(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-05
(45)【発行日】2023-04-13
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
F01M 11/02 20060101AFI20230406BHJP
E02F 9/00 20060101ALI20230406BHJP
F01M 11/03 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
F01M11/02
E02F9/00 D
F01M11/03 E
(21)【出願番号】P 2019104571
(22)【出願日】2019-06-04
【審査請求日】2022-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136250
【氏名又は名称】立石 博臣
(74)【代理人】
【識別番号】100198719
【氏名又は名称】泉 良裕
(72)【発明者】
【氏名】竹本 正紀
(72)【発明者】
【氏名】藤原 裕介
(72)【発明者】
【氏名】上田 慶彦
【審査官】北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-063909(JP,U)
【文献】特開2013-076266(JP,A)
【文献】特開2013-227729(JP,A)
【文献】特開2016-217188(JP,A)
【文献】特開2017-160751(JP,A)
【文献】特開昭59-41617(JP,A)
【文献】実開昭63-183409(JP,U)
【文献】特開2014-40835(JP,A)
【文献】特開2018-193964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 11/02
E02F 9/00
F01M 11/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンに接続されたフライホイールを収容するフライホイールハウジングと、
前記フライホイールハウジングの側方に配置され、油圧ポンプを支持するポンプブラケットと、
前記ポンプブラケットの下部において前記ポンプブラケットと一体的に設けられるマウントブラケットと、
エンジンオイルを濾過するエンジンオイルフィルタと、
を備え、
前記エンジンの側方には、前記エンジンオイルを前記エンジンオイルフィルタに向けて排出するための排出ポートが形成されると共に、前記エンジンオイルフィルタを通過した前記エンジンオイルを吸入するための吸入ポートが形成され、
前記排出ポート及び前記吸入ポートには、それぞれ、排出用配管及び吸入用配管が接続され、
前記フライホイールハウジング又は前記ポンプブラケットには、前記排出用配管を接続可能な排出油路と前記吸入用配管を接続可能な吸入油路とが形成され、
前記排出用配管が接続される前記排出油路の端部及び前記吸入用配管が接続される前記吸入油路の端部は、前記排出用配管及び前記吸入用配管の配索方向から見た場合に、前記マウントブラケットよりも上側かつ前記排出ポート及び前記吸入ポートが形成される側において前記エンジンに重ならない位置に配置されることを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記エンジンオイルフィルタは、前記配索方向から見た場合に前記排出ポート及び前記吸入ポートが形成されている側に配置され、
前記排出油路は、前記排出ポートと前記エンジンオイルフィルタとを結ぶ直線に沿って前記フライホイールハウジング又は前記ポンプブラケットに直線状に形成され、
前記吸入油路は、前記吸入ポートと前記エンジンオイルフィルタとを結ぶ直線に沿って前記フライホイールハウジング又は前記ポンプブラケットに直線状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記排出油路及び前記吸入油路は、前記フライホイールハウジングに形成され、
前記排出油路及び前記吸入油路は、前記フライホイールハウジングの外周に沿って円周方向に並列に配置されることを特徴とする請求項2に記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に関し、より詳細には、エンジンとオイルフィルタとを接続する配管を備える建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械においては、エンジンオイルに混入した異物を濾過するために、オイルフィルタが設けられている。例えば、特許文献1では、オイルフィルタ(30)が配管(50)を介してエンジン(26)に接続されている(特許文献1の
図3,4参照)。より詳細には、配管(50)は、エンジン(26)や油圧ポンプ(28)の下側を通ってオイルフィルタ(30)に直接接続されている。また、配管(50)を構成するホース(52)が緩やかに曲がった状態で継手(51a)に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1では、メンテナンス作業や組立作業において、エンジン(26)からオイルフィルタ(30)に配管(50)を配索したり、狭小空間でホース(52)を固定したりするのが難しいという問題がある。
【0005】
また、上述した特許文献1では、配管(50)がエンジン(26)や油圧ポンプを避けて配索されている関係上、配管(50)が必然的に長くなり、配管(50)を通るエンジンオイルの圧損も高くなる。
【0006】
さらに、上述した特許文献1では、ホース(52)がエンジン(26)の下側を通る構成となっているため、組立時において、ホース(52)を他の部品で潰すおそれもある。
【0007】
そこで、本発明は、建設機械においてエンジンとエンジンオイルフィルタとを接続する配管に関して高いメンテナンス性及び組立作業性を有する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、エンジンに接続されたフライホイールを収容するフライホイールハウジングと、前記フライホイールハウジングの側方に配置され、油圧ポンプを支持するポンプブラケットと、前記油圧ポンプをマウントするマウントブラケットと、エンジンオイルを濾過するエンジンオイルフィルタと、を備え、前記エンジンの側方には、前記エンジンオイルを前記エンジンオイルフィルタに向けて排出するための排出ポートが形成されると共に、前記エンジンオイルフィルタを通過した前記エンジンオイルを吸入するための吸入ポートが形成され、前記排出ポート及び前記吸入ポートには、それぞれ、排出用配管及び吸入用配管が接続され、前記フライホイールハウジング又は前記ポンプブラケットには、前記排出用配管を接続可能な排出油路と前記吸入用配管を接続可能な吸入油路とが形成され、前記排出用配管が接続される前記排出油路の端部及び前記吸入用配管が接続される前記吸入油路の端部は、前記排出用配管及び前記吸入用配管の配索方向から見た場合に、前記マウントブラケットよりも上側かつ前記排出ポート及び前記吸入ポートが形成される側において前記エンジンに重ならない位置に配置されることを特徴とする建設機械を提供している。
【0009】
ここで、前記エンジンオイルフィルタは、前記配索方向から見た場合に前記排出ポート及び前記吸入ポートが形成されている側に配置され、前記排出油路は、前記排出ポートと前記エンジンオイルフィルタとを結ぶ直線に沿って前記フライホイールハウジング又は前記ポンプブラケットに直線状に形成され、前記吸入油路は、前記吸入ポートと前記エンジンオイルフィルタとを結ぶ直線に沿って前記フライホイールハウジング又は前記ポンプブラケットに直線状に形成されているのが好ましい。
【0010】
また、前記排出油路及び前記吸入油路は、前記フライホイールハウジングに形成され、前記排出油路及び前記吸入油路は、前記フライホイールハウジングの外周に沿って円周方向に並列に配置されるのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、排出油路及び吸入油路がフライホイールハウジング又はポンプブラケットに形成されるため、排出用配管及び吸入用配管を短く構成でき、排出用配管及び吸入用配管を固定する固定部材を要しない。また、排出用配管及び吸入用配管の配索方向から見た場合に排出油路の端部及び吸入油路の端部がマウントブラケットよりも上側かつ排出ポート及び吸入ポートが形成される側においてエンジンに重ならない位置に配置される。そのため、組立時に排出用配管及び吸入用配管を他の部品で潰すおそれがない。よって、本発明は、建設機械においてエンジンとエンジンオイルフィルタとを接続する配管に関して高いメンテナンス性及び組立作業性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態による油圧ショベルを示す斜視図。
【
図2】
図1のII矢視図(エンジンルーム内部を示す概略図)。
【
図4】第1変形例に係るエンジンルーム内部を示す平面図。
【
図6】第2変形例に係るエンジンルーム内部を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<1.実施形態>
本発明の実施形態による建設機械について、
図1から
図3を参照しながら説明する。以下では、建設機械の一例として、
図1に示す油圧ショベル1を例示する。
【0014】
図1に示すように、油圧ショベル1は、クローラ式の下部走行体2と、下部走行体2の上に旋回自在に設けられた上部旋回体3とを備えて構成される。
【0015】
上部旋回体3は、キャブ31、アタッチメント33及びエンジンルーム(機械収容部)35などで構成されている。エンジンルーム35の内部には、下部走行体2やアタッチメント33を油圧制御する各種装置が配置されている。これらの装置をオペレータが操作することで掘削等の各種作業が行われる。
【0016】
図2は、エンジンルーム35の内部に設置される各種機器を機械中心側から機械後側を見た場合の概略構成図である。
図2に示すように、エンジンルーム35には、ラジエータ4と、エンジン5と、フライホイールハウジング6と、ポンプブラケット7と、油圧ポンプ8と、エンジンオイルフィルタ9とが設置されている。
【0017】
ラジエータ4は、エンジンルーム35の左端に設置され、冷却ファンや熱交換器からなる。
【0018】
エンジン5は、ラジエータ4の右側において回転軸が機械幅方向に一致するように横向きに設置される。エンジン5の側方(前面)には、排出ポート51と吸入ポート53とが形成されている。
【0019】
排出ポート51は、不純物を含むエンジンオイル(濾過前のエンジンオイル)をエンジンオイルフィルタ9に向けて排出するためのポートである。排出ポート51には、排出ポート51から排出されたエンジンオイルをエンジンオイルフィルタ9に送るための排出用ホース91Aが接続される。
【0020】
吸入ポート53は、エンジンオイルフィルタ9において不純物が取り除かられたエンジンオイル(濾過後のエンジンオイル)を吸入するためのポートである。吸入ポート53には、エンジンオイルフィルタ9を通過してエンジンオイルをエンジン5に戻すための吸入用ホース93Aが接続される。
【0021】
フライホイールハウジング6は、フライホイール(図示せず)を収容するための部材であり、エンジン5の右側においてエンジン5の本体部分に連続して設けられている。フライホイールは、クランクシャフト(図示せず)と共に回転軸を中心に回転する肉厚な円盤状の公知の部材である。
【0022】
フライホイールハウジング6には、排出ポート51から排出されたエンジンオイルをエンジンオイルフィルタ9に送るための排出油路61が形成されている。また、フライホイールハウジング6には、エンジンオイルフィルタ9を通過したエンジンオイルをエンジン5に戻すための吸入油路63が形成されている。
【0023】
図3に示すように、排出油路61及び吸入油路63は、フライホイールハウジング6の外周に沿って円周方向に並列に配置される。換言すれば、排出油路61及び吸入油路63は、図示しないフライホイールに接触しない位置に配置される。
【0024】
図2に示すように、排出油路61には排出用ホース91Aが接続され、吸入油路63には吸入用ホース93Aが接続される。
【0025】
ポンプブラケット7は、油圧ポンプ8を保持するための部材であり、フライホイールハウジング6の右側においてフライホイールハウジング6に連続して設けられている。
【0026】
図2及び
図3に示すように、ポンプブラケット7の下部表面には、油圧ポンプ8をマウントする一対のマウントブラケット50,50がフライホイールハウジング6とは反対側(右側)に突出するように設けられている。ここでは、マウントブラケット50,50は、ポンプブラケット7と一体的に構成されている。
【0027】
油圧ポンプ8は、上述したポンプブラケット7を介してエンジン5と直列に取り付けられている。
【0028】
エンジンオイルフィルタ9は、不純物を含むエンジンオイルを濾過するためのフィルタであり、ポンプブラケット7の右側(エンジンルーム35の右端)に設けられる。エンジンオイルフィルタ9は、
図1に示す点検扉351を介してメンテナンスすることが可能である。
【0029】
図2に示すように、エンジンオイルフィルタ9は、排出用ホース91B及び吸入用ホース93Bを介して、フライホイールハウジング6の排出油路61及び吸入油路63にそれぞれ接続されている。
【0030】
図3に示すように、排出油路61及び吸入油路63は、排出用ホース91A,91B及び吸入用ホース93A,93Bの配索方向(機械幅方向)から見た場合に、マウントブラケット50よりも上側かつ排出ポート51及び吸入ポート53が形成されている側(前側)においてエンジン5に重ならない位置に配置される。
【0031】
本実施形態では、
図2に示されるように、エンジンオイルフィルタ9は、排出ポート51及び吸入ポート53が形成されている側(機械前側)に配置されている。
【0032】
そして、上述した排出油路61は、排出ポート51とエンジンオイルフィルタ9とを結ぶ直線状に沿ってフライホイールハウジング6に形成されている。同様に、上述した吸入油路63は、吸入ポート53とエンジンオイルフィルタ9とを結ぶ直線状に沿ってフライホイールハウジング6に形成されている。
【0033】
すなわち、
図2に示すように、排出ポート51からエンジンオイルフィルタ9までの配管経路(排出用ホース91A、排出油路61及び排出用ホース91B)が概ね一直線上に形成されている。また、吸入ポート53からエンジンオイルフィルタ9までの配管経路(吸入用ホース93A、吸入油路63及び吸入用ホース93B)が概ね一直線上に形成されている。
【0034】
上述した実施形態によれば、排出油路61及び吸入油路63がフライホイールハウジング6に形成され、排出油路61の端部に排出用ホース91A,91Bが接続され、吸入油路63の端部に吸入用ホース93A,93Bが接続される構成となっている。すなわち、配管が4本のホース(排出用ホース91A,91B及び吸入用ホース93A,93B)に分割される。よって、各ホース(排出用ホース91A,91B及び吸入用ホース93A,93B)を短く構成することができる。
【0035】
そのため、排出用ホース91A,91B及び吸入用ホース93A,93Bを固定するための固定部材(ブラケット等)を要しない。したがって、固定部材と機械側機器類とのクリアランスが不要となり、狭小部において最小限のクリアランスで配管構成を実現すること可能である。
【0036】
また、排出用ホース91A,91B及び吸入用ホース93A,93Bの配索方向から見た場合に(
図3参照)、排出油路61及び吸入油路63がマウントブラケット50よりも上側かつ排出ポート51及び吸入ポート53が形成される側においてエンジン5に重ならない位置に配置される。そのため、排出用ホース91A,91B及び吸入用ホース93A,93Bが比較的高い位置に配索され、組立時に排出用ホース91A,91B及び吸入用ホース93A,93Bが他の部品で潰されるおそれがなく、養生作業を行う必要がない。
【0037】
また、排出油路61及び吸入油路63がフライホイールハウジング6に形成されることで、ホースの固定部をマーキングしたり、固定位置を調整したりする必要がなく、組立のばらつきを低減することが可能である。
【0038】
このように、上述した実施形態は、油圧ショベル1においてエンジン5とエンジンオイルフィルタ9とを接続する排出用ホース91A,91B及び吸入用ホース93A,93Bに関して高いメンテナンス性及び組立作業性を有している。
【0039】
また、上述した実施形態では、
図2に示すように、排出ポート51からエンジンオイルフィルタ9までの配管経路(排出用ホース91A、排出油路61及び排出用ホース91B)が概ね一直線上に形成されている。また、エンジンオイルフィルタ9から吸入ポート53までの配管経路(吸入用ホース93B、吸入油路63及び吸入用ホース93A)が概ね一直線上に形成されている。
【0040】
よって、排出用ホース91A,91B及び吸入用ホース93A,93Bを最短で構成できるため、ホースの圧損が低減され、油圧立ち上がり時間を短縮することが可能である。そして、エンジンオイル及びエンジンオイルフィルタ9の交換直後のエンジン始動時に油圧立ち上がり時間に起因した油膜切れによるエンジン損傷のリスクを低減することが可能である。
【0041】
また、上述した実施形態では、
図3に示すように、排出油路61及び吸入油路63がフライホイールハウジング6の外周に沿って円周方向に並列に配置される。そのため、フライホイールハウジング6の形状変更を最小限に抑えられ、他部品とのクリアランスを確保しつつ、形状変更に伴うコストを低減することが可能である。
【0042】
なお、上述した実施形態の代替案として、ホース形状を型取った固定部材を設け、分割されていないホース配管のみで構成することも想起されるが、ホース交換時に狭小空間における作業を強いられるため、メンテナンス性や品質信頼性がユーザに委ねられ、必ずしも有効とはいえない。
【0043】
<2.変形例>
本発明による建設機械は上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0044】
例えば、上述した実施形態では、
図1に示されるように、点検扉351がエンジンルーム35の右側面に形成され、点検扉351の近傍(エンジンルーム35の右端)にエンジンオイルフィルタ9が配置される場合を例示したが、これに限定されない。
【0045】
図4に示されるように、小型の建設機械では点検扉351が機械後方に配置されることがある。その場合、
図4及び
図5に示すように、エンジンオイルフィルタ9はフライホイールハウジング6の外周面(後側)に設けられる。
【0046】
かかる変形例においては、フライホイールハウジング6の円周方向に沿って外縁内側に排出油路61及び吸入油路63が形成される。排出油路61の一端は、排出用ホース91Aを介して排出ポート51に接続される。また、吸入油路63の一端は、吸入用ホース93Aを介して吸入ポート53に接続されている。一方、排出油路61の他端及び吸入油路63の他端は、いずれも、エンジンオイルフィルタ9に対して直接接続されている。
【0047】
上述した変形例によれば、排出用ホース91A及び吸入用ホース93Aの配索方向から見た場合に(
図4及び
図5参照)、排出用ホース91Aが接続される排出油路61の端部及び吸入用ホース93Aが接続される吸入油路63の端部がマウントブラケット50よりも上側かつエンジン5に重ならない位置に配置される。そのため、排出用ホース91A及び吸入用ホース93Aが比較的高い位置に配索され、組立時に他の部品で潰されるおそれがなく、上記実施形態と同様に養生作業を行う必要がない。
【0048】
また、排出油路61の他端及び吸入油路63の他端はエンジンオイルフィルタ9に対して直接接続されるため、部品点数が削減され、組立性も向上する。
【0049】
更に、フライホイールハウジング6に形成される排出油路61及び吸入油路63が比較的長く構成されるため、冷却風による放熱量を増加させ、エンジンオイルの温度上昇を抑制することが可能である。
【0050】
また、上述した実施形態では、
図2に示すように、フライホイールハウジング6に排出油路61及び吸入油路63が形成される場合を例示したが、これに限定されない。
図6に示すように、ポンプブラケット7に排出油路71及び吸入油路73が形成されるようにしてもよい。その場合、上記実施形態と同様に、排出用ホース91A及び吸入用ホース93Aの配索方向から見た場合、排出油路71及び吸入油路73がマウントブラケット50よりも上側かつエンジン5に重ならない位置に配置される。
【0051】
また、上述した実施形態では、本発明に係る排出用配管及び吸入用配管の一例として排出用ホース91A及び吸入用ホース93Aを例示したが、これに限定されない。排出ポート51及び吸入ポート53とフライホイールハウジング6との距離が短い場合には曲げRの問題でホースを採用できない場合がある。その場合、排出用ホース91A及び吸入用ホース93Aの代わりとして鋼管製の排出用チューブ91A及び吸入用チューブ93Aを使用するようにしてもよい。
【0052】
鋼管製の排出用チューブ91A及び吸入用チューブ93Aを用いれば、加工自由度が高くなるため、排出ポート51及び吸入ポート53とフライホイールハウジング6との距離が短い場合であっても対応することが可能である。また、鋼管製のチューブは、ゴム系のホースとは異なり、材質劣化に伴う定期交換が不要となり、機械寿命を全うさせることが可能である。また、鋼管製のチューブは、エンジン振動とほぼ同振動体となるため、配管の揺れの影響が排除される。更に、ゴム系のホースに比べて放熱量が多いため、オイル粘度低下に起因する油膜切れによるエンジン損傷のリスクを更に低減できる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように本発明に係る建設機械は、エンジンとエンジンオイルフィルタとを接続する配管を備えた油圧ショベルに適している。
【符号の説明】
【0054】
1 油圧ショベル、2 下部走行体、3 上部旋回体、4 ラジエータ、5 エンジン、
6 フライホイールハウジング、7 ポンプブラケット、8 油圧ポンプ、
9 エンジンオイルフィルタ、31 キャブ、33 アタッチメント、
35 エンジンルーム、50 マウントブラケット、51 排出ポート、53 吸入ポート、
61 排出油路、63 吸入油路、91A,91B 排出用ホース、
93A,93B 吸入用ホース、351 点検扉