(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-05
(45)【発行日】2023-04-13
(54)【発明の名称】眼の病状の治療方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/55 20060101AFI20230406BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20230406BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230406BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230406BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20230406BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20230406BHJP
A61K 9/72 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
A61K31/55
A61P27/02
A61P43/00 111
A61K9/08
A61K9/06
A61K9/10
A61K9/72
(21)【出願番号】P 2020193269
(22)【出願日】2020-11-20
(62)【分割の表示】P 2017539528の分割
【原出願日】2015-10-19
【審査請求日】2020-12-18
(32)【優先日】2014-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517139152
【氏名又は名称】オイスター ポイント ファーマ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】アッカーマン ダグラス マイケル ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ルーディン ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】マンデル ケネス ジェイ.
【審査官】大島 彰公
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-531168(JP,A)
【文献】特表2011-504490(JP,A)
【文献】特表2008-518992(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K、A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療上有効な量の化合物バレニクリンまたはその医薬的に許容可能な塩を含む、ドライアイを治療するための医薬であって、前記医薬がそれを必要とする個体における局所鼻腔投与用であり、それを必要とする個体がドライアイ疾患の徴候および症状を有する、前記医薬。
【請求項2】
治療上有効な量の化合物バレニクリンまたはその医薬的に許容可能な塩を含む、眼の
乾燥を治療するための医薬であって、
前記医薬がそれを必要とする個体における局所鼻腔投与用であり、
かつ、
前記眼の
乾燥がドライアイ疾患、眼瞼炎、マイボーム腺機能不全、アレルギー性結膜炎、眼表面への毒性及び刺激、涙液の排液に関する問題、または眼瞼の疾患と関連
する、前記医薬。
【請求項3】
前記それを必要とする個体が、かゆみ、乾燥、羞明、かすみ、痛み、ねばつき感、灼熱感、刺痛、及び異物感を含む1つまたは複数の症状を有する、請求項1または2に記載の医薬。
【請求項4】
前記それを必要とする個体が、バレニクリンの投与前に、少なくとも一方の眼における≦10mm/5分のシルマー涙液試験スコアを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項5】
前記シルマー涙液試験が、局所麻酔ありで行われる、請求項4に記載の医薬。
【請求項6】
保存剤を含まない、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項7】
0.5 mg/mLの前記バレニクリンまたはその医薬的に許容可能な塩を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項8】
1 mg/mLの前記バレニクリンまたはその医薬的に許容可能な塩を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項9】
2 mg/mLの前記バレニクリンまたはその医薬的に許容可能な塩を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項10】
5マイクログラム~1000マイクログラム、5マイクログラム~100マイクログラム、5マイクログラム~50マイクログラムまたは5マイクログラム~600マイクログラムの前記バレニクリンまたはその医薬的に許容可能な塩が、それを必要とする個体に投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項11】
前記バレニクリンまたはその医薬的に許容可能な塩が、少なくとも1日に1回または少なくとも1日に2回投与されるように使用されることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項12】
1日当たり、100マイクログラム~750マイクログラムの前記バレニクリンまたはその医薬的に許容可能な塩が、それを必要とする個体に投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項13】
少なくとも50マイクログラムの前記バレニクリンまたはその医薬的に許容可能な塩が、1日に2回、それを必要とする個体に投与されるように用いられることを特徴とする、請求項12に記載の医薬。
【請求項14】
5マイクログラム~100マイクログラムの前記バレニクリンまたはその医薬的に許容可能な塩が、1日に2回、それを必要とする個体に投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項15】
5マイクログラム~100マイクログラムの前記バレニクリンまたはその医薬的に許容可能な塩が、1日に2回、それを必要とする個体に各鼻腔において投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項16】
前記個体が、LASIK眼手術を受けたことがある、請求項1~15のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項17】
前記バレニクリンまたはその医薬的に許容可能な塩が、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過しない、請求項1~16のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項18】
前記バレニクリンまたはその医薬的に許容可能な塩が、任意の薬理学的に適切な濃度では、全身性に生体利用することが不可能な量で投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~17のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項19】
前記バレニクリンまたはその医薬的に許容可能な塩が、望ましくない精神活性および/または全身性の副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する、請求項1~18のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項20】
前記バレニクリンまたはその医薬的に許容可能な塩が、液体、懸濁液、エアロゾル、ゲル、軟膏
、クリーム、ペースト、ローション、バルムまたは鼻スプレーとして投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~19のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項21】
前記バレニクリンまたはその医薬的に許容可能な塩が、シリンジ、点滴器、ボトル噴霧器、噴霧ポンプ、吸入器、粉末噴霧機器、気化器、パッチ、薬用スティック、ピペットまたは液体噴出によって投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~20のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項22】
前記バレニクリンまたはその医薬的に許容可能な塩が、鼻スプレーボトルによって投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~20のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項23】
三叉神経または前篩骨神経が活性化される、請求項1~22のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項24】
鼻涙腺反射が活性化される、請求項1~23のいずれか一項に記載の医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2014年10月20日に出願の米国仮出願第62/066,280号、及び2015年1月7日に出願の米国仮出願第62/100,844号の利益を主張し、これは両方共、それらの全体が、参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ドライアイ疾患(「DED」)は、世界的に多数の人々が患う病状である。北米では、約4千万人が何らかの形態のドライアイを有しており、世界的にはさらに多く、無数の人々がこれに苦しんでいる。DEDは、眼の表面で自然に形成される涙液層が破壊されることで生じ、眼の不快感、視覚障害、及び眼に関連する生活の質の低下をもたらし得る。重度のDEDを有する場合、患者は角膜潰瘍などの重大な眼の健康障害の危険にさらされており、中等度の重症度のアンギナ(angina)に匹敵するほどの生活の質の低下を経験し得る。
【発明の概要】
【0003】
涙液産生の増加方法が本明細書で提供され、いくつかの実施形態では、当該方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、涙液産生の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過しない。いくつかの実施形態では、涙液産生の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、アルファ3ベータ4、アルファ4ベータ2、及びアルファ7から選択される少なくとも1つの末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプに対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、涙液産生の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、全身性に生体利用することが不可能な量で投与される。いくつかの実施形態では、涙液産生の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない精神活性副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、涙液産生の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない全身性の副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。
【0004】
涙液産生の増加方法が本明細書で提供され、いくつかの実施形態では、当該方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過しない。いくつかの実施形態では、涙液産生の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、アルファ3ベータ4、アルファ4ベータ2、及びアルファ7から選択される少なくとも1つの末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプに対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、涙液産生の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、全身性に生体利用することが不可能な量で投与される。いくつかの実施形態では、涙液産生の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない精神活性副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、涙液産生の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない全身性の副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。
【0005】
ドライアイの治療方法が本明細書でさらに提供され、いくつかの実施形態では、当該方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、ドライアイの治療方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過しない。いくつかの実施形態では、ドライアイの治療方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、アルファ3ベータ4、アルファ4ベータ2、及びアルファ7から選択される少なくとも1つの末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプに対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、ドライアイの治療方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、全身性に生体利用することが不可能な量で投与される。いくつかの実施形態では、ドライアイの治療方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない精神活性副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、ドライアイの治療方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない全身性の副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。
【0006】
ドライアイの治療方法が本明細書でさらに提供され、いくつかの実施形態では、当該方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過しない。いくつかの実施形態では、ドライアイの治療方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、アルファ3ベータ4、アルファ4ベータ2、及びアルファ7から選択される少なくとも1つの末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプに対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、ドライアイの治療方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、全身性に生体利用することが不可能な量で投与される。いくつかの実施形態では、ドライアイの治療方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない精神活性副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、ドライアイの治療方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない全身性の副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。
【0007】
眼の不快感の改善方法が本明細書でさらに提供され、いくつかの実施形態では、当該方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、眼の不快感の改善方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過しない。いくつかの実施形態では、眼の不快感の改善方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、アルファ3ベータ4、アルファ4ベータ2、及びアルファ7から選択される少なくとも1つの末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプに対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、眼の不快感の改善方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、全身性に生体利用することが不可能な量で投与される。いくつかの実施形態では、眼の不快感の改善方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない精神活性副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、眼の不快感の改善方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない全身性の副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。
【0008】
眼の不快感の改善方法が本明細書でさらに提供され、いくつかの実施形態では、当該方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過しない。いくつかの実施形態では、眼の不快感の改善方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、アルファ3ベータ4、アルファ4ベータ2、及びアルファ7から選択される少なくとも1つの末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプに対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、眼の不快感の改善方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、全身性に生体利用することが不可能な量で投与される。いくつかの実施形態では、眼の不快感の改善方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない精神活性副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、眼の不快感の改善方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない全身性の副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。
【0009】
眼表面の健康状態の改善方法が本明細書でさらに提供され、いくつかの実施形態では、当該方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過しない。いくつかの実施形態では、眼表面の健康状態の改善方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、アルファ3ベータ4、アルファ4ベータ2、及びアルファ7から選択される少なくとも1つの末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプに対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、眼表面の健康状態の改善方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、全身性に生体利用することが不可能な量で投与される。いくつかの実施形態では、眼表面の健康状態の改善方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない精神活性副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、眼表面の健康状態の改善方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない全身性の副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。
【0010】
環境的に厳しい状況下での眼表面の保護方法が本明細書でさらに提供され、いくつかの実施形態では、当該方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過しない。いくつかの実施形態では、環境的に厳しい状況下での眼表面の保護方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、アルファ3ベータ4、アルファ4ベータ2、及びアルファ7から選択される少なくとも1つの末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプに対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、環境的に厳しい状況下での眼表面の保護方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、全身性に生体利用することが不可能な量で投与される。いくつかの実施形態では、環境的に厳しい状況下での眼表面の保護方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない精神活性副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、環境的に厳しい状況下での眼表面の保護方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない全身性の副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。
【0011】
眼表面のムチン含量の増加方法が本明細書でさらに提供され、いくつかの実施形態では、当該方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過しない。いくつかの実施形態では、眼表面のムチン含量の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、アルファ3ベータ4、アルファ4ベータ2、及びアルファ7から選択される少なくとも1つの末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプに対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、眼表面のムチン含量の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、全身性に生体利用することが不可能な量で投与される。いくつかの実施形態では、眼表面のムチン含量の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない精神活性副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、眼表面のムチン含量の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない全身性の副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。
【0012】
眼表面の1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法が本明細書でさらに提供され、いくつかの実施形態では、当該方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過しない。いくつかの実施形態では、眼表面の1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、アルファ3ベータ4、アルファ4ベータ2、及びアルファ7から選択される少なくとも1つの末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプに対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、眼表面の1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、全身性に生体利用することが不可能な量で投与される。いくつかの実施形態では、眼表面の1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない精神活性副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、眼表面の1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない全身性の副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、涙液タンパク質は、上皮成長因子、ラクトフェリン、ラクリチン(lacritin)、プロラクチン、副腎皮質刺激物質(adrenocorticotropic)、ロイシンエンケファリン、ALS2CL、ARHGEF19、KIAA1109、PLXNA1、POLG、WIPI1、ZMIZ2、または涙液プロテオームの他のタンパク質である。
【0013】
涙液クリアランスの増進方法が本明細書でさらに提供され、いくつかの実施形態では、当該方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過しない。いくつかの実施形態では、涙液クリアランスの増進方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、アルファ3ベータ4、アルファ4ベータ2、及びアルファ7から選択される少なくとも1つの末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプに対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、涙液クリアランスの増進方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、全身性に生体利用することが不可能な量で投与される。いくつかの実施形態では、涙液クリアランスの増進方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない精神活性副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、涙液クリアランスの増進方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない全身性の副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。
【0014】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態を防止するか、または脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含む。前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態への移行を防止もしくは減少させるか、またはニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の物質は、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子、及びカルシニューリン阻害剤から選択される。いくつかの実施形態では、カルシニューリン阻害剤は、シクロスポリン、ピメクロリムス、及びタクロリムスから選択される。
【0015】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ニコチン、シチシン、エピバチジン、バレニクリン、テバニクリン(tebanicline)、DBO-83、CC4、ABT-418、ABT-366833、ABT-202、ABT-894、SIB-1663、GTS-21、PHA-543613、PNU-282987、LY-2087101、A85380、及び5-I-A85380から選択される。
【0016】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、WO2008/057938、WO2009/111550、WO2010/028011、またはWO2010/028033に開示の化合物から選択され、これらの文献はそれぞれ、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0017】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、少なくとも1マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、少なくとも5マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、少なくとも10マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも25マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも50マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも100マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも250マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも500マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。
【0018】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも1日に1回投与される。前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも1日に2回投与される。前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも2日間投与される。
【0019】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、必要に応じて投与される。前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、症状に対する必要性に応じて投与される。前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの投与のタイミングまたは頻度は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を防止するように設計または調整される。
【0020】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、液体、懸濁液、エアロゾル、ゲル、軟膏、乾燥粉末、クリーム、ペースト、ローション、またはバルムとして鼻腔に投与される。前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、シリンジ、点滴器、ボトル噴霧器、噴霧ポンプ、吸入器、粉末噴霧機器、気化器、パッチ、薬用スティック、ピペット、または液体噴出によって鼻腔に投与される。
【0021】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、三叉神経が活性化される。さらなる実施形態では、前篩骨神経が活性化される。
【0022】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、鼻涙腺反射(nasolacrimal reflex)が活性化される。
【0023】
個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤が本明細書でさらに提供され、いくつかの実施形態では、当該医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含む。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含む。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含む。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子、及びカルシニューリン阻害剤から選択される1つまたは複数の物質をさらに含む。いくつかの実施形態では、カルシニューリン阻害剤は、シクロスポリン、ピメクロリムス、及びタクロリムスから選択される。いくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ニコチン、シチシン、エピバチジン、バレニクリン、テバニクリン、DBO-83、CC4、ABT-418、ABT-366833、ABT-202、ABT-894、SIB-1663、GTS-21、PHA-543613、PNU-282987、LY-2087101、A85380、及び5-I-A85380から選択される。いくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、WO2008/057938、WO2009/111550、WO2010/028011、またはWO2010/028033に開示の化合物から選択される。いくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、アルファ3ベータ4、アルファ4ベータ2、及びアルファ7から選択される少なくとも1つの末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプに対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、約1mg/mLのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、約10mg/mLのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、用量当たり少なくとも1マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、用量当たり少なくとも5マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、用量当たり少なくとも10マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、用量当たり少なくとも25マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、用量当たり少なくとも50マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、用量当たり少なくとも100マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、用量当たり少なくとも250マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、用量当たり少なくとも500マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、用量当たり5マイクログラム~1グラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、少なくとも1日に1回投与される。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、少なくとも1日に2回投与される。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、少なくとも2日間投与される。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、液体、懸濁液、エアロゾル、ゲル、軟膏、乾燥粉末、クリーム、ペースト、ローション、またはバルムとして鼻腔に投与される。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、シリンジ、点滴器、ボトル噴霧器、噴霧ポンプ、吸入器、粉末噴霧機器、気化器、パッチ、薬用スティック、ピペット、または液体噴出によって鼻腔に投与される。
[本発明1001]
涙液産生の増加方法であって、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、前記アゴニストが、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する、前記増加方法。
[本発明1002]
ドライアイの治療方法であって、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、前記アゴニストが、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する、前記治療方法。
[本発明1003]
眼の不快感の改善方法であって、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、前記アゴニストが、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する、前記改善方法。
[本発明1004]
前記アゴニストが、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過しない、本発明1001~1003のいずれかの方法。
[本発明1005]
前記アゴニストが、アルファ3ベータ4、アルファ4ベータ2、及びアルファ7から選択される少なくとも1つの末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプに対して選択的に結合する、本発明1001~1004のいずれかの方法。
[本発明1006]
前記アゴニストが、全身性に生体利用することが不可能な量で投与される、本発明1001~1005のいずれかの方法。
[本発明1007]
前記アゴニストが、望ましくない精神活性副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する、本発明1001~1006のいずれかの方法。
[本発明1008]
前記アゴニストが、望ましくない全身性の副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する、本発明1001~1007のいずれかの方法。
[本発明1009]
ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態への移行を防止もしくは減少させるかまたはニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含む、本発明1001~1008のいずれかの方法。
[本発明1010]
前記1つまたは複数の物質が、
タンパク質キナーゼC(PKC)、またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子、
cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)、またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子、及び
カルシニューリン阻害剤
から選択される、本発明1009の方法。
[本発明1011]
前記カルシニューリン阻害剤が、シクロスポリン、ピメクロリムス、及びタクロリムスから選択される、本発明1010の方法。
[本発明1012]
前記ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが、シチシン、エピバチジン、バレニクリン、テバニクリン、DBO-83、CC4、ABT-418、ABT-366833、ABT-202、ABT-894、SIB-1663、GTS-21、PHA-543613、PNU-282987、LY-2087101、A85380、及び5-I-A85380から選択される、本発明1001~1011のいずれかの方法。
[本発明1013]
少なくとも5マイクログラムの前記ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される、本発明1001~1012のいずれかの方法。
[本発明1014]
少なくとも100マイクログラムの前記ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される、本発明1001~1012のいずれかの方法。
[本発明1015]
前記ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが、少なくとも1日に1回投与される、本発明1001~1014のいずれかの方法。
[本発明1016]
前記ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが、少なくとも1日に2回投与される、本発明1001~1014のいずれかの方法。
[本発明1017]
前記ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが、少なくとも1週間に1回投与される、本発明1001~1014のいずれかの方法。
[本発明1018]
前記ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが、液体、懸濁液、エアロゾル、ゲル、軟膏、乾燥粉末、クリーム、ペースト、ローション、またはバルムとして鼻腔に投与される、本発明1001~1017のいずれかの方法。
[本発明1019]
前記ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが、シリンジ、点滴器、ボトル噴霧器、噴霧ポンプ、吸入器、粉末噴霧機器、気化器、パッチ、薬用スティック、ピペット、または液体噴出によって鼻腔に投与される、本発明1001~1018のいずれかの方法。
[本発明1020]
三叉神経が活性化される、本発明1001~1019のいずれかの方法。
[本発明1021]
前篩骨神経が活性化される、本発明1020の方法。
[本発明1022]
鼻涙腺反射が活性化される、本発明1001~1021のいずれかの方法。
[本発明1023]
(a)鼻腔投与を目的とし、かつ(b)脱感作を防止するために、製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニスト
を含む、個体の鼻腔への局所投与のための医薬製剤。
[本発明1024]
前記ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で製剤化される、本発明1023の医薬製剤。
[本発明1025]
前記ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが、全身性に生体利用することが不可能な投与量で製剤化される、本発明1023または本発明1024の医薬製剤。
[本発明1026]
前記ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で製剤化される、本発明1023~1025のいずれかの医薬製剤。
[本発明1027]
タンパク質キナーゼC(PKC)、またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子、
cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)、またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子、及び
カルシニューリン阻害剤
から選択される1つまたは複数の物質をさらに含む、本発明1023~1026のいずれかの医薬製剤。
[本発明1028]
前記カルシニューリン阻害剤が、シクロスポリン、ピメクロリムス、及びタクロリムスから選択される、本発明1027の医薬製剤。
[本発明1029]
前記ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが、シチシン、エピバチジン、バレニクリン、テバニクリン、DBO-83、CC4、ABT-418、ABT-366833、ABT-202、ABT-894、SIB-1663、GTS-21、PHA-543613、PNU-282987、LY-2087101、A85380、及び5-I-A85380から選択される、本発明1023~1028のいずれかの医薬製剤。
[本発明1030]
前記ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが、アルファ3ベータ4、アルファ4ベータ2、及びアルファ7から選択される少なくとも1つの末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプに対して選択的に結合する、本発明1023~1029のいずれかの医薬製剤。
[本発明1031]
約1mg/mLの前記ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む、本発明1023~1030のいずれかの医薬製剤。
[本発明1032]
約10mg/mLの前記ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む、本発明1023~1030のいずれかの医薬製剤。
[本発明1033]
用量当たり少なくとも5マイクログラムの前記ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む、本発明1023~1030のいずれかの医薬製剤。
[本発明1034]
用量当たり少なくとも50マイクログラムの前記ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む、本発明1023~1030のいずれかの医薬製剤。
[本発明1035]
用量当たり少なくとも100マイクログラムの前記ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む、本発明1023~1030のいずれかの医薬製剤。
[本発明1036]
用量当たり少なくとも500マイクログラムの前記ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む、本発明1023~1030のいずれかの医薬製剤。
[本発明1037]
用量当たり5マイクログラム~1グラムの前記ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む、本発明1023~1030のいずれかの医薬製剤。
[本発明1038]
少なくとも1日に1回投与される、本発明1023~1037のいずれかの医薬製剤。
[本発明1039]
少なくとも1日に2回投与される、本発明1023~1037のいずれかの医薬製剤。
[本発明1040]
少なくとも1週間に1回投与される、本発明1023~1037のいずれかの医薬製剤。
[本発明1041]
液体、懸濁液、エアロゾル、ゲル、軟膏、乾燥粉末、クリーム、ペースト、ローション、またはバルムとして鼻腔に投与される、本発明1023~1040のいずれかの医薬製剤。
[本発明1042]
シリンジ、点滴器、ボトル噴霧器、噴霧ポンプ、吸入器、粉末噴霧機器、気化器、パッチ、薬用スティック、ピペット、または液体噴出によって鼻腔に投与される、本発明1023~1041のいずれかの医薬製剤。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】OC-01を投与した患者の涙液産生を、ベースライン及びプラセボと比較したものを示す。
【
図2】患者が報告したドライアイ症状を、OC-01を投与した患者とプラセボとで比較したものを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
発明の詳細な説明
DEDの病因に対する理解は、次第に進みつつある。DEDは、本来、進行性であり、基本的に、涙液による眼表面の被覆が不十分なことで生じる。このように涙液による被覆が不十分であることで、眼表面の健全なガス交換及び栄養素輸送が妨げられ、細胞の乾燥が進行し、視覚にとって不十分な屈折面が形成される。不十分な涙液被覆は、典型的には、1)涙腺からの涙液産生が不十分であること(例えば、閉経後のホルモン欠乏、自己免疫疾患、LASIK手術等に続発する)、及び/または2)マイボーム腺の機能障害に起因する涙液の過剰な蒸発、から生じる。涙液量が少ないと、高浸透圧性の環境が生じ、この高浸透圧性の環境により、眼表面の炎症状態が誘導される。この炎症性の反応は、表面細胞のアポトーシスを誘導し、これによって、眼表面に涙液層が適切に広がらず、その結果、任意の所与の涙液量の有効性が低下する。このことは、表面細胞の損傷等をさらに引き起こし、結果として炎症がさらに生じ得る悪循環を招いている。さらに、眼表面の感覚神経が損傷を受けるため、反射による涙液活性化を制御する神経制御ループが破壊される。結果として、涙液の分泌量が減少し、疾患のさらなる進行をもたらす第2の悪循環が生じる(涙液が減少してくると、神経細胞が減少し、これによって、涙液のさらなる減少等が生じる)。
【0026】
DEDの治療は幅広く存在するが、病状を治療する実質的な効力を与えるものは存在しない。治療の選択肢には、人工涙液による置換、軟膏、ゲル、温湿布、環境改良、外用としてのシクロスポリン、オメガ-3脂肪酸の補充、涙点プラグ、及び湿度を保つチャンバーゴーグル(moisture chamber goggle)が含まれる。重度の疾患を有する患者に対しては、涙点焼灼、コリン作動性アゴニストの全身性投与、抗炎症剤の全身性投与、粘液溶解剤、自己血清涙液、PROSE強膜コンタクトレンズ、及び瞼板縫合での治療がさらに実施され得る。こうした治療選択肢が存在するにもかかわらず、DEDは、眼科学において、最も治療が不十分な疾患の1つであるとされる状況が続いている。したがって、ドライアイのより有効な治療を開発することが望ましいであろう。
【0027】
ニコチン性アセチルコリン受容体は、中枢神経系(CNS)、末梢神経系(PNS)、及び骨格筋において見られるコリン受容体である。こうした受容体は、アセチルコリン及び他の分子を対象とする結合部位を有するリガンド開口型イオンチャネルである。ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが受容体に結合すると、受容体は、イオンチャネルの開口状態を安定化し、これによって、カリウムイオン、カルシウムイオン、及びナトリウムイオンなどの陽イオンの流入が可能となる。
【0028】
ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの全身性投与は、中枢神経系に作用するため、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症、注意欠陥多動障害(ADHD)、及びニコチン嗜癖などの複数の疾患の薬剤候補として関心を集めている。しかしながら、こうした中枢神経系の薬剤に対する全身性の曝露は、不安、鬱、及び易刺激性を含む、さまざまな望ましくない精神活性副作用と関連するものであった。
【0029】
眼の病状の治療方法及び/または眼表面の健康状態の改善方法が本明細書に記載され、当該方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して結合し、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過しない。いくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して結合し、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、全身性に生体利用することが不可能な量で投与される。いくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して結合し、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、望ましくない精神活性副作用をもたらさない量で投与される。いくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して結合し、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、望ましくない全身性の副作用をもたらさない量で投与される。
【0030】
刺激に対する長期曝露または反復曝露は、刺激に対するその受容体の応答性の減少をもたらすことが多く、これは、脱感作と呼ばれる。末梢のニコチン性アセチルコリン受容体が、アゴニストに対して長期的に曝露されると、その後、アゴニスト自体が、受容体に対してアゴニスト誘導性の立体構造変化を生じさせ、その結果として、受容体の脱感作が生じることが報告されている。
【0031】
眼の病状の治療方法及び/または眼表面の健康状態の改善方法が本明細書に記載され、当該方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、当該方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態を防止するか、または脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含む。眼の病状の治療方法及び/または眼表面の健康状態の改善方法も本明細書に記載され、当該方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、当該方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態への移行を防止もしくは減少させるか、またはニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態を防止するか、または脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質は、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子、及びカルシニューリン阻害剤から選択される。
【0032】
個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤が本明細書にさらに記載され、当該医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤も本明細書に記載され、当該医薬製剤は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態を防止するか、または脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質をさらに含む。個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤も本明細書に記載され、当該医薬製剤は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態への移行を防止もしくは減少させるか、またはニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質をさらに含む。個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤も本明細書に記載され、当該医薬製剤は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態を防止するか、または脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質をさらに含み、1つまたは複数の物質は、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子、及びカルシニューリン阻害剤から選択される。個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤も本明細書に記載され、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態への移行を防止もしくは減少させるか、またはニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質をさらに含み、1つまたは複数の物質は、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子、及びカルシニューリン阻害剤から選択される。
【0033】
涙液産生の増加
対象における涙液産生の増加方法が、いくつかの実施形態において、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、涙液産生の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過しない。いくつかの実施形態では、涙液産生の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、アルファ3ベータ4、アルファ4ベータ2、及びアルファ7から選択される少なくとも1つの末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプに対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、涙液産生の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプであるアルファ3ベータ4に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、涙液産生の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプであるアルファ4ベータ2に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、涙液産生の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプであるアルファ7に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、涙液産生の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、全身性に生体利用することが不可能な量で投与される。いくつかの実施形態では、涙液産生の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない精神活性副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、涙液産生の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない全身性の副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、涙液産生の増加方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態を防止するか、または脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、涙液産生の増加方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態への移行を防止もしくは減少させるか、またはニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、涙液産生の増加方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態を防止するか、または脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含み、1つまたは複数の物質は、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子、及びカルシニューリン阻害剤から選択される。いくつかの実施形態では、涙液産生の増加方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態への移行を防止もしくは減少させるか、またはニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含み、1つまたは複数の物質は、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子、及びカルシニューリン阻害剤から選択される。いくつかの実施形態では、涙液産生の増加方法は、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、涙液産生の増加方法は、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、涙液産生の増加方法は、カルシニューリン阻害剤の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、涙液産生の増加方法は、カルシニューリン阻害剤の局所投与をさらに含み、カルシニューリン阻害剤は、シクロスポリン、ピメクロリムス、及びタクロリムスから選択される。いくつかの実施形態では、涙液産生の増加方法は、シクロスポリンの局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、涙液産生の増加方法は、ピメクロリムスの局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、涙液産生の増加方法は、タクロリムスの局所投与をさらに含む。
【0035】
涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ニコチン、シチシン、エピバチジン、バレニクリン、テバニクリン、DBO-83、CC4、ABT-418、ABT-366833、ABT-202、ABT-894、SIB-1663、GTS-21、PHA-543613、PNU-282987、LY-2087101、A85380、及び5-I-A85380から選択される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ニコチンである。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、シチシンである。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、エピバチジンである。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、バレニクリンである。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、テバニクリンである。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、DBO-83である。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、CC4である。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-418である。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-366833である。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-202である。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-894である。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、SIB-1663である。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、GTS-21である。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、PHA-543613である。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、PNU-282987である。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、LY-2087101である。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、A85380である。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、5-I-A85380である。
【0036】
涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、WO2008/057938、WO2009/111550、WO2010/028011、またはWO2010/028033に開示の化合物から選択される。
【0037】
涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも1マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも5マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも10マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも25マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも50マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも100マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも250マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも500マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも750マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、1マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、5マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、5マイクログラム~100マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、5マイクログラム~50マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、10マイクログラム~50マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、25マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、50マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、100マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、100マイクログラム~750マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、150マイクログラム~750マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、150マイクログラム~600マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。
【0038】
涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、1日に1回投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも1日に1回投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、1日に2回投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも1日に2回投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、1日に3回投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも1日に3回投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、1日間投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも2日間投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも3日間投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも4日間投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも5日間投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも7日間投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも10日間投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも14日間投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも21日間投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも30日間投与される。
【0039】
涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、鼻孔に交互に投与される。
【0040】
涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、液体、懸濁液、エアロゾル、ゲル、軟膏、乾燥粉末、クリーム、ペースト、ローション、またはバルムとして鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、液体として鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、懸濁液として鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、エアロゾルとして鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ゲルとして鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、軟膏として鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、乾燥粉末として鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、クリームとして鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ペーストとして鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ローションとして鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、バルムとして鼻腔に投与される。
【0041】
涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、シリンジ、点滴器、ボトル噴霧器、噴霧ポンプ、吸入器、粉末噴霧機器、気化器、パッチ、薬用スティック、ピペット、または液体噴出によって鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、シリンジによって鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、点滴器によって鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ボトル噴霧器によって鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、噴霧ポンプによって鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、吸入器によって鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、粉末噴霧機器によって鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、気化器によって鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、パッチによって鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、薬用スティックによって鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ピペットによって鼻腔に投与される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、液体噴出によって鼻腔に投与される。
【0042】
涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、三叉神経が活性化される。涙液産生増加のさらなる実施形態では、前篩骨神経が活性化される。涙液産生を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、鼻涙腺反射が活性化される。
【0043】
ドライアイの治療
対象におけるドライアイの治療方法が、いくつかの実施形態において、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、ドライアイの治療方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過しない。いくつかの実施形態では、ドライアイの治療方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、アルファ3ベータ4、アルファ4ベータ2、及びアルファ7から選択される少なくとも1つの末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプに対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、ドライアイの治療方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプであるアルファ3ベータ4に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、ドライアイの治療方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプであるアルファ4ベータ2に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、ドライアイの治療方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプであるアルファ7に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、ドライアイの治療方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、全身性に生体利用することが不可能な量で投与される。いくつかの実施形態では、ドライアイの治療方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない精神活性副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、ドライアイの治療方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない全身性の副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、ドライアイの治療方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態を防止するか、または脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、ドライアイの治療方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態への移行を防止もしくは減少させるか、またはニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、ドライアイの治療方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態を防止するか、または脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含み、1つまたは複数の物質は、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子、及びカルシニューリン阻害剤から選択される。いくつかの実施形態では、ドライアイの治療方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態への移行を防止もしくは減少させるか、またはニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含み、1つまたは複数の物質は、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子、及びカルシニューリン阻害剤から選択される。いくつかの実施形態では、ドライアイの治療方法は、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、ドライアイの治療方法は、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、ドライアイの治療方法は、カルシニューリン阻害剤の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、ドライアイの治療方法は、カルシニューリン阻害剤の局所投与をさらに含み、カルシニューリン阻害剤は、シクロスポリン、ピメクロリムス、及びタクロリムスから選択される。いくつかの実施形態では、ドライアイの治療方法は、シクロスポリンの局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、ドライアイの治療方法は、ピメクロリムスの局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、ドライアイの治療方法は、タクロリムスの局所投与をさらに含む。
【0044】
ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ニコチン、シチシン、エピバチジン、バレニクリン、テバニクリン、DBO-83、CC4、ABT-418、ABT-366833、ABT-202、ABT-894、SIB-1663、GTS-21、PHA-543613、PNU-282987、LY-2087101、A85380、及び5-I-A85380から選択される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ニコチンである。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、シチシンである。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、エピバチジンである。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、バレニクリンである。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、テバニクリンである。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、DBO-83である。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、CC4である。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-418である。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-366833である。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-202である。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-894である。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、SIB-1663である。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、GTS-21である。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、PHA-543613である。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、PNU-282987である。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、LY-2087101である。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、A85380である。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、5-I-A85380である。
【0045】
ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、WO2008/057938、WO2009/111550、WO2010/028011、またはWO2010/028033に開示の化合物から選択される。
【0046】
ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも1マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも5マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも10マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも25マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも50マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも100マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも250マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも500マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも750マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、1マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、5マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、5マイクログラム~100マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、5マイクログラム~50マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、10マイクログラム~50マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、25マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、50マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、100マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、100マイクログラム~750マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、150マイクログラム~750マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、150マイクログラム~600マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。
【0047】
ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、1日に1回投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも1日に1回投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、1日に2回投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも1日に2回投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、1日に3回投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも1日に3回投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、1日間投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも2日間投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも3日間投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも4日間投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも5日間投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも7日間投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも10日間投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも14日間投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも21日間投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも30日間投与される。
【0048】
ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、鼻孔に交互に投与される。
【0049】
ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、液体、懸濁液、エアロゾル、ゲル、軟膏、乾燥粉末、クリーム、ペースト、ローション、またはバルムとして鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、液体として鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、懸濁液として鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、エアロゾルとして鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ゲルとして鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、軟膏として鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、乾燥粉末として鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、クリームとして鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ペーストとして鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ローションとして鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、バルムとして鼻腔に投与される。
【0050】
ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、シリンジ、点滴器、ボトル噴霧器、噴霧ポンプ、吸入器、粉末噴霧機器、気化器、パッチ、薬用スティック、ピペット、または液体噴出によって鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、シリンジによって鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、点滴器によって鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ボトル噴霧器によって鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、噴霧ポンプによって鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、吸入器によって鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、粉末噴霧機器によって鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、気化器によって鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、パッチによって鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、薬用スティックによって鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ピペットによって鼻腔に投与される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、液体噴出によって鼻腔に投与される。
【0051】
ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、三叉神経が活性化される。ドライアイ治療のさらなる実施形態では、前篩骨神経が活性化される。ドライアイを治療する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、鼻涙腺反射が活性化される。
【0052】
眼の不快感の改善
対象における目の不快感の改善方法が、いくつかの実施形態において、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、眼の不快感の改善方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過しない。いくつかの実施形態では、眼の不快感の改善方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、アルファ3ベータ4、アルファ4ベータ2、及びアルファ7から選択される少なくとも1つの末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプに対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、眼の不快感の改善方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプであるアルファ3ベータ4に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、眼の不快感の改善方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプであるアルファ4ベータ2に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、眼の不快感の改善方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプであるアルファ7に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、眼の不快感の改善方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、全身性に生体利用することが不可能な量で投与される。いくつかの実施形態では、眼の不快感の改善方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない精神活性副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、眼の不快感の改善方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない全身性の副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、眼の不快感の改善方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態を防止するか、または脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、眼の不快感の改善方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態への移行を防止もしくは減少させるか、またはニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、眼の不快感の改善方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態を防止するか、または脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含み、1つまたは複数の物質は、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子、及びカルシニューリン阻害剤から選択される。いくつかの実施形態では、眼の不快感の改善方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態への移行を防止もしくは減少させるか、またはニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含み、1つまたは複数の物質は、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子、及びカルシニューリン阻害剤から選択される。いくつかの実施形態では、眼の不快感の改善方法は、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、眼の不快感の改善方法は、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、眼の不快感の改善方法は、カルシニューリン阻害剤の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、眼の不快感の改善方法は、カルシニューリン阻害剤の局所投与をさらに含み、カルシニューリン阻害剤は、シクロスポリン、ピメクロリムス、及びタクロリムスから選択される。いくつかの実施形態では、眼の不快感の改善方法は、シクロスポリンの局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、眼の不快感の改善方法は、ピメクロリムスの局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、眼の不快感の改善方法は、タクロリムスの局所投与をさらに含む。
【0053】
眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ニコチン、シチシン、エピバチジン、バレニクリン、テバニクリン、DBO-83、CC4、ABT-418、ABT-366833、ABT-202、ABT-894、SIB-1663、GTS-21、PHA-543613、PNU-282987、LY-2087101、A85380、及び5-I-A85380から選択される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ニコチンである。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、シチシンである。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、エピバチジンである。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、バレニクリンである。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、テバニクリンである。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、DBO-83である。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、CC4である。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-418である。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-366833である。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-202である。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-894である。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、SIB-1663である。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、GTS-21である。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、PHA-543613である。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、PNU-282987である。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、LY-2087101である。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、A85380である。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、5-I-A85380である。
【0054】
眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、WO2008/057938、WO2009/111550、WO2010/028011、またはWO2010/028033に開示の化合物から選択される。
【0055】
眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、眼の不快感は、ドライアイ疾患と関連する。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、眼の不快感は、ドライアイ疾患の症状と関連する。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、眼の不快感は、ドライアイ疾患の症状と関連し、症状は、かゆみ、乾燥、羞明、かすみ、痛み、ねばつき感、灼熱感、刺痛、及び異物感から選択される。
【0056】
眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、眼の不快感は、眼瞼炎と関連する。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、眼の不快感は、マイボーム腺機能不全と関連する。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、眼の不快感は、アレルギー性結膜炎と関連する。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、眼の不快感は、眼表面への毒性及び刺激と関連する。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、眼の不快感は、涙液の排液に関する問題と関連する。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、眼の不快感は、眼瞼の疾患と関連する。
【0057】
眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも1マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも5マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも10マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも25マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも50マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも100マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも250マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも500マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも750マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、1マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、5マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、5マイクログラム~100マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、5マイクログラム~50マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、10マイクログラム~50マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、25マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、50マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、100マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、100マイクログラム~750マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、150マイクログラム~750マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、150マイクログラム~600マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。
【0058】
眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、1日に1回投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも1日に1回投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、1日に2回投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも1日に2回投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、1日に3回投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも1日に3回投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、1日間投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも2日間投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも3日間投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも4日間投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも5日間投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも7日間投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも10日間投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも14日間投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも21日間投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも30日間投与される。
【0059】
眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、鼻孔に交互に投与される。
【0060】
眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、液体、懸濁液、エアロゾル、ゲル、軟膏、乾燥粉末、クリーム、ペースト、ローション、またはバルムとして鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、液体として鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、懸濁液として鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、エアロゾルとして鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ゲルとして鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、軟膏として鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、乾燥粉末として鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、クリームとして鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ペーストとして鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ローションとして鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、バルムとして鼻腔に投与される。
【0061】
眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、シリンジ、点滴器、ボトル噴霧器、噴霧ポンプ、吸入器、粉末噴霧機器、気化器、パッチ、薬用スティック、ピペット、または液体噴出によって鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、シリンジによって鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、点滴器によって鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ボトル噴霧器によって鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、噴霧ポンプによって鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、吸入器によって鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、粉末噴霧機器によって鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、気化器によって鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、パッチによって鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、薬用スティックによって鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ピペットによって鼻腔に投与される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、液体噴出によって鼻腔に投与される。
【0062】
眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、三叉神経が活性化される。眼の不快感改善のさらなる実施形態では、前篩骨神経が活性化される。眼の不快感を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、鼻涙腺反射が活性化される。
【0063】
眼表面の健康状態の改善
対象における眼表面の健康状態の改善方法が、いくつかの実施形態において、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、眼表面の健康状態の改善方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過しない。いくつかの実施形態では、眼表面の健康状態の改善方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、アルファ3ベータ4、アルファ4ベータ2、及びアルファ7から選択される少なくとも1つの末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプに対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、眼表面の健康状態の改善方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプであるアルファ3ベータ4に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、眼表面の健康状態の改善方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプであるアルファ4ベータ2に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、眼表面の健康状態の改善方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプであるアルファ7に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、眼表面の健康状態の改善方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、全身性に生体利用することが不可能な量で投与される。いくつかの実施形態では、眼表面の健康状態の改善方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない精神活性副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、眼表面の健康状態の改善方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない全身性の副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、眼表面の健康状態の改善方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態を防止するか、または脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、眼表面の健康状態の改善方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態への移行を防止もしくは減少させるか、またはニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、眼表面の健康状態の改善方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態を防止するか、または脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含み、1つまたは複数の物質は、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子、及びカルシニューリン阻害剤から選択される。いくつかの実施形態では、眼表面の健康状態の改善方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態への移行を防止もしくは減少させるか、またはニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含み、1つまたは複数の物質は、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子、及びカルシニューリン阻害剤から選択される。いくつかの実施形態では、眼表面の健康状態の改善方法は、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、眼表面の健康状態の改善方法は、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、眼表面の健康状態の改善方法は、カルシニューリン阻害剤の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、眼表面の健康状態の改善方法は、カルシニューリン阻害剤の局所投与をさらに含み、カルシニューリン阻害剤は、シクロスポリン、ピメクロリムス、及びタクロリムスから選択される。いくつかの実施形態では、眼表面の健康状態の改善方法は、シクロスポリンの局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、眼表面の健康状態の改善方法は、ピメクロリムスの局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、眼表面の健康状態の改善方法は、タクロリムスの局所投与をさらに含む。
【0064】
眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ニコチン、シチシン、エピバチジン、バレニクリン、テバニクリン、DBO-83、CC4、ABT-418、ABT-366833、ABT-202、ABT-894、SIB-1663、GTS-21、PHA-543613、PNU-282987、LY-2087101、A85380、及び5-I-A85380から選択される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ニコチンである。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、シチシンである。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、エピバチジンである。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、バレニクリンである。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、テバニクリンである。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、DBO-83である。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、CC4である。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-418である。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-366833である。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-202である。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-894である。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、SIB-1663である。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、GTS-21である。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、PHA-543613である。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、PNU-282987である。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、LY-2087101である。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、A85380である。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、5-I-A85380である。
【0065】
眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、WO2008/057938、WO2009/111550、WO2010/028011、またはWO2010/028033に開示の化合物から選択される。
【0066】
眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも1マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも5マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも10マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも25マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも50マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも100マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも250マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも500マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも750マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、1マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、5マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、5マイクログラム~100マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、5マイクログラム~50マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、10マイクログラム~50マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、25マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、50マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、100マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、100マイクログラム~750マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、150マイクログラム~750マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、150マイクログラム~600マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。
【0067】
眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、1日に1回投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも1日に1回投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、1日に2回投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも1日に2回投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、1日に3回投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも1日に3回投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、1日間投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも2日間投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも3日間投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも4日間投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも5日間投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも7日間投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも10日間投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも14日間投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも21日間投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも30日間投与される。
【0068】
眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、鼻孔に交互に投与される。
【0069】
眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、液体、懸濁液、エアロゾル、ゲル、軟膏、乾燥粉末、クリーム、ペースト、ローション、またはバルムとして鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、液体として鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、懸濁液として鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、エアロゾルとして鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ゲルとして鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、軟膏として鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、乾燥粉末として鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、クリームとして鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ペーストとして鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ローションとして鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、バルムとして鼻腔に投与される。
【0070】
眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、シリンジ、点滴器、ボトル噴霧器、噴霧ポンプ、吸入器、粉末噴霧機器、気化器、パッチ、薬用スティック、ピペット、または液体噴出によって鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、シリンジによって鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、点滴器によって鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ボトル噴霧器によって鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、噴霧ポンプによって鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、吸入器によって鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、粉末噴霧機器によって鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、気化器によって鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、パッチによって鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、薬用スティックによって鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ピペットによって鼻腔に投与される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、液体噴出によって鼻腔に投与される。
【0071】
眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、三叉神経が活性化される。眼表面の健康状態改善のさらなる実施形態では、前篩骨神経が活性化される。眼表面の健康状態を改善する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、鼻涙腺反射が活性化される。
【0072】
環境的に厳しい状況下での眼表面の保護
環境的に厳しい条件下での対象における眼表面の保護方法が、いくつかの実施形態において、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、環境的に厳しい条件下での眼表面の保護方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過しない。いくつかの実施形態では、環境的に厳しい条件下での眼表面の保護方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、アルファ3ベータ4、アルファ4ベータ2、及びアルファ7から選択される少なくとも1つの末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプに対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、環境的に厳しい条件下での眼表面の保護方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプであるアルファ3ベータ4に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、環境的に厳しい条件下での眼表面の保護方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプであるアルファ4ベータ2に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、環境的に厳しい条件下での眼表面の保護方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプであるアルファ7に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、環境的に厳しい条件下での眼表面の保護方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、全身性に生体利用することが不可能な量で投与される。いくつかの実施形態では、環境的に厳しい条件下での眼表面の保護方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない精神活性副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、環境的に厳しい条件下での眼表面の保護方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない全身性の副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、環境的に厳しい条件下での眼表面の保護方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態を防止するか、または脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、環境的に厳しい条件下での眼表面の保護方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態への移行を防止もしくは減少させるか、またはニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、環境的に厳しい条件下での眼表面の保護方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態を防止するか、または脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含み、1つまたは複数の物質は、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子、及びカルシニューリン阻害剤から選択される。いくつかの実施形態では、環境的に厳しい条件下での眼表面の保護方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態への移行を防止もしくは減少させるか、またはニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含み、1つまたは複数の物質は、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子、及びカルシニューリン阻害剤から選択される。いくつかの実施形態では、環境的に厳しい条件下での眼表面の保護方法は、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、環境的に厳しい条件下での眼表面の保護方法は、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、環境的に厳しい条件下での眼表面の保護方法は、カルシニューリン阻害剤の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、環境的に厳しい条件下での眼表面の保護方法は、カルシニューリン阻害剤の局所投与をさらに含み、カルシニューリン阻害剤は、シクロスポリン、ピメクロリムス、及びタクロリムスから選択される。いくつかの実施形態では、環境的に厳しい条件下での眼表面の保護方法は、シクロスポリンの局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、環境的に厳しい条件下での眼表面の保護方法は、ピメクロリムスの局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、環境的に厳しい条件下での眼表面の保護方法は、タクロリムスの局所投与をさらに含む。
【0073】
環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ニコチン、シチシン、エピバチジン、バレニクリン、テバニクリン、DBO-83、CC4、ABT-418、ABT-366833、ABT-202、ABT-894、SIB-1663、GTS-21、PHA-543613、PNU-282987、LY-2087101、A85380、及び5-I-A85380から選択される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ニコチンである。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、シチシンである。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、エピバチジンである。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、バレニクリンである。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、テバニクリンである。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、DBO-83である。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、CC4である。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-418である。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-366833である。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-202である。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-894である。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、SIB-1663である。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、GTS-21である。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、PHA-543613である。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、PNU-282987である。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、LY-2087101である。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、A85380である。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、5-I-A85380である。
【0074】
環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、WO2008/057938、WO2009/111550、WO2010/028011、またはWO2010/028033に開示の化合物から選択される。
【0075】
環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも1マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも5マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも10マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも25マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも50マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも100マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも250マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも500マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも750マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、1マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、5マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、5マイクログラム~100マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、5マイクログラム~50マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、10マイクログラム~50マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、25マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、50マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、100マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、100マイクログラム~750マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、150マイクログラム~750マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、150マイクログラム~600マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。
【0076】
環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、1日に1回投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも1日に1回投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、1日に2回投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも1日に2回投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、1日に3回投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも1日に3回投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、1日間投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも2日間投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも3日間投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも4日間投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも5日間投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも7日間投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも10日間投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも14日間投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも21日間投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも30日間投与される。
【0077】
環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、鼻孔に交互に投与される。
【0078】
環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、液体、懸濁液、エアロゾル、ゲル、軟膏、乾燥粉末、クリーム、ペースト、ローション、またはバルムとして鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、液体として鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、懸濁液として鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、エアロゾルとして鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ゲルとして鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、軟膏として鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、乾燥粉末として鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、クリームとして鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ペーストとして鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ローションとして鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、バルムとして鼻腔に投与される。
【0079】
環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、シリンジ、点滴器、ボトル噴霧器、噴霧ポンプ、吸入器、粉末噴霧機器、気化器、パッチ、薬用スティック、ピペット、または液体噴出によって鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、シリンジによって鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、点滴器によって鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ボトル噴霧器によって鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、噴霧ポンプによって鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、吸入器によって鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、粉末噴霧機器によって鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、気化器によって鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、パッチによって鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、薬用スティックによって鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ピペットによって鼻腔に投与される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、液体噴出によって鼻腔に投与される。
【0080】
環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、三叉神経が活性化される。環境的に厳しい条件下での眼表面保護のさらなる実施形態では、前篩骨神経が活性化される。環境的に厳しい条件下で眼表面を保護する前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、鼻涙腺反射が活性化される。
【0081】
眼表面のムチン含量の増加
対象における眼表面のムチン含量の増加方法が、いくつかの実施形態において、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、眼表面のムチン含量の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過しない。いくつかの実施形態では、眼表面のムチン含量の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、アルファ3ベータ4、アルファ4ベータ2、及びアルファ7から選択される少なくとも1つの末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプに対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、眼表面のムチン含量の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプであるアルファ3ベータ4に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、眼表面のムチン含量の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプであるアルファ4ベータ2に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、眼表面のムチン含量の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプであるアルファ7に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、眼表面のムチン含量の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、全身性に生体利用することが不可能な量で投与される。いくつかの実施形態では、眼表面のムチン含量の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない精神活性副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、眼表面のムチン含量の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない全身性の副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、眼表面のムチン含量の増加方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態を防止するか、または脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、眼表面のムチン含量の増加方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態への移行を防止もしくは減少させるか、またはニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、眼表面のムチン含量の増加方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態を防止するか、または脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含み、1つまたは複数の物質は、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子、及びカルシニューリン阻害剤から選択される。いくつかの実施形態では、眼表面のムチン含量の増加方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態への移行を防止もしくは減少させるか、またはニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含み、1つまたは複数の物質は、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子、及びカルシニューリン阻害剤から選択される。いくつかの実施形態では、眼表面のムチン含量の増加方法は、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、眼表面のムチン含量の増加方法は、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、眼表面のムチン含量の増加方法は、カルシニューリン阻害剤の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、眼表面のムチン含量の増加方法は、カルシニューリン阻害剤の局所投与をさらに含み、カルシニューリン阻害剤は、シクロスポリン、ピメクロリムス、及びタクロリムスから選択される。いくつかの実施形態では、眼表面のムチン含量の増加方法は、シクロスポリンの局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、眼表面のムチン含量の増加方法は、ピメクロリムスの局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、眼表面のムチン含量の増加方法は、タクロリムスの局所投与をさらに含む。
【0082】
眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ニコチン、シチシン、エピバチジン、バレニクリン、テバニクリン、DBO-83、CC4、ABT-418、ABT-366833、ABT-202、ABT-894、SIB-1663、GTS-21、PHA-543613、PNU-282987、LY-2087101、A85380、及び5-I-A85380から選択される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ニコチンである。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、シチシンである。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、エピバチジンである。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、バレニクリンである。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、テバニクリンである。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、DBO-83である。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、CC4である。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-418である。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-366833である。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-202である。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-894である。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、SIB-1663である。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、GTS-21である。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、PHA-543613である。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、PNU-282987である。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、LY-2087101である。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、A85380である。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、5-I-A85380である。
【0083】
眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、WO2008/057938、WO2009/111550、WO2010/028011、またはWO2010/028033に開示の化合物から選択される。
【0084】
眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも1マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも5マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも10マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも25マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも50マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも100マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも250マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも500マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも750マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、1マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、5マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、5マイクログラム~100マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、5マイクログラム~50マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、10マイクログラム~50マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、25マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、50マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、100マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、100マイクログラム~750マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、150マイクログラム~750マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、150マイクログラム~600マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。
【0085】
眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、1日に1回投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも1日に1回投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、1日に2回投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも1日に2回投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、1日に3回投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも1日に3回投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、1日間投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも2日間投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも3日間投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも4日間投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも5日間投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも7日間投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも10日間投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも14日間投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも21日間投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも30日間投与される。
【0086】
眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、鼻孔に交互に投与される。
【0087】
眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、液体、懸濁液、エアロゾル、ゲル、軟膏、乾燥粉末、クリーム、ペースト、ローション、またはバルムとして鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、液体として鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、懸濁液として鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、エアロゾルとして鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ゲルとして鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、軟膏として鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、乾燥粉末として鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、クリームとして鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ペーストとして鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ローションとして鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、バルムとして鼻腔に投与される。
【0088】
眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、シリンジ、点滴器、ボトル噴霧器、噴霧ポンプ、吸入器、粉末噴霧機器、気化器、パッチ、薬用スティック、ピペット、または液体噴出によって鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、シリンジによって鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、点滴器によって鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ボトル噴霧器によって鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、噴霧ポンプによって鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、吸入器によって鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、粉末噴霧機器によって鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、気化器によって鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、パッチによって鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、薬用スティックによって鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ピペットによって鼻腔に投与される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、液体噴出によって鼻腔に投与される。
【0089】
眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、三叉神経が活性化される。眼表面のムチン含量増加のさらなる実施形態では、前篩骨神経が活性化される。眼表面のムチン含量を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、鼻涙腺反射が活性化される。
【0090】
1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加
対象における1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法が、いくつかの実施形態において、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過しない。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、アルファ3ベータ4、アルファ4ベータ2、及びアルファ7から選択される少なくとも1つの末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプに対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプであるアルファ3ベータ4に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプであるアルファ4ベータ2に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプであるアルファ7に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、全身性に生体利用することが不可能な量で投与される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない精神活性副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない全身性の副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法において、涙液タンパク質は、上皮成長因子、ラクトフェリン、ラクリチン、プロラクチン、副腎皮質刺激物質、ロイシンエンケファリン、ALS2CL、ARHGEF19、KIAA1109、PLXNA1、POLG、WIPI1、ZMIZ2、または涙液プロテオームの他のタンパク質である。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法において、少なくとも1つの涙液タンパク質は、上皮成長因子である。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法において、少なくとも1つの涙液タンパク質は、ラクトフェリンである。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法において、少なくとも1つの涙液タンパク質は、ラクリチンである。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法において、少なくとも1つの涙液タンパク質は、プロラクチンである。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法において、少なくとも1つの涙液タンパク質は、副腎皮質刺激物質である。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法において、少なくとも1つの涙液タンパク質は、ロイシンエンケファリンである。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法において、少なくとも1つの涙液タンパク質は、ALS2CLである。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法において、少なくとも1つの涙液タンパク質は、ARHGEF19である。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法において、少なくとも1つの涙液タンパク質は、KIAA1109である。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法において、少なくとも1つの涙液タンパク質は、PLXNA1である。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法において、少なくとも1つの涙液タンパク質は、POLGである。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法において、少なくとも1つの涙液タンパク質は、WIPI1である。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法において、少なくとも1つの涙液タンパク質は、ZMIZ2である。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態を防止するか、または脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態への移行を防止もしくは減少させるか、またはニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態を防止するか、または脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含み、1つまたは複数の物質は、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子、及びカルシニューリン阻害剤から選択される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態への移行を防止もしくは減少させるか、またはニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含み、1つまたは複数の物質は、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子、及びカルシニューリン阻害剤から選択される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法は、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法は、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法は、カルシニューリン阻害剤の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法は、カルシニューリン阻害剤の局所投与をさらに含み、カルシニューリン阻害剤は、シクロスポリン、ピメクロリムス、及びタクロリムスから選択される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法は、シクロスポリンの局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法は、ピメクロリムスの局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加方法は、タクロリムスの局所投与をさらに含む。
【0091】
1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ニコチン、シチシン、エピバチジン、バレニクリン、テバニクリン、DBO-83、CC4、ABT-418、ABT-366833、ABT-202、ABT-894、SIB-1663、GTS-21、PHA-543613、PNU-282987、LY-2087101、A85380、及び5-I-A85380から選択される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ニコチンである。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、シチシンである。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、エピバチジンである。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、バレニクリンである。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、テバニクリンである。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、DBO-83である。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、CC4である。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-418である。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-366833である。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-202である。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-894である。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、SIB-1663である。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、GTS-21である。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、PHA-543613である。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、PNU-282987である。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、LY-2087101である。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、A85380である。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、5-I-A85380である。
【0092】
1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、WO2008/057938、WO2009/111550、WO2010/028011、またはWO2010/028033に開示の化合物から選択される。
【0093】
1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも1マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも5マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも10マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも25マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも50マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも100マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも250マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも500マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも750マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、1マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、5マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、5マイクログラム~100マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、5マイクログラム~50マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、10マイクログラム~50マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、25マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、50マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、100マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、100マイクログラム~750マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、150マイクログラム~750マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、150マイクログラム~600マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。
【0094】
1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、1日に1回投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも1日に1回投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、1日に2回投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも1日に2回投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、1日に3回投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも1日に3回投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、1日間投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも2日間投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも3日間投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも4日間投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも5日間投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも7日間投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも10日間投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも14日間投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも21日間投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも30日間投与される。
【0095】
1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、鼻孔に交互に投与される。
【0096】
1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、液体、懸濁液、エアロゾル、ゲル、軟膏、乾燥粉末、クリーム、ペースト、ローション、またはバルムとして鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、液体として鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、懸濁液として鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、エアロゾルとして鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ゲルとして鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、軟膏として鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、乾燥粉末として鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、クリームとして鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ペーストとして鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ローションとして鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、バルムとして鼻腔に投与される。
【0097】
1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、シリンジ、点滴器、ボトル噴霧器、噴霧ポンプ、吸入器、粉末噴霧機器、気化器、パッチ、薬用スティック、ピペット、または液体噴出によって鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、シリンジによって鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、点滴器によって鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ボトル噴霧器によって鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、噴霧ポンプによって鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、吸入器によって鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、粉末噴霧機器によって鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、気化器によって鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、パッチによって鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、薬用スティックによって鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ピペットによって鼻腔に投与される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、液体噴出によって鼻腔に投与される。
【0098】
1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、三叉神経が活性化される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度の増加のさらなる実施形態では、前篩骨神経が活性化される。1つまたは複数の涙液タンパク質の量または濃度を増加させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、鼻涙腺反射が活性化される。
【0099】
涙液クリアランスの増進
対象における涙液クリアランスの増進方法が、いくつかの実施形態において、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、涙液クリアランスの増進方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過しない。いくつかの実施形態では、涙液クリアランスの増進方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、アルファ3ベータ4、アルファ4ベータ2、及びアルファ7から選択される少なくとも1つの末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプに対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、涙液クリアランスの増進方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプであるアルファ3ベータ4に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、涙液クリアランスの増進方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプであるアルファ4ベータ2に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、涙液クリアランスの増進方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過せず、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプであるアルファ7に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、涙液クリアランスの増進方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合し、全身性に生体利用することが不可能な量で投与される。いくつかの実施形態では、涙液クリアランスの増進方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない精神活性副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、涙液クリアランスの増進方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、アゴニストは、望ましくない全身性の副作用をもたらさない量で、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、涙液クリアランスの増進方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態を防止するか、または脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、涙液クリアランスの増進方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態への移行を防止もしくは減少させるか、またはニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、涙液クリアランスの増進方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態を防止するか、または脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含み、1つまたは複数の物質は、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子、及びカルシニューリン阻害剤から選択される。いくつかの実施形態では、涙液クリアランスの増進方法は、ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態への移行を防止もしくは減少させるか、またはニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作状態からの回復を促進する1つまたは複数の物質の局所投与をさらに含み、1つまたは複数の物質は、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子、及びカルシニューリン阻害剤から選択される。いくつかの実施形態では、涙液クリアランスの増進方法は、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、涙液クリアランスの増進方法は、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、涙液クリアランスの増進方法は、カルシニューリン阻害剤の局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、涙液クリアランスの増進方法は、カルシニューリン阻害剤の局所投与をさらに含み、カルシニューリン阻害剤は、シクロスポリン、ピメクロリムス、及びタクロリムスから選択される。いくつかの実施形態では、涙液クリアランスの増進方法は、シクロスポリンの局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、涙液クリアランスの増進方法は、ピメクロリムスの局所投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、涙液クリアランスの増進方法は、タクロリムスの局所投与をさらに含む。
【0100】
涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ニコチン、シチシン、エピバチジン、バレニクリン、テバニクリン、DBO-83、CC4、ABT-418、ABT-366833、ABT-202、ABT-894、SIB-1663、GTS-21、PHA-543613、PNU-282987、LY-2087101、A85380、及び5-I-A85380から選択される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ニコチンである。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、シチシンである。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、エピバチジンである。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、バレニクリンである。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、テバニクリンである。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、DBO-83である。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、CC4である。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-418である。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-366833である。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-202である。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-894である。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、SIB-1663である。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、GTS-21である。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、PHA-543613である。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、PNU-282987である。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、LY-2087101である。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、A85380である。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、5-I-A85380である。
【0101】
涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、WO2008/057938、WO2009/111550、WO2010/028011、またはWO2010/028033に開示の化合物から選択される。
【0102】
涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも1マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも5マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも10マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも25マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも50マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも100マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも250マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも500マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも750マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、少なくとも1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、1マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、5マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、5マイクログラム~100マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、5マイクログラム~50マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、10マイクログラム~50マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、25マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、50マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、100マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、100マイクログラム~750マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、150マイクログラム~750マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、150マイクログラム~600マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが鼻腔に投与される。
【0103】
涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、1日に1回投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも1日に1回投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、1日に2回投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも1日に2回投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、1日に3回投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも1日に3回投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、1日間投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも2日間投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも3日間投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも4日間投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも5日間投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも7日間投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも10日間投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも14日間投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも21日間投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、少なくとも30日間投与される。
【0104】
涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、鼻孔に交互に投与される。
【0105】
涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、液体、懸濁液、エアロゾル、ゲル、軟膏、乾燥粉末、クリーム、ペースト、ローション、またはバルムとして鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、液体として鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、懸濁液として鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、エアロゾルとして鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ゲルとして鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、軟膏として鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、乾燥粉末として鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、クリームとして鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ペーストとして鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ローションとして鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、バルムとして鼻腔に投与される。
【0106】
涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、シリンジ、点滴器、ボトル噴霧器、噴霧ポンプ、吸入器、粉末噴霧機器、気化器、パッチ、薬用スティック、ピペット、または液体噴出によって鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、シリンジによって鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、点滴器によって鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ボトル噴霧器によって鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、噴霧ポンプによって鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、吸入器によって鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、粉末噴霧機器によって鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、気化器によって鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、パッチによって鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、薬用スティックによって鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ピペットによって鼻腔に投与される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、液体噴出によって鼻腔に投与される。
【0107】
涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、三叉神経が活性化される。涙液クリアランス増進のさらなる実施形態では、前篩骨神経が活性化される。涙液クリアランスを増進させる前述の実施形態のいずれかの別の実施形態では、鼻涙腺反射が活性化される。
【0108】
特定の用語
別段の記載がない限り、本明細書及び特許請求の範囲を含めて、下記の用語が本出願において使用され、以下に記載される定義を有する。本明細書及び添付の特許請求の範囲では、文脈から明らかでない限り、「一つの(a)」、「一つの(an)」、及び「その(the)」という単数形は、複数の参照対象を含むことに留意されるべきである。本出願では、別段の記載がない限り、「または(or)」または「及び(and)」が使用される際は、「及び/または(and/or)」を意味する。さらに、「含む(including)」という用語、ならびに「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含まれる(included)」などの他の形態が使用される際は、非限定を意味する。本明細書において使用される節の見出しは、構成的な目的で使用されるにすぎず、記載の主題を限定するものではないと解釈されることになる。
【0109】
本明細書では、「同時投与(co-administration)」という用語または同様のものは、単一の患者に対する複数の選択治療剤の投与の包含を意味すると共に、複数の薬剤が同一または異なる時間に、同一または異なる投与経路によって投与される複数の治療レジメンを含むことを意図する。
【0110】
本明細書では、「有効量」または「治療上有効な量」という用語は、治療中の疾患または病状の1つまたは複数の症状の幾分かの緩和に十分な投与薬剤量または投与化合物量を指す。結果は、疾患の徴候、症状、もしくは原因の減少及び/もしく軽減、または生命系の任意の他の所望の変化であり得る。例えば、治療的な使用を目的とする「有効量」は、疾患症状を臨床的に有意に減少させるために必要となる、本明細書に開示のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む医薬製剤の量である。任意の個々の場合における適切な「有効」量は、用量漸増試験などの手法を使用して決定してよい。
【0111】
「個体」、「対象」、及び「患者」という用語は、哺乳類及び非哺乳類を包含する。哺乳類の例には、限定はされないが、哺乳類クラスの任意のメンバーが含まれ、すなわち、ヒト、チンパンジーなどの非ヒト霊長類、ならびに他の類人猿種及びサル種と、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの家畜と、ウサギ、イヌ、及びネコなどの飼育動物と、ラット、マウス、及びモルモットなどのげっ歯類を含む実験動物と、同様のものと、が含まれる。1つの実施形態では、哺乳類は、ヒトである。
【0112】
「組織」は、2つ以上の細胞を含む。2つ以上の細胞は、類似の機能及び/または機能を有し得る。組織は、結合組織、上皮組織、筋組織、または神経組織であり得る。あるいは、組織は、骨、腱(どちらも筋骨格系グラフト(musculoskeletal graft)と称される)、角膜、皮膚、心臓弁、または静脈である。
【0113】
「器官」は、2つ以上の組織を含む。2つ以上の組織は、特定の機能または機能群を果たし得る。いくつかの実例では、器官は、肺、口、鼻、副甲状腺、松果体、脳下垂体、頸動脈小体、唾液腺、皮膚、胆嚢、膵臓、小腸、胃、脾臓、脊髄、胸腺、甲状腺、気管、子宮、または虫垂である。あるいは、器官は、副腎、虫垂、脳、膀胱、腎臓、腸、大腸、小腸、肝臓、心臓、または筋肉である。
【0114】
「ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニスト」という用語は、ニコチン性アセチルコリン受容体の完全アゴニストまたは部分アゴニストを包含する。
【0115】
本明細書では、「治療(treat)」、「治療(treating)」、または「治療(treatment)」という用語には、疾患もしくは病状の少なくとも1つの症状の軽減、低減、もしくは寛解、さらなる症状の防止、病状の進行防止、疾患もしくは病状の抑制、例えば、疾患もしくは病状の発症抑止、疾患もしくは病状の緩和、疾患もしくは病状の退縮誘起、疾患もしくは病状によって引き起こされる病状の緩和、または疾患もしくは病状の症状の停止が含まれる。1つの実施形態では、治療は、予防的な治療である。別の実施形態では、治療は、治療的な治療を指す。
【0116】
本明細書では、「薬理学的に適切な濃度では血液脳関門を通過しない」という用語は、本明細書に開示のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが血液脳関門を通過して薬理学的な応答を引き起こすには不十分な量を指す。
【0117】
本明細書では、「望ましくない精神活性副作用」という用語は、脳における意図しない作用を指し、限定はされないが、不安、鬱、幻覚、多幸感、嗜癖、睡眠障害(disorder)/障害(disturbance)、不眠、異常な夢、及び悪夢が含まれる。
【0118】
本明細書では、「望ましくない全身性の副作用」という用語は、身体における意図しない作用を指し、限定はされないが、腹痛、嘔吐、嘔気、便秘、下痢、鼓腸、胃腸障害、及び口渇が含まれる。
【0119】
本明細書では、「脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニスト」という用語は、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの作用に対する耐性、依存、退薬、または感受性の減少をもたらさない製剤を指す。
【0120】
本明細書では、「環境的に厳しい条件」という用語は、自然条件及び人工条件を含む外的条件を指す。自然起源の環境的に厳しい条件には、限定はされないが、煙、風、及び乾燥を伴う気候に対する曝露が含まれる。人工的な環境的に厳しい条件には、限定はされないが、自動車、工場、及び飛行機に由来する汚染、ならびに低湿度、高気流、または低空気質である住居/職場に対する曝露が含まれる。いくつかの実施形態では、「環境的に厳しい条件」は、ドライアイの臨床試験を目的として一般に使用される制御された負荷環境を指す。
【0121】
「眼の不快感」という用語には、限定はされないが、かゆみ、乾燥、羞明、かすみ、痛み、ねばつき感、灼熱感、刺痛、及び異物感などの、ドライアイ疾患の症状が含まれる。いくつかの実施形態では、眼の不快感は、眼瞼炎、マイボーム腺機能不全、アレルギー性結膜炎、眼表面への毒性及び刺激、涙液の排液に関する問題、または眼瞼の疾患と関連する。
【0122】
本明細書では、「ソフトドラッグ」という用語は、治療作用を達成した直後に、不活性形態へと迅速に代謝される薬剤物質を指す。
【0123】
ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニスト
本明細書に記載の方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含む。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、完全アゴニストである。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、部分アゴニストである。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ニコチン、シチシン、エピバチジン、バレニクリン、テバニクリン、DBO-83、CC4、ABT-418、ABT-366833、ABT-202、ABT-894、SIB-1663、GTS-21、PHA-543613、PNU-282987、LY-2087101、A85380、及び5-I-A85380から選択される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ニコチンである。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、シチシンである。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、エピバチジンである。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、バレニクリンである。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、テバニクリンである。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、DBO-83である。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、CC4である。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-418である。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-366833である。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-202である。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-894である。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、SIB-1663である。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、GTS-21である。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、PHA-543613である。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、PNU-282987である。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、LY-2087101である。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、A85380である。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、5-I-A85380である。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、WO2008/057938、WO2009/111550、WO2010/028011、またはWO2010/028033に開示の化合物から選択される。
【0124】
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ソフトドラッグである。
【0125】
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、
の構造を有するか、またはその医薬的に許容可能な塩である。
【0126】
鼻腔内投与経路
本明細書に記載の方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、液体、懸濁液、エアロゾル、ゲル、軟膏、乾燥粉末、クリーム、ペースト、ローション、またはバルムとして鼻腔に投与される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、液体として鼻腔に投与される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、懸濁液として鼻腔に投与される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、エアロゾルとして鼻腔に投与される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ゲルとして鼻腔に投与される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、軟膏として鼻腔に投与される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、乾燥粉末として鼻腔に投与される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、クリームとして鼻腔に投与される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ペーストとして鼻腔に投与される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ローションとして鼻腔に投与される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、バルムとして鼻腔に投与される。
【0127】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、それを必要とする個体の鼻腔への、治療上有効な量のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの局所投与を含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、シリンジ、点滴器、ボトル噴霧器、噴霧ポンプ、吸入器、粉末噴霧機器、気化器、パッチ、薬用スティック、ピペット、または液体噴出によって鼻腔に投与される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、シリンジによって鼻腔に投与される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、点滴器によって鼻腔に投与される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ボトル噴霧器によって鼻腔に投与される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、噴霧ポンプによって鼻腔に投与される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、吸入器によって鼻腔に投与される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、粉末噴霧機器によって鼻腔に投与される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、気化器によって鼻腔に投与される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、パッチによって鼻腔に投与される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、薬用スティックによって鼻腔に投与される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ピペットによって鼻腔に投与される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、液体噴出によって鼻腔に投与される。
【0128】
医薬製剤、投薬方法、及び治療レジメン
個体の鼻腔への局所投与を目的とするニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの医薬製剤も本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含む。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含むと共に、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子、及びカルシニューリン阻害剤から選択される1つまたは複数の物質をさらに含む。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含むと共に、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子をさらに含む。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含むと共に、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子をさらに含む。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含むと共に、カルシニューリン阻害剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含むと共に、カルシニューリン阻害剤をさらに含み、カルシニューリン阻害剤は、シクロスポリン、ピメクロリムス、及びタクロリムスから選択される。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含むと共に、カルシニューリン阻害剤をさらに含み、カルシニューリン阻害剤は、シクロスポリンである。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含むと共に、カルシニューリン阻害剤をさらに含み、カルシニューリン阻害剤は、ピメクロリムスである。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含むと共に、カルシニューリン阻害剤をさらに含み、カルシニューリン阻害剤は、タクロリムスである。
【0129】
いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ニコチン、シチシン、エピバチジン、バレニクリン、テバニクリン、DBO-83、CC4、ABT-418、ABT-366833、ABT-202、ABT-894、SIB-1663、GTS-21、PHA-543613、PNU-282987、LY-2087101、A85380、及び5-I-A85380から選択される。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ニコチンである。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、シチシンである。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、エピバチジンである。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、バレニクリンである。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、テバニクリンである。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、DBO-83である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、CC4である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-418である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-366833である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-202である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-894である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、SIB-1663である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、GTS-21である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、PHA-543613である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、PNU-282987である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、LY-2087101である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、A85380である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、5-I-A85380である。
【0130】
いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、WO2008/057938、WO2009/111550、WO2010/028011、またはWO2010/028033に開示の化合物から選択される。
【0131】
いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、アルファ3ベータ4、アルファ4ベータ2、及びアルファ7から選択される少なくとも1つの末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプに対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプであるアルファ3ベータ4に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプであるアルファ4ベータ2に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプであるアルファ7に対して選択的に結合する。
【0132】
いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ソフトドラッグである。
【0133】
いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、全身性に生体利用することが不可能な投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、
から選択される構造を有するか、またはその医薬的に許容可能な塩である。
【0134】
個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含み、いくつかの実施形態において、本明細書にさらに記載される。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含むと共に、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子、及びカルシニューリン阻害剤から選択される1つまたは複数の物質をさらに含む。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含むと共に、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子をさらに含む。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含むと共に、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子をさらに含む。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含むと共に、カルシニューリン阻害剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含むと共に、カルシニューリン阻害剤をさらに含み、カルシニューリン阻害剤は、シクロスポリン、ピメクロリムス、及びタクロリムスから選択される。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含むと共に、カルシニューリン阻害剤をさらに含み、カルシニューリン阻害剤は、シクロスポリンである。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含むと共に、カルシニューリン阻害剤をさらに含み、カルシニューリン阻害剤は、ピメクロリムスである。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含むと共に、カルシニューリン阻害剤をさらに含み、カルシニューリン阻害剤は、タクロリムスである。
【0135】
いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ニコチン、シチシン、エピバチジン、バレニクリン、テバニクリン、DBO-83、CC4、ABT-418、ABT-366833、ABT-202、ABT-894、SIB-1663、GTS-21、PHA-543613、PNU-282987、LY-2087101、A85380、及び5-I-A85380から選択される。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ニコチンである。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、シチシンである。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、エピバチジンである。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、バレニクリンである。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、テバニクリンである。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、DBO-83である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、CC4である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-418である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-366833である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-202である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-894である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、SIB-1663である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、GTS-21である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、PHA-543613である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、PNU-282987である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、LY-2087101である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、A85380である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、5-I-A85380である。
【0136】
いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、WO2008/057938、WO2009/111550、WO2010/028011、またはWO2010/028033に開示の化合物から選択される。
【0137】
いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ソフトドラッグである。
【0138】
いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、
から選択される構造を有するか、またはその医薬的に許容可能な塩である。
【0139】
いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、アルファ3ベータ4、アルファ4ベータ2、及びアルファ7から選択される少なくとも1つの末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプに対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプであるアルファ3ベータ4に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプであるアルファ4ベータ2に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない精神活性副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプであるアルファ7に対して選択的に結合する。
【0140】
個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含み、いくつかの実施形態において、本明細書にさらに記載される。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含むと共に、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子、及びカルシニューリン阻害剤から選択される1つまたは複数の物質をさらに含む。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含むと共に、タンパク質キナーゼC(PKC)またはPKCを上方制御もしくは上方調節する因子をさらに含む。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含むと共に、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)またはPKAを上方制御もしくは上方調節する因子をさらに含む。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含むと共に、カルシニューリン阻害剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含むと共に、カルシニューリン阻害剤をさらに含み、カルシニューリン阻害剤は、シクロスポリン、ピメクロリムス、及びタクロリムスから選択される。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含むと共に、カルシニューリン阻害剤をさらに含み、カルシニューリン阻害剤は、シクロスポリンである。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含むと共に、カルシニューリン阻害剤をさらに含み、カルシニューリン阻害剤は、ピメクロリムスである。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含むと共に、カルシニューリン阻害剤をさらに含み、カルシニューリン阻害剤は、タクロリムスである。
【0141】
いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ニコチン、シチシン、エピバチジン、バレニクリン、テバニクリン、DBO-83、CC4、ABT-418、ABT-366833、ABT-202、ABT-894、SIB-1663、GTS-21、PHA-543613、PNU-282987、LY-2087101、A85380、及び5-I-A85380から選択される。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ニコチンである。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、シチシンである。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、エピバチジンである。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、バレニクリンである。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、テバニクリンである。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、DBO-83である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、CC4である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-418である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-366833である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-202である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ABT-894である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、SIB-1663である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、GTS-21である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、PHA-543613である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、PNU-282987である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、LY-2087101である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、A85380である。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、5-I-A85380である。
【0142】
いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、WO2008/057938、WO2009/111550、WO2010/028011、またはWO2010/028033に開示の化合物から選択される。
【0143】
いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ソフトドラッグである。
【0144】
いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、
から選択される構造を有するか、またはその医薬的に許容可能な塩である。
【0145】
いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、アルファ3ベータ4、アルファ4ベータ2、及びアルファ7から選択される少なくとも1つの末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプに対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプであるアルファ3ベータ4に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプであるアルファ4ベータ2に対して選択的に結合する。いくつかの実施形態では、個体の鼻腔への局所投与を目的とする医薬製剤は、脱感作を防止するために製剤化されたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、望ましくない全身性の副作用をもたらさない投与量で含み、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、末梢のニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプであるアルファ7に対して選択的に結合する。
【0146】
前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、約0.1mg/mlのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、約0.2mg/mlのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、約0.5mg/mlのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、約1mg/mlのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、約2mg/mlのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、約3mg/mlのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、約4mg/mlのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、約5mg/mlのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、約6mg/mlのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、約7mg/mlのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、約8mg/mlのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、約9mg/mlのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、約10mg/mlのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、約12mg/mlのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、約15mg/mlのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、約20mg/mlのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。
【0147】
前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、用量当たり少なくとも1マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、用量当たり少なくとも5マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、用量当たり少なくとも10マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、用量当たり少なくとも25マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、用量当たり少なくとも50マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、用量当たり少なくとも100マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、用量当たり少なくとも250マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、用量当たり少なくとも500マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、用量当たり少なくとも750マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、用量当たり少なくとも1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、用量当たり1マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、用量当たり5マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、用量当たり5マイクログラム~100マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかのいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、用量当たり5マイクログラム~50マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、用量当たり10マイクログラム~50マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、用量当たり25マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、用量当たり50マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、用量当たり100マイクログラム~1000マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、用量当たり100マイクログラム~750マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、用量当たり150マイクログラム~750マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、用量当たり150マイクログラム~600マイクログラムのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。
【0148】
前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、1日に1回投与される。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、少なくとも1日に1回投与される。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、1日に2回投与される。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、少なくとも1日に2回投与される。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、1日に3回投与される。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、少なくとも1日に3回投与される。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、1日間投与される。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、少なくとも2日間投与される。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、少なくとも3日間投与される。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、少なくとも4日間投与される。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、少なくとも5日間投与される。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、少なくとも7日間投与される。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、少なくとも10日間投与される。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、少なくとも14日間投与される。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、少なくとも21日間投与される。前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、少なくとも30日間投与される。
【0149】
前述の医薬製剤の実施形態のいずれかの別の実施形態では、医薬製剤は、鼻孔に交互に投与される。
【0150】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、予防的及び/または治療的な治療を目的として投与される。ある特定の治療的な用途では、医薬製剤は、既に疾患または病状に苦しんでいる患者に対して、疾患または病状の少なくとも1つの症状を、治癒または少なくとも部分的に抑止するために十分な量で投与される。この使用に有効な量は、疾患または病状の重症度及び経過、治療歴、患者の健康状態、体重、及び薬剤に対する応答、ならびに治療にあたる医師の判断に依存するものである。治療上有効な量は、任意選択で、限定はされないが、用量漸増臨床試験を含む方法によって決定される。
【0151】
予防的な用途では、本明細書に記載の医薬製剤は、特定の疾患、障害、または病状になりやすいか、さもなければその危険を有する患者に対して投与される。そのような量は、「予防上有効な量または用量」と定義される。この使用においてもまた、正確な量は、患者の健康状態、体重、及び同様のものに依存する。患者において使用されるとき、この使用の有効量は、疾患、障害、または病状の重症度及び経過、治療歴、患者の健康状態、体重、及び薬剤に対する応答、ならびに治療にあたる医師の判断に依存することになる。
【0152】
患者の病状が改善しない、ある特定の実施形態では、医師の裁量に基づき、医薬製剤の投与は長期的に実施され、すなわち、患者の症状または病状の症状を寛解させるか、またはさもなければ制御もしくは制限するために、長期間実施されるものであり、これには、患者の生涯期間にわたるものが含まれる。
【0153】
患者の状態が実際に改善する、ある特定の実施形態では、投与中の医薬製剤の用量を、ある一定期間、一時的に減らすか、または一時的に中止してよい(すなわち、「休薬期間」)。特定の実施形態では、休薬期間の長さは、2日~1年であり、例にすぎないが、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、または28日を超える期間が含まれる。休薬期間中の用量低減は、例にすぎないが、10%~100%の低減であり、例にすぎないが、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、及び100%の低減が含まれる。
【0154】
ある特定の実施形態では、投与中の医薬製剤の用量を、ある一定期間、一時的に減らすか、または一時的に中止してよい(すなわち、「薬剤転換(drug diversion)」)。特定の実施形態では、薬剤転換の長さは、2日~1年であり、例にすぎないが、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、または28日を超える期間が含まれる。薬剤転換期間中の用量低減は、例にすぎないが、10%~100%の低減であり、例にすぎないが、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、及び100%の低減が含まれる。適した期間の後、任意選択で、通常の投薬スケジュールに復帰する。
【0155】
いくつかの実施形態では、患者の病状が改善した時点で、必要であれば維持用量が投与される。その後、特定の実施形態では、投与量もしくは投与頻度、またはそれらの両方が、症状に応じて、疾患、障害、または病状の改善が保持されるレベルまで減らされる。しかしながら、ある特定の実施形態では、患者には、症状の任意の再発に応じて、断続的な治療が長期的に必要である。
【0156】
そのような量に対応する所与の薬剤の量は、特定の医薬製剤、疾患病状及びその重症度、治療を必要とする対象または受給者の独自性(例えば、体重、性別)などの因子に依存して変化するが、それでもなお、例えば、特定の投与中のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニスト、治療中の症状、及び治療中の対象を含む、症例を取り巻く特定の状況に応じて決定することができる。
【0157】
本明細書では、医薬製剤は、本明細書に記載のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストと、他の化学化合物(すなわち、医薬的に許容可能な不活性成分)と、の混合物を指し、他の化学化合物は、担体、添加剤、結合剤、充填剤、懸濁剤、崩壊剤、分散剤、界面活性剤、潤滑剤、着色剤、希釈剤、可溶化剤、湿潤剤(moistening agent)、可塑剤、安定剤、浸透増進剤、湿潤剤(wetting agent)、消泡剤、抗酸化剤、保存剤、または1つもしくは複数のそれらの組み合わせなどである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、併用療法などにおいて、他の活性成分と混合される。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、他の治療上有用な物質を含む。他の実施形態では、医薬製剤は、他の薬用または医薬的な薬剤、担体、補助剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、もしくは乳化剤、溶解促進剤、浸透圧調節用の塩、及び/または緩衝剤を含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストと、緩衝剤との混合物を指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストと、リン酸緩衝剤との混合物を指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストと、リン酸緩衝剤との混合物を指し、リン酸緩衝剤のpHは、約7.0である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストと、リン酸-クエン酸緩衝剤との混合物を指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストと、リン酸-クエン酸緩衝剤との混合物を指し、リン酸-クエン酸緩衝剤のpHは、約6.0である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストと、リン酸-クエン酸緩衝剤との混合物を指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストと、リン酸-クエン酸緩衝剤との混合物を指し、リン酸-クエン酸緩衝剤のpHは、約5.0である。
【0159】
医薬製剤は、器官に対する化合物の投与を促進する。本明細書で提供される方法の実施においては、治療されることになる疾患、障害、または病状を有する哺乳類に対して、治療上有効な量の、本明細書に記載のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストが医薬製剤において投与される。いくつかの実施形態では、哺乳類は、ヒトである。治療上有効な量は、疾患の重症度、対象の年齢及び相対的な健康状態、使用される化合物の効力、ならびに他の因子に広く依存して変更することができる。ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、単独、または混合物の構成成分として1つもしくは複数の治療薬剤と併用して使用することができる。
【0160】
本明細書に記載の医薬製剤は、対象の鼻腔に投与される。本明細書に記載の医薬製剤には、限定はされないが、液体、懸濁液、エアロゾル、ゲル、軟膏、乾燥粉末、クリーム、ペースト、ローション、またはバルムが含まれる。
【0161】
本明細書に記載のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む医薬製剤は、通常の様式において製造される。
【0162】
医薬組成物は、活性成分として、本明細書に記載のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを、遊離酸もしくは遊離塩基の形態、または医薬的に許容可能な塩の形態において含むことになる。さらに、本明細書に記載の方法及び医薬製剤は、こうしたニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストと同一の型の活性を有する、そのN-オキシド(適切であれば)、結晶形態、非結晶層、ならびに活性代謝物の使用を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、非溶媒和形態として存在するか、または水、エタノール、及び同様のものなどの医薬的に許容可能な溶媒との溶媒和形態として存在してよい。本明細書に記載のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの溶媒和形態もまた、本明細書に開示されると考えられる。いくつかの実施形態では、化合物は、互変異性体として存在してよい。互変異性体はすべて、本明細書に記載のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストの範囲内に含まれる。
【0163】
いくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、エナンチオマー形態、ジアステレオマー形態、または他の立体異性形態として存在する。本明細書に開示のニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストには、エナンチオマー形態、ジアステレオマー形態、及びエピマー形態、ならびにそれらの混合物がすべて含まれる。
【0164】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される医薬製剤は、微生物の活性を抑制する1つまたは複数の保存剤を含む。適した保存剤には、メルフェン(merfen)及びチオメルサールなどの水銀含有物質と、安定化二酸化塩素と、塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、及び塩化セチルピリジニウムなどの四級アンモニウム化合物と、が含まれる。
【0165】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤には、抗酸化剤、金属キレート剤、チオール含有化合物、及び他の一般的な安定化剤が有益である。そのような安定化剤には、限定はされないが、(a)約0.5%~約2%w/vのグリセロール、(b)約0.1%~約1%w/vのメチオニン、(c)約0.1%~約2%w/vのモノチオグリセロール、(d)約1mM~約10mMのEDTA、(e)約0.01%~約2%w/vのアスコルビン酸、(f)0.003%~約0.02%w/vのポリソルベート80、(g)0.001%~約0.05%w/vのポリソルベート20、(h)アルギニン、(i)ヘパリン、(j)デキストラン硫酸、(k)シクロデキストリン、(l)ペントサンポリサルフェート及び他のヘパリノイド、(m)マグネシウム及び亜鉛などの2価陽イオン、または(n)それらの組み合わせが含まれる。
【0166】
本明細書に記載の医薬製剤は、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含み、限定はされないが、液体、懸濁液、エアロゾル、ゲル、軟膏、乾燥粉末、クリーム、ペースト、ローション、またはバルムを含む、任意の適した投与形態へと製剤化される。本明細書に記載の医薬製剤は、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを含み、任意の適した投与形態へと製剤化され、シリンジ、点滴器、ボトル噴霧器、噴霧ポンプ、吸入器、粉末噴霧機器、気化器、パッチ、薬用スティック、ピペット、または液体噴出によって鼻腔に投与される。
【0167】
併用療法
ある特定の実例では、別の治療薬剤と併用してニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを投与することが適している。
【0168】
1つの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、他の治療試薬とも併用して使用され、他の治療試薬は、それが治療中の病状に対して特定の有用性を有しているかということを対象にして選択される。一般に、本明細書に記載の組成物、及び併用療法が用いられる実施形態における他の薬剤は、物理的及び化学的な性質が異なるため、同一の医薬製剤または組成物として投与される必要はなく、異なる経路によって投与される。1つの実施形態では、初回投与は、確立されたプロトコールに従って実施され、その後、観測された効果に基づいて、投与量、投与様式、及び投与時間がさらに修正される。
【0169】
さまざまな実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、他の治療試薬と共に、同時(例えば、同時、本質的に同時、もしくは同一治療プロコール内)または逐次的に投与され、他の治療試薬は、それが治療中の病状に対して特定の有用性を有しているかということを対象にして選択される。ある特定の実施形態では、投与順序、及び治療プロトコール間のそれぞれの治療薬剤の反復投与数の決定は、治療中の疾患及び患者の病状の評価に基づくものである。
【0170】
いくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、乾燥疾患の治療を目的とする別の治療試薬と共に、同時(例えば、同時、本質的に同時、もしくは同一治療プロコール内)または逐次的に投与される。いくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、Restasis(登録商標)点眼薬と共に、同時(例えば、同時、本質的に同時、もしくは同一治療プロコール内)または逐次的に投与される。いくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、人工涙液と共に、同時(例えば、同時、本質的に同時、もしくは同一治療プロコール内)または逐次的に投与される。いくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、眼用のステロイドと共に、同時(例えば、同時、本質的に同時、もしくは同一治療プロコール内)または逐次的に投与される。
【0171】
本明細書に記載の併用療法については、同時投与される化合物の投与量は、用いる同時薬剤の型、用いる特定の薬剤、治療中の疾患または病状などに応じて変わるものである。
【0172】
そのような組み合わせの個々の化合物は、別々または統合された医薬製剤として、同時または逐次的のいずれかで投与される。1つの実施形態では、個々の化合物は、統合された医薬製剤として同時に投与されることになる。当業者なら既知の治療薬剤の適切な用量を理解するであろう。
【0173】
本明細書で称される組み合わせは、医薬的に許容可能な希釈剤(複数可)または担体(複数可)を一緒に含む医薬組成物の形態としての使用を目的として、便宜的に記載される。
【0174】
本明細書では、薬剤の組み合わせの投与には、単一組成物における記載の複数薬剤の投与、または1つもしくは複数の薬剤が、少なくとも1つの他の薬剤とは別々に投与される併用療法における記載の複数薬剤の投与、が含まれる。
【0175】
いくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、医療機器の使用と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、涙点プラグの使用と組み合わせて投与される。
【実施例】
【0176】
下記の特定の実施例は、単なる例示であると解釈されることになり、いかなる様式においても、本開示の非例示事項を限定するものではない。
【0177】
実施例1a:ドライアイ疾患(DED)の治療を目的とするニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストであるバレニクリンの鼻腔投与の安全性及び効力を評価するための臨床試験
目的:この試験では、成人患者における中程度~重度のDEDの治療を目的とする0.1%のバレニクリンのスプレー式点鼻薬(OC-01)の使用について評価した。この試験では、涙液産生の誘導及びDED症状の低減のためにOC-01を使用することの安全性及び効力について調べた。
【0178】
患者:中程度~重度のドライアイを有し、下記の対象基準及び除外基準をクリアした合計30人を参加者として登録した。
【0179】
基準:
対象基準:
・年齢18歳以上の男性及び女性
・インフォームドコンセントに署名する意思を有し、試験プロコールの要件に応じる能力を有すると考えられる者
・1回目のスクリーニング来訪時に、少なくとも一方の眼におけるシルマー(Schirmer)涙液試験(局所麻酔あり)の結果が≦10mm/5分である者
・1回目のスクリーニング来訪時に、少なくとも一方の眼におけるシルマー試験(局所麻酔、及び綿棒での鼻の刺激あり)の結果が、非刺激時の値と比較して、少なくとも7mm長い者
・1回目のスクリーニング来訪時に、眼表面疾患指数(Ocular Surface Disease Index)スコアのベースラインが少なくとも23であり、「該当なし」である回答数が3以下である者
・眼瞼/睫毛の構造、まばたき機能、及び閉眼が正常である者
除外基準:
・鼻血が慢性または再発性である者
・過去1年以内にタバコまたはニコチン製品(巻きタバコ、葉巻、電子タバコ)の使用歴を有する者
・血友病及び血小板減少症などの、出血増加をもたらし得る血液凝固障害を有する者
・涙腺、鼻、または副鼻腔に、腫瘍または顕著な外傷を有する者、涙腺または鼻孔の除神経につながる、涙腺、鼻、または副鼻腔の手術または焼灼の実施歴を有し、このことが、綿棒での鼻の刺激による応答が欠如していることによって証拠づけられる者
・鼻気道の重度閉塞(例えば、重度の鼻中隔湾曲症または下鼻甲介肥大)を有する者
・1回目のスクリーニング来訪の3ヶ月以内に、いずれかの眼の手術(屈折矯正手術または白内障手術など)を受ける者
・不安定な全身性の病状もしくは疾患を有する者であるか、または治験責任医師が、試験参加に適さない(例えば、現在、全身性の感染、制御不能の自己免疫疾患、制御不能の免疫不全疾患、心筋梗塞歴、制御不能の高血圧等を有する)と判断するか、もしくは試験で必要になる高頻度の評価に適さないと判断する、全身性の病状もしく疾患を有する者
・顕著な角膜または結膜の瘢痕、翼状片、または結節性の瞼裂斑、ドライアイと関連しない現在有する眼の感染または炎症、臨床的に顕著な角膜前(上皮)基底膜ジストロフィーまたは他の臨床的に顕著な角膜ジストロフィーもしくは角膜変性、臨床的に顕著な眼瞼炎、眼のヘルペス性感染症等などの、試験結果の解釈または患者の安全性を妨げるであろう、いずれかの眼における任意の眼の疾患または病状の病歴を有するか、またはそれを有する者
・鼻粘膜に接触する試験薬剤における処置上の薬剤または材料のいずれかに対する過敏性を有することが分かっている者
・初回スクリーニングの時点において、活性状態にあるか、または制御不能である重度の全身性のアレルギー、慢性的な季節性のアレルギー、鼻炎、または副鼻腔炎を有し、治療(すなわち、抗ヒスタミン剤、うっ血除去剤、経口ステロイド、またはエアロゾルステロイド)が必要である者
・1回目のスクリーニング来訪前の30日間、安定した投薬レジメンで使用されておらず、眼の乾燥を引き起こすことが知られている任意の薬剤(例えば、シクロスポリン、抗ヒスタミン剤、三環系抗うつ剤、抗不安剤、抗ムスカリン剤、ベータ遮断剤、利尿剤、フェノチアジン、ステロイド等)を現在使用している者
・溶解する涙点プラグを有する者(シリコンプラグを有する参加者、または涙点管(punctal duct)の永久閉鎖術を受けた参加者については、適格とする)
・1回目のスクリーニング来訪前の少なくとも7日間、及び試験期間中に使用を中止する場合を除き、コンタクトレンズを能動的に使用する者
・過去3ヵ月間に新たな活性物質または新たな装置を使用する任意の臨床試験に参加した者
・試験登録の時点で妊娠中であるか、妊娠の計画があるか、または授乳中である女性。出産可能年齢の女性に対しては、尿妊娠検査を実施するものとする。
・バレニクリンに対してアレルギー反応または有害反応を起こすことが分かっている者
・治験責任医師の意見により、この試験過程の間に、患者に対して緊急の医学的治療が必要となるであろう、不安定または制御不能な任意の心臓の病状、肺の病状、腎臓の病状、腫瘍学的な病状、神経学的な病状、代謝性の病状、または他の全身性の病状を有する者。これには、限定はされないが、心不整脈、高血圧、凝固障害、腎不全、及び糖尿病が含まれる。
対象/除外基準の例外:
治験責任医師は、不参加とすることが患者にとって最大の利益となると考えられるのであれば、任意の患者を不参加として試験から除外する権利を有する。
対象/除外基準に対する軽微な例外は、出資者に提出し、必要時は、メディカルモニターの助言を得て予め承認されるべきである。
患者の安全性/権利またはデータの妥当性に影響する重大な例外は、治験責任医師が迅速にIRB/ECに報告すべきである。
【0180】
主要評価項目:この試験の設計では、OC-01及び涙液産生に関して下記の測定が可能となる。
・単回用量のOC-01と関連する涙液産生変化
【0181】
副次的評価項目:この試験の設計では、OC-01及び涙液産生に関して下記の測定が可能となる。
・単回用量の媒体と関連する涙液産生変化
・単回用量のOC-01と関連する症状変化
・単回用量のOC-01と関連する症状緩和の持続期間
・単回用量の媒体と関連する症状変化
・単回用量の媒体と関連する症状緩和の持続期間
こうした比較を一緒に行うことで、ドライアイ疾患を有する患者における涙液産生の増加を目的とするOC-01の安全性及び効力に関する有用な情報が得られることになる。
【0182】
この試験の主要安全性評価項目は、有害事象(AE)の発生率及び関連性である。有害事象の記述統計学は、任意の重大、予測外、または薬剤関連のAEに対する説明となるように提供されるものとする。試験の間、患者の安全性を目的として、適切に認定された医師が鼻孔の完全性を監視するものとする。
【0183】
試験設計:この試験は、前向き単一群クロスオーバー試験であり、中程度~重度のドライアイを有する参加者における、0.1%のバレニクリンのスプレー式点鼻薬であるOC-01の安全性及び効力を評価するものである。最大で30人の参加者を登録し、7日間観察するものとする。
【0184】
1回目のスクリーニング来訪時に、試験期間に向けて、適格参加者はすべて、自身が現在使用している人工涙液または眼を潤す点眼薬の使用を中止するものとし、適格参加者のドライアイ症状が耐え難いものとなるであれば、保存剤を含まない単位用量の人工涙液を提供して使用するものとする。空の単位用量バイアルは、それぞれの試験来訪時に回収し、数を数えるものとする。鼻用薬剤の投与から30分以内、または試験来訪から2時間以内は、人工涙液を使用しないように患者に指示するものとする。
【0185】
2回目のスクリーニング来訪/試験0日目に、適格参加者はすべて、2つの鼻用製剤であるOC-01及び媒体対照に対する応答を試験するものとする。それぞれの鼻腔内用量の送達直前及び送達直後に、ジョーンズシルマー(Jones Schirmer)試験を両眼で実施して涙液産生を評価するものとする。それぞれの患者へのOC-01製剤及び媒体製剤の投与順序は、無作為に割り付けるものとし、患者及び試験者は両者共に、鼻用製剤を識別できないものとする。涙液産生評価後の少なくとも90分時点で、2つの鼻用製剤のそれぞれの送達に応じた症状変化を評価するものとする。症状評価は、よく確立された環境負荷モデルであり、Biocentric Developments,LLCによって製造されたClimaTears Goggle Systemを使用して実施するものとする。
【0186】
0日目の試験後、OC-01のボトルをすべての患者に渡し、患者はそれを家に持ち帰って1日目~6日目の間、1日1回自己投与するものとする。7日目に患者を診療所に戻し、それぞれの鼻用製剤の投与による、患者の涙液産生及び症状を再び評価するものとする。
【0187】
涙液評価
下記の眼表面及び涙液層の評価は、記載の順序で実施するものとする。
【0188】
眼表面染色-フルオレセインを使用した角膜染色
フルオレセイン及びリサミングリーンを使用した眼表面染色は、National Eye Instituteの段階分け方式を使用して、症例記録表の略図にある5つの角膜領域及び6つの結膜領域に、片眼ごとに評価及び記録するものとする。症例記録表(CRF)には、図及び説明入りの段階分け尺度(段階0~3)が含まれる。
1. 角膜染色は、1.0mgのフルオレセインナトリウムを含む濾紙片を使用して評価すべきである。
2. 濾紙片の末端を1滴の緩衝生理食塩水で湿らせた後、過剰分は、しっかりとはじいて振動で落とす。
3. その後、下眼瞼を引き下げ、反射による涙液産生を誘導しないようにしながら、導入する色素量が極少となるよう意識し、先端の平らな末端部を下眼瞼結膜に対して穏やかに適用するべきである。
4. 無理やり力を入れて眼瞼を閉じることはせず、フルオレセインが分布するように、自然に数回まばたきをするように患者に指示するものとする。
5. 少なくとも1分間、フルオレセインをそのまま眼に残存させた後、蛍光視野を最大化するために、コバルト(青色)フィルターと併せて黄色(Wratten12番)バリアフィルターを使用して、5つの角膜領域を段階分けするものとする。上眼瞼を少し上げて角膜表面全体を段階分けする。コントラスト増進のために、戻り光の経路(入射光の経路ではない)に黄色バリアフィルターを配置すること。
【0189】
涙液層破壊時間(TFBUT)
TFBUTは、下記の段階に従って細隙灯顕微鏡を使用して評価するものとする。
1. 細隙灯は、約10倍の拡大率に設定するものとする。
2. 適量のフルオレセインを所定部位に導入し(好ましくは、DET濾紙片を使用する)、患者に対して、真っすぐに前を見詰め、指示があるまでまばたきをしないよう依頼するものとする。試験は、患者の顔に風が直接あたらないようにして室内で実施するべきである。
3. 最後に完全にまばたきしてから、涙液層の破壊を示す成長性のミセル(micelle)が最初に出現するまでの時間を、ストップウオッチを使用して記録するものとする。
注意:角膜表面に映る像(mire)の破壊が生じる前に患者が早まってまばたきをしたのであれば、試験者は測定値の取得を継続して試みるべきである。
4. TFBUTを観測した時点で、自由にまばたきするように患者に指示する。その後、同一の眼で、この試験を2回目として再度実施するべきである。
5. 1回目と2回目との測定値差異が2秒を超えるのであれば、3回目の測定を実施して記録すべきである。
6. その後、この手順をもう一方の眼で実施するものとする。
7. TFBUTは、温度が約18C、湿度が約50%の室内で実施することが推奨される。
【0190】
眼表面染色-リサミングリーンを使用した結膜染色
眼表面染色の評価は、リサミングリーンを使用した結膜染色で完了するものとする。
1. リサミングリーンの眼用濾紙片は、緩衝生理食塩水で湿らせ、下眼瞼結膜に適用すべきである。適量の色素を導入するよう注意を払うべきである。
2. リサミングリーンをそのまま眼に1分間残存させた後、鼻側及び側頭側の6つの結膜領域を段階分けするものとする。
3. 側頭側の領域を段階分けするには、鼻側を見るように対象に指示するべきであり、鼻側の領域を段階分けするには、側頭側を見るように対象に指示するべきである。
4. その後、この手順をもう一方の眼で完了すべきである。
【0191】
シルマー試験
1回目のスクリーニング来訪時に、基礎的なジョーンズシルマー試験を1回実施した後、綿棒で鼻を刺激するシルマー試験を実施するものとする。局所麻酔を実施するジョーンズシルマー試験を使用して、下記の段階を踏んで涙液産生を評価するものとする。
1. 0.5%のプロパラカイン塩酸塩または同等のものなどの局所麻酔点眼薬を患者の両眼に導入すべきである。
2. 患者には、1分間穏やかに眼を閉じてそのままにするよう指示するものとする。
3. 眼を開けた後、さらに約1分間、眼が回復する時間をとり、下結膜円蓋の過剰な水分を綿棒で軽く除去する。
4. 下眼瞼の中央と外側3分の1との接合部で、それぞれの眼にシルマー濾紙片(35mm x 5mmサイズの濾紙片)を置くものとする。
5. 試験実施中は、環境光下で前を見て、通常通りまばたきをするように患者に指示するものとする。試験は、患者の顔に風が直接あたらないようにして室内で実施するべきである。
6. 5分後、両眼から濾紙片を回収し、濡れた量を記録するものとする。濾紙片は、CRFにテープで張り付けるべきである。注意:万一シルマースコアが、終点である5分より前に最大値に達したのであれば、濾紙片を回収してよく、最大値に達するのに要した時間を記録する。しかしながら、反対側の眼の濾紙片は、終点である5分より前にそちらも最大スコアに達するまでは回収するべきではない。
7. シルマー試験は、複数回実施するため、必要に応じて麻酔点眼薬を新たに添加するべきである。
【0192】
綿棒で鼻を刺激するシルマー試験
1. 1回目のスクリーニング来訪時に、綿棒で鼻を刺激して、シルマー試験を実施するべきである。試験者は、新しい濾紙片を所定部位に置き、参加者の両方の鼻孔に綿棒を同時に挿入して、約30秒間、両方の中鼻甲介に穏やかに刺激を与えるべきである。この後、試験者は、穏やかに圧を加えながら、綿棒を所定部位にとどめるだけにし、必要に応じて断続的に繰り返し刺激を与えてよい。
2. あるいは、綿棒をとどめ、両方の鼻甲介に同時に穏やかに刺激を与え、その間、断続的に静止させてから再刺激するように参加者に指示してよい。試験者は、どのようにしてこの試験を正しく実施するかについて参加者に継続的に指導すべきである。
3. シルマー濾紙片は、5分が経過するか、または最大スコアに達するまで所定部位にとどめるべきである。
両方のシルマースコアを記録し、それが対象基準に適合するかどうかを検証するものとする。シルマー試験は、2回実施するため、必要に応じて麻酔点眼薬を新たに導入するべきである。
【0193】
2つのスプレー式点鼻薬アプリケーションのそれぞれを使用したシルマー試験
2つのスプレー式点鼻薬アプリケーションのそれぞれを使用し、局所麻酔を実施するジョーンズシルマー試験を使用して、下記の段階を踏んで涙液産生を評価するものとする。
1. 0.5%のプロパラカイン塩酸塩または同等のものなどの局所麻酔点眼薬を、それぞれのアプリケーションを対象とする参加者の両眼に導入すべきである。
2. 参加者には、1分間穏やかに眼を閉じてそのままにするよう指示するものとする。
3. 眼を開けた後、さらに約1分間、眼が回復する時間をとり、下結膜円蓋の過剰な水分を眼用スポンジ(spear)で軽く除去する。
4. 下眼瞼の中央と外側3分の1との接合部で、それぞれの眼にシルマー濾紙片(35mm x 5mmサイズの濾紙片)を置くものとする。
5. 試験実施中は、環境光下で前を見て、通常通りまばたきをするように参加者に指示するものとする。試験は、参加者の顔に風が直接あたらないようにして室内で実施するべきである。
6. 5分後、両眼から濾紙片を回収し、濡れた量を記録するものとする。濾紙片は、CRFにテープで張り付けるべきである。
【0194】
ドライアイの誘発及び症状の評価
ClimaTears Goggle System(Biocentric Developments,LLC)を使用することで、眼周辺の湿度を減少させ、患者のドライアイ症状を誘導するものとする。このシステムは、ドライアイ患者の臨床試験を対象として、試験条件の標準化を目的として設計されたものである。
【0195】
患者は、ClimaTears Gogglesを最大90分間連続して装着し、試験時間の間、5分ごとに視覚的アナログ尺度(VAS)を使用して自身の症状を記録するものとする。自身の乾燥症状を(両眼同時に)評価するように対象に依頼し、評価は、水平線上に垂直印をつけて不快感のレベルを示すことによって実施するものとする。「0」は、「乾燥なし」に対応し、5は、「最大の乾燥度」に対応する。尺度の評価線の長さは、100mmとする。
【0196】
0日目に、患者にゴーグルを装着させて、2回の連続測定で、症状スコアが45mm以上に達するまで患者を監視し、その時点で、一定用量のOC-01スプレー式点鼻薬または対照スプレー式点鼻薬のいずれかを無作為に患者に投与するものとする。この投与は、2回の連続した45mmの測定の2.5分後に実施するものとする。2回の連続測定で、患者のスコアが再び45mm以上に達するまで症状を継続して監視し、その時点で、1回目に投与されていないどちらかの試験物品を2回目の点鼻薬用量として患者に投与するものとする。2回目の点鼻薬用量を投与した後、2回の連続測定で、患者のスコアが45mm以上に達するまで症状を再び監視するものとする。その時点で、ゴーグルを外し、試験を終了するものとする。試験が依然として継続中であるならば、ゴーグル環境に対する曝露から90分後に試験を終了するものとする。この時間の終了時点で、どちらのスプレー式点鼻薬が自身のドライアイ症状をより緩和したかを決定するよう、それぞれの患者に依頼するものとする。
【0197】
7日目に、患者にゴーグルを装着させて、2回の連続測定で、症状スコアが45mm以上に達するまで患者を監視し、その時点で、一定用量のOC-01スプレー式点鼻薬を患者に投与するものとする。2回の連続測定で、患者のスコアが再び45mm以上に達するまで症状を継続して監視し、その時点で、ゴーグルを外し、試験を終了するものとする。試験が依然として継続中であるならば、ゴーグル環境に対する曝露から90分後に試験を終了するものとする。
【0198】
ベースラインの症状スコアが45mmを超える参加患者は、このベースラインスコアと等しい治療閾値を有することになり、したがって、2回の連続測定で、症状が、この値以上となった後に治療を受けるものとする。
【0199】
患者は、試験開始前に指示書(上記の太字部分)を読んでおくこととし、いずれのスプレー式点鼻薬も、投与後直ちに症状値を記録するものとする。
【0200】
涙液層評価及びドライアイ症状の結果:
OC-01を投与した患者の涙液産生量は、ベースライン及びプラセボの両方と比較して統計学的に有意に増加した(
図1)。さらに、患者が報告したドライアイ症状についても、OC-01を投与した患者において、プラセボと比較して改善した(
図2)。
【0201】
実施例1b:ドライアイ疾患(DED)の治療を目的とするニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストであるシチシンの鼻腔投与の安全性及び効力を評価するための臨床試験
目的:この試験では、成人患者における中程度~重度のDEDの治療を目的とする0.1%のシチシンのスプレー式点鼻薬(OC-02)の使用について評価する。この試験では、涙液産生の誘導及びDED症状の低減のためにOC-02を使用することの安全性及び効力について調べるものとする。
【0202】
患者:中程度~重度のドライアイを有し、下記の対象基準及び除外基準をクリアする合計30人を参加者として登録するものとする。
【0203】
基準:
対象基準:
・年齢18歳以上の男性及び女性
・インフォームドコンセントに署名する意思を有し、試験プロコールの要件に応じる能力を有すると考えられる者
・1回目のスクリーニング来訪時に、少なくとも一方の眼におけるシルマー涙液試験(局所麻酔あり)の結果が≦10mm/5分である者
・1回目のスクリーニング来訪時に、少なくとも一方の眼におけるシルマー試験(局所麻酔、及び綿棒での鼻の刺激あり)の結果が、非刺激時の値と比較して、少なくとも7mm長い者
・1回目のスクリーニング来訪時に、眼表面疾患指数スコアのベースラインが少なくとも23であり、「該当なし」である回答数が3以下である者
・眼瞼/睫毛の構造、まばたき機能、及び閉眼が正常である者
除外基準:
・鼻血が慢性または再発性である者
・過去1年以内にタバコまたはニコチン製品(巻きタバコ、葉巻、電子タバコ)の使用歴を有する者
・血友病及び血小板減少症などの、出血増加をもたらし得る血液凝固障害を有する者
・涙腺、鼻、または副鼻腔に、腫瘍または顕著な外傷を有する者、涙腺または鼻孔の除神経につながる、涙腺、鼻、または副鼻腔の手術または焼灼の実施歴を有し、このことが、綿棒での鼻の刺激による応答が欠如していることによって証拠づけられる者
・鼻気道の重度閉塞(例えば、重度の鼻中隔湾曲症または下鼻甲介肥大)を有する者
・1回目のスクリーニング来訪の3ヶ月以内に、いずれかの眼の手術(屈折矯正手術または白内障手術など)を受ける者
・不安定な全身性の病状もしくは疾患を有する者であるか、または治験責任医師が、試験参加に適さない(例えば、現在、全身性の感染、制御不能の自己免疫疾患、制御不能の免疫不全疾患、心筋梗塞歴、制御不能の高血圧等を有する)と判断するか、もしくは試験で必要になる高頻度の評価に適さないと判断する、全身性の病状もしく疾患を有する者
・顕著な角膜または結膜の瘢痕、翼状片、または結節性の瞼裂斑、ドライアイと関連しない現在有する眼の感染または炎症、臨床的に顕著な角膜前(上皮)基底膜ジストロフィーまたは他の臨床的に顕著な角膜ジストロフィーもしくは角膜変性、臨床的に顕著な眼瞼炎、眼のヘルペス性感染症等などの、試験結果の解釈または患者の安全性を妨げるであろう、いずれかの眼における任意の眼の疾患または病状の病歴を有するか、またはそれを有する者
・鼻粘膜に接触する試験薬剤における処置上の薬剤または材料のいずれかに対する過敏性を有することが分かっている者
・初回スクリーニングの時点において、活性状態にあるか、または制御不能である重度の全身性のアレルギー、慢性的な季節性のアレルギー、鼻炎、または副鼻腔炎を有し、治療(すなわち、抗ヒスタミン剤、うっ血除去剤、経口ステロイド、またはエアロゾルステロイド)が必要である者
・1回目のスクリーニング来訪前の30日間、安定した投薬レジメンで使用されておらず、眼の乾燥を引き起こすことが知られている任意の薬剤(例えば、シクロスポリン、抗ヒスタミン剤、三環系抗うつ剤、抗不安剤、抗ムスカリン剤、ベータ遮断剤、利尿剤、フェノチアジン、ステロイド等)を現在使用している者
・溶解する涙点プラグを有する者(シリコンプラグを有する参加者、または涙点管の永久閉鎖術を受けた参加者については、適格とする)
・1回目のスクリーニング来訪前の少なくとも7日間、及び試験期間中に使用を中止する場合を除き、コンタクトレンズを能動的に使用する者
・過去3ヵ月間に新たな活性物質または新たな装置を使用する任意の臨床試験に参加した者
・試験登録の時点で妊娠中であるか、妊娠の計画があるか、または授乳中である女性。出産可能年齢の女性に対しては、尿妊娠検査を実施するものとする。
・シチシンに対してアレルギー反応または有害反応を起こすことが分かっている者
・治験責任医師の意見により、この試験過程の間に、患者に対して緊急の医学的治療が必要となるであろう、不安定または制御不能な任意の心臓の病状、肺の病状、腎臓の病状、腫瘍学的な病状、神経学的な病状、代謝性の病状、または他の全身性の病状を有する者。これには、限定はされないが、心不整脈、高血圧、凝固障害、腎不全、及び糖尿病が含まれる。
対象/除外基準の例外:
治験責任医師は、不参加とすることが患者にとって最大の利益となると考えられるのであれば、任意の患者を不参加として試験から除外する権利を有する。
対象/除外基準に対する軽微な例外は、出資者に提出し、必要時は、メディカルモニターの助言を得て予め承認されるべきである。
患者の安全性/権利またはデータの妥当性に影響する重大な例外は、治験責任医師が迅速にIRB/ECに報告すべきである。
【0204】
主要評価項目:この試験の設計では、OC-02及び涙液産生に関して下記の測定が可能となる。
・単回用量のOC-02と関連する涙液産生変化
【0205】
副次的評価項目:この試験の設計では、OC-02及び涙液産生に関して下記の測定が可能となる。
・単回用量の媒体と関連する涙液産生変化
・単回用量のOC-02と関連する症状変化
・単回用量のOC-02と関連する症状緩和の持続期間
・単回用量の媒体と関連する症状変化
・単回用量の媒体と関連する症状緩和の持続期間
こうした比較を一緒に行うことで、ドライアイ疾患を有する患者における涙液産生の増加を目的とするOC-02の安全性及び効力に関する有用な情報が得られることになる。
【0206】
この試験の主要安全性評価項目は、有害事象(AE)の発生率及び関連性である。有害事象の記述統計学は、任意の重大、予測外、または薬剤関連のAEに対する説明となるように提供されるものとする。試験の間、患者の安全性を目的として、適切に認定された医師が鼻孔の完全性を監視するものとする。
【0207】
試験設計:この試験は、前向き単一群クロスオーバー試験であり、中程度~重度のドライアイを有する参加者における、0.1%のシチシンのスプレー式点鼻薬であるOC-02の安全性及び効力を評価するものである。最大で30人の参加者を登録し、7日間観察するものとする。
【0208】
1回目のスクリーニング来訪時に、試験期間に向けて、適格参加者はすべて、自身が現在使用している人工涙液または眼を潤す点眼薬の使用を中止するものとし、適格参加者のドライアイ症状が耐え難いものとなるであれば、保存剤を含まない単位用量の人工涙液を提供して使用するものとする。空の単位用量バイアルは、それぞれの試験来訪時に回収し、数を数えるものとする。鼻用薬剤の投与から30分以内、または試験来訪から2時間以内は、人工涙液を使用しないように患者に指示するものとする。
【0209】
2回目のスクリーニング来訪/試験0日目に、適格参加者はすべて、2つの鼻用製剤であるOC-02及び媒体対照に対する応答を試験するものとする。それぞれの鼻腔内用量の送達直前及び送達直後に、ジョーンズシルマー試験を両眼で実施して涙液産生を評価するものとする。それぞれの患者へのOC-02製剤及び媒体製剤の投与順序は、無作為に割り付けるものとし、患者及び試験者は両者共に、鼻用製剤を識別できないものとする。涙液産生評価後の少なくとも90分時点で、2つの鼻用製剤のそれぞれの送達に応じた症状変化を評価するものとする。症状評価は、よく確立された環境負荷モデルであり、Biocentric Developments,LLCによって製造されたClimaTears Goggle Systemを使用して実施するものとする。
【0210】
0日目の試験後、OC-02のボトルをすべての患者に渡し、患者はそれを家に持ち帰って1日目~6日目の間、1日1回自己投与するものとする。7日目に患者を診療所に戻し、それぞれの鼻用製剤の投与による、患者の涙液産生及び症状を再び評価するものとする。
【0211】
涙液評価
下記の眼表面及び涙液層の評価は、記載の順序で実施するものとする。
【0212】
眼表面染色-フルオレセインを使用した角膜染色
フルオレセイン及びリサミングリーンを使用した眼表面染色は、National Eye Instituteの段階分け方式を使用して、症例記録表の略図にある5つの角膜領域及び6つの結膜領域に、片眼ごとに評価及び記録するものとする。症例記録表(CRF)には、図及び説明入りの段階分け尺度(段階0~3)が含まれる。
1. 角膜染色は、1.0mgのフルオレセインナトリウムを含む濾紙片を使用して評価すべきである。
2. 濾紙片の末端を1滴の緩衝生理食塩水で湿らせた後、過剰分は、しっかりとはじいて振動で落とす。
3. その後、下眼瞼を引き下げ、反射による涙液産生を誘導しないようにしながら、導入する色素量が極少となるよう意識し、先端の平らな末端部を下眼瞼結膜に対して穏やかに適用するべきである。
4. 無理やり力を入れて眼瞼を閉じることはせず、フルオレセインが分布するように、自然に数回まばたきをするように患者に指示するものとする。
5. 少なくとも1分間、フルオレセインをそのまま眼に残存させた後、蛍光視野を最大化するために、コバルト(青色)フィルターと併せて黄色(Wratten12番)バリアフィルターを使用して、5つの角膜領域を段階分けするものとする。上眼瞼を少し上げて角膜表面全体を段階分けする。コントラスト増進のために、戻り光の経路(入射光の経路ではない)に黄色バリアフィルターを配置すること。
【0213】
涙液層破壊時間(TFBUT)
TFBUTは、下記の段階に従って細隙灯顕微鏡を使用して評価するものとする。
1. 細隙灯は、約10倍の拡大率に設定するものとする。
2. 適量のフルオレセインを所定部位に導入し(好ましくは、DET濾紙片を使用する)、患者に対して、真っすぐに前を見詰め、指示があるまでまばたきをしないよう依頼するものとする。試験は、患者の顔に風が直接あたらないようにして室内で実施するべきである。
3. 最後に完全にまばたきしてから、涙液層の破壊を示す成長性のミセルが最初に出現するまでの時間を、ストップウオッチを使用して記録するものとする。
注意:角膜表面に映る像の破壊が生じる前に患者が早まってまばたきをしたのであれば、試験者は測定値の取得を継続して試みるべきである。
4. TFBUTを観測した時点で、自由にまばたきするように患者に指示する。その後、同一の眼で、この試験を2回目として再度実施するべきである。
5. 1回目と2回目との測定値差異が2秒を超えるのであれば、3回目の測定を実施して記録すべきである。
6. その後、この手順をもう一方の眼で実施するものとする。
7. TFBUTは、温度が約18C、湿度が約50%の室内で実施することが推奨される。
【0214】
眼表面染色-リサミングリーンを使用した結膜染色
眼表面染色の評価は、リサミングリーンを使用した結膜染色で完了するものとする。
1. リサミングリーンの眼用濾紙片は、緩衝生理食塩水で湿らせ、下眼瞼結膜に適用すべきである。適量の色素を導入するよう注意を払うべきである。
2. リサミングリーンをそのまま眼に1分間残存させた後、鼻側及び側頭側の6つの結膜領域を段階分けするものとする。
3. 側頭側の領域を段階分けするには、鼻側を見るように対象に指示するべきであり、鼻側の領域を段階分けするには、側頭側を見るように対象に指示するべきである。
4. その後、この手順をもう一方の眼で完了すべきである。
【0215】
シルマー試験
1回目のスクリーニング来訪時に、基礎的なジョーンズシルマー試験を1回実施した後、綿棒で鼻を刺激するシルマー試験を実施するものとする。局所麻酔を実施するジョーンズシルマー試験を使用して、下記の段階を踏んで涙液産生を評価するものとする。
1. 0.5%のプロパラカイン塩酸塩または同等のものなどの局所麻酔点眼薬を患者の両眼に導入すべきである。
2. 患者には、1分間穏やかに眼を閉じてそのままにするよう指示するものとする。
3. 眼を開けた後、さらに約1分間、眼が回復する時間をとり、下結膜円蓋の過剰な水分を綿棒で軽く除去する。
4. 下眼瞼の中央と外側3分の1との接合部で、それぞれの眼にシルマー濾紙片(35mm x 5mmサイズの濾紙片)を置くものとする。
5. 試験実施中は、環境光下で前を見て、通常通りまばたきをするように患者に指示するものとする。試験は、患者の顔に風が直接あたらないようにして室内で実施するべきである。
6. 5分後、両眼から濾紙片を回収し、濡れた量を記録するものとする。濾紙片は、CRFにテープで張り付けるべきである。注意:万一シルマースコアが、終点である5分より前に最大値に達したのであれば、濾紙片を回収してよく、最大値に達するのに要した時間を記録する。しかしながら、反対側の眼の濾紙片は、終点である5分より前にそちらも最大スコアに達するまでは回収するべきではない。
7. シルマー試験は、複数回実施するため、必要に応じて麻酔点眼薬を新たに添加するべきである。
【0216】
綿棒で鼻を刺激するシルマー試験
1. 1回目のスクリーニング来訪時に、綿棒で鼻を刺激して、シルマー試験を実施するべきである。試験者は、新しい濾紙片を所定部位に置き、参加者の両方の鼻孔に綿棒を同時に挿入して、約30秒間、両方の中鼻甲介に穏やかに刺激を与えるべきである。この後、試験者は、穏やかに圧を加えながら、綿棒を所定部位にとどめるだけにし、必要に応じて断続的に繰り返し刺激を与えてよい。
2. あるいは、綿棒をとどめ、両方の鼻甲介に同時に穏やかに刺激を与え、その間、断続的に静止させてから再刺激するように参加者に指示してよい。試験者は、どのようにしてこの試験を正しく実施するかについて参加者に継続的に指導すべきである。
3. シルマー濾紙片は、5分が経過するか、または最大スコアに達するまで所定部位にとどめるべきである。
両方のシルマースコアを記録し、それが対象基準に適合するかどうかを検証するものとする。シルマー試験は、2回実施するため、必要に応じて麻酔点眼薬を新たに導入するべきである。
【0217】
2つのスプレー式点鼻薬アプリケーションのそれぞれを使用したシルマー試験
2つのスプレー式点鼻薬アプリケーションのそれぞれを使用し、局所麻酔を実施するジョーンズシルマー試験を使用して、下記の段階を踏んで涙液産生を評価するものとする。
1. 0.5%のプロパラカイン塩酸塩または同等のものなどの局所麻酔点眼薬を、それぞれのアプリケーションを対象とする参加者の両眼に導入すべきである。
2. 参加者には、1分間穏やかに眼を閉じてそのままにするよう指示するものとする。
3. 眼を開けた後、さらに約1分間、眼が回復する時間をとり、下結膜円蓋の過剰な水分を眼用スポンジで軽く除去する。
4. 下眼瞼の中央と外側3分の1との接合部で、それぞれの眼にシルマー濾紙片(35mm x 5mmサイズの濾紙片)を置くものとする。
5. 試験実施中は、環境光下で前を見て、通常通りまばたきをするように参加者に指示するものとする。試験は、参加者の顔に風が直接あたらないようにして室内で実施するべきである。
6. 5分後、両眼から濾紙片を回収し、濡れた量を記録するものとする。濾紙片は、CRFにテープで張り付けるべきである。
【0218】
ドライアイの誘発及び症状の評価
ClimaTears Goggle System(Biocentric Developments,LLC)を使用することで、眼周辺の湿度を減少させ、患者のドライアイ症状を誘導するものとする。このシステムは、ドライアイ患者の臨床試験を対象として、試験条件の標準化を目的として設計されたものである。
【0219】
患者は、ClimaTears Gogglesを最大90分間連続して装着し、試験時間の間、5分ごとに視覚的アナログ尺度(VAS)を使用して自身の症状を記録するものとする。自身の乾燥症状を(両眼同時に)評価するように対象に依頼し、評価は、水平線上に垂直印をつけて不快感のレベルを示すことによって実施するものとする。「0」は、「乾燥なし」に対応し、5は、「最大の乾燥度」に対応する。尺度の評価線の長さは、100mmとする。
【0220】
0日目に、患者にゴーグルを装着させて、2回の連続測定で、症状スコアが45mm以上に達するまで患者を監視し、その時点で、一定用量のOC-02スプレー式点鼻薬または対照スプレー式点鼻薬のいずれかを無作為に患者に投与するものとする。この投与は、2回の連続した45mmの測定の2.5分後に実施するものとする。2回の連続測定で、患者のスコアが再び45mm以上に達するまで症状を継続して監視し、その時点で、1回目に投与されていないどちらかの試験物品を2回目の点鼻薬用量として患者に投与するものとする。2回目の点鼻薬用量を投与した後、2回の連続測定で、患者のスコアが45mm以上に達するまで症状を再び監視するものとする。その時点で、ゴーグルを外し、試験を終了するものとする。試験が依然として継続中であるならば、ゴーグル環境に対する曝露から90分後に試験を終了するものとする。この時間の終了時点で、どちらのスプレー式点鼻薬が自身のドライアイ症状をより緩和したかを決定するよう、それぞれの患者に依頼するものとする。
【0221】
7日目に、患者にゴーグルを装着させて、2回の連続測定で、症状スコアが45mm以上に達するまで患者を監視し、その時点で、一定用量のOC-02スプレー式点鼻薬を患者に投与するものとする。2回の連続測定で、患者のスコアが再び45mm以上に達するまで症状を継続して監視し、その時点で、ゴーグルを外し、試験を終了するものとする。試験が依然として継続中であるならば、ゴーグル環境に対する曝露から90分後に試験を終了するものとする。
【0222】
ベースラインの症状スコアが45mmを超える参加患者は、このベースラインスコアと等しい治療閾値を有することになり、したがって、2回の連続測定で、症状が、この値以上となった後に治療を受けるものとする。
【0223】
患者は、試験開始前に指示書(上記の太字部分)を読んでおくこととし、いずれのスプレー式点鼻薬も、投与後直ちに症状値を記録するものとする。
【0224】
実施例1c:ドライアイ疾患(DED)の治療を目的とするニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストであるエピバチジンの鼻腔投与の安全性及び効力を評価するための臨床試験
目的:この試験では、成人患者における中程度~重度のDEDの治療を目的とする0.1%のエピバチジンのスプレー式点鼻薬(OC-03)の使用について評価する。この試験では、涙液産生の誘導及びDED症状の低減のためにOC-03を使用することの安全性及び効力について調べるものとする。
【0225】
患者:中程度~重度のドライアイを有し、下記の対象基準及び除外基準をクリアする合計30人を参加者として登録するものとする。
【0226】
基準:
対象基準:
・年齢18歳以上の男性及び女性
・インフォームドコンセントに署名する意思を有し、試験プロコールの要件に応じる能力を有すると考えられる者
・1回目のスクリーニング来訪時に、少なくとも一方の眼におけるシルマー涙液試験(局所麻酔あり)の結果が≦10mm/5分である者
・1回目のスクリーニング来訪時に、少なくとも一方の眼におけるシルマー試験(局所麻酔、及び綿棒での鼻の刺激あり)の結果が、非刺激時の値と比較して、少なくとも7mm長い者
・1回目のスクリーニング来訪時に、眼表面疾患指数スコアのベースラインが少なくとも23であり、「該当なし」である回答数が3以下である者
・眼瞼/睫毛の構造、まばたき機能、及び閉眼が正常である者
除外基準:
・鼻血が慢性または再発性である者
・過去1年以内にタバコまたはニコチン製品(巻きタバコ、葉巻、電子タバコ)の使用歴を有する者
・血友病及び血小板減少症などの、出血増加をもたらし得る血液凝固障害を有する者
・涙腺、鼻、または副鼻腔に、腫瘍または顕著な外傷を有する者、涙腺または鼻孔の除神経につながる、涙腺、鼻、または副鼻腔の手術または焼灼の実施歴を有し、このことが、綿棒での鼻の刺激による応答が欠如していることによって証拠づけられる者
・鼻気道の重度閉塞(例えば、重度の鼻中隔湾曲症または下鼻甲介肥大)を有する者
・1回目のスクリーニング来訪の3ヶ月以内に、いずれかの眼の手術(屈折矯正手術または白内障手術など)を受ける者
・不安定な全身性の病状もしくは疾患を有する者であるか、または治験責任医師が、試験参加に適さない(例えば、現在、全身性の感染、制御不能の自己免疫疾患、制御不能の免疫不全疾患、心筋梗塞歴、制御不能の高血圧等を有する)と判断するか、もしくは試験で必要になる高頻度の評価に適さないと判断する、全身性の病状もしく疾患を有する者
・顕著な角膜または結膜の瘢痕、翼状片、または結節性の瞼裂斑、ドライアイと関連しない現在有する眼の感染または炎症、臨床的に顕著な角膜前(上皮)基底膜ジストロフィーまたは他の臨床的に顕著な角膜ジストロフィーもしくは角膜変性、臨床的に顕著な眼瞼炎、眼のヘルペス性感染症等などの、試験結果の解釈または患者の安全性を妨げるであろう、いずれかの眼における任意の眼の疾患または病状の病歴を有するか、またはそれを有する者
・鼻粘膜に接触する試験薬剤における処置上の薬剤または材料のいずれかに対する過敏性を有することが分かっている者
・初回スクリーニングの時点において、活性状態にあるか、または制御不能である重度の全身性のアレルギー、慢性的な季節性のアレルギー、鼻炎、または副鼻腔炎を有し、治療(すなわち、抗ヒスタミン剤、うっ血除去剤、経口ステロイド、またはエアロゾルステロイド)が必要である者
・1回目のスクリーニング来訪前の30日間、安定した投薬レジメンで使用されておらず、眼の乾燥を引き起こすことが知られている任意の薬剤(例えば、シクロスポリン、抗ヒスタミン剤、三環系抗うつ剤、抗不安剤、抗ムスカリン剤、ベータ遮断剤、利尿剤、フェノチアジン、ステロイド等)を現在使用している者
・溶解する涙点プラグを有する者(シリコンプラグを有する参加者、または涙点管の永久閉鎖術を受けた参加者については、適格とする)
・1回目のスクリーニング来訪前の少なくとも7日間、及び試験期間中に使用を中止する場合を除き、コンタクトレンズを能動的に使用する者
・過去3ヵ月間に新たな活性物質または新たな装置を使用する任意の臨床試験に参加した者
・試験登録の時点で妊娠中であるか、妊娠の計画があるか、または授乳中である女性。出産可能年齢の女性に対しては、尿妊娠検査を実施するものとする。
・エピバチジンに対してアレルギー反応または有害反応を起こすことが分かっている者
・治験責任医師の意見により、この試験過程の間に、患者に対して緊急の医学的治療が必要となるであろう、不安定または制御不能な任意の心臓の病状、肺の病状、腎臓の病状、腫瘍学的な病状、神経学的な病状、代謝性の病状、または他の全身性の病状を有する者。これには、限定はされないが、心不整脈、高血圧、凝固障害、腎不全、及び糖尿病が含まれる。
対象/除外基準の例外:
治験責任医師は、不参加とすることが患者にとって最大の利益となると考えられるのであれば、任意の患者を不参加として試験から除外する権利を有する。
対象/除外基準に対する軽微な例外は、出資者に提出し、必要時は、メディカルモニターの助言を得て予め承認されるべきである。
患者の安全性/権利またはデータの妥当性に影響する重大な例外は、治験責任医師が迅速にIRB/ECに報告すべきである。
【0227】
主要評価項目:この試験の設計では、OC-03及び涙液産生に関して下記の測定が可能となる。
・単回用量のOC-03と関連する涙液産生変化
【0228】
副次的評価項目:この試験の設計では、OC-03及び涙液産生に関して下記の測定が可能となる。
・単回用量の媒体と関連する涙液産生変化
・単回用量のOC-03と関連する症状変化
・単回用量のOC-03と関連する症状緩和の持続期間
・単回用量の媒体と関連する症状変化
・単回用量の媒体と関連する症状緩和の持続期間
こうした比較を一緒に行うことで、ドライアイ疾患を有する患者における涙液産生の増加を目的とするOC-03の安全性及び効力に関する有用な情報が得られることになる。
【0229】
この試験の主要安全性評価項目は、有害事象(AE)の発生率及び関連性である。有害事象の記述統計学は、任意の重大、予測外、または薬剤関連のAEに対する説明となるように提供されるものとする。試験の間、患者の安全性を目的として、適切に認定された医師が鼻孔の完全性を監視するものとする。
【0230】
試験設計:この試験は、前向き単一群クロスオーバー試験であり、中程度~重度のドライアイを有する参加者における、0.1%のエピバチジンのスプレー式点鼻薬であるOC-03の安全性及び効力を評価するものである。最大で30人の参加者を登録し、7日間観察するものとする。
【0231】
1回目のスクリーニング来訪時に、試験期間に向けて、適格参加者はすべて、自身が現在使用している人工涙液または眼を潤す点眼薬の使用を中止するものとし、適格参加者のドライアイ症状が耐え難いものとなるであれば、保存剤を含まない単位用量の人工涙液を提供して使用するものとする。空の単位用量バイアルは、それぞれの試験来訪時に回収し、数を数えるものとする。鼻用薬剤の投与から30分以内、または試験来訪から2時間以内は、人工涙液を使用しないように患者に指示するものとする。
【0232】
2回目のスクリーニング来訪/試験0日目に、適格参加者はすべて、2つの鼻用製剤であるOC-03及び媒体対照に対する応答を試験するものとする。それぞれの鼻腔内用量の送達直前及び送達直後に、ジョーンズシルマー試験を両眼で実施して涙液産生を評価するものとする。それぞれの患者へのOC-03製剤及び媒体製剤の投与順序は、無作為に割り付けるものとし、患者及び試験者は両者共に、鼻用製剤を識別できないものとする。涙液産生評価後の少なくとも90分時点で、2つの鼻用製剤のそれぞれの送達に応じた症状変化を評価するものとする。症状評価は、よく確立された環境負荷モデルであり、Biocentric Developments,LLCによって製造されたClimaTears Goggle Systemを使用して実施するものとする。
【0233】
0日目の試験後、OC-03のボトルをすべての患者に渡し、患者はそれを家に持ち帰って1日目~6日目の間、1日1回自己投与するものとする。7日目に患者を診療所に戻し、それぞれの鼻用製剤の投与による、患者の涙液産生及び症状を再び評価するものとする。
【0234】
涙液評価
下記の眼表面及び涙液層の評価は、記載の順序で実施するものとする。
【0235】
眼表面染色-フルオレセインを使用した角膜染色
フルオレセイン及びリサミングリーンを使用した眼表面染色は、National Eye Instituteの段階分け方式を使用して、症例記録表の略図にある5つの角膜領域及び6つの結膜領域に、片眼ごとに評価及び記録するものとする。症例記録表(CRF)には、図及び説明入りの段階分け尺度(段階0~3)が含まれる。
1. 角膜染色は、1.0mgのフルオレセインナトリウムを含む濾紙片を使用して評価すべきである。
2. 濾紙片の末端を1滴の緩衝生理食塩水で湿らせた後、過剰分は、しっかりとはじいて振動で落とす。
3. その後、下眼瞼を引き下げ、反射による涙液産生を誘導しないようにしながら、導入する色素量が極少となるよう意識し、先端の平らな末端部を下眼瞼結膜に対して穏やかに適用するべきである。
4. 無理やり力を入れて眼瞼を閉じることはせず、フルオレセインが分布するように、自然に数回まばたきをするように患者に指示するものとする。
5. 少なくとも1分間、フルオレセインをそのまま眼に残存させた後、蛍光視野を最大化するために、コバルト(青色)フィルターと併せて黄色(Wratten12番)バリアフィルターを使用して、5つの角膜領域を段階分けするものとする。上眼瞼を少し上げて角膜表面全体を段階分けする。コントラスト増進のために、戻り光の経路(入射光の経路ではない)に黄色バリアフィルターを配置すること。
【0236】
涙液層破壊時間(TFBUT)
TFBUTは、下記の段階に従って細隙灯顕微鏡を使用して評価するものとする。
1. 細隙灯は、約10倍の拡大率に設定するものとする。
2. 適量のフルオレセインを所定部位に導入し(好ましくは、DET濾紙片を使用する)、患者に対して、真っすぐに前を見詰め、指示があるまでまばたきをしないよう依頼するものとする。試験は、患者の顔に風が直接あたらないようにして室内で実施するべきである。
3. 最後に完全にまばたきしてから、涙液層の破壊を示す成長性のミセルが最初に出現するまでの時間を、ストップウオッチを使用して記録するものとする。
注意:角膜表面に映る像の破壊が生じる前に患者が早まってまばたきをしたのであれば、試験者は測定値の取得を継続して試みるべきである。
4. TFBUTを観測した時点で、自由にまばたきするように患者に指示する。その後、同一の眼で、この試験を2回目として再度実施するべきである。
5. 1回目と2回目との測定値差異が2秒を超えるのであれば、3回目の測定を実施して記録すべきである。
6. その後、この手順をもう一方の眼で実施するものとする。
7. TFBUTは、温度が約18C、湿度が約50%の室内で実施することが推奨される。
【0237】
眼表面染色-リサミングリーンを使用した結膜染色
眼表面染色の評価は、リサミングリーンを使用した結膜染色で完了するものとする。
1. リサミングリーンの眼用濾紙片は、緩衝生理食塩水で湿らせ、下眼瞼結膜に適用すべきである。適量の色素を導入するよう注意を払うべきである。
2. リサミングリーンをそのまま眼に1分間残存させた後、鼻側及び側頭側の6つの結膜領域を段階分けするものとする。
3. 側頭側の領域を段階分けするには、鼻側を見るように対象に指示するべきであり、鼻側の領域を段階分けするには、側頭側を見るように対象に指示するべきである。
4. その後、この手順をもう一方の眼で完了すべきである。
【0238】
シルマー試験
1回目のスクリーニング来訪時に、基礎的なジョーンズシルマー試験を1回実施した後、綿棒で鼻を刺激するシルマー試験を実施するものとする。局所麻酔を実施するジョーンズシルマー試験を使用して、下記の段階を踏んで涙液産生を評価するものとする。
1. 0.5%のプロパラカイン塩酸塩または同等のものなどの局所麻酔点眼薬を患者の両眼に導入すべきである。
2. 患者には、1分間穏やかに眼を閉じてそのままにするよう指示するものとする。
3. 眼を開けた後、さらに約1分間、眼が回復する時間をとり、下結膜円蓋の過剰な水分を綿棒で軽く除去する。
4. 下眼瞼の中央と外側3分の1との接合部で、それぞれの眼にシルマー濾紙片(35mm x 5mmサイズの濾紙片)を置くものとする。
5. 試験実施中は、環境光下で前を見て、通常通りまばたきをするように患者に指示するものとする。試験は、患者の顔に風が直接あたらないようにして室内で実施するべきである。
6. 5分後、両眼から濾紙片を回収し、濡れた量を記録するものとする。濾紙片は、CRFにテープで張り付けるべきである。注意:万一シルマースコアが、終点である5分より前に最大値に達したのであれば、濾紙片を回収してよく、最大値に達するのに要した時間を記録する。しかしながら、反対側の眼の濾紙片は、終点である5分より前にそちらも最大スコアに達するまでは回収するべきではない。
7. シルマー試験は、複数回実施するため、必要に応じて麻酔点眼薬を新たに添加するべきである。
【0239】
綿棒で鼻を刺激するシルマー試験
1. 1回目のスクリーニング来訪時に、綿棒で鼻を刺激して、シルマー試験を実施するべきである。試験者は、新しい濾紙片を所定部位に置き、参加者の両方の鼻孔に綿棒を同時に挿入して、約30秒間、両方の中鼻甲介に穏やかに刺激を与えるべきである。この後、試験者は、穏やかに圧を加えながら、綿棒を所定部位にとどめるだけにし、必要に応じて断続的に繰り返し刺激を与えてよい。
2. あるいは、綿棒をとどめ、両方の鼻甲介に同時に穏やかに刺激を与え、その間、断続的に静止させてから再刺激するように参加者に指示してよい。試験者は、どのようにしてこの試験を正しく実施するかについて参加者に継続的に指導すべきである。
3. シルマー濾紙片は、5分が経過するか、または最大スコアに達するまで所定部位にとどめるべきである。
両方のシルマースコアを記録し、それが対象基準に適合するかどうかを検証するものとする。シルマー試験は、2回実施するため、必要に応じて麻酔点眼薬を新たに導入するべきである。
【0240】
2つのスプレー式点鼻薬アプリケーションのそれぞれを使用したシルマー試験
2つのスプレー式点鼻薬アプリケーションのそれぞれを使用し、局所麻酔を実施するジョーンズシルマー試験を使用して、下記の段階を踏んで涙液産生を評価するものとする。
1. 0.5%のプロパラカイン塩酸塩または同等のものなどの局所麻酔点眼薬を、それぞれのアプリケーションを対象とする参加者の両眼に導入すべきである。
2. 参加者には、1分間穏やかに眼を閉じてそのままにするよう指示するものとする。
3. 眼を開けた後、さらに約1分間、眼が回復する時間をとり、下結膜円蓋の過剰な水分を眼用スポンジで軽く除去する。
4. 下眼瞼の中央と外側3分の1との接合部で、それぞれの眼にシルマー濾紙片(35mm x 5mmサイズの濾紙片)を置くものとする。
5. 試験実施中は、環境光下で前を見て、通常通りまばたきをするように参加者に指示するものとする。試験は、参加者の顔に風が直接あたらないようにして室内で実施するべきである。
6. 5分後、両眼から濾紙片を回収し、濡れた量を記録するものとする。濾紙片は、CRFにテープで張り付けるべきである。
【0241】
ドライアイの誘発及び症状の評価
ClimaTears Goggle System(Biocentric Developments,LLC)を使用することで、眼周辺の湿度を減少させ、患者のドライアイ症状を誘導するものとする。このシステムは、ドライアイ患者の臨床試験を対象として、試験条件の標準化を目的として設計されたものである。
【0242】
患者は、ClimaTears Gogglesを最大90分間連続して装着し、試験時間の間、5分ごとに視覚的アナログ尺度(VAS)を使用して自身の症状を記録するものとする。自身の乾燥症状を(両眼同時に)評価するように対象に依頼し、評価は、水平線上に垂直印をつけて不快感のレベルを示すことによって実施するものとする。「0」は、「乾燥なし」に対応し、5は、「最大の乾燥度」に対応する。尺度の評価線の長さは、100mmとする。
【0243】
0日目に、患者にゴーグルを装着させて、2回の連続測定で、症状スコアが45mm以上に達するまで患者を監視し、その時点で、一定用量のOC-03スプレー式点鼻薬または対照スプレー式点鼻薬のいずれかを無作為に患者に投与するものとする。この投与は、2回の連続した45mmの測定の2.5分後に実施するものとする。2回の連続測定で、患者のスコアが再び45mm以上に達するまで症状を継続して監視し、その時点で、1回目に投与されていないどちらかの試験物品を2回目の点鼻薬用量として患者に投与するものとする。2回目の点鼻薬用量を投与した後、2回の連続測定で、患者のスコアが45mm以上に達するまで症状を再び監視するものとする。その時点で、ゴーグルを外し、試験を終了するものとする。試験が依然として継続中であるならば、ゴーグル環境に対する曝露から90分後に試験を終了するものとする。この時間の終了時点で、どちらのスプレー式点鼻薬が自身のドライアイ症状をより緩和したかを決定するよう、それぞれの患者に依頼するものとする。
【0244】
7日目に、患者にゴーグルを装着させて、2回の連続測定で、症状スコアが45mm以上に達するまで患者を監視し、その時点で、一定用量のOC-03スプレー式点鼻薬を患者に投与するものとする。2回の連続測定で、患者のスコアが再び45mm以上に達するまで症状を継続して監視し、その時点で、ゴーグルを外し、試験を終了するものとする。試験が依然として継続中であるならば、ゴーグル環境に対する曝露から90分後に試験を終了するものとする。
【0245】
ベースラインの症状スコアが45mmを超える参加患者は、このベースラインスコアと等しい治療閾値を有することになり、したがって、2回の連続測定で、症状が、この値以上となった後に治療を受けるものとする。
【0246】
患者は、試験開始前に指示書(上記の太字部分)を読んでおくこととし、いずれのスプレー式点鼻薬も、投与後直ちに症状値を記録するものとする。
【0247】
実施例1d:ドライアイ疾患(DED)の治療を目的とするニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストであるテバニクリンの鼻腔投与の安全性及び効力を評価するための臨床試験
目的:この試験では、成人患者における中程度~重度のDEDの治療を目的とする0.1%のテバニクリンのスプレー式点鼻薬(OC-04)の使用について評価する。この試験では、涙液産生の誘導及びDED症状の低減のためにOC-04を使用することの安全性及び効力について調べるものとする。
【0248】
患者:中程度~重度のドライアイを有し、下記の対象基準及び除外基準をクリアする合計30人を参加者として登録するものとする。
【0249】
基準:
対象基準:
・年齢18歳以上の男性及び女性
・インフォームドコンセントに署名する意思を有し、試験プロコールの要件に応じる能力を有すると考えられる者
・1回目のスクリーニング来訪時に、少なくとも一方の眼におけるシルマー涙液試験(局所麻酔あり)の結果が≦10mm/5分である者
・1回目のスクリーニング来訪時に、少なくとも一方の眼におけるシルマー試験(局所麻酔、及び綿棒での鼻の刺激あり)の結果が、非刺激時の値と比較して、少なくとも7mm長い者
・1回目のスクリーニング来訪時に、眼表面疾患指数スコアのベースラインが少なくとも23であり、「該当なし」である回答数が3以下である者
・眼瞼/睫毛の構造、まばたき機能、及び閉眼が正常である者
除外基準:
・鼻血が慢性または再発性である者
・過去1年以内にタバコまたはニコチン製品(巻きタバコ、葉巻、電子タバコ)の使用歴を有する者
・血友病及び血小板減少症などの、出血増加をもたらし得る血液凝固障害を有する者
・涙腺、鼻、または副鼻腔に、腫瘍または顕著な外傷を有する者、涙腺または鼻孔の除神経につながる、涙腺、鼻、または副鼻腔の手術または焼灼の実施歴を有し、このことが、綿棒での鼻の刺激による応答が欠如していることによって証拠づけられる者
・鼻気道の重度閉塞(例えば、重度の鼻中隔湾曲症または下鼻甲介肥大)を有する者
・1回目のスクリーニング来訪の3ヶ月以内に、いずれかの眼の手術(屈折矯正手術または白内障手術など)を受ける者
・不安定な全身性の病状もしくは疾患を有する者であるか、または治験責任医師が、試験参加に適さない(例えば、現在、全身性の感染、制御不能の自己免疫疾患、制御不能の免疫不全疾患、心筋梗塞歴、制御不能の高血圧等を有する)と判断するか、もしくは試験で必要になる高頻度の評価に適さないと判断する、全身性の病状もしく疾患を有する者
・顕著な角膜または結膜の瘢痕、翼状片、または結節性の瞼裂斑、ドライアイと関連しない現在有する眼の感染または炎症、臨床的に顕著な角膜前(上皮)基底膜ジストロフィーまたは他の臨床的に顕著な角膜ジストロフィーもしくは角膜変性、臨床的に顕著な眼瞼炎、眼のヘルペス性感染症等などの、試験結果の解釈または患者の安全性を妨げるであろう、いずれかの眼における任意の眼の疾患または病状の病歴を有するか、またはそれを有する者
・鼻粘膜に接触する試験薬剤における処置上の薬剤または材料のいずれかに対する過敏性を有することが分かっている者
・初回スクリーニングの時点において、活性状態にあるか、または制御不能である重度の全身性のアレルギー、慢性的な季節性のアレルギー、鼻炎、または副鼻腔炎を有し、治療(すなわち、抗ヒスタミン剤、うっ血除去剤、経口ステロイド、またはエアロゾルステロイド)が必要である者
・1回目のスクリーニング来訪前の30日間、安定した投薬レジメンで使用されておらず、眼の乾燥を引き起こすことが知られている任意の薬剤(例えば、シクロスポリン、抗ヒスタミン剤、三環系抗うつ剤、抗不安剤、抗ムスカリン剤、ベータ遮断剤、利尿剤、フェノチアジン、ステロイド等)を現在使用している者
・溶解する涙点プラグを有する者(シリコンプラグを有する参加者、または涙点管の永久閉鎖術を受けた参加者については、適格とする)
・1回目のスクリーニング来訪前の少なくとも7日間、及び試験期間中に使用を中止する場合を除き、コンタクトレンズを能動的に使用する者
・過去3ヵ月間に新たな活性物質または新たな装置を使用する任意の臨床試験に参加した者
・試験登録の時点で妊娠中であるか、妊娠の計画があるか、または授乳中である女性。出産可能年齢の女性に対しては、尿妊娠検査を実施するものとする。
・テバニクリンに対してアレルギー反応または有害反応を起こすことが分かっている者
・治験責任医師の意見により、この試験過程の間に、患者に対して緊急の医学的治療が必要となるであろう、不安定または制御不能な任意の心臓の病状、肺の病状、腎臓の病状、腫瘍学的な病状、神経学的な病状、代謝性の病状、または他の全身性の病状を有する者。これには、限定はされないが、心不整脈、高血圧、凝固障害、腎不全、及び糖尿病が含まれる。
対象/除外基準の例外:
治験責任医師は、不参加とすることが患者にとって最大の利益となると考えられるのであれば、任意の患者を不参加として試験から除外する権利を有する。
対象/除外基準に対する軽微な例外は、出資者に提出し、必要時は、メディカルモニターの助言を得て予め承認されるべきである。
患者の安全性/権利またはデータの妥当性に影響する重大な例外は、治験責任医師が迅速にIRB/ECに報告すべきである。
【0250】
主要評価項目:この試験の設計では、OC-04及び涙液産生に関して下記の測定が可能となる。
・単回用量のOC-04と関連する涙液産生変化
【0251】
副次的評価項目:この試験の設計では、OC-04及び涙液産生に関して下記の測定が可能となる。
・単回用量の媒体と関連する涙液産生変化
・単回用量のOC-04と関連する症状変化
・単回用量のOC-04と関連する症状緩和の持続期間
・単回用量の媒体と関連する症状変化
・単回用量の媒体と関連する症状緩和の持続期間
こうした比較を一緒に行うことで、ドライアイ疾患を有する患者における涙液産生の増加を目的とするOC-04の安全性及び効力に関する有用な情報が得られることになる。
【0252】
この試験の主要安全性評価項目は、有害事象(AE)の発生率及び関連性である。有害事象の記述統計学は、任意の重大、予測外、または薬剤関連のAEに対する説明となるように提供されるものとする。試験の間、患者の安全性を目的として、適切に認定された医師が鼻孔の完全性を監視するものとする。
【0253】
試験設計:この試験は、前向き単一群クロスオーバー試験であり、中程度~重度のドライアイを有する参加者における、0.1%のテバニクリンのスプレー式点鼻薬であるOC-04の安全性及び効力を評価するものである。最大で30人の参加者を登録し、7日間観察するものとする。
【0254】
1回目のスクリーニング来訪時に、試験期間に向けて、適格参加者はすべて、自身が現在使用している人工涙液または眼を潤す点眼薬の使用を中止するものとし、適格参加者のドライアイ症状が耐え難いものとなるであれば、保存剤を含まない単位用量の人工涙液を提供して使用するものとする。空の単位用量バイアルは、それぞれの試験来訪時に回収し、数を数えるものとする。鼻用薬剤の投与から30分以内、または試験来訪から2時間以内は、人工涙液を使用しないように患者に指示するものとする。
【0255】
2回目のスクリーニング来訪/試験0日目に、適格参加者はすべて、2つの鼻用製剤であるOC-04及び媒体対照に対する応答を試験するものとする。それぞれの鼻腔内用量の送達直前及び送達直後に、ジョーンズシルマー試験を両眼で実施して涙液産生を評価するものとする。それぞれの患者へのOC-04製剤及び媒体製剤の投与順序は、無作為に割り付けるものとし、患者及び試験者は両者共に、鼻用製剤を識別できないものとする。涙液産生評価後の少なくとも90分時点で、2つの鼻用製剤のそれぞれの送達に応じた症状変化を評価するものとする。症状評価は、よく確立された環境負荷モデルであり、Biocentric Developments,LLCによって製造されたClimaTears Goggle Systemを使用して実施するものとする。
【0256】
0日目の試験後、OC-04のボトルをすべての患者に渡し、患者はそれを家に持ち帰って1日目~6日目の間、1日1回自己投与するものとする。7日目に患者を診療所に戻し、それぞれの鼻用製剤の投与による、患者の涙液産生及び症状を再び評価するものとする。
【0257】
涙液評価
下記の眼表面及び涙液層の評価は、記載の順序で実施するものとする。
【0258】
眼表面染色-フルオレセインを使用した角膜染色
フルオレセイン及びリサミングリーンを使用した眼表面染色は、National Eye Instituteの段階分け方式を使用して、症例記録表の略図にある5つの角膜領域及び6つの結膜領域に、片眼ごとに評価及び記録するものとする。症例記録表(CRF)には、図及び説明入りの段階分け尺度(段階0~3)が含まれる。
1. 角膜染色は、1.0mgのフルオレセインナトリウムを含む濾紙片を使用して評価すべきである。
2. 濾紙片の末端を1滴の緩衝生理食塩水で湿らせた後、過剰分は、しっかりとはじいて振動で落とす。
3. その後、下眼瞼を引き下げ、反射による涙液産生を誘導しないようにしながら、導入する色素量が極少となるよう意識し、先端の平らな末端部を下眼瞼結膜に対して穏やかに適用するべきである。
4. 無理やり力を入れて眼瞼を閉じることはせず、フルオレセインが分布するように、自然に数回まばたきをするように患者に指示するものとする。
5. 少なくとも1分間、フルオレセインをそのまま眼に残存させた後、蛍光視野を最大化するために、コバルト(青色)フィルターと併せて黄色(Wratten12番)バリアフィルターを使用して、5つの角膜領域を段階分けするものとする。上眼瞼を少し上げて角膜表面全体を段階分けする。コントラスト増進のために、戻り光の経路(入射光の経路ではない)に黄色バリアフィルターを配置すること。
【0259】
涙液層破壊時間(TFBUT)
TFBUTは、下記の段階に従って細隙灯顕微鏡を使用して評価するものとする。
1. 細隙灯は、約10倍の拡大率に設定するものとする。
2. 適量のフルオレセインを所定部位に導入し(好ましくは、DET濾紙片を使用する)、患者に対して、真っすぐに前を見詰め、指示があるまでまばたきをしないよう依頼するものとする。試験は、患者の顔に風が直接あたらないようにして室内で実施するべきである。
3. 最後に完全にまばたきしてから、涙液層の破壊を示す成長性のミセルが最初に出現するまでの時間を、ストップウオッチを使用して記録するものとする。
注意:角膜表面に映る像の破壊が生じる前に患者が早まってまばたきをしたのであれば、試験者は測定値の取得を継続して試みるべきである。
4. TFBUTを観測した時点で、自由にまばたきするように患者に指示する。その後、同一の眼で、この試験を2回目として再度実施するべきである。
5. 1回目と2回目との測定値差異が2秒を超えるのであれば、3回目の測定を実施して記録すべきである。
6. その後、この手順をもう一方の眼で実施するものとする。
7. TFBUTは、温度が約18C、湿度が約50%の室内で実施することが推奨される。
【0260】
眼表面染色-リサミングリーンを使用した結膜染色
眼表面染色の評価は、リサミングリーンを使用した結膜染色で完了するものとする。
1. リサミングリーンの眼用濾紙片は、緩衝生理食塩水で湿らせ、下眼瞼結膜に適用すべきである。適量の色素を導入するよう注意を払うべきである。
2. リサミングリーンをそのまま眼に1分間残存させた後、鼻側及び側頭側の6つの結膜領域を段階分けするものとする。
3. 側頭側の領域を段階分けするには、鼻側を見るように対象に指示するべきであり、鼻側の領域を段階分けするには、側頭側を見るように対象に指示するべきである。
4. その後、この手順をもう一方の眼で完了すべきである。
【0261】
シルマー試験
1回目のスクリーニング来訪時に、基礎的なジョーンズシルマー試験を1回実施した後、綿棒で鼻を刺激するシルマー試験を実施するものとする。局所麻酔を実施するジョーンズシルマー試験を使用して、下記の段階を踏んで涙液産生を評価するものとする。
1. 0.5%のプロパラカイン塩酸塩または同等のものなどの局所麻酔点眼薬を患者の両眼に導入すべきである。
2. 患者には、1分間穏やかに眼を閉じてそのままにするよう指示するものとする。
3. 眼を開けた後、さらに約1分間、眼が回復する時間をとり、下結膜円蓋の過剰な水分を綿棒で軽く除去する。
4. 下眼瞼の中央と外側3分の1との接合部で、それぞれの眼にシルマー濾紙片(35mm x 5mmサイズの濾紙片)を置くものとする。
5. 試験実施中は、環境光下で前を見て、通常通りまばたきをするように患者に指示するものとする。試験は、患者の顔に風が直接あたらないようにして室内で実施するべきである。
6. 5分後、両眼から濾紙片を回収し、濡れた量を記録するものとする。濾紙片は、CRFにテープで張り付けるべきである。注意:万一シルマースコアが、終点である5分より前に最大値に達したのであれば、濾紙片を回収してよく、最大値に達するのに要した時間を記録する。しかしながら、反対側の眼の濾紙片は、終点である5分より前にそちらも最大スコアに達するまでは回収するべきではない。
7. シルマー試験は、複数回実施するため、必要に応じて麻酔点眼薬を新たに添加するべきである。
【0262】
綿棒で鼻を刺激するシルマー試験
1. 1回目のスクリーニング来訪時に、綿棒で鼻を刺激して、シルマー試験を実施するべきである。試験者は、新しい濾紙片を所定部位に置き、参加者の両方の鼻孔に綿棒を同時に挿入して、約30秒間、両方の中鼻甲介に穏やかに刺激を与えるべきである。この後、試験者は、穏やかに圧を加えながら、綿棒を所定部位にとどめるだけにし、必要に応じて断続的に繰り返し刺激を与えてよい。
2. あるいは、綿棒をとどめ、両方の鼻甲介に同時に穏やかに刺激を与え、その間、断続的に静止させてから再刺激するように参加者に指示してよい。試験者は、どのようにしてこの試験を正しく実施するかについて参加者に継続的に指導すべきである。
3. シルマー濾紙片は、5分が経過するか、または最大スコアに達するまで所定部位にとどめるべきである。
両方のシルマースコアを記録し、それが対象基準に適合するかどうかを検証するものとする。シルマー試験は、2回実施するため、必要に応じて麻酔点眼薬を新たに導入するべきである。
【0263】
2つのスプレー式点鼻薬アプリケーションのそれぞれを使用したシルマー試験
2つのスプレー式点鼻薬アプリケーションのそれぞれを使用し、局所麻酔を実施するジョーンズシルマー試験を使用して、下記の段階を踏んで涙液産生を評価するものとする。
1. 0.5%のプロパラカイン塩酸塩または同等のものなどの局所麻酔点眼薬を、それぞれのアプリケーションを対象とする参加者の両眼に導入すべきである。
2. 参加者には、1分間穏やかに眼を閉じてそのままにするよう指示するものとする。
3. 眼を開けた後、さらに約1分間、眼が回復する時間をとり、下結膜円蓋の過剰な水分を眼用スポンジで軽く除去する。
4. 下眼瞼の中央と外側3分の1との接合部で、それぞれの眼にシルマー濾紙片(35mm x 5mmサイズの濾紙片)を置くものとする。
5. 試験実施中は、環境光下で前を見て、通常通りまばたきをするように参加者に指示するものとする。試験は、参加者の顔に風が直接あたらないようにして室内で実施するべきである。
6. 5分後、両眼から濾紙片を回収し、濡れた量を記録するものとする。濾紙片は、CRFにテープで張り付けるべきである。
【0264】
ドライアイの誘発及び症状の評価
ClimaTears Goggle System(Biocentric Developments,LLC)を使用することで、眼周辺の湿度を減少させ、患者のドライアイ症状を誘導するものとする。このシステムは、ドライアイ患者の臨床試験を対象として、試験条件の標準化を目的として設計されたものである。
【0265】
患者は、ClimaTears Gogglesを最大90分間連続して装着し、試験時間の間、5分ごとに視覚的アナログ尺度(VAS)を使用して自身の症状を記録するものとする。自身の乾燥症状を(両眼同時に)評価するように対象に依頼し、評価は、水平線上に垂直印をつけて不快感のレベルを示すことによって実施するものとする。「0」は、「乾燥なし」に対応し、5は、「最大の乾燥度」に対応する。尺度の評価線の長さは、100mmとする。
【0266】
0日目に、患者にゴーグルを装着させて、2回の連続測定で、症状スコアが45mm以上に達するまで患者を監視し、その時点で、一定用量のOC-04スプレー式点鼻薬または対照スプレー式点鼻薬のいずれかを無作為に患者に投与するものとする。この投与は、2回の連続した45mmの測定の2.5分後に実施するものとする。2回の連続測定で、患者のスコアが再び45mm以上に達するまで症状を継続して監視し、その時点で、1回目に投与されていないどちらかの試験物品を2回目の点鼻薬用量として患者に投与するものとする。2回目の点鼻薬用量を投与した後、2回の連続測定で、患者のスコアが45mm以上に達するまで症状を再び監視するものとする。その時点で、ゴーグルを外し、試験を終了するものとする。試験が依然として継続中であるならば、ゴーグル環境に対する曝露から90分後に試験を終了するものとする。この時間の終了時点で、どちらのスプレー式点鼻薬が自身のドライアイ症状をより緩和したかを決定するよう、それぞれの患者に依頼するものとする。
【0267】
7日目に、患者にゴーグルを装着させて、2回の連続測定で、症状スコアが45mm以上に達するまで患者を監視し、その時点で、一定用量のOC-04スプレー式点鼻薬を患者に投与するものとする。2回の連続測定で、患者のスコアが再び45mm以上に達するまで症状を継続して監視し、その時点で、ゴーグルを外し、試験を終了するものとする。試験が依然として継続中であるならば、ゴーグル環境に対する曝露から90分後に試験を終了するものとする。
【0268】
ベースラインの症状スコアが45mmを超える参加患者は、このベースラインスコアと等しい治療閾値を有することになり、したがって、2回の連続測定で、症状が、この値以上となった後に治療を受けるものとする。
患者は、試験開始前に指示書(上記の太字部分)を読んでおくこととし、いずれのスプレー式点鼻薬も、投与後直ちに症状値を記録するものとする。
【0269】
実施例2:OC-01製剤
OC-01は、無菌のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に0.1%のバレニクリンを含み、当該リン酸緩衝生理食塩水は保存剤無添加であり、137mMの塩化ナトリウム、2.7mMの塩化カリウム、及びpH7.4の10mMのリン酸緩衝液からなるものである。製剤は、20mLの不透明なポリエチレンのスプレー式点鼻薬ボトルに充填したものであり、当該ボトルは、単位用量である50マイクロリットルを送達するものである。媒体対照は、同一の容器に充填して提供した。OC-01及び媒体は両方共、容器の内容を示すコード標識が付けられているが、容器の内容について、参加者または盲検試験の試験者が知ることはない。
【0270】
実施例3:追加の医薬製剤
鼻腔内投与に適した医薬製剤を調製するために、10mgのニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを10mLの特定の媒体に溶解する。この溶液1mLを、9mLの媒体に溶解することで、「0.1X希釈」製剤を得る。最初の希釈に続いて、「0.1X希釈」製剤1mLを、9mLの媒体に溶解することで、「0.01X希釈」製剤を得る。ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを異なる濃度で含む3つの製剤を4℃で保管する。
【0271】
本発明の好ましい実施形態について本明細書で示し、説明したが、そのような実施形態は、例として提供されるものにすぎないことは、当業者には明らかであろう。本発明から逸脱することなく、この時点で、多数の変形、変更、及び置き換えが当業者には想起されよう。本発明の実施の際は、本明細書に記載の本発明の実施形態に対してさまざまな変更を実施してよいことを理解されるべきである。後に続く特許請求の範囲が、本発明の範囲を定義し、それによって、こうした請求の範囲内にある方法及び構造、ならびにそれらと同等のものが包含されることを意図する。