(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-05
(45)【発行日】2023-04-13
(54)【発明の名称】電気部品用ソケット
(51)【国際特許分類】
H01R 33/76 20060101AFI20230406BHJP
G01R 31/26 20200101ALI20230406BHJP
【FI】
H01R33/76 504Z
G01R31/26 J
(21)【出願番号】P 2019045061
(22)【出願日】2019-03-12
【審査請求日】2022-02-14
(31)【優先権主張番号】P 2018161356
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西 秀俊
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-126977(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0133088(KR,A)
【文献】実開昭63-75870(JP,U)
【文献】特開2017-183189(JP,A)
【文献】実開平3-26989(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 33/00-33/975
G01R 31/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に向けて電気部品の端子が挿入され、前記第1方向と交差する方向に並べられた複数の挿入部と、
前記挿入部の少なくとも1つに設けられ、前記挿入部の前記第1方向側の端部が固定される第1配線基板と、
前記挿入部に挿入された前記端子と前記第1配線基板とを電気的に接続する導電性部材と、
前記第1配線基板が、所定範囲内において、前記第1方向と交差する方向に移動可能に遊嵌された支持基板と
を備えた電気部品用ソケット。
【請求項2】
前記複数の挿入部のそれぞれに前記第1配線基板が設けられ、前記第1配線基板のそれぞれが、所定範囲内において、前記第1方向と交差する方向に移動可能に遊嵌された、
請求項1記載の電気部品用ソケット。
【請求項3】
前記第1配線基板よりも前記第1方向側に、第2配線基板がさらに設けられ、
前記第1配線基板は第1接点を有し、
前記第2配線基板は、前記第1接点と当接して前記第1接点と電気的に接続する第2接点を有し、
前記所定範囲内において、前記第1配線基板が移動しても、前記第1接点と前記第2接点とが当接するように、前記第1接点と前記第2接点との各当接部の大きさが設定された
請求項1又は2記載の電気部品用ソケット。
【請求項4】
前記挿入部を弾性的に支持して、前記挿入部の位置を規定する規定部材がさらに備えられた
請求項1~3のいずれか1項に記載の電気部品用ソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、この発明は、半導体装置(以下「ICパッケージ」という)等の電気部品に電気的に接続される電気部品用ソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
電気部品用ソケットとして、ICパッケージのコネクタと接続するICソケットが、近年、種々提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、コネクタが複数あるICパッケージでは、コネクタの取付位置の誤差に起因して、コネクタ同士の位置関係が製造毎に変わってしまうことがある。この結果、例えばICパッケージに2つのコネクタが設けられている場合には、製造毎にコネクタ間の距離に相異(長短)が生じる。コネクタ間の距離の相異が大きいと、この相異を一種類のICソケットでは対応できずにICパッケージとICソケットとを接続できなくなってしまう。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するために創案されたものであり、電気部品に設けられた複数のコネクタの取付位置の誤差に拘わらず、電気部品と接続できるようにした電気部品用ソケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来の課題を解決するために、本発明の電気部品用ソケットは、第1方向に向けて電気部品の端子が挿入され、前記第1方向と交差する方向に並べられた複数の挿入部と、前記挿入部の少なくとも1つに設けられ、前記挿入部の前記第1方向側の端部が固定される第1配線基板と、前記挿入部に挿入された前記端子と前記第1配線基板とを電気的に接続する導電性部材と、前記第1配線基板が、所定範囲内において、前記第1方向と交差する方向に移動可能に遊嵌された支持基板とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電気部品に設けられた複数のコネクタの取付位置の誤差に拘わらず、電気部品と接続できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2A】
図1のA-A断面図であって、ラッチの閉状態を示す図。
【
図2B】
図1のA-A断面図であって、ラッチの開状態を示す図を、要部拡大図と共に示す図。
【
図3A】
図1のB-B断面図であって、ラッチの閉状態を示す図を、要部拡大図と共に示す図。
【
図3B】
図1のB-B断面図であって、ラッチの開状態を示す図を、要部拡大図と共に示す図。
【
図5A】
図4のB-B断面図であって、ラッチの閉状態を示す図を、要部拡大図と共に示す図。
【
図5B】
図4のB-B断面図であって、ラッチの開状態を示す図を、要部拡大図と共に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係る電気部品用ソケットついて、図面を参照しながら説明する。以下に示す実施の形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施の形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除するものではない。また、実施の形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。さらに、実施の形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができる。
【0010】
以下の実施形態では、本発明の電気部品用ソケットを、電気部品としてのICパッケージが接続されるICソケットに適用した例を説明する。ICソケットは例えばICパッケージに対する電気導通試験等の製品検査に用いられる。
【0011】
また、以下では、ICソケットが使用時の姿勢、すなわち、後述のピンホルダの挿入口を上方に向けて、ICソケットのコネクタが上方から下方(第1方向)に向かってピンホルダに挿入される姿勢にあるものとする。また、一対のピンホルダが並ぶ方向を前後方向とし、前後方向と直交する水平方向を左右方向として説明する。また、重力の方向を下方とし、その逆方向を上方とする。
【0012】
ICソケットの各構成部品については、ICソケットの一部として組み立てられた状態を基準に、ICソケットに倣って前後左右及び上下を規定する。
【0013】
また、ICソケットの前後左右の中心に近づく方向を内側といい、逆にICソケットの前後左右の中心から離れる方向を外側という。
【0014】
なお、実施の形態を説明するための全図において、同一要素は原則として同一の符号を付し、その説明を省略することもある。
【0015】
[1.全体構成]
以下、本発明の実施の形態の電気部品用ソケットについて
図1~
図8を参照しながら詳細に説明する。
図1は第1実施形態のICソケットの平面図である。
図2Aは
図1のA-A断面図であって、ラッチの閉状態を示す図である。
図2Bは
図1のA-A断面図であって、ラッチの開状態を示す図を、要部拡大図と共に示す図である。
図3Aは
図1のB-B断面図であって、ラッチの閉状態を示す図を、要部拡大図と共に示す図である。
図3Bは
図1のB-B断面図であって、ラッチの開状態を示す図を、要部拡大図と共に示す図である。
図4は第2実施形態のICソケットの平面図である。
図5Aは
図4のB-B断面図であって、ラッチの閉状態を示す図を、要部拡大図と共に示す図である。
図5Bは
図4のB-B断面図であって、ラッチの開状態を示す図を、要部拡大図と共に示す図である。
図6はピンホルダの平面図である。
図7は第1基板と中間基板とを共に示す平面図である。
図8は第1基板を
図7よりも拡大して示す平面図である。
【0016】
図1~
図3Bに示すように、本発明の第1実施形態のICソケット100は、ソケット本体1と、左右一対のラッチ2と、ベースプレート5と、昇降板6と、前後一対のピンホルダ7と、中間基板(支持基板)21と、各ピンホルダ(挿入部)7の下方に配置されそれぞれ中間基板21に遊嵌された前後一対の第1基板(第1配線基板)17と、セットプレート47と、第2基板46とを備えて構成される。
【0017】
ソケット本体1は、ICパッケージ200を収容する収容部1aを備えている。収容部1aには、ピンホルダ7が前後に所定の間隔をあけて並べて設けられている。ICパッケージ200には一対のコネクタ201が設けられている(
図3A及び
図3B参照)。これらのコネクタ201の一方は、上方から下方(第1方向)に向かって前方のピンホルダ7に挿入され、同様に、これらのコネクタ201の他方は、上方から下方に向かって後方のピンホルダ7に挿入される。
【0018】
各ピンホルダ7は、
図6に示すように、二列に並ぶコンタクトピン7aを複数格納する。これらのコンタクトピン7aは、
図2B~
図3Bに示すように、ICパッケージ200のコネクタ201の複数の端子201aに電気的に接続されると共に、下方に配置された第1基板17と電気的に接続する。換言すれば、ICパッケージ200の端子201aは、ピンホルダ7のコンタクトピン7aを介してと第1基板17と電気的に接続される。
【0019】
各ピンホルダ7の下端は下方の第1基板17に固定されており、上下に並ぶピンホルダ7と第1基板17とは一体化されている。すなわち、上下に配置された第1基板17とピンホルダ7とが一組となって、前後方向に並べて配置されている。
図7及び
図8に示すように、第1基板17とピンホルダ7との各組は、中間基板21に設けられた開口21aに、上下方向に対し係止されつつ前後左右に対し遊嵌されている。これにより、第1基板17とピンホルダ7との各組は、中間基板21に、前後左右(第1方向と交差する方向に)に移動自在に組み付けられている。
【0020】
第1基板17には、上面と下面とを貫通する導電性のパッド17aが、
図7及び
図8に示すように、前後左右に複数並べて設けられている。これらのパッド17aでは、それぞれ、その上面にコンタクトピン7aが当接し、その下面に、後述のカプセルコンタクト49が当接可能となっている。すなわち、コンタクトピン7aはパッド17aを介してカプセルコンタクト49と電気的に接続可能となっている。
【0021】
図2Aに示すように、各ラッチ2は、ソケット本体1に取り付けられたICパッケージ200の上面を押さえる。
【0022】
ベースプレート5は、ソケット本体1の下方に固定され、ソケット本体1とベースプレート5との間には、昇降板6が配設されている。
図2A~
図3Bに示すように、昇降板6とベースプレート5との間には、圧縮状態のコイルスプリングC4が複数設けられている。昇降板6は、コイルスプリングC4によってベースプレート5から上方に付勢され、上下動自在となっている。
【0023】
セットプレート47と第2基板46とは、セットプレート47を上方に、第2基板46を下方にして重ね合わされて一体化され、本発明の第2配線基板を構成する。
【0024】
図2Bに示すように、セットプレート47には、各第1基板17の下方に、複数のカプセルコンタクト49が、スプリング(図示略)により上方に付勢された状態で出没可能に埋め込まれている。これにより、上述したように、第1基板17のパッド17aとカプセルコンタクト49とが安定して当接して電気的に接続可能となっている。
【0025】
また、
図2A~
図3Bに示すように、ICソケット100はガイド10を有している。ガイド10は、ICソケット100のピンホルダ7の側面部及びピンホルダ7に挿入されたICパッケージ200のコネクタ201の側面部に弾性的に当接する。これにより、コネクタ201の端子201aとピンホルダ7のコンタクトピン7とが接触する所定位置に、コネクタ201及びピンホルダ7が位置決めされる。このガイド10としては、コネクタ201の左右の側面部に当接する第1ガイド10A(
図2A及び
図2B参照)と、コネクタ201の前後の側面部に当接する第2ガイド10B(
図3A及び
図3B参照)とを有している。
【0026】
また、当該ガイド10を、
図2A及び
図3Aに示すようなコネクタ201を所定位置に位置決めするようにコネクタ201に押圧する当接位置と、
図2B及び
図3Bに示すようなコネクタ201から離間した開放位置との間で可動させる開閉リンク11を有している。この開閉リンク11としては、第1ガイド10Aを可動させる
図2A及び
図2Bに示す第1開閉リンク11Aと、第2ガイド10Bを可動させる
図3A及び
図3Bに示す第2開閉リンク11Bとを有している。
【0027】
以下、ラッチ2についてさらに説明しつつ、ガイド10を開閉する機構等についてもさらに説明する。
【0028】
ラッチ2は、
図1、
図2A及び
図2Bに示すように、左右一対設けられている。各ラッチ2は、
図2A及び
図2Bに示すように、左右方向外側の端部に、外部からの操作力(外力)を受ける操作部2aが形成され、左右方向内側の端部に、ICパッケージ200の上面に当接して押圧する押圧部2bが形成されている。また、各ラッチ2における左右方向の略中央部には、前後方向に延在するシャフトS1が貫通され、このシャフトS1がソケット本体1の前後一対に設けられたシャフト支持部1bに挿入される。これにより、ラッチ2がソケット本体1の上面に対して離接方向に回動自在となっている。
【0029】
さらに、
図2A及び
図2Bに示すように、ラッチ2とソケット本体1との間には、コイルスプリングC1が設けられている。このコイルスプリングC1は圧縮状態とされており、ラッチ2を、閉方向に、すなわちソケット本体1の上面に向けて付勢している。このため、ラッチ2に力が作用しない自然状態においては、ラッチ2は、
図2Aに示すようにICパッケージ200の上面を押さえる閉状態となる。その一方、操作部2aが上方からの操作力を受けると、ラッチ2がコイルスプリングC1の付勢力に抗して開方向に、すなわちソケット本体1の上面から離れる方向に回動され、
図2Bに示すような開状態となる。
【0030】
また、
図2A及び
図2Bに示すように、ラッチ2には、シャフトS1に貫通される箇所の下方に、カム部2cが形成されている。このカム部2cは、ラッチ2の回動操作に応じて、昇降板6を下方に押圧するものである。そして、ラッチ2を
図2Bに示すように開状態とすると、カム部2cが昇降板6を下方に押圧し、それに応じて昇降板6が下方に移動するようになっている。
【0031】
また、ラッチ2を
図2Aに示すように閉状態とすると、カム部2cによる昇降板6の押圧が解除される。昇降板6と、昇降板6の下方のベースプレート5との間には、圧縮状態のコイルスプリングC4が設けられている。したがって、カム部2cによる押圧が解除されると、昇降板6は、コイルスプリングC4により付勢されて上方に移動するようになっている。
【0032】
各第1ガイド10Aは、
図2A及び
図2Bに示すように、コネクタ201及びピンホルダ7の左右の側面部を左右方向内側に向けて押さえる押さえ部が、上方に延出するように形成されている。また、外側には、回動自在の第1開閉リンク11Aにより外側に押圧される被押圧部が下方に突出するように形成されている。
【0033】
各第1ガイド10Aは、コイルスプリングC2により、ピンホルダ7及びコネクタ201を所定位置に位置決めするように押圧する当接位置に向けて閉方向に(左右方向内側に向かって)付勢されている。
【0034】
また、被押圧部が第1開閉リンク11Aによって外側に押圧されると、コイルスプリングC2の付勢力に抗して、第1ガイド10Aがピンホルダ7及びコネクタ201から離間した
図2Aに示す開放位置へと開くようになっている。
【0035】
各第2ガイド10Bは、
図3A及び
図3Bに示すように、コネクタ201の前後の側面部を押さえる押さえ部が、上方に延出するように形成されている。また、外側には、回動自在の第2開閉リンク11Bにより外側に押圧される被押圧部が下方に突出するように形成されている。
【0036】
各第2ガイド10Bは、コイルスプリングC3により、ピンホルダ7及びコネクタ201を所定位置に位置決めするように押圧する当接位置に向けて閉方向に(前後方向内側に向かって)付勢されている。
【0037】
また、
図3Bに示すように、被押圧部が第2開閉リンク11Bによって外側に押圧されると、コイルスプリングC3の付勢力に抗して、第2ガイド10Bがピンホルダ7及びコネクタ201から離間するようになっている。
【0038】
そして、ラッチ部2を
図2Bに示すように開状態にすると、ラッチ部2の先端がICパッケージ200の上面から離間してICパッケージ200の押圧状態が解除される。また、ラッチ2のカム部2cにより押圧され昇降板6が下方に移動し、この昇降板6が、開閉リンク11A,11Bを、開閉リンク11A,11Bの上部が外側に向かって開くように回動する。それによって、開閉リンク11A,11Bが、コイルスプリングC2,C3の閉方向(内側)への付勢力に抗して、ガイド10A,10Bの被押圧部を外側に押圧する。これにより、ガイド10A,10Bが、コネクタ201から離間した開放位置に向けて開方向(外側)に移動するようになっている。
【0039】
また、ラッチ2を
図2Aに示すように閉状態にすると、上述したように。カム部2cによる昇降板6の押圧が解除され、コイルスプリングC4の付勢力により昇降板6が上方に移動する。すると、昇降板6による開閉リンク11A,11Bへの押圧が解除され、コイルスプリングC2,C3の閉方向(内側)への付勢力で、各ガイド10A,10Bが内側に移動する。したがって、ICパッケージ200のコネクタ201をピンホルダ7に挿入すると共にICパッケージ200を収容部1aに収容した後、ラッチ2を閉状態にすることで、ICパッケージ200がICソケット100に接続される。すなわち、ラッチ2によりICパッケージ200がICソケット100に押圧される。加えて、ICパッケージ200のピンホルダ7及びコネクタ201が、一対のガイド10Aにより左右方向から挟持されると共に一対のガイド10Bにより前後方向から挟持される。
【0040】
また、
図2Aに示すラッチ2の閉状態では、セットプレート47が第2基板46と一体となって、上方の中間基板21及び第1基板17と重ね合わされる。この結果、第1基板17のパッド17a(
図7参照)の下面と、セットプレート47のカプセルコンタクト49(
図2B参照)とが当接する。これにより、パッド17aの上面に当接するピンホルダ7内のコンタクトピン7aとカプセルコンタクト49とが電気的に接続される。
【0041】
なお、第2基板46に対し上方に向けて力を作用させない自然状態では、
図2B及び
図3Bに示すように、セットプレート47及び第2基板46は、重力の作用により一体に下降して上方の中間基板21及び第1基板17から下方に離隔する。この結果、第1基板17の下面から、セットプレート47のカプセルコンタクト49が物理的に離れた状態となる。この状態では、第1基板17には、下方のカプセルコンタクト49から付勢力(バネ力)が作用しないので、上述した第1基板17の前後左右の移動が阻害されない。
【0042】
ラッチ2を開状態にしてICソケット100にICパッケージ200を取り付ける際には、後述するようにICパッケージ200のコネクタ201の位置にピンホルダ7の位置をあわせる必要がある。このため、ICソケット100は、
図2B及び
図3Bに示すように、ピンホルダ7が前後左右に移動できるよう、ピンホルダ7を固定する第1基板17から、カプセルコンタクト49が離隔した状態とされる。
【0043】
その一方、ICソケット100にICパッケージ200を取り付けた後、ICパッケージに対する電気導通試験を行う際には、第1基板17とカプセルコンタクト49とを導通させる必要がある。このため、例えば自動機を使用したりねじ止めしたりして、第2基板46を押し上げて、
図2A及び
図3Aに示すようにカプセルコンタクト49を第1基板17の下面に接触させる。また、カプセルコンタクト49によって第1基板17が押圧されるので、第1基板17の位置が適正位置に保持されやすくなる。
【0044】
図4~
図5Bに示すように、本発明の第2実施形態のICソケット110は、ソケット本体1と、左右一対のラッチ2と、ベースプレート5と、昇降板6と、ピンホルダ7と、固定ピンホルダ8と、中間基板(支持基板)21と、ピンホルダ(挿入部)7の下方に配置され、中間基板21に遊嵌された第1基板(第1配線基板)17と、セットプレート47(
図5A及び
図5Bでは省略、
図2A~
図3B参照)と、第2基板46(
図5A及び
図5Bでは省略、
図2A~
図3B参照)とを備えて構成される。固定ピンホルダ8は、ソケット本体1、ベースプレート5、及び中間基板21により左右前後方向への移動を規制されている。
すなわち、第2実施形態のICソケット110は、第1実施形態のICソケット100における前後一対のピンホルダ7の1つが、固定されている固定ピンホルダ8である点で、第1実施形態と相違する。尚、第1の実施形態と共通する構成については、適宜説明を省略する。
【0045】
第2ガイド10Bは、
図5A及び
図5Bに示すように、コネクタ201の前後の側面部を押さえる押さえ部が、上方に延出するように形成されている。また、外側には、回動自在の第2開閉リンク11Bにより外側に押圧される被押圧部が下方に突出するように形成されている。
【0046】
第2ガイド10Bは、コイルスプリングC3により、ピンホルダ7及びコネクタ201を所定位置に位置決めするように押圧する当接位置に向けて閉方向に(前後方向内側に向かって)付勢されている。
【0047】
また、
図5Bに示すように、被押圧部が第2開閉リンク11Bによって外側に押圧されると、コイルスプリングC3の付勢力に抗して、第2ガイド10Bがピンホルダ7及びコネクタ201から離間するようになっている。
【0048】
そして、ラッチ部2を開状態にすると、ラッチ部2の先端がICパッケージ200の上面から離間してICパッケージ200の押圧状態が解除される。また、ラッチ2のカム部2cにより押圧され昇降板6が下方に移動し、この昇降板6が、開閉リンク11A,11Bを、開閉リンク11A,11Bの上部が外側に向かって開くように回動する。それによって、開閉リンク11A,11Bが、コイルスプリングC2,C3の閉方向(内側)への付勢力に抗して、ガイド10A,10Bの被押圧部を外側に押圧する。これにより、ガイド10A,10Bが、コネクタ201から離間した開放位置に向けて開方向(外側)に移動するようになっている。
【0049】
また、ラッチ2を閉状態にすると、上述したように。カム部2cによる昇降板6の押圧が解除され、コイルスプリングC4の付勢力により昇降板6が上方に移動する。すると、昇降板6による開閉リンク11A,11Bへの押圧が解除され、コイルスプリングC2,C3の閉方向(内側)への付勢力で、各ガイド10A,10Bが内側に移動する。したがって、ICパッケージ200のコネクタ201をピンホルダ7及び固定ピンホルダ8に挿入すると共にICパッケージ200を収容部1aに収容した後、ラッチ2を閉状態にすることで、ICパッケージ200がICソケット100に接続される。すなわち、ラッチ2によりICパッケージ200がICソケット100に押圧される。加えて、ICパッケージ200のピンホルダ7及びコネクタ201が、一対のガイド10Aにより左右方向から挟持されると共に一対のガイド10Bにより前後方向から挟持される。
【0050】
また、ラッチ2の閉状態では、セットプレート47が第2基板46と一体となって、上方の中間基板21及び第1基板17と重ね合わされる。この結果、第1基板17のパッド17a(
図7参照)の下面と、セットプレート47のカプセルコンタクト49(
図5A及び
図5Bでは省略、
図2B参照)とが当接する。これにより、パッド17aの上面に当接するピンホルダ7内又は固定ピンホルダ8内のコンタクトピン7aとカプセルコンタクト49とが電気的に接続される。
【0051】
なお、第2基板46に対し上方に向けて力を作用させない自然状態では、セットプレート47及び第2基板46は、重力の作用により一体に下降して上方の中間基板21及び第1基板17から下方に離隔する。この結果、第1基板17の下面から、セットプレート47のカプセルコンタクト49が物理的に離れた状態となる。この状態では、第1基板17には、下方のカプセルコンタクト49から付勢力(バネ力)が作用しないので、上述した第1基板17の前後左右の移動が阻害されない。
【0052】
ラッチ2を開状態にしてICソケット110にICパッケージ200を取り付ける際には、後述するようにICパッケージ200のコネクタ201の位置にピンホルダ7の位置をあわせる必要がある。このため、ICソケット100は、ピンホルダ7が前後左右に移動できるよう、ピンホルダ7を固定する第1基板17から、カプセルコンタクト49が離隔した状態とされる。
【0053】
その一方、ICソケット110にICパッケージ200を取り付けた後、ICパッケージに対する電気導通試験を行う際には、第1基板17とカプセルコンタクト49とを導通させる必要がある。このため、例えば自動機を使用したりねじ止めしたりして、第2基板46を押し上げて、カプセルコンタクト49を第1基板17の下面に接触させる。また、カプセルコンタクト49によって第1基板17が押圧されるので、第1基板17の位置が適正位置に保持されやすくなる。
【0054】
[2.要部構成]
本発明の要部について
図8を参照して説明する。
【0055】
上述したが、
図8に示すように、前後一対の第1基板17は、それぞれ、中間基板21に遊嵌されている。すなわち、中間基板21の開口21aを規定する開口縁21bと、第1基板17との間には、第1基板17が黒塗りの矢印で示すように前後左右に移動できるように可動領域SAが形成されている。可動領域SAは、ICソケット200の各コネクタ201の取付誤差を吸収できるように設定されている。
【0056】
つまり、第1基板17の左右方向の最大寸法W1と開口21aの左右方向の最小寸法W2との差ΔW(=W1-W2)、すなわち第1基板17の左右方向の可動範囲が、ICソケット200の各コネクタ201の左右方向の最大取付公差ΔWC以上となるように設定されている。
【0057】
また、差ΔLFと差ΔLBとの合計が、ICソケット200の各コネクタ201の前後方向の最大公差の合計ΔLC以上となるように設定されている。ここで、差ΔLFは、前側の第1基板17の前後方向の最大寸法LF1と、前側の開口21aの前後方向の最小寸法LF2との差(=LF1-LF2)である。差ΔLBは、後側の第1基板17の前後方向の最大寸法LB1と、後側の開口21aの前後方向の最小寸法LB2との差(=LB1-LB2)である。
【0058】
また、パッド17aとカプセルコンタクト49とは同じように配列されている。例えば、パッド17aが、前後方向に9個(9行)、左右方向に10個(10列)配列されている場合には(9行×10列)、カプセルコンタクト49も9行、10列に配列されている(9行×10列)。また、パッド17aとカプセルコンタクト49とは同じ配置のもの同士が当接(電気的に接続)する。例えば、前から3行目且つ左から3列目に配置されたパッド17aは、前から3行目且つ左から3列目に配置されたカプセルコンタクト49と当接するようになっている。
【0059】
第1基板17は前後左右に移動可能となっているのに対し、カプセルコンタクト49が設けられているセットプレート47及び第2基板46は前後左右に対し固定されている。このため、パッド17aがICソケット200のコネクタ201の取付公差に応じて位置が変化すると、パッド17aとカプセルコンタクト49とは、位置関係が変化する。そこで、パッド17aとカプセルコンタクト49とは、位置関係が変化しても、その変化分を吸収できるように大きさに設定されている。すなわち、コネクタ201の取付公差によってパッド17aとカプセルコンタクト49との位置関係が変化しても、平面視でパッド17aとカプセルコンタクト49とが重なるよう、パッド17aとカプセルコンタクト49との各当接部の大きさが設定されている。
【0060】
[3.効果]
本発明によれば以下のよう作用効果が得られる。
【0061】
(1)ピンホルダ7が固定された複数(本実施形態では2個)の第1基板17は、可動領域SA内においてそれぞれ独立して移動できる。この結果、ICパッケージ200に対するコネクタ201の取付誤差に起因して、複数(本実施形態では2個)のコネクタ201の位置関係が、正規の位置関係から外れたとしても、複数のピンホルダ7の各位置を、それぞれ対応するコネクタ201の位置に移動できる。
【0062】
また、ガイド10を介してコイルスプリングC2,C3がピンホルダ7を前後左右から弾性的に挟持する。この結果、ピンホルダ7とガイド10との位置関係が変わっても、ガイド10は、ピンホルダ7との位置関係を吸収しつつピンホルダ7の位置を規定できる。
【0063】
したがって、本発明によれば、電気部品(ICパッケージ200)に設けられた複数のコネクタ201の取付誤差に拘わらず、電気部品と接続できる。
【0064】
また、可動領域SAのサイズがコネクタ201の取付公差に基づいて設定されているので、この可動領域SAの存在により、ピンホルダ7の位置をコネクタ201の位置に確実に一致させることができる。したがって、コネクタ201の取付誤差に拘わらずICソケットとICパッケージ200とを確実に接続できる。
【0065】
[4.変形例]
以下、変形例について説明する。
【0066】
(1)前記実施形態では、ピンホルダ7と第1基板17とを2組設けたが、ピンホルダ7と第1基板17との組数は、複数組であれば何組でもよい。
【0067】
(2)前記実施形態では、本発明の「電気部品用ソケット」を、ICパッケージを収容するICソケットに適用したが、これに限るものではなく、他の電気部品を収容するソケットにも適用できる。
【符号の説明】
【0068】
1 ソケット本体
1a 収容部
1b シャフト支持部
2 ラッチ
2a 操作部
2b 押圧部
2c カム部
5 ベースプレート
6 昇降板
7 ピンホルダ(挿入部)
7a コンタクトピン(導電性部材)
8 固定ピンホルダ(挿入部)
10 ガイド(規定部材)
10A 第1ガイド(規定部材)
10B 第2ガイド(規定部材)
11 開閉リンク
11A 第1開閉リンク
11B 第2開閉リンク
17 第1基板(第1配線基板)
17a パッド(第1接点)
21 中間基板(支持基板)
21a 開口
21b パッド
46 第2基板
47 セットプレート
49 カプセルコンタクト(第2接点)
100,110 ICソケット(電気部品用ソケット)
200 ICパッケージ(電気部品)
201 コネクタ
201a 端子
C1,C2,C3,C4 コイルスプリング
S1 シャフト
SA 可動領域
W1 第1基板17の左右方向の最大寸法
W2 開口21aの左右方向の最小寸法
LF1 前側の第1基板17の前後方向の最大寸法
LB1 後側の第1基板17の前後方向の最大寸法
LF2 前側の開口21aの前後方向の最小寸法
LB2 後側の開口21aの前後方向の最小寸法