(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-05
(45)【発行日】2023-04-13
(54)【発明の名称】ベンゾフラン誘導体遊離塩基の結晶およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 405/14 20060101AFI20230406BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230406BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230406BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230406BHJP
A61K 31/4545 20060101ALI20230406BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
C07D405/14 CSP
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P35/02
A61K31/4545
A61P35/04
(21)【出願番号】P 2019557445
(86)(22)【出願日】2018-05-17
(86)【国際出願番号】 CN2018087272
(87)【国際公開番号】W WO2018210302
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-04-07
(31)【優先権主張番号】201710350574.5
(32)【優先日】2017-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510166892
【氏名又は名称】ジエンス ヘンルイ メデイシンカンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU HENGRUI MEDICINE CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110003007
【氏名又は名称】弁理士法人謝国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】オウ、リクン
(72)【発明者】
【氏名】ドウ、ジンシン
(72)【発明者】
【氏名】シアオ、チウン
(72)【発明者】
【氏名】チ、チャオ
【審査官】伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/118812(WO,A2)
【文献】特表2014-534178(JP,A)
【文献】特許第6828229(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61P
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物のA型結晶であって、Cu-Kα放射を用いて得られる回折角2θ角度で表され、7.60、8.51、11.80、12.38、13.52、13.73、14.48、15.23、15.99、16.10、16.82、16.99、17.35、18.24、20.82、21.57、21.91、22.57、22.76、22.88、24.29、24.47、25.24、25.90、27.23および27.74の回折角2θ角度に特徴的なピークがあり、各特徴的なピークの2θ角度の誤差範囲が±0.2であることを特徴とするX線粉末回折スペクトルを有する、式(I)の化合物のA型結晶。
【化1】
【請求項2】
7.60、8.51、10.37、11.16、11.80、12.38、12.89、13.52、13.73、14.03、14.48、15.23、15.99、16.10、16.43、16.82、16.99、17.35、18.24、18.92、19.17、20.68、20.82、21.57、21.91、22.57、22.76、22.88、23.53、23.68、24.00、24.29、24.47、24.91、25.24、25.72、25.90、27.23、27.74および35.63の回折角2θ角度に特徴的なピークがあり、各特徴的なピークの2θ角度の誤差範囲が±0.2であることを特徴とする、請求項1に記載のA型結晶。
【請求項3】
方法I:式(I)の化合物を溶媒に溶解して結晶化し、得られた結晶を濾過および乾燥し、所望のA型結晶を得る(ここで、該溶媒がハロ炭化水素とニトリルの混合溶媒であり、該ハロ炭化水素がジクロロメタンであり、該ニトリルがアセトニトリルであり、該結晶化は、室温結晶化、冷却結晶化、溶媒揮発結晶化および種結晶の添加による誘発結晶化から成る群から選択される。)を特徴とする、請求項1および2のいずれか1項に記載のA型結晶の製造方法。
【請求項4】
Cu-Kα放射を用いて得られる回折角2θ角度で表され、6.31、7.24、10.99、12.07、14.56、17.94、19.13、19.71、21.48、24.15、27.10 および28.83の回折角2θ角度に特徴的なピークがあり、各特徴的なピークの2θ角度の誤差範囲が±0.2であることを特徴とするX線粉末回折スペクトルを有する、請求項1で定義された式(I)の化合物のB型結晶。
【請求項5】
6.31、7.24、8.92、10.38、10.99、12.07、14.56、15.10、16.36、17.29、17.94、19.13、19.71、21.12、21.48、22.59、24.15、25.45、26.28、26.52、27.10、28.83、30.07、31.37、32.56、33.65、34.64、36.09、37.13および40.04の回折角2θ角度に特徴的なピークがあり、各特徴的なピークの2θ角度の誤差範囲が±0.2であることを特徴とする、請求項4に記載のB型結晶。
【請求項6】
方法I:式(I)の化合物を溶媒に溶解して結晶化し、得られた結晶を濾過して乾燥し、所望のB型結晶を得る(ここで、該溶媒がエタノールであり、該結晶化は、室温結晶化、冷却結晶化、溶媒揮発結晶化および種結晶の添加による誘発結晶化から成る群から選択される
。)ことを特徴とする、請求項4および5のいずれか1項に記載のB型結晶の製造方法。
【請求項7】
方法II:式(I)の化合物を良溶媒に溶解し、逆溶媒を加えて結晶化し、得られた結晶を濾過して乾燥し、所望のB型結晶を得る(ここで、該良溶媒がエタノールであり、該逆溶媒が水であり、該結晶化は、室温結晶化、冷却結晶化、溶媒揮発結晶化および種結晶の添加による誘発結晶化から成る群から選択される。)
ことを特徴とする、請求項4および5のいずれか1項に記載のB型結晶の製造方法。
【請求項8】
Cu-Kα放射を用いて得られる回折角2θ角度で表され、7.40、8.62、9.49、12.32、13.39、15.52、19.15、19.17、21.42および22.78の回折角2θ角度に特徴的なピークがあり、各特徴的なピークの2θ角度の誤差範囲が±0.2であることを特徴とするX線粉末回折スペクトルを有する、請求項1で定義された式(I)の化合物のC型結晶。
【請求項9】
7.40、8.62、9.49、9.96、11.12、12.32、13.39、14.21、14.85、15.52、16.50、17.67、18.28、19.15、19.17、20.06、20.80、21.42、21.89、22.20、22.78、23.41、24.74、25.34、26.70、27.38、28.64、29.63、30.20および31.15の回折角2θ角度に特徴的なピークがあり、各特徴的なピークの2θ角度の誤差範囲が±0.2であることを特徴とする、請求項
8に記載のC型結晶。
【請求項10】
式(I)の化合物を良溶媒に溶解し、逆溶媒を加えて結晶化し、得られた結晶を濾過して乾燥し、所望のC型結晶を得る(ここで、該良溶媒がエーテル溶媒であり、該エーテル溶媒が1,4-ジオキサンであり、該逆溶媒が脂肪族炭化水素溶媒および脂環式炭化水素溶媒から成る群から選択され、該脂肪族炭化水素溶媒がn-ヘプタンであり、該脂環式炭化水素溶媒がシクロヘキサンであり、該結晶化は、室温結晶化、冷却結晶化、溶媒揮発結晶化および種結晶の添加による誘発結晶化から成る群から選択される。)工程を含むことを特徴とする、請求項
8および
9のいずれか1項に記載のC型結晶の製造方法。
【請求項11】
Cu-Kα放射を用いて得られる回折角2θ角度で表され、8.41、8.85、11.38、12.18、13.45、15.15、16.73、17.59、17.68、20.45、21.51、22.72、24.53、24.91および27.11の回折角2θ角度に特徴的なピークがあり、各特徴的なピークの2θ角度の誤差範囲が±0.2であることを特徴とするX線粉末回折スペクトルを有する、請求項1で定義された式(I)の化合物のD型結晶。
【請求項12】
8.41、8.85、10.15、11.38、12.18、13.45、14.40、15.15、16.73、17.59、17.68、18.42、18.91、19.22、20.45、21.15、21.51、22.11、22.72、24.03、24.53、24.91、25.54、26.54、27.11、27.61、29.04、30.49、31.31、33.00、33.88、35.52、37.53、40.46、41.36、42.40および44.02の回折角2θ角度に特徴的なピークがあり、各特徴的なピークの2θ角度の誤差範囲が±0.2であることを特徴とする、請求項1
1に記載のD型結晶。
【請求項13】
方法I:式(I)の化合物を溶媒に溶解して結晶化し、得られた結晶を濾過して乾燥し、所望のD型結晶を得る(ここで、該溶媒がメタノール、イソプロパノール、エーテル溶媒、メタノールと水の混合溶媒、およびエタノールと水の混合溶媒から成る群から選択され、該エーテル溶媒が1,4-ジオキサンであり、該結晶化は、室温結晶化、冷却結晶化、溶媒揮発結晶化および種結晶の添加による誘発結晶化から成る群から選択される。)ことを特徴とする、請求項
11および
12のいずれか1項に記載のD型結晶の製造方法。
【請求項14】
方法II:式(I)の化合物を良溶媒に溶解し、逆溶媒を加えて結晶化し、得られた結晶を濾過して乾燥し、所望のD型結晶を得る(ここで、該良溶媒がエーテル溶媒であり、該エーテル溶媒がテトラヒドロフランであり、該逆溶媒が水であり、該結晶化は、室温結晶化、冷却結晶化、溶媒揮発結晶化および種結晶の添加による誘発結晶化から成る群から選択される。)ことを特徴とする、請求項11および12のいずれか1項に記載のD型結晶の製造方法。
【請求項15】
方法III:式(I)の化合物を溶媒に加え、混合物をスラリー化し、得られた結晶を濾過および乾燥し、所望のD型結晶を得る(ここで、該溶媒がエステル、エーテル、脂環式炭化水素、ニトロアルカン、アレーン、アルコール、ニトリル、ハロ炭化水素、ケトン、スルホキシドおよびアミドから成る群から選択され、該エステルが酢酸エチルであり、該エーテルがプロピレングリコールメチルエーテルであり、該脂環式炭化水素がシクロヘキサンであり、該ニトロアルカンがニトロメタンであり、該アレーンがキシレンであり、該アルコールがメタノールであり、該ニトリルがアセトニトリルであり、該ハロ炭化水素がジクロロメタンであり、該ケトンがアセトンであり、該アミドがN,N-ジメチルアセトアミドである。)ことを特徴とする、請求項11および12のいずれか1項に記載のD型結晶の製造方法。
【請求項16】
請求項1および2のいずれか1項に記載のA型結晶、請求項4および5のいずれか1項に記載のB型結晶、請求項
8および
9のいずれか1項に記載のC型結晶、または請求項
11および
12のいずれか1項に記載のD型結晶を含み、1種以上の薬剤学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を更に含み、医薬組成物は、結晶形A、結晶形B、結晶形Cまたは結晶形Dが完全に溶解している液体製剤ではない、ことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項17】
EZH2阻害剤に関連する疾患を治療するための薬物の製造における、請求項1および2のいずれか1項に記載のA型結晶、請求項4および5のいずれか1項に記載のB型結晶、請求項
8および
9のいずれか1項に記載のC型結晶、請求項
11および
12のいずれか1項に記載のD型結晶、または請求項
16に記載の医薬組成物の使用。
【請求項18】
該EZH2阻害剤に関連する疾患が、リンパ腫、白血病、乳癌、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、肝臓癌、メラノーマ、ラブドイド腫瘍、滑膜肉腫、中皮腫、子宮頸癌、結腸癌、直腸癌、胃癌、膵臓癌、脳癌、皮膚癌、口腔癌、骨癌、腎臓癌、膀胱癌、卵管腫瘍、卵巣腫瘍、腹膜腫瘍、神経膠腫、膠芽腫、頭頸部腫瘍および骨髄腫から成る群から選択される、請求項
17に記載の使用。
【請求項19】
該EZH2阻害剤に関連する疾患が、リンパ腫、白血病、乳癌、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、肝臓癌、黒色腫、ラブドイド腫瘍、滑膜肉腫および中皮腫から成る群から選択される、請求項
17に記載の使用。
【請求項20】
前記白血病が、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、または混合系統白血病
であり、前記リンパ腫が、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫または濾胞性リンパ腫である、請求項
18または
19に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキサミドのA、B、CおよびD型結晶ならびにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リンパ腫は、リンパ系の造血系に由来する悪性腫瘍であり、腫瘍細胞に応よって、非ホジキンリンパ腫(NHL)とホジキンリンパ腫(HL)に分類される。アジアでは、リンパ腫患者の90%がNHL患者であり、病理学における分化度の異なるリンパ球、組織球、または網状細胞を持っている。NHLは、その自然経過により3つの主要な臨床タイプ、即ち、高侵襲性、侵襲性および低悪性度のリンパ腫に分類でき、また、異なるリンパ球の起源によりB細胞、T細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞リンパ腫に分類できる。B細胞の主な機能は、様々な抗体を分泌し、外部よりの様々な侵入から身体を保護することである。
【0003】
EZH2遺伝子によってコードされるヒストンメチル基転移酵素は、ポリコーム抑制複合体2(PRC2)の触媒成分である。EZH2レベルは、正常組織と比べて癌組織で異常に上昇し、EZH2は進行癌または予後不良で最も高発現している。いくつかのタイプの癌では、EZH2遺伝子の増幅と同時にEZH2の過剰発現が起こる。si/shRNAに関する多くの実験研究では、腫瘍細胞株におけるEZH2発現の減少が腫瘍細胞の増殖、遊走および浸潤、または血管新生を阻害し、アポトーシスを引き起こすことが示されている。WO2017084494(PCT/CN2016/104318、出願日:2016年11月2日)は、次の構造を有するEZH2阻害剤を開示している:
【化1】
【0004】
選択的EZH2阻害剤を開示する特許文献としては、特許文献1~10等が含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】WO2012005805
【文献】WO2012050532
【文献】WO2012118812
【文献】WO2012142513
【文献】WO2012142504
【文献】WO2013049770
【文献】WO2013039988
【文献】WO2013067300
【文献】WO2015141616
【文献】WO2011140325
【0006】
薬剤学的に活性な成分の結晶構造は、しばしば薬物の化学的安定性に影響する。異なる結晶化条件および保存条件は、化合物の結晶構造の変化につながり、時には他の結晶形の生成を伴う場合がある。一般に、無晶形の製剤は規則的な結晶構造を持たず、しばしば他の欠陥がある。例えば、製品の悪い安定性、過剰に細かい結晶、難しい濾過、容易な凝集、および悪い流動性。薬物の多形体には、保存、生産および増幅に関する様々な要件がある。従って、式(I)の化合物の様々な特性を改善するために、式(I)の化合物の結晶形およびその製造方法を調べる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明により解決される技術的問題は、N-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキサミドのA、B、CおよびD型結晶ならびにそれらの製造方法を提供することである。本発明により製造された結晶形は良好な安定性を有する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の技術的解決策は以下のとおりである。
【0009】
本発明は、以下を特徴とする式(I)の化合物のA型結晶を提供する。該A型結晶がCu-Kα放射を用いて得られる回折角2θ角度で表され、7.60、8.51、11.80、12.38、13.52、13.73、14.48、15.23、15.99、16.10、16.82、16.99、17.35、18.24、20.82、21.57、21.91、22.57、22.76、22.88、24.29、24.47、25.24、25.90、27.23および27.74の回折角2θ角度に特徴的なピークがあり、各特徴的なピークの2θ角度の誤差範囲が±0.2であるX線粉末回折スペクトルを有する。
【化2】
好ましくは、7.60、8.51、10.37、11.16、11.80、12.38、12.89、13.52、13.73、14.03、14.48、15.23、15.99、16.10、16.43、16.82、16.99、17.35、18.24、18.92、19.17、20.68、20.82、21.57、21.91、22.57、22.76、22.88、23.53、23.68、24.00、24.29、24.47、 4.91、25.24、25.72、25.90、27.23、27.74および35.63の回折角2θ角度に特徴的なピークがあり、各特徴的なピークの2θ角度の誤差範囲が±0.2である。
【0010】
また、本発明は、該A型結晶が斜方晶系であり、スペースグループがPbcaであり、単位格子パラメータが、a=17.051(3)Å、b=15.840(3)Å、c=23.249(5)Å、α=β=γ=90.0°であり、また、単位格子体積が6279(2)Å 3であることを特徴とするA型結晶の単結晶データを提供する。
【0011】
また、本発明は以下を特徴とする該A型結晶の製造方法を提供する。
当該方法が、
方法I、即ち、式(I)の化合物を溶媒に溶解して結晶化し、得られた結晶を濾過、洗浄および乾燥し、所望のA型結晶を得る。ここで、該溶媒がアミド溶媒、アミド溶媒と水の混合溶媒、およびハロ炭化水素とニトリルの混合溶媒から成る群から選択され、該アミド溶媒がN,N-ジメチルホルムアミドおよびN,N-ジメチルアセトアミドから成る群から選択され、該ハロ炭化水素溶媒がジクロロメタンであり、該ニトリル溶媒がアセトニトリルであり、また、結晶化方法は、室温結晶化、冷却結晶化、溶媒揮発結晶化および種結晶の添加による誘発結晶化から成る群から選択される;
方法II、即ち、式(I)の化合物を良溶媒に溶解し、逆溶媒を加えて結晶化し、得られた結晶を濾過して乾燥し、所望のA型結晶を得る。ここで、該良溶媒がアルコール溶媒であり、該アルコール溶媒がメタノール、エタノールおよびイソプロパノールから成る群から選択され、該逆溶媒が水であり、また、結晶化方法は、室温結晶化、冷却結晶化、溶媒揮発結晶化および種結晶の添加による誘発結晶化から成る群から選択される;および
方法III、即ち、式(I)の化合物を溶媒に加え、該混合物をパルプ状にし、得られた結晶を濾過および乾燥し、所望のA型結晶を得る。ここで、該溶媒がアミド溶媒と水の混合溶媒およびハロ炭化水素とニトリルの混合溶媒から成る群から選択され、該アミド溶媒がN,N-ジメチルホルムアミドおよびN,N-ジメチルアセトアミドから成る群から選択され、該ハロ炭化水素溶媒がジクロロメタンであり、該ニトリル溶媒がアセトニトリルである。
から成る群より選択される。
【0012】
また、本発明は次の工程を含むことを特徴とするA型結晶の単結晶の製造方法を提供する。
式(I)の化合物を溶媒に溶解して結晶化し、得られた結晶を濾過して乾燥し、所望のA型結晶の単結晶を得る。ここで、該溶媒がハロ炭化水素とニトリルの混合溶媒であり、該ハロ炭化水素溶媒がジクロロメタンであり、該ニトリル溶媒がアセトニトリルであり、該ハロ炭化水素とニトリルの比は20:1~1:20、好ましくは1:10であり、また、結晶化方法は、室温結晶化、冷却結晶化、溶媒揮発結晶化および種結晶の添加による誘発結晶化から成る群から選択される。
【0013】
また、本発明は以下を特徴とする式(I)の化合物のB型結晶を提供する。該B型結晶がCu-Kα放射を用いて得られる回折角2θ角度で表され、6.31、7.24、10.99、12.07、14.56、17.94、19.13、19.71、21.48、24.15、27.10 および28.83の回折角2θ角度に特徴的なピークがあり、各特徴的なピークの2θ角度の誤差範囲が±0.2であるX線粉末回折スペクトルを有する。
好ましくは、6.31、7.24、8.92、10.38、10.99、12.07、14.56、15.10、16.36、17.29、17.94、19.13、19.71、21.12、21.48、22.59、24.15、25.45、26.28、26.52、27.10、28.83、30.07、31.37、32.56、33.65、34.64、36.09、37.13および40.04の回折角2θ角度に特徴的なピークがあり、各特徴的なピークの2θ角度の誤差範囲が±0.2である。
【0014】
また、本発明は以下を特徴とする該B型結晶の製造方法を提供する。
当該方法が、
方法I、即ち、式(I)の化合物を溶媒に溶解して結晶化し、得られた結晶を濾過して乾燥し、所望のB型結晶を得る。ここで、該溶媒がエタノールであり、また、結晶化方法は、室温結晶化、冷却結晶化、溶媒揮発結晶化および種結晶の添加による誘発結晶化から成る群から選択される;および
方法II、即ち、式(I)の化合物を良溶媒に溶解し、逆溶媒を加えて結晶化し、得られた結晶を濾過して乾燥し、所望のB型結晶を得る。ここで、該良溶媒がエタノールであり、該逆溶媒が水であり、また、結晶化方法は、室温結晶化、冷却結晶化、溶媒揮発結晶化および種結晶の添加による誘発結晶化から成る群から選択される;
から成る群より選択される。
【0015】
また、本発明は以下を特徴とする式(I)の化合物のC型結晶を提供する。該C型結晶がCu-Kα放射を用いて得られる回折角2θ角度で表され、7.40、8.62、9.49、12.32、13.39、15.52、19.15、19.17、21.42および22.78の回折角2θ角度に特徴的なピークがあり、各特徴的なピークの2θ角度の誤差範囲が±0.2であるX線粉末回折スペクトルを有する。
好ましくは、7.40、8.62、9.49、9.96、11.12、12.32、13.39、14.21、14.85、15.52、16.50、17.67、18.28、19.15、19.17、20.06、20.80、21.42、21.89、22.20、22.78、23.41、24.74、25.34、26.70、27.38、28.64、29.63、30.20および31.15の回折角2θ角度に特徴的なピークがあり、各特徴的なピークの2θ角度の誤差範囲が±0.2である。
【0016】
また、本発明は次の工程を含むことを特徴とする該C型結晶の製造方法を提供する。
式(I)の化合物を良溶媒に溶解し、逆溶媒を加えて結晶化し、得られた結晶を濾過して乾燥し、所望のC型結晶を得る。ここで、該良溶媒がエーテル溶媒であり、該エーテル溶媒が1,4-ジオキサンであり、該逆溶媒が脂肪族炭化水素溶媒および脂環式炭化水素溶媒から成る群から選択され、該脂肪族炭化水素溶媒がn-ヘプタンであり、該脂環式炭化水素溶媒がシクロヘキサンであり、また、結晶化方法は、室温結晶化、冷却結晶化、溶媒揮発結晶化および種結晶の添加による誘発結晶化から成る群から選択される。
【0017】
また、本発明は以下を特徴とする式(I)の化合物のD型結晶を提供する。該D型結晶がCu-Kα放射を用いて得られる回折角2θ角度で表され、8.41、8.85、11.38、12.18、13.45、15.15、16.73、17.59、17.68、20.45、21.51、22.72、24.53、24.91および27.11の回折角2θ角度に特徴的なピークがあり、各特徴的なピークの2θ角度の誤差範囲が±0.2であるX線粉末回折スペクトルを有する。
好ましくは、8.41、8.85、10.15、11.38、12.18、13.45、14.40、15.15、16.73、17.59、17.68、18.42、18.91、19.22、20.45、21.15、21.51、22.11、22.72、24.03、24.53、24.91、25.54、26.54、27.11、27.61、29.04、30.49、31.31、33.00、33.88、35.52、37.53、40.46、41.36、42.40および44.02の回折角2θ角度に特徴的なピークがあり、各特徴的なピークの2θ角度の誤差範囲が±0.2である。
【0018】
また、本発明は、D型結晶が斜方晶系であり、スペースグループがPbcaであり、単位格子パラメータが、a=17.4737(6)Å、b=17.5933(3)Å、c=19.9907(7)Å、α=β=γ=90.0°であり、また、単位格子体積が6145.5(3)Å 3であることを特徴とするD型結晶の単結晶データを提供する。
【0019】
また、本発明は以下を特徴とするD型結晶の製造方法を提供する。
当該方法が、
方法I、即ち、式(I)の化合物を溶媒に溶解して結晶化し、得られた結晶を濾過して乾燥し、所望のD型結晶を得る。ここで、該溶媒がアルコール溶媒、エーテル溶媒、アルコールと水の混合溶媒、エーテルと水の混合溶媒、アルコールと脂肪族炭化水素の混合溶媒およびエーテルと脂肪族炭化水素の混合溶媒から成る群から選択され、該アルコール溶媒がメタノール、エタノールおよびイソプロパノールから成る群から選択され、該エーテル溶媒がテトラヒドロフランおよび1,4-ジオキサンから成る群から選択され、該脂肪族炭化水素溶媒がn-ヘプタンであり、また、結晶化方法は、室温結晶化、冷却結晶化、溶媒揮発結晶化および種結晶の添加による誘発結晶化から成る群から選択される;
方法II、即ち、式(I)の化合物を良溶媒に溶解し、逆溶媒を加えて結晶化し、得られた結晶を濾過して乾燥し、所望のD型結晶を得る。ここで、該良溶媒がアルコール溶媒とエーテル溶媒から成る群から選択され、該アルコール溶媒がメタノールとイソプロパノールから成る群から選択され、該エーテル溶媒がテトラヒドロフランであり、該逆溶媒が水であり、または、該良溶媒がエーテルであり、該エーテル溶媒がテトラヒドロフランであり、該逆溶媒が脂肪族炭化水素溶媒および脂環式炭化水素溶媒から成る群から選択され、該脂肪族炭化水素溶媒がn-ヘプタンであり、該脂環式炭化水素溶媒がシクロヘキサンであり、また、結晶化方法は、室温結晶化、冷却結晶化、溶媒揮発結晶化および種結晶の添加による誘発結晶化から成る群から選択される;および
方法III、即ち、式(I)の化合物を溶媒に加え、該混合物をパルプ状にし、得られた結晶を濾過および乾燥し、所望のD型結晶を得る。ここで、該溶媒が水、エステル、エーテル、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、ニトロアルカン溶媒、アレーン、アルコール、ニトリル、ハロ炭化水素、ケトン、スルホキシド、アミド、アルコールとエーテルの混合溶媒、アルコールと水の混合溶媒および1つ以上のアルコールの混合溶媒から成る群から選択され、該エステル溶媒が酢酸エチル、酢酸イソプロピルおよび酢酸ブチルから成る群から選択され、該エーテル溶媒がテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、プロピレングリコールメチルエーテルおよびメチルtert-ブチルエーテルから成る群から選択され、該脂肪族炭化水素がn-ヘプタンであり、該脂環式炭化水素がシクロヘキサンであり、該ニトロアルカン溶媒がニトロメタンであり、該アレーン溶媒がキシレンおよびクメンから成る群から選択され、該アルコール溶媒がメタノール、エタノールおよびイソプロパノールから成る群から選択され、該ニトリル溶媒がアセトニトリルであり、該ハロ炭化水素溶媒がジクロロメタンであり、該ケトン溶媒がアセトンであり、該スルホキシドがジメチルスルホキシドであり、また、該1つ以上のアルコールの混合溶媒が、メタノールとエタノールの混合溶媒、メタノールとイソプロパノールの混合溶媒およびエタノールとイソプロパノールの混合溶媒から成る群から選択される;
から成る群より選択される。
【0020】
また、本発明は次の工程を含むことを特徴とするD型結晶の単結晶の製造方法を提供する。
式(I)の化合物を溶媒に溶解して結晶化し、得られた結晶を濾過して乾燥し、D型結晶の所望の単結晶を得る。ここで、該溶媒がアルコールと水の混合溶媒であり、該アルコール溶媒がメタノールとエタノールから成る群から選択され、該アルコールと水の比は20:1~1:20、好ましくは6:1であり、また、結晶化方法は、室温結晶化、冷却結晶化、溶媒揮発結晶化および種結晶の添加による誘発結晶化から成る群から選択される。
【0021】
また、本発明は1種以上の薬剤学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を更に含むことを特徴とするA、B、CまたはD型結晶の医薬組成物に関する。
【0022】
また、本発明はEZH2阻害剤に関連する疾患を治療するための医薬品の製造におけるA、B、CまたはD型結晶、または該医薬組成物の使用に関する。
【0023】
本発明の使用によれば、該EZH2阻害薬に関連する疾患は、リンパ腫、白血病、乳癌、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、肝臓癌、メラノーマ、ラブドイド腫瘍、滑膜肉腫、中皮腫、子宮頸癌、結腸癌、直腸癌、胃癌、膵臓癌、脳癌、皮膚癌、口腔癌、骨癌、腎臓癌、膀胱癌、卵管腫瘍、卵巣腫瘍、腹膜腫瘍、神経膠腫、膠芽腫、頭頸部腫瘍および骨髄腫から成る群から選択され、好ましくはリンパ腫、白血病、乳癌、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、肝臓癌、黒色腫、ラブドイド腫瘍、滑膜肉腫および中皮腫である。該白血病が好ましくは慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病または混合系統白血病であり、また、該リンパ腫が好ましくは非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫または濾胞性リンパ腫である。
【0024】
得られる式(I)の化合物の結晶形は、X線粉末回折スペクトル(XRPD)および示差走査熱量測定(DSC)により決定される。
【0025】
結晶形の再結晶化方法は特に限定されず、従来の再結晶化工程により実施することができる。例えば、原料、即ち、式(I)の化合物を有機溶媒に溶解し、続いて逆溶媒を加えて結晶化させることができる。結晶化の完了後に、濾過および乾燥により所望の結晶を得ることができる。
本発明の結晶化方法には、室温結晶化、冷却結晶化、溶媒揮発結晶化および種結晶の添加による誘発結晶化等が含まれる。冷却温度は40℃以下、好ましくは-10~40℃である。
【0026】
本発明の結晶形の製造方法に用いられる出発原料は、式(I)の化合物の任意の形態でもよい。具体的な形態には、無晶形や任意の結晶形等が含まれるが、これらに限定されない。
定義
【0027】
本願の明細書および特許請求の範囲において、特に明記しない限り、ここで用いられる科学的および技術的用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有する。しかしながら、本発明をよりよく理解してもらうために、いくつかの関連用語の定義および説明を提供する。また、本願で提供される用語の定義および説明が当業者によって一般に理解される意味と矛盾する場合、本願で提供される用語の定義および説明が優先するものとする。
【0028】
本発明で用いられる用語「C1~6アルキル」とは、1~6個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖アルキルをいう。その具体例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、2-メチルブチル、neo-ペンチル、1-エチルプロピル、n-ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルペンチル、2-メチルペンチル、1-メチルペンチル、3,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、1,2-ジメチルプロピル等が含まれるが、これらに限定されない。
【0029】
本発明で用いられる用語「エーテル溶媒」とは、エーテル結合-O-を有し、炭素数1~10の鎖状化合物または環状化合物をいう。その具体例には、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、1,4-ジオキサンが含まれるが、これらに限定されない。
【0030】
本発明で用いられる用語「アルコール溶媒」とは、「C1~6アルキル」上の1つまたは複数の水素原子が1つまたは複数の「ヒドロキシ」で置換された基をいい、ここで、該「ヒドロキシ」および「C1~6」が上記で定義したとおりである。その具体例には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、イソペンタノールおよびトリフルオロエタノールが含まれるが、これらに限定されない。
【0031】
本発明で用いられる用語「エステル溶媒」とは、炭素数が1~4の低級有機酸と炭素数が1~6の低級アルコールとの組み合わせをいう。その具体例には、酢酸エチル、酢酸イソプロピルまたは酢酸ブチルが含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
本発明で用いられる用語「ケトン溶媒」とは、カルボニル基(-C(O)-)が2つの炭化水素基に結合している化合物をいう。ケトン類は、分子内の炭化水素基によって、脂肪族ケトン、脂環式ケトン、芳香族ケトン、飽和ケトンおよび不飽和ケトンに分類できる。その具体例には、アセトン、アセトフェノン、メチルイソブチルケトンまたはメチルピロリドンが含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
本発明で用いられる用語「ニトリル溶媒」とは、「C1~6アルキル」上の1つ以上の水素原子が1つ以上の「シアノ」で置換された基をいい、ここで、該「シアノ」および「C1~6アルキル」が上記で定義したとおりである。その具体例には、アセトニトリルまたはプロピオニトリルが含まれるが、これらに限定されない。
【0034】
本発明で用いられる用語「脂肪族炭化水素溶媒」とは、脂肪族化合物の基本特性を有し、炭素数1~10の炭化水素化合物をいい、ここで、分子内の該炭素原子が鎖状の炭素骨格に結合しており、その中に2つの末端が開いており、環を形成していなく、例えば、アルカン溶媒を含む飽和脂肪族炭化水素である。その具体例には、n-ブタン、n-ペンタン、n-ヘキサンまたはn-ヘプタンが含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
本発明で用いられる用語「脂環式炭化水素溶媒」とは、脂肪族炭化水素と同様の特性を有し、1~8個の環原子を有する環状炭素骨格を有する炭化水素化合物をいう。その具体例には、シクロペンタンおよびシクロヘキサンが含まれるが、これらに限定されない。
【0036】
本発明で用いられる用語「アミド溶媒」とは、カルボニルアミノ(-C(O)N-)を有し、炭素数1~10の化合物をいう。その具体例には、N,N-ジメチルホルムアミドおよびN,N-ジメチルアセトアミドが含まれるが、これらに限定されない。
【0037】
本発明で用いられる用語「アレーン溶媒」とは、炭素環化合物およびその誘導体の一般的な用語をいい、ここで、該分子が閉じた環の共役系を持ち、π電子の数はHuckel法則に従う。その具体例には、イソプロピルベンゼンおよびキシレンが含まれるが、これらに限定されない。
【0038】
本発明で用いられる用語「ハロ炭化水素溶媒」とは、とは、1つ以上の水素原子が1つ以上の「ハロゲン原子」で置換された「C1~6アルキル」に由来する基をいい、ここで、該「ハロゲン原子」および「C1~6アルキル」が上記で定義したとおりである。その具体例には、塩化メチル、ジクロロメタン、クロロホルムおよび四塩化炭素が含まれる、これらに限定されない。
【0039】
本発明で用いられる用語「ニトロアルカン溶媒」とは、1つ以上の水素原子が1つ以上の「ニトロ」により置換された「C1~6アルキル」に由来する基をいい、ここで、該「C1~6アルキル」が上記で定義したとおりである。その具体例には、ニトロメタンが含まれるが、これに限定されない。
【0040】
本発明で用いられる用語「混合溶媒」とは、1種以上の異なる有機溶媒を一定の割合で混合した溶媒、または有機溶媒と水を一定の割合で混合した溶媒をいう。該混合溶媒が好ましくは、1種以上のアルコールの混合溶媒、アルコールとエーテルの混合溶媒、アルコールと脂肪族炭化水素の混合溶媒、エーテルと脂肪族炭化水素の混合溶媒、 アルコールと水の混合溶媒、ハロ炭化水素とニトリルの混合溶媒、アミドと水の混合溶媒、またはエーテルと水の混合溶媒であり、ここで、該アルコール、エーテル、脂肪族炭化水素、ハロ炭化水素、アミドおよびニトリルが上記で定義したとおりである。
【0041】
本発明で用いられる用語「X線粉末回折スペクトル」または「XRPD」とは、ブラッグ式2d sinθ=nλ(ここで、λがX線の波長であり、λ=1.54056Å、回折次数nは任意の正の整数であり、一般に1次回折ピークをとり、n = 1)に従って得られるX線粉末回折スペクトルをいい、X線が結晶サンプルまたは入射角θでd格子面間隔を持つ部分結晶サンプルの特定の原子面に入射する場合(入射角の相補角、ブラッグ角度とも呼ばれる)ブラッグ方程式を満たすことができる。
【0042】
本発明で用いられる用語「示差走査熱量測定」または「DSC」は、サンプルの加熱工程または定温工程にけるサンプルと基準との間の温度差および熱流差を測定し、熱効果に関連するすべての物理的および化学的変化を特徴付け、サンプルの相変化に関する情報を得ることを意味する。
【0043】
本発明で用いられる用語「2θ」または「2θ角度」とは、回折角をいう。θはブラッグ角度であり、その単位は°または度である。2θの誤差範囲は±0.1から±0.5、好ましくは±0.1から±0.3、より好ましくは±0.2である。
【0044】
本発明で用いられる用語「面間間隔」または「面間距離(d値)」は、空間格子が3つの非平行な単位ベクトルa、b、cを選択することを意味し、ここで、それぞれが2つの隣接する格子点を接続し、該3つのベクトルが格子を平面間間隔と呼ばれる並置された平行な並列の単位に分割する。該空間格子が、決定された平行六面体の単位線に従って分割され、空間格子または格子と呼ばれる線形グリッドのセットを得る。該格子は、結晶構造の周期性を幾何学的な点と線で反映する。異なる結晶面は、異なる面間間隔(即ち、2つの隣接する平行な結晶面の間の距離)を持ち、その単位はÅまたはオングストロームである。
【0045】
また、本発明は式(I)の化合物のA、B、CまたはD型結晶および場合により1つ以上の薬剤的に許容される担体および/または希釈剤を含む医薬組成物に関する。該医薬組成物が薬剤的に許容される剤形のいずれか1つに製剤化することができる。例えば、式(I)の化合物のA、B、CまたはD型結晶、または本発明の医薬製剤は、錠剤、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、注射剤(注射液、注射用滅菌粉末および注射用濃縮液を含む)、坐剤、吸入剤またはスプレーに製剤化することができる。
【0046】
また、本発明の医薬組成物は、経口投与、非経口投与、直腸投与、肺内投与または局所投与等の任意の適切な投与方式で、そのような治療を必要とする患者または被験者に投与することもできる。経口投与の場合、該医薬組成物が、経口製剤、例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、顆粒等の経口固形製剤または経口液剤、経口懸濁剤、シロップ等の経口液体製剤に製剤化することができる。経口製剤に製剤化される場合、該医薬組成物が適切な充填剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等を更に含むことができる。非経口投与の場合、該医薬組成物が、注射溶液、注射用滅菌粉末および注射用濃縮溶液を含む注射製剤に製剤化することができる。注射製剤に製剤化される場合、該医薬組成物が、現在の製薬産業における従来の方法により製造することができる。注射製剤が製剤化されるとき、追加試薬は該医薬製剤に添加されないか、または薬物の性質に応じて適切な追加試薬が添加されてもよい。直腸投与の場合、該医薬組成物が坐剤等に製剤化することができる。肺内投与の場合、該医薬組成物が吸入剤またはスプレー等に製剤化することができる。特定の好ましい実施形態では、本発明の式(I)の化合物のA型結晶、B、CまたはDは、治療的および/または予防的有効量で該医薬組成物または薬物に存在する。特定の好ましい実施形態では、本発明の式(I)の化合物のA型結晶、B、CまたはDは、単位用量で該医薬組成物または薬物に存在する。
【0047】
本発明の式(I)の化合物のA、B、CまたはD型結晶を用いて、EZH2阻害剤に関連する疾患を治療するための薬物を製造することができる。従って、本願は、EZH2阻害剤に関連する疾患を治療するための薬物の製造における、本発明の式(I)の化合物のA、B、CまたはD型結晶の使用にも関する。更に、本願は、EZH2阻害剤に関連する疾患を阻害する方法にも関する。当該方法が、本発明の式(I)の化合物のA、B、CまたはD型結晶、または本発明の医薬組成物の治療的および/または予防的有効量を、それを必要とする被験者に投与することを含む。
【0048】
特定の好ましい実施形態では、該疾患がEZH2阻害剤に関連する、疼痛から選択される疾患である。
【発明の効果】
【0049】
先行技術と比べて、本発明の技術的解決策は以下の利点を有する:
本発明に従って製造された式(I)の化合物のA、B、CおよびD型結晶が良好な安定性および高純度を有することが研究から示された。A型結晶およびDの単結晶が得られる。本発明の技術的解決策により製造された式(I)の化合物のA、B、CおよびD型結晶は、薬品の製造、輸送および貯蔵の要件を満たすことができる。その製造過程は安定し、再現性があり、制御可能であり、工業生産に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】
図1は、式(I)の化合物のA型結晶のXRPDスペクトルを示す。
【
図2】
図2は、式(I)の化合物のB型結晶のXRPDスペクトルを示す。
【
図3】
図3は、式(I)の化合物のB型結晶のDSCスペクトルを示す。
【
図4】
図4は、式(I)の化合物のC型結晶のXRPDスペクトルを示す。
【
図5】
図5は、式(I)の化合物のC型結晶のDSCスペクトルを示す。
【
図6】
図6は、式(I)の化合物のD型結晶のXRPDスペクトルを示す。
【
図7】
図7は、式(I)の化合物のD型結晶のDSCスペクトルを示す。
【
図8】
図8は、式(I)の化合物のD型結晶のDVS循環1の図を示す。
【
図9】
図9は、式(I)の化合物のD型結晶のDVS循環2の図を示す。
【
図10】
図10は、0日目における式(I)の化合物のB型結晶のXRPDスペクトルを示す。
【
図11】
図11は、25℃、RH 65%の条件下で20日間後の式(I)の化合物のB型結晶のXRPDスペクトルを示す。
【
図12】
図12は、0日目における式(I)の化合物のD型結晶のXRPDスペクトルを示す。
【
図13】
図13は、40℃、RH 75%の条件下で20日間後の式(I)の化合物のD型結晶のXRPDスペクトルを示す。
【
図14】
図14は、25℃、RH 65%の条件下で20日間後の式(I)の化合物のD型結晶のXRPDスペクトルを示す。
【
図15】
図15は、式(I)の化合物のA型結晶のX線単結晶回折分子立体構造図を示す。
【
図16】
図16は、式(I)の化合物のD型結晶のX線単結晶回折分子立体構造図を示す。
【
図17】
図17は、式(I)の化合物の無晶形のXRPDスペクトルを示す。
【発明の詳細な説明】
【0051】
本発明を以下の実施例により詳細に説明する。本発明のこれらの実施例は、単に本発明の技術的解決策を説明することを意図したものであり、本発明の主旨および範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【0052】
実施例で使用した機器の測定条件:
1.示差走査熱量計(DSC)
型式:Mettler Toledo DSC3+ STAReシステム
パージガス:窒素(50 mL/min)
加熱速度:10.0℃/min
温度範囲:20~250℃
2.X線粉末回折(XRPD)
型式:BRUKER D8 Discover A25 X線粉末回折計
光線:単色光 Cu-Kα(λ=1.5406Å)
スキャンモード:θ/2θ、スキャン範囲:10~48°
電圧:40 kV、電流:40 mA
3.動的蒸気収着(DVS)
型式:DVS advantage
温度:25℃
溶媒:水
湿度変化:0-95-0-95-0% RH, dm/dt=0.002
【0053】
比較例1 WO2017084494(PCT/CN2016/104318)の実施例2中の製造方法
N-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキサミド(式(I)の化合物)の製造
【化3】
【0054】
工程1
3-ブロモ-2-エチル-5-ニトロ安息香酸1b
2-エチル安息香酸1a(20.0 g, 133 mmol,“Journal of the American Chemical
Society, 1991, 113(13), 4931-6”に開示された方法で調製)を150 mLの硫酸に加えた後、氷浴の中で硝酸ナトリウム(11.3 g, 133 mmol)を数回に分けて加えた。該反応溶液を3時間攪拌した後、N-ブロモスクシンイミド(2.6 g, 14.5 mmol)を数回に分けて加えた。該反応系を60℃で1時間攪拌した。反応終了後、該反応溶液を氷水の中に注ぎ入れ、よく攪拌し、濾過した。該濾液を水で洗浄し、減圧下で濃縮し、白色固体の標記生成物3-ブロモ-2-エチル-5-ニトロ安息香酸1bの粗製品(35 g)を得た。これを更に精製せずに次の工程に直接に使用した。
【0055】
工程2
メチル 3-ブロモ-2-エチル-5-ニトロベンゾエート1c
3-ブロモ-2-エチル-5-ニトロ安息香酸1bの粗製品(35 g, 128 mmol)を200 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解した後、ヨードメタン(21.8 g, 153 mmol)および炭酸カリウム(35.3 g, 255 mmol)を加えた。該反応系を室温で2時間攪拌した。反応終了後、該反応溶液を減圧下で濃縮した。該反応溶液に過剰な水を加え、酢酸エチルで抽出した。該有機層を合わせ、水および塩化ナトリウムの飽和溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。該濾液を減圧下で濃縮し、黄色油の標記生成物メチル 3-ブロモ-2-エチル-5-ニトロベンゾエート1cの粗製品(36 g)を得た。これを更に精製せずに次の工程に直接に使用した。
【0056】
工程3
メチル 5-アミノ-3-ブロモ-2-エチルベンゾエート1d
メチル 3-ブロモ-2-エチル-5-ニトロベンゾエート1cの粗製品(35.0 g, 121 mmol)を250 mLのエタノールおよび150 mLの水に加えた。該反応溶液を70℃に加熱し、塩化アンモニウム(52.8 g, 969 mmol)を加えた後、鉄粉(34 g, 606 mmol)を数回に分けて加えた。該反応系を70℃で2時間攪拌した。反応終了後、該反応溶液を熱いうちにセライトに通して濾過した。該濾過ケーキを熱いエタノールで洗浄した後、該濾液を合わせ、減圧下で濃縮した。酢酸エチルおよび炭酸水素ナトリウムの飽和溶液を加えた。2つの層を分離し、該水層を酢酸エチルで抽出した。該有機層を合わせ、塩化ナトリウムの飽和溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。該濾液を減圧下で濃縮した。溶出系n-ヘキサンと酢酸エチルを備えたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成した残渣を精製し、黄色固体の標記生成物メチル5-アミノ-3-ブロモ-2-エチルベンゾエート1d(22.0 g, 収率 70%)を得た。
【0057】
工程4
メチル 3-ブロモ-2-エチル-5-ヒドロキシベンゾエート1e
メチル 5-アミノ-3-ブロモ-2-エチルベンゾエート 1d (15.0 g, 58 mmol) を 10 mL のアセトニトリル に溶解した後、200 mLの10% 硫酸を加えた。該反応溶液をよく攪拌し、氷-塩浴中で3℃に冷却した後、10 mLの用時調製した亜硝酸ナトリウム溶液(4.4 g, 64 mmol)を加えた。該反応溶液を前記温度で4 時間攪拌し、200 mLの50%硫酸を滴加した後、90℃で1時間攪拌した。反応終了後、該反応溶液を酢酸エチルで3回抽出した。該有機層を合わせ、塩化ナトリウムの飽和溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。該濾液を減圧下で濃縮した。溶出系n-ヘキサンと酢酸エチルを備えたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成した残渣を精製し、褐色固体の標記生成物メチル 3-ブロモ-2-エチル-5-ヒドロキシベンゾエート 1e (5.5 g g, 収率 37%)を得た。
【0058】
工程5
メチル 3-ブロモ-5-(2,2-ジエトキシエトキシ)-2-エチルベンゾエート1f
メチル 3-ブロモ-2-エチル-5-ヒドロキシベンゾエート1e(35 g, 135 mmol)を200 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解した後、2-ブロモ-1,1-ジエトキシエタン(40g, 202 mmol)および炭酸カリウム(37 g, 269 mmol)を加えた。該反応系を120℃で12時間攪拌した。反応終了後、該反応溶液を減圧下で濃縮し、N,N-ジメチルホルムアミドを除去した。該反応溶液に水を加え、酢酸エチルで3回抽出した。該有機層を合わせ、塩化ナトリウムの飽和溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。該濾液を減圧下で濃縮した。溶出系n-ヘキサンと酢酸エチルを備えたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成した残渣を精製し、淡い黄色油の標記生成物メチル3-ブロモ-5-(2,2-ジエトキシエトキシ)-2-エチルベンゾエート1f (40 g, 収率 80%)を得た。
【0059】
工程6
メチル 6-ブロモ-5-エチルベンゾフラン-4-カルボキシラート1g
ポリリン酸(30 g)を400 mLのトルエンに加えた。該反応溶液を100℃に加熱し、50 mLの用時調製したメチル3-ブロモ-5-(2,2-ジエトキシエトキシ)-2-エチルベンゾエート1f (40 g, 107 mmol)のトルエン溶液を攪拌下で加えた。該反応溶液を100℃で16時間攪拌した。反応終了後、上清を別の容器に移した。該残渣に水および酢酸エチルを加えた。2つの層を分離し、該水層を酢酸エチルで抽出した。該有機層を合わせ、炭酸ナトリウムの飽和溶液および塩化ナトリウムの飽和溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。該濾液を減圧下で濃縮した。溶出系n-ヘキサンと酢酸エチルを備えたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成した残渣を精製し、黄色固体の標記生成物メチル6-ブロモ-5-エチルベンゾフラン-4-カルボキシラート1g (11.8 g, 収率 39%)を得た。
【0060】
工程7
メチル 5-エチル-6-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ベンゾフラン-4-カルボキシラート1h
メチル 6-ブロモ-5-エチルベンゾフラン-4-カルボキシラート1g(11.0 g, 39 mmol)、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-アミン(5.89 g, 58 mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(3.6 g, 3.9 mmol)、(.9 mmol)ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフタレン(4.86 g, 7.8 mmol)および炭酸セシウム(38 g, 117 mmol)を100 mLのトルエンに溶解した。該反応溶液を100℃で12時間攪拌した。反応終了後、該反応溶液をセライトパットに通して濾過し、該濾過ケーキを酢酸エチルで洗浄した。該有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。該濾液を減圧下で濃縮した。溶出系n-ヘキサンと酢酸エチルを備えたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成した残渣を精製し、黄色固体の標記生成物メチル 5-エチル-6-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ベンゾフラン-4-カルボキシラート1h (10.0 g, 収率 85%)を得た。
【0061】
工程8
メチル 5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ベンゾフラン-4-カルボキシラート1i
メチル 5-エチル-6-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ベンゾフラン-4-カルボキシラート1h (10.0 g, 0.033 mmol)を150 mLの1,2-ジクロロエタンに溶解した後、アセトアルデヒド(7.2 g, 0.165 mmol)および酢酸(9.9 g, 0.165 mmol)を加えた。該反応溶液を1時間攪拌した後、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(20.8 g, 0.1 mmol)を加えた。該反応溶液を室温で12時間攪拌した。反応終了後、該反応溶液を減圧下で濃縮し、炭酸水素ナトリウムの飽和溶液で中和し、酢酸エチルで抽出した。該有機層を合わせ、塩化ナトリウムの飽和溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。該濾液を減圧下で濃縮した。溶出系n-ヘキサンと酢酸エチルを備えたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成した残渣を精製し、白色固体の標記生成物メチル 5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ベンゾフラン-4-カルボキシラート1i (7.8 g, 収率 71%)を得た。
MS m/z (LC-MS): 332.4 [M+1]
【0062】
工程9
メチル 5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-ホルミルベンゾフラン-4-カルボキシレート1j
メチル 5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ベンゾフラン-4-カルボキシラート1i (1.6 g, 4.8 mmol)を25 mLのテトラヒドロフランに溶解した。該反応溶液を-70℃に冷却した後、アルゴン雰囲気下で2.0 Mリチウムジイソプロピルアミド(3.6 mL, 7.3 mmol)を滴加した。該反応溶液を90分間攪拌した後、N,N-ジメチルホルムアミド(536 mg, 7.3 mmol)を加えた。該反応溶液を2時間攪拌した後、室温までゆっくり加熱した。該反応溶液に過剰な塩化アンモニウムを加え、よく攪拌し、酢酸エチルで3回抽出した。該有機層を合わせ、塩化ナトリウムの飽和溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。該濾液を減圧下で濃縮した。溶出系n-ヘキサンと酢酸エチルを備えたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成した残渣を精製し、黄色油の標記生成物メチル 5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-ホルミルベンゾフラン-4-カルボキシレート1j (1.3 g, 収率 75%)を得た。
MS m/z (ESI):360.2 [M+1]
【0063】
工程10
メチル 5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ヒドロキシメチル)ベンゾフラン-4-カルボキシレート1k
メチル 5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-ホルミルベンゾフラン-4-カルボキシレート1j (1.4 g, 3.9 mmol)を5 mLのテトラヒドロフランおよび10 mLのメタノールに溶解した後、水素化ホウ素ナトリウム(222 mg, 5.8 mmol)を加えた。該反応溶液を室温で30分間攪拌した。反応終了後、該反応溶液を減圧下で濃縮し、水および炭酸水素ナトリウムの飽和溶液を加え、酢酸エチルで3回抽出した。該有機層を合わせ、塩化ナトリウムの飽和溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。該濾液を減圧下で濃縮した。溶出系n-ヘキサンと酢酸エチルを備えたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成した残渣を精製し、黄色油の標記生成物メチル5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ヒドロキシメチル)ベンゾフラン-4-カルボキシレート1k (1.4 g, 収率 99%)を得た。
【0064】
工程11
メチル 2-(ブロモメチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ベンゾフラン-4-カルボキシラート1l
メチル5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ヒドロキシメチル)ベンゾフラン-4-カルボキシレート1k (1.0 g, 2.8 mmol)を30 mLのテトラヒドロフランに溶解した後、三臭化リン(1.12 g, 4.2 mmol)を滴加した。該反応溶液を室温で12時間攪拌した。反応終了後、該反応溶液を炭酸水素ナトリウムの飽和溶液で中和し、酢酸エチルで3回抽出した。該有機層を合わせ、塩化ナトリウムの飽和溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。該濾液を減圧下で濃縮した。黄色油の標記生成物メチル 2-(ブロモメチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ベンゾフラン-4-カルボキシラート1lの粗製品(1.15 g)を得た。これを更に精製せずに次の工程に直接に使用した。
【0065】
工程12
メチル 5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキシレート1m
メチル 2-(ブロモメチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ベンゾフラン-4-カルボキシラート1lの粗製品(1.15 g, 2.7 mmol)を15 mLのアセトニトリルに溶解した後、10 mLの用時調製したピペリジンのアセトニトリル溶液(362 mg, 4.3 mmol)を滴加した。該反応溶液を室温で30分間攪拌した。反応終了後、該反応溶液を減圧下で濃縮し、酢酸エチルおよび炭酸水素ナトリウムの飽和溶液を加えた。2つの層を分離し、該水層を酢酸エチルで抽出した。該有機層を合わせ、塩化ナトリウムの飽和溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。該濾液を減圧下で濃縮した。溶出系ジクロロメタンとメタノールを備えたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成した残渣を精製し、黄色油の標記生成物メチル 5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキシレート1m (1.2 g, 収率 99%)を得た。
MS m/z (LC-MS): 429.2[M+1]
【0066】
工程13
5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボン酸1n
メチル 5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキシレート1m (1.2 g, 2.7 mmol)を5 mLのテトラヒドロフランおよび20 mLのメタノールに溶解した後、5 mLの4M水酸化ナトリウム溶液を加えた。該反応溶液を60℃で12時間攪拌した。反応終了後、濃塩酸を加え、反応溶液のpHを4に調整した。該混合物を減圧下で濃縮し、該残渣をジクロロメタンとメタノールの混合物(V:V=5:1)に溶解し、濾過した。該濾過ケーキをジクロロメタンとメタノールの混合溶媒(V:V=5:1)で洗浄した。該濾液を合わせ、減圧下で濃縮した。黄色固体の標記生成物5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボン酸1nの粗製品(1.1 g)を得た。これを更に精製せずに次の工程に直接に使用した。
MS m/z (LC-MS): 415.2[M+1]
【0067】
工程14
N-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキサミド(式(I)の化合物)
5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボン酸1n (1.0 g, 2.4 mmol)を30 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解した後、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(696 mg, 3.6 mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(490 mg, 3.6 mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.56 g, 12.1 mmol)を加えた。該反応溶液を1時間攪拌した後、3-(アミノメチル)-4,6-ジメチルピリジン-2(1H)-オン塩酸塩2a (593 mg, 3.0 mmol,特許出願“WO2014097041”に開示された方法で調製)を加えた。該反応溶液を室温で12時間攪拌した。反応終了後、該反応溶液に過剰な水を加え、ジクロロメタンとメタノールの混合溶媒(V:V=8:1)で抽出した。該有機層を合わせ、水および塩化ナトリウムの飽和溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。該濾液を減圧下で濃縮した。溶出系ジクロロメタンとメタノールを備えたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成した残渣を精製し、白色固体の標記生成物N-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキサミド(I)(750 mg, 収率 57%)を得た。
MS m/z (ESI):549.7 [M+1]
該白色固体の生成物は、XRPDスペクトルにより無晶形と同定された。該無晶形のXRPDスペクトルを
図17に示す。
【0068】
実施例1 A型結晶の製造
比較例1で得られたN-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキサミドの粗製品(20 mg, 0.036 mmol)を反応フラスコに入れ、ジクロロメタン-アセトニトリルの混合溶媒(v:v, 1:10, 500 μL)を加えた。該反応溶液を25℃で1時間撹拌し、濾過した。該濾液をきれいなフラスコに入れ、溶媒が完全に乾燥するまでゆっくりと揮発させ、白色から淡黄色の固体を得た。該固体サンプルのXRPDスペクトルを
図1に示し、その特徴的なピークの位置を次の表に示す。
(表1)A型結晶の特徴的なピーク
【0069】
実施例2 A型結晶の単結晶の製造
比較例1で得られたN-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキサミドの粗製品(30 mg, 0.055 mmol)を反応フラスコに入れ、アセトニトリルとジクロロメタンの混合溶媒(v/v, 10:1, 1 mL)に溶解した。該フラスコの口は2~3個の小さな穴を開けたシーリングフィルムで密閉した。該溶媒を揮発させ、単結晶を得た。単結晶X線回折(XRD)による該結晶サンプルの単一分子立体構造を
図15に示し、そのユニットセルパラメーターを次の表に示す。
(表2)A型結晶の単結晶のユニットセルパラメーター
【0070】
実施例3 B型結晶の製造
比較例1で得られたN-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキサミドの粗製品(30 mg, 0.055 mmol)を反応フラスコに入れ、エタノール(300 μL)に溶解した。該フラスコの口は2~3個の小さな穴を開けたシーリングフィルムで密閉した。溶媒が蒸発して乾燥するまで該溶液を室温で静置し、白色から淡黄色の固体を得た。該結晶サンプルのXRPDスペクトルを
図2に示す。そのDSCスペクトルを
図3に示し、そこには、温度上昇の間に1つの吸熱ピークおよび1つの発熱ピークがあり、発熱ピークの開始は約123.69℃であり、融解開始の温度は約206.31℃である。該結晶形はB型結晶と定義され、その特徴的なピークの位置を次の表に示す。
(表3)B型結晶の特徴的なピーク
【0071】
実施例4 B型結晶の製造
比較例1で得られたN-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキサミドの粗製品(30 mg, 0.055 mmol)を反応フラスコに入れ、エタノール(300 μL)に溶解した。該溶液に逆溶媒としての水(900 μL)を加え、結晶を沈殿させた。該混合物を濾過して乾燥し、淡黄色の固体を得た。XRPDにより、該結晶サンプルはB型結晶と同定された。
【0072】
実施例5 C型結晶の製造
比較例1で得られたN-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキサミドの粗製品(30 mg, 0.055 mmol)を反応フラスコに入れ、1,4-ジオキサン(1 mL)に溶解した。該溶液にn-ヘプタン(2 mL)を加えて結晶を沈殿させた。該混合物を濾過して乾燥し、白色から淡黄色の粉末を得た。該結晶サンプルのXRPDスペクトルを
図4に示す。そのDSCスペクトルを
図5に示し、そこには、複数の吸熱ピークがある。該結晶形はC型結晶と定義され、その特徴的なピークの位置を次の表に示す。
(表4)C型結晶の特徴的なピーク
【0073】
実施例6 D型結晶の製造
比較例1で得られたN-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキサミドの粗製品(50 mg, 0.091 mmol)を反応フラスコに入れ、メタノール(100 μL)を加えた。該溶液を25℃で5日間撹拌し、濾過し、真空下で乾燥し、白色から淡黄色の粉末を得た。該結晶サンプルのXRPDスペクトルを
図6に示す。そのDSCスペクトルを
図7に示し、そこには、融解開始温度は約205.45℃である。該結晶形はD型結晶と定義された。
図8と
図9のDVS図から、D型結晶には明らかな吸湿性がないことが分かった。その特徴的なピークの位置を次の表に示す。
(表5)D型結晶の特徴的なピーク
【0074】
実施例7 D型結晶の単結晶の製造
比較例1で得られたN-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキサミドの粗製品(30 mg, 0.055 mmol)を反応フラスコに入れ、メタノールと純水の混合溶媒(v/v、6:1、1 mL)に溶解した。該フラスコの口は、2~3個の小さな穴を開けたシーリングフィルムで密閉した。該溶媒を揮発させ、単結晶を得た。単結晶X線回折(XRD)による該結晶サンプルの単一分子立体構造を
図16に示し、そのユニットセルパラメーターを次の表に示す。
(表6)D型結晶の単結晶のユニットセルパラメーター
【0075】
実施例8 D型結晶の単結晶の製造
比較例1で得られたN-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキサミドの粗製品(30 mg, 0.055 mmol)を反応フラスコに入れ、エタノールと純水の混合溶媒(v/v、6:1、1 mL)に溶解した。該フラスコの口は、2~3個の小さな穴を開けたシーリングフィルムで密閉した。該溶媒を揮発させ、結晶を得た。単結晶X線回折(XRD)により、これをD型結晶の単結晶として同定された。
【0076】
実施例9 D型結晶の製造
比較例1で得られたN-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキサミドの粗製品(30 mg, 0.055 mmol)を反応フラスコに入れ、酢酸エチル(300 μL)を加えた。該混合物を室温で2時間パルプ状にし、濾過して乾燥し、淡黄色の固体を得た。XRPDにより、これはD型結晶と同定された。
【0077】
実施例10 D型結晶の製造
比較例1で得られたN-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキサミドの粗製品(30 mg, 0.055 mmol)を反応フラスコに入れ、プロピレングリコールメチルエーテル(300 μL)を加えた。該混合物を室温で2時間パルプ状にし、濾過して乾燥し、淡黄色の固体を得た。XRPDにより、これはD型結晶と同定された。
【0078】
実施例11 D型結晶の製造
比較例1で得られたN-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキサミドの粗製品(30 mg, 0.055 mmol)を反応フラスコに入れ、シクロヘキサン(300 μL)を加えた。該混合物を25℃で2時間パルプ状にし、濾過して乾燥し、淡黄色の固体を得た。XRPDにより、これはD型結晶と同定された。
【0079】
実施例12 D型結晶の製造
比較例1で得られたN-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキサミドの粗製品(30 mg, 0.055 mmol)を反応フラスコに入れ、キシレン(300 μL)を加えた。該混合物を25℃で2時間パルプ状にし、濾過して乾燥し、淡黄色の固体を得た。XRPDにより、これはD型結晶と同定された。
【0080】
実施例13 D型結晶の製造
比較例1で得られたN-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキサミドの粗製品(30 mg, 0.055 mmol)を反応フラスコに入れ、アセトニトリル(300 μL)を加えた。該混合物を50℃で2時間パルプ状にし、濾過して乾燥し、淡黄色の固体を得た。XRPDにより、これはD型結晶と同定された。
【0081】
実施例14 D型結晶の製造
比較例1で得られたN-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキサミドの粗製品(30 mg, 0.055 mmol)を反応フラスコに入れ、アセトン(300 μL)を加えた。該混合物を50℃で2時間パルプ状にし、濾過して乾燥し、淡黄色の固体を得た。XRPDにより、これはD型結晶と同定された。
【0082】
実施例15 D型結晶の製造
比較例1で得られたN-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキサミドの粗製品(30 mg, 0.055 mmol)を反応フラスコに入れ、ニトロメタン(300 μL)を加えた。該混合物を50℃で2時間パルプ状にし、濾過して乾燥し、淡黄色の固体を得た。XRPDにより、これはD型結晶と同定された。
【0083】
実施例16 D型結晶の製造
比較例1で得られたN-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキサミドの粗製品(30 mg, 0.055 mmol)を反応フラスコに入れ、ジメチルホルムアミド(300 μL)を加えた。該混合物を50℃で2時間パルプ状にし、濾過して乾燥し、淡黄色の固体を得た。XRPDにより、これはD型結晶と同定された。
【0084】
実施例17 D型結晶の製造
比較例1で得られたN-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキサミドの粗製品(30 mg, 0.055 mmol)を反応フラスコに入れ、イソプロパノール(1 mL)に溶解した。該溶媒を揮発させた後、得られた固体を乾燥し、淡黄色の固体を得た。XRPDにより、これはD型結晶と同定された。
【0085】
実施例18 D型結晶の製造
比較例1で得られたN-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキサミドの粗製品(30 mg, 0.055 mmol)を反応フラスコに入れ、メタノールと水の混合溶媒(v/v、19:1、300 μL)に溶解した。該溶媒を揮発させた後、得られた固体を濾過して乾燥し、淡黄色の固体を得た。XRPDにより、これはD型結晶と同定された。
【0086】
実施例19 D型結晶の製造
比較例1で得られたN-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキサミドの粗製品(30 mg, 0.055 mmol)を反応フラスコに入れ、ジオキサン(1 mL)に溶解した。該溶媒を揮発させた後、得られた固体を乾燥し、淡黄色の固体を得た。XRPDにより、これはD型結晶と同定された。
【0087】
実施例20 D型結晶の製造
比較例1で得られたN-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキサミドの粗製品(30 mg, 0.055 mmol)を反応フラスコに入れ、テトラヒドロフラン(300 μL)に溶解した。該溶液に逆溶媒としての水(900 μL)を加えた後、得られた固体を濾過して乾燥し、淡黄色の固体を得た。XRPDにより、これはD型結晶と同定された。
【0088】
実施例21 D型結晶の製造
比較例1で得られたN-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキサミドの粗製品(30 mg, 0.055 mmol)を反応フラスコに入れ、ジメチルスルホキシド(100 μL)を加えた。該混合物を50℃でパルプ状にし、濾過して乾燥し、淡黄色の固体を得た。XRPDにより、これはD型結晶と同定された。
【0089】
実施例22 D型結晶の製造
比較例1で得られたN-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキサミドの粗製品(30 mg, 0.055 mmol)を反応フラスコに入れ、ジクロロメタン(100 μL)を加えた。該混合物を25℃でパルプ状にし、濾過して乾燥し、淡黄色の固体を得た。XRPDにより、これはD型結晶と同定された。
【0090】
実施例23 D型結晶の製造
比較例1で得られたN-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキサミドの粗製品(30 mg, 0.055 mmol)を反応フラスコに入れ、メタノール(100 μL)を加えた。該混合物を50℃でパルプ状にし、濾過して乾燥し、淡黄色の固体を得た。XRPDにより、これはD型結晶と同定された。
【0091】
実施例24 BおよびD型結晶の長期、加速安定性試験
B型結晶のサンプルを空気中に平らに広げ、25℃-65%の相対湿度(RH)の条件下でサンプルの安定性をテストし、サンプルの採取は20日目に行った。D型結晶のサンプルを空気中に平らに広げ、40℃-75%RHおよび25℃-65%RHの条件下でサンプルの安定性をテストし、サンプルの採取は20日目に行った。
試験の結果:
図10は、0日目におけるB型結晶のXRPDスペクトルを示す。
図11は、25℃、RH 65%の条件下で20日間後のB型結晶のXRPDスペクトルを示す。
図12は、0日目におけるD型結晶のXRPDスペクトルを示す。
図13は、40℃、RH 75%の条件下で20日間後のD型結晶のXRPDスペクトルを示す。
図14は、25℃、RH 65%の条件下で20日間後のD型結晶のXRPDスペクトルを示す。
試験の結論:
図12、13および14に示された安定性試験の結果から、40℃-75% RHの放置条件下で式(I)の化合物のD型結晶のXRPDピークについて実質的な変化はなく、該結晶系は安定であることが分かった。
図10および11に示された結果から、25℃-65% RHの放置条件下で式(I)の化合物のB型結晶のXRPDピークは有意に変化したことが分かった。25℃-65% RHの放置条件下では、D型結晶の物理的安定性がB型結晶より優れていると認められた。