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  • 特許-内燃エンジンを潤滑するための装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-05
(45)【発行日】2023-04-13
(54)【発明の名称】内燃エンジンを潤滑するための装置
(51)【国際特許分類】
   F16C 3/14 20060101AFI20230406BHJP
   F16C 17/02 20060101ALI20230406BHJP
   F16C 33/10 20060101ALI20230406BHJP
   F16N 7/38 20060101ALI20230406BHJP
   F01M 1/06 20060101ALI20230406BHJP
   F16N 7/32 20060101ALN20230406BHJP
【FI】
F16C3/14
F16C17/02 Z
F16C33/10 Z
F16N7/38 A
F01M1/06 A
F01M1/06 B
F16N7/32 C
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018145557
(22)【出願日】2018-08-02
(65)【公開番号】P2019027597
(43)【公開日】2019-02-21
【審査請求日】2021-07-28
(31)【優先権主張番号】10 2017 117 516.4
(32)【優先日】2017-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517449763
【氏名又は名称】エムアーエヌ トラック アンド バス エスエー
【氏名又は名称原語表記】MAN Truck & Bus SE
【住所又は居所原語表記】Dachauer Strasse 667, 80995 Muenchen, Bundesrepublik Deutschland
(74)【代理人】
【識別番号】100105360
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 光治
(72)【発明者】
【氏名】トーマス マリシェフスキー
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク レナー
【審査官】日下部 由泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-130161(JP,A)
【文献】特公昭45-26325(JP,B1)
【文献】特開昭59-147811(JP,A)
【文献】特開2012-117456(JP,A)
【文献】特開2006-299830(JP,A)
【文献】特開平08-270427(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102015110742(DE,A1)
【文献】独国実用新案第29723973(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 3/14,17/02,33/10
F16N 7/38, 7/32
F01M 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのコネクティングロッド(12)に連結されたクランクシャフト(10)を有する内燃エンジンを潤滑するための装置(36)であって、
供給されて来る潤滑流体流の潤滑流体流量を減少させるための少なくとも1つの第1の流量制限装置(57)、特にスロットルと、
前記クランクシャフト(10)を回転可能に支持する複数のクランクシャフト・ベアリング(52)であって、前記少なくとも1つの第1の流量制限装置(57)の下流に流体連通するように設けられた複数のクランクシャフト・ベアリング(52)と、
前記少なくとも1つのコネクティングロッド(12)を回転可能に支持する少なくとも1つのコネクティングロッド大端部ベアリング(54)であって、前記複数のクランクシャフト・ベアリング(52)の中の少なくとも1つのクランクシャフト・ベアリング(52)の下流に流体連通するように設けられた少なくとも1つのコネクティングロッド大端部ベアリング(54)と、
特徴として、
前記内燃エンジンのギア・トレイン(46)のギアを回転可能に支持するための少なくとも1つのギア・トレイン・ベアリング(64)であって、前記少なくとも1つの第1の流量制限装置(57)の下流に流体連通するように設けられる少なくとも1つのギア・トレイン・ベアリング(64)と、
を含む装置(36)
【請求項2】
さらに、前記複数のクランクシャフト・ベアリング(52)の上流に流体連通するように設けられた潤滑流体分配チャネル(56)、特にクランクシャフト・ベアリング・ギャラリと、
前記潤滑流体分配チャネル(56)の下流におよび前記複数のクランクシャフト・ベアリング(52)の中の1つのクランクシャフト・ベアリング(52)の上流に流体連通するようにそれぞれ設けられた複数の潤滑流体供給チャネル(58)と、
を含む、請求項1に記載の装置(36)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1の流量制限装置(57)は、前記潤滑流体分配チャネル(56)の上流に流体連通するように、および/または前記潤滑流体分配チャネル(56)に、設けられるものである、請求項2に記載の装置(36)。
【請求項4】
前記複数の潤滑流体供給チャネル(58)の各々に1つの第1の流量制限装置(57)が配置される、請求項2または3に記載の装置(36)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのコネクティングロッド大端部ベアリング(54)が、前記クランクシャフト(10)の回転位置に関係なく、前記複数のクランクシャフト・ベアリング(52)の中の前記少なくとも1つのクランクシャフト・ベアリング(52)を介して前記少なくとも1つの第1の流量制限装置(57)と実質的に連続的に流体連通するように設けられる、請求項1乃至のいずれかに記載の装置(36)。
【請求項6】
前記クランクシャフト(10)における複数の潤滑流体チャネル(62)、特に複数の潤滑流体孔、および前記複数のクランクシャフト・ベアリング(52)のベアリング・シェルにおける潤滑流体ベアリング溝(60)は、前記少なくとも1つのコネクティングロッド大端部ベアリング(54)と実質的に連続的な流体連通が形成されるような形態で設計されるものである、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つのコネクティングロッド大端部ベアリング(54)は、前記クランクシャフト(10)に設けられた少なくとも1つのクランクシャフト潤滑流体チャネル(62)を介して前記複数のクランクシャフト・ベアリング(52)の中の前記少なくとも1つのクランクシャフト・ベアリング(52)と流体連通するように設けられ、
前記少なくとも1つのクランクシャフト潤滑流体チャネル(62)は、前記クランクシャフト(10)のクランクシャフト・ベアリング・ジャーナル(14)の外周面に開口する少なくとも2つの互いに離間した入口開口部を有するものである、
請求項1乃至6のいずれかに記載の装置(36)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのクランクシャフト潤滑流体チャネル(62)は、クランクシャフト・ベアリング・ジャーナル(14)に貫通孔を有し、および/または
前記複数のクランクシャフト・ベアリング(52)は、少なくとも180°の角度範囲にわたって伸びる潤滑流体ベアリング溝(60)を有するものである、
請求項7に記載の装置(36)。
【請求項9】
さらに、前記少なくとも1つのコネクティングロッド大端部ベアリング(52)の中の1つのコネクティングロッド大端部ベアリング(52)の下流に、特にコネクティングロッド長手方向チャネル(63)を介して、流体連通するように設けられた少なくとも1つのコネクティングロッド小端部ベアリング(65)を有する、請求項1乃至8のいずれかに記載の装置(36)。
【請求項10】
記少なくとも1つのギア・トレイン・ベアリング(64)は、前記潤滑流体分配チャネル(56)下流に流体連通するように設けられるものである請求項乃至9のいずれかに記載の装置(36)。
【請求項11】
カムシャフト(22)を回転可能に支持するための複数のカムシャフト・ベアリング(72)、および/または
複数のカム・フォロワ(28)を回転可能に支持するための複数のカムフォロワ・ベアリング(74)、および/または
前記内燃エンジンの複数のロッカ・アーム(24)上の複数のボール・ジョイント・フット部(34)、および/または
前記少なくとも1つのコネクティングロッド(12)に連結されている前記内燃エンジンの少なくとも1つのピストン(18)に潤滑流体を噴射するための少なくとも1つのピストン冷却ノズル(66)
を含む、請求項1乃至10のいずれかに記載の装置(36)。
【請求項12】
さらに、前記複数のクランクシャフト・ベアリング(52)の、前記複数のカムフォロワ・ベアリング(74)の、および/または前記複数のボール・ジョイント・フット部(34)の上流に流体連通するように設けられた少なくとも1つの第2の流量制限装置(70)、特にスロットル、を含む、請求項11に記載の装置(36)。
【請求項13】
さらに、前記少なくとも1つの第1の流量制限装置(57)の上流に流体連通するように設けられた潤滑流体ポンプ(38)を含み、
特に、前記少なくとも1つの第2の流量制限装置(70)、前記少なくとも1つのギア・トレイン・ベアリング(64)、前記複数のカムシャフト・ベアリング(72)、前記複数のカムフォロワ・ベアリング(74)、前記複数のボール・ジョイント・フット部(34)、および/または前記少なくとも1つのピストン冷却ノズル(66)は、前記潤滑流体ポンプ(38)の下流に流体連通するように設けられるものである、
請求項1乃至12のいずれかに記載の装置(36)。
【請求項14】
前記少なくとも1つのコネクティングロッド大端部ベアリング(54)および/または前記複数のクランクシャフト・ベアリング(52)は、滑り軸受として設計されているものである、請求項1乃至13のいずれかに記載の装置(36)。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれかに記載の装置(36)を有する自動車、特にユティリティ・ビークル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃エンジンを潤滑するための装置、特に内燃エンジンのクランクシャフト・ベアリング(軸受)(Kurbelwellenlagern)およびコネクティングロッド(コンロッド)大端部ベアリング(Pleuelfusslagern:コネクティングロッド足部ベアリング)を潤滑するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃エンジン(機関)の潤滑油回路は、例えば独国特許出願公開第102007058756号で公知である。ここで、第1の油(オイル)流路に少なくとも1つの第1の調整手段を設け、それ(手段)によってその第1の油流路を介して第1の給油部材(Oelabgabeorga)に供給される潤滑油の体積量に影響を与えることができると、想定される。
【0003】
独国特許出願公開第102014105236号には、内燃エンジンのクランクケース内の複数のベアリング位置に潤滑油を供給するための潤滑装置が開示されている。その潤滑装置は分配流路を有し、この分配流路は、潤滑油用の少なくとも1つの弁入口と、供給対象の各ベアリング位置(Lagerstelle)用の少なくとも1つの供給流路とを有し、それ(供給流路)は、分配流路から分岐しており、少なくとも1つの供給出口を有する。
【0004】
現在のエンジンでは、潤滑流体の体積量の約25~35%が、クランクシャフト・ベアリングと、クランクシャフトにおけるコネクティングロッド大端部ベアリングとに通される。両ベアリング中を通る流れ(流量)は、クリアランス公差、直径、ベアリング幅、潤滑流体圧力および潤滑流体温度に依存する。直径およびベアリング幅は、設置空間および強度に関連する理由で一般的に予め決められ、変更することはできない。低い潤滑流体温度では、両ベアリングを通る流量を減少させることができる。しかし、これは、内燃エンジンにおける摩擦の望ましい最小化に反し、それ(摩擦)は油(オイル)温度の上昇と共に減少する。潤滑流体圧力が上昇すると、両ベアリング中を通る流れ(流量)も上昇する。この関係はほぼまたは実質的に線形である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】独国特許出願公開第102007058756号
【文献】独国特許出願公開第102014105236号
【発明の開示】
【0006】
本発明の基礎的な目的は、特により少ない潤滑流体を必要とする、内燃エンジンを潤滑するための改良された装置を実現することであり、それによって、例えば、より小さい設計の潤滑流体ポンプを使用することが可能になる。
【0007】
発明の概要
その目的は、独立請求項に記載の装置によって達成される。有利な展開形態は、従属請求項および説明に記載されている。
【0008】
その装置(デバイス)は、少なくとも1つのコネクティングロッド(Pleuel:コンロッド、連接棒)に連結されたクランクシャフトを有する内燃エンジンを潤滑するのに適している。その装置は、当該少なくとも1つの第1の流量制限装置に供給されて来る(geleiteten、passed to:に送られて来る、に通される)潤滑流体流(stream)の潤滑流体流量(flow rate:流速、流率)を減少させるための少なくとも1つの第1の流量制限装置(flow rate limiter、Durchflussmengenbegrenzer)、特にスロットルまたは制限器(throttle、restrictor、Drossel)、を有する。その装置(デバイス)は、クランクシャフトを回転可能に支持するための複数のクランクシャフト・ベアリングを有する。複数のクランクシャフト・ベアリングは、少なくとも1つの第1の流量制限装置の下流に流体連通するように設けられる。その装置は、少なくとも1つのコネクティングロッドを回転可能に支持するための少なくとも1つのコネクティングロッド大端部ベアリングを有する。少なくとも1つのコネクティングロッド大端部ベアリングは、複数のクランクシャフト・ベアリングの中の少なくとも1つのクランクシャフト・ベアリングの下流に流体連通するように設けられる。
【0009】
少なくとも1つの第1の流量制限装置は、クランクシャフト・ベアリングおよび少なくとも1つのコネクティングロッド大端部ベアリングに通される(に供給される)潤滑流体の体積量を選択的に減少させる。それらのベアリングでは、潤滑流体は(次の)2つの主な仕事を行う。一方では、潤滑流体によって、純粋に流体力学的な摩擦が確保され、他方では、潤滑流体は、ベアリング摩擦によって形成された熱を放散(放出)する。流体力学的クリアランス・フィルム(隙間膜)の厚さは油圧の関数ではない、と認識されている。その代わりに、潤滑膜の厚さは、潤滑流体の粘度と、ベアリングにおける表面圧力とに、決定的に(大きく)依存する。従って、例えばユティリティ・ビークル(Nuzfarzeug:商用車)の場合に最大で約2kg/分までのように、小さいベアリング流量でも、ベアリング摩擦に起因する熱を放散するのに充分である。従って、少なくとも1つの第1の流量制限装置による潤滑流体の体積量の選択的な低減によって、純粋に流体力学的な摩擦の形成も、熱放散も、損なわれることはない。潤滑流体の体積量/潤滑流体圧力の選択的な低減によって、内燃エンジンを潤滑するのに必要な全体的な潤滑流体流量を減少させることができる。従って、より小さい設計の潤滑流体ポンプを使用することができ、例えば、潤滑流体ポンプ用の駆動力を低減することができる。
【0010】
特に、クランクシャフト・ベアリングは、クランクシャフトのクランクシャフト・ベアリング・ジャーナル(zapfen:軸頸)上に配置することができ、少なくとも1つのコネクティングロッド大端部ベアリングは、クランクシャフトの少なくとも1つのコネクティングロッド大端部ベアリング・ジャーナル上に配置することができる。
【0011】
例示的な一実施形態において、その装置(潤滑する装置)は、複数のクランクシャフト・ベアリングの上流に流体連通するように設けられた潤滑流体分配チャネル(流路)を有する。特に、潤滑流体分配チャネルは、クランクシャフト・ベアリング・ギャラリ(galerie:回廊)として設計することができる。さらに、その装置は、複数の潤滑流体供給チャネルを有することができ、それ(チャネル)は、それぞれ、潤滑流体分配チャネルの下流に、および複数のクランクシャフト・ベアリングの中の1つのクランクシャフト・ベアリングの上流に、流体連通するように、設けられる。潤滑流体分配チャネルおよび潤滑流体供給チャネルを介して、第1の流量制限装置からクランクシャフト・ベアリングに潤滑流体を供給することができる。
【0012】
展開形態において、少なくとも1つの第1の流量制限装置は、潤滑流体分配チャネルの上流に流体連通するように、および/または潤滑流体分配チャネルに、設けられる。この種の実施形態では、可能性として、特に、単一の流量制限装置のみが必要とされ、その配置によって、全てのクランクシャフト・ベアリングおよびコネクティングロッド大端部ベアリングの潤滑流体の体積量が減少する。
【0013】
特に、少なくとも1つの第1の流量制限装置は、クランクシャフト・ベアリング・ギャラリに一体化することができる。
【0014】
別の例示的な実施形態において、1つの第1の流量制限装置が、複数の潤滑流体供給チャネルのそれぞれに配置される。従って、各潤滑流体供給チャネルに1つの流量制限装置が必要である。これは、例えば、内燃エンジンの整備期間中でのアクセスを改善するために有利であり得る。
【0015】
特に好ましい変形実施形態において、少なくとも1つのコネクティングロッド大端部ベアリングは、クランクシャフトの回転位置に関係なく、複数のクランクシャフト・ベアリングの中の少なくとも1つのクランクシャフト・ベアリングを介して、少なくとも1つの第1の流量制限装置と実質的に連続的に流体連通するように設けられる。それによって、低いまたは少ない潤滑流体流量であっても、確実に、コネクティングロッド大端部ベアリングを充分に潤滑することができる。高速のエンジン速度での加圧潤滑流体の不連続供給の問題は、コネクティングロッド・ベアリング・ボア(孔)におけるキャビテーションまたは空洞現象(cavitation)にある。ここで、潤滑流体は、遠心力に起因して気化(蒸発)し得る。結果的に生じる蒸気の気泡はゆっくりと爆発を形成し、その蒸気の気泡によって、コネクティングロッド大端部ベアリングへの潤滑流体の流れが確実に制限される。持続的または連続的な流体連通で、キャビテーションの危険性を大幅に低減することができる。
【0016】
1つの変形実施形態において、クランクシャフトにおける複数の潤滑流体チャネル、特に複数の潤滑流体孔(ボア)、および複数のクランクシャフト・ベアリングの複数のベアリング・シェル(軸受胴)における複数の潤滑流体ベアリング溝(grooves)は、少なくとも1つのコネクティングロッド大端部ベアリングと実質的な流体連通が形成される形態で、設計される。
【0017】
別の変形実施形態において、少なくとも1つのコネクティングロッド大端部ベアリングは、クランクシャフトに設けられた少なくとも1つのクランクシャフト潤滑流体チャネルを介して、複数のクランクシャフト・ベアリングの中の少なくとも1つのクランクシャフト・ベアリングと流体連通するように設けられる。例えば、クランクシャフト潤滑流体チャネルは、クランクシャフトに複数の相互接続された孔を含むことができる。
【0018】
展開形態において、少なくとも1つのクランクシャフト潤滑流体チャネルは、クランクシャフトのクランクシャフト・ベアリング・ジャーナルの外周面に開口する少なくとも2つの互いに離間した入口開口部を有する。それとは対照的に、既知のクランクシャフト潤滑流体チャネルは、クランクシャフト・ベアリング・ジャーナルの領域に唯一のボアまたは孔(ブラインド・ホール(Sacklochbohrung))を有し、この場合、クランクシャフトの回転位置に応じて、コネクティングロッド大端部ベアリングとの連続的な流体連通ができない(許容されない)。
【0019】
特に、複数の入口開口部は、特にクランクシャフト・ベアリングの潤滑流体ベアリング溝の形成との組合せで、少なくとも1つのコネクティングロッド大端部ベアリングと実質的に連続的な流体連通が得られる形態で、配置することができる。
【0020】
好ましい変形実施形態において、少なくとも1つのクランクシャフト・ベアリング流体チャネルは、クランクシャフト・ベアリング・ジャーナルに貫通孔を有する。その貫通孔は、例えば、クランクシャフトの長手方向軸に対して実質的に垂直に伸びることができる。その貫通孔は製造が容易であり、その貫通孔によって、クランクシャフト潤滑流体チャネル用の2つの入口開口部が形成され、従って少なくとも1つのコネクティングロッド(大端部)ベアリングとの連続的な流体連通が形成できる。
【0021】
一実施形態において、複数のクランクシャフト・ベアリングの各々は、少なくとも180°の角度範囲にわたって伸びる潤滑流体ベアリング溝を有する。コネクティングロッド(大端部)ベアリングに流体連通するクランクシャフト潤滑流体チャネルの対応して配置された複数の入口開口部との組合せることによって、連続的な流体連通を有効化することが可能である。
【0022】
別の例示的な実施形態において、その装置は、さらに、少なくとも1つのコネクティングロッド大端部ベアリングの中の1つのコネクティングロッド大端部ベアリングの下流に、特にコネクティングロッド長手方向チャネル(例えば、コネクティングロッド長手方向孔(ボア))を介して、流体連通するように設けられた少なくとも1つのコネクティングロッド小端部ベアリング(Pleuelkopflager:コネクティングロッド頭部ベアリング)を有する。
【0023】
少なくとも1つのコネクティングロッド小端部ベアリングは、好ましくは、滑り軸受として設計することができる。
【0024】
少なくとも1つのコネクティングロッド小端部ベアリングは、内燃エンジンのピストンを、コネクティングロッド上に、例えばピストン・ピンを介して、回転可能に支持することができる。
【0025】
別の実施形態において、その装置は、さらに、内燃エンジンのギア・トレインの歯車(Rads、wheel:ホイール)を回転可能に支持するための少なくとも1つのギア・トレイン・ベアリングを有し、特に、少なくとも1つのギア・トレイン・ベアリングは、潤滑流体分配チャネルおよび/または少なくとも1つの第1の流量制限装置の下流に流体連通するように設けられる。従って、その装置は、例えば、カムシャフト・ドライブのベアリング、PTO(パワー・テイクオフ)のベアリング、高圧ポンプのベアリングおよびファン・ギアホイール(歯車)のベアリング、などのギア・トレイン(ベアリング)の複数の部品の(ギア)ホイールまたは歯車を潤滑するのにも、使用することができる。
【0026】
別の例示的な実施形態において、その装置は、カムシャフトを回転可能に支持するための複数のカムシャフト・ベアリング、カムフォロワを回転可能に支持するための複数のカムフォロワ・ベアリング、内燃エンジンの複数のロッカ・アーム上の複数のボール・ジョイント(球継ぎ手)フット部(足状部)(Kugelfuesse、ball-joint feet)、および/または、少なくとも1つのコネクティングロッドに連結されたピストンである内燃エンジンの少なくとも1つのピストンに潤滑流体を噴射または噴霧するための少なくとも1つのピストン冷却ノズル、を有する。従って、その装置に供給される潤滑流体は、内燃エンジンの多数の部品を潤滑するのに使用することができる。
【0027】
特に、内燃エンジンのシリンダ・ヘッドには、カムシャフト、複数のロッカ・アーム、複数のカムフォロワ、複数のカムフォロワ・ベアリング、および複数のボール・ジョイント・フット部が設けられている。
【0028】
展開形態において、その装置は、複数のクランクシャフト・ベアリングの、複数のカムフォロワ・ベアリングの、および/または、複数のボール・ジョイント・フット部の、上流側に、流体連通するように設けられた、少なくとも1つの第2の流量制限装置、特にスロットルまたは制限器を有する。それによって、カムシャフト・ベアリング、カムフォロワ・ベアリングおよび/またはボール・ジョイント・フット部、への潤滑流体流量を低い値に設定することも可能である。これによって、設計の潤滑流体ポンプをより小型にし、および潤滑流体ポンプ用の駆動電力をより低くすることが、可能になる。
【0029】
特に、少なくとも1つの第1の流量制限装置および少なくとも1つの第2の流量制限装置は、それぞれ供給される潤滑流体流を相異なる度合に低減することができる。それによって、流量制限装置の下流に設けられた各部品に所要の体積(量)の潤滑流体を選択的に設定することが可能である。その選択的な設定によって、必要となる潤滑流体の全体積量をさらに最適化することが可能になり、従ってその装置の潤滑流体ポンプをより小さい設計にすることができる。
【0030】
1つの変形実施形態において、その装置は、さらに、少なくとも1つの第1の流量制限装置の上流に流体連通するように設けられた潤滑流体ポンプを有する。少なくとも1つの第2の流量制限装置、少なくとも1つのギア・トレイン・ベアリング、複数のカムシャフト・ベアリング、複数のカムフォロワ・ベアリング、複数のボール・ジョイント・フット部、および/または少なくとも1つのピストン冷却ノズルは、潤滑流体ポンプの下流に流体連通するように設けられることが、好ましい。
【0031】
少なくとも1つの第1の流量制限装置および少なくとも1つの第2の流量制限装置は、その装置の潤滑流体ポンプの下流に流体連通するように設けることができることが、好ましい。一方で少なくとも1つの第1の流量制限装置に通じ、他方で少なくとも1つの第2の流量制限装置に通じる1つの分岐部が、潤滑流体ポンプの下流に設けられることが、好ましい。
【0032】
その装置は、潤滑流体ポンプの下流に流体連通するように設けられた、特に、潤滑流体フィルタおよび/または潤滑流体冷却器を、さらに有することができる。
【0033】
潤滑流体フィルタおよび潤滑流体冷却器は、直列に配置することができ、特に、潤滑されおよび/または冷却されるベアリング、ベアリング位置、等の上流に流体連通するように設けることが、可能である。
【0034】
また、潤滑流体ポンプの下流側に、潤滑流体フィルタと潤滑流体冷却器が互いに並列になるように設けることも、可能である。潤滑流体ポンプの後、潤滑流体は、潤滑流体冷却器と潤滑流体フィルタの間に並列に分配配置することができる。潤滑流体フィルタの下流で、潤滑流体は、例えば、全ての潤滑点(ベアリング、ベアリング位置)に通すことができる。潤滑流体冷却器の下流で、潤滑流体は、例えばピストン冷却ノズルに(排他的に)通すことができる。
【0035】
潤滑流体は、潤滑流体回路を形成するように、複数の潤滑点(ベアリング、ベアリング位置、等)の下流の潤滑流体ポンプに通すことができることが、好ましい。
【0036】
好ましい例示的な実施形態において、少なくとも1つのコネクティングロッド大端部ベアリングおよび/または複数のクランクシャフト・ベアリングは滑り軸受として設計される。
【0037】
別の態様によれば、本発明は、ここに開示される内燃エンジンを潤滑するための装置を有する自動車、特にユティリティ・ビークル(商用車)(例えば、バスまたは貨物自動車(Lastkraftwagen:トラック))に関する。
【0038】
しかし、ここで開示されるような潤滑するための装置は、自動車には使用されない内燃エンジン、例えば、固定式(定置式)内燃エンジン、船舶、列車、等の内燃エンジンに使用することも可能である。
【0039】
本発明の上述の好ましい実施形態および特徴は、任意の所望の形態で互いに組み合わせることができる。本発明の他の詳細および利点を、図面を参照して以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は、コネクティングロッドに連結されたクランクシャフトの概略図を示している。
図2図2は、カムシャフト、ロッカ・アームおよびエンジン・バルブを有するバルブ・トレインの概略図を示している。
図3図3は、内燃エンジンを潤滑するための装置の概略図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0041】
各図に示された実施形態は、互いに少なくとも部分的に対応し、従って、同様のまたは同じ部分には同じ参照符号を付して、それらを説明するために、繰り返しを避けるために他の実施形態または図の説明を参照する。
【0042】
理解を向上させるために、図1および2を参照して、例示的な内燃エンジンの多数の構成要素または部品をまず説明する。これらの構成要素は、図3を参照してより詳細に説明するように設けられ、ここに開示される潤滑装置によって潤滑流体が供給される。
【0043】
図1は、内燃エンジンのクランクシャフト10およびコネクティングロッド12を示している。内燃エンジンは、例えばバスまたは貨物自動車のような、ユティリティ・ビークル(商用車)に含まれるものであってもよい。
【0044】
クランクシャフト10は、ベアリング・ジャーナル14および16を交互に有する。クランクシャフト10は、複数のベアリング・ジャーナル14を介して、滑り軸受として設計された複数のクランクシャフト・ベアリングによって複数のベアリング・ブロックにおいて回転可能に支持される。複数のコネクティングロッド12のコネクティングロッド大端部は、滑り軸受として設計された複数のコネクティングロッド大端部ベアリングにおけるベアリング・ジャーナル16に回転可能に支持される。複数のコネクティングロッド12は、複数のピストン18を支持する。複数のピストン18は、それぞれ内燃エンジンの動作期間中にシリンダ内で前後に移動する。
【0045】
内燃エンジンの動作期間において、例えば、ベアリング・ジャーナル14および16における滑り軸受は、潤滑されなければならない。さらに、複数のシリンダ内で往復運動または前後に移動する複数のピストン18は、潤滑されなければならない。
【0046】
バルブ・トレイン(Ventiltrieb:弁機構、弁駆動装置)20が図2に示されている。バルブ・トレイン20は、カムシャフト22、ロッカ・アーム24、およびエンジン・バルブ26、例えば入口弁または出口弁、を有する。内燃エンジンは、複数のシリンダおよび複数の入口および出口弁に対して、複数のバルブ・トレイン20を有することができる。
【0047】
ロッカ・アーム24のカムフォロワ28は、カムシャフト22のカム30のカム輪郭(contour)に追従する。カムフォロワ28は、例えば、カムフォロワ・ピボットを中心に回転可能なローラとして設計することができる。ロッカ・アーム24は、ロッカ・アーム・ピボット32の周りに(を中心に)回転可能である。ロッカ・アーム24は、カムフォロワ28がカム30のバルブリフト領域と接触すると、ボール・ジョイント・フット部(“象の足状部”)34を介して、エンジン・バルブ26を作動させる。
【0048】
内燃エンジンの動作期間において、回転可能なカムフォロワ28およびボール・ジョイント・フット部34は、例えば、潤滑流体で潤滑されなければならない。潤滑流体は、例えば、ロッカ・アーム・ピボット32およびロッカ・アーム24内の潤滑流体チャネルを介して供給することができる。
【0049】
図3は、内燃エンジンの複数の構成要素(部品)を潤滑するための装置36を示している。装置36は、潤滑流体ポンプ38、潤滑流体冷却器40、潤滑流体フィルタ(濾過器)42、および潤滑される種々の領域44、46、48および50を有する。
【0050】
潤滑流体ポンプ38は、潤滑流体、例えば油(オイル)、を吸入する。潤滑流体ポンプ38によって供給される潤滑流体流は、潤滑流体を冷却するために潤滑流体冷却器40に通される。冷却された潤滑流体流は、潤滑流体フィルタ42に通される。その冷却され濾過された潤滑流体流は、潤滑流体フィルタ42の下流において、内燃エンジンの複数の構成要素(部品)を潤滑し冷却するのに利用可能である。
【0051】
潤滑される領域44、46、48および50は、潤滑流体ポンプ38、潤滑流体冷却器40および潤滑流体フィルタ42の下流に流体連通するように設けられる。
【0052】
領域44は、クランクシャフト・ベアリング52、およびクランクシャフト10(図1参照)におけるコネクティングロッド大端部ベアリング54に関係する。潤滑流体分配チャネル56は、複数の潤滑流体供給チャネル58(図示の実施形態では6つ)相互間に受け入れられる(収容される)潤滑流体流を分配する。スロットルまたは制限器57は、潤滑流体分配チャネル56の上流に設けられる。
【0053】
スロットル57によって、潤滑される領域44、46への潤滑流体流を減少させることができる。減少された潤滑流体流によって、潤滑される他の領域48、50に、より多くの潤滑流体が利用可能になり、および/または、潤滑流体ポンプ38をより小さくすることができ、従ってより安価にすることができる。スロットル57に代えてまたは加えて、例えば各潤滑流体供給路58に或るスロットルを設けることができる。
【0054】
潤滑流体供給チャネル58は、クランクシャフト10が複数のベアリング・ジャーナル14(図1参照)によって回転可能に支持されているクランクシャフト・ベアリング(主ベアリング)52へと潤滑流体を搬送する。コネクティングロッド大端部ベアリング54は、クランクシャフト・ベアリング52の下流に流体連通するように設けられる。コネクティングロッド大端部ベアリング54は、クランクシャフト10のベアリング・ジャーナル16上で回転可能にコネクティングロッド12を支持する(図1参照)。
【0055】
潤滑流体供給チャネル58は、クランクシャフト10用の複数のベアリング・ブロック内に少なくとも部分的に伸び(図1参照)、潤滑流体流(ストリーム)をクランクシャフト・ベアリング52へと搬送する。潤滑流体流は、クランクシャフト・ベアリング52におけるベアリング溝60を介して、クランクシャフト潤滑流体チャネル62に達する。特に、ベアリング溝60は、クランク・ベアリング52の上側ベアリング・シェルに配置することができる。複数のクランクシャフト・ベアリング流体チャネル62は、潤滑流体流を複数のコネクティングロッド大端部ベアリング54へと搬送する。複数のクランクシャフト潤滑流体チャネル62は、それぞれ、複数のベアリング・ジャーナル14の中の1つのジャーナルから複数のベアリング・ジャーナル16の中の1つのジャーナルまで、クランクシャフト10内で伸びることができる(図1参照)。
【0056】
スロットル57は、ベアリング52、54への潤滑流体流量を減少させる。減少した潤滑流体流量でも、コネクティングロッド大端部ベアリング54を確実に充分に潤滑するために、潤滑流体の連続的な供給が可能となる形態で、コネクティングロッド大端部ベアリング54への流体的な接続を設計することが必要になることがある。考察中の例示的な実施形態では、従って、クランクシャフト潤滑流体チャネル62は、それぞれ、1つのベアリング・ジャーナル14に2つの入口開口部を有する(図1参照)。その両入口開口部は、少なくとも180°にわたって伸びる複数のクランクシャフト・ベアリング52のベアリング溝60との組合せで、複数のクランクシャフト・ベアリング52の複数のベアリング溝60および複数のクランクシャフト潤滑流体チャネル62を介して、潤滑流体供給チャネル58とコネクティングロッド大端部ベアリング54の間に実質的に連続的な流体連通が、クランクシャフト10の回転位置に関係なく確保される形態で、配置される(図1も参照)。各潤滑流体流路62用の2つの入口開口部を形成するための変形例、特に設計が簡単なその変形例が、ベアリング・ジャーナル14に貫通孔を設けることによって(図1と同様)、利用可能になる。また、他の実施形態では、様々な設計または方法を使用して、複数の潤滑流体供給チャネル58と複数のコネクティングロッド大端部ベアリング54の間での実質的に連続的な流体連通を可能にすることもできる。
【0057】
幾つかの例示的な実施形態において、例えば、図1および3に示された例では、複数のコネクティングロッド小端部ベアリング65を、複数のコネクティングロッド大端部ベアリング54の下流に流体連通するように追加的に設けることができる。その流体連通は、コネクティングロッド18(12)における、コネクティングロッド長手方向チャネル63、例えば穿設されたコネクティングロッド長手方向チャネル、を介して、形成することができる。ピストン18は、複数のコネクティングロッド小端部ベアリング65を介して、ピストン・ピン(図示せず)によって、コネクティングロッド12に回転可能に連結することができる。
【0058】
スロットル57および潤滑流体分配チャネル56の下流において、潤滑される内燃エンジンのギア・トレイン(Raedertriebs、wheel train:ギア(歯車)機構、ホイール・トレイン)の複数の構成要素(部品)は、領域46において共に概略的にグループ化されている。潤滑されるギア・トレイン46の複数のギア・トレイン・ベアリング64は、例えば、カムシャフト・ドライブ(駆動装置)のベアリング、PTO(Nebenantriebs:パワー・テイクオフ)のベアリング、内燃エンジンの高圧ポンプのベアリング、およびファン・ギアホイール(Luefterzahnrads:ファン歯車)のベアリング、とすることができる。
【0059】
潤滑され冷却される領域48は、潤滑流体フィルタ42、潤滑流体冷却器40および潤滑流体ポンプ38の下流に流体連通するように設けられる。潤滑され冷却される領域48はピストン冷却ノズル66を有する。ピストン冷却ノズル66を介して、各シリンダ内のピストン18の往復運動を潤滑しピストン18を冷却するために、ピストン18に下方から潤滑流体が噴射または噴霧される。追加的な冷却のために、複数のピストン18に、ピストン冷却チャネル(図示せず)を設けることができる。複数のピストン冷却ノズル66への潤滑流体流は、弁またはバルブ68によって制御することができる。
【0060】
潤滑される領域50は、潤滑される内燃エンジンのシリンダ・ヘッドの複数の構成要素または部品に関係する。潤滑される領域50は、潤滑流体フィルタ42、潤滑流体冷却器40および潤滑流体ポンプ38の下流に流体連通するように設けられる。領域50への潤滑流体流は、第2(別)のスロットルまたは制限器70によって設定することができる。潤滑流体流が減少することによって、他の領域44、46、48を潤滑するのにより多くの潤滑流体が利用可能になり、および/または、潤滑流体ポンプ38をより小さくすることができ、従ってより安価にすることができる。
【0061】
シリンダ・ヘッド内で、カムシャフト22のカムシャフト・ベアリング72に(図1参照)、潤滑流体が供給される。例えば、内燃エンジンの入口弁および出口弁用の共通のカムシャフトを設けることができる。しかし、入口弁および出口弁に別々のカムシャフトを設けることも可能である。
【0062】
さらに、潤滑流体は、複数のロッカ・アーム24に、例えばロッカ・アーム・ピボット32を介して通される(図1図2)参照)。潤滑流体は、複数のカムフォロワ28の複数のベアリング74を潤滑し、複数のロッカ・アーム24の複数のボール・ジョイント・フット部34を潤滑するのに使用することができる(同様に図1図2)参照)。
【0063】
装置36は、内燃エンジンの複数の構成要素(部品)を潤滑するための他のベアリング位置76を有することができる。例えば、ターボチャージャ(過給機)の回転軸のベアリングに潤滑流体を供給することができる。
【0064】
本発明は、上述の好ましい例示的な実施形態に限定されない。それどころか、本発明の概念を同様に利用し、従って保護の範囲内に入る多数の変形例および変更が可能である。特に、本発明は、引用する請求項とは関係なく、従属請求項の構成および特徴の保護も請求する。特に、従属請求項の特徴は、独立請求項1における少なくとも1つの第1のスロットルの存在とは関係なく、開示されている。
【符号の説明】
【0065】
10 クランクシャフト
12 コネクティングロッド
14 ベアリング・ジャーナル
16 ベアリング・ジャーナル
18 ピストン
20 バルブ・トレイン
22 カムシャフト
24 ロッカ・アーム
26 エンジン・バルブ
28 カムフォロワ
30 カム
32 ロッカ・アーム・ピボット
34 ボール・ジョイント・フット部(ゾウの足状部)
36 潤滑するための装置
38 潤滑流体ポンプ
40 潤滑流体冷却器
42 潤滑流体フィルタ
44 潤滑される領域(クランクシャフト・ベアリングおよびコネクティングロッド大端部ベアリング)
46 潤滑される領域(ギア・トレイン)
48 潤滑される領域(ピストン冷却ノズル)
50 潤滑される領域(シリンダ・ヘッド)
52 クランクシャフト・ベアリング(主ベアリング)
54 コネクティングロッド大端部ベアリング
56 潤滑流体分配チャネル
57 第1のスロットルまたは制限器
58 潤滑流体供給チャネル
60 ベアリング溝
62 クランクシャフト潤滑流体チャネル
63 コネクティングロッド長手方向チャネル
64 ギア・トレイン・ベアリング
65 コネクティングロッド小端部ベアリング
66 ピストン冷却ノズル
68 弁
70 第2のスロットルまたは制限器
72 カムシャフト・ベアリング
74 カムフォロワ・ベアリング
76 ベアリング位置
図1
図2
図3