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特許7257397IAP阻害剤として有用なSMAC模倣物及びその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-05
(45)【発行日】2023-04-13
(54)【発明の名称】IAP阻害剤として有用なSMAC模倣物及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C07D 403/06 20060101AFI20230406BHJP
   C07D 403/14 20060101ALI20230406BHJP
   C07D 413/14 20060101ALI20230406BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 31/404 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 31/4155 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 31/416 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 31/4178 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 31/422 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20230406BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230406BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
C07D403/06 CSP
C07D403/14
C07D413/14
C07D471/04 104Z
A61K31/404
A61K31/4155
A61K31/416
A61K31/4178
A61K31/422
A61K31/437
A61P43/00 111
A61P35/00
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020526193
(86)(22)【出願日】2018-11-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 CN2018115256
(87)【国際公開番号】W WO2019091492
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-10-15
(31)【優先権主張番号】201711117079.6
(32)【優先日】2017-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516089784
【氏名又は名称】チア タイ ティエンチン ファーマシューティカル グループ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Chia Tai Tianqing Pharmaceutical Group Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.369 Yuzhou South Rd.,Lianyungang,Jiangsu 222062 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 迎 春
(72)【発明者】
【氏名】徐 招 兵
(72)【発明者】
【氏名】胡 利 紅
(72)【発明者】
【氏名】丁 照 中
(72)【発明者】
【氏名】朱 興 訓
(72)【発明者】
【氏名】胡 国 平
(72)【発明者】
【氏名】黎 健
(72)【発明者】
【氏名】陳 曙 輝
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-520770(JP,A)
【文献】特表2009-544727(JP,A)
【文献】特表2010-513561(JP,A)
【文献】特表2007-532504(JP,A)
【文献】特表2010-506847(JP,A)
【文献】特表2008-505904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 403/06
C07D 403/14
C07D 413/14
C07D 471/04
A61K 31/404
A61K 31/4155
A61K 31/416
A61K 31/4178
A61K 31/422
A61K 31/437
A61P 43/00
A61P 35/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

(式中、XはC(R)及びNから選択され、XはC(R)、N、O及びSから選択され、
【化2】

はそれぞれ独立して単結合及び二重結合から選択され、Lは単結合及び-O-から選択され、Rは、-C(=O)NH、CN、C1-5アルキル、C1-5ヘテロアルキル、フェニル、5~6員のヘテロアリール及び5~6員のヘテロシクロアルキルから選択され、前記C1-5アルキル、C1-5ヘテロアルキル、フェニル、5~6員のヘテロアリール又は5~6員のヘテロシクロアルキルは、所望により1、2又は3個のRにより置換され、Rは、H、ハロゲン、CN、COOH、-C(=O)NH、C1-4アルキル及びC1-4ヘテロアルキルから選択され、前記C1-4アルキル又はC1-4ヘテロアルキルは所望により1、2又は3個のRにより置換され、R及びRはそれぞれ独立してH、ハロゲン及びC1-4アルキルから選択され、前記C1-4アルキルは所望により1、2又は3個のRにより置換され、Rは、H、フェニル及び5~6員のヘテロアリールから選択され、RはH及びハロゲンから選択され、Rは、H、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4ヘテロアルキル、CN及びCOOHから選択され、前記C1-4アルキル又はC1-4ヘテロアルキルは所望により1、2又は3個のRにより置換され、Rは、ハロゲン、OH、CN、CH、CHCH、CHCHCH、CH(CH、OCH、OCF、CHF、CHF及びNHから選択され、前記C1-4ヘテロアルキル、C1-5ヘテロアルキル、5~6員のヘテロシクロアルキル、及び、5~6員のヘテロアリールはそれぞれ、-NH-、-O-、-S-、N、-C(=O)O-、-C(=O)-、-C(=O)NH-、-C(=S)-、-S(=O)-、-S(=O)-、-C(=NH)-、-S(=O)NH-、-S(=O)NH-及び-NHC(=O)NH-から独立して選ばれた1、2又は3個のヘテロ原子又はヘテロ原子団を含む。)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩であって、ここにおいて、
構成単位
【化3】


【化4】

から選択される、化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
【化5】

(式中、
【化6】

、X、L、R、R、R、R及びRは請求項1の定義と同じである。)から選択される請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
はC(R)及びNから選択される請求項1又は2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
は、C(H)、C(Cl)、C(CH)及びNから選択される請求項3に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
は、-C(=O)NH、CN、CH、CHCH、C1-5アルキル-C(=O)-、C1-4アルキル-C(=O)-、C1-5アルキル-S(=O)-、C1-5アルキル-N(H)C(=O)-、C1-4アルキル-N(H)C(=O)-、(C1-2アルキル)-N-C(=O)-、フェニル、
【化7】

から選択され、前記CH、CHCH、C1-5アルキル-C(=O)-、C1-4アルキル-C(=O)-、C1-5アルキル-S(=O)-、C1-5アルキル-N(H)C(=O)-、C1-4アルキル-N(H)C(=O)-、(C1-2アルキル)-N-C(=O)-、フェニル、
【化8】

は所望により1、2又は3個のRにより置換されていてもよい請求項1又は2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】

【化9】

【化10】

及び
【化11】

から選択される請求項5に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
は、H、ハロゲン、C1-4アルキル及びC1-4アルキル-O-から選択され、前記C1-4アルキル又はC1-4アルキル-O-は所望により1、2又は3個のハロゲンにより置換されていてもよい請求項1又は2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
は、H、F、Cl、Br、CF、OCFから選択される請求項7に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
及びRはそれぞれ独立してH、F及びClから選択される請求項1又は2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
は、H及び
【化12】

から選択される請求項1又は2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
は、H及びClから選択される請求項1又は2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
は、H、Cl及びCHから選択される請求項1又は2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
構成単位
【化13】

は、
【化14】

から選択される請求項1又は2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
【化15】

(式中、R、R及びRは請求項1~2、7~9の定義と同じである。)から選択される請求項1、7~9のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
【化16】

(式中、R、R及びRは請求項2又は15の定義と同じである。)から選択される請求項2又は14に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

から選択される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

から選択される請求項16に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項18】
有効成分として治療上有効な量の請求項1~17のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項19】
IAP阻害剤を製造するための請求項1~17のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩又は請求項18に記載の組成物の使用。
【請求項20】
IAP阻害剤が癌治療薬である請求項19に記載の使用。
【請求項21】
前記癌が乳癌である請求項20に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2017年11月13日に中国国家知識産権局に出願された第201711117079.6号中国特許出願の優先権及び利益を主張し、前記出願の開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、IAP(アポトーシス阻害タンパク質、inhibitor of apoptosis proteins)を阻害する化合物、その調製プロセス、及び様々な疾患の治療におけるその使用について説明する。本発明の化合物は、癌、自己免疫疾患、及び、アポトーシスの欠陥が関与する他の疾患を治療するために使用される。
【背景技術】
【0003】
プログラム細胞死は、細胞数を調節し、ストレスまたは損傷細胞を正常組織から除去する重要な役割を果たす。実際に、多数の細胞型の本来のアポトーシスシグナル伝達ネットワークのメカニズムは、ヒト癌の発症及び進行に対する大きな障壁をもたらす。しかし、すべての癌細胞の共通性は、アポトーシスプログラムを実行することができないことであり、正常なアポトーシス機序の欠損により適当なアポトーシスが欠如する。化学療法剤、放射線療法及び免疫療法を含む現在の癌治療のほとんどは、癌細胞のアポトーシスを間接的に誘導することによって効を奏する。そのため、正常なアポトーシス機序の欠損により癌細胞がアポトーシスプログラムを実行することができないことは、化学療法、放射線療法または免疫療法により誘導されるアポトーシスに対する耐性の増加に関連することが多い。したがって、癌細胞のアポトーシスを直接阻害する重要な役割を果たしている決定的な負のレギュレーターを標的とすることが新規抗癌薬物設計の非常に有望な治療方法となる。
【0004】
現在、アポトーシスの2つのクラスの重要な負のレギュレーターが同定されている。第1のクラスのレギュレーターは、2つの強力な抗アポトーシス分子、Bcl-2及びBcl-XLタンパク質によって例示されるBcl-2ファミリーのタンパク質である。
【0005】
アポトーシスの第2のクラスの重要な負のレギュレーターはアポトーシスタンパク質の阻害剤(IAPs)である。IAPは、バキュロウイルス中でP35 タンパク質の機能を置換する能力により最初に発見された。このようなタンパク質としては、XIAP、cIAP1、cIAP2、ML-IAP、ILP-2、NAIP、Apollon及びSurvivinが挙げられる。X染色体結合のアポトーシス阻害剤(XIAP)は、カスパーゼ-3,カスパーゼ-7及びカスパーゼ-9を直接阻害することによって、アポトーシス阻害物質として機能する。cIAPsは主に死受容体経路を遮断することによりアポトーシスを阻害する。cIAPsの分解に伴い、その基質であるNIK(NF-κB-inducing kinase)が分解せずに蓄積する。蓄積したNIKは、非典型的経路を通じてNF-κBを活性化し、NF-κBの活性化によりTNFαの分泌が促進される。TNFαとTNF-R1(TNF receptor1)の結合により、死受容体経路が始動する。cIAPsの分解により、RIPK1(receptor interacting protein kinase 1,受容体相互作用タンパク質キナーゼ1)の分泌も増加し、FADD(Fas-associated death domin,Fas関連死ドメイン)及びcaspase-8(カスパーゼ-8)とともにアポトーシス促進性RIPK1-FADD-caspase-8複合体を形成し、次にカスパーゼ-3が活性化されてアポトーシスを引き起こす。
【0006】
11q21-q23領域(2つの遺伝子をカバーするもの)の頻繁な染色体増幅によるcIAP1及びcIAP2の過剰発現は、神経芽細胞腫、腎細胞癌、結腸直腸癌及び胃癌などを含むさまざまな悪性疾患で観察されている。
【0007】
現在、例えばLCL-161、Debio 1143、BI-891065及びASTX-660等のいくつかの薬物分子が臨床段階に入り、順調に進んでいる。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、式(I)
【0009】
【化1】
【0010】
(式中、
はC(R)及びNから選択され、
はC(R)、N、O及びSから選択され、
【0011】
【化2】
【0012】
はそれぞれ独立して単結合及び二重結合から選択され、
Lは単結合及び-O-から選択され、
は、-C(=O)NH、CN、C1-5アルキル、C1-5ヘテロアルキル、フェニル、5~6員のヘテロアリール及び5~6員のヘテロシクロアルキルから選択され、前記C1-5アルキル、C1-5ヘテロアルキル、フェニル、5~6員のヘテロアリール又は5~6員のヘテロシクロアルキルは所望により1、2又は3個のRにより置換され、
はH、ハロゲン、CN、COOH、-C(=O)NH、C1-4アルキル及びC1-4ヘテロアルキルから選択され、前記C1-4アルキル又はC1-4ヘテロアルキルは所望により1、2又は3個のRにより置換され、
及びRはそれぞれ独立してH、ハロゲン及びC1-4アルキルから選択され、前記C1-4アルキルは所望により1、2又は3個のRにより置換され、
はH、フェニル及び5~6員のヘテロアリールから選択され、
はH及びハロゲンから選択され、
はH、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4ヘテロアルキル、CN及びCOOHから選択され、前記C1-4アルキル又はC1-4ヘテロアルキルは所望により1、2又は3個のRにより置換され、
Rはハロゲン、OH、CN、CH、CHCH、CHCHCH、CH(CH、OCH、OCF、CHF、CHF及びNHから選択され、前記C1-4ヘテロアルキル、C1-5ヘテロアルキル、5~6員のヘテロシクロアルキル、及び、5~6員のヘテロアリールはそれぞれ、-NH-、-O-、-S-、N、-C(=O)O-、-C(=O)-、-C(=O)NH-、-C(=S)-、-S(=O)-、-S(=O)-、-C(=NH)-、-S(=O)NH-、-S(=O)NH-及び-NHC(=O)NH-から独立して選ばれた1、2又は3個のヘテロ原子及びヘテロ原子団を含む。)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0013】
本発明のいくつかの形態において、上述化合物又はその薬学的に許容される塩は、
【0014】
【化3】
(式中、
【0015】
【化4】
【0016】
、X、L、R、R、R、R及びRは上記定義と同じである。)から選択される。
【0017】
本発明のいくつかの形態において、上記XはC(R)及びNから選択される。
本発明のいくつかの形態において、上記XはC(H)、C(Cl)、C(CH)及びNから選択される。
【0018】
本発明のいくつかの形態において、上記Rは、-C(=O)NH、CN、C1-5アルキル、C1-5アルコキシ、C1-5アルキルアミノ、C1-5アルキルチオ、C1-5アシル、C1-5スルホニル、フェニル、N又はOから独立して選ばれた1~2個の原子を含み、所望により1個のオキソで置換された5~6員のヘテロシクロアルキル、及び、Nから独立して選ばれた1~2個の原子を含む5~6員のヘテロアリールから選択され、前記C1-5アルキル、C1-5アルコキシ、C1-5アルキルアミノ、C1-5アルキルチオ、C1-5アシル、C1-5スルホニル、フェニル、5~6員のヘテロシクロアルキル又は5~6員のヘテロアリールは所望により1、2又は3個のRにより置換されていてもよい。
【0019】
本発明のいくつかの形態において、上記Rは-C(=O)NH、CN、CH、CHCH、C1-5アルキル-C(=O)-、C1-4アルキル-C(=O)-、C1-5アルキル-S(=O)-、C1-5アルキル-N(H)C(=O)-、C1-4アルキル-N(H)C(=O)-、(C1-2アルキル)-N-C(=O)-、フェニル、
【0020】
【化5】
【0021】
から選択され、前記CH、CHCH、C1-5アルキル-C(=O)-、C1-4アルキル-C(=O)-、C1-5アルキル-S(=O)-、C1-5アルキル-N(H)C(=O)-、C1-4アルキル-N(H)C(=O)-、(C1-2アルキル)-N-C(=O)-、フェニル、
【0022】
【化6】
【0023】
は所望により1、2又は3個のRにより置換されていてもよい。
本発明のいくつかの形態において、上記Rは、
【0024】
【化7】
【0025】
【化8】
【0026】
から選択される。
本発明のいくつかの形態において、上記Rは、H、ハロゲン、C1-4アルキル及びC1-4アルキル-O-から選択され、前記C1-4アルキル又はC1-4アルキル-O-は所望により1、2又は3個のハロゲンにより置換されていてもよい。
【0027】
本発明のいくつかの形態において、上記Rは、H、F、Cl、Br、CF、OCFから選択される。
【0028】
本発明のいくつかの形態において、上記R及びRはそれぞれ独立してH、F及びClから選択される。
【0029】
本発明のいくつかの形態において、上記RはH及び
【0030】
【化9】
【0031】
から選択される。
本発明のいくつかの形態において、上記RはH及びClから選択される。
【0032】
本発明のいくつかの形態において、上記RはH、Cl及びCHから選択される。
本発明のいくつかの形態において、上記構成単位
【0033】
【化10】
【0034】
【化11】
及び
【0035】
【化12】
【0036】
から選択される。
本発明のいくつかの形態において、上記構成単位
【0037】
【化13】
【0038】
【化14】
【0039】
から選択される。
本発明のいくつかの形態において、上記Xは、C(R)及びNから選択され、これ以外のものは上記定義と同じである。
【0040】
本発明のいくつかの形態において、上記Xは、C(H)、C(Cl)、C(CH)及びNから選択され、これ以外のものは上記定義と同じである。
【0041】
本発明のいくつかの形態において、上記Rは、-C(=O)NH、CN、C1-5アルキル、C1-5アルコキシ、C1-5アルキルアミノ、C1-5アルキルチオ、C1-5アシル、C1-5スルホニル、フェニル、N又はOから独立して選ばれた1~2個の原子を含み、所望により1個のオキソで置換された5~6員のヘテロシクロアルキル及びNから独立して選ばれた1~2個の原子を含む5~6員のヘテロアリールから選択され、前記C1-5アルキル、C1-5アルコキシ、C1-5アルキルアミノ、C1-5アルキルチオ、C1-5アシル、C1-5スルホニル、フェニル、5~6員のヘテロシクロアルキル又は5~6員のヘテロアリールは所望により1、2又は3個のRにより置換されていてもよく、これら以外のものは上記定義と同じである。
【0042】
本発明のいくつかの形態において、上記Rは、-C(=O)NH、CN、CH、CHCH、C1-5アルキル-C(=O)-、C1-4アルキル-C(=O)-、C1-5アルキル-S(=O)-、C1-5アルキル-N(H)C(=O)-、C1-4アルキル-N(H)C(=O)-、(C1-2アルキル)-N-C(=O)-、フェニル、
【0043】
【化15】
【0044】
から選択され、前記CH、CHCH、C1-5アルキル-C(=O)-、C1-4アルキル-C(=O)-、C1-5アルキル-S(=O)-、C1-5アルキル-N(H)C(=O)-、C1-4アルキル-N(H)C(=O)-、(C1-2アルキル)-N-C(=O)-、フェニル、
【0045】
【化16】
【0046】
は所望により1、2又は3個のRにより置換されていてもよく、これら以外のものは上記定義と同じである。
【0047】
本発明のいくつかの形態において、上記Rは、H、ハロゲン、C1-4アルキル及びC1-4アルキル-O-から選択され、前記C1-4アルキル又はC1-4アルキル-O-は所望により1、2又は3個のハロゲンにより置換されていてもよく、これら以外のものは上記定義と同じである。
【0048】
本発明のいくつかの形態において、上記Rは、H、F、Cl、Br、CF、OCFから選択され、これ以外のものは上記定義と同じである。
【0049】
本発明のいくつかの形態において、上記R及びRはそれぞれ独立してH、F及びClから選択され、これら以外のものは上記定義と同じである。
【0050】
本発明のいくつかの形態において、上記Rは、H及び
【0051】
【化17】
【0052】
から選択され、これ以外のものは上記定義と同じである。
本発明のいくつかの形態において、上記Rは、H及びClから選択され、これ以外のものは上記定義と同じである。
【0053】
本発明のいくつかの形態において、上記Rは、H、Cl及びCHから選択され、これ以外のものは上記定義と同じである。
【0054】
本発明のいくつかの形態において、上記構成単位
【0055】
【化18】
は、
【0056】
【化19】
及び
【0057】
【化20】
【0058】
から選択され、これ以外のものは上記定義と同じである。
本発明のいくつかの形態において、上記構成単位
【0059】
【化21】
は、
【0060】
【化22】
【0061】
【化23】
【0062】
から選択され、これ以外のものは上記定義と同じである。
本発明の別の形態は、上記各要素を任意に組み合わせたものである。
【0063】
本発明のいくつかの形態において、上記化合物又はその薬学的に許容される塩は、
【0064】
【化24】
【0065】
(式中、R、R及びRは上記定義と同じである。)から選択される。
本発明のいくつかの形態において、上記化合物又はその薬学的に許容される塩は、
【0066】
【化25】
【0067】
(式中、R、R及びRは上記定義と同じである。)から選択される。
本発明はさらに、
【0068】
【化26】
【0069】
【化27】
【0070】
【化28】
【0071】
【化29】
【0072】
から選ばれた化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
本発明のいくつかの形態において、上記化合物又はその薬学的に許容される塩は、
【0073】
【化30】
【0074】
【化31】
【0075】
【化32】
【0076】
【化33】
【0077】
から選択される。
本発明はさらに、有効成分として治療上有効な量の上記化合物又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0078】
本発明はさらに、IAP阻害剤を製造するための上記化合物又はその薬学的に許容される塩又は上記医薬組成物の使用を提供する。
【0079】
別の側面では、本発明はさらに、治療を必要とする哺乳動物、好ましくはヒトに、治療上有効な量の的上記化合物又はその薬学的に許容される塩又は上記医薬組成物を投与する、IAP阻害が効く疾患の治療方法を提供する。
【0080】
別の側面では、本発明はさらに、IAP阻害が効く疾患の治療における上記化合物又はその薬学的に許容される塩又は上記医薬組成物の使用を提供する。
【0081】
別の側面では、本発明はさらに、医薬として使用される上記化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。本発明のいくつかの実施形態において、前記「医薬として使用される」とは、IAP阻害が効く疾患の治療薬として使用されることを意味する。
【0082】
本発明のいくつかの形態において、上記IAP阻害剤とはcIAP1阻害剤を意味する。
【0083】
本発明のいくつかの形態において、上記IAP阻害剤又はcIAP1阻害剤は癌治療薬である。
【0084】
本発明のいくつかの形態において、上記癌は乳癌である。
【発明の効果】
【0085】
本発明の化合物はSMAC模倣物であり、cIAP1に対する拮抗作用を有し、cIAP1及びXIAPに対する選択性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0086】
(定義及び説明)
特に断りのない限り、本明細書で使用される下記の用語やフレーズは、次の意味を有する。特定の用語やフレーズは、特に定義されていなくても、意味不明又は不明確なものとして解されるべきではなく、通常の意味で理解されるべきである。本明細書に記載の商品名は、それに対応する商品またはその有効成分を指すものである。本明細書において、「薬学的に許容される」という用語は、化合物、材料、組成物及び/又は剤形が、健全な医学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激、アレルギー反応、またはその他の問題もしくは合併症がなく、ヒト及び動物の組織と接触して使用するのに適しており、妥当な効果/リスク比に見合う化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を指すために用いられる。
【0087】
「薬学的に許容される塩」という用語は、本発明の化合物の塩を意味し、本発明で認められた特定の置換基を有する化合物と、比較的無毒な酸又は塩基とを用いて調製されたものを意味する。本発明の化合物が比較的酸性の官能基を含むときには、純粋な溶液又は適切な不活性溶媒において、かかる化合物の中性型を十分な量の塩基と接触させることによって、塩基付加塩を得ることができる。本発明の化合物が比較的塩基性の官能基を含むときには、純粋な溶液又は適切な不活性溶媒において、かかる化合物の中性型を十分な量の酸と接触させることによって、酸付加塩を得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の例として、無機酸塩が挙げられる。本発明のいくつかの特定の化合物は、塩基性及び酸性の官能基を含むことで、塩基付加塩又は酸付加塩のいずれかに転化することができる。
【0088】
本発明的薬学的に許容される塩は、酸基または塩基を含む親化合物から通常の化学的方法によって合成することができる。一般に、このような塩の調製方法は、水または有機溶媒またはこれらの混合物中で、化学量論量の適切な塩基または酸と、遊離酸または塩基形態にあるこれらの化合物とを反応させることによって調製するという方法である。
【0089】
本発明の化合物は、特定の幾何異性体形態または立体異性体形態で存在し得る。シス及びトランス異性体、(-)-及び(+)-エナンチオマー、(R)-及び(S)-エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、およびそのラセミ混合物、ならびに例えばエナンチオマーまたはジアステレオマーに富む混合物のような他の混合物を含む本発明で想定されるすべての化合物は、本発明の範囲内である。他の不斉炭素原子がアルキル基などのような置換基に存在してもよい。これらの全ての異性体、及びそれらの混合物は、本発明の範囲内に含まれる。
【0090】
特に断りがない限り、「エナンチオマー」又は「光学異性体」という用語は、互いに鏡像関係にある立体異性体を指す。
【0091】
特に断りがない限り、「シス-トランス異性体」又は「幾何異性体」という用語は、自由に回転できない二重結合又は環形成炭素原子の単結合によって生じるものを指す。
【0092】
特に断りがない限り、「ジアステレオマー」という用語は、分子が2つ以上のキラル中心と分子間の非鏡像関係を有する立体異性体を指す。
【0093】
特に断りがない限り、「(+)」は右旋性を意味し、「(-)」は左旋性を意味し、「(±)」はラセミを意味する。
【0094】
特に断りがない限り、くさび形の実線の結合
【化34】
及びくさび形の破線の結合
【化35】
で、立体中心の絶対配置を示し、直線形の実線の結合
【化36】
及び直線形の破線の結合
【化37】
で立体中心の相対配置を示し、波線
【化38】
でくさび形の実線の結合
【化39】
もしくはくさび形の破線の結合
【化40】
を示し、又は波線
【化41】
で直線形の実線の結合
【化42】
及び直線形の破線の結合
【化43】
を示す。
【0095】
本発明の化合物は、特異的に存在し得る。特に断りがない限り、「互変異性体」又は「互変異性体形態」という用語は、室温で、異なる官能基の異性体が動的平衡にあり、迅速に互いに変換できることを意味する。互変異性体が可能な場合(例えば溶液中)、互変異性体の化学平衡を達成できる。例えば、プロトン互変異性体(proton tautomer)(プロトン移動互変異性体(prototropic tautomer)とも呼ばれる)は、ケト-エノール異性化及びイミン-エナミン異性化などのプロトン移動による相互変換を含む。原子価結合異性体(valence tautomer)は、結合形成電子の一部の再配列による相互変換を含む。ケト-エノール互変異性化の具体例は、ペンタン-2,4-ジオンと4-ヒドロキシペンタ-3-エン-2-オンの2つの互変異性体間の相互変換である。
【0096】
特に断りがない限り、本発明の化合物が異性体である場合、「1つの異性体に富む」、「異性体がリッチである」、「1つのエナンチオマーに富む」又は「エナンチオマーがリッチである」ことがある。前記「1つの異性体に富む」、「異性体がリッチである」、「1つのエナンチオマーに富む」又は「エナンチオマーがリッチである」という用語は、1つの異性体又はエナンチオマーの含有量が100%未満であり、かつ、当該異性体又はエナンチオマーの含有量が60%以上であり、又は70%以上であり、又は80%以上であり、又は90%以上であり、又は95%以上であり、又は96%以上であり、又は97%以上であり、又は98%以上であり、又は99%以上であり、又は99.5%以上であり、又は99.6%以上であり、又は99.7%以上であり、又は99.8%以上であり、又は99.9%以上であることを意味する。
【0097】
特に断りがない限り、本発明の化合物が異性体である場合、「異性体の過剰」又は「エナンチオマーの過剰」がある。「異性体の過剰」又は「エナンチオマーの過剰」という用語は、2つの異性体又は2つのエナンチオマーの相対百分率の差を意味する。例えば、そのうちの一方の異性体又はエナンチオマーの含有量が90%であり、他方の異性体又はエナンチオマーの含有量が10%である場合、異性体又はエナンチオマーの過剰(ee値)は80%である。
【0098】
光学的活性な(R)-及び(S)-異性体並びにD及びL異性体は、キラル合成またはキラル試薬または他の一般的な技術によって調製することができる。本発明のある化合物の特定のエナンチオマーを所望する場合、不斉合成により、または、キラル補助剤の誘導により調製することができ、ここで得られたジアステレオマーの混合物を分離し、補助基を開裂して純粋な所望のエナンチオマーを得る。あるいは、分子が塩基性官能基(例えば、アミノ基)または酸性官能基(例えばカルボキシル基)を含む場合、適切な光学的活性な酸または塩基とジアステレオマー塩を形成し、続いてこの分野で周知された通常の方法によりジアステレオマーの分割を行って、純粋なエナンチオマーを回収する。さらに、エナンチオマー及びジアステレオマーの分離は通常、キラル固定相を用いるクロマトグラフィーを使用することによって行うが、所望により化学的誘導体化(例えば、アミンからのカルバメート形成)を併用してもよい。本発明の化合物は、このような化合物を構成する原子の1つ以上に非天然の割合の原子同位体を含有してもよい。例えば、化合物を放射性同位体、例えばトリチウム(H)、ヨウ素-125(125I)又はC-14(14C)で標識することができる。また、例えば、水素を重水素に置き換えて重水素化薬物を形成することができる。重水素と炭素によって形成される結合は、通常の水素と炭素によって形成される結合よりも強固である。非重水素化薬物と比較して、重水素化薬物は毒性と副作用が軽減され、薬物の安定性が向上し、有効性が改善され、薬物の生物学的半減期が長くなるといった利点を有する。本発明の化合物のすべての同位体による変換は、放射性を問わず、本発明の範囲内に含まれる。「薬学的に許容される担体」という用語は、活性物質の生物活性を妨害することなく、かつ宿主または患者に対する毒性や副作用なしに、有効な量の本発明の活性物質を送達できる任意の製剤または担体媒体を指す。代表的な担体としては、水、油、野菜及びミネラル、クリーム基剤、ローション基剤、軟膏基剤などが挙げられる。これらの基剤には、懸濁剤、粘着付与剤、浸透促進剤などが含まれる。これらの製剤は、化粧品分野または局所医薬分野の当業者によく知られている。
【0099】
「賦形剤」という用語は通常、有効な医薬組成物を調製するのに必要な担体、希釈剤及び/又は媒体を指す。
【0100】
「含む(comprise)」又は「備える(comprise)」という単語、およびその英語の変化形(例えばcomprisesやcomprising)は、「含むが、これに限定されない」というオープンで非排他的な意味として理解されるべきである。
【0101】
「治療」という用語は、本発明に記載の化合物または製剤を投与して疾患又は前記疾患に関連する1つ以上の症状を予防したり、緩和したり、解消したりすることを意味し、かつ、
(i)哺乳類における疾患または疾患状態の発生を予防すること(特に、そのような哺乳動物がこの疾患状態を患いやすくなっているが、未だそれに罹患していると診断されていない場合)、
(ii)疾患または疾患状態を阻害し、すなわちその発生・進行を停止させること、
(iii)疾患または疾患状態を緩和し、すなわち疾患または疾患状態を減退させること、を含む。
【0102】
薬学的または薬理学的に活性な薬剤に関する「有効量」又は「治療上有効な量」という用語は、無毒でありながら、薬物または薬剤の所望の効果を達成するには十分な量を指す。本発明の経口剤形について、組成物における特定の活性物質の「有効量」は、組成物における別の活性物質と併用する場合に所望の効果を達成するのに必要な量を指す。有効量は、投与対象の年齢や一般状態、具体的な活性物質に応じて決定され、人によって異なるが、具体的な場合における適切な有効量は、当業者が通常の試験により決定することができる。
【0103】
「有効成分」、「治療剤」、「活性物質」又は「活性剤」という用語は、標的である障害、疾患または疾患状態の治療に有効な化学実体を指す。
【0104】
「所望の」又は「所望により」とは、後述する事情や状況が発生する可能性も、発生しない可能性もあることを意味し、かかる事情や状況が発生した場合も、発生していない場合も含む。
【0105】
「置換された」という用語は、特定の原子の原子価が正常でありかつ置換された化合物が安定である限り、特定の原子上のいずれか1つ以上の水素原子が重水素及び水素の変種を含む置換基によって置換されていることを意味する。置換基が酸素(つまり=O)である場合は、2つの水素原子が置換されていることを意味する。酸素置換は芳香族基では起こらない。「所望により置換された」という用語は、置換されていてもよく、置換されていなくてもよいことを意味する。別に指定のない限り、化学上達成可能であれば、置換基の種類及び数は限定されず、任意のものであってもよい。
【0106】
いずれかの要素(例えばR、
【0107】
【化44】
【0108】
)が化合物の組成または構造中に2回以上現れた場合、それぞれの場合におけるその定義は独立している。したがって、例えば、0~2個のRで置換されている基の場合、その基は、所望により多くとも2個のRで置換されていてもよく、かつ、それぞれの場合において、Rは、独立する選択肢を有する。さらに、いずれかの要素及び/又はその変種の組み合わせは、そのような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容される。
【0109】
結合基の数が0である場合、例えば、-(CRR)-の場合、当該結合基が単結合であることを意味する。
【0110】
要素が単結合から選択される場合、それがつないだ2つの基が直接結合していることを意味する。例えば、A-L-Zにおいて、Lが単結合を表す場合、その構造は実際にはA-Zである。
【0111】
置換基が空の場合、当該置換基が存在しないことを意味する。例えば、A-XにおけるXが空の場合、その構造は実際にはAである。環上の1つ以上の原子に結合できる置換基の場合、このような置換基は当該環上の任意の原子に結合することができる。例えば、構成単位
【0112】
【化45】
【0113】
は、置換基Rがシクロヘキシル基またはシクロヘキサジエンの任意の位置で置換され得ることを意味する。リストされた置換基がどの原子を介して、置換される基に結合するかが明示されていない場合、そのような置換基は任意の原子を介して結合してもよい。例えば、置換基としてのピリジル基は、ピリジン環上の任意の炭素原子を介して、置換される基に結合することができる。リストされた結合基の結合方向が明示されていない場合、その結合方向は任意であり、例えば、
【0114】
【化46】
【0115】
における結合基Lが-M-W-である場合、このときの-M-W-は、左から読む順番と同じ方向で環Aと環Bをつないで
【0116】
【化47】
【0117】
を形成してもよく、左から読む順番と逆の方向で環Aと環Bをつないで
【0118】
【化48】
【0119】
を形成してもよい。前記結合基、置換基及び/又はその変種の組み合わせは、そのような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容される。
【0120】
特に指定のない限り、「ヘテロ」という用語は、ヘテロ原子またはヘテロ原子団(すなわち、ヘテロ原子を含む原子団)を指し、炭素(C)及び水素(H)以外の原子及びこれらのヘテロ原子を含有する原子団を含み、例えば、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、-O-、-S-、=O、=S、-C(=O)O-、-C(=O)-、-C(=S)-、-S(=O)、-S(=O)-、及び、所望により置換された-C(=O)N(H)-、-N(H)-、-C(=NH)-、-S(=O)N(H)-又は-S(=O)N(H)-が挙げられる。
【0121】
特に指定のない限り、「環」は、置換又は非置換のシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロシクロアルキニル、アリール又はヘテロアリールを意味する。いわゆる環には、単環、連結環、スピロ環、縮合環や架橋環などがある。環の原子数は通常、環員数として定義され、例えば、「5~7員の環」とは、5~7個の原子が環状に配置されていることを意味する。特に指定のない限り、このような環は所望により1~3個のヘテロ原子を含む。したがって、「5~7員の環」には、例えば、フェニル、ピリジル及びピペリジニルが含まれる。一方、「5~7員のヘテロシクロアルキル環」には、ピリジル及びピペリジニルは含まれるが、フェニルは含まれない。「環」という用語は、少なくとも1つの環を有する環系をさらに含み、その各環は独立して上記定義に適合する。
【0122】
特に指定のない限り、「複素環」又は「複素環基」という用語は、飽和、部分不飽和又は不飽和(芳香族)であってもよい、ヘテロ原子又はヘテロ原子団を含む安定な単環、二環又は三環を意味し、それらは炭素原子と、N、O及びSから独立して選択される1、2、3又は4個の環ヘテロ原子とを含み、ここで、上記いずれかの複素環はフェニル環に縮合して二環を形成してもよい。窒素や硫黄であるヘテロ原子は所望により酸化されていてもよい(つまりNO及びS(O)pで、pは1又は2である)。窒素原子は、置換されても置換されなくてもよい(つまりN又はNRであり、Rは、H又は本明細書に定義された他の置換基である)。このような複素環は、任意のヘテロ原子又は炭素原子である側基に結合して安定な構造を形成することができる。得られる化合物が安定である場合、本明細書に記載の複素環は、炭素又は窒素部位で置換されてもよい。複素環における窒素原子は、所望により四級化されてもよい。好ましい一形態として、複素環におけるS及びO原子の合計が1を超えた場合、これらのヘテロ原子は互いに隣接しない。別の好ましい形態として、複素環におけるS及びO原子の合計は1以下である。本明細書で使用される「芳香族複素環基」又は「ヘテロアリール」という用語は、安定な5、6、7員の単環又は二環、又は7、8、9もしくは10員の二環式複素環基である芳香環を意味し、炭素原子と、N、O及びSから独立して選択される1、2、3又は4個の環ヘテロ原子とを含む。窒素原子は、置換されても置換されなくてもよい(つまりN又はNRであり、Rは、H又は本明細書に定義された他の置換基である)。窒素や硫黄であるヘテロ原子は所望により酸化されていてもよい(つまりNO及びS(O)pで、pは1又は2である)。なお、芳香族複素環におけるS及びO原子の合計は1以下である。架橋環も複素環の定義に含まれる。1つ以上の原子(すなわち、C、O、N又はS)が、隣接しない2つの炭素原子又は窒素原子をつないだ場合、架橋環が形成される。好ましい架橋環には、1個の炭素原子、2個の炭素原子、1個の窒素原子、2個の窒素原子、及び1個の炭素-窒素基が含まれるが、これらに限定されない。なお、ブリッジにより、単環が三環に変わるのが一般的である。架橋環において、環上の置換基はブリッジに存在してもよい。
【0123】
複素環式化合物の例としては、アクリジニル、アゾシニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾメルカプトフラニル、ベンゾメルカプトフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサゾリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、 ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイミダゾリニル、カルバゾリル、4aH-カルバゾリル、カルボリニル(carbolinyl)、ベンゾジヒドロピラニル、クロメン、シンノリンデカヒドロキノリニル、2H,6H-1,5,2-ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3-b]テトラヒドロフラニル、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H-インダゾリル、インドレニル、ジヒドロインドリル、インドリジニル、インドリル、3H-インドリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソジヒドロインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、メチレンジオキシフェニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキシインドリル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジン、フェノチアジン、ベンゾキサンチニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドン、4-ピペリドン、ピペロニル、プテリジル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジル、ピロリジニル、ピロリニル、2H-ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H-キナジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、6H-1,2,5-チアジアジニル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、イソチアゾリルチエニル、チエノキサゾリル、チエノチアゾリル、チエノイミダゾリル、チエニル、トリアジニル、1H-1,2,3-トリアゾリル、2H-1,2,3-トリアゾリル、1H-1,2,4-トリアゾリル、4H-1,2,4-トリアゾリル及びキサンテニルが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、縮合環及びスピロ化合物も含まれる。
【0124】
特に指定のない限り、「炭化水素基」という用語又はその下位概念(例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールなど)は、これ自体又は別の置換基の一部分として、直鎖状、分枝状又は環状の炭化水素原子団又はこれらの組み合わせを意味し、完全飽和(例えば、アルキル)であってもよく、一価又は多価不飽和(例えば、アルケニル、アルキニル、アリールなど)であってもよく、一置換又は多置換されていてもよく、一価(例えば、メチル)、二価(例えば、メチレン)又は多価(例えば、メチン)であってもよく、二価又は多価の原子団を含んでもよく、所定の数の炭素原子を有する(例えばC-C12は1~12個の炭素原子を表し、C1-12は、C、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11及びC12から選択され、C3-12は、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11及びC12から選択される)。「炭化水素基」としては、脂肪族炭化水素基や芳香族炭化水素基が挙げられるが、これらに限定されない。前記脂肪族炭化水素基としては、鎖状や環状のものが挙げられ、具体的にはアルキル、アルケニル、アルキニルが挙げられるが、これらに限定されない。前記芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン等の6~12員の芳香族炭化水素基が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、「炭化水素基」という用語は、完全飽和、一価又は多価不飽和であってもよく、二価及び多価の原子団を含んでもよい直鎖状又は分枝状の原子団又はこれらの組み合わせを意味する。飽和炭化水素原子団の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、イソブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル、及びn-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなどの原子団の同族体又は異性体が挙げられるが、これらに限定されない。不飽和炭化水素基は、1つ以上の二重結合又は三重結合を有するものであり、その例としては、例えば、ビニル、2-プロペニル、ブテニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-及び3-プロピニル、3-ブチニル、及びより高次の同族体及び異性体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0125】
特に指定のない限り、「ヘテロ炭化水素基」という用語又はその下位概念(例えば、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアリールなど)は、これ自体又は別の用語との組み合わせで、一定の数の炭素原子と、少なくとも1個のヘテロ原子とにより構成される安定な直鎖状、分枝状又は環状の炭化水素原子団又はこれらの組み合わせを意味する。いくつかの実施例において、「ヘテロアルキル」という用語は、これ自体又は別の用語との組み合わせで、一定の数の炭素原子と、少なくとも1個のヘテロ原子とにより構成される安定な直鎖状又は分枝状のアルキル原子団又はこれらの組み合わせを意味する。典型的な一実施例において、ヘテロ原子はB、O、N及びSから選択され、そのうち、窒素及び硫黄原子は所望により酸化されており、窒素であるヘテロ原子は所望により四級化されている。ヘテロ原子又はヘテロ原子団は、炭化水素基と分子の残りの部分との結合部位を含むヘテロ炭化水素基の任意の内部位置に位置してもよいが、「アルコキシ」、「アルキルアミノ」及び「アルキルチオ」(又はチオアルコキシ)は慣用表現として、それぞれ、1個の酸素原子、アミノ基又は硫黄原子を介して分子の残りの部分に結合しているアルキルを意味する。例としては、-CH-CH-O-CH、-CH-CH-NH-CH、-CH-CH-N(CH)-CH、-CH-S-CH-CH、-CH-CH、-S(O)-CH、-CH-CH-S(O)-CH、-CH=CH-O-CH、-CH-CH=N-OCH及び-CH=CH-N(CH)-CHが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、-CH-NH-OCHのように、多くとも2個のヘテロ原子だけ連続できる。
【0126】
特に指定のない限り、「環式炭化水素基」、「複素環式炭化水素基」という用語又はその下位概念(例えば、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロシクロアルキニルなど)は、これ自体又は別の用語との組み合わせで、環化された「炭化水素基」又は「ヘテロ炭化水素基」をそれぞれ意味する。さらに、ヘテロ炭化水素基又は複素環式炭化水素基(例えば、ヘテロアルキル又はヘテロシクロアルキル)の場合、ヘテロ原子は、複素環が分子の残りの部分に結合する位置を占めてもよい。環式炭化水素基の例としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-シクロヘキセニル、3-シクロヘキセニル、シクロヘプチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。複素環基の非限定的な例としては、1-(1,2,5,6-テトラヒドロピリジニル)、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-モルホリニル、3-モルホリニル、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフランインドール-3-イル、テトラヒドロチオフェン-2-イル、テトラヒドロチオフェン-3-イル、1-ピペラジニル及び2-ピペラジニルが挙げられる。
【0127】
特に指定のない限り、「ヘテロシクロアルキル」という用語は、これ自体又は別の用語との組み合わせで、環化された「ヘテロアルキル」をそれぞれ意味する。また、このような「ヘテロシクロアルキル」の場合、ヘテロ原子は、ヘテロシクロアルキルが分子の残りの部分に結合する位置を占めてもよい。いくつかの実施形態において、前記ヘテロシクロアルキルは4~6員のヘテロシクロアルキルであり、別の実施形態において、前記ヘテロシクロアルキルは5~6員のヘテロシクロアルキルである。ヘテロシクロアルキルの例としては、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ジオキサニル、ジチアニル、イソキサゾリジニル、イソチアゾリジニル、1,2-オキサジニル、1,2-チアジニル、ヘキサヒドロピリダジニル、ホモピペラジニル、ホモピペリジニル又はオキサシクロヘプチル、
【0128】
【化49】
【0129】
が挙げられる。
特に指定のない限り、「アルキル」という用語は、一置換(例えば、-CHF)又は多置換(例えば-CF)されていてもよく、一価(例えば、メチル)、二価(例えばメチレン)又は多価(例えばメチン)であってもよい直鎖状又は分枝状の飽和炭化水素基を表す。アルキルの例としては、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(例えば、n-プロピル及びイソプロピル)、ブチル(例えば、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル)、ペンチル(例えば、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル)などが挙げられる。
【0130】
特に指定のない限り、シクロアルキルは、いずれの安定な環式又は多環式の炭化水素基を含み、炭素原子がいずれも飽和であり、一置換又は多置換されていてもよく、一価、二価又は多価であってもよい。このようなシクロアルキルの例としては、シクロプロピル、ノルボルニル、[2.2.2]ビシクロオクタン、[4.4.0]ビシクロデカンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0131】
特に指定のない限り、「ハロ」又は「ハロゲン」という用語は、これ自体又は別の置換基の一部分として、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子を表す。さらに、「ハロアルキル」という用語は、モノハロアルキル及びポリハロアルキルの両方を含むことが意図される。例えば、「ハロ(C~C)アルキル」という用語は、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、3-ブロモプロピルなどを含むことが意図される。特に指定のない限り、ハロアルキルの例としては、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル及びペンタクロロエチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0132】
特に指定のない限り、「アルコキシ」という用語は、酸素架橋を介して結合した特定の数の炭素原子数を有する上記アルキルを表す。特に指定のない限り,C1-6アルコキシにはC、C、C、C、C及びCのアルコキシが含まれる。アルコキシの例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペンチルオキシ及びS-ペンチルオキシが挙げられるが、これらに限定されない。
【0133】
特に指定のない限り、「アルキルアミノ」という用語は-NH-アルキルを指す。
特に指定のない限り、「アルキルチオ」という用語は-S-アルキルを指す。
【0134】
特に指定のない限り、「アシル」という用語はアルキル-C(=O)-を指す。
特に指定のない限り、「アルキルスルホニル」という用語はアルキル-S(=O)-を指す。
【0135】
特に指定のない限り、「アリール」という用語は、一置換又は多置換されていてもよく、一価、二価又は多価であってもよい多価不飽和芳香族炭化水素置換基を表し、単環式又は多環式(例えば、1~3個の環、そのうちの少なく一つが芳香族環である)であってもよく、これらが一緒に縮合しているか又は共有結合している。
【0136】
特に指定のない限り、「ヘテロアリール」という用語は1~4個のヘテロ原子を含むアリール(又は環)を指す。例示的な一例では、ヘテロ原子はB、N、O及びSから選択され、そのうち、窒素及び硫黄原子は所望により酸化されており、窒素原子は所望により四級化されている。ヘテロアリールは、ヘテロ原子を介して分子の残りの部分に結合することができる。アリール又はヘテロアリールの非限定的な実施例としては、フェニル、ナフチル、ビフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピラジニル、オキサゾリル、フェニル-オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、フラニル、チエニル、ピリジル、ピリミジニル、ベンゾチアゾリル、プリニル、ベンゾイミダゾリル、インドリル、イソキノリニル、キノキサリニル、キノリニル、1-ナフチル、2-ナフチル、4-ビフェニル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-ピラゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、ピラジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、2-フェニル-4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-フラニル、3-フラニル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ベンゾチアゾリル、プリニル、2-ベンゾイミダゾリル、5-インドリル、1-イソキノリニル、5-イソキノリニル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、3-キノリニル及び6-キノリニルが挙げられる。上記いずれかのアリール及びヘテロアリール環系の置換基は、下記の許容可能な置換基から選択される。
【0137】
特に指定のない限り、アリールは、他の用語と組み合わせて使用される場合(例えば、アリールオキシ、アリールチオ、アラルキルの場合)、上記のように定義されたアリール及びヘテロアリール環を含む。したがって、「アラルキル」という用語は、アリールがアルキル基に結合している原子団(例えば、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなど)を含むことを意味し、炭素原子(例えば、メチレン)が例えば酸素原子で置換されたアルキル、例えば、フェノキシメチル、2-ピリジルオキシメチル3-(1-ナフチルオキシ)プロピルなどを含む。
【0138】
特に指定のない限り、Cn-n+m又はC-Cn+mは、例えば、C1-12がC、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、及びC12を含むように、nからn+m個の炭素のうちのいずれかを含むとともに、例えば、C1-12がC1-3、C1-6、C1-9、C3-6、C3-9、C3-12、C6-9、C6-12及びC9-12などを含むように、nからn+mのうちのいずれかの範囲も含む。同様に、n員からn+m員は、例えば、3~12員の環が、3元環、4員環、5員環、6員環、7員環、8員環、9員環、10員環、11員環及び12員環を含むように、環の原子数がnからn+m個であることを意味するとともに、例えば3~12員の環が、3~6員の環、3~9員の環、5~6員の環、5~7員の環、6~7員の環、6~8員の環、及び6~10員の環などを含むように、nからn+mのうちのいずれかの範囲も含む。
【0139】
「脱離基」という用語は、置換反応(例えば、求核置換反応)によって別の官能基又は原子で置換され得る官能基又は原子を意味する。例えば、代表的な脱離基としては、トリフルオロメタンスルホネート;塩素、臭素、ヨウ素;メシレート、トシレート、p-ブロモベンゼンスルホネート、p-トルエンスルホネートなどのようなスルホネート;アセトキシ、トリフルオロアセトキシ等のようなアシルオキシなどが挙げられる。
【0140】
「保護基」という用語は、「アミノ保護基」、「ヒドロキシル保護基」や「スルフヒドリル保護基」を含むが、これらに限定されない。「アミノ保護基」という用語は、アミノの窒素での副反応を阻止するのに好適に用いられる保護基を意味する。代表的なアミノ保護基としては、ホルミル;アルカノイル(例えばアセチル、トリクロロアセチル又はトリフルオロアセチル)のようなアシル;tert-ブトキシカルボニル(Boc)のようなアルコキシカルボニル;ベンジルオキシカルボニル(Cbz)や9-フルオレンメトキシカルボニル(Fmoc)のようなアリールメトキシカルボニル;ベンジル(Bn)、トリチル(Tr)、1,1-ビス-(4’-メトキシフェニル)メチルのようなアリールメチル;トリメチルシリル(TMS)やtert-ブチルジメチルシリル(TBS)のようなシリルなどが挙げられるが、これらに限定されない。「ヒドロキシル保護基」という用語は、ヒドロキシルの副反応を阻止するのに好適に用いられる保護基を意味する。代表的なヒドロキシル保護基としては、メチル、エチル及びtert-ブチルのようなアルキル;アルカノイル(例えばアセチル)のようなアシル;ベンジル(Bn)、p-メトキシベンジル(PMB)、9-フルオレニルメチル(Fm)及びジフェニルメチル(ジフェニルメチル基、DPM)のようなアリールメチル;トリメチルシリル(TMS)やtert-ブチルジメチルシリル(TBS)のようなシリルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0141】
本発明の化合物は、下記に記載の具体的な実施形態、これとその他の化学合成方法とを組み合わせた実施形態、ならびに当業者によく知られている均等な代替形態を含む、当業者によく知られている種々の合成方法により調製することができる。好ましい実施形態には、本発明の実施例は含まれるが、これらに限定されない。
【0142】
本発明に使用される溶媒は、市販により入手することができる。
本発明では、下記の略語を使用する。DMFはN,N-ジメチルホルムアミドを表し、DMAはN,N-ジメチルアセトアミドを表し、TEAはトリエチルアミンを表し、DIPEAはN,N-ジイソプロピルエチルアミンを表し、Pd(dppf)Clは[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロライドを表し、Pd(dba)はトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを表し、DPPFは1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンを表し、NBSはN-ブロモスクシンイミドを表し、POClはオキシ塩化リンを表し、HOBtは1-ヒドロキシベンゾトリアゾールを表し、HATUは2-(7-オキシベンゾトリアゾール)-N,N,N’,N’-テトラメチル尿素ヘキサフルオロホスフェートを表し、EDCIは1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩を表し、DIADはアゾジギ酸ジイソプロピルを表し、BocOはジ-tert-ブチルジカーボネートを表し、ODPHはO-ジフェニルホスフィンヒドロキシルアミンを表す。
【0143】
化合物は、手動で、又はソフトウェアChemDraw(登録商標)で命名し、市販の化合物は販売元のカタログ名を採用する。
【0144】
<実施例>
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明に対する何らかの限定を意味するものではない。本明細書において本発明を詳細に説明し、具体的な実施形態も開示しているので、本発明の趣旨及び範囲から逸脱しない限り、本発明の具体的な実施形態に対する様々な変更や修正を行えることは当業者には明白である。
反応経路1において、式Iで表される化合物を調製する。
【0145】
【化50】
【0146】
反応経路1に示す反応において、化合物(A)を酸性条件下(例えば塩化水素/酢酸エチル溶液)で脱保護して、化合物(B)を得る。化合物(B)と化合物(C)との酸-アミン縮合反応により、化合物(D)を得る。反応経路1によれば、反応には適切な縮合剤(例えばHOBt)、適切な脱水剤(例えばEDCI)及び適切な塩基(例えばDIPEA)が必要である。次に、化合物(D)を酸性条件下(例えば塩化水素/酢酸エチル溶液)で脱保護して、式(I)で表される化合物を得る。
【0147】
反応経路2において、XがCClではない化合物(A)を調製する。
【0148】
【化51】
【0149】
反応経路2に示す反応において、化合物(G)は化合物(E)と化合物(F)との置換反応により調製でき、この反応には適切な塩基(例えば炭酸カリウム)が必要である。反応経路2によれば、この反応を高温下で行わせることが好ましい。化合物(G)を酸性条件下(例えば塩化水素/酢酸エチル溶液)で脱保護して、化合物(H)を得る。化合物(A)は化合物(H)と化合物(I)との酸-アミン縮合反応により調製でき、この反応には適切な縮合剤(例えばHOBt)、適切な脱水剤(例えばEDCI)、適切な塩基(例えばDIPEA)が必要である。
【0150】
反応経路3において、XがNで、XがCClである化合物(A)を調製する。
【0151】
【化52】
【0152】
反応経路3に示す反応において、化合物(K)は化合物(J)と化合物(I)との酸-アミン縮合により調製でき、この反応には適切な縮合剤(例えばHATU)及び適切な塩基(例えばDIPEA)が必要である。化合物(K)を塩基性条件下(例えばTEA)でp-トルエンスルホニルクロリドと反応させて、化合物(L)を得る。化合物(A)は化合物(L)と化合物(E)を塩基性条件下(例えば炭酸カリウム)で置換反応させることにより調製でき、反応経路2によれば、この反応を高温下で行わせることが好ましい。
【0153】
反応経路4において、XがNで、XがCである化合物(E)を調製する。
【0154】
【化53】
【0155】
反応経路4に示す反応において、RがCHCO-又はCHCH(CH)CO-である場合、化合物(E)は、化合物(V)と、それ相応の酸ハロゲン化物又は酸無水物とのF-Cアシル化反応により調製でき、この反応には適切な触媒(例えば三塩化アルミニウム)が必要である。
【0156】
が-CNである場合、化合物(E)は化合物(V)とシアン化試薬との反応により調製でき、この反応には適切なシアン化試薬(例えばクロロスルホニルイソシアネート)が必要である。反応経路4によれば、この反応を低温下で行わせることが好ましい。
【0157】
が-CONHである場合、化合物(V)とシアン化試薬との反応により、化合物(W)を得、この反応には適切なシアン化試薬(例えばクロロスルホニルイソシアネート)が必要である。反応経路4によれば、この反応を低温下で行わせることが好ましい。化合物(E)は化合物(W)を塩基性条件下で加水分解反応させることにより調製でき、この反応には適切な塩基(例えば炭酸カリウム)、適切な溶媒(例えばエタノール/過酸化水素混合溶媒)が必要である。
【0158】
がCHSO-である場合、化合物(E)は化合物(V)とメタンスルホニルクロリドを塩基性条件下でスルホニル化反応させることにより調製でき、この反応には適切な塩基(例えばカリウムtert-ブトキシド)、適切な触媒(例えばトリエチルボランのテトラヒドロフラン溶液)が必要である。反応経路4によれば、この反応を低温下で行わせることが好ましい。
【0159】
がCHN(CH)CO-である場合、化合物(V)とPOClとDMFとのビルスマイヤー・ハック反応により、化合物(X)を得る。化合物(E)は化合物(X)とジメチルアミンとの反応により調製でき、この反応には適切な触媒(例えばシアン化ナトリウム)、適切な酸化剤(例えば二酸化マンガン)が必要である。
【0160】

【化54】
【0161】
である場合、化合物(V)と臭素化試薬とのハロゲン化反応により化合物(Y)を得、この反応には適切な臭素化試薬(例えばNBS)が必要である。化合物(E)は、化合物(Y)と、それ相応のホウ酸又はボロネートとの鈴木カップリング反応により調製でき、この反応には適切な触媒(例えばPd(dppf)Cl)、適切な塩基(例えばリン酸カリウム)が必要である。反応経路4によれば、この反応を高温下で行わせることが好ましい。
【0162】

【化55】
又は
【化56】
【0163】
である場合、化合物(V)とヨウ素化試薬とのハロゲン化反応により中間体化合物を得、この反応には適切なヨウ素化試薬(例えばヨウ素の単体)が必要である。次に、当該中間体化合物とBocOとの反応により化合物(Z)を得、この反応には適切な触媒(例えばDMAP)、適切な塩基(例えばTEA)が必要である。化合物(E)は、化合物(Z)と、それ相応の飽和アザ五員環化合物とのウルマンカップリング反応により調製でき、この反応には適切な触媒(例えばヨウ化第一銅)、適切な配位子(例えばN,N-ジメチルエチレンジアミン)、適切な塩基(例えば炭酸セシウム)が必要である。反応経路4によれば、この反応を高温下で行わせることが好ましい。
【実施例1】
【0164】
【化57】
【0165】
(ステップ1)
15℃において、塩化アンモニウム(7.92g、148mmol、5.17mL、4.0当量)の1,2-ジクロロエタン(100mL)懸濁液に、無水酢酸(7.55g、74mmol、6.93mL、2.0当量)を滴下し、混合物を15℃で30分間撹拌し,混合物に化合物1-1(5.0g、37mmol、1.0当量)の1,2-ジクロロエタン(50mL)溶液を加え、混合物を15℃で2時間撹拌した。反応液に三塩化アルミニウム(9.87g、74mmol、2.0当量)を加え、反応液が非均質相から均質相へと変わり、反応液にさらに無水酢酸(3.78g、37mmol、3.47mL、1.0当量)を加え、反応液を15℃で30分間撹拌した。LCMSは、原料の反応が完全に進行したことを示した。反応液を氷水(200mL)に徐々に注ぎ、得られた混合物を酢酸エチル(100mL×2)で抽出し、合体した有機相を食塩水(100mL)で洗ってから分液し、減圧濃縮して、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=10:1~1:1)で精製することで、化合物1-2を得た。LCMS(ESI)m/z:178.1(M+1).
(ステップ2)
化合物1-2(1.36g、6.67mmol、1.0当量)のDMF(20mL)溶液に化合物1-3(7.11g、20.01mmol、3.0当量)及び炭酸カリウム(4.61g、33.35mmol、5.0当量)を加え、窒素雰囲気下で、得られた混合物を100℃まで加熱し、15時間反応させた。LCMSは原料の反応が完全でないことを示し、反応液を120℃まで加熱し、2時間反応させ、LCMSは反応が完全に進行したことを示した。反応液に水(30mL)を加え、得られた混合物を酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。合体した有機相を食塩水(30mL)で洗ってから濃縮し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=10:1~3:1)で精製することで、化合物1-4を得た。LCMS(ESI)m/z:361.1(M+1).
(ステップ3)
0℃において、化合物1-4(2.0g、3.71mmol、1.0当量)の酢酸エチル(20mL)溶液に塩化水素/酢酸エチル溶液(4.0モル/L、20mL、21.57当量)を加え、得られた反応液を15℃で1時間撹拌した結果、固体が多く析出し、LCMSは反応が完全に進行したことを示した。反応液をろ過し、ケーキを酢酸エチル(10mL)で洗ってから乾燥させることで、化合物1-5を得、粗生成物を次のステップにおいて直接使用した。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ8.75(s,1H),7.90-7.79(m,2H),7.17(dt,J=9.2,2.6Hz,1H),4.84-4.58(m,2H),3.36-3.20(m,1H),3.19-3.04(m,1H),2.44(d,J=2.8Hz,4H),2.18-2.06(m,1H),2.02(brdd,J=7.9,5.5Hz,1H),1.88(td,J=12.6,7.9Hz,1H),1.80-1.67(m,1H);LCMS(ESI)m/z:261.1(M+1).
(ステップ4)
化合物1-5(1.0g、3.37mmol、1.0当量)のジクロロメタン(30mL)溶液に化合物1-6(1.30g、5.05mmol、1.5当量)、HOBt(500.85mg、3.71mmol、1.1当量)、EDCI(710.56mg、3.71mmol、1.1当量)及びDIPEA(1.31g、10.11mmol、1.76mL、3当量)を加え、得られた混合物を15℃で16時間反応させた。LCMSは反応が完全に進行したことを示した。反応液を水(50mL)に加え、得られた混合物をジクロロメタン(50mL×3)で抽出した。合体した有機相を濃縮し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=10:1~1:1)で精製することで、化合物1-7を得た。LCMS(ESI)m/z:500.2(M+1).
(ステップ5)
0℃において、化合物1-7(1.75g、3.39mmol、1.0当量)の酢酸エチル(20mL)溶液に塩化水素/酢酸エチル(4.0モル/L、20mL、23.61当量)を加え、混合物を15℃で1時間反応させ、LCMSは反応が完全に進行したことを示した。反応液を濃縮し、化合物1-8を得、粗生成物を次のステップにおいて直接使用した。LCMS(ESI)m/z:400.1(M+1).
(ステップ6)
化合物1-8(1.5g、3.44mmol、1.0当量)のジクロロメタン(30mL)溶液に化合物1-9(1.05g、5.16mmol、1.5当量)、HOBt(511.41mg、3.78mmol、1.1当量)、EDCI(725.54mg、3.78mmol、1.1当量)及びDIPEA(1.33g、10.32mmol、1.8mL、3当量)を加え、得られた反応液を15℃で14時間反応させた。LCMSは反応が完全に進行したことを示した。反応液を水(50mL)に加え、得られた混合物をジクロロメタン(50mL×3)で抽出し、合体した有機相を濃縮した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=2:1~1:4)で精製することで、化合物1-10を得た。LCMS(ESI)m/z:585.3(M+1).
(ステップ7)
0℃において、化合物1-10(1.30g、2.22mmol、1.0当量)の酢酸エチル(20mL)溶液に塩化水素/酢酸エチル(4.0モル/L、18.57mL、33.41当量)を加え、得られた混合物を15℃で1時間反応させた。LCMSは反応が完全に進行したことを示した。反応液を濃縮し、得られた残留物を、準備されたHPLC(塩酸系:移動相:水(0.05%塩酸)-アセトニトリル、グラジエント勾配:アセトニトリル15%-25%)で精製することで、実施例1の塩酸塩を得た。H NMR(400MHz,CDOD)δ8.28(s,1H),7.87(dd,J=9.7,2.4Hz,1H),7.78(dd,J=8.9,4.2Hz,1H),7.04(dt,J=9.0,2.4Hz,1H),4.56-4.42(m,3H),4.14-4.02(m,1H),3.95(q,J=6.8Hz,1H),3.83(q,J=8.4Hz,1H),3.77-3.66(m,1H),2.67(s,3H),2.50(s,3H),2.25-2.09(m,1H),2.03-1.93(m,1H),1.85-1.64(m,9H),1.51(d,J=7.0Hz,3H),1.33-1.01(m,6H);LCMS(ESI)m/z:485.2(M+1).
【実施例2】
【0166】
【化58】
【0167】
(ステップ1)
15℃において、塩化アンモニウム(3.53g、65.97mmol、2.31mL、2.0当量)の1,2-ジクロロエタン(10mL)懸濁液に無水酢酸(6.73g、65.97mmol、6.18mL、2.0当量)を滴下し、混合物を15℃で15分間撹拌し、混合物に化合物2-1(5.0g、32.98mmol、1.0当量)を加え、混合物を15℃で2時間撹拌した。反応液に三塩化アルミニウム(8.80g、65.97mmol、2.0当量)を加え、反応液を15℃で30分間撹拌して、反応液にさらに無水酢酸(3.37g、32.98mmol、3.09mL、1.0当量)を加え、反応液を15℃で15分間撹拌した。LCMSは、原料の反応が完全に進行したことを示した。反応液を氷水に徐々に注ぎ、得られた混合物を酢酸エチル(100mL*3)で抽出し、抽出液をNaSOで乾燥させ、減圧濃縮して、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=1:1)で精製することで、化合物2-2を得た。LCMS(ESI)m/z:194.1(M+1).
(ステップ2)
化合物1-3(7.54g、20.66mmol、2.0当量)のDMF(70mL)溶液に化合物2-2(2.00g、10.33mmol、1.0当量)及び炭酸カリウム(7.14g、51.65mmol、5.0当量)を加え、混合物を加熱し、100℃で12時間撹拌した。反応液に水(300mL)及び酢酸エチル(300mL)を加え、有機相を食塩水(100mL)で洗い、NaSOで乾燥させ、ろ過して減圧濃縮させることで、化合物2-3を得た。LCMS(ESI)m/z:377.0(M+1).
(ステップ3)
化合物2-3(2.4g、3.07mmol、1.0当量)のジオキサン(20mL)溶液に塩化水素/ジオキサン溶液(4.0モル/L、20mL、26.04当量)を加え、得られた反応液を15℃で撹拌10時間,LCMSは反応が完全に進行したことを示した。反応液をろ過し、ケーキを酢酸エチル(10mL*3)で洗ってから乾燥させることで、化合物2-4を得、粗生成物を次のステップにおいて直接使用した。LCMS(ESI)m/z:277.1(M+1).
(ステップ4)
化合物1-6(625.81mg、2.43mmol、1.1当量)のDMF(5mL)の溶液にDIPEA(857.20mg、6.63mmol、1.16mL、3当量)及びHATU(1.01g、2.65mmol、1.2当量)を加え、混合物を15℃で30分間撹拌して、化合物2-4(700mg、2.21mmol、1.0当量、塩酸塩)を反応液に加え、反応混合物を15℃で1.5時間撹拌した。反応液に水(30mL)及び酢酸エチル(40mL)を加え、有機相をクエン酸(20mL、10%水溶液)及び食塩水(20mL)で洗い、NaSOで乾燥させて、ろ過し、減圧濃縮することで、化合物2-5を得た。LCMS(ESI)m/z:516.2(M+1).
(ステップ5)
化合物2-5(1.10g、2.13mmol、1.0当量)のジオキサン(10mL)溶液に塩化水素/ジオキサン(4.0モル/L、18.33mL、34.40当量)を加え、混合物を15℃で1.5時間反応させた。反応液をろ過し、ケーキを酢酸エチル(20mL)で洗ってから乾燥させることで、化合物2-6を得た。LCMS(ESI)m/z:416.2(M+1).
(ステップ6)
化合物1-9(188.50mg、927.48μmol、1.1当量)のDMF(5mL)の溶液にDIPEA(326.91mg、2.53mmol、440.58μL、3当量)、HATU(384.71mg、1.01mmol、1.2当量)及び化合物2-6(500mg、843.16μmol、1.0当量、塩酸塩)を加え、反応混合物を15℃で1時間撹拌した。反応液に水(30mL)及び酢酸エチル(20mL)を加え、有機相をクエン酸(20mL、10%水溶液)及び食塩水(20mL)で洗い、NaSOで乾燥させて、ろ過し、減圧濃縮することで、化合物2-7を得、粗生成物を次のステップにおいて直接使用した。LCMS(ESI)m/z:601.1(M+1).
(ステップ7)
0℃において、化合物2-7(500mg、787.28μmol、1.0当量)のジクロロメタン(10mL)溶液にトリフルオロ酢酸(3mL),得られた混合物を0℃で1時間反応させた。LCMSは反応が完全に進行したことを示した。反応液を濃縮し、得られた残留物を、準備されたHPLC(塩酸)で精製することで、実施例2の塩酸塩を得た。LCMS(ESI)m/z:501.4(M+1).H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.50(brs,1H),8.88(brd,J=5.3Hz,1H),8.78(d,J=8.2Hz,1H),8.47(s,1H),8.15(d,J=2.1Hz,1H),7.89(d,J=8.8Hz,1H),7.32(dd,J=2.1,8.7Hz,1H),4.48-4.33(m,3H),4.10(brdd,J=14.8,9.9Hz,1H),3.90-3.90(m,1H),3.73-3.54(m,2H),2.46-2.45(m,1H),2.44(s,3H),2.16-2.01(m,1H),1.97-1.81(m,1H),1.79-1.52(m,9H),1.34(d,J=6.8Hz,3H),1.27-0.87(m,6H).
【実施例3】
【0168】
【化59】
【0169】
実施例3の製造方法は実施例1を参照する。H NMR(400MHz,CDOD)δ8.57(s,1H),8.41(s,1H),7.97(d,J=8.7Hz,1H),7.55(dd,J=8.7,1.6Hz,1H),4.64-4.54(m,2H),4.48(d,J=7.7Hz,1H),4.25-4.12(m,1H),3.95-3.81(m,2H),3.79-3.69(m,1H),2.67(s,3H),2.55(s,3H),2.26-2.12(m,1H),2.09-1.97(m,1H),1.91-1.59(m,9H),1.50(d,J=7.0Hz,3H),1.36-0.97(m,6H);LCMS(ESI)m/z:535.2(M+1).
【実施例4】
【0170】
【化60】
【0171】
実施例4の製造方法は実施例1を参照する。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.32(brs,1H),8.85(brd,J=5.9Hz,1H),8.78(brd,J=8.2Hz,1H),8.45(s,1H),7.88(d,J=7.1Hz,1H),7.31-7.20(m,2H),4.48-4.36(m,3H),4.14-4.04(m,1H),3.92-3.81(m,1H),3.73-3.64(m,1H),3.63-3.56(m,1H),2.49-2.45(m,4H),2.17-2.02(m,1H),1.96-1.84(m,1H),1.81-1.56(m,9H),1.34(d,J=6.8Hz,3H),1.27-0.95(m,6H);LCMS(ESI)m/z:501.4(M+1).
【実施例5】
【0172】
【化61】
【0173】
実施例5の製造方法は実施例1を参照する。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.50(brs,1H),8.96-8.85(m,1H),8.82(d,J=8.3Hz,1H),8.45(s,1H),8.15(d,J=8.5Hz,1H),8.00(d,J=1.6Hz,1H),7.24(dd,J=8.5,1.8Hz,1H),4.47-4.35(m,3H),4.08(dd,J=14.5,9.9Hz,1H),3.89-3.80(m,1H),3.74-3.66(m,1H),3.64-3.56(m,1H),2.46(brs,1H),2.44(s,3H),2.18-2.05(m,1H),1.96-1.84(m,1H),1.79-1.57(m,9H),1.35(d,J=6.8Hz,3H),1.27-0.95(m,6H);LCMS(ESI)m/z:501.4(M+1).
【実施例6】
【0174】
【化62】
【0175】
実施例6の製造方法は実施例1を参照する。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.30(brs,1H),8.80(brs,1H),8.59(brd,J=7.8Hz,1H),8.39(brs,1H),8.19(brd,J=7.8Hz,1H),7.37-7.07(m,2H),4.87-4.59(m,2H),4.57-4.29(m,2H),3.79(brs,1H),3.65(brs,2H),2.43(brs,7H),2.16-1.23(m,13H),1.21-0.73(m,5H);LCMS(ESI)m/z:501.3(M+1).
【実施例7】
【0176】
【化63】
【0177】
実施例7の製造方法は実施例1を参照する。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.60-9.44(m,1H),8.97-8.84(m,1H),8.79(brd,J=8.2Hz,1H),8.46(s,1H),8.31(d,J=1.8Hz,1H),7.84(d,J=8.8Hz,1H),7.43(dd,J=8.8,2.0Hz,1H),4.47-4.35(m,3H),4.18-3.98(m,1H),3.85(brd,J=4.8Hz,1H),3.73-3.64(m,1H),2.47-2.42(m,6H),2.17-2.02(m,1H),1.98-1.85(m,1H),1.81-1.52(m,9H),1.34(d,J=6.8Hz,3H),1.21-0.98(m,5H);LCMS(ESI)m/z:547.2(M+1).
【実施例8】
【0178】
【化64】
【0179】
実施例8の製造方法は実施例1を参照する。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.60-9.48(m,1H),8.96-8.83(m,1H),8.79(d,J=8.3Hz,1H),8.53(s,1H),8.28(s,1H),8.20(s,1H),4.48-4.32(m,3H),4.11(brdd,J=13.3,8.2Hz,1H),3.83-3.77(m,1H),3.73-3.65(m,1H),3.64-3.52(m,1H),2.47-2.43(m,6H),2.21-2.03(m,1H),1.96-1.84(m,1H),1.77-1.72(m,2H),1.67-1.55(m,5H),1.34(d,J=6.8Hz,3H),1.26-0.86(m,6H);LCMS(ESI)m/z:535.3(M+1).
【実施例9】
【0180】
【化65】
【0181】
実施例9の製造方法は実施例1を参照する。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ0.89-1.27(m,6H)1.34(d,J=6.85Hz,3H),1.58-1.70(m,5H),1.73-1.80(m,2H),1.86-1.97(m,1H),2.05-2.19(m,1H),2.42-2.47(m,6H),3.50-3.74(m,2H),3.79-3.91(m,1H),4.11(dd,J=13.75,8.50Hz,1H),4.26-4.46(m,3H),7.98(d,J=10.15Hz,1H),8.19-8.24(m,1H),8.49(s,1H),8.75(d,J=8.19Hz,1H),8.86(brd,J=5.62Hz,1H),9.43(brs,1H);LCMS(ESI)m/z:519.3(M+1).
【実施例10】
【0182】
【化66】
【0183】
実施例10の製造方法は実施例1を参照する。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.63-9.35(m,1H),8.88(brd,J=5.3Hz,1H),8.76(brd,J=8.1Hz,1H),8.55-8.43(m,1H),7.73(d,J=8.8Hz,1H),7.41(dd,J=8.4,6.7Hz,1H),4.47-4.29(m,3H),4.19-4.05(m,1H),3.95-3.78(m,1H),3.16(s,3H),2.47-2.43(m,5H),2.21-2.02(m,1H),1.90(brd,J=3.3Hz,1H),1.84-1.46(m,9H),1.33(brd,J=6.7Hz,3H),1.22-0.91(m,5H);LCMS(ESI)m/z:519.3(M+1).
【実施例11】
【0184】
【化67】
【0185】
実施例11の製造方法は実施例1を参照する。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ0.96-1.19(m,5H),1.30-1.42(m,3H),1.53-1.80(m,1H),1.53-1.82(m,7H),1.90(brs,1H),2.02-2.17(m,1H),2.41-2.48(m,6H),3.57-3.63(m,1H),3.83-3.91(m,1H),4.07-4.19(m,1H),4.37-4.46(m,2H),7.28(brd,J=8.19Hz,1H),7.97(d,J=8.93Hz,1H),8.03-8.13(m,1H),8.55(s,1H),8.79(brd,J=7.95Hz,1H),8.90(brs,1H),9.60(brd,J=5.01Hz,1H);LCMS(ESI)m/z:551.3(M+1).
【実施例12】
【0186】
【化68】
【0187】
(ステップ1)
化合物12-1(1.0g、9.89mmol、0.96mL、1.0当量)のジクロロメタン(20mL)溶液に化合物1-6(2.54g、9.89mmol、1.0当量)、HATU(3.76g、9.89mmol、1.0当量)及びDIPEA(3.83g、29.66mmol、5.17mL、3.0当量)を加えた。混合物を30℃で2.0時間反応させた。TLC(石油エーテル:酢酸エチル=1:1)で原料の反応が完全に進行したと確認された。反応液を水(100mL)に注ぎ、酢酸エチル(50mL×2)で抽出し、合体した有機相を濃縮した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=5:1~1:1)で精製することで、化合物12-2を得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ5.21(brd,J=9.0Hz,1H),4.75(brd,J=6.4Hz,1H),4.31-4.18(m,2H),3.95-3.78(m,1H),3.69-3.61(m,1H),3.60-3.52(m,1H),3.47(td,J=10.2,7.3Hz,1H),2.12-2.03(m,2H),1.96-1.80(m,3H),1.69-1.51(m,5H),1.41(s,9H),1.22-0.97(m,6H);LCMS(ESI)m/z:341.2(M+1).
(ステップ2)
化合物12-2(1.80g、5.29mmol、1.0当量)のジクロロメタン(40mL)溶液にTEA(1.60g、15.86mmol、2.21mL、3.0当量)及びp-トルエンスルホニルクロリド(1.21g、6.34mmol、1.20当量)を加えた。得られた混合物を30℃で2.0時間反応させた。LCMSで原料の反応が完全でないと示され、反応液に水(100mL)を加え、分液し、得られた有機相を飽和食塩水(100mL)で洗い、有機相を濃縮することで、化合物12-3を得た。粗生成物を次のステップにおいて直接使用した。LCMS(ESI)m/z:495.3(M+1).
(ステップ3)
化合物12-5の製造方法は化合物1-4を参照する。LCMS(ESI)m/z:550.2(M+1).
(ステップ4)
化合物12-6の製造方法は化合物1-8を参照する。LCMS(ESI)m/z:450.2(M+1).
(ステップ5)
化合物12-7の製造方法は化合物1-10を参照する。LCMS(ESI)m/z:635.3(M+1).
(ステップ6)
実施例12の塩酸塩の製造方法は実施例1を参照する。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.31(brs,1H),8.87(brd,J=8.2Hz,2H),8.21(d,J=1.6Hz,1H),7.93(d,J=8.8Hz,1H),7.40(dd,J=8.8,1.7Hz,1H),4.57-4.29(m,3H),4.28-4.11(m,1H),3.82(brs,2H),2.60(s,3H),2.11-1.93(m,2H),1.81-1.51(m,8H),1.44-0.90(m,12H);LCMS(ESI)m/z:535.2(M+1).
【実施例13】
【0188】
【化69】
【0189】
実施例13の塩酸塩の製造方法は実施例1を参照する。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ0.92-1.16(m,5H),1.33(brd,J=6.72Hz,3H),1.47-1.68(m,8H),1.91(brd,J=6.48Hz,1H),2.16-2.32(m,1H),2.44(brt,J=5.01Hz,3H),2.53(s,3H),2.80(s,3H),3.59-3.63(m,1H),3.65-3.72(m,1H),3.85(brdd,J=11.55,6.79Hz,1H),4.17-4.45(m,4H),7.23(dd,J=8.68,1.59Hz,1H),7.80(d,J=8.80Hz,1H),8.02(d,J=1.71Hz,1H),8.73(brd,J=8.19Hz,1H),8.86(brs,1H),9.45(brs,1H);LCMS(ESI)m/z:515.2(M+1).
【実施例14】
【0190】
【化70】
【0191】
(ステップ1)
0℃において、化合物14-1(4g、26.22mmol、1.0当量)のDMA(100mL)溶液にヨウ素(13.31g、52.43mmol、10.56mL、2.0当量)、水酸化カリウム(5.88g、104.86mmol、4当量) を加えた。得られた混合物を20℃で12時間反応させた。LCMSは反応が完全に進行したことを示した。反応液に飽和亜硫酸ナトリウム水溶液(200mL)を加え、得られた混合物を酢酸エチル(200mL×2)で抽出し、合体した有機相を飽和食塩水(200mL)で洗ってから濃縮した。得られた残留物を石油エーテル(5mL)で懸濁させることで、化合物14-2を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ13.71(brs,1H),7.60(d,J=8.8Hz,1H),7.47-7.38(m,2H).
(ステップ2)
化合物14-3の製造方法は化合物1-4を参照する。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ7.66(d,J=8.9Hz,1H), 7.54-7.41(m,2H),4.56-4.41(m,2H),4.23-4.05(m,1H),3.29-3.01(m,2H),1.93-1.57(m,4H),1.37(brs,5H),1.11(brs,4H);LCMS(ESI)m/z:484.1(M+23).
(ステップ3)
窒素雰囲気下で、化合物14-3(4.80g、10.21mmol、1.0当量)のDMF(100mL)溶液にシアン化亜鉛(0.72g、6.12mmol、0.388mL、0.6当量)、Pd(dba)(0.93g、1.02mmol、0.1当量)、亜鉛粉(1.33g、20.42mmol、2.0当量)及びDPPF(1.13g、2.04mmol、0.2当量)を加え、得られた混合物を100℃まで加熱し、2時間反応させた。LCMSは反応が完全に進行したことを示した。反応液を冷却してからろ過し、ケーキを酢酸エチル(50mL)で洗い、ろ液を濃縮した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=10:1~3:1)で精製することで、化合物14-4を得た。LCMS(ESI)m/z:383.2(M+23).
(ステップ4)
0℃において、化合物14-4(0.8g、2.22mmol、1当量)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液に臭化メチルマグネシウム(3モル/L、1.48mL、2当量)を加え、得られた混合物を20℃で2時間反応させた。LCMSは反応が完全に進行したことを示した。反応液を水(100mL)に徐々に注ぎ、酢酸エチル(50mL×2)で抽出し、合体した有機相を飽和食塩水(100mL)で洗ってから分液し、有機相を濃縮することで、化合物14-5を得た。粗生成物を次のステップにおいて直接使用した。LCMS(ESI)m/z:378.1(M+1).
(ステップ5)
化合物14-6の製造方法は化合物1-5を参照する。LCMS(ESI)m/z:278.1(M+1).
(ステップ6)
化合物14-7の製造方法は化合物1-7を参照する。LCMS(ESI)m/z:539.4(M+23).
(ステップ7)
化合物14-8の製造方法は化合物1-8を参照する。LCMS(ESI)m/z:417.1(M+1).
(ステップ8)
化合物14-9の製造方法は化合物1-10を参照する。LCMS(ESI)m/z:624.3(M+23).
(ステップ9)
実施例14の製造方法は実施例1を参照する.H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.06-8.79(m,2H),8.70(brd,J=8.2Hz,1H),8.17-8.10(m,1H),7.97(brd,J=8.9Hz,1H),7.56(brd,J=8.7Hz,1H),4.71(brdd,J=13.2,3.8Hz,1H),4.58-4.44(m,2H),4.38(brt,J=7.6Hz,1H),3.85(brd,J=5.1Hz,2H),2.62(s,3H),1.92-1.74(m,5H),1.72-1.49(m,8H),1.31(brd,J=6.7Hz,3H),1.13(brd,J=13.7Hz,4H),1.04-0.91(m,2H);LCMS(ESI)m/z:502.1(M+1).
【実施例15】
【0192】
【化71】
【0193】
実施例15の製造方法は実施例14を参照する。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.56(brs,1H),8.87(brs,1H),8.80-8.60(m,1H),8.14-7.94(m,1H),7.85-7.68(m,1H),7.58-7.40(m,1H),4.78-4.30(m,4H),3.96-3.74(m,1H),3.64-3.58(m,2H),2.61(s,1H),2.47-2.38(m,3H),1.94-1.52(m,11H),1.39-1.26(m,3H),1.24-0.87(m,6H);LCMS(ESI)m/z:486.3(M+1).
【実施例16】
【0194】
【化72】
【0195】
(ステップ1)
化合物16-2の製造方法は化合物1-4を参照する。LCMS(ESI)m/z:336.2(M+1).
(ステップ2)
-20℃において、化合物16-2のDMF(20mL)溶液に化合物16-3(997.86mg、7.05mmol、612.18μL、1.5当量)を加え、得られた混合物を0℃で2時間撹拌した。TLCは原料の反応が完全に進行したことを示した。-20℃において、上記反応液に1.5mLの化合物16-3(2.44g、17.28mmol、1.5mL、3.68当量)を追加し、得られた混合物を0℃で0.5時間撹拌した。LC-MSは、原料の反応が完全に進行したことを示した。反応混合物に水(50mL)を加え、得られた混合物をろ過し、ケーキを水(20mL×2)で洗ってから真空乾燥させた。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=50:1至10:1)で精製することで、化合物16-3を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ0.98(brs,5H),1.14-1.31(m,4H),1.80(brd,J=17.85Hz,4H),3.17-3.31(m,2H),4.12-4.30(m,2H),4.35-4.44(m,1H),8.24-8.39(m,1H),8.42-8.57(m,2H);LCMS(ESI)m/z:361.1(M+1).
(ステップ3)
化合物16-5の製造方法は化合物14-5を参照する。LCMS(ESI)m/z:378.2(M+1).
(ステップ4)
化合物16-6の製造方法は化合物1-5を参照する。LCMS(ESI)m/z:278.0(M+1).
(ステップ5)
化合物16-7の製造方法は化合物1-7を参照する。LCMS(ESI)m/z:539.4(M+23).
(ステップ6)
化合物16-8の製造方法は化合物1-8を参照する。LCMS(ESI)m/z:417.3(M+1).
(ステップ7)
化合物16-9の製造方法は化合物1-10を参照する。LCMS(ESI)m/z:624.1(M+23).
(ステップ8)
実施例16の製造方法は実施例1を参照する。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ1.02-1.14(m,6H),1.35-1.49(m,2H),1.58(brs,4H),1.66-1.80(m,4H),1.87(brd,J=6.72Hz,2H),2.09-2.20(m,3H),2.46(s,3H),2.93(dt,J=13.57,6.79Hz,1H),3.54(brd,J=9.90Hz,2H),3.62-3.70(m,1H),4.21-4.41(m,2H),4.48(brdd,J=13.51,7.03Hz,1H),4.68(brd,J=3.18Hz,1H),7.80(brd,J=8.80Hz,1H),8.32-8.40(m,1H),8.40-8.47(m,1H),8.55-8.66(m,1H);LCMS(ESI)m/z:502.1(M+1).
【実施例17】
【0196】
【化73】
【0197】
実施例17の製造方法は実施例16及び実施例1を参照する。H NMR(400MHz,CDOD)δ8.53(brd,J=7.6Hz,1H),8.06(s,1H),7.88(dd,J=8.9,4.2Hz,1H),7.32(dd,J=8.8,2.3Hz,1H),7.14(dt,J=9.1,2.3Hz,1H),4.57-4.45(m,3H),4.21-4.08(m,1H),3.92(q,J=6.8Hz,1H),3.86-3.78(m,1H),3.76-3.65(m,1H),2.67(s,3H),2.22-2.07(m,1H),2.04-1.96(m,1H),1.83-1.63(m,8H),1.50(d,J=6.8Hz,3H),1.3-1.02(m,6H);LCMS(ESI)m/z:468.2(M+1).
【実施例18】
【0198】
【化74】
【0199】
実施例18の製造方法は実施例16及び実施例1を参照する。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.60-9.41(m,1H),8.86(brd,J=4.6Hz,1H),8.69(d,J=8.3Hz,1H),8.37(s,1H),7.94(d,J=8.8Hz,1H),7.66(d,J=1.8Hz,1H),7.39(dd,J=8.8,2.0Hz,1H),4.41(brd,J=2.8Hz,1H),4.38(brd,J=6.5Hz,1H),4.23-4.12(m,1H),3.88-3.79(m,1H),3.70-3.53(m,2H),2.44(brt,J=5.1Hz,3H),2.15-2.01(m,1H),1.90(brd,J=4.3Hz,1H),1.75-1.52(m,8H),1.32(d,J=6.8Hz,3H),1.25-0.89(m,6H);LCMS(ESI)m/z:484..4(M+1).
【実施例19】
【0200】
【化75】
【0201】
実施例19の製造方法は実施例14を参照する。H NMR(400MHz,CDOD)δ7.93(d,J=9.0Hz,1H),7.83(d,J=1.1Hz,1H),7.54(dd,J=8.9,1.5Hz,1H),4.77-4.70(m,1H),4.68-4.61(m,1H),4.57(brs,1H),4.48(brd,J=7.0Hz,1H),3.88(q,J=7.0Hz,1H),3.84-3.74(m,1H),3.65-3.54(m,1H),2.68-2.62(m,3H),1.97-1.85(m,3H),1.83-1.66(m,7H),1.47(d,J=7.0Hz,3H),1.37-1.00(m,5H);LCMS(ESI)m/z:485.1(M+1).
【実施例20】
【0202】
【化76】
【0203】
(ステップ1)
窒素雰囲気下で、化合物1-1(1.0g、7.40mmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(20mL)にカリウムtert-ブトキシド(0.91g、8.14mmol、1.1当量)を加え、混合物を15℃で0.5時間反応させた後、反応液にトリエチルボランのテトラヒドロフラン溶液(1モル/L、8.14mL、1.1当量)を徐々に加えた。反応液を引き続き15℃で0.5時間反応させてから、さらに反応液にメタンスルホニルクロリド(0.93g、8.14mmol、0.63mL、1.1当量)を加えた。反応液をを-15℃で10時間反応させた。LCMSは反応が完全に進行したことを示した。反応系に飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)を加え、得られた混合物を酢酸エチル(100mL×2)で抽出し、合体した有機相を濃縮することで、化合物20-1を得た。LCMS(ESI)m/z:214.0(M+1).
(ステップ2)
化合物20-2の製造方法は化合物1-4を参照する。LCMS(ESI)m/z:397.1(M+1).
(ステップ3)
化合物20-3の製造方法は化合物1-5を参照する。LCMS(ESI)m/z:297.1(M+1).
(ステップ4)
化合物20-4の製造方法は化合物1-7を参照する。LCMS(ESI)m/z:558.1(M+23).
(ステップ5)
化合物20-5の製造方法は化合物1-8を参照する。
【0204】
(ステップ6)
化合物20-6の製造方法は化合物1-10を参照する。LCMS(ESI)m/z:643.4(M+23).
(ステップ7)
実施例20の製造方法は実施例1を参照する。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.61-9.37(m,1H),8.96-8.83(m,1H),8.79(d,J=8.2Hz,1H),8.23-8.19(m,1H),7.98(dd,J=9.2,4.4Hz,1H),7.52(dd,J=9.4,2.5Hz,1H),7.26(dt,J=9.2,2.5Hz,1H),4.51-4.32(m,3H),4.15(dd,J=13.2,8.6Hz,1H),3.98-3.79(m,1H),3.20(s,3H),2.46(t,J=5.3Hz,3H),2.08(td,J=12.2,8.7Hz,1H),1.95-1.82(m,1H),1.77-1.49(m,9H),1.37-1.30(m,3H),1.26-0.91(m,6H);LCMS(ESI)m/z:521.3(M+1).
【実施例21】
【0205】
【化77】
【0206】
実施例21の製造方法は実施例20を参照する。H NMR(400MHz,CDOD)δ8.03(s,1H),7.91-7.80(m,2H),7.32(dd,J=8.7,1.9Hz,1H),4.59-4.43(m,2H),4.21-4.10(m,1H),3.94(q,J=6.8Hz,1H),3.82(q,J=8.5Hz,1H),3.74-3.63(m,1H),3.18(s,3H),2.67(s,3H),2.16-2.02(m,1H),2.01-1.94(m,1H),1.85-1.72(m,6H),1.71-1.59(m,2H),1.50(d,J=7.0Hz,3H),1.34-1.01(m,6H);LCMS(ESI)m/z:537.1(M+1).
【実施例22】
【0207】
【化78】
【0208】
(ステップ1)
化合物17-8(175mg、308.27μmol、1.0当量)のエタノール(8mL)溶液に炭酸カリウム(85.21mg、616.53μmol、2.0当量)、過酸化水素(9.44g、83.26mmol、8mL、濃度為30%,270.09当量)を加え、得られた反応液を50℃で1時間反応させた。LCMSは反応が完全に進行したことを示した。反応液に水(40mL)を加え、得られた混合物を酢酸エチル(30mL)で抽出し、合体した有機相を飽和食塩水(20mL)で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥させてからろ過し、ろ液を減圧濃縮して、化合物22-2を得た。LCMS(ESI)m/z:586.6(M+1).
(ステップ2)
実施例22の製造方法は実施例1を参照する。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.48(brs,1H),8.88(brs,1H),8.81(brd,J=7.9Hz,1H),8.16(s,1H),7.87-7.78(m,2H),7.13-7.06(m,1H),4.44-4.36(m,2H),4.32(brd,J=4.1Hz,1H),4.03(brdd,J=13.5,9.6Hz,1H),3.86(brd,J=4.9Hz,2H),3.63-3.53(m,1H),2.44(brs,1H),2.15-2.02(m,1H),1.91(brs,1H),1.77-1.58(m,9H),1.35(brd,J=6.8Hz,3H),1.21-0.99(m,6H);LCMS(ESI)m/z:486.5(M+1).
【実施例23】
【0209】
【化79】
【0210】
(ステップ1)
0℃において、30分間内でDMF(8.55g、116.97mmol、9mL、5.91当量)溶液にPOCl(3.96g、25.83mmol、2.40mL、1.31当量)を徐々に滴下した。混合液に化合物23-1(3.0g、19.79mmol、1.0当量)のDMF(3mL)溶液を滴下し、得られた混合物を25℃で1時間撹拌した。TLC(石油エーテル:酢酸エチル=3:1)及びLC-MSは、原料の反応が完全に進行したことを示した。反応液を水(150mL)に徐々に注ぎ、10%NaOH溶液で混合液のpHが9となるように調整してから、酢酸エチルで抽出した(200mL×2)。合体した有機相を飽和食塩水(100mL×2)で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥してから濃縮することで、化合物23-2を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ7.28(dd,J=8.66,2.13Hz,1H),7.54(d,J=8.66Hz,1H),8.06(d,J=2.01Hz,1H),8.36(s,1H),9.93(s,1H),12.29(brs,1H);LCMS(ESI)m/z:180.1(M+1).
(ステップ2)
化合物23-2(3g、16.70mmol、1.0当量)及びシアン化ナトリウム(163.72mg、3.34mmol、0.2当量)のDMF(30mL)溶液に化合物23-3(2モル/L、33.41mL、4.0当量)を加え、得られた混合物を30℃で10分間撹拌した。混合物に二酸化マンガン(36.30g、417.59mmol、25.0当量)を数回に分けて加え、得られた混合物を30℃下継続撹拌14時間。LCMSは、原料の反応が完全に進行したことを示した。反応混合物をろ過し、ケーキを酢酸エチル(100mL×2)で洗った。合体した有機相を飽和硫酸第一鉄溶液(50mL×2)、食塩水(100mL)を用いてこの順で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥してから濃縮することで、化合物23-4を得、粗生成物を次のステップにおいて直接使用した。LCMS(ESI)m/z:223.2(M+1).
(ステップ3)
化合物23-5の製造方法は化合物1-4を参照する。LCMS(ESI)m/z:406.0(M+1).
(ステップ4)
化合物23-6の製造方法は化合物1-5を参照する。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ1.62-1.77(m,1H),1.80-1.92(m,1H),1.94-2.04(m,1H),2.06-2.17(m,1H),3.04-3.15(m,6H)3.20-3.31(m,1H),3.86(brs,1H),4.52-4.56(m,1H),4.61(brdd,J=14.87,5.08Hz,2H),4.69-4.77(m,1H),4.69-4.77(m,1H),7.26(dd,J=8.72,2.07Hz,1H),7.79(d,J=8.78Hz,1H),7.90(d,J=2.01Hz,1H),8.26(s,1H),9.35(brs,1H),10.04(brs,1H);LCMS(ESI)m/z:306.1(M+1).
(ステップ5)
化合物23-7の製造方法は化合物1-7を参照する。LCMS(ESI)m/z:545.4(M+1)
(ステップ6)
化合物23-8の製造方法は化合物1-8を参照する。LCMS(ESI)m/z:445.0(M+1).
(ステップ7)
化合物23-9の製造方法は化合物1-10を参照する。LCMS(ESI)m/z:630.3(M+1).
(ステップ8)
実施例23の製造方法は実施例1を参照する。H NMR(400MHz,CDOD)δ1.00-1.30(m,5H),1.47-1.54(m,3H),1.61(brd,J=12.23Hz,1H),1.65-1.87(m,7H),1.99(brs,1H),2.06-2.23(m,1H),2.64-2.71(m,3H),3.1-3.30(m,6H),3.72(brd,J=6.48Hz,1H),3.83(q,J=8.48Hz,1H),3.90-4.02(m,1H),4.09-4.20(m,1H),4.46(brd,J=7.46Hz,1H),4.51-4.62(m,2H),7.24-7.30(m,1H),7.74(s,1H),7.80(d,J=9.05Hz,1H),7.92(brs,1H);LCMS(ESI)m/z:530.3(M+1).
【実施例24】
【0211】
【化80】
【0212】
実施例24の製造方法は実施例1を参照する。H NMR(400MHz,CDOD)δ8.36-8.23(m,2H),7.79(d,J=8.8Hz,1H),7.27(dd,J=8.8,2.0Hz,1H),4.60-4.44(m,3H),4.21-4.05(m,1H),3.97-3.77(m,2H),3.71(qd,J=10.0,4.0Hz,1H),3.44(spt,J=6.8Hz,1H),2.67(s,3H),2.23-2.07(m,1H),2.06-1.96(m,1H),1.85-1.64(m,8H),1.50(d,J=7.1Hz,3H),1.27-1.05(m,10H);LCMS(ESI)m/z:551.3(M+23).
【実施例25】
【0213】
【化81】
【0214】
(ステップ1)
化合物1-1(0.2g、1.48mmol、1.0当量)のDMF(2mL)溶液に、NBS(276.58mg、1.55mmol、1.05当量)を数回に分けて加え、得られた混合物を15℃で1時間撹拌した。TLC(石油エーテル:酢酸エチル=3:1)は、原料の反応が完全に進行したことを示し、LCMSは生成物があったことを示した。反応液に飽和亜硫酸ナトリウム溶液(2mL)を加え、混合物を酢酸エチル(2mL×3)で抽出した。合体した有機相を濃縮することで、化合物25-1を得、粗生成物を次のステップにおいて直接使用した。LCMS(ESI)m/z:211.9(M-1).
(ステップ2)
窒素雰囲気下で、化合物25-1(1.5g、7.01mmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(18mL)及び水(3.0mL)の混合溶液に、化合物25-2(1.91g、14.02mmol、2.0当量)、リン酸カリウム(2.98g、14.02mmol、2.0当量)及びPd(dppf)Cl(512.80mg、700.82μmol、0.1当量)を加え、得られた混合物を80℃で16時間撹拌した。LCMSは、原料の反応が完全に進行したことを示した。反応液を無水硫酸ナトリウムで乾燥してからろ過し、ろ液を減圧濃縮して、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=1:0到5:1)で精製することで、化合物25-3を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ8.07-7.86(m,1H),7.52(d,J=2.4Hz,1H),7.46-7.40(m,1H),7.37-7.30(m,1H),7.26-7.21(m,2H),7.13-7.05(m,2H),6.99(dt,J=9.1,2.3,1H),2.29(s,3H);LCMS(ESI)m/z:224.0(M-1).
(ステップ3)
化合物25-4の製造方法は化合物1-4を参照する。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.43-7.24(m,5H),7.22-7.13(m,1H),7.13-7.07(m,1H),7.05-6.97(m,1H),4.49-4.36(m,1H),4.31-4.24(m,1H),3.50-3.33(m,1H),3.26-3.11(m,1H),2.35(s,3H),1.95-1.85(m,1H),1.83-1.71(m,2H),1.59-1.46(m,11H);LCMS(ESI)m/z:431.3(M+23).
(ステップ4)
化合物25-5の製造方法は化合物1-5を参照する。LCMS(ESI)m/z:309.2(M+1).
(ステップ5)
化合物25-6の製造方法は化合物1-7を参照する。LCMS(ESI)m/z:548.1(M+1).
(ステップ6)
化合物25-7の製造方法は化合物1-8を参照する。LCMS(ESI)m/z:448.2(M+1).
(ステップ7)
化合物25-8の製造方法は化合物1-10を参照する。LCMS(ESI)m/z:633(M+1).
(ステップ8)
実施例25の製造方法は化合物の実施例1を参照する。H NMR(400MHz,CDOD)δ7.70(dd,J=8.9,4.1Hz,1H),7.31(dd,J=4.7,3.2Hz,2H),7.27(s,1H),7.25-7.19(m,2H),7.03-6.94(m,2H),4.62-4.47(m,3H),4.21-4.07(m,1H),3.97-3.88(m,1H),3.86-3.74(m,1H),3.70-3.59(m,1H),2.68(s,3H),2.28(s,3H),2.09-1.57(m,11H),1.52(d,J=6.9Hz,3H),1.39-1.02(m,6H);LCMS(ESI)m/z:533.2(M+1).
【実施例26】
【0215】
【化82】
【0216】
実施例26の製造方法は実施例25を参照する。H NMR(400MHz,CDOD)δ8.23-8.14(m,1H),8.03-7.93(m,1H),7.88(dd,J=8.9,4.3Hz,1H),7.39(brd,J=9.4Hz,1H),7.12(dt,J=9.1,2.4Hz,1H),6.94-6.85(m,1H),4.65-4.56(m,2H),4.48(d,J=7.5Hz,1H),4.25-4.08(m,4H),4.00-3.91(m,1H),3.90-3.80(m,1H),3.79-3.68(m,1H),2.67(s,3H),2.30-2.13(m,1H),2.05-1.95(m,1H),1.90-1.60(m,8H),1.51(d,J=7.0Hz,3H),1.38-1.01(m,6H);LCMS(ESI)m/z:523.3(M+1).
【実施例27】
【0217】
【化83】
【0218】
実施例27の製造方法は実施例25を参照する。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ7.83-7.95(m,2H),7.82(s,1H),7.53-7.59(m,1H),7.47-7.53(m,1H),7.29(dd,J=8.78,2.01Hz,1H),6.48(d,J=1.76Hz,1H),4.34-4.53(m,3H),4.10(dd,J=13.05,8.03Hz,1H),3.86-3.89(m,3H),3.61(brd,J=8.03Hz,2H),2.97(q,J=6.69Hz,1H),2.17(s,3H),1.98-2.07(m,1H),1.78-1.92(m,2H),1.51-1.77(m,9H),1.14(brs,1H),1.09(d,J=6.78Hz,4H),0.89-1.04(m,2H);LCMS(ESI)m/z:539.3(M+1).
【実施例28】
【0219】
【化84】
【0220】
(ステップ1)
20℃において、化合物23-1(1.0g、6.60mmol、1.0当量)のDMF(20mL)溶液にヨウ素(1.67g、6.60mmol、1.0当量)のDMF(20mL)溶液及び水酸化カリウム(0.92g、16.49mmol、2.5当量)を加え、得られた混合物を20℃で1時間撹拌して反応させた。TLC(石油エーテル:酢酸エチル=3:1)で原料の反応が完全に進行したと確認された。反応液を飽和亜硫酸ナトリウム水溶液(100mL)に徐々に注いだ後、酢酸エチル(100mL)で抽出した。合体した有機相を飽和食塩水(100mL)で洗ってから濃縮することで、化合物28-1を得た。粗生成物を次のステップにおいて直接使用した。LCMS(ESI)m/z:277.9(M+1).
(ステップ2)
化合物28-1(1.5g、5.41mmol、1.0当量)のジクロロメタン(50mL)溶液にBocO(1.42g、6.49mmol、1.49mL、1.2当量)、TEA(1.64g、16.22mmol、1当量)及びDMAP(66mg、0.54mmol、0.1当量)を加えた。得られた混合物を20℃で10時間撹拌して反応させた。TLC(石油エーテル:酢酸エチル=10:1)で原料の反応が完全に進行したと確認された。反応を濃縮し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=20:1~10:1)で精製することで、化合物28-2を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ8.01(d,J=8.8Hz,1H),7.91(s,1H),7.39(dd,J=8.8,2.0Hz,1H),7.30(d,J=1.8Hz,1H),1.61(s,9H);LCMS(ESI)m/z:378.0(M+1).
(ステップ3)
窒素雰囲気下で、化合物28-2(1.5g、3.97mmol、1.0当量)のジオキサン(40mL)溶液に化合物28-3(1.01g、11.92mmol、0.91mL、3.0当量)、ヨウ化第一銅(0.37mg、1.99mmol、0.5当量)、炭酸セシウム(3.88g、11.92mmol、3.0当量)、N,N-ジメチルエチレンジアミン(0.35g、3.97mmol、1.0当量)を加えた。反応液を80℃まで加熱し、2.0時間反応させた。LCMSは、原料の反応が完全に進行したことを示した。反応液を20℃に冷却してろ過し、ケーキを酢酸エチル(50mL)で洗い、ろ液を濃縮した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=5:1~1:1)で精製することで、化合物28-4を得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ8.97(brs,1H),7.53(d,J=1.8Hz,1H),7.19-7.01(m,3H),3.92(t,J=7.0Hz,2H),2.64(t,J=8.2Hz,2H),2.32-2.24(m,2H);LCMS(ESI)m/z:234.1(M+1).
(ステップ4)
化合物28-5の製造方法は化合物1-4を参照する。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.61(brd,J=6.1Hz,1H),7.48(brd,J=8.7Hz,1H),7.44-7.38(m,1H),7.32(brd,J=8.7Hz,1H),7.15(dd,J=8.8,1.9Hz,1H),4.22-4.13(m,1H),3.98(brt,J=7.0Hz,2H),3.45-3.15(m,2H),2.95(s,1H),2.87(s,1H),2.59(t,J=8.1Hz,2H),2.30-2.16(m,2H),1.93-1.65(m,4H),1.50(s,10H);LCMS(ESI)m/z:418.2(M+1).
(ステップ5)
化合物28-6の製造方法は化合物1-5を参照する。LCMS(ESI)m/z:318.1(M+1).
(ステップ6)
化合物28-7の製造方法は化合物1-7を参照する。LCMS(ESI)m/z:557.3(M+1).
(ステップ7)
化合物28-8の製造方法は化合物1-8を参照する。LCMS(ESI)m/z:457.2(M+1).
(ステップ8)
化合物28-9の製造方法は化合物1-10を参照する。LCMS(ESI)m/z:642.3(M+1).
(ステップ9)
実施例28の製造方法は実施例1を参照する。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.41(brs,1H),9.08-8.72(m,2H),7.84-7.49(m,3H),7.26-7.09(m,1H),4.51-4.23(m,3H),4.10-3.79(m,4H),3.72-3.51(m,1H),2.46(brs,6H),2.14(brd,J=6.0Hz,2H),1.95(brs,1H),1.90-1.54(m,9H),1.35(brd,J=6.2Hz,3H),1.29-0.94(m,6H);LCMS(ESI)m/z:542.3(M+1).
【実施例29】
【0221】
【化85】
【0222】
実施例29の製造方法は実施例28を参照する。H NMR(400MHz,CDOD)δ7.67(d,J=8.8Hz,1H),7.57(d,J=1.8Hz,1H),7.31(s,1H),7.15(dd,J=8.7,1.9Hz,1H),4.59-4.38(m,4H),4.08-3.98(m,1H),3.96-3.90(m,1H),3.88-3.81(m,2H),3.81-3.74(m,1H),3.72-3.64(m,1H),3.61-3.53(m,2H),2.89(s,4H),2.67(s,3H),1.93(brd,J=9.7Hz,2H),1.88-1.66(m,9H),1.52-1.49(m,3H),1.36-1.08(m,6H);LCMS(ESI)m/z:557.3(M+1).
【実施例30】
【0223】
【化86】
【0224】
実施例30の製造方法は実施例28を参照する。H NMR(400MHz,CDOD)δ7.70(d,J=8.8Hz,1H),7.63(d,J=2.0Hz,1H),7.45(s,1H),7.21-7.14(m,1H),4.60-4.55(m,2H),4.54-4.43(m,3H),4.12(dt,J=8.1,3.5Hz,2H),4.07-3.98(m,1H),3.97-3.89(m,1H),3.84-3.75(m,1H),3.73-3.64(m,1H),2.67(s,3H),2.00-1.89(m,2H),1.87-1.76(m,6H),1.71(brd,J=10.8Hz,2H),1.51(d,J=7.0Hz,3H),1.36-1.06(m,6H);LCMS(ESI)m/z:544.3(M+1).
【実施例31】
【0225】
【化87】
【0226】
(ステップ1)
化合物31-1(10g、43.24mmol、1.0当量)のDMF(100mL)溶液に炭酸カリウム(17.93g、129.73mmol、3.0当量)及びヨウ化メチル(9.21g、64.87mmol、4.04mL、1.5当量)を加え、得られた混合物を15℃で5時間反応させた。TLC(石油エーテル:酢酸エチル=1:1)は反応が完全に進行したことを示した。反応液に水(100mL)を加え、得られた混合物を酢酸エチル(100mL×2)で抽出した。合体した有機相を飽和食塩水(100mL×3)で洗ってから濃縮することで、化合物31-2を得た。粗生成物を次のステップにおいて直接使用した。
【0227】
(ステップ2)
窒素雰囲気下で、化合物31-2(9.0g、36.69mmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(150mL)溶液にフェノール(3.8g、40.36mmol、3.55mL、1.1当量)、トリフェニルホスフィン(10.59g、40.36mmol、1.1当量)及びDIAD(8.16g、40.36mmol、7.85mL、1.1当量)を加えた。得られた混合物を15℃で12時間撹拌した。LCMSは反応が完全に進行したことを示した。反応液を濃縮し、得られた残留物に水(100mL)、酢酸エチル(200mL)を加えて、分液した。有機相を飽和食塩水(100mL×2)で洗ってから濃縮することで、化合物31-3を得た。粗生成物を次のステップにおいて直接使用した。LCMS(ESI)m/z:322.2(M+1).
(ステップ3)
0℃において、化合物31-3(9g、28.01mmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(100mL)溶液に水素化アルミニウムリチウム(1.59g、42.01mmol、1.5当量)を加え、得られた混合物を15℃で2時間反応させた。LCMSは反応が完全に進行したことを示した。反応液に水(3mL)、30%水酸化ナトリウム溶液(6mL)、水(3mL)をこの順で滴下して反応を止めた。得られた混合物をろ過し、ケーキを酢酸エチル(100mL)で洗い、ろ液を濃縮した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=10:~2:1)で精製することで、化合物31-4を得た。LCMS(ESI)m/z:316.2(M+23).
(ステップ4)
0℃において、化合物31-4(5g、17.04mmol、1.0当量)のジクロロメタン(150mL)溶液にピリジン(4.04g、51.13mmol、4.13mL、3.0当量)及びp-トルエンスルホニルクロリド(6.50g、34.09mmol、2.0当量)を加え、得られた混合物を15℃で10時間撹拌した。LCMSは反応が完全に進行したことを示した。反応液を濃縮し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=20:1~3:1)で精製することで、化合物31-5を得た。LCMS(ESI)m/z:470.2(M+23).
(ステップ5)
化合物31-7の製造方法は化合物1-4を参照する。LCMS(ESI)m/z:453.1(M+1).
(ステップ6)
化合物31-8の製造方法は化合物1-5を参照する。
【0228】
(ステップ7)
化合物31-9の製造方法は化合物1-7を参照する。LCMS(ESI)m/z:592.1(M+1).
(ステップ8)
化合物31-10の製造方法は化合物1-8を参照する。
【0229】
(ステップ9)
化合物31-11の製造方法は化合物1-10を参照する。LCMS(ESI)m/z:677.2(M+1).
(ステップ10)
実施例31の製造方法は実施例1を参照する。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.60-9.34(m,1H),8.98-8.83(m, 1H),8.80(d,J=7.8Hz,1H),7.98(s,1H),7.83(dd,J=9.8,2.6Hz,1H),7.73(dd,J=9.0,4.5Hz,1H),7.44-7.34(m,2H),7.15-7.08(m,3H),7.07-7.01(m,1H),5.22(brs,1H),4.73-4.56(m,2H),4.37(t,J=7.6Hz,1H),4.33-4.22(m,1H),4.10(dd,J=11.8,4.6Hz,1H),3.93-3.83(m,2H),2.45(brt,J=5.2Hz,4H),2.31(s,3H),2.21-2.09(m,1H),2.00(brd,J=14.2Hz,1H),1.71-1.55(m,6H),1.35(d,J=6.8Hz,3H),1.22-0.92(m,6H);LCMS(ESI)m/z:577.2(M+1).
本発明に係る化合物はIAP阻害剤である。以下の実験結果は、本特許出願に記載の化合物がIAP阻害剤であり、潜在的な抗癌剤として使用できることを示す。本明細書で使用されるIC50とは、最大阻害の50%をを引き起こす試薬の濃度を意味する。
[実験例一:cIAP1 BIR3及びXIAP BIR3との結合実験]
(実験材料)
試験のバッファ系(cIAP1 BIR3又はXIAP BIR3のバッファ):100mMのリン酸カリウム、pH 7.5、0.1%BSA、0.005%トリトンX-100及び1%ジメチルスルホキシド。
プローブ:ARPFAQ-K(5-FAM)-NH
【0230】
標的:
cIAP1-BIR3-his:RBC Cat#APT-11-370、ヒトcIAP1のBIR3ドメイン(アミノ酸258~363を含む;cIAP1 BIR3)をGST融合タンパク質として大腸菌(E.coli)で発現させて精製したもの。
【0231】
XIAP-BIR3-his:RBC Cat#APT-11-374、XIAPのBIR3ドメイン(アミノ酸255~356を含む;XIAP BIR3)をGST融合タンパク質として大腸菌(E.coli)で発現させて精製したもの。
【0232】
反応条件:
5nM ARPFAQ-K(5-FAM)-NH2,20nM cIAP1 BIR3及び30nM XIAP BIR3。
【0233】
(実験手順)
まず、cIAP1 BIR3又はXIAP BIR3の新鮮なバッファを調製し、そして2倍量のcIAP1 BIR3又はXIAP BIR3の溶液を加え、さらに、100%DMSOに溶解した試験化合物を音響技術によりcIAP1 BIR3又はXIAP BIR3のバッファ溶液に加えた後、2倍量のプローブを添加し、室温下で暗所において混合して60分間インキュベートし、蛍光偏光を測定してmP値を算出し、最後にIC50値を求める。
【0234】
(実験結果)
表1に示す。
【0235】
(実験の結論)
本発明の化合物はcIAP1 BIR3結合活性を示し、cIAP1 及びXIAPに対する選択性を有する。
[実験例二:インビトロ細胞生存率試験]
(実験材料)
RPMI 1640培地(Invitrogen-22400089)、ウシ胎児血清(Invitrogen-10099141)、Trypsin、0.05%(1X)with EDTA 4Na(Invitrogen-25300062)、発光法細胞生存率検出キット(Promega-G7573)、ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(HyClone-SH30028.01B)、384ウェルプレート(Corning-6007680)。Envisionマルチマークアナライザー。
【0236】
(実験方法)
(1)384ウェルプレートのウェルに、250個のMDA-MB-231細胞を含む30μLのMDA-MB-231細胞懸濁液を加えた。
【0237】
(2)20μLの試験化合物(10μMの高濃度とした試験化合物の5倍希釈の連続した10段階の濃度勾配を形成したもの)を加えた後、細胞プレートを二酸化炭素インキュベーターに入れて7日間インキュベートした。
【0238】
(3)細胞プレートを室温下で30分間水平に静置した。
(4)細胞プレートにPromega CellTiter-Glo試薬を1ウェルにつき20μLで加えた。
【0239】
(5)10分後、Envisionマルチマークアナライザーにより分析した。
(実験結果)
表1に示す。
【0240】
(実験の結論)
本発明の化合物はMDA-MB-231細胞増殖抑制作用を有する。
【0241】
【表1】
【0242】
[実験例三:インビボ有効性試験1]
MDA-MB-231トリプルネガティブ乳癌患者由来のヒト腫瘍細胞系の異種移植を皮下で行った(CDX)BALB/cヌードマウスによるインビボ有効性試験
(実験の操作)
メス、6~8週齢、体重約18~22gのBALB/cヌードマウスを、病原菌を含まない特別な環境において維持し、単一換気ケージ(ケージ当たり3匹のマウス)で飼育した。すべてのケージ、寝具、水は使用前に消毒された。すべての動物に市販の規格認証実験食を自由に摂食させた。上海シプルビック実験動物有限公司(Shanghai BK Laboratory Animal Co.,LTD)から購入した合計48匹のマウスを試験に用いた。腫瘍成長のために、各マウスの右脇腹の皮下に腫瘍細胞(リン酸バッファ中の10×10個)を移植した。平均腫瘍体積が約147mmに達したとき、薬物を投与し始めた。試験化合物を30mg/kgの用量で毎日経口投与した。腫瘍体積を3日毎に二次元キャリパーで測定し、体積をmm単位で下記の式により求めた。
【0243】
【数1】
【0244】
式中、aとbはそれぞれ腫瘍の長径と短径である。
抗腫瘍効果は、化合物で処理された動物の平均腫瘍増加量を未処理動物の平均腫瘍増加量で割ることにより確認した。
【0245】
(実験結果)
表2に示す。
【0246】
(実験の結論)
MDA-MB-231トリプルネガティブ乳癌CDXインビボ有効性モデルにおいて、本発明の化合物は有効性を示した。
【0247】
【表2】
【0248】
[実験例四:インビボ有効性試験2]
MDA-MB-231トリプルネガティブ乳癌患者由来のヒト腫瘍細胞系の異種移植を皮下で行った(CDX)BALB/cヌードマウスによるインビボ有効性試験。
【0249】
(実験の操作)
メス、6~8週齢、体重約18~22gのBALB/cヌードマウスを、病原菌を含まない特別な環境において維持し、単一換気ケージ(ケージ当たり3匹のマウス)で飼育した。すべてのケージ、寝具、水は使用前に消毒された。すべての動物に市販の規格認証実験食を自由に摂食させた。上海シプルビック実験動物有限公司(Shanghai BK Laboratory Animal Co.,LTD)から購入した合計48匹のマウスを試験に用いた。腫瘍成長のために、各マウスの右脇腹の皮下に腫瘍細胞(リン酸バッファ中の10×10個)を移植した。平均腫瘍体積が約110立方ミリメートルに達したとき、薬物を投与し始めた。試験化合物を30mg/kgの用量で毎日経口投与した。腫瘍体積を3日毎に二次元キャリパーで測定し、体積をmm単位で下記の式により求めた。
【0250】
【数2】
【0251】
式中、aとbはそれぞれ腫瘍の長径と短径である。
抗腫瘍効果は、化合物で処理された動物の平均腫瘍増加量を未処理動物の平均腫瘍増加量で割ることにより確認した。
【0252】
(実験の結論)
MDA-MB-231トリプルネガティブ乳癌CDXインビボ有効性モデルにおいて、本発明の化合物は良好な有効性を示した。
【0253】
【表3】