(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-05
(45)【発行日】2023-04-13
(54)【発明の名称】位置推定システム、位置推定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 19/48 20100101AFI20230406BHJP
G01S 5/02 20100101ALI20230406BHJP
G01S 5/14 20060101ALI20230406BHJP
H04W 64/00 20090101ALI20230406BHJP
【FI】
G01S19/48
G01S5/02 A
G01S5/14
H04W64/00
(21)【出願番号】P 2019023286
(22)【出願日】2019-02-13
【審査請求日】2021-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000108085
【氏名又は名称】セコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】川島 到
【審査官】東 治企
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-278300(JP,A)
【文献】特開2009-250932(JP,A)
【文献】特開2007-166396(JP,A)
【文献】特表2015-537444(JP,A)
【文献】特開2016-024064(JP,A)
【文献】特開2007-121226(JP,A)
【文献】特開2008-058203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00-5/14
G01S 19/00-19/55
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象の屋内空間に設置された複数の信号発信機と、前記空間を移動する人物によって携帯される携帯端末と、当該携帯端末と通信可能な管理装置とを具備し、前記人物の位置を推定する位置推定システムであって、
前記信号発信機は、自己の識別情報を含む識別信号を発信する発信部を有し、
前記携帯端末は、
所定の距離範囲内に存在する前記信号発信機が発信する前記識別信号を受信する第1受信部と、
GPS信号を受信する第2受信部と、
前記識別信号および前記GPS信号の情報を前記管理装置に送信する送信部と、を有し、
前記管理装置は、
前記携帯端末から受信した前記識別信号に基づく屋内測位およびGPS信号に基づく屋外測位を行い、前記屋内測位の結果を前記人物の位置とする屋内測位処理または前記屋外測位の結果を前記人物の位置とする屋外測位処理のいずれかにより前記人物の位置を推定する位置推定部と、
前記人物が移動可能な経路を前記信号発信機の前記識別情報により示した経路条件を記憶する記憶部と、を有し、
前記位置推定部は、前記屋外測位処理により前記人物の位置推定を行っているとき、前記受信した識別信号に基づいて前記経路条件を満たして複数の前記信号発信機を検出すると、
GPSの精度に応じて、前記屋外測位処理から前記屋内測位処理に切り替える
位置推定システム。
【請求項2】
前記位置推定部は、前記GPSの精度に応じた設定数以上の前記信号発信機を前記経路条件を満たして検出すると前記屋外測位処理から前記屋内測位処理に切り替える、請求項
1に記載の位置推定システム。
【請求項3】
前記位置推定部は、前記屋外測位処理により前記人物の位置推定を行っているとき、前記複数の信号発信機のうち、屋内外に通じる出入口近傍の特定の前記信号発信機を検出し、さらに、前記経路条件を満たす前記信号発信機を検出すると前記屋外測位処理から前記屋内測位処理に切り替える、請求項1
または2に記載の位置推定システム。
【請求項4】
前記位置推定部は、前記特定の信号発信機を検出したとき、GPSの精度が閾値未満である
場合、
または、GPSの精度が閾値以上
かつ前記経路条件を満たす前記信号発信機を検出
した場合に、前記屋外測位処理から前記屋内測位処理に切り替える、請求項
3に記載の位置推定システム。
【請求項5】
前記位置推定部は、前記屋内測位処理により前記人物の位置推定を行っているとき、前記経路条件を満たさない前記信号発信機を検出し、かつ、GPSの精度が閾値以上であれば前記屋内測位処理から前記屋外測位処理に切り替える、請求項1から
4のいずれか一項に記載の位置推定システム。
【請求項6】
前記記憶部は、前記管理対象の空間における屋外領域を前記人物が移動した場合に検出され得る屋外領域近傍の信号発信機の経路を前記識別情報により示す屋外経路情報を記憶し、
前記位置推定部は、前記経路条件を満たさない前記信号発信機を検出したとき、当該検出した信号発信機の経路が前記屋外経路情報に合致する場合に、前記屋内測位処理から前記屋外測位処理に切り替える、請求項
5に記載の位置推定システム。
【請求項7】
管理対象の空間に設置された複数の信号発信機と、前記空間を移動する人物によって携帯される携帯端末とを具備し、前記人物の位置を推定する位置推定システムであって、
前記信号発信機は、自己の識別情報を含む識別信号を発信する発信部を有し、
前記携帯端末は、
所定の距離範囲内に存在する前記信号発信機が発信する前記識別信号を受信する第1受信部と、
GPS信号を受信する第2受信部と、
前記識別信号に基づく屋内測位およびGPS信号に基づく屋外測位を行い、前記屋内測位の結果を前記人物の位置とする屋内測位処理または前記屋外測位の結果を前記人物の位置とする屋外測位処理のいずれかにより前記人物の位置を推定する位置推定部と、
前記人物が移動可能な経路を前記信号発信機の前記識別情報により示した経路条件を記憶する記憶部と、を有し、
前記位置推定部は、前記屋外測位処理により前記人物の位置推定を行っているとき、前記経路条件を満たして複数の前記信号発信機を検出すると
、GPSの精度に応じて、前記屋外測位処理から前記屋内測位処理に切り替える
位置推定システム。
【請求項8】
管理対象の屋内空間に設置された複数の信号発信機と、前記空間の内外を移動する人物によって携帯される携帯端末と、当該携帯端末と通信可能な管理装置とを用いて、前記人物の位置を推定する位置推定方法であって、
前記信号発信機は、自己の識別情報を含む識別信号を発信する発信部を有し、当該位置推定方法は、
所定の距離範囲内に存在する前記信号発信機が発信する前記識別信号を受信し、
GPS信号を受信し、
前記携帯端末から受信した前記識別信号に基づく屋内測位および前記GPS信号に基づく屋外測位を行い、前記屋内測位の結果を前記人物の位置とする屋内測位処理または前記屋外測位の結果を前記人物の位置とする屋外測位処理のいずれかにより前記人物の位置を推定し、
前記人物が移動可能な経路を前記信号発信機の前記識別情報により示した経路条件を記憶し、
前記屋外測位処理により前記人物の位置推定を行っているとき、前記受信した識別信号に基づいて前記経路条件を満たして複数の前記信号発信機を検出すると、
GPSの精度に応じて、前記屋外測位処理から前記屋内測位処理に切り替える
位置推定方法。
【請求項9】
管理対象の屋内空間に設置された複数の信号発信機と、前記空間の内外を移動する人物によって携帯される携帯端末と、当該携帯端末と通信可能な管理装置とを用いて、前記人物の位置を推定する位置推定システムにおける前記管理装置が実行するプログラムであって、
前記信号発信機は、自己の識別情報を含む識別信号を発信する発信部を有し、
前記携帯端末は、所定の距離範囲内に存在する前記信号発信機が発信する前記識別信号を受信する第1受信部と、GPS信号を受信する第2受信部と、前記識別信号及び前記GPS信号の情報を前記管理装置に送信する送信部と、を有し、
当該プログラムは、前記管理装置に、
所定の距離範囲内に存在する前記信号発信機が発信する前記識別信号を受信するステップと、
前記GPS信号を受信するステップと、
前記携帯端末から受信した前記識別信号に基づく屋内測位および前記GPS信号に基づく屋外測位を行い、前記屋内測位の結果を前記人物の位置とする屋内測位処理または前記屋外測位の結果を前記人物の位置とする屋外測位処理のいずれかにより前記人物の位置を推定するステップと、
前記人物が移動可能な経路を前記信号発信機の前記識別情報により示した経路条件を記憶するステップと、
前記屋外測位処理により前記人物の位置推定を行っているとき、前記受信した識別信号に基づいて前記経路条件を満たして複数の前記信号発信機を検出すると、
GPSの精度に応じて、前記屋外測位処理から前記屋内測位に切り替えるステップと
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警備業務等の作業中に作業員に携帯される携帯端末の位置を、ビーコン及びGPS(Global Positioning System)を利用して推定する位置推定システム、位置推定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ビーコン等による屋内測位と、GPS等による屋外測位とを切り替える技術として、GPS信号やビーコン信号などの受信信号強度が所定強度以下または信号を受信できなくなると切り替えるもの(下記特許文献1、特許文献2等)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-109293号公報
【文献】特開2010-271206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2に記載のような、受信信号強度によって屋内測位/屋外測位を切り替える技術においては、屋内(屋外)において屋内(屋外)測位手段での受信信号強度が低かったり、屋内(屋外)において屋外(屋内)測位手段での受信信号強度が高かったりすることがある。このような場合、屋内(屋外)にいるにもかかわらず、屋外(屋内)測位手段による位置把握を行ってしまうおそれがある。すなわち、単に受信信号強度が高いことのみをもって切替を行うことは好ましくない。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、作業員が屋内と屋外のどちらに存在するかに応じて、適切に屋内/屋外測位手段を用いて作業員の位置を把握することが可能な位置推定システム、位置推定方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る位置推定システムは、管理対象の屋内空間に設置された複数の信号発信機と、上記空間を移動する人物によって携帯される携帯端末と、当該携帯端末と通信可能な管理装置とを有し、上記人物の位置を推定する位置推定システムである。
上記信号発信機は、自己の識別情報を含む識別信号を発信する発信部を有する。
上記携帯端末は、所定の距離範囲内に存在する上記信号発信機が発信する上記識別信号を受信する第1受信部と、GPS信号を受信する第2受信部と、上記識別信号および上記GPS信号の情報を上記管理装置に送信する送信部と、を有する。
上記管理装置は、上記携帯端末から受信した上記識別信号に基づく屋内測位およびGPS信号に基づく屋外測位を行い、上記屋内測位の結果を上記人物の位置とする屋内測位処理または上記屋外測位の結果を上記人物の位置とする屋外測位処理のいずれかにより上記人物の位置を推定する位置推定部と、上記人物が移動可能な経路を上記信号発信機の上記識別情報により示した経路条件を記憶する記憶部と、を有する。
上記位置推定部は、上記屋外測位処理により上記人物の位置推定を行っているとき、上記受信した識別信号に基づいて上記経路条件を満たして複数の上記信号発信機を検出すると、上記屋外測位処理から上記屋内測位処理に切り替える。
【0007】
この構成により、経路条件を満たす複数の信号発信機が検出され人物が屋内に存在する確度が非常に高いと推定される場合に屋外測位処理を屋内測位処理に切替えることで、人物が屋内と屋外のどちらに存在するかに応じて、適切に屋内/屋外測位手段を用いて人物の位置を把握することができる。
【0008】
上記位置推定部は、上記経路条件を満たして複数の信号発信機を検出している場合、GPSの精度に応じて、上記屋内測位処理と上記屋外測位処理とを切り替えてもよい。
【0009】
これにより、屋外測位において検出した信号発信機が経路条件を満たし、かつ、GPS精度が悪い場合は屋外測位処理から屋内測位処理に切り替え、経路条件を満たしてもGPS精度が良い場合には屋外測位処理を維持することができる。
【0010】
上記位置推定部は、上記GPSの精度に応じた設定数以上の上記信号発信機を上記経路条件を満たして検出すると上記屋内測位処理に切り替えてもよい。
【0011】
これにより、GPSの精度が低い場合には信号発信機の設定数を少なく(例えば2つに)設定することで屋内測位処理への切替を容易にし、GPSの精度が高い場合には信号発信機の設定数を多く(例えば3つに)設定することで屋内測位処理へ誤って切替えられてしまうのを防ぐことができる。
【0012】
上記位置推定部は、上記屋外測位処理により上記人物の位置推定を行っているとき、上記複数の信号発信機のうち、屋内外に通じる出入口近傍の特定の上記信号発信機を検出し、さらに、上記経路条件を満たす上記信号発信機を検出すると上記屋外測位処理から上記屋内測位処理に切り替えてもよい。
【0013】
これにより、人物が屋外を移動中に特定のビーコン端末を検出しただけで誤って屋内測位処理に切り替えられてしまうことを防止できる。
【0014】
上記位置推定部は、上記特定の信号発信機を検出したとき、GPSの精度が閾値未満であれか、GPSの精度が閾値以上であり、さらに、上記経路条件を満たす上記信号発信機を検出すると上記屋外測位処理から上記屋内測位処理に切り替えてもよい。
【0015】
これにより、出入口近傍の信号発信機を検出した場合に、GPSの精度に応じて、人物が屋内にいる可能性が高い場合には速やかに屋内測位処理へ切り替えることができ、また人物が屋外にいる可能性がある場合には屋内測位処理へ誤って切り替えられてしまうのを防いだりすることができる。
【0016】
上記位置推定部は、上記屋内測位処理により上記人物の位置推定を行っているとき、上記経路条件を満たさない上記信号発信機を検出し、かつ、GPSの精度が閾値以上であれば上記屋内測位処理から上記屋外測位処理に切り替えてもよい。
【0017】
これにより、人物が屋外にいるにもかかわらず屋内測位処理が設定されているような状況を検出して適切に屋外測位処理へ切り替えることができる。
【0018】
上記記憶部は、上記管理対象の空間における屋外領域を上記人物が移動した場合に検出され得る屋外領域近傍の信号発信機の経路を上記識別情報により示す屋外経路情報を記憶してもよい。この場合上記位置推定部は、上記経路条件を満たさない上記信号発信機を検出したとき、当該検出した信号発信機の経路が上記屋外経路情報に合致する場合に、上記屋内測位処理を上記屋外測位処理に切り替えてもよい。
【0019】
これにより、人物が屋外にいるにもかかわらず屋内測位処理が設定されている状況をより確実に検出して適切に屋外測位処理へ切り替えることができる。また、人物が屋内を移動中に誤って経路を逸脱したビーコン端末を検出したとき、誤って屋外測位処理に切り替えられてしまうことを防止できる。
【0020】
本発明の他の形態に係る位置推定システムは、管理対象の空間に設置された複数の信号発信機と、上記空間を移動する人物によって携帯される携帯端末とを有し、上記人物の位置を推定する位置推定システムである。
上記信号発信機は、自己の識別情報を含む識別信号を発信する発信部を有する。
上記携帯端末は、所定の距離範囲内に存在する上記信号発信機が発信する上記識別信号を受信する第1受信部と、GPS信号を受信する第2受信部と、上記識別信号に基づく屋内測位およびGPS信号に基づく屋外測位を行い、上記屋内測位の結果を上記人物の位置とする屋内測位処理または上記屋外測位の結果を上記人物の位置とする屋外測位処理のいずれかにより上記人物の位置を推定する位置推定部と、上記人物が移動可能な経路を上記信号発信機の上記識別情報により示した経路条件を記憶する記憶部と、を有する。
上記位置推定部は、上記屋外測位処理により上記人物の位置推定を行っているとき、上記経路条件を満たして複数の上記信号発信機を検出すると上記屋外測位処理から上記屋内測位処理に切り替える。
【0021】
本発明の他の形態に係る位置推定方法は、管理対象の屋内空間に設置された複数の信号発信機と、上記空間の内外を移動する人物によって携帯される携帯端末と、当該携帯端末と通信可能な管理装置とを用いて、上記人物の位置を推定する位置推定方法である。
上記信号発信機は、自己の識別情報を含む識別信号を発信する発信部を有する。当該位置推定方法は、
所定の距離範囲内に存在する上記信号発信機が発信する上記識別信号を受信し、
GPS信号を受信し、
上記携帯端末から受信した上記識別信号に基づく屋内測位および上記GPS信号に基づく屋外測位を行い、上記屋内測位の結果を上記人物の位置とする屋内測位処理または上記屋外測位の結果を上記人物の位置とする屋外測位処理のいずれかにより上記人物の位置を推定し、
上記人物が移動可能な経路を上記信号発信機の上記識別情報により示した経路条件を記憶し、
上記屋外測位処理により上記人物の位置推定を行っているとき、上記受信した識別信号に基づいて上記経路条件を満たして複数の上記信号発信機を検出すると、上記屋外測位処理から上記屋内測位処理に切り替えることを含む。
【0022】
本発明の他の形態に係るプログラムは、管理対象の屋内空間に設置された複数の信号発信機と、上記空間の内外を移動する人物によって携帯される携帯端末と、当該携帯端末と通信可能な管理装置とを用いて、上記人物の位置を推定する位置推定システムにおける上記管理装置が実行するプログラムである。
上記信号発信機は、自己の識別情報を含む識別信号を発信する発信部を有する。
上記携帯端末は、所定の距離範囲内に存在する上記信号発信機が発信する上記識別信号を受信する第1受信部と、GPS信号を受信する第2受信部と、上記識別信号及び上記GPS信号の情報を上記管理装置に送信する送信部と、を有する。
当該プログラムは、上記管理装置に、
所定の距離範囲内に存在する上記信号発信機から上記識別信号を受信するステップと、
上記GPS信号を受信するステップと、
上記携帯端末から受信した上記識別信号に基づく屋内測位および上記GPS信号に基づく屋外測位を行い、上記屋内測位の結果を上記人物の位置とする屋内測位処理または上記屋外測位の結果を上記人物の位置とする屋外測位処理のいずれかにより上記人物の位置を推定するステップと、
上記人物が移動可能な経路を上記信号発信機の上記識別情報により示した経路条件を記憶するステップと、
上記屋外測位処理により上記人物の位置推定を行っているとき、上記受信した識別信号に基づいて上記経路条件を満たして複数の上記信号発信機を検出すると、上記屋外測位処理から上記屋内測位処理に切り替えるステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、人物が屋内と屋外のどちらに存在するかに応じて、適切に屋内/屋外測位手段を用いて人物の位置を把握することができる。しかし、当該効果は本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態に係る位置推定システムの構成を示した図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るセンタサーバのハードウェア構成を示した図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るセンタサーバ、携帯端末、ビーコン端末の機能ブロックの構成を示した図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るセンタサーバが記憶するビーコン端末の識別情報と位置情報のデータベースの例を示した図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るセンタサーバが記憶する、ビーコン端末間における警備員の移動可能な経路条件のテーブルを示した図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るセンタサーバによる屋内測位処理から屋外測位処理への切替処理の流れを示したフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施形態に係るセンタサーバによる屋内測位処理から屋外測位処理への切替処理の例を、ビーコン端末の受信強度、GPS信号の精度及び警備員の位置の変化と共に時系列で示した図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るセンタサーバによる屋外測位処理から屋内測位処理への切替処理の流れを示したフローチャートである。
【
図9】本発明の一実施形態に係るセンタサーバによる屋外測位処理から屋内測位処理への切替処理の例を、ビーコン端末の受信強度、GPS信号の精度及び警備員の位置の変化と共に時系列で示した図である。
【
図10】本発明の他の実施形態に係るセンタサーバによる屋外測位処理から屋内測位処理への切替処理の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0026】
[システムの構成]
図1は、本実施形態に係る位置推定システムの構成を示した図である。
【0027】
同図に示すように、このシステムは、センタサーバ100と、携帯端末200と、複数のビーコン端末300とを含む。
【0028】
センタサーバ100は、警備会社が運営する警備センタに設置されるサーバであり、警備員Gやビーコン端末300の状態を管理する管理装置である。センタサーバ100は、モバイルネットワーク及びインターネットを介して携帯端末200と通信可能である。警備センタには、管制員が常駐しており、警備対象施設Bにおける警備員Gの位置を監視するほか、警備員Gから異常通報を受信すると、警備対象施設Bへの警備員の派遣等の必要な措置が取られる。
【0029】
警備対象施設Bは、例えば、空港、駅、美術館、博物館、学校、官公庁の施設、商業施設(デパート、スーパーマーケット等)、興行場、企業等の事務所、個人の住宅等である。
【0030】
携帯端末200は、例えばスマートフォンまたは警備専用端末であり、上記警備対象施設Bを警備する警備員Gに携帯される。同図では警備員G及び携帯端末200はそれぞれ1人、1台ずつ示されているが、警備対象施設B内に複数存在していてもよい。
【0031】
ビーコン端末300(1~18)は、警備対象施設Bの空間各所(壁面、天井、什器等)に複数設置され、ビーコン信号を発信する。またビーコン端末300は、ビーコン端末間で通信し、ビーコン端末300の異常情報等をセンタサーバ100へ伝達することもできる。
【0032】
ビーコン信号は、携帯端末200で受信することによって位置をはじめとした各種の情報を取得するための信号であり、発信元のビーコン端末300の空間内の設置位置を特定できる情報を含む。例えば、ビーコン信号に発信元のビーコン端末300を特定する識別情報を含めることによって、センタサーバ100は、識別情報と発信元のビーコン端末300の設置位置とを関連付けたデータベースを参照することで受信された識別情報から発信元のビーコン端末300の設置位置を取得することができる。
【0033】
携帯端末200は、上記各ビーコン端末300からビーコン信号を受信(すなわち、ビーコン端末300を検出)して、それに含まれる識別情報と、当該信号強度(受信信号強度:RSSI)に関する情報を、モバイルネットワーク及びインターネットを介してセンタサーバ100へ送信する。なお、所定の閾値以上の信号強度であることをもってビーコン端末300を検出したとすることが好適である。センタサーバ100は、当該識別情報と信号強度に基づいて、警備員Gがどのビーコン端末300の近傍に存在するかを推定する。また携帯端末200は、警備員Gが警備業務中に取得したデータ等をセンタサーバ100に送信する。
【0034】
また同図において、ビーコン端末300同士を繋ぐ実線は、警備員Gが移動しうる経路として設定した経路条件である。例えば、警備員Gがビーコン端末2の次にビーコン端末3を経由せずにビーコン端末4に移動することは通常ありえないので、センタサーバ100は、ビーコン端末4から閾値以上の信号強度を測定しても経路条件を満たさないとして、ビーコン端末4の近傍に警備員Gが存在するとは推定しない。
【0035】
また、警備対象施設Bの屋内外に通じる出入口Dの近傍に設置されたビーコン端末300は「特定の」ビーコン端末300と定義されており、警備員Gが屋内/屋外を出入りする場合にはこの特定のビーコン端末300を経由することになる。
【0036】
なお、警備員Gが屋外に存在する場合には、センタサーバ100は、GPS信号に基づいて位置推定を行う。
【0037】
[センタサーバのハードウェア構成]
図2は、上記センタサーバ100のハードウェア構成を示した図である。同図に示すように、センタサーバ100は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、入出力インタフェース15、及び、これらを互いに接続するバス14を備える。
【0038】
CPU11は、必要に応じてRAM13等に適宜アクセスし、各種演算処理を行いながらセンタサーバ100の各ブロック全体を統括的に制御する。ROM12は、CPU11に実行させるOS、プログラムや各種パラメータなどのファームウェアが固定的に記憶されている不揮発性のメモリである。RAM13は、CPU11の作業用領域等として用いられ、OS、実行中の各種アプリケーション、処理中の各種データを一時的に保持する。
【0039】
入出力インタフェース15には、表示部16、操作受付部17、記憶部18、通信部19等が接続される。
【0040】
表示部16は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、OELD(Organic ElectroLuminescence Display)、CRT(Cathode Ray Tube)等を用いた表示デバイスである。
【0041】
操作受付部17は、例えばマウス等のポインティングデバイス、キーボード、タッチパネル、その他の入力装置である。
【0042】
記憶部18は、例えばHDD(Hard Disk Drive)や、フラッシュメモリ(SSD;Solid State Drive)、その他の固体メモリ等の不揮発性メモリである。当該記憶部18には、上記OSや各種アプリケーション、各種データが記憶される。
【0043】
特に本実施形態では、記憶部18は、センタサーバ100が警備員の位置推定処理を実行するためのアプリケーションその他のプログラム及びデータベースを記憶している。
【0044】
通信部19は、例えばEthernet用のNIC(Network Interface Card)や無線LAN等の無線通信用の各種モジュールであり、上記携帯端末200との間の通信処理を担う。
【0045】
なお、図示しないが、携帯端末200及びビーコン端末300のコンピュータとしての基本的なハードウェア構成も上記センタサーバ100のハードウェア構成と略同様である。なお、携帯端末200は、所定の距離範囲内に存在するビーコン端末300からその識別信号を受信する第1受信部と、GPS信号を受信する第2受信部とを有する。
【0046】
[システムの各装置の機能及びデータベース]
図3は、上記センタサーバ100、携帯端末200、ビーコン端末300の機能ブロックの構成を示した図である。
【0047】
(センタサーバの機能ブロック)
同図に示すように、センタサーバ100は、機能ブロックとして、通信部110、記憶部120、状態管理部130、表示出力部140、経路条件判定部150及び位置推定部160を有する。
【0048】
通信部110は、携帯端末200と通信を行う機能を備えた通信インタフェースであり、モバイルネットワークやインターネット等を介して、検知データ(ビーコン信号の情報(識別情報や受信信号強度)やGPSの情報(緯度経度や精度)など)等を受信する。
【0049】
記憶部120は、各ビーコン端末300の設置位置の情報を記憶する。
図4は、当該設置位置情報の例を示した図である。
【0050】
同図に示すように、設置位置情報は、上記警備対象施設Bの空間内における各ビーコン端末300の設置位置を、各ビーコン端末300の識別情報(ビーコンID)と対応付けて登録したデータベースである。
【0051】
同図の例では、ビーコン端末300毎に平面内における位置(緯度及び経度)が登録されているが、さらに高度等の情報を加えて3次元の位置情報が登録されてもよい。また、緯度、経度、高度に限らず、3次元空間のある位置を基準とした座標値(x、y、z)からなる位置情報が登録されてもよい。なお、ビーコン端末の設置位置を、西側出入口(例えばビーコン端末1)、部屋東側(例えばビーコン端末9)などの名称で登録しておき、警備員の位置推定を行うようにしてもよい。
【0052】
また記憶部120は、警備員Gが上記警備対象施設B内で移動可能な経路を示す経路条件も記憶している。
図5は、当該経路条件テーブルの例を示した図である。
【0053】
図1において、隣接するビーコン端末300同士を接続する実線は、警備員Gが移動可能な経路であり、
図5に示すように、経路条件としてビーコン端末300(の識別情報)毎に登録される。
【0054】
当該経路条件の登録においては、あるビーコン端末300から所定距離内に位置する他のビーコン端末300が自動的に接続されてもよいし、管理者が手動で登録してもよい。
【0055】
上述したように、
図1を参照すると、警備員Gがビーコン端末2→3→4と移動することは可能であるが、ビーコン端末2からビーコン端末3を経由せずに直接ビーコン端末4に移動することは通常あり得ない。したがって
図5のテーブルにおいてはビーコン端末2の移動可能先としてビーコン端末4は登録されない。
【0056】
また記憶部120は、実際に警備員Gが警備対象施設Bを移動した際に携帯端末200が受信した検知データを携帯端末200から逐次受信して記憶している。また、各ビーコン信号の受信順を示すデータが記憶されてもよいし、各ビーコン信号の受信時刻を示すデータが記憶されてもよい。当該検知データにおいては、ビーコン端末300の識別情報と信号強度とが対応付けられている。
【0057】
状態管理部130は、携帯端末200から受信した検知データから、警備員Gの位置情報を管理する。
【0058】
表示出力部140は、後述の位置推定部160で推定された警備員Gの現在位置や携帯端末200から受信した検知データをモニタなどの表示手段に出力する。これにより、警備員Gの位置情報やビーコン端末300の異常情報を管理者が把握することができる。なお表示出力部140は、蓄積して記憶している検知データを用いて警備員Gの移動軌跡を表示してもよい。これにより管理者は警備員Gの位置情報の変化を視覚的に把握することができる。
【0059】
経路条件判定部150は、携帯端末200から検知データを受信すると、上記
図5で示した経路条件を参照して、検知データ内でビーコン信号の発信元として記述されているビーコン端末300が経路条件を満たすか否かを判定する。
【0060】
具体的には、
図1において、警備員がビーコン端末2→3→17と移動することは可能であるが、ビーコン端末2からビーコン端末3や18を経由せずに直接ビーコン端末17に移動することはできないことが分かる。ここで、
図5のテーブルを参照すると、ビーコン2の移動可能先にビーコン17は存在しないので、センタサーバ100は、検知データからビーコン端末2の直後の経路としてビーコン端末17を認識しても、警備員Gがビーコン端末17の近傍に存在するとは推定しない。
【0061】
位置推定部160は、ビーコン端末300から発信される識別信号に基づく屋内測位、および、GPS信号に基づく屋外測位を行う。すなわち、携帯端末200から検知データを受信したタイミング等において屋内測位と屋外測位とをそれぞれ行う。そして、屋内測位の結果を警備員Gの位置とする屋内測位処理または前記屋外測位の結果を警備員Gの位置とする屋外測位処理のいずれか一方の処理を行うことにより、携帯端末200を所持する警備員Gの現在位置を推定する。後述するように、経路条件を満たすビーコン端末300の検出有無やGPS精度に基づいて、屋内測位処理と屋外測位処理とから優先する処理を決定して、決定した測位処理により警備員Gの位置を推定する。すなわち、位置推定部160は、携帯端末200が上記経路条件を満たすビーコン端末300を検出しているか否かに応じて、屋内測位処理と屋外測位処理とを切り替えて位置推定を行う。
【0062】
具体的には、位置推定部160は、屋外測位処理により警備員Gの位置推定を行っている場合において、携帯端末200が経路条件を満たして複数のビーコン端末300を検出すると、屋内測位処理に切り替える。例えば、
図1のビーコン7を検出してからビーコン8を検出した場合、経路条件を満たすビーコン端末300を検出しているため、屋内測位処理に切り替える。
【0063】
また、屋外測位処理により警備員Gの位置推定を行っている場合において、ビーコン7を検出せずビーコン8、ビーコン9の順に検出した場合においても、受信環境等によってビーコン7を検出できなかった場合や、ビーコン7を検出したときに誤って屋外測位処理に切り替えられてしまった場合が想定されるので屋内測位処理に切り替える。
【0064】
これにより、警備員Gが屋内を移動している可能性が高い場合には屋外測位処理から屋内測位処理に速やかに切り替えて位置推定を行うことができる。
【0065】
また位置推定部160は、上記経路条件を満たして複数のビーコン端末300を検出している場合、さらに、GPSの精度に応じて、上記屋内測位処理と屋外測位処理とを切り替えてもよい。
【0066】
これにより、屋外測位処理により警備員Gの位置推定を行っている場合において、検出したビーコン端末300が経路条件を満たし、かつGPS精度が悪い場合は屋外測位処理から屋内測位処理に切り替え、経路条件を満たしてもGPS精度が良い場合には屋外測位処理を維持することができる。
【0067】
また位置推定部160は、屋内測位処理により警備員Gの位置推定を行っている場合において、携帯端末200が経路条件を満たさないビーコン端末を検出したとき、GPSの精度が閾値以上であれば屋外測位処理に切り替え、GPSの精度が閾値未満であれば、直前に検出したビーコン端末の信号に基づく屋内測位の結果(屋内測位処理)により位置推定を行う。
【0068】
これにより、警備員Gが屋内を移動している可能性が低い場合に、速やかに屋内測位処理から屋外測位処理に切り替えることができる。
【0069】
このように、位置推定部160は、屋外測位処理により警備員Gの位置推定を行っているとき経路条件を満たして複数のビーコン端末300を検出すると屋内測位処理に切り替える。具体的には、
図1のビーコン端末7の直後にビーコン端末8を検出すると屋内測位処理に切り替えるが、このときビーコン端末7を検出した時点では屋外測位処理により警備員Gの位置推定を行っている。そこで、記憶部120は、このように測位処理が切り替えられた場合には遡ってビーコン端末7を検出したときの警備員の位置をGPSに基づく位置ではなくビーコン端末7に基づく位置として記憶する。
【0070】
(携帯端末の機能ブロック)
図3に示すように、携帯端末200は、機能ブロックとして、第1受信部210、第2受信部220、通信部230及び信号強度測定部240を有する。
【0071】
第1受信部210は、警備対象施設Bの空間内でビーコン端末300と近距離通信を行う機能を備えた通信インタフェースであり、空間内でビーコン端末300から送信されるビーコン信号を受信する。近距離通信には、例えばBluetooth(登録商標)等が用いられる。
【0072】
第2受信部220は、GPS衛星からのGPS信号を受信する。
【0073】
通信部230は、センタサーバ100と通信を行う機能を備えた通信インタフェースである。通信部230は、例えば、携帯電話網やインターネット網などを介して、検知データ等をセンタサーバ100へ送信する。
【0074】
信号強度測定部240は、ビーコン端末300から受信したビーコン信号の信号強度を測定する手段である。ビーコン端末300からのビーコン信号が電波である場合、信号強度測定部240は、受信された電波の振幅を信号強度として検出する。
【0075】
また信号強度測定部240は、GPSの測位精度の判定を行う。例えば、GPS衛星の配置状態に基づいてDOP(Dilution Of Precision:精度低下率)を算出することにより、GPSの測位精度を判定することができる。例えば、DOP値が5未満の場合、測位精度が良好であり、DOP値が5以上の場合、測位精度が不良とすることができる。以下では、精度が良好の場合と精度が不良な場合とに分けて説明を行う。なお、これに限らず、精度を高、中、低(例えば、DOP値<3の場合「高」、3≦DOP≦7の場合「中」、7<DOPの場合「低」)のように多段階に分類してもよいし、測位距離の誤差(m)を精度として用いてもよい。すなわち、精度が閾値以上であるとは、例えば、精度が「良好」、「高、中」、「誤差3m以内」などの場合である。また、GPSの測位精度の判定においては、DOPの算出に限らず、CEP(Circular Error Probability:平均誤差半径)やRMS(Root Mean Square:二乗平均平方根)等種々公知の手法を採用することができる。例えば、RMS値を用いる場合、5mRMS(真の測位点から半径5m以内の円の中に63%の確率で存在している)未満であると測位精度が良好であるとすればよい。
【0076】
また信号強度測定部240は、測位精度としてGPS信号の信号強度を判別してもよい。この場合、信号強度が大きい場合(閾値以上)精度が良好であり小さい場合(閾値未満)精度が不良であるとすればよい。
【0077】
信号強度の測定や測位精度の算出等においては上記に限らず種々公知の手法をとることができる。
【0078】
(ビーコン端末の機能ブロック)
図3に示すように、ビーコン端末300は、機能ブロックとして、発信部310及び記憶部320を有する。
【0079】
発信部310は、ビーコン端末300の識別情報(ビーコンID)を含む上記ビーコン信号を電波や音波として発信する。ビーコン信号の発信間隔は1回/秒、受信間隔は1回(5秒間連続)/時間のように設定されるが、これらに限られない。
【0080】
記憶部320は、上記ビーコン端末300の識別情報等を記憶している。
【0081】
[システムの動作]
次に、以上のように構成された位置推定システムにおける屋内測位処理と屋外測位処理の切替動作について説明する。当該動作は、センタサーバ100、携帯端末200及びビーコン端末300のCPU及び通信部等のハードウェアと、記憶部に記憶されたソフトウェアとの協働により実行される。以下の説明では、便宜上、特に明示しない限り、各装置のCPUを動作主体とする。
【0082】
なお、当該処理の前提として、センタサーバ100は、携帯端末200から定期的に(例えば5秒ごと)送信されるビーコンの情報(ビーコン識別信号や受信信号強度)やGPSの情報(緯度経度や精度)を受信する。また、携帯端末200では、複数のビーコン端末300から信号を受信することが想定されるため、受信信号強度が最大のビーコン端末300の情報についてセンタサーバ100に送信する。なお、センタサーバ100は、経路条件を満たしているかの判断等のために、受信したビーコンの情報やGPSの情報をいずれも記憶部120に蓄積しておく。
【0083】
図6は、センタサーバ100による屋内測位処理から屋外測位処理への切替処理の流れを示したフローチャートである。
【0084】
同図に示すように、屋内測位処理による警備員Gの位置推定の実行中において、センタサーバ100のCPU11は、携帯端末200からいずれかのビーコン端末300の識別信号を受信したか否かを判断する(ステップ61)。
【0085】
ビーコン端末300の識別信号を受信したと判断した場合(Yes)、CPU11は、当該識別信号に対応するビーコン端末300が、前回受信した識別信号との関係において経路条件を満たすビーコン端末300であるか否かを判断する(ステップ62)。
【0086】
一方、ビーコン端末300の識別信号を受信していないと判断した場合(No)、CPU11は、GPS精度が閾値以上(良好)であるか否かを判断する(ステップ63)。
【0087】
ステップ62において、上記識別信号が経路条件を満たすと判断した場合(Yes)、警備員Gが屋内に留まっている可能性が高いため、CPU11は、屋内測位処理を維持する(ステップ64)。
【0088】
一方、上記識別信号が経路条件を満たさないと判断した場合(No)、CPU11は、GPS信号の精度が閾値以上(良好)であるか否かを判断する(ステップ63)。
【0089】
ステップ63において、GPSの精度が閾値以上であると判断した場合(Yes)、警備員Gが屋外へ出た可能性が高いため、CPU11は、上記屋内測位処理を、屋外測位処理に切替える(ステップ65)。
【0090】
一方GPSの精度が閾値未満であると判断した場合(No)、警備員Gが屋内に留まっている可能性が高いため、CPU11は、屋内測位処理を維持する(ステップ64)。
【0091】
図7は、上記屋内測位処理から屋外測位処理への切替処理の例を、ビーコン端末300の受信強度、GPSの精度及び警備員Gの位置の変化と共に時系列で示した図である。なお同図でビーコン端末300を示す数字は
図1に示したものに対応している。
【0092】
同図に示すように、時刻t2では、経路条件を満たさないビーコン端末17を検出しているが、GPSの精度が低いので、CPU11は、直前のビーコン2の位置を維持する。
【0093】
一方、時刻t11では、経路条件を満たさないビーコン端末13を検出しており、かつ、GPS精度が高いので、CPU11は、屋内測位処理を屋外測位処理に切り替える。
【0094】
なお、時刻t10では、ビーコン端末11の位置を記録しているが、経路条件を満たさない移動により屋外測位処理に切り替えられたため、CPU11は、t10での位置の記録(ビーコン11)をGPSに上書きする。
【0095】
図8は、センタサーバ100による屋外測位処理から屋内測位処理への切替処理の流れを示したフローチャートである。
【0096】
同図に示すように、屋外測位処理による警備員Gの位置推定の実行中において、センタサーバ100のCPU11は、携帯端末200からいずれかのビーコン端末300の識別信号を受信したか否かを判断する(ステップ81)。
【0097】
ビーコン端末300の識別信号を受信したと判断した場合(Yes)、CPU11は、当該識別信号に対応するビーコン端末300が、前回受信した識別信号との関係において経路条件を満たすビーコン端末300であるか否かを判断する(ステップ82)。
【0098】
上記識別信号が経路条件を満たさないと判断した場合(No)、警備員Gが屋外に留まっている可能性が高いため、CPU11は、屋外測位処理を維持する(ステップ85)。
【0099】
一方、上記識別信号が経路条件を満たすと判断した場合(Yes)、CPU11は、GPSの精度が閾値以上(良好)であるか否かを判断する(ステップ83)。
【0100】
GPSの精度が閾値以上であると判断した場合(Yes)、警備員Gが屋外に留まっている可能性が高いため、CPU11は、屋外測位処理による位置推定処理を維持する(ステップ85)。
【0101】
一方、GPSの精度が閾値未満であると判断した場合(No)、警備員Gが屋内に移動した可能性が高いため、CPU11は、上記屋外測位処理を屋内測位処理へと切り替える(ステップ84)。
【0102】
図9は、上記屋外測位処理から屋内測位処理への切替処理の例を、ビーコン端末300の受信強度、GPSの精度及び警備員Gの位置の変化と共に時系列で示した図である。
【0103】
同図に示すように、時刻t2、t3で検出したビーコン端末7→8は経路条件を満たすため、CPU11は、屋外測位処理を屋内測位処理に切り替える。このとき、上述したように、GPS精度が低い(閾値未満である)ことを切替の条件としてもよい。
【0104】
なお時刻t2では、GPSに基づく測位結果を記録しているが、経路条件を満たす移動により屋内測位処理に切り替えられたため、CPU11は、時刻t2での位置の記録(GPS)をビーコン端末7に上書きする。
【0105】
[まとめ]
以上説明したように、本実施形態によれば、センタサーバ100は、経路条件を満たす複数のビーコン端末300が検出されGPS精度が低い場合には屋外測位処理を屋内測位処理に切り替え、ビーコン端末300の識別信号が経路条件を満たさずGPS精度が高い場合には屋内測位処理を屋外測位処理へ切り替えることで、警備員Gが屋内と屋外のどちらに存在するかに応じて、適切に屋内/屋外測位処理を用いて警備員Gの位置を把握することができる。
【0106】
[変形例]
本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更され得る。
【0107】
上述の実施形態では、屋外測位処理から屋内測位処理の切替においては、GPS精度が閾値未満であることが条件とされた。ここで、警備員Gが屋外を移動中にビーコン端末300を検出してしまう可能性があることを考慮して、GPSの精度に応じた設定数以上のビーコン端末300を検出した場合に屋外測位処理から屋内測位処理に切り替えて位置推定を行うようにしてもよい。
【0108】
例えば、GPSの精度が低い(すなわち、屋内にいる可能性が高い)場合には、2つ以上のビーコン端末を検出すると屋内測位処理に切り替え、GPSの精度が高い(すなわち、屋外にいる可能性が高い)場合には、3つ以上のビーコン端末を検出すると屋内測位処理に切り替えてもよい。これにより、屋外を移動中にビーコン信号を受信しても誤って屋内測位処理に切り替えられてしまうことを防止でき、屋外から屋内に移動した場合には速やかに屋内測位処理に切り替えられる。
【0109】
図10は、この場合のセンタサーバ100による屋外測位処理から屋内測位処理への切替処理の流れを示したフローチャートである。同図の処理は、
図8のフローチャートと比較して、GPS精度が閾値以上であるか否かを判断するステップ(ステップ83)が、GPS精度に応じた設定数(GPS精度が高いほど多く、GPS精度が低いほど少ない)のビーコン端末300を検出したか否かを判断する処理に置き換わっている以外は、
図8の処理と同様である。
【0110】
上述の実施形態では、屋外測位処理から屋内測位処理への切替処理において、検出したビーコン端末300が経路条件を満たすか否かを判断するにあたって、任意のビーコン端末300を用いていた。しかし、センタサーバ100は、警備対象施設Bの屋内外に通じる出入口Dの近傍に設置された特定のビーコン端末300を検出してから、この特定のビーコン端末300から移動可能なビーコン端末を検出する(経路条件を満たす)場合に、屋内測位処理に切り替えて位置推定を行うようにしてもよい。これにより、屋外を移動中に特定のビーコン端末300を検出しただけで誤って屋内測位処理に切り替えられてしまうことを防止できる。
【0111】
さらにこの場合において、センタサーバ100は、携帯端末200が特定のビーコン端末300を検出したとき、GPSの精度が低い(閾値未満である)場合には屋外測位処理から屋内測位処理に切り替え、GPSの精度が高い(閾値以上である)場合には経路条件を満たすビーコン端末300を検出すると屋外測位処理から屋内測位処理に切り替えて位置推定を行うようにしてもよい。これにより、GPS精度を考慮することで警備員Gが屋内にいる可能性が高い場合には、速やかに屋内測位処理に切り替えられる。
【0112】
上述の実施形態において、屋内測位処理による警備員Gの位置推定を実行中に、携帯端末200が経路条件を満たさないビーコン端末300を検出した場合、センタサーバ100は、このビーコン端末と直前に検出したビーコン端末との間に屋外領域が存在する場合には屋外測位処理に切り替え、屋外領域が存在しない場合には直前に検出したビーコン端末300の信号に基づく屋内測位処理により位置推定を行ってもよい。
【0113】
具体的には、この場合センタサーバ100は、上記記憶部120に、管理対象施設Bの屋外領域を警備員Gが移動した場合に検出され得る屋外領域近傍のビーコン端末300の経路を示す屋外経路情報を記憶する。例えば、
図1においてビーコン端末15→18といった経路や、ビーコン端末11→13といった経路が当該屋外経路情報に該当する。当該屋外経路情報の経路は、屋内においては上記経路条件を満たさず、当該経路上のビーコン端末同士をマップ上で結んだ直線上に屋外領域が存在する。
【0114】
そして位置推定部160は、経路条件を満たさないビーコン端末300を検出したとき、当該検出したビーコン端末300の経路が上記屋外経路情報に合致する場合に、上記屋外測位処理に切り替えて上記位置を推定してもよい。
【0115】
これにより、警備員Gが屋外にいるにもかかわらず屋内測位処理が設定されている状況をより確実に検出して適切に屋外測位処理へ切り替えることができる。また、警備員Gが屋内を移動中に誤って経路を逸脱したビーコン端末300を検出したとき、誤って屋外測位処理に切り替えられてしまうことを防止できる。
【0116】
また、上述の実施形態では、屋内測位処理による警備員Gの位置推定を実行中に、携帯端末200から識別信号を受信しない場合にGPS精度が閾値以上であるか否かを判断していたが、特定のビーコン端末300による位置を警備員Gの位置としているときに限って、GPS精度が閾値以上であるか否かの判断をするようにしてもよい。すなわち、屋内測位処理による警備員Gの位置推定を実行中であっても、特定のビーコン端末300以外による位置を警備員Gの位置としており、識別信号を受信できない場合は、屋内において一時的に識別信号を受信できていないことが想定されるのでGPS精度によらず屋内測位処理を維持する。これにより、警備員Gが屋内から屋外へ移動したことにより識別信号を受信できなくなったことと警備員Gが屋内を移動中に一時的に識別信号を受信できなくなったこととを区別でき、誤って屋内測位処理から屋外測位処理に切り替えられてしまうことを防止できる。
【0117】
上述の実施形態では、位置推定処理はセンタサーバ100が担っていたが、当該各処理を携帯端末200が担ってもよい。この場合、携帯端末200は、上記記憶部120及び位置推定部160に相当する機能ブロック並びにハードウェア及びプログラムを有する。この場合、携帯端末200からセンタサーバ100へ識別信号やGPS信号の情報を送信する処理が不要になる。携帯端末200は、当該位置推定処理により推定した、当該携帯端末200を携帯する警備員Gの位置情報を、センタサーバ100へ送信してもよい。
【0118】
また、上述の実施形態では、センタサーバ100が、
図5で示した経路条件を記憶すると共に、経路条件判定部150を有しており、携帯端末200から検知データを受信すると、経路条件を参照して、検知データ内でビーコン信号の発信元として記述されているビーコン端末300が経路条件を満たすか否かを判定していた。しかし、当該経路条件判定部及び経路条件は携帯端末200が有していてもよい。この場合携帯端末200は、経路判定部により、検知データが経路条件を満たすと判定された場合には、当該検知データをセンタサーバ100へ送信し、経路条件を満たさないと判定された場合には、検知データをセンタサーバ100に送信しない。
【0119】
さらに、本実施形態では、警備業務中の警備員Gの位置推定について説明したが、本発明の適応範囲はこれに限定されない。例えば、空港やデパートなどのスタッフや清掃作業を行う清掃員など種々の現場で作業を行う作業員や空港やデパートなどの施設を利用する利用者など種々の人物の位置推定において適応することが可能である。
【0120】
本願の特許請求の範囲に記載された発明のうち、「位置推定方法」と記載された発明は、その各ステップを、ソフトウェアによる情報処理によりコンピュータ等の少なくとも1つの装置が自動的に行うものであり、人間がコンピュータ等の装置を用いて行うものではない。すなわち、当該「位置推定方法」は、コンピュータ・ソフトウェアによる位置情報推定方法であって、コンピュータという計算道具を人間が操作する方法ではない。
【符号の説明】
【0121】
11…CPU
18・120…記憶部
19・110…通信部
150…経路条件判定部
160…位置推定部
100…センタサーバ
200…携帯端末
210…第1受信部
220…第2受信部
300…ビーコン端末
310…発信部
B…警備対象施設
D…出入口
G…警備員