処理(以下、単に停止状態における排気ガス浄化処理ともいう)に用いられる第1所定時間T1、第2所定時間T2及び第3所定時間T3も記憶している(
図5参照)。なお、第1所定時間T1、第2所定時間T2及び第3所定時間T3については後述する。
【0079】
また、記憶部103は、後述するハイブリッド車両の走行状態における排気ガス浄化処理(以下、単に走行状態における排気ガス浄化処理ともいう)に用いられる第1所定バッテリ容量SOC1、第2所定バッテリ容量SOC2、第3所定バッテリ容量SOC3、又は、第1所定冷却水温LCCT1、第2所定冷却水温LCCT2、第3所定冷却水温LCCT3も記憶している(
図7参照)。なお、第1所定バッテリ容量SOC1、第2所定バッテリ容量SOC2、第3所定バッテリ容量SOC3、第1所定冷却水温LCCT1、第2所定冷却水温LCCT2、第3所定冷却水温LCCT3については後述する。
【0080】
タイマー104は、経過時間をカウントする。
【0081】
判定部105は、排気ガス浄化処理に必要な判定を行う。
【0082】
排気ガス浄化制御部106は、排気ガス浄化システム100を構成する各部品の動作を制御する。排気ガス浄化制御部106は、エアポンプ制御モジュール1061、バルブ制御モジュール1062、燃料ポンプ制御モジュール1063、インジェクタ制御モジュール1064及びプラグ制御モジュール1065を有する。なお、エアポンプ制御モジュール1061、バルブ制御モジュール1062、燃料ポンプ制御モジュール1063、インジェクタ制御モジュール1064及びプラグ制御モジュール1065の詳細については後述する。
【0083】
エンジン制御部107は、エンジンENGを制御する。
【0084】
モータ制御部108は、モータMを制御する。
【0085】
(停止状態における排気ガス浄化処理)
次に、
図4及び
図5を参照しながら排気ガス浄化システム100に係る停止状態における排気ガス浄化処理について説明する。
【0086】
図4は、停止状態における排気ガス浄化処理を示すフローチャートである。
図5は、エアポンプ4、電磁バルブ5、バーナ2及びエンジンENGの動作タイミングを示すテーブルである。
図5において、左側から右側へ向かって順にエンジンENG、バーナ2、エアポンプ4及び電磁バルブ5の各動作(オン/オフ等)状態が示され、上側から下側へ向かって経過時間が示されている。
【0087】
ハイブリッド車両のイグニッションスイッチSWが運転者によりOFFからONに切り替えられると、排気ガス浄化システム100に係る停止状態における排気ガス浄化処理が開始される。
【0088】
図4及び
図5に示すように、まず、ステップS101において、コントローラ10の入力インタフェース101は、イグニッションスイッチSWからの出力信号(具体的には、イグニッションスイッチSWがOFFからONに切り替えられたことを通知する出力信号)を受信する。そして、入力インタフェース101は、受信した出力信号を排気ガス浄化制御部106のエアポンプ制御モジュール1061、バルブ制御モジュール1062及びタイマー104へ送信し、ステップS102に進む。
【0089】
次に、ステップS102において、エアポンプ制御モジュール1061は、入力インタフェース101から出力された出力信号に基づいて、エアポンプ4をオフからオンに切り替えるためのエアポンプ制御信号を生成する。そして、エアポンプ制御モジュール1061は、生成した当該エアポンプ制御信号を出力インタフェース102を介してエアポンプ4へ出力する。そして、
図5に示すように、第1時点t1からエアポンプ4は、エアポンプ制御モジュール1061から出力された当該エアポンプ制御信号に基づいてオフからオンに切り替わり、エアフィルタAFからのエアをバーナ2(具体的には、バーナ2の燃焼室21)へ供給する。
【0090】
また、同時に、バルブ制御モジュール1062は、入力インタフェース101から出力された出力信号に基づいて、電磁バルブ5を閉状態から開状態に切り替えるためのバルブ制御信号を生成する。そして、バルブ制御モジュール1062は、生成した当該バルブ制御信号を出力インタフェース102を介して電磁バルブ5へ出力する。そして、
図5に示すように、第1時点t1から電磁バルブ5は、バルブ制御モジュール1062から出力された当該バルブ制御信号に基づいて閉状態から開状態に切り替わり、第2エア供給路3へエアの通過を許可する。
【0091】
さらに、同時に、タイマー104は、入力インタフェース101から出力された出力信号に基づいて、経過時間のカウントを開始するとともに経過時間の情報が含まれる時間信号を生成する。そして、タイマー104は、生成した時間信号を判定部105へ出力し、ステップS103に進む。
【0092】
次に、ステップS103において、判定部105は、タイマー104から出力された時間信号に基づいて、経過時間が記憶部103に記憶された第1所定時間T1となったか否かを判定する。判定部105は、経過時間が第1所定時間T1となったと判定した場合(Yesの場合)に、経過時間が第1所定時間T1となったことを通知する第1所定時間超過信号を生成する。そして、判定部105は、生成した第1所定時間超過信号を燃料ポンプ制御モジュール1063、インジェクタ制御モジュール1064及びプラグ制御モジュール1065へ出力し、ステップS104に進む。一方、経過時間が第1所定時間T1となっていないと判定された場合(Noの場合)に、ステップS103を繰り返す。
【0093】
次に、ステップS104において、燃料ポンプ制御モジュール1063は、判定部105から出力された第1所定時間超過信号に基づいて、燃料ポンプ7をオフからオンに切り替えるための燃料ポンプ制御信号を生成する。そして、燃料ポンプ制御モジュール1063は、生成した燃料ポンプ制御信号を出力インタフェース102を介して燃料ポンプ7へ出力する。そして、燃料ポンプ7は、燃料ポンプ制御モジュール1063から出力された燃料ポンプ制御信号に基づいてオフからオンに切り替わり、燃料を燃料タンクTからバーナ2へ供給する。
【0094】
また、同時に、インジェクタ制御モジュール1064は、判定部105から出力された第1所定時間超過信号に基づいて、インジェクタ24をオフからオンに切り替えるためのインジェクタ制御信号を生成する。そして、インジェクタ制御モジュール1064は、生成したインジェクタ制御信号を出力インタフェース102を介してインジェクタ24へ出力する。そして、インジェクタ24は、インジェクタ制御モジュール1064から出力されたインジェクタ制御信号に基づいてオフからオンに切り替わり、燃料を燃焼室21へ注入する。
【0095】
さらに、同時に、プラグ制御モジュール1065は、判定部105から出力された第1所定時間超過信号に基づいて、プラグ22に点火させるためのプラグ制御信号を生成する。そして、プラグ制御モジュール1065は、生成したプラグ制御信号を出力インタフェース102を介してプラグ22へ出力する。そして、プラグ22は、プラグ制御モジュール1065から出力されたプラグ制御信号に基づいて、燃焼室21に供給されたエア及び燃料の混合物を点火し、ステップS105に進む。
【0096】
すると、
図5に示すように、経過時間が第1所定時間T1となった第2時点t2からバーナ2は、オフからオンに切り替わり、燃料タンクTから供給された燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する。そして、バーナ2は、生成した燃焼ガスをそれぞれ第1燃焼ガス供給路91及び第2燃焼ガス供給路92を通じて浄化処理部1の第1浄化用触媒11及び第2浄化用触媒12へ供給する。これにより、エンジンENGの始動前に、第1浄化用触媒11及び第2浄化用触媒12を昇温させることで、第1浄化用触媒11及び第2浄化用触媒12に浄化機能を発揮させることができる。
【0097】
この場合に、燃焼室21の燃料が燃料タンクTから供給される前に、燃焼室21のエアは、エアフィルタAFを通じて供給されている(すなわち、燃焼室21へのエアの供給時点と燃焼室21への燃料の供給時点とを前後にずらしている)ため、燃料の不完全燃焼を防止するとともに燃料を燃焼させて生成された燃焼ガスの熱量を確保することができる。ここでは、「第1所定時間T1」とは、燃焼室21へのエア供給と燃焼室21への燃料供給との時間差である。
【0098】
次に、ステップS105において、判定部105は、タイマー104から出力された時間信号に基づいて、経過時間が記憶部103に記憶された第2所定時間T2となったか否かを判定する。判定部105は、経過時間が第2所定時間T2となったと判定した場合(Yesの場合)に、経過時間が第2所定時間T2となったことを通知する第2所定時間超過信号を生成する。そして、判定部105は、生成した第2所定時間超過信号をエンジン制御部107へ出力し、ステップS106に進む。一方、経過時間が第2所定時間T2となっていないと判定された場合(Noの場合)に、ステップS105を繰り返す。
【0099】
次に、ステップS106において、エンジン制御部107は、判定部105から出力された第2所定時間超過信号に基づいて、エンジンENGを始動させるためのエンジン始動制御信号を生成する。そして、エンジン制御部107は、生成したエンジン始動制御信号を出力インタフェース102を介してエンジンENGへ出力する。そして、エンジンENGは、エンジン制御部107から出力されたエンジン始動制御信号に基づいてオフからオンに切り替わり、始動し、ステップS107に進む。
【0100】
すると、
図5に示すように、経過時間が第2所定時間T2となった始動時点としての第4時点t4からエンジンENGは、オフからオンに切り替わり、始動してハイブリッド車両を駆動する。一方、第4時点t4において、バーナ2から第1浄化用触媒11及び第2浄化用触媒12への燃焼ガスの供給が継続されるため、エンジンENGの始動直後に第1浄化用触媒11及び第2浄化用触媒12の浄化機能を維持することができる。この結果、第1浄化用触媒11及び第2浄化用触媒12は、エンジンENGの始動直後にエンジンENGから排出される排気ガスの浄化を行うことができ、高い排気規制をクリアすることができる。ここでは、「第2所定時間T2」とは、燃焼室21へのエア供給とエンジンENGの始動との時間差である。
【0101】
次に、ステップS107において、判定部105は、タイマー104から出力された時間信号に基づいて、経過時間が記憶部103に記憶された第3所定時間T3となったか否かを判定する。判定部105は、経過時間が第3所定時間T3となったと判定した場合(Yesの場合)に、経過時間が第3所定時間T3となったことを通知する第3所定時間超過信号を生成する。そして、判定部105は、生成した第3所定時間超過信号をエアポンプ制御モジュール1061、バルブ制御モジュール1062及びインジェクタ制御モジュール1064へ出力し、ステップS108に進む。一方、経過時間が第3所定時間T3となっていないと判定された場合(Noの場合)に、ステップS107を繰り返す。
【0102】
次に、ステップS108において、エアポンプ制御モジュール1061は、判定部105から出力された第3所定時間超過信号に基づいて、エアポンプ4をオンからオフに切り替えるためのエアポンプ制御信号を生成する。そして、エアポンプ制御モジュール1061は、生成した当該エアポンプ制御信号を出力インタフェース102を介してエアポンプ4へ出力する。そして、
図5に示すように、第3時点t3からエアポンプ4は、エアポンプ制御モジュール1061から出力された当該エアポンプ制御信号に基づいてオンからオフに切り替わり、エアフィルタAFからバーナ2へのエア供給を停止する。
【0103】
また、同時に、バルブ制御モジュール1062は、判定部105から出力された第3所定時間超過信号に基づいて、電磁バルブ5を開状態から閉状態に切り替えるためのバルブ制御信号を生成する。そして、バルブ制御モジュール1062は、生成した当該バルブ制御信号を出力インタフェース102を介して電磁バルブ5へ出力する。そして、
図5に示すように、第1時点t1から電磁バルブ5は、バルブ制御モジュール1062から出力された当該バルブ制御信号に基づいて開状態から閉状態に切り替わり、第2エア供給路3へエアの通過を禁止する。
【0104】
さらに、同時に、インジェクタ制御モジュール1064は、判定部105から出力された第3所定時間超過信号に基づいて、インジェクタ24をオンからオフに切り替えるためのインジェクタ制御信号を生成する。そして、インジェクタ制御モジュール1064は、生成したインジェクタ制御信号を出力インタフェース102を介してインジェクタ24へ出力する。そして、インジェクタ24は、インジェクタ制御モジュール1064から出力されたインジェクタ制御信号に基づいてオンからオフに切り替わり、燃焼室21への燃料の注入を停止する。そして、コントローラ10は、停止状態における排気ガス浄化処理を終了させて走行状態における排気ガス浄化処理へ移行する。
【0105】
すると、
図5に示すように、経過時間が第3所定時間T3となった第3時点t3からバーナ2は、オンからオフに切り替わり、エア供給及び燃料供給が停止されて燃焼ガスの生成を停止する。これにより、バーナ2から第1浄化用触媒11及び第2浄化用触媒12への燃焼ガスの供給が停止される。一方、第3時点t3からエンジンENGは、オンのままとなっている。このため、バーナ2から第1浄化用触媒11及び第2浄化用触媒12への燃焼ガスの供給が停止されても、第1浄化用触媒11及び第2浄化用触媒12は、浄化機能を発揮し続けることができる。
【0106】
ここでは、「第3所定時間T3」とは、燃焼室21へのエア供給と燃焼室21へのエア供給停止との時間差(又は、燃焼室21へのエア供給と燃焼室21への燃料供給停止との時間差)である。なお、第3時点t3は、エンジンENGのクランキング状態よりも後である時点である。
【0107】
(走行状態における排気ガス浄化処理)
次に、
図6及び
図7を参照しながら排気ガス浄化システム100に係る走行状態における排気ガス浄化処理について説明する。
【0108】
図6は、走行状態における排気ガス浄化処理を示すフローチャートである。
図7は、バッテリ容量SOC又は冷却水温LLCTによるエンジン始動の各パラメータの関係を示すタイムチャートである。なお、
図7では、横軸は、経過時間を示し、縦軸は、バッテリ容量SOC、冷却水温LLCT及び触媒温度CATTを示している。
【0109】
排気ガス浄化システム100に係る停止状態における排気ガス処理が終了すると、排気ガス浄化システム100に係る走行状態における排気ガス浄化処理が開始される。
【0110】
図6に示すように、まず、ステップS201において、エンジンENGがエンジン制御部107によって始動されている状態では、バッテリ容量検出センサS1は、バッテリ容量SOCを検出する。そして、バッテリ容量検出センサS1は、検出したバッテリ容量SOCが含まれる出力信号をコントローラ10の入力インタフェース101へ出力する。
【0111】
そして、入力インタフェース101は、バッテリ容量検出センサS1からの出力信号を受信する。そして、入力インタフェース101は、受信した出力信号を記憶部103及び判定部105へ送信し、ステップS202に進む。
【0112】
また、
図7に示すように、エンジンENGがエンジン制御部107によって始動されている状態では、バッテリ容量SOCは、時間の経過に伴い増大するとともに、冷却水温LLCT及び第1浄化用触媒11の触媒温度CATT(以下、単に触媒温度CATTともいう)は、時間の経過に伴い上昇する。
【0113】
次に、ステップS202において、判定部105は、出力信号に含まれるバッテリ容量SOCが記憶部103に記憶された第1所定バッテリ容量SOC1となったか否かを判定する。
【0114】
判定部105は、バッテリ容量SOCが第1所定バッテリ容量SOC1となったと判定した場合(Yesの場合)、すなわち、ハイブリッド車両をエンジン走行モードからEV走行モードに切り替える必要があると判定した場合に、バッテリ容量SOCが第1所定バッテリ容量SOC1となったことを通知する第1バッテリ容量信号を生成する。そして、判定部105は、生成した第1バッテリ容量信号をエンジン制御部107及びモータ制御部108へ出力し、ステップS203に進む。
【0115】
一方、判定部105は、バッテリ容量SOCが第1所定バッテリ容量SOC1となっていないと判定した場合(Noの場合)、すなわち、ハイブリッド車両をエンジン走行モードからEV走行モードに切り替える必要がないと判定した場合に、ステップS201に戻る。
【0116】
ここでは、「第1所定バッテリ容量SOC1」とは、ハイブリッド車両をエンジン走行モードからEV走行モードに切り替えるためのトリガーである。
図7に示すように、第1所定バッテリ容量SOC1は、第1所定冷却水温LLCT1及び第1所定触媒温度CATT1と対応する。すなわち、バッテリ容量SOCが第1所定バッテリ容量SOC1となったときに、冷却水温LLCT及び触媒温度CATTは、それぞれ第1所定冷却水温LLCT1及び第1所定触媒温度CATT1となる。このため、「第1所定冷却水温LLCT1」及び「第1所定触媒温度CATT1」も、ハイブリッド車両をエンジン走行モードからEV走行モードに切り替えるためのトリガーである。
【0117】
次に、ステップS203において、エンジン制御部107は、判定部105から出力された第1バッテリ容量信号に基づいて、エンジンENGの駆動を停止させるためのエンジン停止制御信号を生成する。そして、エンジン制御部107は、生成したエンジン停止制御信号を出力インタフェース102を介してエンジンENGへ出力する。そして、エンジンENGは、エンジン制御部107から出力されたエンジン停止制御信号に基づいて、駆動が停止される。
【0118】
また、ステップS203において、モータ制御部108は、判定部105から出力された第1バッテリ容量信号に基づいて、モータMを駆動させるためのモータ駆動制御信号を生成する。そして、モータ制御部108は、生成したモータ駆動制御信号を出力インタフェース102を介してモータMへ出力する。そして、モータMは、モータ制御部108から出力されたモータ駆動制御信号に基づいて駆動され、ステップS204に進む。これにより、ハイブリッド車両は、エンジン走行モードからEV走行モードに切り替わる。
【0119】
次に、ステップS204において、ハイブリッド車両がEV走行モードで走行する場合に、バッテリ容量検出センサS1は、バッテリ容量SOCを検出する。そして、バッテリ容量検出センサS1は、検出したバッテリ容量SOCが含まれる出力信号をコントローラ10の入力インタフェース101へ出力する。
【0120】
そして、入力インタフェース101は、バッテリ容量検出センサS1からの出力信号を受信する。そして、入力インタフェース101は、受信した出力信号を記憶部103及び判定部105へ送信し、ステップS205に進む。
【0121】
また、
図7に示すように、ハイブリッド車両がEV走行モードで走行する場合に、バッテリ容量SOCは、時間の経過に伴い減少するとともに、冷却水温LLCT及び第1浄化用触媒11の触媒温度CATT(以下、単に触媒温度CATTともいう)は、時間の経過に伴い下降する。
【0122】
次に、ステップS205において、判定部105は、出力信号に含まれるバッテリ容量SOCが記憶部103に記憶された第2所定バッテリ容量SOC2となったか否かを判定する。
【0123】
判定部105は、バッテリ容量SOCが第1所定バッテリ容量SOC1よりも小さい第2所定バッテリ容量SOC2となったと判定した場合(Yesの場合)、すなわち、バーナ2により生成された燃焼ガスによって第1浄化用触媒11を昇温させる必要があると判定した場合に、バッテリ容量SOCが第2所定バッテリ容量SOC2となったことを通知する第2バッテリ容量信号を生成する。そして、判定部105は、生成した第2バッテリ容量信号を排気ガス浄化制御部106へ出力し、ステップS206に進む。
【0124】
一方、判定部105は、バッテリ容量SOCが第2所定バッテリ容量SOC2となっていないと判定した場合(Noの場合)、すなわち、バーナ2により生成された燃焼ガスによって第1浄化用触媒11を昇温させる必要がないと判定した場合に、ステップS204に戻る。
【0125】
ここでは、「第2所定バッテリ容量SOC2」とは、バーナ2をオフからオンに切り替えるためのトリガーである。
図7に示すように、第2所定バッテリ容量SOC2は、第2所定冷却水温LLCT2及び第2所定触媒温度CATT2と対応する。すなわち、バッテリ容量SOCが第2所定バッテリ容量SOC2となったときに、冷却水温LLCT及び触媒温度CATTは、それぞれ第2所定冷却水温LLCT2及び第2所定触媒温度CATT2となる。このため、「第2所定冷却水温LLCT2」及び「第2所定触媒温度CATT2」も、バーナ2をオフからオンに切り替えるためのトリガーである。
【0126】
次に、ステップS206において、排気ガス浄化制御部106は、判定部105から出力された第2バッテリ容量信号に基づいて、バーナ2(具体的には、エアポンプ4、電磁バルブ5、燃料ポンプ7、プラグ22及びインジェクタ24)をオフからオンに切り替えるためのバーナ駆動制御信号(具体的には、エアポンプ駆動制御信号、バルブ駆動制御信号、燃料ポンプ駆動制御信号、インジェクタ駆動制御信号及びプラグ制御信号を含む)を生成する。そして、排気ガス浄化制御部106は、生成したバーナ駆動制御信号を出力インタフェース102を介してバーナ2へ出力する。
【0127】
そして、バーナ2は、排気ガス浄化制御部106から出力されたバーナ駆動制御信号に基づいて、燃料ガスを生成するように駆動され、ステップS207に進む。これにより、バーナ2により生成された燃焼ガスは、第1燃焼ガス供給路91から第1浄化用触媒11へ供給されるため、第1浄化用触媒11を触媒活性が得られる第1所定温度に昇温させることができる。
【0128】
次に、ステップS207において、ハイブリッド車両がEV走行モードで走行する場合に、バッテリ容量検出センサS1は、バッテリ容量SOCを検出する。そして、バッテリ容量検出センサS1は、検出したバッテリ容量SOCが含まれる出力信号をコントローラ10の入力インタフェース101へ出力する。
【0129】
そして、入力インタフェース101は、バッテリ容量検出センサS1からの出力信号を受信する。そして、入力インタフェース101は、受信した出力信号を記憶部103及び判定部105へ送信し、ステップS208に進む。
【0130】
次に、ステップS208において、判定部105は、出力信号に含まれるバッテリ容量SOCが記憶部103に記憶された第3所定バッテリ容量SOC3となったか否かを判定する。
【0131】
判定部105は、バッテリ容量SOCが第2所定バッテリ容量SOC2よりも小さい第3所定バッテリ容量SOC3となったと判定した場合(Yesの場合)、すなわち、ハイブリッド車両をEV走行モードからエンジン走行モードに切り替える(または、バーナ2をオンからオフに切り替える)必要があると判定した場合に、バッテリ容量SOCが第3所定バッテリ容量SOC3となったことを通知する第3バッテリ容量信号を生成する。そして、判定部105は、生成した第3バッテリ容量信号を排気ガス浄化制御部106、エンジン制御部107及びモータ制御部108へ出力し、ステップS209に進む。
【0132】
一方、判定部105は、バッテリ容量SOCが第3所定バッテリ容量SOC3となっていないと判定した場合(Noの場合)、すなわち、ハイブリッド車両をEV走行モードからエンジン走行モードに切り替える(または、バーナ2をオンからオフに切り替える)必要がないと判定した場合に、ステップS207に戻る。
【0133】
ここでは、「第3所定バッテリ容量SOC3」とは、ハイブリッド車両をEV走行モードからエンジン走行モードに切り替える(または、バーナ2をオンからオフに切り替える)ためのトリガーである。
図7に示すように、第3所定バッテリ容量SOC3は、第3所定冷却水温LLCT3及び第3所定触媒温度CATT3と対応する。すなわち、バッテリ容量SOCが第3所定バッテリ容量SOC3となったときに、冷却水温LLCT及び触媒温度CATTは、それぞれ第3所定冷却水温LLCT3及び第3所定触媒温度CATT3となる。このため、「第3所定冷却水温LLCT3」及び「第3所定触媒温度CATT3」も、ハイブリッド車両をEV走行モードからエンジン走行モードに切り替える(または、バーナ2をオンからオフに切り替える)ためのトリガーである。なお、第3所定触媒温度CATT3は、触媒活性が得られる第1所定温度でもある。
【0134】
次に、ステップS209において、排気ガス浄化制御部106は、判定部105から出力された第3バッテリ容量信号に基づいて、バーナ2(具体的には、エアポンプ4、電磁バルブ5、燃料ポンプ7及びインジェクタ24)をオンからオフに切り替えるためのバーナ停止制御信号(具体的には、エアポンプ停止制御信号、バルブ停止制御信号、燃料ポンプ停止制御信号及びインジェクタ停止制御信号を含む)を生成する。そして、排気ガス浄化制御部106は、生成したバーナ停止制御信号を出力インタフェース102を介してバーナ2へ出力する。そして、バーナ2は、排気ガス浄化制御部106から出力されたバーナ停止制御信号に基づいて、駆動が停止される。
【0135】
また、ステップS209において、エンジン制御部107は、判定部105から出力された第3バッテリ容量信号に基づいて、エンジンENGを駆動させるためのエンジン駆動制御信号を生成する。そして、エンジン制御部107は、生成したエンジン駆動制御信号を出力インタフェース102を介してエンジンENGへ出力する。そして、エンジンENGは、エンジン制御部107から出力されたエンジン駆動制御信号に基づいて、駆動される。
【0136】
また、ステップS209において、モータ制御部108は、判定部105から出力された第3バッテリ容量信号に基づいて、モータMの駆動を停止させるためのモータ停止制御信号を生成する。そして、モータ制御部108は、生成したモータ停止制御信号を出力インタフェース102を介してモータMへ出力する。そして、モータMは、モータ制御部108から出力されたモータ停止制御信号に基づいて駆動が停止される。これにより、ハイブリッド車両は、EV走行モードからエンジン走行モードに切り替わる。そして、コントローラ10は、走行状態における排気ガス浄化処理を終了させる。
【0137】
このように、ハイブリッド車両をEV走行モードからエンジン走行モードに切り替える直前に、バーナ2を駆動させて燃焼ガスを生成し、生成された燃焼ガスを第1燃焼ガス供給路91を介して第1浄化用触媒11へ供給することにより、第1浄化用触媒11を触媒活性が得られる第1所定温度に昇温させることができる。
【0138】
すなわち、コントローラ10は、第1燃焼ガス供給路91から第1浄化用触媒11へ燃焼ガスが供給されるようにハイブリッド車両の駆動条件(具体的には、バッテリ容量)に基づいて、バーナ2の駆動を制御することにより、第1浄化用触媒11を触媒活性が得られる第1所定温度に昇温することができる。よって、第1浄化用触媒11を昇温させるためのエンジンENGの余計な始動を無くせるため、ハイブリッド車両の燃費改善に寄与することができるという優れた効果が得られる。なお当該効果の詳細については後述する。
【0139】
(実施形態と第2比較例との対比)
次に、
図7及び
図8を参照しながら、エンジンENGの余計な始動を無くせるため、ハイブリッド車両の燃費改善に寄与することができるという優れた効果について第2比較例を用いて説明する。
【0140】
図8は、第2比較例に係る触媒温度CATTによるエンジン始動の各パラメータの関係を示すタイムチャートである。なお、
図8では、
図7と同様に、横軸は、経過時間を示し、縦軸は、バッテリ容量SOC、冷却水温LLCT及び触媒温度CATTを示している。
【0141】
図8に示すように、第2比較例では、上述した実施形態に係るバーナ2が用いられていないため、エンジンENGを用いることで第1浄化用触媒11を昇温させる必要がある。具体的には、第2比較例では、比較的短いスパンの二つのEV走行モード領域の間に第1浄化用触媒11を昇温させるためのエンジン走行モード領域を設ける必要がある。よって、上述した実施形態のような長いスパンのEV走行モード領域(
図7参照)を実現することができず、上述した実施形態に比べ、ハイブリッド車両の燃費改善に寄与することができない。
【0142】
上述した実施形態では、コントローラ10は、バッテリ容量に基づいてバーナ2の駆動を制御するのに対し、第2比較例では、コントローラ10は、第1浄化用触媒11が昇温されるように触媒温度CATTに基づいてエンジンENGの駆動を制御する。
【0143】
一方、上述した実施形態では、EV走行モード領域を長くした場合であっても、エンジン走行モードの直前にバーナ2を用いて第1浄化用触媒11を触媒活性が得られる第1所定温度に昇温させるため、ハイブリッド車両がEV走行モードからエンジン走行モードに切り替えられた際に、第1浄化用触媒11は、エンジンからの排気ガスを浄化することができる。この結果、第2比較例のようなエンジンENGの余計な始動(すなわち、
図8に示される二つのEV走行モード領域の間のエンジン走行モード領域)を無くせるため、ハイブリッド車両の燃費改善に寄与することができる。
【0144】
(作用効果)
次に、本実施形態による作用効果について説明する。
【0145】
本実施形態に係る排気ガス浄化システム100であって、複数の浄化用触媒11,12を含み、エンジンENGからの排気ガスを浄化する浄化処理部1と、浄化処理部1へ供給する燃焼ガスを生成するバーナ2と、バーナ2により生成される燃焼ガスを浄化処理部1にて上流側に位置する第1浄化用触媒11へ供給する第1燃焼ガス供給路91と、バーナ2により生成される燃焼ガスを浄化処理部1にて第1浄化用触媒11よりも下流側に位置する第2浄化用触媒12へ供給する第2燃焼ガス供給路92と、を備え、第1燃焼ガス供給路91は、第2燃焼ガス供給路92の長さよりも短い供給路で設けられるとともに、エンジンENGからの排気ガスを第1浄化用触媒11へ導くための流路に接続され、第1浄化用触媒11は、第1燃焼ガス供給路91から供給される燃焼ガスによって触媒活性が得られる第1所定温度に昇温される。
【0146】
この構成によれば、第1燃焼ガス供給路91は、バーナ2により生成される燃焼ガスを第1浄化用触媒11へ供給するとともに、第2燃焼ガス供給路92は、バーナ2により生成される燃焼ガスを第2浄化用触媒12へ供給するため、本来、第1燃焼ガス供給路91によって放熱される燃焼ガスの余剰熱量を、第1燃焼ガス供給路91によって放熱されることなく、第2燃焼ガス供給路92によって第2浄化用触媒12へ供給することができ、燃焼ガスによる熱量の利用率を向上させることができる。
【0147】
また、バーナ2により生成される燃焼ガスが第2燃焼ガス供給路92を経由して供給されるため、第1燃焼ガス供給路91を長くすることなく、第1浄化用触媒11への熱害防止を図る(すなわち、第1浄化用触媒11を第1所定温度と第1限界温度との間に昇温させる)ことができる。
【0148】
また、第1燃焼ガス供給路91からの大量の放熱を必要とせず、第1燃焼ガス供給路91の短縮を図ることができるため、燃焼ガスがバーナ2から第1浄化用触媒11へ供給される速度を向上させることができる。この結果、第1浄化用触媒11の迅速昇温をより図ることができる。また、バーナ2を浄化処理部1に近づけて設けることができ、排気ガス浄化システム100全体のコンパクト化を図ることができる。
【0149】
また、バーナ2から第2燃焼ガス供給路92を経由してダイレクトに第2浄化用触媒12へ供給される燃焼ガスは、第1浄化用触媒11を経由していないため、燃焼ガスが第1浄化用触媒11を経由して供給される場合に比べ、燃焼ガスが第2浄化用触媒12へ供給される際の温度低下を抑制することができる。
【0150】
また、第2燃焼ガス供給路92よりも短い供給路で設けられる第1燃焼ガス供給路91によって、必要な熱量(具体的には、触媒活性が得られる第1所定温度に必要な熱量)のみ早く第1浄化用触媒11へ供給して、その後、余剰熱量を第2浄化用触媒12へ供給することにより、第1浄化用触媒11への熱害防止及び燃焼ガスの放熱を抑制することができる。
【0151】
また、本実施形態では、第2燃焼ガス供給路92の内径は、第1燃焼ガス供給路91の内径よりも小さい。
【0152】
この構成によれば、第2燃焼ガス供給路92による燃焼ガスの放熱を抑制することができるため、燃焼ガスによる熱量の利用率を向上させることができる。
【0153】
また、本実施形態では、第2燃焼ガス供給路92は、第1燃焼ガス供給路91のうち浄化処理部1への接続側とは反対のバーナ2側に近い位置で第1燃焼ガス供給路91から分岐される。
【0154】
この構成によれば、第1燃焼ガス供給路91による燃焼ガスの放熱を抑制することができるため、燃焼ガスによる熱量の利用率をより向上させることができる。
【0155】
また、本実施形態では、第2燃焼ガス供給路92は、第1燃焼ガス供給路91のうちバーナ2側とは反対の浄化処理部1への接続側に近い位置で第1燃焼ガス供給路91から分岐される。
【0156】
この構成によれば、第2燃焼ガス供給路92を短くすることができる。
【0157】
また、本実施形態では、排気ガス浄化システム100を制御するコントローラ10であって、排気ガス浄化システム100は、外部とバーナ2とを連通させる第2エア供給路3と、外部からのエアをバーナ2へ供給するように第2エア供給路3に設けられるエアポンプ4と、エアポンプ4よりも下流側に位置するように第2エア供給路3に設けられる電磁バルブ5と、燃料タンクTとバーナ2とを連通させる第1燃料供給路L1及び燃料分岐路6と、バーナ2に設けられるインジェクタ24と、をさらに備え、コントローラ10は、エンジンENGが始動される始動時点の先である第1時点t1にエアポンプ4をオフからオンに切り替えるとともに電磁バルブ5を閉状態から開状態に切り替え、第1時点t1と始動時点との間にある第2時点t2にインジェクタ24をオフからオンに切り替え、始動時点の後である第3時点t3にエアポンプ4及びインジェクタ24をオンからオフに切り替えるとともに電磁バルブ5を開状態から閉状態に切り替えるように制御する。
【0158】
この構成によれば、コントローラ10は、エンジンENGが始動される始動時点の先である第1時点t1にエアポンプ4をオフからオンに切り替えるとともに電磁バルブ5を閉状態から開状態に切り替え、第1時点t1と始動時点との間にある第2時点t2にインジェクタ24をオフからオンに切り替えるように制御する。このため、エンジンENGの始動前に、第1浄化用触媒11及び第2浄化用触媒12を昇温させることで、第1浄化用触媒11及び第2浄化用触媒12に浄化機能を発揮させることができる。
【0159】
また、燃焼室21の燃料が燃料タンクTから供給される前に、燃焼室21のエアは、エアフィルタAFを通じて供給されている(すなわち、燃焼室21へのエアの供給時点と燃焼室21への燃料の供給時点とを前後にずらしている)ため、燃料の不完全燃焼を防止するとともに燃料を燃焼させて生成された燃焼ガスの熱量を確保することができる。
【0160】
また、エンジンENGの始動時点において、バーナ2から第1浄化用触媒11及び第2浄化用触媒12への燃焼ガスの供給が継続されるため、エンジンENGの始動直後に第1浄化用触媒11及び第2浄化用触媒12の浄化機能を維持することができる。この結果、第1浄化用触媒11及び第2浄化用触媒12は、エンジンENGの始動直後にエンジンENGから排出される排気ガスの浄化を行うことができ、高い排気規制をクリアすることができる。
【0161】
また、本実施形態に係るコントローラ10は、エンジンENG及びモータMにより駆動するハイブリッド車両に搭載され、エンジンENGからの排気ガスの浄化処理を制御する排気ガス浄化システム100のコントローラ10であって、排気ガス浄化システム100は、複数の浄化用触媒11,12を含み、エンジンENGからの排気ガスを浄化する浄化処理部1と、浄化処理部1へ供給する燃焼ガスを生成するバーナ2と、バーナ2により生成される燃焼ガスを浄化処理部1にて上流側に位置する第1浄化用触媒11へ供給する第1燃焼ガス供給路91と、バーナ2により生成される燃焼ガスを浄化処理部1にて第1浄化用触媒11よりも下流側に位置する第2浄化用触媒12へ供給する第2燃焼ガス供給路92と、を備え、第1燃焼ガス供給路91は、第2燃焼ガス供給路92の長さよりも短い供給路で設けられると共に、エンジンENGからの排気ガスを第1浄化用触媒11へ導くための流路に接続され、コントローラ10は、第1燃焼ガス供給路91から第1浄化用触媒11へ燃焼ガスが供給されるようにハイブリッド車両の駆動条件に基づいてバーナ2の駆動を制御することにより、第1浄化用触媒11を触媒活性が得られる第1所定温度に昇温する。
【0162】
この構成によれば、コントローラ10は、第1燃焼ガス供給路91から第1浄化用触媒11へ燃焼ガスが供給されるようにハイブリッド車両の駆動条件に基づいてバーナ2の駆動を制御することにより、第1浄化用触媒11を触媒活性が得られる第1所定温度に昇温するため、第1浄化用触媒11を昇温させるためのエンジンENGの余計な始動を無くせるため、ハイブリッド車両の燃費改善に寄与することができる。
【0163】
(変形例)
次に、
図9を参照しながら第1変形例に係る排気ガス浄化システム100について説明する。なお、第1変形例では、上述した実施形態と同様の点については省略し、主に上述した実施形態と相違する点について説明する。
【0164】
図9は、第1変形例に係る浄化処理部1を示す概略構成図である。
【0165】
上述した実施形態では、第1浄化用触媒11は、単一の三元触媒TWCから構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、
図9に示すように、上流側触媒111及び下流側触媒112を有して構成されてもよい。
【0166】
この場合に、
図9に示すように、浄化処理部1は、第1方向に沿って流れる排気ガスを浄化する第1浄化用触媒11と、第1浄化用触媒11を通過した排気ガスであって第1方向と交差する第2方向に沿って流れる排気ガスを浄化する第2浄化用触媒12と、第1浄化用触媒11及び第2浄化用触媒12を収容するケース14と、第1浄化用触媒11の外周面とケース14の内周面との間に設けられ第1浄化用触媒11を覆う外周流路15と、ケース14の内側に形成され、第1浄化用触媒11を通過した排気ガスを第2浄化用触媒12及び外周流路15のそれぞれに導くように分岐させる分岐部16と、を備える。このような構成により、ケース14に対して第1浄化用触媒と第2浄化用触媒とを収容しつつ、浄化性能に優れかつコンパクトな浄化処理部1を実現することができる。
【0167】
ケース14は、上流側から下流側に向かって略L字型状に設けられる。また、ケース14は、第1浄化用触媒11の外周面と間に排気ガスが流れる外周流路15を形成する筒状部141と、外周流路15を挟んで筒状部141と対向するインナケース142と、を有する。また、上記分岐部16は、第1浄化用触媒11を通過したガスを受ける筒状部141の壁面において、当該ガスを第2浄化用触媒12及び外周流路15のそれぞれに導くように設けられる。
【0168】
上流側触媒111及び下流側触媒112は、三元触媒TWCから構成される。また、上流側触媒111及び下流側触媒112は、第1方向において、互いに間隔を空けて配置されるようにインナケース142に収容される。なお、本変形例では、上流側触媒111の外径よりも下流側触媒112の外径を大きくした構造例としているが、上流側触媒111および下流側触媒112とを同一の外径としてもよい。この場合、円筒状のインナケース142によって上流側触媒111及び下流側触媒112が収容されることになり、筒状部141の開口部(図示なし)に対して第1方向に沿って挿入固定できる。なお、本変形例では、インナケース142の一部が、上記第1方向において筒状部141の外側に突出して設けられている。すなわち、インナケース142及び上流側触媒111の上流端部側は、外周流路15によって覆われていない、つまり外周流路15を通過する排ガス又は後述する燃焼ガスによって保温されない部分が存在する。本変形例のような構造であっても、本発明は、上流側触媒111は、第1燃焼ガス供給路91から供給され燃焼ガスによって昇温できるため、浄化性能に優れかつコンパクトな浄化処理部1を実現することができる。
【0169】
第2浄化用触媒12は、ガソリン・パティキュレート・フィルタGPFから構成される。第1浄化用触媒11の下流側触媒112と第2浄化用触媒12との間には、間隔が形成される。当該間隔には、分岐部16が設けられる。
【0170】
第1燃焼ガス供給路91は、一端が上流側触媒111よりも上流側に位置するようにケース14と接続される。一方、第2燃焼ガス供給路92は、一端が下流側触媒112と第2浄化用触媒12との間に形成される間隔に位置するようにケース14と接続される。この第2燃焼ガス供給路92が接続されるケース14の接続部は、上記分岐部16と干渉しない位置に接続されていることが好ましい。これにより、第1浄化用触媒11を通過するガスが、第2燃焼ガス供給路92の接続部を通じて逆流してしまうことを有効に防止できる。ケース14の筒状部141に対する第2燃焼ガス供給路92の接続方向は、例えば、第1浄化用触媒11における第1方向、及び第2浄化用触媒12における第2方向のそれぞれと交差ないし直交する方向とするのが好ましい。
【0171】
そして、下流側触媒112及び第2浄化用触媒12は、ケース14に対して第2燃焼ガス供給路92から供給される燃焼ガスによって昇温される。
【0172】
下流側触媒112は、第1燃焼ガス供給路91から供給され上流側触媒111を通過した燃焼ガス及び第2燃焼ガス供給路92から供給される燃焼ガスによって昇温される。そして、下流側触媒112を通過した燃焼ガスの一部は、分岐部16を経由して外周流路15に導かれる。一方、第2燃焼ガス供給路92から供給される燃焼ガスの一部は、外周流路15に入り込む。この外周流路15は、上流側触媒111におけるガス通過方向(第1方向)の下流側端部の外周部分と、下流側触媒112の外周部分を覆っている。これにより、上流側触媒111だけでなく下流側触媒112についても、インナケース142を介して迅速に昇温または保温させることができる。なお、外周流路15は、下流側触媒112だけを覆うように設けてもよい。なお、
図9では、第2燃焼ガス供給路92は、第1浄化用触媒11の第2浄化用触媒12側とは反対側の筒状部141の外周部に対して接続した構造例を示した。本発明は勿論これに限定されず、例えば、第2浄化用触媒12の第2方向視にて第1浄化用触媒11と第2浄化用触媒12とが第1方向において重なる側(オーバーラップ部分)に対応する角部、すなわち、第1浄化用触媒11と第2浄化用触媒12とで挟まれた筒状部141の角部に接続してもよい。この場合は、浄化処理部1の周辺に配置される他の部材と第2燃焼ガス供給路92との干渉を防ぎつつ、筒状部141(外周流路15)への第2燃焼ガス供給路92の接続が可能となる。
【0173】
次に、
図10を参照しながら第2変形例に係る排気ガス浄化システム100について説明する。なお、第2変形例では、上述した第1変形例と同様の点については省略し、主に上述した第1変形例と相違する点について説明する。第1変形例と第2変形例における同様の構成部分については同一の作用効果を有し、第1変形例の説明に関連して説明した他の構造例については第2変形例にも適用可能である。
【0174】
図10は、第2変形例に係る浄化処理部1を示す概略構成図である。
【0175】
上述した第1変形例では、第2燃焼ガス供給路92の一端は、下流側触媒112と第2浄化用触媒12との間に形成される間隔に位置するようにケース14と接続されているが、これに限定されるものではなく、例えば、
図10に示すように、筒状部141と連通するようにケース14と接続されてもよい。すなわち、第2燃焼ガス供給路92は、ケース14の筒状部141と連通する。
【0176】
この場合に、第2燃焼ガス供給路92から供給される燃焼ガスは、ダイレクトに外周流路15へ供給されるため、第1変形例に比べ下流側触媒112をより迅速に昇温させることができる。また、バーナ2の本体は、上記
図9及び
図10のように第1浄化用触媒11を間に挟んで第2浄化用触媒12とは反対側に配置しているが、本発明は勿論これに限定されず、例えば、筒状部141の角部に対応して、第2浄化用触媒12の側方に配置、すなわち、第2浄化用触媒12の第2方向と略平行に併設してもよい。この場合にも、浄化処理部1の周辺に配置される他の部材とバーナ2との干渉を防ぎつつ、浄化処理部1に対してバーナ2をコンパクトに接続することができる。
【0177】
また、上述した実施形態では、燃料供給スイッチは、バーナ2に設けられるインジェクタ24から構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、インジェクタ24に代わって燃料分岐路6に設けられる電磁バルブであってもよい。
【0178】
また、上述した実施形態では、イグニッションスイッチSWのオフからオンへの切替を停止状態における排気ガス浄化処理のトリガー(開始)として説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、ハイブリッド車両のドアの開動作を停止状態における排気ガス浄化処理のトリガー(開始)としてもよい。
【0179】
この場合に、ステップS101において、入力インタフェース101は、ドアに設けられるセンサからの出力信号(具体的には、ドアの開動作を通知する出力信号)を受信する。そして、入力インタフェース101は、受信した当該出力信号を排気ガス浄化制御部106のエアポンプ制御モジュール1061、バルブ制御モジュール1062及びタイマー104へ送信し、ステップS102に進む。
【0180】
なお、変形例では、実行されるステップS102からステップS108は、上述した実施形態において実行されるステップS102からステップS108とは同様であるため、これらの説明を省略する。
【0181】
次に、
図7及び
図11を参照しながら変形例に係る走行状態における排気ガス浄化処理について説明する。なお、変形例では、上述した実施形態と同様の点については省略し、主に上述した実施形態と相違する点について説明する。
【0182】
図11は、変形例に係る走行状態における排気ガス浄化処理を示すフローチャートである。
【0183】
上述した実施形態では、コントローラ10は、バッテリ容量SOCに基づいてバーナ2の駆動を制御するのに対し、変形例では、コントローラ10は、冷却水温LLCTに基づいてバーナ2の駆動を制御する。
【0184】
排気ガス浄化システム100に係る停止状態における排気ガス処理が終了すると、排気ガス浄化システム100に係る走行状態における排気ガス浄化処理が開始される。
【0185】
図11に示すように、まず、ステップS201Aにおいて、エンジンENGがエンジン制御部107によって始動されている状態では、冷却水温検出センサS2は、冷却水温LLCTを検出する。そして、冷却水温検出センサS2は、検出した冷却水温LLCTが含まれる出力信号をコントローラ10の入力インタフェース101へ出力する。
【0186】
そして、入力インタフェース101は、冷却水温検出センサS2からの出力信号を受信する。そして、入力インタフェース101は、受信した出力信号を記憶部103及び判定部105へ送信し、ステップS202Aに進む。
【0187】
次に、ステップS202Aにおいて、判定部105は、出力信号に含まれる冷却水温LLCTが記憶部103に記憶された第1所定冷却水温LLCT1となったか否かを判定する。
【0188】
判定部105は、冷却水温LLCTが第1所定冷却水温LLCT1となったと判定した場合(Yesの場合)、すなわち、ハイブリッド車両をエンジン走行モードからEV走行モードに切り替える必要があると判定した場合に、冷却水温LLCTが第1所定冷却水温LLCT1となったことを通知する第1冷却水温信号を生成する。そして、判定部105は、生成した第1冷却水温信号をエンジン制御部107及びモータ制御部108へ出力し、ステップS203Aに進む。
【0189】
一方、判定部105は、冷却水温LLCTが第1所定冷却水温LLCT1となっていないと判定した場合(Noの場合)、すなわち、ハイブリッド車両をエンジン走行モードからEV走行モードに切り替える必要がないと判定した場合に、ステップS201Aに戻る。
【0190】
次に、ステップS203Aにおいて、エンジン制御部107は、判定部105から出力された第1冷却水温信号に基づいて、エンジンENGの駆動を停止させるためのエンジン停止制御信号を生成する。そして、エンジン制御部107は、生成したエンジン停止制御信号を出力インタフェース102を介してエンジンENGへ出力する。そして、エンジンENGは、エンジン制御部107から出力されたエンジン停止制御信号に基づいて、駆動が停止される。
【0191】
また、ステップS203Aおいて、モータ制御部108は、判定部105から出力された第1冷却水温信号に基づいて、モータMを駆動させるためのモータ駆動制御信号を生成する。そして、モータ制御部108は、生成したモータ駆動制御信号を出力インタフェース102を介してモータMへ出力する。そして、モータMは、モータ制御部108から出力されたモータ駆動制御信号に基づいて駆動され、ステップS204Aに進む。これにより、ハイブリッド車両は、エンジン走行モードからEV走行モードに切り替わる。
【0192】
次に、ステップS204Aにおいて、ハイブリッド車両がEV走行モードで走行する場合に、冷却水温検出センサS2は、冷却水温LLCTを検出する。そして、冷却水温検出センサS2は、検出した冷却水温LLCTが含まれる出力信号をコントローラ10の入力インタフェース101へ出力する。
【0193】
そして、入力インタフェース101は、冷却水温検出センサS2からの出力信号を受信する。そして、入力インタフェース101は、受信した出力信号を記憶部103及び判定部105へ送信し、ステップS205Aに進む。
【0194】
次に、ステップS205Aにおいて、判定部105は、出力信号に含まれる冷却水温LLCTが記憶部103に記憶された第2所定冷却水温LLCT2となったか否かを判定する。
【0195】
判定部105は、冷却水温LLCTが第1所定冷却水温LLCT1よりも小さい第2所定冷却水温LLCT2(
図7参照)となったと判定した場合(Yesの場合)、すなわち、バーナ2により生成された燃焼ガスによって第1浄化用触媒11を昇温させる必要があると判定した場合に、冷却水温LLCTが第2所定冷却水温LLCT2となったことを通知する第2冷却水温信号を生成する。そして、判定部105は、生成した第2冷却水温信号を排気ガス浄化制御部106へ出力し、ステップS206Aに進む。
【0196】
一方、判定部105は、冷却水温LLCTが第2所定冷却水温LLCT2となっていないと判定した場合(Noの場合)、すなわち、バーナ2により生成された燃焼ガスによって第1浄化用触媒11を昇温させる必要がないと判定した場合に、ステップS204Aに戻る。
【0197】
次に、ステップS206Aにおいて、排気ガス浄化制御部106は、判定部105から出力された第2冷却水温信号に基づいて、バーナ2(具体的には、エアポンプ4、電磁バルブ5、燃料ポンプ7、プラグ22及びインジェクタ24)をオフからオンに切り替えるためのバーナ駆動制御信号(具体的には、エアポンプ駆動制御信号、バルブ駆動制御信号、燃料ポンプ駆動制御信号、インジェクタ駆動制御信号及びプラグ制御信号を含む)を生成する。そして、排気ガス浄化制御部106は、生成したバーナ駆動制御信号を出力インタフェース102を介してバーナ2へ出力する。
【0198】
そして、バーナ2は、排気ガス浄化制御部106から出力されたバーナ駆動制御信号に基づいて、燃料ガスを生成するように駆動され、ステップS207Aに進む。これにより、バーナ2により生成された燃焼ガスは、第1燃焼ガス供給路91から第1浄化用触媒11へ供給されるため、第1浄化用触媒11を触媒活性が得られる第1所定温度に昇温させることができる。
【0199】
次に、ステップS207Aにおいて、ハイブリッド車両がEV走行モードで走行する場合に、冷却水温検出センサS2は、冷却水温LLCTを検出する。そして、冷却水温検出センサS2は、検出した冷却水温LLCTが含まれる出力信号をコントローラ10の入力インタフェース101へ出力する。
【0200】
そして、入力インタフェース101は、冷却水温検出センサS2からの出力信号を受信する。そして、入力インタフェース101は、受信した出力信号を記憶部103及び判定部105へ送信し、ステップS208Aに進む。
【0201】
次に、ステップS208Aにおいて、判定部105は、出力信号に含まれる冷却水温LLCTが記憶部103に記憶された第3所定冷却水温LLCT3となったか否かを判定する。
【0202】
判定部105は、冷却水温LLCTが第2所定冷却水温LLCT2よりも小さい第3所定冷却水温LLCT3(
図7参照)となったと判定した場合(Yesの場合)、すなわち、ハイブリッド車両をEV走行モードからエンジン走行モードに切り替える(または、バーナ2をオンからオフに切り替える)必要があると判定した場合に、冷却水温LLCTが第3所定冷却水温LLCT3となったことを通知する第3冷却水温信号を生成する。そして、判定部105は、生成した第3冷却水温信号を排気ガス浄化制御部106、エンジン制御部107及びモータ制御部108へ出力し、ステップS209Aに進む。
【0203】
一方、判定部105は、冷却水温LLCTが第3所定冷却水温LLCT3となっていないと判定した場合(Noの場合)、すなわち、ハイブリッド車両をEV走行モードからエンジン走行モードに切り替える(または、バーナ2をオンからオフに切り替える)必要がないと判定した場合に、ステップS207Aに戻る。
【0204】
次に、ステップS209Aにおいて、排気ガス浄化制御部106は、判定部105から出力された第3冷却水温信号に基づいて、バーナ2(具体的には、エアポンプ4、電磁バルブ5、燃料ポンプ7及びインジェクタ24)をオンからオフに切り替えるためのバーナ停止制御信号(具体的には、エアポンプ停止制御信号、バルブ停止制御信号、燃料ポンプ停止制御信号及びインジェクタ停止制御信号を含む)を生成する。そして、排気ガス浄化制御部106は、生成したバーナ停止制御信号を出力インタフェース102を介してバーナ2へ出力する。そして、バーナ2は、排気ガス浄化制御部106から出力されたバーナ停止制御信号に基づいて、駆動が停止される。
【0205】
また、ステップS209Aにおいて、エンジン制御部107は、判定部105から出力された第3冷却水温信号に基づいて、エンジンENGを駆動させるためのエンジン駆動制御信号を生成する。そして、エンジン制御部107は、生成したエンジン駆動制御信号を出力インタフェース102を介してエンジンENGへ出力する。そして、エンジンENGは、エンジン制御部107から出力されたエンジン駆動制御信号に基づいて、駆動される。
【0206】
また、ステップS209Aにおいて、モータ制御部108は、判定部105から出力された第3冷却水温信号に基づいて、モータMの駆動を停止させるためのモータ停止制御信号を生成する。そして、モータ制御部108は、生成したモータ停止制御信号を出力インタフェース102を介してモータMへ出力する。そして、モータMは、モータ制御部108から出力されたモータ停止制御信号に基づいて駆動が停止される。これにより、ハイブリッド車両は、EV走行モードからエンジン走行モードに切り替わる。そして、コントローラ10は、走行状態における排気ガス浄化処理を終了させる。
【0207】
このように、ハイブリッド車両をEV走行モードからエンジン走行モードに切り替える直前に、バーナ2を駆動させて燃焼ガスを生成し、生成された燃焼ガスを第1燃焼ガス供給路91を介して第1浄化用触媒11へ供給することにより、第1浄化用触媒11を触媒活性が得られる第1所定温度に昇温させることができる。
【0208】
すなわち、コントローラ10は、第1燃焼ガス供給路91から第1浄化用触媒11へ燃焼ガスが供給されるようにハイブリッド車両の駆動条件(具体的には、エンジンENGの駆動条件(より具体的には、エンジンENGの冷却水温))に基づいて、バーナ2の駆動を制御することにより、第1浄化用触媒11を触媒活性が得られる第1所定温度に昇温することができる。よって、第1浄化用触媒11を昇温させるためのエンジンENGの余計な始動を無くせるため、ハイブリッド車両の燃費改善に寄与することができる。
【0209】
以上、本実施形態について説明したが、上述した実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上述した実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0210】
1 浄化処理部
2 バーナ
3 第2エア供給路(エア供給路)
4 エアポンプ
5 電磁バルブ(バルブ)
6 燃料分岐路(燃料供給路)
10 コントローラ(制御装置)
11 第1浄化用触媒
12 第2浄化用触媒
14 ケース
15 外周流路
16 分岐路
141 筒状部
142 インナケース
24 インジェクタ(燃料供給スイッチ)
91 第1燃焼ガス供給路
92 第2燃焼ガス供給路
100 排気ガス浄化システム
111 上流側触媒
112 下流側触媒
t1 第1時点
t2 第2時点
t3 第3時点
t4 第4時点(始動時点)
M 電動機(モータ)
T 燃料タンク(燃料供給源)
L1 第1燃料供給路(燃料供給路)
AF エアフィルタ
BAT バッテリ
ENG 内燃機関(エンジン)
【要約】
【課題】浄化用触媒への熱害防止及び燃焼ガスによる熱量の高利用率の両立を図ることができる排気ガス浄化システム及び排気ガス浄化システムの制御装置を提供する。
【解決手段】排気ガス浄化システム100は、直列に配列される第1浄化用触媒11及び第2浄化用触媒12を含み、エンジンENGからの排気ガスを浄化する浄化処理部1と、浄化処理部1へ供給する燃焼ガスを生成するバーナ2と、バーナ2により生成された燃焼ガスの一部を最も上流側に位置する第1浄化用触媒11へ供給する第1燃焼ガス供給路91と、バーナ2により生成された燃焼ガスの他部を第1浄化用触媒11よりも下流側に位置する浄化用触媒12へ供給するように第1燃焼ガス供給路91から分岐される第2燃焼ガス供給路92と、を備える。
【選択図】
図1