(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-05
(45)【発行日】2023-04-13
(54)【発明の名称】パルスオキシメータ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1455 20060101AFI20230406BHJP
【FI】
A61B5/1455
(21)【出願番号】P 2022038292
(22)【出願日】2022-03-11
(62)【分割の表示】P 2020172388の分割
【原出願日】2014-05-20
【審査請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】317007266
【氏名又は名称】エア・ウォーター・バイオデザイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】松井 裕
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-110520(JP,A)
【文献】特開2009-233374(JP,A)
【文献】国際公開第2009/136311(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/1455
A61B 10/00
G01N 21/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光を発生する第1発光部と、
前記第1光とは異なる波長を有する第2光を発生する第2発光部と、
前記第1光の生体からの第1戻り光及び前記第2光の前記生体からの第2戻り光各々を受光する受光部と、
前記生体との接触圧に係る信号を検出する接触圧検出手段と、
前記第1戻り光及び前記第2戻り光各々に起因して前記受光部から出力される信号と、前記検出された接触圧に係る信号と、に基づいて酸素飽和度に係る情報を出力する出力手段と、
を備える
、
前記出力手段は、前記第1戻り光に起因して前記受光部から出力される信号と、前記第2戻り光に起因して前記受光部から出力される信号と、の少なくとも一方に係る増幅率を、前記検出された接触圧に係る信号に基づいて変化させる
ことを特徴とするパルスオキシメータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルスオキシメータの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のパルスオキシメータとして、例えば常時装着を前提とした指輪型のパルスオキシメータであって、例えば検出可能な脈動成分が少ない場合又は低体温により血管が収縮して酸素飽和度の計測精度が低下する場合等に、動脈の脈動を大きくするように計測対象部位を押圧するパルスオキシメータが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
或いは、互いに波長の異なる光に応じた2つの容積信号のうち、一方の容積信号の脈動成分とカフ圧とに基づいて血圧値を求めると共に、2つの容積信号各々の脈動成分から抽出された容積脈波信号より血液酸素飽和度を求めることによって、血圧と血液酸素飽和度を同時に連続して測定する装置が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-330708号公報
【文献】特開平6-63024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、パルスオキシメータによる動脈酸素飽和度(以降、適宜“SpO2”と称する)測定では、パルスオキシメータを構成するセンサの装着圧が変化すると、SpO2の測定結果が変化する。
【0006】
上記特許文献1に記載の技術では、例えば測定対象者の指がむくむ等により、指輪型のパルスオキシメータのセンサの装着圧が比較的高くなった場合、SpO2値を正しく測定できない可能性があるという技術的問題点がある。また、上記特許文献2に記載の技術では、SpO2測定についてセンサの装着圧が考慮されていないという技術的問題点がある。
【0007】
本発明は、例えば上記問題点に鑑みてなされたものであり、センサの装着圧の影響を抑制することができるパルスオキシメータを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1のパルスオキシメータは、上記課題を解決するために、第1光を発生する第1発光部と、前記第1光とは異なる波長を有する第2光を発生する第2発光部と、前記第1光の生体からの第1戻り光及び前記第2光の前記生体からの第2戻り光各々を受光する受光部と、前記生体との接触圧に係る信号を検出する接触圧検出手段と、前記第1戻り光及び前記第2戻り光各々に起因して前記受光部から出力される信号と、前記検出された接触圧に係る信号と、に基づいて酸素飽和度に係る情報を出力する出力手段と、を備える。
【0009】
本発明の第2のパルスオキシメータは、上記課題を解決するために、第1光を発生する第1発光部と、前記第1光とは異なる波長を有する第2光を発生する第2発光部と、前記第1光の生体からの第1戻り光及び前記第2光の前記生体からの第2戻り光各々を受光する受光部と、を備えるパルスオキシメータであって、当該パルスオキシメータと前記生体との接触圧に係る信号を検出する接触圧検出手段と、前記検出された接触圧に係る信号に応じて接触圧の調整に係る情報を出力する出力手段と、を備える。
【0010】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施例に係るパルスオキシメータの概要を示す概略構成図である。
【
図2】第1実施例に係る算出装置の要部を示すブロック図である。
【
図3】受光手段から出力される信号の一例を、装着圧毎に示す図である。
【
図4】装着圧と信号振幅との関係の一例を示す特性図である。
【
図5】装着圧とSpO
2との関係の一例を示す特性図である。
【
図6】第1実施例に係る増幅率の補正関数F(Δp)の一例を示す図である。
【
図7】補正されない場合のSpO
2の測定結果と、補正された場合のSpO
2の測定結果との各々の一例を示す図である。
【
図8】第1実施例に係る透過型のパルスオキシメータを構成する各素子の配置例を示す図である。
【
図9】第1実施例に係る反射型のパルスオキシメータを構成する各素子の配置例を示す図である。
【
図10】第1実施例の変形例に係るパルスオキシメータの概要を示す概略構成図である。
【
図11】第2実施例に係るパルスオキシメータの概要を示す概略構成図である。
【
図12】第2実施例の変形例に係るパルスオキシメータの概要を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のパルスオキシメータに係る実施形態について説明する。
【0013】
<第1実施形態>
第1実施形態に係るパルスオキシメータは、第1発光部、第2発光部及び受光部を備えて構成されている。第1発光部は、第1光を発生する。第2発光部は、第1光とは異なる波長を有する第2光を発生する。ここで、第1光及び第2光の一方の光の波長は、酸素化ヘモグロビンへの吸収が優位な波長であり、第1光及び第2光の他方の光の波長は、脱酸素化ヘモグロビンへの吸収が優位な波長であることが望ましいが、これに限定されるものではない。尚、本実施形態に係るパルスオキシメータは、3以上の発光部を備えていてよい。
【0014】
受光部は、第1光の生体からの第1戻り光及び第2光の生体からの第2戻り光各々を受光する。ここで、「戻り光」は、生体により散乱又は反射された光に限らず、生体を透過した光も含む概念である。つまり、本実施形態に係るパルスオキシメータは、反射型のパルスオキシメータであってもよいし、透過型のパルスオキシメータであってもよい。尚、受光部は、例えば単一の受光素子により構成されていることに限らず、複数の受光素子により構成されていてよい。
【0015】
接触圧検出手段は、パルスオキシメータと生体との接触圧に係る信号を検出する。ここで、「接触圧に係る信号」は、接触圧そのものの値を示す信号に限らず、例えば圧力センサ等のセンサの出力信号、接触圧を間接的に示す物理量又はパラメータを示す信号、等も含む概念である。
【0016】
例えばメモリ、プロセッサ等を備えてなる出力手段は、第1戻り光及び第2戻り光各々に起因して受光部から出力される信号と、検出された接触圧に係る信号とに基づいて酸素飽和度に係る情報を出力する。ここで、「酸素飽和度に係る情報」は、酸素飽和度そのものの値を示す情報に限らず、例えば赤色光の戻り光と赤外光の戻り光との比を示す情報等、酸素飽和度を間接的に示す情報も含む概念である。
【0017】
本願発明者の研究によれば、以下の事項が判明している。即ち、パルスオキシメータは、動脈血に起因する、受光部の出力信号の脈動成分に基づいて酸素飽和度に係る情報を出力する。ここで、生体内で脈動する血管は動脈だけであり、毛細血管から染み出て血圧が0mmHgとみなせる程度まで低下している静脈には脈動が生じない。しかしながら、現実には、動脈の脈動は生体組織中を伝播し、静脈を物理的に振動させる。この結果、受光部の出力信号の脈動成分には、静脈の情報も大なり小なり含まれることとなる。
【0018】
パルスオキシメータの生体に対する接触圧が変化すると、生体内における動脈と静脈との物理的な距離が変化し、動脈の脈動が静脈に与える影響も変化する。つまり、接触圧が変化することにより、出力信号の脈動成分に対する静脈の影響も変化する。パルスオキシメータは接触圧を仮定した上で、正確な酸素飽和度が求められるように設計されることが多い。このため、接触圧によっては、出力信号の脈動成分に対する静脈の影響が大きく、誤った酸素飽和度が求められる可能性がある。
【0019】
そこで、本実施形態では、出力手段により、第1戻り光及び第2戻り光各々に起因して受光部から出力される信号と、検出された接触圧に係る信号と、に基づいて酸素飽和度に係る情報が出力される。
【0020】
具体的には例えば、出力手段は、検出された接触圧に係る信号に応じて、第1戻り光及び第2戻り光各々に起因して受光部から出力される信号を補正(例えば、信号振幅を増減)した上で、酸素飽和度に係る情報を出力する。或いは、出力手段は、第1戻り光及び第2戻り光各々に起因して受光部から出力される信号に基づいて求められた酸素飽和度に係る情報を、検出された接触圧に係る信号に応じて補正する。いずれにせよ、接触圧の影響のない又は殆どない酸素飽和度に係る情報が出力される。
【0021】
以上の結果、本実施形態に係るパルスオキシメータによれば、接触圧の影響を抑制することができ、もって、信頼性の高い酸素飽和度に係る情報を出力することができる。
【0022】
第1実施形態に係るパルスオキシメータの一態様では、出力手段は、第1戻り光に起因して受光部から出力される信号と、第2戻り光に起因して受光部から出力される信号と、の少なくとも一方に係る増幅率を、検出された接触圧に係る信号に基づいて変化させる。
【0023】
例えば接触圧が高くなると、生体内における動脈と静脈との物理的な距離が短くなり、動脈の脈動が静脈に与える影響が大きくなる。すると、静脈の影響により、出力信号の脈動成分(信号振幅)が大きくなる。
【0024】
出力手段が、上述の如く、検出された接触圧に係る信号に基づいて、第1戻り光に起因して受光部から出力される信号と、第2戻り光に起因して受光部から出力される信号と、の少なくとも一方に係る増幅率を変化させることにより、静脈の影響(即ち、接触圧の影響)を抑制又は除去することができる。
【0025】
或いは、第1実施形態に係るパルスオキシメータの他の態様では、検出された接触圧に係る信号に応じて接触圧の調整に係る情報を出力する第2出力手段を更に備える。
【0026】
この態様によれば、出力された接触圧の調整に係る情報に応じて、自動で又は手動で、パルスオキシメータの接触圧が調整されれば、接触圧の影響が抑制された酸素飽和度に係る情報を出力することができる。
【0027】
尚、「接触圧の調整に係る情報」は、接触圧の調整値そのものを示す情報に限らず、例えば「接触圧が高い」、「接触圧が低い」等の間接的に接触圧の調整を促す情報や、接触圧の程度を直接的又は間接的に示す物理量又はパラメータ、等をも含む概念である。
【0028】
<第2実施形態>
第2実施形態に係るパルスオキシメータは、第1発光部、第2発光部及び受光部を備えて構成されている。第1発光部は、第1光を発生する。第2発光部は、第1光とは異なる波長を有する第2光を発生する。受光部は、第1光の生体からの第1戻り光及び第2光の生体からの第2戻り光各々を受光する。
【0029】
接触圧検出手段は、パルスオキシメータと生体との接触圧に係る信号を検出する。例えばメモリ、プロセッサ等を備えてなる出力手段は、検出された接触圧に係る信号に応じて接触圧の調整に係る情報を出力する。
【0030】
出力された接触圧の調整に係る情報に応じて、自動で又は手動で、パルスオキシメータの接触圧が調整されれば、適切な接触圧で、酸素飽和度の測定が実施される。この結果、接触圧の影響が抑制された酸素飽和度を求めることができる。
【0031】
第2実施形態に係るパルスオキシメータの一態様では、出力された接触圧の調整に係る情報に応じて、当該パルスオキシメータと生体との接触圧を調整する調整手段を更に備える。
【0032】
この態様によれば、接触圧が自動的に調整されるので、実用上非常に有利である。
【実施例】
【0033】
本発明のパルスオキシメータに係る実施例を、図面を参照して説明する。
【0034】
<第1実施例>
本発明のパルスオキシメータに係る第1実施例について、
図1乃至
図7を参照して説明する。
【0035】
図1において、パルスオキシメータ1は、発光手段11と、発光手段12と、例えばPD(Photodiode)である受光手段13と、例えば圧力センサ等である装着圧検出手段14と、受光手段13から出力された信号及び装着圧検出手段14から出力された信号を処理する算出手段100と、を備えて構成されている。
【0036】
発光手段11は、例えば赤外線LED(Light Emitting Diode)を備えて構成されており、酸素化ヘモグロビンへの吸収が優位な波長の第1光を発生する。他方、発光手段12は、例えば赤色LEDを備えて構成されており、脱酸素化ヘモグロビンへの吸収が優位な波長の第2光を発生する。
【0037】
第1光及び第2光は、人の指の血管(本発明に係る“生体”に相当)に照射される。受光手段13は、血管を透過した第1光の第1透過光(本発明に係る“第1戻り光”に相当)及び第2光の第2透過光(本発明に係る“第2戻り光”に相当)を主に受光し、受光量に応じた信号を出力する。
【0038】
ここで、SpO2は、第1透過光(即ち、酸素化ヘモグロビンへの吸収が優位な波長の光)に起因して受光手段13から出力された信号と、第2透過光(即ち、脱酸素化ヘモグロビンへの吸収が優位な波長の光)に起因して受光手段13から出力された信号と、の振幅比に基づいて求められる。
【0039】
ところで、受光手段13から出力される信号の振幅は、パルスオキシメータ1の装着圧の影響を受けることが本願発明者の研究により判明している。具体的には例えば、
図3及び
図4に示すように、パルスオキシメータの装着圧によって、受光手段13から出力される信号の振幅が変化する。
【0040】
尚、
図3及び
図4における「赤外光信号」及び「赤色光信号」は、夫々、「第1透過光に起因して受光手段13から出力された信号」、及び「第2透過光に起因して受光手段13から出力された信号」に対応する。
【0041】
特に、パルスオキシメータ1の装着圧が高くなると、静脈血に起因して、脱酸素化ヘモグロビンへの吸収が優位な波長の第2光が生体に吸収される割合が増える。すると、該第2光(第2透過光)に起因して受光手段から出力される信号の振幅が、第1透過光に起因して受光手段13から出力された信号の振幅に比べて低下しにくくなる(
図4参照)。
【0042】
この結果、第1透過光に起因して受光手段13から出力された信号の振幅と、第2透過光に起因して受光手段13から出力された信号の振幅との比が、相対的に小さくなる。このため、何らの対策も採らなければ、
図5に示すように、パルスオキシメータ1の装着圧が高くなる程、SpO
2の値が著しく低下する(つまり、誤ったSpO
2の値が出力される可能性がある)。
【0043】
そこで本実施例では、静脈の影響を抑制するために、算出装置100により、装着圧検出手段14から出力された信号(本発明に係る“装着圧に係る信号”に相当)に応じて、受光手段13から出力される第2透過光に起因する信号の増幅率が変更される。そして、算出装置100により、増幅率が変更された第2透過光に起因する信号と、受光手段13から出力される第1透過光に起因する信号と、の振幅比に基づいてSpO2が求められる。
【0044】
具体的には、
図2において、算出装置100は、装着圧補正手段110、増幅器120及び酸素飽和度出力手段130を備えて構成されている。
【0045】
装着圧補正手段110は、装着圧検出手段14から出力された装着圧に係る信号に応じて、増幅器120に係る増幅率の補正係数を決定する。
【0046】
この補正係数は、例えば、装着圧検出手段14から出力された装着圧に係る信号に基づく実際の装着圧と、予め定められた基準となる装着圧との差分Δpと、該差分Δpの関数F(Δp)とを用いて決定される。
【0047】
このような関数F(Δp)は、基準となる装着圧における第1透過光に起因する信号と第2透過光に起因する信号との振幅比と、任意の装着圧における第1透過光に起因する信号と第2透過光に起因する信号との振幅比と、の比を複数個求め、該求められた複数の比についての近似曲線として求めればよい(
図6参照)。
【0048】
つまり、関数F(Δp)は、下記式のように表すことができる。
【0049】
【数1】
ここで、RD
stdは、基準となる装着圧における第2透過光に起因する信号の振幅値であり、IR
stdは、基準となる装着圧における第1透過光に起因する信号の振幅値であり、RDは、任意の装着圧における第2透過光に起因する信号の振幅値であり、IRは、任意の装着圧における第1透過光に起因する信号の振幅値である。
【0050】
上記式を変形すれば、実際に出力された(即ち、任意の装着圧における)第1透過光に起因する信号と第2透過光に起因する信号との振幅比と、関数F(Δp)とを用いて、基準となる装着圧(言い換えれば、適切な装着圧)における第1透過光に起因する信号と第2透過光に起因する信号との振幅比を求めることができる(下記式参照)。
【0051】
【数2】
上記式に従えば、装着圧補正手段110は、装着圧検出手段14から出力された装着圧に係る信号に基づいて求められたF(Δp)の値を、増幅器120に係る増幅率の補正係数として決定する。
【0052】
増幅器120に係る増幅率が、装着圧補正手段110により決定された補正係数に応じて変更されることにより、第2透過光に起因する信号の振幅(上記式における“RD”に相当)が変更される。酸素飽和度出力手段130は、振幅が変更された第2透過光に起因する信号と、第1透過光に起因する信号と、に基づいてSpO2を求める。
【0053】
パルスオキシメータ1の装着圧について何らの対策も採らなければ、SpO
2の測定結果は、例えば
図7(a)に示すようになってしまう。しかるに本実施例では、上述の如く、パルスオキシメータ1の装着圧に応じて、第2透過光に起因する信号の増幅率が補正されるので、例えば
図7(b)に示すような測定結果が得られる。つまり、本実施例に係るパルスオキシメータ1によれば、装着圧の影響がない又は殆どない測定結果が得られる。
【0054】
尚、発光手段11及び発光手段12は時間的に交互に駆動される(つまり、第1光と第2光とが時間的に交互に発生される)。そして、例えば算出装置100には、発光手段11の駆動期間に、受光手段13から出力された信号を、直接、酸素飽和度出力手段130に入力し、発光手段12の駆動期間に、受光手段13から出力された信号を、増幅器120を介して、酸素飽和度出力手段130に入力する、スイッチング回路(図示せず)が設けられている。
【0055】
パルスオキシメータ1を構成する、発光手段11、発光手段12、受光手段13及び装着圧検出手段14各々は、例えば
図8(a)に示すように、指の背に、発光手段11及び12が配置され、指の腹に、受光手段13及び装着圧検出手段14が配置されてもよい。或いは、
図8(b)に示すように、指の背に、発光手段11及び12、並びに装着圧検出手段14が配置され、指の腹に、受光手段13が配置されてもよい。或いは、
図8(c)に示すように、指の背に、発光手段11及び12、並びに装着圧検出手段14aが配置され、指の腹に、受光手段13及び装着圧検出手段14bが配置されてもよい。
【0056】
本実施例では、透過型のパルスオキシメータ1について説明したが、本発明は、反射型のパルスオキシメータにも適用可能である。この場合、発光手段11及び12、受光手段13、並びに装着圧検出手段14各々は、例えば
図9(a)~(c)のいずれの配置も採ることができる。
【0057】
本実施例に係る「発光手段11」、「発光手段12」、「受光手段13」、「装着圧検出手段14」及び「算出装置100」は、夫々、本発明に係る「第1発光部」、「第2発光部」、「受光部」、「接触圧検出手段」及び「出力手段」の一例である。
【0058】
尚、本実施例では、
図2に示すように、第2透過光に起因する信号の増幅率が変更されているが、第2透過光に起因する信号ではなく、第1透過光に起因する信号の増幅率が変更されてもよいし、第1透過光に起因する信号及び第2透過光に起因する信号の両方の増幅率が変更されてもよい。
【0059】
<変形例>
次に、第1実施例に係るパルスオキシメータの変形例について、
図10を参照して説明する。
図10は、第1実施例の変形例に係るパルスオキシメータの概要を示す概略構成図である。
【0060】
図10において、第1実施例の変形例に係るパルスオキシメータ2は、発光手段11、発光手段12、受光手段13、装着圧検出手段14及び算出装置100に加えて、演算装置21及び装着圧表示装置22を備えて構成されている。
【0061】
本発明に係る「第2出力手段」の一例としての、演算装置21は、装着圧検出手段14から出力された信号に基づいて、装着圧表示装置22における表示に適した、装着圧の調整に係る情報を出力する。ここで特に、装着圧表示装置22には、装着圧が所定の範囲内に誘導されるような表示がされる。
【0062】
パルスオキシメータ2のユーザが、装着圧表示装置22の表示を参照して、該パルスオキシメータ2の装着圧を調整すれば、SpO2の値を好適に測定することができる。
【0063】
特に、装着圧が比較的高い場合には、例えば
図7に示すように、補正量が比較的大きくなる。このため、上記のように構成すれば、補正に起因する誤差を抑制することができ、実用上非常に有利である。
【0064】
<第2実施例>
本発明のパルスオキシメータに係る第2実施例について、
図11を参照して説明する。第2実施例では、パルスオキシメータの構成が一部異なる以外は、上述した第1実施例と同様である。よって、第2実施例について、第1実施例と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、
図11を参照して説明する。
【0065】
図11において、第2実施例に係るパルスオキシメータ3は、発光手段11、発光手段12、受光手段13、装着圧検出手段14、演算装置21、装着圧表示装置22及び算出装置100を備えて構成されている。
【0066】
演算装置21は、装着圧検出手段14から出力された信号に基づいて、装着圧表示装置22における表示に適した、装着圧の調整に係る情報を出力する。
【0067】
パルスオキシメータ2のユーザが、装着圧表示装置22の表示を参照して、該パルスオキシメータ2の装着圧が所定の値となるように調整すれば、第1実施例に記載したような受光手段13から出力される信号の補正をすることなく、SpO2の値を好適に測定することができる。
【0068】
<変形例>
次に、第2実施例に係るパルスオキシメータの変形例について、
図12を参照して説明する。
図12は、第2実施例の変形例に係るパルスオキシメータの概要を示す概略構成図である。
【0069】
図12において、第2実施例の変形例に係るパルスオキシメータ4は、発光手段11、発光手段12、受光手段13、装着圧検出手段14、演算装置21及び算出装置100に加えて、装着圧調整部23を備えて構成されている。
【0070】
装着圧調整部23は、発光手段11及び12を支持する支持部材と、受光手段13及び装着圧検出手段14を支持する支持部材との間に設けられている。
【0071】
演算装置21は、装着圧が所定の値となるように、装着圧検出手段14から出力された信号に応じて、装着圧調整部23を制御する。このように構成すれば、SpO2の値を好適に測定することができる。
【0072】
本変形例に係る「演算装置21」及び「装着圧調整部23」は、本発明に係る「調整手段」の一例である。
【0073】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うパルスオキシメータもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0074】
1、2、3、4…パルスオキシメータ、11、12…発光手段、13…受光手段、14、14a、14b…装着圧検出手段、21…演算装置、22…装着圧表示装置、23…装着圧調整部、100…算出装置