(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-05
(45)【発行日】2023-04-13
(54)【発明の名称】アラーム発報装置およびアラーム発報方法
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20230406BHJP
【FI】
G05B23/02 Z
(21)【出願番号】P 2019185201
(22)【出願日】2019-10-08
【審査請求日】2022-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】佐野 利昭
(72)【発明者】
【氏名】馬 千里
【審査官】藤崎 詔夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-080291(JP,A)
【文献】特開2018-120456(JP,A)
【文献】特開2017-091258(JP,A)
【文献】特開昭63-282505(JP,A)
【文献】特開平06-150179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象の機器であり、異常が発生すると、異常の内容を識別するための異常識別情報と、異常が発生した発生時刻とが付加されたアラーム情報を生成する
機能を有する、板金加工を行う機器に接続され、
異常識別情報ごとに予め設定された、前記機器が稼動中であるか否かにかかわらず監視装置に対してアラームを発報する常時発報対象の異常であるか、前記機器が稼働中のみ前記監視装置に対してアラームを発報する稼働中発報対象の異常であるかを設定する発報設定情報と、異常が発生した後の監視時間とを記憶する監視アラーム情報記憶装置と、
監視対象のいずれかの機器に異常が発生して前記機器が生成したアラーム情報を取得したとき、
前記アラーム情報に付加されている異常識別情報と、前記監視アラーム情報記憶装置に記憶されている発報設定情報とに基づいて、前記機器に発生した異常が常時発報対象の異常であれば、前記機器が稼働中であるか否かにかかわらずアラームの発報要と判定し、
前記アラーム情報に付加されている異常識別情報及び発生時刻と、前記監視アラーム情報記憶装置に記憶されている発報設定情報及び監視時間とに基づいて、
前記機器に発生した異常が稼働中発報対象の異常であって、前記機器が稼働中でなければ、アラームの発報不要と判定し、
前記機器に発生した異常が稼働中発報対象の異常であって、前記機器が稼働中であり、異常が発生してからの経過時間が設定されている監視時間を超えていなければ、アラームの発報不要と判定し、
前記機器に発生した異常が稼働中発報対象の異常であって、前記機器が稼働中であり、
該当する異常識別情報に関して設定されている監視時間が0秒であるかまたは、異常が発生してからの経過時間が設定されている監視時間を超えていれば、アラームの発報要と判定する発報要否判定部と、
前記発報要否判定部がアラームの発報要と判定したとき、前記監視装置に対して監視対象のいずれかの機器に異常が発生したことを知らせるアラームを発報する発報部と、
を備えるアラーム発報装置。
【請求項2】
前記監視アラーム情報記憶装置に記憶される前記発報設定情報および前記監視時間は、監視対象の機器の機種と異常識別情報との組み合わせごと、ユーザの識別情報と異常識別情報との組み合わせごと、または、ユーザの識別情報と機器の機種と異常識別情報との組み合わせごとに登録され、
前記発報要否判定部は、前記監視アラーム情報記憶装置に記憶された情報のうち、取得したアラーム情報に該当する情報を用いて発報の要否を判定する
ことを特徴とする請求項1に記載のアラーム発報装置。
【請求項3】
前記監視アラーム情報記憶装置に記憶される情報は、前記監視装置から送信される指示情報に基づいて登録および変更が可能である
ことを特徴とする請求項1または2に記載のアラーム発報装置。
【請求項4】
監視対象の機器であり、異常が発生すると、異常の内容を識別するための異常識別情報と、異常が発生した発生時刻とが付加されたアラーム情報を生成する
機能を有する、板金加工を行う機器に接続され、
異常識別情報ごとに予め設定された、前記機器が稼動中であるか否かにかかわらず監視装置に対してアラームを発報する常時発報対象の異常であるか、前記機器が稼働中のみ前記監視装置に対してアラームを発報する稼働中発報対象の異常であるかを設定する発報設定情報と、異常が発生した後の監視時間とを記憶する監視アラーム情報記憶装置を備えたアラーム発報装置が、
監視対象のいずれかの機器に異常が発生して前記機器が生成したアラーム情報を取得したとき、
前記アラーム情報に付加されている異常識別情報と、前記監視アラーム情報記憶装置に記憶されている発報設定情報とに基づいて、前記機器に発生した異常が常時発報対象の異常であれば、前記機器が稼働中であるか否かにかかわらずアラームの発報要と判定し、
前記アラーム情報に付加されている異常識別情報及び発生時刻と、前記監視アラーム情報記憶装置に記憶されている発報設定情報及び監視時間とに基づいて、
前記機器に発生した異常が稼働中発報対象の異常であって、前記機器が稼働中でなければ、アラームの発報不要と判定し、
前記機器に発生した異常が稼働中発報対象の異常であって、前記機器が稼働中であり、異常が発生してからの経過時間が設定されている監視時間を超えていなければ、アラームの発報不要と判定し、
前記機器に発生した異常が稼働中発報対象の異常であって、前記機器が稼働中であり、
該当する異常識別情報に関して設定されている監視時間が0秒であるかまたは、異常が発生してからの経過時間が設定されている監視時間を超えていれば、アラームの発報要と判定し、
アラームの発報要と判定したとき、前記監視装置に対して監視対象のいずれかの機器に異常が発生したことを知らせるアラームを発報する
ことを特徴とするアラーム発報方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アラーム発報装置およびアラーム発報方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の機器を、遠隔の監視装置から通信ネットワーク経由で監視するシステムが多く普及している。このようなシステムでは、各機器で異常発生時に発報されるアラーム情報の数が膨大になるため、これらに効率よく対応するために様々な処理が行われている。
【0003】
例えば、各機器において発生したアラーム情報を蓄積しておき、その履歴情報を1日1回監視装置に送信する。これにより、アラーム情報の発生の都度、機器から監視装置に通信が行われることが回避され、システム内の通信負荷が軽減される。特許文献1に記載されている加工機においても、発生したアラーム情報の履歴情報を1日1回監視装置に送信することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように各機器から1日1回アラームの履歴情報を送信するようにすると、異常が発生してからメンテナンス業者に発報されるまでに時間がかかることがある。この場合、重要度の高い異常に対して迅速に対応できずに、機器の稼動に支障をきたすおそれがある。
【0006】
本発明は、機器に関する異常を、重要度あるいは異常状態の解消状況に応じた発報のさせ方で発報することができるアラーム発報装置およびアラーム発報方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、監視対象の機器であり、異常が発生すると、異常の内容を識別するための異常識別情報と、異常が発生した発生時刻とが付加されたアラーム情報を生成する機能を有する、板金加工を行う機器に接続され、異常識別情報ごとに予め設定された、前記機器が稼動中であるか否かにかかわらず監視装置に対してアラームを発報する常時発報対象の異常であるか、前記機器が稼働中のみ前記監視装置に対してアラームを発報する稼働中発報対象の異常であるかを設定する発報設定情報と、異常が発生した後の監視時間とを記憶する監視アラーム情報記憶装置と、監視対象のいずれかの機器に異常が発生して前記機器が生成したアラーム情報を取得したとき、前記アラーム情報に付加されている異常識別情報と、前記監視アラーム情報記憶装置に記憶されている発報設定情報とに基づいて、前記機器に発生した異常が常時発報対象の異常であれば、前記機器が稼働中であるか否かにかかわらずアラームの発報要と判定し、前記アラーム情報に付加されている異常識別情報及び発生時刻と、前記監視アラーム情報記憶装置に記憶されている発報設定情報及び監視時間とに基づいて、前記機器に発生した異常が稼働中発報対象の異常であって、前記機器が稼働中でなければ、アラームの発報不要と判定し、前記機器に発生した異常が稼働中発報対象の異常であって、前記機器が稼働中であり、異常が発生してからの経過時間が設定されている監視時間を超えていなければ、アラームの発報不要と判定し、前記機器に発生した異常が稼働中発報対象の異常であって、前記機器が稼働中であり、該当する異常識別情報に関して設定されている監視時間が0秒であるかまたは、異常が発生してからの経過時間が設定されている監視時間を超えていれば、アラームの発報要と判定する発報要否判定部と、前記発報要否判定部がアラームの発報要と判定したとき、前記監視装置に対して監視対象のいずれかの機器に異常が発生したことを知らせるアラームを発報する発報部と、を備えるアラーム発報装置を提供する。
【0008】
また、本発明は、監視対象の機器であり、異常が発生すると、異常の内容を識別するための異常識別情報と、異常が発生した発生時刻とが付加されたアラーム情報を生成する機能を有する、板金加工を行う機器に接続され、異常識別情報ごとに予め設定された、前記機器が稼動中であるか否かにかかわらず監視装置に対してアラームを発報する常時発報対象の異常であるか、前記機器が稼働中のみ前記監視装置に対してアラームを発報する稼働中発報対象の異常であるかを設定する発報設定情報と、異常が発生した後の監視時間とを記憶する監視アラーム情報記憶装置を備えたアラーム発報装置が、監視対象のいずれかの機器に異常が発生して前記機器が生成したアラーム情報を取得したとき、前記アラーム情報に付加されている異常識別情報と、前記監視アラーム情報記憶装置に記憶されている発報設定情報とに基づいて、前記機器に発生した異常が常時発報対象の異常であれば、前記機器が稼働中であるか否かにかかわらずアラームの発報要と判定し、前記アラーム情報に付加されている異常識別情報及び発生時刻と、前記監視アラーム情報記憶装置に記憶されている発報設定情報及び監視時間とに基づいて、前記機器に発生した異常が稼働中発報対象の異常であって、前記機器が稼働中でなければ、アラームの発報不要と判定し、前記機器に発生した異常が稼働中発報対象の異常であって、前記機器が稼働中であり、異常が発生してからの経過時間が設定されている監視時間を超えていなければ、アラームの発報不要と判定し、前記機器に発生した異常が稼働中発報対象の異常であって、前記機器が稼働中であり、該当する異常識別情報に関して設定されている監視時間が0秒であるかまたは、異常が発生してからの経過時間が設定されている監視時間を超えていれば、アラームの発報要と判定し、アラームの発報要と判定したとき、前記監視装置に対して監視対象のいずれかの機器に異常が発生したことを知らせるアラームを発報することを特徴とするアラーム発報方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のアラーム発報装置およびアラーム発報方法によれば、機器に関する異常を、重要度あるいは異常状態の解消状況に応じた発報のさせ方で発報することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態のアラーム発報装置を用いた機器監視システムの構成を示す全体図である。
【
図2】一実施形態のアラーム発報装置の監視アラーム情報記憶装置に記憶された、監視対象のアラーム情報に関する登録情報の例を示す。
【
図3】一実施形態のアラーム発報装置で実行される処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施形態によるアラーム発報装置を用いた機器監視システムについて、添付図面を参照して説明する。本実施形態による機器監視システムは、ユーザ側に設置された機器を、メンテナンス業者側に設置された監視装置から監視するシステムである。
【0012】
〈一実施形態による機器監視システムの構成〉
図1において、機器監視システム1は、監視対象の4台の機器(第1機器10-1、第2機器10-2、第3機器10-3、および第4機器10-4)と、稼動情報収集装置11と、アラーム発報装置20と、アラーム発報装置20に通信ネットワーク30を介して接続された監視装置40とを備える。
【0013】
図1においては、機器監視システム1による監視対象として4台の第1機器10-1~第4機器10-4を示したが、この数には限定されず、これより少数またはさらに多数の機器を監視対象として構成してもよい。稼動情報収集装置11およびアラーム発報装置20は第1機器10-1~第4機器10-4を有するユーザ側に設置され、監視装置40は第1機器10-1~第4機器10-4を監視するメンテナンス業者側に設置される。
【0014】
第1機器10-1~第4機器10-4は例えば、板金の切断、溶接、または折り曲げ等の加工を行う。第1機器10-1は、第1制御装置101-1と第1記憶装置102-1とを有する。第1制御装置101-1は、自第1機器10-1の動作を制御するとともに、発生した異常を検知する。また第1制御装置101-1は、第1機器10-1内の異常発生を検知すると、発生した異常内容を識別するための異常識別情報であるアラーム番号と、異常発生時刻の情報とをログ情報として付加したアラーム情報を生成する。
【0015】
第1記憶装置102-1は、稼動ファイルD1と、アラームファイルE1とを記憶する。稼動ファイルD1は、第1制御装置101-1による自第1機器10-1の現在の稼動状況(稼動中/停止中)を示す情報(稼動状況情報)を格納する。アラームファイルE1は、第1制御装置101-1で生成されたアラーム情報を格納する。
【0016】
第2機器10-2は、第2制御装置101-2と第2記憶装置102-2とを有する。第2制御装置101-2は、自第2機器10-2の動作を制御するとともに、発生した異常を検知して該当するアラーム情報を生成する。第2記憶装置102-2は、自第2機器10-2の現在の稼動状況情報を格納する稼動ファイルD2と、第2制御装置101-2で生成されたアラーム情報を格納するアラームファイルE2とを記憶する。
【0017】
第3機器10-3および第4機器10-4は、上述した第1機器10-1および第2機器10-2が有する、機器内の異常を検知する機能、アラーム情報を生成する機能、稼動状況情報を記憶する機能、およびアラーム情報を記憶する機能を有していない。
【0018】
稼動情報収集装置11は、第3機器10-3および第4機器10-4に接続され、第3制御装置111と第3記憶装置112とを有する。第3制御装置111は、第3機器10-3で発生した異常および、第4機器10-4で発生した異常を検知して、該当するアラーム情報を生成する。第3記憶装置112は、第3機器10-3および第4機器10-4の現在の稼動状況情報を格納する稼動ファイルD3と、第3制御装置111で生成されたアラーム情報を格納するアラームファイルE3とを記憶する。
【0019】
アラーム発報装置20は、監視アラーム情報記憶装置21と、発報制御装置22とを有する。監視アラーム情報記憶装置21は、第1機器10-1~第4機器10-4から発報されるアラーム情報のうち、監視対象とする異常識別情報を有するアラーム情報に関する発報設定情報と異常が発生した後の監視時間とを、監視対象の機器の機種とアラーム番号との組み合わせごとに記憶する。この発報設定情報は、該当する機器が稼動中であるか否かにかかわらず監視装置40に対してアラームを発報する常時発報対象の異常であるか、当該機器が稼働中のみ監視装置40に対してアラームを発報する稼働中発報対象の異常であるかを設定する情報である。
【0020】
発報制御装置22は、機器監視部221と、発報要否判定部222と、発報部223とを有する。機器監視部221は、所定時間間隔でアラームファイルD1、アラームファイルD2、およびアラームファイルD3にアクセスし、異常状態が解消されていないアラーム情報を検出する。
【0021】
発報要否判定部222は、機器監視部221で検出されたアラーム情報に付加されたログ情報と、該当する機器の現在の稼動状況情報と、監視アラーム情報記憶装置21に記憶された情報とに基づいて、アラーム発報の要否を判定する。発報部223は、発報要否判定部222がアラームの発報要と判定したとき、監視装置40に対して該当機器に異常が発生したことを知らせるアラームを発報する。アラームを発報するとは、発報部223が監視対象の機器が発生したアラーム情報を監視装置40に送信することである。
【0022】
監視装置40はスマートデバイスまたはパーソナルコンピュータ等で構成され、情報入力装置41と、情報出力装置42と、情報処理装置43とを有する。情報入力装置41は、オペレータによる操作情報を入力する。情報出力装置42は、例えばモニタで構成され、アラーム発報装置20から発報されたアラームに関する表示情報を表示する。
【0023】
情報処理装置43は、情報入力装置41から入力された情報、例えばアラーム発報装置20の監視アラーム情報記憶装置21に記憶させる情報の登録または変更の指示情報を、アラーム発報装置20に送信する。また情報処理装置43は、アラーム発報装置20から送信された情報、例えば発報されたアラームに関する情報を、情報出力装置42から出力させる。
【0024】
〈一実施形態による機器監視システムの動作〉
次に、本実施形態による機器監視システム1の動作について説明する。まずオペレータにより、予め監視装置40の情報入力装置41から、監視対象の機器の機種とアラーム番号との組み合わせごとの登録情報が入力され、情報処理装置43、通信ネットワーク30を介してアラーム発報装置20に送信される。送信された情報は、アラーム発報装置20の監視アラーム情報記憶装置21に記憶される。監視アラーム情報記憶装置21に記憶された登録情報は、オペレータの操作により監視装置40から適宜変更可能である。
【0025】
監視アラーム情報記憶装置21に記憶された登録情報の例を、
図2に示す。
図2に示す登録情報には、監視対象である、機器の機種x001と、アラームNo.5001(異常内容「搬送異常」)との組み合わせに関し、発報設定情報「1(機器の稼動中のみ発報対象)」および監視時間「0min」が登録されている。監視対象である、機器の機種x001と、アラームNo.5003(対応するアラーム名「過電流」)との組み合わせに関し、発報設定情報「0(常時発報対象)」および監視時間「0min」が登録されている。監視対象である、機器の機種y002と、アラームNo.5005(異常内容「ワークシュータ異常」)との組み合わせに関し、発報設定情報「1(稼動中のみ発報対象)」および監視時間「30min」が登録されている。なお、「min」は分を示し、「30min」は30分である。但し、「0min」は0秒である。本実施形態において、第1機器10-1および第2機器10-2は機種x001に該当し、第3機器10-3および第4機器10-4は機種y002に該当する。
【0026】
機器監視システム1の稼動中、第1機器10-1の第1制御装置101-1では、自第1機器10-1の稼動状況情報が所定時間間隔で取得され、第1記憶装置102-1内の稼動ファイルD1に格納される。同様に、第2機器10-2の第2制御装置101-2により、自第2機器10-2の稼動状況情報が所定時間間隔で取得され、第2記憶装置102-2内の稼動ファイルD2に格納される。また、稼動情報収集装置11により、第3機器10-3の稼動状況情報および第4機器10-4の稼動状況情報が所定時間間隔で取得され、第3記憶装置112内の稼動ファイルD3に格納される。
【0027】
また、第1機器10-1で異常が発生すると、第1制御装置101-1において、該当するアラーム番号および異常発生時刻の情報をログ情報として付加したアラーム情報が生成され、第1記憶装置102-1内のアラームファイルE1に格納される。また、第2機器10-2で異常が発生すると、第2制御装置101-2において該当するアラーム情報が生成され、第2記憶装置102-2内のアラームファイルE2に格納される。
【0028】
また、第3機器10-3または第4機器10-4で異常が発生すると、稼動情報収集装置11の第3制御装置111において該当するアラーム情報が生成され、第3記憶装置112内のアラームファイルE3に格納される。アラームファイルE1、E2、およびE3に格納されたアラーム情報は、異常状態が解消されると削除されるかまたは、異常が解消したことを示す情報が付加される。格納されたアラーム情報に関し、アラーム発報装置20で実行される処理を
図3のフローチャートに示す。
【0029】
一例として、稼動中の第3機器10-3において「ワークシュータ異常」が発生し、稼動情報収集装置11で該当するアラーム情報F1が生成されてアラームファイルE3に格納された場合に、アラーム発報装置20で実行される処理について説明する。
【0030】
アラーム発報装置20では所定時間間隔(例えば30秒間隔)でアラーム発報の判定処理が実行される。当該判定処理の実行タイミングが到来すると(S1の「YES」)、発報制御装置22の機器監視部221は、アラームファイルE1、E2、およびE3にアクセスし、異常状態が解消されていないアラーム情報があるか否かを確認する(S2)。
【0031】
ここでは、アラームファイルE3に格納された、第3機器10-3のアラーム情報F1が検出される。当該アラーム情報F1には、第3機器10-3の機種y002、アラームNo.5005、および異常発生時刻「12時10分00秒」がログ情報として付加されている。当該アラーム情報F1が検出されると、機器監視部221により稼動情報収集装置11の稼動ファイルD3から、当該第3機器10-3の現在の稼動状況情報「稼動中」が取得される。
【0032】
機器監視部221で取得されたアラーム情報F1および稼動状況情報「稼動中」は発報要否判定部222に送出される。発報要否判定部222では、当該アラーム情報F1のログ情報に基づいて、当該アラーム情報F1が、監視アラーム情報記憶装置21に監視対象として登録された情報に該当するアラーム情報であるか否かが判定される。
【0033】
ここでは、監視対象として登録されている機種y002に関するアラームNo.5005のアラーム情報が取得されたと判定される(S3の「YES」)。そして、第3機器10-3の現在の稼動状況情報、および監視アラーム情報記憶装置21に記憶された情報に基づいて、当該アラーム情報F1について監視装置40への発報の要否が判定される。
【0034】
具体的には、当該アラーム情報F1は常時発報対象ではなく該当機器の稼動中のみ発報対象であり(S4の「NO」)、当該第3機器10-3が現在稼動中であるため(S5の「YES」)、発報対象に該当すると判定される。ここで、当該異常の発生時刻「12時10分00秒」からの経過時間が、当該アラーム情報F1のアラームNo.5005に設定されている監視時間「30min」を超えていなければ(S6の「NO」)、アラーム情報F1のアラーム発報不要と判定される(S7)。
【0035】
アラーム情報F1についてアラーム発報不要と判定された後、当該異常の発生時刻からの経過時間がアラーム情報F1に設定されている監視時間「30min」を超えるまでの間、判定処理の実行タイミングが到来する都度、ステップS1~S7の処理が繰り返される。
【0036】
そして、当該異常の発生時刻からの経過時間が当該監視時間「30min」を超えると(S6の「YES」)、アラーム情報F1についてアラーム発報要と判定される(S8)。
【0037】
発報要否判定部222でアラーム発報要と判定されると、発報部223により、監視装置40に対して第3機器10-3にワークシュータ異常が発生したことを知らせるアラームが発報される(S9)。アラームの発報では例えば、第3機器10-3が生成したアラーム情報が送信される。
【0038】
つまり、取得したアラーム情報F1が、第3機器10-3の稼動中のみ発報対象であり、第3機器10-3が稼動中であり、且つ、当該アラーム情報F1の異常発生時刻から当該アラーム情報の監視時間の経過時に当該異常が解消されていないと判定したため、当該アラーム情報F1の監視時間経過後直ちに、アラームが監視装置40に発報される。アラーム情報F1に関する異常が監視時間の経過前に解消された場合には、その後の判定処理の実行タイミングに当該アラーム情報F1が検出されなくなり(S3の「NO」)、アラームは発報されない(S7)。
【0039】
また、稼動中の第1機器10-1において「搬送異常」が発生し、該当するアラーム情報F2が生成されてアラームファイルE1に格納された場合に、アラーム発報装置20で実行される処理について説明する。
【0040】
この場合、アラーム発報の判定処理の実行タイミングに、機器監視部221によりアラームファイルE1に格納された、第1機器10-1のアラーム情報F2が検出される(S1の「YES」→S2)。当該アラーム情報F2には、アラームNo.5001、および異常発生時刻「14時00分00秒」がログ情報として付加されている。当該アラーム情報F2が検出されると、機器監視部221により第1機器10-1の稼動ファイルD1から、当該第1機器10-1の現在の稼動状況情報「稼動中」が取得されるとともに、当該第1機器10-1の機種x001の情報が取得される。
【0041】
取得された情報は、機器監視部221から発報要否判定部222に送出され、当該アラーム情報F2が、監視対象として登録された情報に該当するアラーム情報であると判定される(S3の「YES」)。さらに発報要否判定部222において、当該アラーム情報F2が該当機器の稼動中のみ発報対象であり(S4の「YES」)、当該第1機器10-1が現在稼動中であり(S5の「YES」)、当該異常の発生時刻からの経過時間が、当該アラーム情報F2のアラームNo.5001に設定された監視時間「0min」を超えている(S7の「YES」)ことから、当該アラーム情報F2については直ちにアラーム発報要と判定される(S8)。
【0042】
発報要否判定部222でアラーム発報要と判定されると、発報部223により、監視装置40に対して第1機器10-1に搬送異常が発生したことを知らせるアラームが発報される(S9)。つまり、取得したアラーム情報F2は、稼動中に異常が発生した後の監視時間が「0min」であるため、アラーム情報F2の取得後、直ちにアラーム情報F2が監視装置40に発報される。
【0043】
また、稼動停止中の第2機器10-2において「過電流」のアラームが発生し、該当するアラーム情報F3が生成されてアラームファイルE2に格納された場合に、アラーム発報装置20で実行される処理について説明する。
【0044】
この場合、アラーム発報の判定処理の実行タイミングに、機器監視部221によりアラームファイルE2に格納された、第2機器10-2のアラーム情報F3が検出される(S1の「YES」→S2)。当該アラーム情報F3には、アラームNo.5003、および異常発生時刻「23時00分00秒」がログ情報として付加されている。当該アラーム情報F3が検出されると、機器監視部221により第2機器10-2内の稼動ファイルD2から、当該第2機器10-2の現在の稼動状況情報「停止中」が取得されるとともに、当該第2機器10-2の機種x001の情報が取得される。
【0045】
取得された情報は、機器監視部221から発報要否判定部222に送出され、当該アラーム情報F3が監視対象として登録された情報に該当するアラーム情報であると判定される(S3の「YES」)。さらに発報要否判定部222において、当該アラーム情報F3が常時発報対象のアラーム情報であると判定される(S4の「YES」)。
【0046】
これにより当該アラーム情報F3に関し、アラーム発報「要」と判定され(S8)、発報部223により監視装置40に対して第2機器10-2に過電流が発生したことを知らせるアラームが発報される(S9)。つまり、過電流のアラーム情報F3が取得されると、第2機器10-2が停止中であっても当該アラーム情報F3が直ちに監視装置40に発報される。
【0047】
発報を受けた監視装置40では、当該発報の情報が情報処理装置43で取得され、情報出力装置42から出力されることで、監視員に報知される。ここで、過電流のアラームが発報された場合には、監視装置40の制御により第2機器10-2への電源供給が遮断される。
【0048】
上述した処理中、アラーム発報装置20において監視対象として登録された情報に該当しないアラーム情報が取得されたとき(S3の「NO」)、監視対象であり稼動中のみ発報対象とするアラーム情報を取得したが当該機器が稼動中ではないとき(S5の「NO」)には、アラーム発報不要と判定される(S7)。
【0049】
以上の実施形態によれば、アラーム発報装置20は、第1機器10-1~第4機器10-4から発報されるアラーム情報のうち、重要度が高いアラーム情報を、機器の機種と異常内容との組み合わせごとに、機器の稼動状況(稼動中または停止中)および異常の継続時間に基づいて判断して高い精度で抽出し、迅速に監視装置40に発報することができる。
【0050】
また、所定時間以上継続して異常状態が継続しているアラーム情報を検知したときに、メンテナンス業者から機器の所有者に対して確認を行ってサービスの向上を図ることができる。
【0051】
上述した実施形態においては、監視対象の機器の機種と異常識別情報との組み合わせごとに予め設定された発報設定情報および監視時間の情報をアラーム発報装置20に予め設定し、これを用いてアラーム発報の要否を判定する場合について説明した。しかし、これには限定されず、監視対象のアラーム情報を、ユーザの識別情報と異常識別情報との組み合わせごと、または、ユーザの識別情報と機器の機種と異常識別情報との組み合わせごと等、任意の機器のグループを特定可能な情報と異常識別情報との組み合わせごとに設定してもよい。このように設定することにより、ユーザごと、または機種ごとに異なる重要度に応じてアラーム情報の発報の要否を判定することができる。
【0052】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 機器監視システム
10-1 第1機器
10-2 第2機器
10-3 第3機器
10-4 第4機器
11 稼動情報収集装置
20 アラーム発報装置
21 監視アラーム情報記憶装置
22 発報制御装置
30 通信ネットワーク
40 監視装置
41 情報入力装置
42 情報出力装置
43 情報処理装置
101-1 第1制御装置
101-2 第2制御装置
102-1 第1記憶装置
102-2 第2記憶装置
111 第3制御装置
112 第3記憶装置
221 機器監視部
222 発報要否判定部
223 発報部