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特許7256973障害性マルチモジュール水質生物学的測定装置を採用する水質生物学的測定方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-05
(45)【発行日】2023-04-13
(54)【発明の名称】障害性マルチモジュール水質生物学的測定装置を採用する水質生物学的測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/18 20060101AFI20230406BHJP
【FI】
G01N33/18 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021549876
(86)(22)【出願日】2021-03-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-15
(86)【国際出願番号】 CN2021078364
(87)【国際公開番号】W WO2021208611
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2021-08-25
(31)【優先権主張番号】202010299618.8
(32)【優先日】2020-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520414480
【氏名又は名称】中国長江三峡集団有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】515313826
【氏名又は名称】河海大学
【氏名又は名称原語表記】Hohai University
【住所又は居所原語表記】No.1 Xikang Road, Gulou, Nanjing, Jiangsu China
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】戴 会超
(72)【発明者】
【氏名】毛 勁喬
(72)【発明者】
【氏名】王 剛
(72)【発明者】
【氏名】許 家▲ウェイ▼
【審査官】白形 優依
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/199201(WO,A1)
【文献】特開2007-085828(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110050730(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106680448(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110412230(CN,A)
【文献】特開昭57-001969(JP,A)
【文献】特開平09-229924(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/18
A01K 61/00
A01K 63/00
A01K 67/00
C02F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
障害性マルチモジュール水質生物学的測定装置を採用する水質生物学的測定方法であって、前記障害性マルチモジュール水質生物学的測定装置は、水質測定用装置を備え、前記水質測定用装置には、測定用水槽(1)と3つの障害ユニットを備え、前記測定用水槽(1)の一端には入水ゲート(22)を設け、他端には出水ゲート(21)を設け、3つの障害ユニットは、前記水槽(1)の第1、2及び3の断面においてそれぞれ設けられ、第1、2及び3の断面から入水ゲート(22)までの距離は順次増え、各障害ユニットは、障害指標生成装置と計数装置を含み、第1、2及び3の断面における障害指標生成装置は指標生物に対して障害度合が順次増え、計数装置は、断面を通る指標生物を計数するのに用いられ、
前記障害性マルチモジュール水質生物学的測定装置は、各障害指標生成装置を選定するのに用いられる障害指標選定用装置を備え、前記障害指標選定用装置は、選定用水槽(30)、前記選定用水槽(30)の一端に設けられた推進ユニット、前記選定用水槽(30)の他端に設けられた障害比較ユニット及び監視制御ユニットを含み、前記推進ユニットは、前記選定用水槽(30)内の液体を前記障害ユニットに推し進めるのに用いられ、前記障害比較ユニットは仕切り板を備え、前記仕切り板は前記選定用水槽(30)の他端に4つの同一仕切り区域を有する障害断面(36)を形成し、各仕切り区域は1種又は多種の障害指標生成装置を取り付けるのに用いられ、前記選定用水槽(30)の一端には水入口(34)を設け、前記他端には水出口(38)を設け、前記監視制御ユニットは、前記障害断面にいる指標生物の行動を監視制御するのに用いられ、
前記方法は、
(S1)指標生物を選定し、前記測定用水槽(1)中の各障害ユニットに対して必要な障害指標生成装置を選定し設置すること、ここで(S1)で各障害ユニットに対して障害指標生成装置を選定することは、
(S11)単一障害指標データベースを作り上げ、前記単一障害指標データベースは多種の単一障害指標を含み、各単一障害指標から一種又は多種の単一障害度合が発生することができ、前記単一障害指標は閃光、気泡カーテン、噴流渦、温度及び物音のうちのいずれかを含み、指標生物ライブラリを作り上げること、
(S12)前記指標生物ライブラリから一種の指標生物を選定し、前記単一障害指標データベースから少なくとも三種の有効な単一障害度合を選定することであって、前記有効な単一障害度合の選定方法は、
(S121)前記単一障害指標データベースから一種の単一障害指標に対応する障害度合を選定し、対応の障害度合の障害指標生成装置をそれぞれ前記障害比較ユニットの第2、3及び4の仕切り区域に取り付け、第1の仕切り区域に全く何の障害指標生成装置も取り付けないこと、
(S122)障害指標選定用水槽(30)には汚染のない水を満たし、且つ指標生物を入れて指標生物全体を前記障害断面に前記推進ユニットで押し込み、各仕切り区域にいる指標生物の数を前記監視制御ユニットで数えること、
(S123)選定された指標生物の総数をNとし、第1~第4の仕切り区域にいる指標生物の数をN、N、N、Nとし、N≧(2/3)Nの場合、選定された単一障害指標に対応する障害度合は、指標生物に障害として役に立ち、有効な単一障害度合と呼ばれ、そうでないと、無効な単一障害度合であり、単一障害指標に対応する障害度を再選択し判断、前記データベース内の単一障害指標全体の障害度合選定された指標生物に対して無効な単一障害度合になる場合、選定された指標生物を置き換えて有効な単一障害度合を選定することの従属ステップを含むこと、
(S13)(S12)で選定された少なくとも3種の有効な単一障害度合により、前記測定用水槽(1)における3つの障害ユニット内の障害指標生成装置を決め、
(S131)3種の総合障害度合を構成し、各総合障害度合は、上記の少なくとも3種の有効な単一障害度合のいずれか1つまたは複数の組み合わせであり、前記3種の総合障害度合を生成した障害指標生成装置をそれぞれ前記障害断面の第2、3及び4の仕切り区域に取り付け、第1の仕切り区域に全く何の障害指標生成装置も取り付けないこと、
(S132)前記障害指標選定用水槽(30)には汚染のない水を満たし、且つ指標生物を入れて(S12)における選定済指標生物全体を前記障害断面に前記推進ユニットで押し込み、各仕切り区域にいる指標生物の数を前記監視制御ユニットで数えること、
(S133)N、N、N、Nが次の式Iを満たす場合、選択された3種の総合障害度合の組み合わせは、有効な総合障害度合の組み合わせであると見なし、そうでないと、無効な総合障害度合の組み合わせであり、有効な総合障害度合の組み合わせを最終に選定するために3種の総合障害度合をもう一度新たに構成することの従属ステップを含むこと、
【数1】
(S14)前記測定用水槽(1)の各断面において障害指標生成装置をそれぞれ取り付けて、前記有効な総合障害度合の組み合わせを生成することであり、
(S2)汚染のない水を前記測定用水槽(1)に注入し、入水ゲート(22)と第一断面における障害ユニットとの間に立て網(41)を設け、選定された指標生物を立て網(41)と入水ゲート(22)の間に配置し、指標生物をm分間以上環境に適応させること(m≧10)、
(S3)前記測定用水槽(1)内の各障害指標生成装置を始動させ、立て網を取り外して、入水口(22)を通って測定対象となる水体を前記測定用水槽(1)に注入すること、
(S4)前記3つの障害ユニット内の計数装置の計数変化に従って測定対象となる水体の水質を決めること、というステップを含む、
ことを特徴とする水質生物学的測定方法。
【請求項2】
第1断面における障害指標生成装置は、頻度が80~85回/分である単一緑閃光を生成し、第2断面における障害指標生成装置は、給気量が40~45L/分である気泡カーテンを生成し、第3断面における障害指標生成装置は、噴流速度が1~1.1m/sである噴流渦及び頻度が80~85回/分である単一緑閃光を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の水質生物学的測定方法。
【請求項3】
各障害ユニットは、前記計数装置に接続した対応の警報装置を更に含み、前記障害指標生成装置は、閃光生成装置、気泡カーテン生成装置、噴流渦生成装置、温度制御装置、音生成装置の中の1種又は多種の組み合わせを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の水質生物学的測定方法。
【請求項4】
前記測定用水槽(1)は、また、入水ゲート(22)に接続した導水管(4)と、前記導水管(4)に接続した測定用水槽の水入口(3)とを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の水質生物学的測定方法。
【請求項5】
前記推進ユニットは、押しモーター(31)、接続チェーンロッド(32)及び押し板(33)を含み、前記押しモーター(31)は、前記接続チェーンロッド(32)を介して前記押し板(33)を押し動かして水槽(30)中の液体を前記他端に推し進める、
ことを特徴とする請求項4に記載の水質生物学的測定方法。
【請求項6】
前記監視制御ユニットは2つの撮像装置(39)を含み、2つの撮像装置(39)をそれぞれ前記障害断面(36)の両側に設ける、
ことを特徴とする請求項4に記載の水質生物学的測定方法。
【請求項7】
ステップ(S4)では、
第1断面における計数装置で計数された断面を通る指標生物の数が指標生物の総数の2/3未満の場合、正常水質を示し、
第1断面における計数装置で計数された断面を通る指標生物の数が指標生物の総数の2/3以上且つ第2断面における計数装置で計数された断面を通る指標生物の数が指標生物の総数の2/3未満の場合、軽度汚染になることを示し、
第2断面における計数装置で計数された断面を通る指標生物の数が指標生物の総数の2/3以上且つ第3断面における計数装置で計数された断面を通る指標生物の数が指標生物の総数の2/3未満の場合、中度汚染になることを示し、
第3断面における計数装置で計数された断面を通る指標生物の数が指標生物の総数の2/3以上の場合、重度汚染になることを示す、
ことを特徴とする請求項1に記載の水質生物学的測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は障害性マルチモジュール水質生物学的測定装置を採用する水質生物学的測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
迅速な経済発展と急速な人口増加は、天然資源の急激な開発と利用につながった。水質汚染の面では、大量の産業下水と生活汚水を自然水体に排出し、水質汚染の問題はますますひどくなり、人々の日常用水の安全を深刻に脅かしている。従来の下水測定方法は、化学的・物理的な成分については、化学反応や物理的検知などにより、特定の汚染成分や水中の含有量を検知することができるが、検知コストが高く、効率が低く、時間が長くかかり遅延性がある。非専門家はこれらの複雑な下水測定方法を使用することができず、水質を迅速に知る必要がある場合、それらの使用価値が高くない。
【0003】
近年、水汚染の生物学的測定技術は徐々に興り、例えば、特許文献1における「水生生物の回避行動に基づくオンライン水質安全早期警報システムと方法」には、多点モニタリングで得られた電気信号により受験生物の行動変化信号を表示し、且つ電気信号の分析評価を通じて、定位置におけるリアルタイムの生物学的モニタリングを実現し、水体内における未知汚染物質の早期警報を提供する。特許文献2における「廊下型水汚染早期警報装置と早期警報方法」には、グリッド付き廊下やビデオコレクターや画像認識システムなどを用いて魚の軌跡をデジタル画像信号に変換し、水質を汚染しているかどうかを定性的に測定する。これらの生物学的測定装置及び方法は、指標生物を選択している間に特定の種類の生物を直接指定するが、指定された生物の指標効果や指標精度を測定できず、ある程度盲目的で、かつ誤警報が起きる。しかし、最も重要なことは、現在、指標生物と障害性指標とモニタリング指標との選択から最終結果の評価方法までのシステムができる方法と装置がないことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】中国特許出願公開第10119192号明細書
【文献】中国特許出願公開第103105398号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、先行技術における上記の問題を解決するために障害性マルチモジュール水質生物学的測定装置を提供することを目的としている。
【0006】
本発明は、障害性マルチモジュール水質生物学的測定装置を採用する水質生物学的測定方法を更に提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一方で、本発明は、障害性マルチモジュール水質生物学的測定装置を提供する、障害性マルチモジュール水質生物学的測定装置を採用する水質生物学的測定方法であって、前記障害性マルチモジュール水質生物学的測定装置は、水質測定用装置を備え、前記水質測定用装置には、測定用水槽と3つの障害ユニットを備え、前記測定用水槽の一端には入水ゲートを設け、他端には出水ゲートを設け、3つの障害ユニットは、前記水槽の第1、2及び3の断面においてそれぞれ設けられ、第1、2及び3の断面から入水ゲートまでの距離は順次増え、各障害ユニットは、障害指標生成装置と計数装置を含み、第1、2及び3の断面における障害指標生成装置は指標生物に対して障害度合が順次増え、計数装置は、断面を通る指標生物を計数することに用いられる。
【0008】
さらに、第1断面における障害指標生成装置は、頻度が80~85回/分である単一緑閃光を生成し、第2断面における障害指標生成装置は、給気量が40~45L/分である気泡カーテンを生成し、第3断面における障害指標生成装置は、噴流速度が1~1.1m/sである噴流渦及び頻度が80~85回/分である単一緑閃光を生成する。
【0009】
さらに、各障害ユニットは、前記計数装置に接続した対応の警報装置を更に含む。
【0010】
さらに、前記障害指標生成装置は、閃光生成装置、気泡カーテン生成装置、噴流渦生成装置、温度制御装置、音生成装置の中の1種又は多種の組み合わせを含む。
【0011】
さらに、前記測定用水槽は、また、入水ゲートに接続した導水管と、前記導水管に接続した測定用水槽の水入口とを含む。
【0012】
さらに、前記障害性マルチモジュール水質生物学的測定装置は、各障害指標生成装置を選定するのに用いられる障害指標選定用装置を備え、前記障害指標選定用装置は、選定用水槽、前記選定用水槽の一端に設けられた推進ユニット、前記選定用水槽の他端に設けられた障害比較ユニット及び監視制御ユニットを含み、前記推進ユニットは、前記選定用水槽内の液体を前記障害ユニットに推し進めるのに用いられ、前記障害比較ユニットは仕切り板を備え、前記仕切り板は前記選定用水槽の他端に4つの同一仕切り区域を有する障害断面を形成し、各仕切り区域は1種又は多種の障害指標生成装置を取り付けるのに用いられ、前記選定用水槽の一端には水入口を設け、前記他端には水出口を設け、前記監視制御ユニットは、前記障害断面にいる指標生物の行動を監視制御するのに用いられる。
【0013】
さらに、前記推進ユニットは、押しモーター、接続チェーンロッド及び押し板を含み、前記押しモーターは、前記接続チェーンロッドを介して前記押し板を押し動かして水槽中の液体を前記他端に推し進める。
【0014】
さらに、前記監視制御ユニットは2つの撮像装置を含み、2つの撮像装置をそれぞれ前記障害断面の両側に設ける。
【0015】
もう一方で、本発明は、障害性マルチモジュール水質生物学的測定装置を採用する水質生物学的測定方法を更に提供する。前記方法は、
(S1)指標生物を選定し、前記測定用水槽中の各障害ユニットに対して必要な障害指標生成装置を選定し設置し、
(S2)汚染のない水を前記測定用水槽に注入し、入水ゲートと第一断面における障害ユニットとの間に立て網を設け、選定された指標生物を立て網と入水ゲートの間に配置し、指標生物をm分間環境に適応させること(m≧10)、
(S3)前記測定用水槽内の各障害指標生成装置を始動させ、立て網を取り外して、入水口を通って測定対象となる水体を前記測定用水槽に注入すること、
(S4)前記3つの障害ユニット内の計数装置の計数変化に従って測定対象となる水体の水質を決めること、というステップを含む。
【0016】
ステップ(S1)で各障害ユニットに対して障害指標生成装置を選定することは、
(S11)単一障害指標データベースを作り上げ、前記単一障害指標データベースは多種の単一障害指標を含み、各単一障害指標から一種又は多種の単一障害度合が発生することができ、前記単一障害指標は閃光、気泡カーテン、噴流渦、温度及び物音のうちのいずれかを含み、指標生物ライブラリを作り上げること、
(S12)前記指標生物ライブラリから一種の指標生物を選定し、前記単一障害指標データベースから少なくとも三種の有効な単一障害度合を選定することであって、前記有効な単一障害度合の選定方法は、
(S121)前記単一障害指標データベースから一種の単一障害指標に対応する障害度合を選定し、対応の障害度合の障害指標生成装置をそれぞれ前記障害比較ユニットの第2、3及び4の仕切り区域に取り付け、第1の仕切り区域に全く何の障害指標生成装置も取り付けないこと、
(S122)障害指標選定用水槽には汚染のない水を満たし、且つ指標生物を入れて指標生物全体を前記障害断面に前記推進ユニットで押し込み、各仕切り区域にいる指標生物の数を前記監視制御ユニットで数えること、
(S123)選定された指標生物の総数をNとし、第1~第4の仕切り区域にいる指標生物の数をN、N、N、Nとし、N≧(2/3)Nの場合、選定された単一障害指標に対応する障害度合は、指標生物に障害として役に立ち、有効な単一障害度合と呼ばれ、そうでないと、無効な単一障害度合であり、単一障害指標に対応する障害度を再選択し判断、前記データベース内の単一障害指標全体の障害度合選定された指標生物に対して無効な単一障害度合になる場合、選定された指標生物を置き換えて有効な単一障害度合を選定することの従属ステップを含むこと、
(S13)(S12)で選定された少なくとも3種の有効な単一障害度合により、前記測定用水槽における3つの障害ユニット内の障害指標生成装置を決め、
(S131)3種の総合障害度合を構成し、各総合障害度合は、上記の少なくとも3種の有効な単一障害度合のいずれか1つまたは複数の組み合わせであり、前記3種の総合障害度合を生成した障害指標生成装置をそれぞれ前記障害断面の第2、3及び4の仕切り区域に取り付け、第1の仕切り区域に全く何の障害指標生成装置も取り付けないこと、
(S132)前記障害指標選定用水槽には汚染のない水を満たし、且つ指標生物を入れて(S12)における選定済指標生物全体を前記障害断面に前記推進ユニットで押し込み、各仕切り区域にいる指標生物の数を前記監視制御ユニットで数えること、
(S133)N、N、N、Nが次の式Iを満たす場合、選択された3種の総合障害度合の組み合わせは、有効な総合障害度合の組み合わせであると見なし、そうでないと、無効な総合障害度合の組み合わせであり、有効な総合障害度合の組み合わせを最終に選定するために3種の総合障害度合をもう一度新たに構成することの従属ステップを含むこと、
【数1】
(S14)前記測定用水槽の各断面において障害指標生成装置をそれぞれ取り付けて、前記有効な総合障害度合の組み合わせを生成し、ここで、第1断面における障害指標生成装置は、有効な障害閉塞度合の組み合わせ中の第2仕切り区域に対応する総合障害度合を生成するのに用いられ、第2断面における障害指標生成装置は、有効な障害閉塞度合の組み合わせ中の第3仕切り区域に対応する総合障害度合を生成するのに用いられ、第3断面における障害指標生成装置は、有効な障害閉塞度合の組み合わせ中の第4仕切り区域に対応する総合障害度合を生成するのに用いられること、という従属ステップを具体的に含む。
【0017】
ステップ(S4)では、第1断面における計数装置で計数された断面を通る指標生物の数が指標生物の総数の2/3未満の場合、正常水質を示し、第1断面における計数装置で計数された断面を通る指標生物の数が指標生物の総数の2/3以上且つ第2断面における計数装置で計数された断面を通る指標生物の数が指標生物の総数の2/3未満の場合、軽度汚染になることを示し、第2断面における計数装置で計数された断面を通る指標生物の数が指標生物の総数の2/3以上且つ第3断面における計数装置で計数された断面を通る指標生物の数が指標生物の総数の2/3未満の場合、中度汚染になることを示し、第3断面における計数装置で計数された断面を通る指標生物の数が指標生物の総数の2/3以上の場合、重度汚染になることを示す。
【発明の効果】
【0018】
従来技術と比較して、本発明は以下の利点を有する。
【0019】
1.化学的・物理的な成分に関する分析や画像認識システム等の複雑なシステムを必要とせず、指標生物の水泳軌跡や水泳速度等の指標を算出する必要がなく、従来の測定装置の遅延性を克服する。低度合の障害状態、中度合の障害状態及び高度合の障害状態という3つの障害状態を利用して、指標生物が下水を避ける行動に対してさまざまな度合の制約を加え、指標生物がさまざまな程度の下水(軽度汚染、中度汚染、重度汚染)を避ける行動を拡大する。水体が汚染されているかどうかを視覚的に検出し、水体の汚染度に対して正確且つ迅速な評価を作り出し、水体の汚染状況をリアルタイムで監視することができる。
【0020】
2.測定対象となる水体のPH値の範囲を概算できる。
【0021】
3.指標生物と障害性指標とモニタリング指標との選択から最終結果の評価方法まで、一揃いになる完全な障害性マルチモジュール水質生物学的測定方法及び装置を提案する。
【0022】
4.本発明は、簡単な構造や低いコストや直感的な観察や強力な機能を備え、専門家以外でも正しく操作でき、湖や貯水池や河川や家庭下水等の水体に対する迅速な水質検出に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の障害性マルチモジュール水質生物学的測定方法のフロー略図である。
図2】本発明で用いられた指標選定用水槽の概略図である。
図3】選定用水槽の動作状態の概略図である。
図4】本発明で用いられた測定用水槽の平面図である。
図5図4の3つの断面における障害ユニットの断面図である。
図6(a)】低密度気泡管の略図である。
図6(b)】高密度気泡管の略図である。
図7】3次元の気泡生成の側面図である。
図8】作動中の閃光灯の概略図である。
図9(a)】噴流渦が働いている時の側面図である。
図9(b)】噴流渦が働いている時の上面図である。
図10】有効な単一障害指標を選定した時の選定用水槽内の障害断面の概略図である。
図11】有効な総合障害指標の組み合わせを選定した時の選定用水槽内の障害断面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明をより明確にするために、次にように特定の実施形態と併せて、添付の図面を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。
【0025】
図2~5に示すように、本発明によって提供された障害性マルチモジュール水質生物学的測定装置は、障害指標選定用装置及び水質測定用装置を含む。障害指標選定用装置は、適格又は有効な階段状障害度合の組み合わせを選択するのに用いられ、水質測定用装置は、測定対象となる水体に指標生物を注入した後、有効な障害度合の組み合わせにおける各障害物の行動により測定対象となる水体の水質を検出する。
【0026】
障害指標選定用装置は、選定用水槽30、選定用水槽30の一端(図2及び3の左端を参照)に設けられた推進ユニット、選定用水槽30の他端(図2及び3の右端を参照)に設けられた障害比較ユニット及び監視制御ユニットを含む。推進ユニットは、選定用水槽30内の液体を障害ユニットに推し進めるのに用いられる。障害比較ユニットは仕切り板を備え、仕切り板は前記選定用水槽30の他端に4つの同一仕切り区域を有する障害断面を形成し、各仕切り区域は異なる障害指標生成装置を取り付けるのに用いられる。選定用水槽30の左端には、前記選定用水槽30に水を補充することができる水入口34を設け、選定用水槽30の右端には、前記選定用水槽30内の水を排出することができる水出口38を設ける。監視制御ユニットは、前記障害断面にいる指標生物の行動を監視制御するのに用いられる。
【0027】
推進ユニットは、押しモーター31、接続チェーンロッド32及び押し板33を含む。前記押しモーター31は、接続チェーンロッド32を介して押し板33に接続され、押しモーター31が始動した後、押し板33を押し動かして障害比較ユニットに近づけることができる。選定用水槽30内の押し板33と障害断面36との間の区域は選択適応区域であり、障害断面36の近傍区域は強い干渉区域である。障害断面36は、仕切り板37によってa、b、c、dという4つの区域に分けられ、障害生成装置をa、b、c、dという4つの区域にすべて設けて対応障害指標を生成し、前記水出口38をa、b、c、dという4つの区域にすべて設ける。監視制御ユニットは2つの撮像装置を含み、2つの撮像装置39をそれぞれ障害断面36の両側に設ける。
【0028】
水質測定用装置には、測定用水槽1と3つの障害ユニットを備える。測定用水槽1の一端(図4の右端を参照)には入水ゲート22を設け、他端(図4の左端を参照)には出水ゲート21を設ける。3つの障害ユニットは、水槽1の断面e、f及びgにおいてそれぞれ設けられる。図3に示すように、断面e、f及びgから入水ゲートまでの距離は順次増える。図2及び図3に示すように、測定用水槽1は、3つの障害ユニットe、f及びgによって4つの区域I、II、III及びIVに分けられる。入水ゲート22及び出水ゲート21は、測定用水槽1におけるゲート溝を介して測定用水槽1に接続され、測定用水槽の水入口3は、導水管4を介して入水ゲート22に接続されている。各障害ユニットは、障害指標生成装置と計数装置を含み、計数装置に1対1で対応し、接続した警報装置を更に備える。各障害ユニットの障害指標生成装置は、閃光生成装置、気泡カーテン生成装置、噴流渦生成装置、温度制御装置、音生成装置の中の1種又は多種の組み合わせから選定され、上記障害指標選定装置に基づく選択を行うことができる。計数装置は、断面を通る指標生物を計数するのに用いられる。
【0029】
図2から5に示された障害性マルチモジュール水質生物学的測定装置に基づいて、本発明は、障害性マルチモジュール水質生物学的測定装置を採用する水質生物学的測定方法を更に提供する。当該方法は、おおまかに次のステップを含む。
【0030】
ステップ1:指標生物を選定し、前記測定用水槽1中の各障害ユニットに対して必要な障害指標生成装置を選定し設置する。
【0031】
ステップ2:汚染のない水を前記測定用水槽1に注入し、入水ゲート22と第一断面における障害ユニットとの間に立て網41を設け、選定された指標生物を立て網41と入水ゲート22の間に配置し、指標生物を10分間以上環境に適応させる。
【0032】
ステップ3:前記測定用水槽1内の各障害指標生成装置を始動させ、立て網41を取り外して、入水口22を通って測定対象となる水体を前記測定用水槽1に注入する。
【0033】
ステップ4:前記3つの障害ユニット内の計数装置の計数変化に従って測定対象となる水体の水質を決める。
【0034】
ステップ1のプロセスは、図1のように大まかに示され、具体的に次の従属ステップを含む。
【0035】
S11:選定対象となる指標データベースを作り上げる。
【0036】
(S111)単一障害指標データベースを作り上げる。単一障害指標データベースは、閃光、気泡カーテン、噴流渦、温度及び物音等の、選定対象となる指標を含むが、これらに限定されない。気泡カーテンと閃光により魚を追い払う技術は、魚に損傷を与えない可能性のある重要なドライブ技術の1つであり、気泡カーテンと閃光は障害物として特定の生物に対する障害が役に立つ。噴流の噴流方向は水流方向を垂直し、圧力水管を通る水流は、出口で一定の初速度を持ち、静的な水体と噴流の間の速度差と粘度を利用して渦量を有する渦を水体において発生させることにより、前記噴流渦を形成する。噴流渦は、指標生物の視覚や聴覚などの感覚系に一定の影響を与え、潜在的な障害指標でもある。
【0037】
各単一障害指標は、1種又は多種の対応障害度合を有し、当該障害度合は、例えば、閃光の色、頻度及び強度や気泡カーテンの密度や噴流渦の渦量や温度値や物音値等、特定の単一障害指標の属性及び強度値によって特徴付けられる。
【0038】
(S112)指標生物ライブラリを作り上げる。選定された指標生物は、速い動きと環境変化への敏感な反応の特徴を持っている必要がある。指標生物ライブラリは、上中水体に生息する魚、両生カエル、底生ウナギなどを含むが、これらに限定されない。この実施形態で、指標生物は、ハギョ、コイ、ハクレン及びウナギを含む。
【0039】
S12:指標生物ライブラリから1種の指標生物を選択し、単一障害指標データベースから少なくとも3つの有効な単一障害度合を選択する。
【0040】
例えば、予備指標生物としてハギョを選定し、そのハギョは100匹の稚魚であり、(10±1)cmの体長と(12±1)グラムの体重を有する。
【0041】
有効な単一障害度合を選択する方法は次のとおりである。
【0042】
(S121)噴流渦を予備単一障害指標として単一障害指標データベースから選定し、前記噴流渦の障害度合は、図8に示されたように、噴流速度1~1.1m/sに予定される。1~1.1m/sの噴流速度を生成できる噴流渦の障害指標生成装置を、障害断面36の第2、第3及び第4の仕切り区域に取り付ける(それぞれ、図9中の区域b、c、dに対応する)が、第1の仕切り区域(図9中の区域aに対応する)には、全く何の障害指標生成装置も取り付けない。
【0043】
(S122)障害指標選定用水槽30に清潔で汚染のない水を満たす。この実施形態で、障害指標選定用水槽30は、長方形の平行六面体を備えた単層の透明なガラス水槽である(内側のサイズは長さと幅と高さが26m×1m×1.5mであり、外側のサイズは長さと幅と高さが26m×1.2m×1.7mである)。立て網42を障害指標選定用水槽30の適応選択区域(つまり、押し板33と障害断面36との間)に配置し、100匹のハギョを立て網42と押し板33との間の区域に入れ、そのままハギョを30分間水環境に適応させる。給水ポンプを始動させて障害断面36に噴流渦を形成し、立て網42を取り外し、カメラ39及び押しモーターを始動させて100匹のハギョが障害断面36の近傍(図2図3及び図9に示されたように)にある強い干渉区域に入るまでそれらのハギョを前方へ推し進める。各仕切り区域にいる指標生物の数を障害断面36における監視制御ユニットで数える。
【0044】
(S123)a、b、c、dという4つの区域にいるハギョを分析し、選定された指標生物の総数をNとし、第1~第4の仕切り区域にいる指標生物の数をN、N、N、Nとする。N≧(2/3)Nの場合、選定された単一障害指標に対応する障害度合は、指標生物に障害として役に立ち、有効な単一障害度合と呼ばれる。そうでないと、無効な単一障害度合であり、単一障害指標に対応する障害度を再選択し判断する。前記データベース内の単一障害指標全体の障害度合選定された指標生物に対して無効な単一障害度合になる場合、選定された指標生物を置き換えて有効な単一障害度合を選定する。この実施形態で、a、b、c、dという4つの区域にいるハギョの数は、それぞれ75、8、10、7であるため、各区域で得られたハギョの数により、この実施形態で選択された1~1.1m/秒の噴流速度を有する噴流渦指標が要件を合うことを判定することができる。
【0045】
障害指標とする噴流渦を単一障害指標ライブラリ内の他の指標に切り替え、少なくとも3種の有効な単一障害度合を選定するまで再度判断する。この実施形態で、単一障害指標分析モジュールの関連要件を合う指標生物として最終的にハギョを選定し、有効な単一障害度合は、次のとおりである。頻度が80~85回/分である緑の単一閃光、給気量が40~45L/分である低密度の気泡カーテン、給気量が75~80L/分である高密度の気泡カーテン及び噴流速度が1~1.1m/sである噴流渦。
【0046】
S13:S12で選定された4種の有効な単一障害度合により、前記測定用水槽1における3つの障害ユニット内の障害指標生成装置を決める。具体的な方法は次のとおりである。
【0047】
S131:S12で選定された4種の有効な単一障害度合を組み合わせて、3種の総合障害度合を構成する。ここで、各総合障害度合は、上記の4種の有効な単一障害度合のいずれか1つまたは複数の組み合わせである。たとえば、選定対象となる2セットの総合障害度合の組み合わせは、図10ように示され、次の作業条件1と作業条件2の組み合わせに対応する。作業条件1:a区はブランクコントロールであり、b区は閃光(単一閃光、白、頻度は60~65回/分)であり、c区は低密度の気泡カーテン(給気量は40~45L/分)であり、d区は高密度の気泡カーテン+閃光(給気量は75~80L/分、単一閃光、白、頻度は80~85回/分)である。
【0048】
作業条件2:a区はブランクコントロールであり、b区は閃光(単一閃光、緑、頻度は80~85回/分)であり、c区は低密度の気泡カーテン(給気量は40~45L/分)であり、d区は噴流渦+閃光(噴流速度は1~1.1m/s、単一閃光、緑、頻度は80~85回/分)である。
【0049】
S132:選定用水槽30に清潔な水を満たし、100匹のハギョを立て網42と押し板33との間の区域に入れ、そのままハギョを30分間水環境に適応させる。対応の障害生成装置を始動させて作業条件1又は作業条件2で総合障害度合の組み合わせを生成し、立て網42を取り外し、カメラ39及び押しモーターを始動させて100匹のハギョが前記障害断面36の近傍にある強い干渉区域に入るまでそれらのハギョを前方へ推し進める。
【0050】
S133:障害断面36におけるa、b、c、dという4つの区域にいるハギョを分析する。図10の作業条件1に対応する総合障害指標の組み合わせの場合、a、b、c、dという4つの区域にいるハギョの数N、N、N、Nはそれぞれ61、17、10、12であり、得られた各区域にいるハギョの数によれば、
【数2】
を満たさないため、作業条件1で選定された3種の総合障害度合の組み合わせは、無効な障害度合の組み合わせであると判断される。作業条件2に対応する総合障害指標の組み合わせの場合、a、b、c、dという4つの区域にいるハギョの数N、N、N、Nはそれぞれ75、16、6、3であり、
【数3】
と符合し、作業条件2で選定された3種の総合障害度合の組み合わせは、有効な障害度合の組み合わせであると判断される。
【0051】
S14:測定用水槽1の各断面において障害指標生成装置をそれぞれ取り付け、S13で決められた作業条件2に対応する有効な総合障害度合の組み合わせを生成する。
【0052】
この実施形態で、測定用水槽1は、「┗┛」状のコンクリートの無蓋水槽(内側のサイズは長さと幅と高さが26m×1m×1.5mであり、外側のサイズは長さと幅と高さが26m×1.2m×1.7mである)を選ぶ。図6~8に示すように、応じて測定用水槽試験1の断面eにある障害指標生成装置は、第1閃光灯帯6及び第1電源25を含み、断面fにある障害指標生成装置は、低密度気泡管11及び空気ポンプ24、断面gにある障害指標生成装置は、噴流仕切り架台8、噴流管9、高密度気泡管、圧力給水ポンプ28、第2閃光灯帯12及び第2電源2を含む。このうち、第1閃光灯帯と低密度気泡管11と第2閃光灯帯12をすべて測定用水槽1の底部に設け、噴流仕切り架台8を測定用水槽1の内側に設け、噴流管9を入れ子で噴流仕切り架台8に取り付け、前記噴流管9に噴流ノズル40を取り付ける。断面e、f及びgの計数装置5、26及び27はすべて赤外線計数装置であり、3つの赤外線計数装置全体を対応の3つの障害断面の上部に設ける。低密度気泡管11には14個の主気泡孔16を設けるが側面に補助気泡孔がなく、高密度気泡管には14個の主気泡孔16と56個の補助気泡孔17を同時に設ける。空気ポンプ24は、低密度気泡管11及び高密度気泡管に圧縮空気を供給する。低密度気泡が発生する場合、空気ポンプ24の給気量を40L~45L/分に制御して低密度気泡カーテン19を発生させる。高密度気泡が発生する場合、空気ポンプ24の給気量を75L~80L/分に制御して高密度気泡カーテン18を発生させる。主気泡孔16の直径は0.5cmであり、補助気泡孔17の直径は0.3cmである。空気ポンプ24はすべて750W~140LのOUTSTANDING型空気圧縮空気ポンプであり、圧縮空気の最大出力は140L/分である。第1電源25は、第1閃光灯帯6に電力を供給し、第2の電源2は、第2閃光灯帯12に電力を供給し、閃光灯14を第1閃光灯帯6と第2閃光灯帯12に取り付ける。閃光灯14は、単一閃光20を生成し、単一閃光灯20の色及び頻度は制御可能であり、頻度は60~100回/分である。圧力給水ポンプ28は、加圧水流を噴流管9に供給する。圧力給水ポンプ28は、RGZ15-20型増圧ポンプであり、噴流ノズル40に1~3m/秒の加圧水流を提供することができる。
【0053】
ステップ2は、測定用水槽1を清潔な水に注入して、清潔な水を水質測定用水槽に満たし、次に前記立て網41と入水ゲート22の間に100匹のハギョを入れ、ハギョを清潔な水環境に30分間適応させることを具体的に含む。
【0054】
ステップ3は、測定用水槽1における障害断面e、f、gの障害生成動力装置を始動させ、それぞれ障害断面eにおいて閃光(単一閃光、緑、頻度は80~85回/分)を生成し、障害断面fにおいて低密度気泡カーテン(給気量は40~45L/min)を生成し、障害断面gにおいて閃光及び噴流渦(噴流速度は1~1.1m/s、単一閃光、緑、頻度は80~85回/分)を生成し、立て網42を取り外して10Lの測定対象となる水体を円筒形の水入口3に素早く注ぎ、測定対象となる水体を水入口22から測定用水槽1に入れて5分間詰めることを具体的に含む。
【0055】
ステップ4で測定対象となる水体の水質を決めるプロセスは次のとおりである。
S41:汚染のない状況:測定対象となる水体を汚染しない場合、障害指標の作用下で、選定された指標生物自身の生物学的習慣により指標生物は水槽内の区域Iに集まって動き、指標生物の2/3以上は区域Iに継続的に入り、軽度汚染警告灯7は明るくならず、測定対象となる水体を汚染せず、水質が正常であることを示す。
【0056】
S42:軽度汚染状況:測定対象となる水体が軽度汚染になる場合、測定対象となる水体が導水管を通って水質測定用槽に入ると、軽度汚染になる水体が徐々に前方に広がる。選定された指標生物自身の生物学的習慣により、指標生物の遊泳行動は急に活発になり、移動速度や呼吸数などの指標が増え、軽度汚染になる水体の拡散や侵入を回避するため、指標生物は低度合の障害断面を越えようとする。指標生物の2/3以上が低度合の障害断面を通ると、軽度汚染警告灯7は明るくなって警報を発する。魚群は低度合の障害断面を通った後、水質測定用水槽の区域IIに入る。中度合の障害断面の障害効果が低度合の障害断面の障害効果よりもが強くなるため、軽度汚染になる水体が侵入してこそ、おいそれと受験魚は中度合の障害断面を通ろうとしない。指標生物の2/3以上は水環境に適応して選び、前記水質測定用水槽の区域Iに継続的に入り、中度汚染警告灯10は明るくならない。中度汚染警告灯10は明るくなってこそ、水体が軽度汚染になると判断する。
【0057】
S43:中度汚染状況:測定対象となる水体が中度汚染になる場合、選定された指標生物自身の生物学的習慣により、被汚染水体を回避し、自らを保護するために、指標生物はまず低度合の障害断面を通り、軽度汚染警告灯7は明るくなる。中度汚染になる水体が侵入すると、指標生物は中度合の障害断面を通ろうとして選ぶ。指標生物の2/3が中度合の障害断面を通ると、中度汚染警告灯10は明るくなる。指標生物は中度合の障害断面を通ると、水質測定用水槽の区域IIIに入る。高度合の障害断面の障害効果が中度合の障害断面の障害効果よりもが強くなるため、中度汚染になる水体が侵入した場合、指標生物はおいそれと高度合の障害断面を通ろうとせず、水環境に適応して選ぶ。指標生物の2/3以上が水質測定用水槽の区域IIIに継続的に入り、重度汚染警告灯13は明るくならず、中度汚染警告灯10が明るくなると、水体が中度汚染になると判断する。
【0058】
S44:重度汚染状況:測定対象となる水体が重度汚染になる場合、選定された指標生物自身の生物学的習慣により、指標生物は継続的に刺激され、低度合の障害断面を通り、次に中度合の障害断面を通り、軽度汚染警告灯7と中度汚染警告灯10の両方が明るくなり、この時指標生物は区域IIIに入る。重度汚染になる水体が侵入したため、魚群は高度合の障害断面を通ろうとし、最終的に指標生物の2/3以上は水質測定用水槽の区域IVに入り、重度汚染警告灯13は明るくなると、水体が重度汚染になると判断する。
【0059】
測定対象となる水体のさまざまな汚染度に応じて、いくつかの測定実例の結果を表1~5に示す。このうち、「○」は警告灯に警報がないことを意味し、「√」は警告灯が警報を発していることを意味する。測定対象となる水体の水質を物理的及び化学的な測定方法により検証する場合、PH値は水体汚染の程度を測定するのに用いられる(6.5<PH<7.8は正常水質を意味する; 5<PH<6.5又は7.8<PH<8.5は軽度汚染を意味する; 3<PH<5又は8.5<PH<9は中度汚染を意味する; PH<3又は9<PHは重度汚染を意味する)。さまざまな状況に応じて、操作者は実際の状況により測定指標と測定基準を自分で選択することができ、それは本発明によって提出された指標及び基準に限定されない。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】
実験結果で死魚が現れたのは、測定対象となる水体を汚染したときに、被汚染水体が指標生物の一部に厳しい影響を与えることにより受験魚の死亡を起こしたからである。
【0066】
上記の説明は、すべての実施形態ではなく、本発明の一実施形態にすぎず、本発明を限定することを意図するものではない。本発明の趣旨及び原則の範囲内で行われたいかなる修正や同等の代置や改善なども、本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【0067】
(付記)
(付記1)
障害性マルチモジュール水質生物学的測定装置を採用する水質生物学的測定方法であって、前記障害性マルチモジュール水質生物学的測定装置は、水質測定用装置を備え、前記水質測定用装置には、測定用水槽(1)と3つの障害ユニットを備え、前記測定用水槽(1)の一端には入水ゲート(22)を設け、他端には出水ゲート(21)を設け、3つの障害ユニットは、前記水槽(1)の第1、2及び3の断面においてそれぞれ設けられ、第1、2及び3の断面から入水ゲート(22)までの距離は順次増え、各障害ユニットは、障害指標生成装置と計数装置を含み、第1、2及び3の断面における障害指標生成装置は指標生物に対して障害度合が順次増え、計数装置は、断面を通る指標生物を計数するのに用いられ、
前記障害性マルチモジュール水質生物学的測定装置は、各障害指標生成装置を選定するのに用いられる障害指標選定用装置を備え、前記障害指標選定用装置は、選定用水槽(30)、前記選定用水槽(30)の一端に設けられた推進ユニット、前記選定用水槽(30)の他端に設けられた障害比較ユニット及び監視制御ユニットを含み、前記推進ユニットは、前記選定用水槽(30)内の液体を前記障害ユニットに推し進めるのに用いられ、前記障害比較ユニットは仕切り板を備え、前記仕切り板は前記選定用水槽(30)の他端に4つの同一仕切り区域を有する障害断面(36)を形成し、各仕切り区域は1種又は多種の障害指標生成装置を取り付けるのに用いられ、前記選定用水槽(30)の一端には水入口(34)を設け、前記他端には水出口(38)を設け、前記監視制御ユニットは、前記障害断面にいる指標生物の行動を監視制御するのに用いられ、
前記方法は、
(S1)指標生物を選定し、前記測定用水槽(1)中の各障害ユニットに対して必要な障害指標生成装置を選定し設置すること、ここで(S1)で各障害ユニットに対して障害指標生成装置を選定することは、
(S11)単一障害指標データベースを作り上げ、前記単一障害指標データベースは多種の単一障害指標を含み、各単一障害指標から一種又は多種の単一障害度合が発生することができ、前記単一障害指標は閃光、気泡カーテン、噴流渦、温度及び物音のうちのいずれかを含み、指標生物ライブラリを作り上げること、
(S12)前記指標生物ライブラリから一種の指標生物を選定し、前記単一障害指標データベースから少なくとも三種の有効な単一障害度合を選定することであって、前記有効な単一障害度合の選定方法は、
(S121)前記単一障害指標データベースから一種の単一障害指標に対応する障害度合を選定し、対応の障害度合の障害指標生成装置をそれぞれ前記障害比較ユニットの第2、3及び4の仕切り区域に取り付け、第1の仕切り区域に全く何の障害指標生成装置も取り付けないこと、
(S122)障害指標選定用水槽(30)には汚染のない水を満たし、且つ指標生物を入れて指標生物全体を前記障害断面に前記推進ユニットで押し込み、各仕切り区域にいる指標生物の数を前記監視制御ユニットで数えること、
(S123)選定された指標生物の総数をNとし、第1~第4の仕切り区域にいる指標生物の数をN、N、N、Nとし、N≧(2/3)Nの場合、選定された単一障害指標に対応する障害度合は、指標生物に障害として役に立ち、有効な単一障害度合と呼ばれ、そうでないと、無効な単一障害度合であり、単一障害指標に対応する障害度を再選択し判断すべきであり、前記データベース内の単一障害指標全体の障害度合は、選定された指標生物に対して無効な単一障害度合になる場合、選定された指標生物を置き換えて有効な単一障害度合を選定することの従属ステップを含むこと、
(S13)(S12)で選定された少なくとも3種の有効な単一障害度合により、前記測定用水槽(1)における3つの障害ユニット内の障害指標生成装置を決め、
(S131)3種の総合障害度合を構成し、各総合障害度合は、上記の少なくとも3種の有効な単一障害度合のいずれか1つまたは複数の組み合わせであり、前記3種の総合障害度合を生成した障害指標生成装置をそれぞれ前記障害断面の第2、3及び4の仕切り区域に取り付け、第1の仕切り区域に全く何の障害指標生成装置も取り付けないこと、
(S132)前記障害指標選定用水槽(30)には汚染のない水を満たし、且つ指標生物を入れて(S12)における選定済指標生物全体を前記障害断面に前記推進ユニットで押し込み、各仕切り区域にいる指標生物の数を前記監視制御ユニットで数えること、
(S133)N、N、N、Nが次の式Iを満たす場合、選択された3種の総合障害度合の組み合わせは、有効な総合障害度合の組み合わせであると見なし、そうでないと、無効な総合障害度合の組み合わせであり、有効な総合障害度合の組み合わせを最終に選定するために3種の総合障害度合をもう一度新たに構成する必要があることの従属ステップを含むこと、
【数4】
(S14)前記測定用水槽(1)の各断面において障害指標生成装置をそれぞれ取り付けて、前記有効な総合障害度合の組み合わせを生成することであり、
(S2)汚染のない水を前記測定用水槽(1)に注入し、入水ゲート(22)と第一断面における障害ユニットとの間に立て網(41)を設け、選定された指標生物を立て網(41)と入水ゲート(22)の間に配置し、指標生物をm分間以上環境に適応させること(m≧10)、
(S3)前記測定用水槽(1)内の各障害指標生成装置を始動させ、立て網を取り外して、入水口(22)を通って測定対象となる水体を前記測定用水槽(1)に注入すること、
(S4)前記3つの障害ユニット内の計数装置の計数変化に従って測定対象となる水体の水質を決めること、というステップを含む、
ことを特徴とする水質生物学的測定方法。
【0068】
(付記2)
第1断面における障害指標生成装置は、頻度が80~85回/分である単一緑閃光を生成し、第2断面における障害指標生成装置は、給気量が40~45L/分である気泡カーテンを生成し、第3断面における障害指標生成装置は、噴流速度が1~1.1m/sである噴流渦及び頻度が80~85回/分である単一緑閃光を生成する、
ことを特徴とする付記1に記載の水質生物学的測定方法。
【0069】
(付記3)
各障害ユニットは、前記計数装置に接続した対応の警報装置を更に含み、前記障害指標生成装置は、閃光生成装置、気泡カーテン生成装置、噴流渦生成装置、温度制御装置、音生成装置の中の1種又は多種の組み合わせを含む、
ことを特徴とする付記1に記載の水質生物学的測定方法。
【0070】
(付記4)
前記測定用水槽(1)は、また、入水ゲート(22)に接続した導水管(4)と、前記導水管(4)に接続した測定用水槽の水入口(3)とを含む、
ことを特徴とする付記1に記載の水質生物学的測定方法。
【0071】
(付記5)
前記推進ユニットは、押しモーター(31)、接続チェーンロッド(32)及び押し板(33)を含み、前記押しモーター(31)は、前記接続チェーンロッド(32)を介して前記押し板(33)を押し動かして水槽(30)中の液体を前記他端に推し進める、
ことを特徴とする付記4に記載の水質生物学的測定方法。
【0072】
(付記6)
前記監視制御ユニットは2つの撮像装置(39)を含み、2つの撮像装置(39)をそれぞれ前記障害断面(36)の両側に設ける、
ことを特徴とする付記4に記載の水質生物学的測定方法。
【0073】
(付記7)
ステップ(S4)では、
第1断面における計数装置の数が指標生物の2/3未満の場合、正常水質を示し、
第1断面における計数装置の数が指標生物の2/3以上且つ第2断面における計数装置の数が指標生物の2/3未満の場合、軽度汚染になることを示し、
第2断面における計数装置の数が指標生物の2/3以上且つ第3断面における計数装置の数が指標生物の2/3未満の場合、中度汚染になることを示し、
第3断面における計数装置の数が指標生物の2/3以上の場合、重度汚染になることを示す、
ことを特徴とする付記1に記載の水質生物学的測定方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6(a)】
図6(b)】
図7
図8
図9(a)】
図9(b)】
図10
図11