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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-05
(45)【発行日】2023-04-13
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/53 20060101AFI20230406BHJP
   A61F 13/472 20060101ALI20230406BHJP
   A61F 13/511 20060101ALI20230406BHJP
   A61F 13/532 20060101ALI20230406BHJP
   A61F 13/535 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
A61F13/53 300
A61F13/472
A61F13/511 100
A61F13/532 200
A61F13/535 200
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019068544
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020163005
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】立川 裕美
(72)【発明者】
【氏名】金子 将也
(72)【発明者】
【氏名】糸井 奈美江
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-217077(JP,A)
【文献】特開2012-16413(JP,A)
【文献】特開2002-301105(JP,A)
【文献】特開2017-60781(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0182374(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の前後方向に対応する縦方向とこれに直交する横方向とを有し、該縦方向に関して、使用者の排泄部に対向配置される縦中央域と、該縦中央域よりも縦方向前側に配される前方域と、該縦中央域よりも縦方向後側に配される後方域とを有し、体液を吸収保持する吸収性コアを備えた吸収性物品であって、
前記吸収性コアには、該吸収性コアの肌対向面及び非肌対向面の少なくとも一方に開口を有し且つ所定方向に延在する、溝状凹部が形成されており、該吸収性コアにおける該溝状凹部と平面視で重なる部分は、その周囲に比べて坪量が低く、
前記吸収性コアは、合成繊維を含む繊維塊と、吸水性繊維とを含有しており、
少なくとも前記縦中央域において、前記吸収性コアの非肌対向面側は、該吸収性コアの肌対向面側に比べて、前記繊維塊の単位面積当たりの質量が大きい、吸収性物品。
【請求項2】
前記前方域及び前記後方域においても、前記吸収性コアの非肌対向面側は、該吸収性コアの肌対向面側に比べて、前記繊維塊の単位面積当たりの質量が大きい、請求項に記載の吸収性物品。
【請求項3】
使用者の前後方向に対応する縦方向とこれに直交する横方向とを有し、該縦方向に関して、使用者の排泄部に対向配置される縦中央域と、該縦中央域よりも縦方向前側に配される前方域と、該縦中央域よりも縦方向後側に配される後方域とを有し、体液を吸収保持する吸収性コアを備えた吸収性物品であって、
前記吸収性コアには、該吸収性コアの肌対向面及び非肌対向面の少なくとも一方に開口を有し且つ所定方向に延在する、溝状凹部が形成されており、該吸収性コアにおける該溝状凹部と平面視で重なる部分は、その周囲に比べて坪量が低く、
前記吸収性コアは、合成繊維を含む繊維塊と、吸水性繊維とを含有しており、
前記吸収性コアにおいて、前記縦中央域は、前記前方域及び前記後方域に比べて、前記繊維塊の単位面積当たりの質量が大きい、吸収性物品。
【請求項4】
前記吸収性コアは、前記縦中央域に、該吸収性コアが含有する全ての前記繊維塊の90質量%以上を含有する、請求項の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
使用者の前後方向に対応する縦方向とこれに直交する横方向とを有し、該縦方向に関して、使用者の排泄部に対向配置される縦中央域と、該縦中央域よりも縦方向前側に配される前方域と、該縦中央域よりも縦方向後側に配される後方域とを有し、体液を吸収保持する吸収性コアを備えた吸収性物品であって、
前記吸収性コアには、該吸収性コアの肌対向面及び非肌対向面の少なくとも一方に開口を有し且つ所定方向に延在する、溝状凹部が形成されており、該吸収性コアにおける該溝状凹部と平面視で重なる部分は、その周囲に比べて坪量が低く、
前記吸収性コアは、合成繊維を含む繊維塊と、吸水性繊維とを含有しており、
前記吸収性コアの肌対向面側に配された表面シートを備え、該表面シート及び該吸収性コアが該吸収性コアの非肌対向面側に一体的に凹陥した表面凹陥部が、少なくとも前記縦中央域に形成されており、
前記縦中央域において、前記吸収性コアの肌対向面側と非肌対向面側とで、前記繊維塊の単位面積当たりの質量が異なり、
前記表面凹陥部は、前記繊維塊と平面視において重なり、且つ前記縦中央域では、前記繊維塊の単位面積当たりの質量が前記吸収性コアの肌対向面側と異なる領域にまで及んでいる、吸収性物品。
【請求項6】
前記表面凹陥部は、前記縦中央域の横方向両側部を通って縦方向に延在しており、
前記縦中央域において、前記横方向両側部の表面凹陥部及びそれらに挟まれた領域は、該横方向両側部の表面凹陥部の横方向外方に比べて、前記繊維塊の単位面積当たりの質量が大きい、請求項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記吸収性コアは、該吸収性コアの厚み方向の一部に、該吸収性コアの面方向の全域にわたって前記溝状凹部が形成されていない連続層を有し、該連続層に、前記繊維塊及び前記吸水性繊維が存在する、請求項1~6の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記連続層が、前記吸収性コアの肌対向面側又は非肌対向面側に偏在し、前記溝状凹部の深さが、該吸収性コアの厚みの40%以上98%以下である、請求項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記繊維塊は2つの対向する基本面と、該2つの基本面を連結する骨格面とを備えており、
前記基本面及び前記骨格面各々に存在する繊維端部の単位面積当たりの数が、該基本面よりも該骨格面の方が多い、請求項1~の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記溝状凹部は、縦方向に延びる縦凹部と、該縦凹部と交差する方向に延びる横凹部とを有し、
前記吸収性コアにおける、前記縦凹部の開口及び前記横凹部の開口が形成されている面側が、複数の小吸収部に区分されている、請求項1~の何れか1項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキンなどの吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品は、一般に、相対的に着用者の肌から近い位置に配される表面シートと、相対的に着用者の肌から遠い位置に配される裏面シートと、両シート間に介在する吸収体とを含んで構成される。この吸収体は、典型的には、木材パルプ等の吸水性繊維や吸水性ポリマーなどの吸水性材料を含有する吸収性コアを主体とし、更に、該吸収性コアの外面を被覆するコアラップシートを含んで構成される場合が多い。吸収性物品に使用される吸収体については、柔軟性、クッション性、圧縮回復性、保形性などの諸特性の向上が大きな課題である。
【0003】
吸収体の改良技術として、例えば特許文献1には、熱可塑性樹脂繊維とセルロース系吸水性繊維とを含有する吸収体であって、該熱可塑性樹脂繊維が、該吸収体の表面シート側の表面と該吸収体の裏面シート側の表面との両方に露出しているものが記載されている。特許文献1記載の吸収体によれば、熱可塑性樹脂繊維が、セルロース系吸水性繊維などの該吸収体の他の成分を保持するための骨格として機能するため、柔らかく且つヨレにくいとされている。また特許文献1には、この吸収体を具備する吸収性物品として、表面シート側からのエンボス加工により形成された凹陥状のエンボス部を有するものが記載され、更に該エンボス部において、熱可塑性樹脂繊維が他の繊維と融着していることが好ましい旨記載されている。特許文献1記載のエンボス部は、本技術分野において防漏溝などと称される公知のものであり、面方向での液拡散性や保形性の向上などを目的として、吸収性物品に採用されている。
【0004】
特許文献2には、熱融着繊維を含み、予め繊維間を結合させて3次元構造を付与した不織布片と、吸水性繊維とを含有する吸収体が記載されており、該不織布片は吸収体全体に均一に分布している。この3次元構造の不織布片は、カッターミル方式などの粉砕手段を用いて不織布を細片状に粉砕して製造されるもので、斯かる製造方法に起因して、同文献の図1及び図3に記載されているように不定形状をなしていて、平面とみなせるような部分を実質的に有していない。特許文献2には、同文献記載の吸収体の好ましい形態として、不織布片同士を熱融着させたものが記載されている。特許文献2記載の吸収体によれば、不織布片が三次元構造を有するため、該吸収体内部に空隙が形成され、水分を吸収した時の復元性が向上し、その結果、吸水性能が向上するとされている。
【0005】
特許文献3には、吸収性物品における吸収性コアに、該吸収性コアの非肌対向面側に開口を有し、縦方向及び横方向の双方に延在する溝状の凹部と、該凹部の肌対向面側の底部にパルプ繊維を含む凹部吸収部とを設け、該凹部と該凹部吸収部とで囲まれた領域を、非肌対向面側に突出したブロック状の突出吸収部とし、該突出吸収部にパルプ繊維及び吸水性ポリマーを含有させることが記載されている。特許文献3記載の吸収性物品においては、吸収性コアが、互いに交差する溝状の凹部によって複数のブロック状の突出吸収部に区分されているため、着用者が排泄した体液は、吸収性コアの肌対向面側を面方向に拡散しつつ、吸収性コアの内部に素早く引き込こまれ、ブロック状の突出吸収部に吸収保持される。したがって、特許文献3記載の吸収性物品によれば、その優れた液吸収性により、表面シートへの液残りや液戻りが抑制されるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-16296号公報
【文献】特開2002-301105号公報
【文献】特開2012-130363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1記載の吸収体は、セルロース系吸水性繊維に加えて更に合成繊維(熱可塑性樹脂繊維)を含有しているが、含有されている複数の合成繊維が個々独立に存在していて、まとまった1つの塊を形成しているものではない。そのため、特許文献1記載の吸収体は、クッション性、圧縮回復性等が十分ではなく、それ故に吸収性物品に適用された場合には、ヨレやすくフィット性が不十分となるおそれがあり、特に尿、経血などの体液の吸収後は、そのような不都合の発生が顕著である。
【0008】
一方、特許文献2記載の吸収体は、含有されている合成繊維が、不織布片と呼ばれる合成繊維集合体であるが、前述したとおり、合成繊維を主体とする不織布を細片状に粉砕し、あるいはむしり取ったり引きちぎり取ったりして製造されるものであるため、不定形状であって形状及び大きさが揃っておらず、そのことに起因して、木材パルプなどと混合した場合には両者の均一な混合が得られ難く、所望の効果が得られないおそれがある。
【0009】
また、吸収体の保形性の向上の観点から、特許文献2に記載されているように、吸収体に含有されている全ての合成繊維集合体同士を熱融着させると、吸収体の柔軟性、クッション性等が損なわれ、吸収性物品のフィット性の向上が不十分となる。合成繊維集合体を含む吸収体を具備する吸収性物品で、着用時にヨレにくく、着用感が良好で、液吸収性に優れるものは未だ提供されていない。
【0010】
したがって本発明の課題は、着用時にヨレにくく、着用感が良好で、液吸収性に優れる吸収性物品を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、使用者の前後方向に対応する縦方向とこれに直交する横方向とを有し、該縦方向に関して、使用者の排泄部に対向配置される縦中央域と、該縦中央域よりも縦方向前側に配される前方域と、該縦中央域よりも縦方向後側に配される後方域とを有し、体液を吸収保持する吸収性コアを備えた吸収性物品であって、前記吸収性コアには、該吸収性コアの肌対向面及び非肌対向面の少なくとも一方に開口を有し且つ所定方向に延在する、溝状凹部が形成されており、該吸収性コアにおける該溝状凹部と平面視で重なる部分は、その周囲に比べて坪量が低く、前記吸収性コアは、合成繊維を含む繊維塊と、吸水性繊維とを含有している吸収性物品である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の吸収性物品は、着用時にヨレにくく、着用感が良好で、液吸収性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の吸収性物品の一実施形態である生理用ナプキンの肌対向面側(表面シート側)を一部破断して模式的に示す平面図である。
図2図2は、図1のI-I線断面の模式的な横断面図である。
図3図3は、図1に示す吸収性物品が具備する表面シートの一実施形態の模式的な斜視図である。
図4図4は、図1に示す吸収性物品が具備する吸収体の肌対向面側の模式的な平面図である。
図5図5は、図4のII-II線断面の模式的な横断面図である。
図6図6は、本発明に係る吸収体の他の実施形態の模式的な横断面図(図5相当図)である。
図7図7は、本発明に係る吸収体の更に他の実施形態の模式的な横断面図(図5相当図)である。
図8図8は、本発明に係る吸収体の更に他の実施形態の模式的な横断面図(図5相当図)である。
図9図9は、本発明に係る吸収体の更に他の実施形態の肌対向面側の模式的な平面図(図4相当図)である。
図10図10は、本発明に係る吸収体の更に他の実施形態の肌対向面側の模式的な平面図(図4相当図)である。
図11図11は、本発明に係る吸収体の更に他の実施形態の肌対向面側の模式的な平面図(図4相当図)である。
図12図12(a)及び図12(b)はそれぞれ、本発明に係る繊維塊の模式的な斜視図である。
図13図13は、本発明に係る繊維塊の製造方法の説明図である。
図14図14(a)は、本発明に係る繊維塊の電子顕微鏡写真(観察倍率25倍)、図14(b)は、該電子顕微鏡写真の繊維塊を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。図面は基本的に模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合がある。
【0015】
図1及び図2には、本発明の吸収性物品の一実施形態である生理用ナプキン1が示されている。ナプキン1は、その使用者すなわち着用者が排泄した経血等の体液を吸収するのに用いられる物品であり、体液を吸収保持する吸収性コア40を具備する吸収体4と、該吸収体4の肌対向面側に配され、着用者の肌と接触し得る液透過性の表面シート2と、該吸収体4の非肌対向面側に配された防漏性の裏面シート3とを具備する。ナプキン1は、図1に示すように、着用者の前後方向に対応し、着用者の腹側から股間部を介して背側に延びる縦方向Xと、これに直交する横方向Yとを有し、また縦方向Xにおいて、着用者の膣口などの排泄部に対向する排泄部対向部(排泄ポイント)を含む縦中央域Mと、該排泄部対向部よりも着用者の腹側(前側)に配される前方域Fと、該排泄部対向部よりも着用者の背側(後側)に配される後方域Rとの3つに区分される。
【0016】
本明細書において、「肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材(例えば吸収体4)における、吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面、すなわち相対的に着用者の肌に近い側であり、「非肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の着用時に肌側とは反対側、すなわち相対的に着用者の肌から遠い側に向けられる面である。なお、ここでいう「着用時」は、通常の適正な着用位置、すなわち当該吸収性物品の正しい着用位置が維持された状態を意味する。
【0017】
ナプキン1は、図1に示すように、縦方向Xに長い形状の吸収性本体5と、吸収性本体5における縦中央域Mの縦方向Xに沿う両側部それぞれから横方向Yの外方に延出する一対のウイング部5W,5Wとを有している。吸収性本体5は、ナプキン1の主体をなす部分であり、前記の表面シート2、裏面シート3及び吸収体4を具備し、縦方向Xにおいて前方域F、縦中央域M及び後方域Rの3つに区分される。
【0018】
なお、本発明の吸収性物品における縦中央域は、ナプキン1のように吸収性物品がウイング部を有する場合には、該吸収性物品の縦方向(長手方向、図中のX方向)においてウイング部を有する領域に相当し、ナプキン1を例にとれば、一方のウイング部5Wの縦方向Xに沿う付け根と他方のウイング部5Wの縦方向Xに沿う付け根とに挟まれた領域である。なお、ナプキン1においては、一対のウイング部5W,5Wは、ナプキン1を横方向Yに二分して縦方向Xに延びる縦中心線を基準として左右対称に形成されており、一方のウイング部5Wの前方域Fに近い側の付け根と他方のウイング部5Wのそれとは、縦方向Xにおいて同位置に存する。また、ウイング部を有しない吸収性物品(例えば使い捨ておむつ)における縦中央域は、吸収性物品を縦方向に三等分したときに中間に位置する領域に相当する。
【0019】
ナプキン1においては、吸収体4は、液吸収性の吸収性コア40と、該吸収性コア40の外面を被覆する液透過性のコアラップシート41とを含んで構成されている。吸収性コア40は、吸収性本体5と同様に、図1に示す如き平面視において縦方向Xに長い形状をなしており、吸収性コア40の長手方向は、ナプキン1の縦方向Xに一致し、吸収性コア40の幅方向は、ナプキン1の横方向Yに一致している。吸収体4(吸収性コア40)は、図1に示すように、ナプキン1(吸収性本体5)の縦方向Xの略全長にわたっており、前方域Fから縦中央域Mを介して後方域Rにわたって延在している。吸収性コア40とコアラップシート41との間は、ホットメルト型接着剤等の接着剤により接合されていてもよい。
【0020】
コアラップシート41は、1)1枚のシートのみから構成されてもよく、2)複数枚のシートを含んで構成されていてもよい。前記1)のコアラップシート41は、例えば、吸収性コア40の横方向Yの長さの2倍以上3倍以下の幅を有する1枚の連続したシートであり、吸収性コア40の肌対向面の全域を被覆し、且つ吸収性コア40の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出し、その延出部が、吸収性コア40の下方に巻き下げられて、吸収性コア40の非肌対向面の全域を被覆する。前記2)のコアラップシート41は、例えば、吸収性コア40の肌対向面を被覆する1枚の肌側コアラップシートと、該肌側コアラップシートとは別体で、吸収性コア40の非肌対向面を被覆する1枚の非肌側コアラップシートとの2枚を含んで構成される。
【0021】
図2に示すように、表面シート2は、吸収体4の肌対向面の全域を被覆している。一方、裏面シート3は、吸収体4の非肌対向面の全域を被覆し、更に吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出し、後述するサイドシート6とともにサイドフラップ部を形成している。前記サイドフラップ部は、ナプキン1における、吸収体4から横方向Yの外方に延出する部材からなる部分である。裏面シート3とサイドシート6とは、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁からの延出部において、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されている。表面シート2及び裏面シート3それぞれと吸収体4との間は接着剤によって接合されていてもよい。表面シート2、裏面シート3としては、生理用ナプキン等の吸収性物品に従来使用されている各種のものを特に制限なく用いることができる。表面シート2としては、例えば、液透過性を有する単層又は多層構造の不織布を用いることができ、該不織布として、カード法により製造された不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布を例示できる。表面シート2を構成する不織布には、界面活性剤等の親水化剤を用いた親水化処理が施されていてもよい。裏面シート3としては、防漏性を有するシート、すなわち、液不透過性(液を全く通さない性質)又は液難透過性(液不透過性とまでは言えないものの、液を通し難い性質)を有するシートを用いることができ、例えば、透湿性の樹脂フィルムを用いることができる。
【0022】
本実施形態においては、表面シート2は図2に示すように、着用者の肌側に向かって突出する凸部21を肌対向面に複数有している。凸部21の周辺には凹部22が形成され、表面シート2の肌対向面には、複数の凸部21と凹部22とからなる凹凸形状が付与されている。この肌対向面の凹凸形状は、少なくとも表面シート2の肌対向面における、ナプキン1の着用時の着用者の肌と接触し得る部位に存在し、該肌対向面の全域に存在してもよい。このような表面に凹凸形状を有する表面シート(凹凸表面シート)は、典型的には、原反シート(凹凸が付与されていない表面シートの製造中間体)に対してエンボス加工などの圧搾加工を部分的に施すことによって製造することができ、凹凸表面シートにおける圧搾加工が施された部分が凹部22、圧搾加工が施されていない部分が凸部21である。凹部22は、圧搾加工によって表面シート2の形成材料が圧密化されており、圧搾加工が施されていない凸部21よりも高密度である。
【0023】
凹凸表面シートである表面シート2は、肌対向面に着用者の肌側に向かって突出する凸部21が複数形成されており、その凹凸形状の肌対向面がナプキン1の着用者の肌と接した場合には、凸部21の頂部及びその近傍の領域が部分的に接触するため、表面シート2の肌対向面が肌に全面的に接触することに起因するべたつき感やムレ、擦れに起因する刺激感が低減される。また、着用者から排泄された液が、着用者の肌に付着し難くなり、不快な濡れ感が低減される。
【0024】
表面シート2の肌対向面における凸部21の形成パターン(凸部の形状及び配置)は特に限定されず、この種の吸収性物品における凹凸表面シートにおけるパターンを適宜採用できる。図3には、本発明に適用可能な凹凸表面シートの一実施形態である表面シート2Aが示されている。
【0025】
表面シート2Aは、図3に示すように、着用者の肌に近い側に位置する肌側繊維層23と、着用者の肌から遠い側に位置する非肌側繊維層24とを有する2層構造の不織布であり、両繊維層23,24が、部分的に形成された多数の接合部25によって厚み方向Zに一体化され、肌側繊維層23における、複数の接合部25どうし間に位置する部分が凸状に隆起して、肌対向面側に中実の凸部21を形成し、該接合部25を含む凸部21以外の部分が凹部22である。中実構造の凸部21は、大きさの異なる2種類の凸部21A,21Bを含む。大凸部21Aは、小凸部21Bに比して高さが高く且つ平面視における面積が大きい。両凸部21A,21Bは、何れも平面視において円形状をなし、また、縦方向X及び横方向Yの何れの方向での断面においても頂部を有する形状を有している。両凸部21A,21Bは、縦方向X及び横方向Yの双方に交差する方向に交互に配されている。また、複数の大凸部21Aが横方向Yに所定間隔を置いて間欠配置されて大凸部列を形成していると共に、複数の小凸部21Bが横方向Yに所定間隔を置いて間欠配置されて小大凸部列を形成しており、且つ該大凸部列と該小凸部列とが縦方向Xに交互に配されている。接合部25は、熱を伴うエンボス加工によって形成され、平面視X字状又はY字状をなしている。
【0026】
表面シート2Aにおいて、肌側繊維層23は非熱収縮性繊維を主体とする不織布、非肌側繊維層24は、熱収縮性繊維を主体とする不織布である。肌側繊維層23に主体をなす非熱収縮性繊維としては、実質的に熱収縮性を有しないものか、前記熱収縮繊維よりも熱収縮温度が高い繊維を用いることができる。非肌側繊維層24の主体をなす熱収縮性繊維としては、熱可塑性ポリマー材料からなり且つ熱収縮性を有するものが好適に用いられる。そのような繊維の例としては、潜在捲縮性繊維が挙げられる。前記潜在捲縮性繊維は、加熱される前においては、従来の不織布用の繊維と同様に取り扱うことができ、且つ所定温度で加熱することによって螺旋状の捲縮が発現して収縮する性質を有する繊維である。非肌側繊維層24中の熱収縮性繊維の含有割合は40質量%以上100質量%以下であることが好ましい。前記潜在捲縮性繊維は、例えば、収縮率の異なる2種類の熱可塑性ポリマー材料を成分とする偏心芯鞘型又はサイド・バイ・サイド型の複合繊維からなる。その例としては、特開平9-296325号公報や特許第2759331号公報に記載のものが挙げられる。非肌側繊維層24は、例えば、前記潜在捲縮性繊維を含む繊維層を肌側繊維層23と熱融着させる時点か又は該熱融着後に、加熱により該潜在捲縮性繊維の捲縮を発現させ、収縮させることで形成される。表面シート2Aの如き、肌対向面に大きさの異なる2種以上の凸部を有する凹凸不織布としては、例えば特開2015-186543号公報に記載のものを用いることができる。
【0027】
前記サイドフラップ部は、図1に示すように、縦中央域Mにおいて横方向Yの外方に向かって大きく張り出しており、これにより吸収性本体5の縦方向Xに沿う左右両側に、一対のウイング部5W,5Wが延設されている。ウイング部5Wは、図1に示す如き平面視において、下底(上底よりも長い辺)が吸収性本体5の側部側に位置する略台形形状を有しており、その非肌対向面には、該ウイング部5Wをショーツ等の着衣に固定する固定手段としてのウイング部粘着部(図示せず)が設けられている。なお、ウイング部5Wは、ショーツ等の着衣のクロッチ部の非肌対向面(外面)側に折り返されて用いられるため、前記ウイング部粘着部の形成面であるウイング部5Wの非肌対向面は、その使用時には着用者の肌側に向けられ、肌対向面となる。また、吸収性本体5の非肌対向面すなわち裏面シート3の非肌対向面には、ナプキン1(吸収性本体5)をショーツ等の着衣に固定する固定手段としての本体粘着部(図示せず)が設けられている。前記ウイング部粘着部及び前記本体粘着部は、それぞれ、その使用前においてはフィルム、不織布、紙等からなる剥離シート(図示せず)によって被覆されている。また、吸収性本体5の肌対向面すなわち表面シート2の肌対向面における縦方向Xに沿う両側部には、平面視において吸収体4の縦方向Xに沿う左右両側部に重なるように、一対のサイドシート6,6が吸収性本体5の縦方向Xの略全長にわたって配されている。一対のサイドシート6,6は、それぞれ縦方向Xに延びる図示しない接合線にて、接着剤等の公知の接合手段によって表面シート2等の他の部材に接合されている。
【0028】
図4及び図5には、ナプキン1が具備する吸収体4が示されている。吸収体4が具備する吸収性コア40には、該吸収性コア40の肌対向面45及び非肌対向面46の少なくとも一方に開口を有し且つ所定方向に延在する、溝状凹部42が形成されている。溝状凹部42は、吸収性コア40を構成する材料(コア形成材料)が存在しない空間部であることが好ましいが、空間部が認識できる程度に僅かなコア形成材料が存在していてもよい。
【0029】
溝状凹部42には、吸収性コア40を厚み方向に貫通していない非貫通型(図5図7参照)と、吸収性コア40を厚み方向に貫通する貫通型(図8参照)とが包含される。吸収体4における溝状凹部42は前者であり、図5に示すように、吸収性コア40の非肌対向面46に開口を有するとともに、該開口とは反対側に底部を有する。溝状凹部42の底部は、吸収性コア40の平面視(吸収性コア40の厚み方向の投影視)において該溝状凹部42と重なる部分であり、コア形成材料を含んで構成される。一方、貫通型の溝状凹部42は、底部を有しておらず、吸収性コア40における平面視で貫通型の溝状凹部42と重なる部分は、空間部でありいわゆる貫通孔である。
【0030】
吸収性コア40において、溝状凹部42と平面視で重なる部分は、その周囲(具体的には後述する小吸収部43)に比べて坪量が低い、すなわち周囲に比べてコア形成材料の単位面積当たりの質量が少ない。ここでいう「坪量が低い」には、貫通型の溝状凹部42のように、溝状凹部42と平面視で重なる部分にコア形成材料が存在せず、該部分の坪量がゼロの場合を含む。
【0031】
吸収体4においては、溝状凹部42は、図4に示すように、縦方向Xに延びる縦凹部42Xと、該縦凹部42Xと交差する方向に延びる横凹部42Yとを有し、吸収性コア40における、縦凹部42Xの開口及び横凹部42Yの開口が形成されている面側が、複数の小吸収部43に区分されている。より具体的には、吸収体4においては、複数の縦凹部42Xが横方向Yに間欠配置されているとともに、複数の横凹部42Yが縦方向Xに間欠配置されており、複数の縦凹部42Xと複数の横凹部42Yとが直交している。複数の縦凹部42Xは、それぞれ、吸収性コア40の縦方向Xの一端から他端にわたって連続し、複数の横凹部42Yは、それぞれ、吸収性コア40の横方向Yの一端から他端にわたって連続している。また、吸収性コア40に形成されている全ての溝状凹部42(縦凹部42X、横凹部42Y)は、何れも吸収性コア40の非肌対向面46に開口を有している。したがって、吸収体4においては、吸収性コア40の非肌対向面46側が、互いに直交する複数の縦凹部42X及び横凹部42Yによって複数の小吸収部43に区分され、各小吸収部43は、図4に示す如き平面視において四角形形状を有している。
【0032】
吸収体4においては、吸収性コア40は、図5に示すように、該吸収性コア40の厚み方向の一部に、該吸収性コア40の面方向(厚み方向と直交する方向)の全域にわたって溝状凹部42が形成されていない連続層44を有している。連続層44における、平面視(すなわち吸収体4の厚み方向の投影視)で溝状凹部42(縦凹部42X、横凹部42Y)と重なる部分は、非貫通型の溝状凹部42の底部を構成する。複数の小吸収部43は、連続層44を介して一体となっている。
【0033】
また、吸収体4においては、連続層44は、図5に示すように、吸収性コア40の肌対向面45側に偏在している。これにより、吸収性コア40の肌対向面45は、連続層44によって形成されており、実質的に凹凸の無い平坦面である。一方、吸収性コア40の非肌対向面46は、溝状凹部42の開口からなる凹部と小吸収部43からなる凸部とで構成される凹凸形状を有し、凹凸面である。
【0034】
吸収性コア40における溝状凹部42は、コア形成材料がないか僅かにしか存在しないので、折れ曲がりの起点となり易い。更に、溝状凹部42と平面視で重なる部分(以下、「溝状凹部42の存在部」ともいう。)は、溝状凹部42が非貫通型の場合は、周囲に比べてコア形成材料が少ない部分、溝状凹部42が貫通型の場合は、コア形成材料が存在しない空間部であり、何れのタイプの溝状凹部42であっても、溝状凹部42の非存在部(小吸収部43)に比べて剛性が低く、そのため、ナプキン1の着用時において、吸収性コア40が屈曲するときの可撓軸となりやすく、屈曲誘導部として作用し得る。したがって、吸収体4(吸収性コア40)は、ナプキン1の着用時において、溝状凹部42を屈曲誘導部として着用者の身体形状の沿うように変形することが可能である。そのため、ナプキン1はフィット性に優れ、着用者に良好な着用感を与えるとともに、経血等の体液の漏れが効果的に抑制し得る。また、吸収性コア40に、溝状凹部42が縦方向X及び横方向Yに延在していることにより、溝状凹部42が形成されていない場合に比べて、体液の吸収時間の短縮化が図られるとともに、体液の面方向への拡散性が向上し、ナプキン1の液吸収性が向上し得る。
【0035】
溝状凹部42は前述したとおり、吸収性コア40の肌対向面45及び非肌対向面46の少なくとも一方に開口を有し且つ所定方向に延在していればよく、その配置や形状は図4及び図5に示す形態に制限されない。図6図8には、本発明で採用可能な吸収体の他の実施形態が示されている。後述する他の実施形態については、前記実施形態(吸収体4)と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、前記実施形態についての説明が適宜適用される。なお以下では、吸収体4Aないし4Fなどの、本発明に係る吸収体の実施形態を総合して、「吸収体4」ともいう。
【0036】
図6に示す吸収体4Aにおいては、溝状凹部42は、吸収性コア40を厚み方向に貫通していない非貫通型であり、吸収性コア40の肌対向面45に開口を有するとともに、該開口とは反対側に底部を有する。また、吸収体4Aにおいては、連続層44は、吸収性コア40の非肌対向面46側に偏在している。したがって吸収体4Aにおいて、肌対向面45は、溝状凹部42の開口からなる凹部と小吸収部43からなる凸部とで構成される凹凸形状を有し、凹凸面であり、非肌対向面46は、連続層44によって形成されており、実質的に凹凸の無い平坦面である。
【0037】
図7に示す吸収体4Bにおいては、溝状凹部42は、吸収性コア40を厚み方向に貫通していない非貫通型であり、吸収性コア40の肌対向面45及び非肌対向面46の双方に開口を有するとともに、該開口とは反対側に底部を有する。また、吸収体4Bにおいては、連続層44は、吸収性コア40の厚み方向の中央部に偏在している。したがって吸収体4Bにおいて、肌対向面45及び非肌対向面46は、何れも溝状凹部42の開口からなる凹部と小吸収部43からなる凸部とで構成される凹凸形状を有し、凹凸面である。吸収体4Bにおいては、肌対向面45に開口を有する溝状凹部42と非肌対向面46に開口を有する溝状凹部42とが、平面視(吸収体4Bの厚み方向の投影視)で重なる。同様に、肌対向面45側の小吸収部43と非肌対向面46側の小吸収部43とが、平面視で重なる。
【0038】
図8に示す吸収体4Cにおいては、溝状凹部42は、吸収性コア40を厚み方向に貫通する貫通型であり、底部を有していない。したがって、吸収体4Cは連続層44を有しておらず、複数の小吸収部43はそれぞれ分離可能に個々独立に存在している。なお、吸収体4Cにおいては、複数の小吸収部43は、接着剤等の接合手段を介して、コアラップシート41に接合されており、これにより所定の配置が維持されている。
【0039】
図9に示す吸収体4Dにおいては、縦中央域Mから後方域Rにわたって横方向Yの中央部(後述する環状の凹陥部7,8の環の中)に、横方向Yに延びる複数(3個)の溝状凹部42が、縦方向Xに間欠配置されている。縦方向Xに隣り合う2個の溝状凹部42の間に小吸収部43が位置している。複数の溝状凹部42は、それぞれ平面視において、縦方向Xの後方域R側の一端に向かって凸状に湾曲した形状をなし、その凸の頂部が横方向Yの中央に位置している。吸収体4Dにおいて、溝状凹部42は、非肌対向面46に開口を有していてもよく(図5参照)、肌対向面45に開口を有していてもよく(図6参照)、肌対向面45及び非肌対向面46の双方に開口を有していてもよく(図7参照)、あるいは吸収性コア40を厚み方向に貫通していてもよい(図8参照)。
【0040】
図10に示す吸収体4Eにおいては、縦方向Xに延びる複数(2個)の溝状凹部42が横方向Yに間欠配置され、各溝状凹部42は、吸収性コア40の横方向Yの中央部を縦方向Xに縦断している。横方向Yに隣り合う2個の溝状凹部42の間に小吸収部43が位置している。複数の溝状凹部42は、それぞれ平面視において、縦方向Xに延びる連続直線状をなしている。吸収体4Eにおいて、溝状凹部42は、非肌対向面46に開口を有していてもよく(図5参照)、肌対向面45に開口を有していてもよく(図6参照)、肌対向面45及び非肌対向面46の双方に開口を有していてもよく(図7参照)、あるいは吸収性コア40を厚み方向に貫通していてもよい(図8参照)。
【0041】
前述した吸収体4(4Aないし4E)における吸収性コア40、すなわち溝状凹部42を有する吸収性コア40は、この種の吸収性物品の吸収性コアの製造方法と同様に、公知の積繊装置を用いて製造することができる。積繊装置は、典型的には、外周面に集積用凹部を有する回転ドラムを備え、回転ドラムを回転させつつ、その外周面にコア形成材料を飛散状態にて供給し、コア形成材料を集積用凹部の底面からの吸引により集積用凹部内に積繊させ、この集積用凹部内の積繊物を、集積用凹部に対向配置させた吸引手段からの吸引により集積用凹部から離型して、吸引手段上に転写する装置である。斯かる構成の積繊装置において、集積用凹部の通気性の底面の一部に非又は難通気性部材を配置する等して、該底面の一部を非又は難通気性部とすることにより、コア形成材料の積繊時に該非又は難通気性部にコア形成材料が積繊し難くなり、該非又は難通気性部におけるコア形成材料の積繊量が、該底面の他の部位に比して少なくなる。したがってこのような、集積用凹部の底面の一部が非又は難通気性部となっている回転ドラムを備えた積繊装置を用いて常法に従って吸収性コアを製造することにより、該非又は難通気性部に対応する部位が溝状凹部42、該底面の他の部位に対応する部位が小吸収部43となり、溝状凹部42を有する吸収性コア40が得られる。
【0042】
このように、集積用凹部にコア形成材料を吸引する際の吸引力を部分的に異ならせることによって形成された吸収性コア40は、コア形成材料の積繊量が部分的に異なり、具体的には、溝状凹部42の存在部(吸収性コア40における溝状凹部42と平面視で重なる部分)は、コア形成材料の単位面積当たりの質量(坪量)が相対的に小さく(坪量ゼロを含む)、溝状凹部42の非存在部すなわち小吸収部43は、該坪量が相対的に大きい。
【0043】
吸収性コア40が溝状凹部42及び小吸収部43を有することによる作用効果をより一層確実に奏させるようにする観点から、吸収性コア40の各部の寸法等は以下のように設定することが好ましい。
溝状凹部42の長さ方向と直交する方向の長さ(幅)、例えば、縦方向Xに延びる縦凹部42Xであれば、横方向Yの長さ(幅)は、好ましくは1.0mm以上、より好ましくは3.0mm以上、そして、好ましくは10.0mm以下、より好ましくは5.0mm以下である。
図4に示す如き小吸収部43、すなわち「互いに交差(直交)する溝状凹部42X,42Yによって区分された小吸収部43」、換言すれば「溝状凹部42で包囲された小吸収部43」の面積は、好ましくは25mm以上、より好ましくは50mm以上、そして、好ましくは1000mm以下、より好ましくは500mm以下である。
小吸収部43の単位面積2500mm当たりの数は、好ましくは2個以上、より好ましくは5個以上、そして、好ましくは100個以下、より好ましくは50個以下である。
小吸収部43(吸収性コア40における小吸収部43と平面視で重なる部分)の坪量は、その周囲の「吸収性コア40における溝状凹部42と平面視で重なる部分」の坪量よりも大きいことを前提として、好ましくは150g/m以上、より好ましくは200g/m以上、そして、好ましくは800g/m以下、より好ましくは750g/m以下である。
連続層44の単位面積当たりの質量(坪量)は、好ましくは30g/m以上、より好ましくは50g/m以上、そして、好ましくは160g/m以下、より好ましくは150g/m以下である。
【0044】
吸収性コア40は、コア形成材料を主体として構成され、典型的には、コア形成材料のみから構成される。コア形成材料には少なくとも、吸水性繊維12Fと、繊維11Fを含む繊維塊11とが含まれる。繊維塊11の構成繊維11Fは、典型的には合成繊維である。図2に示す吸収性コア40は、繊維塊11及び吸水性繊維12Fに加えて更に、粒子状の吸水性ポリマー13を含有する。
【0045】
ナプキン1の主たる特徴部分の1つとして、吸収体4の主体をなす吸収性コア40が繊維塊11を含有する点が挙げられる。以下では、主に吸収性コア40について説明するが、吸収性コア40は、実質的には吸収体4そのものとも言えるものであり、以下の吸収性コア40についての説明は、特に断らない限り、吸収体4の説明として適宜適用される。本発明に係る吸収体には、コアラップシートを含まず吸収性コアのみで構成された形態が包含されるところ、斯かる形態の吸収体では、吸収体と吸収性コアとは同じ意味である。
【0046】
本明細書において「繊維塊」とは、複数の繊維がまとまって一体となった繊維集合体のことである。本発明で用いる繊維塊はその製造方法を問わず、例えば、一定の大きさを有する合成繊維シートをカッター等により切断して得られたシート片の如き、定形の繊維集合体でもよく、あるいは、特許文献2に記載の不織布片の如き、合成繊維を主体とする不織布を細片状に粉砕し、あるいはむしり取ったり引きちぎり取ったりして製造された不定形の繊維集合体でもよい。本発明では、吸収体(吸収性コア)は、i)繊維塊として定形の繊維集合体のみを含む形態でもよく、ii)繊維塊として不定形の繊維集合体のみを含む形態でもよく、あるいはiii)繊維塊として定形の繊維集合体と不定型の繊維集合体とが混ざった形態でもよいが、好ましくは前記i)の形態が用いられる。不定形の繊維集合体は、構成繊維がランダムに配向しているために、表面のあちこちから繊維が突出するなどして表面が荒れているため、該繊維集合体同士がそれらの全面に亘って絡み合い、その結果、各繊維集合体の動きの自由度が制限されて柔軟性が低下するおそれがある。本実施形態の繊維塊11は、後述するように定形の繊維集合体である。
【0047】
繊維塊11は、前述したとおり、複数の繊維11Fが塊状に集積されて一体化された繊維集合体であり、その形態を保持した状態で吸収性コア40中に複数存在する。そして繊維塊11は、その繊維集合体の形態に起因して、主として、吸収性コア40の柔軟性、クッション性、圧縮回復性、保形性の向上に寄与する。
【0048】
吸水性繊維12Fは、吸収性コア40中に複数存在しており、それら複数の吸水性繊維12Fは互いに交絡し得るものの、繊維塊11の構成繊維11Fのように集積されておらず、個々独立に存在することが好ましい。吸水性繊維12Fは主として、吸収性コア40の液吸収性の向上に寄与し、また、吸収性コア40の保形性の向上にも寄与する。
【0049】
吸水性繊維12Fとしては、この種の吸収性物品の吸収体の形成材料として従来使用されている吸水性繊維を用いることができる。吸水性の繊維としては、例えば、針葉樹パルプや広葉樹パルプ等の木材パルプ、綿パルプや麻パルプ等の非木材パルプ等の天然繊維;カチオン化パルプ、マーセル化パルプ等の変性パルプ;キュプラ、レーヨン等の再生繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。吸水性繊維12Fの主たる役割が吸収体4の液吸収性の向上である点に鑑みれば、吸水性繊維12Fとしては、天然繊維、再生繊維(セルロース系繊維)が好ましい。
【0050】
吸水性ポリマー13は、吸水性ポリマーの小片として吸収性コア40中に複数存在し、主として、吸収性コア40内の液吸収性の向上に寄与する。吸水性ポリマー13の小片の形状は特に制限されず、例えば、球状、塊状、俵状、繊維状、不定形状であり得る。吸水性ポリマー13の平均粒子径は、好ましくは10μm以上、より好ましくは100μm以上、そして、好ましくは1000μm以下、より好ましくは800μm以下である。吸水性ポリマー13としては、一般に、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合物又は共重合物を用いることができる。その例としては、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリメタクリル酸及びその塩が挙げられ、具体的には、アクアリックCA、アクアリックCAW(ともに(株)日本触媒社製)等のアクリル酸重合体部分ナトリウム塩が挙げられる。
【0051】
吸収性コア40においては、複数の繊維塊11と吸水性繊維12Fとが単に混在しているだけでなく、繊維塊11同士又は繊維塊11と吸水性繊維12Fとが互いに交絡している。なお、後述するように、ナプキン1においては、吸収体4の肌対向面及び非肌対向面に凹陥部7,8が形成されているところ(図2等参照)、以下の繊維塊11同士等の「交絡」についての説明は、特に断らない限り、吸収性コア40における凹陥部7,8が形成されていない部分(低密度部9)について適用される。吸収性コア40における凹陥部7,8の形成部は、繊維塊11同士等が交絡している場合があり得るが、凹陥部7,8の形成方法如何によっては、繊維塊11同士等が交絡していない場合があり得る。
【0052】
吸収性コア40においては、複数の繊維塊11が吸収性コア40中の構成繊維(繊維11F,12F)との絡み合いによって結合して1つの繊維塊連続体を形成している。また、複数の繊維塊11同士が交絡していると共に、繊維塊11と吸水性繊維12Fとが交絡して結合していてもよい。更に通常は、複数の吸水性繊維12F同士も互いに交絡している。吸収性コア40に含有されている複数の繊維塊11の少なくとも一部は、他の繊維塊11あるいは吸水性繊維12Fと交絡している。吸収性コア40においては、それに含有されている複数の繊維塊11の全部が互いに交絡して1つの繊維塊連続体を形成している場合があり得るし、複数の繊維塊連続体が互いに非結合の状態で混在している場合があり得る。
【0053】
吸収性コア40においては、吸収性コア40の柔軟性などを高め得る繊維塊11が含有されていることに加え、繊維塊11同士又は繊維塊11と吸水性繊維12Fとの間も互いに交絡によって結合しているため、吸収性コア40は外力への即応性が一層優れ、柔軟性、クッション性、圧縮回復性に優れる。吸収性コア40は、ナプキン1の着用時に様々な方向から受ける外力(例えばナプキン1の着用者の体圧)に対してしなやかに変形し、ナプキン1を着用者の身体にフィット性よく密着させ得る。このような吸収性コア40の優れた変形-回復特性は、吸収性コア40が圧縮された場合のみならず、ねじれた場合でも同様に発現し得る。すなわち、ナプキン1に組み込まれた吸収性コア40は、ナプキン1の着用時において着用者の両大腿部間に挟まれた状態で配置されるため、着用者の歩行動作の際の両大腿部の動きによって、縦方向Xに延びる仮想的な回転軸周りにねじられる場合があるが、そのような場合でも、吸収性コア40は高い変形-回復特性を備えているため、両大腿部からのねじれを促すような外力に対して容易に変形・回復し、したがってヨレにくく、ナプキン1に着用者の身体に対する高いフィット性を付与し得る。
【0054】
吸収性コア40では、繊維塊11同士又は繊維塊11と吸水性繊維12Fとが交絡しているところ、ここでいう、繊維塊11同士等の「交絡」には、下記形態A及びBが包含される。
形態A:繊維塊11同士等が、融着ではなく、繊維塊11の構成繊維11F同士の絡み合いによって結合している形態。
形態B:吸収性コア40の自然状態(外力が加わっていない状態)では、繊維塊11同士等は結合していないが、吸収性コア40に外力が加わった状態では、繊維塊11同士等が構成繊維11F同士の絡み合いによって結合し得る形態。ここでいう、「吸収性コア40に外力が加わった状態」とは、例えば、吸収性コア40が適用された吸収性物品(本実施形態ではナプキン1)の着用中において、吸収性コア40に変形力が加わった状態である。
【0055】
このように、吸収性コア40においては、形態Aのように、繊維塊11は、他の繊維塊11又は吸水性繊維12Fと、繊維同士の絡み合いすなわち「交絡」によって結合している他、形態Bのように、他の繊維塊11又は吸水性繊維12Fと交絡し得る状態でも存在している。斯かる繊維の交絡による結合が、前述した吸収性コア40の作用効果を一層有効に発現するのに重要なポイントの1つとなっている。特に、吸収性コア40は、形態Aの「交絡」を有している方が保形性の点から好ましい。繊維の交絡による結合は、接着成分や融着が無く、繊維同士の絡み合いのみによってなされているため、繊維の融着による結合に比して、交絡している個々の要素(繊維塊11、吸水性繊維12F)の動きの自由度が高く、そのためその個々の要素は、それらからなる集合体としての一体性を維持し得る範囲で移動し得る。このように、吸収性コア40は、それに含有されている複数の繊維塊11同士あるいは繊維塊11と吸水性繊維12Fとが比較的ゆるく結合していることで、外力を受けたときに変形が可能な、緩やかな保形性を有しており、保形性とクッション性及び圧縮回復性等とが高いレベルで両立されている。そして、斯かる高品質の吸収性コア40を具備するナプキン1は、着用者の身体にフィット性良く密着し、着用感に優れる。
【0056】
吸収性コア40における繊維塊11を介した結合態様の全てが「交絡」である必要はなく、吸収性コア40の一部に交絡以外の他の結合態様、例えば接着剤による接合などが含まれていてもよい。ただし、例えば公知の防漏溝等、吸収性物品の他の部材と一体となった結果として吸収性コア40に形成された「繊維塊11を介した融着」を吸収性コア40から排除した残りの部分、すなわち、未加工の吸収性コア40そのものでは、繊維塊11同士の結合、又は繊維塊11と吸水性繊維12Fとの結合が「繊維の交絡」のみでなされていることが望ましい。
【0057】
ナプキン1は、前述した構成を有していることにより、すなわち、1)吸収性コア40に溝状凹部42が形成され、且つ2)吸収性コア40が、合成繊維11Fを含む繊維塊11と吸水性繊維12Fとを含有していることにより、着用時にヨレにくく、着用感が良好で、液吸収性に優れる。
【0058】
より具体的には、吸収性コア40は前述したとおり、屈曲誘導部(可撓軸)として作用し得る溝状凹部42を有することに起因して、ナプキン1の着用時に着用者の身体形状に沿って変形しやすく、そのため、ナプキン1はフィット性及び着用感に優れる。また、溝状凹部42は、ナプキン1の着用者が排泄した経血等の体液を一時的に保持するストック層として機能するとともに、吸収性コア40の面方向に拡散するので、ナプキン1は液吸収性にも優れる。そして、このように溝状凹部42に起因する優れた特性を有する吸収性コア40には、吸収性コア40の柔軟性、クッション性、圧縮回復性、保形性の向上に寄与し得る繊維塊11が含有されているので、溝状凹部42による作用効果、特に、着用感やフィット性などが一層向上されており、ヨレにくい。また、繊維塊11の構成繊維11Fは、典型的には疎水性の合成繊維を含んでいるため、体液を吸収して湿潤後も保形性に優れ、したがってナプキン1は、体液を吸収した後も、繊維塊11による作用効果を発現し得る。
【0059】
また、吸収性コア40においては複数の繊維塊11同士又は繊維塊11と吸水性繊維12Fとが互いに交絡しているため、吸収性コア40はこの点でも保形性に優れており、乾燥状態はもとより、体液を吸収して湿潤状態となった後もヨレにくい。
【0060】
前述したナプキン1による作用効果を確実に奏させるようにする観点から、吸収性コア40が有する連続層44(図5図7参照)には、繊維塊11及び吸水性繊維12Fが存在することが好ましい。
【0061】
また、連続層44に繊維塊11及び吸水性繊維12Fが存在することに加えて更に、連続層44が、図5に示す如くに吸収性コア40の肌対向面45側に偏在するか、又は図6に示す如くに吸収性コア40の非肌対向面46側に偏在すると、前述したナプキン1による作用効果がより一層確実に奏され得るため好ましい。この場合、吸収性コア40における連続層44側の反対側とは、溝状凹部42の開口が位置する側であり、連続層44側に比べて繊維塊11などのコア形成材料が少ない。つまり、吸収性コア40における連続層44側(図5に示す吸収体4では肌対向面45側)は、その反対側(図5に示す吸収体4では非肌対向面46側)よりも、繊維塊11が多く存在し得る。
【0062】
またこのように、繊維塊11及び吸水性繊維12Fを含有する連続層44が吸収性コア40の肌対向面45側又は非肌対向面46側に偏在する場合において、溝状凹部42の深さD(図5参照)は、吸収性コア40の厚みT(図5参照)に対して、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上、そして、好ましくは98%以下、より好ましくは80%以下である。
【0063】
吸収性コア40の厚みT、すなわち溝状凹部42の非存在部(小吸収部43)の厚みは、好ましくは2.0mm以上、より好ましくは3.0mm以上、そして、好ましくは10.0mm以下、より好ましくは8.0mm以下である。
吸収性コア40の各部の厚みは、以下の方法で測定される。なお、吸収性コア40(吸収体4)全体の厚み、ナプキン1の厚みなども以下の方法に準じて測定することができる。
【0064】
<厚みの測定方法>
吸収性コア(吸収体)を水平な場所にシワや折れ曲がりがないように静置し、該吸収性コアから測定対象部位(例えば、吸収性コアの肌対向面側又は非肌対向面側)を切り出して測定サンプルとする。そして、測定サンプルにおける5cN/cmの荷重下での厚みを測定する。具体的には、厚みの測定に、例えば、厚み計PEACOCK DIAL UPRIGHT GAUGES R5-C(OZAKI MFG.CO.LTD.製)を用いる。このとき、厚み計の先端部と測定サンプルとの間に、荷重が5cN/cmとなるように大きさを調整した平面視円形状又は正方形状のプレート(厚み5mm程度のアクリル板)を配置して、厚みを測定する。厚み測定では、測定サンプルにおける任意の10箇所を測定し、それら10箇所の厚みの平均値を算出して、測定サンプルの厚みとする。
【0065】
吸収性コア40において、繊維塊11はどのように分布していてもよく、例えば、吸収性コア40の全体に均一に分布してもよく、あるいは吸収性コア40の一部に偏在してもよい。また後者の場合、繊維塊11は、吸収性コア40の面方向の一部(例えば、前方域F、縦中央域M及び後方域Rの何れか1つ又は2つ)に偏在してもよく、吸収性コア40の厚み方向の一部(例えば、肌対向面45側又は非肌対向面46側)に偏在してもよい。なお、ここでいう、「肌対向面45側」は、当該領域(例えば、前方域F、縦中央域M又は後方域R)の吸収性コア40を厚み方向に二等分した場合の肌対向面45寄りの部位であり、「非肌対向面46側」は、斯かる場合の非肌対向面46寄りの部位である。
【0066】
少なくとも縦中央域Mにおいて、吸収性コア40の非肌対向面46側は、肌対向面45側に比べて、繊維塊11の単位面積当たりの質量(坪量)が大きいことが好ましい。斯かる構成により、クッション性やヨレにくさの向上効果などの、主に繊維塊11による作用効果が増強される。またこの場合、縦中央域Mの吸収性コア40の肌対向面45側は、非肌対向面46側に比べて、吸水性繊維12Fの単位面積当たりの質量(坪量)が大きくなり得るところ、吸収性コア40においてナプキン1の着用者が排泄した体液を最初に受ける部位である、縦中央域Mの吸収性コア40の肌対向面45側に、吸水性に優れる吸水性繊維12Fが比較的多量に含有されていることにより、この部位の液引き込み力(毛管力)が向上し、延いては吸収性コア40の液吸収性が向上する。したがって、縦中央域Mの吸収性コア40において、「非肌対向面46側の繊維塊11の坪量>肌対向面45側の繊維塊11の坪量」という大小関係が成立することにより、ナプキン1が、着用時にヨレにくく、着用感が良好で、液吸収性に優れるものとなる可能性が一層向上し得る。縦中央域Mのみならず、吸収性コア40の全体において前記大小関係が成立するとより好ましい。
【0067】
前方域F及び後方域Rにおいても、縦中央域Mと同様に、吸収性コア40において、「非肌対向面46側の繊維塊11の坪量>肌対向面45側の繊維塊11の坪量」という大小関係が成立することが好ましい。
【0068】
吸収性コア40の非肌対向面46側の繊維塊11の坪量と肌対向面45側のそれとの比率は、前者/後者として、好ましくは1.1以上、より好ましくは10以上である。
吸収性コア40の非肌対向面46側の繊維塊11の坪量は、肌対向面45側のそれよりも大きいことを前提として、好ましくは32g/m以上、より好ましくは80g/m以上、そして、好ましくは640g/m以下、より好ましくは480g/m以下である。
吸収性コア40の肌対向面45側の繊維塊11の坪量は、非肌対向面46側のそれよりも小さいことを前提として、好ましくは320g/m以下、より好ましくは240g/m以下であり、0g/mであってもよい。
【0069】
吸収性コア40において、縦中央域Mは、前方域F及び後方域Rに比べて、繊維塊11の単位面積当たりの質量(坪量)が大きいことが好ましい。縦中央域Mの吸収性コア40は通常、ナプキン1の着用時において着用者の両大腿部間に挟まれるため、着用者の歩行動作の際の両大腿部の動きによって、縦方向Xに延びる仮想的な回転軸周りにねじられやすく、前方域Fや後方域Rに比して、外力が強く作用しやすく、ヨレが生じやすい。ここで、吸収性コア40において前記の大小関係「縦中央域Mの繊維塊11の坪量>前方域F及び後方域Rそれぞれの繊維塊11の坪量」が成立し、比較的ヨレが生じやすい縦中央域Mの吸収性コア40において、クッション性、圧縮回復性、保形性などの向上に寄与し得る繊維塊11が、前方域F及び後方域Rよりも多く含有されていることにより、ナプキン1の着用時に吸収体4がヨレる不都合が効果的に防止され、着用感が一層向上し得る。
【0070】
縦中央域Mの吸収性コア40の繊維塊11の坪量と前方域F及び後方域Rそれぞれのそれとの比率は、前者/後者として、好ましくは1.1以上、より好ましくは10以上である。
縦中央域Mの吸収性コア40の繊維塊11の坪量は、前方域F及び後方域Rそれぞれのそれよりも大きいことを前提として、好ましくは32g/m以上、より好ましくは80g/m以上、そして、好ましくは640g/m以下、より好ましくは480g/m以下である。
前方域F及び後方域Rそれぞれの繊維塊11の坪量は、縦中央域Mのそれよりも小さいことを前提として、好ましくは320g/m以下、より好ましくは240g/m以下であり、0g/mであってもよい。
【0071】
前記の大小関係「縦中央域Mの繊維塊11の坪量>前方域F及び後方域Rそれぞれの繊維塊11の坪量」が成立することによる作用効果をより一層確実に奏させるようにする観点から、吸収性コア40は、縦中央域Mに、該吸収性コア40が含有する全ての繊維塊11の90質量%以上を含有することが好ましく、95質量%以上が存在することがより好ましく、100質量%、すなわち吸収性コア40が含有する繊維塊11の全部が縦中央域Mに存在してもよい。
【0072】
前述した、吸収性コア40における繊維塊11の偏在は、繊維塊11とともに吸収性コア40のコア形成材料として併用される吸水性繊維12Fとの合計含有質量を用いて、「繊維塊11及び吸水性繊維12Fの合計含有質量に対する繊維塊11の含有質量の比率」(以下、「繊維塊占有率」ともいう。)として規定することもできる。
すなわち、前記の「非肌対向面46側の繊維塊11の坪量>肌対向面45側の繊維塊11の坪量」なる大小関係に関連して、「非肌対向面46側の繊維塊占有率>肌対向面45側の繊維塊占有率」なる大小関係が成立することが好ましい。
また、前記の「縦中央域Mの繊維塊11の坪量>前方域F及び後方域Rそれぞれの繊維塊11の坪量」なる大小関係に関連して、「縦中央域Mの繊維塊占有率>前方域F及び後方域Rそれぞれの繊維塊占有率」なる大小関係が成立することが好ましい。
【0073】
繊維塊占有率は、吸収性コア40の所定の測定対象部位について、該測定対象部位に存する繊維塊11及び吸水性繊維12Fそれぞれの含有量を質量で測定し、そうして測定された繊維塊11の含有質量を、吸水性繊維12F及び繊維塊11それぞれの含有質量の合計値で除して100分率で表したものである。すなわち、繊維塊占有率(質量%)={繊維塊11の含有質量/(吸水性繊維12Fの含有質量+繊維塊11の含有質量)}×100である。
【0074】
吸収性コア40の非肌対向面46側の繊維塊占有率は、吸収性コア40の肌対向面45側のそれよりも高いことを前提として、好ましくは50質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、100質量%、すなわち非肌対向面46側は、繊維塊11を含有する代わりに吸水性繊維12Fを全く含有しなくてもよい。
また、縦中央域Mの吸収性コア40の繊維塊占有率は、前方域F及び後方域Rそれぞれのそれよりも高いことを前提として、好ましくは50質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、100質量%、すなわち縦中央域Mの吸収性コア40は、繊維塊11を含有する代わりに吸水性繊維12Fを全く含有しなくてもよい。
【0075】
例えば、縦中央域Mの吸収性コア40において、前記の「非肌対向面46側の繊維塊占有率>肌対向面45側の繊維塊占有率」なる大小関係が成立する場合、1)肌対向面45側及び非肌対向面46側それぞれにおいて、繊維塊占有率は厚み方向に変化せずに一定でもよく、あるいは、2)肌対向面45側から非肌対向面46側に向かうに従って繊維塊占有率が漸次増加してもよい。前記2)の形態では、吸収性コア40の厚み方向において、吸収性コア40の肌対向面45及びその近傍では、繊維塊11は存在しないか又は縦中央域Mの吸収性コア40において最低の繊維塊占有率で存在し、吸収性コア40の非肌対向面46及びその近傍では、繊維塊11は縦中央域Mの吸収性コア40において最高の繊維塊占有率で存在する。吸収性コア40の前方域F及び後方域Rについても、前記1)又は2)の形態があり得る。
【0076】
前記1)の形態に特有の利点として、吸収性コアの肌対向面側と非肌対向面側とで、各々独立した機能に設計し易い点が挙げられる。また、前記2)の形態に特有の利点として、吸水性繊維と繊維塊との混合比率が吸収体の厚み方向で緩やかに変化するため、吸収性コアに外力が加わった場合でも繊維塊を介在する交絡状態が厚み方向に亘って維持され易く、使用中において吸収性コアのクッション性が良好に維持され易い点が挙げられる。
【0077】
また、繊維塊占有率は、吸収性コア40の前方域F及び後方域Rそれぞれから縦中央域Mに向かうに従って漸次増加してもよい。例えば、前方域F及び後方域Rそれぞれにおいては、縦方向Xの外方から内方に向かうに従って繊維塊占有率が漸次増加し、縦中央域Mは前記1)又は2)の形態であってもよい。
【0078】
本実施形態のナプキン1においては、図1及び図2に示すように吸収性本体5に、表面シート2、コアラップシート41(肌側コアラップシート)及び吸収体4(吸収性コア40)が該吸収体4の非肌対向面側(裏面シート3側)に一体的に凹陥した表面凹陥部7が、少なくとも縦中央域Mに形成されている。表面凹陥部7は、吸収体4(吸収性コア40)貫通しておらず、表面シート2の肌対向面に開口を有するとともに、該開口とは反対側に底部を有する。ナプキン1の肌対向面に形成された表面凹陥部7は、経血等の体液の面方向の移動を阻害する機能を有する。
【0079】
ナプキン1においては、表面凹陥部7は、図1及び図4に示すように、縦中央域Mにおいて縦方向Xに延在している。より具体的には、表面凹陥部7は、縦方向Xに延びる左右一対の表面縦凹陥部7X,7Xと、横方向Yに延びる前後一対の表面横凹陥部7Y,7Yとを含んで構成されている。
【0080】
一対の表面縦凹陥部7X,7Xは、それぞれ、縦中央域Mの縦方向Xの全長にわたって延在し、更に前方域F及び後方域Rに延出しており、全体として連続線状をなしている。
一対の表面横凹陥部7Y,7Yのうちの一方は、少なくとも一部が前方域Fに位置し、他方は少なくとも一部が後方域Rに位置しており、何れも平面視において縦方向Xの外方に向かって凸のU字状ないし弧状の連続線状をなし、且つそのU字状ないし弧状の頂部がナプキン1Aの横方向Yの中央に位置している。
表面凹陥部7を構成する各凹陥部7X,7Y同士は、それらの長さ方向の端部にて連結しており、表面凹陥部7全体として平面視において閉じた環状、より具体的には長楕円形状をなしている。縦中央域Mにおける、一対の表面縦凹陥部7X,7Xで囲まれた領域は、縦中央域Mの中央部に位置し、前記排泄部対向部(排泄ポイント)を含む。
【0081】
ナプキン1においては、図2に示すように、表面凹陥部7と平面視で重なる位置に、コアラップシート41(非肌側コアラップシート)及び吸収性コア40が該吸収性コア40の肌対向面側(表面シート2側)に一体的に凹陥した裏面凹陥部8が、少なくとも縦中央域Mに形成されている。裏面凹陥部8は、吸収体4(吸収性コア40)貫通しておらず、吸収体4の非肌対向面に開口を有するとともに、該開口とは反対側に底部を有する。表面凹陥部7と裏面凹陥部8とは、底部を共有している。
【0082】
本実施形態においては、裏面凹陥部8は、平面視において表面凹陥部7と略同形状・同寸法であり、表面凹陥部7と同様の閉じた環状をなしている。すなわち裏面凹陥部8は、縦方向Xに延び、表面縦凹陥部7Xと平面視で重なり且つこれと平面視形状が同じである左右一対の裏面縦凹陥部8X,8Xと、横方向Yに延び、表面横凹陥部7Yと平面視で重なり且つこれと平面視形状が同じである前後一対の裏面横凹陥部8Y,8Y(図示せず)とを含んで構成され、各凹陥部8X,8Yがそれらの長さ方向の端部にて連結して、裏面凹陥部8全体として平面視において閉じた環状(長楕円形状)をなしている。
【0083】
表面凹陥部7は、ナプキン1より具体的には吸収性本体5に対し、その肌対向面側(表面シート2側)から圧搾加工を施すことによって形成されており、その形成方法から「圧搾部」と言うことができる。また、裏面凹陥部8は、吸収体4に対し、その非肌対向面側(非肌側コアラップシート側)から圧搾加工を施すことによって形成されており、やはり「圧搾部」と言うことができる。圧搾部である両凹陥部7,8は、吸収体4における両凹陥部7,8の周辺部に比して密度が高い。すなわち、吸収性本体5は、凹陥部7,8に対応する高密度部と、両凹陥部7,8が形成されていない低密度部9とを有し、これにより面方向に密度差が生じている。
【0084】
両凹陥部7,8を形成するための圧搾加工は、吸収体4(吸収性コア40)に含まれるコア形成材料の溶融、特に繊維塊11の構成繊維として好ましく用いられる熱可塑性繊維の溶融を伴う方法を利用してもよいし、コア形成材料の溶融を伴わない方法を利用してもよい。コア形成材料の溶融を伴う圧搾加工として、具体的には、熱を伴うエンボス加工、超音波エンボス等の公知のエンボス加工が挙げられる。コア形成材料の溶融を伴う圧搾加工によって形成された表面凹陥部7の底部、すなわち空間部である表面凹陥部7と平面視で重なる部分では、表面シート2、コアラップシート41(肌側コアラップシート)及び吸収性コア40が熱融着されて一体化し得る。また、コア形成材料の溶融を伴う圧搾加工によって形成された裏面凹陥部8の底部、すなわち空間部である裏面凹陥部8と平面視で重なる部分では、コアラップシート41(非肌側コアラップシート)及び吸収性コア40が熱融着されて一体化し得る。前述したとおり、裏面凹陥部8と表面凹陥部7とで底部を共有しているので、その両凹陥部7,8共通の底部には、表面凹陥部7側から順に、表面シート2、肌側コアラップシート、吸収性コア40及び非肌側コアラップシートが互いに熱融着されて一体化した状態で存在し得る。
【0085】
表面凹陥部7の幅(凹陥部の長さ方向と直交する方向の長さ)は特に制限されないが、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.5mm以上、そして、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下である。裏面凹陥部8の幅についても同じ範囲に設定することができる。
【0086】
図1図2及び図4に示すように、ナプキン1より具体的には吸収性本体5には、表面凹陥部7及び裏面凹陥部8の何れも形成されていない部分であり、凹陥部7,8に比して密度が低い低密度部9が存在する。本実施形態においては前述したとおり、両凹陥部7,8はそれぞれ平面視において略同形状・同寸法であり、閉じた環状(長楕円形状)をなしているところ、低密度部9は、その凹陥部7,8の閉じた環の中及び外の双方に存在している。少なくとも吸収性本体5の周縁部及び縦中央域Mの中央部(前記排泄部対向部及びその近傍)は、低密度部9である。
【0087】
なお、低密度部9、特に、縦中央域Mの横方向Yの両側部を通って縦方向Xに延在する一対の表面縦凹陥部7X,7X(裏面縦凹陥部8X,8X)に挟まれた領域(縦中央域Mの横方向Yの中央部)に、エンボス加工等の圧搾加工によって形成された圧搾部が部分的に存在してもよい。その場合、低密度部9(具体的には例えば、一対の表面縦凹陥部7X,7Xに挟まれた領域)の全面積に占める、該低密度部9に存在する全ての圧搾部の面積の合計の割合は、5%以下が好ましく、3%以下がより好ましい。なお、本実施形態のナプキン1では、一対の表面縦凹陥部7X,7Xに挟まれた低密度部9には圧搾部は存在しない。
【0088】
吸収性コア40は、繊維塊11を含有することで、これを含有しない通常の吸収性コア40に比して、保形性、クッション性等の特性が向上しているところ、更に厚み方向に圧搾されて高密度化された凹陥部7を有することで、斯かる特性が一層向上しており、例えば、ナプキン1の着用者の両大腿部によって加えられる横方向Yへの強力な圧縮力の如き外力を受けても型崩れし難く、外力に対して即応性良く変形し、また、その外力が解除されれば速やかに復元し得る。
【0089】
また、ナプキン1においては、相対的に密度の高い凹陥部7,8と相対的に密度の低い低密度部9とが面方向に併存していることに起因して、面方向に密度差が生じており、その密度差によって体液が面方向に拡散されやすくなされている。すなわちナプキン1は、着用者が排泄した体液を速やかに面方向に拡散することができ、そのため、吸収性コア40が本来的に有する吸収性能を有効に活用して、高い液防漏性を発現し得る。
【0090】
特にナプキン1は、図1及び図4に示すように、表面凹陥部7が縦中央域Mのみならず、前方域F及び後方域Rにも存在しているため、ナプキン1全体の保形性や面方向の液拡散性等が高められている。
【0091】
また、低密度部9には、複数の繊維塊11がその本来の外形形状をほぼ維持した状態で存在していることに起因して、複数の繊維塊11同士間に形成された空間部が多数存在し、それらの多数の空間部が、低密度部9が有する優れたクッション性の発現に寄与しているとともに、体液の一時ストック部としても機能し得る。ナプキン1は、このような体液の一時ストック部として機能し得る低密度部9を、排泄された体液が集中しがちな部位である縦中央域Mに有しているため、優れた液吸収能を有し、高い液防漏性を発現し得るとともに、その高い液引き込み性により、表面シート2の肌対向面での液残りを低減し、不快な濡れ感やべたつき感を抑制し得る。
【0092】
また、前記排泄部対向部が存在する縦中央域Mにクッション性等に優れる低密度部9が存在していることで、縦中央域Mは、体液吸収前の乾燥状態はもとより、体液吸収後の湿潤状態であっても、低密度部9の作用によって柔軟でクッション性に富む。
【0093】
前述したように、縦中央域Mにおいて、吸収性コア40の肌対向面45側と非肌対向面46側とで、繊維塊11の単位面積当たりの質量(坪量)が異なる場合、表面凹陥部7は、繊維塊11と平面視において重なり、且つ縦中央域Mでは、繊維塊11の坪量が吸収性コア40の肌対向面45側と異なる領域にまで及んでいることが好ましい。より具体的には例えば、縦中央域Mの吸収性コア40において、前記の「非肌対向面46側の繊維塊11の坪量>肌対向面45側の繊維塊11の坪量」なる大小関係が成立する場合において、表面凹陥部7(表面縦凹陥部7X、表面横凹陥部7Y)は、繊維塊11と平面視において重なり、且つ縦中央域Mでは、非肌対向面46側にまで及んでいることが好ましい。なお、ここでいう、縦中央域Mの吸収性コア40の肌対向面45側は、前述したとおり、縦中央域Mの吸収性コア40を厚み方向に二等分した場合の肌対向面45寄りの部位であり、非肌対向面46側は、斯かる場合の非肌対向面46寄りの部位である。斯かる構成により、前述の凹陥部7,8と低密度部9とによる作用効果(保形性の向上効果や面方向の液拡散性の向上効果等)が一層の向上し、着用時の吸収体4のヨレがより一層確実に防止され得る。なお、斯かる構成は、吸収性コア40の肌対向面45側と非肌対向面46側とで繊維塊占有率が異なる場合にも適用できる。すなわち例えば、縦中央域Mの吸収性コア40において、前記の「非肌対向面46側の繊維塊占有率>肌対向面45側の繊維塊占有率」なる大小関係が成立する場合において、表面凹陥部7(表面縦凹陥部7X、表面横凹陥部7Y)は、繊維塊11と平面視において重なり、且つ縦中央域Mでは、非肌対向面46側にまで及んでいることが好ましい。
【0094】
また、縦中央域Mにおいて、横方向Yの両側部の表面凹陥部7(より具体的には一対の表面縦凹陥部7X,7X)及びそれらに挟まれた領域(以下、「横方向内方領域」ともいう。)は、該表面凹陥部7(該横方向内方領域)の横方向Yの外方(以下、「横方向外方領域」ともいう。)に比べて、繊維塊11の単位面積当たりの質量(坪量)が大きいことが好ましい。ナプキン1においては、図1図2及び図4に示すように、前記横方向内方領域は低密度部9である。斯かる構成により、縦中央域Mにおける表面凹陥部7(表面縦凹陥部7X)での吸液速度を確保しつつ、縦方向Xの前後への液拡散性を促進することが可能となり、横漏れが効果的に抑制され得る。前記横方向外方領域と前記横方向内方領域との繊維塊11の坪量の比率は、前者<後者を前提として、前者(横方向外方領域)/後者(横方向内方領域)として、好ましくは0以上、より好ましくは0.1以上、そして、好ましくは1.0未満、より好ましくは0.9以下である。
【0095】
なお、縦中央域Mにおける前記横方向内方領域と前記横方向外方領域との境界である表面凹陥部7(表面縦凹陥部7X)は、縦方向Xに延在するものであるところ、ここでいう「延在」には、図1に示す如く、表面凹陥部7が縦方向Xに連続線状に延びている場合のみならず、例えば図11に示す如く、複数の表面凹陥部7が縦方向Xに間欠配置され、それら複数の表面凹陥部7が全体として縦方向Xに延在している場合が含まれる。後者の場合、縦方向Xにおいて最も近接する2個の表面凹陥部7の縦方向Xにおける離間距離は、30mm以下であることが好ましく、20mm以下であることがより好ましい。縦方向Xに間欠配置された複数の裏面凹陥部8についても同様である。
【0096】
前述した、凹陥部7,8及び低密度部9に起因する作用効果をより確実に奏させるようにする観点から、ナプキン1の各部の寸法等は以下のように設定することが好ましい。
縦中央域Mにおける、吸収体4(吸収性コア40)の縦方向Xに沿う側縁と凹陥部7,8(縦凹陥部7X,8X)との横方向Yにおける離間距離W1(図1参照)は、好ましくは5mm以上、より好ましくは10mm以上、そして、好ましくは25mm以下、より好ましくは20mm以下である。なお、吸収体4の横方向Yの長さ(幅)が一定ではない場合には、離間距離W1は、吸収体4の幅が最も広い部分での測定値とする。
縦中央域Mの低密度部9の横方向Yの長さすなわち幅W2(図1参照)は、好ましくは20mm以上、より好ましくは25mm以上、そして、好ましくは70mm以下、より好ましくは65mm以下である。
【0097】
吸収体4(吸収性コア40)の肌対向面の全面積に占める、表面凹陥部7の総面積の割合(凹陥部占有率)は、好ましくは0.02%以上、より好ましくは0.1%以上、そして、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下である。吸収体4(吸収性コア40)の非肌対向面の全面積に占める、裏面凹陥部8の総面積の割合(凹陥部占有率)は、前記の表面凹陥部7のそれと同様でよい。
表面凹陥部7(7X,7Y)の深さ(表面シート2の肌対向面における凹陥していない部分を基準とした深さ)は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上、そして、好ましくは2.0mm以下、より好ましくは1.0mm以下である。
裏面凹陥部8(8X,8Y)の深さ(吸収体4の非肌対向面における凹陥していない部分を基準とした深さ)は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上、そして、好ましくは2.0mm以下、より好ましくは1.0mm以下である。
【0098】
ナプキン1においては、凹陥部7,8の深さは、その長さ方向の全長にわたって一定でもよく、部分的に異なっていてもよい。また、線状の凹陥部7,8の形状・配置等は図示の形態に制限されず、この種の吸収性物品において防漏溝などと呼ばれるものと同様に設定できる。線状の凹陥部7,8は、平面視形状が直線及び/又は曲線を含んで構成されてよく、また、各線は、連続線でもよく、破線(深さが異なる2種類の部分が、線状の凹陥部の延びる方向に交互に配された形態)でもよい。
【0099】
また、本発明の吸収性物品において、凹陥部7,8のパターン(平面視形状及び配置)は、図1に示す凹陥部7,8の如き、平面視線状のものに限定されず、例えば、円形、楕円形、矩形、三角形、星形、ハート形等の点状(ドット状)であってもよい。図11に示す吸収体4Fでは、平面視円形の表面凹陥部7が縦中央域Mに散点状に形成され、より具体的には、複数(3個)の表面凹陥部7が縦方向Xに間欠配置されて、縦方向Xに延在する凹陥部列をなし、その凹陥部列が、横方向Yに間隔をあけて一対配置されている。図示していないが、吸収体4の非肌対向面側には、裏面凹陥部8が表面凹陥部7と同じパターンで形成されている。吸収体4Fは、凹陥部7,8のパターン以外は前述した吸収体4と同様に構成されており、吸収体4Fにおける特に説明しない構成については、吸収体4の説明が適宜適用される。
【0100】
吸収性コア40において、繊維塊11と吸水性繊維12Fとの含有質量比は特に限定されず、繊維塊11の構成繊維(合成繊維)11F及び吸水性繊維12Fの種類等に応じて適宜調整すればよい。例えば、繊維塊11の構成繊維11Fが熱可塑性繊維(非吸水性の合成繊維)、吸水性繊維12Fがセルロース系の吸水性繊維である場合、本発明の所定の効果をより確実に奏させるようにする観点から、繊維塊11と吸水性繊維12Fとの含有質量比は、前者(繊維塊11)/後者(吸水性繊維12F)として、好ましくは20/80~80/20、より好ましくは40/60~60/40である。
【0101】
吸収性コア40における繊維塊11の含有量は、乾燥状態の吸収性コア40の全質量に対して、好ましくは20質量%以上、より好ましくは40質量%以上、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。
吸収性コア40における吸水性繊維12Fの含有量は、乾燥状態の吸収性コア40の全質量に対して、好ましくは20質量%以上、より好ましくは40質量%以上、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。
吸収性コア40における吸水性ポリマー13の含有量は、乾燥状態の吸収性コア40の全質量に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。
なお、ここでいう「乾燥状態の吸収性コア」とは、体液を吸収する前の吸収性コアを意味する。
【0102】
吸収性コア40における繊維塊11の坪量は、好ましくは32g/m以上、より好ましくは80g/m以上、そして、好ましくは640g/m以下、より好ましくは480g/m以下である。
吸収性コア40における吸水性繊維12Fの坪量は、好ましくは32g/m以上、より好ましくは80g/m以上、そして、好ましくは640g/m以下、より好ましくは480g/m以下である。
吸収性コア40における吸水性ポリマー13の坪量は、好ましくは5g/m以上、より好ましくは10g/m以上、そして、好ましくは200g/m以下、より好ましくは100g/m以下である。
【0103】
前述したとおり、吸収体4(吸収性コア40)は、回転ドラムを備えた公知の積繊装置を用いて常法に従って製造することができる。吸収体4には前述したとおり、コア形成材料(繊維塊11、吸水性繊維12F、吸水性ポリマー13)が吸収性コア40の全体に均一分布する形態と、吸収性コア40の一部に繊維塊11(吸水性繊維12F)が偏在する形態とが含まれるが、何れの形態でも公知の積繊装置を用いて常法に従って製造することができる。特に、後者の繊維塊11(吸水性繊維12F)が吸収性コア40の一部に偏在する形態は、公知の積繊装置を用いた吸収体の製造方法において、繊維塊11や吸水性繊維12Fの回転ドラム上での積繊順序などを適宜調整することで製造可能である。
【0104】
以下、繊維塊11について更に説明する。図12には、繊維塊11の典型的な外形形状が2つ示されている。図12(a)に示す繊維塊11Aは四角柱形状より具体的には直方体形状をなし、図12(b)に示す繊維塊11Bは円盤形状をなしている。繊維塊11A,11Bは、相対向する2つの基本面(base plane)111と、該2つの基本面111を連結する骨格面(body plane)112とを備えている点で共通する。基本面111及び骨格面112は何れも、この種の繊維を主体とする物品における表面の凹凸度合いを評価する際に適用されるレベルで、実質的に凹凸が無いと認められる部分である。
【0105】
図12(a)の直方体形状の繊維塊11Aは、6つの平坦面を有しているところ、その6面のうち、最大面積を有する相対向する2面がそれぞれ基本面111であり、残りの4面がそれぞれ骨格面112である。基本面111と骨格面112とは互いに交差、より具体的には直交している。
図12(b)の円盤形状の繊維塊11Bは、平面視円形状の相対向する2つの平坦面と、両平坦面を連結する湾曲した周面とを有しているところ、該2つの平坦面がそれぞれ基本面111であり、該周面が骨格面112である。
繊維塊11A,11Bは、骨格面112が平面視において四角形形状、より具体的には長方形形状をなしている点でも共通する。
【0106】
繊維塊11の形態としては、例えば一定の大きさを有する合成繊維シートから分割されたシート片が挙げられる。すなわち、繊維塊11の好ましい一実施形態であるシート片状の繊維塊は、複数の繊維を集積させて該シート片を形作るように構成されたものではなく、該シート片よりも寸法の大きな繊維シートの切断によって製造されるものであり(図13参照)、前述した従来技術によって製造するものと比較して、定形性が高い複数のシート片状の繊維塊である。
【0107】
このような、2つの基本面111と両基本面111に交差する骨格面112とで画成された「定形の繊維集合体」である繊維塊11は、従来技術とは製造方法を異にすることで実現できるものである。前述したとおり、好ましい繊維塊11の製造方法は、図13に示すように、原料となる原料繊維シート10bs(繊維塊11と同組成で且つ繊維塊11よりも寸法が大きいシート)を、カッターなどの切断手段を用いて定形に切断するものである。そうして製造された複数の繊維塊11は形状及び寸法が、前述した従来技術によって製造するものと比較して、より定形的に揃っている。図13は、図12(a)の直方体形状の繊維塊11Aの製造方法を説明した図であり、図13中の点線は切断線を示している。吸収性コア40には、このように繊維シートを定形に切断して得られた、形状及び寸法が均一な複数の繊維塊11が配合されている。
【0108】
図12(a)の直方体形状の繊維塊11Aは、図13に示すように原料繊維シート10bsを、第1方向D1と該第1方向D1に交差(より具体的には直交)する第2方向D2とに所定の長さで切断することで製造される。両方向D1,D2は、それぞれ、原料繊維シート10bsの面方向における所定の一方向であり、原料繊維シート10bsは該面方向と直交する厚み方向Zに沿って切断される。このように、原料繊維シート10bsをいわゆる賽の目状に切断して得られる複数の直方体形状の繊維塊11Aにおいては通常、その切断面すなわち原料繊維シート10bsの切断時においてカッターなどの切断手段と接触する面が、骨格面112であり、非切断面すなわち該切断手段と接触しない面が、基本面111である。基本面111は、原料繊維シート10bsにおける表裏面(厚み方向Zと直交する面)であり、また前述したとおり、繊維塊11Aが有する複数の面のうちで面積が最大の面である。
【0109】
なお、以上の繊維塊11Aについての説明は、図12(b)の円盤形状の繊維塊11Bにも基本的に当てはまる。繊維塊11Aとの実質的な違いは、原料繊維シート10bsの切断パターンのみであり、原料繊維シート10bsを定形に切断して繊維塊11Bを得る際には、繊維塊11Bの平面視形状に合わせて、原料繊維シート10bsを円形状に切断すればよい。
【0110】
このように、吸収性コア40に含まれている複数の繊維塊11が、基本面111と骨格面112とで画成された「定形の繊維集合体」であると、前述した特許文献に記載の如き不定形の繊維集合体である場合に比して、吸収性コア40における繊維塊11の均一分散性が向上するため、繊維塊11の如き繊維集合体を吸収性コア40に配合することで期待される効果(吸収体の柔軟性、クッション性、圧縮回復性などの向上効果)がより安定的に発現するようになる。また特に、図12(a)に示す如き直方体形状の本体部110の場合、その外面が2つの基本面111と4つの骨格面112との6面からなるため、他の繊維塊11あるいは吸水性繊維12Fとの接触機会を比較的多く持つことが可能となり、交絡性が高まって、保形性等の向上にも繋がり得る。
【0111】
ここで用いる原料繊維シート10bsとしては、吸収性コア40のクッション性、圧縮回復性及び保形性をより高める観点から、合成繊維を含む不織布が好ましく、合成繊維同士の熱融着部を有する不織布が更に好ましい。また、合成繊維同士が熱融着部を有し、複数の熱融着部が3次元的に分散したエアスルー不織布が特に好ましい。
【0112】
なお、本体部110の外形形状は図12に示すものに限定されず、基本面111及び骨格面112は何れも、図12(a)の各面111,112のように湾曲していない平坦面でもよく、あるいは図12(b)の骨格面112のように湾曲面でもよい。また、基本面111と骨格面112とは互いに同形状同寸法であってもよく、具体的には例えば、本体部110の外形形状は立方体形状であってもよい。
【0113】
このように、繊維塊11(11A,11B)が有する2種類の面(基本面111、骨格面112)は、繊維塊11を製造する際のカッターなどの切断手段による原料繊維シート10bsの切断によって形成される切断面(骨格面112)と、シート10bsが本来的に有する面であって該切断手段とは接触しない非切断面(基本面111)とに分類される。そして、この切断面か否かの違いに起因して、切断面である骨格面112は、非切断面である基本面111に比して、繊維端部の単位面積当たりの数が多いという特徴を有する。ここでいう「繊維端部」とは、繊維塊11の構成繊維11Fの長さ方向端部を意味する。通常、非切断面である基本面111にも繊維端部は存在するが、骨格面112は、原料繊維シート10bsの切断によって形成された切断面であることに起因して、その切断によって形成された構成繊維11Fの切断端部からなる繊維端部が、骨格面112の全体に多数存在しており、つまり、繊維端部の単位面積当たりの数が基本面111のそれよりも多くなっている。
【0114】
繊維塊11の各面(基本面111、骨格面112)に存在する繊維端部は、該繊維塊11が、吸収性コア40に含まれる他の繊維塊11や吸水性繊維12Fとの間に交絡を形成するのに有用である。また一般に、繊維端部の単位面積当たりの数が多いほど交絡性が向上し得るので、吸収性コア40の保形性などの諸特性の向上に繋がり得る。そして、繊維塊11の各面における繊維端部の単位面積当たりの数は均一ではなく、斯かる繊維端部の単位面積当たりの数に関しては「骨格面112>基本面111」なる大小関係が成立することから、繊維塊11を介した他の繊維(他の繊維塊11、吸水性繊維12F)との交絡性は該繊維塊11の面によって異なり、骨格面112は基本面111に比して交絡性が高い。すなわち、骨格面112を介しての他の繊維との交絡による結合の方が、基本面111を介してのそれよりも結合力が強く、1個の繊維塊11において、基本面111と骨格面112とで他の繊維との結合力に差が生じ得る。一般に、斯かる結合力が強いほど、その結合されている繊維の動きの自由度が制限され、吸収性コア40全体として強度(保形性)が向上する反面、柔らかさが低下する傾向がある。
【0115】
このように、吸収性コア40においてはそれに含まれている複数の繊維塊11それぞれが、その周辺の他の繊維(他の繊維塊11、吸水性繊維12F)に対して、2種類の結合力を持って交絡しており、これにより吸収性コア40は、適度な柔らかさと強度(保形性)とを兼ね備えたものとなる。そして、このような優れた特性を有する吸収性コア40を、吸収性物品の吸収体として常法に従って用いた場合には、該吸収性物品の着用者に快適な着用感を提供することができるとともに、着用時における着用者の体圧等の外力によって吸収性コア40が破壊される不都合が効果的に防止される。
【0116】
これに対し、前述した特許文献記載の不織布片は、前述したとおり、原料繊維シートをミルカッターのような切断機によって不定形に切断するなどして製造されているため、基本面111や骨格面112のような「面」を持った定形のシート片状の繊維塊とはなっておらず、しかも、その製造時において繊維塊全体に切断処理の外力が加わるため、構成繊維の繊維端部が繊維塊全体にランダムに形成され、該繊維端部による前述した作用効果が十分に発現され難い。
【0117】
前述した繊維端部による作用効果をより確実に奏させるようにする観点から、基本面111(非切断面)の繊維端部の単位面積当たりの数N1と、骨格面112(切断面)の繊維端部の単位面積当たりの数N2との比率は、N1<N2を前提として、N1/N2として、好ましくは0以上、より好ましくは0.05以上、そして、好ましくは0.90以下、より好ましくは0.60以下である。より具体的には、N1/N2は0以上0.90以下が好ましく、0.05以上0.60以上がより好ましい。
基本面111の繊維端部の単位面積当たりの数N1は、好ましくは0個/mm以上、より好ましくは3個/mm以上、そして、好ましくは8個/mm以下、より好ましくは6個/mm以下である。
骨格面112の繊維端部の単位面積当たりの数N2は、好ましくは5個/mm以上、より好ましくは8個/mm以上、そして、好ましくは50個/mm以下、より好ましくは40個/mm以下である。
基本面111、骨格面112の繊維端部の単位面積当たりの数は、以下の方法により測定される。
【0118】
<繊維塊の各面における繊維端部の単位面積当たりの数の測定方法>
測定対象の繊維を含む部材(繊維塊)を紙両面テープ(ニチバン株式会社製ナイスタックNW-15)を用いて、測定片を試料台に貼り付ける。次いで測定片を白金コーティングする。コーティングには日立那珂精器株式会社製イオンスパッタ装置E-1030型(商品名)を用い、スパッタ時間は120秒とする。測定片の切断面を、JEOL(株)製のJCM-6000型の電子顕微鏡を用いて、倍率100倍にて基本面及び骨格面を観察する。この倍率100倍の観察画面においては、測定対象面(基本面又は骨格面)の任意の位置に縦1.2mm、横0.6mmの長方形領域を設定し、且つ該長方形領域の面積が、該観察画面の面積の90%以上を占めるように観察角度などを調整した上で、該長方形領域内に含まれる繊維端部の個数を測定する。但し、倍率100倍の観察画面において、繊維塊の測定対象面が1.2mm×0.6mmよりも小さく、該観察画面全体に占める前記長方形領域の面積の割合が90%未満となる場合には、観察倍率を100倍より大きくした上で、前記と同様に、該測定対象面における前記長方形領域内に含まれる繊維端部の数を測定する。ここで個数測定の対象となる「繊維端部」は、繊維塊の構成繊維の長さ方向端部であり、測定対象面から該構成繊維の長さ方向端部以外の部分(長さ方向中間部)が延出していても、該長さ方向中間部は個数測定の対象としない。そして下記式により、繊維塊の測定対象面(基本面又は骨格面)における繊維端部の単位面積当たりの数を算出する。10個の繊維塊それぞれについて、前記手順に従って、基本面及び骨格面それぞれにおける繊維端部の単位面積当たりの数を測定し、それら複数の測定値の平均値を、当該測定対象面における繊維端部の単位面積当たりの数とする。
繊維塊の測定対象面(基本面又は骨格面)における繊維端部の単位面積当たりの数(個数/mm)=長方形領域(1.2×0.6mm)に含まれる繊維端部の個数/該長方形領域の面積(0.72mm
【0119】
繊維塊11の基本面111が、図12(a)に示す繊維塊11Aのように、平面視において長方形形状をなしている場合、吸収性コア40における繊維塊11の均一分散性の向上の観点から、その長方形形状の短辺111aは、該繊維塊11(11A)を含有している吸収体4の厚みと同等か又はこれに比して短いことが好ましい。
短辺111aの長さと吸収体4の厚みとの比率は、前者/後者として、好ましくは0.03以上、より好ましくは0.08以上、そして、好ましくは1以下、より好ましくは0.5以下である。
吸収体4(吸収性コア40)の厚みは、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上、そして、好ましくは10mm以下、より好ましくは6mm以下である。
【0120】
繊維塊11(11A,11B)の各部の寸法等は以下のように設定することが好ましい。繊維塊11の各部の寸法は、後述する繊維塊11の外形形状の特定作業の際の電子顕微鏡写真などに基づいて測定することができる。
基本面111が図12(a)に示す如き平面視長方形形状の場合、その短辺111aの長さL1は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上、更に好ましくは0.5mm以上、そして、好ましくは10mm以下、より好ましくは6mm以下、更に好ましくは5mm以下である。
平面視長方形形状の基本面111の長辺111bの長さL2は、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは1mm以上、更に好ましくは2mm以上、そして、好ましくは30mm以下、より好ましくは15mm以下、更に好ましくは10mm以下である。
なお、基本面111が図12に示すように、繊維塊11が有する複数の面のうちで最大面積を有する面である場合、長辺111bの長さL2は、繊維塊11の最大差し渡し長さに一致し、該最大差し渡し長さは、円盤形状の繊維塊11Bにおける平面視円形状の基本面111の直径に一致する。
短辺111aの長さL1と長辺111bの長さL2との比率は、L1/L2として、好ましくは0.003以上、より好ましくは0.025以上、そして、好ましくは1以下、より好ましくは0.5以下である。なお、本発明において、基本面111の平面視形状は、図8(a)に示す如き長方形形状に限定されず、正方形形状でもよく、すなわち互いに直交する2辺の長さL1,L2の比率は、L1/L2として1でもよい。
繊維塊11の厚みT、すなわち2つの対向する基本面111間の長さTは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上、そして、好ましくは10mm以下、より好ましくは6mm以下である。
【0121】
図14(a)には、繊維塊11の一実施形態の電子顕微鏡写真、図14(b)には、繊維塊11をこの電子顕微鏡写真に即して模式的に示した図が示されている。繊維塊11は図14に示すように、本体部110と、該本体部110から外方に延出する繊維11Fを含んで構成され且つ該本体部110に比して繊維密度の低い(単位面積当たりの繊維の数が少ない)、延出繊維部113とを有するものが包含され得る。なお、吸収性コア40には、延出繊維部113を有しない繊維塊11、すなわち本体部110のみからなる繊維塊11も包含され得る。延出繊維部113は、前述した、繊維塊11の各面(基本面111、骨格面112)に存在する繊維端部の一種を含みうるものであり、それは、該繊維端部のうち、繊維塊11の各面から外方に延出した繊維端部である。
【0122】
本体部110は、前述の2つの対向する基本面111と、両基本面111を連結する骨格面112とで画成される部分である。本体部110は、繊維塊11の主体をなし、繊維塊11の定形の外形形状を形作る部分であり、繊維塊11が有する高い柔軟性、クッション性、圧縮回復性などの諸特性は、基本的に本体部110に因るところが大きい。一方、延出繊維部113は主として、吸収性コア40に含有されている複数の繊維塊11同士あるいは繊維塊11と吸水性繊維12Fとの交絡性の向上に寄与し、吸収性コア40の保形性の向上に直接的にかかわる他、繊維塊11の吸収性コア40における均一分散性などにも影響して、本体部110に因る作用効果を間接的に補強し得る。
【0123】
本体部110は、延出繊維部113に比して繊維密度が高い、すなわち単位面積当たりの繊維の数が多い。また通常、本体部110自体の繊維密度は均一である。繊維塊11の全質量に占める、本体部110の割合は、通常少なくとも40質量%以上であり、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは85重量%以上である。本体部110と延出繊維部113とは、後述する外形形状の特定作業によって区別できる。
【0124】
吸収性コア40に含まれている繊維塊11の本体部110の外形形状を特定する作業は、繊維塊11及びその周辺部における繊維密度の高低差(単位面積当たりの繊維数の多少)や繊維の種類・繊維径の違いなどに着目して、本体部110とそれ以外の部分との「境界」を確認することで行うことができる。本体部110は、その周囲に存在する延出繊維部113よりも繊維密度が高く、また通常、本体部110の構成繊維たる合成繊維(典型的には熱可塑性繊維)は吸水性繊維12F(典型的にはセルロース系繊維)とは質的及び/又は寸法的に異なるため、多数の繊維塊11及び吸水性繊維12Fが混在する吸収体4であっても、前記の点に着目することで前記境界を容易に確認できる。そうして確認された境界が、基本面111又は骨格面112の周縁(辺)であり、斯かる境界確認作業によって、基本面111及び骨格面112が特定され、延いては本体部110が特定される。斯かる境界確認作業は、電子顕微鏡を用い、必要に応じ複数の観察角度にて対象物(吸収体4)を観察することで実施できる。
【0125】
延出繊維部113は、図14に示すように、本体部110の周囲に少なくとも1つ存在し、本体部110の外面である基本面111及び骨格面112のうちの少なくとも1つの面から外方に延出する、本体部110の構成繊維11Fからなる。図10に示す繊維塊11においては、複数の構成繊維11Fが、平面視矩形状の骨格面112の四辺112a,112bよりも外方にはみ出しているところ、このような本体部110からはみ出した繊維部分は全て、延出繊維部113である。
【0126】
延出繊維部113の形態は特に制限されない。延出繊維部113は、1本の繊維11Fから構成される場合もあり、また、後述する延出繊維束部113Sのように、複数の繊維11Fから構成される場合もある。また、延出繊維部113は、典型的には、本体部110から延出する繊維11Fの長さ方向端部を含むが、このような繊維端部に加え、あるいは繊維端部に代えて、繊維Fの長さ方向両端部以外の部分(長さ方向中間部)を含み得る場合がある。すなわち、繊維塊11においては、構成繊維11Fの長さ方向の両端部が本体部110に存在し、それ以外の部分すなわち長さ方向中間部が本体部110から外方にループ状に延出(突出)する場合があり得るところ、その場合の延出繊維部113は、斯かる繊維11Fのループ状の突出部を含んで構成される。言い換えると、延出繊維部113のうち、その端部が露出しているものが繊維端部の1種となる。
【0127】
延出繊維部113の主たる役割の1つは、前述したとおり、吸収体4に含有されている複数の繊維塊11同士、あるいは繊維塊11と吸水性繊維12Fとを互いに交絡させることである。一般に、延出繊維部113の本体部110からの延出長さが長くなり、あるいは延出繊維部113の太さが太くなり、あるいは1個の繊維塊11が有する延出繊維部113の数が多くなると、該延出繊維部113を介して交絡している物体同士の繋がりが強くなって交絡が解除されにくくなるため、本発明の所定の効果がより一層安定的に奏されるようになる。
【0128】
繊維塊11が、図13に示す如く原料繊維シート10bsを定形に切断して得られたものである場合、延出繊維部113は、その切断面である骨格面112に比較的多く存在するのに対し、非切断面である基本面111には全く存在しないか、存在したとしてもその数は骨格面112よりも少数である。このように、延出繊維部113が切断面たる骨格面112に偏在する理由は、延出繊維部113の多くが、原料繊維シートの切断によって発生する「毛羽」であるためである。すなわち、原料繊維シート10bsの切断によって形成された骨格面112は、その切断時にカッターなどの切断手段によって全体的に擦られるため、シート10bsの構成繊維11Fからなる毛羽が形成されやすく、いわゆる毛羽立ちし易い。一方、非切断面である基本面111は、このような切断手段との摩擦が無いため、毛羽すなわち延出繊維部113が形成され難い。
【0129】
原料繊維シート10bs切断時の切断線の間隔L1a(第1方向D1の間隔、図13参照)及び間隔L2a(第2方向D2の間隔、図13参照)は、前述した延出繊維部113の形成促進等の観点、及び繊維塊11が所定の効果を発現する上で必要な寸法を確保する観点などから、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上、そして、好ましくは30mm以下、より好ましくは15mm以下である。
【0130】
繊維塊11は図14に示すように、延出繊維部113の一種として、本体部110、より具体的には骨格面112から外方へ延びる複数の繊維11Fを含む延出繊維束部113Sを有するものが包含され得る。繊維塊11が有する延出繊維部113のうちの少なくとも1つは、この延出繊維束部113Sであり得る。延出繊維束部113Sは、骨格面112から延出する複数の繊維11Fが寄り集まって構成されたもので、延出繊維部113に比して、本体部110骨格面112からの延出長さが長い点で特徴付けられる。延出繊維束部113Sは、基本面111にも存在し得るが、典型的には図14に示すように骨格面112に存在し、基本面111には全く存在しないか、存在したとしてもその数は骨格面112よりも少数である。その理由は、延出繊維部113が切断面である骨格面112に主に存在する理由と同じであり、前述したとおりである。
【0131】
繊維塊11がこのような、長くて太い大型の延出繊維部113とも言うべき延出繊維束部113Sを有していることで、繊維塊11同士あるいは繊維塊11と吸水性繊維12Fとの交絡がより一層強まり、結果として、繊維塊11の存在に起因する本発明の所定の効果がより一層安定的に奏されるようになる。延出繊維束部113Sは、前述した、毛羽立ちやすい条件での原料繊維シート10bsの切断(図13参照)を実施することで、形成されやすくなる。
【0132】
延出繊維束部113Sの本体部110からの延出長さ、すなわち骨格面112(切断面)からの延出長さは、好ましくは0.2mm以上、より好ましくは0.5mm以上、そして、好ましくは7mm以下、より好ましくは4mm以下である。延出繊維束部113Sの延出長さは、前記の繊維塊11の外形形状の特定作業(境界確認作業)において測定することができる。具体的には例えば、キーエンス製のマイクロスコープ(50倍率)にて、アクリル製の透明なサンプル台の表面に3M(株)製の両面テープを貼り、その上に繊維塊11を載せて固定した上で、前記の外形形状の特定作業に従って、該繊維塊11の外形形状を特定した後、該外形形状から延出した繊維11Fにおける、延出分の長さを測定し、その測定した延出分の長さを、延出繊維束部113Sの延出長さとする。
【0133】
延出繊維束部113Sは、その複数の構成繊維11Fが互いに熱融着していることが好ましい。斯かる延出繊維束部113Sの熱融着部は通常、該延出繊維束部113Sの他の部分(非熱融着部)に比して、該延出繊維束部113Sの長さ方向と直交する方向の差し渡し長さ(該熱融着部の断面が円形の場合は直径)が長い。延出繊維束部113Sがこのような大径部とも言える熱融着部を有していることにより、延出繊維束部113S自体の強度が高まり、それによって、延出繊維束部113Sを介して交絡している繊維塊11同士あるいは繊維塊11と吸水性繊維12Fとの交絡がより一層強まるようになる。また、延出繊維束部113Sが熱融着部を有していると、該延出繊維束部113Sが乾燥状態の場合のみならず、水分を吸収して湿潤状態となっている場合でも、該延出繊維束部113S自体の強度、保形性などが高まるというメリットがある。そして、斯かるメリットにより、吸収性コア40を吸収性物品に適用した場合には、吸収性コア40が乾燥状態にある場合は勿論のこと、着用者が排泄した尿や経血などの体液を吸収して湿潤状態となった場合でも、前述した繊維塊11の存在に起因する作用効果が安定的に奏され得る。このような、熱融着部を有する延出繊維束部113Sは、図13に示す如き繊維塊11の製造工程、すなわち繊維塊11の原料繊維シート10bsの切断工程において、原料繊維シート10bsとして、前記「合成繊維同士の熱融着部を有する不織布」を使用することで製造可能である。
【0134】
繊維塊11の構成繊維11Fとしては、合成繊維が用いられる。そして、吸収体4が乾燥状態及び湿潤状態のいずれの状態でも保形性、柔軟性、クッション性、圧縮回復性、ヨレにくさなどにおいて優れた効果を発現し得るようにする観点から、繊維塊11は、複数の熱可塑性繊維が互いに熱融着した3次元構造を有することが好ましい。またこのような、複数の熱融着部が3次元的に分散した繊維塊11を得るために、繊維塊11の構成繊維11Fとしては、熱融着性を有する合成繊維が好ましい。そのような熱融着性合成繊維として、熱可塑性繊維を例示でき、特に非吸水性の熱可塑性繊維が好ましい。前述したように、延出繊維束部113Sは熱融着部を有していることが好ましいところ、繊維塊11の構成繊維11Fとして熱可塑性繊維を用いることで、斯かる延出繊維束部113Sの好ましい形態を得ることも可能となる。複数の熱融着部が3次元的に分散した繊維塊11を得るためには、その原料繊維シート10bs(図13参照)が同様に構成されていればよく、また、そのような複数の熱融着部が3次元的に分散した原料繊維シート10bsは、前述したように、熱可塑性繊維を主体とするウエブや不織布に、熱風処理などの熱処理を施すことによって製造することができる。
【0135】
繊維塊11の構成繊維11Fの素材として好適な非吸水性の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸アルキルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、繊維11Fは、1種類の合成樹脂(熱可塑性樹脂)又は2種類以上の合成樹脂を混合したブレンドポリマーからなる単一繊維でもよく、あるいは複合繊維でもよい。ここでいう複合繊維は、成分の異なる2種類以上の合成樹脂を紡糸口金で複合し、同時に紡糸して得られる合成繊維(熱可塑性繊維)で、複数の成分がそれぞれ繊維の長さ方向に連続した構造で、単繊維内で相互接着しているものをいう。複合繊維の形態には、芯鞘型、サイドバイサイド型等があり、特に制限されない。
【0136】
なお、測定対象の吸収体(吸収性コア)が吸収性物品等の他の物品の構成部材として用いられており、該吸収体を取り出して評価測定する場合において、該吸収体が、接着剤、融着などによって他の構成部材に固定されている場合には、その固定部分を、繊維の接触角に影響を与えない範囲で、コールドスプレーの冷風を吹き付ける等の方法で接着力を除去してから取り出す。この手順は、本願明細書中の全ての測定において共通である。
【0137】
また、繊維塊11を構成する構成繊維11Fは、非吸水性すなわち水分(尿や経血などの体液)を吸収し難い性質を有することが好ましい。これは、繊維塊11と併用される吸水性繊維12Fが文字どおりの吸水性を有することと著しい対照をなす。繊維11Fが吸水性に乏しい非吸水性繊維であることで、吸収性コア40が乾燥状態である場合のみならず、体液を吸収して湿潤状態にある場合でも、前述した繊維塊11の存在に起因する作用効果(保形性、柔軟性、クッション性、圧縮回復性、ヨレにくさなどの向上効果)が安定的に奏されるようになる。したがって、原料繊維としては、非吸水性の合成繊維であることが好ましい。
【0138】
本明細書において、「吸水性」という用語は、例えば、パルプは吸水性と言ったように、当業者にとって容易に理解できるものである。同様に、熱可塑性繊維は非吸水性であることも、容易に理解され得る。一方で、繊維の吸水性の程度は下記方法により測定される水分率の値によって、相対的な吸水性の違いが比較できるとともに、より好ましい範囲も規定できる。吸水性繊維としては、斯かる水分率が6%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。一方で、非吸水性繊維は、斯かる水分率が6%未満であることが好ましく、4%未満であることがより好ましい。
【0139】
<水分率の測定方法>
水分率は、JIS P8203の水分率試験方法を準用して算出した。すなわち、繊維試料を温度40℃、相対湿度80%RHの試験室に24時間静置後、その室内にて絶乾処理前の繊維試料の重量W(g)を測定した。その後、温度105±2℃の電気乾燥機(例えば、株式会社いすゞ製作所製)内にて1時間静置し、繊維試料の絶乾処理を行った。絶乾処理後、温度20±2℃、相対温度65±2%の標準状態の試験室にて、旭化成(株)製サランラップ(登録商標)で繊維試料を包括した状態で、Siシリカゲル(例えば、豊田化工(株))をガラスデシゲータ内(例えば、(株)テックジャム製)に入れて、繊維試料が温度20±2℃になるまで静置する。その後、繊維試料の恒量W’(g)を秤量して、次式により繊維試料の水分率を求める。水分率(%)=(W-W’/W’)×100
【0140】
吸水性繊維12Fとしては、この種の吸収性物品の吸収体の形成材料として従来使用されている吸水性繊維を用いることができ、例えば、針葉樹パルプや広葉樹パルプ等の木材パルプ、綿パルプや麻パルプ等の非木材パルプ等の天然繊維;カチオン化パルプ、マーセル化パルプ等の変性パルプ等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。吸水性繊維12Fの主たる役割が吸収体4の液吸収性の向上である点に鑑みれば、吸水性繊維12Fとしては、セルロース系繊維が特に好ましい。
【0141】
以上、本発明をその実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記実施形態に制限されることなく適宜変更が可能である。
例えば、図1に示すナプキン1では、表面凹陥部7を構成する表面縦凹陥部7Xと表面横凹陥部7Yとがそれらの長さ方向の端部にて連結し、表面凹陥部7全体として閉じた環状を形成していたが、表面凹陥部7を構成する各凹陥部同士は連結していなくてもよく、表面縦凹陥部7Xと表面横凹陥部7Yとが隙間をあけて近接配置されていてもよい。表面凹陥部7と平面視で重なる裏面凹陥部8についても同様である。
本発明の吸収性物品は、人体から排出される体液(尿、軟便、経血、汗等)の吸収に用いられる物品を広く包含し、前述した生理用ナプキンの他、生理用ショーツ、止着テープを有するいわゆる展開型の使い捨ておむつ、パンツ型の使い捨ておむつ、失禁パッド等が包含される。
【符号の説明】
【0142】
1 生理用ナプキン(吸収性物品)
F 前方域
M 縦中央域
R 後方域
2,2A 表面シート
21 凸部
22 凹部
3 裏面シート
4,4A,4B,4C,4D,4E,4F 吸収体
40 吸収性コア
41 コアラップシート
42 溝状凹部
42X 縦凹部
42Y 横凹部
43 小吸収部
44 連続層
45 吸収体又は吸収性コアの肌対向面
46 吸収体又は吸収性コアの非肌対向面
5 吸収性本体
6 サイドシート
7,7X,7Y 表面凹陥部
8,8X,8Y 裏面凹陥部
9 低密度部
11 繊維塊
11F 繊維塊の構成繊維(合成繊維)
110 本体部
111 基本面
112 骨格面
113 延出繊維部
113S 延出繊維束部
12F 吸水性繊維
13 吸水性ポリマー
図1
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