(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-05
(45)【発行日】2023-04-13
(54)【発明の名称】熱源システム、給湯システム、給湯方法、および給湯制御プログラム
(51)【国際特許分類】
F24H 1/18 20220101AFI20230406BHJP
F24H 1/10 20220101ALI20230406BHJP
F24H 15/238 20220101ALI20230406BHJP
F24H 15/31 20220101ALI20230406BHJP
【FI】
F24H1/18 B
F24H1/10 Z
F24H15/238
F24H15/31
(21)【出願番号】P 2019102748
(22)【出願日】2019-05-31
【審査請求日】2021-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000170130
【氏名又は名称】パーパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(74)【代理人】
【識別番号】100206933
【氏名又は名称】沖田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】辰己 敏也
(72)【発明者】
【氏名】久保田 祐人
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-063749(JP,A)
【文献】特開2018-048782(JP,A)
【文献】特開2017-133735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00 - 15/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の熱源システムに接続される熱源システムであって、
装置内を流れる給水の流量を規制する水規制弁を含み、前記給水を加熱する熱源装置と、
前記熱源装置に接続し、前記他の熱源システムおよび前記熱源装置に供給される給水の流量情報を取得し、前記給水の流量が0以上であり第1の設定値未満であるとき、前記水規制弁を閉じ、前記給水の流量が前記第1の設定値以上であるとき、前記水規制弁を開ける制御部と
を備え
、
前記他の熱源システムは、前記熱源システムの前記制御部から独立して動作することができ、
前記第1の設定値は、前記他の熱源システムに含まれる二台目の熱源装置が稼働を開始するときの流量値未満であることを特徴とする熱源システム。
【請求項2】
前記第1の設定値は、前記他の熱源システムの加熱動作の最低流量の2倍の流量値から最高流量値の範囲内の値であることを特徴とする請求項1に記載の熱源システム。
【請求項3】
前記他の熱源システムは、製造メーカ、通信方式、制御プログラムの世代、およびシステムコセプトの少なくとも一つが前記熱源システムと異なることを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の熱源システム。
【請求項4】
前記第1の設定値は、前記熱源装置の加熱動作の最低流量の2倍の流量値から最高流量値の範囲内の値であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の熱源システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記給水の流量が前記第1の設定値よりも小さい第2の設定値以下であるとき、前記水規制弁を閉じることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の熱源システム。
【請求項6】
前記制御部に接続され、前記他の熱源システムおよび前記熱源装置に供給される給水の流量を検出する流量検出手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の熱源システム。
【請求項7】
前記熱源装置に接続される給水経路と、
前記給水経路に接続され、前記給水経路に前記給水を供給する貯水手段と、
前記貯水手段に接続され、前記貯水手段に貯められる水を加熱する加熱手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の熱源システム。
【請求項8】
給水経路と、
前記給水経路に接続され、前記給水経路を通って供給される給水を加熱する熱源システムと、
前記給水経路に接続されるとともに、前記熱源システムに並列に接続され、装置内を流れる給水の流量を規制する水規制弁を含み、前記給水を加熱する熱源装置と、
前記給水経路に設置され、前記熱源システムおよび前記熱源装置に供給される給水の第1の流量を検出する流量検出手段と、
前記熱源装置および前記流量検出手段に接続し、前記流量検出手段から前記第1の流量の流量情報を取得し、前記第1の流量が0以上であり設定値未満であるとき、前記水規制弁を閉じ、前記第1の流量が前記設定値以上であるとき、前記水規制弁を開ける制御部と
を備え
、
前記熱源システムは、前記制御部から独立して動作することができ、
前記設定値は、前記熱源システムに含まれる二台目の熱源装置が稼働を開始するときの流量値未満であることを特徴とする給湯システム。
【請求項9】
前記熱源システムは
、前記熱源システムに供給される給水の第2の流量に応じて、前記熱源システムの加熱動作を調整することを特徴とする請求項8に記載の給湯システム。
【請求項10】
複数の熱源装置に給水可能な貯湯ユニットであって、
貯湯ユニットから供給される給水の流量を検出する流量検出手段と、
前記流量検出手段に接続し、前記貯湯ユニットから供給される前記給水の流量情報を取得し、前記給水の流量が0以上であり第1の設定値未満であるとき、第1の指示信号を出力し、前記給水の流量が前記第1の設定値以上であるとき、第2の指示信号を出力する制御部と、
を含
み、
前記複数の熱源装置は、前記制御部に接続される第1の熱源装置と、前記制御部から独立して動作することができる複数の第2の熱源装置とを含み、
前記第1の指示信号は、前記第1の熱源装置内を流れる給水の流量を規制する水規制弁を閉じるための指示信号であり、前記第2の指示信号は、前記水規制弁を開けるための指示信号であり、
前記第1の設定値は、前記複数の第2の熱源装置の二台目の熱源装置が稼働を開始するときの流量値未満であることを特徴とする貯湯ユニット。
【請求項11】
前記制御部は、前記流量検出手段から取得した前記給水の流量情報に基づいて、前記貯湯ユニットに並列に接続されるバイパス給水管に設置されるバイパス弁を開閉することを特徴とする請求項10に記載の貯湯ユニット。
【請求項12】
熱源システムおよび熱源装置を含む給湯システムから湯を供給する給湯方法であって、
前記熱源システムおよび前記熱源装置に供給される給水の流量情報を取得する処理と、
前記給水の流量が0以上であり設定値未満であるとき、前記熱源装置の水規制弁を閉じ、前記熱源システムから湯を供給する処理と、
前記給水の流量が前記設定値以上であるとき、前記水規制弁を開けて、前記熱源システムおよび前記熱源装置から湯を供給する処理と
を備え
、
前記熱源システムは、前記熱源装置の制御部から独立して動作することができ、
前記設定値は、前記熱源システムに含まれる二台目の熱源装置が稼働を開始するときの流量値未満であることを特徴とする給湯方法。
【請求項13】
熱源システムおよび熱源装置に供給される給水の流量情報を取得する機能と、
前記給水の流量が0以上であり設定値未満であるとき、前記熱源装置に閉弁指示信号を出力する機能と、
前記給水の流量が前記設定値以上であるとき、前記熱源装置に開弁指示信号を出力する機能と
をコンピュータに実現させるための給湯制御プログラム
であって、
前記熱源システムは、前記コンピュータから独立して動作することができ、
前記設定値は、前記熱源システムに含まれる二台目の熱源装置が稼働を開始するときの流量値未満であることを特徴とする給湯制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の熱源を含み、給水を加熱して湯を供給する給湯技術に関する。
【背景技術】
【0002】
湯は、たとえば給湯システムによる加熱で作られ、供給される。給湯システムに含まれる給湯器の数は、たとえば湯の最大需要に基づき設定される。つまり、給湯システムは複数の給湯器を含むことがある。タンク式給湯器とタンクレス給湯器が混在した給湯システムにおいて、省エネルギーを実現するように給湯に使用する給湯器を選択することが知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既設の給湯システムにおいて、故障や機器更新などの諸事情により、複数の給湯器の一つまたはいくつかを取り外し、新たな給湯器を設置することがある。また、給湯能力を高めるため、既設の給湯システムに新たな給湯器を設置することがある。既設の給湯システムと互換性を有する給湯器の設置を前提とすると、給湯器の選択の余地が狭められる。また、既設の給湯システムと互換性を有する給湯器を新たに設置すると、たとえば給湯システムの制御システムが維持されることになる。そのため、ハイブリッド給湯システムなどの省エネルギー性能に優れる他の給湯システムの導入が遅れることになる。
【0005】
既設の給湯システムに単純に新たな給湯システムを接続すると、両給湯システムがいずれも稼働状態となり、給湯の待機状態になる。給湯が開始されると、給水は両給湯システムに供給されることになる。このため、一つの給湯システムが稼働状態であれば、給水の加熱を開始する給湯量(すなわち、一つの給湯システムが加熱動作に必要な最低流量)であるにも関わらず、両給湯システムがいずれも給水の加熱を開始しない、という不都合が生じる。たとえば、一つの給湯システムが加熱動作に必要な最低流量が3リットル毎分である場合、単純に接続された二つの給湯システムは、給湯需要が最低流量の2倍の6リットル毎分になるまで加熱動作を開始せず、そのため、湯の需要が多くなるまで、湯が供給されないことになる。
【0006】
特許文献1に斯かる課題の開示や示唆はなく、特許文献1に開示された構成では斯かる課題を解決することができない。
【0007】
そこで、本開示の目的は、既設の給湯システムまたは給湯器などの他の給湯機器への接続に適する熱源システムおよび熱源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本開示の第1の側面によれば、熱源システムは、他の熱源システムに接続される。熱源システムは、熱源装置と制御部とを備える。熱源装置は、装置内を流れる給水の流量を規制する水規制弁を含み、前記給水を加熱する。制御部は、前記熱源装置に接続し、前記他の熱源システムおよび前記熱源装置に供給される給水の流量情報を取得し、前記給水の流量が0以上であり第1の設定値未満であるとき、前記水規制弁を閉じ、前記給水の流量が前記第1の設定値以上であるとき、前記水規制弁を開ける。前記他の熱源システムは、前記熱源システムの前記制御部から独立して動作することができ、前記第1の設定値は、前記他の熱源システムに含まれる二台目の熱源装置が稼働を開始するときの流量値未満である。
【0009】
上記熱源システムにおいて、前記第1の設定値は、前記他の熱源システムの加熱動作の最低流量の2倍の流量値から最高流量値の範囲内の値であってもよい。
【0010】
上記熱源システムにおいて、前記他の熱源システムは、製造メーカ、通信方式、制御プログラムの世代、およびシステムコセプトの少なくとも一つが前記熱源システムと異なってもよい。
【0011】
上記熱源システムにおいて、前記第1の設定値は、前記熱源装置の加熱動作の最低流量の2倍の流量値から最高流量値の範囲内の値であってもよい。
【0012】
上記熱源システムにおいて、前記制御部は、前記給水の流量が前記第1の設定値よりも小さい第2の設定値以下であるとき、前記水規制弁を閉じてもよい。
【0013】
上記熱源システムは、流量検出手段をさらに備えてもよい。流量検出手段は、前記制御部に接続され、前記他の熱源システムおよび前記熱源装置に供給される給水の流量を検出してもよい。
【0014】
上記熱源システムは、給水経路と、貯水手段と、加熱手段とをさらに備えていてもよい。給水経路は、前記熱源装置に接続されてもよい。貯水手段は、前記給水経路に接続され、前記給水経路に前記給水を供給してもよい。加熱手段は、前記貯水手段に接続され、前記貯水手段に貯められる水を加熱してもよい。
【0015】
上記目的を達成するため、本開示の第2の側面によれば、給湯システムは、給水経路と、熱源システムと、熱源装置と、流量検出手段と、制御部とを備える。熱源システムは、前記給水経路に接続され、前記給水経路を通って供給される給水を加熱する。熱源装置は、前記給水経路に接続されるとともに、前記熱源システムに並列に接続され、装置内を流れる給水の流量を規制する水規制弁を含み、前記給水を加熱する。流量検出手段は、前記給水経路に設置され、前記熱源システムおよび前記熱源装置に供給される給水の第1の流量を検出する。制御部は、前記熱源装置および前記流量検出手段に接続し、前記流量検出手段から前記第1の流量の流量情報を取得し、前記第1の流量が0以上であり設定値未満であるとき、前記水規制弁を閉じ、前記第1の流量が前記設定値以上であるとき、前記水規制弁を開ける。前記熱源システムは、前記制御部から独立して動作することができ、前記設定値は、前記熱源システムに含まれる二台目の熱源装置が稼働を開始するときの流量値未満である。
【0016】
上記給湯システムにおいて、前記熱源システムは、前記熱源システムに供給される給水の第2の流量に応じて、前記熱源システムの加熱動作を調整してもよい。
【0017】
上記目的を達成するため、本開示の第3の側面によれば、貯湯ユニットは、複数の熱源装置に給水可能である。貯湯ユニットは、流量検出手段と、制御部とを備える。流量検出手段は、貯湯ユニットから供給される給水の流量を検出する。制御部は、前記流量検出手段に接続し、前記貯湯ユニットから供給される前記給水の流量情報を取得し、前記給水の流量が0以上であり第1の設定値未満であるとき、第1の指示信号を出力し、前記給水の流量が前記第1の設定値以上であるとき、第2の指示信号を出力する。前記複数の熱源装置は、前記制御部に接続される第1の熱源装置と、前記制御部から独立して動作することができる複数の第2の熱源装置とを含み、前記第1の指示信号は、前記第1の熱源装置内を流れる給水の流量を規制する水規制弁を閉じるための指示信号であり、前記第2の指示信号は、前記水規制弁を開けるための指示信号であり、前記第1の設定値は、前記複数の第2の熱源装置の二台目の熱源装置が稼働を開始するときの流量値未満である。
【0018】
上記貯湯ユニットにおいて、前記制御部は、前記流量検出手段から取得した前記給水の流量情報に基づいて、前記貯湯ユニットに並列に接続されるバイパス給水管に設置されるバイパス弁を開閉してもよい。
【0019】
上記目的を達成するため、本開示の第4の側面によれば、給湯方法は、熱源システムおよび熱源装置を含む給湯システムから湯を供給する。給湯方法は、前記熱源システムおよび前記熱源装置に供給される給水の流量情報を取得する処理と、前記給水の流量が0以上であり設定値未満であるとき、前記熱源装置の水規制弁を閉じ、前記熱源システムから湯を供給する処理と、前記給水の流量が前記設定値以上であるとき、前記水規制弁を開けて、前記熱源システムおよび前記熱源装置から湯を供給する処理とを備える。前記熱源システムは、前記熱源装置の制御部から独立して動作することができ、前記設定値は、前記熱源システムに含まれる二台目の熱源装置が稼働を開始するときの流量値未満である。
【0020】
上記目的を達成するため、本開示の第5の側面によれば、給湯制御プログラムは、熱源システムおよび熱源装置に供給される給水の流量情報を取得する機能と、前記給水の流量が0以上であり設定値未満であるとき、前記熱源装置に閉弁指示信号を出力する機能と、前記給水の流量が前記設定値以上であるとき、前記熱源装置に開弁指示信号を出力する機能とを、コンピュータに実現させる。前記熱源システムは、前記コンピュータから独立して動作することができ、前記設定値は、前記熱源システムに含まれる二台目の熱源装置が稼働を開始するときの流量値未満である。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、たとえば次のような効果が得られる。
【0022】
(1) 接続先の熱源システムに関わらず、熱源装置を熱源システムに接続することができる。給水の流量が少ないとき、給水が熱源装置内を流れない、または熱源装置内の水の流れが抑制される。そのため、熱源装置および熱源システムを含む給湯システムは、たとえば熱源システムが単独で供給可能な最少量の湯またはこの最少量に相当する湯を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1の実施の形態に係る給湯システムの一例を示す図である。
【
図2】給水の流量と第1の熱源システムおよび第2の熱源システムの稼働状況の関係の一例を示す図である。
【
図3】給湯時の給水および湯の流れの一例を示す図である。
【
図4】給湯制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】第1の熱源システムの制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】第2の熱源システムの制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】第2の実施の形態に係る給湯システムの一例を示す図である。
【
図9】第1の熱源システムの制御系統の一例を示す図である。
【
図10】第1の熱源システムの制御系統の一例を示す図である。
【
図12】バイパス給水の制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】第3の実施の形態に係る給湯システムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して実施の形態を説明する。
第1の実施の形態
【0025】
図1は、第1の実施の形態に係る給湯システムの一例を示している。
【0026】
給湯システム2は、給水経路12と、第1の熱源システム14と、第2の熱源システム16と、給湯経路18とを含んでいる。給湯システム2は、給水経路12を通って供給される給水Wを加熱し、加熱された給水W、つまり湯HWを給湯経路18から供給する。給水Wは冷水であってもよく、湯HWの温度以下の温度を有する温水であってもよい。
【0027】
給水経路12は、たとえば水道管に接続され、水道管から供給される給水Wを第1の熱源システム14および第2の熱源システム16に供給する。
【0028】
第1の熱源システム14は、給水経路12および給湯経路18に接続されている。第1の熱源システム14は、熱源装置22と、流量センサ(FS)24と、制御部26とを含み、給水経路12から供給される給水Wを加熱して湯HWを給湯経路18に供給する。
【0029】
熱源装置22は、第1の熱源装置の一例であって、たとえば給湯器である。熱源装置22は、加熱部32、水規制弁34、個別給水管36および個別給湯管37を含み、熱源装置22内を流れる給水Wを加熱部32で加熱する。個別給水管36は、給水経路12に接続され、個別給湯管37は給湯経路18に接続される。そのため、熱源装置22は、給水経路12および給湯経路18に接続されるとともに、第2の熱源システム16に並列に接続される。加熱部32は、たとえばバーナーおよび熱交換器を含み、たとえばガスの燃焼により生成される燃焼熱で給水Wを加熱する。水規制弁34は、たとえば個別給湯管37上に設置され、熱源装置22内を流れる給水Wの流量を変更する。水規制弁34は、個別給水管36上に設置されていてもよい。水規制弁34が閉じると、給水Wの流量がゼロまたはほぼゼロにされる。つまり、水規制弁34は、給水Wの流量を規制する。水規制弁34が開くと、給水Wが熱源装置22内を流れる。
【0030】
流量センサ24は、給水経路12に設置される。流量センサ24は、流量検出手段の一例であり、第1の熱源システム14の熱源装置22および第2の熱源システム16に供給される給水Wの流量(以下、「第1の流量」という)を検出し、検出された第1の流量の流量情報を制御部26に出力する。流量センサ24は、給湯システム2における水の流れ方向において、熱源装置22および第2の熱源システム16の上流に設置される。
【0031】
制御部26は、熱源装置22および流量センサ24に無線または有線で通信可能に接続される。制御部26は、コンピュータを含み、第1の流量の流量情報を流量センサ24から取得し、第1の流量を監視し、第1の流量に基づき水規制弁34の閉弁指示信号または開弁指示信号を熱源装置22に出力する。閉弁指示信号は、第1の指示信号であって、水規制弁34を閉じるための指示信号である。開弁指示信号は、第2の指示信号であって、水規制弁34を開けるための指示信号である。制御部26は、閉弁指示信号または開弁指示信号の出力により、熱源装置22を休止状態または稼働状態に切り替える。熱源装置22の稼働状態では、水規制弁34が開いている。そのため、熱源装置22は、たとえば熱源装置22内を流れる給水Wの流量に応じて給水Wを加熱する。熱源装置22の休止状態では、水規制弁34が閉じている。そのため、熱源装置22は、給水Wを加熱することがない。
【0032】
第2の熱源システム16は、給水経路12および給湯経路18に接続されている。第2の熱源システム16は、たとえば熱源装置のマルチシステムであって、熱源装置38-1、38-2を含み、給水経路12からの給水Wを加熱して湯HWを給湯経路18に供給する。第2の熱源システム16は、第1の熱源システム14から独立して動作することができ、たとえば第2の熱源システム16に供給される給水Wの流量(以下、「第2の流量」という)に応じて、第2の熱源システム16の加熱動作を調整する。加熱動作の調整は、たとえば加熱動作をしている熱源装置38-1、38-2の台数の変更、および各熱源装置38-1、38-2の加熱量の変更を含む。第2の熱源システム16は、各熱源装置38-1、38-2に供給されている給水Wの給水流量をたとえば各熱源装置38-1、38-2の流量センサで検出し、各熱源装置38-1、38-2の給水流量を合算して、第2の流量を得る。給水流量の合算は、たとえば専用の制御部で行われてもよく、親機に指定された熱源装置38-1または熱源装置38-2の簡易コントローラで行ってもよい。
【0033】
熱源装置38-1、38-2は、第2の熱源装置の一例であって、たとえば給湯器である。熱源装置38-1、38-2は、給水経路12および給湯経路18に接続されるとともに、熱源装置22に並列に接続される。熱源装置38-1、38-2は、稼働状態において給水Wを通過させることができ、熱源装置38-1、38-2内を流れる給水Wの流量に応じて給水Wを加熱する。熱源装置38-1、38-2は、休止状態において給水Wの通過を妨げる。熱源装置38-1、38-2は、それぞれ制御部40-1、40-2を含む。
【0034】
制御部40-1、40-2は、コンピュータを含み、たとえばマルチコントローラであって、制御部40-1および制御部40-2の間で互いに通信する。制御部40-1、40-2は、第2の流量に基づき、熱源装置38-1、38-2の稼働または休止、加熱動作の開始または停止、親機の指定など、第2の熱源システム16を制御する。制御部40-1は、熱源装置38-1のたとえば給水流量を制御部40-2に送信し、制御部40-2は、熱源装置38-2のたとえば給水流量を制御部40-1に送信する。そのため、たとえば各制御部40-1、40-2は、給水流量を合算することができる。
【0035】
図2は、給水Wの流量と第1の熱源システム14および第2の熱源システム16の稼働状況の関係の一例を示している。
図2のAは、第1の流量の時間変化の一例を示している。
図2のBは、水規制弁34の弁開閉の一例を示している。
図2のCは、第2の流量の時間変化の一例を示している。
図2のDは、第2の熱源システム16の熱源装置38-1、38-2の稼働台数の一例を示している。
図2のEは時刻の一例を示している。
図2に示されている関係は一例であり。本開示は、斯かる関係に限定されるものではない。
【0036】
図3は、給湯時の給水および湯HWの流れの一例を示している。
図3のAは、熱源装置が一台稼働している状態を示し、
図3のBは、熱源装置が二台稼働している状態を示し、
図3のCは、熱源装置が三台稼働している状態を示している。
【0037】
給湯が開始される前において、制御部26は、水規制弁34の閉指示信号を出力して、水規制弁34を閉じている。給湯が開始される前では、第2の熱源システム16の一台目の熱源装置(以下、「第1稼働の熱源装置」という)が稼働状態である。この第1稼働の熱源装置は、第2の熱源システム16の優先機であり、熱源装置38-1、38-2のいずれであってもよい。第1稼働の熱源装置は、給湯が開始される前において、加熱可能な状態で待機する。
【0038】
時刻t1で給湯が開始され、その後第1の流量がたとえば増加する。第1の流量が0以上であり第1の設定値SP1未満であると、制御部26は、閉弁指示信号を維持して、水規制弁34の閉状態を維持する。つまり、第1の熱源システム14の熱源装置22は休止状態を維持する。第1の流量が0以上であり第1の設定値SP1未満であるとき、給水Wは、
図3のAに示すように、第2の熱源システム16の第1稼働の熱源装置、たとえば熱源装置38-1を通る。第2の熱源システム16は、独自の制御に基づき、加熱動作を開始、維持または停止する。第2の熱源システム16の第1稼働の熱源装置は、第2の流量が3リットル毎分以上であると、加熱を開始する。
【0039】
第1の設定値SP1は、たとえば第2の熱源システム16の加熱動作の最低流量の2倍の流量値(以下、「最低流量の2倍の流量値」という)から最高流量値の範囲内の任意の値に設置される。第1の設定値SP1が最低流量の2倍の流量値以上であると、水規制弁34の開弁後の第2の流量を最低流量よりも多くすることができる。つまり、第2の流量の減少により第2の熱源システム16が加熱を停止することが抑制されて、加熱不足の湯HWの供給を抑制することができる。
【0040】
第1の設定値SP1が最高流量値以下であると、第2の熱源システム16が湯HWの供給限界に到達する前に、第1の熱源システム14が稼働し、加熱不足の湯HWの供給を抑制することができる。
【0041】
この第1の設定値SP1は、最低流量の2倍の流量値から第2の熱源システム16の二台目の熱源装置(以下、「第2稼働の熱源装置」という)が稼働を開始する流量値(以下、「二台目の稼働流量値」という)未満に設定されるのが好ましい。第1の設定値SP1が二台目の稼働流量値未満であると、第2の熱源システム16の二台目の熱源装置が稼働する前に、熱源装置22が稼働する。そのため、稼働している熱源装置の数が一台ずつ増加し、第1稼働の熱源装置に流れ込む給水Wの変動量、および新しく稼働した熱源装置22に流れ込む給水Wの割合を抑制することができる。つまり、湯HWの供給が不安定になることが抑制される。また、稼働している熱源装置の数が一台ずつ増加するので、各熱源装置に供給される給水Wの量が加熱動作に必要な流量未満に低下することが抑制される。そのたため、稼働中の全ての熱源装置が加熱を停止することが抑制される。
【0042】
熱源装置22の給湯能力は、熱源装置38-1、38-2の給湯能力と同じ、またはほぼ同じであってもよい。この場合、第1の設定値SP1は、熱源装置22の給湯能力に基づき設定されていてもよく、たとえば熱源装置22の加熱動作の最低流量の2倍の流量値から最高流量値の範囲内の値に設定されていてもよい。
【0043】
第1の設定値SP1は、たとえば8~12リットル毎分の範囲の値、たとえば10リットル毎分に設定される。15℃の水を毎分10リットル60℃に加熱するためには、18号の給湯能力が必要である。ここで、号数は、給湯能力を表す指標である。熱源装置が水温+25度のお湯を1分間にNリットル供給する能力を有する場合、この熱源装置の給湯能力はN号である。給湯温度の設定値は、たとえば60℃であり、熱源装置38-1、38-2の号数は、たとえば24号、30号または50号である。そのため、第1の設定値SP1が10リットル毎分であると、稼働している熱源装置がたとえば6号以上の給湯余力、即ち15℃の水をさらに毎分3.3リットル60℃に加熱する能力を有することになる。第2稼働の熱源装置が稼働する前に水規制弁34を開くことができる。
【0044】
時刻t2で第1の流量が第1の設定値SP1になると、制御部26は、閉弁指示信号に変えて、開弁指示信号を出力して、水規制弁34を開ける。そのため、第1の流量が第1の設定値SP1以上であるとき、水規制弁34が開状態になる。第1の熱源システム14の熱源装置22への通水が開始され、熱源装置22が稼働する。そのため、
図3のBに示すように、給水Wの一部は、第2の熱源システム16の第1稼働の熱源装置を通り、給水Wの残りの一部は、第1の熱源システム14の熱源装置22を通る。第1の熱源システム14および第2の熱源システム16は、それぞれ独自の制御に基づき、給水Wを加熱する。
【0045】
時刻t3で第2の流量が第1の供給流量値SR1になると、第2の熱源システム16は、独自の制御に基づき、第2稼働の熱源装置を稼働させる。そのため、給水Wは、
図3のCに示すように、第1の熱源システム14の熱源装置22、または第2の熱源システム16の熱源装置38-1、38-2のいずれかを通り、需要を満たす量の湯HWが供給される。
【0046】
湯HWの供給量が減少し、時刻t4で第2の流量が第2の供給流量値SR2になると、第2の熱源システム16は、独自の制御に基づき、稼働している熱源装置の一台、つまり時刻t4における第2稼働の熱源装置を休止する。
【0047】
湯HWの供給量がさらに減少し、時刻t5で第1の流量が第2の設定値SP2になると、制御部26は、開指示信号に変えて、閉指示信号を出力して、水規制弁34を閉じる。そのため、第1の流量が第2の設定値SP2以下であるとき、水規制弁34が閉状態になり、第1の熱源システム14の熱源装置22が休止する。時刻t5以降、給水Wは、第2の熱源システム16の稼働している熱源装置を通る。第2の熱源システム16は、第2の熱源システム16の独自の制御に基づき、加熱動作を開始、維持または停止する。
【0048】
第2の設定値SP2は、たとえば第1の設定値SP1よりも小さい値に設定される。第1の設定値SP1よりも少ない第1の流量のときに水規制弁34が閉じられるので、水規制弁34が閉じられた後に第1の流量が再び第1の設定値SP1になると、制御部26は、水規制弁34に開指示信号を出力することができる。また、第2の設定値SP2は、たとえば第1の設定値SP1から離れた値に設定される。第1の流量が第1の設定値SP1または第2の設定値SP2で振動したとき、この第1の設定値SP1と第2の設定値SP2の間の設定値差が大きいことで水規制弁34のチャタリングが抑制される。
【0049】
第2の設定値SP2は、たとえば第1の設定値SP1の半分の値に設定される。第2の設定値SP2は、たとえば4~6リットル毎分の範囲の値、たとえば5リットル毎分に設定される。
【0050】
時刻t5の後、第2の熱源システム16は、第2の熱源システム16の独自の制御に基づき、加熱動作を開始、維持または停止する。時刻t6の給湯終了時において、水規制弁34が閉じ、第2の熱源システム16の熱源装置の一台が稼働している。そのため、給湯の再開時に、第2の熱源システム16が独自の制御に基づき、加熱動作を再開することができる。
【0051】
図4は、給湯制御処理の一例を示すフローチャートである。この給湯制御処理は、本開示の給湯方法の一例である。この給湯制御処理は、第1の熱源システム14の制御部26および第2の熱源システム16の制御部40-1、40-2が給湯制御プログラムを実行することにより実現される。
図4に示されている給湯制御処理は一例であり、本開示の給湯方法は斯かる処理に限定されるものではない。
図4において、Sは処理段階を示す。
【0052】
水規制弁34が閉弁状態であるとき、第2の熱源システム16は、第1稼働の熱源装置を稼働する(S101)。第1稼働の熱源装置は、第2の熱源システム16の独自の制御で燃焼動作を開始する。給湯栓の開栓によりたとえば3リットル毎分の給湯需要が発生したとき、第1稼働の熱源装置は、燃焼動作を開始する。
【0053】
流量センサ24は、第1の流量を検出し(S102)、第1の流量の流量情報を制御部26に出力する。制御部26は、第1の流量の流量情報を取得し、第1の流量が第1の設定値SP1以上であるかを判断する(S103)。第1の流量が第1の設定値SP1未満であれば(S103のNO)、S102およびS103が繰り返される。第1の流量が第1の設定値SP1以上であれば(S103のYES)、制御部26が開弁指示信号を熱源装置22に出力して、水規制弁34が開かれる(S104)。この水規制弁34の開弁により、熱源装置22が稼働を開始する。
【0054】
第2の熱源システム16の制御部40-1、40-2は、第2稼働の熱源装置の稼働開始かを判断する(S105)。第2稼働の熱源装置の稼働を開始する場合(S105のYES)、制御部40-1、40-2は、第2稼働の熱源装置を稼働させる(S106)。制御部40-1、40-2は、第2稼働の熱源装置の休止開始かを判断し(S107)、第2稼働の熱源装置の休止を開始しない場合(S107のNO)、S107が繰り返される。第2稼働の熱源装置の休止を開始する場合(S107のYES)、制御部40-1、40-2は、第2稼働の熱源装置を休止させる(S108)。
【0055】
S105において、第2稼働の熱源装置の稼働を開始しない場合(S105のNO)、S106からS108がスキップされる。
【0056】
流量センサ24が第1の流量を検出し(S109)、第1の流量の流量情報を制御部26に出力する。制御部26は、第1の流量の流量情報を取得し、第1の流量が第2の設定値SP2以下であるかを判断する(S110)。第1の流量が第2の設定値SP2より大きいと(S110のNO)、S105からS109が繰り返される。第1の流量が第2の設定値SP2以下であれば(S110のYES)、制御部26が閉弁指示信号を熱源装置22に出力して、水規制弁34が閉じられる(S111)。この水規制弁34の閉弁により、熱源装置22への給水Wの通過が阻止またはほぼ阻止される。そのため、給湯休止後給湯が再開されるときまたは給湯量が少ないときに、給水Wが第1の熱源システム14側と第2の熱源システム16側に分散することが抑制される。第1の熱源システム14および第2の熱源システム16がいずれも加熱を行わないという事態の発生が抑制される。
【0057】
図5は、第1の熱源システムの制御処理の一例を示すフローチャートである。この制御処理は、本開示の給湯方法の一例である。この制御処理は、制御部26が給湯制御プログラムを実行することにより実現される。
図5に示されている制御処理は一例であり、本開示の給湯方法は、斯かる処理に限定されるものではない。
図5において、Sは処理段階を示す。
【0058】
制御部26は、閉弁指示信号を出力し(S121)、水規制弁34を閉じる。
【0059】
制御部26は、第1の流量の流量情報を取得し(S122)、第1の流量が第1の設定値SP1以上であるかを判断する(S123)。第1の流量が第1の設定値SP1未満であれば(S123のNO)、S122およびS123が繰り返される。第1の流量が第1の設定値SP1以上であれば(S123のYES)、制御部26が開弁指示信号を熱源装置22に出力する(S124)。
【0060】
制御部26は、第1の流量の流量情報を取得し(S125)、第1の流量が第2の設定値SP2以下であるかを判断する(S126)。第1の流量が第2の設定値SP2より大きいと(S126のNO)、S125およびS126が繰り返される。第1の流量が第2の設定値SP2以下であれば(S126のYES)、制御処理手順が閉弁指示信号の出力(S121)に戻る。
【0061】
図6は、第2の熱源システムの制御処理の一例を示すフローチャートである。この制御処理は、本開示の給湯方法の一例である。この制御処理は、制御部40-1、40-2が給湯制御プログラムを実行することにより実現される。
図6に示されている制御処理は一例であり、本開示の給湯方法は斯かる処理に限定されるものではない。
図6において、Sは処理段階を示す。
【0062】
第1稼働の熱源装置が稼働する(S141)。稼働している第1稼働の熱源装置は、給水可能な状態にある。そのため、給湯需要がたとえば3リットル毎分になると、第1稼働の熱源装置は燃焼動作を開始する。制御部40-1、40-2は、第2稼働の熱源装置の稼働開始かを判断する(S142)。第2稼働の熱源装置の稼働を開始しない場合(S142のNO)、S142が繰り返される。第2稼働の熱源装置の稼働を開始する場合(S142のYES)、制御部40-1、40-2は、第2稼働の熱源装置を稼働させる(S143)。
【0063】
制御部40-1、40-2は、第2稼働の熱源装置の休止開始かを判断する(S144)。第2稼働の熱源装置の休止を開始しない場合(S144のNO)、S144が繰り返される。第2稼働の熱源装置の休止を開始する場合(S144のYES)、制御部40-1、40-2は、第2稼働の熱源装置を休止させ(S145)、制御処理はS142に戻る。
【0064】
第1の実施の形態によれば、たとえば次のような作用や効果が得られる。
【0065】
(1) 第2の熱源システム16がどの様なシステムであるかに関わらず、第1の熱源システム14を第2の熱源システム16に接続することができる。給水の流量が少ないとき、第1の熱源システム14の熱源装置22内を給水Wが流れない、またはほぼ流れない。そのため、給湯システム2は、第2の熱源システム16が単独で供給可能な最少量の湯またはこの最少量に相当する湯を供給することができる。
【0066】
(2) 第2の熱源システム16の製造メーカ、通信方式、制御プログラムの世代、システムコンセプトなどが第1の熱源システム14のそれらと異なっていても、第1の熱源システム14を第2の熱源システム16に接続することができる。
【0067】
(3) 既設の熱源システムがどの様なシステムであるかに関わらず、第1の熱源システム14を導入することができ、既設の熱源システムの部分的な交換または既設の熱源システムの給湯能力の増強において、熱源システムまたは熱源装置の選択の範囲が広がる。
【0068】
(4) 将来的に、第2の熱源システム16の熱源装置38-1、38-2を、たとえば第1の熱源システム14に適合する熱源装置に交換することができる。そのため、第2の熱源システム16を、第1の熱源システム14および第2の熱源システム16の併設状態を経て、第1の熱源システム14とそれに適応する熱源装置あるいは熱源システムを含む給湯システムに置き換えることができる。
第2の実施の形態
【0069】
図7は、第2の実施の形態に係る給湯システムの一例を示している。
図7において、
図1と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0070】
給湯システム52は、給水経路12と、第1の熱源システム54と、第2の熱源システム16と、給湯経路18とを含んでいる。給湯システム52は、給水経路12を通って供給される給水Wを加熱し、加熱された給水W、つまり湯HWを給湯経路18から供給する。給水Wは冷水であってもよく、湯HWの温度以下の温度を有する温水であってもよい。給水経路12、第2の熱源システム16および給湯経路18は第1の実施の形態のこれらと同様であり、その説明を省略する。
【0071】
第1の熱源システム54は、給水経路12および給湯経路18に接続される。第1の熱源システム54は、熱源装置58、62と、貯湯ユニット60と、バイパス給水管61と、図示されていないリモコン装置を含む。熱源装置58および貯湯ユニット60は、給湯システム52における水の流れ方向において、第2の熱源システム16および熱源装置62の上流に設置される。熱源装置58により加熱された湯は、貯湯ユニット60に貯められる。貯湯ユニット60から供給された湯を含む給水Wは、熱源装置62で給湯温度まで加熱される。つまり、第1の熱源システム54は、たとえば種類の異なる複数の熱源装置58、62を有するハイブリッド給湯システムであって、熱源装置58による給水予熱機能を有している。貯湯ユニット60から供給された湯を含む給水Wは、給湯温度の湯であってもよく、給湯温度未満の湯または水であってもよい。
【0072】
熱源装置58は、第3の熱源装置の一例であって、貯湯ユニット60に接続される。熱源装置58は、たとえばヒートポンプユニットなどの熱源ユニットを含み、貯湯ユニット60から供給される水をたとえばヒートポンプで加熱して、加熱された水を貯湯ユニット60に戻す。貯湯ユニット60から供給される水は、冷水、温水または高温水のいずれでもよい。加熱された水は、温水または高温水のいずれでもよい。
【0073】
貯湯ユニット60は、貯湯タンク64と、循環路66と、出湯管68と、給水管70と、混合弁72と、流量センサ24と制御部74-1とを含み、熱源装置58で加熱された水を貯湯タンク64に貯め、この貯められた水を熱源装置62および第2の熱源システム16に供給する。貯湯タンク64に貯められた水は、冷水、温水または高温水のいずれでもよい。
【0074】
貯湯タンク64は、水を貯め、タンク内に貯められた水を給湯のために供給する。貯湯タンク64は、保温機能を有し、貯められた水の温度低下を抑制する。
【0075】
循環路66は、管路66-1、66-2、66-3を含む。管路66-1は、貯湯タンク64の下部および熱源装置58に接続される。管路66-2は、熱源装置58および管路66-3上の切替弁76を介して貯湯タンク64の上部に接続される。管路66-3はバイパス管であって、切替弁76および管路66-1に接続される。管路66-1には、ポンプ78が設置される。
【0076】
切替弁76は、管路66-2内の水の流れる先を切り替える。切替弁76の第1の切替状態においてポンプ78が稼働すると、貯湯タンク64の下部の水が管路66-1、熱源装置58、管路66-2、管路66-3を通って循環する。切替弁76の第2の切替状態においてポンプ78が稼働すると、水は、管路66-1、熱源装置58、管路66-2を通って貯湯タンク64の上部に流れ込む。そのため、貯湯タンク64の下部の水は、熱源装置58で80℃などの加熱設定温度まで加熱された後、貯湯タンク64の上部に戻される。
【0077】
出湯管68は、貯湯タンク64の上部に接続されるとともに、混合弁72を介して給水経路12に接続される。そのため、貯湯タンク64の上部の水は、出湯管68、混合弁72を通って給水経路12に供給される。給水管70は、貯湯タンク64の下部および混合弁72に接続され、貯湯タンク64の下部に水を補給するとともに、混合弁72を通って給水経路12に水を供給する。
【0078】
混合弁72は、たとえば給水経路12に供給される水の温度が設定温度になるように、出湯管68から流れる水に給水管70から流れる水を混合する。流量センサ24は、給水経路12に設置され、混合弁72から流れる水の流量、すなわち貯湯ユニット60から供給される給水Wの流量を測定する。
【0079】
制御部74-1は、第1の実施の形態で既述した制御部26の一例であり、制御部26の機能を含むとともに、温度センサTH1~TH9が検出する温度に基づき貯湯ユニット60を制御する機能を有する。
【0080】
バイパス給水管61は、貯湯ユニット60に並列に接続され、バイパス給水管61を流れる給水Wが給水経路12を通して第2の熱源システム16および熱源装置62に供給される。バイパス給水管61は、バイパス給水管61に設置されているバイパス弁90の開閉により開放または閉鎖され、バイパス給水管61内の水が流動または停滞する。バイパス弁90は、たとえば流量センサ24から出力される第1の流量の流量情報に基づいて、制御部74-1により開閉される。そのため、給水Wは、貯湯ユニット60またはバイパス給水管61の少なくとも一つを通って第2の熱源システム16および熱源装置62に供給される。
【0081】
図8は、熱源装置の一例を示している。
図8において、
図1と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0082】
熱源装置62は、第1の実施の形態で既述した熱源装置22の一例である。熱源装置62に関し、第1の実施の形態で既述した熱源装置22の説明を省略する。
【0083】
熱源装置62は、たとえばボイラを有する給湯器である。熱源装置62は、バーナー82、熱交換器84、混合比分配弁87、個別給水管36および個別給湯管37、水規制弁34、バイパス路88、流量センサ89、温度センサTH10~TH12および制御部74-2(
図7)を含む。
【0084】
バーナー82および熱交換器84は、既述の加熱部32の一例であって、ガス、油、灯油などの燃料を燃焼させて、得られた排ガスの熱で給水Wを加熱する。
【0085】
水規制弁34は、個別給湯管37上に設置され、バイパス路88は、個別給水管36上の混合比分配弁87および個別給湯管37上の水規制弁34に接続されている。
【0086】
水規制弁34が開くと、個別給水管36を流れる給水Wは混合比分配弁87で熱交換器84側とバイパス路88側に分かれて流れ、水規制弁34で合わせて流れ、個別給湯管37に供給される。このようにして、個別給湯管37を流れる湯HWの温度が調整される。
【0087】
流量センサ89および温度センサTH10~TH12は、バーナー82での燃焼の調整およびバイパス路を流れる給水Wの量の調整に用いられる。
【0088】
図9および
図10は、第1の熱源システムの制御系統の一例を示している。
【0089】
貯湯ユニット60の制御部74-1は、プロセッサ92-1、メモリ部94-1、システム通信部96-1および入出力部(I/O)98-1を含む。プロセッサ92-1は、メモリ部94-1に格納されたプログラムを実行して、第1の実施の形態で既述した制御部26の機能を実現し、さらに、貯湯タンク64内外の水の温度を監視する機能、熱源装置58を通る水を循環させる機能、混合弁72での補給水の混合割合を調整する機能などの貯湯ユニット60の制御機能を実現する。
【0090】
メモリ部94-1は、プログラム、第1の設定値SP1および第2の設定値SP2などの設定値、ならびに情報処理によって得られる情報などを格納する。メモリ部94-1は、ハードディスクおよび半導体メモリなどの記録媒体であって、たとえば不揮発性メモリである。メモリ部94-1は、ROM(Read-Only Memory)およびRAM(Random-Access Memory)を含む。
【0091】
システム通信部96-1は、通信ケーブル100により、熱源装置62の制御部74-2およびリモコン装置の制御部74-3に接続され、プロセッサ92-1の制御により、各部間の制御情報を送受信する。通信ケーブル100は単一線で示されているが、たとえば制御部74-2および制御部74-3の2系統の通信回路を有している。
【0092】
I/O98-1は、貯湯ユニット60に設置された温度センサTH1~TH9、流量センサ24、混合弁72、切替弁76、およびポンプ78に接続される。I/O98-1は、温度センサTH1~TH9および流量センサ24から検出信号を取得し、混合弁72、切替弁76およびポンプ78に制御信号を出力する。
【0093】
熱源装置62の制御部74-2は、各部検出温度に基づき、水規制弁34を含む各機能部を制御する。リモコン装置の制御部74-3は、制御部74-1、74-2と連係し、たとえば給湯に関する指示信号を各制御部74-1、74-2に送り、各制御部74-1、74-2から送られる情報を表示する。
【0094】
制御部74-2は、コンピュータであって、プロセッサ92-2、メモリ部94-2、システム通信部96-2およびI/O98-2を含む。プロセッサ92-2は、メモリ部94-2に格納されたプログラムを実行して、熱源装置62を制御する。
【0095】
メモリ部94-2は、プログラム、設定値、および情報処理によって得られる制御情報などを格納する。メモリ部94-2は、ハードディスクおよび半導体メモリなどの記録媒体であって、たとえば不揮発性メモリである。メモリ部94-2は、ROMおよびRAMを含む。
【0096】
システム通信部96-2は、通信ケーブル100により、制御部74-1、74-3に接続され、プロセッサ92-2の制御により、各部間の制御情報を送受信する。
【0097】
I/O98-2は、温度センサTH-10、TH-11、TH-12、バーナー82、水規制弁34、混合比分配弁87、流量センサ89などに接続される。I/O98-2は、温度センサTH-10、TH-11、TH-12、流量センサ89などから検出信号を取り込み、制御出力をバーナー82、混合比分配弁87などに出力する。
【0098】
制御部74-3は、コンピュータであって、プロセッサ92-3、メモリ部94-3、システム通信部96-3およびI/O98-3を含む。プロセッサ92-3は、メモリ部94-3に格納されたプログラムを実行する。たとえば、プロセッサ92-3は、リモコン装置を制御し、第1の熱源システム54に関する情報を表示する。
【0099】
メモリ部94-3は、プログラム、設定値、および情報処理によって得られる制御情報などを格納する。メモリ部94-3は、ハードディスクおよび半導体メモリなどの記録媒体であって、たとえば不揮発性メモリである。メモリ部94-3は、ROMおよびRAMを含む。
【0100】
システム通信部96-3は、通信ケーブル100により、制御部74-1、74-2に接続され、プロセッサ92-3の制御により、各部間の制御情報を送受信する。
【0101】
I/O98-3は、リモコン装置の入力スイッチ104および操作表示部106などに接続される。入力スイッチ104は、操作入力部の一例であり、たとえばタッチセンサを含み、電源投入、設定温度の入力などに用いられる。操作表示部106は、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置を含み、貯湯ユニット60または熱源装置58、62から受ける制御情報、入力情報、および警告情報を、たとえば画像として表示する。
【0102】
給湯システム52がたとえば第1の実施の形態で既述した給湯制御処理、第1の熱源システムの制御処理、第2の熱源システムの制御処理を行うことで、湯HWを供給することができる。給湯システム52のこれらの処理の説明を省略する。
【0103】
図11は、給水Wの流れの一例を示している。
図11において、矢印は、給水Wの流れを示している。
【0104】
給水量が少ないとき、バイパス弁90は閉じられて、
図11のAに示すように、給水Wが貯湯ユニット60へ供給される。つまり、給水Wはすべて貯湯ユニット60から給水経路12に供給され、そのため、給水Wはすべて流量センサ24を通って流れる。
【0105】
給水需要の増加により、貯湯ユニット60からの給水Wの流量、つまり第1の流量が第1の給水流量になると、バイパス弁90が開けられて、
図11のBに示すように、給水Wの第1部分が貯湯ユニット60から給水経路12に供給され、給水Wの第2部分がバイパス給水管61から給水経路12に供給される。
【0106】
第1の給水流量は、貯湯ユニット60からの最大給水流量以下の流量であって、たとえば第1の設定値SP1よりも大きい流量である。第1の給水流量がこのような流量であると、熱源装置62の稼働前において、給水経路12に供給される給水Wがバイパス給水管61から供給されることがなく、制御部74-1は、第1の流量が第1の設定値SP1以上であるかを判断して、開弁指示信号を熱源装置62に出力することができる。また、バイパス弁90の開放直後の貯湯ユニット60からの給水Wの流量は、たとえば、第2の設定値SP2よりも大きい流量に調整される。このような調整により、バイパス弁90の開放直後に第1の流量が第2の設定値SP2以下になることがなく、バイパス弁90の開放直後に制御部74-1が閉弁指示信号を熱源装置62に出力することがない。
【0107】
給水需要の低下により、貯湯ユニット60からの給水Wの流量が第2の給水流量になると、バイパス弁90が閉じられる。第2の給水流量は、たとえば第2の設定値SP2よりも大きい流量である。このような第2の給水流量の調整により、給水Wの第2部分がバイパス給水管61から供給されているときに、貯湯ユニット60からの給水Wの流量が第2の設定値SP2以下になることがなくなる。つまり、貯湯ユニット60からの給水Wの流量が第2の設定値SP2になるとき、給水Wはすべて貯湯ユニット60から給水経路12に供給されている。そのため、制御部74-1は、バイパス給水管61からの給水Wを考慮することなく、第1の流量が第2の設定値SP2以下であるかを判断して、閉弁指示信号を熱源装置62に出力することができる。
【0108】
図12は、バイパス給水の制御処理の一例を示すフローチャートである。この制御処理は、本開示の給湯方法の一例であり、たとえば制御部74-1が給湯制御プログラムを実行することにより実現される。
図12に示されている制御処理は一例であり、本開示の給湯方法は、斯かる処理に限定されるものではない。
図12において、Sは処理段階を示す。
【0109】
たとえば制御部74-1は、バイパス弁90に閉弁指示信号を出力して(S161)、バイパス弁90を閉じる。
【0110】
制御部74-1は、第1の流量の流量情報を取得し(S162)、第1の流量が第1の給水流量以上であるかを判断する(S163)。第1の流量が第1の給水流量未満であれば(S163のNO)、S162およびS163が繰り返される。第1の流量が第1の給水流量以上であれば(S163のYES)、制御部74-1が開弁指示信号をバイパス弁90に出力して(S164)、バイパス弁90を開ける。
【0111】
制御部74-1は、第1の流量の流量情報を取得し(S165)、第1の流量が第2の給水流量以下であるかを判断する(S166)。第1の流量が第2の給水流量より大きいと(S166のNO)、S165およびS166が繰り返される。第1の流量が第2の給水流量以下であれば(S166のYES)、制御処理手順が開弁指示信号の出力(S161)に戻り、制御部74-1はバイパス弁90を閉じる。
【0112】
第2の給水流量は、第1の給水流量とは異なる値に設定される。第1の給水流量と第2の給水流量の間の設定値差によりバイパス弁90のチャタリングが抑制される。
【0113】
第2の実施の形態によれば、たとえば第1の実施の形態と同様の作用や効果が得られる。また第2の実施の形態によれば、たとえば次のような作用や効果が得られる。
【0114】
(1) 第1の熱源システム54の熱源装置58および貯湯ユニット60が第2の熱源システム16および熱源装置62の上流に設置される。そのため、熱源装置58および貯湯ユニット60により給水Wを予熱することができる。熱源装置58がヒートポンプユニットを含むと、給水Wの加熱の際に、二酸化炭素が熱源装置58から排出されることがなく、給湯システム52の二酸化炭素の排出量を抑制するとともに消費エネルギー、特に一次エネルギーを削減することができる。
【0115】
(2) 貯湯ユニット60に含まれる流量センサ24および制御部74-1を、第2の熱源システム16および熱源装置62に流れる給水Wの流量の検出および監視に用いることができる。
【0116】
(3) 第2の熱源システム16が、互いに連結された複数の給湯器を含むマルチシステムである場合に、このマルチシステムとの間に通信を設定することなく、たとえばヒートポンプおよび給湯器を含むハイブリッド給湯システムを接続することができる。既設のマルチシステムを部分的に交換する際にハイブリッド給湯システムを導入することができる。
【0117】
(4) たとえば、ガス給湯器のマルチシステムの一部が故障したとき、またはヒートポンプおよび太陽熱給湯器などの省エネルギー熱源装置を含むハイブリッド給湯システムを導入したいとき、異なるメーカの装置またはシステムを導入することができる。
【0118】
(5) たとえば、通信方式が異なるハイブリッドシステムとガス給湯器のマルチシステムが一連のシステムとして稼働することができる。
第3の実施の形態
【0119】
図13は、第3の実施の形態に係る給湯システムの一例を示している。
図13において、
図1または
図7と同一の部分には同一の符号を付してある。
【0120】
給湯システム112は、給水経路12と、第1の熱源システム114と、第2の熱源システム116と、給湯経路18とを含んでいる。給湯システム112は、給水経路12を通って供給される給水Wを加熱し、加熱された給水W、つまり湯HWを給湯経路18から供給する。給水経路12、給湯経路18は第1の実施の形態および第2の実施の形態のこれらと同様であり、その説明を省略する。
図1および
図7に示されている第2の熱源システム16は、二台の熱源装置38-1、38-2を含んでいるのに対し、第2の熱源システム116は、三台の熱源装置38-1、38-2、38-3を含んでいる。熱源装置の台数を除き、第2の熱源システム116は、第2の熱源システム16と同様であり、その説明を省略する。
【0121】
図7に示されている第1の熱源システム54は、熱源装置58および貯湯ユニット60で構成される一つの組(セット)を含んでいるのに対し、
図13に示されている第1の熱源システム114は、熱源装置58-1および貯湯ユニット60-1で構成される第1の組と、熱源装置58-2および貯湯ユニット60-2で構成される第2の組とを含んでいる。第1の熱源システム114は、この第1および第2の組と、バイパス給水管61と、熱源装置62と、図示されていないリモコン装置を含む。
【0122】
貯湯ユニット60-1、60-2の両制御部74-1は、有線または無線で互いに接続されて、互いに通信できる。両制御部74-1は、さらに熱源装置62の制御部74-2に有線または無線で接続される。そのため、両制御部74-1は、制御部26の機能を含むとともに、貯湯ユニット60-1、60-2を制御する機能を有する。
【0123】
両制御部74-1の一方は、マスターに設定され(マスター制御部)、他方はスレーブに設定される(スレーブ制御部)。マスター制御部は、スレーブ制御部を通して、スレーブ制御部に接続された流量センサ24により検出された給水Wの流量情報を取得する。マスター制御部は、スレーブ制御部から取得した流量情報と、マスター制御部に接続された流量センサ24により検出された給水Wの流量情報とを合算して、第1の実施の形態で既述した第1の流量を得る。マスター制御部は、第1の流量を得るとともに、第1の流量を監視し、第1の流量に基づき水規制弁34の開弁指示信号または閉弁指示信号を熱源装置62に出力する。
【0124】
バイパス給水管61は、貯湯ユニット60-1、60-2に並列に接続される。そのため、給水Wは、貯湯ユニット60-1、60-2またはバイパス給水管61の少なくとも一つを通って第2の熱源システム16および熱源装置62に供給される。
【0125】
その他の構成は、第1の実施の形態または第2の実施の形態と同様であり、その説明を省略する。
【0126】
第3の実施の形態によれば、たとえば第2の実施の形態と同様の作用や効果が得られる。また第3の実施の形態によれば、たとえば次のような作用や効果が得られる。
【0127】
(1) 給湯システム112は、熱源装置および貯湯ユニットの二つの組を有するので、予熱された湯の供給量を増加できる。熱源装置および貯湯ユニットの組の数は、一つでもよく、三つ以上であってもよい。つまり、熱源装置および貯湯ユニットの組の数は、たとえば想定される給湯需要に応じて設定することができる。そのため、二酸化炭素の排出量をたとえば想定される給湯需要に応じて抑制するとともに消費エネルギー、特に一次エネルギーを削減することができる。
【0128】
第1の実施の形態、第2の実施の形態または第3の実施の形態の変形例を以下に列挙する。
【0129】
(1) 第1の設定値SP1および第2の設定値SP2は、それぞれ、たとえば10リットル毎分および5リットル毎分に設定されているが、他の値であってもよい。
【0130】
(2) 第1の熱源システム14、54の熱源装置22、62は、第2の熱源システム16の第2稼働の熱源装置が稼働する前に稼働しているが、熱源装置22、62は、第2稼働の熱源装置が稼働した後であって第2の熱源システム16の給湯能力が限界に到達する前に稼働を開始してもよい。
【0131】
(3) 第2の熱源システム16は、二台の熱源装置38-1、38-2を含んでいる。しかしながら、第2の熱源システム16の熱源装置の台数は、一台でもよく三台以上でもよい。第2の熱源システム16の熱源装置の台数が三台以上であるとき、第1の熱源システム14、54の熱源装置22、62は、第2の熱源システム16の第1稼働の熱源装置の後に稼働すればよく、熱源装置22、62は、第2の熱源システム16の最後の熱源装置が稼働した後に稼働を開始してもよい。熱源装置22、62が第2の熱源システム16の最後の熱源装置の稼働後に稼働を開始すると、給湯システム2、52は、給湯開始から、第2の熱源システム16の給湯能力の限界の近くまで、第1の熱源システム14、54の制御に寄らずに、第2の熱源システム16の独自の制御により湯HWを供給することができる。第2の熱源システム16の給湯能力が限界に到達する前に、熱源装置22、62が稼働するので、給湯システム2、52は、第2の熱源システム16の給湯能力を超える給湯需要に対応することができる。
【0132】
第1の熱源システム14、54の熱源装置22、62が第2の熱源システム16の最後の熱源装置の稼働後に稼働を開始するようにするため、たとえば第2の熱源システム16の最大給湯能力および最大給湯能力の湯HWを供給する際の給水流量をあらかじめ把握し、たとえばこの給水流量となる前に熱源装置22、62が稼働するように、第1の設定値SP1を調整する。
【0133】
給湯システム2、52の一連の給湯動作において、第2の熱源システム16の全熱源装置が稼働状態にあるときに、第1の熱源システム14、54の熱源装置22、62が稼働を開始するので、熱源装置22、62の燃焼回数、燃焼時間および燃焼負荷が抑制され、熱源装置22、62の寿命を延ばすことができる。そのため、給湯システム2、52を、第1の熱源システム14、54と第2の熱源システム16の併存状態から第1の熱源システム14、54単独のシステムに移行することが促進できる。
【0134】
第2の熱源システム116の熱源装置の台数は、四台以上でもよい。また、第1の熱源システム114の熱源装置62は、第2の熱源システム116の第1稼働の熱源装置の後に稼働すればよく、熱源装置62は、第2の熱源システム116の最後の熱源装置が稼働した後に稼働を開始してもよい。
【0135】
(4) 第2の熱源システム16、116は、第2の熱源システム16、116に供給される給水Wの流量(第2の流量)に応じて、第2の熱源システム16、116の加熱動作を調整しているが、この第2の流量は、第2の熱源システム16、116から供給される湯HWの流量であってもよい。つまり、第2の熱源システム16、116は、第2の熱源システム16、116から供給される湯HWの流量(第2の流量)に応じて、第2の熱源システム16、116の加熱動作を調整してもよい。この場合、第2の熱源システム16、116は、各熱源装置38-1、38-2、38-3からの湯HWの流量をたとえば各熱源装置38-1、38-2、38-3の流量センサで検出し、各熱源装置38-1、38-2、38-3からの湯HWの流量を合算して、第2の流量を得る。各熱源装置38-1、38-2、38-3に供給される給水Wの量は、各熱源装置38-1、38-2、38-3から供給される湯HWの量と同じまたはほぼ同じであるので、給水Wの流量に応じた調整と同様に、第2の熱源システム16、116は、湯HWの流量に応じて、第2の熱源システム16、116の加熱動作を調整することができる。
【0136】
(5) 給湯システム52、112は、バイパス給水管61を含み、並列に配置された複数の管で給水Wを供給している。しかしながら、バイパス給水管61は省略されてもよい。貯湯ユニット60を通って給水Wを供給し、流量センサ24で給水Wの流量を検出するようにしてもよい。
【0137】
(6) 貯湯ユニット60、60-1、60-2の流量センサ24が給水Wの流量を検出しているが、給湯システム52、112は、給水Wの流量を検出する流量センサまたは流量検出手段を、流量センサ24とは別に含んでいてもよい。
【0138】
(7) 第1の熱源システム54、114の貯湯ユニット60、60-1、60-2の制御部74-1が開弁指示信号および閉弁指示信号を出力しているが、給湯システム52、112は、開弁指示信号および閉弁指示信号を出力する制御部を、制御部74-1とは別に有していてもよい。給湯システム52、112が開弁指示信号および閉弁指示信号を出力する制御部を制御部74-1とは別に有していると、制御部74-1の負荷を分散することができる。
【0139】
(8) 第1の熱源システム54、114の熱源装置58、58-1、58-2は、水を加熱できればよく、ヒートポンプユニットに限定されない。熱源装置58、58-1、58-2は、たとえば、太陽光で水を加熱する太陽熱給湯器またはコージェネレーションシステムであってもよい。
【0140】
(9) 第2の熱源システム16、116の熱源装置38-1、38-2、38-3は、
図8に示されている熱源装置62と同様の構成を有する給湯器であってもよい。
【0141】
(10) 上記実施の形態では、第1の熱源システム14、54、114の制御部26、74-1が開弁指示信号および閉弁指示信号を出力して、水規制弁34を開閉している。水規制弁34は、たとえば熱源装置22の制御部または熱源装置62の制御部74-2を介して開閉されてもよい。つまり、開弁指示信号および閉弁指示信号は、熱源装置22の制御部または熱源装置62の制御部74-2に送信されてもよく、熱源装置22の制御部または熱源装置62の制御部74-2が水規制弁34を開閉してもよい。
【0142】
(11) 第2の実施の形態において、第1の給水流量は、貯湯ユニット60からの最大給水流量以下の流量であって、たとえば第1の設定値SP1よりも大きい流量である。また、第2の給水流量は、たとえば第2の設定値SP2よりも大きい流量である。しかしながら、第1の給水流量および第2の給水流量は他の流量であってもよく、制御部74-1は、バイパス給水管61から供給されている給水Wの流量を考慮して、開弁指示信号または閉弁指示信号を出力してもよい。
【0143】
(12) 上記実施の形態では、水規制弁34が単に開閉されている。しかしながら、給湯需要が給湯能力を超える場合、水規制弁34は、制御部の制御により、水の流量を調整してもよい。
【0144】
以上説明したように、本開示の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本開示は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、または明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本開示の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0145】
本開示は、小型店舗や大型店舗に設置された熱源システムの一部の装置の取り替え、または給湯能力の増強において、この熱源システムへの併設に適し、有用である。
【符号の説明】
【0146】
2、52、112 給湯システム
12 給水経路
14、54、114 第1の熱源システム
16、116 第2の熱源システム
18 給湯経路
22、62 熱源装置(第1の熱源装置)
38-1、38-2、38-3 熱源装置(第2の熱源装置)
24 流量センサ
26、74-1 制御部
32 加熱部
34 水規制弁
36 個別給水管
37 個別給湯管
58、58-1、58-2 熱源装置(第3の熱源装置)
60、60-1、60-2 貯湯ユニット
61 バイパス給水管
64 貯湯タンク
66 循環路
68 出湯管
70 給水管
72 混合弁