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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-05
(45)【発行日】2023-04-13
(54)【発明の名称】物品販売機
(51)【国際特許分類】
   G07F 9/10 20060101AFI20230406BHJP
   G07F 11/58 20060101ALI20230406BHJP
   F25D 23/12 20060101ALI20230406BHJP
   F25D 17/08 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
G07F9/10 101B
G07F9/10 101C
G07F11/58 D
F25D23/12 N
F25D23/12 P
F25D17/08 302
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018213261
(22)【出願日】2018-11-13
(65)【公開番号】P2020080073
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】722012006
【氏名又は名称】サンデン・リテールシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 昭
(72)【発明者】
【氏名】笠間 英樹
(72)【発明者】
【氏名】市川 法昭
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-008610(JP,A)
【文献】特開2006-133950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 9/10
G07F 11/58
F25D 23/12
F25D 17/08
A47F 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面が開口し内部に物品を収納する庫室を有する矩形箱状のキャビネットと、
前記キャビネットの前面を閉塞する扉部と、
前記キャビネットに備えられ、前記庫室を循環する空気と熱交換して前記庫室を温調する熱交換器と、を備えた物品販売機であって、
前記庫室は、隔壁によって上下に、互いに異なる温度帯に設定される上部庫室と下部庫室とに区画され、
前記上部庫室から温調風を吸い込み前記熱交換器に導く第1の吸気口が、前記庫室の前後の面または左右の面の一方のうちの少なくとも1つの面に配置され、前記下部庫室から温調風を吸い込み前記熱交換器に導く第2の吸気口が、前記庫室の前記前後の面または前記左右の面の他方のうちの少なくとも1つの面に配置されることを特徴とする物品販売機。
【請求項2】
前記第2の吸気口は、前記下部庫室の前面に設けられ、
前記第1の吸気口は、前記上部庫室の左右いずれかまたは両方の面に設けられることを特徴とする請求項1に記載の物品販売機。
【請求項3】
前記上部庫室に前記熱交換器からの温調風を排出する第1の吹出口は、前記上部庫室の後面に配置され、
前記下部庫室に前記熱交換器からの温調風を排出する第2の吹出口は、前記下部庫室の後面に配置されることを特徴とする請求項2に記載の物品販売機。
【請求項4】
前記熱交換器は、前記下部庫室の下方に配置され、
前記下部庫室の後方に、前記熱交換器と前記上部庫室との間を互いに隣接して上下方向に延びる第1のダクトと第2のダクトを備え、
前記第1のダクトは、上部に前記第1の吹出口を有し、
前記第2のダクトは、上部に前記上部庫室への開口部を有するとともに前記下部庫室に面して前記第2の吹出口を有し、
前記第2のダクトに、前記第2の吹出口よりも上方への温調風の移動を抑制するフラップを備えたことを特徴とする請求項3に記載の物品販売機。
【請求項5】
前記庫室に上下方向に並べて配置され、前記物品を保持する複数の棚と、
販売指令に基づいて前記棚に保持されている物品を前記棚から前方に搬出する搬出機構と、
前記キャビネットの内部の前記棚の前方に上下方向に移動可能に配置され、前記搬出機構によって前記棚から前方に搬出された物品を受け入れて、前記キャビネットの前記棚の下方に設けられた取出口に搬送するバケットと、
前記棚の前方の前記バケットが移動する空間を前記隔壁の上下位置で上下に区画する補助隔壁と、を備え、
前記補助隔壁に前記上部庫室と前記下部庫室との間で空気を流通させるファンを備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の物品販売機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を自動的に販売する物品販売機において、庫内の温調風の循環構造に関する。
【背景技術】
【0002】
箱状のキャビネット内に設けられた棚に複数の種類の物品を収納し、購入者が選択した物品を自動的に搬出する構成の物品販売機が使用されている。例えば、特許文献1に記載された物品販売機(自動販売機)では、キャビネット内に上下方向に複数並べて配置された棚の前方を上下方向に移動するバケット(キャッチャーバケット)を備え、購入者が選択した物品を搬出機構によって棚から前方に押し出し、当該棚の前方に移動したバケットに物品を搬出する。そして、物品を載せたバケットを物品販売機の下部に設けられた物品取出口に相対する下方位置まで移動して、当該物品取出口から購入者が物品を取り出すことが可能な構造となっている。
【0003】
また、特許文献2には、物品販売機(自動販売機)の庫内を温調するための温調風の循環構造が開示されている。特許文献2の物品販売機では、庫室(商品収納庫)の下方にエバポレータ等の熱交換器を備えるとともに、庫室の後方にダクトを備え、エバポレータによって熱交換された温調風が庫内の前部で上方に移動し、庫内を前方から後方に通過して、後方のダクトを介して蒸発器に戻って循環するように構成されている。
また、特許文献3には、ヒータで加温される上室と、冷却装置で冷却される下室とに断熱仕切板で区分された物品販売機(自動販売機)の構成が開示されている。このような物品販売機では、例えば上室はホット飲料用として55℃程度に加温され、下室はコールド飲料用として5℃程度に冷却されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-176497号公報
【文献】特許第3720889号公報
【文献】特開2000-331232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年では、複数の種類の物品を収納する物品販売機において、ホット飲料とコールド飲料のような組み合わせだけでなく、例えば弁当のように加温飲料の温度より低いが冷却飲料の温度より高い温度で保管を要するものと通常の冷却飲料のように、物品の種類に応じて異なる温度で収納可能にすることが要求されてきている。
【0006】
このように庫内を異なる温度に温調する物品販売機においては、例えば特許文献2のように庫室の下方に設けた1つの熱交換器を用いて温調風を循環させる構造では、庫内を一つの設定温度にするものの外部からの侵入熱などによりなりゆきで、庫内の上部が高い温度に庫内の下部が低い温度になることがあるが、庫内の上部と下部とを個々に所望の設定温度に正確に維持することが困難である。
【0007】
庫内を分割して個々に熱交換器を設ければ、異なる所望の設定温度に維持することは可能であるものの、熱交換器が少なくとも2個必要になり部品コストの増加を招くとともに、熱交換器の設置スぺースが増加して物品販売機全体の大型化あるいは庫室の小型化を招いてしまう虞がある。
【0008】
また、例えば特許文献3のように、ヒータと冷却装置で、上下室を加温、冷却する場合、個々を所望の温度に維持することができるものの、加温設定温度より低く、冷却設定温度より高い温度に設定し、かつ正確に維持することが困難である。
【0009】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであって、簡単な構成で1つの熱交換器によって2個の庫室を異なる所望の温度に設定可能にする物品販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の物品販売機は、前面が開口し内部に物品を収納する庫室を有する矩形箱状のキャビネットと、前記キャビネットの前面を閉塞する扉部と、前記キャビネットに備えられ、前記庫室を循環する空気と熱交換して前記庫室を温調する熱交換器と、を備えた物品販売機であって、前記庫室は、隔壁によって上下に、互いに異なる温度帯に設定される上部庫室と下部庫室とに区画され、前記上部庫室から温調風を吸い込み前記熱交換器に導く第1の吸気口が、前記庫室の前後の面または左右の面の一方のうちの少なくとも1つの面に配置され、前記下部庫室から温調風を吸い込み前記熱交換器に導く第2の吸気口が、前記庫室の前記前後の面または前記左右の面の他方のうちの少なくとも1つの面に配置されることを特徴とする。
【0011】
また、好ましくは、前記第2の吸気口は、前記下部庫室の前面に設けられ、前記第1の吸気口は、前記上部庫室の左右いずれかまたは両方の面に設けられるとよい。
【0012】
また、好ましくは、前記上部庫室に前記熱交換器からの温調風を排出する第1の吹出口は、前記上部庫室の後面に配置され、前記下部庫室に前記熱交換器からの温調風を排出する第2の吹出口は、前記下部庫室の後面に配置されるとよい。
【0013】
また、好ましくは、前記熱交換器は、前記下部庫室の下方に配置され、前記下部庫室の後方に、前記熱交換器と前記上部庫室との間を互いに隣接して上下方向に延びる第1のダクトと第2のダクトを備え、前記第1のダクトは、上部に前記第1の吹出口を有し、
前記第2のダクトは、上部に前記上部庫室への開口部を有するとともに前記下部庫室に面して前記第2の吹出口を有し、前記第2のダクトに、前記第2の吹出口よりも上方への温調風の移動を抑制するフラップを備えるとよい。
【0014】
また、好ましくは、前記庫室に上下方向に並べて配置され、前記物品を保持する複数の棚と、販売指令に基づいて前記棚に保持されている物品を前記棚から前方に搬出する搬出機構と、前記キャビネットの内部の前記棚の前方に上下方向に移動可能に配置され、前記搬出機構によって前記棚から前方に搬出された物品を受け入れて、前記キャビネットの前記棚の下方に設けられた取出口に搬送するバケットと、前記棚の前方の前記バケットが移動する空間を前記隔壁の上下位置で上下に区画する補助隔壁と、を備え、前記補助隔壁に前記上部庫室と前記下部庫室との間で空気を流通させるファンを備えるとよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、キャビネットに備えられた熱交換器から上部庫室及び下部庫室の夫々に温調風を供給して循環させることで、上部庫室と下部庫室とを互いに異なる温度帯に設定することが可能となる。
【0016】
上部庫室から温調風を吸い込み熱交換器に導く第1の吸気口が、庫室の前後の面または左右の面の一方に配置され、下部庫室から温調風を吸い込み熱交換器に導く第2の吸気口が、庫室の前後の面または左右の面の他方に配置されるので、第1の吸気口を介して上部庫室と熱交換器とをつなぐ温調風の流路と、第2の吸気口を介して下部庫室と熱交換器とをつなぐ温調風の流路とを、別々に設置することが可能となる。これにより、上部庫室を循環する温調風の風量と、下部庫室を循環する温調風の風量とを個々に設定することが可能となる。
【0017】
また、第1の吸気口と第2の吸気口とが庫室の互いに異なる面に配置されるので、夫々の吸気口を通過する温調風の流路を、互いに邪魔にならずに流路面積を大きく設定することができ、上部庫室及び下部庫室を効率よく温調することができる。
【0018】
これにより、コンパクトな構成で1個の熱交換器によって上部庫室及び下部庫室を互いに異なる所望の温度に設定可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態の物品販売機の概略外部形状を示す斜視図である。
図2】本実施形態の物品販売機の内部構造を示す縦断面図である。
図3】冷却風循環用のダクトの位置を説明するためのキャビネット内部の斜視図である。
図4】後部ダクトの形状を説明するためのキャビネットの縦断面図である。
図5】ダクトの開口部を説明するためのキャビネット内部の縦断面図である。
図6】下部ダクト内のファン及び蒸発器の配置を示す説明図である。
図7】冷却風の循環経路を示すキャビネットの縦断面図である。
図8】第2の棚の下部に庫内隔壁を設置した場合での、上部庫室における温調風の循環経路を説明するためのキャビネットの上部の縦断面図である。
図9】第1の棚の下部に庫内隔壁を設置した場合での、上部庫室における温調風の循環経路を説明するためのキャビネットの上部の縦断面図である。
図10】他の実施形態の物品販売機における冷却風の循環経路を示すキャビネットの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図1は、本実施形態の物品販売機の概略外部形状を示す斜視図である。図2は、物品販売機の内部構造を示す縦断面図である。
【0022】
図1に示すように、物品販売機1は、物品を収納する本体ユニット2と、操作ユニット3を備えている。
【0023】
本体ユニット2は、前面を開口した箱型に形成され、前面開口を覆うドア5(扉部)を備えた箱状のキャビネット4を有している。また、キャビネット4の内部には、物品を収納する物品収納部6(庫室)が設けられている。
【0024】
操作ユニット3は、本体ユニット2の側方に隣接して配置され、物品の選択スイッチと、紙幣、硬貨等の受容や釣銭の払い出し、あるいは電子マネー等による料金の決済を行う課金部とを備えている。操作ユニット3は、課金部において料金の決済が行われ、選択スイッチにより物品の選択操作がされることで、販売指令を本体ユニット2に送信する。
【0025】
図1、2に示すように、本体ユニット2のドア5の前面上部には、透明のガラスや樹脂によって形成された透明板10によって内部が視認可能な構成になっている。ドア5の下部には、矩形状の物品取出口11(取出口)が備えられている。物品取出口11には、矩形板状の取出口シャッター12が設けられている。取出口シャッター12は、物品取出口11の上部縁部に前後方向に揺動可能に支持されている。取出口シャッター12は、上下方向に延びる閉塞位置で物品取出口11を閉塞し、この閉塞位置から下部を後方に揺動させることで、物品取出口11が開口する。
【0026】
キャビネット4の内部の物品収納部6は、上下方向に間隔をおき、前部を開口した複数個(例えば6個)の棚13a~13fが配置されて構成されている。物品収納部6における最下段の棚13fは上下方向に収納空間が大きく、例えば500mlのペットボトル飲料のように上下方向に比較的大きい物品を収納する一方、最上段の第1の棚13aは上下方向に収納空間が小さく、比較的小さい物品を収納する。棚13a~13fは、ドア5を開いた状態で夫々前方から挿入されてキャビネット4内に配置される。
【0027】
更に、本実施形態の物品収納部6は、断熱材によって平板状に形成された庫内隔壁40が着脱可能に備えられている。庫内隔壁40がキャビネット4の内部に装着された状態では、物品収納部6は庫内隔壁40によって上部庫室6aと下部庫室6bの上下2つの庫室に区画される。これらの2つの庫室6a、6bは互いに温度帯が異なるように設定される。例えば、6段の棚13a~13fのうち、上方から2段までの第1の棚13a及び第2の棚13bを内部に備える上部庫室6aは、庫内温度を20℃程度に設定し、弁当等を収納する一方、下方の4段の棚13c~13fを備える下部庫室6bは、庫内温度を4℃に設定して、飲料等が収納される。一方、庫内隔壁40がキャビネット4から取り外された状態では、物品収納部6は1つの庫室となって、略同一の温度帯に設定される。
【0028】
庫内隔壁40は、キャビネット4の左右の内壁面に備えられた図示しないレールに前方から挿入してキャビネット4内に配置される。キャビネット4には、庫内隔壁40が上方から3段までの棚13a、13b、13cのいずれかの下部に選択的に位置することが可能となるように夫々レールが備えられている。
【0029】
また、夫々の棚13a~13fには、左右方向に並べて複数個の搬出機構14が備えられている。搬出機構14は、例えばスパイラル状の金属棒を回転させる機構やベルトコンベアによって構成されている。棚13a~13fには、搬出機構14毎に前後方向に並べて物品が収納されており、任意の搬出機構14の作動によって、1つずつ棚13a~13fの前方に押し出されるようにして搬出される。
【0030】
棚13a~13fの前端部とドア5の前面である透明板10との間には、バケット30が移動するスペース(以降、バケット移動空間21と言う)が設けられている。
【0031】
バケット30は、棚13a~13fの左右方向と略同一の長さで構成され、バケット移動空間21を上下方向に移動可能に配置されている。バケット30は、キャビネット4の内部に設けられた図示しないアクチュエータによって上下方向に移動し、バケット30の底板31の後端部が各棚13a~13fの底板と略同一の高さとなる位置に移動可能であるとともに、最下方に移動した際に後述するバケット30の天板32が最下段の棚13fの底面よりも下方に位置するように移動可能となっている。なお、最下方に移動したバケット30の位置が待機・取出位置であり、この待機・取出位置において、バケット30の前面に物品取出口11が位置し、取出口シャッター12を開けることで、バケット30内に手を入れることが可能となっている。
【0032】
更に、キャビネット4の内部のバケット移動空間21には、バケット移動空間21を上下に区画する補助隔壁41が備えられている。補助隔壁41は透明の樹脂等によって板状に形成されている。補助隔壁41は、例えばキャビネット4の前部の左右の内壁面に備えられた図示しないガイドに沿って、バケット移動空間21を上下方向に移動可能に配置されている。バケット30が補助隔壁41の下方に位置する場合には、補助隔壁41は庫内隔壁40と同一の上下位置に位置し、バケット移動空間21を上下に区画する。したがって、補助隔壁41は、上部庫室6aと下部庫室6bとがバケット移動空間21で連通しないように設けられている。一方、バケット30が補助隔壁41の下方から上方に移動した際には、補助隔壁41は、バケット30の天板32に載って、バケット30とともに庫内隔壁40よりも上方に移動することで、バケット30が上部庫室6a側へ移動することを可能にしている。
【0033】
本体ユニット2の内部には、物品収納部6の下方に機械室22が備えられている。機械室22には、冷媒を循環させる冷却機器における凝縮器23a、凝縮器用のファン23b、圧縮機23cが備えられている。機械室22の前部及び後部は、外部と連通している。また、機械室22と最下段の棚13fとの間には、下部ダクト24が備えられている。下部ダクト24には、冷却機器における蒸発器23d(熱交換器)及び蒸発器23d用のファン23eが備えられている。ファン23eは、蒸発器23dの後方に配置され、下部ダクト24の前方から後方に向けて空気の流れを発生させる。なお、機械室22を除くキャビネット4の内部には、外部との熱交換を抑制するために断熱材が設けられている。また、ドア5の透明板10については、断熱性の高いものが望ましい。
【0034】
下部ダクト24の後部は、物品収納部6の後方を上下方向に延びる後部ダクト25と連通している。更に物品収納部6の上方には、前後方向に延びる上部ダクト26が備えられている。
【0035】
上部ダクト26の前方の開口部は、バケット移動空間21の上部に向けて開口している。更に、上部ダクト26の前方の開口部の上部縁部には、前方に向かって下方に例えば45度の角度で傾斜する導風板27が設けられている。
【0036】
一方、下部ダクト24の前端部には、バックパネル28が設けられている。バックパネル28は、上下方向に延びて、下部ダクト24とその前方のバケット移動空間21とを区画する。更に、バックパネル28の上部は、上方に向かって後方に傾斜する傾斜部28aを有している。傾斜部28aには、複数の通気孔28cが設けられている。通気孔28cは、傾斜部28aのほぼ全域に亘って、例えば略1cm間隔で前後左右に複数個並べて設けられた直径数mm程度の穴である。
【0037】
なお、下部庫室6b内の空気を下部ダクト24に導くバケット移動空間21からバックパネル28の通気孔28cまでが、本発明の第2の吸気口に該当する。
【0038】
また、上部ダクト26内には、電気ヒータ45が備えられるとともに、上部ダクト26内を後方から前方に向けて空気の流れを発生されるヒータファン46を備えている。
【0039】
図3は、冷却風循環用のダクトの位置を説明するためのキャビネット4内部の斜視図である。図4は、後部ダクト25の形状を説明するためキャビネット4の内部を後方に見た縦断面図である。図5は、ダクトの開口部を説明するためのキャビネット4内部の縦断面図である。なお、図3~5においては、棚13a~13f、物品収納部6と下部ダクト24とを上下に区画する隔壁、バックパネル28、バケット30の記載を省略している。
【0040】
図3~5に示すように、キャビネット4の内部には、上記の下部ダクト24、後部ダクト25及び上部ダクト26の他に、更に物品収納部6の左右に夫々側部ダクト50a、50bを備えている。
【0041】
側部ダクト50a、50bは、キャビネット4の左右の側壁に沿って上下方向に延びるように配置され、左側部ダクト50a及び右側部ダクト50bを有している。左右の側部ダクト50a、50bの下部には、夫々、下部ダクト24に面して開口する矩形状の下部開口部51a、51bを有している。左右の側部ダクト50a、50bの上部には、上部庫室6aあるいは下部庫室6bに面して開口する4つの側部開口部52a、52b、52c、52dを有している。側部開口部52a、52b、52c、52dは、上下方向に並んで配置され、最も上方に位置する第1の側部開口部52aは、上部ダクト26と最上段の第1の棚13aとの間の上下位置に配置される。上方から2番目に位置する第2の側部開口部52bは、第1の棚13aと上方から2番目の第2の棚13bとの間の上下位置に配置される。上方から3番目に位置する第3の側部開口部52cは、第2の棚13bと上方から3番目の第3の棚13cとの間の上下位置に配置される。側部開口部52a、52b、52c、52dのうち最下方に位置する第4の側部開口部52dは、第3の棚13cと上方から4番目の第4の棚13dとの間の上下位置に配置される。
【0042】
後部ダクト25は、左右に3分割されており、左後部ダクト25a(第1のダクト)
、中央後部ダクト25b(第2のダクト)及び右後部ダクト25c(第1のダクト)を有している。後部ダクト25a、25b、25cのいずれも上端が上部ダクト26に開口し、下端が下部ダクト24に開口している。なお、左後部ダクト25a及び右後部ダクト25cの上端の開口部56は、本発明の第1の吹出口に該当する。3つの後部ダクト25a、25b、25cのうち左右方向中央部に位置する中央後部ダクト25bには、物品収納部6に面して、即ち前方に向けて開口した矩形状の3つの後部開口部53a、53b、53cを備えている。後部開口部53a、53b、53cは、中央後部ダクト25bと略同一の左右長さであり、上下方向に並んで配置されている。3つの後部開口部53a、53b、53cのうち、最も上方に位置する第1の後部開口部53aは、第1の棚13aと第2の棚13bとの間に配置される。上方から2番目に位置する第2の後部開口部53bは、第2の棚13bと第3の棚13cとの間に配置される。後部開口部53a、53b、53cのうち最も下方に位置する第3の後部開口部53cは、第3の棚13cと第4の棚13dとの間に配置される。更に、中央後部ダクト25bには、第1の棚13aより上方に物品収納部6に面して後部開口部57が備えられている。
【0043】
一方、3つの後部ダクト25a、25b、25cのうち左側に位置する左後部ダクト25aと右側に位置する右後部ダクト25cは、下部ダクト24と上部ダクト26との間で、物品収納部6に向けて開口する開口部を有していない。
【0044】
後部開口部53a、53b、53cの後方側の上部縁部には、後部開口部53a、53b、53cを開閉する後部フラップ54a、54b、54cが夫々備えられている。後部フラップ54a、54b、54cは、中央後部ダクト25bの左右幅と略同一の左右幅であり、上部を回転中心として中央後部ダクト25b内で下部が前後に回動する。
【0045】
後部フラップ54a、54b、54cは、図示しないスプリング等によって下端が前方に回動するように付勢されている。なお、後部フラップ54a、54b、54cは、後部開口部53a、53b、53cに対して、上下寸法が短く構成されている。したがって、後部フラップ54a、54b、54cが後部開口部53a、53b、53cを閉状態としても、完全には後部開口部53a、53b、53cが閉鎖されず、後部フラップ54a、54b、54cの下方に開口部が存在する。したがって、後部開口部53a、53b、53cは少なくとも一部が開口した常時開状態となるように構成されている。後部フラップ54a、54b、54cは、下端がキャビネット4の後壁に接触するまで後方へ回動可能である。後部フラップ54a、54b、54cの下端が後壁に接触した状態では、後部フラップ54a、54b、54cが当該接触位置において中央後部ダクト25bを上下に遮蔽する。
【0046】
側部開口部52a、52b、52c、52dの上側縁部には、側部開口部52a、52b、52c、52dを開閉する側部フラップ55a、55b、55c、55dが夫々備えられている。側部フラップ55a、55b、55c、55dは、図示しないスプリング等によって側部開口部52a、52b、52c、52dが閉状態になるように構成されている。
【0047】
庫内隔壁40が、上方から3番目までの棚13a、13b、13cのいずれかの下部に選択的に挿入された際に、庫内隔壁40に最も近い上方の側部開口部52a、52b、52c、52dが開口するように側部フラップ55a、55b、55c、55dが側方に回動されるとともに、庫内隔壁40に最も近い下方の後部フラップ54a、54b、54cが後壁に接触するように後方に回動されるように構成されている。例えば図3~5に示すように、庫内隔壁40が上から2番目の棚13bと3番目の棚13cとの間に設置された場合には、上から2番目の左右の側部フラップ55bが左右方向外方に回動して第2の側部開口部52bを開口する一方、上から2番目の後部フラップ54bが後方に回動して第2の後部開口部53bを大きく開口するとともに中央後部ダクト25bにおける後部フラップ54bから上方への冷却風の移動を妨げる。
【0048】
キャビネット4内には、第1の棚13a、第2の棚13b、第3の棚13cの上側に近接して夫々温度センサ58a、58b、58cが設けられている。
【0049】
図6は、下部ダクト24内のファン23e及び蒸発器23dの配置を示す説明図である。図6は、下部ダクト24内を上方から視た図である。
【0050】
図6に示すように、下部ダクト24において蒸発器23dの後方に設けられたファン23eは、4つのファン23f~23iを左右に並べて構成されている。また、下部ダクト24には、冷却風を導く隔壁60a、60b、60cが備えられている。蒸発器23dの前後を区画する隔壁60aは、下部ダクト24の前方のバックパネル28の通気孔28cを通過した冷却風と、下部ダクト24の側方に連通する側部ダクト50a、50bの下部開口部51a、51bを通過した冷却風が蒸発器23dの前方に導かれるように構成されている。また、隔壁60bは、蒸発器23dとファン23eとの間に設けられ、蒸発器23dを通過した冷却風が、右側2つのファン23h、23iと左側2つのファン23f、23gに分けて導かれるように構成されている。隔壁60cは、ファン23eと後部ダクト25との間に設けられ、4つのファン23f、23g、23h、23iのうち、中央部の2つのファン23g、23hによって下部ダクト24の後方に導かれた冷却風が、中央後部ダクト25bに導かれる。左側のファン23fによって後方に導かれた冷却風は、一部が中央後部ダクト25bに導かれる一方、残部が左後部ダクト25aに導かれる。右側のファン23iによって後方に導かれた冷却風は、一部が中央後部ダクト25bに導かれる一方、残部が右後部ダクト25cに導かれる。
【0051】
4つのファン23f~23iは、キャビネット4の内部に備えられた図示しないコントロールユニットによって作動制御される。
【0052】
コントロールユニットは、温度センサ58a、58b、58cの検出値と、図示しない温度設定装置によって設定された温度とに基づいて、4つのファン23f、23g、23h、23iを含む冷却機器と、電気ヒータ45及びヒータファン46を作動制御することで、上部庫室6a及び下部庫室6bの夫々の温度制御を行う。例えば、上部庫室6aに弁当を収納し、下部庫室6bに飲料を収納する場合には、上部庫室6aを20℃、下部庫室6bを4℃に設定する。
【0053】
図7は、冷却風の循環経路を示すキャビネット4の縦断面図である。図7は、図4に冷却風の循環経路を矢印で追加した図である。図8及び図9は、上部庫室6aにおける温風の循環経路を説明するためのキャビネット4の上部の縦断面図である。図8は、第2の棚13bの下部に庫内隔壁40を設置した場合、図9は、第1の棚13aの下部に庫内隔壁40を設置した場合を示している。
【0054】
図7に示すように、冷却機器の圧縮機23c及びファン23bを作動させるとともに、下部ダクト24内のファン23e(23f~23i)を作動させることで、蒸発器23dを通過して冷却された冷却風が、下部ダクト24から後部ダクト25(25a、25b、25c)の下部に流入する。後部ダクト25のうち、左後部ダクト25a及び右後部ダクト25cに流入した冷却風は、左後部ダクト25a及び右後部ダクト25cの夫々の上部の開口部56から上部ダクト26に移動し、上部ダクト26を後方から前方へ移動して、バケット移動空間21の上部に流入する。なお、バケット移動空間21は、補助隔壁41によって上下に仕切られているので、バケット移動空間21の上部に流入した冷却風は、庫内隔壁40の上方で後方に向かって移動し、庫内隔壁40の上方で開口している側部開口部52bへ流入する。図7においては、補助隔壁41が上から2番目の第2の棚13bの下部に設置されているので、側部開口部52a~52dのうち、上から2番目の第2の側部開口部52bが開口する。そして、冷却風は左右の側部ダクト50a、50b内を下方に移動して下部ダクト24の蒸発器23dの前面に移動する。このように、庫内隔壁40の上方の上部庫室6aは、左後部ダクト25a及び右後部ダクト25cと、左右の側部ダクト50a、50bを利用して冷却風が循環し、上部庫室6a内の第1の棚13a及び第2の棚13bに収納した物品を冷却する。なお、図7のように、補助隔壁41が上から2番目の棚13bの下部に設置されている場合には、庫内隔壁40の上方で開口している側部開口部52bが本発明の第1の吸気口に該当し、庫内隔壁40の下方で開口している後部開口部53b、53cが本発明の第2の吹出口に該当する。
【0055】
一方、後部ダクト25のうち、中央後部ダクト25bに流入した冷却風は、庫内隔壁40によって後方へ開作動された後部フラップ54bによって、中央後部ダクト25bが上下に仕切られることで、当該開作動した後部フラップ54bよりも上方への移動が規制される。これにより、中央後部ダクト25bに流入した冷却風の全てが下部庫室6bに、特にその多くが庫内隔壁40に最も近い下方の後部開口部53bから下部庫室6bに流入する。下部庫室6bに流入した冷却風は、下部庫室6b内を前方に移動し、バケット移動空間21を下方に移動して、バックパネル28の通気孔28cから下部ダクト24の前部に流入する。このように、庫内隔壁40の下方の下部庫室6bは、中央後部ダクト25b及びバケット移動空間21における補助隔壁41よりも下部の空間を利用して、冷却風が循環し、下部庫室6b内の棚13c~13fに収納した物品を冷却する。
【0056】
また、コントロールユニットは、現状の温度と設定温度を比較して、上部庫室6aを加熱する必要がある場合には、左右のファン23f、23iを停止させ、電気ヒータ45及びヒータファン46を作動させる。
【0057】
図8に示すように、第2の棚13bの下部に庫内隔壁40を設置した場合には、電気ヒータ45によって加熱された上部ダクト26内の空気は、上部ダクト26の前方の開口部から補助隔壁41よりも上部のバケット移動空間21に移動し、上部庫室6aを前方から後方に移動して、庫内隔壁40よりも上方の後部開口部である第1の後部開口部53aまたは後部開口部57、庫内隔壁40よりも上部の中央後部ダクト25bを通過して、上部ダクト26の後部に移動する。このように、左右のファン23f、23iを停止させ、電気ヒータ45及びヒータファン46を作動させることで、庫内隔壁40の上方の上部庫室6aは、庫内隔壁40よりも上部の中央後部ダクト25bを利用して温風が循環し、上部庫室6a内の第1の棚13a及び第2の棚13bに収納した物品を加熱する。
【0058】
図9に示すように、第1の棚13aの下部に庫内隔壁40を設置した場合には、電気ヒータ45によって加熱された上部ダクト26内の空気は、上部ダクト26の前方の開口部から補助隔壁41よりも上部のバケット移動空間21に移動し、上部庫室6aを前方から後方に移動して、庫内隔壁40よりも上方の後部開口部である後部開口部57、庫内隔壁40よりも上部の中央後部ダクト25bを通過して、上部ダクト26の後部に移動する。このように、第1の棚13aの下部に庫内隔壁40を設置した場合においても、左右のファン23f、23iを停止させ、電気ヒータ45及びヒータファン46を作動させることで、庫内隔壁40の上方の上部庫室6aは、庫内隔壁40よりも上部の中央後部ダクト25bを利用して温風が循環し、上部庫室6a内の第1の棚13aに収納した物品を加熱する。
【0059】
なお、図8においては左右の第2の側部開口部52bを開閉する左右の側部フラップ55bが、図9においては左右の第1の側部開口部52aを開閉する左右の側部フラップ55aが、側部ダクト50a、50b内に押し開かれて開口している。しかし、下部ダクト24内の左右のファン23f、23iが停止しているので、左右の後部ダクト25a、25cから上部ダクト26を介して上部庫室6aへ冷却風が供給されない。換言すると、左右の後部ダクト25a、25c、上部ダクト26、第1または第2の側部開口部52a、52b、左右の側部ダクト50a、50b、下部ダクト24の順番に空気が流通せず、上部庫室6a内を循環する空気は、第1または第2の側部開口部52a、52bから流出することができない。したがって、第1の側部開口部52aあるいは第2の側部開口部52bが開口していても上部庫室6aを電気ヒータ45で加温することができる。また、中央後部ダクト25bは、第1または第2の後部開口部53a、53bを開閉する後部フラップ54a、54bが中央後部ダクト25b内に押し開かれていることから、当該位置で閉鎖(閉塞)されており、下部ダクト24から上部庫室6a内へ冷却温調風を供給することはできない。
【0060】
以上のように、本実施形態では、キャビネット4の後部に上部庫室6a及び下部庫室6bに冷却風を供給する後部ダクト25を備え、キャビネット4の側部に上部庫室6aから冷却風を排出する側部ダクト50a、50bを備えたので、下部庫室6bの冷却風の循環経路とは独立して、上部庫室6aから蒸発器23dを備えた下部ダクト24との間で冷却風を循環させることができる。そして、4つのファン23f、23g、23h、23iの回転速度を制御することで、上部庫室6aに循環する冷却風の風量と下部庫室6bを循環する冷却風の風量とが夫々制御され、上部庫室6a及び下部庫室6bを効率的に温度設定することができる。特に、後部ダクト25と側部ダクト50a、50bとは、異なる面(キャビネット4の後側と左右側)に配置したので、通路断面積を夫々大きく確保することができ、冷却効率を向上させることができる。
【0061】
そして、異なる温度に設定する上部庫室6a及び下部庫室6bの夫々を、下部ダクト24に備えた1つの蒸発器23dを使用して冷却させることができる。したがって、上部庫室6a用の蒸発器をキャビネット4内の上部に新たに設けるよりも、部品点数を低減してコストを抑制することができるとともに、キャビネット4の小型化あるいは物品収納部6の大型化を図ることができる。
【0062】
なお、本発明は上記の実施形態に限定するものではない。
【0063】
例えば、上記実施形態では、上部庫室6a及び下部庫室6bの左右に側部ダクト50a、50bを備えているが、左右のいずれか一方だけに側部ダクトを備えてもよい。
【0064】
また、上記実施形態において、後部フラップ54a~54cをアクチュエータによって回動させる構造とし、当該アクチュエータの回動角度を制御可能な構造にしてもよい。後部フラップ54a~54cの後方への回動角度を大きく制御することで、中央後部ダクト25bを上方へ移動する冷却風のうち、後方へ回動した後部フラップ54a~54cが配置された後部開口部53a~53cから、後部開口部53a~53cが位置する13a~13fと棚13a~13fとの間に流入する冷却風の風量が多くなる。
【0065】
したがって、コントロールユニットによって、各温度センサ58a、58b、58cによって検出した温度に基づいて、各温度センサ58a、58b、58cが位置する後部フラップ54a~54cの回動角度を制御することで、棚13a~13c毎に冷却風の流入量を制御して設定された温度により正確に制御することができる。
【0066】
また、バイメタルのように温度に応じて変形する部材によって後部フラップ54a~54cを回動させるように構成してもよい。これにより、あらかじめ設定された温度に応じて後部フラップ54a~54cを回動させることができ、簡単な構成で、後部開口部53a~53cから上部庫室6aまたは下部庫室6bに流入する冷却風の風量を制御して、棚13a~13c毎に温度制御することができる。
【0067】
また、図10に示すように、補助隔壁41に下方から上方に向けて空気の流れを発生させる補助隔壁ファン65を備えてもよい。この補助隔壁ファンを作動させることで、下部庫室6bから上部庫室6aに冷却風を供給して、上部庫室6a内を冷却することができる。このように補助隔壁ファン65を備えた物品販売機においては、下部ダクト24から上部庫室6aへ冷却風を導く左後部ダクト25a及び右後部ダクト25cを削除、あるいは流路面積を減少させてもよい。
【0068】
また、補助隔壁ファン65を備えるとともに、下部ダクト24内で空気を後方から前方に移動させるようにファン23eの回転方向を設定し、上部庫室6a及び下部庫室6b内で冷却風を前方から後方に移動させ、側部ダクト50a、50bから排出させるようにしてもよい。
【0069】
このように、冷却風が上部庫室6a及び下部庫室6bにおいて前方から後方に移動する構成の物品販売機においても、側部ダクト50a、50bによって上部庫室6aの冷却風を下部ダクト24に導くことができ、上部庫室6aと下部庫室6bの冷却風の循環路を独立して設けることができる。そして、ファン23e及び補助隔壁ファン65の回転速度を制御することで、上部庫室6aと下部庫室6bの温度制御を夫々行うことが可能である。
【0070】
また、上記実施形態では、冷却機器によって下部庫室6bを冷却しているが、冷却機器の代わりにヒータ等の加熱機器によって温風を循環させ、下部庫室6bを上部庫室6aとは異なる温度に加熱するタイプの物品販売機に本発明を適用してもよい。
【0071】
また、飲料、お菓子、弁当等、各種物品を収納し販売する物品販売機に本発明を適用可能である。本発明は、キャビネット内の庫室に上下方向に棚を複数並べ、隔壁によって上下の庫室に区画可能な構成の物品販売機に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 物品販売機
4 キャビネット
5 ドア(扉部)
6 物品収納部(庫室)
6a 上部庫室
6b 下部庫室
13a~13f 棚
14 搬出機構
21 バケット移動空間(第2の吸気口)
23d 蒸発器(熱交換器)
25a 左後部ダクト(第1のダクト)
25b 中央後部ダクト(第2のダクト)
25c 右後部ダクト(第1のダクト)
30 バケット
40 庫内隔壁
41 補助隔壁
52a、52b、52c、52d 側部開口部(第1の吸気口)
53a、53b、53c 後部開口部(第2の吹出口)
54a、54b、54c 後部フラップ(フラップ)
56 開口部(第1の吹出口)
65 補助隔壁ファン(ファン)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10