(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-05
(45)【発行日】2023-04-13
(54)【発明の名称】着用物品の胴回り部の製造方法および製造装置
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20230406BHJP
【FI】
A61F13/15 340
A61F13/15 355Z
A61F13/15 391
(21)【出願番号】P 2021574520
(86)(22)【出願日】2020-12-15
(86)【国際出願番号】 JP2020046673
(87)【国際公開番号】W WO2021153055
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-07-11
(31)【優先権主張番号】P 2020010633
(32)【優先日】2020-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】110001265
【氏名又は名称】弁理士法人山村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅林 豊志
【審査官】原田 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-120275(JP,A)
【文献】特表2015-521865(JP,A)
【文献】特開2019-000638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用物品の胴回り部の製造方法であって、
前記胴回り部は、搬送方向の前端および後端に雌面ファスナを有する複数の第1シートと搬送方向の後端および前端に雄面ファスナを有する複数の第2シートとが搬送方向に交互に配置されて連続しており、前記製造方法は、
前記複数の第1シートを第1ドラムにより間欠搬送する工程と、
前記複数の第2シートのうちの先行の第2シートを第2ドラムの第1パッドにより前記第1ドラムとの接合位置に向かって搬送すると共に、前記複数の第1シートのうちの1つの第1シートの前記前端の雌面ファスナに前記先行の第2シートの前記後端の雄面ファスナが重なるように前記先行の第2シートを搬送する工程と、
前記複数の第2シートのうちの後続の第2シートを前記第2ドラムの第2パッドにより前記第1ドラムとの前記接合位置に向かって搬送すると共に、前記1つの第1シートの前記後端の雌面ファスナに前記後続の第2シートの前記前端の雄面ファスナが重なるように前記後続の第2シートを搬送する工程と、
を備える胴回り部の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、前記先行の第2シートを前記第1パッドが保持した状態で、かつ、前記後続の第2シートを前記第2パッドが保持した状態で、これらの第2シートが前記第2ドラムにより搬送される工程と、
前記1つの第1シートが前記第1パッドと前記第2パッドとの間に架設された状態で前記第2ドラムにより搬送される工程とを更に備える、胴回り部の製造方法。
【請求項3】
請求項1もしくは2において、
前記雌面ファスナを含む前記第1シートと、前記雄面ファスナを含む前記第2シートとが互いに重なる重なり部において、前記第1シートと前記第2シートとを部分的に互いに付着させて仮止メする仮止メ工程を更に備える、胴回り部の製造方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記仮止メ工程は、前記両ファスナ同士が互いに重なる時に、あるいは、その後に実行される、胴回り部の製造方法。
【請求項5】
着用物品の胴回り部の製造装置であって、
前記胴回り部は、搬送方向の前端および後端に雌面ファスナを有する複数の第1シートと搬送方向の後端および前端に雄面ファスナを有する複数の第2シートとが搬送方向に交互に配置されて連続しており、前記製造装置は、
前記複数の第1シートを間欠搬送する第1ドラムと、
前記複数の第2シートを間欠搬送する第2ドラムとを備え、前記第2ドラムは、
前記複数の第2シートのうちの先行の第2シートを前記第1ドラムとの接合位置に向かって搬送すると共に、前記複数の第1シートのうちの1つの第1シートの前記前端の雌面ファスナに前記先行の第2シートの前記後端の雄面ファスナが重なるように前記先行の第2シートを搬送する第1パッドと、
前記複数の第2シートのうちの後続の第2シートを前記第1ドラムとの前記接合位置に向かって搬送すると共に、前記1つの第1シートの前記後端の雌面ファスナに前記後続の第2シートの前記前端の雄面ファスナが重なるように前記後続の第2シートを搬送する第2パッドと、
を備える胴回り部の製造装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記雌面ファスナを含む前記第1シートと、前記雄面ファスナを含む前記第2シートとが互いに重なる重なり部において、前記第1シートと前記第2シートとを部分的に互いに付着させて仮止メする仮止装置を更に備える、胴回り部の製造装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記仮止装置は前記重なり部の一部を加熱して、前記重なり部の一部において前記両シートを互いに溶着する加熱ローラおよびアンビルを備える、胴回り部の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は着用物品の胴回り部の製造方法および製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の胴回り部用の伸縮シートとして、前胴において互いに係合する雌面ファスナと雄面ファスナを有し、胴回りの締め付け具合を調整できるようにした先行技術が知られている(特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
しかし、前記先行技術には伸縮シートの製造方法が開示されていない。
【0005】
一方、前記特許文献3には、吸収性本体上の雌面ファスナに胴回り部用の伸縮シート上の雄面ファスナを接合した着用物品の製造方法が開示されている。
【0006】
しかし、この先行文献にも、前記両ファスナにより互いに接合された伸縮シートの製造方法は開示されていない。
【0007】
したがって、本発明の目的は、着用物品の胴回り部用の伸縮シートの新規でかつ具体的な製造方法および製造装置を提供することである。
【0008】
すなわち、本発明方法は、着用物品の胴回り部の製造方法であって、
前記胴回り部は、搬送方向の前端および後端に雌面ファスナを有する複数の第1シートと搬送方向の後端および前端に雄面ファスナを有する複数の第2シートとが搬送方向に交互に配置されて連続しており、前記製造方法は、
前記複数の第1シートを第1ドラムにより間欠搬送する工程と、
前記複数の第2シートのうちの先行の第2シートを第2ドラムの第1パッドにより前記第1ドラムとの接合位置に向かって搬送すると共に、前記複数の第1シートのうちの1つの第1シートの前記前端の雌面ファスナに前記先行の第2シートの前記後端の雄面ファスナが重なるように前記先行の第2シートを搬送する工程と、
前記複数の第2シートのうちの後続の第2シートを前記第2ドラムの第2パッドにより前記第1ドラムとの前記接合位置に向かって搬送すると共に、前記1つの第1シートの前記後端の雌面ファスナに前記後続の第2シートの前記前端の雄面ファスナが重なるように前記後続の第2シートを搬送する工程と、を備える。
【0009】
一方、本発明装置は、着用物品の胴回り部の製造装置であって、
前記胴回り部は、搬送方向の前端および後端に雌面ファスナを有する複数の第1シートと搬送方向の後端および前端に雄面ファスナを有する複数の第2シートとが搬送方向に交互に配置されて連続しており、前記製造装置は、
前記複数の第1シートを間欠搬送する第1ドラムと、
前記複数の第2シートを間欠搬送する第2ドラムとを備え、前記第2ドラムは、
前記複数の第2シートのうちの先行の第2シートを前記第1ドラムとの接合位置に向かって搬送すると共に、前記複数の第1シートのうちの1つの第1シートの前記前端の雌面ファスナに前記先行の第2シートの前記後端の雄面ファスナが重なるように前記先行の第2シートを搬送する第1パッドと、
前記複数の第2シートのうちの後続の第2シートを前記第1ドラムとの前記接合位置に向かって搬送すると共に、前記1つの第1シートの前記後端の雌面ファスナに前記後続の第2シートの前記前端の雄面ファスナが重なるように前記後続の第2シートを搬送する第2パッドと、を備える。
【0010】
本発明によれば、第1シートと第2シートとが交互に接合されて伸縮シートが製造される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1Aは本発明が適用される着用物品の一例を示す概略斜視図、
図1Bは同着用物品において第1シートの雌面ファスナから第2シートの雄面ファスナを剥がした状態で示す同着用物品の概略斜視図である。
【
図2】
図2は胴回り部用の伸縮シートの製造方法の一実施形態を示す概略斜視図である。
【
図3】
図3は製造装置の一実施形態を示す正面図である。
【
図4】
図4(a)~(c)は製造方法の一実施形態を示す正面図である。
【
図5】
図5は胴回り部用の伸縮シートの製造方法の一実施形態を示す平面図である。
【
図6】
図6(a)は着用物品の製造方法の一例を示す概略平面図、
図6(b)は同製造方法により製造された着用物品の概略斜視図である。
【
図7】
図7は製造装置の他の実施形態を示す正面レイアウト図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施形態の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかし、実施形態および図面は単なる図示および説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。本発明の範囲は請求の範囲によってのみ定まる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
【0013】
まず、本発明の実施形態の説明に先立って着用物品5の構造が図面にしたがって説明される。
【0014】
図1Aおよび
図1Bに示すように、着用物品5は、左右対称の形状および構造を有し、吸収性本体6および前後の胴回り部50を備えている。吸収性本体6は、着用者の前胴を覆い胴回り方向Xに延びる前部、着用者の後胴を覆い胴回り方向Xに延びる後部、ならびに、これらの間の股間を覆う股部7を有している。
【0015】
股部7は胴回り方向Xに直交する縦方向Yに延びる。吸収性本体6は股部7の一部又は全部を構成する。
【0016】
図1Aのように、完成品の状態では、股部7は胴回り方向Xに平行なラインにおいて2つに折られている。これにより、前後の胴回り部50の胴回り方向Xの端部E3同士が互いに重なっている。本着用物品はパンツ型であり、前後の後胴回り部50,50の胴回り方向Xの端部E3同士が互いに溶着されている。
【0017】
吸収性本体6には図示しない吸収コアが設けられている。この吸収コアは体液を吸収する。吸収コアは、トップシートとバックシートとの間で挟まれている。各シートおよび吸収コアは互いに積層されている。
【0018】
トップシートは透液性の薄い不織布からなり、吸収コアの肌面を覆う。このトップシートの上には、図示しないカフが設けられていてもよい。
【0019】
バックシートは吸収コアの非肌面を覆い、液不透過性の樹脂シートからなる。吸収性本体6の縦方向Yの各端部には、各胴回り部50が貼り付けられている。
【0020】
各胴回り部50には、着用物品5を着用者にフィットさせるための弾性部材Fが設けられていてもよい。この弾性部材Fは一部の胴回り部50にのみ設けられていてもよい。
【0021】
この弾性部材Fとしては、たとえば、複数本の糸ゴムや平ゴムまたは熱可塑性樹脂を含む材料などを採用することができる。また、弾性部材Fは吸収性本体6と重なる部分において、無効化され(収縮力がない状態とされ)ていてもよい。各弾性部材Fは互いに平行に胴回り方向Xに延びていてもよい。
【0022】
吸収性本体6には、着用者の脚部に沿って括れた脚回り部(図示せず)が形成されてもよい。脚回り部や、胴回り部50の脚回り部に連なる部位には、着用者の脚回りに沿うように、たとえば、糸ゴムなどからなる別の弾性部材が設けられていてもよい。
【0023】
吸収性本体6は胴回り部50の肌面に付着されている。
本明細書において、「肌面」とは着用物品5の着用時において着用者の肌に対面する面をいい、「非肌面」とは肌面とは反対の面をいう。
【0024】
つぎに、前後の胴回り部50を構成する前後の伸縮シートS1,S2について説明する。
胴回り部50は前後の胴回り用の第1および第2伸縮シートS1,S2を備える。
第1伸縮シートS1は第1シート1および一対の第2シート2が接合されてなる。第2伸縮シートS2は第3シート3からなる。第1~第3シート1~3は、2枚のウェブの内に弾性ストランドをサンドイッチした積層体であってもよい。
【0025】
図1Aおよび
図1Bに示すように、第1シート1は前胴の中央に配置され、胴回り方向Xの両端に雌面ファスナF1,F2を有している。一方、第2シート2は前胴の左右に配置され、一端に前記雌面ファスナF1,F2に係合(係止)する雄面ファスナM1(
図2参照),M2を有している。
【0026】
図1Aにおいて、雌面ファスナを含む第1シート1の端と、雄面ファスナを含む第2シート2の端とは、互いに重なる重なり部25を形成する。この重なり部25には第1シート1と第2シート2とが互いに付着された1ヶ所または複数ヶ所の仮止メ部26が形成されている。この仮止メ部26は両シート1,2を剥がすことができる程度に緩く付着しておればよく、熱による溶着の他に粘着剤や接着剤(例えばホットメルト接着剤)で両シート1,2が互いに付着していてもよい。
【0027】
第2シート2の他端は前記第3シート3に溶着されている。したがって、本着用物品はいわゆるリクローザブル型のパンツ型使い捨て着用物品である。すなわち、着用者は
図1Aの状態でパンツとして着用し得ると共に、
図1Bのように、第2シート2の雄面ファスナM1(
図2参照),M2を第1シート1の雌面ファスナF1,F2から剥がすことで、胴回りの締付具合を調整して着用することができる。なお、仮止メ部26は両ファスナを剥がす際に剥がれる。
【0028】
つぎに、第1伸縮シートS1の製造方法および装置について説明する。
【0029】
第1伸縮シートS1は、
図2に示すように搬送方向X1の前端および後端に雌面ファスナF1,F2を有する複数の第1シート1,1と搬送方向X2の後端および他端に雄面ファスナM1,M2を有する複数の第2シート2,2とが搬送方向X3に交互に配置されて連続した第1連続伸縮シートS10から生成される。
【0030】
図3に示すように、胴回り部(第1伸縮シートS1(
図1A))の製造装置は複数の第1シート1,1を間欠搬送する第1ドラムD1と複数の第2シート2
iを間欠搬送する第2ドラムD2とを備える。なお、以下の説明において、第2シートの符号として、説明の便宜上、下付数字を用いる。
第1ドラムD1は周知のカットアンドスリップを利用して第1連続シート10から所定長に切断された第1シート1を次々に搬送する。一方、第2ドラムD2は周知のリピッチドラムで第2連続シート20から所定長に切断された第2シート2
iを次々に搬送する。
【0031】
第1ドラムD1の上流には速度VC1で第1連続シート10を供給する第1制御コンベヤC1が設けられている。一方、第1ドラムD1は前記速度VC1よりも大きい周速度VD1で回転する。第1ドラムD1には図示しないバキューム部が設けられており、第1ドラムD1は第1連続シート10の先端部10Eに対しスリップしながら、先端部10Eを吸着保持する。先端部10Eの搬送方向の長さが所定長となると、第1カッタ61が先端部10Eを切断し次々と第1シート1が生成される。
【0032】
生成された各第1シート1は速度差(VD1-VC1)で第1連続シート10の先端から離れ、一定のピッチで第2ドラムD2との接合位置O1に向かって第1ドラムD1により間欠的に搬送される。
【0033】
一方、第2ドラムD2の上流には速度VC2で第2連続シート20を供給する第2制御コンベヤC2が設けられている。第2ドラムD2は数個のパッドP1~P5を有する。各パッドP1~P5は不等速で回転し、第2カッタ62による切断位置O2において第2制御コンベヤC2の速度VC2と同じ速度になり、一方、接合位置O1において速度VC2よりも大きい速度VD2になる。各パッドP1~P5は加減速を繰り返すことで互いに離間したり、接近したりする。
【0034】
切断位置O2には第2カッタ62が配置されている。第2カッタ62は第2ドラムD2の周方向に互いに接近ないし接したパッドP2,P3の端において第2連続シート20を第2シート2の単位に切断する。各パッドは切断された第2シート2を吸着保持し増速しながら接合位置O1に向かって搬送する。
【0035】
図3において、先行の第1パッドP1は、1つの(先行の)第2シート2
1を接合位置O1に向かって搬送すると共に、1つの第1シート1の前端の雌面ファスナF1に1つの第2シート2
1の後端の雄面ファスナM2が重なるように1つの第2シート2
1を搬送する。
【0036】
後続の第2パッドP2は、別の(前記1つの第2シートの後続の)第2シート22を接合位置O1に向かって搬送すると共に、前記1つのシート1の後端の雌面ファスナF2に別の第2シート22の前端の雄面ファスナM1が重なるように別の第2シート22を搬送する。
【0037】
第2ドラムD2の下流には仮止装置70が設けられていてもよい。この仮止装置70は例えば加熱ローラ71とアンビルローラ72とを備える。仮止装置70は重なり部25の一部において、第1および第2シート1,2を加熱して両シートを互いに溶着する。こうして、
図5に示す第1連続伸縮シートS10が得られる。
【0038】
つぎに、第1伸縮シートS1の製造方法の詳細を
図4を用いて説明する。
図4(a)~(c)に示すように、複数の第1シート1,1が第1ドラムD1により間欠搬送される。
図4(a)に示す複数の第2シート2
iのうちの1つの第2シート2
1を第2ドラムD2の第1パッドP1により第1ドラムD1上の第1シート1との接合位置O1に向かって搬送すると共に、
図4(b)に示すように、複数の第1シート1,1のうちの1つの第1シート1の前端の雌面ファスナF1に1つの第2シート2
1の後端の雄面ファスナM2が重なるように1つの第2シート2
1を搬送する。
【0039】
その後、
図4(c)に示すように、複数の第2シート2
iのうちの別の第2シート2
2を第2ドラムD2の第2パッドP2により第1ドラムD1上の第1シート1との接合位置O1に向かって搬送すると共に、1つの第1シート1の後端の雌面ファスナF2に1つの第2シート2
1の後続の第2シート2
2の前端の雄面ファスナM1が重なるように後続の第2シート2
2を搬送する。
【0040】
こうして、第1シート1,1と第2シート2iとが連なった第1連続伸縮シートS10が生成される。第1連続伸縮シートS10のうちの1つの第2シート21を第1パッドP1が保持した状態で、かつ、第1連続伸縮シートS10の別の第2シート22を第2パッドP2が保持した状態で、第1連続伸縮シートS10が第2ドラムD2により搬送される。更に、第1連続伸縮シートS10の第1シート1が第1パッドP1と第2パッドP2との間に架設された状態で第2ドラムD2により搬送され下流の仮止装置70に供給される。
【0041】
仮止装置70に供給された第1シート1の端と第2シート2の端は加熱ローラ71とアンビルローラ72との間で両シートの重なり部の一部を加熱されて互いに緩く溶着される。
【0042】
つぎに、
図3のパッドP1~P5の周速度の変化について説明する。
各パッドP1~P5は、切断位置O2を通過する際は周速度が最も小さいV
C2となり、一方、パッドの先端が接合位置O1に到達してから、パッドの後端が接合位置O1を通過するまでの間、周速度が最も大きくV
D2となる。
【0043】
各パッドは切断位置O2を通過した後、接合位置O1に到るまでの間に加速される。一方、各パッドは接合位置O1を通過した後、切断位置O2に到るまでの間に減速される。
【0044】
このように、各パッドは
図4(b)の第1パッドP1が
図4(c)の第1パッドP1の位置に到るまでに減速されるので、第1パッドP1と第2パッドP2との間の第1シート1に緩みが生じる。そのため、ファスナ同士の係合状態が解かれるおそれがない。
【0045】
また、
図4(c)に示すように、前述のように緩みの生じた第1シート1は直線状となり、かつ、雌面ファスナF1,F2の近傍において、折れた屈曲した形状となり、ドラム同士の圧接後も雌面ファスナF1,F2を雄面ファスナM2,M1に接合する力が生じる。
【0046】
つぎに、第1連続伸縮シートS10を用いた着用物品の製造方法を
図6にしたがって説明する。
【0047】
図6(a)に示すように、第2伸縮シートS2(
図1)が搬送方向X3に連続している第2連続伸縮シートS20と第1連続伸縮シートS10とを互いに平行に搬送する。この状態で第1連続伸縮シートS10と第2連続伸縮シートS20との間に吸収性本体6が架設されて、連続積層体Nが生成される。
【0048】
前記架設後、連続積層体Nは吸収性本体6の部分において2つに折られて、第1連続伸縮シートS10と第2連続伸縮シートS20とが対面する構造となる。その後、連続積層体Nが個々の着用物品5の単位となるように、着用物品5の両端に相当する部分において第1連続伸縮シートS10と第2連続伸縮シートS20とが互いに溶着(シール)される。前記溶着後、連続積層体Nから個々の着用物品5が次々に切り取られて生成される。生成された着用物品5は
図5(b)のように、パンツとして着用することができる。
【0049】
図7は製造装置の他の実施形態を概略的に示す。
本実施形態において、第1ドラムD1の上流には第1上流ドラムD10が配置されており、第2ドラムD2の上流には第2上流ドラムD20が配置されている。
第1上流ドラムD10の近傍には第1カッタ61が配置されており、第2上流ドラムD20の近傍には第2カッタ62が配置されている。
第1上流ドラムD10の上流には第1制御コンベヤC1が配置されている。
第1および第2ドラムD1,D2の下流には仮止装置70が配置されている。
【0050】
以下、本実施形態における第1伸縮シートの製造方法の概要を説明する。
第1制御コンベヤC1から第1上流ドラムD10に第1連続シート10が供給され、第1連続シート10は第1上流ドラムD10上において第1カッタ61により個々の第1シートに切断される。第1上流ドラムD10は周知のカットアンドスリップを利用して第1連続シート10から所定長に切断された第1シートを次々に搬送する。
切断された第1シートは下流の第1ドラムD1に渡される。第1ドラムD1は周知のリピッチドラムであってもよい。
【0051】
一方、第2上流ドラムD20に第2連続シート20が供給され、第2連続シート20は第2上流ドラムD20上において第2カッタ62により個々の第2シートに切断される。切断された第2シートは下流の第2ドラムD2に渡される。第2ドラムD2は周知のリピッチドラムで、所定長に切断された第2シートを次々に搬送する。
【0052】
第1ドラムD1と第2ドラムD2との間において第1および第2シートは互いに係合され、第1伸縮シートが形成される。第1伸縮シートは下流の仮止装置70において第1シートと第2シートとの重なり部において仮止めされる。
【0053】
上述した各実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
【0054】
ある発明方法は着用物品の胴回り部の製造方法であって、前記胴回り部は、搬送方向の前端および後端に雌面ファスナを有する複数の第1シートと搬送方向の後端および前端に雄面ファスナを有する複数の第2シートとが搬送方向に交互に配置されて連続しており、前記製造方法は、前記複数の第1シートを第1ドラムにより間欠搬送する工程と、前記複数の第2シートのうちの先行の第2シートを第2ドラムの第1パッドにより前記第1ドラムとの接合位置に向かって搬送すると共に、前記複数の第1シートのうちの1つの第1シートの前記前端の雌面ファスナに前記先行の第2シートの前記後端の雄面ファスナが重なるように前記先行の第2シートを搬送する工程と、前記複数の第2シートのうちの後続の第2シートを第2ドラムの第2パッドにより前記第1ドラムとの前記接合位置に向かって搬送すると共に、前記1つの第1シートの前記後端の雌面ファスナに前記後続の第2シートの前記前端の雄面ファスナが重なるように前記後続の第2シートを搬送する工程と、を備える。
【0055】
ある発明装置は着用物品の胴回り部の製造装置であって、前記胴回り部は、搬送方向の前端および後端に雌面ファスナを有する複数の第1シートと搬送方向の後端および前端に雄面ファスナを有する複数の第2シートとが搬送方向に交互に配置されて連続しており、前記製造装置は、前記複数の第1シートを間欠搬送する第1ドラムと、前記複数の第2シートを間欠搬送する第2ドラムとを備え、前記第2ドラムは、前記複数の第2シートのうちの先行の第2シートを前記第1ドラムとの接合位置に向かって搬送すると共に、前記複数の第1シートのうちの1つの第1シートの前記前端の雌面ファスナに前記先行の第2シートの前記後端の雄面ファスナが重なるように前記先行の第2シートを搬送する第1パッドと、前記複数の第2シートのうちの後続の第2シートを前記第1ドラムとの前記接合位置に向かって搬送すると共に、前記1つの第1シートの前記後端の雌面ファスナに前記後続の第2シートの前記前端の雄面ファスナが重なるように前記後続の第2シートを搬送する第2パッドと、を備える。
【0056】
これらの製造方法および装置によれば、第1シートと第2シートとが交互に接合されて胴回り部用の伸縮シートが生成される。
【0057】
好ましい実施形態として、前記先行の第2シートを前記第1パッドが保持した状態で、かつ、前記後続の第2シートを前記第2パッドが保持した状態で、これらの第2シートが前記第2ドラムにより搬送される工程と、前記1つの第1シートが前記第1パッドと前記第2パッドとの間に架設された状態で前記第2ドラムにより搬送される工程とを更に備える。
【0058】
この方法によれば、第1パッドと第2パッドとの間に第1シートが架設されるため、ファスナの接合力が得られる確度が高い。
【0059】
好ましい製造方法の実施形態として、前記雌面ファスナを含む前記第1シートと、前記雄面ファスナを含む前記第2シートとが互いに重なる重なり部において、前記第1シートと前記第2シートとを部分的に互いに付着させて仮止メする仮止メ工程を更に備える。
好ましくは、前記仮止メ工程は、前記両ファスナ同士が互いに重なる時に、あるいは、その後に実行される。
【0060】
好ましい製造装置の実施形態として、前記雌面ファスナを含む前記第1シートと、前記雄面ファスナを含む前記第2シートとが互いに重なる重なり部において、前記第1シートと前記第2シートとを部分的に互いに付着させて仮止メする仮止装置を更に備える。
更に好ましい実施形態として、前記仮止装置は前記重なり部の一部を加熱して、前記重なり部の一部において前記両シートを互いに溶着する加熱ローラおよびアンビルを備える。
【0061】
これらの場合、第1シートと第2シートとは面ファスナにより互いに接合されているだけでなく、仮止メ工程により重なり部が仮止メされる。そのため、搬送中に第1シートと第2シートとが互いに分離する不具合が生じない。
【0062】
各実施形態または好ましい実施形態に関連して説明/およびまたは図示した特徴は、1つまたはそれ以上の他の実施形態において同一または類似な形で、および/または他の実施形態の特徴と組み合わせて、または、その代わりに利用することができる。
【0063】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、第1伸縮シートの第1シート又は第2伸縮シートには弾性部材Fを設けなくてもよい。また、雌面ファスナは第1シートを形成する不織布自体で構成されてもよいし、あるいは、この不織布とは別の雌面ファスナ部材を不織布に貼り付けてもよい。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は着用物品の胴回り部の製造方法および製造装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1:第1シート 1:1つの第1シート
10:第1連続シート 10E:先端部
2,2i:第1シート 21:1つの(先行の)第2シート 22:別の(後続の)第2シート
20:第2連続シート 25:重なり部 26:仮止メ部
3:第3シート
5:着用物品 50:胴回り部
6:吸収性本体 7:股部
61:第1カッタ 62:第2カッタ
70:仮止装置 71:加熱ローラ 71:アンビル
D1:第1ドラム D2:第2ドラム P1~P5:パッド D10:第1上流ドラム D20:第2上流ドラム
E3:端部 F:弾性部材 F1,F2:雌面ファスナ M1,M2:雄面ファスナ
N:連続積層体
S1:第1伸縮シート S2:第2伸縮シート S10:第1連続伸縮シート
S20:第2連続伸縮シート
O1:接合位置 O2:切断位置
X:胴回り方向 Y:縦方向
X1~X3:搬送方向