(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-05
(45)【発行日】2023-04-13
(54)【発明の名称】気密材及び戸体
(51)【国際特許分類】
E06B 7/23 20060101AFI20230406BHJP
E06B 7/22 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
E06B7/23 A
E06B7/22 B
E06B7/23 T
(21)【出願番号】P 2019107441
(22)【出願日】2019-06-07
【審査請求日】2022-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】ギピタック・ラッシャキッ
(72)【発明者】
【氏名】江原 祐介
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-138290(JP,U)
【文献】実開昭57-80591(JP,U)
【文献】特開2004-300809(JP,A)
【文献】特開平10-205238(JP,A)
【文献】実公昭50-31641(JP,Y1)
【文献】実開昭57-185894(JP,U)
【文献】特開2000-199387(JP,A)
【文献】特開平10-121866(JP,A)
【文献】特開平11-172994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/42-3/46
E06B 7/16-7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライド移動可能な戸体の下部に取り付けられ側方に配置される被押圧部に押圧可能な気密材であって、
前記気密材は、上下方向に並んで配置される複数のヒレ部を有し、
前記複数のヒレ部は、それぞれ、先端において上向きに傾斜して延びる上向き傾斜部を有
し、
前記気密材は、前記複数のヒレ部よりも上方側に配置され前記戸体の下部の少なくとも一部を覆うように上方側に突出する上方突出部を有する、気密材。
【請求項2】
前記戸体の下部に取り付けられる請求項
1に記載の気密材を備える戸体であって、
前記戸体の下部には、戸体側嵌合部が形成され、
前記気密材には、前記戸体側嵌合部に嵌合可能な気密材側嵌合部が形成され、
前記気密材側嵌合部及び前記戸体側嵌合部は、前記上向き傾斜部が上向き傾斜の状態で配置された場合のみ嵌合する、戸体。
【請求項3】
前記気密材は、長手方向に延びて形成され、前記気密材側嵌合部が前記戸体側嵌合部に嵌合された状態において、長手方向の複数の位置において、前記戸体側嵌合部においてカシメられて固定されたカシメ部を有する、請求項
2に記載の戸体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気密材及び戸体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スライド移動可能な戸体の下部に気密材が取り付けられた戸体が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の気密材は、戸体がスライド移動する際に、枠体の下枠(被押圧部)に押圧されて、気密性能が確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
戸体の下部に気密材が取り付けられる構成において、簡易な構成で、気密性能をより向上させることができること求められている。
【0005】
本発明は、簡易な構成で、気密性能をより向上させることができる気密材及び戸体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、スライド移動可能な戸体の下部に取り付けられ側方に配置される被押圧部に押圧可能な気密材であって、前記気密材は、上下方向に並んで配置される複数のヒレ部を有し、前記複数のヒレ部は、それぞれ、先端において上向きに傾斜して延びる上向き傾斜部を有する、気密材に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態に係る建具を示す斜視図である。
【
図3】上枠前面カバーの取り付け状態を示す斜視図である。
【
図5】スライドドアの上部側屋内外方向位置調整機構を説明するための図である。
【
図6】スライドドアを屋内側から視た斜視図である。
【
図7】戸先側ガイドレール及び戸尻側ガイドレールを示す斜視図である。
【
図9】スライドドアの下部周辺の構造を示す断面図である。
【
図10】下部ガイド枠へのパッキン部材の取り付け状態を示す斜視図である。
【
図11】スライドドアの戸先側端部において、先端カバーを外した状態を示す斜視図である。
【
図13】戸先側ガイドローラをスライドドアの戸先側端部から外した状態を示す斜視図である。
【
図14】スライドドアの閉鎖状態において、戸先側ガイドローラの位置を示す斜視図である。
【
図15】戸先側ガイドローラの施工手順を説明するための図である。
【
図16】戸先側ガイドローラ位置調整機構を説明する図であって、戸先側ガイドローラ及び中間カバーを取り外した状態を示す斜視図である。
【
図17】戸先側ガイドローラ位置調整機構を説明する図であって、裏板部材の取り付け状態を示す図である。
【
図18】戸尻側ガイドローラの取付構造を上方側から視た斜視図である。
【
図19】戸尻側ガイドローラの取付構造を下方側から視た斜視図である。
【
図20】戸尻側ガイドローラ位置調整機構を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、本明細書において、「見付方向」とは、枠体2に納められたスライドドア3の面方向を意味し、「見込方向」とは、屋内外方向(即ち、奥行き方向)を意味する。
【0009】
図1に示すように、本実施形態の建具1は、建物(図示せず)に固定される枠体2と、枠体2の内側に納められるスライドドア3(戸体)と、を備える。
【0010】
枠体2は、建物(図示せず)の所定箇所に取り付けられる。枠体2は、上枠21、下枠22及び縦枠23が、左右方向の一方側が開放するコ字状に組まれて構成される。上枠21、下枠22及び縦枠23は、例えば、アルミニウム材料により形成される。
【0011】
上枠21は、枠体2の上側に配置され、左右方向(横方向)に延びる。
下枠22は、枠体2の下側に配置され、上枠21に平行に左右方向(横方向)に延びる。
縦枠23は、上枠21の左右方向の他方側の端部と下枠22の左右方向の他方側の端部とを繋いで上下方向(縦方向)に延びる。縦枠23の上端部は、上枠21の左右方向の他方側の側部の側方に配置される。
【0012】
上枠21は、
図2に示すように、中空部211と、中空部211の上端から前方に延出する延出部212と、前端屈曲片213と、上枠係止片214と、を有する。
前端屈曲片213は、延出部212の前端部から下方に延び且つ下端において後側に屈曲して形成される。上枠係止片214は、延出部212の前側における前端屈曲片213の後方に配置され、下方に突出し且つ下端部において前側に屈曲し、前端において上方に突出して形成される。上枠21は、前面が開放して形成される。上枠21の前面には、上枠前面カバー24が配置されている。
【0013】
上枠前面カバー24は、
図1に示すように、上枠21の前面に配置される。上枠前面カバー24は、上下方向に幅を有して、左右方向(横方向)に延びる。
上枠前面カバー24は、上枠21の内部に例えばスライドドア3を吊る吊下げ構造4(
図4参照)等が配置される場合に、上枠21の内部のメンテナンスを可能とするため、上枠21の前面から取り外し可能に構成される。
【0014】
上枠前面カバー24は、
図2に示すように、前面板241と、上側係止片242と、下端片243と、を有する。
前面板241は、上下方向に幅を有して左右方向に延びる板状に形成される。
上側係止片242は、前面板241の裏面の上方側に形成され、左右方向に延びると共に、後方に延び且つ後端において下方に開放する係止部242aが形成される。上側係止片242の係止部242aは、上枠21の上枠係止片214に係止される。
下端片243は、前面板241の裏面の下端部に形成され、左右方向に延びると共に、後方に延び且つ後端において上方に屈曲するL字状に形成される。
【0015】
上枠前面カバー24は、左右方向の両端部それぞれにおいて、
図2及び
図3に示すように、第1取付金具244及び第2取付金具245を介して、側面板25(側部受け部)に取り付けられている。
一対の側面板25は、
図1に示すように、それぞれ、板状に形成され、上枠21の左右方向の両端部の側部に配置される。上枠21の左右方向の一端部側の開放端部に配置される側面板25は、上枠21の側部に固定される。また、上枠21の左右方向の他端部側の閉鎖端部の側面板25は、上枠21の側部と縦枠23の上端部の内面との間に挟まれた状態で、上枠21の側部及び縦枠23の上端部の間に固定される。
【0016】
上枠前面カバー24は、左右方向の両端部それぞれにおいて、第1取付金具244及び第2取付金具245を介して、側面板25に取り付けられる。
上枠前面カバー24が側面板25に取り付けられる構造は、左右方向の両端部において、左右対称であるのみで、同様の構造である。そのため、本実施形態においては、上枠前面カバー24の左右方向の開放端部側の構造について説明する。
【0017】
図2及び
図3に示すように、第1取付金具244は、L字状に形成され、水平方向に延びる下面板金244bと、下面板金244bの外側の端部から上方に延びる側面板金244aと、を有する。第1取付金具244は、側面板金244aが側面板25の内側面にネジ固定される。
第2取付金具245は、L字状に形成され、水平方向に延びる上面板金245aと、上面板金245aの前面側の端部から下方に延びる前面板金245bと、を有する。第2取付金具245は、前面板金245bが上枠前面カバー24の下端片243にネジ固定される。
【0018】
第1取付金具244の下面板金244bと第2取付金具245の上面板金245aとは、ネジ固定される。これにより、上枠前面カバー24は、第1取付金具244及び第2取付金具245を介して、側面板25に取り付けられる。
【0019】
スライドドア3は、
図1に示すように、枠体2の内側に配置される。本実施形態においては、スライドドア3は、枠体2内を左右方向にスライド移動可能に構成され、片引きの吊り式の玄関ドア等の開き戸である。スライドドア3の上端は、
図4に示すように、吊り下げ構造4により、上枠21の内部に配置される複数の吊車44を介して、吊られている。
【0020】
スライドドア3の吊り下げ構造4は、
図4及び
図5に示すように、上枠21に固定される上枠レール41と、2つの吊車ユニット42と、を有する。2つの吊車ユニット42は、スライドドア3の上端部において左右方向に離間して配置される。
上枠レール41は、上枠21の中空部211の前面に固定され、左右方向に延びる。上枠レール41は、前側に突出すると共に左右方向に延びるガイド部411を有する。
2つの吊車ユニット42は、左右方向に移動可能に上枠レール41に配置される。
【0021】
2つの吊車ユニット42は、それぞれ、取付部材43と、吊車44と、を有する。
取付部材43は、左右方向の水平方向に延びるドア側取付板材431と、ドア側取付板材431の前後方向の端部から上方に延びる吊車取付板材432と、を有する。
【0022】
吊車取付板材432には、
図5に示すように、屋内外方向に延びる回転軸441を中心に回転可能な吊車44が取り付けられる。2つの吊車44は、スライドドア3が左右方向に移動する際に、下端部が、上枠レール41のガイド部411にガイドされ、左右方向に移動可能である。
【0023】
ドア側取付板材431には、屋内外方向に延びる取付用長穴431aが形成され、スライドドア3の上端面に、締結ネジ45により固定される。締結ネジ45を緩めた状態で、ドア側取付板材431を取付用長穴431aに沿って移動させることで屋内外方向の位置を調整して、締結ネジ45で固定することで、吊車ユニット42の屋内外方向の位置を調整できる。
取付用長穴431a及び締結ネジ45は、スライドドア3の上部側の位置を調整可能な上部側屋内外方向位置調整機構51を構成する。
【0024】
スライドドア3は、左右方向(見付方向)にスライド移動可能に、
図6及び
図7に示すように、下部において、戸先側ガイドローラ36(ガイド部材)及び戸尻側ガイドローラ37(ガイド部材)にガイドされる。なお、本実施形態において、スライドドア3の戸先側とは、スライドドア3を開位置から閉位置に左右方向にスライド移動させる場合の先端側を意味し、スライドドア3の戸尻側とは、スライドドア3を開位置から閉位置に左右方向にスライド移動させる場合の後端側を意味する。
【0025】
戸先側ガイドローラ36は、
図7に示すように、スライドドア3の戸先側の端部側の側方に配置され、スライドドア3の戸先側の端部側の下部をガイドする。
戸尻側ガイドローラ37は、スライドドア3が閉位置に位置する場合におけるスライドドア3の戸尻側の端部側の下方に配置され、下枠22から上方に突出するように取り付けられ、スライドドア3の戸尻側の端部側の下部をガイドする。
戸先側ガイドローラ36及び戸尻側ガイドローラ37の詳細については後述する。
【0026】
スライドドア3は、屋内外方向位置調整機構5により、屋内外方向の位置を調整可能に構成される。屋内外方向位置調整機構5は、前述のスライドドア3の上部側屋内外方向位置調整機構51(
図5参照)と、下部側調整機構52と、を備える。下部側調整機構52は、戸先側ガイドローラ位置調整機構6(ガイド部材位置調整機構)(
図6参照)と、戸尻側ガイドローラ位置調整機構7(ガイド部材位置調整機構)(
図7参照)と、を有する。戸先側ガイドローラ位置調整機構6及び戸尻側ガイドローラ位置調整機構7の詳細については後述する。
【0027】
スライドドア3は、
図6に示すように、芯材枠体31と、屋内側面材321と、屋内側ハンドル322と、屋外側面材323と、屋外側化粧材324と、屋外側ハンドル325と、開口部326と、ガラス327と、スライドドア3の下部において芯材枠体31の下部に取り付けられる下部ガイド枠33(ガイド枠)と、を備える。
【0028】
芯材枠体31は、
図6に示すように、スライドドア3の芯材を構成し、スライドドア3の四周を囲んで配置される。芯材枠体31は、上芯材311と、下芯材312と、一対の縦芯材313と、を有し、上芯材311、下芯材312及び一対の縦芯材313により矩形に枠組みされている。
【0029】
上芯材311は、スライドドア3の上端部において、左右方向に延びて形成される。上芯材311には、
図5に示すように、吊り下げ構造4が取り付けられ、吊り下げ構造4により、枠体2の上枠21に吊られている。
【0030】
下芯材312は、
図8に示すように、スライドドア3の下端部において、左右方向に延びて形成されると共に、下方が開放されている。下芯材312は、
図9に示すように、下芯材前面板312aと、下芯材前面下端片312bと、下芯材上面板312cと、下芯材背面L字板312dと、を有する。
【0031】
下芯材前面板312aは、下芯材312における屋外側に配置され、上下方向に延びる。
下芯材前面下端片312bは、下芯材前面板312aの下端部から屋内側に突出する。
下芯材上面板312cは、下芯材前面板312aの上端部から屋内側に水平に延びる。
下芯材背面L字板312dは、下芯材上面板312cの屋内側の端部から下方に延び、かつ、下端部において屋外側に屈曲するL字状に形成される。
【0032】
下部ガイド枠33は、
図9に示すように、上面が下芯材312の下芯材上面板312cの下面に固定されている。下部ガイド枠33は、枠本体331と、前面係止片332と、ドア側嵌合部333(戸体側嵌合部)と、を有する。
【0033】
枠本体331は、下方に開放する逆U字形状に形成される。枠本体331の上面板の上面には、下芯材312の下芯材上面板312cが固定されている。枠本体331の内部には、戸尻側ガイドローラ37のローラ部371(後述)が配置される。下部ガイド枠33は、スライドドア3が左右方向にスライド移動した場合に、戸尻側ガイドローラ37のローラ部371にガイドされる。
前面係止片332は、枠本体331の前側の下端部から前側に突出する。前面係止片332には、下芯材312の下芯材前面下端片312bが係止される。
【0034】
下部ガイド枠33の屋内側の面には、
図9に示すように、ドア側嵌合部333を介して、パッキン部材34(気密材)が取り付けられている。
ドア側嵌合部333は、スライドドア3の下部に固定された下部ガイド枠33の屋内側の側面に設けられ、ドア側嵌合部333には、パッキン部材34が嵌合により取り付けられている。ドア側嵌合部333は、上側嵌合溝部334と、下側嵌合溝部335と、を有する。
【0035】
上側嵌合溝部334は、屋内側の側方に開放する溝状に形成される。上側嵌合溝部334には、パッキン部材34の上側突出嵌合部345が嵌合する。
下側嵌合溝部335は、上側嵌合溝部334の下方に並んで形成され、屋内側の側方に開放し、上側嵌合溝部334の溝よりも上下方向に大きな幅を有する溝状に形成される。下側嵌合溝部335には、パッキン部材34の下側突出嵌合部346が嵌合する。
【0036】
パッキン部材34は、
図9に示すように、スライドドア3の下部に配置される下部ガイド枠33に取り付けられ、側方に配置される側方ガイド26(ガイドレール、被押圧部)の側面に押圧可能である。パッキン部材34は、中空部341と、2つのヒレ部342と、上方突出片343(上方突出部)と、パッキン側嵌合部344(気密材側嵌合部)と、を有する。パッキン部材34は、例えば、弾性を有するゴム材料により形成される。
【0037】
中空部341は、方形状の中空に形成され、下部ガイド枠33の屋内側の側面に対向して配置され、左右方向に延びる。
【0038】
2つのヒレ部342は、中空部341の屋内側の側面において、上下方向に並んで配置される。2つのヒレ部342は、中空部341の屋内側の側面から屋内側に突出するように形成される。なお、本実施形態においては、2つのヒレ部342により構成したが、ヒレ部342の数は限定されず、3つ以上のヒレ部342により構成してもよい。
【0039】
2つのヒレ部342は、それぞれ、基端側において水平に形成されると共に、先端側において上向きに傾斜して延びる上向き傾斜部342aを有する。上向き傾斜部342aは、先端に向かうに従って上方に向かうように傾斜して延びる。上向き傾斜部342aの側方ガイド26に接触する側の面には、摺動性を有するような表面加工が施されている。これにより、パッキン部材34の摺動音を低減できる。
【0040】
2つのヒレ部342は、製造バラツキなどによりパッキン部材34の配置位置が異なったとしても、少なくとも1つが、側方ガイド26の逆U字状部261の屋内側の側面を押圧するように形成される。これにより、製造バラツキがあっても、2つのヒレ部342は、少なくとも1つが、側方ガイド26の逆U字状部261の屋内側の側面を押圧するため、パッキン部材34により、気密性及び水密性を確保できる。
【0041】
上方突出片346aは、2つのヒレ部342よりも上方側に配置される。上方突出片346aは、スライドドア3の下部において、パッキン部材34の上部に配置されるリベット321bの頭部(スライドドア3の下部の少なくとも一部)を覆うように、上方側に突出する。
【0042】
パッキン側嵌合部344は、スライドドア3の下部に配置される下部ガイド枠33のドア側嵌合部333に嵌合する。
パッキン側嵌合部344は、上側突出嵌合部345と、下側突出嵌合部346と、を有する。
【0043】
上側突出嵌合部345は、中空部341から屋外側の側方にT字状に突出して形成される。上側突出嵌合部345は、ドア側嵌合部333の上側嵌合溝部334に嵌合する。
下側突出嵌合部346は、上側突出嵌合部345の下方に並んで形成され、中空部341から屋外側の側方にL字状に突出する2つのL字突出片(上方にL字状に突出した上側突出片、下方にL字状に突出した下側突出片)を有する。下側突出嵌合部346の上下方向の幅は、上側突出嵌合部345の上下方向の幅よりも大きく形成される。下側突出嵌合部346には、ドア側嵌合部333の下側嵌合溝部335に嵌合する。
【0044】
本実施形態においては、パッキン部材34のパッキン側嵌合部344は、上方側に上側突出嵌合部345が配置され、下方側に下側突出嵌合部346が配置された状態で、下部ガイド枠33のドア側嵌合部333に嵌合する。そのため、パッキン側嵌合部344及びドア側嵌合部333は、2つのヒレ部342の上向き傾斜部342aが上向き傾斜の状態で配置された場合のみ嵌合する。パッキン部材34を下部ガイド枠33のドア側嵌合部333に嵌合させる際には、パッキン部材34の上下が反対の状態では、パッキン部材34は、下部ガイド枠33のドア側嵌合部333に嵌合できない。よって、パッキン部材34の上下を反対にした状態で取り付けることを防止できる。
【0045】
パッキン部材34は、
図10に示すように、長手方向に延びて形成され、パッキン側嵌合部344がスライドドア3のドア側嵌合部333に嵌合された状態において、長手方向の複数の位置において、ドア側嵌合部333において挟み込まれて(カシメられて)形成されたカシメ部333aにおいて固定される。本実施形態においては、パッキン部材34は、長手方向の両端部側における2箇所の位置において、カシメ部333a
において固定されている。
【0046】
屋内側面材321は、
図6に示すように、スライドドア3の屋内側の表面に配置される。屋内側面材321の下端部には、
図9に示すように、屋外側に屈曲する屈曲部分321aが形成される。屈曲部分321aは、リベット321bにより、下芯材312の下芯材背面L字板312dの下面に固定されている。リベット321bの頭部は、下芯材312の下芯材背面L字板312dの下面に配置されている。
【0047】
屋内側ハンドル322は、
図6に示すように、スライドドア3の屋内側の表面において、スライドドア3の左右方向の他方側における高さ方向の略中央部に配置される。屋内側ハンドル322を使用者が把持してスライドドア3を左右方向に移動させることで、スライドドア3を開放位置又は閉鎖位置に移動させることができる。
【0048】
屋外側面材323は、
図6に示すように、スライドドア3の屋外側の表面に配置される。
屋外側面材323の表面には、複数の屋外側化粧材324が配置される。複数の屋外側化粧材324は、左右方向に幅を有して上下方向に延びて形成され、ガラス38が配置される部分を避けて、左右方向に並べられている。複数の屋外側化粧材35は、左右方向に並べられた状態で、全体として、スライドドア3の左右方向の両端部側から中央側に向けて滑らかに膨出するように形成されている。
【0049】
屋外側ハンドル325は、スライドドア3の屋外側の表面において、スライドドア3の左右方向の他方側における高さ方向の略中央部に配置される。屋外側ハンドル325を使用者が把持してスライドドア3を左右方向に移動させることで、スライドドア3を開放位置又は閉鎖位置に移動させることができる。
【0050】
開口部326は、
図6に示すように、芯材枠体31の内側であって、スライドドア3の見付方向(左右方向)の中心よりも建具1の枠体2の開放端側に形成される。本実施形態においては、開口部326は、上下方向に縦長に延びる。開口部326には、ガラス327が納められている。
【0051】
戸先側ガイドローラ36の詳細について説明する。戸先側ガイドローラ36は、
図11~
図13に示すように、スライドドア3の戸先側の下部の側方に取り付けられ、スライドドア3のスライド方向(左右方向)に沿って移動する。
【0052】
戸先側ガイドローラ36は、
図11~
図13に示すように、スライドドア3の戸先側端部に固定される。戸先側ガイドローラ36は、ローラ部361と、取付板362と、平面視L字状の腕部363と、を有する。
ローラ部361は、戸先側ガイドローラ36の先端部分に設けられ、左右方向にスライド移動可能に、側方ガイド26の内部に配置される。
取付板362は、上下方向に延びて形成され、スライドドア3の戸先側の端部に取り付け可能である。
【0053】
腕部363は、平面視L字状に形成されており、ローラ部361と取付板362とを接続する。腕部363は、上下方向に厚みを有する板状に形成される。腕部363は、スライドドア3の戸先側の先端において取付板362の下端部に接続され、取付板362の下端部からスライドドア3の下面に沿って戸尻側に所定長さ延び、戸尻側の端部において屋内側に屈曲して、戸尻側の端部から屋内側に所定長さ延びる。
【0054】
側方ガイド26は、スライドドア3のスライド方向(左右方向)に延びると共に、戸先側ガイドローラ36の屋内外方向の移動を規制しながら、戸先側ガイドローラ36をスライド方向(左右方向)に移動可能にガイドする。側方ガイド26は、
図8に示すように、スライドドア3の下部の屋内側の側方に配置され、屋内側に延びる延在取付片265において、下枠22に固定される。側方ガイド26は、例えば、アルミニウム材料で形成される。
【0055】
側方ガイド26の屋内側の隣りには、
図8に示すように、左右方向に延びるラバー固定枠27が配置される。ラバー固定枠27には、上部に2つの嵌合部271が形成され、ラバー固定枠27の下部は、下枠22の上面に、側方ガイド26の延在取付片265及び下枠上面カバー222(後述)と共に固定される。ラバー固定枠27の上部に形成される2つの嵌合部271には、それぞれ、左右方向に延びるゴム製のラバー部材28が嵌合されて取り付けられる。ラバー固定枠27は、例えば、アルミニウム材料で形成される。
【0056】
側方ガイド26と下枠22の上面との間には、
図8に示すように、下枠上面カバー222が配置されている。下枠上面カバー222は、シート状に形成され、屋外側の端部に形成されるU字状係合部222aを有する。U字状係合部222aは、下枠22の上面の屋内外方向の屋外側の端部において下枠22に係合される。下枠上面カバー222は、例えば、ステンレス材料で形成される。
【0057】
側方ガイド26は、下方に開放する逆U字状の逆U字状部261と、逆U字状部261の屋内側の端部から後方に延びる延在取付片265と、を有する。
延在取付片265は、ラバー固定枠27の下部と下枠上面カバー222との間に配置された状態で、下枠22の上面に固定される。
【0058】
逆U字状部261の屋外側の側面には、
図9、
図11及び
図13に示すように、前面262が形成される。前面262は、上下方向に幅を有して左右方向に延びる。前面262には、
図9に示すように、スライドドア3の下部に取り付けられたパッキン部材34が押し当てられる。前面262の下部には、左右方向に延びる横長隙間263が形成される。
【0059】
横長隙間263は、前面262の下端部と下枠22の上面との間の隙間である。横長隙間263は、側方ガイド26の屋外側の側面において、前面262の下部において前方側に向けて開放して形成され、左右方向に延びる。横長隙間263には、戸先側ガイドローラ36が左右方向に移動する際に、戸先側ガイドローラ36の腕部363が左右方向に移動可能に挿通されている。横長隙間263の上下方向の長さは、戸先側ガイドローラ36の腕部363の厚さよりも大きく形成され、戸先側ガイドローラ36のローラ部361の部分の高さよりも小さく形成される。これにより、横長隙間263から戸先側ガイドローラ36のローラ部361を挿入することができず、かつ、ガイドローラ挿入部264から挿入された戸先側ガイドローラ36のローラ部361が、横長隙間263から外に出ることはない。
【0060】
横長隙間263の左右方向の縦枠23側の一端部には、
図14に示すように、ガイドローラ挿入部264(ガイド部材挿入部)が形成される。ガイドローラ挿入部264は、戸先側ガイドローラ36をスライドドア3に取り付ける際に、戸先側ガイドローラ36のローラ部361を側方ガイド26の内部に配置する場合に用いられる。
【0061】
本実施形態では、ガイドローラ挿入部264は、
図14に示すように、側方ガイド26の屋外側の側部において、スライドドア3の戸先側の端部に形成される。ガイドローラ挿入部264は、スライドドア3に取り付けていない状態の戸先側ガイドローラ36を挿入可能である。ガイドローラ挿入部264は、戸先側ガイドローラ36を挿入可能に、側方ガイド26の側部の少なくとも一部を開放した開口により構成されている。
【0062】
なお、本実施形態においては、ガイドローラ挿入部264を側方ガイド26の側部を開放した開口により構成したが、これに限定されない。ガイドローラ挿入部264は、戸先側ガイドローラ36を挿入可能であればよく、例えば、本実施形態のように開口でもよいし、凹部でもよいし、切り欠きでもよい。また、例えば、本実施形態の側方ガイド26の横長隙間263のように、戸先側ガイドローラ36をそのままの状態では横から挿入できなくても、戸先側ガイドローラ36を傾けてくぐらせることで挿入できるように構成してもよい。
【0063】
戸先側ガイドローラ36のローラ部361は、スライドドア3が閉位置に位置する場合に、
図14に示すように、見付方向において、ガイドローラ挿入部264よりも戸尻側に位置する。言い換えると、スライドドア3が閉位置に位置する場合に、
図14に示すように、見付方向において、スライドドア3における戸先側の端部から戸先側ガイドローラ36におけるローラ部361の戸先側の端部までの距離L2は、スライドドア3における戸先側の端部からガイドローラ挿入部264の戸尻側の端部までの距離L1以上である(L2≧L1)。これにより、スライドドア3が左右方向のいずれの位置に位置していても、スライドドア3の取り付けられた戸先側ガイドローラ36のローラ部361は、ガイドローラ挿入部264の位置からずれた位置に位置するため、ガイドローラ挿入部264から外に出ることが防止される。
【0064】
戸先側ガイドローラ36をスライドドア3の戸先側の端部に取り付ける場合には、
図15(a)に示すように、戸先側ガイドローラ36において、ローラ部361を左右方向の縦枠23側に配置すると共に取付板362を左右方向の縦枠23と反対側に配置した状態で、ローラ部361をガイドローラ挿入部264から側方ガイド26の内部に挿入する。そして、
図15(b)及び(c)に示すように、戸先側ガイドローラ36のローラ部361を、側方ガイド26の内部において左右方向の縦枠23と反対側に移動するように、取付板362を中心に、90°程度回転させて向きを変える。
【0065】
そして、
図13に示すように、戸先側ガイドローラ36を側方ガイド26に沿って左右方向の縦枠23と反対側に移動させて、戸先側ガイドローラ36の取付板362をスライドドア3の戸先側の端部に取り付けてた状態で、締結ネジ64で固定する。これにより、戸先側ガイドローラ36をスライドドア3の戸先側の端部に取り付けることができる。
【0066】
戸先側ガイドローラ36は、
図16及び
図17に示すように、戸先側ガイドローラ位置調整機構6(ガイド部材位置調整機構、屋内外方向調整機構、上下方向調整機構)により、スライドドア3の屋内外方向の位置を調整可能に構成される。
戸先側ガイドローラ位置調整機構6は、スライドドア3の戸先側に取り付られる。
【0067】
戸先側ガイドローラ位置調整機構6は、戸先側ガイドローラ36の屋内外方向の位置を調整可能な屋内外方向調整機構と、戸先側ガイドローラ36の上下方向の位置を調整可能な上下方向調整機構と、を備える。
戸先側ガイドローラ位置調整機構6は、
図16及び
図17に示すように、4つの横長孔613が設けられた戸先側縦芯材61(縦材)と、裏板部材62と、4つの横長孔631が設けられた中間カバー部材63と、2つの縦長孔362aが設けられた戸先側ガイドローラ36と、4つの締結ネジ64と、を備える。
【0068】
戸先側縦芯材61は、一対の縦芯材313のうち、見付方向の戸先側の一端部に配置される縦芯材である。戸先側縦芯材61は、上下方向に延びる。戸先側縦芯材61の外側側面611側には、上下方向に延びる側面カバー材65が取り付けられる。側面カバー材65の下部には、下部開口651が形成されている。
【0069】
戸先側ガイドローラ36がスライドドア3の戸先側の端部に取り付けられた状態において、
図11に示すように、側面カバー材65の下部開口651には、表面カバー66が取り付けられている。表面カバー66の裏面には、一対の係合突起661が形成され、一対の係合突起661は、戸先側ガイドローラ位置調整機構6の中間カバー部材63(後述)の一対の係合部633に係合する。
【0070】
戸先側縦芯材61は、
図16に示すように、外側側面611において、引っ掛け開口612と、4つの横長孔613と、2つの水平保持ガイド溝614(ガイド溝)と、を有する。引っ掛け開口612、4つの横長孔613及び2つの水平保持ガイド溝614は、外側側面611における上方から下方に向けて、引っ掛け開口612、横長孔613、水平保持ガイド溝614、横長孔613、横長孔613、水平保持ガイド溝614、横長孔613の順に並べられて形成される。引っ掛け開口612、4つの横長孔613及び2つの水平保持ガイド溝614は、戸先側縦芯材61に側面カバー材65を取り付けた状態において、側面カバー材65の下部開口651を介して外部に露出する。
【0071】
引っ掛け開口612は、方形横長状に開口する。引っ掛け開口612には、裏板部材62の引っ掛け片621を引っ掛けることが可能である。
【0072】
4つの横長孔613は、それぞれ、屋内外方向に延びて形成され、締結ネジ64が貫通されて配置される。締結ネジ64は、横長孔613を貫通した状態で、戸先側ガイドローラ36と裏板部材62とを締結する。締結ネジ64を緩めることで、締結ネジ64の先端側に接続される裏板部材62が、横長孔613に沿って屋内外方向に移動可能となる。
【0073】
2つの水平保持ガイド溝614は、それぞれ、裏板部材62を屋内外方向に移動させる場合に、裏板部材62の突出平板622(突出片)を屋内外方向の水平方向にガイドするガイド溝である。水平保持ガイド溝614は、
図17に示すように、上側から下方側に突出し且つ屋内外方向に並んで配置される複数の第1突起614aと、下側から上方側に突出し且つ屋内外方向に並んで配置される複数の第2突起614bと、が左右方向にずれた位置に形成されており、複数の第1突起614aと複数の第2突起614bとの間に開口横溝614cが形成されている。開口横溝614cには、裏板部材62の突出平板622が屋内外方向に移動可能に配置される。
【0074】
水平保持ガイド溝614においては、開口横溝614cに配置された裏板部材62の突出平板622は、突出平板622が屋内外方向に移動して、屋内外方向のいずれの位置においても、水平状態を保持するように、複数の第1突起614a及び複数の第2突起614bのうち、少なくとも、上側又は下側において2つ、その反対側の上側又は下側で1つが当接するように形成されている。
【0075】
裏板部材62は、スライドドア3の左右方向の一端部の内部において、戸先側縦芯材61の内側に配置され、戸先側縦芯材61に沿って上下方向に延びる板状に形成される。裏板部材62は、戸先側縦芯材61の内部において、戸先側ガイドローラ36をスライドドア3の戸先側の端部の下部に4つの締結ネジ64により固定する場合に、裏板として機能する。
【0076】
4つの締結ネジ64は、戸先側ガイドローラ36の屋内外方向の位置を調整可能な締結ネジである。4つの締結ネジ64は、戸先側縦芯材61の横長孔613を貫通した状態で、戸先側ガイドローラ36と裏板部材62とを締結する。裏板部材62は、4つの締結ネジ64を緩めた状態において、戸先側ガイドローラ36とともに屋内外方向に移動可能である。
【0077】
裏板部材62は、引っ掛け片621と、2つの突出平板622と、を有する。
引っ掛け片621は、裏板部材62の上端部に配置され、戸先側縦芯材61側に突出すると共に、下方が開放する逆U字状に形成される。引っ掛け片621は、戸先側縦芯材61の内部側から、戸先側縦芯材61の引っ掛け開口612及び中間カバー部材63の引っ掛け開口632に引っ掛けることが可能である。
【0078】
2つの突出平板622は、それぞれ、戸先側縦芯材61側に突出すると共に、屋内外方向に水平に延びる。突出平板622は、戸先側縦芯材61の内部側から、戸先側縦芯材61の水平保持ガイド溝614に挿入され、裏板部材62が屋内外方向に移動された場合に、水平保持ガイド溝614にガイドされることで水平が保持される。
【0079】
中間カバー部材63は、上下方向に延びる板状に形成される。中間カバー部材63は、戸先側縦芯材61の側面に取り付けられる側面カバー材65の下部開口651において、戸先側縦芯材61の側面に沿って配置される。中間カバー部材63は、屋内外方向に移動しない状態で、側面カバー材65の下部開口651に取り付けられている。
【0080】
中間カバー部材63には、4つの横長孔631と、引っ掛け開口632と、が形成される。4つの横長孔631は、それぞれ、屋内外方向に延びる。4つの横長孔631には、それぞれ、締結ネジ64が貫通して配置される。横長孔631においては、締結ネジ64を緩めた場合に、横長孔631に沿って締結ネジ64を屋内外方向に移動させることが可能である。
【0081】
戸先側ガイドローラ36の取付板362には、上下方向に離間して配置される2つの縦長孔362aが形成される。縦長孔362aは、戸先側縦芯材61の横長孔613と一部が重なった状態で配置されている。2つの縦長孔362aは、それぞれ、上下方向に延びて形成され、戸先側縦芯材61の横長孔613を貫通する4つの締結ネジ64のうち、2つの締結ネジ641が貫通して配置される。締結ネジ641は、縦長孔362aを貫通した状態で戸先側ガイドローラ36とスライドドア3とを締結する。締結ネジ641を緩めることで、戸先側ガイドローラ36が締結ネジ641に沿って上下方向に移動可能となる。
【0082】
2つの締結ネジ641は、戸先側ガイドローラ36の縦長孔362a及び戸先側縦芯材61の横長孔613の両方を貫通した状態で、戸先側ガイドローラ36と裏板部材62とを締結することで、戸先側ガイドローラ36とスライドドア3とを締結する。2つの締結ネジ641は、戸先側ガイドローラ36の上下方向の位置及び屋内外方向の位置の両方を調整する際に使用される共通の締結ネジである。
【0083】
以上のように構成される戸先側ガイドローラ位置調整機構6においては、4つの横長孔613に貫通して配置される4つの締結ネジ64を緩めた状態で、裏板部材62を屋内外方向に移動させて、4つの締結ネジ64で固定することで、屋内外側方向の位置を調整することができる。また、戸先側ガイドローラ36の縦長孔362aに貫通して配置される2つの締結ネジ641を緩めた状態で、戸先側ガイドローラ36を上下方向に移動させて、2つの締結ネジ641で固定することで、上下方向の位置を調整することができる。
【0084】
戸尻側ガイドローラ37の詳細について説明する。戸尻側ガイドローラ37は、
図7に示すように、スライドドア3が閉位置に位置する場合に、スライドドア3の戸尻側において、下枠22の上面から突出した状態で下枠22に配置される。戸尻側ガイドローラ37は、スライドドア3の下部に設けられた下部ガイド枠33(
図9参照)をガイドするガイドローラである。
【0085】
戸尻側ガイドローラ37は、スライドドア3の屋内外方向の移動を規制しながら、スライドドア3を左右方向にスライド移動可能にガイドする。戸尻側ガイドローラ37の左右方向の縦枠23側には、
図18に示すように、スライド方向位置規制部材39が配置される。スライド方向位置規制部材39は、下枠22の上面から突出して配置される。スライド方向位置規制部材39は、スライドドア3が開位置から更に開く側への移動を規制する。
【0086】
戸尻側ガイドローラ37は、
図18~
図20に示すように、下枠22の上面板221を上下方向に貫通して配置される。戸尻側ガイドローラ37は、ローラ部371と、ガイド軸部372(軸部)と、を有する。ガイド軸部372は、下枠22の上面板221を貫通した状態で、下枠22の上面板221から上方に突出すると共に、下枠22の上面板221の下方において裏板部材71(後述)に接続される。ローラ部371は、下枠22の上面板221の上方において、
図18に示すように、上下方向の延びる軸を中心に回転可能に、ガイド軸部372の先端に接続される。ローラ部371は、
図9に示すように、スライドドア3の下部に固定された下部ガイド枠33の内部に配置され、スライドドア3を屋内外に移動しないようにガイドする。
【0087】
戸尻側ガイドローラ37は、戸尻側ガイドローラ位置調整機構7(ガイド部材位置調整機構)により、スライドドア3の屋内外方向の位置を調整可能に構成される。
戸尻側ガイドローラ位置調整機構7は、スライド移動可能なスライドドア3の下部に配置された下部ガイド枠33をガイドする戸尻側ガイドローラ37の屋内外方向の位置を調整可能である。
【0088】
戸尻側ガイドローラ位置調整機構7は、
図18~
図20に示すように、下枠22と、戸尻側ガイドローラ37(ガイド部材)と、裏板部材71と、収容部材72と、締結ネジ73と、を備える。
【0089】
下枠22の上面板221には、
図20に示すように、ガイドローラ側調整孔221aと、スライド方向位置規制部材側調整孔221bと、2つの締結ネジ用孔221cと、が形成される。
【0090】
ガイドローラ側調整孔221aには、戸尻側ガイドローラ37のガイド軸部372が挿入される。ガイドローラ側調整孔221aの径は、ガイド軸部372の下端部372aの径よりも大きな径で形成される。ガイド軸部372の下端部372aは、
図21及び
図22に示すように、ガイドローラ側調整孔221aを貫通した状態で、裏板部材71に固定される。
【0091】
スライド方向位置規制部材側調整孔221bには、スライド方向位置規制部材39の下端部391が挿入される。スライド方向位置規制部材側調整孔221bの径は、スライド方向位置規制部材39の下端部391の径よりも大きな径で形成される。スライド方向位置規制部材39の下端部391は、
図21に示すように、スライド方向位置規制部材側調整孔221bを貫通した状態で、裏板部材71に固定される。
【0092】
2つの締結ネジ用孔221cには、下枠22の上面板221に裏板部材71を固定する締結ネジ73が挿入される。締結ネジ73は、締結ネジ用孔221cを貫通した状態で、下枠22の上面板221と裏板部材71とを締結する。
【0093】
裏板部材71は、下枠22の上面板221の下方側に配置される。裏板部材71は、戸尻側ガイドローラ37及びスライド方向位置規制部材39を下枠22に締結ネジ73により固定する場合に、裏板として機能する。裏板部材71は、下枠22の上面板221の2つの締結ネジ用孔221cに締結ネジ73が貫通された状態で、締結ネジ73により、下枠22の上面板221に固定される。裏板部材71は、戸尻側ガイドローラ37の屋内外方向の位置を調整可能な状態で戸尻側ガイドローラ37に接続される。
【0094】
裏板部材71は、下枠22の上面板221の締結ネジ用孔221cに貫通して接続した締結ネジ73を回転することで、
図22に示すように、下枠22の上面板221から下方に離れた第1位置P1と、第1位置P1よりも下枠22の上面板221に近い第2位置P2と、に移動されることが可能である。つまり、締結ネジ73は、裏板部材71に対して回転することで、裏板部材71を、第1位置P1と第2位置P2とに移動させることが可能に構成されている。
【0095】
収容部材72は、下枠22の上面板221の下方側に配置され、裏板部材71を収容する。収容部材72は、
図20に示すように、4つの嵌合部721を有し、
図19に示すように、4つの嵌合部721により、下枠22の上面板221の下面に嵌合して取り付けられる。なお、収容部材72は、下枠22に嵌合して取り付けられることに限定されず、裏板部材71と同様に、下枠22の上面板221にネジ固定により取り付けられてもよい。
【0096】
収容部材72は、屋内外方向において、
図22に示すように、裏板部材71が第1位置P1に位置した場合に、裏板部材71の屋内外方向の両端部の外側には、一対の屋内外方向位置規制壁724(屋内外方向位置規制部)が形成されており、裏板部材71の屋内外方向の移動が規制される。
また、収容部材72は、裏板部材71が第2位置P2に位置する場合に、裏板部材71の屋内外方向の両端部の外側には裏板部材71の屋内外方向の移動が許容される位置に一対の外壁723が形成されており、裏板部材71の屋内外方向への移動が許容される。
【0097】
収容部材72は、左右方向の両端部において、
図21に示すように、一対の左右方向位置規制壁722が形成されており、裏板部材71は、一対の左右方向位置規制壁722により、左右方向の移動が規制される。
【0098】
裏板部材71を下枠22の上面板221の下面に締結ネジ73により取り付ける場合には、収容部材72の一対の屋内外方向位置規制壁724及び一対の左右方向位置規制壁722に囲まれる領域に裏板部材71を配置して、収容部材72を下枠22の上面板221の下面に嵌合させる。この状態において、裏板部材71は第1位置P1において、屋内外方向及び左右方向の位置決めがされている。
【0099】
そして、ガイド軸部372の下端部372aをガイドローラ側調整孔221aに貫通させた状態で裏板部材71に接続すると共に、スライド方向位置規制部材39の下端部391をスライド方向位置規制部材側調整孔221bに貫通させた状態で裏板部材71に接続する。
【0100】
また、下枠22の上面板221の2つの締結ネジ用孔221cに締結ネジ73を貫通させた状態で、締結ネジ73の先端を裏板部材71に螺合させる。この場合、裏板部材71は第1位置P1において屋内外方向及び左右方向の位置決めがされているため、締結ネジ73の先端を裏板部材71に螺合させ易く、作業性を向上できる。
【0101】
続けて、締結ネジ73を裏板部材71に対して回転する。これにより、裏板部材71を、下枠22の上面板221から下方に離れた第1位置P1から、第1位置P1よりも下枠22の上面板221に近い第2位置P2に移動させる。裏板部材71が第2位置P2に位置する場合には、裏板部材71の屋内外方向の移動は許容されているため、戸尻側ガイドローラ37のガイド軸部372及びスライド方向位置規制部材39の屋内外方向の位置を調整する。その後、締結ネジ73により、下枠22と裏板部材71とを固定する。
【0102】
従来、下枠を設置する場合に、下枠の下方側がモルタルやセメントなどで固められていることがあった。これに対して、本発明においては、裏板部材71が収容部材72に覆われているため、締結ネジ73を緩めた状態で裏板部材71を第2位置P2に位置させることで、裏板部材71を屋内外方向に移動させることができる。よって、下枠22の下方側がモルタルやセメントなどで固められていて収容部材72がモルタルやセメントなどに覆われている場合であっても、締結ネジ73を緩めて裏板部材71を屋内外方向に移動させることで、戸尻側ガイドローラ37の屋内外方向の位置を調整することができる。
【0103】
以上説明してきたように、本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態のパッキン部材34は、スライド移動可能なスライドドア3の下部に取り付けられ、側方に配置される側方ガイド26に押圧可能であって、上下方向に並んで配置される2つのヒレ部342を有し、2つのヒレ部342は、それぞれ、先端において上向きに傾斜して延びる上向き傾斜部342aを有する。
【0104】
そのため、パッキン部材34がスライドドア3の下部に取り付けられるため、スライドドア3のスライド移動とともに移動するため、スライドドア3が開位置に位置する場合に、人の通行時の障害となることがない。
また、パッキン部材34のヒレ部342が先端において上向き傾斜部342aを有するため、側方ガイド26に密着しやすく、気密性能を向上できる。
また、製造バラツキなどにより、2つのヒレ部342の両方が側方ガイド26に押圧できなくても、2つのヒレ部342のうちの少なくとも1つが側方ガイド26を押圧するため、気密性能を確保できる。
また、パッキン部材34のヒレ部342が先端において上向き傾斜部342aを有するため、スライドドア3を枠体2に組み付ける場合やスライドドア3を枠体2から外した状態で立て掛ける場合に、例えばヒレの先端が下向きに傾斜している場合には、ヒレ部342の先端がつぶされてしまい、下向きに曲がった折り目がついてしまって、側方ガイド26との間に隙間が空いてしまうことがある。これに対して、ヒレ部342の先端に上向き傾斜部32が形成されているため、下向きに曲がった折り目が付きにくく、ヒレ部342が側方ガイド26に押圧する際の密着性能を確保できるため、パッキン部材34の気密性能を確保できる。
【0105】
また、本実施形態においては、パッキン部材34は、2つのヒレ部342よりも上方側に配置され、スライドドア3の下部の少なくとも一部を覆うように上方側に突出する上方突出片343を有する。これにより、スライドドア3の下部から突出したリベットなどの締結部材を、外部から視認できないように覆うことができる。よって、意匠性を向上できる。
【0106】
また、本実施形態のスライドドア3においては、スライドドア3の下部には、ドア側嵌合部333が形成され、パッキン部材34には、ドア側嵌合部333に嵌合可能なパッキン側嵌合部344が形成され、パッキン側嵌合部344及びドア側嵌合部333は、パッキン部材34の上向き傾斜部342aが上向き傾斜の状態に配置された場合のみ嵌合する。これにより、パッキン部材34の上下方向を間違えずに、パッキン部材34を容易にドア側嵌合部333に嵌合させることができる。
【0107】
また、本実施形態においては、パッキン部材34は、長手方向に延びて形成され、パッキン側嵌合部344がドア側嵌合部333に嵌合された状態において、長手方向の複数の位置において、ドア側嵌合部333においてカシメられて固定されたカシメ部333aを有する。これにより、パッキン部材34を接着材で固定するよりも、パッキン部材34が膨張又は収縮した場合に、パッキン部材34が変形することを低減できる。
【0108】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0109】
3 スライドドア(戸体)
26 側方ガイド(被押圧部)
34 パッキン部材(気密材)
333 ドア側嵌合部(戸体側嵌合部)
333a カシメ部
342 ヒレ部
342a 上向き傾斜部
343 上方突出片(上方突出部)
344 パッキン側嵌合部(気密材側嵌合部)