(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-05
(45)【発行日】2023-04-13
(54)【発明の名称】アウターケーシングの取り付け構造
(51)【国際特許分類】
F16C 1/14 20060101AFI20230406BHJP
F16C 1/20 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
F16C1/14 A
F16C1/20 Z
(21)【出願番号】P 2019196297
(22)【出願日】2019-10-29
【審査請求日】2021-10-22
(73)【特許権者】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100149009
【氏名又は名称】古賀 稔久
(72)【発明者】
【氏名】舟橋 信裕
(72)【発明者】
【氏名】和田 義広
(72)【発明者】
【氏名】栗林 諒知
【審査官】倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第97/029290(WO,A1)
【文献】実開平03-080117(JP,U)
【文献】特表2005-535846(JP,A)
【文献】実開平04-046222(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 1/10 - 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ方向に延びる複数のインナーケーブルと、
前記複数のインナーケーブルが各々挿通された複数のアウターケーシングと、
前記複数のアウターケーシングの端が接続された接続部材と、
前記接続部材を保持する保持部
が壁部に設けられた箱状の本体部を有する保持部材と、を備え、
前記保持部には、前記接続部材が配置される配置空間と、前記インナーケーブルの軸方向に対して垂直な方向に設けられ、前記配置空間と外部を連通する開口が形成され、
前記保持部は、
前記複数のインナーケーブルの配置方向における前記開口の両側に形成された第1抜け止め部および第2抜け止め部を有し、
前記接続部材は、
前記複数のアウターケーシングの端が挿入され、前記保持部材の外側に配置される挿入部分と、
前記挿入部分と前記壁部の間に配置される外側部分と、
前記壁部の内側に配置される内側部分と、
前記外側部分と前記内側部分に挟まれ、前記保持部に保持される被保持部と、を有し、
前記外側部分の外形と前記内側部分の外形は、前記被保持部よりも大きく、
前記被保持部は、
前記第1抜け止め部に係合する第1係合部と、前記第2抜け止め部に係合する第2係合部と、を有
し、
前記保持部は、前記第2抜け止め部の前記外部側に設けられた傾斜部を有し、
前記接続部材を前記配置空間に挿入するために、前記第1抜け止め部に前記第1係合部を係合させた状態で前記接続部材を前記インナーケーブルの軸方向と平行な軸を中心に回転させた際に、前記接続部材の前記第2係合部側を前記配置空間に誘い込むように、前記傾斜部が形成されている、
アウターケーシングの取り付け構造。
【請求項2】
前記第1抜け止め部および前記第2抜け止め部の各々は、突起であり、
前記第1係合部および前記第2係合部の各々は、前記接続部材に形成された凹部である、
請求項1に記載のアウターケーシングの取り付け構造。
【請求項3】
前記保持部は、前記開口に対向する前記配置空間の縁に形成された嵌合部を有し、
前記接続部材は、前記嵌合部と嵌合する被嵌合部を有し、
前記接続部材が前記保持部に保持された状態において、前記嵌合部は前記被嵌合部に嵌合する、
請求項1または2に記載のアウターケーシングの取り付け構造。
【請求項4】
前記嵌合部は、前記配置空間の縁から突出した突起であり、
前記被嵌合部は、前記接続部材に形成された凹部である、
請求項3に記載のアウターケーシングの取り付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アウターケーシングの取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの複数の部品の遠隔操作が必要な機械装置において、複数のケーブルを連結するケーブルの連結機構が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に示すケーブルの連結構造では、スライダ収容部材に配置されたスライダの移動方向における一方の端に一本のケーブルが接続され、他方の端に一本のケーブルが接続されている。例えば、一方のケーブルを引っ張ると、スライダがスライダ収容部材内で移動し、スライダの移動に伴って他方のケーブルが引っ張られる。
【0003】
また、スライダ収容部材の外側においてケーブルは、アウターケーシングによって覆われており、アウターケーシングは接続部材としてのケーシングキャップによって、スライダ収容部材に接続されている。
一方、フードの大きい車両においてダブルラッチを採用している場合等には、1つの操作で同時に2つのラッチの解除を行う必要があり、この場合、上述のスライダの両端のいずれか一方の端に2本のケーブルが接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような2本のケーブルのそれぞれに接続部材を用いると部品点数が多くなり、また製造に時間がかかるため、2つの接続部材を1つにまとめることが考えられる。しかしながら、2本のケーブルが動くと、接続部材がスライダ収容部材の接続部材の保持部から外れる場合がある。
本発明は、アウターケーシングが接続される接続部材が保持部から外れることを抑制可能なアウターケーシングの取り付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合わせることができる。
【0007】
本発明の一見地にかかるアウターケーシングの取り付け構造は、複数のインナーケーブルと、複数のアウターケーシングと、接続部材と、保持部材と、を備える。複数のインナーケーブルは、同じ方向に延びている。複数のアウターケーシングは、複数のインナーケーブルが各々挿通されている。接続部材は、複数のアウターケーシングの端が接続されている。保持部材は、接続部材を保持する保持部を有する。保持部には、接続部材が配置される配置空間と、インナーケーブルの軸方向に対して垂直な方向に設けられ、配置空間と外部を連通する開口が形成されている。保持部は、第1抜け止め部および第2抜け止め部を有する。第1抜け止め部および第2抜け止め部は、複数のインナーケーブルの配置方向における開口の両側に形成されている。接続部材は、第1係合部と、第2係合部と、を有する。第1係合部は、第1抜け止め部に係合する。第2係合部は、第2抜け止め部に係合する。
【0008】
このように、保持部は、第1抜け止め部および第2抜け止め部を有し、接続部材は、第1抜け止め部に係合する第1係合部と、第2抜け止め部に係合する第2係合部と、を有する。
アウターケーシングを保持部材に接続する接続部材が、保持部材の保持部に2箇所で係止されるため、インナーケーブルが動いた場合であっても接続部材の動きを規制し保持部から外れることを抑制することができる。
【0009】
第1抜け止め部および第2抜け止め部の各々は、突起であってもよい。第1係合部および第2係合部の各々は、接続部材に形成された凹部であってもよい。
突起が凹部に係合することによって、インナーケーブルが動いた場合であっても接続部材の保持部における動きを規制し接続部材が保持部から外れることを防止することができる。
【0010】
保持部は、開口に対向する配置空間の縁に形成された嵌合部を有していてもよい。接続部材は、嵌合部と嵌合する被嵌合部を有していてもよい。接続部材が保持部に保持された状態において、嵌合部は被嵌合部に嵌合してもよい。
嵌合部が被嵌合部と嵌合することによって、インナーケーブルが動いた場合であっても接続部材の保持部における動きをより規制し接続部材が保持部から外れることを防止することができる。
【0011】
嵌合部は、配置空間の縁から突出した突起であってもよい。被嵌合部は、接続部材に形成された凹部であってもよい。
突起が凹部に嵌合することによって、インナーケーブルが動いた場合であっても接続部材の保持部における動きを規制し、接続部材が保持部から外れることを抑制することができる。
【0012】
保持部は、第2抜け止め部の外部側に設けられた傾斜部を有していてもよい。接続部材を配置空間に挿入するために、第1抜け止め部に第1係合部を係合させた状態で接続部材を回転させた際に、接続部材の第2係合部側を配置空間に誘い込むように、傾斜部が形成されていてもよい。
このように傾斜部が設けられていることにより、接続部材を回転させながら傾斜部にそって配置空間に配置することができるため、接続部材を保持部に取り付け易い。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ケーシングキャップがキャップの保持部から外れることを抑制可能なアウターケーシングの取り付け構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明にかかる実施の形態のアウターケーシングの取り付け構造を用いたケーブル連結構造を示す斜視図。
【
図2】
図1のアウターケーシングの取り付け構造の複数の第1ケーブルが第1端末部材に接続された状態を示す平面図。
【
図3】(a)
図1のアウターケーシングの取り付け構造の接続部材を示す平面図、(b)
図3(a)の接続部材の第2端面側の側面図、(c)
図3(a)の接続部材の第1端面側の側面図。
【
図4】(a)
図3(a)のBB´間の矢示断面図、(b)
図3(a)のHH´間の矢示断面図。
【
図5A】
図1のアウターケーシングの取り付け構造の保持部材の平面図。
【
図5D】
図5Cの保持部材の保持部に接続部材の被保持部分が配置された状態を示す図。
【
図6A】
図5Cの保持部材に接続部材を取り付ける動作を説明するための図。
【
図6B】
図5Cの保持部材に接続部材を取り付ける動作を説明するための図。
【
図7】
図5Cの保持部材に接続部材を取り付ける動作を説明するための全体斜視図。
【
図8】(a)接続部材の他の例を示す断面図、(b)保持部の他の例を示す側面図。
【
図9A】
図8(a)の接続部材を
図8(b)の保持部に取り付ける動作を説明するための図。
【
図9B】
図8(a)の接続部材を
図8(b)の保持部に取り付ける動作を説明するための図。
【
図10】(a)
図1のアウターケーシングの取り付け構造の移動部材の斜視図、(b)移動部材の平面図、(c)移動部材の正面図。
【
図11】
図1のケーブル連結構造の組み立て状態を示す斜視図。
【
図12】
図1のケーブル連結構造において蓋部を閉めた状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明にかかる実施の形態のアウターケーシングの取り付け構造について図面を参照しながら説明する。
【0016】
なお、以下の説明では、本実施の形態のアウターケーシングの取り付け構造を、ケーブルの連結機構に用いた場合を例に挙げて説明する。
【0017】
(ケーブル連結構造1の概要)
図1は、本発明にかかる実施の形態のアウターケーシングの取り付け構造を用いた一例であるケーブル連結構造1を示す斜視図である。
【0018】
ケーブル連結構造1は、複数の第1インナーケーブル11a、11bと第2インナーケーブル15とを移動部材13を介して連結する機構である。
ケーブル連結構造1に用いられているアウターケーシングの取り付け構造10は、複数の第1インナーケーブル11a、11bの各々を覆う第1アウターケーシング18a、18bが取り付けられている接続部材17を保持部材14に取り付ける構造である。
なお、
図1に示す一例では、保持部材14は箱状の部材であり、接続部材17は保持部材14に取り付けられる。また、移動部材13は、保持部材14の内部を第1インナーケーブル11a、11bの軸方向Aに沿って移動可能に構成されている。なお、
図1では、複数の第1インナーケーブル11a、11bを、移動部材13を介して第2インナーケーブル15と連結しているが、ケーブルに限らなくても良く、移動部材13を移動させるもの又は移動に伴って駆動するものであれば特に限定されるものではない。
【0019】
(アウターケーシングの取り付け構造10)
アウターケーシングの取り付け構造10は、複数の第1インナーケーブル11a、11bと、複数の第1アウターケーシング18a、18bと、接続部材17と、保持部材14と、を備える。
【0020】
(第1インナーケーブル11a、11b)
複数の第1インナーケーブル11a、11bは、
図1に示すように、同じ方向(矢印A1参照)に延びている。本実施の形態では、例えば、2本の第1インナーケーブル11a、11bが設けられているが、2本に限られるものではない。また、第1インナーケーブル11a、11bは、保持部材14内において同じ方向に延びていれば良く、保持部材14の外部では適宜配索されるため同じ方向でなくてもよい。なお、軸方向Aは、第1インナーケーブル11a、11bが延びる方向A1および方向A1の反対方向A2を含む。
【0021】
複数の第1インナーケーブル11a、11bの保持部材14の内側に位置する端は、1つの第1端末部材12に接続されている。
図2は、第1インナーケーブル11a、11bと第1端末部材12を示す平面図である。
第1端末部材12は、略直方体形状の部材であり、幅方向Dにおける両側に端面12aを有している。幅方向Dは、複数の第1インナーケーブル11a、11bの配列方向である。また、第1端末部材12は、軸方向Aにおける一方側と他方側の各々に設けられた軸方向側面12b、12cを有している。軸方向側面12bに第1インナーケーブル11a、11bの端が接続されている。軸方向側面12cは、軸方向Aにおける軸方向側面12bの反対側の面である。本実施の形態では、2つの端面12aと軸方向側面12b、12cは概ね平面であるが、これに限られるものではなく、曲面であってもよい。
【0022】
第1端末部材12が、後述する移動部材13の第1収容部21に矢印C方向(
図1参照)に沿って挿入されることによって、第1インナーケーブル11a、11bが、移動部材13に接続される。なお、本実施の形態では、複数の第1インナーケーブル11a、11bは、1つの第1端末部材12に接続されているが、1つの端末部材に限らず、各々のケーブルが別々に端末部材に接続されていてもよい。その場合、第1収容部21も2つに分かれていても良い。また、矢印C方向は、軸方向Aおよび幅方向Dに略垂直な方向であって、保持部材14の後述する開口64aから底面62に向かう深さ方向である。
【0023】
(第1アウターケーシング18a、18b)
複数の第1アウターケーシング18a、18bは、
図1に示すように、複数の第1インナーケーブル11a、11bが各々挿通されている。第1アウターケーシング18aには、第1インナーケーブル11aが挿通されており、第1アウターケーシング18bには、第1インナーケーブル11bが挿通されている。
複数の第1アウターケーシング18a、18bは、第1インナーケーブル11a、11bの保持部材14の外側に位置する部分を覆う。
【0024】
(接続部材17)
接続部材17には、複数の第1アウターケーシング18a、18bの端が接続されている。複数の第1アウターケーシング18a、18bは、接続部材17に対して、それぞれ接続部材の所定の位置で接続される。後述のように接続部材17が保持部材14に保持されるので、第1アウターケーシング18a、18bが保持部材14に対して所定の位置となるように、接続部材17は、第1アウターケーシング18a、18bを接続部材17の所定の位置で接続する。接続部材17は、後述のように、保持部材14に設けられた開口102に挿入されるので、接続部材17の開口102への挿入方向に対して係合していることが好ましい。例えば、第1アウターケーシング18a、18bは、接続部材17に対して、第1アウターケーシング18a、18bの軸方向に挿入されて接続されていてもよいし、第1アウターケーシング18a、18bが接着によって接続部材17に接続されていてもよい。なお、接続部材17の開口102への挿入する方向は、第1アウターケーシング18a、18bの軸に垂直な方向と、1の第1アウターケーシング18aと他の第1アウターケーシング18bとが並ぶ方向(つまり、1の第1アウターケーシング18aと他の第1アウターケーシング18bとの軸を最短距離で結んだ方向)とに垂直な方向となっている。
本実施の形態では、第1アウターケーシング18a、18bは、第1インナーケーブル11a、11bが接続部材17に挿通される方向に設けられた孔に、挿入されて接続部材17に接続されている。
【0025】
図3(a)は、接続部材17の一例を示す平面図である。
図3(b)は、第1アウターケーシング18a、18bが接続される側の第2端面を示す側面図である。
図3(c)は、保持部材14の内側に位置する第1端面を示す側面図である。
図4(a)は、
図3(a)のBB´間の矢示断面図であり、
図4(b)は、
図3(a)のHH´間の矢示断面図である。
接続部材17は、
図3(a)に示すように軸方向Aに沿って対向するように設けられた第1端面81および第2端面82を有する。接続部材17を保持部材14に取り付けた際には、第1端面81は保持部材14の内側に位置し、第2端面82は、保持部材14の外側に位置する。
【0026】
第2端面82には、第1アウターケーシング18a、18bを接続する2つの接続孔82a、82bが軸方向Aに沿って設けられている。接続孔82a、82bは、互いに平行に形成されている。接続孔82a、82bは、第1端面81から第2端面82の途中まで形成されている。接続孔82a、82bの先端面82as、82bsから第1端面81まで貫通孔83a、83bが設けられている(
図4(b)参照)。貫通孔83aは、
図3(b)に示すように、先端面82asの中央に形成されている。貫通孔83bは、先端面82bsの中央に形成されている。
【0027】
第1アウターケーシング18aは、その端が先端面82asに当接するまで接続孔82aに挿入される。第1アウターケーシング18bは、その端が先端面82bsに当接するまで接続孔82bに挿入される。また、
図3(b)に示すように、接続孔82a、82bの各々の内周面には周方向に凹凸82at、82btが形成されており、この凹凸82at、82btは第1アウターケーシング18a、18bの抜け止めの機能を有する。第1インナーケーブル11a、11bは、第1アウターケーシング18a、18bの内側を通り、貫通孔83a、83bを通って、保持部材14の内側に延びている。
【0028】
接続部材17は、後述する保持部材14の壁部71に形成された保持部72に保持される被保持部分86を有している。本実施の形態の接続部材17は、
図3(a)に示すように、一例として第2端面82から第1端面81に向かって順に、挿入部分84と、外側部分85と、被保持部分86と、内側部分87と、を有する。挿入部分84には、接続孔82a、82bが形成されており、第1アウターケーシング18a、18bが挿入される。外側部分85は、軸方向Aにおいて、被保持部分86よりも外形が大きくなるよう設けられており、壁部71の外側に配置される。被保持部分86は、軸方向Aにおいて、その外形が外側部分85よりも小さくなるように設けられている。内側部分87は、軸方向Aにおいて、その外形が被保持部分86よりも大きくなるように設けられており、壁部71の内側に配置される。外側部分85と内側部分87に挟まれるように被保持部分86は設けられている。被保持部分86が壁部71の配置空間101に配置された状態において、第1インナーケーブル11a、11bの駆動によって接続部材17が軸方向Aに移動したとしても、外側部分85または内側部分87が壁部71に当接することによって接続部材17の移動が規制される。
なお、被保持部分86の保持部72による保持については後段にて説明する。
【0029】
(保持部材14)
保持部材14は、接続部材17を保持する保持部72を有する。保持部72は、保持部材14に接続部材17を取り付けるために設けられている。保持部材14および保持部72の形状および構成については特に限定されるものではないが、
図1に示す車両などに用いるケーブル連結構造1の保持部材14を例に挙げて説明する。
図5Aは、本実施の形態の保持部材14の平面図である。
図5Bは、本実施の形態の保持部材14の側面図である。保持部材14は、例えば、
図1、
図5Aおよび
図5Bに示すような箱状の部材であり、内側に内部空間61を有している。
【0030】
保持部材14は、
図5Aおよび
図5Bに示すように、本体部64と、蓋部65と、ヒンジ部66と、取り付け部67と、を有している。本実施の形態の保持部材14は、移動部材13のケースとして機能する。
本体部64は、箱状であり、内部空間61を有している。本体部64は、底面62(
図1参照)と、底面62を囲むように配置された壁部71、73、76、77を有している。
図5Aに示すように、壁部71と壁部73は、軸方向Aにおいて対向して設けられている。壁部76と壁部77は、幅方向Dに対向して設けられている。幅方向Dは、軸方向Aに対して略垂直であり第1インナーケーブル11a、11bの配置方向である。内部空間61は、底面62と壁部71、73、76、77に囲まれて形成されている。
この内部空間61に移動部材13が配置されている。移動部材13は、保持部材14の内部空間61において軸方向Aに沿って移動可能である。内部空間61の軸方向Aにおける長さは、移動部材13の長さよりも長く設けられている。これによって、移動部材13は、保持部材14の内部空間61において軸方向Aに沿って移動可能となる。
また、
図5Aに示すように、壁部71に、上述した接続部材17の保持部72が設けられているが、保持部72の構成については後述する。
【0031】
蓋部65の端と壁部76の端の間には2つのヒンジ部66が設けられている。蓋部65は、ヒンジ部66を介して本体部64と繋がっている。蓋部65は、本体部64の一面に形成された開口64aを開閉可能である。
図12は、蓋部65が閉じられた状態のケーブル連結構造1を示す斜視図である。
蓋部65のヒンジ部66と反対側の端には、2つの係合部68が設けられている。本体部64のヒンジ部66と反対側の端には、係合部68と係合可能な被係合部69が設けられている。ヒンジ部66を軸に蓋部65を本体部64に向かって回動させ、係合部68を被係合部69に係合させることによって蓋部65を閉じることができる。なお、本実施の形態では、被係合部69には孔が形成されており、係合部68は孔を貫通した後に孔の縁に係合できる弾性力を有した構成であるが、これに限られるものではない。
【0032】
また、取り付け部67は、
図5Bに示すように本体部64の開口64aと反対側の面の外側に設けられている。取り付け部67は、孔に差し込み可能なピン形状である。
図5Bに取り付け部67が差し込まれた孔100が示されている。
取り付け部67は、本体部64から突出した突出部671と、突出部671の先端から本体部64側に向かって広がるように形成された一対の係合部672と、を有している。一対の係合部672は、弾性を有している。一対の係合部672は孔100を通過するときは、突出部671に近づき、孔100を通り過ぎると広がる。これによって、取り付け部67が孔100から抜けることを規制することができる。
【0033】
(接続部材の保持部材による保持構造)
保持部72は、接続部材が配置される配置空間101と、第1インナーケーブル11a、11bの軸方向Aに対して垂直な方向に設けられ、配置空間101と外部を連通する開口102が形成されている。
保持部72は、上述したように、一例として保持部材14の壁部71に設けられている。本実施の形態においては、壁部71は、ケースとし機能する保持部材14の第1アウターケーシング18a、18b側の端部として設けられている。
図5Cは、
図5BのE部拡大図である。なお、
図5Cでは、保持部72の構成を理解し易くするために壁部73を省略している。
図5Dは、接続部材17の被保持部分86を配置空間101に配置した状態を示す図である。
【0034】
図5Cに示すように、配置空間101は、壁部71を軸方向Aに貫通した空間であり、接続部材17が配置される。開口102は、壁部71の端71a(開口64aの縁ともいえる)に設けられており、配置空間101と連通している。開口102と配置空間101は、切り欠き形状に壁部71に設けられている。
保持部72は、
図5Cに示すように、複数の第1インナーケーブル11a、11bの配置方向(幅方向D)における開口102の両側に形成された第1抜け止め部103および第2抜け止め部104を有する。
【0035】
第1抜け止め部103は、例えば、突起である。第1抜け止め部103は、
図5Cに示すように、配置空間101の内側に向かって縁108から突出して設けられている。第2抜け止め部104は、例えば、突起である。第2抜け止め部104は、配置空間101の内側に向かって縁109から突出して設けられている。縁108、109は、配置空間101の幅方向Dにおける縁である。
なお、本実施の形態では、第1抜け止め部103と第2抜け止め部104は、
図5Cに示すように左右対称に設けられているが、これに限られるものではない。
【0036】
一方、接続部材17は、
図4(a)および
図5Dに示すように、第1係合部91と、第2係合部92と、を有する。第1係合部91は、凹部であり、突起である第1抜け止め部103が係合する。第2係合部92は、凹部であり、突起である第2抜け止め部104が係合する。
第1抜け止め部103および第2抜け止め部104は、配置空間101の上部に配置されており、被保持部分86が開口102から抜けることを規制する。
なお、第1抜け止め部103と第2抜け止め部104は、一例として突起とし、第1係合部91と第2係合部92は、一例として凹部としているが、これに限らなくても良く、抜け止め部に係合部が係合できさえすればよい。例えば、第1抜け止め部103および第2抜け止め部104は、板バネなどであってもよい。
【0037】
保持部72は、
図5Cに示すように、開口102に対向する配置空間101の縁107に形成された嵌合部105、106を有する。嵌合部105、106は、例えば、配置空間101の縁107から突出した突起である。
本実施の形態では、嵌合部105と嵌合部106は、幅方向Dにおいて互いに対向している。また、本実施の形態では、配置空間101の縁107は、幅方向Dと平行に形成されているが、これに限らず、折れ曲がっていてもよいし、湾曲していてもよい。
嵌合部105は、深さ方向Cにおいて、第1抜け止め部103と対向している。嵌合部106は、深さ方向Cにおいて第2抜け止め部104と対向している。
【0038】
一例として、配置空間101の幅方向の縁108、109は、深さ方向Cと平行に形成されているが、これに限らず、折れ曲がっていてもよいし、湾曲していてもよい。なお、縁108が、第1抜け止め部103と嵌合部105の間に配置されており、縁109が、第2抜け止め部104と嵌合部106の間に配置されている。
接続部材17は、
図4(a)に示すように、嵌合部105、106と嵌合する被嵌合部93、94を有している。被嵌合部93、94は、例えば、凹部である。
【0039】
嵌合部105、106は一例として突起とし、被嵌合部93、94は、一例として凹部としたが嵌合部が被嵌合部に嵌合できさえすれば形状が限定されるものではない。嵌合部105、106がバネ部材などで、被嵌合部105、106に嵌りこんでも良い。
なお、被嵌合部93と被嵌合部94は、幅方向Dにおいて対向して設けられている。第1係合部91と被嵌合部93は、深さ方向Cにおいて対向して形成されている。第2係合部92と被嵌合部94は、深さ方向Cにおいて対向して形成されている。
また、本実施の形態では、嵌合部105、106と被嵌合部93、94は2つずつ設けられているが、1つのみ設けられていてもよい。
【0040】
接続部材17の幅方向Dの端95、96は、
図4(a)に示すように、深さ方向Cと平行に形成されているが、これに限らず、折れ曲がっていてもよいし、湾曲していてもよい。なお、端95が、第1係合部91と被嵌合部93の間に配置されており、端96が、第2係合部92と被嵌合部94の間に配置されている。また、第1係合部91と第2係合部92の間に設けられた端97は、
図5Dに示すように被保持部分86が配置空間101に配置された状態において、開口102側に位置し、被嵌合部93と被嵌合部94の間に設けられた端98は、縁107と対向する。また、被保持部分86が配置空間101に配置された状態において、端95が縁108と対向し、端96が縁109と対向する。
【0041】
本実施の形態では、例えば、接続部材17は、軸方向Aに対して垂直な断面視において、長方形状が切りかかれた形状である。第1係合部91、第2係合部92、接続部材17の被保持部分86は、長方形の4角の切りかかれた部分に対応する。また、接続部材17では
図4(a)に示すように、端97と端98の中央に切り欠き97a、98aが形成されており、軽量化が図られているが、これらは形成されていなくてもよい。
【0042】
保持部72は、第2抜け止め部104の外部側に設けられた傾斜部110を有する。
傾斜部110は、第2抜け止め部104から端71aに向かうに従って外側に向かうように傾斜している。一例として、本実施の形態では、保持部72は、第1抜け止め部103の外部側に設けられた傾斜部111も有している。傾斜部111は、第1抜け止め部103から端71aに向かうに従って外側に向かうように傾斜している。すなわち、傾斜部110と傾斜部111の間隔は、第1抜け止め部103、第2抜け止め部104の間の間隔から開口102に向かうに従って広くなっている。
なお、本実施の形態では、傾斜部110と傾斜部111の双方が設けられているが、いずれか一方のみが設けられていればよい。
【0043】
傾斜部110は、接続部材17を配置空間101に挿入するために、第1抜け止め部103に第1係合部91を係合させた状態で接続部材17を回転させた際に、接続部材17の第2係合部92側を配置空間101に誘い込むように形成されている。
図6Aおよび
図6Bは、接続部材17を配置空間101に挿入動作を説明するための図である。
図6Aに示すように、保持部72の第1抜け止め部103に被保持部分86の第1係合部91を嵌合させた状態で、接続部材17を配置空間101に配置させるように回転させる(矢印F)。
図7は、
図6Aの状態を示す全体斜視図である。矢印F方向に接続部材17を回転させると、
図6Bに示すように、接続部材17の被保持部分86の端98が傾斜部110と摺動し、開口102が広くなるように壁部71が幅方向Dに開くように撓む(矢印G参照)。ここで、保持部材14は、傾斜部110に接続部材17から力が加わった際に、開口102が広がるような可撓性を有している。
【0044】
図6Bよりも更に接続部材17を回転させると、端96が傾斜部110と摺動し、
図5Dに示すように接続部材17の被保持部分86が配置空間101に嵌り込む。
嵌り込んだ状態では、第1抜け止め部103が第1係合部91に係合し、第2抜け止め部104が第2係合部92に係合している。このため、接続部材17の被保持部分86は保持部72によって保持され配置空間101から外れることが抑制される。
また、嵌合部105、106が被嵌合部93、94に嵌合しているため、接続部材17の被保持部分86が配置空間101から外れることがより低減される。
なお、被保持部分86と保持部72の形状は、上記実施の形態に限らなくてもよく、例えば、
図8(a)および
図8(b)に示す構成が挙げられる。
図8(a)は、被保持部分86´を示す図である。
図8(b)は、保持部72´を示す図である。
【0045】
被保持部分86´は、被保持部分86と同様に、第1係合部91と第2係合部92を有しているが、被嵌合部93、94、および切り欠き97a、98aが設けられておらず、端98の中央に被嵌合部99が設けられている。被嵌合部99は、例えば凹部である。また、端95と端98の間は外側に凸に湾曲しており、端96と端98の間は外側に凸に湾曲している。
【0046】
保持部72´は、保持部72と同様に、第1抜け止め部103と第2抜け止め部104を有しているが、嵌合部105、106が設けられておらず、縁107の中央に嵌合部112が設けられている。嵌合部112は、例えば配置空間101に向かって縁107から突出した突部である。また、縁108と縁107の間は外側に凸に湾曲し、縁108と縁109の間は外側に凸に湾曲している。保持部72´のこれらの湾曲は、被保持部分86´の湾曲に対応して形成されている。
【0047】
このような場合でも、
図9Aに示すように、保持部72´の第1抜け止め部103に被保持部分86´の第1係合部91を嵌合させた状態で、接続部材17を配置空間101に配置させるように回転させる(矢印F)。矢印F方向に接続部材17を回転させると、
図6Bと同様に、接続部材17の被保持部分86の端98と端96の間の湾曲が傾斜部110と摺動し、開口102が広くなるように壁部71が幅方向Dに開くように撓む。
更に接続部材17を回転させると、端96が傾斜部110と摺動し、
図9Bに示すように、接続部材17の被保持部分86が配置空間101に嵌り込む。
なお、
図9Bに示すように、被保持部分86´が保持部72´の配置空間101に配置した状態では、第1係合部91に第1抜け止め部103が係合し、第2係合部92に第2抜け止め部104が係合し、嵌合部112が被嵌合部99に嵌合している。
【0048】
(移動部材)
移動部材13は、第1インナーケーブル11a、11bの軸方向に移動可能である。
移動部材13は、第1端末部材12を収容する第1収容部21を有している。
図10(a)は、移動部材13の斜視図である。
図10(b)は、移動部材13の平面図である。
図10(c)は、移動部材13の正面図である。
【0049】
移動部材13は、外形が略直方体形状である。第1収容部21は、第1端末部材12を収容可能である。第1収容部21は、移動部材13に形成された空間であり、第1端末部材12に合わせて形成されている。なお、本実施の形態では、第1端末部材12が略直方体形状であるため、第1収容部21も略直方体形状であるが、これに限られるものではない。
移動部材13の第1収容部21は、保持部材14に支持されている支持面22(
図10(c)参照)の反対側の表面24に、第1端末部材12を第1収容部21に挿入するために第1開口23(
図10(a)参照)を有している。移動部材13は、支持面22において保持部材14によって支持されている。支持面22は、保持部材14の底面62に支持される。
移動部材13は、
図10(a)に示すように、軸方向Aの外部と第1収容部21とを区画する第1壁部25を有している。
【0050】
第1壁部25は、第1収容部21に収容された第1端末部材12から複数の第1インナーケーブル11a、11bの各々が延出する複数の延出部31と、各々の延出部31に設けられた抜け止め部32と、を有する。
各々の延出部31は、第1開口23からの第1端末部材12の挿入方向C側に第1インナーケーブル11a、11bを延出部31に挿入するための第2開口33を有する。第2開口33は、
図10(c)に示すように、移動部材13の支持面22と反対側の表面24に設けられている。
【0051】
第1開口23と第2開口33は繋がっている。第1端末部材12と複数の第1インナーケーブル11a、11bは、繋がっている第1開口23及び第2開口33を介して、一体的に第1収容部21と延出部31に挿入される。なお、延出部31は、第2開口33を形成する端縁部33eも有している。延出部31は例えばスリット状の孔を有しており、この孔から第1インナーケーブル11a、11bが延出される。
抜け止め部32は、第2開口33から第1インナーケーブル11a、11bが抜けることを規制する。抜け止め部32は、例えば、スリット状の孔の対向する面の一方から他方に向かって形成された突起である。
【0052】
移動部材13は、
図10(a)に示すように、第2インナーケーブル15が接続された第2端末部材16を収容する第2収容部26を有している。本実施の形態では、第2端末部材16は、
図1に示すように円柱状の部材であり、第2収容部26は、軸方向Aに細長く形成されているが、第2端末部材16を第2収容部26に収容できれば、それぞれの形状は特に限定されるものではない。なお、第2端末部材16は、第2収容部26にあわせた形状であるほうが、位置ズレなどが生じにくいことからより好ましい。
第2収容部26は、支持面22の反対側に第2端末部材16を第2収容部26に挿入するための第3開口27を有している。本実施の形態では、第2収容部26は、第1収容部21と連通しているため、第3開口27は、第1開口23と繋がっているが、これに限らなくても良く、第2収容部26は、第1収容部21まで設けられず第1収容部21に連通していなくてもよい。
【0053】
移動部材13は、
図10(a)に示すように、第2インナーケーブル15の軸方向Aの外部と第2収容部26とを区画する第2壁部28を有している。第2壁部28は、第2収容部26に収容された第2端末部材16から第2インナーケーブル15が延出する延出部51を有している。延出部51は、第3開口27からの第2端末部材16の挿入方向側に第2ケーブルを延出部51に挿入するための第4開口52を有している。第4開口52と第3開口27と繋がっている。延出部51は、例えばスリット状の孔を有している。なお、本実施の形態では、特に記載していないが、スリット状の孔に延出部31と同様の抜け止め部が設けられていてもよい。
【0054】
(第2ケーシングキャップ、第2アウターケーシング)
本実施の形態のケーブル連結構造1は、
図1に示すように、接続部材19と、第2アウターケーシング20と、を有している。第2アウターケーシング20は、保持部材14の外部において、インナーケーブルである第2インナーケーブル15の外側を覆う。接続部材19は、保持部材14に取り付けられている。接続部材19の保持部材14と反対側の端には接続孔が形成されており、その接続孔に第2アウターケーシング20が挿入されている。これによって、接続部材19に第2アウターケーシング20が接続されている。接続孔には、接続孔82a、82bと同様に内周面に凹凸が形成されていてもよい。また、接続部材19には、貫通孔が形成されており、第2インナーケーブル15が挿通されている。
【0055】
保持部材14には、
図11に示すように、壁部73に保持部74が形成されている。保持部74は、
図11に示すように、接続部材19を配置する配置空間201と、配置空間201に接続部材19を挿入するための開口202と、配置空間201から接続部材19が抜けることを規制するための抜け止め部203と、を有する。配置空間201と開口202は、例えば、壁部73に形成されたスリット状の孔部であり、抜け止め部203は、例えば、スリット状の孔部の対向する端面の一方から他方に向かって突出した突起である。
【0056】
<組立て>
本実施の形態のケーブル連結構造1を組立てる際の手順の一例について説明する。
第1アウターケーシング18aが、接続部材17の接続孔82aに挿入され、第1アウターケーシング18bが接続部材17の接続孔82bに挿入される。
第1端末部材12に接続された第1インナーケーブル11a、11bが、それぞれ接続部材17の貫通孔83a、83bに挿入され、第1アウターケーシング18a、18bに挿入される。
このように、第1インナーケーブル11a、11b、第1アウターケーシング18a、18bおよび接続部材17が組立てられた状態で、
図6A,
図6B、および
図7に示すように、接続部材17が保持部材14に取り付けられる。接続部材17の保持部材14への取り付けは、上述したように、保持部72の第1抜け止め部103に被保持部分86の第1係合部91を嵌合させた状態で、接続部材17を配置空間101に配置させるように回転させる(矢印F)。
【0057】
そして、第1端末部材12が第1収容部21に第1開口23を介して収容され、複数の第1インナーケーブル11a、11bも第2開口33を介して延出部31に挿入される。
このような状態が
図11に示されている。
図11に示す状態では、蓋部65が締められておらず、第2インナーケーブル15、第2端末部材16、第2アウターケーシング20および接続部材19が保持部材14および移動部材13に取り付けられていない。
図11に示す状態で、保持部材14が取り付け部67によって、例えばボンネット等の所定部品に取り付けられ、所定部品において第1インナーケーブル11a、11bの配索が行われる。
【0058】
そして、所定部品(例えば、ボンネット)と他の部品(例えば、車の本体フレーム)を組み合わせる際に、他の部品に第2インナーケーブル15の配索を行いながら、第2インナーケーブル15、第2端末部材16、第2アウターケーシング20および接続部材19が保持部材14および移動部材13に取り付けられる。
最後に、
図12に示すように、蓋部65によって本体部64の開口が閉じられる。
このように、蓋部65が開放された状態で第1インナーケーブル11a、11bの配索が行われる場合であっても、接続部材17が保持部72によって保持部材14に保持されているため、接続部材17が保持部72から外れることを抑制することができる。
【0059】
<効果等>
このように、保持部72、72´は、第1抜け止め部103および第2抜け止め部104を有し、接続部材17、17´は、第1抜け止め部103に係合する第1係合部91と、第2抜け止め部104に係合する第2係合部92と、を有する。
これによって、第1アウターケーシング18a、18bを保持部材14に接続する接続部材17が、保持部材14の保持部72、72´に2箇所で係止されるため、第1インナーケーブル11a、11bが動いた場合であっても接続部材17の動きを規制し保持部72、72´から外れることを抑制することができる。
第1抜け止め部103および第2抜け止め部104の突起が、第1係合部91および第2係合部92の凹部に係合することによって、第1インナーケーブル11a、11bが動いた場合であっても接続部材17、17´の保持部72、72´における動きを規制し接続部材17、17´が保持部72、72´から外れることを防止することができる。
【0060】
嵌合部105、106が被嵌合部93、94と嵌合することによって、第1インナーケーブル11a、11bが動いた場合であっても接続部材17の保持部72における動きをより規制し接続部材17が保持部72から外れることを防止することができる。また、嵌合部112が被嵌合部99と嵌合することによって、第1インナーケーブル11a、11bが動いた場合であっても接続部材17´の保持部72´における動きをより規制し接続部材17´が保持部72´から外れることを防止することができる。
【0061】
これにより、嵌合部105、106の突起が、被嵌合部93、94の凹部に嵌合することによって、第1インナーケーブル11a、11bが動いた場合であっても接続部材17の保持部72における動きを規制し、接続部材17が保持部72から外れることを抑制することができる。また、嵌合部112の突起が、被嵌合部99の凹部に嵌合することによって、第1インナーケーブル11a、11bが動いた場合であっても接続部材17´の保持部72´における動きを規制し、接続部材17´が保持部72´から外れることを抑制することができる。
【0062】
第2抜け止め部104の外部側に傾斜部110が設けられていることにより、接続部材17を回転させながら傾斜部110にそって配置空間101に配置することができるため、接続部材17、17´を保持部72、72´に取り付け易い。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明のアウターケーシングの取り付け構造は、アウターケーシングの接続部材が保持部から外れることを抑制可能な効果を有し、ダブルラッチ等を採用している車両に対するケーブルの連結構造等として有用である。
【符号の説明】
【0064】
1 :ケーブル連結構造
10 :取り付け構造
11a :第1インナーケーブル(インナーケーブルの一例)
11b :第1インナーケーブル(インナーケーブルの一例)
14 :保持部材
17 :接続部材(接続部材の一例)
18a :第1アウターケーシング(アウターケーシングの一例)
18b :第1アウターケーシング(アウターケーシングの一例)
72 :保持部(保持部の一例)
91 :第1係合部
92 :第2係合部
101 :配置空間(配置空間の一例)
102 :開口
103 :第1抜け止め部
104 :第2抜け止め部