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▶ 平山 修の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-05
(45)【発行日】2023-04-13
(54)【発明の名称】固定具、固定構造、および固定方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20230406BHJP
【FI】
E04B1/58 510C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019010697
(22)【出願日】2019-01-24
(65)【公開番号】P2020117953
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】519028106
【氏名又は名称】平山 修
(74)【代理人】
【識別番号】100145861
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 薫
(72)【発明者】
【氏名】平山 修
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3032191(JP,U)
【文献】特開2009-243183(JP,A)
【文献】特開2006-193996(JP,A)
【文献】特開2008-175049(JP,A)
【文献】特開2008-121234(JP,A)
【文献】米国特許第05513476(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/58
E04B 1/26
E02D 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の基礎に用いられる固定具であって、
所定の方向に対向するように延びる第1の延出部および第2の延出部と、前記第1の延出部と前記第2の延出部との間に介在し前記第1の延出部および前記第2の延出部の中間をなす中間部と、前記第1の延出部と前記第2の延出部との間に開口するように形成される開口部と、を有し、
前記第1の延出部、前記第2の延出部、および前記中間部により形成される内部空間に前記基礎を内包させるように被せて、前記第1の延出部および前記第2の延出部を前記基礎に挟み込んで固定し、
前記第1の延出部は、貫通する第1の延出部貫通孔を有するとともに、前記第2の延出部は、貫通する第2の延出部貫通孔を有し、
前記第1の延出部貫通孔および前記第2の延出部貫通孔に挿通可能な締め付け部材を有し、更に前記基礎には、穴径が、前記締め付け部材の外径よりも大きい寸法に設定されている基礎貫通穴が設けられ、
前記第1の延出部および前記第2の延出部を前記基礎に挟み込んだ状態で、前記第1の延出部貫通孔および前記第2の延出部貫通孔と前記基礎貫通穴に締め付け部材を挿通しつつ前記締め付け部材により前記第1の延出部および前記第2の延出部を内側に締め付けて前記基礎に固定し、
前記中間部に連結部材を立設し、
前記連結部材は、棒状の延出部材を有し、前記延出部材は、前記基礎に土台を連結する土台連結部を有し、
前記土台に貫通する土台貫通孔を設け、前記土台貫通孔は、上部側の孔径は、前記土台の中間部および下部側の孔径よりも大きく設定されT字状をなし、前記土台貫通孔の上部側は、座繰り孔となっており、前記延出部材を前記土台貫通孔に挿通しつつ前記土台連結部により前記基礎に前記土台を連結し、
前記延出部材は、外面側に螺子溝を設けた雄螺子部を有するボルトとし、前記土台連結部は、前記雄螺子部とナットを有し、前記ナットは、穴部の内周面側に螺子溝を設けて形成される雌螺子部を有し、前記雌螺子部と前記雄螺子部は螺合可能とし、
前記雄螺子部と前記雌螺子部を螺合させ、更に前記雌螺子部を前記土台の座繰り孔の底面に当接させ、前記雌螺子部を締め込むことにより前記基礎に前記土台を連結し、
前記第1の延出部および前記第2の延出部の中間をなす中間部に更に土台連結部材を前記土台の上面側に打ち込んで連結するための中間部貫通孔を設け、前記土台連結部は、逆三角錐状の頭部を有するとともに、前記中間部貫通孔は、内径が下方に行くに従って漸次減少するように形成され、前記土台連結部の前記頭部の形状と対応するすり鉢状の形状とし、
前記土台の固定を前記土台連結部および前記土台連結部材のいずれで行うかを選択することができることを特徴とする固定具。
【請求項2】
前記連結部材は、前記延出部材の先端側に設けられ前記基礎に柱を連結する柱連結部を有することを特徴とする請求項1に記載の固定具。
【請求項3】
前記柱連結部は、板状に延びるとともに、貫通する柱連結部貫通孔を有することを特徴とする請求項2に記載の固定具。
【請求項4】
前記柱連結部貫通孔を介して前記柱に打ち込み可能な留め具を有し、前記留め具を前記柱連結部貫通孔を介して前記柱に打ち込むことにより前記柱連結部を前記柱に固定することを特徴とする請求項3に記載の固定具。
【請求項5】
前記柱連結部は、前記延出部材を挿通可能とする環状の挿通部を有して、前記挿通部に前記延出部材を挿通することにより、前記延出部材の延出方向に沿って位置を変更可能とするとともに、前記延出部材は、外面側に螺子溝を設けた雄螺子部を有するボルトとし、前記柱連結部は、更に前記雄螺子部とナットを有し、前記ナットは、穴部の内周面側に螺子溝を設けて形成される雌螺子部を有し、前記雌螺子部と前記雄螺子部は螺合可能とし、前記延出部材の先端側を前記挿通部から突出させつつ前記留め具を前記柱連結部貫通孔を介して前記柱に打ち込むことにより前記柱連結部を前記柱に固定した状態で前記雄螺子部と前記雌螺子部を螺合させ、かつ、前記挿通部を前記雌螺子部に当接させ、前記雌螺子部を締め込み前記柱連結部を介して前記基礎に前記柱を連結することを特徴とする請求項4に記載の固定具。
【請求項6】
建築物の基礎に用いられる固定構造であって、
所定の方向に対向するように延びる第1の延出部および第2の延出部と、前記第1の延出部と前記第2の延出部との間に介在し前記第1の延出部および前記第2の延出部の中間をなす中間部と、前記第1の延出部と前記第2の延出部との間に開口するように形成される開口部と、を有し、
前記第1の延出部、前記第2の延出部、および前記中間部により形成される内部空間に前記基礎を内包させるように被せて、前記第1の延出部および前記第2の延出部を前記基礎に挟み込んで固定し、
前記第1の延出部は、貫通する第1の延出部貫通孔を有するとともに、前記第2の延出部は、貫通する第2の延出部貫通孔を有し、
前記第1の延出部貫通孔および前記第2の延出部貫通孔に挿通可能な締め付け部材を有し、更に前記基礎には、穴径が、前記締め付け部材の外径よりも大きい寸法に設定されている基礎貫通穴が設けられ、
前記第1の延出部および前記第2の延出部を前記基礎に挟み込んだ状態で、前記第1の延出部貫通孔および前記第2の延出部貫通孔と前記基礎貫通穴に締め付け部材を挿通しつつ前記締め付け部材により前記第1の延出部および前記第2の延出部を内側に締め付けて前記基礎に固定し、
前記中間部に連結部材を立設し、
前記連結部材は、棒状の延出部材を有し、前記延出部材は、前記基礎に土台を連結する土台連結部を有し、
前記土台に貫通する土台貫通孔を設け、前記土台貫通孔は、上部側の孔径は、前記土台の中間部および下部側の孔径よりも大きく設定されT字状をなし、前記土台貫通孔の上部側は、座繰り孔となっており、前記延出部材を前記土台貫通孔に挿通しつつ前記土台連結部により前記基礎に前記土台を連結し、
前記延出部材は、外面側に螺子溝を設けた雄螺子部を有するボルトとし、前記土台連結部は、前記雄螺子部とナットを有し、前記ナットは、穴部の内周面側に螺子溝を設けて形成される雌螺子部を有し、前記雌螺子部と前記雄螺子部は螺合可能とし、
前記雄螺子部と前記雌螺子部を螺合させ、更に前記雌螺子部を前記土台の座繰り孔の底面に当接させ、前記雌螺子部を締め込むことにより前記基礎に前記土台を連結し、
前記第1の延出部および前記第2の延出部の中間をなす中間部に更に土台連結部材を前記土台の上面側に打ち込んで連結するための中間部貫通孔を設け、前記土台連結部は、逆三角錐状の頭部を有するとともに、前記中間部貫通孔は、内径が下方に行くに従って漸次減少するように形成され、前記土台連結部の前記頭部の形状と対応するすり鉢状の形状とし、
前記土台の固定を前記土台連結部および前記土台連結部材のいずれで行うかを選択することができることを特徴とする固定構造
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定具、固定構造、および固定方法に関し、特に建築物の基礎に土台または柱を固定するための固定具、固定構造、および固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から建築物のコンクリート基礎に土台や柱を連結するためアンカーボルト(連結部材)が広く用いられている。すなわち、アンカーボルト(連結部材)を、コンクリート基礎に埋設しつつ螺子溝を設けた先端側を基礎の上面側に設けた土台の上面側から突出させ前記螺子溝と螺合するナット等により基礎に土台や柱を締め込んで連結する。このようなアンカーボルト(連結部材)に関する技術は、例えば、特許文献1に開示された技術を参照することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-81427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、アンカーボルト(連結部材)を埋設する際にはコンクリート基礎の中央にアンカーボルト(連結部材)を突出させる必要があるがアンカーボルト(連結部材)の埋設は所定の日数コンクリート基礎を養生させながら行う必要があり、風やその他の外力によってアンカーボルト(連結部材)の位置が変化して傾斜したままコンクリート基礎が固まることがある。
【0005】
このような場合には、管材をコンクリート基礎の上面に達するまでアンカーボルト(連結部材)に差し込みつつコンクリート基礎の上面を支点としてアンカーボルト(連結部材)を差し込んだ管材に外力を加え、アンカーボルト(連結部材)を中央に配置する芯出しを行うことがあった。
【0006】
しかながら、このような芯出しを行うと、コンクリート基礎の表面のアンカーボルト(連結部材)の周辺が削られて窪みが形成されてしまいこの窪みに雨水等が溜まり、アンカーボルト(連結部材)の埋設部分を伝ってコンクリート基礎の内部に雨水等が侵入することがあった。
【0007】
このような場合には、コンクリート基礎の内部でアンカーボルト(連結部材)が腐食してその体積を膨張させコンクリート基礎を爆裂させる等、コンクリート基礎の強度に甚大な影響を及ぼすことがあった。
【0008】
このため、コンクリート基礎の設置とアンカーボルト(連結部材)等の設置を別々に行うことができる技術の開発が望まれていた。
【0009】
本願発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、基礎の設置と連結部材の設置を別々に行うことができる固定具、固定構造、および固定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に係る固定具の発明は、建築物の基礎に用いられる固定具であって、所定の方向に対向するように延びる第1の延出部および第2の延出部と、前記第1の延出部と前記第2の延出部との間に介在し前記第1の延出部および前記第2の延出部の中間をなす中間部と、前記第1の延出部と前記第2の延出部との間に開口するように形成される開口部と、を有し、前記第1の延出部、前記第2の延出部、および前記中間部により形成される内部空間に前記基礎を内包させるように被せて、前記第1の延出部および前記第2の延出部を前記基礎に挟み込んで固定することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、所定の方向に対向するように延びる第1の延出部および第2の延出部と、前記第1の延出部と前記第2の延出部との間に介在し前記第1の延出部および前記第2の延出部の中間をなす中間部と、前記第1の延出部と前記第2の延出部との間に開口するように形成される開口部と、を有し、前記第1の延出部、前記第2の延出部、および前記中間部により形成される内部空間に前記基礎を内包させるように被せて、前記第1の延出部および前記第2の延出部を前記基礎に挟み込んで固定することとしたので、基礎の養生後に固定具を固定し例えば固定具を介して連結部材の設置を行う等、基礎の設置と連結部材の設置を別々に行うことが可能となる。
【0012】
前記第1の延出部は、貫通する第1の延出部貫通孔を有するとともに、前記第2の延出部は、貫通する第2の延出部貫通孔を有することとすれば、第1の延出部貫通孔および第2の延出部貫通孔に所定の部材を挿入する等して基礎に固定具を固定することが可能となる。
【0013】
前記第1の延出部貫通孔および前記第2の延出部貫通孔に挿通可能な締め付け部材を有し、前記第1の延出部および前記第2の延出部を前記基礎に挟み込んだ状態で、前記第1の延出部貫通孔および前記第2の延出部貫通孔に締め付け部材を挿通しつつ前記締め付け部材により前記第1の延出部および前記第2の延出部を内側に締め付けて前記基礎に固定することとすれば、締め付け部材により基礎に固定具を固定することができる。
【0014】
前記第1の延出部および前記第2の延出部を前記基礎に挟み込んだ状態で前記第1の延出部貫通孔および前記第2の延出部貫通孔と対応する前記基礎の所定の位置に穴を設け、前記第1の延出部貫通孔および前記第2の延出部貫通孔と前記穴に前記締め付け部材を挿通しつつ前記締め付け部材により前記第1の延出部および前記第2の延出部を内側に締め付けて前記基礎に固定することとすれば、締め付け部材により基礎に固定具を確実に固定することができる。
【0015】
前記穴は、貫通穴とすることができる。
【0016】
前記中間部は、貫通する中間部貫通孔を有することとすることができる。
すなわち、前記中間部貫通孔を介して前記基礎に置かれた前記土台に打ち込んで前記土台と連結可能な土台連結部材を有し、前記土台連結部材を前記中間部貫通孔を介して前記土台に打ち込んで連結することにより前記中間部を前記土台に固定することとすれば、土台連結部材により基礎に土台を固定することができる。
【0017】
前記中間部に連結部材を立設することができる。
前記連結部材は、棒状の延出部材を有し、前記延出部材は、前記基礎に前記土台を連結する土台連結部を有することができる。
【0018】
前記土台に貫通する土台貫通孔を設け、前記延出部材を前記土台貫通孔に挿通しつつ前記連結部により前記基礎に前記土台を連結することとすれば、連結部材により基礎に土台を連結することができる。
【0019】
前記延出部材は、外面側に螺子溝を設けた雄螺子部を有するボルトとし、前記土台連結部は、前記雄螺子部とナットを有し、前記ナットは、穴部の内周面側に螺子溝を設けて形成される雌螺子部を有し、前記雌螺子部と前記雄螺子部は螺合可能とすることができる。
【0020】
前記延出部材の前記雄螺子部と前記雌螺子部を螺合させ、更に前記雌螺子部を前記土台に当接させ、前記雌螺子部を下方向に締め込むことにより前記基礎に前記土台を連結することとすれば、連結部材により基礎に土台を確実に連結することができる。
【0021】
前記連結部材は、前記延出部材の先端側に設けられ前記基礎に前記柱を連結する柱連結部を有することができる。
【0022】
前記柱連結部は、板状に延びるとともに、貫通する柱連結部貫通孔を有することができる。
【0023】
前記柱連結部貫通孔を介して前記柱に打ち込み可能な留め具を有し、前記留め具を前記柱連結部貫通孔を介して前記柱に打ち込むことにより前記柱連結部を前記柱に固定することができる。
【0024】
前記柱連結部は、前記延出部材を挿通可能とする環状の挿通部を有して、前記挿通部に前記延出部材を挿通することにより、前記延出部材の延出方向に沿って位置を変更可能とするとともに、前記延出部材は、外面側に螺子溝を設けた雄螺子部を有するボルトとし、前記柱連結部は、更に前記雄螺子部とナットを有し、前記ナットは、穴部の内周面側に螺子溝を設けて形成される雌螺子部を有し、前記雌螺子部と前記雄螺子部は螺合可能とし、前記延出部材の先端側を前記挿通部から突出させつつ前記留め具を前記柱連結部貫通孔を介して前記柱に打ち込むことにより前記柱連結部を前記柱に固定した状態で前記雄螺子部と前記雌螺子部を螺合させ、かつ、前記挿通部を前記雌螺子部に当接させ、前記雌螺子部を締め込み前記柱連結部を介して前記基礎に前記柱を締結し連結することとすれば、連結部材により基礎に柱を確実に連結することができる。
【0025】
上記目的を達成するために、請求項17に係る固定構造の発明は、建築物の基礎に用いられる固定構造であって、所定の方向に対向するように延びる第1の延出部および第2の延出部と、前記第1の延出部と前記第2の延出部との間に介在し前記第1の延出部および前記第2の延出部の中間をなす中間部と、前記第1の延出部と前記第2の延出部との間に開口するように形成される開口部と、を有する固定具を、前記第1の延出部、前記第2の延出部、および前記中間部により形成される内部空間に前記基礎を内包させるように被せて、前記第1の延出部および前記第2の延出部を前記基礎に挟み込んで固定することを特徴とする。
【0026】
上記目的を達成するために、請求項18に係る固定方法の発明は、建築物の基礎に用いられる固定方法であって、所定の方向に対向するように延びる第1の延出部および第2の延出部と、前記第1の延出部と前記第2の延出部との間に介在し前記第1の延出部および前記第2の延出部の中間をなす中間部と、前記第1の延出部と前記第2の延出部との間に開口するように形成される開口部と、を有する固定具を、前記第1の延出部、前記第2の延出部、および前記中間部により形成される内部空間に前記基礎を内包させるように被せて、前記第1の延出部および前記第2の延出部を前記基礎に挟み込んで固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、基礎の設置と連結部材の設置を別々に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1実施形態に係る固定具により基礎に土台を固定した状態を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図2】同固定具の構成を示す図で、(a)は(d)の正面断面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図である。
図3】同固定具の締め付け部材の構成を示す図で、(a)は側面図、(b)はナットの正面図、(c)はワッシャーの正面図である。
図4】同固定具の土台連結部材の構成を示す正面図である。
図5】同固定具により基礎に土台を固定する固定方法を説明するための正面断面図である。
図6】同固定方法を説明するための図5に続く正面断面図である。
図7】同固定方法を説明するための図6に続く正面断面図である。
図8】同固定方法を説明するための図7に続く正面断面図である。
図9】同固定方法を説明するための図8に続く正面断面図である。
図10】同固定方法を説明するための図9に続く正面断面図である。
図11】同固定方法を説明するための図10に続く正面断面図である。
図12】本発明の第2実施形態に係る固定具の構成を示す図で、(a)は一部断面を含む正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図、(e)はナットの平面図、(f)はワッシャーの平面図である。
図13】同固定具により基礎に土台を固定する固定方法を説明するための正面断面図である。
図14】同固定具により基礎に土台を固定する固定方法を説明するための図13に続く正面断面図である。
図15】同固定具により基礎に土台を固定する固定方法を説明するための図14に続く正面断面図である。
図16】同固定具により基礎に土台を固定する固定方法を説明するための図15に続く正面断面図である。
図17】本発明の第3実施形態に係る固定具により基礎に土台および柱を固定した状態を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図18】同固定具の分解した構成を示す図で、(a)は側面図、(b)は一部断面を含む正面図、(c)は一部断面を含む背面図、(d)は平面図、(e)は柱連結部を拡大して示す拡大平面図、(f)はナットの平面図、(g)はワッシャーの平面図である。
図19】同固定具の留め具の構成を示す正面図である。
図20】同固定具により基礎に土台および柱を固定する固定方法を説明するための図で、(a)は側面図、(b)は正面断面図である。
図21】同固定具により基礎に土台を固定する固定方法を説明するための図20に続く図で、(a)は側面図、(b)は正面断面図である。
図22】同固定具により基礎に土台を固定する固定方法を説明するための図21に続く図で、(a)は側面図、(b)は正面断面図である。
図23】同固定具により基礎に土台を固定する固定方法を説明するための図22に続く図で、(a)は側面図、(b)は正面断面図である。
図24】本発明の第4実施形態に係る固定具により基礎に土台および柱を固定した状態を示す図で、(a)は側面図、(b)は正面断面図である。
図25】同固定具の分解した構成を示す図で、(a)は側面図、(b)は一部断面を含む正面図、(c)は一部断面を含む背面図、(d)は平面図、(e)は土台連結部のナットの平面図、(f)は土台連結部のワッシャーの平面図、(g)は柱連結部のナットの平面図、(h)は柱連結部のワッシャーの平面図である。
図26】同固定具により基礎に土台および柱を固定する固定方法を説明するための図で、(a)は側面図、(b)は正面断面図である。
図27】同固定具により基礎に土台および柱を固定する固定方法を説明するための図26に続く図で、(a)は側面図、(b)は正面断面図である。
図28】同固定具により基礎に土台および柱を固定する固定方法を説明するための図27に続く図で、(a)は側面図、(b)は正面断面図である。
図29】同固定具により基礎に土台および柱を固定する固定方法を説明するための図28に続く図で、(a)は側面図、(b)は正面断面図である。
図30】同固定具により基礎に土台および柱を固定する固定方法を説明するための図29に続く図で、(a)は側面図、(b)は正面断面図である。
図31】本発明の変形例に係る固定具の構成を示す図で、(a)は側面図、(b)は一部断面を含む正面図、(c)は一部断面を含む背面図、(d)は平面図である。
図32】同変形例に係る固定具により基礎に土台および柱を固定した状態を示す図で、(a)は側面図、(b)は正面断面図である。
図33】同変形例に係る固定具により基礎に土台および柱を固定した状態を示す別の図で、(a)は側面図、(b)は正面断面図である。
図34】基礎に打ち込まれる留め具の別の例を示す正面断面図である。
図35】基礎に打ち込まれる留め具の更に別の例を示す正面断面図である。
図36基礎に打ち込まれる留め具の更に別の例を示す図で、図35に続く正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態に係る固定具、固定構造、固定方法について図面を参照して詳細に説明する。以下に説明するように、本発明の固定具、固定構造、固定方法は、建築物の基礎200に用いられ土台300および/または柱400を固定することができる。なお、以下の説明においては、図に記載された方向を基準に各方向を定義するものとする。また、以下において、基礎200とは、建築物を地面に固定するためのものであり、土台300とは、建築物を基礎200につなぐためのものである。
【0030】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る固定具1により基礎200に土台300を固定した状態を示す図、図2は、同固定具1の構成を示す図、図3は、締め付け部材50の構成を示す図、図4は、土台連結部材60の構成を示す図である。本第1実施形態の固定具1を用いることにより土台300の固定方法、固定構造を実施することができる。
【0031】
これらの図を参照して本発明の固定具1の概要を説明すると、固定具1は、建築物の基礎200に土台300を固定するために用いられる。基礎200は、コンクリート基礎であり、正面視の断面形状が略矩形状となっている。土台300は、正面視の形状が矩形状より詳しくは正方形となっており、木製で直方体形状の角材としている。図では、土台300は、基礎200の上面204側に置かれた状態となっている。基礎200の左右方向の長さ寸法は、土台300の左右方向の長さ寸法と同等の寸法若しくは大きい寸法に設定されている。
【0032】
固定具1は、正面視がコの字状に形成されており、例えば金属製の板状体を屈曲させて形成されている。固定具1は、金属製の他、プラスチック製、樹脂製、合金製等各種の材料を用いることができる。
【0033】
固定具1は、第1の延出部10、第2の延出部20、中間部30、および開口部40を有している。第1の延出部10および第2の延出部20は、所定の方向より詳しくは下方向に相互に対向するようにかつ一定の間隔を置いて並行して延びるように形成されている。中間部30は、水平方向に延びており、第1の延出部10と第2の延出部20との間に介在より詳しくは第1の延出部10および第2の延出部20の一方の端部11a,21a間に介在して第1の延出部10および第2の延出部20と連続しつつ連結しコの字状の第1の延出部10および第2の延出部20の中間をなしている。この中間部30の左右方向の長さ寸法は、基礎200の左右方向の長さ寸法と略同等に設定されている。開口部40は、第1の延出部10と第2の延出部20との間に開口より詳しくは第1の延出部10および第2の延出部20の他方の端部11b,21b間に開口するように形成されている。
【0034】
すなわち、固定具1を、開口部30を下向きにして、第1の延出部10、第2の延出部20、および中間部30により形成されるコの字状の内部空間40aに基礎200および土台300を内包させるように外側から被せて、第1の延出部10および第2の延出部20を基礎200の外側面201,202側に挟み込むことによって基礎200に固定することができる。
【0035】
第1の延出部10は、側方に貫通する第1の延出部貫通孔11を有するとともに、第2の延出部20は、側方に貫通する第2の延出部貫通孔21を有している。第1の延出部10および第2の延出部20は、第1の延出部貫通孔11および第2の延出部貫通孔21を相互に対応する位置より詳しくは側方および上下方向において同一の位置に設けている。第1の延出部貫通孔11および第2の延出部貫通孔21は、第1の延出部10および第2の延出部20の前後方向における中央部に設けられている。
【0036】
ここで、固定具1は、第1の延出部貫通孔11および第2の延出部貫通孔21に挿通可能な締め付け部材50を有している。
【0037】
すなわち、固定具1は、第1の延出部10および第2の延出部20を基礎200の外側面201,202側に挟み込んだ状態で、第1の延出部貫通孔11および第2の延出部貫通孔21に締め付け部材50を挿通しつつ締め付け部材50により第1の延出部10および第2の延出部20を内側に締め付ける。これにより、固定具1は、第1の延出部10および第2の延出部20を基礎200の外側面201,202側に挟み込んで固定することができる。
【0038】
ここで、締め付け部材50は、短尺な六角柱状の頭部50aと、頭部50aの中央部から延びる棒状の棒状体51と、ナット52と、ワッシャー54より詳しくは平ワッシャー54を有している。すなわち、頭部50aの外径は、第1の延出部貫通孔11および第2の延出部貫通孔21の内径よりも大きい径に設定されており、頭部50aは一方の延出部貫通孔より詳しくは第2の延出部貫通孔21に挿入されることなく、頭部50aの裏面側が第2の延出部20の外側面202側に当接可能となっている。また、棒状体51の外径は、第1の延出部貫通孔11および第2の延出部貫通孔21の内径よりも小さい径に設定されており、棒状体51は第1の延出部貫通孔11および第2の延出部貫通孔21に挿通可能となっている。棒状体51はボルト状としており、棒状体51の先端側の外面側には、螺子溝が設けられ、該先端側は雄螺子部51aとしている。更に、ナット52の穴部52aの内面には、雄螺子部51aと螺合する雌螺子部52bが設けられている。
【0039】
また、中間部30は、その中央部に上下方向に貫通する中間部貫通孔31を有している。中間部貫通孔31は、内径が下方に行くに従って漸次減少するように形成されており、以下に示す土台連結部60の頭部61の形状と対応するすり鉢状の形状となっている。固定具1は、図4に示す土台連結部60より詳しくは土台連結部材60を有しており、土台連結部材60を、中間部貫通孔31を介して基礎200の上面204側に置かれた土台300の上面301側に打ち込んで土台300を連結可能としている。
【0040】
図において、土台連結部材60は、土台300の上面301に中間部30を留めて連結する留め具60としており、上面が略平坦面で略逆三角錐状の頭部61と、頭部61の裏面の中央部61a側から延びる棒状部62と、を有し、棒状部62に螺子溝63が設けられたビスとしている。土台連結部材60を土台300に打ち込んだ状態では、頭部61の裏面側が中間部貫通孔31の内周面に当接した状態となる。なお、土台連結部材60は、少なくとも棒状部62を有し中間部貫通孔31を介して土台300に打ち込んで連結するものであればよく、他の形態を採用することとしてもよい。
【0041】
この固定具1による基礎200への土台300の固定方法を説明すると次のようになる。
【0042】
すなわち、図5に示すように、基礎200の上面204に土台300を置く。
次いで、図6に示すように、基礎200の所定の位置に穴203より詳しくは側方に貫通する基礎貫通穴203を設ける。基礎貫通穴203の穴径は、締め付け部材50の棒状体51の外径よりも大きい寸法に設定されている。
【0043】
すなわち、基礎貫通穴203は、固定具1の第1の延出部10および第2の延出部20を基礎200の外側面201,202側に挟み込んだ状態で第1の貫通孔11および第2の貫通孔21と対応する基礎200の所定の位置に設けられる。なお、第1の延出部10および第2の延出部20の上下方向の長さ寸法は、土台300の上端位置から少なくとも基礎貫通穴203の下端位置まで覆うことができる長さ寸法としている。
【0044】
次に、図7に示すように、固定具1の開口部40を下向きにしてコの字状の内部空間40aに基礎200および土台300を内包させるように外側から被せる。このとき、第1の延出部貫通孔11、第2の延出部貫通孔21、および基礎貫通穴203が、相互に対応する位置より詳しくは側方および上下方向において同一の位置となるように固定具1を被せる。
【0045】
次いで、図8に示すように、第1の延出部貫通孔11および第2の延出部貫通孔21と基礎貫通穴203に締め付け部材50を挿通する。締め付け部材50を挿通した状態では、締め付け部材50の頭部50aの裏面側が一方側の延出部20の外側面202側に当接した状態で、締め付け部材50の棒状体51の先端側が基礎200の他方側の外側面201側から側方に突出した状態となる。
【0046】
続いて、図9に示すように、締め付け部材50により他方側から締め付けることにより第1の延出部10および第2の延出部20を内側に締め付けて第1の延出部10および第2の延出部20を基礎200の外側面201,202側に挟み込んで固定する。この固定は、棒状体51の先端側の雄螺子部51aにワッシャー54を介してナット52の雌螺子部52bを螺合させることにより第1の延出部10および第2の延出部20を内側に締め付けて行う。
【0047】
次に、図10および図11に示すように、土台連結部材60を中間部貫通孔31を介して土台300の上面301側に打ち込んで連結することにより中間部30を土台300の上面301側に固定する。
【0048】
以上説明したように、本第1実施形態によれば、所定の方向に対向するように延びる第1の延出部10および第2の延出部20と、第1の延出部10および第2の延出部20の一方の端部11a,21a間に介在し第1の延出部10および第2の延出部20の中間をなす中間部30と、第1の延出部10および第2の延出部20の他方の端部11b,21b間に開口するように形成される開口部40と、を有し、第1の延出部10、第2の延出部20、および中間部30により形成される内部空間40aに基礎200を内包させるように被せて、第1の延出部10および第2の延出部20を基礎200に挟み込んで固定する固定具1としたので、または、固定具1の開口部40を下向きにしてコの字状の第1の延出部10、第2の延出部20、および中間部30により形成される内部空間40aに基礎200を内包させるように外側から被せて、第1の延出部10および第2の延出部20を基礎200の外側面201,202側に挟み込んで固定する固定構造としたので、若しくは、第1の延出部10、第2の延出部20、および中間部30により形成される内部空間40aに基礎200を内包させるように被せて、第1の延出部10および第2の延出部20を基礎200に挟み込んで固定する固定方法としたので、基礎200の養生後に固定具1を固定し例えば固定具1を介して土台連結部材60の設置(打ち込み)を行う等、基礎200の設置と土台連結部材60の設置を別々に行うことが可能となる。
【0049】
また、第1の延出部10は、貫通する第1の延出部貫通孔11を有するとともに、第2の延出部20は、貫通する第2の延出部貫通孔21を有することとしたので、第1の延出部貫通孔11および第2の延出部貫通孔21に締め付け部材50を挿入する等して基礎200に固定具1を固定することが可能となる。
【0050】
更に、第1の延出部10および第2の延出部20を基礎200に挟み込んだ状態で第1の延出部貫通孔11および第2の延出部貫通孔21と対応する基礎200の所定の位置に穴203を設け、第1の延出部貫通孔11および第2の延出部貫通孔21と穴203に締め付け部材50を挿通しつつ締め付け部材50により第1の延出部10および第2の延出部20を内側に締め付けて基礎200に固定することとしたので、締め付け部材50により基礎200に固定具1を確実に固定することができる。
【0051】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態について図12乃至図16を用いて詳細に説明する。図12は、本発明の第2実施形態に係る固定具2の構成を示す図、図13乃至図16は、同固定具2により基礎200に土台300を固定する固定方法を説明するための正面断面図である。本第2実施形態の固定具2を用いることにより土台300の固定方法、固定構造を実施することができる。
【0052】
なお、以下の説明においては、上述した第1実施形態と同一の符号が付された構成または同様の構成については、第1実施形態と同様の構成であるとしてその説明を省略する場合があるものとする。
【0053】
本第2実施形態の固定具2は、上述した第1実施形態の固定具1に対し土台連結部より詳しくは土台連結部材を変更した構成を示している。
【0054】
すなわち、固定具2は、正面視がコの字状に形成されており、例えば金属製の板状体を屈曲させて形成されている。固定具2は、金属製の他、プラスチック製、樹脂製、合金製等各種の材料を用いることができる。
【0055】
固定具2は、図12に示すように、第1の延出部10´、第2の延出部20´、中間部30´、および開口部40´を有している。第1の延出部10´および第2の延出部20´は、所定の方向より詳しくは下方向に相互に対向するようにかつ一定の間隔を置いて並行して延びるように形成されている。
【0056】
中間部30´は、水平方向に延びており、第1の延出部10´と第2の延出部20´との間に介在より詳しくは第1の延出部10´および第2の延出部20´の一方の端部11a´,12a´間に介在して第1の延出部10´および第2の延出部20´と連続しつつ連結しコの字状の第1の延出部10および第2の延出部20の中間をなしている。この中間部30´の左右方向の長さ寸法は、基礎200の左右方向の長さ寸法と略同等に設定されている。開口部40´は、第1の延出部10´と第2の延出部20´との間に開口より詳しくは第1の延出部10´および第2の延出部20´の他方の端部11b´,12b´間に開口するように形成されている。
【0057】
すなわち、固定具2を、開口部30´を下向きにして第1の延出部10、第2の延出部20、および中間部30により形成されるコの字状の内部空間40a´に基礎200を内包させるように外側から被せて、第1の延出部10´および第2の延出部20´を基礎200の外側面201,202側に挟み込むことによって基礎200に固定することができる。
【0058】
第1の延出部10´は、側方に貫通する第1の延出部貫通孔11´を有するとともに、第2の延出部20´は、側方に貫通する第2の延出部貫通孔21´を有している。第1の延出部10´および第2の延出部20´は、延出部貫通孔11´および延出部貫通孔21´を相互に対応する位置より詳しくは側方および上下方向において同一の位置に設けている。第1の延出部貫通孔11´および第2の延出部貫通孔21´は、第1の延出部10´および第2の延出部20´の前後方向における中央部に設けられている。
【0059】
ここで、固定具2は、固定具1と同様に第1の延出部貫通孔11´および第2の延出部貫通孔21´に挿通可能な締め付け部材50を有している。
【0060】
すなわち、固定具2は、第1の延出部10´および第2の延出部20´を基礎200の外側面201,202側に挟み込んだ状態で、第1の延出部貫通孔11´および第2の延出部貫通孔21´に締め付け部材50を挿通しつつ締め付け部材50により第1の延出部10´および第2の延出部20´を内側に締め付ける。これにより、固定具2は、第1の延出部10´および第2の延出部20´を基礎200の外側面201,202側に挟み込んで固定することができる。
【0061】
なお、締め付け部材50は、上述した第1実施形態の図3と同様の構成とし、短尺な六角柱状の頭部50aと、頭部50aの中央部から延びる棒状の棒状体51と、ナット52と、ワッシャー54より詳しくは平ワッシャー54を有している。すなわち、頭部50aの外径は、第1の延出部貫通孔11´および第2の延出部貫通孔21´の内径よりも大きい径に設定されており、頭部50aは一方の延出部貫通孔より詳しくは第2の延出部貫通孔21´に挿入されることなく、頭部50aの裏面側が第2の延出部20´の外側面202´側に当接可能となっている。また、棒状体51の外径は、第1の延出部貫通孔11´および第2の延出部貫通孔21´の内径よりも小さい径に設定されており、棒状体51は第1の延出部貫通孔11´および第2の延出部貫通孔21´に挿通可能となっている。棒状体51はボルト状としており、棒状体51の先端側の外面側には、螺子溝が設けられ、該先端側は雄螺子部51aとしている。更に、ナット52の穴部52aの内面には、雄螺子部51aと螺合する雌螺子部52bが設けられている。
【0062】
ここで、固定具2の中間部30´の外面側より詳しくは上面30a´側には、その中央部に上下方向に延びる長尺な連結部材80が立設されている(固定具2の中間部30´には、中間部貫通孔31は設けられていない)。
【0063】
連結部材80は、上下方向に延びる棒状の延出部材81を有し、延出部材81は、中間部30´に対し上方向に垂直に延びている。延出部材81の上下方向の長さ寸法は、土台300の上下方向の長さ寸法と略同等の寸法に設定されている。延出部材81は、基礎200に土台300を連結する土台連結部82を有している。
【0064】
すなわち、土台300には、上下方向に貫通する土台貫通孔301aが設けられ、延出部材81を土台貫通孔301aに挿通しつつ土台連結部82により基礎200に土台300を連結することができる。土台貫通孔301aの上部側の孔径は、中間部および下部側の孔径よりも大きく設定されており、土台貫通孔301aは、T字状となっている。土台貫通孔301aの上部側は、座繰り孔301a´となっている。
【0065】
つまり、延出部材81は、先端側の外面側に螺子溝を設けた雄螺子部83を有するボルト状とし、土台連結部82は、雄螺子部83とナット85を有し、ナット85は、穴部86の内周面側に螺子溝を設けて形成される雌螺子部84を有し、雌螺子部84と雄螺子部83とは螺合可能となっている。
ボルト状の延出部材81の外径は、土台貫通孔301aの孔径よりも小さい寸法に設定されており、ナット85の外径は、土台貫通孔301aの中間部および下部側の孔径よりも大きく、上部側の座繰り孔301a´の孔径よりも小さく設定されている。なお、ボルト状の延出部材81の上下方向の長さは、土台貫通孔301aの上下方向の長さと略同等としている。
【0066】
この固定具2による基礎200への土台300の固定方法を図13乃至図16に基づいて説明すると次のようになる。
【0067】
すなわち、上述した第1実施形態の図6と同様に基礎200の所定の位置に穴203より詳しくは基礎貫通穴203を設ける。
【0068】
次いで、図13に示すように、固定具2の開口部40´を下向きにして第1の延出部10´、第2の延出部20´、および中間部30´により形成されるコの字状の内部空間40a´に基礎200を内包させるように外側から被せる。このとき、第1の延出部貫通孔11´、第2の延出部貫通孔21´、および基礎貫通穴203が、相互に対応する位置より詳しくは側方および上下方向において同一の位置となるように固定具1を基礎200に被せる。なお、第1の延出部10´および第2の延出部20´の上下方向の長さ寸法は、基礎200の上端位置から少なくとも基礎貫通穴203の下端位置まで覆うことができる長さ寸法としている。
【0069】
次いで、第1の延出部貫通孔11´および第2の延出部貫通孔21´と基礎貫通穴203に締め付け部材50を挿通し、締め付け部材50の頭部50aの裏面側を一方側の延出部20の外側面202側に当接させつつ、締め付け部材50の棒状体51の先端側の雄螺子部51aにワッシャー54を介してナット52の雌螺子部52bを螺合させる。これにより、第1の延出部10および第2の延出部20を内側に締め付ける(締め付け部材50の挿通方法、締め付け方法は、第1実施形態の図8および図9と同様であり説明を簡略する)。
【0070】
次に、図14に示すように、土台300に上下方向に貫通する土台貫通孔301aを設ける。土台貫通孔301aは、連結部材80の水平方向の位置と対応した位置に設けられる。
【0071】
次いで、図15に示すように、土台貫通孔301aに延出部材81が挿通されるように固定具2の中間部30´を介して土台300を基礎200の上面204側に置く。
【0072】
続いて、図16に示すように、土台連結部82により基礎200に土台300を連結する。
【0073】
すなわち、延出部材81を土台貫通孔301aに貫通させるとともに、延出部材81の先端側の雄螺子部83と雌螺子部84を螺合させ、更に雌螺子部84の下端部より詳しくはより詳しくはナット85の下面に設けられるワッシャー87の下端部を土台300の座繰り孔301a´の底面301a´´に当接させ、雌螺子部84を下方向に締め込むことにより土台300を下方側に締め込み基礎200に土台300を締結し連結する。
【0074】
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態について図17乃至図23を用いて詳細に説明する。図17は、本発明の第3実施形態に係る固定具3により基礎200に土台300および柱400を固定した状態を示す図、図18は、同固定具3の構成を示す図、図19は、同固定具3の留め具の構成を示す正面図、図20乃至図23は、同固定具3により基礎200に土台300および柱400を固定する固定方法を説明するための図である。本第3実施形態の固定具3を用いることにより土台300および柱400の固定方法、固定構造を実施することができる。
【0075】
なお、以下の説明においては、上述した第1実施形態および第2実施形態と同一の符号が付された構成または同様の構成については、第1実施形態および第2実施形態と同様の構成であるとしてその説明を省略する場合があるものとする。
【0076】
本第3実施形態の固定具3は、上述した第1実施形態の固定具1に対し柱連結部を追加した構成を示している。
【0077】
すなわち、固定具3は、正面視がコの字状に形成されており、例えば金属製の板状体を屈曲させて形成されている。固定具3は、金属製の他、プラスチック製、樹脂製、合金製等各種の材料を用いることができる。
【0078】
固定具3は、第1の延出部10、第2の延出部20、中間部30、および開口部40、締め付け部材50、土台連結部材60を有している。第1の延出部10は、側方に貫通する第1の延出部貫通孔11を有するとともに、第2の延出部20は、側方に貫通する第2の延出部貫通孔21を有している。中間部30は、上下方向に貫通する中間部貫通孔31を有している(各部10,11,20,21,30,40,50,60の構成および上述した第1実施形態および第2実施形態と同一の符号が付された構成または同様の構成については、上述した第1実施形態および第2実施形態と同様であり、以下では詳細説明を簡略することがあるものとする)。
【0079】
本第3実施形態の固定具3の中間部30の外面側より詳しくは上面30a側の端部側には、中央部に配置される中間部貫通孔31と位置を異ならせて上下方向に延びる長尺な連結部材90が立設されている。
【0080】
連結部材90は、上下方向に延びる棒状の延出部材91を有し、延出部材91は、中間部30に対し上方向に垂直に延びている。
連結部材90は、柱連結部92を有し、柱連結部92は、延出部材91の先端側に設けられ土台300の上面301側に立設される柱400を固定して基礎200に柱400を連結する機能を有している。
【0081】
柱連結部92は、上下方向に板状に延びる延出部92aを有するとともに、延出部92aは、側方に貫通する複数の柱連結部貫通孔93を有している。柱連結部貫通孔93は、後述する留め具94の打ち込み方向に沿って内径が漸次減少するように形成されており、留め具94の頭部94aの形状と対応するすり鉢状の形状となっている。
すなわち、連結部材90は、柱連結部貫通孔93を介して柱400に打ち込み可能な留め具94を有し、留め具94を柱連結部貫通孔93を介して柱400に打ち込むことにより柱連結部92を柱400に固定することができる。延出部92aの柱400に向く面92a´は、柱連結部92を柱400に固定する固定面92a´として機能する。
【0082】
なお、留め具94は、表面側が略平坦面で略逆三角錐状の頭部94aと、頭部94aの裏面側の中央部94a´側から水平方向に延びる棒状部94bと、を有し、棒状部94bに螺子溝94cが設けられたビスとしている。留め具94を柱400に打ち込んだ状態では、頭部94aの裏面側が柱連結部貫通孔93の内周面に当接した状態となる。なお、留め具94は、少なくとも棒状部94bを有し柱連結部貫通孔93を介して柱400に打ち込んで連結するものであればよく、他の形態を採用することとしてもよい。
【0083】
柱連結部92は、固定面92a´と反対側の面92a´´に平面から見てU字状に湾曲した環状の挿通部95を有しており、U字状の挿通部95の両端部が延出部92aの固定面92a´と反対側の面92a´´に接合し連結している。これにより、挿通部95は、内側に上下に貫通する挿通孔95aを有し、該挿通孔95aを介して延出部材91を挿通可能としている。すなわち、柱連結部92は、挿通部95の挿通孔95aに延出部材91を挿通することにより、延出部材91の延出方向に沿って移動可能とし位置を変更可能としている。
【0084】
ここで、延出部材91は、先端側の外面側に螺子溝を設けた雄螺子部96を有するボルト状とし、柱連結部92は、更に雄螺子部96とナット98を有し、ナット98は、穴部99の内周面側に螺子溝を設けて形成される雌螺子部97を有し、雌螺子部97と雄螺子部96とは螺合可能となっている。
ボルト状の延出部材91の外径は、挿通孔95aの孔径よりも小さい寸法に設定されており、ナット98の外径は、挿通孔95aの孔径よりも大きく設定されている。
【0085】
すなわち、柱連結部92は、延出部材91の先端側を挿通部95から突出させつつ留め具94を柱連結部貫通孔93を介して柱400に打ち込むことにより柱連結部92を柱400に固定した状態とする。つまり、柱連結部92は、延出部材91の雄螺子部96と雌螺子部97を螺合させ、かつ、挿通部95の上端側を雌螺子部97の下端側より詳しくはナット98の下面に設けられるワッシャー98´に当接させ、更に雌螺子部97を下方向に締め込むことにより柱連結部92を介して基礎200に柱400を締結し連結することができる。
【0086】
この固定具3による基礎200への土台300および柱400の固定方法を図20乃至図23に基づいて説明すると次のようになる。
【0087】
すなわち、上述した第1実施形態の図5と同様に基礎200の上面204に土台300を置き、図6と同様に基礎200の所定の位置に穴203より詳しくは基礎貫通穴203を設ける。
【0088】
次いで、図20に示すように、固定具3の開口部40を下向きにして第1の延出部10、第2の延出部20、および中間部30により形成されるコの字状の内部空間40aに基礎200および土台300を内包させるように外側から被せる。このとき、第1の延出部貫通孔11、第2の延出部貫通孔21、および基礎貫通穴203が、相互に対応する位置より詳しくは側方および上下方向において同一の位置となるように固定具1を基礎200および土台300に被せる。
【0089】
次いで、第1の延出部貫通孔11および第2の延出部貫通孔21と基礎貫通穴203に締め付け部材50を挿通し、締め付け部材50の頭部50aの裏面側を一方側の延出部20の外側面202側に当接させつつ、締め付け部材50の棒状体51の先端側の雄螺子部51aにワッシャー54を介してナット52の雌螺子部52bを螺合させる。これにより、第1の延出部10および第2の延出部20を内側に締め付ける(締め付け部材50の挿通方法、締め付け方法は、第1実施形態の図8および図9と同様であり説明を簡略する)。
【0090】
続いて、土台連結部材60を中間部貫通孔31を介して土台300の上面301側に打ち込んで連結することにより中間部30を土台300の上面301側に固定する(土台連結部材60の連結方法は、第1実施形態の図10および図11と同様であり説明を簡略する)。
【0091】
次に、図21に示すように、柱連結部92の挿通部95の挿通孔95aに延出部材91を挿通し延出部材91の先端側を挿通部95から突出させた状態とする。
【0092】
次いで、図22に示すように、留め具94を柱連結部貫通孔93を介して柱400に打ち込むことにより柱連結部92を柱400に固定した状態とする。
【0093】
続いて、図23に示すように、延出部材91の突出した先端側からワッシャー98´とともに雌螺子部97を有するナット98を挿入し、下方向に締め込む。これにより、柱連結部92を介して基礎200に柱400を締結し連結することができる。
【0094】
[第4実施形態]
次に本発明の第4実施形態について図24乃至図30を用いて詳細に説明する。図24は、本発明の第4実施形態に係る固定具4により基礎200に土台300および柱400を固定した状態を示す図で、図25は、同固定具4の構成を示す図、図26乃至図30は、同固定具4により基礎200に土台300および柱400を固定する固定方法を説明するための図である。本第4実施形態の固定具4を用いることにより所定の土台300および柱400の固定方法、固定構造を実施することができる。
【0095】
なお、以下の説明においては、上述した第1実施形態乃至第3実施形態と同一の符号が付された構成または同様の構成については、第1実施形態乃至第3実施形態と同様の構成であるとしてその説明を省略する場合があるものとする。
【0096】
本第4実施形態の固定具4は、上述した第2実施形態の固定具2に対し上述した第3実施形態の柱連結部92を追加した構成を示している。
【0097】
すなわち、固定具4は、正面視がコの字状に形成されており、例えば金属製の板状体を屈曲させて形成されている。固定具4は、金属製の他、プラスチック製、樹脂製、合金製等各種の材料を用いることができる。
固定具4は、第1の延出部10´、第2の延出部20´、中間部30´、および開口部40´、締め付け部材50、連結部材100を有している。第1の延出部10´は、側方に貫通する第1の延出部貫通孔11´を有するとともに、第2の延出部20´は、側方に貫通する第2の延出部貫通孔21´を有している(第1の延出部10´、第1の延出部貫通孔11´、第2の延出部20´、第2の延出部貫通孔21´、中間部30´、および開口部40´、締め付け部材50の構成および上述した第1実施形態および第2実施形態と同一の符号が付された構成または同様の構成については、上述した第1実施形態乃至第3実施形態と同様であり、以下では詳細説明を省略することがあるものとする)。
【0098】
連結部材100は、固定具4の中間部30´の外面側より詳しくは上面30a´側の端部側に、上下方向に延びるように立設されている。
【0099】
連結部材100は、上下方向に延びる棒状の延出部材101を有し、延出部材101は、中間部30´に対し上方向に垂直に延びている。延出部材101は、基礎200に土台300を連結する土台連結部82と基礎200に柱400を連結する柱連結部92のいずれも備え、土台連結部82を延出部材101の下方側に備え、柱連結部92を延出部材101の上方側より詳しくは先端側に備えている(土台連結部82および柱連結部92の構成は、上述した第2実施形態の固定具2の土台連結部82および第3実施形態の柱連結部92と同様でありその詳細説明を簡略することがあるものとする)。
【0100】
すなわち、土台300には、上下方向に貫通する土台貫通孔301aが設けられ、延出部材101を土台貫通孔301aに挿通しつつ土台連結部110により基礎200に土台300を連結することができる。土台貫通孔301aの上部側の孔径は、中間部および下部側の孔径よりも大きく設定されており、土台貫通孔301aは、T字状となっている。土台貫通孔301aの上部側は、座繰り孔301a´となっている。
【0101】
この固定具4による基礎200への土台300および柱400の固定方法を図26乃至図30に基づいて説明すると次のようになる。
【0102】
すなわち、上述した第1実施形態の図6と同様に基礎200の所定の位置に穴203より詳しくは基礎貫通穴203を設ける。
【0103】
次いで、図26に示すように、固定具4の開口部40´を下向きにして第1の延出部10´、第2の延出部20´、および中間部30´により形成されるコの字状の内部空間40a´に基礎200を内包させるように外側から被せる。このとき、第1の延出部貫通孔11´、第2の延出部貫通孔21´、および基礎貫通穴203が、相互に対応する位置より詳しくは側方および上下方向において同一の位置となるように固定具4を基礎200に被せる。なお、第1の延出部10´および第2の延出部20´の上下方向の長さ寸法は、基礎200の上端位置から少なくとも基礎貫通穴203の下端位置まで覆うことができる長さ寸法としている。
【0104】
次いで、第1の延出部貫通孔11´および第2の延出部貫通孔21´と基礎貫通穴203に締め付け部材50を挿通し、締め付け部材50の頭部50aの裏面側を一方側の延出部20の外側面202側に当接させつつ、締め付け部材50の棒状体51の先端側の雄螺子部51aにワッシャー54を介してナット52の雌螺子部52bを螺合させる。これにより、第1の延出部10および第2の延出部20を内側に締め付ける(締め付け部材50の挿通方法、締め付け方法は、第1実施形態の図8および図9と同様であり説明を簡略する)。
【0105】
次に、土台300に上下方向に貫通する土台貫通孔301aを設ける。土台貫通孔301aは、連結部材100の水平方向の位置と対応した位置に設けられる。
【0106】
次いで、土台貫通孔301aに延出部材101が挿通されるように固定具4の中間部30´を介して土台300を基礎200の上面204側に置く。
【0107】
続いて、図27に示すように、土台連結部82により基礎200に土台300を連結する。
【0108】
すなわち、延出部材101を土台貫通孔310aに貫通させるとともに、延出部材101の下方側の雄螺子部83と雌螺子部84を螺合させ、更に雌螺子部84の下端部より詳しくはナット85の下面に設けられるワッシャー87の下端部を土台300の座繰り孔301a´の底面301a´´に当接させ、雌螺子部84を下方向に締め込むことにより土台300を下方側に締め込み基礎200に土台300を締結し連結する。
【0109】
次に、図28に示すように、柱連結部92の挿通部95の挿通孔95aに延出部材101を挿通し延出部101の先端側を挿通部95から突出させた状態とする。
【0110】
次いで、図29に示すように、留め具94を柱連結部貫通孔93を介して柱400に打ち込むことにより柱連結部92を柱400に固定した状態とする。
【0111】
続いて、図30に示すように、延出部材101の突出した先端側からワッシャー98´とともに雌螺子部97を有するナット98を挿入して延出部材101の雄螺子部96と雌螺子部97を螺合させ、かつ、挿通部95の上端側を雌螺子部97の下端側より詳しくはナット98の下面に設けられるワッシャー98´に当接させ、更に雌螺子部97を下方向に締め込む。これにより、柱連結部92を介して基礎200に柱400を締結し連結することができる。
【0112】
以上説明したように、本第4実施形態にあっては、固定具4の延出部材101は、土台連結部82および柱連結部92のいずれも備え、土台連結部82を延出部材101の下方側に備え、柱連結部92を延出部材101の上方側に備えることとしたので、一の連結部材100により基礎200に土台300と柱400のいずれも連結することができる。
【0113】
ここで、図31に示すように、固定具4の中間部30´に、更に中間部貫通孔31´を設けるとより好ましい。
すなわち、更に中間部貫通孔31´を設けることで、図32に示すように、土台300の固定を土台連結部82により行うこととしてもよく、図33に示すように、土台連結部材60を中間部貫通孔31´を介して土台300の上面301側に打ち込んで連結することとしてもよい。つまり、中間部貫通孔31´を更に設けることで、土台300の固定を土台連結部82および土台連結部材60のいずれで行うかを選択することができ、建築現場の状況に応じた土台300の固定方法を選択することができる。
【0114】
なお、本発明は、上述した第1実施形態乃至第4実施形態に限定されることなく特許請求の範囲内において種々の応用実施、変形実施が可能であることは勿論である。
【0115】
すなわち、上述した実施形態にあっては、固定具1,2,3,4を締め付け部材50を用いて基礎200に締め付けて固定することとしているが、他の固定方法により固定具1,2,3,4を基礎200に固定することとしてもよい。
【0116】
例えば、図34に示すように、留め具70を用いて基礎200に固定具1,2,3,4を固定することとしてもよい。
すなわち、固定具1,2,3,4は、第1の延出部貫通孔11,11´および第2の延出部貫通孔21,21´を介して基礎200の外側面201,202側に打ち込み可能な留め具70を有している。つまり、第1の延出部10,10´および第2の延出部20,20´を基礎200の外側面201,202側に挟み込んだ状態で、留め具70を第1の延出部貫通孔11,11´および第2の延出部貫通孔21,21´を介して基礎200の外側面201,202側に打ち込むことにより第1の延出部10,10´および第2の延出部20,20´を基礎200の外側面201,202側に挟み込んで固定する。これにより、留め具70を用いて基礎200に固定具1,2,3,4を固定することができる。
【0117】
なお、留め具70は、例えば、表面側が略平坦面で略逆三角錐状の頭部71´と、頭部71´の裏面側の中央部71a´から水平方向に延びる棒状部72´と、を有し、棒状部72´に螺子溝73´が設けられたビス70´とすることができる。留め具70をビス70´とする場合にあっては、第1の延出部貫通孔11,11´および第2の延出部貫通孔21,21´は、留め具70の打ち込み方向に沿って内径が漸次減少するように形成し、ビス70´の頭部71の形状と対応するすり鉢状の形状とすることができる。
【0118】
これにより、ビス70´を基礎200に打ち込んだ状態では、頭部71´の裏面側が第1の延出部貫通孔11,11´および第2の延出部貫通孔21,21´の内周面に当接した状態となる。
【0119】
なお、留め具70´は、少なくとも棒状部72´を有し第1の延出部貫通孔11,11´および第2の延出部貫通孔21,21´を介して基礎200に打ち込んで固定するものであればよく、他の形態を採用することとしてもよい。
【0120】
例えば、留め具70は、図35および図36に示すように、オールアンカー70´´とすることができる。オールアンカー70´´は、管状で内部が中空の本体71´´に軸体72´´を挿入した構成となっており、ナット73´´、ワッシャー74´´を有している。軸体72´´の外径は、先端側が相対的に大きく設定されており、本体71´´の先端側には軸方向に複数の切り込み75´´が設けられている。すなわち、基礎200に外側面201,202側に所定の穴203´を設けるとともに、この穴203´にオールアンカー70´´の本体71´´を挿入しつつワッシャー74´´を第1の延出部10,10´および第2の延出部20,20´に当接させつつナット73´´を締め込んだ状態とする。そして、軸体72´´をハンマー等で軸方向に打ち込む。これにより、本体71´´の先端が拡径するように変形して穴203´の内面側に食い込むとともに、第1の延出部10,10´および第2の延出部20,20´が内側に締め付けられて基礎200を挟み込み固定することができる。
【0121】
ここで、留め具70の基礎200に対する打ち込み深さは、基礎200の幅寸法Wの1/2よりも小さい寸法より詳しくは1/3以下の寸法とすることが好ましい。
【0122】
すなわち、留め具70の基礎200に対する打ち込み深さは、基礎200の幅寸法Wの1/2よりも小さい寸法より詳しくは1/3以下の寸法とすることとすれば、留め具70の先端が通常基礎200の内部の中央に設けられる鉄筋等に達することを抑制することができ、留め具70を介して雨水等が基礎200の内部に侵入したとしても基礎200が爆裂することを少なくすることができる。
【0123】
なお、留め具70は、ビス70´およびオールアンカー70´´の他、グリップアンカーボルト、ケミカルアンカーボルト等各種のアンカーボルトを採用することとしてもよい。
【0124】
また、上述した実施形態にあっては、第1の延出部10,10´、第2の延出部20,20´、中間部30,30´により形成される部分をコの字状とすることとしているが、コの字状に限定されることなく、例えば、基礎200や土台300の形状に対応させて例えば段差を有する形状としてもよい。すなわち、第1の延出部10,10´、第2の延出部20,20´は、少なくとも所定の方向に相互に対向するように延びるものであれば本発明の効果を奏することができる。
【0125】
更に、上述した実施形態にあっては、ワッシャー54,74´´,98は平ワッシャーとすることとしているが、バネワッシャーとすることとしたり、平ワッシャーとバネワッシャーを併用することとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明は、基礎の設置と連結部材の設置を別々に行うことができる固定具、固定構造、および固定方法を提供し、建築方法の飛躍的な効率化を実現し建築業界の発展に大きく貢献する。
【符号の説明】
【0127】
1,2,3,4:固定具
10,10´:第1の延出部
11,11´:第1の延出部貫通孔
11a,11a´:端部
20,20´:第2の延出部
21,21´:第2の延出部貫通孔
21a,21a´:端部
30,30´:中間部
30a,30a´:上面
31:中間部貫通孔
40,40´:開口部
40a,40a´:内部空間
50:締め付け部材
50a:頭部
51:棒状体
51a:雄螺子部
52:ナット
52a:穴部
52b:雌螺子部
54:ワッシャー
60:土台連結部材(留め具)
61:頭部
61a:中央部
62:棒状部
63:螺子溝
70:留め具
70a´:中央部
70´:ビス
71´:頭部
71a´:中央部
72´:棒状部
73´:螺子溝
70´´:オールアンカー
71´´:本体
72´´:軸体
73´´:ナット
74´´:ワッシャー
75´´:切り込み
80:連結部材
81:延出部材
82:土台連結部
83:雄螺子部
84:雌螺子部
85:ナット
86:穴部
90:連結部材
91:延出部材
92:柱連結部
92a:延出部
92a´:固定面
92a´:反対側の面
93:柱連結部貫通孔
94:留め具
94a:頭部
94a´:中央部
94b:棒状部
94c:螺子溝
95:挿通部
95a:挿通孔
96:雄螺子部
97:雌螺子部
98:ナット
98´:ワッシャー
99:穴部
100:連結部材
101:延出部材
200:基礎
201,202:外側面
203:穴(基礎貫通穴)
203´:穴
203a:内面
204:上面
300:土台
301:上面
301a:土台貫通孔
301a´:座繰り孔
301a´´:底面
400:柱
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36