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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-05
(45)【発行日】2023-04-13
(54)【発明の名称】フィルム
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/02 20060101AFI20230406BHJP
【FI】
B65D65/02 E
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019090726
(22)【出願日】2019-05-13
(65)【公開番号】P2020186020
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100181272
【弁理士】
【氏名又は名称】神 紘一郎
(72)【発明者】
【氏名】奥野 恭兵
(72)【発明者】
【氏名】吉野 正行
(72)【発明者】
【氏名】児玉 康平
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-193759(JP,A)
【文献】実開平02-111655(JP,U)
【文献】実開昭57-126356(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/00-65/46
B65D 67/00-79/02
B65D 85/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔を有するフィルムであって、
前記孔の輪郭線が、
曲率半径方向外側に位置する曲線部ACと
曲率半径方向内側に位置し、前記曲線部ACと同じ側に曲率中心を有する曲線部DFと、
前記曲線部ACの一方の末端点Aと、前記末端点Aに最も近い前記曲線部DFの末端点Dとを結ぶ線分ADと、
前記曲線部ACの他方の末端点Cと、前記末端点Cに最も近い前記曲線部DFの末端点Fとを結ぶ線分CFと、
で囲まれたA-C-F-D-Aのアーチ形状であり、
前記孔の面積が100μm ~45000μm である、
ことを特徴とする、フィルム。
【請求項2】
孔を有するフィルムであって、
前記孔の輪郭線が、
曲率半径方向外側に位置する曲線部ACと、
曲率半径方向内側に位置し、前記曲線部ACと同じ側に曲率中心を有する曲線部DFと、
前記曲線部ACの一方の末端点Aを通る曲率半径1に対して略垂直方向であって且つ前記曲線部ACから離れる方向に、前記末端点Aから延びる線分AJ;前記曲線部DFの一方の末端点Dを通る曲率半径2に対して略垂直方向であって且つ前記曲線部DFから離れる方向に、前記末端点Dから延びる線分DI;及び点Jと点Iとを結ぶ線分であって、前記末端点Aと前記末端点Dとを結ぶ直線と略平行である線分JI:からなる折れ線AJIDと、
前記曲線部ACの他方の末端点Cを通る曲率半径3に対して略垂直方向であって且つ前記曲線部ACから離れる方向に、前記末端点Cから延びる線分CG;前記曲線部DFの他方の末端点Fを通る曲率半径4に対して略垂直方向であって且つ前記曲線部DFから離れる方向に、前記末端点Fから延びる線分FH;及び点Hと点Gとを結ぶ線分であって、前記末端点Cと前記末端点Dとを結ぶ直線と略平行である線分GH:からなる折れ線CGHFと、
で囲まれたA-C-G-H-F-D-I-J-Aの逆U字形状であり、
前記孔の面積が100μm ~45000μm である、
ことを特徴とする、フィルム。
【請求項3】
前記曲率半径方向外側に位置する曲線部の延在長さが、100μm以上600μm以下である、請求項1又は2に記載のフィルム。
【請求項4】
前記曲率半径方向外側に位置する曲線部の両末端間の直線長さが、100μm以上300μm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のフィルム。
【請求項5】
前記曲率半径方向外側に位置する曲線部の両末端間を結ぶ直線と、前記曲率半径方向外側に位置する曲線部との最大距離が、1μm以上300μm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のフィルム。
【請求項6】
前記曲率半径方向内側に位置する曲線部の延在長さが、100μm以上600μm以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載のフィルム。
【請求項7】
前記曲率半径方向内側に位置する曲線部の両末端間の直線長さが、100μm以上300μm以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載のフィルム。
【請求項8】
前記曲率半径方向内側に位置する曲線部の両末端間を結ぶ直線と、前記曲率半径方向内側に位置する曲線部との最大距離が、1μm以上300μm以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載のフィルム。
【請求項9】
前記曲率半径方向外側に位置する曲線部と、曲率半径方向内側に位置する曲線部との最大距離が1μm以上300μm以下である、請求項1~のいずれか1項に記載のフィルム。
【請求項10】
前記フィルムを140℃で3秒間加熱した時、孔が略円形に変形する、請求項1~9のいずれか1項に記載のフィルム。
【請求項11】
前記フィルムを140℃で3秒間加熱した時、該加熱前後での前記孔の拡大率が100~200%となる、請求項1~10のいずれか1項に記載のフィルム。
【請求項12】
穿孔加工した加工部において、前記孔の密度が10~100個/cmである、請求項1~11のいずれか1項に記載のフィルム。
【請求項13】
弁当・惣菜が請求項1~12のいずれか1項に記載のフィルムで包装されていることを特徴とする、弁当・惣菜包装体。
【請求項14】
カット野菜が請求項1~12のいずれか1項に記載のフィルムで包装されていることを特徴とする、カット野菜包装体。
【請求項15】
請求項1~12のいずれか1項に記載のフィルムが紙管に巻きつけられていることを特徴とする、ロール体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムに関する。具体的には、熱収縮によって被包装物に密着して収縮させる、フィルムに関する。特に、弁当容器や惣菜の容器等の包装後に電子レンジで再加熱される被包装物の包装に適した熱収縮性のフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
包装用収縮フィルムは、被包装物の形状や大きさに依らず、同時に複数個の製品を迅速かつタイトに包装することができ、得られた包装物は外観が美しく、ディスプレイ効果を発揮し、商品価値を高め、また内容物を衛生的に保ち、視覚による品質確認が容易なことから、食品、雑貨等の包装に多用されている。
【0003】
かかる包装用収縮フィルムを用いた包装方法としては、フィルムに少し余裕を持たせて内容物を一次包装した後、熱風等によりフィルムを熱収縮させる方法が一般的であり、ピローシュリンク包装がその代表例である。この方法は、一般的には、容器やトレーに収納された食品等の被包装物をフィルムで筒状に覆い、次に回転ローラー式等のセンターシール装置にて被包装物の裏面にシール線がくるように合掌ヒートシールし、続いて該筒状フィルムの両開放端をヒートシールして袋状とし、シュリンクトンネルと呼ばれるボックス内で熱風によって加熱処理をして、あらかじめ付設した針孔より内部の空気を脱気しながらこれを加熱収縮させる。このピローシュリンク包装には上記以外にも三方シール、及び四方シールした袋状フィルムを加熱する方法等がある。
【0004】
このような針孔を設けたフィルムを用いた、ピローシュリンク包装を施す被包装物の主な例として、弁当や惣菜を入れた蓋付きのポリスチレン製やフィラー入りポリプロピレン(PP)製等の耐熱容器、肉や魚を入れた蓋の無い発泡ポリスチレン製、PP製、紙製等のトレー等が挙げられ、いずれの場合も容器やトレーを、余裕を持たせてゆったり包装し、その後に熱風を吹き付けて収縮させる方法が挙げられる。
【0005】
ところで、弁当や惣菜といった被包装物の包装においては、包装後に電子レンジでの再加熱が行われることが多く、容器の密閉性が高いと、内部の空気が膨張し、嵌合部の外れや、容器が熱と圧力によって、変形しやすくなるため、容器内の具材の汁やソース類が容器外に流れ出やすくなり、容器外部が汚れやすくなる。そのため、レンジ加熱時の圧力を適度に解放させるために、容器蓋の天面1~2か所が蒸気口としてU字型に打ち抜かれている。
【0006】
一方で上記収縮包装の際に付設する針穴が大きすぎると、弁当や総菜の流通時に針孔よりノミバエ等の小型昆虫が侵入して、更には蒸気口より、内部に侵入する等の異物混入のおそれがある。
この例としては、大根や白菜等の野菜を1/2や1/4にカットしたものを直接フィルムで包装するカット野菜包装が挙げられ、異物混入の問題は同様であり、包装時の空気抜き孔から、虫の侵入を防止することが必要となる。
【0007】
また、昨今、これらの弁当・惣菜・カット野菜等は、パックセンターで一括に包装し出荷されている。1日当たりに莫大な量の包装体を作製する必要があるため、包装の速度を上げることは非常に重要となっている。
【0008】
上述のような諸課題への取り組みとして、例えば、特許文献1には、ダイヤモンドロールを用いて形成した貫通孔を有するフィルムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第3983365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
包装時に貫通孔が包装機と接触する部分に存在していると、孔がノッチとなり裂けが生じてしまうため、フィルム上に貫通孔を加工形成できる部分は限られている。
しかしながら、特許文献1の手法では形成できる孔のサイズにばらつきが生じやすいため、包装時に十分に脱気するには、フィルムに穿孔加工された加工部分において孔の密度が高いかサイズの大きい孔を開けたフィルムを使用しなければならない。
孔密度が高いフィルムを用いると、包装体の見栄えが悪くなることや、輸送時の刺激・衝撃によって孔が連結し小型昆虫が包装体内部に侵入しやすくなること等のデメリットが生じる。
孔のサイズの大きいフィルムを使用した場合には、言うまでもなく小型昆虫が侵入しやすくなる。
【0011】
従って、小型昆虫の包装体内部への侵入を防ぐのはもちろんのこと、包装スピードを下げることなく、見栄えよく包装することができる孔の密度・サイズを持つ、フィルムが現状求められている。
【0012】
本発明は、包装スピードを下げることなく見栄えの良い包装体を作製でき、かつ小型昆虫の侵入を確実に阻止することができる、フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
すなわち、本発明は下記の通りである。
[1]
孔を有するフィルムであって、
前記孔の輪郭線が、
曲率半径方向外側に位置する曲線部ACと
曲率半径方向内側に位置し、前記曲線部ACと同じ側に曲率中心を有する曲線部DFと、
前記曲線部ACの一方の末端点Aと、前記末端点Aに最も近い前記曲線部DFの末端点Dとを結ぶ線分ADと、
前記曲線部ACの他方の末端点Cと、前記末端点Cに最も近い前記曲線部DFの末端点Fとを結ぶ線分CFと、
で囲まれたA-C-F-D-Aのアーチ形状であり、
前記孔の面積が100μm ~45000μm である、
ことを特徴とする、フィルム。
[2]
孔を有するフィルムであって、
前記孔の輪郭線が、
曲率半径方向外側に位置する曲線部ACと、
曲率半径方向内側に位置し、前記曲線部ACと同じ側に曲率中心を有する曲線部DFと、
前記曲線部ACの一方の末端点Aを通る曲率半径1に対して略垂直方向であって且つ前記曲線部ACから離れる方向に、前記末端点Aから延びる線分AJ;前記曲線部DFの一方の末端点Dを通る曲率半径2に対して略垂直方向であって且つ前記曲線部DFから離れる方向に、前記末端点Dから延びる線分DI;及び点Jと点Iとを結ぶ線分であって、前記末端点Aと前記末端点Dとを結ぶ直線と略平行である線分JI:からなる折れ線AJIDと、
前記曲線部ACの他方の末端点Cを通る曲率半径3に対して略垂直方向であって且つ前記曲線部ACから離れる方向に、前記末端点Cから延びる線分CG;
前記曲線部DFの他方の末端点Fを通る曲率半径4に対して略垂直方向であって且つ前記曲線部DFから離れる方向に、前記末端点Fから延びる線分FH;及び点Hと点Gとを結ぶ線分であって、前記末端点Cと前記末端点Dとを結ぶ直線と略平行である線分GH:からなる折れ線CGHFと、
で囲まれたA-C-G-H-F-D-I-J-Aの逆U字形状であり、
前記孔の面積が100μm ~45000μm である、
ことを特徴とする、フィルム。
[3]
前記曲率半径方向外側に位置する曲線部の延在長さが、100μm以上600μm以下である、[1]又は[2]に記載のフィルム。
[4]
前記曲率半径方向外側に位置する曲線部の両末端間の直線長さが、100μm以上300μm以下である、[1]~[3]のいずれかに記載のフィルム。
[5]
前記曲率半径方向外側に位置する曲線部の両末端間を結ぶ直線と、前記曲率半径方向外側に位置する曲線部との最大距離が、1μm以上300μm以下である、[1]~[4]のいずれかに記載のフィルム。
[6]
前記曲率半径方向内側に位置する曲線部の延在長さが、100μm以上600μm以下である、[1]~[5]のいずれかに記載のフィルム。
[7]
前記曲率半径方向内側に位置する曲線部の両末端間の直線長さが、100μm以上300μm以下である、[1]~[6]のいずれかに記載のフィルム。
[8]
前記曲率半径方向内側に位置する曲線部の両末端間を結ぶ直線と、前記曲率半径方向内側に位置する曲線部との最大距離が、1μm以上300μm以下である、[1]~[7]のいずれかに記載のフィルム。
[9]
前記曲率半径方向外側に位置する曲線部と、曲率半径方向内側に位置する曲線部との最大距離が1μm以上300μm以下である、[1]~[8]のいずれかに記載のフィルム
10]
前記フィルムを140℃で3秒間加熱した時、孔が略円形に変形する、[1]~[9]のいずれかに記載のフィルム。
[11]
前記フィルムを140℃で3秒間加熱した時、該加熱前後での前記孔の拡大率が100~200%となる、[1]~[10]のいずれかに記載のフィルム。
[12]
穿孔加工した加工部において、前記孔の密度が10~100個/cmである、[1]~[11]のいずれかに記載のフィルム。
[13]
弁当・惣菜が[1]~[12]のいずれかに記載のフィルムで包装されていることを特徴とする、弁当・惣菜包装体。
[14]
カット野菜が[1]~[12]のいずれかに記載のフィルムで包装されていることを特徴とする、カット野菜包装体。
[15]
[1]~[12]のいずれかに記載のフィルムが紙管に巻きつけられていることを特徴とする、ロール体。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、包装スピードを下げることなく見栄えの良い包装体を作製でき、かつ小型昆虫の侵入を確実に阻止することができる、フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第一実施形態に係るフィルムに設けられた孔を上面視した模式図である。
図2】第二実施形態に係るフィルムに設けられた孔を上面視した模式図である。
図3】第三実施形態に係るフィルムに設けられた孔を上面視した模式図である。
図4】その他の実施形態に係るフィルムに設けられた孔を上面視した模式図である。
図5】その他の実施形態に係るフィルムに設けられた孔を上面視した模式図である。
図6】その他の実施形態に係るフィルムに設けられた孔を上面視した模式図である。
図7】その他の実施形態に係るフィルムに設けられた孔を上面視した模式図である。(A)に上面図を示し、(B)に(A)の拡大図を示す。
図8】その他の実施形態に係るフィルムに設けられた孔を上面視した模式図である。(A)に上面図を示し、(B)に(A)の拡大図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のフィルムを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0017】
(フィルム)
本実施形態のフィルムは、例えば穿孔加工により、孔が設けられたフィルムである。
本実施形態のフィルムでは、孔の輪郭線が、曲率半径方向外側に位置する曲線部(外側曲線部)と、曲率半径方向内側に位置する曲線部(内側曲線部)とを含む、同じ側に曲率中心を有する曲線部を少なくとも2つ含むことが肝要である。
なお、本実施形態において、孔とは、フィルムを貫通する貫通孔をいう。
【0018】
<第一実施形態>
【0019】
図1は、本発明のフィルムの第一実施形態をフィルムの上部から見た図である。なお、以下では、説明の都合上、図1中(図2図3についても同様)の紙面上側を「上(上方)」、紙面下側を「下(下方)」と言う。
なお、第一実施形態をフィルムの孔の形状については後述する。
【0020】
本実施形態のフィルムは、ポリエチレン系フィルム、ポリプロピレン系フィルム等のポリオレフィンフィルム;ポリオレフィンとナイロンやエチレン-ビニルアルコール共重合体等の積層フィルム;等が挙げられ、中でも熱収縮力が比較的低いポリエチレン系フィルム、ポリプロピレン系フィルムが好ましく、ポリエチレン系フィルムがより好ましい。
【0021】
上記ポリエチレン系フィルムを構成するポリエチレン系樹脂としては、例えば、エチレン-α-オレフィン共重合体、高圧法低密度ポリエチレン等が挙げられる。上記ポリエチレン系フィルムは、多層フィルムであってもよいし、単層フィルムであってもよい。
【0022】
上記エチレン-α-オレフィン共重合体とは、エチレンと、炭素数が3~18のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種の単量体との共重合体をいう。
上記炭素数が3~18のα-オレフィンとしては、プロピレン、ブテン-1、ペンテン-1、4-メチル-ペンテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1、デセン-1、ドデセン-1等が挙げられる。
上記エチレン-α-オレフィン共重合体を製造する際に用いられる重合触媒は、特に限定されないが、例えば、マルチサイト触媒やシングルサイト触媒等が挙げられる。
上記エチレン-α-オレフィン共重合体は、1種を単独で又は2種以上の密度やコモノマー種の異なるものを混ぜて用いてもよい。
【0023】
上記高圧法低密度ポリエチレンは、高圧法で製造された低密度のポリエチレンであり、繰り返し単位のエチレンがランダムに分岐を持って結合し、長鎖分岐を有するポリエチレン系樹脂である。
高圧法低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.910~0.929g/cmであり、より好ましくは0.915~0.929g/cmである。なお、「密度」は、JIS K 6922に準じて測定される値を意味する。
高圧法低密度ポリエチレンの製造方法は、一般に公知の方法が使用できる。一般に100~300℃、100~350MPaの高温高圧下でパーオキサイド等の遊離基発生剤の存在下でエチレン及びα-オレフィンをオートクレーブ又はチューブリアクター等で重合することにより、高圧法低密度ポリエチレンを製造することができる。
【0024】
本実施形態のフィルムは、延伸加工性を向上させ、押出安定性を向上させる観点から、フィルム中に、高圧法低密度ポリエチレンを5~50質量%使用していてもよい。高圧法低密度ポリエチレンの使用量は、8~40質量%であることが好ましく、10~30質量%であることがより好ましい。高圧法低密度ポリエチレンを50質量%以下とすることで、熱収縮包装時の破断伸びが向上し、裂けトラブルを減少しやすくなる。
【0025】
本実施形態のフィルムを多層化する場合は、フィルムに柔軟性と延伸安定性を付与することができる観点から、内部層にエチレン-α-オレフィン共重合体とともにエチレン-酢酸ビニル共重合体を含有させることが好ましい。内部層に使用するエチレン-酢酸ビニル共重合体を含有させることが好ましい。内部層に使用するエチレン-酢酸ビニル共重合体において、酢酸ビニルの含有量が増加するほど、融点が下がり柔軟になる。酢酸ビニル含有量としては、エチレン酢酸ビニル共重合体中に1~30質量%が好ましく、より好ましくは1~20質量%、さらに好ましくは1~15質量%である。
【0026】
本実施形態のフィルムには、フィルムの透明性を損なわない限り、0~30質量%の範囲の、ポリプロピレン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、エチレン系樹脂等の樹脂を含んでもよい。また、多層化して、これらの樹脂を内部層として用いてもよい。
【0027】
本実施形態のフィルムは、耐熱性が付与されるという観点や、5~15μm程度の厚さでも安定して延伸を行うことができるという観点から、架橋処理を行ったフィルムが好ましい。
架橋度の尺度としてはゲル分率が用いられる。ここで、ゲル分率とは、沸騰パラキシレンにフィルムを12時間浸漬した後、溶解しないで残存している部分の割合であり、次式により表される。
ゲル分率(質量%)=(浸漬後のフィルムの質量/浸漬前のフィルムの質量)×100
本実施形態のフィルムのゲル分率は、フィルムの延伸性や耐熱性の観点から、5~40質量%であることが好ましく、10~35質量%であることがより好ましい。
【0028】
架橋処理の方法としては、例えば、電子線、紫外線、X線、α線、γ線等のエネルギー線の照射が挙げられる。架橋処理の好ましい照射線量の範囲は10~150kGyであり、ヒートシール性と延伸安定性の観点から20~120kGyがより好ましい。
【0029】
本実施形態のフィルムとしては、延伸処理を施したフィルムが好ましい。具体的には、未延伸の熱収縮性フィルムに架橋処理を行い、各層を構成する樹脂の融解ピーク温度より10℃以上高い温度で、流れ方向及び/又は幅方向に6倍以上の逐次二軸延伸又は同時二軸延伸を行うことが好ましい。延伸の方法としては、特にダブルバブルインフレーション法によるのが好ましく、該方法は10μm程度の薄いフィルムを延伸するのに好適である。
【0030】
なお、本明細書において、流れ方向(MD方向)とは、フィルム形成時の押出方向をいい、幅方向(TD方向)とは、フィルム表面において押出方向に直交する方向をいう。
【0031】
ダブルバブルインフレーション法によって製膜する製造方法としては、具体的には、以下の方法等が挙げられる。
押出機を用いて各層を構成する樹脂組成物を溶融押出して、1層ずつ環状ダイス内で順次合流させるか、環状ダイス内で1度に合流させて、多層のチューブ状未延伸原反を得る。このとき、1層につき1台の押出機を使用してもよいし、1台の押出機から環状ダイスに樹脂組成物が流入するまでに2つ以上に分割して、複数の層としてもよい。これを急冷固化したものを延伸機内に誘導し、延伸開始点の加熱温度を該樹脂組成物の融点-10℃~融点+40℃までの範囲に設定しながら、速度差を設けたニップロール間でエアー注入を行い、流れ方向、幅方向に、それぞれ4.0倍以上の延伸を行う。
延伸倍率の上限として、延伸安定性の観点から12.0倍以下が好ましい。各層を構成する樹脂組成物の融点以上で延伸することで、高倍率延伸ができ、収縮率の高いフィルムが得られる。
【0032】
本実施形態のフィルムは、100℃の収縮率が、1%以上30%未満であり、110℃の収縮率が、30%以上95%以下であることが好ましい。また、包装仕上がりが良好となる観点から、140℃の収縮率が、68%以上95%以下であることが好ましい。
ここで、収縮率とは、フィルムの流れ方向の収縮率と幅方向の収縮率の平均値である。
収縮率は、加熱前(収縮前)及び各温度で熱風乾燥器中30分間加熱した後(収縮後)のフィルムの流れ方向及び幅方向の長さを測定し、測定した長さを用いて、各方向の収縮率を下記式より算出し、流れ方向の収縮率及び幅方向の収縮率の平均を算出することで求めることができる。
収縮率(%)={(収縮前の長さ-収縮後の長さ)/収縮前の長さ}×100
【0033】
本実施形態のフィルムは、収縮率が上記範囲であると、フィルムで熱収縮包装した包装容器を、電子レンジ加熱等で再加熱する時に被包装容器が変形しにくくなり、また、低温包装しやすくなる。ここでいう低温包装には、熱収縮包装時のシュリンクトンネルの設定温度の低温化、シュリンクトンネル内の通過時間の短縮、包装体からシール線を遠ざける、等を含み、収縮小皺を抑制することができる。
【0034】
得られたフィルムは所定のサイズにスリット加工し、包装に用いることができる。
【0035】
本実施形態のフィルムの厚みは、省資源とフィルムの実用性の観点から、5~15μmであることが好ましいく、6~12μmであることがより好ましく、7~10μmであることがさらに好ましい。蓋付き容器の弁当や惣菜の包装用フィルムとしては、10μm以下の厚みでも十分である。
【0036】
本実施形態のフィルムは、構成するいずれかの層に界面活性剤や防曇剤が含まれていてもよい。例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、エチレンオキサイド付加物等の防曇剤、流動パラフィン等の可塑剤等の添加剤を、各層を構成する樹脂組成物に対して、0.1~10.0質量%含有すると、加工性や包装時のフィルムの走行性等が向上し好ましい。特に、透明性の観点から、各層を構成する樹脂組成物に対して、ポリグリセリン脂肪酸エステル等を0.5~10質量%配合するとより好ましく、帯電防止性と滑り性の観点も考慮すれば、0.8~6質量%配合するのがさらに好ましい。
上記添加剤は、一種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
本実施形態のフィルムは、構成するいずれかの層に、本来の特性と透明性を損なわない範囲で、天然シリカ、合成シリカ、飽和脂肪酸アマイド、不飽和脂肪酸アマイド、タルク等の滑剤が含まれていてもよい。
【0038】
本実施形態のフィルムには、印刷用途にも適したフィルムとなる観点から、コロナ処理、オゾン処理、火炎処理等の表面処理を行ってもよい。上記表面処置は、穿孔処理前、穿孔処理後のどちらに行ってもよい。
印刷処理を行う場合には、被印刷面となる表面層を構成する樹脂組成物にグリセリン脂肪酸エステル等を0.5~5.0質量%添加し、フィルム形成後、被印刷面にコロナ処理を行ってから、印刷処理を行うのが好ましい。帯電防止性やインク剥がれ防止の観点から、グリセリン脂肪酸エステル等の添加量としては、表面層を構成する樹脂組成物に対して、0.8~3.0質量%であることがより好ましい。
【0039】
さらに、本実施形態のフィルムは、構成するいずれかの層に、可塑剤として、アルコン(商標)、クリアロン(登録商標)、アイマーブ(登録商標)等の粘着付与樹脂や石油系樹脂を含んでもよい。上記可塑剤の含有量としては、各層を構成する樹脂組成物に対して0.1~10質量%とすると収縮性や透明性が向上する場合がある。
【0040】
以下、本実施形態の第一実施形態のフィルムにおける孔の形状について詳述する。
【0041】
図1に示すように、第一実施形態のフィルムの孔の平面視での形状は、アーチ形状をしている。
孔の輪郭線は、上に凸の曲線部A-B-Cからなる輪郭部分と、上に凸の曲線部D-E-Fからなる輪郭部分とを有している。なお、点Bは、AからCまでの曲線部の中点であり、点Eは、DからFまでの曲線部の中点である。孔の輪郭線は、上記両輪郭部分に加えて、直線部A-D及び直線部C-Fを有している。
孔は、A-B-C-F-E-D―Aの輪郭で囲まれた、アーチ形状である。
【0042】
図1に示す例では、曲線部A-B-C及び曲線部D-E-Fは、ともに円弧の一部である。しかしながら、本発明のフィルムでは、かかる構成に限定されることなく、曲線部A-B-C及び曲線部D-E-Fの形状は、特に限定されることなく、楕円弧の一部、放物線の一部、双曲線の一部等であってもよい。
なお、本実施形態では、曲線部は、厳密な意味で、円弧の一部、楕円弧の一部、放物線の一部、双曲線の一部である必要はなく、平面視形状に影響のない程度(例えば、当該曲線の方向に直交する方向の長さ(幅)50μm以下の程度、好適には30μm以下の程度)において、ジグザグ形状、波形形状等となっていてもよい。
【0043】
また、第一実施形態のフィルムでは、孔の方向は、特に限定されないが、包装時に裂けにくくする観点から、図1に示す例のように、直線部A-D及び/又は直線部C-Fが、TD方向に平行となっていることが好ましい。しかしながら、本発明のフィルムでは、かかる構成に限定されることはない。
なお、本実施形態では、直線部は、厳密な意味で、直線である必要はなく、平面視形状に影響のない程度(例えば、当該直線の方向に直交する方向の長さ(幅)50μm以下の程度、好適には30μm以下の程度)において、ジグザグ形状、波形形状等となっていてもよい。
【0044】
第一実施形態のフィルムでは、加工安定性の観点から、図1に示す例のように、曲率半径方向外側に位置する曲線部A-B-Cの長さが、曲率半径方向内側に位置する曲線部D-E-Fの長さより長いものとなっている。しかしながら、本発明のフィルムでは、かかる構成に限定されることはない。
【0045】
第一実施形態では、図1に示す例のように孔が多数設けられている場合、孔の平面視での形状は、全部の孔で同じであってもよく、一部の孔で異なっていてもよい。
【0046】
第一実施形態では、孔の輪郭線をなす曲線部は、直線形状、ジグザグ形状、波形形状等の形状を有して延びるものとする。
【0047】
第一実施形態のフィルムでは、外側に位置する曲線部A-B-Cの延在長さLOeは、100μm~600μmであることが好ましく、より好ましくは120~500μmであり、さらに好ましくは150~400μmである。100μm以上であると、フィルムを加熱収縮させる際に空気の脱気速度が十分なものとなり好ましい。600μm以下であると、フィルムを加熱収縮させた後の孔が十分小さくなり、虫の混入が防げ、好ましい。
【0048】
また、外側に位置する曲線部A-B-Cの両末端間の直線長さLOs、すなわち、線分A-Cの長さが、100μm~300μmであることが好ましく、より好ましくは100~250μmであり、さらに好ましくは120~220μmである。100μm以上であると、フィルムを加熱収縮させる際に空気の脱気速度が十分なものとなり好ましい。300μm以下であると、フィルムを加熱収縮させた後の孔が十分小さくなり、虫の混入が防げ、好ましい。
【0049】
外側に位置する曲線部A-B-Cの両末端間を結ぶ線分A-Cと、外側に位置する曲線部との最大距離DO、すなわちBと線分A-Cとの距離が、1μm~300μmであることが好ましく、より好ましくは5~250μmであり、さらに好ましくは20~200μmである。1μm以上であると、フィルムを加熱収縮させる際に空気の脱気速度が十分なものとなり好ましい。300μm以下であると、フィルムを加熱収縮させた後の孔が十分小さくなり、虫の混入が防げ、好ましい。
【0050】
第一実施形態のフィルムでは、内側に位置する曲線部D-E-Fの延在長さLIeは、100μm~600μmであることが好ましく、より好ましくは120~500μmであり、さらに好ましくは150~400μmである。100μm以上であると、フィルムを加熱収縮させた際に、余計な熱量で孔が拡大しづらく、虫の混入を防ぐのに適度な孔の大きさとなり、好ましい。600μm以下であると、フィルムを加熱収縮させた後の孔が十分小さくなり、虫の混入が防げ、好ましい。
【0051】
内側に位置する曲線部D-E-Fの両末端間の直線長さLIs、すなわち、線分D-Fの長さが、100μm~300μmであることが好ましく、より好ましくは100~250μmであり、さらに好ましくは120~220μmである。100μm以上であると、フィルムを加熱収縮させた際に、余計な熱量で孔が拡大しづらく、虫の混入を防ぐのに適度な孔の大きさとなり、好ましい。300μm以下であると、フィルムを加熱収縮させた後の孔が十分小さくなり、虫の混入が防げ、好ましい。
【0052】
内側に位置する曲線部D-E-Fの両末端間を結ぶ線分D-Fと、内側に位置する曲線部との最大距離DI、すなわちEと線分D-Fとの距離が、1μm~300μmであることが好ましく、より好ましくは5~250μmであり、さらに好ましくは20~200μmである。1μm以上であると、フィルムを加熱収縮させた際に、余計な熱量で孔が拡大しづらく、虫の混入を防ぐのに適度な孔の大きさとなり、好ましい。300μm以下であると、フィルムを加熱収縮させた後の孔が十分小さくなり、虫の混入が防げ、好ましい。
【0053】
第一実施形態のフィルムでは、外側に位置する曲線部A-B-Cと、内側に位置する曲線部D-E-Fとの最大距離DOI、図1に示す例においては線分B-Eの長さが、1μm~300μmであることが好ましく、より好ましくは1~200μmであり、さらに好ましくは1~100μmである。1μm以上であると、フィルムを加熱収縮後の孔径が、電子レンジ加熱の際に容器変形せず空気が抜けるのに十分なものとなり好ましい。300μm以下であると、フィルムを加熱収縮させた後の孔が十分小さくなり、虫の混入が防げ、好ましい。
【0054】
第一実施形態では、本発明の効果を高める意味で、LOe/LIeが、0.17~6であることが好ましく、より好ましくは0.33~3である。
【0055】
また、第一実施形態では、本発明の効果を高める意味で、DOI/DOが、0.01~100であることが好ましく、より好ましくは0.1~10である。
【0056】
第一実施形態のフィルムでは、孔の面積Sが100~45000μmであることが好ましく、より好ましくは150~30000μmであり、さらに好ましくは200~10000μmである。
ここで、孔の面積は、平面視において孔の輪郭線により画成される領域の面積をいうものとする。孔の面積孔が多数設けられている場合には、多数の孔(例えば、任意の10個)についての平均としてよい。
【0057】
第一実施形態では、図1に示す例のように孔が多数設けられている場合、上述される、外側曲線部の延在長さLOe、外側曲線部の両末端間の直線長さLOs、外側曲線部の両末端間を結ぶ直線と外側曲線部との最大距離DO、内側曲線部の延在長さLIe、内側曲線部の両末端間の直線長さLIs、内側曲線部の両末端間を結ぶ直線と内側曲線部との最大距離DI、外側曲線部と内側曲線部との最大距離DOI、孔の面積は、いずれも多数の孔についての平均としてよい。
【0058】
本実施形態では、本実施形態のフィルムで被包装物を包み、加熱によりフィルムを収縮させることによって、被包装物を包装してよい。
【0059】
本実施形態のフィルムは、内側に位置する曲線部D-E-Fの部分が弛んだ構造となっている、別の表現では、曲線部D-E-Fと線分D-Fとで画成されるフィルム部分がフィルム厚さ方向で表側及び裏側に折り曲げられる構造となっているため、熱収縮時に、孔の変形する速度が速くなる。そのため、包装時に包装体内部の空気が素早く抜け、包装スピードを下げずとも見栄えの良い包装体を作成できる。また、外側曲線部及び内側曲線部を設けることにより、フィルムに対して直線状ではなく曲線状の加工が施されているため、加熱収縮の際にノッチ効果の影響を受けづらく、裂けが伝播しづらくなり、フィルムに適当な大きさの孔を形成できる。
【0060】
本実施形態のフィルムは、熱収縮性を備えており、140℃で3分間加熱した時、孔が略円形に変形することが好ましい。
ここで、略円形とは、円形のみならず、楕円形、オーバル形、多角形(例えば、八角形以上)も含む概念である。
【0061】
本実施形態のフィルムは、加熱処理が施されていない状態で、孔の孔径が100~300μmであることが好ましく、より好ましくは100~250μmであり、さらに好ましくは120~220μmである。
本実施形態のフィルムは、防虫性の観点から、140℃で3秒間加熱した後での上記孔の孔径が、100~400μmであることが好ましく、150~350μmであることがより好ましく、150~300μmであることがさらに好ましい。
なお、孔径は、孔の最大径をいうものとし、平面視において孔の輪郭線上にある任意の2点間の直線距離のうち最大の距離をいうものとする。
【0062】
第一実施形態では、図1に示す例のように孔が多数設けられている場合、上記加熱処理前後の孔の孔径は、多数の孔(例えば、任意の10個)についての平均としてよい。
【0063】
本実施形態のフィルムは、140℃で3秒間加熱した時の該加熱前後での上記孔の拡大率が、100~200%であることが好ましく、より好ましくは120~180%である。
【0064】
中でも、140℃の収縮率が68%以上95%以下の熱収縮率のフィルムを用いると、140℃、3秒間の熱処理によって、穿孔の孔径が100~200%拡大し、100~400μmの範囲まで拡大しやすくなる。
【0065】
本実施形態のフィルムの孔の密度は、加熱処理が施されていない状態で、フィルムに穿孔加工が施された加工部において、10~100個/cmであることが好ましく、より好ましくは10~90個/cmであり、さらに好ましくは10~80個/cmである。
孔が10個/cm以上であれば、包装時に空気の抜けが良好であるため、ラインスピードが速い状態でも外観が良好な状態で包装が可能となる。孔が100個/cmを超えてくると、包装後に穿孔が目立ってしまい外観が悪くなる。
ここで、穿孔加工が施された加工部とは、MD方向1cm×TD方向1cmの範囲において孔が少なくとも1個設けられている領域の集合を指す。
【0066】
本実施形態において、孔の最小間隔は、好ましくは1~10mmであり、より好ましくは1~5mmである。
なお、孔の最小間隔とは、フィルム上の任意の2つの孔間の距離のうちの最小値をいう。
【0067】
本実施形態では、孔が、フィルムのMD方向及びTD幅方向について、一定のピッチで設けられていてよい。なお、ピッチは長手方向と幅方向とにおいて異なっていてもよい。かかるピッチは、1~10mmであることが好ましく、より好ましくは1~5mmである。
【0068】
本実施形態では、穿孔加工が施された加工部の面積は、フィルム面積の3~40%であることが好ましく、より好ましくは5~30%である。
【0069】
本実施形態では、この穿孔は、フィルムで被包装物たる容器を包装する場合、容器上面に穿孔加工された領域が位置するように、フィルム中央部に行うのが好ましい。孔が容器上面に位置することで、電子レンジで過熱した際に容器蓋の蒸気口から抜け出た蒸気を逃がしやすく、容器の変形を抑制することが可能となる。
【0070】
また、この穿孔の加工部位は、包装の際に容器や包装機との接触による破れの原因とならないよう、容器天面のTD方向の幅より内側に位置するよう加工することが望ましい。
【0071】
穿孔加工が施された加工部はフィルムのTD方向に連続的に形成されてよく、加工部のTD方向幅は、被包装物の周長の2~50%となるように調整するとよい。
なお、被包装物の周長とは、本実施形態のフィルムで包装する被包装物のフィルムTD方向の周長をいう。
【0072】
本フィルムの穿孔処理方法は、本発明をみたす穿孔が形成できるものであれば、特に限定されるものではない。本実施形態の穿孔は特公平10-2805343号、特開2016-059967公報等に記載のような周知の構成の装置によって形成される。すなわち、周面に微小な突起刃が多数形成された刃付ローラーと、共に回転する受けローラーの間にフィルムを通すことで、本実施形態の孔が形成される。
その際、突起刃の形状を工夫することで、本実施形態の孔を形成することができる。また、フィルムを2枚以上重ねて、穿孔処理を行ってもよい。
【0073】
<第二実施形態>
図2は、本発明のフィルムの第二実施形態をフィルムの上部から見た図である。
以下、この図を参照して本発明のフィルムの第二実施形態について説明するが、前述した第一実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0074】
図2に示すように、第二実施形態のフィルムの孔の平面視での形状は、三日月形状をしている。
孔の輪郭線は、上に凸の曲線部A-B-Cからなる輪郭部分と、上に凸の曲線部D-E-Fからなる輪郭部分とを有している。なお、点Bは、AからCまでの曲線部の中点であり、点Eは、DからFまでの曲線部の中点である。
孔は、A-B-C-E-Aの輪郭で囲まれた、三日月形状である。
【0075】
図2に示す例では、曲線部A-B-C及び曲線部A-E-Cは、ともに楕円弧の一部である。しかしながら、本発明のフィルムでは、かかる構成に限定されることなく、曲線部A-B-C及び曲線部A-E-Cは、特に限定されることなく、円弧の一部、放物線の一部、双曲線の一部等であってもよい。
【0076】
<第三実施形態>
図3は、本発明のフィルムの第三実施形態をフィルムの上部から見た図である。
以下、この図を参照して本発明のフィルムの第三実施形態について説明するが、前述した第一実施形態、第二実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
図3に示すように、第三実施形態のフィルムの孔の平面視での形状は、逆U字形状をしている。
孔の輪郭線は、上に凸の曲線部A-B-Cからなる輪郭部分と、上に凸の曲線部D-E-Fからなる輪郭部分とを有している。なお、点Bは、AからCまでの曲線部の中点であり、点Eは、DからFまでの曲線部の中点である。孔の輪郭線は、上記両輪郭部分に加えて、MD方向に平行な直線部A-J、TD方向に平行な直線部J-I、MD方向に平行な直線部I-D、MD方向に平行な直線部F-H、TD方向に平行な直線部H-G、MD方向に平行な直線部G-Cを有している。
孔は、A-B-C-G-H-F-E-D-I-J-Aの輪郭で囲まれた、逆U字形状である。
【0077】
図3に示す例では、曲線部A-B-C及び曲線部D-E-Fは、ともに円弧の一部である。しかしながら、本発明のフィルムでは、かかる構成に限定されることなく、曲線部A-B-C及び曲線部D-E-Fの形状は、特に限定されることなく、楕円弧の一部、放物線の一部、双曲線の一部等であってもよい。
また、図3に示す例では、C-G-H-Fの輪郭及びD-I-J-Aの輪郭は、複数の直線部からなるものである。しかしながら、本発明のフィルムでは、かかる構成に限定されることなく、C-G-H-Fの輪郭及びD-I-J-Aの輪郭は、直線部に加えて曲線部を含むものであってもよく、複数の曲線部からなるものであってもよい。
【0078】
上述の第一実施形態のフィルムでは、曲線部A-B-Cと曲線部D-E-Fとが、同じ側(紙面下側)に曲率中心を有しており、曲線部A-B-Cが曲率半径方向外側に、曲線部D-E-Fが曲率半径方向内側に、位置している。
上述の第二実施形態のフィルムでは、曲線部A-B-Cと曲線部A-E-Cとが、同じ側(紙面下側)に曲率中心を有しており、曲線部A-B-Cが曲率半径方向外側に、曲線部D-E-Fが曲率半径方向内側に、位置している。
上述の第二実施形態のフィルムでは、曲線部A-B-Cと曲線部D-E-Fとが、同じ側(紙面下側)に曲率中心を有しており、曲線部A-B-Cが曲率半径方向外側に、曲線部D-E-Fが曲率半径方向内側に、位置している。
【0079】
上述の第一の実施形態、第二の実施形態、第三の実施形態のフィルムでは、いずれにおいても、孔の輪郭線が含む曲線部は2つである。
しかしながら、本発明のフィルムでは、かかる構成に限定されることはなく、例えば、孔の輪郭線が含む曲線部は、3つ以上(例えば、3つ、4つ、5つ、6つ等)であってよく、また、外側曲線部及び内側曲線部がそれぞれ複数であってよい。
【0080】
本発明は、第一の実施形態、第二の実施形態、第三の実施形態以外のその他の実施形態も含む。
【0081】
その他の実施形態としては、例えば、外側曲線部の円弧の一部が、第一の実施形態のような中心角が180°の円弧(半円弧)に限られず、中心角が180°超の円弧であってよい(図4参照)。
かかる中心角は、210°以上、240°以上等としてよく、300°以下、270°以下等としてよい。
上記実施形態における諸寸法は、第一の実施形態の場合と同様に定められてよく、具体的には図4に示すように定められてよい。
【0082】
また、その他の実施形態としては、例えば、外側曲線部の円弧の一部が、第一の実施形態のような中心角が180°の円弧(半円弧)に限られず、中心角が180°未満の円弧であってよい(図5参照)。
かかる中心角は、60°以上、90°以上等としてよく、150°以下、120°以下等としてよい。
上記実施形態における諸寸法は、第一の実施形態の場合と同様に定められてよく、具体的には図5に示すように定められてよい。
【0083】
さらに、その他の実施形態としては、例えば、孔の輪郭線が直線部を含んでいなくてもよい(図6参照)。
具体的には、図6に示すように、第一の実施形態における2つの直線部(図1における直線部A-D及び直線部C-F)を、2つの曲線部(図6における2つの下方に凸の半円弧)に代えてよい。
上記実施形態における諸寸法は、第一の実施形態の場合に準じて定められてよく、具体的には図6に示すように定められてよい。
【0084】
さらに、その他の実施形態としては、例えば、2つの外側曲線部の間に外側直線部が設けられ、2つの内側曲線部の間に内側直線部が設けられていてもよい(図7参照)。
なお、本実施形態において、上記の外側曲線部と上記の内側曲線部とを合わせて「曲線部組」ともいい、また、上記の外側直線部と上記の内側直線部とを合わせて「直線部組」ともいう。
言い換えれば、図7の例では、2つの曲線部組が1つの直線部組を挟むように設けられていてもよい。
具体的には、図7(A)に示すように、第一の実施形態における外側曲線部を、第一外側曲線部A-B-Cと第二外側曲線部A’-B’-C’とに分け、元の外側曲線部の中央部分を、1つの外側直線部C-C’に代えてよい。また、図7(A)に示すように、第一の実施形態における内側曲線部を、第一内側曲線部D-E-Fと第一内側曲線部D’-E’-F’とに分け、元の内側曲線部の中央部分を、1つの内側直線部F-F’に代えてよい。
上記実施形態における諸寸法は、第一の実施形態の場合に準じて定められてよく、具体的には図7(B)に示すように定められてよい。図7(B)には、第一外側曲線部についてのみその諸寸法を示す。
なお、図7の例のように、同じ側に曲率中心を有する2つの曲線部組が設けられている場合には、上述される、外側曲線部の延在長さLOe、外側曲線部の両末端間の直線長さLOs、外側曲線部の両末端間を結ぶ直線と外側曲線部との最大距離DO、内側曲線部の延在長さLIe、内側曲線部の両末端間の直線長さLIs、内側曲線部の両末端間を結ぶ直線と内側曲線部との最大距離DI、外側曲線部と内側曲線部との最大距離DOIは、いずれも、2つの曲線部組についての合計としてよい。
また、図7の例のように、同じ側に曲率中心を有する2つの曲線部組が設けられている場合には、LOe/LIe、DOI/DOは、いずれも、2つの曲線部組についての平均としてよい。
【0085】
さらに、その他の実施形態としては、例えば、2つの外側曲線部の間に該2つの外側曲線部とは異なる側に曲率中心を有する外側曲線部が設けられ、2つの内側曲線部の間に該2つの内側曲線部とは異なる側に曲率中心を有する内側曲線部が設けられていてもよい(図8参照)。
言い換えれば、図8の例では、同じ側に曲率中心を有する2つの曲線部組が該2つの曲線部組とは異なる側に曲率中心を有する1つの曲線部組を挟むように設けられていてもよい。
具体的には、図8(A)に示すように、上方に位置する曲線部は、円弧以外の曲線からなり上方に凸の曲線部A-B-Cと、円弧以外の曲線からなり下方に凸の曲線部C-C’と、円弧以外の曲線からなり上方に凸の曲線部C’-B’-A’とを含み、また、下方に位置する曲線部は、円弧以外の曲線からなり上方に凸の曲線部D-E-Fと、円弧以外の曲線からなり下方に凸の曲線部F-F’と、円弧以外の曲線からなり上方に凸の曲線部D’-E’-F’とを含む。
この例では、孔の輪郭線は、直線部A-Dと、直線部A’-D’とをさらに含む。
また、この例では、外側曲線部について、点C及び点C’が変曲点となっており、また、内側曲線部について、点F及び点F’が変曲点となっている。
さらに、この例では、点Bと点Eとを結ぶ直線部の長さがDOIとなっている。
上記実施形態における諸寸法は、第一の実施形態の場合に準じて定められてよく、具体的には図8(B)に示すように定められてよい。図8(B)には、曲線部A-B-Cと曲線部D-E-Fと直線部A-Dと仮想線分C-Fとにより画成される孔部分についてのみその諸寸法を示す。
なお、図8の例のように、同じ側に曲率中心を有する2つの曲線部組と該2つの曲線部組とは異なる側に曲率中心を有する1つの曲線部組とが設けられている場合には、上述される、外側曲線部の延在長さLOe、外側曲線部の両末端間の直線長さLOs、外側曲線部の両末端間を結ぶ直線と外側曲線部との最大距離DO、内側曲線部の延在長さLIe、内側曲線部の両末端間の直線長さLIs、内側曲線部の両末端間を結ぶ直線と内側曲線部との最大距離DI、外側曲線部と内側曲線部との最大距離DOIは、いずれも、3つの曲線部組についての合計としてよい。
また、図8の例のように、同じ側に曲率中心を有する2つの曲線部組と該2つの曲線部組とは異なる側に曲率中心を有する1つの曲線部組とが設けられている場合には、LOe/LIe、DOI/DOは、いずれも、3つの曲線部組についての平均としてよい。
【0086】
(包装体)
本実施形態の包装体は、被包装物が本実施形態のフィルムで包装されているものとしてよい。
【0087】
被包装物としては、固形物や半固形物であることが好ましく、特に、食品や食品を内部に擁した弁当・惣菜容器であることが好ましい。
食品としては、例えば、肉類、魚介類、野菜類、果物類、麺類、飯類等が挙げられる。
肉類としては、例えば、カツレツ、から揚げ等が挙げられる。魚介類としては、例えば、シーフードフライ等が挙げられる。野菜類としては、例えば、ブロッコリー、ニンジン等の温野菜やコロッケ等が挙げられる。果物類としては、例えば、オレンジ、イチゴ等が挙げられる。麺類としては、例えば、ラーメン、うどん等が挙げられる。飯類としては、例えば、ピラフ、チャーハン等が挙げられる。
【0088】
(ロール体)
本実施形態では、上述の本実施形態のフィルムを紙管等の芯に巻きつけてロール体を作製し、該ロール体を用いて上述の本実施形態の包装体を作製してよい。
【実施例
【0089】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0090】
実施例、参考例、比較例で用いた樹脂は以下のとおりである。
【0091】
・LL1:エチレン-α-オレフィン共重合体(シングルサイト系触媒で重合されたもの)、密度:0.913g/cm、MI:2.0g/10分、融解主ピーク温度:113℃
・LL2:エチレン-α-オレフィン共重合体(マルチサイト系触媒で重合されたもの)、密度:0.916g/cm、MI:2.0g/10分、融解主ピーク温度:120℃
・LD1:高圧法低密度ポリエチレン、密度=0.921g/cm、MI=0.4g/10分
【0092】
[実施例1~3、比較例1、参考例1]
表1に示す組成の樹脂組成物に、ジグリセリンオレート1.0質量%添加したものを環状ダイより単層又は3層原反として押出した後、冷水にて冷却固化して、折り幅120mm、厚さ500μmのチューブ状多層原反を作製した。これを電子線照射装置に誘導し、500kVに加速した電子線を照射し、吸収線量として70kGyになるように架橋処理を行った。これを延伸機内に誘導して再加熱を行い、2対の差動ニップロール間に通して、エアー注入によりバブルを形成し、延伸開始点の加熱温度を140℃に設定し、流れ方向に8倍、幅方向に7倍の倍率でそれぞれ延伸を行い、平均厚みが9μm、表面層/内部層/表面層の各厚み比率(%)がそれぞれ、15/70/15の熱収縮性フィルムを得た。フィルムの100℃の収縮率は、MD/TD=15%/25%であった。
【0093】
実施例1~3の熱収縮性フィルムへの穿孔加工は、以下のように行った。
刃付ローラーと、共に回転する受けローラーの間にフィルムを通し、表1に示す通りのサイズ、間隔を調整して、切り込み及び穿孔を形成した。このとき、孔の形状はアーチ形状となった。実施例1~3の孔の形状については表1に示す通りとなった。
実施例4、5の熱収縮性フィルムへの穿孔加工も、上記実施例1~3における加工と同様に行った。実施例4の孔の形状は、三日月形状、実施例5の孔の形状は、逆U字形状となった。
【0094】
比較例1の熱収縮性フィルムへの穿孔加工は、ダイヤモンドロールと受けロールの間にフィルムを通し、多数の未貫通孔を含む微細孔を形成した後、誘電体ロールと電極の間を通過させアーク放電によって未貫通孔を貫通させることで、表1に示す通りのサイズの穿孔を形成した。このとき穿孔の形状は略円形状となった。
【0095】
なお、実施例、比較例において、フィルムにおける穿孔加工した領域の面積及び箇所は、全て同じとした。
穿孔加工が施された加工部は、フィルム中央部とし、領域の面積はフィルム面積の10%とした。
【0096】
参考例1の熱収縮性フィルムへの穿孔加工は、直径1.0mmの針状突起を5mmの長さまでフィルムに刺し、表1に示す通りのサイズの穿孔を形成した。なお、穿孔の間隔はTD方向に15mm間隔で5個、MD方向に15mm間隔でフィルム中央部に形成を行った。
【0097】
実施例、参考例、比較例における孔の諸寸法は、表1に記載のとおりとした。
【0098】
以下に、実施例、参考例、比較例において用いた測定方法を記す。
【0099】
(1)熱処理前の孔の孔径、孔の形状
穿孔加工により、形成したフィルムの孔のうち10個を任意に選び、その10個について、マイクロメーター(株式会社キーエンス製、製品名:本体「VHX-5000」、レンズ「VH-ZST」)により、最大径を測定し(下記例におけるアーチ形状の孔においては、上に凸の外側に位置する曲線の両末端間の直線の長さを測定し、下記例における円形状の孔については最も長い孔径を測定し)、その平均値を熱処理前の穿孔の孔径(μm)とした。また、熱処理前の上記10個の孔について平面視での形状を観察した。
【0100】
(2)熱処理後の孔の孔径、孔の形状
穿孔加工したフィルムを幅550mm、長さ1000mのサイズにスリットし、15cm×30cmのサイズの木枠へ熱収縮後に面積比率で10%収縮するように貼り付け、シュリンクトンネル(ケーユーシステム社製:FB800)内の温度を140℃、滞留時間を3秒に設定し、上記木枠に貼り付けたフィルムを通して、熱処理を行った。熱処理後のフィルムの中央部の孔のうち10個を任意に選び、その10個の孔径を「(1)熱処理前の孔の孔径」に記載のとおり測定し、その平均値を熱処理後の穿孔の孔径(μm)とした。また、熱処理後の上記10個の孔について平面視での形状を観察した。
【0101】
(3)包装評価
フィルムを550mm幅にスリットし、株式会社フジキカイ製の「FW-3451A-αV(商品名)」を用いて、シーピー化成株式会社製の「RF豚角丼内17(商品名)」に20℃の米飯を約200g入れた30パックをピロー包装し、それぞれのフィルムでトンネル温度140℃、通過時間3秒と設定して、熱処理を行い、以下の基準に従って、包装時の仕上がりの評価を行った。
なお、ピロー包装は、ファンの風量の条件を変化させながら、行った。ファンの風量が30Hzから60Hzに変化するにつれ、ライン速度が遅くなるのと同等の効果がある。
(包装仕上がり)
○:包装体に小皺や角残りが無く、空気溜りが残っていないもの。
△:包装体に小皺や角残りがあるが、空気溜りが残っていないもの。
×:フィルムが収縮しきらずに、空気溜りが残っているもの。
【0102】
(4)虫侵入テスト
市販の蒸気口付き容器に入れられたパスタを各フィルムで熱収縮包装した弁当包装体を、25℃に調整した部屋で、ナイロンゴースケージ(30cm×30cm×高さ30cm)内の床面に設置し、オオキモンノミバエ100頭をケージ内に放して試験を開始した。放虫24時間後に各包装体内の侵入虫数を調査した。
【0103】
(5)外観評価
シーピー化成株式会社製の「RF豚角丼内17(商品名)」の蓋に、8ポイントの文字で印刷されたシールを貼り付け、中に20℃の米飯を約200g入れ、各フィルムで熱収縮包装したサンプルの天面の文字を、天面に対して20°の角度から見た時に、容易に判別可能かどうかによって外観を以下のように評価した。
○:問題なく文字を判別できる。
△:少し文字が判別しづらい。
×:非常に文字が判別しづらい。
【0104】
【表1】
【0105】
実施例1~3では、包装仕上がり、虫侵入テストにおいて、良好であった。
比較例1では包装の仕上がりが良好となる条件が無く、比較例3では包装体は小皺や角のない仕上がりとなったが、穿孔の密度が極めて高いため、穿孔が目立ち販売品としては不適当なものであった。
参考例1では、熱処理後の穿孔の孔径が大きく、包装後の虫侵入テストにおいて多くの虫が侵入する結果であった。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、包装スピードを下げることなく見栄えの良い包装体を作製でき、かつ小型昆虫の侵入を確実に阻止することができる、フィルムを提供することができる。
【符号の説明】
【0107】
LOe 外側曲線部の延在長さ
LOs 外側曲線部の両末端間の直線長さ
DO 外側曲線部の両末端間を結ぶ直線と外側曲線部との最大距離
LIe 内側曲線部の延在長さ
LIs 内側曲線部の両末端間の直線長さ
DI 内側曲線部の両末端間を結ぶ直線と内側曲線部との最大距離
DOI 外側曲線部と内側曲線部との最大距離
S 孔の面積
図1
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