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特許7257175プリント配線板およびプリント配線板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-05
(45)【発行日】2023-04-13
(54)【発明の名称】プリント配線板およびプリント配線板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20230406BHJP
【FI】
H05K3/34 501F
H05K3/34 502E
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019025274
(22)【出願日】2019-02-15
(65)【公開番号】P2020136379
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉 有紅
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 巧治
(72)【発明者】
【氏名】小寺 美宏
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-149948(JP,A)
【文献】特開2015-179730(JP,A)
【文献】特開2010-251741(JP,A)
【文献】特開2013-243387(JP,A)
【文献】特開2016-122776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/34
H05K 3/46
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線板であって、
基部絶縁層と、
前記基部絶縁層上に形成された導体層と、
前記基部絶縁層上および前記導体層上に形成され、かつ、前記導体層の一部を第1の導体パッドとして露出させる第1の開口、および該第1の開口よりも径が小さく前記導体層の他の一部を第2の導体パッドとして露出させる第2の開口を有するソルダーレジスト層と、
前記第1の導体パッド上に形成された第1のバンプと、
前記第2の導体パッド上に形成され、前記第1のバンプよりも小径の第2のバンプと、
を備え、
前記第1のバンプは、前記第1の開口内に形成された第1のベースめっき層と、該第1のベースめっき層上に形成された第1の中間層と、該第1の中間層上に形成された第1のトップめっき層とを有し、
前記第2のバンプは、前記第2の開口内に形成された第2のベースめっき層と、該第2のベースめっき層上に形成された第2の中間層と、該第2の中間層上に形成された第2のトップめっき層とを有し、
前記第1の中間層の上面は算術平均粗さRaが0.05μm~0.5μmの範囲内にあり、
前記第2の中間層の上面は算術平均粗さRaが0.05μm~0.5μmの範囲内にあり、
前記第1のベースめっき層と前記第1の導体パッドとの間、および前記第2のベースめっき層と前記第2の導体パッドとの間に、ニッケル層、パラジウム層および金層からなる下地層をそれぞれ有する。
【請求項2】
請求項1に記載のプリント配線板であって、前記第1のトップめっき層および前記第2のトップめっき層の厚みは、5μm~45μmである。
【請求項3】
請求項1に記載のプリント配線板であって、前記第1のベースめっき層および前記第2のベースめっき層は、銅を主成分とする金属からそれぞれ形成されている。
【請求項4】
請求項1に記載のプリント配線板であって、第1のトップめっき層および前記第2のトップめっき層は、スズを主成分とする金属からそれぞれ形成されている。
【請求項5】
請求項1に記載のプリント配線板であって、前記第1の中間層および前記第2の中間層は、ニッケルを主成分とする金属からそれぞれ形成されている。
【請求項6】
請求項5に記載のプリント配線板であって、前記第1の中間層および第2の中間層の厚みはそれぞれ7μm以下である。
【請求項7】
請求項1に記載のプリント配線板であって、前記第1および第2のベースめっき層は前記ソルダーレジスト層の表面を超える高さまで形成され、前記ソルダーレジスト層の表面からの前記第1のベースめっき層の厚みおよび前記第2のベースめっき層の厚みはそれぞれ3μm~20μmの範囲内にある。
【請求項8】
請求項1に記載のプリント配線板であって、前記第1の開口のアスペクト比は0.5以下であり、前記第2の開口のアスペクト比は0.6以上である。
【請求項9】
請求項1に記載のプリント配線板であって、前記第1のベースめっき層は上面が平坦であるか、上面中央部分に深さ20μm以下の第1の窪みを有し、前記第2のベースめっき層は、上面が平坦であるか、上面中央部分に隆起部を有するか、あるいは上面中央部分に前記第1の窪みより浅い第2の窪みを有する。
【請求項10】
プリント配線板の製造方法であって、
基部絶縁層を形成することと、
前記基部絶縁層上に導体層を形成することと、
前記基部絶縁層上および前記導体層上にソルダーレジスト層を形成することと、
前記ソルダーレジスト層に、前記導体層の一部を第1の導体パッドとして露出させる第1の開口を形成することと、
前記ソルダーレジスト層に、前記第1の開口よりも径が小さく前記導体層の他の一部を第2の導体パッドとして露出させる第2の開口を形成することと、
前記第1の導体パッド上に第1のバンプを形成することと、
前記第2の導体パッド上に、前記第1のバンプよりも小径の第2のバンプを形成することと、を含み、
前記第1のバンプを形成することは、前記第1の開口内に第1のベースめっき層を形成することと、前記第1のベースめっき層上に第1の中間層を形成することと、該第1の中間層上に第1のトップめっき層を形成することとを含み、
前記第2のバンプを形成することは、前記第2の開口内に第2のベースめっき層を形成することと、前記第2のベースめっき層上に第2の中間層を形成することと、該第2の中間層上に第2のトップめっき層を形成することとを含み、
前記第1の中間層を形成することは、その上面の算術平均粗さRaが0.05μm~0.5μmの範囲内である第1の中間層を形成することを含み、
前記第2の中間層を形成することは、その上面の算術平均粗さRaが0.05μm~0.5μmの範囲内である第2の中間層を形成することを含み、
前記第1のベースめっき層と前記第1の導体パッドとの間、および前記第2のベースめっき層と前記第2の導体パッドとの間に、ニッケル層、パラジウム層および金層からなる下地層をそれぞれ形成することを含む。
【請求項11】
請求項10に記載のプリント配線板の製造方法であって、前記第1のトップめっき層および前記第2のトップめっき層の厚みを5μm~45μmの範囲内とする。
【請求項12】
請求項10に記載のプリント配線板の製造方法であって、前記第1のベースめっき層および前記第2のベースめっき層を、銅を主成分とする金属からそれぞれ形成する。
【請求項13】
請求項10に記載のプリント配線板の製造方法であって、第1のトップめっき層および前記第2のトップめっき層を、スズを主成分とする金属からそれぞれ形成する。
【請求項14】
請求項10に記載のプリント配線板の製造方法であって、前記第1の中間層および前記第2の中間層を、ニッケルを主成分とする金属からそれぞれ形成する。
【請求項15】
請求項14に記載のプリント配線板の製造方法であって、前記第1の中間層および第2の中間層の厚みをそれぞれ7μm以下とする。
【請求項16】
請求項10に記載のプリント配線板の製造方法であって、前記第1および第2のベースめっき層を前記ソルダーレジスト層の表面を超える高さまで形成し、前記ソルダーレジスト層の表面からの前記第1のベースめっき層の厚みおよび前記第2のベースめっき層の厚みをそれぞれ3μm~20μmの範囲内とする。
【請求項17】
請求項10に記載のプリント配線板の製造方法であって、前記第1の開口のアスペクト比は0.5以下であり、前記第2の開口のアスペクト比は0.6以上である。
【請求項18】
請求項10に記載のプリント配線板の製造方法であって、前記第1のベースめっき層を形成することは、上面が平坦であるか、上面中央部分に深さ20μm以下の第1の窪みを有する第1のベースめっき層を形成することを含み、前記第2のベースめっき層を形成することは、上面が平坦であるか、上面中央部分に隆起部を有するか、あるいは上面中央部分に前記第1の窪みより浅い第2の窪みを有する第2のベースめっき層を形成することを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、めっきバンプを有するプリント配線板、およびめっきバンプを有するプリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、めっき法を用いたバンプ形成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-129996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、図5に示すように、めっき法を用いたバンプ形成ではバンプ内にボイドVが発生する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るプリント配線板は、基部絶縁層と、前記基部絶縁層上に形成された導体層と、前記基部絶縁層上および前記導体層上に形成され、かつ、前記導体層の一部を第1の導体パッドとして露出させる第1の開口、および該第1の開口よりも径が小さく前記導体層の他の一部を第2の導体パッドとして露出させる第2の開口を有するソルダーレジスト層と、前記第1の導体パッド上に形成された第1のバンプと、前記第2の導体パッド上に形成され、前記第1のバンプよりも小径の第2のバンプと、を備え、前記第1のバンプは、前記第1の開口内に形成された第1のベースめっき層と、該第1のベースめっき層上に形成された第1の中間層と、該第1の中間層上に形成された第1のトップめっき層とを有し、前記第2のバンプは、前記第2の開口内に形成された第2のベースめっき層と、該第2のベースめっき層上に形成された第2の中間層と、該第2の中間層上に形成された第2のトップめっき層とを有し、前記第1の中間層の上面は算術平均粗さRaが0.05μm~0.5μmの範囲内にあり、前記第2の中間層の上面は算術平均粗さRaが0.05μm~0.5μmの範囲内にある。
【0006】
本発明に係るプリント配線板の製造方法は、基部絶縁層を形成することと、前記基部絶縁層上に導体層を形成することと、前記基部絶縁層上および前記導体層上にソルダーレジスト層を形成することと、前記ソルダーレジスト層に、前記導体層の一部を第1の導体パッドとして露出させる第1の開口を形成することと、前記ソルダーレジスト層に、前記第1の開口よりも径が小さく前記導体層の他の一部を第2の導体パッドとして露出させる第2の開口を形成することと、前記第1の導体パッド上に第1のバンプを形成することと、
前記第2の導体パッド上に、前記第1のバンプよりも小径の第2のバンプを形成することと、を含み、前記第1のバンプを形成することは、前記第1の開口内に第1のベースめっき層を形成することと、前記第1のベースめっき層上に第1の中間層を形成することと、該第1の中間層上に第1のトップめっき層を形成することとを含み、前記第2のバンプを形成することは、前記第2の開口内に第2のベースめっき層を形成することと、前記第2のベースめっき層上に第2の中間層を形成することと、該第2の中間層上に第2のトップめっき層を形成することとを含み、前記第1の中間層を形成することは、その上面の算術平均粗さRaが0.05μm~0.5μmの範囲内である第1の中間層を形成することを含み、前記第2の中間層を形成することは、その上面の算術平均粗さRaが0.05μm~0.5μmの範囲内である第2の中間層を形成することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態のプリント配線板を説明するための断面図である。
図2】本発明の一実施形態のプリント配線板の変形例を説明するための断面図である。
図3】本発明の一実施形態のプリント配線板の変形例を説明するための断面図である。
図4A】本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図4B】本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図4C】本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図4D】本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図4E】本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図4F】本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図4G】本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図4H】本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図5】従来技術に従うプリント配線板において、バンプにボイドが発生している様子を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のプリント配線板の一実施形態が、図面を参照して説明される。図1には、実施形態のプリント配線板10の一部が拡大して示されている。プリント配線板10は、コア基板(図示せず)の片面または両面に所定の回路パターンを有する導体層と樹脂絶縁層とを交互に積層してなるコア付き基板であってよい。コア基板の両面に導体層を形成する場合には、コア基板を介して対向する導体層同士は、スルーホール導体(図示せず)を介して接続されていてもよい。あるいは、プリント配線板10は、コア基板の代わりに支持板(図示せず)上で導体層と樹脂絶縁層とを交互に積層した後、支持板を除去してなるコアレス基板であってもよい。いずれにせよ、プリント配線板10は、図1に示すように、少なくとも1層の樹脂絶縁層のうち最外に配置されたものである基部絶縁層12と、基部絶縁層12上に形成された、所定の回路パターンを有する導体層14と、基部絶縁層12および導体層14上に形成されたソルダーレジスト層16とを備えている。基部絶縁層12の下層には他の複数の導体層および樹脂絶縁層が交互に設けられている場合が多いが、図では省略されている。しかし、プリント配線板10は、1層の基部絶縁層12と1層の導体層14とからなるものでもよい。
【0009】
基部絶縁層12は、例えばシリカやアルミナ等の無機フィラーとエポキシ系樹脂とを含む樹脂組成物等で構成することができる。導体層14は導電性金属、例えば銅を主成分とする金属で形成される。
【0010】
ソルダーレジスト層16は、導体層14の一部を第1の導体パッド14aとして露出させる第1の開口16aと、第1の開口16aよりも径が小さく導体層14の他の一部を第2の導体パッド14bとして露出させる第2の開口16bとを有している。第1の開口16aのアスペクト比、つまり底部の口径に対する深さの比は0.5以下とすることができる。第2の開口16bのアスペクト比、つまり底部の口径に対する深さの比0.6以上とすることができる。
【0011】
第1および第2の導体パッド14a,14b上には下地層18がそれぞれ形成されていてよい。下地層18としては、第1および第2の導体パッド14a,14bの表面に形成されたニッケル層とニッケル層上に形成されたパラジウム層とパラジウム層上に形成された金層とを例示することができる。その他、ニッケル層とニッケル層上に形成された金層とを例示することができる。下地層18は形成しなくてもよい。
【0012】
プリント配線板10はさらに、第1の導体パッド14a上に下地層18を介して形成された第1のバンプ20と、第2の導体パッド14b上に下地層18を介して形成され、第1のバンプ20よりも小径の第2のバンプ22とを備えている。下地層18を形成しない場合、第1および第2のバンプ20,22は第1および第2の導体パッド14a,14b上に直接形成することができる。第1のバンプ20は電源もしくはグランド線との接続に用いることができる。第1のバンプ20よりも径の小さい第2のバンプ22は信号線との接続に用いることができる。
【0013】
第1のバンプ20は、第1の開口16a内に形成された第1のベースめっき層24と、第1のベースめっき層24上に第1の中間層26-1を介して形成された第1のトップめっき層28とを有する。
【0014】
第1のベースめっき層24は、導電性金属、好ましくは銅を主成分とする金属から形成されている。第1のベースめっき層24はソルダーレジスト層16の表面(基部絶縁層12とは反対側の面)を超える高さまで形成することが好ましい。これにより第1のバンプ20が第1の開口16a内に安定して保持される。ソルダーレジスト層16の表面からの第1のベースめっき層24の厚みB1は3μm~20μmの範囲内とすることが好ましい。第1のベースめっき層24は上面中央部分に第1の窪み24aを有する。すなわち、第1のベースめっき層24の上面中央部分は上面外周部分よりも低い位置に形成されている。第1の窪み24aの深さD1、つまり第1のベースめっき層24の上面外周部分の最高位置から窪みの底位置までの距離は20μm以下である。第1の窪み24aの深さD1を小さくすることで、第1のベースめっき層24上に、第1の中間層26-1を介在して、第1のトップめっき層28を形成する際に、第1の窪み24a内へのガス溜まりは抑制される。これにより、第1のトップめっき層28へのボイドの発生は低減される。第1の窪み24aの深さD1は好ましくは15μm以下であり、より好ましくは10μm以下である。
【0015】
第1の中間層26-1は、好ましくはニッケルを主成分とする金属から形成されている。第1の中間層26-1の厚みは7μm以下とすることが好ましい。本発明で重要なのは、第1の中間層26-1の上面が光沢を有している点である。これにより、第1のトップめっき層28へのボイドの発生は低減される。本発明において、第1の中間層26-1の上面の「光沢」とは、第1の中間層26-1の上面の算術平均粗さRaが0.05μm~0.5μmの範囲として定義する。算術平均粗さRaの下限を0.05μmとするのは、現状の製造技術ではRaが0.05μm未満の表面粗さを達成できないためである。算術平均粗さRaの上限を0.5μmとするのは、Raが0.5μmを超えると第1のトップめっき層28へのボイドの発生を十分に低減できないためである。Raが0.5μmを超えた場合は「無光沢」として定義される。
【0016】
第1のトップめっき層28は、第1のベースめっき層24よりも融点が低くリフロー処理により溶融して図1に示すような略半球状に整形される金属、例えばスズを主成分とする金属からなる。第1のトップめっき層28の厚み(第1のバンプ20の外周面において第1のトップめっき層28の下端から第1のトップめっき層の頂部までの垂直方向の距離)A1は5μm~45μmの範囲とすることが好ましい。第1のトップめっき層28の厚みA1をこの範囲とすることで、第1のバンプ20と、プリント配線板10に実装される半導体チップやメモリなど電子部品の接続パッド(図示せず)との間で良好な接続信頼性が得られる。
【0017】
第2のバンプ22は、第2の開口16b内に形成された第2のベースめっき層30と、第2のベースめっき層30上に第2の中間層26-2を介して形成された第2のトップめっき層32とを有する。
【0018】
第2のベースめっき層30は、導電性金属、好ましくは銅を主成分とする金属から形成されている。第2のベースめっき層30はソルダーレジスト層16の表面(基部絶縁層12とは反対側の面)を超える高さまで形成することが好ましい。これにより第2のバンプ22が第2の開口16b内に安定して保持される。ソルダーレジスト層16の表面からの第2のベースめっき層30の厚みB2は3μm~20μmの範囲内とすることが好ましい。第2のベースめっき層30は上面中央部分に第2の窪み30aを有する。すなわち、第2のベースめっき層30の上面中央部分は上面外周部分よりも低い位置に形成されている。第2の窪み30aの深さD2、つまり第2のベースめっき層30の上面外周部分の最高位置から第2の窪み30aの底位置までの距離は第1の窪み24aの深さD1よりも小さい。第1のバンプ20よりも小径の第2のバンプ22において、第2の窪み30aの深さD2を第1の窪み24aの深さD1よりも小さくすることで、第2のベースめっき層30上に、場合によって中間層26を介在して、第2のトップめっき層32を形成する際に、第2の窪み30a内へのガス溜まりは抑制される。これにより、第2のトップめっき層32へのボイドの発生は低減される。
【0019】
第2の中間層26-2は、好ましくはニッケルを主成分とする金属から形成されている。第2の中間層26-2の厚みは7μm以下とすることが好ましい。本発明で重要なのは、第2の中間層26-2の上面が光沢を有している点である。これにより、第2のトップめっき層32へのボイドの発生は低減される。
【0020】
第2のトップめっき層32は、第2のベースめっき層30よりも融点が低くリフロー処理により溶融して図1に示すような略半球状に整形される金属、例えばスズを主成分とする金属からなる。第2のトップめっき層32の厚み(第2のバンプ22の外周面において第2のトップめっき層32の下端から第2のトップめっき層32の頂部までの垂直方向の距離)A2は5μm~45μmの範囲とすることが好ましい。第2のトップめっき層32の厚みA2をこの範囲とすることで、第2のバンプ22と、プリント配線板10に実装される半導体チップやメモリなど電子部品の接続パッド(図示せず)との間で良好な接続信頼性が得られる。
【0021】
図2には、図1に示されたプリント配線板10の変形例が示されている。図1を参照して説明した要素または部分と同様の要素または部分には同じ符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。この変形例に係るプリント配線板10では、第2のバンプ22の第2のベースめっき層30および第2の中間層26-2の上面が平坦に形成されている。その他の構成は、図1のプリント配線板10と同じである。なお、「平坦」とは第2のベースめっき層30および第2の中間層26-2の上面がプリント配線板10の主表面とほぼ平行になることを意味し、めっき処理により発生し得る微小な凹凸は存在していてもよい。第2のベースめっき層30および第2の中間層26-2の上面を平坦にすることで、第2のバンプ22におけるボイド発生率は、上面中央部分に第2の窪み30aを有する、図1に示した第2のバンプ22と比べて低減される。また、第1の中間層26-1および第2の中間層26-2のそれぞれの上面は光沢を有しているため、第1のトップめっき層28および第2のトップめっき層32中のボイドの発生はさらに低減される。
【0022】
図3には、図1に示されたプリント配線板10の変形例が示されている。図1を参照して説明した要素または部分と同様の要素または部分には同じ符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。この変形例に係るプリント配線板10では、第2のバンプ22の第2のベースめっき層30および第2の中間層26-2の上面中央部分には隆起部30bが形成されている。つまり、第2のベースめっき層30および第2の中間層26-2の上面中央部分は上面外周部分よりも高い位置にある。その他の構成は、図1のプリント配線板10と同じである。第2のベースめっき層30および第2の中間層26-2の上面中央部分に隆起部30bを形成することで、第2のバンプ22におけるボイド発生率は、上面が平坦もしくは上面中央部分に第2の窪み30aを有する、図1および図2に示した第2のバンプ22と比べて低減される。また、第1の中間層26-1および第2の中間層26-2のそれぞれの上面は光沢を有しているため、第1のトップめっき層28および第2のトップめっき層32中のボイドの発生はさらに低減される。
【0023】
以下、図1に示すプリント配線板10の製造方法を、図4A図4Hを参照して説明する。なお、図2~3に示す変形例のプリント配線板10も同様の製造方法で製造される。
【0024】
図4Aには、公知の方法を用いて、基部絶縁層12上に所定の回路パターンを有する導体層14およびソルダーレジスト層16が形成された中間体が示されている。基部絶縁層12の下層には他の複数の導体層および樹脂絶縁層が交互に形成されている場合が多いが、図では省略されている。複数の導体層および樹脂絶縁層はコア基板上もしくは後に除去可能な支持板上で積層することができる。しかし、プリント配線板10は、基部絶縁層12としての1層の樹脂絶縁層と1層の導体層14とからなるものでもよく、この場合この樹脂絶縁層が基部絶縁層12に相当する。基部絶縁層12には、シリカやアルミナ等の無機フィラーとエポキシ系樹脂とを含むビルドアップ用絶縁樹脂フィルムを用いることができる。ソルダーレジスト層16には、例えば炭酸ガスレーザまたはUV-YAGレーザ等により、導体層14の一部を第1の導体パッド14aとして露出させる第1の開口16aと導体層14の他の一部を第2の導体パッド14bとして露出させる第2の開口16bが形成される。第1の開口16aのアスペクト比は0.5以下とし、第2の開口16bのアスペクト比は0.6以上とするのが好ましい。第1および第2の導体パッド14a,14b上には、めっきにより例えばニッケル層、パラジウム層、金層がこの順に積層されて下地層18が形成される。下地層18は形成しなくてもよい。
【0025】
図4Bに示されるように、例えば、無電解銅めっき処理等の無電解めっき処理が行われ、中間体の表面(ソルダーレジスト層16の表面および第1および第2の開口16a,16bの側面)上と、下地層18上(下地層18が形成されない場合には導体パッド14a,14b上)にシード層34が形成される。
【0026】
図4Cに示されるように、シード層34上に、第1および第2のバンプ20,22(図1)の形成予定部位に開口36aを有する所定パターンのめっきレジスト36が形成される。
【0027】
図4Dに示されるように、電解めっき処理が行われ、シード層34上の、めっきレジスト36から露出する部分に、例えば銅を主成分とする第1のベースめっき層24および第2のベースめっき層30が形成される。このとき、図1図3に示したプリント配線板10を製造する場合には、上面中央部分に深さ20μm以下、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下の第1の窪み24aが形成されるように、第1のベースめっき層24のめっき厚を調整する。また、図1に示したプリント配線板10を製造する場合には、上面中央部分に第1の窪み24aよりも浅い第2の窪み30aが形成されるように、第2のベースめっき層30のめっき厚を調整する。図2に示したプリント配線板10を製造する場合には、第2のベースめっき層30の上面が平坦となるように、第2のベースめっき層30の厚みを調整する。図3に示したプリント配線板10を製造する場合には、第2のベースめっき層30の上面中央部分に隆起部30bが形成されるように、第2のベースめっき層30のめっき厚を調整する。
【0028】
また、第1および第2のベースめっき層24,30を形成する際には、ソルダーレジスト層16の表面からの第1のベースめっき層24の厚みおよび第2のベースめっき層30の厚みが3μm~20μmの範囲内となるよう、第1および第2のベースめっき層24,30のめっき厚を調整するのが好ましい。
【0029】
図4Eに示されるように、例えば電解めっき処理が行われ、第1および第2のベースめっき層24,30上に例えばニッケルを主成分とする第1の中間層26-1および第2の中間層26-2が形成される。第1の中間層26-1および第2の中間層26-2の厚みは好ましくは7μm以下とする。このとき、第1の中間層26-1の上面および第2の中間層26-2の上面が光沢を有するよう構成する。上面が光沢を有するようにするためには、例えば、めっき液中に光沢剤を添加して電解めっきを行う方法など、従来から公知の方法をとることができる。
【0030】
図4Fに示されるように、電解めっき処理が行われ、第1および第2のベースめっき層24,30上に第1および第2の中間層26-1,26-2を介在して第1および第2のトップめっき層28,32が形成される。第1および第2のトップめっき層28,32は、第1および第2のベースめっき層24,30よりも融点が低くリフロー処理により溶融して略半球状に整形される金属、例えばスズを主成分とする金属からなる。第1および第2のトップめっき層28,32の厚みは5μm~45μmの範囲とすることが好ましい。
【0031】
第1のベースめっき層24および第1の中間層26-1の上面が平坦に形成されるか、あるいは上面中央部分に深さD1が20μm以下の第1の窪み24aが形成されていることにより、第1のトップめっき層28を形成する際に、第1の窪み24a内へのガス溜まりは抑制される。また、第1の中間層26-1の上面が光沢を有する。これにより、第1のトップめっき層28へのボイドの発生は低減される。また、第2のベースめっき層30および第2の中間層26-2の上面が平坦に形成されるか、上面中央部分に第1の窪み24aよりも浅い第2の窪み30aが形成されるか、あるいは上面中央部分に隆起部30bが形成されていることにより、第2のトップめっき層32を形成する際に、第2のベースめっき層30近傍でのガス溜まりは抑制される。また、第2の中間層26-2の上面が光沢を有する。これにより、第2のトップめっき層32へのボイドの発生は低減される。
【0032】
図4Gに示されるように、めっきレジスト36が剥離される。また、めっきレジスト36の除去により露出したシード層34の部分がエッチングにより除去される。
【0033】
図4Hに示されるように、リフロー処理が行われ、第1のトップめっき層28および第2のトップめっき層32が略半球状に整形される。リフロー処理により、第1および第2の導体パッド14a,14bに近い側から銅層、銅/ニッケル合金層、ニッケル層、ニッケル/スズ合金層、スズ層からなる第1のバンプ20および第2のバンプ22が形成される。
【実施例
【0034】
図4A図4Hに従って、図1に示す構成のプリント配線板を作製した。この際、第1の中間層および第2の中間層の上面の算術表面粗さRaを変化させて、第1の中間層および第2の中間層の上面に光沢を有する実施例のプリント配線板と、第1の中間層および第2の中間層とも無光沢である比較例のプリント配線板とを準備した。
【0035】
電解めっき液としては、例えば、ワット浴を用い、そこに添加する光沢剤、例えば、サッカリン、ナフタレンジスルホン酸ナトリウム等の硫黄を含む1次光沢剤、及び、ブチンジオール、プロパルギルアルコール、クマリン等の2次光沢剤の添加量を変化させて、第1の中間層および第2の中間層の上面のRaを変化させた。他の構成については、実施例および比較例とも同じ構成とした。得られた実施例および比較例のプリント配線板について、X線CTスキャンの方法で、第1のトップめっき層および第2のトップめっき層のボイドの数を測定した。結果を以下の表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
表1の結果から、第1の中間層および第2の中間層の上面を光沢とした例(実施例)は、第1の中間層および第2の中間層の上面をいずれも無光沢とした例(比較例)と比べて、第1のトップめっき層および第1のトップめっき層中のボイドが低減されていることがわかった。
【符号の説明】
【0038】
10 プリント配線板
12 基部絶縁層
14 導体層
14a 第1の導体パッド
14b 第2の導体パッド
16 ソルダーレジスト層
16a 第1の開口
16b 第2の開口
18 下地層
20 第1のバンプ
22 第2のバンプ
24 第1のベースめっき層
24a 第1の窪み
26-1 第1の中間層
26-2 第2の中間層
28 第1のトップめっき層
30 第2のベースめっき層
30a 第2の窪み
30b 隆起部
32 第2のトップめっき層
34 シード層
36 めっきレジスト
V ボイド
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図5