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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-05
(45)【発行日】2023-04-13
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/586 20210101AFI20230406BHJP
   H01M 50/595 20210101ALI20230406BHJP
   H01M 50/538 20210101ALI20230406BHJP
   H01M 50/593 20210101ALI20230406BHJP
   H01M 50/627 20210101ALI20230406BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20230406BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALN20230406BHJP
【FI】
H01M50/586
H01M50/595
H01M50/538
H01M50/593
H01M50/627
H01M10/04 Z
H01M10/0585
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019026198
(22)【出願日】2019-02-18
(65)【公開番号】P2020136010
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸井 信二
(72)【発明者】
【氏名】野中 太貴
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-084695(JP,A)
【文献】特開2012-164470(JP,A)
【文献】国際公開第2017/038042(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50
H01M 50/40
H01M 50/60
H01M 10/04
H01M 10/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極板と負極板を含む第1電極体と、
正極板と負極板を含む第2電極体と、
開口を有し、前記第1電極体と前記第2電極体を収容する外装体と、
前記開口を封口する封口板と、
前記第1電極体及び前記第2電極体よりも前記封口板側に配置された集電体と、
前記集電体に電気的に接続され、前記封口板に取り付けられた端子と、を備える二次電池であって、
前記封口板は電解液注液孔を有し、
前記第1電極体は前記第2電極体側の最外面に第1絶縁シートを有し、
前記第2電極体は前記第1電極体側の最外面に第2絶縁シートを有し、
前記第1電極体は、前記封口板側の端部に、前記正極板又は前記負極板に電気的に接続された第1電極タブ群を有し、
前記第2電極体は、前記封口板側の端部に、前記正極板又は前記負極板に電気的に接続された第2電極タブ群を有し、
前記第1電極タブ群と前記第2電極タブ群は、前記集電体に接続され、
前記第1電極タブ群の最外面と前記第1絶縁シートに跨って第1テープが貼り付けられており、
前記第2電極タブ群の最外面と前記第2絶縁シートに跨って第2テープが貼り付けられており、
前記電解液注液孔と対向する位置に、前記第1テープ及び前記第2テープの少なくとも一方が配置され、
前記電解液注液孔は封止部材により封止された二次電池。
【請求項2】
前記第1絶縁シートは、多孔質のシートであり、
前記第2絶縁シートは、多孔質のシートである請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記第1電極体は、複数の前記正極板と、複数の前記負極板を含む積層型の電極体であり、
前記第2電極体は、複数の前記正極板と、複数の前記負極板を含む積層型の電極体である請求項1又は請求項2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記封口板の電池内部側には絶縁部材が配置されており、
前記絶縁部材は、前記電解液注液孔と対向する位置に絶縁部材開口を有し、
前記絶縁部材開口の周囲には筒状部が形成された請求項1~3のいずれかに記載の二次電池。
【請求項5】
前記集電体は、前記電解液注液孔と対向する位置に集電体貫通穴を有する請求項1~4のいずれかに記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV、PHEV)等の駆動用電源において、アルカリ二次電池や非水電解質二次電池等の二次電池が使用されている。
【0003】
これらの二次電池では、開口を有する有底筒状の外装体と、その開口を封口する封口板により電池ケースが構成される。電池ケース内には、正極板、負極板及びセパレータからなる電極体が電解質と共に収容される。封口板には正極端子及び負極端子が取り付けられる。正極端子は正極集電体を介して正極板に電気的に接続され、負極端子は負極集電体を介して負極板に電気的に接続される。
【0004】
このような二次電池においては、封口板に電解液注液孔が形成されており、電解液注液孔から電池ケース内に電解液が注入され、その後、電解液注液孔が封止部材により封止される(下記特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-29006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、正極板と負極板の短絡が抑制された信頼性の高い二次電池を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一形態に係る二次電池は、
正極板と負極板を含む第1電極体と、
正極板と負極板を含む第2電極体と、
開口を有し、前記第1電極体と前記第2電極体を収容する外装体と、
前記開口を封口する封口板と、
前記第1電極体及び前記第2電極体よりも前記封口板側に配置された集電体と、
前記集電体に電気的に接続され、前記封口板に取り付けられた端子と、を備える二次電池であって、
前記封口板は電解液注液孔を有し、
前記第1電極体は前記第2電極体側の最外面に第1絶縁シートを有し、
前記第2電極体は前記第1電極体側の最外面に第2絶縁シートを有し、
前記第1電極体は、前記封口板側の端部に、前記正極板又は前記負極板に電気的に接続された第1電極タブ群を有し、
前記第2電極体は、前記封口板側の端部に、前記正極板又は前記負極板に電気的に接続された第2電極タブ群を有し、
前記第1電極タブ群と前記第2電極タブ群は、前記集電体に接続され、
前記第1タブ群の最外面と前記第1絶縁シートに跨って第1テープが貼り付けられており、
前記第2タブ群の最外面と前記第2絶縁シートに跨って第2テープが貼り付けられており、
前記電解液注液孔と対向する位置に、前記第1テープ及び前記第2テープの少なくとも一方が配置され、
前記電解液注液孔は封止部材により封止部材により封止されている。
【0008】
電極体が、正極板の端部、セパレータの端部、及び負極板の端部が配置された積層端部を有し、この積層端部が封口板側に配置された二次電池においては、封口板に設けられた電解液注液孔から電解液を注入した際に、セパレータが捲れる可能性がある。そして、セパレータが捲れた場合、隣接する正極板と負極板が接触することで短絡が生じる虞がある。また、正極活物質層ないし負極活物質層の一部が脱落し、短絡の原因となる虞がある。
【0009】
本開示の一形態に係る二次電池の構成によると、封口板に設けられた電解液注液孔から電解液を注入したときに、セパレータが捲れることを効果的に抑制できる。よって、正極板と負極板の短絡がより効果的に抑制できる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によると、電池ケースに設けられた電解液注液孔から電解液を電池ケース内に注入したとき、セパレータの捲れが生じることが抑制される。よって、正極板と負極板の短絡が抑制された信頼性の高い二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る角形二次電池の斜視図である。
図2図1におけるII-II線に沿った角形二次電池の断面図である。
図3】(a)は実施形態に係る正極板の平面図である。(b)は実施形態に係る負極板の平面図である。
図4】実施形態に係る電極体の平面図である。
図5】第2正極集電体に正極タブ群を接続し、第2負極集電体に負極タブ群を接続した状態を示す図である。
図6】(a)は第1電極体の最外面と第1正極タブ群の近傍の拡大断面図である。(b)は第2電極体の最外面と第2正極タブ群の近傍の拡大断面図である。
図7】第1正極集電体及び第1負極集電体を取り付けた後の封口板の電極体側の面を示す図である。
図8】第1正極集電体に第2正極集電体を取り付け、第1負極集電体に第2負極集電体を取り付けた後の封口板の電極体側の面を示す図である。
図9】封口板2の短手方向に沿った断面図であり、電解液注液孔近傍の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施形態に係る二次電池としての角形二次電池20の構成を以下に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0013】
図1及び図2に示すように角形二次電池20は、開口を有する有底角筒状の角形外装体1と、角形外装体1の開口を封口する封口板2からなる電池ケース100を備える。角形外装体1及び封口板2は、それぞれ金属製であることが好ましい。角形外装体1内には、正極板と負極板を含む電極体3が電解質と共に収容されている。
【0014】
電極体3の封口板2側の端部には、複数の正極タブ4dからなる正極タブ群40と、複数の負極タブ5cからなる負極タブ群50が設けられている。正極タブ群40は第2正極集電体6b及び第1正極集電体6aを介して正極端子7に電気的に接続されている。負極タブ群50は第2負極集電体8b及び第1負極集電体8aを介して負極端子9に電気的に接続されている。第1正極集電体6aと第2正極集電体6bが正極集電体6を構成している。なお、正極集電体6は一つの部品としてもよい。第1負極集電体8aと第2負極集電
体8bが負極集電体8を構成している。なお、負極集電体8は一つの部品としてもよい。
【0015】
第1正極集電体6a、第2正極集電体6b及び正極端子7は金属製であることが好ましく、アルミニウム又はアルミニウム合金製であることがより好ましい。正極端子7と封口板2の間には樹脂製の外部側絶縁部材10が配置されている。第1正極集電体6a及び第2正極集電体6bと封口板2の間には樹脂製の内部側絶縁部材11が配置されている。
【0016】
第1負極集電体8a、第2負極集電体8b及び負極端子9は金属製であることが好ましく、銅又は銅合金製であることがより好ましい。また、負極端子9は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる部分と、銅又は銅合金からなる部分を有するようにすることが好ましい。この場合、銅又は銅合金からなる部分を第1負極集電体8aに接続し、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる部分を封口板2よりも外部側に突出するようにすることが好ましい。負極端子9と封口板2の間には樹脂製の外部側絶縁部材12が配置されている。第1負極集電体8a及び第2負極集電体8bと封口板2の間には樹脂製の内部側絶縁部材13が配置されている。
【0017】
電極体3と角形外装体1の間には樹脂製の絶縁シートからなる電極体ホルダー14が配置されている。電極体ホルダー14は、樹脂製の絶縁シートを袋状又は箱状に折り曲げ成形されたものであることが好ましい。封口板2には電解液注液孔15が設けられており、電解液注液孔15は封止部材16で封止されている。封止部材16としてブラインドリベットを用いることができる。また、金属製の封止部材16を封口板2に溶接接続してもよい。封口板2には、電池ケース100内の圧力が所定値以上となったときに破断し電池ケース100内のガスを電池ケース100外に排出するガス排出弁17が設けられている。
【0018】
次に角形二次電池20の製造方法及び各構成の詳細を説明する。
【0019】
[正極板]
まず、正極板の製造方法を説明する。
[正極活物質層スラリーの作製]
正極活物質としてのリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、結着材としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)、導電材としての炭素材料、及び分散媒としてのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)をリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物:PVdF:炭素材料の質量比が97.5:1:1.5となるように混練し、正極活物質層スラリーを作製する。
【0020】
[正極保護層スラリーの作製]
アルミナ粉末、導電材としての炭素材料、結着材としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)と分散媒としてのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を、アルミナ粉末:炭素材料:PVdFの質量比が83:3:14 となるように混練し、保護層スラリーを作製する。
【0021】
[正極活物質層及び正極保護層の形成]
正極芯体としての厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に、上述の方法で作製した正極活物質層スラリー及び正極保護層スラリーをダイコータにより塗布する。このとき、正極保護層スラリーは、正極芯体における正極活物質層スラリーの塗布部の端部近傍に塗布する。
【0022】
正極活物質層スラリー及び正極保護層スラリーが塗布された正極芯体を乾燥させ、正極活物質層スラリー及び正極保護層スラリーに含まれるNMPを除去する。これにより正極活物質層及び保護層が形成される。その後、一対のプレスローラの間を通過させることに
より、正極活物質層を圧縮して正極原板とする。正極原板を所定の形状に切断することにより正極板4とする。
【0023】
図3(a)は、正極板4の平面図である。正極板4は、正極芯体4aとしてのアルミニウム箔の両面に、正極活物質層4bが形成されている。正極板4の一つの端辺に、正極芯体4aの両面に正極活物質層4bが形成されていない正極芯体露出部が正極タブ4dとして設けられている。また、正極板4において正極タブ4dが設けられた端辺の近傍と、正極タブ4dの根元近傍においては、正極芯体4aの両面に正極保護層4cが形成されている。
【0024】
[負極板]
次に、負極板の製造方法を説明する。
[負極活物質層スラリーの作製]
負極活物質としての黒鉛、結着材としてのスチレンブタジエンゴム(SBR)及びカルボキシメチルセルロース(CMC)、及び分散媒としての水を、黒鉛:SBR:CMCの質量比が98:1:1となるように混練し、負極活物質層スラリーを作製する。
【0025】
[負極活物質層の形成]
負極芯体としての厚さ8μmの銅箔の両面に、上述の方法で作製した負極活物質層スラリーをダイコータにより塗布する。
【0026】
負極活物質層スラリーが塗布された負極芯体を乾燥させ、負極活物質層スラリーに含まれる水を除去する。これにより負極活物質層が形成される。その後、一対のプレスローラの間を通過させることにより、負極活物質層を圧縮して負極原板とする。負極原板を所定の形状に切断することにより負極板5とする。
【0027】
図3(b)は、負極板5の平面図である。負極板5は、負極芯体5aとしての銅箔の両面に、負極活物質層5bが形成されている。負極板5の一つの端辺に、負極芯体5aの両面に負極活物質層5bが形成されていない負極芯体露出部が負極タブ5cとして設けられている。
【0028】
[電極体の作製]
上述の方法で作製した正極板4及び負極板5を、ポリオレフィン製の矩形状のセパレータ90を介して積層し、積層型の電極体3を製造する。図4は、電極体3の平面図である。電極体3は、端部に、各正極板4に設けられた正極タブ4dが積層された正極タブ群40を有する。また、電極体3は、端部に、各負極板5に設けられた負極タブ5cが積層された負極タブ群50を有する。電極体3は偏平状である。なお、正極板4、セパレータ90、及び負極板5の積層方向において、電極体3の両外面にはセパレータ90が配置されている。
【0029】
なお、電極体3に含まれるセパレータとして、矩形状の複数枚のセパレータを用いてもよいし、帯状のセパレータを九十九折状として用いてもよい。また、電極体3内において、帯状のセパレータが巻回されてもよい。また、セパレータは、ポリオレフィン製の基材の表面に耐熱層を有するものであってもよい。耐熱層はセラミック等の無機粒子とバインダーを含む層である。また、セパレータの表面に接着層が形成され、当該接着層によりセパレータと正極板4及び負極板5の少なくとも一方が接着されていてもよい。
【0030】
一つの電極体3において正極板の積層数は特に限定されないが、10~100層であることが好ましく、30~80層であることがより好ましい。一つの電極体3における負極板の積層数を正極板の積層数よりも一層多くし、全ての正極板の両面が負極板と対向する
ようにすることが好ましい。
【0031】
なお、電極体3は、帯状の正極板と帯状の負極板を、帯状のセパレータを介して巻回した偏平状の巻回電極体であってもよい。
【0032】
[集電体とタブの接続]
上述の方法で2つの電極体3を作製し、それぞれ第1電極体3a、第2電極体3bとする。第1電極体3aの正極タブ群40、負極タブ群50を、それぞれ第1正極タブ群40a、第1負極タブ群50aとする。第2電極体3bの正極タブ群40、負極タブ群50を、それぞれ第2正極タブ群40b、第2負極タブ群50bとする。なお、第1電極体3aと第2電極体3bは全く同じ構成であってもよいし、構成が異なっていてもよい。
【0033】
図5に示すように、第1電極体3aの第1正極タブ群40aと、第2電極体3bの第2正極タブ群40bとを、第2正極集電体6bに接続し、接合部60を形成する。また、第1電極体3aの第1負極タブ群50aと、第2電極体3bの第2負極タブ群50bとを、第2負極集電体8bに接続し、接合部61を形成する。接合方法としては、超音波溶接(超音波接合)、抵抗溶接、レーザー溶接等を用いることができる。
【0034】
図5及び図6(a)に示すように、第1電極体3aにおける最外面であって、角形二次電池20となった状態で第2電極体3b側に位置する最外面には、第1絶縁シートとしての第1最外セパレータ90aが配置されている。そして、第1最外セパレータ90aと第1正極タブ群40aを構成する正極タブ4dに跨るように第1テープ80aが貼り付けられている。なお、第1テープ80aの貼り付けは、第1正極タブ群40a及び第2正極タブ群40bを第2正極集電体6bに接続する前に行ってもよいし、第1正極タブ群40a及び第2正極タブ群40bを第2正極集電体6bに接続した後に行ってもよい。
【0035】
図5及び図6(b)に示すように、第2電極体3bにおける最外面であって、角形二次電池20となった状態で第1電極体3a側に位置する最外面には、第2絶縁シートとしての第2最外セパレータ90bが配置されている。そして、第2最外セパレータ90bと第2正極タブ群40bを構成する正極タブ4dに跨るように第2テープ80bが貼り付けられている。なお、第2テープ80bの貼り付けは、第1負極タブ群50a及び第2負極タブ群50bを第2負極集電体8bに接続する前に行ってもよいし、第1負極タブ群50a及び第2負極タブ群50bを第2負極集電体8bに接続した後に行ってもよい。
【0036】
第2正極集電体6bには、薄肉部6cが形成され、薄肉部6c内には集電体開口6dが形成されている。第2正極集電体6bには、封口板2の電解液注液孔15と対向する位置に集電体貫通穴6eが形成されている。第2負極集電体8bには、薄肉部8cが形成され、薄肉部8c内には集電体開口8dが形成されている。
【0037】
[封口板への各部品取り付け]
図7は、各部品を取り付けた封口板2の電池内部側の面を示す図である。封口板2への各部品取り付けは次のように行われる。
【0038】
封口板2の正極端子挿入孔2aの周囲の電池外面側に外部側絶縁部材10を配置する。封口板2の正極端子挿入孔2aの周囲の電池内面側に内部側絶縁部材11及び第1正極集電体6aを配置する。そして、正極端子7を電池外部側から、外部側絶縁部材10の貫通孔、封口板2の正極端子挿入孔2a、内部側絶縁部材11の貫通孔及び第1正極集電体6aの貫通孔に挿入し、正極端子7の先端を第1正極集電体6a上にカシメる。これにより、正極端子7及び第1正極集電体6aが封口板2に固定される。なお、正極端子7においてカシメられた部分と第1正極集電体6aを溶接することが好ましい。
【0039】
封口板2の負極端子挿入孔2bの周囲の電池外面側に外部側絶縁部材12を配置する。封口板2の負極端子挿入孔2bの周囲の電池内面側に内部側絶縁部材13及び第1負極集電体8aを配置する。そして、負極端子9を電池外部側から、外部側絶縁部材12の貫通孔、封口板2の負極端子挿入孔2b、内部側絶縁部材13の貫通孔及び第1負極集電体8aの貫通孔に挿入し、負極端子9の先端を第1負極集電体8a上にカシメる。これにより、負極端子9及び第1負極集電体8aが封口板2に固定される。なお、負極端子9においてカシメられた部分と第1負極集電体8aを溶接することが好ましい。
【0040】
内部側絶縁部材11は、封口板2の電池内面に沿って配置される絶縁部材本体部11aを有する。絶縁部材本体部11aにおいて、封口板2に設けられた電解液注液孔15と対向する部分には、絶縁部材開口11bが設けられている。また、絶縁部材開口11bの周囲には筒状部11cが設けられている。筒状部11cは、絶縁部材本体部11aから第1電極体3a及び第2電極体3b側に延びている。
【0041】
[第1集電体と第2集電体の接続]
図8は、第1正極集電体6aに第2正極集電体6bを取り付け、第1負極集電体8aに第2負極集電体8bを取り付けた後の封口板2の電池内部側の面を示す図である。
第1正極タブ群40a及び第2正極タブ群40bが接続された第2正極集電体6bを、その一部が第1正極集電体6aと重なるようにして、内部側絶縁部材11上に配置する。そして、薄肉部6cにレーザー照射することにより、第2正極集電体6bと第1正極集電体6aを接合する。これにより接合部62が形成される。また、第1負極タブ群50a及び第2負極タブ群50bが接続された第2負極集電体8bを、その一部が第1負極集電体8aと重なるようにして、内部側絶縁部材13上に配置する。そして、薄肉部8cにレーザー照射することにより、第2負極集電体8bと第1負極集電体8aを接合する。これにより接合部63が形成される。
【0042】
[角形二次電池の組み立て]
第1電極体3aと第2電極体3bを一つに纏める。このとき、第1正極タブ群40aと第2正極タブ群40bが異なる方向に湾曲し、第1負極タブ群50aと第2負極タブ群50bが異なる方向に湾曲するようにする。そして、一つに纏めた第1電極体3aと第2電極体3bを箱状ないし袋状に成形した絶縁シートからなる電極体ホルダー14内に配置する。
【0043】
電極体ホルダー14で包まれた第1電極体3aと第2電極体3bを角形外装体1に挿入する。そして、封口板2と角形外装体1を溶接し、角形外装体1の開口を封口板2により封口する。
【0044】
図9は、角形外装体1の開口を封口板2により封口した後の封口板2の短手方向に沿った電解液注液孔15の近傍の断面図である。
図9に示すように、封口板2の短手方向において、第1正極タブ群40aと第2正極タブ群40bの間に電解液注液孔15が配置される。また、電解液注液孔15と対向する位置に、第1テープ80a及び第2テープ80bが配置される。上述の通り、第1正極タブ群40aと第2正極タブ群40bは異なる方向に湾曲している。
【0045】
封口板2に設けられた電解液注液孔15から電池ケース100内に電解液が注入される。電解液としては、例えば、有機溶媒に電解質塩を溶解させた非水電解液を用いることができる。封口板2に設けられた電解液注液孔15から電池ケース100内に注入された電解液は、絶縁部材開口11b、筒状部11c、集電体貫通穴6eを通過し、第1電極体3a及び第2電極体3b側に移動する。
ここで、第1テープ80aが、第1電極体3aにおいて第2電極体3b側の最外面に位置する第1最外セパレータ90aと第1正極タブ群40aに跨って貼り付けられている。また、第2テープ80bが、第2電極体3bにおいて第1電極体3a側の最外面に位置する第2最外セパレータ90bと第2正極タブ群40bに跨って貼り付けられている。したがって、注入された電解液により、第1最外セパレータ90a、第2最外セパレータ90b、あるいは他のセパレータ90が捲れることを防止できる。
したがって、第1最外セパレータ90a、第2最外セパレータ90b、あるいは他のセパレータ90が捲れることにより、意図しない部分で正極板4と負極板5が短絡することを防止できる。また、勢いよく注入された電解液により、正極活物質層4bないし負極活物質層5bの一部が脱落することを確実に防止できる。よって、脱落した正極活物質層4bないし負極活物質層5bに起因する短絡を防止できる。
【0046】
図5及び図8に示すように、第1テープ80a及び第2テープ80bの幅は、第1正極タブ群40a及び第2正極タブ群40bの幅よりも大きいことが好ましい。これにより、第1最外セパレータ90a、第2最外セパレータ90b、あるいは他のセパレータ90の捲れをより効果的に抑制できる。
なお、第1テープ80a及び第2テープ80bの幅を、第1正極タブ群40a及び第2正極タブ群40bの幅よりも小さくすることもできる。第1正極タブ群40a及び第2正極タブ群40bと正極端子7の間の導電経路に電流遮断機構を設ける場合は、第1テープ80a及び第2テープ80bの幅を、第1正極タブ群40a及び第2正極タブ群40bの幅よりも小さくすることで、第1テープ80a及び第2テープ80bが電流遮断機構に接触することを確実に防止できる。あるいは、第1テープ80a及び第2テープ80bの幅を第1正極タブ群40a及び第2正極タブ群40bの幅よりも小さくすることで、第1テープ80a及び第2テープ80bを貼り付ける際に第1テープ80a及び第2テープ80bが電流遮断機構に接触することがなく、第1テープ80a及び第2テープ80bを好ましい状態で貼り付けることができる。
【0047】
第1テープ80a及び第2テープ80bの少なくとも一方の長さを長くし、第1テープ80a及び第2テープ80bの少なくとも一方が、少なくとも一方の接合部60を覆うようにすることもできる。接合部60が第1テープ80a及び第2テープ80bの少なくとも一方で覆われていると、接合部60に金属粉等の異物が付着していることがあっても、金属粉等が電極体3内に侵入することを抑制できる。
【0048】
なお、筒状部11cは、集電体貫通穴6eを貫通していることが好ましい。筒状部11cの第1電極体3a及び第2電極体3b側の端部(図9においては下端部)は、第2正極集電体6b上に積層された第1正極タブ群40aの第1電極体3a及び第2電極体3b側の面よりも、第1電極体3a及び第2電極体3b側(図9においては下方)に位置することが好ましい。筒状部11cの第1電極体3a及び第2電極体3b側の端部(図9においては下端部)は、第2正極集電体6b上に積層された第2正極タブ群40bの第1電極体3a及び第2電極体3b側の面よりも、第1電極体3a及び第2電極体3b側(図9においては下方)に位置することが好ましい。
【0049】
封口板2に設けられた電解液注液孔15から電池ケース100内に電解液が注入された後、電解液注液孔15はブラインドリベット等の封止部材16により封止される。
【0050】
[テープ]
第1テープ80a、第2テープ80b等のテープは、基材層と、基材層上に形成された接着層からなることが好ましい。基材層は、樹脂からなることが好ましい。基材層は、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレン、ポリエステル、ポリエチレンナフタレート等から選択される部材あるいはそれらの混合物であることが
好ましい。特に基材層はポリプロピレンからなることが好ましい。
接着層は、常温(25℃)で粘着性を有することが好ましい。また、熱溶着可能なものであってもよい。接着層は、ゴム系の接着剤、アクリル系、ポリエチレン系等から選択される部材あるいはそれらの混合物であることが好ましい。特に接着層はゴム系の接着剤であることが好ましい。 なお、テープが、熱溶着性のシートであってもよい。この場合、熱溶着によりテープを接着する。また、テープはガラスクロステープであってもよい。
【0051】
テープの厚みは特に限定されないが、例えば、10μm~500μmとすることができる。
【0052】
テープがタブ群と絶縁シートに跨って貼り付けられるタイミングは、電解液注液孔から電解液が電池ケース内に注入される前であれば特に限定されない。タブ群を集電体に接続する前であってもよいし、タブ群を集電体に接続した後であってもよい。
【0053】
[絶縁シート]
電極体の最外面に配置される絶縁シートは、正極板と負極板の間に配置されるセパレータと同じ材質のものとすることができる。なお、電極体の最外面にセパレータとは異なる絶縁シートを配置してもよい。絶縁シートは非多孔質であってもよいが、電極体内に電解液が染み込みやすいように絶縁シートは多孔質であることが好ましい。
セパレータが九十九折状とされる場合は、セパレータの一方端部が電極体の最外周に巻かれた状態とすることができる。そして、電極体の最外周に位置するセパレータを絶縁シートとすることができる。なお、九十九折状とされたセパレータとは別部材の絶縁シートを、電極体の最外周に巻きつけてもよい。
巻回型の電極体の場合、正極板と負極板の間に配置される帯状のセパレータが電極体の最外周に巻かれた状態とすることができる。そして、最外周に位置するセパレータを絶縁シートとすることができる。なお、帯状のセパレータとは別部材の絶縁シートを電極体の最外周に巻きつけてもよい。
【0054】
上述の実施形態においては封口板に設けられた電解液注液孔と対向する位置に正極タブ群が配置された例を示したが、電解液注液孔と対向する位置に負極タブ群が配置されるようにしてもよい。
【0055】
上述の実施形態においては、第1電極体3a及び第2電極体3bが積層型の電極体である例を示したが、第1電極体3a及び第2電極体3bは、それぞれ、巻回型の電極体としてもよい。第1電極体3a及び第2電極体3bをそれぞれ巻回型の電極体とする場合、第1電極体3a及び第2電極体3bのそれぞれの封口板2側の端部に、正極タブ群及び負極タブ群が形成されるようにする。
【0056】
上述の実施形態においては、正極集電体及び負極集電体がそれぞれ二つの部品からなる例を示したが、正極集電体及び負極集電体はそれぞれ一つの部品から構成されてもよい。正極集電体と負極集電体がそれぞれ一つの部品である場合、正極集電体と負極集電体にそれぞれ正極タブ群と負極タブ群を接続した後、正極集電体と負極集電体を封口板に取り付けられた正極端子と負極端子にそれぞれ接続することが好ましい。
【0057】
偏平状の電極体を平面視したとき、テープが正極活物質層と重ならないように、テープを電極体の最外面に位置する絶縁シートに貼り付けることができる。このような場合、電極体に局所的に大きな圧力が加わることを抑制できる。
【0058】
正極板、負極板、セパレータ、及び電解質等に関しては、公知の材料を用いることができる。
【符号の説明】
【0059】
20・・・角形二次電池
100・・・電池ケース
1・・・角形外装体
2・・・封口板
2a・・・正極端子挿入孔
2b・・・負極端子挿入孔
3・・・電極体
3a・・・第1電極体
3b・・・第2電極体
4・・・正極板
4a・・・正極芯体
4b・・・正極活物質層
4c・・・正極保護層
4d・・・正極タブ
40・・・正極タブ群
40a・・・第1正極タブ群
40b・・・第2正極タブ群
5・・・負極板
5a・・・負極芯体
5b・・・負極活物質層
5c・・・負極タブ
50・・・負極タブ群
50a・・・第1負極タブ群
50b・・・第2負極タブ群
6・・・正極集電体
6a・・・第1正極集電体
6b・・・第2正極集電体
6c・・・薄肉部
6d・・・集電体開口
6e・・・集電体貫通穴

7・・・正極端子

8・・・負極集電体
8a・・・第1負極集電体
8b・・・第2負極集電体
8c・・・薄肉部
8d・・・集電体開口

9・・・負極端子

10・・・外部側絶縁部材
11・・・内部側絶縁部材
11a・・・絶縁部材本体部
11b・・・絶縁部材開口
11c・・・筒状部

12・・・外部側絶縁部材
13・・・内部側絶縁部材

14・・・電極体ホルダー
15・・・電解液注液孔
16・・・封止部材
17・・・ガス排出弁

60、61、62、63・・・接合部

90・・・セパレータ
90a・・・第1最外セパレータ
90b・・・第2最外セパレータ

80a・・・第1テープ
80b・・・第2テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9