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特許7257414航空機拘束システム用テープ高さ調整装置
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  • 特許-航空機拘束システム用テープ高さ調整装置 図1
  • 特許-航空機拘束システム用テープ高さ調整装置 図2A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-05
(45)【発行日】2023-04-13
(54)【発明の名称】航空機拘束システム用テープ高さ調整装置
(51)【国際特許分類】
   B64F 1/02 20060101AFI20230406BHJP
【FI】
B64F1/02
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020555126
(86)(22)【出願日】2019-03-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 US2019020366
(87)【国際公開番号】W WO2019199390
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-02-14
(31)【優先権主張番号】62/654,878
(32)【優先日】2018-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504097650
【氏名又は名称】エンジニアード・アレスティング・システムズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】ENGINEERED ARRESTING SYSTEMS CORPORATION
【住所又は居所原語表記】2550 Market Street, Aston, PA 19014, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(72)【発明者】
【氏名】レヴェスク, クリストファー
【審査官】川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03589651(US,A)
【文献】英国特許出願公告第00840540(GB,A)
【文献】実開昭61-125900(JP,U)
【文献】特許第0113716(JP,C1)
【文献】米国特許第04679369(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64F 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機捕捉システムで使用するためのテープ高さ調整装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置された第1及び第2水平滑車ローラと、
テープ入口領域及びテープ出口領域とを備え、
第1水平滑車ローラは前記テープ入口領域と前記テープ出口領域の間に延びるテープに該テープの下方より接触するように配置されており、
第2水平滑車ローラは前記テープ入口領域と前記テープ出口領域の間に延びる前記テープの上方に位置するように配置されており、
前記テープが、第1高さで前記テープ入口領域に入り、第1及び第2水平滑車ローラの間を通過し、第1高さよりも高い第2高さで前記テープ出口領域から出るテープ高さ調整装置。
【請求項2】
第1及び第2水平滑車ローラが、前記テープの高さを調整して、前記テープの経路の方向を変えるように機能する請求項1に記載の装置。
【請求項3】
エネルギー吸収ブレーキシステムおよび滑走路端滑車に対して位置づけられ、前記エネルギー吸収ブレーキシステムおよび前記滑走路端滑車に対する前記テープの傾斜を調整する能力を提供する請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記テープが、前記エネルギー吸収ブレーキシステム、前記テープ高さ調整装置、および前記滑走路端滑車の間の任意の地点において、水平から垂直にねじられる請求項に記載の装置。
【請求項5】
第1および第2水平滑車ローラが上部滑車ローラおよび下部滑車ローラを含む請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記上部滑車ローラが、前記テープが前記下部滑車ローラから浮き上がって外れることを防止する請求項に記載の装置。
【請求項7】
取り付けプレートを更に備える請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
可動式設置のために土壌に固定されるように構成された追加の固定機構を更に備える請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記追加の固定機構が土壌設置取り付けプレートと1本以上の杭とを含む請求項に記載の装置。
【請求項10】
既存のエネルギー吸収ブレーキシステムと既存の滑走路端滑車との間に前記テープ高さ調整装置を配置することによって、既存の航空機捕捉システムに組み込まれる請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
新しい航空機捕捉システムに取り付けられる請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照:本願は、2018年4月9日に出願され「航空機拘束システム用テープ高さ調整装置」と題された米国仮出願第62/654,878号に基づく優先権を主張し、その内容すべてをここに援用して本文の記載の一部とする。
【0002】
本実施形態は、滑走路の一部分を横切って延びるネットまたはケーブルを使用する航空機捕捉システムに関する。ネットまたはケーブルの両端は長尺テープに固定され、長尺テープはエネルギー吸収ブレーキシステムに固定され、その一部を形成する。長尺テープは、テープリール周りに固定されており、航空機が係合すると、繰り出し(リールアウト)(または「ペイアウト」)が可能となる。使用の一例では、航空機のテールフックがケーブルに係合し、航空機を安全に減速するためにテープがリールから繰り出される。別の例では、航空機は滑走路を横切って延びるネットによって減速される。どちらの選択においても、エネルギー吸収ブレーキシステムがネットまたはケーブルの延長を管理するために使用され得る。テープがエネルギー吸収ブレーキシステムを離れる位置とテープが航空機の滑走路に到達するときとの間で、テープの高さを変更できるように、テープの高さを調整するシステムについて開示する。
【背景技術】
【0003】
図1に示される種類の航空機拘束システムは、ネットを用いて航空機を捕捉することによって、または航空機のテールフックによって係合されるケーブルを提供することによって、航空機を減速するために使用される。このような航空機捕捉システムは、システムの使用が承認された航空機がケーブルまたはネットに係合して航空機を安全に停止させることができる滑走路(商業用または軍用)において必要とされる。この安全停止は、さまざまな航空機の重量及び着陸速度に基づいて設計された距離において提供される。航空機の係合中、エネルギーの動的波(ダイナミックウェーブ)がケーブルまたはネットを介して送られ、コネクタを介して(ケーブルの各端に配置されている)長尺テープに伝達される。このエネルギーの動的波は、滑走路端滑車(滑走路端綱車、滑走路端シーブ)を通過し、エネルギー吸収ブレーキシステムに向かって進むにつれて減衰する。エネルギー吸収ブレーキシステムは、滑走路端滑車から設定距離だけ後退(セットバック)している。
【0004】
使用中、長尺テープは、垂直に(例えば、地面に垂直に)配置されるべきである。しかし、一部の設計では、特にブレーキシステムが滑走路から遠くに後退(セットバック)した設計では、テープは、最初はリール周りに水平方向に巻き付けられているため、最適に使用するためにテープを水平から垂直に回転させる必要がある。これは滑走路端滑車を介して行うことができる。しかし、テープの配置(アライメント)を水平から垂直に変更する部品があるにもかかわらず、それらは、現在の市場において、テープがシステムを通過して進むとき、テープ高さの調整を可能とする十分な部品ではない。いずれの使用可能なテープ高さ調整の選択肢も、既存のシステムに組み込むことができる独立型機構(スタンドアロン機構)ではない部品である。したがって、そのような航空機拘束システム部品に対する改善が望まれる。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本明細書に記載される本発明の実施形態は、テープが航空機捕捉システムを通過して延びるとき、テープの高さを調整するシステム及び方法を提供する。
【0006】
いくつかの例において、航空機捕捉システムで使用するためのテープ高さ調整装置が提供される。前記テープ高さ調整装置は、ハウジングと、前記ハウジング内に配置された第1及び第2水平滑車ローラと、テープ入口領域及びテープ出口領域と、を有し、テープが、第1高さで前記テープ入口領域に入り、第2高さで前記テープ出口領域から出る。前記テープは、第1及び第2水平滑車ローラの間を通過してもよい。第1および第2滑車は、前記テープの高さを調整して、前記テープ経路の方向を変えるように機能してもよい。前記装置は、エネルギー吸収ブレーキシステムおよび滑走路端滑車に対して位置づけられてもよい。前記装置は、前記エネルギー吸収ブレーキシステムおよび前記滑走路端滑車に対して前記テープの前記傾斜を調整する能力を提供する。使用に当たり、前記テープは、前記エネルギー吸収ブレーキシステム、前記テープ高さ調整装置、および前記滑走路端滑車の間の任意の点において、水平から垂直にねじられる。
【0007】
第1および第2水平滑車ローラは、上部滑車ローラおよび下部滑車ローラを含む。前記上部滑車ローラは、一般的に前記テープが前記下部水平滑車ローラから浮き上がって外れることを防止する。取り付けプレートを備える装置も提供され得る。可動式設置のために土壌に固定されるように構成された追加の固定機構を更に備えてもよい。前記追加の固定機構は、土壌設置取り付けプレートと、1本以上の杭とを含んでもよい。
【0008】
前記装置は、既存のエネルギー吸収ブレーキシステムと既存の滑走路端滑車との間に前記テープ高さ調整装置を配置することによって、既存の航空機捕捉システムに取り付けることが可能である。あるいは、前記装置を、新しい航空機捕捉システムに取り付けることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、航空機停止システムの一例の斜視図を示す。
【0010】
図2A図2Aは、テープがいかにして垂直位置(垂直姿勢)または水平位置(水平姿勢)にあり得るかを示す。
【0011】
図2B図2Bは、垂直滑車ローラと水平滑車ローラの両方を組み込んだ従来技術のフェアフィールドビームを示す。
【0012】
図2C図2Cは、主に床と壁の両方の窪み(ピット)に設置されるように設計された種類の滑車を示す。
【0013】
図3図3は、本明細書に記載されているテープ高さ調節装置の一実施形態の側面図を示す。
【0014】
図4A図4Aは、別個の固定機構を備えた図3の装置の側面図を示す。
【0015】
図4B図4Bは、土壌表面に対して取り付けられた図4Aの装置を示す。
【0016】
図5図5は、異なる水平滑車ローラ構成を有するテープ高さ調節装置の側面図を示す。
【0017】
図6図6は、第3水平滑車ローラを組み込んだテープ高さ調節装置の側面図を示す。
【0018】
図7図7は、エネルギー吸収ブレーキシステムと滑走路端滑車との間にテープ高さ調整装置を組み込んだ航空機拘束システム12の側面斜視図を示す。
【0019】
図8図8は、図7の航空機捕捉システムの一部の側面図を示し、テープ高さ調整装置がそのテープ入口領域とそのテープ出口領域との間でテープの高さをどのように変化させるかを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
開示されるテープ高さ調整装置は、既存の滑車基礎(土台)の後ろに追加できる独立型(スタンドアロン)水平滑車である。この装置は、テープの高さをエネルギー吸収ブレーキシステムから既存の滑走路端滑車に変更(リダイレクト)することにより、既存のテープトラッキングの問題を解決する。時間の経過と共に、または不適切な設置により、既存の滑走路端滑車ではテープトラッキングの問題が発生し得る。一例では、開示されるテープ高さ調整装置は、基礎の後方または既存の基礎の背後に設置されて、テープの高さを変更でき、最適なテープの繰り出しを実現する。それは、既存の滑走路端滑車または基礎を交換する必要なしにテープの調整を可能にし、先に設置されている滑走路端滑車への組み込み(取付、改造)を可能にする。別の例では、開示されるテープ高さ調整装置は、既存の滑走路端滑車の後ろに配置され得る。更なる例では、開示されるテープ高さ調整装置は、新しい設備で使用され得る。それは、テープの高さを変更する機能を提供し、新しいまたは既に使用中の滑走路端滑車と共に新しい設備を完成し得る。
【0021】
本発明の実施形態は、航空機捕捉システムで特定の用途を見出すテープ高さ調整装置を提供する。背景として、本明細書に記載される航空機拘束システムは、一般に、テープに固定されたケーブルまたはネットを使用する。テープは、滑走路端滑車を通り、ブレーキシステム14のテープリールに通じている。図1に示すように、航空拘束システム12は、長尺テープ18(本明細書では単に「テープ」とも記載される)が巻き付けられたテープリール16を備えたエネルギー吸収ブレーキシステム14を含む。テープ18の一端はリール16に固定されたままである。テープ18の本体は、テープリール16に巻き付けられ、滑走路端滑車26を通って延び、そして、テープ18の他端はケーブル20またはネット(図示せず)に固定される。
【0022】
図1は、また、滑走路22を横切って延びるケーブル20も示す(そして、点線20’において、テールフックを介して捕捉された場合を示す)。第1ケーブル端は、(滑走路の一方の側に関連する)第1テープ18aに固定され、第2ケーブル端は、(滑走路の他方の側に関連する)第2テープ18bに固定される。ケーブル20の本体は滑走路22を横切って延びる。ケーブル20は、減速させられる航空機(減速対象の航空機)のテールフックによって係合されるように構成されている。エネルギー吸収ブレーキシステム14からのテープ18の繰り出しにより、ケーブル20は20’で示されるように延長され得る。
【0023】
テープ18aおよび18bのそれぞれは、滑走路端滑車26を通過する。第1滑走路端滑車26aは滑走路の一方の端(縁)に沿って配置され、第2滑走路端滑車26bは滑走路の他方の端(縁)に沿って配置される。滑走路端滑車26は、滑走路の下流へと垂直にテープ18を偏向する(曲げる、方向を変える)ために設けられる。背景として、標準的な滑車はテープを垂直に受け取って垂直に位置を調整する。もし、適切なトラッキングのために許容可能だと判断されるならば、ブレーキシステム14と滑走路との間の後退(セットバック)が比較的小さいか、または近い場合は、標準的な垂直滑車が使用され得る。典型的には、この場合、ブレーキシステムは地下に設置される。後退(セットバック)の小さい設備では、通常は地下に格納されたブレーキシステムを設置する。何故なら、この種の設置は、適切にトラックキングし易い傾斜を有するからである。後退(セットバック)がより長い距離である場合、ブレーキシステムは、地上または路面レベルに設置される。この例では、適切なテープトラッキングのためにテープの方向を変える(進む向きを変える)ように、水平滑車を取り付けることができる。システムが更に大きな後退(セットバック)を有する場合、ブレーキシステムは通常、地上または路面レベルに格納される。これにより、通常、テープは小さい角度または浅い角度で滑走路端滑車に入るであろう。この浅い角度は、最適なテープターゲット(テープの目標)を達成するためにテープを適切にトラックすることを困難にし得る。図2Aに示すように、垂直滑車(V)は、テープを垂直位置(垂直姿勢)、即ち、地面に対して垂直に維持し、これに対して、水平滑車(H)は、テープを水平位置(水平姿勢)、即ち、地面に対して平行に維持する。
【0024】
背景として、ほとんどの航空機捕捉システムは、現在、滑走路端滑車タイプを選択したエネルギー吸収ブレーキシステムを使用している。現在、滑走路端滑車には2つの主要な種類(型)がある。第1の種類は、係合中に滑走路の下流に向けて垂直にテープの方向を変更可能とする垂直ローラのみを使用する。この滑走路端滑車は、テープトラッキング調整のために水平にテープの方向を変える(進む向きを変える)調整装置を有さない。滑走路端滑車の第2の種類は、フェアリードビーム(Fairlead Beam)28と呼ばれ、その一例を図2Bに示す。フェアリードビームは、その前部滑走路端部にある垂直ローラー(V)と、その後端部にある2つの水平ローラ(H)とを有する一体型部品である。フェアリードビームの水平ローラは、適切なテープトラッキングのために高さを変更するために使用される。現行のフェアリードビームにおける課題は、それが、既存システムに対して簡単に取り付けられない(組み込めない)一体型の解決策だということである。
【0025】
いくつかの航空機捕捉システムに関連して設置し得る方向変換滑車(進む向きを変える滑車)も提供される。このタイプの滑車は、主に床と壁の両方の窪み(ピット)に設置するように設計されている。この滑車は、テープがブレーキシステム/エネルギー吸収体を出るときに、テープの方向(進む向き)を変えるために使用される。それは、単一水平ローラ(H)を含み、その単一水平ローラ(H)は航空機係合の動的波動の間にテープがローラから浮き上がり外れることを阻止しない。この単一ローラ水平滑車は、滑走路端滑車から離れて、動的波がより顕著になる可能性がある領域の外側で使用される。一例を図2Cに示す。
【0026】
典型的な設備において、ブレーキシステム14と滑走路端滑車26は調整(位置調整)されて、設計された高さに設置され、その結果、テープ18は、テープリール16から滑走路端滑車26を通過して繰り出され、滑走路22の中心上の最適な高さに到る。この位置の調整(配置)により、最適なテープトラッキングが提供される。「テープトラッキング」は、3点(またはそれ以上)を通るテープ18の配置(アライメント)である。1点目(ポイント1)は、テープリール16から出るテープ18の中心位置である。2点目(ポイント2)は、滑走路端滑車26を通過するときのテープ18の中心位置である。3点目(ポイント3)は、滑走路22の中心頂部(センタークラウン)を越える(中央頂部の上の)設計された高さにおけるテープ18の中心位置である。最適なテープトラッキングは、テープ18の中心位置が滑走路の中心頂部の上の設計された高さに調整されるようにすべての点の位置が調整されたときである。一旦、航空機がケーブルまたはネットに係合すると、それはテープ18をテープリール16から繰り出し、したがって、エネルギー吸収ブレーキシステム14がテープ18に損傷を与えることなく航空機を停止することを可能にする。しかし、上述の滑車システムの使用における現在の挑戦は、テープトラッキング問題に常に適切に対処しているとは限らない。
【0027】
開示されるテープ高さ調整装置10は、垂直軸に沿ったテープ18の不適切な配置(不整合、ずれ)に対処することを意図しており、新しいシステムと既存のシステムの両方のテープ高さを管理する際に使用することを意図している。例えば、新規または既存の設備が、ブレーキシステム14と滑走路端滑車26との間でのテープ18の水平な方向変換(進む向きの変更)を必要とする場合がある。テープの方向変換は、適切なテープトラッキングを達成するために必要であろう。適切なテープトラッキングは、常設、半常設、および可動式(可搬式)の拘束装置設備に必要である。時間の経過に伴い、または不適切な設置により、システムのテープトラッキングは不適切な配置(不整合、ずれ)を生じ得る。従来は、これには導入されたシステムの調整が必要であったであろうが、これは常に実行可能または可能であるとは限らない。背景として、これらの拘束システムでは、滑走路端滑車と固定部(アンカリング)が所定の位置にグラウトにより塗り固められ、即ち、そこに固定されている。調整の1つの方法としては、グラウトを破壊して滑車を再調整する必要があろう。これにはかなりの労力が必要であり、滑走路端滑車を破損する危険もある。場合によっては、水平の不整合(ずれ)が十分に大きい場合、基礎を解体して交換する必要があるかもしれない。
【0028】
したがって、開示されるテープ高さ調整装置10は、水平に(水平姿勢で)テープの方向を変える(進む向きを変える)目的で航空機捕捉システム12の一部として使用される。装置10は、標準的な航空機捕捉システムのブレーキシステム14および滑走路端滑車26と共に使用し得る。開示された装置10は、既存の常設、半常設、および可動式の拘束装置設備に取り付けられる(組み込まれる)独立型機構(スタンドアロン機構)として使用し得る。あるいは、テープトラッキングが課題であると判明されるであろう新しいシステム設備の一部として使用し得る。現在、唯一の解決策は、新しい設備においてフェアリードビームを使用することであろう。しかしながら、開示されるテープ高さ調整装置10と併せて、標準的な垂直ローラ滑走路端滑車26を、(現在、適切なテープトラッキングを確実にするための主たる選択肢である)フェアリードビームの代わりに使用できる。開示されるテープ高さ調整装置10を使用することにより、標準的な垂直滑走路端滑車の構成を継続して使用でき、必要に応じてテープ高さ調整装置10を垂直滑走路端滑車の構成に追加できる。
【0029】
ここで図3を参照すると、テープ高さ調整装置10の一実施形態は、テープ18の高さを調整する方法を提供する。それは、テープ入口領域32およびテープ出口領域34を有するアセンブリハウジング30を含む。テープ入口領域32は、ハウジング30の後部にあり、エネルギー吸収ブレーキシステム14/テープリール16側に最も近い。テープ出口領域34は、ハウジング30の前部にあり、滑走路端滑車26側に最も近い。ハウジング30内には、第1水平滑車ローラ(第1水平シーブローラ)および第2水平滑車ローラ(第2水平シーブローラ)がある。図示の例では、第1水平滑車ローラは、下部水平滑車ローラ36である。下部水平滑車ローラ36は、テープ18が平滑車ローラ36を通過して繰り出されるときに、テープ18の方向を変える(進む向きを変える)。負荷要件を満たすために、下部水平滑車ローラ36は、約1インチから約24インチ(約2.54cmから約60.96cm)の範囲の直径を有し得る。ハウジング30はまた、上部水平滑車ローラ38として示される第2の水平滑車ローラを支持する。上部水平滑車ローラ38は、テープが下部ローラ36から浮き上がって外れ、ハウジング囲い30およびテープ18に損傷を引き起こすのを防ぐ。このテープの動きは、航空機の係合によって引き起こされる動的波の間に発生し得る。上部水平滑車ローラ38はまた、約1インチから約24インチ(約2.54cmから約60.96cm)の範囲の直径を有し得る。ローラ36、38は、同一の又は同じくらい大きさの直径を有することが可能である。あるいは、負荷要件に応じて、ローラ36、38が異なる直径を有することが可能である。
【0030】
ハウジング30には、取り付けプレート40を設けることもできる。取り付けプレート40は、テープ高さ調節装置10を常設、半常設、および可動式設備に固定するように構成される。取付プレート40は、ハウジング30に固定される上面と、所望の取付面に固定可能な下面とを有する。常設および半常設の設備の一例では、取付プレート40は、コンクリート基礎に固定されてもよい。
【0031】
可動式の設備では、取り付けプレート40は、土壌に固定することができる別個の固定機構(固定特徴)42に取り付けてもよい。図4Aは、取り付けプレート40の下に配置された別個の固定機構42を示す。図4Bは、ハウジング30、取り付けプレート40、および土壌表面(地面)S上に配置されている別個の固定機構42とを示す。この例では、別個の固定機構42は、1本以上の杭44と共に使用される土壌設置取り付けプレートである。杭44は土壌設置取り付けプレートによって受けられ、装置10を土壌Sに対して固定する。
【0032】
上部水平滑車ローラ38および下部水平滑車ローラ36は、複数の要件に適合するように再配置されてもよい。例えば、図3および図4は、テープ入口領域32に最も近い上部ローラ38と、テープ出口領域34に最も近い下部ローラ36とを示す。これに代えて、図5に示されるように、下部ローラ36がテープ入口領域32により近くてもよく、上部ローラ38がテープ出口領域34により近くてもよい。
【0033】
下部ローラ36および上部ローラ38に加えて、1個以上の追加ローラを設けることも可能である。2個の水平滑車ローラを設けることがより経済的であろうと一般に理解されるが、場合によっては、テープに違う経路を与えることが望ましい場合がある。追加ローラ50によって提供される代替のテープ経路の一例を図6に示す。この例では、3つの水平滑車ローラ36、38、50が構成において使用され、テープ18はこれに応じて滑車を通過する経路を取ることが許容される。2個または3個の水平滑車ローラが図示および記載されているが、さらなる滑車ローラを追加することが可能であることが理解されるべきである。例えば、追加のテープ方向(テープダイレクション)が望まれる場合には4番目の滑車ローラが追加され得て、更に追加のテープ方向(テープダイレクション)が望まれる場合には5番目の滑車ローラが追加され得る、等々である。
【0034】
図7は、使用中のテープ高さ調整装置10の一例を示す。エネルギー吸収ブレーキシステム14は、一般に、滑走路表面から離れて側方に配置される。テープ18は、その第1端部がテープリール16周りに巻き付けられている。テープ18が、滑走路表面に対して水平にブレーキシステム14を出ていることが示されている。システムにおける次は、テープ高さ調整装置10である。この装置10には少なくとも2個の水平滑車があり、このうちの1個がテープ18を受け取り、このうちの2個目がテープ18の高さを変える。これにより、テープは、テープ高さ調整装置10に入った高さとは異なる高さでテープ高さ調整装置10を出る。そして、テープ18は、既存のまたは標準の滑走路端滑車26に向かって方向づけられ得る。示されるように、滑走路端滑車26を出るテープは、垂直に回転される。テープ18の第2端部は、適切なジョイントまたはコネクタを介してケーブル20に固定される。
【0035】
図8は、図7の構成の一部の側面図を示す。この図は、テープ高さ調整装置10に入る際の既存のテープ経路を示す。テープ18は、第1高さ(H1)で装置10に入り、第2高さ(H2)で装置から出る。これにより、他のシステム部品を再構成することなく、システム内の適切な位置に単にテープ高さ調整装置10を挿入することで、テープの位置の調整が可能となる。一旦、テープ18がテープ高さ調整装置10を離れると、既存の滑走路端滑車26の存在のため、テープ18は垂直に回転され得る。適切なテープトラッキングを得るために、テープ高さ調整装置10を出る第2高さ(H2)の水平なテープ18は、既存の滑走路端滑車26の垂直ローラの中心に揃えられる(位置合わせされる)。一般的な目標は、H2における水平なテープの中心を、テープが滑走路端滑車に入るときに垂直方向に向けられたテープの中心に揃える(位置合わせする)ことである。
【0036】
本明細書に記載される様々な異なる機構(特徴)は、様々な実施形態と交換可能に使用され得ることが理解されるべきである。例えば、1つの機構(特徴)が特定の例に関して説明される場合、その同じ機構(特徴)が他の例でも同様に使用され得ると理解される。
【0037】
上で記載し、及び図面に示した構造および方法に対して、本開示または以下の請求項の範囲または精神から逸脱することなく、変更、修正、追加、および削除を行うことができる。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8