(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-05
(45)【発行日】2023-04-13
(54)【発明の名称】推定装置、推定方法、及び、材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/3586 20140101AFI20230406BHJP
【FI】
G01N21/3586
(21)【出願番号】P 2019194897
(22)【出願日】2019-10-28
【審査請求日】2022-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】100131428
【氏名又は名称】若山 剛
(72)【発明者】
【氏名】田邉 匡生
(72)【発明者】
【氏名】小山 裕
(72)【発明者】
【氏名】猪股 宏
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 賢
(72)【発明者】
【氏名】成田 史生
(72)【発明者】
【氏名】栗田 大樹
【審査官】古川 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-203138(JP,A)
【文献】国際公開第2008/110017(WO,A1)
【文献】特開2013-167591(JP,A)
【文献】特開平7-242767(JP,A)
【文献】鈴木 晴,大谷 知行,"テラヘルツ分光法を用いた分子固体の物性研究",熱測定,日本熱測定学会,2018年,45巻,3号,p.112-118
【文献】味戸克裕、外2名,テラヘルツ化学イメージングによる医薬分子の可視化,NTT技術ジャーナル 2011.12[online],2011年,p.34-38,[2023年3月2日検索],インターネット<URL: https://journal.ntt.co.jp/backnumber2/1112/files/jn201112034.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/01
G01N 21/17 - G01N 21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分子を含む構造を形成する複数の分子鎖を含む試料の状態を推定する推定装置であって、
10GHz乃至3THzの周波数を有する電磁波を生成する電磁波生成部と、
前記生成された電磁波を前記試料へ入射させる入射部と、
前記試料から出射された電磁波を検出する検出部と、
前記検出された電磁波の強度に基づいて、前記試料において前記分子鎖が凝集している程度を表す凝集度を推定する推定部と、
を備える、推定装置。
【請求項2】
屈折率と、凝集度と、が互いに対応付けられた屈折率凝集度情報を記憶する記憶部を備え、
前記推定部は、前記検出された電磁波の強度に基づいて前記試料の屈折率を推定し、前記推定された屈折率と、前記記憶されている屈折率凝集度情報と、に基づいて前記凝集度を推定する、請求項1に記載の推定装置。
【請求項3】
光を吸収する程度を表す吸光パラメータと、凝集度と、が互いに対応付けられた吸光凝集度情報を記憶する記憶部を備え、
前記推定部は、前記検出された電磁波の強度に基づいて前記試料の吸光パラメータを推定し、前記推定された吸光パラメータと、前記記憶されている吸光凝集度情報と、に基づいて前記凝集度を推定する、請求項1又は請求項2に記載の推定装置。
【請求項4】
前記入射部は、前記試料内の焦点位置を通る第1直線に沿って、前記生成された電磁波を前記試料へ入射させ、
前記検出部は、前記焦点位置を通り且つ前記第1直線と異なる第2直線に沿って、前記試料から出射された電磁波を検出し、
前記推定部は、前記検出された電磁波のうちの、前記第1直線及び前記第2直線を含む基準平面にて電界が振動する第1直線偏波成分の強度と、前記電磁波のうちの、前記基準平面に直交する方向にて電界が振動する第2直線偏波成分の強度と、に基づいて前記試料の屈折率を推定する、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の推定装置。
【請求項5】
前記分子鎖は、親水基を有することを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の推定装置。
【請求項6】
水分子を含む構造を形成する複数の分子鎖を含む試料の状態を推定する推定方法であって、
10GHz乃至3THzの周波数を有する電磁波を生成し、
前記生成された電磁波を前記試料へ入射させ、
前記試料から出射された電磁波を検出し、
前記検出された電磁波の強度に基づいて、前記試料において前記分子鎖が凝集している程度を表す凝集度を推定する、
ことを含む、推定方法。
【請求項7】
水分子を含む構造を形成する複数の分子鎖を含む材料を製造する製造方法であって、
前記材料を生成し、
10GHz乃至3THzの周波数を有する電磁波を生成し、
前記生成された電磁波を前記材料へ入射させ、
前記材料から出射された電磁波を検出し、
前記検出された電磁波の強度に基づいて、前記材料において前記分子鎖が凝集している程度を表す凝集度を推定する、
ことを含む、材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推定装置、推定方法、及び、材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノセルロース(例えば、セルロースナノファイバ、又は、セルロースナノクリスタル等)が、エアロゲル(例えば、シリカエアロゲル等)、又は、樹脂(例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、又は、エポキシ樹脂等)等の母材にて分散するように当該母材に含まれる材料(以下、NC含有材料、又は、複合材料と記載されてもよい。)が知られている。例えば、特許文献1乃至特許文献4に記載のように、NC含有材料は、母材よりも強度が高くなることが知られている。
【0003】
例えば、NC含有材料は、高硬度のフィルム、又は、コーティング材料として用いられる。NC含有材料は、緻密であるため、ガスバリア性にも優れる。従って、NC含有材料は、例えば、環境ガスに対する保護膜として用いられる。また、例えば、NC含有材料は、潮解性を有する薄膜材料として用いられる場合、形状を維持しやすくするとともに、湿度等の環境から受ける影響を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-167202号公報
【文献】特開2010-186124号公報
【文献】特開2016-56253号公報
【文献】特開2018-154699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば、製造工程における製造条件の相違に起因して、NC含有材料において、ナノセルロースの量が同一であっても、ナノセルロースが凝集している程度を表す凝集度に応じて、NC含有材料の強度又はガスバリア性が変化することがある。そこで、可視光の散乱現象を用いて(例えば、目視によって)、NC含有材料におけるナノセルロースの凝集度を推定することが考えられる。
【0006】
また、材料科学では、例えば、懸濁液の凝集及び分散がコロイド化学における最も興味ある問題の一つとして取り上げられる。具体的には、懸濁液の凝集及び分散は、濃縮、濾過、浮遊選鉱、又は、比重選鉱等の単位操作に対する工業的観点からも重要な意義を持つ問題である。従って、ナノセルロースの凝集度に限らず、特定の分子鎖の凝集度を推定することは、重要な意義を持つ。
【0007】
例えば、分子鎖が凝集している程度を表す凝集度を推定する方法として、光散乱法が知られている。しかしながら、母材による光の吸収が大きいために分子鎖からの散乱光が微弱である場合、又は、添加されている分子鎖が少量であるために光がほとんど散乱されない場合には、光散乱法を用いても分子鎖の凝集度を高い精度にて推定できない。
【0008】
例えば、紫外線又は可視光は、ペプチド結合、芳香族アミノ酸、又は、電子遷移等により吸収される。従って、母材が、ペプチド結合、又は、芳香族アミノ酸等を含む色素等の化合物を含む場合、散乱光は、母材によって吸収される。
【0009】
このため、母材が透光性を有しない場合、又は、ナノセルロースの量が微量である場合、NC含有材料におけるナノセルロースの凝集度を高い精度にて推定できなかった。なお、この種の課題は、水分子を含む構造を形成する複数の分子鎖であって、ナノセルロースに含まれる分子鎖と異なる分子鎖についても同様に生じる。
【0010】
また、分子鎖の大きさは、紫外線及び可視光の波長よりも小さい。このため、光の波長が短くなるほど光が散乱されやすくなるとともに、散乱の強度が、波長の4乗に反比例すること(換言すると、レイリー散乱)が知られている。ところで、10GHz乃至3THzの周波数を有する電磁波(換言すると、サブテラヘルツ波、又は、テラヘルツ波)の波長は、数百μmであり、比較的長い。従って、サブテラヘルツ波、又は、テラヘルツ波は、散乱されにくいために、分子鎖の凝集度を推定するために用いられることは、考えられていなかった。
【0011】
本発明の目的の一つは、凝集度を高い精度にて推定する推定装置、推定方法及び当該方法を含む材料の製造方法を提供する。さらに、本発明では、分子鎖の凝集度を高い精度にて推定する推定装置、推定方法及び材料の製造方法を提供する。凝集度を推定する材料には限定されない。
すなわち、本発明は、以下を提供する。
[1]水分子を含む構造を形成する複数の分子鎖を含む試料の状態を推定する推定装置であって、10GHz乃至3THzの周波数を有する電磁波を生成する電磁波生成部と、前記生成された電磁波を前記試料へ入射させる入射部と、前記試料から出射された電磁波を検出する検出部と、前記検出された電磁波の強度に基づいて、前記試料において前記分子鎖が凝集している程度を表す凝集度を推定する推定部と、を備える、推定装置。
[2]屈折率と、凝集度と、が互いに対応付けられた屈折率凝集度情報を記憶する記憶部を備え、前記推定部は、前記検出された電磁波の強度に基づいて前記試料の屈折率を推定し、前記推定された屈折率と、前記記憶されている屈折率凝集度情報と、に基づいて前記凝集度を推定する、前項1に記載の推定装置。
[3]光を吸収する程度を表す吸光パラメータと、凝集度と、が互いに対応付けられた吸光凝集度情報を記憶する記憶部を備え、前記推定部は、前記検出された電磁波の強度に基づいて前記試料の吸光パラメータを推定し、前記推定された吸光パラメータと、前記記憶されている吸光凝集度情報と、に基づいて前記凝集度を推定する、前項1又は前項2に記載の推定装置。
[4]前記入射部は、前記試料内の焦点位置を通る第1直線に沿って、前記生成された電磁波を前記試料へ入射させ、前記検出部は、前記焦点位置を通り且つ前記第1直線と異なる第2直線に沿って、前記試料から出射された電磁波を検出し、前記推定部は、前記検出された電磁波のうちの、前記第1直線及び前記第2直線を含む基準平面にて電界が振動する第1直線偏波成分の強度と、前記電磁波のうちの、前記基準平面に直交する方向にて電界が振動する第2直線偏波成分の強度と、に基づいて前記試料の屈折率を推定する、前項1乃至前項3のいずれか一項に記載の推定装置。
[5]前記分子鎖は、親水基を有することを特徴とする、前項1乃至前項4のいずれか一項に記載の推定装置。
[6]水分子を含む構造を形成する複数の分子鎖を含む試料の状態を推定する推定方法であって、10GHz乃至3THzの周波数を有する電磁波を生成し、前記生成された電磁波を前記試料へ入射させ、前記試料から出射された電磁波を検出し、前記検出された電磁波の強度に基づいて、前記試料において前記分子鎖が凝集している程度を表す凝集度を推定する、ことを含む、推定方法。
[7]水分子を含む構造を形成する複数の分子鎖を含む材料を製造する製造方法であって、前記材料を生成し、10GHz乃至3THzの周波数を有する電磁波を生成し、前記生成された電磁波を前記材料へ入射させ、前記材料から出射された電磁波を検出し、前記検出された電磁波の強度に基づいて、前記材料において前記分子鎖が凝集している程度を表す凝集度を推定する、ことを含む、材料の製造方法。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一つの側面では、推定装置は、水分子を含む構造を形成する複数の分子鎖を含む試料の状態を推定する。
推定装置は、電磁波生成部と、入射部と、検出部と、推定部と、を備える。電磁波生成部は、10GHz乃至3THzの周波数を有する電磁波を生成する。入射部は、生成された電磁波を試料へ入射させる。検出部は、試料から出射された電磁波を検出する。推定部は、検出された電磁波の強度に基づいて、試料において分子鎖が凝集している程度を表す凝集度を推定する。
【0013】
他の一つの側面では、推定方法は、水分子を含む構造を形成する複数の分子鎖を含む試料の状態を推定する。
推定方法は、10GHz乃至3THzの周波数を有する電磁波を生成し、生成された電磁波を試料へ入射させ、試料から出射された電磁波を検出し、検出された電磁波の強度に基づいて、試料において分子鎖が凝集している程度を表す凝集度を推定する、ことを含む。
【0014】
他の一つの側面では、製造方法は、水分子を含む構造を形成する複数の分子鎖を含む材料を製造する方法である。
製造方法は、材料を生成し、10GHz乃至3THzの周波数を有する電磁波を生成し、生成された電磁波を材料へ入射させ、材料から出射された電磁波を検出し、検出された電磁波の強度に基づいて、材料において分子鎖が凝集している程度を表す凝集度を推定する、ことを含む。
【発明の効果】
【0015】
水分子を含む構造を形成する複数の分子鎖の凝集度を高い精度にて推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態の推定装置の構成を概念的に表すブロック図である。
【
図2】凝集度の屈折率に対する変化の一例を表すグラフである。
【
図3】水分子の数に応じた、屈折率及び消衰係数の周波数に対する変化の一例を表すグラフである。
【
図5】凝集度の消衰係数に対する変化の一例を表すグラフである。
【
図6】第1実験例における試料の屈折率の、周波数に対する変化を表すグラフである。
【
図7】第1実験例における試料の消衰係数の、周波数に対する変化を表すグラフである。
【
図8】第2実施形態の推定装置の光学系を表す図である。
【
図9】P波成分の反射率、及び、S波成分の反射率の、入射角に対する変化の一例を表すグラフである。
【
図10】P波成分の反射率とS波成分の反射率との差である反射率差の、屈折率に対する変化の一例を表すグラフである。
【
図11】第3実施形態の推定装置の光学系を表す図である。
【
図12】反射率の、入射角に対する変化の一例を表すグラフである。
【
図13】第4実施形態の推定装置の光学系を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の、推定装置、推定方法、及び、材料の製造方法に関する各実施形態について
図1乃至
図13を参照しながら説明する。
【0018】
従来の光散乱法として、波長が長く且つ透過能が高い、サブテラヘルツ波、又は、テラヘルツ波を用いることは予期されるものではない。これに対し、本発明の一側面においては、電荷の集団運動に対して敏感に応答する、サブテラヘルツ波、又は、テラヘルツ波が、例えば、典型的な極性分子である水分子の検出に適用される。これにより、微量である場合であっても水分子を検出可能とする。
【0019】
<第1実施形態>
(概要)
第1実施形態の推定装置は、ナノセルロースを含む試料の状態を推定する。推定装置は、電磁波生成部と、入射部と、検出部と、推定部と、を備える。電磁波生成部は、10[GHz]乃至3[THz]の周波数を有する電磁波を生成する。入射部は、生成された電磁波を試料へ入射させる。検出部は、試料から出射された電磁波を検出する。推定部は、検出された電磁波の強度に基づいて、試料においてナノセルロースが凝集している程度を表す凝集度を推定する。
【0020】
ところで、ナノセルロースの凝集度と、10[GHz]乃至3[THz]の周波数を有する電磁波の、NC含有材料における伝搬特性と、は強い相関を有する。一方、上記推定装置によれば、試料から出射された電磁波は、当該電磁波のNC含有材料における伝搬特性を高い精度にて反映できる。従って、試料から出射された電磁波の強度に基づいて、試料におけるナノセルロースの凝集度を高い精度にて推定できる。
次に、第1実施形態の推定装置について、より詳細に説明する。
【0021】
(構成)
図1に表されるように、推定装置1は、電磁波生成部11と、入射部12と、検出部13と、記憶部14と、推定部15と、を備える。
図1は、推定装置1の構成を概念的に表すブロック図である。
図1において、実線の矢印、及び、点線の矢印は、電磁波の伝搬、及び、情報の伝達をそれぞれ表す。
【0022】
推定装置1は、試料2の状態を推定する。試料2は、水分子を含む構造を形成する複数の分子鎖を含む。本例では、水分子を含む構造を形成する複数の分子鎖のそれぞれは、ナノセルロース(例えば、セルロースナノファイバ、又は、セルロースナノクリスタル等)に含まれる。なお、水分子を含む構造を形成する分子鎖を含む物質は、ナノセルロースに限定されない。
【0023】
本例では、試料2は、ナノセルロースが、母材にて分散するように当該母材に含まれる材料(換言すると、NC含有材料)である。例えば、母材は、網目状の微細構造を有する材料である。例えば、母材は、エアロゲル(例えば、シリカエアロゲル等)、又は、樹脂(例えば、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、又は、エポキシ樹脂等)等である。
【0024】
例えば、試料2は、断熱材、又は、建材等の材料として用いられてよい。また、例えば、試料2は、フィルム、又は、コーティング材料として用いられてよい。また、例えば、試料2は、食品であってもよい。また、例えば、試料2は、顔料、又は、塗料であってもよい。 例えば、試料2は、製品の一部であってもよいし、製品の全体であってもよい。
【0025】
一例として、母材がシリカエアロゲルである場合における試料2の製造方法について説明する。例えば、シリカエアロゲルは、非特許文献1に記載された方法を用いて製造される。本例では、試料2の製造方法は、ナノセルロースを溶液に混ぜ、シリコンアルコキシドを加水分解することによりシリカウェットゲルを生成し、シリカウェットゲルの液相を除去し、超臨界乾燥させる、ことを含む。
非特許文献1:C.J.Brinker、G.W.Scherer、「Sol-Gel Science」、Academic Press、1990年
【0026】
例えば、セルロースナノファイバは、幅が1[nm]乃至100[nm]であり、且つ、長さが1[μm]以上である。例えば、セルロースナノクリスタルは、幅が10[nm]乃至50[nm]であり、且つ、長さが100[nm]乃至500[nm]である。
例えば、試料2は、平板状である。例えば、試料2の厚さは、1[mm]乃至50[mm]である。
【0027】
ナノセルロースの含有量は、特定の値に限定されない。例えば、ナノセルロースの含有量は、0.01~20質量%の範囲内であってよく、好ましくは0.01~15質量%の範囲内であってよく、より好ましくは0.1~10質量%の範囲内であってよく、更に好ましくは0.1~5質量%の範囲内であってよい。
【0028】
電磁波生成部11は、10[GHz]乃至3[THz]の周波数を有する電磁波(換言すると、サブテラヘルツ波、又は、テラヘルツ波)を生成する。なお、本明細書において、サブテラヘルツ波、又は、テラヘルツ波は、光と表されることがある。
【0029】
本例では、電磁波生成部11は、GUNNダイオード、IMPATT(Impact Avalanche and Transit Time)ダイオード、又は、共鳴トンネルダイオード(RTD:Resonant Tunneling Diode)を含む。なお、電磁波生成部11は、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)を用いた発振器と、発振器により生成された電磁波の周波数をn(nは、1以上の実数)倍する周波数逓倍器(例えば、位相同期回路等)と、を含んでいてもよい。
【0030】
本例では、電磁波生成部11は、連続波を生成する。なお、電磁波生成部11は、パルス波を生成してもよい。この場合、電磁波生成部11は、製造工程に関連する外部信号と同期された電磁波を生成してもよい。例えば、製造工程は、加熱、添加、プレス、又は、塗布等の工程を含んでよい。
【0031】
入射部12は、電磁波生成部11により生成された電磁波を試料2へ入射させる。例えば、入射部12は、レンズ、及び、放物面鏡のうちの少なくとも1つを含む光学系を備える。本例では、入射部12は、電磁波生成部11により生成された電磁波を試料2内の焦点位置にて集束させる。
【0032】
検出部13は、試料2から出射された電磁波を検出する。本例では、検出部13は、ショットキーバリア(Schottky Barrier)ダイオードを備えるとともに、ショットキーバリアダイオードを用いて電磁波を検出する。
【0033】
試料2から出射された電磁波は、入射部12によって試料2に入射させられ、且つ、試料2によって反射された電磁波(換言すると、反射波)、又は、入射部12によって試料2に入射させられ、且つ、試料2を透過した電磁波(換言すると、透過波)である。
【0034】
本例では、検出部13は、試料2から出射された電磁波の強度と、電磁波が入射部12によって試料2に入射させられてから、試料2から出射されるまでに要する時間を表す伝搬パラメータと、を検出する。例えば、伝搬パラメータは、試料2に入射された電磁波の位相と、試料2から出射された電磁波の位相と、の差である位相差、又は、電磁波が試料2を伝搬するために要する時間である伝搬時間等である。
【0035】
記憶部14は、屈折率凝集度情報を記憶する。屈折率凝集度情報は、屈折率と、凝集度と、が互いに対応付けられた情報である。本例では、
図2に表されるように、屈折率凝集度情報は、屈折率が高くなるほど凝集度が低くなる情報である。
【0036】
凝集度は、試料2においてナノセルロースが凝集している程度を表す。例えば、凝集度は、互いに隣接するナノセルロース間の距離を、試料2に含まれるナノセルロースに対して平均した値、又は、互いに隣接するナノセルロース間の距離が所定の近接距離以下であるナノセルロースの数の、試料2に含まれるナノセルロースの総数に対する割合である。
換言すると、ナノセルロースの凝集度が低くなることは、ナノセルロースが母材において均一に分散している状態に近づくことに対応する。
【0037】
サブテラヘルツ波、又は、テラヘルツ波の周波数は、水分子における電荷の集団運動が有する周波数に対応する。ドルーデモデルにおいて、電流密度Jは、電荷qと、電荷qの数nと、質量mと、電荷qが衝突する時間間隔の平均値τと、電場Eと、を用いて、数式1により表される。
【数1】
【0038】
数式1において、電流密度Jは、電荷qの数nが多くなるほど、大きくなる。また、屈折率、及び、消衰係数は、電流密度Jが大きくなるほど大きくなる。
図3は、サブテラヘルツ波、及び、テラヘルツ波の周波数帯における、屈折率、及び、消衰係数の周波数に対する変化の一例を表す。
図3において、曲線LA1は、水分子の数が多い場合における、屈折率、及び、消衰係数の変化を表し、曲線LA2は、水分子の数が少ない場合における、屈折率、及び、消衰係数の変化を表す。
【0039】
図3に表されるように、試料2に含まれる水分子の数が多くなるほど、屈折率、及び、消衰係数は、大きくなる。なお、水分子が結合水である場合、水分子における電荷の集団運動における振幅が制限されやすいため、水分子が自由水である場合よりも、屈折率、及び、消衰係数の分子数あたりの増加は小さいと考えられる。
【0040】
図4(A)は、ナノセルロースの凝集度が高い場合における、試料2の構造を模式的に表す。
図4(B)は、ナノセルロースの凝集度が低い場合における、試料2の構造を模式的に表す。
【0041】
図4に表されるように、ナノセルロースNCは、エアロゲルMSに絡みつくように分散する。
図4(B)に表されるように、ナノセルロースNCの凝集度が低い場合、複数のナノセルロースNCは、水分子MHを含む構造(例えば、水分子MHを介して複数のナノセルロースNCが結合された構造)を形成する。本例では、複数のナノセルロースNCにより形成された構造は、ネットワーク構造と表されてもよい。本例では、ナノセルロースNCは、水分子MHを含む構造を形成する分子鎖に対応する。また、複数のナノセルロースNCを結合する水分子MHは、結合水と表されてもよい。
【0042】
図4に表されるように、ナノセルロースNCの凝集度が低くなるほど、試料2に含まれる水分子MHが多くなる。従って、屈折率、及び、消衰係数が大きくなるほど、ナノセルロースNCの凝集度が低くなると考えられる。
【0043】
推定部15は、検出部13により検出された、電磁波の強度、及び、伝搬パラメータに基づいて、試料2におけるナノセルロースの凝集度を推定する。
【0044】
本例では、推定部15は、検出部13により検出された、電磁波の強度、及び、伝搬パラメータに基づいて、試料2の屈折率を推定する。本例では、記憶部14は、電磁波の強度と、伝搬パラメータと、屈折率と、が互いに対応付けられた情報である屈折率情報を記憶する。従って、推定部15は、検出部13により検出された、電磁波の強度、及び、伝搬パラメータと、記憶部14に記憶されている屈折率情報と、に基づいて、屈折率を推定する。
【0045】
次いで、推定部15は、推定された屈折率と、記憶部14により記憶されている屈折率凝集度情報と、に基づいて、凝集度を推定する。
なお、推定装置1は、電磁波の強度に代えて、反射率を用いてもよい。反射率は、試料2により反射された電磁波の強度の、試料2に入射された電磁波の強度に対する比である。
【0046】
(動作)
次に、推定装置1の動作について説明する。
電磁波生成部11は、電磁波を生成する。次いで、入射部12は、電磁波生成部11により生成された電磁波を試料2に入射させる。入射部12によって試料2に入射させられた電磁波のうちの一部は、試料2を透過し、一方、当該電磁波のうちの他の部分は、試料2によって反射される。
【0047】
次いで、検出部13は、試料2から出射された電磁波の強度、及び、伝搬パラメータを検出する。そして、推定部15は、検出部13により検出された、電磁波の強度、及び、伝搬パラメータに基づいて、試料2の屈折率を推定し、推定された屈折率と、記憶部14により記憶されている屈折率凝集度情報と、に基づいて、凝集度を推定する。
このようにして、推定装置1は、試料におけるナノセルロースの凝集度を推定できる。
【0048】
以上、説明したように、第1実施形態の推定装置1において、電磁波生成部11は、10[GHz]乃至3[THz]の周波数を有する電磁波を生成する。入射部12は、電磁波生成部11により生成された電磁波を試料2へ入射させる。検出部13は、試料2から出射された電磁波を検出する。推定部15は、検出部13により検出された電磁波の強度に基づいて、試料2においてナノセルロースが凝集している程度を表す凝集度を推定する。
【0049】
ところで、ナノセルロースの凝集度と、10[GHz]乃至3[THz]の周波数を有する電磁波の、NC含有材料における伝搬特性と、は強い相関を有する。一方、推定装置1によれば、試料2から出射された電磁波は、当該電磁波のNC含有材料における伝搬特性を高い精度にて反映できる。従って、試料2から出射された電磁波の強度に基づいて、試料2におけるナノセルロースの凝集度を高い精度にて推定できる。
【0050】
ところで、可視光線、又は、近赤外線を用いて、ナノセルロースの凝集度を推定することが考えられる。しかしながら、可視光線、又は、近赤外線は、ナノセルロースによって散乱されやすい。これに対し、10[GHz]乃至3[THz]の周波数を有する電磁波は、波長がナノセルロースに対して十分に長いので、ナノセルロースによって散乱されにくい。このため、推定装置1によれば、ナノセルロースの凝集度を高い精度にて推定できる。
【0051】
また、サブテラヘルツ波、又は、テラヘルツ波の光子エネルギーは、室温程度である。従って、試料2が損傷することを回避できる。例えば、試料2が製造中のフィルム又はコーティング材料である場合であっても、フィルム又はコーティング材料が損傷することを回避できる。また、サブテラヘルツ波、又は、テラヘルツ波は、人体に対して安全である。
【0052】
更に、第1実施形態の推定装置1は、屈折率と、凝集度と、が互いに対応付けられた屈折率凝集度情報を記憶する記憶部14を備える。推定部15は、検出部13により検出された電磁波の強度に基づいて試料2の屈折率を推定し、推定された屈折率と、記憶部14により記憶されている屈折率凝集度情報と、に基づいて凝集度を推定する。
【0053】
ナノセルロースの凝集度と、10[GHz]乃至3[THz]の周波数を有する電磁波の、NC含有材料における屈折率と、は強い相関を有する。一方、推定装置1によれば、試料2から出射された電磁波は、当該電磁波のNC含有材料における屈折率を高い精度にて反映できる。従って、推定された試料2の屈折率に基づいて、試料2におけるナノセルロースの凝集度を高い精度にて推定できる。
【0054】
なお、推定装置1は、屈折率に代えて、又は、屈折率に加えて、光を吸収する程度を表す吸光パラメータに基づいて、凝集度を推定してもよい。例えば、吸光パラメータは、吸光度、又は、消衰係数である。この場合、記憶部14は、吸光凝集度情報を記憶する。吸光凝集度情報は、吸光パラメータと、凝集度と、が互いに対応付けられた情報である。例えば、
図5に表されるように、吸光凝集度情報は、吸光パラメータが高くなるほど凝集度が低くなる情報である。
【0055】
更に、この場合、記憶部14は、電磁波の強度と、伝搬パラメータと、吸光パラメータと、が互いに対応付けられた情報である吸光情報を記憶する。従って、推定部15は、検出部13により検出された、電磁波の強度、及び、伝搬パラメータと、記憶部14に記憶されている吸光情報と、に基づいて、吸光パラメータを推定し、推定された吸光パラメータと、記憶部14により記憶されている吸光凝集度情報と、に基づいて、ナノセルロースの凝集度を推定する。
【0056】
ナノセルロースの凝集度と、10[GHz]乃至3[THz]の周波数を有する電磁波の、NC含有材料における吸光パラメータと、は強い相関を有する。一方、推定装置1によれば、試料2から出射された電磁波は、当該電磁波のNC含有材料における吸光パラメータを高い精度にて反映できる。従って、推定された試料2の吸光パラメータに基づいて、試料2におけるナノセルロースの凝集度を高い精度にて推定できる。
【0057】
また、第1実施形態の推定装置1において、推定部15は、電磁波の強度、及び、伝搬パラメータに基づいて凝集度を推定する。第1実施形態の変形例の推定装置1において、推定部15は、伝搬パラメータに基づくことなく、電磁波の強度に基づいて凝集度を推定してもよい。この場合、検出部13は、伝搬パラメータを検出しなくてよい。
【0058】
また、第1実施形態の変形例の推定装置1は、非特許文献2に記載されたテラヘルツ時間領域分光法を用いて分光分析を行うことにより、屈折率及び吸光パラメータを推定してもよい。なお、推定装置1は、テラヘルツ時間領域分光法に代えて、又は、テラヘルツ時間領域分光法に加えて、エリプソメトリ法を用いることにより分光分析を行ってもよい。
非特許文献2:深澤 亮一、「テラヘルツ時間領域分光法と分析化学」、ぶんせき、日本分析化学会、2005年6月、第366巻、p.290-296
【0059】
また、試料2が、製品の少なくとも一部である場合、第1実施形態の変形例の推定装置1は、試料2を製造する製造工程において用いられてよい。この場合、推定装置1は、推定された凝集度に基づいて、製品が不良品であるか否かを判定してもよい。また、推定装置1により推定された凝集度に基づいて、試料2を製造する製造工程における製造条件が制御されてもよい。
【0060】
(第1実験例)
次に、試料2におけるナノセルロースの凝集度と、10[GHz]乃至1[THz]の周波数を有する電磁波の、NC含有材料における伝搬特性と、の関係を表す第1実験例について、
図6、及び、
図7を参照しながら説明する。
【0061】
第1実験例において用いられた試料2は、セルロースナノファイバ(換言すると、CNF)が、シリカエアロゲルからなる母材にて分散するように当該母材に含まれる材料である。
【0062】
本例では、CNFは、第一工業製薬株式会社製の市販品の一つであるTEMPO酸化CNF水分散品である。TEMPOは、2,2,6,6-tetramethylpiperidine 1-oxylの略称である。
【0063】
第1実験例においては、試料2として、母材が異なる、第1試料、及び、第2試料が用いられる。母材は、表1に表されるように、TEOS(オルトケイ酸テトラエチル、Tetraethyl orthosilicate、又は、Si(OC
2H
5)
4)と、EtOH(エタノール、又は、C
2H
6O)と、水(H
2O)と、塩化水素(HCl)と、アンモニア(NH
3)と、からなる。表1において、各成分の量は、モル濃度を表す。
【表1】
【0064】
更に、第1試料、及び、第2試料のそれぞれは、1[wt%]のCNFを含む。「wt%」は、重量パーセント濃度を表す。
第1試料は、第2試料よりも脆い。ところで、試料2におけるナノセルロースの凝集度が高くなるほど試料2が脆くなることが知られている。従って、第1試料の凝集度は、第2試料の凝集度よりも高い。換言すると、第2試料におけるCNFは、第1試料よりも均一に分散している。
【0065】
上記の第1試料、及び、第2試料のそれぞれに対して、テラヘルツ時間領域分光法を用いるテラヘルツ分光装置(THz-TDS2000ms、株式会社日邦プレシジョン製)を用いて、テラヘルツ分光分析が行われた。本例では、テラヘルツ分光分析は、透過光を用いる方式(換言すると、透過配置方式)に従って行われる。
【0066】
図6は、第1試料、及び、第2試料に対するテラヘルツ分光分析の結果であるとともに、周波数に対する屈折率の変化を表すグラフである。
図6における、曲線LN1、及び、曲線LN2は、第1試料の変化、及び、第2試料の変化をそれぞれ表す。
【0067】
図7は、第1試料、及び、第2試料に対するテラヘルツ分光分析の結果であるとともに、周波数に対する消衰係数の変化を表すグラフである。
図7における、曲線LK1、及び、曲線LK2は、第1試料の変化、及び、第2試料の変化をそれぞれ表す。
【0068】
図6に表されるように、10[GHz]乃至1[THz]の周波数に対して、第2試料の屈折率は、第1試料の屈折率よりも高い。同様に、
図7に表されるように、10[GHz]乃至1[THz]の周波数に対して、第2試料の消衰係数は、第1試料の消衰係数よりも高い。
【0069】
このように、ナノセルロースの凝集度と、10[GHz]乃至1[THz]の周波数を有する電磁波の、NC含有材料における伝搬特性と、は強い相関を有する。
従って、第1実施形態の推定装置1によれば、試料2から出射された電磁波の強度に基づいて、試料2におけるナノセルロースの凝集度を高い精度にて推定できる。
例えば、第1実施形態の推定装置1は、試料2から出射された電磁波のパルス時間強度を位相差情報と併せてフーリエ変換することにより得られる屈折率及び消衰係数に基づいて、試料2におけるナノセルロースの凝集度を推定してよい。
【0070】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態の推定装置について説明する。第2実施形態の推定装置は、第1実施形態の推定装置に対して、電磁波生成部及び検出部のそれぞれと、試料と、の間の光学系が相違している。以下、相違点を中心として説明する。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態にて使用した符号と同じ符号を付したものは、同一又は略同様のものである。
【0071】
図8に表されるように、第2実施形態の推定装置1Aは、第1実施形態の入射部12に代えて、光学系16を備える。
光学系16は、絞り部161と、第1レンズ部162と、第2レンズ部163と、第3レンズ部164と、第4レンズ部165と、を備える。
【0072】
本例では、電磁波生成部11は、円偏波を出射する。
絞り部161は、電磁波生成部11と第1レンズ部162との間にて、電磁波の一部のみを通過させる。絞り部161は、試料2内の焦点位置FPと、電磁波生成部11から電磁波が出射される位置と、を結ぶ第1直線L1に沿って延在する、中空の円錐台筒状である。
【0073】
本例では、試料2は、z軸に直交する平面(換言すると、xy平面)に沿って延在する平板状である。本例では、第1直線L1は、x軸に直交する平面(換言すると、yz平面)にて延在する。絞り部161は、電磁波生成部11により生成された電磁波のうちの、一部を通過させるとともに、当該電磁波のうちの、他の部分を反射することにより遮断する。
【0074】
第1レンズ部162は、電磁波生成部11により生成され、且つ、絞り部161を通過した電磁波を第1直線L1に平行な平行光に変換する。換言すると、第1レンズ部162は、電磁波生成部11から電磁波が出射される位置が、第1レンズ部162の焦点に位置する位置を有する。
【0075】
本例では、第1レンズ部162は、ポリテトラフルオロエチレンからなる平凸レンズである。なお、第1レンズ部162は、平凸レンズに代えて、両凸レンズ、又は、凹レンズであってもよい。また、第1レンズ部162は、高抵抗シリコンからなっていてもよい。例えば、高抵抗シリコンは、フロートゾーン法(浮遊鋳造法)を用いて製造される。
【0076】
第2レンズ部163、第3レンズ部164、及び、第4レンズ部165のそれぞれも、第1レンズ部162と同様に、ポリテトラフルオロエチレンからなる平凸レンズである。なお、第2レンズ部163、第3レンズ部164、及び、第4レンズ部165のそれぞれは、平凸レンズに代えて、両凸レンズ、又は、凹レンズであってもよい。また、第2レンズ部163、第3レンズ部164、及び、第4レンズ部165のそれぞれは、高抵抗シリコンからなっていてもよい。
【0077】
第2レンズ部163は、第1レンズ部162を通過した電磁波を集束する。本例では、第2レンズ部163は、試料2内の焦点位置FPが、第2レンズ部163の焦点に位置する位置を有する。
【0078】
このような構成により、第1レンズ部162、及び、第2レンズ部163は、試料2内の焦点位置FPを通る第1直線L1に沿って、電磁波生成部11により生成された電磁波を試料2へ入射させる。本例では、第1レンズ部162、及び、第2レンズ部163は、入射部に対応する。
【0079】
なお、光学系16は、第2レンズ部163に代えて、第1レンズ部162を通過した電磁波を集束させる放物面鏡を備えていてもよい。
また、光学系16は、第2レンズ部163と試料2との間にて、電磁波の一部のみを通過させる絞り部を備えていてもよい。
【0080】
第3レンズ部164は、試料2によって反射された電磁波を第2直線L2に平行な平行光に変換する。第2直線L2は、試料2内の焦点位置FPと、検出部13へ電磁波が入射する位置と、を結ぶ。本例では、第2直線L2は、yz平面にて延在する。本例では、第1直線L1、及び、第2直線L2は、yz平面において、焦点位置FPを通り且つz軸に沿って延在する基準直線に対して線対称である。
【0081】
本例では、第3レンズ部164は、試料2内の焦点位置FPが、第3レンズ部164の焦点に位置する位置を有する。なお、光学系16は、第3レンズ部164と試料2との間にて、電磁波の一部のみを通過させる絞り部を備えていてもよい。
【0082】
第4レンズ部165は、第3レンズ部164を通過した電磁波を集束する。本例では、第4レンズ部165は、検出部13へ電磁波が入射する位置が、第4レンズ部165の焦点に位置する位置を有する。なお、光学系16は、第4レンズ部165と検出部13との間にて、電磁波の一部のみを通過させる絞り部を備えていてもよい。
【0083】
このような構成により、検出部13は、焦点位置FPを通り且つ第1直線L1と異なる第2直線L2に沿って、試料2から出射された電磁波を検出する。
本例では、検出部13は、試料2によって反射され、且つ、第3レンズ部164及び第4レンズ部165を通過した電磁波の強度を検出する。
【0084】
更に、検出部13は、試料2によって反射され、且つ、第3レンズ部164及び第4レンズ部165を通過した電磁波の中の、基準平面にて電界が振動する直線偏波からなる成分(換言すると、第1直線偏波成分)を検出する。本例では、基準平面は、yz平面である。第1直線偏波成分は、P波成分と表されてもよい。また、電界が振動する方向と、電磁波が伝搬する方向と、を含む平面は、偏波面と表されてもよい。
【0085】
加えて、検出部13は、試料2によって反射され、且つ、第3レンズ部164及び第4レンズ部165を通過した電磁波の中の、基準平面に直交する方向(本例では、x軸方向)にて電界が振動する直線偏波からなる成分(換言すると、第2直線偏波成分)を検出する。第2直線偏波成分は、S波成分と表されてもよい。
【0086】
なお、光学系16は、電磁波のうちの、第1直線偏波成分、及び、第2直線偏波成分のみが検出部13に入射するように、他の成分を遮断する偏波フィルタを、当該電磁波が通過する経路上に備えていてもよい。
【0087】
第2実施形態の記憶部14は、屈折率凝集度情報を記憶する。更に、記憶部14は、電磁波の強度と、屈折率と、が互いに対応付けられた情報である屈折率情報を記憶する。
【0088】
第2実施形態の推定部15は、検出部13により検出された電磁波の強度と、当該電磁波のうちの第1直線偏波成分の強度と、当該電磁波のうちの第2直線偏波成分の強度と、に基づいて試料2の屈折率を推定する。
【0089】
図9は、P波成分の反射率、及び、S波成分の反射率の、入射角に対する変化の一例を表す。入射角は、基準直線と第1直線L1とにより形成される角度である。また、反射率は、試料2により反射された電磁波の強度の、試料2に入射された電磁波の強度に対する比である。
図9において、曲線LRP、及び、曲線LRSは、P波成分の反射率、及び、S波成分の反射率をそれぞれ表す。
【0090】
図9に表されるように、入射角が0度よりも大きく且つ90度よりも小さい場合、P波成分の反射率とS波成分の反射率とは、互いに異なる値を有する。
【0091】
図10は、P波成分の反射率とS波成分の反射率との差である反射率差の、屈折率に対する変化の一例を表す。
図10において、曲線LA5、及び、曲線LA10は、入射角が5度である場合における反射率差、及び、入射角が10度である場合における反射率差をそれぞれ表す。
図10に表されるように、反射率差は、屈折率が高くなるほど大きくなる。
【0092】
そこで、本例では、記憶部14は、反射率差と、屈折率と、が互いに対応付けられた情報である反射率差屈折率情報を記憶する。従って、推定部15は、検出部13により検出された、第1直線偏波成分の強度、及び、第2直線偏波成分の強度に基づいて反射率差を取得し、取得された反射率差と、記憶部14に記憶されている反射率差屈折率情報と、検出部13により検出された電磁波の強度と、記憶部14に記憶されている屈折率情報と、に基づいて屈折率を推定する。
【0093】
なお、推定部15は、電磁波の強度に代えて、反射率を用いてもよい。また、推定部15は、検出部13により検出された電磁波の強度と、記憶部14に記憶されている屈折率情報と、に基づくことなく、反射率差と、記憶部14に記憶されている反射率差屈折率情報と、に基づいて屈折率を推定してもよい。また、推定部15は、反射率差に代えて、第1直線偏波成分の強度と、第2直線偏波成分の強度と、の差に基づいて屈折率を推定してもよい。
【0094】
以上、説明したように、第2実施形態の推定装置1Aによれば、第1実施形態の推定装置1と同様の作用及び効果が奏される。
更に、第2実施形態の推定装置1Aにおいて、光学系16は、試料2内の焦点位置FPを通る第1直線L1に沿って、電磁波生成部11により生成された電磁波を試料2へ入射させる。検出部13は、焦点位置FPを通り且つ第1直線L1と異なる第2直線L2に沿って、試料2から出射された電磁波を検出する。推定部15は、検出部13により検出された電磁波のうちの、第1直線L1及び第2直線L2を含む基準平面にて電界が振動する第1直線偏波成分の強度と、当該電磁波のうちの、基準平面に直交する方向にて電界が振動する第2直線偏波成分の強度と、に基づいて試料2の屈折率を推定する。
【0095】
これによれば、検出部13により検出された電磁波の強度に加えて、又は、当該強度に代えて、第1直線偏波成分の強度と、第2直線偏波成分の強度と、の差、又は、第1直線偏波成分の反射率と、第2直線偏波成分の反射率と、の差に基づいて屈折率が推定される。従って、高い精度にて屈折率を推定できる。この結果、試料2におけるナノセルロースの凝集度を高い精度にて推定できる。
【0096】
また、第2実施形態の推定装置1Aによれば、テラヘルツ時間領域分光法を用いる推定装置よりも光学部品の数又は大きさを抑制できるので、推定装置1Aを小型化することができる。例えば、推定装置1Aを、試料2を製造する製造装置の近傍に設置しやすくすることができる。
【0097】
なお、第2実施形態の変形例の推定装置1Aは、試料2をxy平面にて移動させる搬送部を備えてもよい。この場合、推定装置1Aは、所定の推定時間が経過する毎に、試料2をxy平面にて移動させることにより、試料2におけるナノセルロースの凝集度を、xy平面における複数の異なる位置にて推定する。これにより、試料2におけるナノセルロースの凝集度の、xy平面における分布を取得できる。
【0098】
また、第2実施形態の変形例の推定装置1Aは、試料2をxy平面にて移動させるとともに、試料2をz方向にて移動させる搬送部を備えてもよい。この場合、推定装置1Aは、所定の推定時間が経過する毎に、試料2をxy平面にて移動させるとともに、試料2をz方向にて移動させることにより、試料2におけるナノセルロースの凝集度を、x方向、y方向、及び、z方向における複数の異なる位置にて推定する。これにより、試料2におけるナノセルロースの凝集度の三次元分布を取得できる。
【0099】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態の推定装置について説明する。第3実施形態の推定装置は、第1実施形態の推定装置に対して、電磁波生成部及び検出部のそれぞれと、試料と、の間の光学系が相違している。以下、相違点を中心として説明する。なお、第3実施形態の説明において、第1実施形態にて使用した符号と同じ符号を付したものは、同一又は略同様のものである。
【0100】
図11に表されるように、第3実施形態の推定装置1Bは、第1実施形態の入射部12に代えて、光学系17を備える。
光学系17は、絞り部171と、第1反射鏡部172と、ビームスプリッタ部173と、第2反射鏡部174と、を備える。
【0101】
絞り部171は、電磁波生成部11と第1反射鏡部172との間にて、電磁波の一部のみを通過させる。絞り部171は、所定の直線に沿って延在する、中空の円錐台筒状である。絞り部171は、電磁波生成部11により生成された電磁波のうちの、一部を通過させるとともに、当該電磁波のうちの、他の部分を反射することにより遮断する。
【0102】
第1反射鏡部172は、電磁波生成部11により生成され、且つ、絞り部171を通過した電磁波を反射することにより、当該電磁波を試料2内の焦点位置FPに集束する。本例では、第1反射鏡部172は、放物面鏡である。本例では、試料2は、z軸に直交する平面(換言すると、xy平面)に沿って延在する平板状である。本例では、第1反射鏡部172は、入射部に対応する。
【0103】
ビームスプリッタ部173は、第1反射鏡部172により反射された電磁波のうちの、一部(本例では、略半分)を透過するとともに、第1反射鏡部172により反射された電磁波のうちの、他の部分を反射する。本例では、ビームスプリッタ部173は、高抵抗シリコンからなるハーフミラーである。なお、ビームスプリッタ部173は、ハーフミラー以外のビームスプリッタであってもよい。
なお、光学系17は、ビームスプリッタ部173と試料2との間にて、電磁波の一部のみを通過させる絞り部を備えていてもよい。
【0104】
ビームスプリッタ部173は、試料2によって反射された電磁波のうちの、一部(本例では、略半分)を透過するとともに、試料2によって反射された電磁波のうちの、他の部分を反射する。
【0105】
第2反射鏡部174は、試料2によって反射され、且つ、ビームスプリッタ部173によって反射された電磁波を反射することにより、当該電磁波を、検出部13へ電磁波が入射する位置に集束する。
なお、光学系17は、第2反射鏡部174と検出部13との間にて、電磁波の一部のみを通過させる絞り部を備えていてもよい。また、光学系17は、放物面鏡に代えて、レンズを備えていてもよい。
【0106】
第3実施形態の記憶部14は、屈折率凝集度情報を記憶する。第3実施形態の推定部15は、検出部13により検出された電磁波の強度に基づいて試料2の屈折率を推定する。
【0107】
図12は、反射率の、屈折率に対する変化の一例を表す。反射率は、試料2により反射された電磁波の強度の、試料2に入射された電磁波の強度に対する比である。
図12に表されるように、反射率は、屈折率が高くなるほど大きくなる。
【0108】
そこで、本例では、記憶部14は、反射率と、屈折率と、が互いに対応付けられた情報である反射率屈折率情報を記憶する。従って、推定部15は、検出部13により検出された電磁波の強度に基づいて反射率を取得し、取得された反射率と、記憶部14に記憶されている反射率屈折率情報と、に基づいて屈折率を推定する。なお、推定部15は、反射率に代えて、電磁波の強度を用いてもよい。
【0109】
以上、説明したように、第3実施形態の推定装置1Bによれば、第1実施形態の推定装置1と同様の作用及び効果が奏される。
【0110】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態の推定装置について説明する。第4実施形態の推定装置は、第1実施形態の推定装置に対して、電磁波生成部及び検出部のそれぞれと、試料と、の間の光学系が相違している。以下、相違点を中心として説明する。なお、第4実施形態の説明において、第1実施形態にて使用した符号と同じ符号を付したものは、同一又は略同様のものである。
【0111】
図13に表されるように、第4実施形態の推定装置1Cは、第1実施形態の入射部12に代えて、光学系18を備える。
光学系18は、絞り部181と、第1レンズ部182と、第2レンズ部183と、第3レンズ部184と、第4レンズ部185と、を備える。
【0112】
絞り部181は、電磁波生成部11と第1レンズ部182との間にて、電磁波の一部のみを通過させる。絞り部181は、試料2内の焦点位置FPと、電磁波生成部11から電磁波が出射される位置と、を結ぶ基準直線LRに沿って延在する、中空の円錐台筒状である。
【0113】
本例では、試料2は、z軸に直交する平面(換言すると、xy平面)に沿って延在する平板状である。本例では、基準直線LRは、z軸に沿って延在する。絞り部181は、電磁波生成部11により生成された電磁波のうちの、一部を通過させるとともに、当該電磁波のうちの、他の部分を反射することにより遮断する。
【0114】
第1レンズ部182は、電磁波生成部11により生成され、且つ、絞り部181を通過した電磁波を基準直線LRに平行な平行光に変換する。換言すると、第1レンズ部182は、電磁波生成部11から電磁波が出射される位置が、第1レンズ部182の焦点に位置する位置を有する。
【0115】
本例では、第1レンズ部182は、ポリテトラフルオロエチレンからなる平凸レンズである。なお、第1レンズ部182は、平凸レンズに代えて、両凸レンズ、又は、凹レンズであってもよい。また、第1レンズ部182は、高抵抗シリコンからなっていてもよい。例えば、高抵抗シリコンは、フロートゾーン法(浮遊鋳造法)を用いて製造される。
【0116】
第2レンズ部183、第3レンズ部184、及び、第4レンズ部185のそれぞれも、第1レンズ部182と同様に、ポリテトラフルオロエチレンからなる平凸レンズである。なお、第2レンズ部183、第3レンズ部184、及び、第4レンズ部185のそれぞれは、平凸レンズに代えて、両凸レンズ、又は、凹レンズであってもよい。また、第2レンズ部183、第3レンズ部184、及び、第4レンズ部185のそれぞれは、高抵抗シリコンからなっていてもよい。
【0117】
第2レンズ部183は、第1レンズ部182を通過した電磁波を集束する。本例では、第2レンズ部183は、試料2内の焦点位置FPが、第2レンズ部183の焦点に位置する位置を有する。
【0118】
このような構成により、第1レンズ部182、及び、第2レンズ部183は、試料2内の焦点位置FPを通る基準直線LRに沿って、電磁波生成部11により生成された電磁波を試料2へ入射させる。本例では、第1レンズ部182、及び、第2レンズ部183は、入射部に対応する。なお、光学系18は、第2レンズ部183と試料2との間にて、電磁波の一部のみを通過させる絞り部を備えていてもよい。
【0119】
第3レンズ部184は、試料2を透過した電磁波を基準直線LRに平行な平行光に変換する。本例では、第3レンズ部184は、試料2内の焦点位置FPが、第3レンズ部184の焦点に位置する位置を有する。なお、光学系18は、第3レンズ部184と試料2との間にて、電磁波の一部のみを通過させる絞り部を備えていてもよい。
【0120】
第4レンズ部185は、第3レンズ部184を通過した電磁波を集束する。本例では、第4レンズ部185は、検出部13へ電磁波が入射する位置が、第4レンズ部185の焦点に位置する位置を有する。なお、光学系18は、第4レンズ部185と検出部13との間にて、電磁波の一部のみを通過させる絞り部を備えていてもよい。また、光学系18は、レンズに代えて、放物面鏡を備えていてもよい。
【0121】
第4実施形態の記憶部14は、屈折率凝集度情報を記憶する。第4実施形態の推定部15は、検出部13により検出された電磁波の強度に基づいて試料2の吸光パラメータを推定する。
【0122】
本例では、記憶部14は、透過率と、吸光パラメータと、が互いに対応付けられた情報である透過率吸光情報を記憶する。透過率は、試料2を透過した電磁波の強度の、試料2に入射された電磁波の強度に対する比である。従って、推定部15は、検出部13により検出された電磁波の強度に基づいて透過率を取得し、取得された透過率と、記憶部14に記憶されている透過率吸光情報と、に基づいて吸光パラメータを推定する。なお、推定部15は、透過率に代えて、電磁波の強度を用いてもよい。
【0123】
以上、説明したように、第4実施形態の推定装置1Cによれば、第1実施形態の推定装置1と同様の作用及び効果が奏される。
【0124】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、上述した実施形態に、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において当業者が理解し得る様々な変更が加えられてよい。
【0125】
推定装置1,1A,1B,1Cは、ナノセルロースの凝集度に代えて、水分子を含む構造を形成する分子鎖であって、ナノセルロースに含まれる分子鎖と異なる分子鎖の凝集度を推定してもよい。
【0126】
なお、水分子を含む構造を形成する分子鎖は、ナノセルロースに例示されるように、親水基(換言すると、親水性基)を有していればよく、特定の化学構造に限定されない。なお、親水基は、例えば、ヒドロキシ基(-OH)、アミノ基(-NH2)、カルボニル基(-CO-)、又は、カルボキシ基(-COOH)等である。
【0127】
また、試料2は、母材を含まなくてもよい。例えば、試料2は、水分子を含む構造を形成する分子鎖を有する材料からなっていてもよい。
また、試料2が母材を含む場合、水分子を含む構造を形成する分子鎖を有する材料の含有量は、0.01~20質量%の範囲内であってよく、好ましくは0.01~15質量%の範囲内であってよく、より好ましくは0.1~10質量%の範囲内であってよく、更に好ましくは0.1~5質量%の範囲内であってよい。
【0128】
また、水分子を含む構造を形成する分子鎖は、例えば、水分子を含む包接化合物の少なくとも一部(例えば、環状の分子鎖)であってよい。例えば、包接化合物は、メタンハイドレートであってよい。また、水分子を含む構造を形成する分子鎖は、シリコーンハイドロゲルの少なくとも一部(例えば、シリコーン)であってよい。また、水分子を含む構造を形成する分子鎖は、トレハロースの少なくとも一部であってよい。この場合、試料2は、食品(例えば、プリン等)であってよい。また、水分子を含む構造を形成する分子鎖は、ポバール樹脂等の親水性樹脂の少なくとも一部であってよいし、ランダムコポリマーの少なくとも一部であってもよい。この場合、試料2は、顔料又は塗料であってよい。更に、この場合、顔料又は塗料の色は、吸着される水分子の状態に応じて変化してよい。
【0129】
例えば、水分子を含む構造を形成する複数の分子鎖を含む試料2は、分子鎖が凝集する構造を有する材料であってよく、特定の化学構造に限定されない。
【0130】
また、試料2を製造するための製造工程において推定装置1,1A,1B,1Cを用いることができるように、例えば、推定装置1,1A,1B,1Cの大きさ、推定装置1,1A,1B,1Cの推定に要する時間、及び、推定装置1,1A,1B,1Cの推定における分解能等が好適に設定されてよい。
【符号の説明】
【0131】
1,1A,1B,1C 推定装置
11 電磁波生成部
12 入射部
13 検出部
14 記憶部
15 推定部
16 光学系
161 絞り部
162 第1レンズ部
163 第2レンズ部
164 第3レンズ部
165 第4レンズ部
17 光学系
171 絞り部
172 第1反射鏡部
173 ビームスプリッタ部
174 第2反射鏡部
18 光学系
181 絞り部
182 第1レンズ部
183 第2レンズ部
184 第3レンズ部
185 第4レンズ部
2 試料
FP 焦点位置
L1 第1直線
L2 第2直線
LR 基準直線