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特許7257318安全機能と圧力制御弁体を備えた静脈カテーテル装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-05
(45)【発行日】2023-04-13
(54)【発明の名称】安全機能と圧力制御弁体を備えた静脈カテーテル装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20230406BHJP
   A61M 39/24 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
A61M25/06 500
A61M39/24 100
【請求項の数】 43
(21)【出願番号】P 2019505503
(86)(22)【出願日】2017-01-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-26
(86)【国際出願番号】 IB2017050499
(87)【国際公開番号】W WO2018025094
(87)【国際公開日】2018-02-08
【審査請求日】2020-01-29
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】201611026278
(32)【優先日】2016-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】510250652
【氏名又は名称】ポリー メディキュア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バイド リシ
【合議体】
【審判長】内藤 真徳
【審判官】佐々木 一浩
【審判官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0306349(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静脈カテーテル装置(10)であって、
カテーテルチューブ(13)の近位端に配置され、チャンバ(16)を規定する内面(14)を有するカテーテルハブ(12)と
軸線方向を規定し、準備完了位置にあるときには、前記チャンバ(16)と前記カテーテルチューブ(13)を通って延びる針先(24)を有する針(20)と、
前記針(20)上に摺動可能に配置され、前記針(20)が準備完了位置にあるときには、少なくとも部分的に前記チャンバ(16)内に受容されるニードルガード(32)であって、基部(34)と、前記基部(34)から延びる第1と第2のアーム(36、38)を有する前記ニードルガード(32)とを備え、前記針(20)が準備完了位置にあるときに前記第1のアーム(36)が前記針(20)によって復元力に抗して半径方向外側に撓むことにより、前記ニードルガード(32)は、前記カテーテルハブ(12)と保持接触をするようになり、
前記カテーテル装置は弁を備え、前記弁は、当該弁から遠位方向に配置された遠位空間を、前記弁から近位方向に配置された近位空間から分割し、
前記弁は、前記遠位空間における圧力と前記近位空間における圧力との間の差圧に基づいて開放され、
前記弁は、前記近位空間に連通された第1の開口部と前記遠位空間に連通された第2の開口部とを有するハウジングと、前記ハウジング内に配置されたエラストマー部材とを備え、
前記エラストマー部材は、連続する周壁が表面から前記軸線方向に沿って突出しており、さらに前記表面を通ってスリットが延びており、
前記周壁は切れ目のない連続部分を備え、当該連続部分の外側表面が、前記ハウジングの内側表面と連続的に密封可能な接触を作り出して前記ハウジングを前記第1の開口部側の上部と前記第2の開口部側の下部に仕切り、
前記エラストマー部材は、前記ハウジングの前記上部と前記下部との間に差圧が生まれると、
(i)前記第1の開口部から流体が通る流体の注入時には、前記周壁が前記ハウジングから前記軸線に向かって内側に撓み、流体の流れが前記エラストマー部材の周りに許容される一方で前記スリットの閉鎖状態が維持され、
(ii)前記第2の開口部から流体が通る流体の吸引時には、前記周壁と前記ハウジングとの密閉が維持される一方で、前記スリットが開いて流体の流れが前記エラストマー部材を通過できるようにする、
の両者を引き起こすように構成された、静脈カテーテル装置。
【請求項2】
前記ハウジング内に配置され、前記周壁によって囲まれた支持部材をさらに備え、当該支持部材は、前記第1の開口部と前記第2の開口部との間で流体連通するように構成される請求項1に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項3】
前記支持部材は前記ハウジングによって受容されるまたは前記ハウジングと一体化されている請求項2に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項4】
前記支持部材は、前記第2の開口部の周りに配置された、複数の分離した柱を備え、前記複数の柱の遠位端は、前記周壁で囲まれる請求項2または3に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項5】
前記支持部材は、前記第2の開口部の周囲に配置された環状壁を含み、前記環状壁は、下部と前記第2の開口部との間を流体連通させる少なくとも1つの流体流路を有する請求項2から4のいずれか一項に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項6】
前記第2の開口部は、前記ハウジング内に延びて前記周壁に囲まれる導管を含む請求項1から5のいずれか一項に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項7】
前記ハウジング内に延びる前記導管の一部は、前記ハウジングの外側に延びる前記導管よりも内径が大きい請求項6に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項8】
ハウジングの一部がテーパ状になっており、前記周壁の遠位部分がそれと密封可能に接触してテーパ状になっている請求項1から7のいずれか一項に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項9】
前記ハウジングの前記上部は前記内側表面を備える内壁を含み、前記内壁は、前記内側表面に少なくとも1つの凹型通路を含み、前記凹型通路は、前記ハウジングの長手方向の軸線にほぼ沿って延び、前記ハウジングからの前記周壁の撓み位置は、前記少なくとも1つの凹型通路の配置に対応する請求項1から8のいずれか一項に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項10】
前記表面は、上面と、第1の厚みだけ前記上面から離隔する底面を有し、前記周壁は第2の厚みを有し、前記周壁は前記軸線方向に沿って前記底面から突出し、前記第2の厚みは前記第1の厚みより薄い請求項1から9のいずれか一項に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項11】
前記エラストマー部材は、前記表面の周縁に沿って連続側方突出部をさらに含み、前記ハウジングは、対応する凹部が設けられ、前記連続側方突出部が受容されて前記エラストマー部材の前記表面に半径方向の応力をかけるように構成された請求項1から10のいずれか一項に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項12】
前記エラストマー部材は、上面に1つ以上の垂直突出部をさらに含み、前記ハウジングは、1つ以上の垂直突出部に法線応力をかけるように構成された請求項1から11のいずれか一項に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項13】
前記エラストマー部材の前記表面は、上面と、第1の厚みだけ前記上面から離隔する底面を有し、前記上面及び前記底面の少なくとも一方が、凹型または凸型である請求項1から9のいずれか一項に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項14】
前記エラストマー部材の前記上面は前記周縁に終端を有する1本以上の流路を備えた請求項10を引用する請求項11に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項15】
前記エラストマー部材は円筒状、半球状、カップ状、または円錐台形である請求項1から14のいずれか一項に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項16】
前記スリットは、前記ハウジングから前記軸線に向かって内側に前記周壁を撓ませるのに必要な限界圧力より大きい限界圧力で開口する請求項1から15のいずれか一項に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項17】
前記スリットは、前記第1の開口部と前記第2の開口部とを組み合わせて、前記ハウジングを通して前記針を受容するように構成された請求項1から16のいずれか一項に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項18】
前記支持部材は、前記ハウジングを通して前記針を受容および/または案内するように構成された請求項1から17のいずれか一項に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項19】
前記支持部材は、前記スリットと組み合わせて、前記ハウジングを通して前記針を受容および/または案内するように構成された請求項1から18のいずれか一項に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項20】
前記弁の前記ハウジングは、別体の構成要素として形成されているか、または前記ハウジングは、前記カテーテルハブの一部である請求項1から19のいずれか一項に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項21】
前記カテーテルハブは、少なくとも2つの構成要素からなり、前記カテーテルチューブを保持する遠位のカテーテルハブ部と、近位のカテーテルハブ部とを含み、前記少なくとも2つの構成要素は互いに取り付けられた請求項1から20のいずれか一項に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項22】
前記遠位のカテーテルハブ部と前記近位のカテーテルハブ部の一方が雌接続部を含み、前記遠位のカテーテルハブ部と前記近位のカテーテルハブ部の他方は、雌接続部に嵌合する雄接続部を含む請求項21に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項23】
前記雄接続部および/または前記雌接続部は、ねじまたはスナップ嵌め構造で互いに形成される請求項22に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項24】
前記近位のカテーテルハブ部は、前記チャンバを形成する第1の近位のカテーテルハブ壁を含む請求項21から23のいずれか一項に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項25】
前記エラストマー部材は、前記遠位のカテーテルハブ部によって、または前記近位のカテーテルハブ部によって、または前記遠位および前記近位のカテーテルハブ部によって形成された内部空間に配置される請求項1から21のいずれか一項または請求項24に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項26】
前記支持部材は、別体の要素として形成されているか、または前記遠位のカテーテルハブ部もしくは前記近位のカテーテルハブ部のいずれかと一体に形成された請求項25に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項27】
前記第2のアーム(38)は、前記針先(24)が前記アーム(36、38)の間に受容されると半径方向内側に撓むことができる請求項1から26のいずれか一項に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項28】
前記第1および第2のアーム(36、38)は弾力性のある材料で形成された請求項1から27のいずれか一項に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項29】
前記第1および第2のアーム(36、38)はプラスチック材料で形成された請求項1から28のいずれか一項に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項30】
前記第1および第2のアーム(36、38)は前記基部(34)と一体に形成された請求項1から29のいずれか一項に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項31】
前記第1のアーム(36)の弾力性と、少なくとも部分的に前記アーム(36、38)を囲む追加の張力付加要素の少なくとも一方によって復元力が生成される請求項1から30のいずれか一項に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項32】
前記第1のアーム(36)は前記第2のアーム(38)より長い請求項1から31のいずれか一項に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項33】
前記第1のアーム(36)は前記針先(24)を捕獲するためのアンダーカット(51)を有する遠位端部(50)を有する請求項1から32のいずれか一項に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項34】
前記遠位端部(50)は、前記第2のアーム(38)に向かって傾斜しており、前記第2のアーム(38)と重なる請求項29に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項35】
前記第1のアーム(36)がその撓んだ状態にある限り、前記ニードルガード(32)を前記チャンバ(16)内に保持するための保持手段をさらに備え、前記保持手段は、前記第1のアーム(36)に設けられた第1のディスク状の保持用突出部(58)と、前記内面(14)に形成され前記保持用突出部(58)を受容するように構成された保持用凹部(18)を含み、前記保持用突出部(58)を受容するように構成された請求項1から34のいずれか一項に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項36】
前記保持用突出部(58)は、概ね平行な近位面および遠位面(60、62)および/または、円筒形の周面(64)を有する凸面である請求項35に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項37】
第2のディスク状の保持用突出部(66)は前記第2のアーム(38)上に配置され、前記保持用凹部(18)と係合するように構成された請求項35または36に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項38】
前記ニードルガード(32)は、第1の保持用突出部(58)の近位の領域で少なくとも部分的に前記アーム(36、38)を囲むか、または前記アーム(36、38)をともに偏向させる線形偏向力を加える張力付加要素を含む請求項35から37のいずれか一項に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項39】
前記針は開口部を含み、前記針先と前記開口部との間の距離は、前記針が準備完了位置にあるときに前記開口部が透明な前記カテーテルチューブ(13)によって覆われるように配置される距離である請求項1から38の一項に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項40】
前記開口部は、長手方向に前記針の長手方向の軸線と平行またはそれを横切って延びる長手方向のスリットによって形成される請求項39に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項41】
前記針は、その針先に近づくにしたがい前記針の断面形状が変化する針特性部を含む請求項1から40のいずれか一項に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項42】
さらに前記針が格納位置にあるときに前記針がニードルガードから外れて格納されるのを防止するように、前記ニードルガードが、前記針特性部と相互作用する所定の直径を有する開口部を含む請求項41に記載の静脈カテーテル装置。
【請求項43】
前記針特性部と相互作用する前記ニードルガードの前記開口部が前記ニードルガードに一体に形成される、あるいは金属またはプラスチックワッシャによって形成される請求項42に記載の静脈カテーテル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静脈カテーテル装置に関し、カテーテルチューブの近位端に配置され、チャンバを規定する内面を有するカテーテルハブと、軸線方向を規定し、針先を有する針であって、準備完了位置にあるとき、チャンバおよびカテーテルチューブを通って延びる針と、摺動可能に針上に配置されたニードルガードであって、針が準備完了位置にあるときに少なくとも部分的にチャンバ内に収容され、基部と基部から延びる第1および第2のアームを含むニードルガードと、を備え、第1のアームは、針が準備完了位置にあるときに復元力に抗して針によって半径方向外側に撓み、それによってニードルガードはカテーテルハブと保持接触をするようになっており、カテーテル装置は、弁から遠位方向に配置された遠位空間と、弁より近位方向に配置された近位空間から分離する弁を含むものである。
【背景技術】
【0002】
この種の静脈カテーテル装置は一般的に知られている。ニードルガードは、カテーテルチューブを留置した後に患者の静脈から針を抜いた後、静脈カテーテル装置を扱う人が誤って針先と接触するのを防ぐ役割を果たす。それによって、静脈カテーテル装置は、血液媒介疾患の望ましくない伝染を回避するのに役立つ。
【0003】
さらに、中心ラインおよび他の種類の静脈カテーテルへの血液の逆流は、管腔内血栓症を引き起こし、IVアクセスデバイスを完全にまたは部分的に閉塞する可能性がある。そのような閉塞は、静脈内療法を妨害し、病原菌にとって栄養豊富な領域を提供し、あるいはカテーテルから外れて静脈血栓症を引き起こす可能性がある。管腔内血栓症がさらなる健康上の合併症を引き起こさないとしても、そのような状態ではカテーテルの交換が必要となる。このことは手間がかかるうえ、除去部位および新しい導入部位に傷を付ける可能性もある。
【0004】
静脈内医療用デバイス用のフローバルブは、別の先行技術文献、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、又は特許文献4で既に知られている。しかしながら、これらの文献から知られているフローバルブはそれらの構造が比較的複雑であり、製造が困難である。さらに、これらの文書にはニードルガードを含む安全機能に関する考察は含まれない。
【0005】
さらに、特許文献5には、弁装置を有する安全IVカテーテルが記載されている。しかしながら、この弁装置は弁を作動させるために、機械的に起動される構成要素を必要とする。これにより構造が複雑となり、製造および組み立てが困難となり、信頼できる機能を提供できなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2009/0264832号明細書
【文献】国際公開第90/00071号
【文献】欧州特許出願公開第1 656 179号明細書
【文献】国際公開第2004/082757号
【文献】欧州特許出願公開第1 545 681号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/306349号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/276433号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/276434号明細書
【文献】中国実用新案第203694357号明細書
【文献】国際公開第2015/104336号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、針先による誤った穿刺に対し、より確実な保護を提供し、同時に製造が安価な静脈カテーテル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1に記載の静脈カテーテル装置によって達成される。
【0009】
本発明の静脈カテーテル装置は以下を含む。カテーテルチューブの近位端に配置され、チャンバを規定する内面を有するカテーテルハブと、軸線方向を規定し、針先を有する針であって、準備完了位置にあるとき、チャンバおよびカテーテルチューブを通って延びる針と、針上に摺動可能に配置され、針が準備完了位置にあるときにチャンバに収納されるニードルガードであって、基部と、前記基部から延びる第1および第2のアームを含み、第1のアームは、針が準備完了位置にあるとき復元力に抗して針によって半径方向外側へ撓み、それによって、カテーテルハブと保持接触をするニードルガードと、第1のアームが撓んだ状態にある限り、ニードルガードをチャンバ内に保持するための保持手段とを備える。保持手段は、第1のアームに設けられた第1のディスク状の保持用突出部と、カテーテルハブの内面に形成され、この保持用突出部を受容するように構成された保持用凹部とを含む。また、カテーテル装置は、遠位方向に配置された遠位空間と、近位方向に配置された近位空間とを隔てる弁を備えており、当該弁は、遠位空間内の優位な圧力と近位空間内の優位な圧力との間の差圧に基づいて開くものである。
【0010】
一実施形態では、静脈カテーテル装置のカテーテルハブは、本体を含み、軸線方向に延びる。本体には遠位端と近位端がある。カテーテルは本体の遠位端で本体に取り付けられている。ポートは本体から軸方向に概ね垂直な方向に延びる。ポートと反対側の本体に翼を設けることができる。本体は、近位端から遠位端に向かって伸びるチャンバを規定する。
【0011】
本発明による静脈カテーテルを提供することによって、一方では、安全機能は、針がその格納位置にくるとすぐに針先を安全にカバーする。さらに、圧力作動弁により、患者の治療に対する実際の要求に応じて、安全かつ確実にカテーテル装置を通して流体の流れを制御できる。圧力作動弁は、製造が容易で信頼性があり、実用的で取り扱いが容易である。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、弁は、第1の開口部と第2の開口部とを有するハウジングと、ハウジング内に配置されたエラストマ部材とを備え、エラストマー部材は、厚みを有し、その厚みから連続する周壁が突出しており、厚さ方向にスリットが延びており、周壁の連続部分により、ハウジングと連続的に密封可能に接触させハウジングを上部と下部に仕切り、前記エラストマー部材は、ハウジングの上部と下部との間に差圧が生まれると、(i)周壁がハウジングから撓み、流体の流れがエラストマー部材の周りに許容されるか、または、(ii)スリットが開いて流体の流れがエラストマー部材を通過できるようにするか、のいずれかを引き起こすように構成されている。
【0013】
さらに、本発明のさらなる実施形態によれば、弁は、ハウジング内に配置され、周壁によって囲まれた支持体をさらに備え、支持体は、第1の開口部と第2の開口部との間で流体連通するように構成される。別の態様では、単独で、または上記の前述の態様のいずれかと組み合わせて、支持部材はハウジングによって受容されるかまたはハウジングと一体である。別の態様では、単独で、または第1の実施形態の前述の態様のいずれかと組み合わせて、支持部材は、第2の開口部の周りに配置された、複数の離間した柱を備え、その複数の柱の遠位端は、前記周壁で囲まれる。本発明の別の態様では、支持部材は、第2の開口部の周囲に配置された環状壁を含み、前記環状壁は、下部と第2の開口部との間を流体連通させる少なくとも1つの流体流路を有する。
【0014】
本発明の別の態様では、第2の開口部は、ハウジング内に延びて周壁を囲む導管を含む。別の態様では、ハウジング内に延びる導管の一部は、ハウジングの外側に延びる導管よりも内径が大きい。
【0015】
本発明の別の態様では、ハウジングの一部がテーパ状になっており、周壁の遠位部分がそれと密封可能に接触してテーパ状になっている。
【0016】
本発明の別の態様では、ハウジングの上部は内壁を含み、その内壁は、内部に少なくとも1本の凹型通路を備え、ハウジングの長手方向の軸線にほぼ沿って延びるとともに、ハウジングからの周壁の撓みは、少なくとも1本の凹型通路を配置することにほぼ対応する。
【0017】
本発明の別の態様では、ハウジングは、液密な組立体を形成するために密封可能に接続可能な2つ以上の構成要素を含む。
【0018】
本発明の別の態様では、エラストマー部材は、上面とその厚み分だけ上面から離れた底面とを含み、そして周壁は第2の厚みを有し、周壁は底面から突出している。別の態様では、単独で、または第1の実施形態の前述の態様のいずれかと組み合わせて、第2の厚みが上面と底面との間の厚みよりも小さい。
【0019】
本発明の別の態様では、エラストマー部材は、厚みの周縁に沿って連続側方突出部をさらに含み、ハウジングには、対応する凹部が設けられ、連続側方突出部が受容されてエラストマー部材の表面に半径方向の応力をかけるように構成される。本発明の別の態様では、エラストマー部材は上面に1つ以上の垂直突出部をさらに含み、ハウジングは1つ以上の垂直突出部に法線応力をかけるように構成される。本発明の別の態様では、厚みは、凹型、凸型、または厚みの対向両側で凹凸型である。
【0020】
本発明の別の態様では、エラストマー部材は環状、楕円形、円筒形、半球形、またはカップ状である。別の態様では、単独で、または第1の実施形態の前述の態様のいずれかと組み合わせて、エラストマー部材は円錐台形である。
【0021】
本発明の別の態様では、エラストマー部材の上面は、周縁に終端を有する1本以上の流路を備える。
【0022】
本発明の別の態様では、スリットは、ハウジングから周壁を撓ませるのに必要な限界圧力より大きい限界圧力で開口する。
【0023】
本発明の別の態様では、スリットは、第1の開口部および第2の開口部と組み合わせて、ハウジング、特にカテーテル装置の針を通して長尺の医療用デバイスを受容するように構成される。本発明の別の態様では、支持体は、ハウジング、特にカテーテル装置の針を通して長尺の医療用デバイスを受容および/または案内するように構成される。本発明の別の態様では、スリットと組み合わせた支持体は、ハウジング、特にカテーテル装置の針を通して長尺の医療用デバイスを受容および/または案内するように構成される。
【0024】
本発明のさらなる実施形態によれば、弁のハウジングは、別体の構成要素として形成されているか、またはハウジングは、カテーテルハブの一部である。よって、弁は別体のハウジングを有する別体の構成要素内に配置することが可能であり、そしてこの別体の構成要素を静脈カテーテルに配置することが可能である。あるいは、弁は静脈カテーテル内、例えばカテーテルハブ内に一体化できる。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、カテーテルハブは、少なくとも2つの構成要素からなり、前記カテーテルチューブを保持する遠位のカテーテルハブ部と、近位のカテーテルハブ部とを含み、前記少なくとも2つの構成要素は互いに取り付けられている。当然のことながら、さらなる構成要素を追加できる。近位のカテーテルハブ部と遠位のカテーテルハブ部とは、互いに直接接触していてもよいし、その間にさらなる構成要素が配置されていてもよい。この点に関して、本発明によれば、遠位のカテーテルハブ部と近位のカテーテルハブ部の一方が雌接続部を含み、遠位のカテーテルハブ部と近位のカテーテルハブ部の他方は、雌接続部に嵌合する雄接続部を含む。
【0026】
遠位のカテーテルハブ部と近位のカテーテルハブ部とを互いに接続するために、雄接続部および/または雌接続部には、互いに嵌合するネジ山またはスナップ嵌合構成を形成してもよい。そのような装置を設けることに代えて、またはそれに加えて、これらの構成要素を互いに接着、溶接または他の方法で固定することが可能である。
【0027】
本発明の別の実施形態によれば、近位のカテーテルハブ部は、前記チャンバを形成する第1の近位のカテーテルハブ壁を含む。前述したように、チャンバはニードルガードを準備完了位置に受容して保持するために設けられている。ニードルガードを準備完了位置に保持し、格納状態に移行した後にニードルガードを解放するための機構を以下に詳細に説明する。
【0028】
弁の配置に関する本発明のさらなる実施形態によれば、エラストマー部材は、遠位のカテーテルハブ部によって、または近位のカテーテルハブ部によって、または近位および遠位のカテーテルハブ部によって形成される内部空間に配置される。
【0029】
さらに、弁装置に関しては、本発明によれば、支持部材は、別体の要素として形成されているか、または遠位のカテーテルハブ部または近位のカテーテルハブ部のいずれかと一体に形成可能である。支持部材を一体化することにより、本発明の構造をさらに単純化できる。これにより、部品点数を減らすことができ、本発明による静脈カテーテル装置の組み立てがさらに容易になる。
【0030】
ニードルガードに関して、本発明はさらに、針先がアーム間に受容されたときに第2のアームを半径方向内側に撓ませることができるとしている。さらに、第1および第2のアームは弾力性のある材料から形成可能である。本発明の好ましい実施形態によれば、ニードルガードに関しては、第1と第2のアームはプラスチック材料で作られている。ニードルガードのさらなる実施形態によれば、第1と第2のアームは基部と一体に形成されている。
【0031】
また、本発明によるニードルガードはさらに、第1のアームの弾力性と、少なくとも部分的にアームを囲む追加の張力付加要素との少なくとも一方によって復元力が生成されるようにしてもよい。
【0032】
ニードルガードのさらなる態様として、本発明によると、第1のアームが第2のアームよりも長い。それに加えて、第1のアームが針先を引っ掛けるためのアンダーカットを有する遠位端部を有していてもよい。また、本発明の別の態様によれば、遠位端部は、第2のアームに向けて傾斜しており、第2のアームと重なっている。
【0033】
本発明の別の態様によれば、カテーテルハブは、さらに、第1のアームがその撓んだ状態にある限り、ニードルガードをチャンバ内に保持するための保持手段をさらに備えてもよい。保持手段は、第1のアームに設けられた第1のディスク状の保持用突出部と、内面に形成され保持用突出部を受容するように構成された保持用凹部とを有する。この点に関して、本発明によれば、保持用突出部がほぼ平行な近位面および遠位面および/または凸状、特に部分円筒形の周面を有することがさらに可能である。
【0034】
また、本発明のさらなる態様によれば、第2のアーム上に第2のディスク状の保持用突出部が配置され、保持用凹部と係合するように構成される。
【0035】
本発明のさらなる態様によれば、ニードルガードは、第1の保持用突出部の近位の領域におけるアームを少なくとも部分的に囲むか、またはアームを一緒に偏向させる線形偏向力を加える、張力付加要素を含む。
【0036】
本発明のさらなる実施形態によれば、針は、針先が閉鎖した開口部を含み、針先と開口部との間の距離は、針が準備完了位置にあるときに開口部がカテーテルハブによって覆われるように調整される。そのような開口部を使用して、医療従事者は、いわゆるフラッシュバック機能によって、患者への適用が成功したかどうかについて即座にフィードバックを受ける。フラッシュバック機能により、医療従事者が針先を患者の静脈に導入することに成功したかどうかがすぐに見えるように、少量の血液が患者の圧力下で開口部から透明なカテーテルチューブに注出される。
【0037】
本発明のこの態様に関して、開口部は、長手方向に針の長手方向の軸線と平行またはそれを横切って延びる長手方向のスリットによって形成されることがさらに可能である。開口部のさらなる形状もまた可能である。しかしながら、長手方向のスリットを形成することにより、開口部を製造する方法が容易で簡単となる。
【0038】
本発明のさらなる態様によれば、針は、その針先に近づくにしたがいその針の断面形状が変化する針特性部を含む。このような特性部は、ニードルシャフトの外周面に形成された、またはニードルシャフトの特定の1つの外周部分に設けられた追加材料の局所的な突出部によって形成された、包囲する隆起またはリップのような、針の拡大断面でもよい。代替的にそして製造がより簡単であるが、針がニードルガード内の円形開口部を通り抜けない楕円形の断面を有するように針が局部的に絞られて変形されるならば、針特性部は局部圧着によって形成できる。
【0039】
これに関して、本発明は、さらに針が格納位置にあるときに針がニードルガードから外れて格納されるのを防止するように、針特性部と相互作用する所定の直径を有する開口部を含むニードルガードを提供する。本発明のこの態様によれば、針特性部と相互作用するニードルガードの開口部がニードルガードに一体に形成される、あるいは金属またはプラスチックワッシャによって形成されることが可能である。金属またはプラスチックワッシャのような追加の構成要素は、製造中にニードルガードと共成形できる。
【0040】
さらなる実施形態では、本発明による静脈カテーテル装置を通る流れの方向を制御する方法が提供される。この方法は、第1の実施形態の態様のいずれかで規定されたような弁を含むデバイスにおいて、ハウジングの上部と下部との間に差圧を生成することと、周壁をハウジングから撓ませてエラストマー部材の周りに流体を流れるようにすることと、あるいは、代替的にスリットを開いて、エラストマー部材を通る流体の吸引を可能にすることとを含み、デバイスを通る流体の流れ方向を制御する。
【0041】
この方法の別の態様に関して、ハウジングの上部、すなわち近位空間と下部、すなわち遠位空間との間の差圧は、ハウジングの近位部に加えられる負圧によって、あるいはハウジングの遠位部へかかる正圧によって作り出されるため、スリットを流体が流れるようになる。さらに、この方法では、ハウジングの近位部と遠位部との間の差圧は、ハウジングの近位部へかかった正圧によって生じるので、周壁により、流体がエラストマー部材の周囲を流れることができるようになる。
【0042】
この方法の別の態様に関して、方法は、第1の開口部を介してハウジングの上部に洗浄液を導入することと、正圧によって、周壁をハウジングから撓ませることと、エラストマー部材の周りに洗浄液を吹き付けることと、ハウジングの下部にある流体の流れの方向を変えることと、ハウジングの下部の少なくとも一部を洗浄することとをさらに含む。
【0043】
この方法のさらなる態様に関して、洗浄することは、デバイスを通る生物学的流体の吸引後にデバイス内での血栓を防止すること、または吸引後のデバイス内の細菌増殖を防止することをさらに含む。この方法はさらに、デバイス内の逆流を防止することを含んでいてもよい。
【0044】
本開示の弁、特に弁を含む本発明による静脈カテーテルは、血管カテーテルの遠位先端への血液の逆流を低減または排除する。この弁は、設計上、注入方向の流速が高く、内部流体混合度が高いため、細菌の定着およびカテーテル関連の血流感染症(CRBSI)につながる可能性のある、洗浄不可能な流体部分が存在しないように防止する。当技術分野に既存の弁およびデバイスでは、これら2つの主な利点は容易には得られない。
【0045】
本発明による静脈カテーテル内に実装された現在開示されている弁は、「圧力作動弁」と呼ばれるか、あるいは「注入開存弁」とも呼ばれる。この弁は、ハウジング内に存在するように構成されたエラストマー部材を備え、このエラストマー部材は、厚さ方向にスリットを有し、さらにエラストマー部材は、ハウジング内部と干渉接触して液密シールを形成してハウジングを上部と下部に仕切るように撓むことが可能な周壁を有する。各仕切りは、流体の出入りのための開口部を有する。
【0046】
ある一つの態様では、開示された弁は、カテーテル装置の弁と開口部を通って流れるように一方向への流体の低ヘッド圧力送達を可能とする。この種の流体送達は、持続的IV療法と注射またはIVポンプによる定期的送達の両方と一致するものである。開示された開存弁を含むデバイスの近位端に、付属のルアーまたは他の注入デバイスを介して流体が導入されると、ハウジング内の仕切り間に差圧が生じる。差圧は、ある状態では、エラストマー部材の周壁表面を撓ませ、ハウジングとの液密シール状態が壊れる。これにより、エラストマー部材の周りおよびこの一時的な接合部を通過する流体の流れが可能になり、エラストマー部材によって分離されたハウジングの別の仕切りに流体が導入される。
【0047】
ハウジングの上部仕切りと下部仕切りとの間に形成された正の差圧が、ある状態、例えば注入の状態にあるときは、本開示の弁が生成する弁亀裂圧力は低い。亀裂圧力が低いことに加えて、本開示の弁はさらに、注入方向(近位から遠位への流れ方向)への流れに対する制限が少ないので、この弁を備えるデバイスを既存のIV注入システムと共に使用することが可能になる。本明細書に記載の弁の、低いがゼロではない亀裂圧力により、弁が注入部位の垂直レベルに近いときにでも注入方向への空気の進入を依然として防止する。これは、とりわけ、エラストマー部材の周りを流れるように配置し、高流速を提供しながら弁の流動性を助けるようにハウジングの内部設計を構成することによって達成できる。
【0048】
別の状態、例えば吸引の状態において、ハウジングの近位の仕切りと遠位の仕切りとの間に負の差圧が形成される場合、本開示の弁が生成する限界亀裂圧は注入方向におけるものよりも高い。とりわけ、本開示の弁のこの構成は、典型的には、ルアー、注入アクセサリ、または無針アクセス弁の切断によって引き起こされる一時的な真空によって生じ得る、カテーテル内腔への血液の逆流を防止する。本開示の弁およびそれを含むデバイスの設計および構成により、血液逆流が防止され、したがって、管腔内血栓症、および細菌の定着または感染の危険性が低減または排除される。吸引方向における本開示の弁の亀裂圧力は、従来行われているように、シリンジまたは真空管を使用して流体を意図的に引き出しができるよう、依然として十分に低く構成される。
【0049】
本開示の弁またはそれを含むデバイスの別の利点は、デバイス内の弁の構成により血液接触面の高流体混合および/または洗浄を行えることである。注入方向の流体容量および/または速度は、デバイスの仕切られた空間内での流体混合が最大となるように制御される。この高度の混合は弁の洗浄を改善し、あるいは洗い流されていない栄養素豊富な注入液から細菌の定着につながる可能性のあるデッドボリュームを制限する。
【0050】
本開示のIVカテーテル装置の弁は、カテーテルに取り付けられるように一実施形態で構成され、とりわけカテーテル装置の単数または複数の内腔への血液または他の流体の逆流を防止するように設計される。弁を単独でまたはコネクタ内に含めることにより、内腔を有する医療用デバイス、例えば血管カテーテルと組み合わせてまたは一体的に使用でき、カテーテルの製造中、またはその後の使用時点でそのようなデバイスと結合または一体化するように構成できる。本開示の弁およびそれを含むデバイスの1つの利点は、本発明の弁を含むデバイスの近位端からアクセスするルアー接続デバイスを取り外すこと、または本発明の弁を含むデバイスの近位端に取り付けられた無針アクセス弁から取り外すことにより、中心線の単数または複数の内腔への血液の逆流を引き起こさないであろうことである。さらに、本発明の弁を含むデバイスによれば、アクセスシリンジまたは真空バイアル(例えば、バキュテナ)によって管腔を通して血液または別の生物学的流体などの流体を引き出すことは、依然として可能であろう。
【0051】
一つの態様では、弁はハウジングとエラストマー部材で構成される。別の態様では、弁は、ハウジングと、エラストマー部材と、支持体とを含む。ここで、弁の様々な態様を、例示的な実施形態および/または添付の図面を参照して論じる。
【0052】
弁を含むハウジングは、IVカテーテル装置の単一構成要素を含んでいても、または多構成要素構成でもよい。一つの態様では、ハウジングは上部と、上部に密閉可能に接続可能な下部とを含み、水密な組立体を提供する。別の態様では、ハウジングは、下部に密封可能に接続可能な2つ以上の部品からなる上部を含み、水密な組立体を提供する。ハウジングは、ポリカーボネート、ポリエステル、環状オレフィンコポリマー、ABSなどの医療用デバイスに適した従来のプラスチックが可能である。
【0053】
エラストマー部材は、ハウジングを上下部に仕切るように構成されている。概して、エラストマー部材は、環状、楕円形、円筒形、半球形、カップ形または円錐台形が可能である。一つの態様では、エラストマー部材はカップ状または円錐台形であり、そのベースとその表面との間に内側空洞部が形成されている。一つの態様では、その表面からの周壁突起がカップ形状または円錐台形状を形成するような水平面または凸凹表面を有利に使用できる。このような構造の周壁は、楕円形または円形または別の形状にできる。ただし、連続液密シールをハウジングの内側部分および周壁の外側表面の一部と協働して配置してハウジングを上部および下部に仕切ることができ、弁またはデバイスに流れ方向機能を提供することを条件とする。周壁は、それが突き出す表面から離れるようにテーパ状になるか、またはそれに対して垂直に突き出していてもよい。代替的にまたはテーパと組み合わせて、周壁の外径および/またはそれが突出する表面は、対応するハウジングの嵌合部分の対応する内径よりも大きく構成し、干渉および/または流体密封、および/またはハウジングの仕切りを提供するようにしてもよい。周壁のテーパ角度は、ハウジングの内壁のテーパよりも大きくして、その間に液密シールを容易にできることと、デバイスのハウジングを少なくとも2つの部分に効果的に仕切ることができる量との間の干渉関係を提供できる。上記に代えて又は上記と組み合わせて、周壁の厚みは、その遠位端に向かってテーパ形状にできる。
【0054】
一つの態様では、エラストマー部材は、表面を有する円錐台形状であり、前記表面は、上面と、上面から第1の厚みだけ離れた底面とを有し、前記底面から突出する周壁は、第2の厚みを有し、前記周壁は底面を有する空洞部を形成する。第2の厚みは第1の厚み以下でもよい。表面は、両側での凹凸でもよく、あるいは片側のみの凹又は凸でもよい。エラストマー部材の上面は、その周縁に終端を有する流路を1つ以上有していてもよい。別の特徴は以下および図面に記載されている。
【0055】
別の態様によれば、エラストマー部材は、例えば、ハウジングの上部と下部との間に差圧ができると、エラストマー部材を含むデバイスのいずれかの遠位端から流体を引き出すことによって開放するように構成された、厚み方向を貫通する1つ以上のスリットを含む。エラストマー部材のスリットは、ハウジングから周壁を撓ませるために必要な限界圧力より大きい限界圧力で開くように構成されている。ハウジングは、エラストマー部材の上側のヘッドスペースと上側ハウジングの内側表面との間に、スリットが開くのに十分な間隙が提供されるように構成される。第1の状態では、スリットは、一つの態様において近位から遠位への流れ方向(例えば、注入)への流れに対しては、抵抗力があり、とりわけこの流れ方向に開くスリットの能力は制限されている。しかしながら、別の方向への流れ(例えば、吸引)はスリットを通って許容される。
【0056】
一つの態様では、エラストマー部材は概ね平らなまたは凸面/凹面の上面を有し、そのハウジングの長手方向の軸線と一直線に並ぶように突出する1つ以上の支持体(例えば、突出する柱または壁)によって支持される底面を含む円錐台形空洞部を有する。(単数または複数の)支持体は、下側ハウジングと一体にすることも、製造中に所定の位置に配置することもできる。エラストマー部材の少なくとも一部の締まりばめは、上側および/または下側ハウジング構成要素および/またはエラストマー部材のいずれかの特性によって維持される。エラストマー部材は、前記(単数または複数の)支持体を用いてまたは用いずに環状の嵌合部または突起部を介して製造中およびデバイスの使用中にエラストマー部材を定位置に固定し、および/またはスリットに半径方向の圧縮応力を提供するように構成してもよい(例えば、スリットの亀裂圧力を調整または制御するため)。例えば、エラストマー部材は、その円錐台上面の周縁に沿って連続側方突出部を含むことができる。またハウジングは、連続側方突出部を受容し、かつエラストマー部材の表面の厚みに対して干渉および/または半径方向の応力を与えるように対応する凹部を有するように構成できる。連続側方突出部は、表面の厚み以下の厚みでよい。それに加えて、またはそれと組み合わせて、エラストマー部材は、その円錐台上面に1つ以上の垂直突出部を含んでいてもよく、ハウジングは、組み立て中または使用中に1つ以上の垂直突出部にエラストマー部材を固定するための法線応力を加えるように構成および寸法決めされる。
【0057】
一つの態様では、エラストマー部材は弁組立体の一部である。弁組立体は、二方向、三方向および四方向継手などの流体継手用に設計された様々なハウジング構成用に構成できる。弁組立体は、ハウジングへの導入のために構成されたエラストマー部材および任意の支持体を含むことができる。組立体は、長手方向の軸線に沿って分離された、下側/上側ハウジングを有する2分割ハウジング、またはそれらの組み合わせ、例えば中実の下側ハウジングと2分割の上側ハウジング構造となるように構成できる。
【0058】
注入開存弁(遠位から近位方向への流体の流れ)を通る流体の抜き取りは、エラストマー部材の中心軸線を通って形成される(単数または複数の)スリットの限界亀裂圧以下に制限される。限界亀裂圧は、十分な高さに設計されているので、ルアー、注入アクセサリ、または付属の無針アクセス弁の取り外しによって引き起こされる一時的な真空によってスリット、ひいては弁が開かず、その方向に流れることがない。しかしながら、吸引流の方向「亀裂圧」は、必要ならば十分低く設計し、シリンジまたは真空管による流体を意図的に抜き取りできるようにしてもよい。エラストマー部材の円錐台形状部分の設計およびハウジングの円錐形内部部分との干渉により、漏れのない機能と使いやすさでハウジングの開口部間の流体の流れを制御して、いずれの方向にも作動可能な一方向の流体の流れが可能となる。
【0059】
弁およびこの弁を用いて構成されたデバイスは、医療装置、例えばガイドワイヤなどの導入器または別の医療装置を通過させるように構成可能である。本発明の弁を用いた設計は、「オーバガイドワイヤ」の配置または置換技術を可能とし、ブリードバックまたは空気塞栓症を排除または防止できる。本開示の一つの態様において、実施形態のそれぞれは、ばね作動式弁組立体、または弁ハウジングの空洞部内に導入弁を有するばね式弁組立体、または圧縮リング作動式弁組立体を含まない。もちろん、そのようなデバイスも本開示の弁と組み合わせて使用できる。本明細書に開示される弁の実施形態により、例えば、スリット開口部、それに続く孔、続いて別のスリット開口部の三層設計の必要性がなくなる。確かに、特定の態様においては、本開示は、エラストマー部材をハウジングの半体同士の間に挟んで支持する設計ではないが、代わりに、エラストマー部材がハウジングの内壁と協働関係にある設計を採用している。同様に、本開示の弁の実施形態は、弁組立体の上下のデッドスペースを最小限に抑え、さらに/またはそのようなデッドスペースがあれば、それを効果的に洗浄できる。さらに、本発明の弁の実施形態により、以下のような医療用デバイスに使用される圧力作動弁の別の構成に共通の問題が回避できる。1)双方向流体移送用のスリットを有する「ドーム状」隔壁を通る流体が漏れる。2)ハウジングの壁の間に「トランポリン状態」のスリットを有するデバイスを重力で通すことができない。3)スリットを通る2流体の流れのために設計された弁でデバイスの内部を効果的に洗浄ができない。これとは対照的に、本発明の弁においては、漏れがなく、重力で送ることができ、ならびに弁を含むデバイスの内側の洗浄が改善されている。さらに、本開示の弁のさらなる利点には、エラストマー部材を通るかまたはその周りのいずれかの箇所を通る通路を介してデバイスを通る流体の流れの方向を制御すること、デッドスペースの最小化および/または洗浄能力を改善すること、一般に既知の弁システムでは起きがちな失敗や問題がなくガイドワイヤを反復的に通すことができることである。
【0060】
エラストマー部材は、従来の熱硬化性ゴム(合成および非合成)から製造できる。エラストマー部材は、製造中に近位のハウジングと遠位のハウジングとの間に構成される。エラストマー部材の円錐形の周囲と近位のハウジングの円錐形の部分との間の干渉により、常閉弁を形成する。この干渉は、とりわけ、液体を一方向に低圧で通過させることができる。
【0061】
圧力作動/開存弁の設計により、デバイスの中心軸線を通るワイヤまたはカニューレが通過可能となる。これは、PICCまたはCVCカテーテル、ならびに短い末梢静脈内カテーテルの配置に有用である。したがって、本開示の弁は、「無血開始」弁として機能するようにはたらき、それによってカテーテルの配置時に臨床医の血液曝露を制限することができる。挿入すると、ワイヤまたはニードルカニューレを取り外すことができ、スリットはその取り外し時に自動的に閉じるので、介護者は必要以上な血液曝露から保護される。これはまた、患部の感染の可能性から患者をさらに保護するために、このカテーテルハブを、栄養豊富な流体に触れないように保つことができる。エラストマー部材のスリットは、ハウジングの第1の開口部および第2の開口部と協働して、ハウジングを通る長尺の医療用デバイスを受容するように構成できる。ハウジングは、支持体を含んでいてもよく、あるいは、第2の開口部に供給される内側テーパ状の開口部が、ハウジングを通して長尺の医療用デバイスを受容および/または案内するように構成してもよい。
【0062】
上記の弁は、本開示の弁を含むハウジングの上部と下部との間に差圧を生じさせる方法を提供する。この差圧により、周壁がハウジングから撓み、流体の流れがエラストマー部材の周りを流れるようになるか、あるいは、スリットが開き、エラストマー部材を通る流体の吸引が可能になるかのいずれかを引き起こす。この方法では、装置デバイスを通る流体の流れ方向が制御される。例として、ハウジングの上部と下部との間の差圧は、ハウジングの上部に加えられる負圧によって、またはハウジングの下部にかかった正圧によって作り出されるので、流体はスリットを通って流れるようになる。別の例では、ハウジングの上部と下部との間の差圧は、ハウジングの上部にかかった正圧によって生成され、その結果、周壁が、エラストマー部材の周りの流体の流れを可能にする。
【0063】
この方法は、第1の開口部を介してハウジングの上部に洗浄液を導入することと、正圧によってハウジングから周壁を撓ませることとをさらに含む。この結果、ハウジングの下部にある流体の流れの方向を変えると共に、洗浄液がエラストマー部材の周囲および円錐台形エラストマー部材の空洞部の下側および内側に付勢される。これにより、ハウジングの下部の少なくとも一部の洗浄が可能になる。この洗浄は、デバイスを通る生物学的流体の吸引後のデバイス内の血栓を防止し、および/または吸引後のデバイス内の細菌の増殖を防止する。
【0064】
本明細書に開示されているすべての実施形態の静脈カテーテル装置の上側および下側ハウジングおよびさらなる構成要素は、超音波溶接、溶媒接着、糊、接着剤、および/または技術分野において既知の別の熱または化学的方法によって固定され得る。本開示の少なくとも1つの態様では、ハウジングまたはその半組立体は、溶接プロセスがハウジング間のエラストマー部材を捕捉して常閉シールを生成するように設計されている。ハウジング構成要素は、スナップフィット、接着、スピン溶接、溶剤溶接などに合わせて構成できる。
【0065】
エラストマー部材のいずれかの部分および/またはエラストマー部材のスリットには潤滑剤を塗布してもよい。一つの態様では、シリコーン潤滑剤を使用できる。異なる潤滑剤をエラストマー部材の異なる表面に使用してもよい。成形中に1種以上のシリコーン流体をエラストマー部材に配合できる。
【0066】
静脈カテーテル装置のハウジングおよび/または支持体およびさらなる構成要素は、ポリカーボネート、環状オレフィン共重合体(COC)または透明アクリロニトリルブタジエンスチレン(MABS)などの硬質の生体適合性エンジニアリンググレード樹脂から射出成形できる。エラストマー部材の特定の構成は、同様に射出成形された熱可塑性エラストマーTPEを使用して構成できる。液体射出成形(LIM)を用いてエラストマー部材および/または弁組立体を作成できる。圧縮成形または回転圧縮成形を用いて、エラストマー部材を製造できる。そのような成形方法を行うためのエラストマー材料は、シリコーン、ポリウレタンなどでよい。
【0067】
IVカテーテル装置のさらなる特性に関して、以下が挙げられる。
【0068】
ディスク状の保持用突出部は、円形状の接触面に沿って、カテーテルハブの内面に形成されたそれに対応する保持用凹部と係合しているという利点がある。従来技術から知られているIVカテーテル装置とは異なり、これは、保持用突出部と保持用凹部の実質的な環状部分に沿ってニードルガードとカテーテルハブを係合させ、それにより、ニードルガードがその準備完了位置にあり、ニードルハブから外れないような状態にある限り、2つの構成要素間で安全で信頼できる係合ができるように構成されている。たとえニードルガードがカテーテルハブ内で回転されても、カテーテルハブとニードルガードとの間のこの確実な係合により、ニードルガードをカテーテルハブ内に安全に保持する。
【0069】
例えば突出部ではなく、ニードルガードをチャンバ内に保持するためのカテーテルハブの内面に凹部が形成されているので、カテーテルハブはより容易に製造でき、したがって、特にカテーテルハブがプラスチック部品であって、例えば射出成形によって形成されれば、より安価に製造できる。同時に、ニードルガードに設けられた第1の保持用突出部の特別な設計により、保持用突出部と保持用凹部とが効果的に係合され、したがって、ニードルガードをカテーテルハブに確実に保持できる。したがって、針をカテーテルハブから引き抜く間に、カテーテルハブからニードルガードが時期尚早に解放される危険性、ひいては針による偶発的な穿刺の危険性が減少する。
【0070】
好ましい実施形態によれば、保持用突出部は部分円形、特に半円形である。より具体的には、保持用突出部は、概ね平行な近位面および遠位面および/または、特に円筒形の周面を有する凸面でもよい。
【0071】
別の実施形態によれば、第1の保持用突出部は、第1のアームの遠位端の領域に配置されている。
【0072】
さらに別の実施形態によれば、第2のディスク状の保持用突出部が第2のアーム上に配置され、第1のアームがその撓んだ状態にある限り保持用凹部と係合するように構成されている。
【0073】
さらに別の実施形態によれば、第2のアームは、針先がアーム間に受け取られると、好ましくはその全長に沿って半径方向内側に撓むことができ、それによって第2の保持用突出部を保持用凹部から外すことができるようになる。
【0074】
さらに別の実施形態によれば、第2の保持用突出部は、第2のアームの遠位端の領域に配置されている。特に、第2の保持用突出部は、第1の保持用突出部とは反対側に配置されていてもよい。
【0075】
さらに別の実施形態によれば、保持用凹部は少なくとも部分的に環状の凹部、好ましくは環状の凹部である。
【0076】
さらに別の実施形態によれば、復元力は、第1のアームの弾力性と張力付加要素のうちの少なくとも一方によって生成される。例えば、ニードルガードは、第1の保持用突出部の近位の領域で少なくとも部分的にアームを囲む張力付加要素を含んでもよく、あるいは、2本のアームを囲む代わりに線形バイアス作用によって2本のアームを付勢してもよい。代替的に又は付加的に、第1及び第2のアームは弾力性のある材料で作ることができる。
【0077】
さらに別の実施形態によれば、第1および第2のアームはプラスチック材料でできている。好ましくは、第1および第2のアームは一体に形成されたものであり、基部も例えば射出成形によってプラスチック材料で作られている。
【0078】
ニードルガードの単純化された費用対効果的な製造を目的として、一体型張力付加要素または弾性部材は、例えば、射出形および/またはインサート成形によってアーム上に一体に形成され、ニードルガード全体が均一構造を有していてもよい。
【0079】
本発明のさらに別の実施形態によると、一体型弾性部材または弾性要素は、アームを部分的にまたは完全に取り囲むリング状の一体型形態/構造、および/またはアームの一部のみを取り囲むクランプ、ブラケット、または「C」クリップなどを含んでいてもよい。
【0080】
代替的または追加的に、基部ならびに第1および第2のアームは、金属材料、または材料の組み合わせ、例えば、異なるプラスチック材料、異なる金属材料、またはプラスチックおよび/または金属材料の異なる組み合わせなどで形成されてもよい。例えば、一方のアームを金属材料で製造し、他方のアームをプラスチック材料で製造できる。同様に、基部は金属材料から作られてもよく、アームはプラスチック材料から作られてもよく、またはその逆でもよい。なお、ニードルシャフトと接触するアームの内側部分は、TPEのような熱可塑性材料から作ることができるが、アームの外側部分は、例えば、プラスチック、金属、混合物、またはエラストマー材料などの異なる材料から作ることができる。その結果、針に沿って滑るときにニードルガードが摩擦を少なくし、それによって針の引き抜きが容易になる。
【0081】
さらに別の実施形態によれば、針は、針先と距離をおいてニードルガードと係合し、ニードルガードが針から滑り落ちるのを防止するための係合手段を備える。好ましくは、係合手段は、針の主たる外形と比較して、針の半径方向寸法を少なくとも1つの方向に拡大することによって形成される。係合手段は、局所的な捲縮、肩部、環状の拡幅部として形成された隆起部などによって形成可能である。
【0082】
さらに別の実施形態では、ニードルガードは、針先が第1のアームと第2のアームとの間に受け取られたときに針の係合手段と係合する停止要素を含む。停止要素は、針の主たる外形に適合するが針の拡大よりも小さい断面を有する軸線方向孔を規定するのが好ましい。さらに、停止要素は、基部の材料とは異なる材料、特に金属材料で作ることができる。停止要素は、ディスク状または管状のいずれであってもよく、さらに/または基部の遠位側に配置されていてもよい。基部に固定してもよいし、針上に浮かせるように支えてもよい。
【0083】
本発明の好ましい実施形態を、添付の図面を参照しながら、単なる実施例として説明する。
【0084】
本開示の実施形態を示す添付の図面を参照しながら、本開示の実施形態を以下にさら詳細に説明する。しかしながら、この本開示は多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が徹底的かつ完全であり、そして特許請求の範囲を十分に当業者に伝えるように提供されるものである。全体を通して、同じ番号は同じ要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0085】
図1】本発明による静脈カテーテル装置の長手方向の図である。
図2】本発明の静脈カテーテル装置の長手方向断面図である。
図3】針カバーを外した状態の図2の長手方向断面図である。
図4】本発明による静脈カテーテル装置の長手方向分解断面図である。
図5】本発明による静脈カテーテル装置の格納状態における長手方向断面図である。
図6】本発明による静脈カテーテル装置の別の実施形態の斜視分解図である。
図7図5の静脈カテーテル装置の張力付加要素を除いたニードルガードの長手方向断面図である。
図8図7のニードルガードの上面図である。
図9図7のニードルガードの底面図である。
図10図7のニードルガードの遠位端の正面図である。
図11】本開示による圧力作動弁の実施形態の、断面A-Aを有する平面図である。
図12】断面14A-14Aおよび14B-14Bを示す図11の上面図である。
図13図11の実施形態の分解図である。
図14A】断面14A-14Aに沿った図11の実施形態の断面図である。
図14B】断面14B-14Bにそれぞれに沿った図11の実施形態の断面図である。
図15図11の実施形態の上側ハウジングの斜視図である。
図16図11の実施形態の下側ハウジングの斜視図である。
図17A】第1の動作状態及び第2の動作状態において、断面14A-14Aおよび14B-14Bにそれぞれ沿った、図11の実施形態の断面図である。
図17B】第1の動作状態及び第2の動作状態において、断面14A-14Aおよび14B-14Bにそれぞれ沿った、図11の実施形態の断面図である。
図18A】本開示の実施形態によるエラストマー部材の斜視図である。
図18B】本開示の実施形態によるエラストマー部材の斜視図である。
図18C】本開示の実施形態によるエラストマー部材の斜視図である。
図18D】本開示の実施形態によるエラストマー部材の斜視図である。
図19】本開示による圧力作動弁の別の実施形態の断面B-Bを有する平面図である。
図20】断面22A-22Aおよび22B-22Bを示す図11の上面図である。
図21A図19の実施形態の、それぞれ分解図および分解断面図である。
図21B図19の実施形態の、それぞれ分解図および分解断面図である。
図22A】断面22A-22Aに沿った図19の実施形態の断面図である。
図22B】断面22B-22Bに沿った図19の実施形態の断面図である。
図23A図19の実施形態の下側ハウジングの平面図である。
図23B図19の実施形態の下側ハウジングの斜視図である。
図24A】第1の動作状態および第2の動作状態それぞれにおいて、断面22A-22Aおよび22B-22Bの、それぞれに沿った図19の実施形態の断面図である。
図24B】第1の動作状態および第2の動作状態それぞれにおいて、断面22A-22Aおよび22B-22Bの、それぞれに沿った図19の実施形態の断面図である。
図25A】本開示による圧力作動弁の別の実施形態の断面図である。
図25B図25Aの実施形態を90°回転させた状態を示す図である。
図25C】本開示による圧力作動弁の別の実施形態の断面図である。
図26A】本開示による圧力作動弁の別の実施形態の、断面26B-26Bを有する平面図である。
図26B図26Aの実施形態の、断面26B-26Bに沿った断面図である。
図27A】本開示による圧力作動弁の別の実施形態の断面27B-27Bを有する平面図である。
図27B図27Aの実施形態の、断面27B-27Bに沿った断面図である。
図28A】本開示による圧力作動弁の別の実施形態の断面28B-28Bを有する平面図である。
図28B図28Aの実施形態の、断面28B-28Bに沿った断面図である。
図29A】本開示による圧力作動弁の別の実施形態の断面29B-29Bを有する平面図である。
図29B図29Aの実施形態の、断面29B-29Bに沿った断面図である。
図30A】本発明の別の実施形態の長手方向断面図である。
図30B図30Aの実施形態による針先に近接する針の詳細を示す図である。
図31A】本発明のさらに別の実施形態の長手方向断面図である。
図31B図31Aの実施形態による針先に近接する針の詳細を示す図である。
図32A】本発明のさらに別の実施形態の長手方向断面図である。
図32B】本発明のさらに別の実施形態の長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0086】
本発明によれば、針先による誤った穿刺に対するより良い保護を提供し、かつ同時に製造するのに安価な静脈カテーテル装置が提供される。本発明は多くの異なる形態の実施形態をとりうるが、本開示は本発明の原理の例示として考えられるべきであり、ここで詳細に説明する実施形態に本発明を限定することを意図したものではない。
【0087】
本明細書で使用されるとき、用語「近位」は、例えば、デバイスを使用する臨床医に最も近いデバイスの領域またはデバイス上の位置を指す。これとは対照的に、用語「遠位」は、臨床医から最も遠いデバイスの領域を指し、例えば、針の遠位領域は、例えば、患者の静脈に挿入される針先を含む針の領域となる。
【0088】
カテーテル装置の使用に先立って、ニードルシャフトの近位端近くのカテーテルハブ内にニードルガードを配置する。この状況では、針はニードルガードを完全に貫通し、それによってニードルガードの第1のアームを外側に、すなわち軸線方向に対して外側にある角度で撓ませて、第1のアームの遠位壁がニードルシャフトに支持される。患者へのカテーテルの挿入に続いて、静脈穿刺が成功したことが、針に設けられた側方開口から見える血液によって確認される。その後、針がカテーテルチューブから引き抜かれ、ニードルガードがカテーテルハブ内に保持されている間にニードルシャフトがニードルガードを通って移動する。針先がニードルガードの横方向の遠位壁を通過すると、つまりニードルシャフトが遠方壁を支持できなくなると、復元力により、ニードルガードの第1のアームが確実にニードルガードの軸線方向の元の位置に戻る。これにより、針先はニードルガードの遠方壁によって塞がれ、すなわち針先がニードルガードから軸線方向に突出することが防止される。
【0089】
針先が遠位壁によって塞がれると、停止要素がアーム間または基部の遠位側に配置されているときにはニードルシャフトの拡大部が停止要素と係合し、あるいは基部に停止要素が配置されているときにはニードルシャフトの拡大部が基部の遠位側と係合し、ニードルシャフトからニードルガードが外れないようにする。停止要素が基部の第1の材料よりも硬くかつ歪みが少ない第2の材料から作られていることは、停止要素によって拡大部がニードルガードの基部を通って引っ張られるのを防ぐため、ニードルシャフト上にニードルガードがより効果的に固定され、針を引っ張るときに過剰な力がかかっても保持できるという効果を有する。したがって、ニードルガードが誤って針先から取り外される可能性が低くなり、その結果、ニードルガードは誤った穿刺に対する保護をさらに確実とし、したがってカテーテル装置を取り扱う人の安全性が向上する。
【0090】
図1及び図2は、本発明の第1の実施形態による静脈カテーテル装置10を示している。静脈カテーテルは、カテーテルハブ12と、カテーテルハブ12の遠位端でカテーテルハブ12に取り付けられたカテーテルチューブ13とを備える。当然のことながら、用語「近位」は、静脈カテーテル装置を扱う人に近い位置または向きを指し、用語「遠位」は、この人から離れた位置または向きを指し、針20の長手方向Aは基準方向である。
【0091】
カテーテルハブ12の近位部12は、概ね円形断面のチャンバ16を規定する内面14を有する。チャンバ16は、カテーテルハブ12の近位部にある。チャンバ16の遠位領域には、カテーテルハブの内面14に環状の保持用突出部18が設けられており、その機能については以下でさらに詳細に説明する。
【0092】
カテーテルハブ12はまた、遠位のカテーテルハブ部12を含む。近位のカテーテルハブ部12の遠位端には、円錐形の雌型部15が形成されている。遠位のカテーテルハブ部12は、その近位側に形成され、円錐形の雄型部17を有する。円錐形の雌型部15と円錐形の雄型部17には、近位のカテーテルハブ部12と遠位のカテーテルハブ部12とをスナップ嵌合構成で互いに固定するために、互いに係合するように設けられたリング状の凹凸が形成されている。固定は、追加の接着剤または別の固定方法、例えば溶接によって支持できる。円錐形の雌型部15は、内部中空空間19を形成しており、これについては、弁装置に関してさらに説明する。この弁装置はエラストマー部材110を含む。
【0093】
遠位端および近位端を有する針20は、カテーテルハブ12のチャンバ16ならびにカテーテルチューブ13を貫通する。針20は、その遠位端にニードルシャフト22および針先24を備える。ニードルハブ26が針20の近位端に取り付けられている。近位端において、ニードルハブ26は、多孔質フィルタ要素31を受容する通路29を有するプラグ27を受容する中空空間を有する。
【0094】
針20は、前記軸線(長手)方向Aを規定する。ニードルシャフト22は、主たる外形と比較して針20の半径方向の寸法を、少なくとも一方向に拡大していることを除いて、概ね一定の主たる外形を有する。主たる外形は、針先24の領域内に配置され、図4の参照符号25で示す係合手段を形成する。好ましくは、係合手段は針20のかしめによって形成される。しかし、針の溶接、フライス削り、冷間圧造または伸長によっても製造できる。係合手段の機能について、以下でさらに詳細に説明する。
【0095】
図1図2および図3は、使用前の状態の静脈カテーテル装置を示す。使用前のこの状態では、針20は、カテーテルハブ12のチャンバ16ならびにカテーテルチューブ13を貫通し、針先24は、カテーテルチューブ13の遠位端から突き出ている。針20のこの位置は、本書内では準備完了位置とも称す。なお、針20は、ニードルハブ26がカテーテルハブ12と係合することにより、その準備完了位置に固定されている。
【0096】
静脈カテーテル装置の使用前に針20による偶発的な穿刺を防止するため、管状カバー30が、カテーテルチューブ13およびそれを貫通して延びる針20の部分を覆っている。カバー30の近位端部は、カテーテルハブ12の遠位端部分に着脱可能に固定されている。
【0097】
静脈カテーテル装置は、針20の使用後、すなわち患者の静脈内へのカテーテルチューブ13の留置および患者の静脈から針20を抜去後に針先24を保護するためのニードルガード32をさらに備える。ニードルガード32は、ニードルシャフト22上にスライド可能に配置され、チャンバ16内に受容されている。
【0098】
図4は、上述の構成要素を有する分解図を示すが、これは使用条件ではない。この分解図はむしろ、本発明によるIVカテーテル装置をどのように組み立てることができるかの方法を示している。
【0099】
図5は、針がカテーテルハブ12から引き抜かれたときに格納状態にある、本発明のこの実施形態によるIVカテーテル装置を示す。この状態では、針先24はニードルガード32によって覆われており、針特性部25が、ニードルガード32が針から遠位方向に取り外されるのを防止する。針先24は、ニードルガード32によって覆われている。プラグ27は、ニードルハブ26から取り外すことができる。詳細には示されていないが、カテーテルチューブ13を患者の静脈に導入できる。
【0100】
図6は、全体の構成をさらなる分解斜視図で示している。また、カテーテルチューブ13を固定するための中空固定プラグ31も示されている。
【0101】
図7図10により詳細に見られるように、ニードルガード32は、管状基部34と、管状基部34の遠位側から概ね軸線方向に延びる第1および第2のアーム36および38とを備える。基部34とアーム36および38とは、例えば射出成形により、プラスチック材料から一体に形成されている。
【0102】
基部34は、針20を受けるための軸線方向貫通孔40を有する。貫通孔40は、針20の主たる外形よりも大きい断面を有する第1および第2の部分42および44を含み、第2の部分44の断面は、第1の部分42の断面よりもさらに大きい。
【0103】
ワッシャのような円板状プレートの形状の停止要素46が、例えば、インサート成形によって基部34の遠位側に配置されている。停止要素46は、基部34の材料とは異なる材料、例えば金属材料からなる。停止要素46は、基部34の貫通孔40と一直線上にあり、かつ基部34の貫通孔40よりも小さい断面を有する軸線方向孔48を有する。より具体的には、停止要素46の軸方向孔48の断面は、針20の主たる外形に構成され、停止要素46が最小限の摩擦でニードルシャフト22に沿ってスライドできる。しかしながら、長手方向Aを横切る軸方向孔48の最大寸法は、長手方向を横切る針20に設けられた係合手段の最大寸法よりも小さく、それにより、係合手段が停止要素46を通過するのを防ぎ、それよって、ニードルガード32がニードル20から滑り落ちるのを防止する。
【0104】
ニードルガード32の第1のアーム36は、第2のアーム38よりも長く、針先24を引っ掛けるためのアンダーカット51を有する嵩高の遠位端部50を有する。遠位端部50は、第2のアーム38に向けて傾斜しており、第2のアーム38と重なっている(図8)。その準備完了位置において、針20はニードルガード32を完全に貫通して延びる(図7)。この状況では、第1のアーム38の遠位端部50がニードルシャフト22上に支持され、それにより第1のアーム36を半径方向外側に偏向させる。第1のアーム36を撓み易くするために、第1のアーム36は、アーム36のほぼ中央領域に断面が縮小された狭窄部52を有する。第1のアーム36とは対照的に、傾斜した遠位端部がないために、第2のアーム38は、ニードルガード32を通って延びる針20によって大きく撓むことはない。しかし、第2のアーム38は同様の狭くなった部分54を有する。その理由は以下でさらに明らかになるであろう。
【0105】
第1および第2のアーム36および38が一定の弾力性を有していても、張力付加要素、例えばゴムバンド56(図8および図9において点線で示されている)は、アーム36および38の遠位部を取り囲んでいるので、第1のアーム36の撓みは主に張力付加要素の復元力に抗して発生する(図7)。
【0106】
患者の静脈内にカテーテルチューブ13を配置した後、針20がカテーテルチューブ13から引き抜かれると、針先24が第1のアーム36の傾斜した遠位端部50を通過するまで、針20はニードルガード32を通ってスライドする。この時点で、傾斜した遠位端部50はもはやニードルシャフト22および第1のアーム36上に支持されておらず、主にゴムバンド56によって支持されるそれ自体の弾性の力によって、傾斜した遠位端部50が針先24を塞いだ状態で弛緩した状態にカチッと戻る。当然のことながら、第1のアーム36の長さと針先24からの係合手段の距離とは、ニードルガード32内に受容された針先24がニードルガード32における軸方向移動に対して隙間が最小となるように互いに構成される。
【0107】
ニードルガード32が早期にカテーテルハブ12のチャンバ16から取り外されるのを防止するために、すなわち針先24がニードルガード32によって覆われる前に、第1のアーム36は、第1のアーム36が撓んだ状態でカテーテルハブ12の内面14に保持用凹部18と係合するディスク状の第1の保持用突出部58を備える。第1の保持用突出部58は、概して平坦な近位面60と遠位面62と、凸状の、特に部分円筒形の周面64とを有し、その半径は、カテーテルハブ12の内面14の保持用凹部18の領域内の半径に構成される。第1の保持用突出部58の高さ、すなわち半径方向に見た寸法は、第1のアーム36がその弛緩した状態にカチッと戻ると第1の保持用突出部58が保持用凹部18から外れるように構成される。
【0108】
第2のアーム38には、第1の保持用突出部58と同様に第1の保持用突出部58から対向する半径方向に延びるディスク状の第2の保持用突出部66が設けられている。第2の保持用突出部66は、概ね平行な近位面60と遠位面62、さらに凸状の、特に部分円筒形の周面64も有する。第2の保持用突出部66の高さ、すなわち半径方向の寸法は、針20が準備完了位置にあるときに保持用突出部66が保持用凹部18に係合するように構成される。保持用突出部66を保持用凹部18から離脱させるために、針20への引っ張り力が十分に大きくなったときに、第2のアーム38を針20に向かってわずかに半径方向内側に撓ませることができる。
【0109】
図1から分かるように、保持用凹部18の軸線方向の寸法、すなわち幅は、保持用突出部58および66の軸線方向の寸法、すなわち幅よりもかなり大きい。例えば、保持用凹部18の幅は、保持用突出部58および66の幅の3~5倍にできるが、保持用凹部18と保持用突出部58および66とが確実に係合する限り、他の比率も可能である。
【0110】
上述のように、IVカテーテルデバイスは弁も含む。弁の構造および機能を説明するために、IVカテーテルに一体化できる弁の異なる実施形態について図11から図29Bを参照する。弁は、以下に論じるように別々に形成することも、カテーテルデバイスに一体化することもできる。したがって、弁はデバイス100として別に説明する。上記のように、弁は、少なくとも2つのカテーテルハブ部12および12を有する弁のハウジングを形成するカテーテルハブ12に一体化できる。
【0111】
ここで図を参照する。図11は、弁を別体の構成要素として形成するデバイス100を示す第1の実施形態の斜視図である。デバイス100は、雄型ルアー継手への接続を提供するための剛性の上側ハウジング101と、雌型ルアー継手への接続を提供するための剛性の下側ハウジング102とを含む。デバイスは患者の快適さのため、滑らかな外面を有する。デバイス100は、第1の開口部101aと第2の開口部102aとを有する。第1の開口部101aはねじ切りされているように示されているが、ねじ山なしで滑らかに構成してもよい。図12は、さらに後述する断面を示すデバイス100の上面図である。
【0112】
図13は、支持体112を有する下側ハウジング102、表面167から下側ハウジング102に向かって突出する周壁169を有するエラストマー部材110を示すデバイス100の分解斜視図である。表面167にはスリット117がある。上側ハウジング101は、下側ハウジング102と液密シールを形成するように構成されている。図示のように、上側ハウジング101は、ねじ付き雌型ルアー継手106を用いて構成できる。図示のように、下側ハウジングは、雄型ルアー107と周囲の内ねじ108とで構成できる。
【0113】
ここで図14Aおよび図14Bを参照すると、組み立てられた構成における第1の実施形態のデバイス100のそれぞれ互いに90°離れた断面図が示されている。
【0114】
図14Aは、上側ハウジング101の内壁111と連続シールを形成している内壁111と締まりばめ状態のエラストマー部材110の周壁169の一部を示す。エラストマー部材110は、デバイス100を第1の開口部101aに対応する上部と、第2の開口部102aに対応する下部とに仕切る。エラストマー部材110は支持体112によって支持されている状態が示されている。支持体112は、開口部109を形成し、下側ハウジング102と第2の開口部102aとを流体連通する。スリット117と内壁111を有する連続シールの両方が、差圧を介したデバイス100の作動前に開口部101aと102aとの間の流体の流れを防止するので、ここでエラストマー部材110は、常閉弁として示されている。エラストマー部材110とハウジングの内壁111との間の締まりばめは、製造時に上側ハウジング101と下側ハウジング102とを固定する際、例えばハウジングの構成要素を互いに、例えば溶接接合部114で溶着/溶接する際に設けることができる。エラストマー部材は支持体112によって支持され、エラストマー部材は上側ハウジングの内壁111に対して密封されている。流体は、支持体の間を開口部109に流れ込み、第1の開口部101aを通って流れることができる。下側ハウジング102は、第2の開口部102aの一部として基部102eから突出する突起部102cを取り囲む基部102eを含む。表面(または基部)102eは、テーパ壁102dまで半径方向外向きに延びる。テーパ壁102dの外径の一部は、上側ハウジング101の内径を有する溶接接合部114を介して密封可能に配置されるように構成されている。
【0115】
図14Bは、第1の実施形態の一態様を示しており、流路115cが上側ハウジング101の内壁111に設けられる。図示されるように、流路115cは、下側ハウジング102に向かってデバイス100の長手方向の軸線に対して概ね平行に延びる。流路115cの長さの遠位端(例えば、遠位端115d)は、周壁169の少なくとも一部(例えば、図示のように、遠位端169a)が内壁111と連続して干渉し続けるように構成されている。一実施形態では、デバイス100は流路115cなしで構成できる(幅は0に等しい)。
【0116】
一つの態様では、上側ハウジング101の内壁111に2つ以上の流路115cが設けられている。そのような態様では、2つの流路115cは、それらの対応する長手方向の軸線の両方がデバイス100の長手方向の軸線とほぼ整列した状態で平行な構成で配置できる。一実施形態では、エラストマー部材は単一のスリットからなるスリット117を有し、2つの流路115cは単一のスリット117の長手方向の軸線と直交するように配置されている。この構成では、流体の注入中および周壁169の撓み時に、半径方向の力が表面167に加えられてスリット117の閉鎖を維持しやすくする。
【0117】
図15は、図示のように、第1の開口部101aと流体連通すると共に上側ハウジング101の長手方向の軸線と概ね平行な長さを有する流路115cを示す上側ハウジング101の斜視図である。流路115cの幅は、ゼロより大きく、上側ハウジング101の最大内周長さの半分未満の数にほぼ等しい任意の幅になるように選択できる。一つの態様では、流路115cの幅は、第1の開口部101aの最小内径よりも小さくなるように選択され、注入中および/またはデバイス100の洗浄中に周壁169に圧力または力(および/または加速された流体速度)が集中しやすくする。図16は、第2の開口部102aの突起部102cの周囲に配置された複数の支持体112を示す下側ハウジング102の斜視図である。支持体112は、注入中に上側ハウジング101第1の開口部101aと下側ハウジング102第2の開口部102aとが流体連通できるように、突起部102cの周囲に間隔をあけて放射状に配置されている。支持体112は、エラストマー部材110の下面との接触し、組み立てまたは使用中にハウジング内でのエラストマー部材110のずれを最小限に抑え、および/または予備荷重を加え、および/または上下側のハウジング構成要素の積み重ねを考慮するように構成された遠位の突起部112cを備えていてもよい。
【0118】
図17Aおよび図17Bは、第1の状態(例えば、注入)および第2の状態(例えば、吸引)それぞれで示されるデバイス100の断面図である。矢印A1およびA2はデバイス100内の流体の流れ方向を示す。
【0119】
図17Aを参照すると、第1の状態では、分割したハウジング間の差圧が、第1の開口部101aを通る流体の注入時に生成され、それが上側ハウジング101の内壁111から周壁169を撓ませる。そして、流路115を形成し、デバイス100の上部と下部との間のエラストマー部材110周辺で流体連通を可能にするとともに、スリット117の閉鎖を維持しながら、第1の開口部101aから第2の開口部102aを通って方向性のある流体の流れを提供する。下側ハウジング102、例えば、テーパ壁102dおよび突起部102cの構造は、乱流および/または流体の流れ方向を形成して、体液と接触したエラストマー部材部分(例えば、周壁169の内表面)を効果的に洗浄できるようにすることができる。周壁169は、様々な態様において、比較的注入亀裂圧力の閾値が低い(例えば、開口部101aに注入流体を導入することによって)差圧が生成されると、楕円形、カップ状、または円錐台形(円錐台)であり、デバイス100の中央長手方向の軸線に向かって内側に撓曲および/または偏向するように構成されている。比較的低い注入亀裂圧力閾値とは、約6から約36インチH20(0.2psig(1379Pa)から約1.3psig(8963Pa);ここで用語「約」は記載の値の±20%を包含するものとする)のそれである。このような圧力は、例えば、IVバッグを患者の挿入点の高さより上に持ち上げると得られる。注入状態と吸引状態の両方でエラストマーのシール/弁を「通過させる」既存の弁とは異なり、本開示の弁は、注入状態で弁の「周囲」に流し、吸引状態でバルブを通して流すように構成される。この本構成の利点は、図17Aおよび図17Bの例示的な実施形態に関して説明したように、吸引後の漏れおよび「逆流」がほとんど排除され、重力によって流体を容易に注入するという望ましい能力が提供されることである。
【0120】
図17Bを参照すると、第2の状態では、第2の開口部102aを通る流体の吸引の際に生じる差圧によってスリット117が開き、一方、周壁169の遠位端169aは上側ハウジング101の内壁111と連続的な密封可能な干渉接触状態に維持される。一つの態様では、スリットは、第2の開口部102aから第1の開口部101aを通って流体がスリットを通過できるためには、吸引圧の閾値が必要となるように構成されている。一つの態様では、吸引圧の閾値は注入亀裂圧力閾値よりもかなり高い。一つの態様では、吸引圧の閾値と注入吸引閾値との間の違いは、吸引限界亀裂圧が注入限界亀裂圧より約5 psig(34474Pa)大きいということである。限界亀裂圧におけるこの差は、約3psig(20685Pa)から約7psig(48265Pa)の範囲でよい(ここで、「約」はその値の±20%を包含する)。限界亀裂圧の差を設定することは、エラストマー部材110の弾性率、厚みおよび/または厚みの変化、テーパ、架橋/硬化、ならびに材料の選択および寸法、ならびにスリット117の設計および配置を変えることによって達成できる。これについては、以下でさらに述べる。亀裂圧力閾値に関して調整できる追加のパラメータは、流路115cの数、幅、および長さ、および/または上下側ハウジング構成要素の内部形状を含む。
【0121】
図18A図18B図18C、および図18Dを参照すると、エラストマー部材の変形例が示されている。図18Aおよび図18Bは、単一のスリット117およびマルチスリット117a構成を有するエラストマー部材110を示す。別のスリット構成も使用できる。
【0122】
図18Cおよび18Dは、例示的な円錐台形部材110aおよび110bにさらなる特性部を有する、すなわち円錐台形部材110aの表面上に突起1100を有する、または円錐台形部材110bの表面に1本以上の溝1150を有する円錐台形エラストマー部材110aおよび110bの変形例を示す。
【0123】
図18Dはさらに、円錐台形部材110b内に、周壁169cによって囲まれた導管(図示せず)を有するステム1175を含む、エラストマー部材の実施形態を示し、導管は、第2の開口部102aを囲む、または下側ハウジング101の突起部102cをしっかりと囲むように構成されている。ステム1175は、開口部102aおよびスリット117と流体連通するための導管として構成できる。この構成では、ステム1175は、注入中の流体の通過/洗浄のために、垂直に貫通する1つ以上の(ハウジング長手方向の軸線を有する)開口/スリット(図示せず)を必然的に備える。開口部/スリットは、圧縮注入圧力/力に応答し、および少なくとも部分的に開口部102aに流体が進入できるように開放するように構成される。一方、吸引の間、圧縮応力を受けない開口部/スリットは、開口部102a、ステム1175、スリット117、ハウジング上部および開口部101aの上部を通るほぼ全ての流体の流れを容易にするために閉じたままとなる。上述のエラストマー部材の実施形態のこの変形例では、エラストマー部材110について上述したように、別のすべての機能的属性が維持される。
【0124】
図19を参照すると、本開示の弁の第2の実施形態が示されており、第1の開口部201aを有する上側ハウジング201と下側ハウジング202を有するデバイス200の斜視図を示している。
【0125】
図20は、断面22A-22Aおよび22B-22Bを有するデバイス200の上面図を示す。
【0126】
図21Aおよび図21Bは、それぞれデバイス200の分解図および分解断面図を示す。デバイス200の下側ハウジング202は環状壁212を含む。この例示的な実施形態では、環状壁212は、周壁269によって囲まれているエラストマー部材210に支持体を提供する。環状壁212は、図示のように下側ハウジング201と一体にでき、あるいは別々に成形して組み立て中にハウジング内に配置できる。エラストマー部材210は、表面267の縁部からの横方向環状突出部218を有し、上側ハウジング201の内壁211内の凹部218aによって受容されるように構成されている。さらに、エラストマー部材210は、表面267からの垂直環状突起2110を含み、上側および下側ハウジング構成要素201および202の組み立て時に干渉を与える。エラストマー部材210の表面267は、表面267の厚みを貫通するスリット217を含む。前の実施形態とは異なり、デバイス200の下側ハウジング202は、第2の開口部202aに供給するテーパ状の開口部202cを含む。テーパ状の開口部202cは、ガイドワイヤ等の医療用デバイスの小径への挿入を案内し、第2の開口部201aはそのような装置のねじれおよび/または曲げを防止する。
【0127】
ここで図22Aおよび図22Bを参照すると、組み立てられた構成における第2の実施形態のデバイス200のそれぞれ互いに90°ずれた断面図が示されている。図22Aは、上側ハウジング201の内壁211と連続シールを形成している内壁211と締まりばめ状態のエラストマー部材210の周壁269の一部を示す。エラストマー部材210は、デバイス200を第1の開口部201aに対応する上部と、第2の開口部202aに対応する下部とに仕切る。エラストマー部材210は、下側ハウジング202と第2の開口部202aとの間で流体連通する流路209を含む環状突起212によって支持されて示されている。エラストマー部材210は、スリット217と内壁211を有する連続シールの両方が、差圧を介したデバイス200の作動前に開口部201aと202aとの間の流体の流れを防止するので、常閉弁として示されている。エラストマー部材210とハウジングの内壁211との間の締まりばめは、製造中に上側ハウジング201と下側ハウジング202とを固定する際、例えばハウジングの構成要素を互いに、例えば溶接接合部214で溶着/溶接する際に設けることができる。エラストマー部材210の周壁269は、内壁211と流体タイプのシールを形成する。流体は、開口部209および第2の開口部202aにおいて環状支持体212を流れることができる。下側ハウジング202は、第2の開口部202aの一部として基部202eから突出する環状支持体212を包囲する表面または基部202eを含む。表面または基部202eは、テーパ壁202dまで径方向外向きに延びる。テーパ壁202dの外径の一部は、上側ハウジング201の内径を有する溶接接合部214を介して密封可能に配置されるように構成されている。図22Bは、第2の実施形態の態様を示し、環状支持体212の内径は、第2の開口部202aの内径の内側にテーパ状となり、装置を介して挿入できる医療用デバイスのガイド手段としても機能する。
【0128】
第1の実施形態と同様に、デバイス200は、デバイス200の長手方向の軸線と概ね平行に下側ハウジング202に向かって延びる任意の流路215cを含む。一実施形態では、本明細書に開示されたデバイスのいずれも流路215cなしで構成できる。
【0129】
図23Aは、環状支持体212および通路209を示す下側ハウジング202の側面図を示す。図23Bは、第2の開口部202aに供給される環状支持体212およびテーパ状の開口部202fを示す下側ハウジング202の斜視図である。環状支持体212は、エラストマー部材210の下面と接触し、組み立てまたは使用中にハウジング内でエラストマー部材210のずれを最小限に抑えるように構成された遠位の突起部212cを備えていてもよい。
【0130】
デバイス200は、図24Aおよび図24Bに示すように、第1の実施形態のデバイスと同様に機能する。図24Aおよび図24Bは、第1の状態(例えば、注入)および第2の状態(例えば、吸引)それぞれで示されるデバイス200の断面図を示す。矢印B1およびB2はデバイス200内の流体の流れ方向を示す。図24Aを参照すると、第1の状態では、デバイス200の仕切られたハウジング間の差圧が、第1の開口部201aを通る流体の注入時に生成され、それが上側ハウジング201の内壁211から周壁269を撓ませる。そして、流路215を形成し、デバイス200の上部と下部との間のエラストマー部材210の周囲で流体連通を可能にするとともに、スリット217の閉鎖を維持しながら、第1の開口部201aから第2の開口部202aを通って方向性のある流体の流れを提供する。下側ハウジング202、例えば、テーパ壁202dの構造は、乱流および/または流体の流れ方向を形成して、体液と接触したエラストマー部材部分(例えば、周壁269の内表面)を効果的に洗浄できるようにすることができる。周壁269は、比較的注入亀裂圧力の閾値が低い(例えば、開口部201aに注入流体を導入することによって)差圧が生成されると、第1の実施形態においてすでに説明したように、デバイス200の中央長手方向の軸線に向かって内側に撓曲および/または偏向するように構成されている。図24Bを参照すると、第2の状態では、第2の開口部202aを通る流体の吸引の際に生じる仕切られたハウジング内の差圧によってスリット217が開き、一方、周壁269の遠位縁269aは上側ハウジング201の内壁211と連続的な密封可能な干渉接触状態に維持される。一つの態様では、スリットは、第2の開口部202aから第1の開口部201aを通って流体がスリットを通過できるためには、吸引圧の閾値が必要となるように構成されている。
【0131】
図25Aおよび図25Bは、第2の実施形態のデバイス200からの上側ハウジング201およびエラストマー部材210で構成されて示されている第3の実施形態のデバイス300を示す一方、開口部309を有する環状支持体312は、エラストマー部材210の下面に接触しないように構成される。エラストマー部材210の支持体は、上述のように、横方向の環状突出部218および凹部218aとの干渉によってのみ提供される。図25Cは、デバイス300の下側ハウジング構成要素に変更を加えたデバイス333を示し、ここで、環状支持体312はまったく存在せず、下側ハウジング302’の表面またはベース302eは、第2の開口部302aに供給するための開口部302cを有する。
【0132】
図26Aおよび図26Bは、雄型ルアーロックハウジング組立体を用いた圧力作動弁の実施を示す第4の実施形態のデバイス400の斜視図および断面26B-26Bに沿った断面図である。チューブ401aは、雄型ルアーハウジング402に接合されているチューブハウジング401に接合されている。雄型ルアーロックハブ402cは、下側ハウジング402にスナップ嵌合する。デバイス400の機能および動作は、前述の実施形態について同様に説明したとおりである。
【0133】
図27Aおよび図27Bは、それぞれ、上側ハウジング201と組み合わされた第5の実施形態のデバイス500の斜視図および断面27B-27Bに沿った断面図である。デバイス500は、どのようにして圧力作動弁を血管カテーテルハブ502に直接一体化できるかを実証する。カテーテル502aは、末梢IVカテーテル、PICC、CVCなどでよい。上記に示し、図1図9に関して説明したように、本発明によるIVカテーテルは、偶発的な穿刺を防止するためのニードルガードをさらに備えている。
【0134】
図28Aおよび図28Bは、それぞれ、上側ハウジング201と組み合わされ、さらに雄型ルアー装置650と結合された、第5の実施形態のデバイス600の斜視図および断面28B-28Bに沿った断面図である。デバイス600は、テーパ状の内部導管602eによって案内されて、カテーテル602aを通して挿入された医療用デバイス675をどのようにしてエラストマー部材210のスリット217が収容できるかを実証する。
【0135】
図29Aおよび図29Bは、それぞれ、第6の実施形態のデバイス700の斜視図および断面29B-29Bに沿った断面図である。デバイス700は、ルアー作動弁701と直接一体化された本開示の圧力作動弁を実証する。727において、圧力作動弁組立体は、ルアー作動弁組立体に接合される。ルアー作動弁701は、雌ルアーハウジング703に組み込まれ、728でその中に密封される。図示されるようなルアー作動弁を備えるデバイス700は1つの弁の例であるが、圧力作動弁組立体を任意の数のルアー作動弁と一体化できることにより、本明細書に開示されるような利点をもたらす。
【0136】
図30Aおよび図30B図31Aおよび図31Bは、本発明による別の実施形態を図4による図と同様の分解図で示す。相違点は、針が針特性部25から僅かに近位側にスリット70として形成された貫通孔を含むことである。スリット70は、針の長手方向の軸線Aに対して横方向に延びる。スリット70は、説明の導入部分に記載したようにフラッシュバック特性を提供する。
【0137】
加えて、ニードルガード32を有する安全IVカテーテルならびに図11から図29を参照した弁デバイスの説明による圧力作動弁の異なる実施形態の本発明に関して、上側ハウジング101、201、701は近位のカテーテルハブ部121によって形成され、下側ハウジング102、202、302、402、502、602は遠位のカテーテルハブ部122によって形成してもよい。例えば、図11に関して説明したような別体の弁デバイスを安全IVカテーテルと組み合わせることも可能であり、それは依然として本発明の範囲に含まれる。
【0138】
図32Aおよび図32Bは、本発明のさらに別の実施形態を示す。相違点は、ポート71が、カテーテルハブ121の本体から軸線方向Aに概ね垂直な方向に延びていることである。キャップ73がポート71を覆うために設けられている。ウィング72は、ポート71と反対側の本体に設けられている。
【0139】
第1、第2などの用語は、本明細書では様々な要素を説明するために使用され得るが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではないことが理解されよう。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するためにのみ使用されている。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶことができ、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶことができる。本明細書で使用されているように、「および/または」という用語は、関連して列挙された項目のうちの1つ以上のありとあらゆる組合せを含む。
【0140】
本明細書では、「下」、「上」、「上側」、「下側」、「水平」、「垂直」などの相対的な用語を使用して、図に示すある要素、層または領域を別の要素、層または領域との関係を表すことができる。これらの用語は、図面に示されている向きに加えて、デバイスの異なる向きを包含することを意図していることが理解されよう。
【0141】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書で使用されるとき、単数形は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことを意図している。
【0142】
用語「含む」、「含む」、「含む」および/または「含む」は、本明細書で使用されるとき、記載された特徴、整数、ステップ、演算、要素および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の別の特徴、整数、ステップ、演算、要素、構成要素、またはそれらのグループの存在および/または追加を排除しないことは、さらに理解できよう。他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、以下と同じ意味を有し、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されている。さらに、本明細書で使用される用語は、本明細書および関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明確に定義されない限り理想的または過度に形式的な意味で解釈されないことは理解できよう。
【0143】
特に明記しない限り、「より少ない」および「より多い」などの比較的な量的用語は、平等の概念を包含することを意図している。一例として、「より少ない」とは、最も厳密な数学的意味での「より少ない」だけでなく、「より少ない、またはそれに等しい」という意味でもあり得る。本明細書で使用される「流体」という用語は、液体、気体、またはそれらの組み合わせを指す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17A
図17B
図18A
図18B
図18C
図18D
図19
図20
図21A
図21B
図22A
図22B
図23A
図23B
図24A
図24B
図25A
図25B
図25C
図26A
図26B
図27A
図27B
図28A
図28B
図29A
図29B
図30A
図30B
図31A
図31B
図32A
図32B