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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-04
(45)【発行日】2023-04-12
(54)【発明の名称】光輝焼鈍炉の冷却ユニット
(51)【国際特許分類】
   C21D 9/573 20060101AFI20230405BHJP
   C21D 9/56 20060101ALI20230405BHJP
   C21D 1/76 20060101ALI20230405BHJP
   F27D 17/00 20060101ALI20230405BHJP
   F27D 7/06 20060101ALI20230405BHJP
   F27D 25/00 20100101ALI20230405BHJP
【FI】
C21D9/573 101Z
C21D9/56 101A
C21D1/76 Q
C21D1/76 F
F27D17/00 105A
F27D7/06 C
F27D25/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022123884
(22)【出願日】2022-08-03
【審査請求日】2022-08-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100144200
【弁理士】
【氏名又は名称】奥西 祐之
(72)【発明者】
【氏名】永田 真人
(72)【発明者】
【氏名】赤阪 素史
【審査官】相澤 啓祐
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第2003-0013850(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0115418(KR,A)
【文献】特開2021-156562(JP,A)
【文献】特開2022-015463(JP,A)
【文献】特開平10-072624(JP,A)
【文献】特開平08-109412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21D 9/52-9/66
C21D 1/00-1/84
F27D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光輝焼鈍炉の冷却ユニットであって、
冷却ダクトと、
前記冷却ダクト内に設けられ、前記冷却ダクト内を通過する炉内雰囲気ガスを冷却するクーラと、
前記クーラへ清掃用のガスを噴射するガス噴射装置と、を備えており、
前記ガス噴射装置は、前記クーラと対向する清掃位置と、前記クーラから待避する待避位置と、の間で移動可能となっている、冷却ユニット。
【請求項2】
前記ガス噴射装置からのガスによって、前記クーラから除去されたホワイトパウダーをガスと共に受け入れる排出部を備え、
前記排出部は、バブラーを備えている、請求項1記載の冷却ユニット。
【請求項3】
前記クーラの炉内雰囲気ガス流れの上流側及び下流側には、それぞれ圧力計及びダンパが設けられており、
前記クーラの上流側及び下流側の前記圧力計の差圧が所定値以上となると、前記クーラの上流側及び下流側の前記ダンパを閉止し、前記ガス噴射装置による前記クーラの清掃を行う、請求項1又は2に記載の冷却ユニット。
【請求項4】
前記クーラの炉内雰囲気ガス流れの上流側及び下流側には、それぞれ温度計及びダンパが設けられており、
前記クーラの上流側及び下流側の前記温度計の温度差が所定値以上となると、前記クーラの上流側及び下流側の前記ダンパを閉止し、前記ガス噴射装置による前記クーラの清掃を行う、請求項1又は2に記載の冷却ユニット。
【請求項5】
前記ガス噴射装置は、前記清掃位置において、上下方向及び/又は左右方向に揺動可能に構成されている、請求項1又は2に記載の冷却ユニット。
【請求項6】
前記ガス噴射装置から噴射されるガスは、前記光輝焼鈍炉に設けられている非常用の窒素タンクに貯蔵されている窒素である、請求項1又は2に記載の冷却ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光輝焼鈍炉の冷却ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光輝焼鈍炉では、処理される材料の成分や材料に含まれる不純物が炉内雰囲気(水素)と反応し、白い粉(ホワイトパウダー)が発生して、炉内雰囲気を冷却する冷却経路(冷却ダクト)に設けられたクーラを目詰まりさせ、通気量や冷却能力を低下させることが課題となっていた。そこで、冷却ダクトにおいて、クーラの炉内雰囲気流れの下流側にフィルタを設け、炉内に循環するホワイトパウダーの量を低減し、クーラに付着するホワイトパウダーの量も低減させる構成が、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-72624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、冷却ダクトにフィルタを設けても、ホワイトパウダーの除去を完全に行うことは困難であり、フィルタを通過したホワイトパウダーは、時間と共にクーラに付着することとなる。そして、クーラに付着したホワイトパウダーを除去するためには、大容量である炉内の水素及び窒素を主成分とする炉内雰囲気を窒素ガスと置換させることによって窒素雰囲気とし、さらに空気と置換した後、冷却ダクトからクーラを取り出し、炉外でクーラからホワイトパウダーを除去するという作業を行う必要があり、クーラの清掃には大がかりな工事が必要であった。
【0005】
そこで本発明では、クーラを冷却ダクトから取り出すことなく、クーラに付着したホワイトパウダーを除去することができる光輝焼鈍炉の冷却ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、光輝焼鈍炉の冷却ユニットであって、
冷却ダクトと、
前記冷却ダクト内に設けられ、前記冷却ダクト内を通過する炉内雰囲気ガスを冷却するクーラと、
前記クーラへ清掃用のガスを噴射するガス噴射装置と、を備えている。
【0007】
前記構成によれば、ガス噴射装置からの噴射ガスによってクーラを清掃できるので、クーラを冷却ダクトから取り出すことなく、クーラに付着したホワイトパウダーを除去することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、クーラを冷却ダクトから取り出すことなく、クーラに付着したホワイトパウダーを除去することができる光輝焼鈍炉の冷却ユニットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る冷却ユニットを備える光輝焼鈍炉の概略図である。
図2】冷却ユニットの一部概略図である。
図3図2に示される冷却ユニットの別側面から見た排出部を含む概略図である。
図4】本発明に係る別の実施形態であって、ガス噴射装置が清掃位置と待避位置との間で移動可能となっている冷却ユニットの一部概略図である。
図5図4に示される冷却ユニットの別側面から見た排出部を含む概略図である。
図6】本発明に係る別の実施形態である冷却ユニットの一部概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る冷却ユニットを備える光輝焼鈍炉1の概略図である。図1に示されるように、光輝焼鈍炉1は、冷間圧延によって得られたステンレス鋼帯等の帯状の処理材Sを光輝焼鈍する炉であり、入口シール部11、加熱帯12、冷却帯13及び出口シール部14を備えている。処理材Sは、入口シール部11を通して加熱帯12に導かれ、加熱帯12において加熱された後、冷却帯13で冷却され、出口シール部14を通して取り出されるようになっている。光輝焼鈍炉1内は、水素ガスと窒素ガスを主成分とする光輝焼鈍用の雰囲気ガスが充填されている。
【0011】
冷却帯13は、冷却帯13内の雰囲気ガスを冷却する冷却ユニット2を備えている。冷却ユニット2は、冷却帯13の壁面に取り付けられ、冷却帯13内の雰囲気ガスが通過する冷却ダクト21と、冷却ダクト21内に設けられ、冷却ダクト21内を通過する雰囲気ガスを冷却するクーラ22と、冷却ダクト21内に設けられ、冷却帯13内の雰囲気ガスを循環させる循環ファン23と、を備えている。クーラ22は、例えば、水等の冷却媒体が内部を流れる多数本のパイプ(図示せず)を備えており、雰囲気ガスは、それらのパイプ間を流れ、冷却媒体と熱交換することによって、冷却される。
【0012】
図2は、冷却ユニット2の一部概略図であり、図3は、図2に示される冷却ユニット2の別側面から見た排出部を含む概略図である。図2及び図3に示されるように、冷却ユニット2は、クーラ22へ清掃用のガスを噴射するガス噴射装置24を備えている。ガス噴射装置24には、噴射ノズル24aがクーラ22を挟むように位置しており、噴射ノズル24aは、クーラ22の上下方向に沿って、クーラ22に向かって等間隔に複数設けられている。ガス噴射装置24は、上下及び/又は左右方向に揺動可能に構成されている。
【0013】
冷却ダクト21内には、クーラ22を収容するクーラボックス25が設けられており、クーラボックス25には、クーラ22の冷却に用いられる水を給水する給水口25a及び水を排水する排水口25bが設けられている。また、クーラボックス25の下部には、ガス噴射装置24からのガスによって、クーラ22から除去されたホワイトパウダーをガスと共に受け入れる排出部3が設けられている。
【0014】
冷却ダクト21内において、クーラボックス25の雰囲気ガス流れの上流側及び下流側には、それぞれ第1ダンパ26a及び第2ダンパ26bが設けられている。そして、第1ダンパ26aの雰囲気ガス流れの上流側には、第1温度計27a及び第1圧力計28aが設けられ、第2ダンパ26bの雰囲気ガス流れの下流側には、第2温度計27b及び第2圧力計28bが設けられている。
【0015】
排出部3は、クーラボックス25の下部に一端が連結される排出管31と、排出管31の他端が挿入されるバブラー32と、バブラー32からガスを排気する排気管33と、を備えている。バブラー32は、水を蓄えており、炉内の雰囲気を外部からシールしながら、ガス噴射装置24から噴射されたガスを排気管33によって外気へ放出させるようになっている。また、クーラ22から除去されたホワイトパウダーをガスと共に排出管31を介して受け入れ、水中でガスとホワイトパウダーとを分離し、分離されたガスのみを排気管33によって外気へ放出し、分離されたホワイトパウダーを別途回収するようにしてもよい。
【0016】
冷却ユニット2は、次のように作動するようになっている。
【0017】
処理材Sが光輝焼鈍炉1において光輝焼鈍されているとき、加熱帯12で加熱された処理材Sは冷却帯13で冷却される。冷却帯13では、冷却帯13内の雰囲気ガスは、循環ファン23によって冷却ダクト21内に吸引され、クーラ22で冷却された後、冷却帯13に戻される。
【0018】
クーラボックス25の雰囲気ガス流れの上流側及び下流側において、冷却ダクト21内の雰囲気ガスの温度及び圧力が、第1温度計27a、第2温度計27b、第1圧力計28a、第2圧力計28bによって測定される。
【0019】
雰囲気ガスがクーラ22を通過するに従い、雰囲気ガスに含まれるホワイトパウダーがクーラ22に付着する。所定量以上のホワイトパウダーがクーラ22に付着すると、クーラ22の冷却性能が低下するが、第1温度計27aと第2温度計27bとの温度差を測定することによって、クーラ22の冷却性能の低下を把握する。また、第1圧力計28aと第2圧力計28bとの差圧(通気性)を測定することによっても、クーラ22の冷却性能の低下を把握する。
【0020】
第1温度計27aと第2温度計27bとの温度差が所定値以上となる、又は、第1圧力計28aと第2圧力計28bとの圧力差が所定値以上となると、クーラ22の冷却性能が低下したと判断し、クーラ22を清掃する作業を始める。まず、循環ファン23を停止し、クーラボックス25の雰囲気ガス流れの上流側及び下流側に設けられた第1ダンパ26a及び第2ダンパ26bを閉止する。
【0021】
そして、ガス噴射装置24の噴射ノズル24aから清掃用のガスをクーラ22の両側外方から両側面に向けて噴射し、クーラ22に付着したホワイトパウダーを除去する。ここで、清掃用のガスは、光輝焼鈍炉1に設けられている非常用の窒素タンクに貯蔵されている窒素を使用する。ガス噴射装置24によるクーラ22の清掃時には、ガス噴射装置24を上下方向及び/又は左右方向に揺動させることによって噴射ノズル24aを上下方向及び/又は左右方向に揺動させ、ホワイトパウダーの除去効率を向上させる。
【0022】
ガス噴射装置24から噴射されたガスは、排気管33によって外気へ放出される。また、クーラ22から除去されたホワイトパウダーは、ガスと共に排出管31を介してバブラー32に受け入れられ、水中でガスとホワイトパウダーとが分離されて、分離されたガスのみが排気管33によって外気へ放出され、分離されたホワイトパウダーは別途回収される。バブラーは、通常、炉内で余剰となった雰囲気ガスを放出して炉内の圧力を適正に保つように用いられるが、ここでは、バブラー32はその機構をそのまま利用できる。
【0023】
ガス噴射装置24によるクーラ22の清掃が終了すると、クーラボックスに残存した水は、排水口25bから排水される。そして、クーラボックス25の雰囲気ガス流れの上流側及び下流側に設けられた第1ダンパ26a及び第2ダンパ26bを開放し、循環ファン23を起動すると、冷却帯13の雰囲気ガスが冷却ダクト21内に吸引され、クーラ22で冷却された後、冷却帯13に戻される雰囲気ガスの循環が再開される。
【0024】
前記構成の光輝焼鈍炉1の冷却ユニット2によれば、次のような効果を発揮できる。
【0025】
(1)冷却ダクト21内にクーラ22へ清掃用のガスを噴射するガス噴射装置24を備えているので、ガス噴射装置24からの噴射ガスによってクーラ22を清掃でき、クーラ22を冷却ダクト21から取り出すことなく、クーラ22に付着したホワイトパウダーを除去することができる。
【0026】
(2)バブラー32によって、ホワイトパウダーとガスとを分離し、分離されたガスをバブラーの排気管33から排気するようになっているので、バブラー32によって、空気が冷却ダクト21内に侵入することを防止しながら、清掃用のガスを炉外に排出できる。また、クーラ22から除去されたホワイトパウダーを回収し、分離されたガスのみを排出するようにしてもよい。
【0027】
(3)クーラ22の上流側及び下流側の差圧を第1圧力計28a、第2圧力計28bで測定することによって、クーラ22の通気性の低下による冷却性能の低下を確認することができる。クーラ22の冷却性(通気性)の低下を確認し、クーラ22を清掃する際には、クーラ22の上流側及び下流側の第1ダンパ26a及び第2ダンパ26bを閉止することによって、クーラ22から除去されたホワイトパウダーが冷却ダクト21内から冷却帯13内へ拡散することを抑制できる。
【0028】
(4)クーラ22の上流側及び下流側の温度差を第1温度計27a、第2温度計27bで測定することによって、クーラ22の冷却性能の低下を確認することができる。クーラ22の冷却性(通気性)の低下を確認し、クーラ22を清掃する際には、クーラ22の上流側及び下流側の第1ダンパ26a及び第2ダンパ26bを閉止することによって、クーラ22から除去されたホワイトパウダーが冷却ダクト21内から冷却帯13内へ拡散することを抑制できる。
【0029】
(5)ガス噴射装置24は、清掃位置において、上下方向及び/又は左右方向に揺動可能に構成されているので、清掃時にガス噴射装置24を上下方向や左右方向に揺動させることによって、ガス噴射装置24から噴射されるガスがクーラ22の両側面にまんべんなく当たるため、クーラ22に付着したホワイトパウダーをより多く除去することができる。
【0030】
(6)ガス噴射装置24から噴射されるガスは、光輝焼鈍炉1に設けられている非常用の窒素タンクに貯蔵されている窒素であるので、ガス噴射装置24のために別途窒素タンクを準備する必要がなく、コストを低減することができる。
【0031】
(別の実施形態)
上記実施形態に加え、ガス噴射装置24は、清掃位置と待避位置との間で移動可能となっていてもよい。
【0032】
図4は、本発明に係る別の実施形態であって、ガス噴射装置24が清掃位置と待避位置との間で移動可能となっている冷却ユニット2の概略図である。別の実施形態は、ガス噴射装置24が清掃位置と待避位置との間で移動可能となっている点で上記実施形態と異なっており、その他の構成は上記実施形態と同じである。このため、別の実施形態の説明においては、上記実施形態と同じ部分には同じ符号を付し、それらの内容については詳しい説明を省略する。図5は、図4に示される冷却ユニット2の別側面から見た排出部を含む概略図である。
【0033】
図4及び図5に示されるように、冷却ユニット2は、クーラボックス25の上方にガス噴射装置24がクーラ22から待避する待避室25cを有している。待避室25cの上壁には、ガス噴射装置24の上端に連結されガス噴射装置24を上下方向に移動させるガス噴射装置移動用の油圧シリンダ等の作動機器29が設けられている。作動機器29によって、ガス噴射装置24は、クーラ22と対向するように位置する清掃位置と、クーラ22から上方に待避し、待避室25c内に位置する待避位置との間で上下方向に移動可能となっている。
【0034】
ガス噴射装置は、通常冷却ダクトの流路内に設置され、炉内雰囲気ガス流れの邪魔になるが、上記構成によれば、ガス噴射装置24は、清掃位置と待避位置との間で移動可能となっているので、クーラ22を清掃するとき以外は、ガス噴射装置24が待避位置に位置することによって、炉内雰囲気ガスの流れを阻害することを防止できる。
【0035】
上記実施形態では、ガス噴射装置24の噴射ガスを窒素としているが、炉内雰囲気と同じ成分のガスを使用してもよい。この場合、クーラ清掃終了後の炉内雰囲気の成分の変化を窒素に比べて抑制することができる。また、上記実施形態では、ガス噴射装置24の噴射ガスは、光輝焼鈍炉に設けられている非常用の窒素タンクに貯蔵される窒素としているが、別途、ガス噴射装置24用のガスタンクを設けてもよい。
【0036】
図6は、本発明に係る別の実施形態である冷却ユニット2の一部概略図である。図6に示されるように、冷却ユニット2は、第1ダンパ26aの上流側と第2ダンパ26bの下流側とを連結するバイパスダクト41と、バイパスダクト41の中間に配置された閉止ダンパ42と、を有してもよい。この場合、クーラ清掃時において、第1ダンパ26aと第2ダンパ26bとを閉止したときに、通常は閉止されている閉止ダンパ42を開放することによって、循環ファン23を停止させず、光輝焼鈍炉1の操業を継続しながら、クーラ22を清掃することができる。
【0037】
本発明及び実施形態をまとめると、以下のとおりである。
【0038】
(a)本発明の一実施形態は、光輝焼鈍炉の冷却ユニットであって、
冷却ダクトと、
前記冷却ダクト内に設けられ、前記冷却ダクト内を通過する炉内雰囲気ガスを冷却するクーラと、
前記クーラへ清掃用のガスを噴射するガス噴射装置と、を備えている。
【0039】
前記構成(a)によれば、ガス噴射装置からの噴射ガスによってクーラを清掃できるので、クーラを冷却ダクトから取り出すことなく、クーラに付着したホワイトパウダーを除去することができる。
【0040】
(b)前記構成(a)において、前記ガス噴射装置は、前記クーラと対向する清掃位置と、前記クーラから待避する待避位置と、の間で移動可能となっている。
【0041】
前記構成(b)によれば、ガス噴射装置は、清掃位置と待避位置との間で移動可能となっているので、炉内雰囲気ガスを冷却するときには、ガス噴射装置が待避位置に位置することによって、炉内雰囲気ガスの流れを阻害することを防止できる。
【0042】
(c)前記構成(a)又は(b)において、前記ガス噴射装置からのガスによって、前記クーラから除去されたホワイトパウダーをガスと共に受け入れる排出部を備え、
前記排出部は、バブラーを備え、前記バブラーによって、炉内の圧力を保ちながら、ホワイトパウダーとガスとを前記バブラーの排気管から排気する。
【0043】
前記構成(c)によれば、バブラーによって、空気が冷却ダクト内に侵入することを防止しながら、噴射ガスを排出できる。また、クーラから除去されたホワイトパウダーを水で回収し、分離されたガスのみを排出することもできる。
【0044】
(d)前記構成(a)~(c)のいずれか1つにおいて、前記クーラの炉内雰囲気ガス流れの上流側及び下流側には、それぞれ圧力計及びダンパが設けられており、
前記クーラの上流側及び下流側の前記圧力計の差圧が所定値以上となると、前記クーラの上流側及び下流側の前記ダンパを閉止し、前記ガス噴射装置による前記クーラの清掃を行う。
【0045】
前記構成(d)によれば、クーラの上流側及び下流側の差圧を測定することによって、クーラの冷却性能の低下を確認することができる。クーラの冷却性の低下を確認し、クーラを清掃する際には、クーラの上流側及び下流側のダンパを閉止することによって、クーラから除去されたホワイトパウダーが冷却ダクト内や冷却帯に拡散することを抑制できる。
【0046】
(e)前記構成(a)~(d)のいずれか1つにおいて、前記クーラの炉内雰囲気ガス流れの上流側及び下流側には、それぞれ温度計及びダンパが設けられており、
前記クーラの上流側及び下流側の前記温度計の温度差が所定値以上となると、前記クーラの上流側及び下流側の前記ダンパを閉止し、前記ガス噴射装置による前記クーラの清掃を行う。
【0047】
前記構成(e)によれば、クーラの上流側及び下流側の温度差を測定することによって、クーラの冷却性能の低下を確認することができる。クーラの冷却性の低下を確認し、クーラを清掃する際には、クーラの上流側及び下流側のダンパを閉止することによって、クーラから除去されたホワイトパウダーが冷却ダクト内や冷却帯に拡散することを抑制できる。
【0048】
(f)前記構成(b)において、前記ガス噴射装置は、前記清掃位置において、上下方向及び/又は左右方向に揺動可能に構成されている。
【0049】
前記構成(f)によれば、清掃時にガス噴射装置を上下方向や左右方向に揺動させることによって、ガス噴射装置から噴射されるガスがクーラにまんべんなく当たり、付着したホワイトパウダーをより多く除去することができる。
【0050】
(g)前記構成(a)~(f)のいずれか1つにおいて、前記ガス噴射装置から噴射されるガスは、前記光輝焼鈍炉に設けられている非常用の窒素タンクに貯蔵されている窒素である。
【0051】
前記構成(g)によれば、ガス噴射装置のために別途窒素を準備する必要がなく、コストを低減することができる。
【0052】
特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、各種変形及び変更を行うことも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明では、クーラを冷却ダクトから取り出すことなく、クーラに付着したホワイトパウダーを除去することができる光輝焼鈍炉の冷却ユニットを提供できるので、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【0054】
1 光輝焼鈍炉
2 冷却ユニット
3 排出部
11 入口シール部 12 加熱帯 13 冷却帯 14 出口シール部
21 冷却ダクト 22 クーラ 23 循環ファン
24 ガス噴射装置 24a 噴射ノズル
25 クーラボックス 25a 給水口 25b 排水口 25c 待避室
26a 第1ダンパ 26b 第2ダンパ
27a 第1温度計 27b 第2温度計
28a 第1圧力計 28b 第2圧力計
29 作動機器
31 排出管 32 バブラー 33 排気管
41 バイパスダクト 42 閉止ダンパ
S 処理材
【要約】
【課題】クーラを冷却ダクトから取り出すことなく、クーラに付着したホワイトパウダーを除去することができる光輝焼鈍炉の冷却ユニットを提供する。
【解決手段】光輝焼鈍炉1の冷却ユニット2であって、冷却ダクト21と、冷却ダクト21内に設けられ、冷却ダクト21内を通過する炉内雰囲気ガスを冷却するクーラ22と、クーラ22へ清掃用のガスを噴射するガス噴射装置24と、を備えている。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6