(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-05
(45)【発行日】2023-04-13
(54)【発明の名称】通話システム,制御サーバおよびその制御方法
(51)【国際特許分類】
H04M 3/58 20060101AFI20230406BHJP
H04Q 3/58 20060101ALI20230406BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
H04M3/58 Z
H04Q3/58 101
H04M11/00 302
(21)【出願番号】P 2019049731
(22)【出願日】2019-03-18
【審査請求日】2021-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】513313521
【氏名又は名称】株式会社Phone Appli
(74)【代理人】
【識別番号】110001830
【氏名又は名称】弁理士法人東京UIT国際特許
(72)【発明者】
【氏名】岩田 泉
(72)【発明者】
【氏名】半澤 直樹
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-213049(JP,A)
【文献】特開2010-278792(JP,A)
【文献】特開2014-160905(JP,A)
【文献】特開平11-261705(JP,A)
【文献】特開2018-174370(JP,A)
【文献】特開2012-213046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
H04Q3/58-3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発信元電話機と携帯電話端末との間の呼接続を中継する呼接続中継手段,および上記呼接続中継手段による呼接続の下での発信元電話機と携帯電話端末との間の
通話接続を維持しつつ上記携帯電話端末から他の電話機を呼び出し,他の電話機による応答または携帯電話端末の指示に応じて,上記発信元電話機と携帯電話端末との間の通話を,上記携帯電話端末から他の電話機に転送する通話転送手段を備える構内交換機,ならびに
上記携帯電話端末からデータ通信網を通じて送信される転送リクエストを受信する転送リクエスト受信手段,および上記転送リクエスト受信手段によって受信された転送リクエストにしたがう制御信号を上記データ通信網を通じて上記構内交換機に送信し,上記構内交換機の通話転送手段による通話転送を制御する制御手段を備える制御サーバ,
を備えている,通話システム。
【請求項2】
上記呼接続中継手段が,
発信元電話機から発呼された内線端末への着信を電話網を通じて携帯電話端末に転送する着信転送手段である,
請求項1に記載の通話システム。
【請求項3】
上記呼接続中継手段が,
発信元電話機からのコールバック発信にしたがって上記発信元電話機および上記携帯電話端末の両方を発呼するコールバック手段である,
請求項1に記載の通話システム。
【請求項4】
上記制御信号が,上記携帯電話端末の電話番号を発信元番号として含み,かつ他の電話機の電話番号を着信先番号として含む,
請求項1から3のいずれか一項に記載の通話システム。
【請求項5】
上記構内交換機は,
上記発信元電話機と上記携帯電話端末との間の第1の呼接続,および上記発信元電話機と上記他の電話機との間の第2の呼接続を中継するものである,
請求項1から4のいずれか一項に記載の通話システム。
【請求項6】
上記構内交換機はさらに,
上記携帯電話端末と上記他の電話機との間の第3の呼接続を中継するものである,
請求項5に記載の通話システム。
【請求項7】
上記構内交換機が,
上記携帯電話端末と上記発信元電話機との間,および上記携帯電話端末と上記他の電話機との間のそれぞれについて,通話中であるかまたは保留中であるかを示す呼状態を,上記制御サーバに通知する呼状態通知手段を備え,
上記制御サーバが,
上記構内交換機の呼状態通知手段によって通知される呼状態の変化に応じて,上記携帯電話端末に画面遷移指示を送信する画面遷移指示送信手段を備えている,
請求項1から6のいずれか一項に記載の通話システム。
【請求項8】
上記制御サーバが,
上記携帯電話端末と上記発信元電話機との間,および上記携帯電話端末と上記他の電話機との間のそれぞれについて,一方を通話としかつ他方を保留する,または両方を保留とする切換えリクエストを上記携帯電話端末から上記データ通信網を通じて受信する切換えリクエスト受信手段,ならびに上記切換えリクエスト受信手段によって受信された切換えリクエストにしたがう制御信号を上記データ通信網を通じて上記構内交換機に送信する送信手段を備え,
上記構内交換機が,
上記制御サーバから送信される切換えリクエストにしたがって,上記携帯電話端末と上記発信元電話機との間,および上記携帯電話端末と上記他の電話機との間のそれぞれについて,一方を通話としかつ他方を保留する,または両方を保留する切換え手段を備えている,
請求項1から7のいずれか一項に記載の通話システム。
【請求項9】
発信元電話機と携帯電話端末との間の呼接続を中継する呼接続中継手段,および上記呼接続中継手段による呼接続の下での発信元電話機と携帯電話端末との間の
通話接続を維持しつつ上記携帯電話端末から他の電話機を呼び出し,他の電話機による応答または携帯電話端末の指示に応じて,上記発信元電話機と携帯電話端末との間の通話を,上記携帯電話端末から他の電話機に転送する通話転送手段を備える構内交換機とデータ通信網を通じて接続される制御サーバであって,
上記携帯電話端末からデータ通信網を通じて送信される転送リクエストを受信する転送リクエスト受信手段,および上記転送リクエスト受信手段によって受信された転送リクエストにしたがう制御信号を上記データ通信網を通じて上記構内交換機に送信し,上記構内交換機の通話転送手段による通話転送を制御する制御手段を備えている,
制御サーバ。
【請求項10】
発信元電話機と携帯電話端末との間の呼接続を中継する呼接続中継手段,および上記呼接続中継手段による呼接続の下での発信元電話機と携帯電話端末との間の
通話接続を維持しつつ上記携帯電話端末から他の電話機を呼び出し,他の電話機による応答または携帯電話端末の指示に応じて,上記発信元電話機と携帯電話端末との間の通話を,上記携帯電話端末から他の電話機に転送する通話転送手段を備える構内交換機とデータ通信網を通じて接続される制御サーバの動作を制御する方法であって,
転送リクエスト受信手段によって,上記携帯電話端末からデータ通信網を通じて送信される転送リクエストを受信し,
制御手段によって,上記転送リクエストにしたがう制御信号を上記データ通信網を通じて上記構内交換機に送信し,上記構内交換機の通話転送手段による通話転送を制御する,
制御サーバの動作制御方法。
【請求項11】
発信元電話機と携帯電話端末との間の呼接続を中継する呼接続中継手段,および上記呼接続中継手段による呼接続の下での発信元電話機と携帯電話端末との間の
通話接続を維持しつつ上記携帯電話端末から他の電話機を呼び出し,他の電話機による応答または携帯電話端末の指示に応じて,上記発信元電話機と携帯電話端末との間の通話を,上記携帯電話端末から他の電話機に転送する通話転送手段を備える構内交換機とデータ通信網を通じて接続され,かつ上記携帯電話端末からデータ通信網を通じて送信される転送リクエストを受信する転送リクエスト受信手段,および上記転送リクエスト受信手段によって受信された転送リクエストにしたがう制御信号を上記データ通信網を通じて上記構内交換機に送信し,上記構内交換機の通話転送手段による通話転送を制御する制御手段を備える制御サーバと上記データ通信網を通じて接続され,
上記発信元電話機との通話中に,上記発信元電話機との間の通話を保留しかつ上記他の電話機を発呼するための第二コール発信ボタン,および上記発信元電話機との間の通話を切断し,かつ上記発信元電話機と上記他の電話機とを通話させるための転送ボタンを表示するボタン表示手段を備えている,
携帯電話端末。
【請求項12】
発信元電話機と携帯電話端末との間の呼接続を中継する呼接続中継手段,および上記呼接続中継手段による呼接続の下での発信元電話機と携帯電話端末との間の
通話接続を維持しつつ上記携帯電話端末から他の電話機を呼び出し,他の電話機による応答または携帯電話端末の指示に応じて,上記発信元電話機と携帯電話端末との間の通話を,上記携帯電話端末から他の電話機に転送する通話転送手段を備える構内交換機とデータ通信網を通じて接続され,かつ上記携帯電話端末からデータ通信網を通じて送信される転送リクエストを受信する転送リクエスト受信手段,および上記転送リクエスト受信手段によって受信された転送リクエストにしたがう制御信号を上記データ通信網を通じて上記構内交換機に送信し,上記構内交換機の通話転送手段による通話転送を制御する制御手段を備える制御サーバと上記データ通信網を通じて接続される携帯電話端末を制御するプログラムであって,
上記発信元電話機との通話中に,上記発信元電話機との間の通話を保留しかつ上記他の電話機を発呼するための第二コール発信ボタンを表示画面に表示し,
上記発信元電話機との間の通話を切断し,かつ上記発信元電話機と上記他の電話機とを通話させるための転送ボタンを画面表示するように上記携帯電話端末を制御する,
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,通話システムに関するもので,たとえば構内交換機(PBX)経由で携帯電話端末に着信転送された通話に関して,その通話を他の電話機に通話転送することができるように構内交換機を制御可能なシステムに関する。また,この発明は通話システムを構成する制御サーバおよびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,多くの企業では複数の内線端末を収容した構内交換機(PBX)が設置され,内線ごとに割り当てられた電話番号を用いて特定内線を外部から呼び出すダイヤルインサービスが利用されている。また,特定内線への着信を携帯電話やスマートフォン等に転送する着信転送機能も利用されている。
【0003】
外部からかかってきた電話に応対するときに,その通話を他の者(同僚など)(他の者の電話機)に転送する必要性が一定の割合で発生する。通話に用いる電話機が構内交換機に接続されるいわゆるビジネスフォンであれば,電話機にあらかじめ用意されている内線ボタンを押下し,内線機能を用いて他の者に通話転送をすることができる。
【0004】
しかしながら,構内交換機経由でスマートフォンに着信転送されていると,スマートフォンには一般に内線ボタンは設けられていないので通話転送することができない。特許文献1は,通話中に携帯電話から発信される保留特番を表すDTMF信号に基づいて通話を保留しその後に転送するシステムを記載する。はじめに数字キーパッドで保留のための番号(保留特番)をダイヤルする必要があり,利便性が高いとは言い難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は,構内交換機経由で通話中の携帯電話端末を用いて,他の電話機に簡単に通話転送できるようにすることを課題とする。
【0007】
この発明による通話システムは,発信元電話機と携帯電話端末との間の呼接続を中継する呼接続中継手段,および上記呼接続中継手段による呼接続の下での発信元電話機と携帯電話端末との間の通話を,上記携帯電話端末から他の電話機に転送する通話転送手段を備える構内交換機,ならびに上記携帯電話端末からデータ通信網を通じて送信される転送リクエストを受信する転送リクエスト受信手段,および上記転送リクエスト受信手段によって受信された転送リクエストにしたがう制御信号を上記データ通信網を通じて上記構内交換機に送信し,上記構内交換機の通話転送手段による通話転送を制御する制御手段を備える制御サーバを備えている。発信元電話および他の電話機は,スマートフォン,携帯電話,固定電話,ビジネスフォン等,その形態は問わない。
【0008】
この発明は通話システムを構成する制御サーバも提供する。この発明による制御サーバは,発信元電話機と携帯電話端末との間の呼接続を中継する呼接続中継手段,および上記呼接続中継手段による呼接続の下での発信元電話機と携帯電話端末との間の通話を,上記携帯電話端末から他の電話機に転送する通話転送手段を備える構内交換機とデータ通信網を通じて接続されるものであって,上記携帯電話端末からデータ通信網を通じて送信される転送リクエストを受信する転送リクエスト受信手段,および上記転送リクエスト受信手段によって受信された転送リクエストにしたがう制御信号を上記データ通信網を通じて上記構内交換機に送信し,上記構内交換機の通話転送手段による通話転送を制御する制御手段を備えている。
【0009】
この発明は,上述した制御サーバの制御方法も提供する。
【0010】
この明細書において,携帯電話端末は,電話網およびデータ通信網の双方に接続可能な小型の情報装置を意味し,通信装置,入力装置(タッチパネル,ボタン),表示装置,マイクロフォン,スピーカ,演算装置,メモリ,記憶装置等を含む。携帯電話端末の記憶装置には基本ソフトウェア(OS)およびアプリケーション・ソフトウェアがインストールされ,インストールされるアプリケーション・ソフトウェアに応じて電話機能を含む様々な機能が実現される。携帯電話端末にはスマートフォン,フィーチャーフォン等が含まれる。
【0011】
一実施態様では,上記呼接続中継手段が,発信元電話機から発呼された内線端末への着信を電話網を通じて携帯電話端末に転送する着信転送手段である。携帯電話端末の電話番号が転送先電話番号として内線端末の電話番号に対応づけられていると,構内交換機の呼接続中継手段は内線端末への着信を電話網を通じて携帯電話端末に着信転送する。着信転送の転送先電話番号と内線電話番号の対応付けは構内交換機にあらかじめ設定(記憶)しておくことができる。着信転送によって,構内交換機を経由する発信元電話機と携帯電話端末との間の呼接続が確立される(呼成立)。
【0012】
他の実施態様では,上記呼接続中継手段が,発信元電話機からのコールバック発信にしたがって上記発信元電話機および上記携帯電話端末の両方を発呼するコールバック手段である。構内交換機が発信元電話機および携帯電話端末の両方を発呼することによって,構内交換機を経由する発信元電話機と携帯電話端末との間の呼接続が確立される。
【0013】
この発明によると,構内交換機を経由する発信元電話機と携帯電話端末との間の通話(呼)の他の電話機への通話転送が,携帯電話端末から構内交換機に対して指示される。携帯電話端末から構内交換機に対する通話転送指示は,電話網ではなくデータ通信網(たとえばインターネット)を通じて行われるので,DTMF(Dual-Tone Multi-Frequency )信号を利用する必要はなく,したがって数字キーパッドで転送先の他の電話機の電話番号等を直接にダイヤルする必要はない。構内交換機経由で通話中の携帯電話端末を用いて,簡単に他の電話機への通話転送を構内交換機に指示することができる。
【0014】
他の電話機への通話転送が行われると,携帯電話端末は通話から抜けることになる。すなわち,発信元電話機と他の電話機との間で通話が行われる。
【0015】
通話転送に先立って,構内交換機は,通話転送先の他の電話機を発呼するのは言うまでもない。発信元電話機と携帯電話端末とが通話中であれば,発信元電話機との通話を保留しかつ他の電話機を発呼することになる。発信元電話機と携帯電話端末との間の通話がすでに保留中であれば他の電話機を発呼することになる。
【0016】
上述したように,携帯電話端末からの通話転送の指示は,携帯電話端末から構内交換機に直接に送信されるのではなく,制御サーバを経由して構内交換機に送信される。すなわち,構内交換機によって実行される通話転送処理を制御するための制御信号(命令セット)が制御サーバに用意される。様々なメーカ製の構内交換機が存在し,制御信号(命令セット)が相互に異なっているとしても,それに対応することができる。
【0017】
好ましくは,上記制御信号が,上記携帯電話端末の電話番号を発信元番号として含み,かつ他の電話機の電話番号を着信先番号として含む。携帯電話端末を発呼元とし,かつ他の電話機を着呼先とする発呼(通話転送呼)を,構内交換機に実行させることができる。携帯電話端末から制御サーバに送信される転送リクエストに,携帯電話端末の電話番号および他の電話機の電話番号を含ませてもよい。もっとも,転送リクエストには,携帯電話端末および他の電話機のそれぞれの電話番号に代えて,携帯電話端末および他の電話機のデバイスIDを含め,転送リクエストにしたがう制御信号を制御サーバから構内交換機に送信するときに,デバイスIDに代えて電話番号を含めるようにしてもよい。携帯電話端末および他の電話機のそれぞれについて,制御サーバにおいて,デバイスIDと電話番号と対応関係をあらかじめ把握しておく(対応関係を記憶しておく)ことによって,このような態様を実行することができる。
【0018】
好ましくは,上記構内交換機は,上記発信元電話機と上記携帯電話端末との間の第1の呼接続,および上記発信元電話機と上記他の電話機との間の第2の呼接続を中継するものである。第1の呼接続が第2の呼接続に切り替えられることによって,発信元電話機と携帯電話端末との間の通話が,発信元電話機と他の電話機との間の通話に切り替えられる,すなわち通話転送される。通話転送が完了したときに第1の呼接続を切断することで,携帯電話端末は通話から抜けることになる。
【0019】
上記構内交換機はさらに,上記携帯電話端末と上記他の電話機との間の第3の呼接続を中継するものであってもよい。上述した第1の呼接続から第2の呼接続に切り替える(通話転送する)前に,第1の呼接続から第3の呼接続に切り替えることによって,通話転送に先立って,携帯電話端末と他の電話機との間で通話することができる。これから通話転送をする(第2の呼接続をする)ことを,あらかじめ他の電話機の所有者等に第3の呼接続を通じて伝えることができる。
【0020】
一実施態様では,上記構内交換機が,上記発信元電話機と上記携帯電話端末との間(第1の呼接続),および上記携帯電話端末と上記他の電話機との間(第3の呼接続)のそれぞれについて,通話中であるかまたは保留中であるかを示す呼状態を,上記制御サーバに通知する呼状態通知手段を備え,上記制御サーバが,上記構内交換機の呼状態通知手段によって通知される呼状態の変化に応じて,上記携帯電話端末に画面遷移指示を送信する画面遷移指示送信手段を備えている。上記発信元電話機と上記携帯電話端末との間,および上記携帯電話端末と上記他の電話機との間のそれぞれについて,現在の呼状態(通話中または保留中)に応じた画面を上記携帯電話端末に表示させることができる。
【0021】
他の実施態様では,上記制御サーバが,上記発信元電話機と上記携帯電話端末との間(第1の呼接続),および上記携帯電話端末と上記他の電話機との間(第3の呼接続)のそれぞれについて,一方を通話としかつ他方を保留する,または両方を保留とする切換えリクエストを上記携帯電話端末から上記データ通信網を通じて受信する切換えリクエスト受信手段,ならびに上記切換えリクエスト受信手段によって受信された切換えリクエストにしたがう制御信号を上記データ通信網を通じて上記構内交換機に送信する送信手段を備え,上記構内交換機が,上記制御サーバから送信される切換えリクエストにしたがって,上記発信元電話機との間上記携帯電話端末との間(第1の呼接続),および上記携帯電話端末と上記他の電話機との間(第3の呼接続)のそれぞれについて,一方を通話としかつ他方を保留する,または両方を保留する切換え手段を備えている。発信元電話機と携帯電話端末との間を通話中としかつ携帯電話端末と他の電話機との間を保留中にすること(第一状態),携帯電話端末と発信元電話機との間を保留中とし,かつ携帯電話端末と他の電話機との間を通話中とすること(第二状態),または発信元電話機と携帯電話端末との間および携帯電話端末と他の電話機との間をいずれも保留中とすること(第三状態)を,携帯電話端末を用いて任意に切り替えることができる。
【0022】
この発明は,上述した制御サーバの制御に適する方法も提供する。
【0023】
この発明はさらに,制御サーバを経由して構内交換機に通話転送を指示する携帯電話端末も提供する。
【0024】
この発明による携帯電話端末は,発信元電話機と携帯電話端末との間の呼接続を中継する呼接続中継手段,および上記呼接続中継手段による呼接続の下での発信元電話機と携帯電話端末との間の通話を,上記携帯電話端末から他の電話機に転送する通話転送手段を備える構内交換機とデータ通信網を通じて接続され,かつ上記携帯電話端末からデータ通信網を通じて送信される転送リクエストを受信する転送リクエスト受信手段,および上記転送リクエスト受信手段によって受信された転送リクエストにしたがう制御信号を上記データ通信網を通じて上記構内交換機に送信し,上記構内交換機の通話転送手段による通話転送を制御する制御手段を備える制御サーバと上記データ通信網を通じて接続され,上記発信元電話機との通話中に,上記発信元電話機との間の通話を保留しかつ上記他の電話機を発呼するための第二コール発信ボタン,および上記発信元電話機との間の通話を切断し,かつ上記発信元電話機と上記他の電話機とを通話させるための転送ボタンを表示するボタン表示手段を備えている。
【0025】
この発明は,上記携帯電話端末の制御に適するプログラムも提供する。
【0026】
第二コール発信ボタンをタップ等することによって,発信元電話機との通話中(保留中でもよい)に他の電話機を発呼する(他の電話機に電話をかける)ことができる。また,転送ボタンをタップ等することによって,発信元電話機と携帯電話端末との間の通話(第1の呼接続)を,発信元電話機と他の電話機との間の通話(第3の呼接続)に切り換える(通話転送する)ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】第1実施例の通話システムの概略的構成を示すブロック図である。
【
図2】第1実施例の通話システムの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図3】第1実施例の通話システムの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】スマートフォンの表示画面(通話画面)を示す。
【
図5】スマートフォンの表示画面(保留画面)を示す。
【
図6】スマートフォンの表示画面(第二コール発信先指定画面)を示す。
【
図7】スマートフォンの表示画面(検索画面)を示す。
【
図8】スマートフォンの表示画面(第二コール発信中画面)を示す。
【
図9】第2実施例の通話システムの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】第2実施例の通話システムの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図11】スマートフォンの表示画面(第二コール接続画面)を示す。
【
図12】(A)は第一コールが保留状態で,かつ第二コールが通話状態であるときの様子を,(B)は第一コールが通話状態で,かつ第二コールが保留状態であるときの様子を,それぞれ示している。
【
図13】第一コールおよび第二コールの両方が保留状態であるときの様子を示している。
【
図14】他の実施例の通話システムの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1実施例)(
図1~
図8)
図1は企業内通話システムの概略的構成を示すブロック図である。
【0029】
企業内通話システム1は,電話機11からダイヤルイン番号(固定電話)への発呼を,スマートフォン(フィーチャーフォンであってもよい)41Aに着信転送可能な構内交換機(以下,PBX(Private Branch eXchanger)と呼ぶ)21と,PBX21の処理を制御可能な制御サーバ51とを備えている。
【0030】
以下に詳述するように,PBX21は,発信元の電話機11によるダイヤルイン番号(固定電話)宛の発呼をスマートフォン41Aに転送する「着信転送」と,着信転送を受けたスマートフォン41Aから別のスマートフォン41Bに通話を転送する「通話転送」の,2種類の転送処理を実行する。制御サーバ51は,上述したPBX21による2種類の転送処理のうち「通話転送」を制御するために用いられる。
【0031】
「通話転送」はさらに,「ブラインド転送」と「コンサルティング転送」の2つに分けることができる。
【0032】
「ブラインド転送」は,電話機11からの発呼をスマートフォン41Aで受けた後,他の電話機,たとえばスマートフォン41Bを転送先として通話転送操作した時点で,スマートフォン41A(転送者)が通話から抜け,電話機11(発信元)とスマートフォン41B(転送先)の間が呼接続(通話転送接続)される態様の通話転送である。スマートフォン41A(転送元)とスマートフォン41B(転送先)との間の通話(呼接続)はない。「ブラインド転送」は,一般には,転送する前に転送先となる相手(スマートフォン41Bの所有者)に口頭で通話転送する旨を伝えられる環境において用いられる。
【0033】
「コンサルティング転送」(コンサル転送,打診転送)は,電話機11からの発呼をスマートフォン41Aで受けた後,その通話(コール)を一旦保留し,転送先となる相手のスマートフォン41Bに別通話(別コール)をし,その後に転送操作する態様の通話転送である。転送操作した時点でスマートフォン41A(転送者)は通話から抜ける。ブラインド転送と異なり,コンサルティング転送では通話転送に先立って,スマートフォン41Aとスマートフォン41Bとの間で通話(呼接続)される。
【0034】
以下,この明細書では,第1実施例において「ブラインド転送」を,第2実施例において「コンサルティング転送」を,それぞれ説明する。
【0035】
図1を参照して,電話機11,PBX21およびスマートフォン41A,41Bは,電話網2を通じて相互に音声通信可能である。電話機11,PBX21およびスマートフォン41A,41Bは,いずれも固有の電話番号(契約者回線番号)を有しており,電話番号を入力して発呼することによって相互に通話することができる。スマートフォン41A,41Bには電話用アプリケーション・プログラム(電話アプリ)がインストールされており,この電話アプリによってスマートフォン41A,41Bは電話機(携帯電話)として機能し,かつ以下に詳述するように動作する。
【0036】
PBX21,制御サーバ51およびスマートフォン41A,41Bはまた,インターネット3(イントラネットを含んでもよい)を通じて相互にデータ通信可能である。電話機11についてもインターネット3を通じてデータ通信可能なものであってもよい。
【0037】
電話網2については,その一部または全部にインターネットを利用することができる(いわゆるIP電話)。もっとも,電話(通話)については回線交換が,データ通信についてはパケット交換が,それぞれ用いられるので,音声通信とデータ通信の通信モデルは相互に異なる。
【0038】
PBX21はメモリ22を備え,このメモリ22に,PBX21に接続(収容)された複数の内線端末(図示略)のそれぞれについて,内線番号およびダイヤルイン番号,ならびに転送先番号が記憶されている。
図1には一台の内線端末についてメモリ22に記憶された設定データが示されており,ここでは,内線番号2010およびダイヤルイン番号03-bbbb-bbbbが設定されている特定の内線端末に,スマートフォン41Aの電話番号090-dddd-dddd が転送先番号として設定(メモリ22に記憶)されている。内線番号2010またはダイヤルイン番号03-bbbb-bbbbを着番号とする内線発信または外線発信は,メモリ22に記憶されている転送先番号にしたがってスマートフォン41Aに着信転送される。なお,スマートフォン41Aへの着信転送設定をしておくことによって,PBX21に物理的な内線端末を接続しておく必要は必ずしもない。
【0039】
また,PBX21は,従来のPBXと同様の機能をIP(Internet Protocol )ネットワーク上で提供するいわゆるIP-PBXでもよく,インターネット上でPBXの機能を提供する,いわゆるクラウドPBXでもよい。
【0040】
制御サーバ51は,PBX21を制御するのみならず,通話転送先を指示するスマートフォン41Aに通話転送先を指定するための電話帳データ(連絡先データ)も提供することができる。制御サーバ51が備える記憶装置52にこの電話帳データが記憶される。電話帳データについての詳細は後述する。
【0041】
図2および
図3は,発信元電話機11からPBX21に収納された内線端末の一つ(ダイヤルイン番号)に発呼され,かつスマートフォン41Aに着信転送された通話を,別のスマートフォン41Bにブラインド転送するときの通話システム1の処理の流れを示すフローチャートである。
【0042】
発信元電話機11を用いて特定の内線端末のダイヤルイン番号に電話をかけると(ステップ61),その発呼は電話網2を通じてPBX21において着呼される。発信元電話機11からPBX21には,発番号(発信元電話機11の電話番号)と着番号(ダイヤルイン番号)とが電話網2を通じて通知される。
【0043】
上述のように,PBX21のメモリ22には内線番号,ダイヤルイン番号および転送先番号が互いに関連付けられて記憶されており(
図1参照),発信元電話機11から通知された着番号(ダイヤルイン番号)に関連付けられてメモリ22に記憶されている転送先番号宛の着信転送処理が行われる。この実施例では,スマートフォン41Aの電話番号が転送先番号としてPBX21のメモリ22に記憶されているので,PBX21は発信元電話機11からの着信をスマートフォン41Aに着信転送することになる。
【0044】
電話網2およびPBX21を経由する発信元電話機11からの発呼が,スマートフォン41Aにおいて着呼される(ステップ62)。電話アプリが起動し,音,光,振動等によって着呼が知らされる。着信者(スマートフォン41Aの所持者)がオフフックする(電話をとる)(ステップ63)ことでPBX21は接続処理を行う。発信元電話機11とスマートフォン41Aとの間に,電話網2およびPBX21を経由する呼接続(第1の呼接続,第一コール)64a,64bが確立される(呼成立)。第1の呼接続64a,64bは,発信元電話機11とPBX21との間の呼接続64aと,スマートフォン41AとPBX21との間の呼接続64bとがPBX21において中継されることによって確立される。
【0045】
図4は,発信元電話機11とスマートフォン41Aとの間の第1の呼接続64a,64bが確立されたときにスマートフォン41Aの表示画面に表示される通話画面41αを示している。
【0046】
スマートフォン41Aの通話画面41αには,発番号(発信元電話機11の電話番号)41a,発番号に関連付けられてスマートフォン41Aのメモリに記憶されている発信者の顔画像41b,会社名および氏名41cが表示される。
【0047】
PBX21を経由することによって,発信元電話機11に固有の電話番号ではなく,PBX21に固有の電話番号がスマートフォン41Aに通知される場合には,インターネット3に接続された制御サーバ51から発信元電話機11の電話番号(発番号)41aをスマートフォン41Aに送信し,これに基づいて発信元電話機11の電話番号をスマートフォン41Aに通知することができる。また,発信元電話機11の電話番号41aに加えて,発信元電話機11の電話番号41aに関連付けられている発信者の顔画像41b,ならびに会社名および氏名41cを表すデータも,制御サーバ51からスマートフォン41Aに送信してもよく(記憶装置52の電話帳データが用いられる),この場合にはスマートフォン41Aのメモリに発信者の顔画像41b,ならびに会社名および氏名41cを記憶させておく必要は必ずしもない。いずれにしても,上述のように制御サーバ51が用いられる場合には,PBX21は,スマートフォン41Aだけではなく制御サーバ51にも発番号と着番号を通知する。
【0048】
通話画面41αにはさらに,保留ボタン41d,第二コール発信ボタン41eおよび転送ボタン41fが表示される。
【0049】
通話画面41αにおいて,保留ボタン41dおよび第二コール発信ボタン41eはタップすることができ,他方,転送ボタン41fは通話画面41αにおいてタップすることはできない。通話転送可能であるが現時点では転送できないことを示すために,転送ボタン41fについてはグレーアウト表示される。
図4ではグレーアウト表示が破線の矩形によって示されている。なお,保留ボタン41d,第二コール発信ボタン41eおよび転送ボタン41fは,たとえばメニューボタン(図示略)がタップされたときに通話画面41α上に現れるようにしてもよい。
【0050】
保留ボタン41dは,スマートフォン41Aを用いて発信者と通話している着信者が,呼接続を維持しつつ一時的に通話を中断するときに用いられる(自己保留)。
図4に示す通話画面41αにおいて保留ボタン41dがタップされると,通話画面41αに代えて,
図5に示す保留画面41βがスマートフォン41Aの表示画面に表示される。また,保留ボタン41dがタップされることで,たとえばスマートフォン41Aから制御サーバ51にスマートフォン41Aの電話番号および発信元電話機11の電話番号を含む保留リクエストがインターネット3を通じて送信され,制御サーバ51は保留リクエストに応答して,これらの電話番号を接続している呼接続64aに対する保留指令をインターネット3を通じてPBX21に送信する。PBX21は制御サーバ51から受信した保留指令にしたがって,発信元電話機11とPBX21との間の呼接続64aを保留状態にする。
【0051】
保留画面41β(
図5)は保留解除ボタン41gを含み,保留解除ボタン41gをタップすることによって保留を解除することができる。スマートフォン41Aから制御サーバ51に保留解除リクエストが送信され,保留解除リクエストにしたがう保留解除指令が制御サーバ51からPBX21に送信されることで,第1の呼接続64a,64bが復帰する。スマートフォン41Aの表示画面も通話画面41α(
図4)に戻る。
【0052】
通話画面41α(
図4)および保留画面41β(
図5)に表示される第二コール発信ボタン41eは,スマートフォン41Aを用いて発信者(発信元電話機11)と通話をしている着信者が,発信者との通話(第一コール)を維持(通話保留)しつつ,別の相手(別の電話機)を呼び出す(第二コールする)ときに用いられる。以下では,別の相手の電話機がスマートフォン41Bである場合を例にする。たとえば,顧客からの問合せの電話を受けた社員A(スマートフォン41Aの所有者)が,その問合せについては別の社員B(スマートフォン41Bの所有者)の方が詳しいので,顧客との通話中に,その通話を社員Bに通話転送する状況である。スマートフォン41Aは,発信元電話機11との間の通話(第一コール)では着信先となり,スマートフォン41Bとの間の通話(第二コール)では発信元(転送元)になる。
【0053】
図2に戻って,通話画面41α(
図4)の第二コール発信ボタン41eがタップされると(ステップ65),以下に説明する保留処理および第二コール発信処理に進む。保留画面41β(
図5)の第二コール発信ボタン41eがタップされると,既に保留処理は行われているので,保留処理はスキップされて第二コール発信処理に進む。以下では,通話画面41α(
図4)の第二コール発信ボタン41eがタップされたときの処理を説明する。
【0054】
通話画面41α(
図4)の第二コール発信ボタン41eがタップされると,上述したように保留処理および第二コール発信処理が行われる。
【0055】
保留処理では,通話画面41α中の保留ボタン41dがタップされたときと同様に,たとえばスマートフォン41Aから制御サーバ51にスマートフォン41Aの電話番号および発信元電話機11の電話番号を含む保留リクエストがインターネット3を通じて送信され,保留リクエストに応答して,制御サーバ51がPBX21に対し,これらの電話番号を接続している呼接続64aに対する保留命令を送信し,これに応じてPBX21は保留処理を実行する(ステップ66)。発信元電話機11とPBX21との間の呼接続64aが保留状態67にされる。保留状態67では呼接続が維持されつつ,発信元電話機11からの音声およびスマートフォン41Aからの音声が遮断される。なお,PBX21とスマートフォン41Aとの間の呼接続64bはそのまま維持される。PBX21から発信元電話機11に,保留音声,保留音楽など,保留中であることを発信者に伝える音声を電話網2を通じて送信してもよい(ステップ68)。
【0056】
また,第二コール発信ボタン41eがタップされると,スマートフォン41Aの通話画面41α(
図4)(または保留画面41β(
図5))が第二コール発信先指定画面41γ(
図6)に切り替えられ,第二コール発信先指定画面41γにおいて発信先(転送先)が入力(指定,選択)される(ステップ69)。
【0057】
図6はスマートフォン41Aに表示される第二コール発信先指定画面41γの一例を示している。
【0058】
第二コール発信先指定画面41γは,電話帳41l,ならびに発信先番号欄41i,発信ボタン41h,検索ボタン41jおよびキャンセルボタン41kを含む。
【0059】
上述したように,制御サーバ51に接続された記憶装置52には電話帳データ(連絡先データ)が記憶されており,記憶装置52に記憶されている電話帳データを第二コール発信先指定に用いることができる。この場合には,制御サーバ51から,スマートフォン41Aの電話番号またはデバイスIDに関連付けられている電話帳データがスマートフォン41Aに送信され,第二コール発信先指定画面41γに,電話帳データに基づいて,氏名および部署名を含む,スクロール可能な電話帳41lが表示される。電話帳41lに表示される氏名および部署名をタップすると,タップされた氏名および部署名に関連付けられている電話番号が発信先番号欄41iにセットされる。このとき,PBX21,制御サーバ51,スマートフォン41Aのいずれかまたは全部による指示により,発信先番号欄41iにセットされる発信先電話番号に対する操作(たとえば発信プレフィックスの付与等)を行ってもよい。第二コール発信先指定画面41γは電話帳データに複数の電話番号が登録されている場合にどの電話番号宛に第二コールを発信すべきかを選択するためにも用いられる。発信先番号欄41iにセットされた電話番号は編集することもできる。発信ボタン41hをタップすることで,発信先番号欄41iにセットされた電話番号宛の第二コールの発信処理が開始される。たとえば,スマートフォン41Bの所有者が営業部の佐藤一郎であるとすると,佐藤一郎の顔写真,氏名等の範囲をタップすると,スマートフォン41Bの電話番号が発信先番号欄41iにセットされ,発信ボタン41hをタップすることで,スマートフォン41Bを発呼するための第二コールの発信処理が開始される。
【0060】
キャンセルボタン41kがタップされると,第二コール発信先指定画面41γ(
図6)に代えて保留画面41β(
図5)が表示される。
【0061】
発信先番号欄41iは第二コールの発呼先の電話番号を直接に入力するために用いることもできる。発信先番号欄41iにスマートフォン41Bの電話番号を直接に入力し,発信ボタン41hをタップすることでも,スマートフォン41Bに対する第二コールの発信処理を開始することができる。
【0062】
主に,電話帳41lの登録件数が多数にのぼり,人物を検索するときに検索ボタン41jが用いられる。人物を検索するのみならず,他の目的(特定の役割や能力を持つ人物に絞り込む等)であっても検索ボタン41jを利用可能である。検索ボタン41jをタップすると,
図7に示す検索画面41δがスマートフォン41Aの表示画面に表示される。検索画面41δに設けられる検索領域41sに氏名等を入力すると,入力された氏名等に対応する電話帳データのみが検索画面41δの電話帳欄41mに表示される(図示略)。表示された電話帳データをタップすることで,
図6の第二コール発信先指定画面41γに戻り,かつタップされた氏名および部署名に関連付けられている電話番号が発信先番号欄41iにセットされる。また,検索画面41δのキャンセルボタン41kがタップされても,
図6の第二コール発信先指定画面41γに戻る。
【0063】
なお,制御サーバ51に接続された記憶装置52から送信される電話帳データに代えて,スマートフォン41Aのメモリ(記憶装置)にあらかじめ記憶されている電話帳データを用いて第二コールの発信先を指定することも可能である。
【0064】
図2に戻って,発信ボタン41hがタップされると,スマートフォン41Aから制御サーバ51に,インターネット3を通じて第二コール発信リクエストが送信される。制御サーバ51は,受信した第二コール発信リクエストにしたがう,PBX21を制御するための第二コール発信指令を,インターネット3を通じてPBX21に送信する。第二コール発信リクエストおよび第二コール発信指令には,第二コールのリクエストの発信元であるスマートフォン41Aの電話番号,および着信先(転送先)スマートフォン41Bの電話番号が含められる。第二コール発信リクエストには電話番号に代えてデバイスIDを含めてもよい。この場合,デバイスIDを受信した制御サーバ51は,記憶装置52に記憶されている電話帳データを用いて,受信したデバイスIDに関連付けられている電話番号をPBX21に送信する。
【0065】
第二コール発信指令を受信したPBX21は,スマートフォン41Aを発呼元,スマートフォン41Bを着呼先とする第二コール発信を実行する(発呼する)(ステップ70)。発呼元情報としてはスマートフォン41Aの情報が使用されるが,発信処理そのものはPBX21によって実行される。すなわち,スマートフォン41Aからスマートフォン41Bに電話をかけた状態がPBX21によって実行される。スマートフォン41Bにおいて,スマートフォン41Aからの第二コールの発信リクエストに起因する,PBX21からの発信が着呼される(ステップ71)。PBX21が発信することによって,スマートフォン41Aに固有の電話番号ではなくPBX21に固有の電話番号が発信元電話番号としてスマートフォン41Bに通知される場合には,インターネット3に接続された制御サーバ51から発信元スマートフォン41Aの電話番号(発番号)をスマートフォン41Bに送信することができる。
【0066】
図3を参照して,PBX21は,PBX21と発信元電話機11との間の呼が保留状態67に切り換えられ,かつ第二コール発信中である旨を,インターネット3を通じて制御サーバ51に送信する(ステップ72)。これに応じて制御サーバ51は,第二コール発信中画面遷移指示をスマートフォン41Aに送信する。スマートフォン41Aの画面が第二コール発信中画面に切り替えられる(ステップ73)。
【0067】
図8は,制御サーバ51から第二コール発信中画面遷移指示を受信した後のスマートフォン41Aの表示画面(第二コール発信中画面)41εを示している。第二コール発信中画面41εは上下二段に分けられ,上段に第一コールに関する情報,すなわち保留中である発信元電話機11の電話番号に関連付けられている発信者の顔画像41b,会社名および氏名41cが表示され,下段に第二コールに関する情報,すなわち第二コールの着信先スマートフォン41Bの電話番号に関連付けられている着信者の顔画像41o,部署名および氏名41n,ならびに発信キャンセルボタン41kおよび転送ボタン41fが表示される。なお,上段の第一コールに関する情報はたとえばマスク表示(グレー表示,網掛け表示)される。
【0068】
下段の第二コールに関する情報に含まれる発信キャンセルボタン41kがタップされると,スマートフォン41Aの表示画面は,第二コール発信中画面41εから保留画面41β(
図5)に戻る。以下では,下段の第二コールに関する情報に含まれる転送ボタン41fがタップされたときの処理を説明する。
【0069】
通話画面41α(
図4)および保留画面41β(
図5)においてグレーアウト表示されていた転送ボタン41fは,第二コール発信中画面41ε(
図8)において通常表示(アクティブ表示)になり,タップ可能とされる。転送ボタン41fは,発信元電話機11とスマートフォン41Aとの間の通話(第1の呼接続)を,発信元電話機11とスマートフォン41Bとの間の通話(第2の呼接続)に切り替える,すなわち,発信元電話機11からの発呼に基づく通話を,スマートフォン41Aからスマートフォン41Bに通話転送するときにタップされる。具体的には,たとえば,顧客(発信元電話機11の使用者)からの問合せの電話を受けた社員A(スマートフォン41Aの所有者)が,その問合せについては別の社員B(スマートフォン41Bの所有者)の方が詳しいので,顧客からの電話を社員Bに直接転送するような状況である。
【0070】
図3を参照して,第二コール発信中画面41εの転送ボタン41fがタップされると(ステップ74),スマートフォン41Aから制御サーバ51にインターネット3を通じて転送リクエストが送信される。制御サーバ51は,受信した転送リクエストにしたがう,PBX21を制御するための転送指令を,インターネット3を通じてPBX21に送信する。転送リクエストおよび転送指令には,転送元であるスマートフォン41Aの電話番号および転送先であるスマートフォン41Bの電話番号が含められる。転送リクエストおよび転送指令には電話番号に代えてデバイスIDを含めてもよい。この場合,デバイスIDを受信した制御サーバ51は,記憶装置52に記憶されている電話帳データを用いて,受信したデバイスIDに関連付けられている電話番号をPBX21に送信する。
【0071】
転送指令を受信したPBX21は通話転送処理を実行する。
【0072】
通話転送処理では,PBX21は次の3つの処理を実行する。
【0073】
第1の処理は,発信元電話機11とPBX21との間の保留状態67(
図2参照)の解除処理である(ステップ75)。保留状態67が解除されることによって発信元電話機11とPBX21との間は保留状態67から呼接続64aに戻る。また,保留解除処理に併せて,PBX21は,保留中に発信元電話機11に送信していた音声送信を停止する(ステップ76)。
【0074】
第2の処理は,PBX21とスマートフォン41Aとの間の呼接続64bの切断処理である(呼切断64c)。発信元電話機11とスマートフォン41Aの間の通話に用いられていた呼接続64bが切断されることによって,スマートフォン41Aは通話から抜けることになる。
【0075】
第3の処理は,第二コールを着呼しているスマートフォン41BとPBX21との間に新たな呼接続(転送呼接続)79を確立し,保留解除された発信元電話機11とPBX21との間の呼接続64aと,新たな呼接続79とを中継(接続)する処理である。転送先のスマートフォン41Bがオフフックされる(ステップ78)ことによって呼接続64a,79が確立される(呼成立)。
【0076】
これらの第1~第3の処理によって,発信元電話機11と転送先スマートフォン41Bとの間にPBX21を介した第2の呼接続(転送通話)64a,79が確立される。第2の呼接続は,発信元電話機11とPBX21との間の呼接続64aと,スマートフォン41BとPBX21との間の呼接続79とがPBX21において中継されることによって確立される。
【0077】
スマートフォン41Aによる通話転送の指示は,スマートフォン41AからPBX21に直接に送信されるのではなく,制御サーバ51を経由してPBX21に送信される。すなわち,PBX21の転送処理を制御するための命令セットは制御サーバ51に用意される。様々なメーカ製のPBX21が存在し,命令セットが相互に異なっているとしてもそれに即座に対応することができる。
【0078】
(第2実施例)(
図9~
図13)
上述した第1実施例では,通話転送元のスマートフォン41Aの転送ボタンのタップ(
図3のステップ74)のタイミングが通話転送先のスマートフォン41Bのオフフック(
図3のステップ78)のタイミングよりも早く,スマートフォン41Bを転送先として転送操作した時点でスマートフォン41A(転送者)は通話から抜け,発信元電話機11とスマートフォン41B(転送先)の間が呼接続(通話転送接続)される(ブラインド転送)。スマートフォン41Aとスマートフォン41Bの間に呼接続は確立されない。これに対し,以下に説明する第2実施例では,通話転送先のスマートフォン41Bのオフフックが通話転送元のスマートフォン41Aの転送ボタンのタップよりも早い。この場合,発信元電話機11からの発呼をスマートフォン41Aで受けた後,そのコール(第1コール)が一旦保留され,通話転送先のスマートフォン41Bに別コール(第2コール)され,その後の転送操作によって発信元電話機11とスマートフォン41B(転送先)の間が呼接続(通話転送接続)されることになる(コンサルティング転送)。
【0079】
図9および
図10は,発信元電話機11からPBX21に収納された内線端末の一つ(ダイヤルイン番号)に発呼され,かつスマートフォン41Aに着信転送された通話を,別のスマートフォン41Bにコンサルティング転送するときの通話システム1の処理の流れの一部を示すフローチャートである。第二コールが発信されてこれがスマートフォン41Bにおいて着呼されるまでの処理は第1実施例(
図2,ステップ71までの処理)と同じである。また,通話システム1のハードウエア構成についても第1実施例(
図1)と同じである。これらについての重複した詳細な説明は省略する。
【0080】
第1実施例と同様に,スマートフォン41Aの通話画面41α(
図4)の第二コール発信ボタン41eがタップされることで(
図2,ステップ65),発信元電話機11とPBX21との間の呼接続64aが保留状態67とされ,第二コール発信先が指定されることで(ステップ69),PBX21はスマートフォン41Bに第二コールを発信する(ステップ70)。スマートフォン41BにおいてPBX21からの発信が着呼される(ステップ71)。
【0081】
図9を参照して,第1実施例と同様に,PBX21は,PBX21と発信元電話機11との間の呼が保留状態67に切り換えられ,かつ第二コール発信中である旨を,インターネット3を通じて制御サーバ51に送信する(ステップ72)。これに応じて制御サーバ51は,第二コール発信中画面遷移指示をスマートフォン41Aに送信する。スマートフォン41Aの画面が第二コール発信中画面(
図8)に切り替えられる(ステップ73)。
【0082】
スマートフォン41Aの第二コール発信中画面(
図8)の「転送」ボタン41fがタップされるよりも前に,スマートフォン41Bにおいて第二コールがオフフックされることによって,第1実施例の「ブラインド転送」ではなく,第2実施例の「コンサルティング転送」となる。
【0083】
図9に戻って,スマートフォン41Bを用いて第二コールの着信者がオフフックすると(ステップ78),第二コールの発信元スマートフォン41Aと着信先(転送先)スマートフォン41Bの間に,電話網2およびPBX21を経由する呼接続(「第3の呼接続」または「第二コール」と呼ぶ)64b,81aが確立される(呼成立)。第3の呼接続は,スマートフォン41AとPBX21との間の呼接続64bと,スマートフォン41BとPBX21との間の呼接続81aとがPBX21において中継されることによって確立される。第3の呼接続64b,81aに用いられるスマートフォン41AとPBX21との間の呼接続64bには,既に接続が確立されている呼接続64b(
図2参照)が用いられる。すなわち,スマートフォン41AとPBX21との間に2回線分の呼接続が確立されるのではない。他方,スマートフォン41BとPBX21との間の呼接続81aは新たに確立される。
【0084】
第3の呼接続64b,81aが確立すると,PBX21は第3の呼接続64b,81aが確立された旨をインターネット3を通じて制御サーバ51に送信する(ステップ82)。これに応じて制御サーバ51は第二コール接続画面遷移指示をスマートフォン41Aに送信する。スマートフォン41Aの画面が第二コール接続画面に切り替えられる(ステップ83)。
【0085】
図11は第二コール接続画面41ζを示している。第二コール接続画面41ζは,第二コール発信中画面41ε(
図8)と比較して,上段の第一コールに関する情報のマスク表示が無くなり,かつ「保留解除」ボタン41vが現れる点,および下段の第二コールに関する情報が「発信中」から「通話中」となる点が異なる。また発信キャンセルボタン41kが保留ボタン41rに切り替わる。さらに,上段の第一コールに関する情報および下段の第二コールに関する情報のそれぞれに,切断ボタン41p,41qが加わる。
【0086】
第3の呼接続64b,81aが確立されることによってスマートフォン41Aとスマートフォン41Bとの間で音声を送受信することができる。すなわち,第二コールの発信者(スマートフォン41A)と第二コールの着信者(スマートフォン41B)との間で会話がされる。
【0087】
スマートフォン41Aからスマートフォン41Bに第二コールを送信してもスマートフォン41Bがオフフックされない(着信者が電話に出ない)場合には,第二コール発信中画面41E(
図8)に用意されている発信キャンセルボタン41kがタップされる。第二コールの発信元スマートフォン41Aから制御サーバ51にインターネット3を通じて第二コール切断リクエストが送信され,制御サーバ51からPBX21に第二コール切断指令が送信される。PBX21は第二コールを停止する。スマートフォン41Aの画面は保留画面41β(
図5)に切り替えられる。
【0088】
第二コール接続画面41ζ(
図11)は,スマートフォン41Aとスマートフォン41Bの間が呼接続され(第3の呼接続64b,81aが確立,第二コールが呼接続),かつ発信元電話機11とスマートフォン41Aの間が保留状態(第一コールが保留,保留状態67)である様子を示している。以下に説明するように,スマートフォン41Aは,スマートフォン41Bとの間を呼接続しかつ発信元電話機11との間の保留状態にするのみならず,これとは逆に発信元電話機11との間を呼接続しかつスマートフォン41Bとの間を保留状態にすること,さらには発信元電話機11とスマートフォン41Bの両方との間を保留状態にすることができる。
【0089】
図12(A)は,スマートフォン41Aとスマートフォン41Bとの間が呼接続されかつ発信元電話機11との間が保留されている状態を,
図12(B)はスマートフォン41Aと発信元電話機11との間が呼接続されかつスマートフォン41Bとの間が保留されている状態を,
図13は,スマートフォン41Aと発信元電話機11およびスマートフォン41Bの両方との間が保留されている様子を,それぞれ模式的に示している。以下に説明するように,保留解除ボタン41vまたは保留ボタン41rがタップされることによって,呼接続(保留解除)リクエストおよび保留リクエストがスマートフォン41Aから制御サーバ51にインターネット3を通じて送信され,このリクエストにしたがう指令が制御サーバ51からPBX21に送信されることによって,PBX21による切換えが行われる。
【0090】
図12(A)(
図11と同じ)は,スマートフォン41Aと発信元電話機11との間が保留状態67でありかつスマートフォン41Aとスマートフォン41Bとの間が第3の呼接続状態(通話状態)64b,81aであるときにスマートフォン41Aに表示される第二コール接続画面41ζを示している。スマートフォン41Aに第二コール接続画面41ζが表示され,スマートフォン41Aとスマートフォン41Bとの間で通話が行われる。スマートフォン41Aと発信元電話機11との間は保留中であるので,スマートフォン41Aと発信元電話機11との間では通話できない。
【0091】
第二コール接続画面41ζ(
図12(A))中の保留解除ボタン41vがタップされると,スマートフォン41Aとスマートフォン41Bの間の呼接続81aが保留状態に切り替えられ,かつスマートフォン41Aと発信元電話機11との間の保留状態67が呼接続64aに切り換えられる。スマートフォン41Aの表示画面には,
図12(B)に示す第一コール接続画面41ηが表示される。スマートフォン41Aと発信元電話機11との間で再び通話が行われる。スマートフォン41Aとスマートフォン41Bとの間は保留状態になるので,スマートフォン41Aとスマートフォン41Bの間では通話できない。画面切り替えは,制御サーバ51から送信される画面遷移指示に基づいて実行してもよいし,保留解除ボタン41vのタップに応じて,スマートフォン41Aにインストールされている電話アプリが画面切り替えを実行してもよい。
【0092】
第一コール接続画面41η(
図12(B))の保留解除ボタンがタップされた場合,上述とは逆に,スマートフォン41Aと発信元電話機11との間の呼接続64aが保留状態67に切り替えられて保留とされ,かつスマートフォン41Aとスマートフォン41Bとの間の保留状態が解除される。スマートフォン41Aには,第一コール接続画面41ηに代えて第二コール接続画面41ζ(
図12(A))が表示される。
【0093】
第一コール接続画面41ηまたは第二コール接続画面41ζの保留ボタン41rがタップされると,スマートフォン41Aと発信元電話機11との間の呼接続64aおよびスマートフォン41Aとスマートフォン41Bとの間の呼接続81aの両方が,保留状態に切り替えられる。
図13に示すように,スマートフォン41Aと,発信元電話機11およびスマートフォン41Bとの間の両方が保留中であることを示す保留画面41θがスマートフォン41Aに表示される。
【0094】
図13に示す保留画面41θには,
図11~
図12(B)に示す第一コール接続画面41ηおよび第二コール接続画面41ζと異なり,転送ボタン41fが現れる。すなわち両方を保留状態としたときに通話転送処理を行うことができる。
【0095】
図10に戻って,
図10は,スマートフォン41Aと発信元電話機11との間(第1の呼接続)が既に保留状態とされているときに,スマートフォン41Aとスマートフォン41Bとの間(第3の呼接続)も保留状態にされ,その後に通話転送が行われるときの処理を示している。
【0096】
上述したように,第二コール接続画面41ζ(
図11,
図12(A))の保留ボタン41rがタップされると(ステップ84),スマートフォン41Aと発信元電話機11との間の保留(保留状態67)に加えて,スマートフォン41Aとスマートフォン41Bの間も保留される。スマートフォン41Aから制御サーバ51にインターネット3を通じて第二コール保留リクエストが送信され,制御サーバ51からPBX21に第二コール保留指令が送信される。PBX21は,PBX21とスマートフォン41Bの間の呼接続81aを保留状態81cに切り替える。
【0097】
上述したように,第一コールおよび第二コールの両方が保留状態になると,保留画面41θ(
図13)がスマートフォン41Aに表示される(
図10ではこの画面遷移処理のステップの図示は省略されている)。
【0098】
上述のように保留画面41θでは転送ボタン41fが表示される。転送ボタン41fがタップされると,第1実施例とほぼ同様の転送処理が行われる。スマートフォン41Aから制御サーバ51にインターネット3を通じて転送リクエストが送信される。制御サーバ51は,受信した転送リクエストにしたがうPBX21を制御するための転送指令を,インターネット3を通じてPBX21に送信する。転送リクエストおよび転送命令には,転送元であるスマートフォン41Aの電話番号(またはデバイスID)および転送先であるスマートフォン41Bの電話番号(デバイスID)が含められる。
【0099】
転送指令を受信したPBX21は,第1実施例と同様に3つの処理,すなわち保留状態67,81cの解除処理75および音声停止処理76と,PBX21とスマートフォン41Aの間の呼接続64bの切断処理64cと,保留解除された呼接続64aと呼接続81aの中継処理とを実行する。スマートフォン41Aは通話から抜け,発信元電話機11とスマートフォン41Bとの間にPBX21を介した呼接続(第2の呼接続,転送通話)64a,81aが確立される。
【0100】
第2実施例においても,スマートフォン41Aによる通話転送の指示は,スマートフォン41AからPBX21に直接に送信されるのではなく,制御サーバ51を経由してPBX21に送信される。すなわち,PBX21の転送処理を制御するための命令セットは制御サーバ51に用意される。様々なメーカ製のPBX21が存在し,命令セットが相互に異なっているとしてもそれに即座に対応することができる。
【0101】
上述した第1,第2実施例では,発信元電話機11からの発呼がPBX21を経由することによってスマートフォン41Aに着信転送され,これによって発信元電話機11とスマートフォン41Aとの間にPBX21を経由する第1の呼接続64a,64bが確立されている(
図2)。発信元電話機11とスマートフォン41Aとの間のPBX21経由の第1の呼接続64a,64bは,着信転送によらずにコールバックによって確立してもよい。
【0102】
図14は,コールバックによって発信元電話機11とスマートフォン41Aとの間のPBX21経由の第1の呼接続64a,64bを確立する場合のフローチャートである。
【0103】
発信元電話機11からコールバック発信が行われる(ステップ61A)。発信元電話機11の電話番号(デバイスID等でもよい)およびスマートフォン41Aの電話番号が,インターネット3を通じてPBX21に通知される。発信元電話機11の電話番号およびスマートフォン41Aの電話番号は,発信元電話機11からPBX21に直接に通知してもよいし,制御サーバ51を経由してPBX21に通知してもよい。
【0104】
コールバック発信を受信したPBX21はコールバックを実行する(ステップ91)。すなわち,PBX21は,コールバック発信をした発信元電話機11を電話網2を通じて発呼(コールバック)する。
【0105】
PBX21からのコールバックは発信元電話機11において着呼される(ステップ92)。発信元電話機11がオフフックされると(ステップ93),PBX21は次にスマートフォン41Aを電話網2を通じて発呼する(ステップ94)。スマートフォン41Aの発呼に,発信元電話機11からインターネット3を通じて通知されたスマートフォン41Aの電話番号が用いられる。
【0106】
PBX21の発呼がスマートフォン41Aにおいて着呼され(ステップ62),着信者がオフフックをすると(ステップ63),発信元電話機11とスマートフォン41Aとの間にPBX21を経由する第1の呼接続64a,64bが確立(呼成立)される。
【符号の説明】
【0107】
1 通話システム
2 電話網
3 インターネット
11 電話機
21 構内交換機
22 メモリ
41A,41B スマートフォン
51 制御サーバ
52 記憶装置