(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-05
(45)【発行日】2023-04-13
(54)【発明の名称】液晶表示パネルの共通電極電圧の設定方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/133 20060101AFI20230406BHJP
G02F 1/1347 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
G02F1/133 525
G02F1/133 535
G02F1/133 550
G02F1/1347
(21)【出願番号】P 2020120493
(22)【出願日】2020-07-14
【審査請求日】2022-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】506087819
【氏名又は名称】パナソニック液晶ディスプレイ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520154173
【氏名又は名称】株式会社パソナナレッジパートナー
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 啓介
(72)【発明者】
【氏名】在田 盟
(72)【発明者】
【氏名】内木場 俊貴
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-086090(JP,A)
【文献】特開平10-333184(JP,A)
【文献】特開2013-225004(JP,A)
【文献】特開平06-202157(JP,A)
【文献】特開2020-101716(JP,A)
【文献】特開2012-053394(JP,A)
【文献】特開2013-109123(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0040744(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0062527(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/133
G02F 1/1337
G02F 1/1347
G09G 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶モジュールにおける液晶表示パネルの共通電極電圧の設定方法であって、
前記液晶モジュールは、配向膜を有する前記液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルの背面側に配置されたバックライトとを備え、
前記液晶表示パネルは、複数であり、
複数の前記液晶表示パネルは、第1の液晶表示パネルと、前記第1の液晶表示パネルと前記バックライトとの間に配置された第2の液晶表示パネルとを有し、
前記共通電極電圧の設定方法は、
前記液晶表示パネルを駆動させないで前記バックライトを点灯させることで前記液晶表示パネルに前記バックライトの光を照射して前記配向膜の電荷を除電する除電工程と、
前記除電工程の後に、前記共通電極電圧を調整することで前記液晶表示パネルの前記共通電極電圧を設定する電圧設定工程とを含
み、
前記除電工程では、前記第1の液晶表示パネルを駆動させないで前記第1の液晶表示パネルの前面側に配置された照明装置を点灯させることで前記第1の液晶表示パネルに前記照明装置の光を照射して前記第1の液晶表示パネルの前記配向膜の電荷を除電するとともに、前記第2の液晶表示パネルを駆動させないで前記バックライトを点灯させることで前記第2の液晶表示パネルに前記バックライトの光を照射して前記第2の液晶表示パネルの前記配向膜の電荷を除電し、
前記電圧設定工程では、前記第1の液晶表示パネル及び前記第2の液晶表示パネルの各々の前記共通電極電圧を調整することで前記第1の液晶表示パネル及び前記第2の液晶表示パネルの各々の前記共通電極電圧を設定する、
液晶表示パネルの共通電極電圧の設定方法。
【請求項2】
液晶モジュールにおける液晶表示パネルの共通電極電圧の設定方法であって、
前記液晶モジュールは、配向膜を有する前記液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルの背面側に配置されたバックライトとを備え、
前記液晶表示パネルは、複数であり、
複数の前記液晶表示パネルは、第1の液晶表示パネルと、前記第1の液晶表示パネルと前記バックライトとの間に配置された第2の液晶表示パネルとを有し、
前記共通電極電圧の設定方法は、
前記液晶表示パネルを駆動させないで前記バックライトを点灯させることで前記液晶表示パネルに前記バックライトの光を照射して前記配向膜の電荷を除電する除電工程と、
前記除電工程の後に、前記共通電極電圧を調整することで前記液晶表示パネルの前記共通電極電圧を設定する電圧設定工程とを含み、
前記除電工程は、前記第1の液晶表示パネルの前記配向膜の電荷を除電する第1パネル除電工程と、前記第2の液晶表示パネルの前記配向膜の電荷を除電する第2パネル除電工程とを含み、
前記第1パネル除電工程では、前記第1の液晶表示パネルを駆動させない状態で且つ前記第2の液晶表示パネルを駆動させて前記第2の液晶表示パネルを白表示にした状態で前記バックライトを点灯させることで前記第1の液晶表示パネルに前記第2の液晶表示パネルを透過した前記バックライトの光を照射し、
前記第2パネル除電工程では、前記第2の液晶表示パネルを駆動させないで前記バックライトを点灯させることで前記第2の液晶表示パネルに前記バックライトの光を照射し、
前記電圧設定工程では、前記第1の液晶表示パネル及び前記第2の液晶表示パネルの各々の前記共通電極電圧を調整することで前記第1の液晶表示パネル及び前記第2の液晶表示パネルの各々の前記共通電極電圧を設定する、
液晶表示パネルの共通電極電圧の設定方法。
【請求項3】
前記除電工程では、前記第2パネル除電工程の後に、前記第1パネル除電工程を行う、
請求項
2に記載の液晶表示パネルの共通電極電圧の設定方法。
【請求項4】
前記第1の液晶表示パネルは、カラー画像を表示し、
前記第2の液晶表示パネルは、モノクロ画像を表示する、
請求項
1~
3のいずれか1項に記載の液晶表示パネルの共通電極電圧の設定方法。
【請求項5】
前記第1の液晶表示パネルは、モノクロ画像を表示し、
前記第2の液晶表示パネルは、モノクロ画像を表示する、
請求項
1~
3のいずれか1項に記載の液晶表示パネルの共通電極電圧の設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液晶表示パネルの共通電極電圧の設定方法及び液晶表示パネルを有する液晶モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルは、薄型、軽量及び低消費電力等の優れた特徴を有する。このため、液晶表示パネルを備える液晶表示装置は、様々な用途に幅広く利用されている。例えば、液晶表示装置は、テレビ、モニタ及びタブレット端末等をはじめとして、鉄道等の公共空間又は商業施設の店頭等に設置されるデジタルサイネージ等にも利用されている。
【0003】
この種の液晶表示装置は、液晶表示パネルとともにバックライトを備える。液晶表示パネルとバックライトとは、液晶モジュールとして液晶表示装置に組み込まれている。
【0004】
液晶表示装置に搭載される液晶表示パネルとしては、複数の薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)を有するアクティブマトリクス駆動方式の液晶表示パネルが知られている。アクティブマトリクス駆動方式の液晶表示パネルは、画素毎にスイッチング素子としてTFTが設けられたTFT基板と、TFT基板に対向する対向基板と、TFT基板と対向基板との間に充填された液晶層と、液晶層の液晶分子の初期配向角度を制御するための配向膜とを備えている。また、TFT基板は、画素毎に形成された画素電極と、画素電極に対向する共通電極とを有する。
【0005】
このような構成の液晶表示パネルでは、各画素においてTFTがオンすることで画素電極に液晶層の液晶を駆動するための電圧が印加され、共通電極には一定の固定電圧が印加される。具体的には、画素電極には映像信号に応じた電圧が印加され、共通電極には一定の固定電圧として共通電極電圧(Vcom)が印加される。
【0006】
このように液晶表示パネルを駆動すると、フリッカと呼ばれる画面のちらつきが生じることがある。そこで、従来より、液晶表示パネルについては、工場からの出荷時において、フリッカを最小にするように共通電極電圧を調整し、個々の液晶表示パネルに対して最適な共通電極電圧を設定している(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、フリッカが最小となるように最適な共通電極電圧を設定したつもりでも、実際には、その設定した共通電極電圧が最適な共通電極電圧になっておらず、時間経過でフリッカが最小となる共通電極電圧がシフトする場合があることが分かった。
【0009】
この原因について本願発明者らが鋭意検討した結果、液晶表示パネルの製造工程中に発生した静電気等によって配向膜に電荷が溜まり、この配向膜に溜まった電荷によって、フリッカを最小にするために設定した共通電極電圧(設定Vcom)が本来の最適な共通電極電圧(最適Vcom)からずれることが分かった。具体的には、配向膜に電荷が溜まった状態で共通電極電圧の設定を行うと、
図11に示すように、この設定した共通電極電圧(設定Vcom)は、配向膜に電荷が無い状態で共通電極電圧を設定したときの本来の最適な共通電極電圧(最適Vcom)とは異なる値になってしまう。
【0010】
このように、設定Vcomと最適Vcomとが異なってしまうと、液晶表示パネルを駆動させたときに、フリッカが最小となる共通電極電圧がシフトする。具体的には、
図12に示すように、現在の状態のフリッカが最小となる共通電極電圧は、設定Vcomと最適Vcomとの間の値となり、電源オフ時には最適Vcomに向かって徐々にシフトし、電源オン時には設定Vcomに向かって徐々にシフトしていく。例えば、現在の状態のフリッカが最小となる共通電極電圧は、電源をオンからオフにすると、1週間ほどかけて最適Vcomにシフトしていき、電源をオフからオンにすると、1時間程度で設定Vcomにシフトしていく。
【0011】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであり、フリッカが最小となる共通電極電圧がシフトすることを抑制できる液晶表示パネルの共通電極電圧の設定方法及び液晶モジュール等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示に係る液晶表示パネルの共通電極電圧の設定方法の一態様は、液晶モジュールにおける液晶表示パネルの共通電極電圧の設定方法であって、前記液晶モジュールは、配向膜を有する前記液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルの背面側に配置されたバックライトとを備え、前記共通電極電圧の設定方法は、前記液晶表示パネルを駆動させないで前記バックライトを点灯させることで前記液晶表示パネルに前記バックライトの光を照射して前記配向膜の電荷を除電する除電工程と、前記除電工程の後に、前記共通電極電圧を調整することで前記液晶表示パネルの前記共通電極電圧を設定する電圧設定工程とを含む。
【0013】
また、本開示に係る液晶モジュールの一態様は、配向膜を有する第1の液晶表示パネルと、前記第1の液晶表示パネルの背面側に配置され、配向膜を有する第2の液晶表示パネルと、前記第2の液晶表示パネルの背面側に配置されたバックライトと、前記第1の液晶表示パネル及び前記第2の液晶表示パネルのうち前記第2の液晶表示パネルのみを駆動することができる駆動回路とを備え、前記駆動回路は、前記第1の液晶表示パネルに前記バックライトの光を照射して前記第1の液晶表示パネルの前記配向膜の電荷を除電する際に、前記第2の液晶表示パネルが白表示となるように前記第2の液晶表示パネルを駆動する。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、フリッカが最小となる共通電極電圧がシフトすることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施の形態1に係る液晶表示装置の概略構成を示す図である。
【
図2】実施の形態1に係る液晶表示装置に用いられる液晶表示パネルの部分断面図である。
【
図3】実施の形態1に係る液晶表示パネルの共通電極電圧の設定方法を説明するための図である。
【
図4】配向膜に光が照射されたときに配向膜の電荷が除電される原理を説明するための図である。
【
図5】実施の形態2に係る液晶表示装置の概略構成を示す図である。
【
図6】実施の形態2に係る液晶表示装置における液晶モジュールの断面図である。
【
図7】1枚の液晶表示パネルを有する液晶表示装置における設定Vcom及び最適Vcomの差と残像強度との関係を示す図である。
【
図8】2枚の液晶表示パネルを有する液晶表示装置における設定Vcom及び最適Vcomの差と残像強度との関係を示す図である。
【
図9】実施の形態2に係る液晶モジュールにおける第1の液晶表示パネル及び第2の液晶表示パネルの各々の共通電極電圧の設定方法において、配向膜の電荷を除電する除電工程を説明するための図である。
【
図10】実施の形態2の変形例に係る液晶モジュールにおける第1の液晶表示パネル及び第2の液晶表示パネルの各々の共通電極電圧の設定方法において、配向膜の電荷を除電する除電工程を説明するための図である。
【
図11】配向膜に電荷が存在する場合と存在しない場合とにおける共通電極電圧とフリッカとの関係を示す図である。
【
図12】配向膜に溜まった電荷によりフリッカが最小となる共通電極電圧がシフトすることを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、並びに、ステップ及びステップの順序等は、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0017】
各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、各図において縮尺等は必ずしも一致していない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0018】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1に係る液晶表示装置100の構成について、
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は、実施の形態1に係る液晶表示装置100の概略構成を示す図である。
図2は、同液晶表示装置100に用いられる液晶表示パネル1の部分断面図である。
【0019】
液晶表示装置100は、画像を表示する画像表示装置であって、
図1に示すように、液晶表示パネル1と、バックライト2と、画像処理部3とを備える。液晶表示パネル1とバックライト2とは、液晶モジュール101として一体となって、液晶表示装置100に組み込まれている。
【0020】
液晶表示パネル1は、バックライト2の光出射側に配置される。したがって、液晶表示パネル1には、バックライト2から出射する光が入射する。液晶表示パネル1は、バックライト2からの光が入射することで、静止画像又は動画像の画像(映像)を表示する。具体的には、液晶表示パネル1は、カラー画像又はモノクロ画像を表示する。本実施の形態において、液晶表示パネル1は、カラー画像を表示する。
【0021】
なお、液晶表示パネル1の駆動方式は、例えばIPS(In Plane Switching)方式又はFFS(Fringe Field Switching)方式等の横電界方式であるが、VA(Vertical Alignment)方式又はTN(Twisted Nematic)方式等であってもよい。また、横電界方式である液晶表示パネル1は、例えば、ノーマリーブラック方式により電圧制御が行われるが、液晶表示パネル1の電圧制御の方式は、ノーマリーブラック方式に限るものではない。
【0022】
液晶表示パネル1の画像表示領域1aは、画像が表示される表示領域(有効領域)であり、例えば、マトリクス状に配列された複数の画素によって構成されている。画像表示領域1aは、例えば矩形状の領域である。また、本実施の形態では、液晶表示パネル1はカラー画像を表示するので、画像表示領域1aにおける複数の画素は、赤色用画素、緑色用画素及び青色用画素を含む。なお、表示画面は、画像が表示されない無効領域として、画像表示領域1aを囲む矩形枠状の額縁領域(周辺領域)を有する。
【0023】
液晶表示パネル1には、入力映像信号に応じたカラー画像を画像表示領域1aに表示するために、ゲートドライバ4及びソースドライバ5が設けられている。
【0024】
具体的には、液晶表示パネル1の液晶セルには、ゲートドライバ4が実装されたゲート配線基板6と、ソースドライバ5が実装されたソース配線基板7とが接続されている。ゲート配線基板6及びソース配線基板7は、例えばフレキシブル配線基板(FPC;Flexible Printed Circuits)である。なお、ソース配線基板7の液晶表示パネル1側とは反対側の部分には、複数の電子部品が実装された回路基板8が接続されている。
【0025】
ゲートドライバ4は、液晶表示パネル1に形成された複数のゲート線に接続されている。ゲートドライバ4は、画像処理部3から入力されるタイミング信号に応じてゲート線を選択し、選択したゲート線にTFTをオンする電圧を印加する。
【0026】
ソースドライバ5は、液晶表示パネル1に形成された複数のソース線に接続されている。ソースドライバ5は、ゲートドライバ4によるゲート線の選択に合わせて、選択されたゲート線に接続されたTFTに、各画素の階調値を表す映像信号に応じた電圧を印加する。これにより、選択されたゲート線に対応する画素に映像信号が書き込まれる。
【0027】
なお、画像処理部3は、外部のシステム(図示せず)から送信された入力映像信号Dataを受信し、色調整等の各種の画像信号処理を行った後、各画素の階調値を示す映像信号を生成して当該映像信号をソースドライバ5に出力するとともに、当該映像信号に対応したタイミング信号をゲートドライバ4に出力する。
【0028】
図2に示すように、液晶表示パネル1は、第1の基板10と、第1の基板10に対向する第2の基板20と、第1の基板10と第2の基板20との間に充填された液晶層30とを備える。液晶層30を挟む第1の基板10及び第2の基板20は、液晶セルを構成している。
【0029】
一例として、第1の基板10がバックライト2側である後面側に配置され、第2の基板20が前面側に配置される。なお、第2の基板20が後面側に配置され、第1の基板10が前面側に配置されていてもよい。
【0030】
第1の基板10は、複数のTFTが形成されたTFT基板である。具体的には、第1の基板10は、第1の透明基板11と、配線層12と、共通電極13と、絶縁層14と、画素電極15と、配向膜16とを有する。
【0031】
第1の透明基板11は、例えばガラス基板又は透明樹脂基板等の透明基材である。本実施の形態において、第1の透明基板11は、ガラス基板である。
【0032】
配線層12は、第1の透明基板11に形成される。具体的には、配線層12は、第1の透明基板11の液晶層30側の主面に形成されている。配線層12は、複数の画素の各々に配置されたTFTと、TFTを駆動するための各種配線とを有する。配線層12には、例えば、配線として、複数のゲート線と、複数のゲート線に直交する複数のソース線とが形成されている。配線層12は、金属材料からなる配線が形成された複数のメタル層と、複数のメタル層の間に形成された複数の層間絶縁層とを有する。なお、配線層12の最上層は、層間絶縁層の一つとして平坦化膜が形成されている。
【0033】
共通電極13は、配線層12の最上層の平坦化膜の上に形成されている。共通電極13は、全画素に共通する電極である。具体的には、共通電極13は、全画素にわたって形成された1つのべた電極である。また、共通電極13は、画素電極15に対向する対向電極である。本実施の形態において、共通電極13は、絶縁層14を介して画素電極15に対向している。共通電極は、例えばITO(Indium Tin Oxide)からなる透明電極である。
【0034】
絶縁層14は、共通電極13の上に形成されている。具体的には、絶縁層14は、共通電極13を覆うように形成されている。絶縁層14は、無機材料によって構成されていてもよいし、有機材料によって構成されていてもよい。
【0035】
画素電極15は、絶縁層14の上に形成されている。画素電極15は、各画素ごとに形成されている。画素電極15は、例えばITOからなる透明電極である。
【0036】
画素電極15と共通電極13とは、液晶層30に電圧を印加するための電極である。具体的には、画素電極15には映像信号に応じた電圧(データ電圧)が印加され、共通電極には一定の固定電圧として共通電極電圧(Vcom)が印加される。
【0037】
配向膜16は、画素電極15の上に形成されている。具体的には、配向膜16は、全ての画素電極15を覆うように全画素にわたって形成されている。配向膜16は、液晶層30に接しており、液晶層30の液晶分子の初期配向角度を制御する。本実施の形態では、液晶分子の初期配向角度を一定方向に揃えるために、配向膜16にはラビング処理が施されている。配向膜16は、例えば透明樹脂材料によって構成されている。本実施の形態において、配向膜16は、ポリイミド樹脂によって構成されている。なお、配向膜16は、光配向法により形成されていてもよい。
【0038】
第2の基板20は、第1の基板10に対向して配置された対向基板である。本実施の形態では、液晶表示パネル1はカラー画像を表示するので、第2の基板20は、カラーフィルタが形成されたカラーフィルタ基板(CF基板)である。具体的には、第2の基板20は、
図2に示すように、第2の透明基板21と、第2の透明基板21に形成されたカラーフィルタ層22とを有する。カラーフィルタ層22は、第2の透明基板21の液晶層30側の主面に形成されている。
【0039】
第2の透明基板21は、例えば、ガラス基板又は透明樹脂基板等の透明基材である。本実施の形態において、第2の透明基板21は、第1の透明基板11と同様に、ガラス基板である。
【0040】
カラーフィルタ層22は、カラーフィルタ及びブラックマトリクスを有する。ブラックマトリクスは、画素間に形成された黒色層の遮光層であり、例えばカーボンブラックによって構成されている。カラーフィルタは、複数の画素毎に形成されている。具体的には、カラーフィルタとして、赤色画素、緑色画素及び青色画素の各々に対応して、赤色カラーフィルタ、青色カラーフィルタ及び緑色カラーフィルタが形成される。各カラーフィルタは、ブラックマトリクスの間の領域(つまりブラックマトリクスの開口部)に形成されている。
【0041】
液晶層30は、第1の基板10と第2の基板20との間に封止されている。具体的には、液晶層30は、第1の基板10と第2の基板20との間に形成された封止部材によって封止されている。液晶層30を封止する封止部材は、第1の基板10及び第2の基板20の周縁に沿って額縁状に形成されている。
【0042】
液晶層30を構成する液晶の材料は、液晶表示パネル1の駆動方式に応じて適宜選択することができる。液晶層30の厚さは、第1の基板10と第2の基板20との間隔(セルギャップ)である。液晶層30の厚さは、例えば、2μm~6μmであるが、これに限るものではない。
【0043】
なお、図示しないが、液晶表示パネル1は、一対の偏光板を有する。一対の偏光板は、液晶層30を挟む第1の基板10及び第2の基板20からなる液晶セルを挟むように設けられている。一対の偏光板の一方は、第1の基板10に設けられており、一対の偏光板の他方は、第2の基板20に設けられている。具体的には、一対の偏光板の一方は、第1の透明基板11の外表面に貼り付けられており、一対の偏光板の他方は、第2の透明基板21の外表面に貼り付けられている。一対の偏光板は、偏光方向が互いに直交するように配置されている。なお、一対の偏光板には、位相差板が貼り合わされていてもよい。
【0044】
このように構成される液晶表示パネル1の後ろ側には、バックライト2が配置されている。具体的には、バックライト2は、液晶表示パネル1と対向するようにして液晶表示パネル1の背面側に配置されている。バックライト2は、液晶表示パネル1に向けて光を照射する。具体的には、バックライト2は、照明光として白色光を照射する。
【0045】
本実施の形態において、バックライト2は、LED(Light Emitting Diode)を光源とするLEDバックライトである。具体的には、バックライト2は、二次元状に配列されたLED素子を有する直下型のLEDバックライトである。なお、バックライト2は、直下型ではなく、エッジ型であってもよい。また、バックライト2は、LEDではなく、冷陰極管等によって構成されていてもよい。
【0046】
例えば、LEDバックライトであるバックライト2は、ガラスエポキシ基板等の実装基板と、実装基板に配置された複数のLED素子とを有する。複数のLED素子は、実装基板に二次元状に配列されている。例えば、複数のLED素子は、液晶表示パネル1の画素の水平列(行方向)及び垂直列(列方向)に沿って所定のピッチでマトリクス状に配列されている。
【0047】
本実施の形態において、バックライト2は、液晶表示パネル1に平面状の均一な散乱光(拡散光)を照射する面発光ユニットとして構成されている。したがって、バックライト2は、複数のLED素子から出射した光の輝度を均一にするために、拡散シート、プリズムシート又は偏光シート等の光学シートを有する。なお、光学シートは、1つのシートに限るものではなく、プリズムシート、拡散シート及び偏光シートの中から選ばれる複数のシートによって構成されていてもよい。
【0048】
また、バックライト2は、例えばHDR(High Dynamic Range)用のローカルディミングに対応するLEDバックライトであってもよい。ローカルディミングは、液晶表示パネル1の画像表示領域1a全体を複数の表示領域に区画し、区画された各表示領域に表示される画像に応じてバックライト2の明るさを部分的に調整する技術である。具体的には、区画された各表示領域に対応するように、二次元状に配列されたLED素子を複数の発光領域に区画し、表示される画像に応じて各発光領域におけるLED素子の発光量を調整して輝度を変化させる。つまり、バックライト2における複数のLED素子は、液晶表示パネル1の各画素への映像信号の書き込みに同期して部分的に発光可能となっている。このように、バックライト2を用いてローカルディミング制御を行うことで、高コントラストかつ高画質のカラー画像を表示することができる液晶表示装置100を実現できる。
【0049】
次に、本開示の技術を得るに至った経緯を含めて、本実施の形態における液晶表示パネル1の共通電極電圧Vcomの設定方法について、
図2を参照しつつ、
図3及び
図4を用いて説明する。
図3は、実施の形態1に係る液晶表示パネル1の共通電極電圧の設定方法を説明するための図である。
図4は、配向膜16に光が照射されたときに配向膜の電荷が除電される原理を説明するための図である。
【0050】
図2に示すように、共通電極13と画素電極15との間には配向膜16が存在し、液晶表示パネル1の製造工程中に発生した静電気等によって配向膜16の容量C
PIに電荷が溜まる。このように配向膜16に電荷が蓄積された状態で、フリッカを最小にするために共通電極電圧を設定すると、上述のように、この設定した共通電極電圧(設定Vcom)が、配向膜16に蓄積された電荷によって本来の最適な共通電極電圧(最適Vcom)からずれてしまい、この結果、フリッカが最小となる共通電極電圧がシフトすることが分かった。また、このようなフリッカが最小となる共通電極電圧のシフトは、配向膜16の抵抗が低ければ低いほど速くなることも分かった。
【0051】
そこで、このような課題に対して、本発明者らが鋭意検討した結果、配向膜16に溜まった電荷を除電してから共通電極電圧の設定を行うことで、上記のような共通電極電圧のシフトを抑制できるのではないかという着想を得た。
【0052】
具体的には、本実施の形態に係る液晶表示パネル1における共通電極電圧の設定方法は、配向膜16の電荷を除電する除電工程と、除電工程の後に、共通電極電圧を調整することで液晶表示パネル1の共通電極電圧を設定する電圧設定工程とを含むものである。
【0053】
そして、配向膜16の電荷を除電する除電工程では、
図3に示すように、配向膜16を有する液晶表示パネル1とバックライト2とを備える液晶モジュール101において、液晶表示パネル1を駆動させないで(つまり液晶表示パネル1を非通電にして)バックライト2を点灯させることで液晶表示パネル1にバックライト2の光を照射して配向膜16の電荷を除電している。
【0054】
ここで、配向膜16に光が照射すると、一時的に配向膜16の電気抵抗が低下する。また、配向膜16の電気抵抗は、光量によって変化する。つまり、配向膜16に光が照射されている間、配向膜16の電気抵抗が大きく低下する。
【0055】
したがって、上記のように、液晶表示パネル1を駆動させないで液晶表示パネル1にバックライト2の光を照射することで、
図4に示すように、配向膜16の電気抵抗R
PIを効果的に低下させることができる。これにより、配向膜16の容量C
PIに溜まった電荷を短時間で取り除くことができる。また、液晶モジュール101に存在するバックライト2を用いて光を照射することで、別途光源を用いることなく配向膜16の電荷を除電することができる。つまり、既存の液晶モジュール101を用いることで、配向膜16の電荷を除去することができる。
【0056】
なお、液晶表示パネル1が黒表示となるように液晶表示パネル1を駆動して液晶表示パネル1にバックライト2の光を照射させた場合は、配向膜16に溜まった電荷を取り除くことはできない。
【0057】
そこで、本実施の形態では、液晶表示パネル1を駆動させないでバックライト2のみを点灯させて液晶表示パネル1にバックライト2の光を照射している。この場合、バックライト2は、全てのLED素子を発光させる全点灯にするとともに、液晶表示パネル1を駆動させるときの最大出力で点灯させている。また、本実施の形態において、液晶表示パネル1にバックライト2の光を照射する時間は、1時間とした。
【0058】
そして、液晶表示パネル1にバックライト2の光を照射して配向膜16の電荷を除電した後は、フリッカが最小となるように共通電極電圧を調整して液晶表示パネル1の共通電極電圧を設定する。
【0059】
このように、本実施の形態に係る液晶表示パネル1の共通電極電圧の設定方法では、配向膜16の電荷を除電した後に、液晶表示パネル1の共通電極電圧の設定を行っている。つまり、液晶表示パネル1の共通電極電圧の設定をする前に、配向膜16の電荷の除電を行っている。
【0060】
これにより、フリッカを最小にするために設定した共通電極電圧(設定Vcom)と本来の最適な共通電極電圧(最適Vcom)とを一致させることができる。したがって、上記のようなフリッカが最小となる共通電極電圧がシフトすることを抑制することができる。
【0061】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。上記実施の形態1では、液晶表示装置100及び液晶モジュール101は、1枚の液晶表示パネルを有していたが、実施の形態2では、液晶表示装置200及び液晶モジュール201は、複数の液晶表示パネルを有している。
【0062】
以下、本実施の形態に係る液晶表示装置200及び液晶モジュール201の具体的な構成について、
図5及び
図6を用いて説明する。
図5は、実施の形態2に係る液晶表示装置200の概略構成を示す図である。
図6は、実施の形態2に係る液晶表示装置200における液晶モジュール201の断面図である。
【0063】
本実施の形態に係る液晶表示装置200は、上記実施の形態に係る液晶表示装置100と同様に、カラー画像を表示する。
図5に示すように、本実施の形態に係る液晶表示装置200は、複数の液晶表示パネルとして、観察者に近い位置(前側)に配置された第1の液晶表示パネル1Aと、第1の液晶表示パネル1Aの背面側に配置された第2の液晶表示パネル1Bとの2つの液晶表示パネルを備える。第2の液晶表示パネル1Bは、第1の液晶表示パネル1Aとバックライト2との間に配置されている。つまり、バックライト2は、第2の液晶表示パネル1Bの背面側に配置されている。このように、第1の液晶表示パネル1Aと第2の液晶表示パネル1Bとは、バックライト2の前面側において、重ね合わせて配置される。
【0064】
第1の液晶表示パネル1Aは、メインパネルであって、カラー画像を表示する。第2の液晶表示パネル1Bは、第1の液晶表示パネル1Aの背面側に配置されるサブパネルであって、第1の液晶表示パネル1Aに表示されるカラー画像に対応した画像のモノクロ画像(白黒画像)を、そのカラー画像に同期させて表示する。
【0065】
第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bは、基本的には、上記実施の形態1における液晶表示パネル1と同じ構成である。
【0066】
したがって、第1の液晶表示パネル1Aには、入力映像信号に応じたカラー画像を画像表示領域1aに表示するために、第1ゲートドライバ4A及び第1ソースドライバ5Aが設けられている。具体的には、第1の液晶表示パネル1Aには、第1ゲートドライバ4Aが実装された第1ゲート配線基板6Aと、第1ソースドライバ5Aが実装された第1ソース配線基板7Aとが接続されている。なお、第1ソース配線基板7Aには、第1回路基板8Aが接続されている。第1の液晶表示パネル1Aの画像表示領域1aにカラー画像を表示する場合、第1タイミングコントローラ9Aから出力される各種信号が第1ゲートドライバ4A及び第1ソースドライバ5Aに入力される。
【0067】
同様に、第2の液晶表示パネル1Bには、入力映像信号に応じたモノクロ画像を画像表示領域1aに表示するために、第2ゲートドライバ4B及び第2ソースドライバ5Bが設けられている。具体的には、第2の液晶表示パネル1Bには、第2ゲートドライバ4Bが実装された第2ゲート配線基板6Bと、第2ソースドライバ5Bが実装された第2ソース配線基板7Bとが接続されている。なお、第2ソース配線基板7Bには、第2回路基板8Bが接続されている。第2の液晶表示パネル1Bの画像表示領域1aにモノクロ画像を表示する場合、第2タイミングコントローラ9Bから出力される各種信号が第2ゲートドライバ4B及び第2ソースドライバ5Bに入力される。
【0068】
なお、第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの駆動方式は、上記実施の形態1に係る液晶表示パネル1と同様に、IPS方式又はFFS方式等の横電界方式であるが、これに限るものではなく、VA方式又はTN方式等であってもよい。また、横電界方式である第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bは、例えば、ノーマリーブラック方式により電圧制御が行われるが、ノーマリーブラック方式に限るものではない。
【0069】
本実施の形態における液晶表示装置200は、第1タイミングコントローラ9A及び第2タイミングコントローラ9Bを備える。画像処理部3は、第1タイミングコントローラ9A及び第2タイミングコントローラ9Bに画像データを出力する。
【0070】
本実施の形態において、画像処理部3は、外部のシステムから送信された入力映像信号Dataを受信し、色調整等の各種の画像信号処理を行った後、第1タイミングコントローラ9Aに第1画像データDAT1を出力し、第2タイミングコントローラ9Bに第2画像データDAT2を出力する。また、画像処理部3は、第1タイミングコントローラ9A及び第2タイミングコントローラ9Bに同期信号等の制御信号を出力する。第1画像データDAT1は、カラー表示用の画像データであり、第2画像データDAT2は、モノクロ表示用の画像データである。
【0071】
このように、本実施の形態に係る液晶表示装置200では、第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの2つの液晶表示パネルを重ね合わせて画像を表示しているので、黒を引き締めることができる。これにより、高コントラスト比の画像を表示することができる。
【0072】
また、本実施の形態における液晶表示装置200は、第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bのうち第2の液晶表示パネル1Bのみを駆動することができる専用駆動回路210を備える。専用駆動回路210は、液晶モジュール201に組み込まれていてもよい。
【0073】
図6に示すように、第1の液晶表示パネル1Aと第2の液晶表示パネル1Bとバックライト2とは、液晶モジュール201として一体となって、液晶表示装置200に組み込まれている。なお、本実施の形態におけるバックライト2は、上記実施の形態1と同じものである。
【0074】
第1の液晶表示パネル1Aは、上記実施の形態1における液晶表示パネル1と同じ構成である。具体的には、第1の液晶表示パネルは、TFT基板である第1の基板10と、第1の基板10に対向する第2の基板20と、第1の基板10と第2の基板20との間に充填された液晶層30とを備える。なお、本実施の形態において、第1の液晶表示パネル1Aは、第2の基板20が第1の基板10よりも前方に位置するように配置されているが、TFT基板である第1の基板10が第2の基板20よりも前方に位置するように配置されていてもよい。
【0075】
第2の液晶表示パネル1Bは、上記実施の形態1における液晶表示パネル1と基本的には同じ構成であるが、第2の液晶表示パネル1Bは、モノクロ画像を表示するので、第2の液晶表示パネル1Bの第2の基板20Bに、カラーフィルタ及びブラックマトリクスからなるカラーフィルタ層22を有しておらず、カラーフィルタ層22に代えて、カラーフィルタ及びブラックマトリクスのうちカラーフィルタを有さないブラックマトリクス層を有する構成になっている。
【0076】
なお、本実施の形態において、第2の液晶表示パネル1Bは、TFT基板である第1の基板10が第2の基板20Bよりも前方に位置するように配置されているが、第2の基板20Bが第1の基板10よりも前方に位置するように配置されていてもよい。
【0077】
第1の液晶表示パネル1Aと第2の液晶表示パネル1Bとは、接合部材220によって貼り合わされている。接合部材220は、例えば、両面テープ等の接合テープである。
【0078】
接合部材220で貼り合わされた第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bとバックライト2とは、フレーム230によって保持されている。フレーム230は、第1フレーム231と、第2フレーム232と、第3フレーム233とを有する。第1フレーム231と第2フレーム232と第3フレーム233とは、例えばネジ等によって互いに固定されている。
【0079】
第1フレーム231は、前面側に位置するフロントフレームであり、第1の液晶表示パネル1Aの周辺部を覆うベゼル部と、ベゼル部から第3フレーム233側に延在する側壁部とを有する。第2フレーム232は、第1フレーム231と第3フレーム233との間に配置されたミドルフレームであり、第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bをバックライト2側から支持している。第3フレーム233は、後方側に位置するリアフレームであり、バックライト2を保持している。バックライト2は、第3フレーム233に配置されている。具体的には、第3フレーム233の底部には、バックライト2として複数のLED素子が実装された実装基板が載置されて固定されている。
【0080】
次に、第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの各々の共通電極電圧Vcomの設定方法について、本開示の技術を得るに至った経緯を含めて説明する。
【0081】
上述のように、液晶表示パネルの製造工程中に発生した静電気によって配向膜に電荷が溜まると、フリッカを最小にするために設定した共通電極電圧(設定Vcom)が本来の最適な共通電極電圧(最適Vcom)からずれてしまい、フリッカが最小となる共通電極電圧がシフトする。
【0082】
しかも、本実施の形態における液晶モジュール201では、カラー画像を表示する第1の液晶表示パネル1Aに加えてモノクロ画像を表示する第2の液晶表示パネル1Bを有しているので、モノクロ画像を表示する第2の液晶表示パネル1Bによって、バックライト2の光は、第1の液晶表示パネル1Aの画像表示領域1aに部分的に照射されることになる。この結果、本実施の形態のように2枚の液晶表示パネルを有する液晶表示装置は、1枚の液晶表示パネルを有する液晶表示装置と比べて、フリッカが最小となる共通電極電圧が部分的にシフトすることによって液晶表示装置に表示される画像の残像が大幅に悪化することも分かった。
【0083】
この点について、
図7及び
図8を用いて説明する。
図7は、実施の形態1のように1枚の液晶表示パネルを有する液晶表示装置(以下、「1枚パネル」と記載する)における設定Vcom及び最適Vcomの差と残像強度との関係を示しており、
図8は、本実施の形態のように2枚の液晶表示パネルを有する液晶表示装置(以下、「2枚パネル」と記載する)における設定Vcom及び最適Vcomの差と残像強度との関係を示している。なお、
図7及び
図8において、横軸は、フリッカを最小にするために設定した共通電極電圧(設定Vcom)とフリッカを最小にするための本来の最適な共通電極電圧(最適Vcom)との差(設定Vcom-最適Vcom)を示しており、縦軸は、相対的な残像強度を示している。
【0084】
まず、1枚パネルについては、白表示部分も黒表示部分もバックライトの光はどちらも同じ光量で照射されるので、フリッカが最小となる共通電極電圧がシフトするスピードは、白表示部分と黒表示部分とで同じである。この結果、
図7に示すように、1枚パネルについては、残像は、あまり悪化しない。
【0085】
一方、2枚パネルについては、白表示部分では、フリッカが最小となる共通電極電圧のシフトのスピードが速く、黒表示部分では、フリッカが最小となる共通電極電圧のシフトのスピードが遅い。このため、2枚パネルについては、白表示部分と黒表示部分とで、フリッカが最小となる共通電極電圧がシフトするスピードが異なるので、白表示部分と黒表示部分とで、フリッカが最小となる共通電極電圧がずれてしまう。この結果、白表示部分と黒表示部分のフリッカレベルが異なる状態となり、
図8に示すように、2枚パネルについては、1枚パネルと比べて、残像が大幅に悪化する。
【0086】
このように、2枚の液晶表示パネルを有する液晶表示装置(2枚パネル)では、1枚の液晶表示パネルを有する液晶表示装置(1枚パネル)と比べて、フリッカが最小となる共通電極電圧のシフトが残像に与える影響が非常に大きい。
【0087】
つまり、本実施の形態に係る液晶表示装置200のように、2枚の液晶表示パネルを用いる場合には、1枚の液晶表示パネルを用いる場合と比べて、配向膜16に溜まった電荷によって生じるフリッカが最小となる共通電極電圧のシフトに対する対策が、より重要なものとなる。
【0088】
そこで、本実施の形態でも、上記実施の形態1と同様に、フリッカが最小となる共通電極電圧のシフトを抑制するために、液晶表示パネル1の共通電極電圧の設定をする前に配向膜16の電荷を除電することが考えられるが、本実施の形態では、バックライト2と第1の液晶表示パネル1Aとの間に第2の液晶表示パネル1Bがあるため、第1の液晶表示パネル1Aについては、上記実施の形態1のような方法では配向膜16の電荷を除電することができない。
【0089】
そこで、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、第1の液晶表示パネル1Aと第2の液晶表示パネル1Bとの2枚の液晶表示パネルを有する液晶モジュール201であっても、第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの各々の配向膜16の電荷を適切に除電することができる手法を見出した。
【0090】
具体的には、本実施の形態では、第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bのうち第2の液晶表示パネル1Bのみを駆動することができる専用駆動回路210を用いて、第1の液晶表示パネル1Aの配向膜16の電荷を除電している。
【0091】
以下、
図9を用いて、本実施の形態に係る液晶モジュール201における第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの各々の共通電極電圧の設定方法について説明する。
図9は、実施の形態2に係る液晶モジュール201における第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの各々の共通電極電圧の設定方法において、配向膜16の電荷を除電する除電工程を説明するための図である。
【0092】
本実施の形態において、第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの各々における共通電極電圧の設定方法は、上記実施の形態1と同様に、配向膜16の電荷を除電する除電工程と、除電工程の後に、共通電極電圧を調整することで第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの共通電極電圧を設定する電圧設定工程とを含むものである。
【0093】
そして、本実施の形態において、配向膜の電荷を除電する除電工程は、第1の液晶表示パネル1Aの配向膜16の電荷を除電する第1パネル除電工程と、第2の液晶表示パネル1Bの配向膜16の電荷を除電する第2パネル除電工程とを含む。
【0094】
本実施の形態では、
図9に示すように、配向膜16の電荷を除電する除電工程では、第2パネル除電工程(第1ステップ)の後に、第1パネル除電工程(第2ステップ)を行っている。
【0095】
具体的には、第2パネル除電工程(第1ステップ)では、第2の液晶表示パネル1Bを駆動させないで(つまり第2の液晶表示パネル1Bを非通電にして)バックライト2を点灯させることで第2の液晶表示パネル1Bにバックライト2の光を照射する。
【0096】
これにより、上記実施の形態1と同様の原理により、第2の液晶表示パネル1Bの配向膜16の電気抵抗を効果的に低下させることができるので、第2の液晶表示パネル1Bの配向膜16の電荷を除電することができる。具体的には、第2パネル除電工程では、第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bのうち第2の液晶表示パネル1Bのみの配向膜16の電荷を除電している。
【0097】
本実施の形態において、第2の液晶表示パネル1Bにバックライト2の光を照射する時間は、1時間とした。また、バックライト2は、全てのLED素子を発光させる全点灯にするとともに、液晶表示パネル1を駆動させるときの最大出力で点灯させた。
【0098】
なお、この第2パネル除電工程では、専用駆動回路210をOFF状態とし、専用駆動回路210は動作させない。また、この第2パネル除電工程では、第1の液晶表示パネル1Aも駆動させない状態にしておくとよい。つまり、第1の液晶表示パネル1Aを非通電にしておくとよい。
【0099】
次に、第1パネル除電工程(第2ステップ)では、第1の液晶表示パネル1Aを駆動させない状態で且つ第2の液晶表示パネル1Bを駆動させて第2の液晶表示パネル1Bを白表示にした状態でバックライト2を点灯させることで第1の液晶表示パネル1Aに第2の液晶表示パネル1Bを透過したバックライト2の光を照射する。
【0100】
このとき、専用駆動回路210をオン状態にして専用駆動回路210を動作させることで、第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bのうち第2の液晶表示パネル1Bのみを駆動させる。専用駆動回路210をこのように駆動させることで、駆動させない状態の第1の液晶表示パネル1Aに対して第2の液晶表示パネル1Bを透過したバックライト2の光を照射させることができる。
【0101】
これにより、上記実施の形態1と同様の原理により、第1の液晶表示パネル1Aの配向膜16の電気抵抗を効果的に低下させることができるので、第1の液晶表示パネル1Aの配向膜16の電荷を除電することができる。
【0102】
本実施の形態において、第1の液晶表示パネル1Aにバックライト2の光を照射する時間は、1時間とした。また、バックライト2は、第2パネル除電工程と同様に、全てのLED素子を発光させる全点灯にするとともに、第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bを駆動させるときの最大出力で点灯させた。なお、第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bに到達する光量により、第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bに光を照射する時間を適宜調整することができる。例えば、第1の液晶表示パネル1Aにバックライト2の光を照射する時間は、第2の液晶表示パネル1Bにバックライト2の光を照射する時間よりも、長くてもよい。
【0103】
このように、本実施の形態で用いられる専用駆動回路210は、第1の液晶表示パネル1Aにバックライト2の光を照射して第1の液晶表示パネル1Aの配向膜16の電荷を除電する際に(つまり第1パネル除電工程において)、第2の液晶表示パネル1Bが白表示となるように第2の液晶表示パネル1Bを駆動している。具体的には、専用駆動回路210は、第2の液晶表示パネル1Bの画像表示領域1aの全領域が白表示となるように第2の液晶表示パネル1Bを駆動している。つまり、第2の液晶表示パネル1Bの画像表示領域1aには、白画像が表示されている。
【0104】
そして、第1パネル除電工程及び第2パネル除電工程を含む除電工程を行った後は、電圧設定工程を行う。電圧設定工程では、第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの各々の共通電極電圧を調整することで第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの各々の共通電極電圧を設定する。具体的には、フリッカが最小となるように共通電極電圧を調整して第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの各々の共通電極電圧を設定する。
【0105】
このように、本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様に、第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの各々の配向膜16の電荷を除電した後に、第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの各々の共通電極電圧の設定を行っている。つまり、第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの各々の共通電極電圧の設定をする前に、第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの各々の配向膜16の電荷の除電を行っている。
【0106】
これにより、第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの各々において、フリッカを最小にするために設定した共通電極電圧(設定Vcom)と本来の最適な共通電極電圧(最適Vcom)とを一致させることができる。したがって、第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの各々において、フリッカが最小となる共通電極電圧がシフトすることを抑制することができる。
【0107】
しかも、上記のように、2枚の液晶表示パネルを有する液晶表示装置は、フリッカが最小となる共通電極電圧のシフトの影響を受けて残像が大幅に悪化するが、本実施の形態のように、第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの各々の配向膜16の電荷を除電してフリッカが最小となる共通電極電圧のシフトを抑制することで、第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの2枚の液晶表示パネルを有する液晶表示装置200であっても、液晶表示装置200に表示される画像の残像を効果的に抑制することができる。
【0108】
なお、本実施の形態では、第2の液晶表示パネル1Bの配向膜16の電荷を除電する第2パネル除電工程を第1ステップとし、第1の液晶表示パネル1Aの配向膜16の電荷を除電する第1パネル除電工程を第2ステップとして、第2パネル除電工程の後に、第1パネル除電工程を行ったが、これに限らない。具体的には、第1の液晶表示パネル1Aの配向膜16の電荷を除電する第1パネル除電工程を第1ステップとし、第2の液晶表示パネル1Bの配向膜16の電荷を除電する第2パネル除電工程を第2ステップとして、第1パネル除電工程の後に、第2パネル除電工程を行ってもよい。
【0109】
ただし、本実施の形態では、第1の液晶表示パネル1Aの配向膜16の電荷の除電を行う際、第2の液晶表示パネル1Bを透過させたバックライト2の光を第1の液晶表示パネル1Aに照射しているので、第2の液晶表示パネル1Bの配向膜16の電荷の除電を先に行って、その後に、第1の液晶表示パネル1Aの配向膜16の電荷の除電を行った方がよい。つまり、本実施の形態のように、第2パネル除電工程の後に、第1パネル除電工程を行った方がよい。
【0110】
なお、第2の液晶表示パネル1Bがノーマリーホワイト方式である場合、液晶モジュール201は、専用駆動回路210を用いなくても第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bにおける除電工程および電圧設定工程を行うことができる。また、この場合、第1の液晶表示パネル1Aの除電工程及び電圧設定工程は、第2の液晶表示パネル1Bの除電工程及び電圧設定工程と同時に行うことができる。
【0111】
(実施の形態2の変形例)
次に、実施の形態2の変形例について説明する。本変形例において、液晶表示装置200及び液晶モジュール201は、専用駆動回路210を有していないこと以外は、上記実施の形態2と同じ構成である。
【0112】
本変形例と上記実施の形態2とは、第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの2枚の液晶表示パネルを有する液晶モジュール201について、第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの各々の配向膜16の電荷の除電の方法が異なる。
【0113】
具体的には、上記実施の形態2では、第1の液晶表示パネル1Aの配向膜16の電荷の除電と第2の液晶表示パネル1Bの配向膜16の電荷の除電とを別々の工程で行っていたが、本変形例では、第1の液晶表示パネル1Aの配向膜16の電荷の除電と第2の液晶表示パネル1Bの配向膜16の電荷の除電とを同時に行っている。
【0114】
以下、
図10を用いて、本変形例に係る液晶モジュール201における第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの各々の共通電極電圧の設定方法について説明する。
図10は、実施の形態2の変形例に係る液晶モジュール201における第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの各々の共通電極電圧の設定方法において、配向膜16の電荷を除電する除電工程を説明するための図である。
【0115】
本変形例における第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの各々の共通電極電圧の設定方法は、上記実施の形態2と同様に、第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの各々の配向膜16の電荷を除電する除電工程と、除電工程の後に、共通電極電圧を調整することで第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの共通電極電圧を設定する電圧設定工程とを含む。
【0116】
そして、本変形例における除電工程では、第1の液晶表示パネル1Aに光を照射するための照明装置300を用いて、第1の液晶表示パネル1Aの配向膜16の電荷の除電と第2の液晶表示パネル1Bの配向膜16の電荷の除電とを同時に行っている。
【0117】
具体的には、本変形例における除電工程では、第1の液晶表示パネル1Aの前面側に照明装置300を別途配置して、第1の液晶表示パネル1Aを駆動させないで照明装置300を点灯させることで第1の液晶表示パネル1Aに照明装置300の光を照射して第1の液晶表示パネル1Aの配向膜16の電荷を除電するとともに、第2の液晶表示パネル1Bを駆動させないでバックライト2を点灯させることで第2の液晶表示パネル1Bにバックライト2の光を照射して第2の液晶表示パネル1Bの配向膜16の電荷を除電する。
【0118】
このように、本変形例における除電工程では、第1の液晶表示パネル1Aの前面側に照明装置300を別途配置して、第1の液晶表示パネル1Aには照明装置300の光を照射して、第2の液晶表示パネル1Bには液晶モジュール201のバックライト2を利用してバックライト2の光を照射する。これにより、第1の液晶表示パネル1Aと第2の液晶表示パネル1Bとに同時に光を照射して、第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの各々の配向膜16の電荷を同時に除去することができる。
【0119】
なお、照明装置300としては、バックライト2と同じ構成のものを用いるとよい。また、本実施の形態では、照明装置300とバックライト2とは、同じ出力で光を照射し、光の照射時間をいずれも1時間とした。この場合、照明装置300とバックライト2とで、光の照射開始時刻及び光の照射終了時刻を同じにしたが、異なっていてもよい。
【0120】
例えば、第1の液晶表示パネル1Aがカラー画像を表示し、第2の液晶表示パネル1Bがモノクロ画像を表示する場合、第1の液晶表示パネル1Aの光の透過率は、第2の液晶表示パネル1Bの光の透過率より小さくなる。このような場合、照明装置300の出力をバックライト2の出力よりも大きくしてもよい。また、第1の液晶表示パネル1Aへの光の照射時間を、第2の液晶表示パネル1Bへの光の照射時間よりも長くしてもよい。
【0121】
そして、第1パネル除電工程及び第2パネル除電工程を含む除電工程を行った後は、上記実施の形態2と同様にして電圧設定工程を行う。具体的には、電圧設定工程では、フリッカが最小となるように第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの各々の共通電極電圧を調整することで第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの各々の共通電極電圧を設定する。
【0122】
このように、本変形例においても、上記実施の形態2と同様に、第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの各々の配向膜16の電荷を除電した後に、第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの各々の共通電極電圧の設定を行っている。これにより、第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの各々において、フリッカを最小にするために設定した共通電極電圧(設定Vcom)と本来の最適な共通電極電圧(最適Vcom)とを一致させることができる。したがって、第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの各々において、フリッカが最小となる共通電極電圧がシフトすることを抑制することができる。
【0123】
しかも、本変形例でも、フリッカが最小となる共通電極電圧のシフトを抑制することで、液晶表示装置200に表示される画像の残像を効果的に抑制することができる。
【0124】
(変形例)
以上、本開示に係る液晶表示装置、液晶モジュール、液晶表示パネル及び液晶表示パネルの共通電極電圧の設定方法等について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0125】
例えば、本開示の液晶表示パネルの共通電極電圧の設定方法は、上記実施の形態2のように、残像を抑制できるため2枚の液晶表示パネルを有する液晶表示装置及び液晶モジュールに対して効果的であると説明したが、これに限らない。具体的には、残像を抑制するとの観点では、本開示の液晶表示パネルの共通電極電圧の設定方法は、ローカルディミング制御を行うことができる液晶表示装置及び液晶モジュールに対しても効果的である。つまり、ローカルディミング制御を行うことができる液晶表示装置では、2枚の液晶表示パネルを有する液晶表示装置と同様に、部分的に光が照射されるため、白表示部分と黒表示部分とでフリッカが最小となる共通電極電圧のシフトのスピードが異なることになる。このため、ローカルディミング制御を行うことができる液晶表示装置では、1枚の液晶表示パネルを有するものであっても、2枚の液晶表示パネルを有する液晶表示装置と同様に、残像が大幅に悪化する。したがって、上記実施の形態1、2で説明した本開示の液晶表示パネルの共通電極電圧の設定方法は、ローカルディミング制御を行うことができる液晶表示装置及び液晶モジュールに対しても効果的である。特に、2枚の液晶表示パネルを有し、且つ、ローカルディミング制御を行うことができる液晶表示装置に対して効果的である。
【0126】
また、上記実施の形態2及びその変形例では、第1の液晶表示パネル1Aがカラー画像を表示し、第2の液晶表示パネル1Bがモノクロ画像を表示するように構成されていたが、これに限らない。例えば、第1の液晶表示パネル1A及び第2の液晶表示パネル1Bの両方がモノクロ画像を表示してもよい。この場合、第1の液晶表示パネル1Aの第2の基板20も、第2の液晶表示パネル1Bと同様に、カラーフィルタ層22を有さない。
【0127】
その他に、上記の各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【符号の説明】
【0128】
1 液晶表示パネル
1A 第1の液晶表示パネル
1B 第2の液晶表示パネル
1a 画像表示領域
2 バックライト
3 画像処理部
4 ゲートドライバ
4A 第1ゲートドライバ
4B 第2ゲートドライバ
5 ソースドライバ
5A 第1ソースドライバ
5B 第2ソースドライバ
6 ゲート配線基板
6A 第1ゲート配線基板
6B 第2ゲート配線基板
7 ソース配線基板
7A 第1ソース配線基板
7B 第2ソース配線基板
8 回路基板
8A 第1回路基板
8B 第2回路基板
9A 第1タイミングコントローラ
9B 第2タイミングコントローラ
10 第1の基板
11 第1の透明基板
12 配線層
13 共通電極
14 絶縁層
15 画素電極
16 配向膜
20、20B 第2の基板
21 第2の透明基板
22 カラーフィルタ層
30 液晶層
100、200 液晶表示装置
101、201 液晶モジュール
210 専用駆動回路
220 接合部材
230 フレーム
231 第1フレーム
232 第2フレーム
233 第3フレーム
300 照明装置