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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-05
(45)【発行日】2023-04-13
(54)【発明の名称】切断装置
(51)【国際特許分類】
   E04F 21/20 20060101AFI20230406BHJP
   E04F 21/00 20060101ALI20230406BHJP
   B23D 45/06 20060101ALI20230406BHJP
   B23D 47/00 20060101ALI20230406BHJP
   B23D 45/02 20060101ALI20230406BHJP
   B23D 33/10 20060101ALI20230406BHJP
   B26D 7/01 20060101ALI20230406BHJP
   B26D 7/22 20060101ALI20230406BHJP
   B26D 7/18 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
E04F21/20 Z
E04F21/00 Z
B23D45/06
B23D47/00 A
B23D45/02 A
B23D47/00 Z
B23D33/10 B
B26D7/01 C
B26D7/22 A
B26D7/18 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019025919
(22)【出願日】2019-02-15
(65)【公開番号】P2020133180
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】316001674
【氏名又は名称】センクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100193839
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 周平
(72)【発明者】
【氏名】小林 淳彦
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-313574(JP,A)
【文献】特開昭50-114421(JP,A)
【文献】実開平05-016056(JP,U)
【文献】登録実用新案第3115356(JP,U)
【文献】特開平10-113817(JP,A)
【文献】特開2004-160822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 21/20
E04F 21/00
B23D 45/00-65/04
B26D 7/00-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアパネルを設置する設置面及び前記設置面に形成されるスリットを有する基台と、
前記基台の前記設置面の反対側から前記スリットを貫通して前記設置面から突出可能な刃を有するとともに前記スリットに沿って移動可能な切断部と、
前記設置面に対して移動可能なストッパ及び前記ストッパを駆動するストッパ駆動装置を有するストッパ部と、
前記フロアパネルの切断寸法情報を受信すると、前記ストッパ駆動装置を駆動して前記ストッパ部を前記切断寸法情報に対応する位置に移動させる制御部と、
を備え
前記制御部は、
前記切断寸法情報が前記フロアパネルの一辺の半分の長さよりも短い場合は、前記切断部の切断方向に直交する方向の一側を使用側とするとともに他側を切断側として前記ストッパの位置を設定し、
前記切断寸法情報が前記フロアパネルの一辺の半分の長さよりも長い場合は前記切断方向に直交する方向の一側を切断側とするとともに他側を使用側として前記ストッパの位置を設定する切断装置。
【請求項2】
前記フロアパネルの前記使用側と前記切断側を区別して表示可能な表示部を更に備える請求項に記載の切断装置。
【請求項3】
前記基台を起立状態と倒伏状態の間で回動可能に支持する台車を更に備える請求項1又はに記載の切断装置。
【請求項4】
外部から前記切断寸法情報を受信可能な無線通信部を更に備える請求項1からまでの何れかに記載の切断装置。
【請求項5】
前記フロアパネルの切断屑を吸引する吸引装置を更に備える請求項1からまでの何れかに記載の切断装置。
【請求項6】
前記設置面にセットされたフロアパネルを検知するパネル検知センサを更に備える請求項1からまでの何れかに記載の切断装置。
【請求項7】
前記ストッパは、前記スリットに対して傾斜可能な請求項1からまでの何れかに記載の切断装置。
【請求項8】
前記設置面側の前記スリットの両側に配置され、物体の進入を検知する非接触センサを更に備え、
前記制御部は、前記切断部の切断動作中に前記非接触センサの検知信号を受信すると前記切断部の動作を停止する請求項1からまでの何れかに記載の切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロアパネルを切断する切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基礎床よりも上方に上床を設けた二重床構造を構築するためのフロアパネルが知られている。この種のフロアパネルを開示するものとして例えば特許文献1がある。
【0003】
特許文献1には、部屋の間取りや形状に合わせてフロアパネルを敷き詰めていった際、部屋の隅縁等で該フロアパネルを嵌め込むだけのスペースが残っていない場合があり、このような場合は該スペースに合わせてフロアパネルに切断加工が施されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-098271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フロアパネルは耐荷重を考慮して設計されるため、切断作業も容易ではない。これに加えて配置場所にあわせた形状にフロアパネルを切断する必要があるため、配置場所ごとにフロアパネルの切断位置が変わり、手間のかかる作業であった。現場での切断作業は、複数の作業員が必要なことも多く、フロアパネルの切断作業の効率化が望まれていた。
【0006】
本発明は、フロアパネルの切断作業を効率化できる切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、フロアパネルを設置する設置面及び前記設置面に形成されるスリットを有する基台と、前記基台の前記設置面の反対側から前記スリットを貫通して前記設置面から突出可能な刃を有するとともに前記スリットに沿って移動可能な切断部と、前記設置面に対して移動可能なストッパ及び前記ストッパを駆動するストッパ駆動装置を有するストッパ部と、前記フロアパネルの切断寸法情報を受信すると、前記ストッパ駆動装置を駆動して前記ストッパを前記切断寸法情報に対応する位置に移動させる制御部と、を備える切断装置に関する。
【0008】
前記制御部は、前記切断寸法情報が前記フロアパネルの一辺の半分の長さよりも短い場合は、前記切断部の切断方向に直交する方向の一側を使用側とするとともに他側を切断側として前記ストッパの位置を設定し、前記切断寸法情報が前記フロアパネルの一辺の半分の長さよりも長い場合は前記切断方向に直交する方向の一側を切断側とするとともに他側を使用側として前記ストッパの位置を設定することが好ましい。
【0009】
前記切断装置は、前記フロアパネルの前記使用側と前記切断側を区別して表示可能な表示部を更に備えることが好ましい。
【0010】
前記切断装置は、前記基台を起立状態と倒伏状態の間で回動可能に支持する台車を更に備えることが好ましい。
【0011】
前記切断装置は、外部から前記切断寸法情報を受信可能な無線通信部を更に備えることが好ましい。
【0012】
前記切断装置は、前記フロアパネルの切断屑を吸引する吸引装置を更に備えることが好ましい。
【0013】
前記切断装置は、前記設置面にセットされたフロアパネルを検知するパネル検知センサを更に備えることが好ましい。
【0014】
前記ストッパは、前記スリットに対して傾斜可能であることが好ましい。
【0015】
前記切断装置は、前記設置面側の前記スリットの両側に配置され、物体の進入を検知する非接触センサを更に備え、前記制御部は、前記切断部の切断動作中に前記非接触センサの検知信号を受信すると前記切断部の動作を停止することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、フロアパネルの切断作業を効率化できる切断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る切断装置及びフロアパネルを示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る切断装置の背面の斜視図である。
図3】フロアパネルの設置面を形成するパネル及び該パネルを固定する前の本発明の一実施形態に係る切断装置及びを示す斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係る切断装置の正面図である。
図5】フロアパネルの設置面を形成するパネルを固定する前の本発明の一実施形態に係る切断装置の正面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る切断装置の右側面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る切断装置の右側面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る倒伏状態の切断装置の右側面図である。
図9】本発明の一実施形態に係る操作ボックスの電気的構成を示す機能ブロック図である。
図10】変形例に係る切断装置及びフロアパネルを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、フロアパネルPを設置した本実施形態に係る切断装置1の斜視図である。図1に示す切断装置1は、フロアパネルPを所定の形状に切断する装置である。以下、1辺の長さLが500mmの正方形状のフロアパネルPを切断対象のフロアパネルの例として説明する。なお、フロアパネルPの形状及び大きさは、あくまで一例であり、フロアパネルPの形状及び大きさは適宜変更することができる。
【0019】
図2は切断装置1の背面の斜視図、図3は切断装置1と後述するパネル31,32及びガイド24,25を示す斜視図、図4は切断装置1の正面図、図5はパネル31,32及びガイド24,25を固定する前の切断装置1を示す正面図、図6は切断装置1の右側面図、図7は切断部3が待機状態である切断装置1の右側面図、図8は倒伏状態の切断装置の右側面図である。
【0020】
本実施形態の切断装置1は、基台2と、切断部3と、ストッパ部6と、台車7と、吸引装置8と、操作ボックス100と、を備える。
【0021】
基台2の構成について説明する。基台2は、枠体20と、枠体20に固定される2枚のパネル31,32と、枠体20に固定されるバー40と、クランパ41と、複数のパネル検知センサ45,46,47と、を備える。
【0022】
枠体20は、アルミ製の角筒状の部材を矩形に枠組みされた外枠21と、外枠21の内側に固定される支持横枠22及び支持縦枠23と、を備える。支持横枠22は、パネル31,32を裏側から支持する。支持縦枠23には、後述する移動用ロッドレスシリンダ52が配置される。
【0023】
2枚のパネル31,32は、横方向に並んだ状態で枠体20及び支持横枠22に固定される。2枚のパネル31,32によってフロアパネルPを設置する設置面35が形成される。また、パネル31とパネル32の間にはスリット36が形成される。
【0024】
パネル31にはフロアパネルPを下から支持するガイド24が配置され、パネル32にはフロアパネルPを下から支持するガイド25が配置される。ガイド25には、フロアパネルPの長さを測定するためのスケール26が配置される。
【0025】
バー40は、スリット36の延びる方向に平行な方向で延びる棒状部材である。バー40は、設置面35に対して間隔をあけて配置されており、パネル31を上下方向で跨ぐように枠体20に固定される。
【0026】
クランパ41は、設置面35に固定されたフロアパネルPを固定する装置である。クランパ41は、バー40に固定される昇降ガイド付シリンダ410と、昇降ガイド付シリンダ410によって動作するクランプバー411と、を備える。設置面35にフロアパネルPがセットされた状態で、昇降ガイド付シリンダ410が駆動されることにより、クランプバー411がパネル31,32とともにフロアパネルPを挟み込むクランプ位置に移動する。クランプ位置に移動したクランプバー411により、フロアパネルPがパネル31,32側に押圧されることにより、該フロアパネルPが基台2に確実に固定される。
【0027】
第1のパネル検知センサ45は、ガイド24に配置される。本実施形態の第1のパネル検知センサ45は、ガイド24の上面に埋設され、該ガイド24に載置されたフロアパネルPの有無を検知する近接スイッチである。
【0028】
第2のパネル検知センサ46及び第3のパネル検知センサ47は、何れも、クランプバー411に配置される。本実施形態において、第2のパネル検知センサ46及び第3のパネル検知センサ47は、クランプバー411の設置面35に対向する部位にスリット36に直交する方向(左右方向)に並んで埋設され、設置面35にセットされたフロアパネルPの有無を検知する近接スイッチである。
【0029】
切断部3は、2枚のパネル31,32の裏側に配置される。本実施形態の切断部3は、丸鋸本体51と、移動用ロッドレスシリンダ52と、切込量出戻シリンダ53と、を備える。丸鋸本体51は、円盤状の刃54をモータ(図示省略)によって回転させる電動鋸である。移動用ロッドレスシリンダ52は、丸鋸本体51をスリット36に沿って移動させる駆動装置である。切込量出戻シリンダ53は、刃54がスリット36を貫通して設置面35から突出する切断位置(図6参照)と、刃54が設置面35よりも裏側に戻る待機位置(図7参照)と、の間を移動させる刃54の位置を変更装置である。
【0030】
ストッパ部6は、フロアパネルPの設置位置を決めるストッパ61と、ストッパ61を所定位置に移動させるストッパ駆動装置62と、を備える位置設定用の単軸ロボットである。ストッパ駆動装置62は、2枚のパネル31,32の下方で枠体20に固定される。
【0031】
ストッパ61は、ストッパ駆動装置62に接続される基端側からスリット36の延びる方向に平行な方向で延びている。ストッパ61の先端は、ガイド24,25よりも上方に位置している。ストッパ61の先端には、設置面35とストッパ61の間に配置されるブロック部材63が配置される。ストッパ61は、ストッパ駆動装置62によってパネル32で形成された設置面35に対してスリット36に直交する方向で移動する。
【0032】
台車7は、ヒンジ74を介して基台2を支持するベースフレーム71と、ベースフレーム71に配置される複数のキャスター72と、基台2を起立状態で支持する支持フレーム73と、を備える。支持フレーム73は、基台2の側面を形成する外枠21と、ベースフレーム71に着脱可能に取り付けられる。支持フレーム73を外枠21又はベースフレーム71から取り外して、ヒンジ74を中心に外枠21とベースフレーム71が接触するまで回動させることにより、切断装置1を起立状態(図6参照)から倒伏状態(図8参照)に変形させることができる。
【0033】
吸引装置8は、切断部3に配置され、切断部3によってフロアパネルPを切断したときに生じる切断屑を吸引する装置である。吸引装置8は、吸引口57を有する吸引ホース56と、吸引ホース56が接続される吸引装置本体58と、を備える。吸引ホース56は、可撓性を有しており、丸鋸本体51の移動に追従して変形する。
【0034】
図9は、本発明の一実施形態に係る操作ボックス100の電気的構成を示す機能ブロック図である。図9に示すように、操作ボックス100は、切断部3、ストッパ部6、吸引装置8、クランパ41、及び各種のセンサに電気的に接続される。
【0035】
本実施形態の操作ボックス100は、本体ケース110と、制御装置(制御部)111と、無線通信装置112と、タッチパネル120と、表示灯121,122と、を備える。制御装置111は、無線通信装置112と、タッチパネル120と、表示灯121,122と、に電気的に接続される。
【0036】
本体ケース110は、各種制御を実行する電子部品としての制御装置111及び無線通信装置112を内蔵する。本体ケース110は、バー40に固定される。
【0037】
制御装置111は、切断装置1の各種の処理を制御するコンピュータである。無線通信装置112は、外部と無線通信を行う電子部品である。
【0038】
タッチパネル120は、フロアパネルPの切断位置を入力する入力装置であるとともに、ユーザが入力した情報や切断に関わる各種情報を表示する表示装置である。
【0039】
表示灯121はタッチパネル120の左側に配置され、表示灯122はタッチパネル120の右側に配置される。表示灯121及び表示灯122は、何れかが点灯することにより、切断後の使用側のパネルを示す報知部である。
【0040】
次に、制御装置111による切断処理の制御について説明する。
【0041】
フロアパネルPを配置場所に合わせた所望の形状に切断するため、切断装置1が用いられる。切断装置1を用いた切断処理により、フロアパネルPはスリット36を中心に左右両側に2分割される。スリット36の左右両側のうち所望の形状に切断されたフロアパネルPが載置される側を使用側とし、もう一方のフロアパネルPが載置される側を切断側とする。
【0042】
制御装置111は、切断寸法情報に基づき、上記切断処理を制御する。切断寸法情報は、フロアパネルPを配置場所に合わせた所望の形状に切断するための長さ情報である。また、切断寸法情報は、切断処理後の使用側のフロアパネルPの短辺の長さを示す。
【0043】
制御装置111は、タッチパネル120への入力又は無線通信装置112を介した外部からの受信により切断寸法情報を取得すると、切断寸法情報に基づきストッパ61の位置を設定する。
【0044】
ここで、制御装置111は、切断寸法情報が250mmを超える場合、ストッパ61の位置の設定方法を変更するとともに使用側と切断側を切り替える。
【0045】
具体的には、切断処理後の使用側のフロアパネルPの短辺の長さが250mm以下である場合、フロアパネルPの切断位置から右方向に切断寸法情報の長さだけ移動した位置が、ストッパ61の位置として設定される。例えば、切断寸法情報が150mmである場合、ストッパ61はフロアパネルPの切断位置から右方向に150mmの位置に移動する。そして、切断処理後、スリット36の右側のフロアパネルPが使用側のフロアパネルPとなる。
【0046】
一方、切断処理後の使用側のフロアパネルPの短辺の長さが250mmを超える場合、フロアパネルPの切断位置から右方向に切断処理前のフロアパネルPの一辺の全長から切断寸法情報を差し引いた長さだけ移動した位置が、ストッパ61の位置として設定される。例えば、切断寸法情報が300mmである場合、ストッパ61はフロアパネルPの切断位置から右方向に200mmの位置に移動する。そして、切断処理後、スリット36の左側のフロアパネルPが使用側のフロアパネルPとなる。
【0047】
これに対して、ストッパ61の位置の設定方法の変更と、使用側及び切断側の切り替えが行われない場合、切断寸法情報が250mmを超えても、フロアパネルPの切断位置から右方向に切断寸法情報の長さだけ移動した位置が、ストッパ61の位置として設定される。例えば、切断寸法情報が300mmである場合、ストッパ61はフロアパネルPの切断位置から右方向に300mmの位置に移動する。そして、切断処理後、スリット36の右側のフロアパネルPが使用側のフロアパネルPとなる。そのため、切断位置から右方向に少なくとも300mmの位置にストッパ61が移動できるように、基台2のサイズを設定する必要がある。
【0048】
以上のように、本実施形態では、制御装置111がストッパ61の位置の設定方法を変更するとともに使用側及び切断側を切り替えるため、フロアパネルPの一辺の半分の長さ250mmを超える切断寸法情報に対応するストッパ61の移動量を抑えることができる。従って、ストッパ61が移動する基台2のサイズをコンパクトにすることができ、切断装置1のコンパクト化及び軽量化が可能となる。
【0049】
ストッパ61の位置が設置されると、制御装置111は、ストッパ部6のストッパ駆動装置62を駆動させるとともに、表示灯121又は表示灯122を点灯させる。
【0050】
ストッパ駆動装置62は、ストッパ61を初期位置から右側であり、スリット36に直交する方向に制御装置111が設定した位置に移動させる。
【0051】
制御装置111は、切断寸法情報が250mm以下の場合に右側の表示灯122を点灯させ、切断寸法情報が250mmを超える場合に左側の表示灯121を点灯させる。これにより、使用側のフロアパネルPが表示灯121又は表示灯122によって報知される。
【0052】
次に、作業者が、ガイド24,25に下から支持されるようにフロアパネルPを設置面35に載置し、フロアパネルPの一側の側面がストッパ61のブロック部材63に接触する状態とする。作業者は、この状態でタッチパネル120を操作し、切断装置1を次の動作に移行させる。
【0053】
制御装置111は、第1のパネル検知センサ45がフロアパネルPを検知すると、クランパ41の昇降ガイド付きシリンダ410を駆動させ、クランプバー411をパネル31,32とともにフロアパネルPを挟み込むクランプ位置に移動させる。制御装置111は、第2のパネル検知センサ46及び第3のパネル検知センサ47がフロアパネルを検知すると、ストッパ61をスリット36から遠ざかる方向に移動させ、ストッパ61のブロック部材63とフロアパネルPとの接触を解除させる。
【0054】
次に、制御装置111は、切込量出戻シリンダ53を駆動して丸鋸本体51を待機位置(図7参照)から切断位置(図6参照)に移動させ、刃54がスリット36から突出する状態とする。そして、吸引装置8を起動するとともに、切断部3のモータを駆動して刃54を回転させる。制御装置111は、刃54が回転状態の丸鋸本体51を移動用ロッドレスシリンダ52によって設置面35の上方から下方に移動させる。この結果、設置面35に載置されたフロアパネルPが切断され、使用側及び切断側のフロアパネルPが得られる。
【0055】
フロアパネルPが切断されると、制御装置111は、切込量出戻シリンダ53を駆動して刃54を切断位置から待機位置に移動させるとともにモータを停止させる。そして、移動用ロッドレスシリンダ52を駆動して丸鋸本体51をフロアパネルPの切断開始前の位置に戻し、切断処理を完了する。
【0056】
以上説明したように、本実施形態の切断装置1は、フロアパネルPを設置する設置面35及び設置面35に形成されるスリット36を有する基台2と、基台2の設置面35の反対側からスリット36を貫通して設置面35から突出可能な刃54を有するとともにスリット36に沿って移動可能な切断部3と、設置面35に対して移動可能なストッパ及びストッパ61を駆動するストッパ駆動装置62を有するストッパ61と、フロアパネルPの切断寸法情報を受信すると、ストッパ駆動装置62を駆動してストッパ61を切断寸法情報に対応する位置に移動させる制御装置111と、を備える。
【0057】
これにより、切断寸法情報に対応する位置にストッパ61が自動で移動するため、作業員によるフロアパネルPの切断位置の調整作業の負担が軽減され、フロアパネルPの切断作業の効率を向上させることができる。また、ストッパ61の位置を目印にフロアパネルPの切断位置を調整できるため、より正確にフロアパネルPの切断作業を行うことができる。
【0058】
また、本実施形態の制御装置111は、切断寸法情報がフロアパネルPの一辺の半分の長さ250mmよりも短い場合は、切断部3の切断方向に直交する方向の一側を使用側とするとともに他側を切断側としてストッパ61の位置を設定し、切断寸法情報がフロアパネルPの一辺の半分の長さ250mmよりも長い場合は切断方向に直交する方向の一側を切断側とするとともに他側を使用側としてストッパ61の位置を設定する。
【0059】
これにより、フロアパネルPの一辺の半分の長さ250mmを超える切断寸法情報に対応するために必要なストッパ61の移動量を抑えることができるため、基台2をよりコンパクトにすることができる。
【0060】
また、本実施形態の切断装置1は、フロアパネルPの使用側と切断側を区別して表示可能な表示灯121,122を更に備える。これにより、使用側のフロアパネルPを容易に区別することができる。
【0061】
また、本実施形態の切断装置1は、基台2を起立状態と倒伏状態の間で回動可能に支持する台車7を更に備える。これにより、切断装置1をコンパクトに折り畳むことができるので、切断装置1の持ち運びが容易になる。
【0062】
また、本実施形態の切断装置1は、外部から切断寸法情報を受信可能な無線通信装置112を更に備える。この構成により、フロアパネルPを敷設場所に合わせた形状に加工するための採寸作業と、採寸作業により得られた切断寸法情報に基づきフロアパネルPを切断する切断作業とを離れた場所で行うことができる。これにより、フロアで行われる別作業と切断作業を並行して行うことができる。また、切断寸法情報に対応する形状のフロアパネルPを予め加工し、必要な枚数及び形状のフロアパネルPのみを敷設場所に搬入することができる。従って、フロアパネルの施工作業全体の効率を向上させることができる。
【0063】
また、本実施形態の切断装置1は、フロアパネルPの切断屑を吸引する吸引装置8を更に備える。これにより、加工現場に切断屑が排出されないようにフロアパネルPの切断作業を行うことができるので、切断作業後に作業現場を清掃する手間を省くことができ、切断作業全体の効率をより向上させることができる。
【0064】
また、本実施形態の切断装置1は、設置面35にセットされたフロアパネルPを検知するパネル検知センサ45,46,47を更に備える。これにより、フロアパネルPが設置面35にセットされていない状態での切断装置1の起動を防ぐことができる。
【0065】
次に、上記実施形態の切断装置1の変形例について説明する。なお、以下の説明において、上記実施形態と共通又は同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0066】
図10は、フロアパネルPを設置した本変形例の切断装置1の斜視図である。図10に示すように、変形例の切断装置1は、基台2がより縦長に形成され、非接触センサ248,249と、ガイド227とを備える点が上記実施形態と異なる。また、ストッパ部6に替えて、スリット36に対して傾斜可能なストッパ261を有するストッパ部260を備える点が上記実施形態と異なる。
【0067】
非接触センサ248,249は、設置面35側のスリット36の両側の設置面35の上部に夫々取り付けられ、スリット36に沿って赤外線を照射する光センサである。非接触センサ248,249は、スリット36への物体の進入を検知して、制御装置211に検知信号を送信する。制御装置211は、切断部3による切断動作中に非接触センサ248又は249からの検知信号を受信すると、切断部3の動作を停止する。
【0068】
ガイド227は、ガイド24,25の上面に配置され、回転軸228を中心として回転可能となるようにパネル32に取り付けられる。回転軸228は、ガイド25の外枠21側の端部の上方に位置する。ガイド227は、ストッパ261と連動して傾斜する。本変形例では、ガイド227によってフロアパネルPが下から支持される。
【0069】
ストッパ部260は、フロアパネルPの設置位置を決めるストッパ261と、ストッパ261を所定位置に移動させることができるとともに、ストッパ261のスリット36に対する傾斜角度を調整することができるストッパ駆動装置262と、を備える位置設定用の単軸ロボットである。
【0070】
ストッパ261は、回転軸264を中心として回転可能となるようにストッパ駆動装置262に基端側が接続され、基台2の上方に向かって直線的に延びている。ストッパ261の先端には、設置面35とストッパ261の間に配置されるブロック部材263が配置される。ストッパ261は、ストッパ駆動装置262によって回転軸264を中心として所定の角度で傾斜する。このとき、ガイド227は、ストッパ261に連動し、回転軸228を中心としてストッパ261と直交するように傾斜する。また、ストッパ261は、ストッパ駆動装置262によってガイド227に直交した状態を維持しながら、設置面35に対して移動する。
【0071】
次に制御装置211による切断処理の制御について説明する。上記実施形態と共通又は同様の方法及び構成についてはその説明を省略する場合がある。
【0072】
制御装置211は、切断寸法情報及び切断角度情報に基づき、フロアパネルPの切断処理を制御する。切断角度情報は、フロアパネルPを配置場所に合わせて所望の形状に切断するための角度情報である。また、切断角度情報は、スリット36に対するストッパ61の傾斜角度を示す。
【0073】
制御装置211は、タッチパネル120を用いたパネル操作又は無線通信装置112を介する外部からの受信によって、切断寸法情報及び切断角度情報を取得する。
【0074】
制御装置211は、フロアパネルPの切断角度情報及び切断寸法情報を受信すると、該情報に基づき、ストッパ駆動装置262を駆動して、ストッパ261をスリット36に対して切断角度情報の角度に傾斜させ、ガイド227に沿って切断寸法情報に対応する位置まで移動させる。
【0075】
作業者が、フロアパネルPをストッパ261及びガイド227により形成された切断位置に載置すると、制御装置211が、昇降ガイド付きシリンダ410を駆動させ、フロアパネルPがクランプバー411と設置面35に挟まれて固定される。ストッパ261及びガイド227の傾斜が、スリット36に対して直交する角度に調整された後、上記実施形態と同様にフロアパネルPが切断処理される。
【0076】
以上説明したように、本変形例の切断装置1に用いられるストッパ261は、スリット36に対して傾斜可能に構成される。これにより、フロアパネルPの切断方向に対するストッパ261の傾斜角度を調整することができるため、フロアパネルPを対辺の長さが等しくなるように長方形状に加工するだけでなく、三角形、台形等のような斜辺を含む形状にフロアパネルPを加工することができる。
【0077】
また、本変形例の切断装置1は、設置面35側のスリット36の両側に配置され、物体の進入を検知する非接触センサ248,249を更に備え、制御装置211は、切断部3の切断動作中に非接触センサ248,249の検知信号を受信すると切断部3の動作を停止する。これにより、切断動作中に誤って作業者やフロアパネルP以外の物体がスリット36に接触しても切断部3の動作が停止するので、パネル切断作業をより安全に行うことができる。
【0078】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態及び変形例に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、上記実施形態から無線通信装置112を省略することもできる。
【0079】
また、本実施形態では、切断部3は円盤状の刃54を回転させる電動鋸によりフロアパネルPを切断する構成としたが、これに限定されない。例えば、切断部3はレーザーによりフロアパネルPを切断するものであってもよい。
【符号の説明】
【0080】
P フロアパネル
1 切断装置
2 基台
3 切断部
6 ストッパ部
35 設置面
36 スリット
61 ストッパ
62 ストッパ駆動装置
111 制御装置(制御部)
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10