(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-05
(45)【発行日】2023-04-13
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/53 20060101AFI20230406BHJP
A61F 13/532 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
A61F13/53 300
A61F13/532 100
(21)【出願番号】P 2019042348
(22)【出願日】2019-03-08
【審査請求日】2021-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002631
【氏名又は名称】弁理士法人イイダアンドパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100076439
【氏名又は名称】飯田 敏三
(74)【代理人】
【識別番号】100164345
【氏名又は名称】後藤 隆
(72)【発明者】
【氏名】水越 雄太郎
【審査官】津田 健嗣
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-517619(JP,A)
【文献】特開2008-264148(JP,A)
【文献】実開昭48-084494(JP,U)
【文献】特開平03-234255(JP,A)
【文献】特開平08-196559(JP,A)
【文献】特開平09-075391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌当接面側の表面シートと、非肌当接面側の裏面シートと、前記表面シート及び前記裏面シートの間に配置される吸収体とを備える吸収性物品であって、
前記吸収体が、水に対する接触角が90°未満のパルプ繊維Aと、水に対する接触角が90°以上のパルプ繊維Bを有しており、
前記吸収体は、平面方向において排泄部に対向する受液領域に、前記パルプ繊維A及び前記パルプ繊維Bを有するパルプ繊維混綿部を有
し、前記パルプ繊維混綿部における前記パルプ繊維Bの密度が
4.6mg/cm
3以上9.5mg/cm
3以下であ
り、
前記吸収体は、前記パルプ繊維混綿部よりも非肌当接面側に、パルプ繊維Bの密度が前記パルプ繊維混綿部におけるパルプ繊維Bの密度よりも低い吸水部を有し、前記吸水部におけるパルプ繊維Bの密度が3mg/cm
3
以下である吸収性物品。
【請求項2】
前記吸水部がパルプ繊維Bを含まない請求項
1記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記パルプ繊維混綿部及び前記吸水部が、高吸収性ポリマー材を有する請求項
1又は
2記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記パルプ繊維混綿部が、前記吸収体の厚み方向中央より上側に配され、前記吸水部が前記パルプ繊維混綿部より下側に配されている請求項
1~
3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキンやおむつなどの吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生理用ナプキン等の吸収性物品において、液吸収性や漏れ防止性を改善する技術が提案されてきた。
例えば、特許文献1には、生理用防御製品の横からの漏れによる汚れを防ぐ観点から、撥水性繊維をナプキンの周囲を取り巻く形で配置することが記載されている。
また、特許文献2には、高吸収性ポリマーの吸収性能を十分に生かす観点から、疎水性合成繊維を含む第1繊維層と親水性繊維及び熱接着性繊維を含む第2繊維層とからなる吸収体基材に前記高吸収性ポリマーを担持することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平3-63050号公報
【文献】特開平11-350322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸収性物品には体液を吸収する吸収性コアが配されており、該吸収性コアには、体液を吸収した後は、肌を濡らすことのない体液保持性が求められる。吸収性コアとしては、高吸収性ポリマー材をパルプ繊維中に分散し、圧縮したものが多く用いられている。パルプ繊維は瞬時の液体貯蔵能を有するが、液吸収量や体圧の程度によっては体液が再放出され、肌の濡れにつながることがある。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、吸収体からの液戻りを低減できる吸収性物品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、肌当接面側の表面シートと、非肌当接面側の裏面シートと、前記表面シート及び前記裏面シートの間に配置される吸収体とを備える吸収性物品であって、前記吸収体が、水に対する接触角が90°未満のパルプ繊維Aと、水に対する接触角が90°以上のパルプ繊維Bを有しており、前記吸収体は、平面方向において着用者の排泄部に対向する受液領域に、前記パルプ繊維A及び前記パルプ繊維Bを有するパルプ繊維混綿部を有しており、前記パルプ繊維混綿部における前記パルプ繊維Bの密度が0.01mg/cm3以上9.5mg/cm3以下である吸収性物品を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る吸収性物品は吸収体からの液戻りを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明における吸収性物品の好ましい一実施形態としての生理用ナプキンを伸長した状態で肌当接面側から模式的に示す一部切欠斜視図である。
【
図2】
図1に示す生理用ナプキンのII-II線断面図である。
【
図3】パルプ繊維混綿部と吸水部とが吸収体の平面方向に配置されている状態を模式的に示す平面図である。
【
図4】(A)は吸水前のパルプ繊維混綿部を模式的に示す説明図であり、(B)は吸水後のパルプ繊維混綿部を模式的に示す説明図である。
【
図5】パルプ繊維混綿部と吸水部とが吸収体の厚み方向に積層されている状態を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る吸収性物品の好ましい一実施形態としての生理用ナプキン(以下、ナプキンとも言う)10について、図面を参照しながら説明する。
本発明においては、人体に接触する側を肌面側ないし肌当接面側あるいは表面側といい、これと反対側を非肌面側ないし非肌当接面側あるいは裏面側という。これらは、人体に接触する面を有さない部材に関しても、吸収性物品の部材構成における相対的な位置関係を示す用語として用いる。また、着用時に人体の前側に位置する方向を前方といい、後側に位置する方向を後方という。吸収性物品の表面又は裏面の法線方向を厚み方向という。
【0010】
ナプキン10は、
図1及び2に示すように、肌当接面側の表面シート1と、非肌当接面側の裏面シート2と、表面シート1と裏面シート2との間に配置された液保持性の吸収体5とを有する。表面シート1は体液を吸収体5へと送り込む液透過性を備え、裏面シート2は吸収体5にある液に対する防漏性を備える。表面シート1及び裏面シート2は、吸収体5の外縁外方へと延出する大きさを有する。
吸収体5は、パルプ繊維の集合体又はパルプ繊維と高吸収性ポリマー材との混合集合体を有している。吸収体5は、
図2に示すように、吸収性コア3と、その肌当接面側及び非肌当接面側がコアラップシート4に被覆された構成を有していてもよい。
【0011】
本実施形態においては、表面シート1の肌当接面側の両側にサイドシート6が積層されている。サイドシート6と裏面シート2とが吸収体5の幅方向外方に延出して、着衣等への固定手段であるウイング部61を形成している。ウイング部61及び裏面シート2の非肌当接面側には、ナプキン10を着衣に固定するための粘着部(図示せず)が配される。このシートの積層構造において、ナプキン10の外周縁は、吸収体5を介在させずに接合された外周シール部9となっている。
【0012】
ナプキン10は、他の構成部材を含んでいてもよく、サイドシート6を有さない形態であってもよい。さらに表面シート1から吸収体5にかけて圧搾した防漏溝、表面シート1上の複数のエンボスなどを有していてもよい。また、サイドシート6は、表面シート1と接合されながら、表面シート1の両側よりも内方側の自由端部に弾性部材等を配して防漏カフを構成してもよい。
【0013】
ナプキン10は、平面視において、縦方向Yと、該縦方向Yと直交する幅方向Xとを有する、縦長形状である。表面シート1、裏面シート2及び吸収体5は、ナプキン10と同様に縦長形状である。縦方向Yは、ナプキン10の装着時における、着用者の腹側部、股下部及び背側部を繋ぐ方向に対応する。幅方向Xは、着用者の股下における左右の足を繋ぐ方向に対応する。本明細書において、縦方向Y及び幅方向Xは、ナプキン10の平面視における方向を示すと同時に、表面シート1、裏面シート2及び吸収体5の平面視における方向を示す。
【0014】
ナプキン10は、縦方向に関して、着用者の排泄部に対向する部位を含む中間部Cを有する。さらに縦方向に関して、中間部Cよりも前方の下腹部側に配置される前方部F、後方の臀部側に配置される後方部Rを有する。中間部Cには、幅方向中央部分に、前記排泄部に対向し、排泄液を直接受け止める受液領域C1がある。受液領域C1は、
図1に示すように、幅方向の長さを2等分する中心線Lから左右に広がる所定幅の範囲をいい、吸収体の幅方向両端縁よりも内側の範囲の部分を言う。具体的には、ナプキン10の幅方向の中心線Lから左右に広がる領域であって、吸収体の幅方向の長さに対して40%以上60%以下の範囲の部分をいう。なお、前方部F、中間部C及び後方部R並びに受液領域C1は、ナプキン10における区分を示すと同時に、これに対応する表面シート1、吸収体5及び裏面シート2における区分をも示す。
【0015】
前方部F、中間部C及び後方部Rの区分は、使用目的等によって設定される吸収性物品の長さに応じて適宜設定され得る。ショーツの股下部に折り曲げて固定するウイング部を備える場合は、該ウイング部の存在する縦方向に沿った領域が中間部Cとなる。本実施形態のナプキン10は、昼用などとして設定される形状の例を示しており、縦方向の長さを3等分して前方部F、中間部C及び後方部Rが設定される。ウイング部を備えない昼用のナプキンの場合には、中間部はこの設定に従う。ナプキン10がどのような形状であっても一般的には、中間部Cは、前方部Fからの一定の距離の位置にある部位として設定され得る。例えば、ナプキンが夜用など臀部を覆う幅広の後方フラップを備える場合、縦方向Yに4等分して最初の区分が前方部F、2番目の区分が中間部C、残りが後方部Rとなる。これらのいずれの形態のナプキンであっても、受液領域C1は、前述のとおり中間部Cの所定幅の領域である。
さらに本発明の吸収性物品が大人用若しくは幼児用のおむつなど、また、尿取りパッドなどである場合は、縦方向の長さを3等分して、前方部F、中間部C及び後方部Rが設定される。この場合、受液領域C1は、吸収性物品の幅方向の中心線から左右の幅方向3.5cm以内の領域であって、吸収性物品の縦方向Yの長さを2等分する線から前方部F方向8cm以内の領域である。
【0016】
次に、吸収体5について説明する。
吸収体5は、水に対する接触角が90°未満のパルプ繊維Aと、水に対する接触角が90°以上のパルプ繊維Bを有する。
図3に示すように、吸収体5の平面方向において着用者の排泄部に対向する受液領域に、パルプ繊維A及びパルプ繊維Bを有するパルプ繊維混綿部7が配されている。パルプ繊維混綿部7におけるパルプ繊維Bの密度が0.01mg/cm
3以上9.5mg/cm
3以下とされている。
【0017】
(接触角の測定方法)
測定装置として、協和界面科学株式会社製の自動接触角計MCA-Jを用いる。接触角の測定には脱イオン水を用いる。温度25度、相対湿度(RH)65%の測定条件で行う。インクジェット方式水滴吐出部(クラスターテクノロジー株式会社製、吐出部孔径が25μmのパルスインジェクターCTC-25)から吐出される液量を10ピコリットルに設定して、水滴を、吸収体5から取り出したパルプ繊維の真上に滴下する。滴下の様子を水平に設置されたカメラに接続された高速度録画装置に録画する。録画装置は後に画像解析をする観点から、高速度キャプチャー装置が組み込まれたパーソナルコンピュータが望ましい。本測定では、17msec毎に画像が録画される。
録画された映像において、吸収体5から取り出したパルプ繊維に水滴が着滴した最初の画像を、付属ソフトFAMAS(ソフトのバージョンは2.6.2、解析手法は液滴法、解析方法はθ/2法、画像処理アルゴリズムは無反射、画像処理イメージモードはフレーム、スレッシホールドレベルは200、曲率補正はしない、とする)にて画像解析を行い、水滴の空気に触れる面と繊維のなす角を算出し、接触角とする。
吸収体5から取り出したパルプ繊維は、繊維長1mmに裁断し、該繊維を接触角計のサンプル台に載せて、水平に維持する。該パルプ繊維1本につき異なる2箇所の接触角を測定する。N=5本の接触角を小数点以下1桁まで計測し、合計10箇所の測定値を平均した値(小数点以下第2桁で四捨五入)を接触角と定義する。
【0018】
パルプ繊維Bは前述の接触角によって撥水性を有する。もともと親水性であるパルプ繊維は、撥水化処理により上記の接触角を備えた繊維となる。撥水化処理に用いる撥水化剤エマルジョン水溶液は親水性のパルプ繊維に浸透しやすく、これにより形成されたパルプ繊維Bは、撥水化剤の付着ムラが少ない繊維となっている。そのため、撥水処理により形成されたパルプ繊維Bは、従来用いられていた合成繊維や撥水化処理した合成繊維と比較して、より高い撥水性を有し、少量添加で吸収体5からの体液の戻りを効果的に抑制することができる。
【0019】
通常用いられる親水性のパルプのみで構成された吸収体5の場合、液を迅速に吸収する能力に優れるものの、撥水性繊維を有する場合の方が圧力下での液保持能に優れ、着用者の肌の濡れをより抑制することができる。また、親水性パルプと疎水性を示す合成繊維等を混綿することで作製された吸収体5と対比しても、合成繊維よりも撥水性である繊維を有する場合、該繊維の添加量が少なくて済む。
パルプ繊維混綿部7は、パルプ繊維Bを上記の密度で含有するため、吸収体5の受液領域C1において、体液を透過する一方で、下層からの液戻りを抑制する作用をする。パルプ繊維Bは高い撥水性を有し、耐水圧性が高い(水を弾き、へたりにくい)。そのためパルプ繊維混綿部7では、パルプ繊維Aが体液を吸収体5の内部へと引き込みながら吸収すると同時に、吸収体5に押圧力が加わって体液が外に滲み出ようとしてもパルプ繊維Bが押し戻す作用をする。すなわち、パルプ繊維混綿部7は、受液領域C1において高い撥水性のパルプ繊維Bを上記の密度で含有することにより、液の透過性と液戻り抑制の性質とを両立させて、着用者の肌の濡れを効果的に防止することができる。
【0020】
パルプ繊維混綿部7の作用について、
図4(A)及び(B)を参照しながらより具体的に説明する。
図4(A)に示すように、吸収体5のパルプ繊維混綿部7においては、パルプ繊維Bが上記の特定の密度でパルプ繊維Aと混綿されている。この状態で体液が吸収体5に引き込まれると、パルプ繊維混綿部7では、パルプ繊維Aの親水性によって体液がさらに吸収体5の内部へと引き込まれて吸収保持される。このとき、
図4(B)に示すように、親水性のパルプ繊維Aは吸水によってへたる(例えば
図4(B)に示した小円P内のパルプ繊維A)。その一方で、撥水性のパルプ繊維Bはへたりが抑えられる。これにより、パルプ繊維混綿部7においては繊維からなる立体構造(厚み)が維持され、着用者の肌と体液を吸収した吸収体5の部分との距離が維持される。この状態にて、吸収体5に体圧等の押圧力が加わって、一度吸収した体液が吸収体5の外側に滲み出てこようとしても、撥水性のパルプ繊維Bが体液をはじいて該体液の滲出を防御する(例えば
図4(B)に示した矢印F)。
【0021】
パルプ繊維混綿部7の上記作用を効果的に発現させる観点から、パルプ繊維混綿部7におけるパルプ繊維Bの密度は、0.5mg/cm3以上が好ましく、2mg/cm3以上がより好ましく、4mg/cm3以上が更に好ましい。また、体液の吸収体5内部へ透過性を高める観点から、パルプ繊維混綿部7におけるパルプ繊維Bの密度は、9mg/cm3以下が好ましく、7mg/cm3以下がより好ましく、5mg/cm3以下が更に好ましい。
【0022】
このとき、パルプ繊維混綿部7におけるパルプ繊維Aの密度は、液戻り抑制の作用を高める観点から、パルプ繊維Bの密度よりも小さいことが好ましい。この観点から、パルプ繊維混綿部7におけるパルプ繊維Bの密度とパルプ繊維Aの密度との差は、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、3以上が更に好ましい。また、パルプ繊維混綿部7におけるパルプ繊維Bの密度とパルプ繊維Aの密度との差は、体液の透過、拡散及び吸収保持の性能を高める観点から、6以下が好ましく、5以下がより好ましく、4以下が更に好ましい。
パルプ繊維混綿部7におけるパルプ繊維Aの密度は、体液の吸収体5内部への移行性を高める観点から、0.5mg/cm3以上が好ましく、1mg/cm3以上がより好ましく、1.5mg/cm3以上が更に好ましい。また、パルプ繊維混綿部7におけるパルプ繊維Aの密度は、下層からの液戻りを抑制する観点から、7mg/cm3以下が好ましく、5mg/cm3以下がより好ましく、3mg/cm3以下が更に好ましい。
【0023】
(パルプ繊維混綿部7におけるパルプ繊維A及びパルプ繊維Bの密度の測定方法)
まず、パルプ繊維混綿部7の厚みをレーザー変位計(LK-2110(商品名)、株式会社キーエンス製)で測定する。
次に、パルプ繊維混綿部7を5×5cmのサイズに切り出し、赤色水溶液(ダイワ化成株式会社製の赤色2号を濃度0.05質量%となるように水に溶かしたもの)30gを注いでパルプ繊維混綿部7を十分に濡らす。このとき、赤色に着色されたパルプ繊維がパルプ繊維A、着色されなかったパルプ繊維がパルプ繊維Bである。
パルプ繊維A及びBを分けて回収した後にそれぞれの重量を測定する。パルプ繊維A及びBの重量をパルプ繊維混綿部7の厚み及び面積で除することで、パルプ繊維A及びBの密度を計算して求める。
【0024】
また、パルプ繊維混綿部7において、液戻り抑制の作用を高める観点から、パルプ繊維混綿部7に含有されるパルプ繊維Bの量が、パルプ繊維混綿部7に含有されるパルプ繊維Aの量よりも多いことが好ましい。この観点から、パルプ繊維混綿部7におけるパルプ繊維Bの割合は、55質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、65質量%以上が更に好ましい。また、パルプ繊維混綿部7におけるパルプ繊維Bの割合は、液透過性を確保する観点から、85質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、75質量%以下が更に好ましい。
パルプ繊維混綿部7におけるパルプ繊維Aの割合は、液透過性を確保する観点から、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更に好ましい。また、パルプ繊維混綿部7におけるパルプ繊維Aの割合は、液戻り抑制の作用を高める観点から、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下が更に好ましい。
【0025】
(パルプ繊維混綿部7におけるパルプ繊維A及びパルプ繊維Bの割合の測定方法)
パルプ繊維混綿部7におけるパルプ繊維A及びパルプ繊維Bの割合は、前述の(パルプ繊維混綿部7におけるパルプ繊維A及びパルプ繊維Bの密度の測定方法)に記載の方法と同様にして、所定サイズのパルプ繊維混綿部7中のパルプ繊維A及びパルプ繊維Bの重量をそれぞれ求めることで、割合を算出する。
【0026】
吸収体5において、パルプ繊維混綿部7の配置領域は、受液領域C1を含んで上記の作用を奏し、かつ、体液の吸収保持力を十分にすることができる限り、適宜設定できる。例えば、吸収体5全体がパルプ繊維混綿部7となってもよく、受液領域C1のみにパルプ繊維混綿部7が配されていてもよい。中でも、着用者の肌側全面で液戻りを抑制する観点から、吸収体5全体がパルプ繊維混綿部7となっていることが好ましい。パルプ繊維混綿部7の大きさに応じて、パルプ繊維Bの密度を適宜設定し、吸収体5の吸収容量を確保する。
【0027】
一方で、
図3に示すように、受液領域C1にパルプ繊維混綿部7が配され、それ以外の領域に、パルプ繊維Bの密度が前記パルプ繊維混綿部におけるパルプ繊維Bの密度よりも低い吸水部8が配されていてもよい。この場合、吸水部8では、パルプ繊維Bの密度が10mg/cm
3以下とされていることが好ましい。これにより、パルプ繊維混綿部7によって受液領域C1での液戻りを効果的に抑制しながら、その周囲での吸水部8による体液の透過、拡散及び吸収保持の性能がより高められる。すなわち、吸収体5における液吸収保持性と液戻り抑制の性質とをより高めて両立させることができる。
【0028】
吸水部8においては、吸収体5における体液の透過性と体液の吸収容量を高める観点から、吸水部8におけるパルプ繊維Bの密度は、3mg/cm3以下がより好ましい。特に、吸水部8がパルプ繊維Bを含まないことが好ましい。吸水部8におけるパルプ繊維Bの密度は、前述の(パルプ繊維混綿部7におけるパルプ繊維A及びパルプ繊維Bの密度の測定方法)を準用して測定することができる。
【0029】
吸水部8におけるパルプ繊維Bの密度は、吸水部8における体液の透過、拡散及び吸収保持の性能を高める観点から、パルプ繊維Aの密度よりも小さいことが好ましい。この観点から、吸水部8におけるパルプ繊維Aの密度とパルプ繊維Bの密度との差は、3mg/cm3以上が好ましく、5mg/cm3以上がより好ましく、7mg/cm3以上が更に好ましい。
【0030】
また、吸水部8において、液の透過、拡散及び吸収保持の性能を高める観点から、吸水部8に含有されるパルプ繊維Aの量が、吸水部8に含有されるパルプ繊維Bの量よりも多いことが好ましい。この観点から、吸水部8におけるパルプ繊維Aの割合は、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましく、100質量%以下であることが最も更に好ましい。
吸水部8におけるパルプ繊維Bの割合は、液の透過、拡散及び吸収保持の性能を高める観点から、70質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましく、0質量%であることが最も好ましい。
なお、吸水部8におけるパルプ繊維A及びパルプ繊維Bの割合は、前述の(パルプ繊維混綿部7におけるパルプ繊維A及びパルプ繊維Bの割合の測定方法)を準用して測定することができる。
【0031】
パルプ繊維混綿部7は、吸収体5の厚み全体にあってもよく、一部にあってもよい。ただし、液の透過性と液戻り抑制の性質とを更に高める観点から、
図5に示すように、パルプ繊維混綿部7が吸収体5の厚み方向の中央(厚み2分の1を示す中央線M)よりも肌当接面側に配され、吸水部8がパルプ繊維混綿部7よりも非肌当接面側に配されることが好ましい。これにより、最も体圧を受けやすく液保持量も比較的多くなる受液領域C1において、表面シート1に近い側の層で体液をはじくことができ、液戻り抑制作用をより効果的にすることができる。同時に、パルプ繊維混綿部7よりも非肌当接面側の吸水部8によって、肌から遠い場所で体液を平面方向に拡散して、吸収保持することができる。これにより、吸収体5における肌当接面側(特に受液領域C1の肌当接面側)での液残りが低減され、かつ、液戻りがより生じがたくなる。例えば、排泄があって体圧が加えられたとしても、むしろ体圧を利用して、体液は、パルプ繊維Bの作用によって逆戻りが防御されながら、パルプ繊維混綿部7におけるパルプ繊維Aによって厚み方向に導かれ、更にパルプ繊維Aをより多く含む吸水部8に引き込まれる。これにより、体液は吸収体5の肌当接面側から非肌当接面側へと遠ざけられ、更に、吸水部8のパルプ繊維Aによって、非肌当接面側に近い位置で平面方向へと体液が拡散し吸収保持され得る。すなわち、非肌当接面側に近い位置での円滑な吸収を実現できる。
【0032】
上記の作用の観点から、パルプ繊維混綿部7の吸収体5における肌当接面側からの層厚みは、吸収体5の2分の1の厚み(中央線Mよりも肌当接面側の厚み)の95%以下が好ましく、75%以下がより好ましく、50%以下が更に好ましい。また、パルプ繊維混綿部7の吸収体5における肌当接面側からの層厚みは、肌の濡れを抑制する観点から、吸収体5の2分の1の厚み(中央線Mよりも肌当接面側の厚み)の10%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、30%以上が更に好ましい。
【0033】
パルプ繊維混綿部7と吸水部8とが厚み方向に積層されている場合、パルプ繊維混綿部7の厚みよりも吸水部8の厚みが大きい方が好ましい。また、吸収体5の厚み方向において、最も非肌当接面側の層に吸水部8が配され、最も肌当接面側の層にパルプ繊維混綿部7が配されることが好ましい。
【0034】
上記以外の積層構造として、最も非肌当接面側の層と最も肌当接面側の層とにパルプ繊維混綿部7が配され、両層の間の中間層に吸水部8が配されていてもよい。これにより、液戻り、液漏れをより効果的に抑制することができる。
更に別の積層構造として、上記の液戻り抑制作用が発現される限り、パルプ繊維混綿部7よりも肌当接面側に更に別の吸水部が配されることがあってもよい。この場合、液戻り抑制の作用を阻害せず、液の透過性をより高める観点から、肌当接面側の吸水部はシート上の極めて薄い層(例えば厚み1mm)であることが好ましい。
【0035】
また、本実施形態のナプキン10において、パルプ繊維混綿部7及び吸水部8が高吸収性ポリマー材を含有していることが好ましい。これにより、吸収体5における吸収性を高めて液戻りを更に効果的に抑制することができる。この場合、高吸収性ポリマー材は、肌から離れた位置で液を保持して肌の濡れを抑制する観点から、パルプ繊維混綿部7よりも吸水部8に多く含まれることが好ましい。また、高吸収性ポリマー材の毛管力により液を素早く引き込む観点から、吸水部8だけでなく、パルプ繊維混綿部7も高吸収性ポリマー材を含有することがより好ましい。パルプ繊維混綿部7における高吸収性ポリマー材は、質量比として、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、15%以上がさらに好ましい。また、肌の濡れを抑制する観点から、パルプ繊維混綿部7における高吸収性ポリマー材は、質量比として、35%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、25%以下がさらに好ましい。パルプ繊維混綿部7における最適な高吸収性ポリマー材の質量比を選択することで、吸収速度を向上させつつ、高吸収性ポリマー材が肌当接面に存在するにもかかわらず、パルプ繊維Bの存在により肌の濡れを抑制することができ、素早い吸収速度と肌の濡れ抑制を両立することができる。
【0036】
ナプキン10における吸収体5はこの種の物品にて通常用いられる種々の方法によって製造することができる。例えば、空気流にのせて供給するパルプ繊維又はパルプ繊維及び高吸収性ポリマー材を、所定形状の積繊用凹部内に吸引して堆積させる積繊工程を経て得ることができる。パルプ繊維混綿部7は、前記積繊工程において、パルプ繊維Aと共に空気流にのせるパルプ繊維Bの量や時間等を適宜調整することによって形成できる。
【0037】
本実施形態のナプキン10は、上記の吸収体5の構成を有することにより、液戻りが低減される。その結果、ナプキン10は、肌の濡れ防止性がより高められたものとなる。
【0038】
ナプキン10を構成する部材の形成材料は、この種の物品に用いられるものを特に制限なく用いることができる。
【0039】
吸収体5を構成するパルプ繊維Aとしては、針葉樹クラフトパルプ或いは広葉樹クラフトパルプのような木材パルプ、木綿パルプ或いはワラパルプ等の天然セルロース繊維等が挙げられるが、それらに限定されるものではない。これらのパルプは1種又は2種以上を用いることができる。また、パルプ繊維Bは、上記のパルプ繊維Aを撥水化処理したものであり、この撥水化処理はこの種の物品において通常とられる方法によって行うことができる。例えば、撥水化剤を含む溶液にパルプ繊維を含浸する方法が挙げられる。
【0040】
吸収体5に高吸収性ポリマー材が含まれている場合、該高吸収性ポリマー材としては、例えば、アクリル酸又はアクリル酸塩を主成分とし、場合によって架橋剤を添加してなる水溶性のエチレン性不飽和モノマーを重合させて得られるヒドロゲル材料が挙げられる。また、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、スルホン化ポリスチレン及びポリビニルピリジンの架橋物、デンプン-ポリ(メタ)アクリロニトリルグラフト共重合物のケン化物、デンプン-ポリ(メタ)アクリル酸グラフト共重合物、デンプン-ポリ(メタ)アクリルエステルグラフト共重合物の加水分解物などが挙げられる。これらの高吸収性ポリマー材は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。高吸収性ポリマー材としては、自重の20倍以上、特に50倍以上の純水を吸収・保持できゲル化し得るものが好ましい。
高吸収性ポリマー材の形状は、吸収体5に用いられる種々ものを特に制限なく用いることができる。例えば、球状、粒状、繊維状、俵状、塊状などが挙げられる。
【0041】
表面シート1は、液透過性を有する種々のシートを用いることができる。肌触りの良さを考慮すると、親水性の不織布が好ましく、サーマルボンド不織布がより好ましく、エアスルー不織布が特に好ましい。表面シート1の不織布を構成する繊維は、親水化処理された熱可塑性樹脂繊維であり、かつ、該繊維が2次クリンプ又は3次クリンプのような立体捲縮がなされた繊維であることが好ましい。具体的には、表面シート1の不織布を構成する繊維は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、及びこれらの複合繊維を作成し、所定の長さにカットしてステープルを形成する前の段階で、各種親水化剤を塗工することで親水化する。親水化剤としては、αオレフィンスルホン酸塩に代表される各種アルキルスルホン酸塩、アクリル酸塩、アクリル酸塩/アクリルアミド共重合体、エステルアミド、エステルアミドの塩、ポリエチレングリコール及びその誘導物、水溶性ポリエステル樹脂、各種シリコーン誘導物、各種糖類誘導物、及びこれらの混合物など、通常用いられる親水化剤による親水化処理を用いることができる。
【0042】
裏面シート2としては、防漏性を有する種々のものを用いることができる。例えば、非透湿性若しくは透湿性フィルム単独、又はフィルムと不織布とを貼り合わせたもの、撥水性の不織布(SMSやSMMS等)を用いることができる。コスト面やズレ止め粘着剤とのマッチングなどから、非透湿性フィルム単独を防漏材として用いることが最も好ましい。この場合の透湿性フィルム材としては、熱可塑性樹脂と、これと相溶性のない無機フィラーを溶融混練して押し出したフィルムを所定の寸法に延伸して微細孔をあけたフィルム、または、本質的に水分の相溶性が高く、浸透膜のように水蒸気排出可能な無孔性のフィルムが挙げられる。また、裏面シート2としては、吸収性物品の用途に応じて、表面シート1と同様の液透過性を有するシートを用いることもできる。
【0043】
サイドシート6としては、撥水性の不織布が好ましく、カード法により製造された不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、ヒートロール不織布、ニードルパンチ不織布等の中から撥水性の物、または撥水処理した種々の不織布を用いることができる。特に好ましくは、例えば、スパンボンド不織布、スパンボンド-メルトブローン(SM)不織布、スパンボンド-メルトブローン-スパンボンド(SMS)不織布等が用いられる。
【0044】
本発明の吸収性物品は、上記の実施形態の生理用ナプキンに制限されるものではなく、例えばパンティライナー、失禁パッド、尿とりパッド、おむつ等に適応することができる。また、経血に限らずその他、尿、オリモノ、軟便等に対しても効果的である。また、上記構成部材の他、用途や機能に合わせ適宜部材を組み込んでもよい。
【実施例】
【0045】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳しく説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。なお、本実施例において「%」とは特に断らない限りいずれも質量基準である。下記表中における、「←」は矢印が示す隣接欄に記載された内容と同じであることを意味する。
【0046】
(実施例1)
(1)パルプ繊維Bの調製
撥水化剤としてアサヒガードAG-E600(商品名、AGC株式会社製)を用いて、該AG-E600の有効成分0.25%の水溶液を調製した。パルプ繊維(NB416、商品名、Weyerhaeuser Company Limited製)を前記水溶液に1分間浸した後、電気乾燥機にて60分乾燥させた。
なお、パルプ繊維Aとしては、水溶液に浸す前の上記パルプ繊維を用いた。
(2)吸収体試料の作成
14×20cm角の台紙(WAT-KP-16(商品名)、伊野紙株式会社製、坪量6g/m
2)の上に、パルプ繊維A、パルプ繊維B及び高吸収性ポリマー材(アクアリック CA W151、商品名、株式会社日本触媒製)を用いて、
図5に示すように、第1層のパルプ繊維混綿部7、第2層の吸水部8を積層して吸収性コア3を形成した。パルプ混綿部7及び吸水部8におけるパルプ繊維Bの割合及び密度、並びに高吸収性ポリマー材の位置及び坪量を表1のとおりとした。パルプ繊維Aとパルプ繊維Bとはミキサーにより均一に混ぜ合わせた。なお、パルプ繊維Bの割合は、パルプ繊維混綿部7及び吸水部8それぞれにおけるパルプ繊維Bの質量割合を意味し、前述の(パルプ繊維混綿部7におけるパルプ繊維A及びパルプ繊維Bの質量割合の測定方法)に基づいて測定した。パルプ繊維Bの密度は、前述の(パルプ繊維混綿部7におけるパルプ繊維A及びパルプ繊維Bの密度の測定方法)に基づいて測定した。
更に上から台紙を乗せ、実施例1の吸収体試料1を作製した。この吸収体試料1において、第1層のパルプ混綿部7が配される側を肌当接面側とし、第2層の吸水部8が配される側を非肌当接面側とした。
【0047】
(実施例2~9)
パルプ混綿部7及び吸水部8におけるパルプ繊維Bの割合、パルプ繊維Bの密度並びに高吸収性ポリマー材の位置及び坪量を表1のとおりとした以外は、実施例1と同様にして、実施例2~9の吸収体試料2~9を作製した。
【0048】
(比較例1)
第1層を、パルプ繊維Bを含まない吸水部として形成した以外は、実施例1と同様にして比較例1の吸収体試料C1を作製した。
【0049】
(比較例2)
第1層の坪量を表1に示すとおりとし、第1層におけるパルプ繊維Bの密度を表1のとおりとした以外は、実施例1と同様にして比較例2の吸収体試料C2を作製した。
【0050】
(液戻り量試験)
各吸収体試料の肌当接面側に、内径1cmの透過孔を有するアクリル板を重ねて100Paの一定荷重を掛けた。斯かる荷重下において、該アクリル板の透過孔から経血に相当する疑似血液(株式会社日本バイオテスト研究所製の馬脱繊維血液を8.0cPに調整したもの)6gを流し込んだ。なお、用いた馬脱繊維血液は、東機産業株式会社のTVB10形粘度計にて、30rpmの条件下で調整した。馬脱繊維血液は、放置すると、粘度の高い部分(赤血球など)は沈殿し、粘度の低い部分(血漿)は、上澄みとして残る。その部分の混合割合を、8.0cPになるように調整した。
合計6gの疑似血液を流し込んでから60秒後にアクリル板を取り除いた。次いで、各吸収体試料の前記擬似血液を投入した部分に、4つ折りにしたティッシュペーパーを重ね、383Paの荷重(ナプキンの装着時の圧力に相当する荷重)を15秒間かけた後、ティッシュペーパーの質量(W2)を測定した。測定したティシュペーパーの質量(W2)と、予め測定しておいた、疑似血液を流し込む前のティッシュペーパーの質量(W1)との差(W2-W1)を算出し、液戻り量とした。
【0051】
(液吸収時間試験)
上述した液戻り量試験の評価時に、6gの全量がおむつに吸収されるまでの時間を計測した。以上の操作を3回行い、3回の平均値を液吸収時間(秒)とした。
【0052】
【0053】
表1に示すとおり、本発明の具体例である実施例1~9の吸収体試料1~9では、液戻り量が2200mg以下に抑えられ、パルプ繊維Bを有していない比較例1の吸収体試料C1や、パルプ繊維混綿部におけるパルプ繊維Bの密度が9.5mg/cm3を超える比較例2の吸収体試料C2よりも、液戻りを低減できた。特に、高吸収性ポリマー材がパルプ繊維混綿部及び吸水部に含まれている実施例9の吸収体試料9では、液戻り量が1500mg以下に抑えられ、液戻りを最も低減できた。
また、実施例1~9の吸収体試料1~9は、比較例2の吸収体試料C2のような横モレを起こすこともなく、吸収時間も比較例2の吸収体試料C2と同等以下であった。
【符号の説明】
【0054】
1 表面シート
2 裏面シート
3 吸収性コア
4 コアラップシート
5 吸収体
6 サイドシート
61 ウイング部
7 パルプ繊維混綿部
8 吸水部
10 生理用ナプキン