(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-06
(45)【発行日】2023-04-14
(54)【発明の名称】建築CAD(Computer Aided Design)装置、建築CADプログラム、及び、アドオンプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/13 20200101AFI20230407BHJP
G06Q 30/0601 20230101ALI20230407BHJP
G06Q 50/08 20120101ALI20230407BHJP
【FI】
G06F30/13
G06Q30/0601 310
G06Q50/08
(21)【出願番号】P 2018116438
(22)【出願日】2018-06-19
【審査請求日】2021-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】中谷 光男
(72)【発明者】
【氏名】秋山 賢一
(72)【発明者】
【氏名】落井 純一
(72)【発明者】
【氏名】納家 智彦
【審査官】松浦 功
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-047373(JP,A)
【文献】特開平07-282137(JP,A)
【文献】特開2014-211710(JP,A)
【文献】特開2004-199594(JP,A)
【文献】特開平05-274326(JP,A)
【文献】特開2003-044545(JP,A)
【文献】特開2004-086514(JP,A)
【文献】特開2004-318318(JP,A)
【文献】特開2016-045551(JP,A)
【文献】特開2014-132499(JP,A)
【文献】特開平07-129625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 -30/28
G06Q 50/08
G06Q 30/06 -30/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物のモデルを作成するための建築CAD装置であって、
前記建築物に用いられるパーツのデータを取得する取得部と、
取得された前記データに対応する前記パーツがデフォルトの仕様から変更されて前記建築物のモデルに組み込まれた場合に、仕様変更後の前記パーツの供給可否を問い合わせるための問い合わせ情報を出力する出力部とを備え、
前記取得部は、さらに、前記問い合わせ情報に対する応答として仕様変更後の前記パーツの供給可否を示す供給可否情報を取得し、
前記建築CAD装置は、さらに、取得された供給可否情報に基づいて、仕様変更後の前記パーツの供給可否を提示する提示部を備え、
前記提示部は、
前記建築物のモデルを提示し、
提示中の前記建築物のモデルにおいて、仕様変更後の前記パーツの提示態様を変更することにより、仕様変更後の前記パーツの供給可否を提示する
建築CAD装置。
【請求項2】
仕様変更後の前記パーツの供給が不可であることを示す前記供給可否情報には、仕様変更後の前記パーツを、供給可能な他の仕様の前記パーツに置き換えることを提案するための情報が含まれる
請求項
1に記載の建築CAD装置。
【請求項3】
仕様変更後の前記パーツの供給が可能であることを示す前記供給可否情報には、仕様変更後の前記パーツの価格情報が含まれる
請求項
1または2に記載の建築CAD装置。
【請求項4】
仕様変更後の前記パーツの供給が可能であることを示す前記供給可否情報には、仕様変更後の前記パーツの納期情報が含まれる
請求項
1~3のいずれか1項に記載の建築CAD装置。
【請求項5】
仕様変更後の前記パーツの供給が可能であることを示す前記供給可否情報には、仕様変更後の前記パーツを発注するための情報が含まれる
請求項
1~4のいずれか1項に記載の建築CAD装置。
【請求項6】
建築物のモデルを作成するための建築CADプログラムであって、
前記建築物に用いられるパーツのデータを取得するステップと、
前記建築物のモデルが提示されているときに、取得された前記データに対応する前記パーツがデフォルトの仕様から変更されて提示中の前記建築物のモデルに組み込まれた場合に、仕様変更後の前記パーツの供給可否を問い合わせるための問い合わせ情報を出力するステップと
、
前記問い合わせ情報に対する応答として仕様変更後の前記パーツの供給可否を示す供給可否情報を取得するステップと、
取得された供給可否情報に基づいて、仕様変更後の前記パーツの供給可否を提示する提示ステップであって、前記建築物のモデルを提示し、提示中の前記建築物のモデルにおいて、仕様変更後の前記パーツの提示態様を変更することにより、仕様変更後の前記パーツの供給可否を提示するステップとをコンピュータに実行させるための
建築CADプログラム。
【請求項7】
建築物に用いられるパーツのデータを取得し、取得された前記パーツのデータを組み込んだ前記建築物のモデルを作成するための建築CADプログラムにアドオンされるアドオンプログラムであって、
前記建築物のモデルが提示されているときに、取得された前記データに対応する前記パーツがデフォルトの仕様から変更されて提示中の前記建築物のモデルに組み込まれた場合に、仕様変更後の前記パーツの供給可否を問い合わせるための問い合わせ情報を
出力するステップと、
前記問い合わせ情報に対する応答として仕様変更後の前記パーツの供給可否を示す供給可否情報を取得するステップと、
取得された供給可否情報に基づいて、仕様変更後の前記パーツの供給可否を提示する提示ステップであって、前記建築物のモデルを提示し、提示中の前記建築物のモデルにおいて、仕様変更後の前記パーツの提示態様を変更することにより、仕様変更後の前記パーツの供給可否を提示するステップとをコンピュータに
実行させるための
アドオンプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築CAD装置、建築CADプログラム、及び、アドオンプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の設計に関する様々な技術が提案されている。特許文献1には、住戸プランの変更に伴うコスト計算が容易かつ短時間にできる住戸プラン変更方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、建築物の設計においては、CADを用いて建築物の設計を行った後、設計において採用されたパーツの見積もりを当該パーツの製造メーカに依頼する。そうすると、見積もりの結果パーツの供給ができないことが判明し、パーツの見直しが生じる場合がある。特に、製造メーカに仕様変更を依頼することが可能なパーツは、設計中にパーツの仕様変更を行った結果、設計後に見直しが発生してしまうリスクが高い。
【0005】
本発明は、設計において採用されたパーツが実際に供給可能であるか否かを設計中に問い合わせることができる建築CAD装置、建築CADプログラム、及び、アドオンプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る建築CAD装置は、建築物のモデルを作成するための建築CAD(Computer Aided Design)装置であって、前記建築物に用いられるパーツのデータを取得する取得部と、取得された前記データに対応する前記パーツがデフォルトの仕様から変更されて前記建築物のモデルに組み込まれた場合に、仕様変更後の前記パーツの供給可否を問い合わせるための問い合わせ情報を出力する出力部とを備える。
【0007】
本発明の一態様に係る建築CADプログラムは、建築物のモデルを作成するための建築CADプログラムであって、前記建築物に用いられるパーツのデータを取得するステップと、取得された前記データに対応する前記パーツがデフォルトの仕様から変更されて前記建築物のモデルに組み込まれた場合に、仕様変更後の前記パーツの供給可否を問い合わせるための問い合わせ情報を出力するステップとをコンピュータに実行させるための建築CADプログラムである。
【0008】
本発明の一態様に係るアドオンプログラムは、建築物に用いられるパーツのデータを取得し、取得された前記パーツのデータを組み込んだ前記建築物のモデルを作成するための建築CADプログラムにアドオンされるアドオンプログラムであって、取得された前記データに対応する前記パーツがデフォルトの仕様から変更されて前記建築物のモデルに組み込まれた場合に、仕様変更後の前記パーツの供給可否を問い合わせるための問い合わせ情報をコンピュータに出力させるためのアドオンプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、設計において採用されたパーツが実際に供給可能であるか否かを設計中に問い合わせることができる建築CAD装置、建築CADプログラム、及び、アドオンプログラムが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る建築物設計支援システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る建築物設計支援システムの動作のシーケンス図である。
【
図3】
図3は、建築物のモデルが表示された表示部の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、問い合わせ操作の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、問い合わせ情報の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、見積もり処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、見積もり情報の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、見積もり情報の内容が反映された建築物のモデルが表示された表示部の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0013】
(実施の形態)
[建築物設計支援システムの概要]
まず、実施の形態に係る建築物設計支援システムの概要について説明する。
図1は、実施の形態に係る建築物設計支援システムの機能構成を示すブロック図である。
【0014】
実施の形態に係る建築物設計支援システム10は、建築物のパーツ(建材、設備)を供給(言い換えれば、製造及び販売)するメーカAが、建築物の設計、建設、及び、販売を行うメーカB(例えば、ハウスメーカまたはパワービルダーなど)の設計者の建築物の設計を支援するためのシステムである。建築物は、戸建住宅または集合住宅などの住宅用途の建築物であってもよいし、商業用途の建築物であってもよい。建築物のパーツは、例えば、建具、床材、または、建築資材などである。また、建築物の設計とは、CADによる建築物のモデルの作成を意味する。
【0015】
建築物設計支援システム10は、建築CAD装置20と、商材管理装置30と、サーバ装置40とを備える。
【0016】
建築CAD装置20は、メーカBに属する建築物の設計者が使用する装置である。建築CAD装置20は、例えば、第一記憶部23に建築CADプログラム23aがインストールされた情報端末によって実現される。建築CAD装置20は、商材管理装置30及びサーバ装置40とインターネット等の広域通信ネットワークを介して通信を行うことができる。
【0017】
商材管理装置30及びサーバ装置40は、メーカAによって提供される装置であり、サーバ装置40の記憶部41には、メーカAが販売するパーツのパーツデータ41a(例えば、BIM(Building Information Modeling)データ)のライブラリ(言い換えれば、データベース)が構築される。これにより、建築CAD装置メーカBの設計者は、メーカAが製造販売するパーツのパーツデータ41aをダウンロードして建築CADプログラム23a上で使用できるため、メーカAが販売するパーツの建築物への採用を容易に検討することができる。
【0018】
建築物のモデルが完成すると、設計者は、完成した建築物のモデルの図面をメール、Fax、または、郵便などで送付することによってメーカAに金額の見積もりを依頼することが一般的である。メーカAの見積もり担当者は、受領した図面に基づいて金額の見積もりを行う。このような方法では、見積もり金額が提示されるまでに少なくとも数日から1週間程度の時間を要する。つまり、見積もり金額を提示するまでの期間の短縮が課題となる。また、見積もり担当者が図面を読み取って見積もりを行うためミスが発生しやすい。つまり、見積もり金額の精度の向上も課題となる。
【0019】
そこで、建築物設計支援システム10では、建築CADプログラム23aにアドオンされるアドオンプログラム23bにより、建築CADプログラム23a上からパーツの見積もりを行うことができる機能(以下、問い合わせ機能とも記載される)が付与される。具体的には、建築CAD装置20は、設計中の建築物のモデルに使用されているパーツに関する電子データ(以下、問い合わせ情報とも記載される)を送信し、商材管理装置30は、送信された問い合わせ情報を用いてパーツの金額の見積もりを行う。
【0020】
このような問い合わせ機能によれば、設計者は容易にパーツの金額の見積もりを行うことができる、また、電子データにより見積もりが行われるため、見積もり金額を提示するまでの期間が短縮される。また、上述した図面の読み取りミスが発生しにくく、見積もり金額の精度が向上される。
【0021】
ところで、サーバ装置40から建築CAD装置20に提供されるパーツデータ41aには、デフォルトの仕様が定められている。例えば、パーツが引き戸である場合、引き戸の縦方向(言い換えれば、高さ方向)のサイズのデフォルト値、及び、横方向(言い換えれば、幅方向)のサイズのデフォルト値が定められている。設計者がパーツデータ41aに対応するパーツを建築物のモデルに組み込む際には、パーツの仕様をデフォルトの仕様から変更することが可能である。例えば、設計者は、引き戸の縦方向のサイズ、及び、横方向のサイズを変更して(つまり、引き戸の形状を変形して)建築物のモデルに組み込むことができる。
【0022】
ここで、パーツのサイズが大幅に変更されている場合などには、メーカAが仕様変更後のパーツを供給できるとは限らない。例えば、製造上の理由により、変更後のサイズのパーツを供給できないような場合が考えられる。このような場合に上記問い合わせ機能を用いて供給可否の問い合わせが行われると、商材管理装置30は、問い合わせ情報に基づいてパーツの供給可否を通知する。
【0023】
このように、建築物設計支援システム10によれば、設計者は、設計において採用されたパーツが実際に供給可能であるか否かを設計中に問い合わせることができる。以下、建築物設計支援システム10を構成する各装置について説明する。
【0024】
[建築CAD装置]
まず、建築CAD装置20について説明する。建築CAD装置20は、設計者が電子データとしての建築物のモデルの作成するための装置である。建築CAD装置20は、例えば、建築CADプログラム23aがインストールされた情報端末(具体的には、パーソナルコンピュータ)によって実現される。建築物のモデルは、2Dモデルであってもよいし、3Dモデルであってもよい。建築CAD装置20は、具体的には、操作受付部21と、第一情報処理部22と、第一記憶部23と、第一通信部24と、表示部25とを備える。
【0025】
操作受付部21は、ユーザインターフェース装置であり、設計者の操作を受け付ける。操作受付部21は、例えば、キーボードまたはマウスなどによって実現される。
【0026】
第一情報処理部22は、第一記憶部23に記憶された建築CADプログラム23aを実行することにより情報端末を建築CAD装置として機能させる。第一情報処理部22は、例えば、マイクロコンピュータであるが、プロセッサによって実現されてもよい。第一情報処理部22は、取得部26と、出力部27と、提示部28とを有する。これらの各構成要素の機能の詳細については後述される。
【0027】
第一記憶部23は、第一情報処理部22によって実行される建築CADプログラム23aが記憶される記憶装置である。第一記憶部23には、建築CADプログラム23aにアドオンされるアドオンプログラム23bも記憶される。アドオンプログラム23bは、汎用の建築CADプログラム23aに上述の問い合わせ機能を追加するためのプログラムである。第一記憶部23は、例えば、半導体メモリによって実現される。
【0028】
第一通信部24は、建築CAD装置20が商材管理装置、及び、サーバ装置40と通信を行うための通信回路(言い換えれば、通信モジュール)である。第一通信部24は、例えば、無線通信を行うための無線通信回路であるが、有線通信を行うための有線通信回路であってもよい。第一通信部24が行う通信の通信規格については特に限定されない。
【0029】
表示部25は、第一情報処理部22(具体的には、提示部28)の制御に基づいて画像を表示する。表示部25は、具体的には、提示部28によって出力される画像情報に基づいて画像を表示する。表示部25は、具体的には、例えば、液晶パネルまたは有機ELパネルなどによって実現される。
【0030】
[商材管理装置]
次に、商材管理装置30について説明する。商材管理装置30は、メーカAが供給するパーツ(言い換えれば、商材)の管理情報であるパーツ管理データ33aが記憶される装置である。商材管理装置30は、例えば、情報端末として実現されるが、サーバ装置40として実現されてもよい。商材管理装置30は、具体的には、第二通信部31と、第二情報処理部32と、第二記憶部33とを備える。
【0031】
第二通信部31は、商材管理装置30が建築CAD装置20と通信を行うための通信回路(言い換えれば、通信モジュール)である。第二通信部31は、例えば、建築CAD装置20によって送信される問い合わせ情報を受信する。第二通信部31は、例えば、無線通信を行うための無線通信回路であるが、有線通信を行うための有線通信回路であってもよい。第二通信部31が行う通信の通信規格については特に限定されない。
【0032】
第二情報処理部32は、第二通信部31によって受信された問い合わせ情報を用いて情報処理を行う。第二情報処理部32は、例えば、マイクロコンピュータであるが、プロセッサによって実現されてもよい。
【0033】
第二記憶部33は、第二情報処理部32によって実行されるプログラム(図示せず)が記憶される記憶装置である。第二記憶部33には、パーツ管理データ33aも記憶される。パーツ管理データ33aは、例えば、パーツの品番、価格、納期、及び、許容サイズなどが対応づけられた情報であり、第二情報処理部32が行う情報処理に使用される。第二記憶部33は、例えば、半導体メモリによって実現される。
【0034】
[サーバ装置]
次に、サーバ装置40について説明する。サーバ装置40は、記憶部41を有するクラウドサーバである。記憶部41は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)などによって実現される。
【0035】
記憶部41には、メーカAが販売するパーツのパーツデータ41aがデータベースとして記憶される。パーツデータ41aは、具体的には、BIMデータであり、パーツの3Dデータに属性データが付与されたデータである。図示されないが、サーバ装置40は通信部(つまり、通信回路)を備え、建築CAD装置20にパーツデータ41aを送信することができる。
【0036】
[動作]
次に、建築物設計支援システム10の動作について説明する。
図2は、建築物設計支援システム10の動作のシーケンス図である。
【0037】
まず、建築CAD装置20の提示部28は、建築物のモデルを提示する(S11)。提示部28は、具体的には、建築物のモデルを表示部25に表示させる。
図3は、建築物のモデルが表示された表示部25の一例を示す図である。
図3の例では、建築物のモデルは2D表示されているが、3D表示されてもよい。
【0038】
次に、操作受付部21は、設計者のパーツデータ41aの取得操作を受け付ける(S12)。パーツデータ41aの取得操作が受け付けられると、取得部26は、第一通信部24にパーツデータ41aの要求を送信させる(S13)。
【0039】
サーバ装置40は、パーツデータ41aの要求を受信すると(S14)、記憶部41に記憶されたパーツデータ41aを読み出し、送信する(S15)。
【0040】
建築CAD装置20の第一通信部24によってサーバ装置40からパーツデータ41aが受信されると(S16)、取得部26は受信されたパーツデータ41aを取得し、第一記憶部23に記憶する。これにより、設計者は、第一記憶部23に記憶されたパーツデータ41aに対応するパーツを建築物のモデルに組み込むことが可能となる。例えば、操作受付部21は、パーツを仕様変更して建築物のモデルに組み込む操作を受け付ける(S17)。パーツが引き戸である場合、操作受付部21は、引き戸の縦方向のサイズ、及び、横方向のサイズを変更する操作(つまり、パーツを変形する操作)を受け付ける。
【0041】
その後、操作受付部21は、問い合わせ操作を受け付ける(S18)。
図4は、問い合わせ操作の一例を示す図である。
図4に示されるように、問い合わせ操作は、例えば、アドオンプログラム23bがインストールされることにより追加されるボタン25aをクリックする操作、及び、このクリックにより選択可能となる問い合わせボタン25bをクリックする操作を含む。
【0042】
このような問い合わせ操作が受け付けられると、出力部27は、問い合わせ情報を生成する。また、出力部27は、生成された問い合わせ情報を第一通信部24に出力することにより、問い合わせ情報を第一通信部24に商材管理装置30へ送信させる(S19)。
図5は、問い合わせ情報の一例を示す図である。
【0043】
図5に示されるように、問い合わせ情報は、商品名、品番、建築物のモデルにおけるパーツのサイズ(幅及び高さ)、標準価格、及び、詳細仕様等の情報を含む。商品としては、例えば、内装ドア、窓枠、収納、カウンター、手摺り、階段、トイレ、システムキッチン、バス等から選択された1種以上の建材・設備商品が含まれていてもよい。これらは1種類でもよいか、複数種の商品が組み合わされていてもよい。複数種類の商品を含ませられることで、1棟まるごとの商品の見積もりも可能となり、納期等も一度に把握することができる。なお、標準価格とは、例えば、パーツがデフォルトの仕様のままである場合の価格である。また、問い合わせ情報は、パーツがデフォルトの仕様から変更されて建築物のモデルに組み込まれているか否かを示す情報(
図5の仕様変更の有無)を含んでもよい。問い合わせ情報は、例えば、CSV形式の情報であるが、問い合わせ情報のフォーマットについては特に限定されない。
【0044】
商材管理装置30の第二通信部31によって問い合わせ情報が受信されると(S20)、第二情報処理部32は、見積もり処理を行う(S21)。
図6は、見積もり処理の一例を示すフローチャートである。なお、以下の見積もり処理は、例えば、第二情報処理部32によって自動的に行われるが、一部がユーザ操作に基づいて行われてもよい。
【0045】
見積もり処理において、第二情報処理部32は、まず、パーツの仕様変更の有無を判定する(S31)。第二情報処理部32は、仕様変更が無いと判定されたパーツについては(S31でNo)、標準価格をそのまま見積もり価格として算出し(S32)、かつ、第二記憶部33に記憶されたパーツ管理データ33aを参照することにより納期を特定する(S33)。
【0046】
一方、第二情報処理部32は、仕様変更があると判定されたパーツについては(S31でYes)、第二記憶部33に記憶されたパーツ管理データ33aを参照することにより仕様変更が許容範囲であるか否かを判定する(S34)。第二情報処理部32は、仕様変更が許容範囲内であると判定される場合には(S34でYes)、パーツ管理データ33aに基づいて、仕様変更後の価格を算出し(S35)、仕様変更後のパーツの納期の特定を行う(S33)。
【0047】
第二情報処理部32は、仕様変更が許容範囲内でないと判定されたパーツについては(S34でYes)、代替パーツの提案が可能であるか否かの判定を行う(S36)。代替パーツの提案が可能であるか否かは、例えば、仕様変更後のパーツとのサイズ差が所定値以内の代替パーツ(例えば、同じ品番のサイズ違い)が供給できるか否かに基づいて判定される。その他、色柄違いやデザイン違いが供給できるか否かに基づいて判定されていてもよい。
【0048】
第二情報処理部32は、代替パーツの提案が可能であると判定されると(S36でYes)、パーツ管理データ33aに基づいて、代替パーツの価格を見積もり価格として算出し(S37)、代替パーツの納期の特定を行う(S33)。一方、代替パーツの提案が不可能であると判定されると(S36でNo)、見積もり価格の算出、及び、納期の特定は行われない。
【0049】
このような見積もり処理の結果、第二情報処理部32は、
図7に示されるような見積もり情報を作成する。
図7は、見積もり情報の一例を示す図である。
【0050】
図7に示される見積もり情報は、
図5に示される問い合わせ情報に、見積もり価格(つまり、価格情報)、納期(つまり、納期情報)、及び、提案Noが付与された情報である。なお、提案Noは、見積もり情報に含まれるパーツを一括して発注するための識別情報であり、提案Noが使用されればパーツの発注がスムーズに行われる。
【0051】
また、見積もり情報は、供給可否情報の一例であり、各パーツの供給可否を示している。また、見積もり情報は、仕様変更後のパーツを、供給可能な他の仕様の代替パーツに置き換えることを提案するための情報を含んでいる。
図7の例では、
図5に示される問い合わせ情報において仕様変更されていた引き戸A、片開きドア、及び、引き戸Bの3つのパーツのうち、引き戸Aは、供給不可であり、片開きドアについては同一品番の代替パーツが提案され、引き戸Bは、供給可となっている。
【0052】
ステップS21の見積もり処理の後、第二情報処理部32は、作成された見積もり情報を第二通信部31に送信させる(S22)。送信された見積もり情報は、建築CAD装置20の第一通信部24によって受信される(S23)。受信された見積もり情報は、取得部26によって取得され、第一記憶部23に記憶される。
【0053】
その後、操作受付部21は、見積もり情報の読み込み操作を受け付ける(S24)。
図4に示されるように、見積もり情報の読み込み操作は、例えば、ボタン25aをクリックする操作、及び、このクリックにより選択可能となる読み込みボタン25cをクリックする操作を含む。
【0054】
このような見積もり情報の読み込み操作が受け付けられると、提示部28は、提示中の建築物のモデルに見積もり情報の内容を反映させる(S25)。
図8は、見積もり情報の内容が反映された建築物のモデルが表示された表示部25の一例を示す図である。
【0055】
図8に示されるように、見積もり情報が反映された結果、供給不可と判定されたパーツ(代替パーツが提案されているパーツを含む)については、表示態様が目立つように変更される。例えば、代替パーツが提案されているパーツにカーソルが合わせられると、設計者に代替パーツへの置き換えへの許可を求めるメッセージ25dが表示される。
【0056】
このように、提示部28は、提示中の建築物のモデルにおいて、仕様変更後のパーツの提示態様を変更することにより、仕様変更後のパーツの供給可否を提示する。提示態様の変更は、色の変更、大きさの変更、及び、マークの付与などの少なくとも1つによって実現される。なお、供給不可のパーツであって代替パーツが提案されているパーツと供給不可のパーツであって代替パーツが提案されていないパーツとは区別され、互いに提示態様が異なってもよい。
【0057】
また、パーツの供給可否が建築物のモデルにおいて提示されることは必須ではない。例えば、建築物のモデルとは別に一覧表などによって提示されてもよい。
【0058】
[効果等]
以上説明したように、建築CAD装置20は、建築物のモデルを作成するための建築CAD装置である。建築CAD装置20は、建築物に用いられるパーツのデータ(つまり、パーツデータ41a)を取得する取得部26と、取得されたデータに対応するパーツがデフォルトの仕様から変更されて建築物のモデルに組み込まれた場合に、仕様変更後のパーツの供給可否を問い合わせるための問い合わせ情報を出力する出力部27とを備える。
【0059】
このような建築CAD装置20は、設計において採用されたパーツが実際に供給可能であるか否かを設計中に問い合わせることができる。より具体的には、建築CAD装置20は、仕様がデフォルトから変更されたパーツが実際に供給可能であるか否かを設計中に問い合わせることができる。これにより、設計初期にパーツの供給可否を判断することができるため、メーカBは供給可否に伴う設計の手戻り工数を削減することができる。また、設計初期から実際に供給可能なパーツを組み込んだモデルを施主に見せることができ、施主の満足度も向上することができる。
【0060】
また、例えば、出力部27は、パーツがデフォルトの形状から変形されて建築物のモデルに組み込まれた場合に、問い合わせ情報を出力する。
【0061】
このような建築CAD装置20は、設計において形状変更されたパーツが実際に供給可能であるか否かを設計中に問い合わせることができる。
【0062】
また、例えば、取得部26は、さらに、問い合わせ情報に対する応答として仕様変更後のパーツの供給可否を示す供給可否情報を取得する。建築CAD装置20は、さらに、取得された供給可否情報に基づいて、仕様変更後のパーツの供給可否を提示する提示部28を備える。供給可否情報は、上記実施の形態の見積もり情報に相当する。
【0063】
このような建築CAD装置20は、設計において仕様がデフォルトから変更されたパーツが実際に供給可能であるか否かを設計中に提示することができる。
【0064】
また、例えば、提示部28は、建築物のモデルを提示し、提示中の建築物のモデルにおいて、仕様変更後のパーツの提示態様を変更することにより、仕様変更後のパーツの供給可否を提示する。
【0065】
このような建築CAD装置20は、設計において仕様がデフォルトから変更されたパーツが実際に供給可能であるか否かを建築物のモデル上で提示することができる。
【0066】
また、例えば、仕様変更後のパーツの供給が不可であることを示す供給可否情報には、仕様変更後のパーツを、供給可能な他の仕様のパーツに置き換えることを提案するための情報が含まれる。
【0067】
このような建築CAD装置20は、取得された供給可否情報に基づいて、仕様変更後のパーツを、供給可能な他の仕様のパーツ(つまり、代替パーツ)に置き換えることを提案することができる。
【0068】
また、例えば、仕様変更後のパーツの供給が可能であることを示す供給可否情報には、仕様変更後のパーツの価格情報が含まれる。
【0069】
このような建築CAD装置20は、取得された供給可否情報に基づいて、仕様変更後のパーツの価格を提示することができる。
【0070】
また、例えば、仕様変更後のパーツの供給が可能であることを示す供給可否情報には、仕様変更後のパーツの納期情報が含まれる。
【0071】
このような建築CAD装置20は、取得された供給可否情報に基づいて、仕様変更後のパーツの納期を提示することができる。
【0072】
また、例えば、仕様変更後のパーツの供給が可能であることを示す供給可否情報には、仕様変更後のパーツを発注するための情報が含まれる。
【0073】
このような建築CAD装置20は、取得された供給可否情報に基づいて、仕様変更後のパーツの納期を提示することができる。
【0074】
また、建築物に用いられるパーツのデータを取得し、取得されたパーツのデータを組み込んだ建築物のモデルを作成するための建築CADプログラム23aにアドオンされるアドオンプログラム23bは、取得されたデータに対応するパーツがデフォルトの仕様から変更されて建築物のモデルに組み込まれた場合に、仕様変更後のパーツの供給可否を問い合わせるための問い合わせ情報をコンピュータに出力させるためのアドオンプログラムである。
【0075】
このようなアドオンプログラム23bは、設計において採用されたパーツが実際に供給可能であるか否かを設計中に問い合わせることができる機能を建築CADプログラム23aに付与することができる。
【0076】
また、上記実施の形態では、アドオンプログラムのインストールによって建築CADプログラムに問い合わせ機能が追加されたが、建築CADプログラム23a自体が最初から問い合わせ機能を有していてもよい。この場合、建築物のモデルの作成するための建築CADプログラム23aは、建築物に用いられるパーツのデータを取得するステップと、取得されたデータに対応するパーツがデフォルトの仕様から変更されて建築物のモデルに組み込まれた場合に、仕様変更後のパーツの供給可否を問い合わせるための問い合わせ情報を出力するステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0077】
このような建築CADプログラム23aは、設計において採用されたパーツが実際に供給可能であるか否かを設計中に問い合わせることができる。
【0078】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0079】
例えば、上記実施の形態では、パーツの仕様変更として、パーツのサイズが変更される例について説明された。しかしながら、パーツの色、パーツの材質、または、パーツの仕上げなどが変更されてもよい。つまり、パーツの仕様変更は、パーツのサイズの変更に限定されない。
【0080】
また、パーツが仕様変更されて建築物のモデルに組み込まれる際には、仕様変更に一定の制限が設けられてもよい。例えば、パーツが引き戸である場合、引き戸の縦方向のサイズ、及び、引き戸の横方向のサイズが許容範囲内で変更可能なように制限が加えられていてもよい。この場合、縦方向のサイズ及び横方向のサイズの組み合わせに制限があるような場合には、商材管理装置30によって組み合わせが適切か否かが判定されてもよい。
【0081】
また、上記実施の形態のフローチャートで説明された処理の順序は、一例である。複数の処理の順序は変更されてもよいし、複数の処理は並行して実行されてもよい。上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。
【0082】
また、上記実施の形態における装置間の通信方法については特に限定されるものではない。装置間では、無線通信が行われてもよいし、有線通信が行われてもよい。また、装置間では、無線通信及び有線通信が組み合わされてもよい。また、上記実施の形態において2つの装置が通信を行う場合、2つの装置間には図示されない中継装置が介在してもよい。
【0083】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)またはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0084】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0085】
また、上記実施の形態では、建築物設計支援システムは、複数の装置によって実現されたが、単一の装置として実現されてもよい。建築物設計支援システムが複数の装置によって実現される場合、建築物設計支援システムが備える構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。
【0086】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。例えば、本発明は、上記実施の形態に係る建築CADプログラムまたはアドオンプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0087】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
20 建築CAD装置
23a 建築CADプログラム
23b アドオンプログラム
26 取得部
27 出力部
28 提示部
41a パーツデータ