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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-05
(45)【発行日】2023-04-13
(54)【発明の名称】遮水装置及び遮水方法
(51)【国際特許分類】
   E02B 7/22 20060101AFI20230406BHJP
【FI】
E02B7/22
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019106815
(22)【出願日】2019-06-07
(65)【公開番号】P2020200613
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】596133119
【氏名又は名称】中電プラント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100138955
【弁理士】
【氏名又は名称】末次 渉
(72)【発明者】
【氏名】西山 留夫
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-158847(JP,A)
【文献】中国実用新案第207017233(CN,U)
【文献】中国実用新案第206873412(CN,U)
【文献】特開平11-021863(JP,A)
【文献】実公昭39-004876(JP,Y1)
【文献】登録実用新案第3189320(JP,U)
【文献】特開2016-017277(JP,A)
【文献】実開昭54-078334(JP,U)
【文献】実公昭46-028666(JP,Y1)
【文献】特開2004-285804(JP,A)
【文献】特開平09-003861(JP,A)
【文献】特開平09-256348(JP,A)
【文献】特開2001-241029(JP,A)
【文献】特開2002-201628(JP,A)
【文献】特開2006-299666(JP,A)
【文献】特開2014-037726(JP,A)
【文献】実開平05-030226(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水路に設置される支持ポールと、
水路に積層される複数の遮水材と、
前記遮水材を積層する際に用いられる組立用治具と、を備え、
前記組立用治具は、前記支持ポールが挿入される穴が形成され、前記穴を介して前記支持ポールに回転可能且つ前記支持ポールの長手方向に移動可能に取り付けられる取付部と、前記取付部から直接又は間接的に突出し、前記遮水材を押さえる押さえ板部と、を有
前記組立用治具は、前記押さえ板部が前記取付部から直接又は間接的に屈曲して突出しているとともに、前記押さえ板部と前記取付部との角度を調整する角度調整機構と、前記押さえ板部と前記取付部との角度を固定する固定機構と、を有する、
ことを特徴とする遮水装置。
【請求項2】
前記遮水材に貫通穴が形成されており、前記貫通穴に挿入される補助ポールを備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の遮水装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の遮水装置を水路に設置して遮水する遮水方法であって、
水路を横切るように複数の前記支持ポールを設置する支持ポール設置工程と、
前記支持ポールの前に複数の前記遮水材を積層する遮水材積層工程と、を備え、
前記支持ポールにはそれぞれ前記組立用治具が取り付けられており、
前記遮水材積層工程では、前記組立用治具で積層された前記遮水材を押さえて固定し、前記遮水材の浮き上がりを抑制する、
ことを特徴とする遮水方法。
【請求項4】
前記遮水材積層工程では、積層されている前記遮水材の上に他の前記遮水材を積層し、他の前記組立用治具で他の前記遮水材を押さえて固定する、
ことを特徴とする請求項に記載の遮水方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮水装置及び遮水方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水力発電所では、ケーシング内に配置された水車を回転させることで発電しており、ケーシングに流入させた水は放水路を通じて河川に排出される。水車等の各設備を点検する際には、放水路を遮水し、内部を水抜きしてから行われる。
【0003】
このような放水路などの水路を遮水する場合、一般的に、水路の両壁に刻まれたガイド溝に遮水材をはめて遮水する角落とし方法がなされる(例えば、特許文献1~6)。
【0004】
また、水路に水が存在している状況での遮水材の設置作業時に、遮水材が水による浮力で浮き上がらないよう、遮水材の比重を1より大きくすべく、遮水材に錘等の重量物を内蔵する手法(例えば、特許文献1、3)、遮水材の内部に水を流入させる手法(例えば、特許文献2)など、種々の手法がとられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平9-256348号公報
【文献】特開2001-241029号公報
【文献】特開2002-201628号公報
【文献】特開2006-299666号公報
【文献】特開2014-037726号公報
【文献】実開平5-30226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1~6の方法は、ガイド溝を必要とするので、ガイド溝が土砂で埋もれた場合やガイド溝がない箇所では使用することができない。また、遮水材が浮力を受けて浮き上がることを抑えるべく、遮水材への錘の内蔵など、遮水材の重量が増すと作業性の悪化をきたす。
【0007】
本発明は、上記事項に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、水路の両壁にガイド溝がない箇所においても水路の遮水を可能にすることができるとともに、遮水材が水中で浮力を受けても作業性のよい遮水装置及び遮水方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点に係る遮水装置は、
水路に設置される支持ポールと、
水路に積層される複数の遮水材と、
前記遮水材を積層する際に用いられる組立用治具と、を備え、
前記組立用治具は、前記支持ポールが挿入される穴が形成され、前記穴を介して前記支持ポールに回転可能且つ前記支持ポールの長手方向に移動可能に取り付けられる取付部と、前記取付部から直接又は間接的に突出し、前記遮水材を押さえる押さえ板部と、を有
前記組立用治具は、前記押さえ板部が前記取付部から直接又は間接的に屈曲して突出しているとともに、前記押さえ板部と前記取付部との角度を調整する角度調整機構と、前記押さえ板部と前記取付部との角度を固定する固定機構と、を有する、
ことを特徴とする。
【0011】
また、前記遮水材に貫通穴が形成されており、前記貫通穴に挿入される補助ポールを備えることが好ましい。
【0012】
本発明の第2の観点に係る遮水方法は、
本発明の第1の観点に係る遮水装置を水路に設置して遮水する遮水方法であって、
水路を横切るように複数の前記支持ポールを設置する支持ポール設置工程と、
前記支持ポールの前に複数の前記遮水材を積層する遮水材積層工程と、を備え、
前記支持ポールにはそれぞれ前記組立用治具が取り付けられており、
前記遮水材積層工程では、前記組立用治具で積層された前記遮水材を押さえて固定し、前記遮水材の浮き上がりを抑制する、
ことを特徴とする。
【0013】
また、前記遮水材積層工程では、積層されている前記遮水材の上に他の前記遮水材を積層し、他の前記組立用治具で他の前記遮水材を押さえて固定することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、水路の両壁にガイド溝がない箇所においても水路の遮水を可能にすることができるとともに、遮水材が水中で浮力を受けても作業性のよい遮水装置及び遮水方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】組み立てられた遮水装置の外観を示す斜視図である。
図2】組立用治具の平面図(図2(A))及び断面図(図2(B))である。
図3図3(A)は、遮水装置を組み立てる様子を示す正面図、図3(B)は図3(A)のA-A’方向を見た図である。
図4】遮水装置を組み立てる様子を示す図である。
図5図5(A)は、遮水装置を組み立てる様子を示す正面図、図5(B)は図5(A)のA-A’方向を見た図である。
図6】組立用治具が遮水材を押さえている状態を示す図である。
図7図7(A)は、遮水装置を組み立てる様子を示す正面図、図7(B)は図7(A)のA-A’方向を見た図である。
図8図8(A)は、遮水装置を組み立てる様子を示す正面図、図8(B)は図8(A)のA-A’方向を見た図である。
図9図9(A)は、遮水装置を組み立てる様子を示す正面図、図9(B)は図9(A)のA-A’方向を見た図である。
図10図10(A)は、遮水装置を組み立てた状態を示す正面図、図10(B)は図10(A)のA-A’方向を見た図である。
図11】他の形態に係る遮水装置を組み立てた状態を示す正面図である。
図12】他の形態に係る遮水装置を組み立てた状態を示す上面図である。
図13】他の形態に係る遮水装置を組み立てた状態を示す上面図である。
図14】他の形態に係る組立用治具の断面図である。
図15】他の形態に係る組立用治具の斜視図(図15(A))、及び、断面図(図15(B))である。
図16】他の形態に係る組立用治具の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図を参照しつつ、本実施の形態に係る遮水装置、及び、遮水方法について説明する。図1に示すように、遮水装置1は、支持ポール10a~10c、遮水材20a~20f、組立用治具30a~30c、補助ポール40a、40bを備える。
【0017】
支持ポール10a~10cは、それぞれ組立用治具30a~30cが取り付けられ、組立用治具30a~30cを介して積層された遮水材20a~20fを支持する。支持ポール10a~10cは、断面形状が円形状である。支持ポール10a~10cは、複数本(ここでは3本)要し、それぞれの支持ポール10a~10cに組立用治具30a~30cが取り付けられる。支持ポール10a~10cとして、水路の天井高に応じて高さ調節可能なパイプジャッキなどが好適に用いられる。
【0018】
遮水材20a~20fは、垂直方向に積層されて水路内の水を堰き止める機能を果たす。遮水材20a~20fの長さは、水路の幅に応じて適宜設定される。遮水材20a~20fは、水路内への運搬を容易にすべく、水よりも比重の小さい材質から構成される。遮水材20a~20fは、積層状態において遮水材同士20a~20fが密着しやすいよう、断面形状が略矩形状であることが好ましい。遮水材20として、例えば、木製の角材が用いられる。それぞれの遮水材20a~20fには、補助ポール40a、40bが挿入可能なように、貫通穴が同じ位置に形成されていることが好ましい。また、それぞれの遮水材20a~20fの両側面部、及び、水路に設置する際に最下層に配置される遮水材20aの底面部には、スポンジパッキンやゴムパッキンなど、遮水材20a~20fと水路との間を埋める止水パッキンが設置されていてもよい。
【0019】
組立用治具30a~30cは、遮水材20a~20fを積層して組み立てる際、及び、組み立て後において、積層された遮水材20a~20fが浮力で浮き上がらないよう、遮水材20a~20fを鉛直方向に押さえる治具である。組立用治具30a~30cは、板状であり、図2(A)、(B)に示すように、取付部31及び押さえ板部32を有している。
【0020】
取付部31には穴が形成されており、この穴に支持ポール10a~10cが挿入されることで、組立用治具30a~30cが支持ポール10a~10cに取り付けられる。この穴は支持ポール10a~10cの径よりも大きく設定されており、支持ポール10a~10cに対して回転可能、且つ、支持ポール10a~10cの長手方向へ移動可能である。
【0021】
押さえ板部32は、取付部31から突出しており、遮水材20a~20fに接触して遮水材20a~20fを押さえる部分である。押さえ板部32は、取付部31から屈曲して突出している。
【0022】
組立用治具30a~30cは、遮水材20a~20fが浮力により浮上する力で曲がったり破断したりしないよう、十分な機械的強度を有することが要求され、ステンレスなどの金属素材から構成されることが好ましい。
【0023】
図2(B)に示す押さえ板部32の突出角度(θ)は、遮水材20a~20fを押さえている状態で略水平になるように設定される。突出角度は、支持ポール10a~10cの径と取付部31の穴の径の関係、組立用治具30a~30cの厚みによって適宜設定される。例えば、支持ポール10a~10cの径が48mm、取付部31の穴が50mm、組立用治具30a~30cの厚みが5mmである場合、突出角度は17~20°程度であると、押さえ板部32が略水平になる。
【0024】
補助ポール40a、40bは、遮水材20a~20fを垂直方向に真っ直ぐ並べて積層することを容易にする。それぞれの遮水材20a~20fには、同位置に補助ポール40a、40bが挿入可能な貫通穴を有しているので、遮水材20a~20fを補助ポール40a、40bに挿入し積層することで、遮水材20a~20fを一定位置に位置決めし、垂直方向に真っ直ぐ積層することができる。また、補助ポール40a、40bは、水圧によって遮水材20a~20fがばらけることを抑制する機能を果たす。また、下層に配置する遮水材20a~20fの積層を容易にすべく、補助ポール40a、40bは長手方向に分割可能であることが好ましい。
【0025】
続いて、上述の遮水装置1を水路に設置する遮水方法について説明する。まず、図3(A)、(B)に示すように、水路に支持ポール10a~10cを設置する。水路を横切るように支持ポール10a~10cを配置し、支持ポール10a~10cを水路の底面及び天井に突っ張らせることにより固定する。なお、水路には水が存在しており、図3(A)、(B)に水位を示しているが、以降の図においては、水位を省略している。
【0026】
続いて、下層に配置する遮水材20a~20cを組み立てる。水路には一定の高さまで水がある状態であるため、まず、図4に示すように、水面にて、遮水材20a~20cの穴に補助ポール40a、40bを挿入する。そして、図4中、矢印にて示すように、遮水材20a~20cを起こした後、図5(A)、(B)に示すように、支持ポール10a~10cの前に配置する。遮水材20a~20cを起こす際、補助ポール40a、40bが突出している箇所を持って行うことにより、遮水材20a~20cを容易に起こして配置することができる。
【0027】
遮水材20a~20cを支持ポール10a~10cの前に配置した後、組立用治具30a、30cを移動、回転させ、それぞれの押さえ板部32が遮水材20cの上面を垂直方向に押さえるようにして、遮水材20a~20cを固定する。
【0028】
図6に、支持ポール10cに取り付けられている組立用治具30cが遮水材20cを押さえている状態を示している。遮水材20cは浮力によって浮き上がろうとするため、組立用治具30cには、浮力による上向きの回転力がかかる。すると、破線で囲った2箇所が支持ポール10cに当接し、それ以上の組立用治具30cの回転が抑えられる。これにより、遮水材20cの浮き上がりが抑えられることになる。
【0029】
続いて、図7(A)、(B)に示すように、遮水材20dの貫通穴に補助ポール40a、40bに通すようにして、遮水材20cの上に遮水材20dを積層する。そして、組立用治具30bを移動、回転させて、遮水材20dの上面を押さえられる位置に固定する。
【0030】
補助ポール40a、40bを継ぎ足して延長させた後、図8(A)、(B)に示すように、遮水材20eの貫通穴に補助ポール40a、40bに通すようにして、遮水材20dの上に遮水材20eを積層する。ここで、遮水材20cを押さえていた組立用治具30a、30cを回転させ、遮水材20cと遮水材20dの間から外す。そして、組立用治具30a、30cを上方に移動、回転させて、遮水材20eの上面を押さえられる位置に固定する。
【0031】
更に、図9(A)、(B)に示すように、遮水材20fの貫通穴に補助ポール40a、40bに通すようにして、遮水材20eの上に遮水材20fを積層する。ここで、遮水材20dを押さえていた組立用治具30bを回転させ、遮水材20dと遮水材20eの間から外す。そして、組立用治具30bを上方に移動、回転させて、遮水材20fの上面を押さえられる位置に配置する。
【0032】
以上のようにして、水路に遮水材20a~20fを積層して配置することで、遮水装置1が組み立てられ、水路の遮水を行うことができる。なお、遮水装置1を組み立てた後、図10(A)、(B)に示すように、遮水材20e、20fとの間の組み立て用治具30a、30cを上方に移動させて、遮水材20e、20f間に隙間が生じないようにするとよい。また、ジャッキ70を設置し、水路の天井と最上層の遮水材20fとを押圧することで、遮水材20a~20fを密着させるとともに、遮水材20a~20fを強固に固定することができる。また、遮水装置1を組み立てた後、遮水材20a~20fの側面と水路との間に楔を打ち込んでもよい。遮水して下流側の水が無くなった後に遮水材20a~20fが受ける水圧によって、遮水材20a~20fが位置ずれしたり倒壊したりすることが抑えられる。このように、ガイド溝がない水路であっても、且つ、水路に水が存在する状況であっても、遮水装置1を水路内に設置して遮水することが可能である。また、遮水材20a~20fの比重は1より小さい軽量なものを使用することができるので、水路への遮水材20a~20fの運搬のほか、積層も容易であるため、作業性にも優れる。
【0033】
なお、天井がない水路では、図11に示すように、固定ボルト51等の固定手法により、コの字状の支持梁50を設置し、これを利用して支持ポール10a~10cを設置して上記と同様に行えばよい。
【0034】
また、遮水材20a~20fの両端部がテーパー状であってもよい。図12に、両端部がテーパー状の遮水材20a~20fを積層した状態を示しているが、水路の両壁と遮水材20a~20fとの間に楔60を打ち込むことで、組み立てられた遮水材20a~20fの水圧による位置ずれや倒壊を抑えることができる。また、図13に示すように、水路の両壁がテーパー状となっている構造においては、楔がなくとも同様の効果が得られる。
【0035】
また、上記では、3本の支持ポール10a~10c、6本の遮水材20a~20f、3個の組立用治具30a~30c、2本の補助ポール40a、40bを用いた例について説明したが、これらの数量は水路の大きさや水深などに応じて適宜設定され得る。
【0036】
また、押さえ板部32が取付部31から直接突出した組立用治具30a~30cについて説明したが、間接的に押さえ板部32が突出していてもよい。例えば、組立用治具30a~30cは、図14に示すように、取付部31と押さえ板部32とが接続部33を介して繋がっており、押さえ板部32が取付部31から間接的に突出した形態であってもよい。
【0037】
また、図15(A)、(B)に示すように、組立用治具30a~30cは、押さえ板部32と取付部31との間に折れ曲がり構造を有する形態であってもよい。そして、折れ曲がり構造の箇所に、補強部34を有していてもよい。このような構造により、遮水材20a~20fの押さえ付けをより強固に行うことができる。
【0038】
なお、押さえ板部32が取付部31から間接的に突出している場合、図14図15(B)に示しているように、取付部31と押さえ板部32とのなす角度θが上述した突出角度として適宜設定される。
【0039】
また、組立用治具30a~30cは、押さえ板部32と取付部31との角度が調節可能な角度調整機構、及び、任意の角度で固定可能な固定機構を備えた形態であってもよい。例えば、図16に示すように、取付部31と押さえ板部32とは、角度調整機構として、ヒンジ35を介して繋がっており、取付部31に対して押さえ板部32が回転することで、取付部31と押さえ板部32との角度θが調節可能な構造が挙げられる。そして、紙面上、取付部31に対する押さえ板部32の時計回りの回転を規制する固定機構として、ナット36、スクリュー37を有している。取付部31にスクリュー37が貫通可能な孔を有し、その箇所にナット36が固定されており、スクリュー37が螺合している。スクリュー37を回転させることで、スクリュー37が前進、後退する。押さえ板部32は、スクリュー37の先端部が当接する位置にて、紙面上、時計回りの回転が規制される。このような、組立用治具30a~30cを用いると、取付部31の穴の径、取付部31の厚み、支持ポール10a~10cの径に応じて、押さえ板部32の突出角度(取付部31と押さえ板部32との角度θ)を適宜調節して使用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 遮水装置
10a~10c 支持ポール
20a~20f 遮水材
30a~30c 組立用治具
31 取付部
32 押さえ板部
33 接続部
34 補強部
35 ヒンジ
36 ナット
37 スクリュー
40a、40b 補助ポール
50 支持梁
51 固定ボルト
60 楔
70 ジャッキ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16