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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-05
(45)【発行日】2023-04-13
(54)【発明の名称】足場板支持用ブラケット
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/06 20060101AFI20230406BHJP
【FI】
E04G5/06 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020173864
(22)【出願日】2020-10-15
(65)【公開番号】P2022065346
(43)【公開日】2022-04-27
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000143558
【氏名又は名称】株式会社国元商会
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】白波瀬 太一
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-070915(JP,A)
【文献】特開2012-225040(JP,A)
【文献】特開2007-170079(JP,A)
【文献】実開昭57-004538(JP,U)
【文献】実開平07-026485(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 5/06
E04G 5/04
E04G 5/02
F16B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設の仮設足場の垂直鋼管に取り付けられる垂直部材と、この垂直部材の上端に内端側が固着された足場板支持用水平部材と、この足場板支持用水平部材の外端側と前記垂直部材の下端側とを連結する斜め支持部材から成り、前記足場板支持用水平部材が、両端側が前記垂直部材と斜め支持部材とに固着される外管と、この外管に対して出し入れ固定自在な内管とから、長さ調整自在に構成された足場板支持用ブラケットにおいて、
前記斜め支持部材の上端に前記外管の先端部下側に当接する上端側取付け部を設け、前記内管の周壁下側に長さ方向に沿って形成されたスリットに相対摺動自在に嵌合する棒状ナットに上下方向に貫通するネジ孔を設け、前記内管のスリットに嵌合する前記棒状ナットと前記外管の先端部、及び前記斜め支持部材の上端側取付け部を上下方向に貫通するリベットによりこれら三者を一体に固着し、前記内管を固定する締結用ボルトは、前記外管の先端部と前記斜め支持部材の上端側取付け部とに設けられた上下方向の貫通孔を経由させて前記棒状ナットのネジ孔に螺合貫通させ、当該締結用ボルトの先端を前記内管の内周面に上向きに押圧させて、当該内管を前記外管に固定出来るように構成された、足場板支持用ブラケット。
【請求項2】
前記棒状ナットの底面は、前記外管の内周面に面接触する横断面円弧形に形成され、当該棒状ナットに設けられたリベット用貫通孔の下端は、前記棒状ナットの底面から突出するように前記リベット用貫通孔と同心状に当該棒状ナットに一体形成された円柱部の下端に開口させ、当該円柱部は、前記外管の周壁に設けられた上下方向の貫通孔内に嵌合している、請求項1に記載の足場板支持用ブラケット。
【請求項3】
前記棒状ナットのネジ孔は、当該棒状ナットの長さ方向の中央に設けられ、前記リベット用貫通孔と前記円柱部は、前記ネジ孔に対し前記棒状ナットの長さ方向の両側2箇所に設けられて、前記リベットは2本使用されている、請求項2に記載の足場板支持用ブラケット。
【請求項4】
前記内管の前記締結用ボルトの先端が当接する周壁部分が、この内管の長さ方向に沿って帯状平坦部に形成されている、請求項1~3の何れか1項に記載の足場板支持用ブラケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設足場の外側に補助の足場板を架設する場合などに活用される足場板支持用ブラケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の足場板支持用ブラケットとして、既設の仮設足場の垂直鋼管に取り付けられる垂直部材と、この垂直部材の上端に内端側が固着された足場板支持用水平部材と、この足場板支持用水平部材の外端側と前記垂直部材の下端側とを連結する斜め支持部材から成り、前記足場板支持用水平部材を、両端側が前記垂直部材と斜め支持部材とに固着される外管と、この外管に対して出し入れ固定自在な内管とから、長さ調整自在に構成された足場板支持用ブラケットが、例えば特許文献1などによって知られている。このような従来周知の足場板支持用ブラケットは、足場板支持用水平部材の外管の周壁下側部に設けられた上下方向の貫通ネジ孔を貫通する締結用ボルトが、内管の周壁下側部に長さ方向に沿って形成されたスリットを貫通して、内管の周壁上側部を上向きに押圧することにより、長さ調整後の内管を外管に固定するように構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-170079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来周知の足場板支持用ブラケットでは、外管の周壁下側部に設けられる上下方向の貫通ネジ孔は、外管の周壁に成形した上向きの短い突出筒状部の内面にネジ溝を加工して構成されていたので、長さは非常に短いものであり、内管が外管に対して軸心周りに自転するのを抑止するのは、実質的には、締結用ボルトが担っていた。このことと、前記のように締結用ボルトが螺合貫通する貫通ネジ孔が非常に短く且つ強度も十分でないため、内管を自転させる方向の大きな外力が作用したとき、締結用ボルトが傾くように変形する恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題点を解消することのできる足場板支持用ブラケットを提案するものであって、本発明に係る足場板支持用ブラケットは、後述する実施例との関係を理解し易くするために、当該実施例の説明において使用した参照符号を括弧付きで付して示すと、既設の仮設足場の垂直鋼管に取り付けられる垂直部材(1)と、この垂直部材(1)の上端に内端側が固着された足場板支持用水平部材(2)と、この足場板支持用水平部材(2)の外端側と前記垂直部材(1)の下端側とを連結する斜め支持部材(3)から成り、前記足場板支持用水平部材(2)が、両端側が前記垂直部材(1)と斜め支持部材(3)とに固着される外管(7)と、この外管(7)に対して出し入れ固定自在な内管(8)とから、長さ調整自在に構成された足場板支持用ブラケットにおいて、
前記斜め支持部材(3)の上端に前記外管(7)の先端部下側に当接する上端側取付け部(23)を設け、前記内管(8)の周壁下側に長さ方向に沿って形成されたスリット(12)に相対摺動自在に嵌合する棒状ナット(18)に上下方向に貫通するネジ孔(20)を設け、前記内管(8)のスリット(12)に嵌合する前記棒状ナット(18)と前記外管(7)の先端部、及び前記斜め支持部材(3)の上端側取付け部(23)を上下方向に貫通するリベット(17a)によりこれら三者を一体に固着し、前記内管(8)を固定する締結用ボルト(32)は、前記外管(7)の先端部と前記斜め支持部材(3)の上端側取付け部(23)とに設けられた上下方向のボルト孔(21a,25a)を経由させて前記棒状ナット(18)のネジ孔(20)に螺合貫通させ、当該締結用ボルト(32)の先端を前記内管(8)の内周面に上向きに押圧させて、当該内管(8)を前記外管(7)に固定出来るように構成されている。
【発明の効果】
【0006】
上記の構成によれば、外管先端部の周壁下側部と斜め支持部材の上端側取付け部とをカシメによって互いに固着している場合と比較して、リベットによって棒状ナットも含む三者を一体に固着する構造であるから、全体の結合強度を大巾に向上させることが出来る。しかも外管先端部の周壁下側部に締結用ボルトを螺合させる貫通ネジ孔を成形する場合と比較して、十分な厚さの棒状ナットの貫通ネジ孔を利用出来るので、締結用ボルトの支持強度が著しく増大する。更に、高さと長さを自由に設定出来る棒状ナットによって、外管に対する内管のスライドを案内出来るので、締結用ボルトで内管のスライドを案内する場合と比較して、内管のスライドも円滑に行わせることが出来、外管から延出している内管に捩じり方向に大きな外力が働いても、棒状ナットによりその外力を受け止めさせることが出来、頑丈なブラケットとして活用出来る。
【0007】
上記本発明を実施する場合、前記棒状ナット(18)の底面(18a)は、前記外管(7)の周壁内面に面接触する横断面円弧形に形成し、当該棒状ナット(18)に設けられたリベット用貫通孔(19a)の下端は、前記棒状ナット(18)の底面(18a)から突出するように前記リベット用貫通孔(19a)と同心状に当該棒状ナット(18)に一体形成された円柱部(18b)の下端に開口させ、前記円柱部(18b)は、前記外管(7)の周壁に設けられた上下方向の貫通孔(21a)内に嵌合させておくことが出来る。この構成によれば、仮に1本のリベットで棒状ナットを、外管の先端部と斜め支持部材の上端側取付け部との固着する場合でも、外管に対する棒状ナットの位置と向きを確実に保持させた状態でリベット操作を行えるので、棒状ナットの取り付け作業を迅速且つ的確に行える。
【0008】
前記棒状ナット(18)のネジ孔(20)は、当該棒状ナット(18)の長さ方向の中央に設け、前記リベット用貫通孔(19a,19b)と前記円柱部(18b,18c)は、前記ネジ孔(20)に対し前記棒状ナット(18)の長さ方向の両側2箇所に設けて、2本のリベット(17a,17b)で棒状ナット(18)、外管の先端部、及び斜め支持部材の上端側取付け部の三者を互いに固着出来るように構成して、より一層締結用ボルトの螺合貫通する部分の強度を高めることが出来る。
更に、前記内管(8)の前記締結用ボルト(32)の先端が当接する周壁部分を、この内管(8)の長さ方向に沿って帯状平坦部(13a)に形成しておくことが出来る。この構成によれば、周方向に円弧形の内管内周面を締結用ボルトの先端で上向きに押圧させる場合と比較して、締結用ボルトの先端面が前記帯状平坦部に面接触する状態で締結用ボルトが回転しするので、内管の内周面や締結用ボルトの先端を損傷させる恐れが少なくなり、しかも前記帯状平坦部(13a)の周方向両側の2か所の角を外管の内周面に押圧させることが出来、内管を外管に対して強力に固定することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明ブラケットの側面図である。
図2図2は、本発明ブラケットの一部を分解した状態の一部縦断側面図である。
図3図3は、足場板支持用水平部材の要部の縦断正面図である。
図4図4は、足場板支持用水平部材の縦断側面図である。
図5図5は、足場板支持用水平部材の外管と斜め支持部材との結合部を示す分解縦断側面図である。
図6図6は、足場板支持用水平部材の外管と斜め支持部材との結合部に使用される棒状ナットを示す斜視図である。
図7図7は、足場板支持用水平部材の外管と斜め支持部材との結合部を示す縦断正面図である。
図8図8Aは、本発明ブラケットを次世代仮設足場に取り付けた状態を示す側面図、図8Bは、本発明ブラケットを門形ユニット利用の仮設足場に取り付けた状態を示す側面図である。
図9図9は、次世代仮設足場に使用されている水平鋼管支持用水平板材を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図に基づいて本発明の好適実施例を説明すると、図1図4に示すように本発明ブラケットは、垂直部材1、この垂直部材1の上端に内端側が固着されて水平に延出する足場板支持用水平部材2、及びこの水平部材2の外端側と前記垂直部材1の下端側とをつなぐ斜め支持部材3から構成されたブラケット本体4と、前記垂直部材1の上端側に取り付けられたパイプクランプ5、及び前記垂直部材1の下端側に取り付けられた受け部材6を備えている。垂直部材1は、横断面がコの字形の棒状材であって、その左右一対の側板部1a,1bをつなぐ正面板部1cの外側にパイプクランプ5と受け部材6が、それぞれ同一構造同一サイズの台座部材33,34を介して取り付けられている。
【0011】
足場板支持用水平部材2は、内端側が垂直部材1に結合されると共に外端が斜め支持部材3に結合される外管7と、この外管7に内嵌して、当該外管7の外端から引き出し可能な内管8、及び内管8の外端に取り付けられた足場板脱落防止板9から構成され、垂直部材1の上端には、左右一対の側板部1a,1bの上端どうしを連結一体化するように一体成型された円筒部1dが設けられ、この円筒部1dに外管7の内端部が貫挿された状態で、カシメ部10によって、垂直部材1と足場板支持用水平部材2の外管7とが互いに直角を成すように一体化されている。この垂直部材1と外管7との結合一体化に際して、外管7の内端部一定長さ部分を垂直部材1の円筒部1dから延出させて、足場板支持領域を拡張する外管延出部7aとし、この外管延出部7aの周壁に、当該外管延出部7aの直径のほぼ3分の1程度の巾で当該外管延出部7aのほぼ全長に及ぶ切欠部11が、当該外管延出部7aの側面視でほぼ中央高さに、左右水平方向(足場板支持用水平部材2の長さ方向を前後方向とし、垂直部材1の長さ方向を上下方向としたときの左右水平方向)に貫通するように設けられている。
【0012】
足場板支持用水平部材2を構成する内管8は、周方向において閉じた円筒状ではなく、中心から真下位置に全長に及ぶスリット12を備えると共に、中心から真上位置と左右両側とに、全長に及ぶ平坦部13a~13cが形成されたものである。足場板脱落防止板9は、内管8の外端に外嵌され且つ左右水平直径方向に貫通するリベットピン14aによって内管8に固着されたキャップ部材14の外側面に固着されている。このキャップ部材14と足場板脱落防止板9との固着方法は特に限定されないが、具体的には、内管8の各平坦部13a~13cから一体に延出させた舌片を、キャップ部材14の底板部と足場板脱落防止板9のそれぞれに設けた3箇所の貫通孔に差し込んだ状態で、足場板脱落防止板9の外側から各舌片をカシメて、キャップ部材14と足場板脱落防止板9とを内管8に固着することが出来る。又、内管8は、キャップ部材14が外管7の外端に当接する収縮限まで内嵌8を外管7内に挿入したとき、内管8の内端が外管7の内端(外管延出部7aの外端)に達する程度の長さであって、この内管8を前記収縮限まで挿入したとき、外管延出部7aと重なる内管8の内端部には、当該外管延出部7aに設けられている前記切欠部11と重なる切欠部15が設けられ、この切欠部15より少し手前の内管8の下側部、即ち、スリット12の両側辺には、互いに先端どうしが接近するように延出する一対の抜け止め用突出片16が設けられている。
【0013】
次に図3図7に基づいて、足場板支持用水平部材2の外管7と斜め支持部材3との結合構造について説明する。この結合には、一対のブラインドリベット17a,17bと棒状ナット18とが使用されている。棒状ナット18は、足場板支持用水平部材2の内管8が備えるスリット12に遊嵌する巾を有する角柱状のものであって、当該棒状ナット18を前記スリット12に嵌合させたときに外管7の内周面に面接触する横断面円弧状の底面18aと、長さ方向の両端近傍位置に底面18aから突出するように一体形成された低い円柱部18b,18cと、これら円柱部18b,18cと同心状に上下方向に貫通するリベット用貫通孔19a,19b、及びこれらリベット用貫通孔19a,19b間の中央位置で底面18aから上面間にわたって貫通する貫通ネジ孔20が設けられている。
【0014】
足場板支持用水平部材2の外管7の外端底部には、棒状ナット18の一対の円柱部18b,18cが嵌合する、外管7の長さ方向一対の貫通孔21a,21bと、棒状ナット18の貫通ネジ孔20と同心状の大径貫通孔22が設けられている。斜め支持部材3は、帯状底板部3aと、当該帯状底板部3aの左右両側辺から外側(垂直部材1のある側とは反対側)に折曲延出する左右一対の側板部3b,3cとを備え、帯状底板部3aは、垂直部材1の正面板部1cより巾が狭く且つ下端側ほど巾が狭まる形状であり、左右一対の側板部3b,3cは、下端側ほど高さが高くなっている。この斜め支持部材3の上端には、外管7の外端底部に沿って外側に折曲延出する上端側取付け部23が形成されている。上端側取付け部23は、帯状底板部3aから一体に連設されて外管7の長さ方向に延出し且つ外管7の外周面に面接触する横断面円弧形の帯状受け板部23aと、左右一対の側板部3b,3cと受け板部23aとにつながる左右一対の低い側板部23b,23cを備えたものであって、受け板部23aには、外管7側の長さ方向一対の貫通孔21a,21bと同心状の一対のブラインドリベット挿通孔25a,25bと、外管7側の大径貫通孔22と同心状の大径貫通孔26とが設けられている。
【0015】
上記構成によれば、棒状ナット18を、その一対の低い円柱部18b,18cが外管7側の長さ方向一対の貫通孔21a,21bに外管7の内側から嵌合させるように配置すると共に、斜め支持部材3の上端側取付け部23の帯状受け板部23aを、その一対のブラインドリベット挿通孔25a,25bが外管7側の一対の貫通孔21a,21bと合致するように外管7の外端底面に当接させる。係る状態で一対のブラインドリベット17a,17bを、斜め支持部材3の上端側取付け部23の下側から、ブラインドリベット挿通孔25a,25bを経由させて、一対の貫通孔21a,21b内に開口している棒状ナット18側のリベット用貫通孔19a,19bに貫通させ、ブラインドリベット17a,17bの頭部が帯状受け板部23aの外側面に圧接する状態でブラインドリベット17a,17bの締結操作を行うことにより、棒状ナット18のリベット用貫通孔19a,19bから外管7内に突出しているブラインドリベット17a,17bの先端部が軸方向に圧縮されて、ブラインドリベット挿通孔25a,25bの内側大径部内に充填され、同時にブラインドリベット17a,17bの締結操作用軸杆が切り離されて除去される。
【0016】
尚、足場板支持用水平部材2の内管8は、先端のキャップ部材14と足場板脱落防止板9を取り付ける前に、外管7の内端側(外管延出部7aのある側)から外管7内に、棒状ナット18がスリット12内を相対移動するように挿入し、この後で先端のキャップ部材14と足場板脱落防止板9を取り付けることが出来る。外管7に対して内管8を組み込んだならば、図4に示すように、斜め支持部材3の上端側取付け部23において互いに同心状に重なる大径貫通孔26,22を経由させて、棒状ナット18の貫通ネジ孔20に締結用ボルト32を垂直上向きに螺合させ、外管7に対して内管8を出し入れして足場板支持用水平部材2の全長を調整した後に、当該締結用ボルト32の先端を内管8の上側の平坦部13aに対し内側から押圧させて内管8を外管7に固定することが出来る。
【0017】
以上のように組み立てられた本発明ブラケットは、図1に示すように、垂直部材1の上端側に取り付けられたパイプクランプ5を、本発明ブラケットの取付け対象である鋼管Pに取り付けると共に、垂直部材1の下端に取り付けられている受け部材6を当該鋼管Pに嵌合させることにより、垂直部材1が鋼管Pと平行になる状態で本発明ブラケットが鋼管Pに固定される。換言すれば、このように本発明ブラケットを鋼管Pに固定出来るように、パイプクランプ5、受け部材6,及び同一構造同一サイズの2つの台座部材33,34が構成されている。又、上記の本発明ブラケットの取付け状態において、足場板支持用水平部材2の内端(外管延出部7aの先端)が鋼管Pに隣接することになるが、両者間の隙間を小さくするために、外管延出部7aの先端は、平面視で鋼管Pの周面に沿う円弧形に形成されている。
【0018】
上記本発明ブラケットの現場での使用方法について説明すると、図8Aは、次世代仮設足場35に本発明ブラケットを取り付けて使用する状態を示している。次世代仮設足場35は、上下方向に継ぎ足し可能な一定長さの垂直鋼管36と、足場巾方向一対の前記垂直鋼管36(図はその外側の垂直鋼管36のみを示している)とを互いに連結する足場板支持用水平鋼管37、及び足場長さ方向に隣り合う前記垂直鋼管36どうしを互いに連結する連結用水平鋼管(図示省略)を現場で組み立てて構成される。垂直鋼管36には、その長さ方向一定間隔おきに水平鋼管支持用水平板材38が取り付けられており、当該水平鋼管支持用水平板材38は、図9に示すように、垂直鋼管36を中心に周方向90度間隔おきに4つの突出部38aを備えた平面視ほぼ十字形のもので、各突出部38aには垂直鋼管36の周面に接する楔孔38bが設けられている。又、足場板支持用水平鋼管37の端部と、図示省略されている連結用水平鋼管の端部(以下、水平鋼管37などの端部と略称する)は、本発明ブラケットにおける足場板支持用水平部材2の外管延出部7aに設けられている切欠部11と同一の切欠部37aと、当該水平鋼管37などの端部を前記切欠部37aと直交する垂直下向きに貫挿させる楔板39aを有する締結用楔手段39を備えている。
【0019】
上記構成の次世代仮設足場35は、垂直鋼管36と足場板支持用水平鋼管37、及び連結用水平鋼管(図示省略)を現場で組み立てて構成されるが、各垂直鋼管36と水平鋼管37などの端部とは、これら水平鋼管37などの端部の切欠部37aを、水平鋼管支持用水平板材38の対応する位置にある突出部38aに嵌合させて、水平鋼管37などの端部を水平鋼管支持用水平板材38に支持させる。この状態で締結用楔手段39が備える楔板39aを、水平鋼管37などの端部に設けられている上下一対の楔孔とその中間に位置する水平鋼管支持用水平板材38の楔孔38bとにわたって上から下向きに圧入させることにより、水平鋼管37などの端部を水平鋼管支持用水平板材38に固定させることが出来る。足場板は、その少なくとも両端2箇所が足場板支持用水平鋼管37に支持される状態で組み込まれる。尚、この次世代仮設足場35は、株式会社千歳商会がリース商品として取り扱っている商品名「アルバトロス 新型くさび緊結式足場」として業界内で知られている。
【0020】
上記構成の次世代仮設足場35に対して本発明ブラケットを取り付けるときは、選択した高さにある足場板支持用水平鋼管37を支持している水平鋼管支持用水平板材38の使用されていない外向きの突出部38aに、本発明ブラケットの足場板支持用水平部材2における外管延出部7aの切欠部11を嵌合させると共に、本発明ブラケットの受け部材6を垂直鋼管36に嵌合させた状態で、パイプクランプ5を垂直鋼管36に嵌合締結させる。この結果、次世代仮設足場35における足場板支持用水平鋼管37と本発明ブラケットにおける足場板支持用水平部材2とが同一高さになり、それぞれが支持する足場板が同一高さで並列することになる。又、次世代仮設足場としては、日建片桐リース株式会社が新世代足場「NDSYSTEM ダーウィン」として取り扱っている商品も存在する。この商品は、垂直鋼管36に取り付けられている水平鋼管支持用水平板材38の突出部38aの上に足場板支持用水平鋼管37や連結用水平鋼管などの端部が載せられた状態で、水平鋼管37などの端部が備える締結用楔手段39の楔板39aが、当該水平鋼管37などを貫通して水平鋼管支持用水平板材38の楔孔38bに打ち込まれる点で先の次世代仮設足場35と異なっているが、このような構造の次世代仮設足場に対しても、本発明ブラケットにおける足場板支持用水平部材2の外管延出部7aを水平鋼管支持用水平板材38の突出部38aの上に載置して使用することが出来る。
【0021】
勿論、本発明ブラケットは、図8Bに示すように、一般的な仮設足場の組立てに使用されている門形ユニット40に対しても使用することが出来る。門形ユニット40は、上下方向に継ぎ足し可能なもので、足場巾方向一対の一定長さの垂直鋼管41(図はその外側の垂直鋼管41のみを示している)と、この一対の垂直鋼管41の上端部どうしを連結一体化する足場板支持用水平鋼管42、上端が足場板支持用水平鋼管42に固着されると共に外向きに湾曲した下端が垂直鋼管41の中間高さ位置に固着された補強用垂直鋼管43、補強用垂直鋼管43の中間高さと垂直鋼管41とを連結一体化する補強用水平鋼管44、及び足場板支持用水平鋼管42から所要距離だけ下方に離れた位置で垂直鋼管41に固着された、先端が補強用垂直鋼管43に向かうブレース係止用ピン45から構成されている。足場板は、その少なくとも両端2箇所が2つの門形ユニット40の足場板支持用水平鋼管42に支持される状態で組み込まれる。
【0022】
上記構成の一般的な仮設足場に使用されている門形ユニット40に本発明ブラケットを取り付けるときは、本発明ブラケットの足場板支持用水平部材2を門形ユニット40の足場板支持用水平鋼管42と同一高さに位置させると共に受け部材6を垂直鋼管41に嵌合させた状態で、パイプクランプ5を垂直鋼管41に嵌合締結させる。このとき足場板支持用水平部材2の外管延出部7aは、その先端が門形ユニット40における垂直鋼管41の上端部周面に隣接している。従って、足場板支持用水平部材2における外管延出部7aの存在により、当該足場板支持用水平部材2における足場板支持領域は、門形ユニット40を構成している垂直鋼管36に隣接する位置まで広げることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の足場板支持用ブラケットは、建設現場などにおいて構築される仮設足場の外側に隣接させて拡幅用の足場を架設する場合に活用することが出来る。
【符号の説明】
【0024】
1 垂直部材
1a 側板部
1b 正面板部
1c 円筒部
2 足場板支持用水平部材
3 斜め支持部材
3a 帯状底板部
3b,3c 側板部
4 ブラケット本体
5 パイプクランプ
6 受け部材
7 外管
7a 外管延出部
8 内管
9 足場板脱落防止板
10 カシメ部
10a 貫通孔の周囲部分
11,15,37a 切欠部
12 スリット
13a~13c 平坦部
14 キャップ部材
14a リベットピン
16 一対の抜け止め用突出片
17a,17b ブラインドリベット
18 棒状ナット
18a 円弧状の底面
18b,18c 低い円柱部
19a,19b リベット用貫通孔
20 貫通ネジ孔
21a,21b 長さ方向一対の貫通孔
22,26 大径貫通孔
23 斜め支持部材の上端側取付け部
23a 横断面円弧形の帯状受け板部
23b,23c 左右一対の低い側板部
25a,25b 一対の挿通孔
32 締結用ボルト
33,34 台座部材
35 次世代仮設足場
36 垂直鋼管
37 足場板支持用水平鋼管
38 水平鋼管支持用水平板材
38a 突出部
38b 楔孔
39 締結用楔手段
39a 楔板
40 門形ユニット
41 垂直鋼管
42 足場板支持用水平鋼管
43 補強用垂直鋼管
44 補強用水平鋼管
45 ブレース係止用ピン
P 鋼管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9