(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-06
(45)【発行日】2023-04-14
(54)【発明の名称】照明システム、及び、制御方法
(51)【国際特許分類】
H05B 47/19 20200101AFI20230407BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20230407BHJP
F21V 23/04 20060101ALI20230407BHJP
H04W 4/35 20180101ALI20230407BHJP
F21Y 103/00 20160101ALN20230407BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230407BHJP
【FI】
H05B47/19
F21S2/00 520
F21V23/04 500
H04W4/35
F21Y103:00
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2018241969
(22)【出願日】2018-12-26
【審査請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 朝
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸本 龍海
(72)【発明者】
【氏名】平松 宏司
(72)【発明者】
【氏名】森脇 淑也
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-139090(JP,A)
【文献】特開2009-087834(JP,A)
【文献】特開2000-276912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
F21S 2/00
F21V 23/04
H04W 4/35
F21Y 103/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物に取り付けられる無線通信装置と、
照明装置とを備え、
前記無線通信装置は、第一電波通信部を備え、
前記照明装置は、
光源と、
前記第一電波通信部と通信する第二電波通信部と、
前記第一電波通信部及び前記第二電波通信部の一方によって送信された信号の他方における受信状態を取得する取得部と、
取得された前記受信状態に基づいて、前記光源の発光状態を制御する制御部とを備える
前記無線通信装置は、さらに、前記第二電波通信部によって送信された前記信号の前記第一電波通信部における前記受信状態を計測する計測部を備え、
前記第二電波通信部は、計測された前記受信状態を示す受信状態情報を前記第一電波通信部から受信し、
前記取得部は、受信された前記受信状態情報から前記受信状態を取得する
照明システム。
【請求項2】
前記無線通信装置は、前記光源が発する光の照射範囲内に設置される
請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
前記無線通信装置は、さらに、前記第一電波通信部、及び、前記計測部を収容する収容体を備える
請求項
1または2に記載の照明システム。
【請求項4】
無線通信装置と、
照明装置とを備え、
前記無線通信装置は、第一電波通信部を備え、
前記照明装置は、
光源と、
前記第一電波通信部と通信する第二電波通信部と、
前記第一電波通信部及び前記第二電波通信部の一方によって送信された信号の他方における受信状態を取得する取得部と、
取得された前記受信状態に基づいて、前記光源の発光状態を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、取得された前記受信状態と閾値とを比較することにより、前記光源の発光状態を制御し、
前記取得部は、前記第一電波通信部と前記第二電波通信部との間に物体が存在しない状態における第一受信状態、及び、前記第一電波通信部と前記第二電波通信部との間に前記物体が存在する状態における第二受信状態を取得し、
前記制御部は、取得された前記第一受信状態及び前記第二受信状態に基づいて前記閾値を決定する
照明システム。
【請求項5】
前記制御部は、取得された前記第一受信状態、及び、取得された前記第二受信状態の差が所定値よりも小さい場合に、前記無線通信装置の設置位置に関する通知を行うための通知情報を前記第二電波通信部に送信させる
請求項
4に記載の照明システム。
【請求項6】
照明システムが実行する制御方法であって、
前記照明システムは、
構造物に取り付けられる、第一電波通信部を有する無線通信装置と、
光源、及び、前記第一電波通信部と通信する第二電波通信部を有する照明装置とを備え、
前記制御方法は、
前記第二電波通信
部によって送信された信号の
前記第一電波通信部における受信状態
であって前記無線通信装置によって計測された受信状態を示す受信状態情報から前記受信状態を取得し、
取得された前記受信状態に基づいて、前記光源の発光状態を制御する
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明システム、及び、制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
照明装置を無線通信によって制御する照明システムが知られている。このような照明システムの一例として、特許文献1には、光のビームを放出するように動作可能な光源と、無線信号を含む無線ビームを放出するように動作可能な無線モジュールとを含む照明器具とによって構成される照明システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、空間における電波の伝搬状態に基づいて照明装置の発光状態を制御することができる照明システム、及び、制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る照明システムは、無線通信装置と、照明装置とを備え、前記無線通信装置は、第一電波通信部を備え、前記照明装置は、光源と、前記第一電波通信部と通信する第二電波通信部と、前記第一電波通信部及び前記第二電波通信部の一方によって送信された信号の他方における受信状態を取得する取得部と、取得された前記受信状態に基づいて、前記光源の発光状態を制御する制御部とを備える。
【0006】
本発明の一態様に係る制御方法は、照明システムが実行する制御方法であって、前記照明システムは、第一電波通信部を有する無線通信装置と、光源、及び、前記第一電波通信部と通信する第二電波通信部を有する照明装置とを備え、前記制御方法は、前記第一電波通信部及び前記第二電波通信部の一方によって送信された信号の他方における受信状態を取得し、取得された前記受信状態に基づいて、前記光源の発光状態を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、空間における電波の伝搬状態に基づいて照明装置の発光状態を制御することができる照明システム、及び、制御方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る照明システムの概要を説明するための図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る照明システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、照明装置が備える光源が発する光の照射範囲、及び、照明装置が備える第二電波通信部の通信可能範囲の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、閾値の設定方法のシーケンス図である。
【
図6】
図6は、無線タグの設置位置に関する通知を行うための画像の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施の形態に係る照明システムの動作例1のフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施の形態に係る照明システムの別の使用用途を説明するための図である。
【
図9】
図9は、実施の形態に係る照明システムが商品の在庫管理システムとして利用される例を説明するための図である。
【
図10】
図10は、実施の形態に係る照明システムを利用した商品の在庫管理システムの概要を示す図である。
【
図11】
図11は、無線タグ及び照明装置を複数組備える照明システムの概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0010】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0011】
(実施の形態)
[構成]
まず、実施の形態に係る照明システムの構成について説明する。
図1は、実施の形態に係る照明システムの概要を説明するための図である。
【0012】
図1に示されるように、実施の形態に係る照明システム100は、無線タグ10と、照明装置20とを備える。照明システム100は、無線タグ10と照明装置20との間における電波の状態の変化に基づいて、照明装置20の発光状態を制御することができる。
図1の(a)に示されるように、商品棚30に無線タグ10が取り付けられれば、
図1の(b)に示されるように商品棚30の前に人40が通りかかると人40が障害物となり無線タグ10と照明装置20との間の電波の伝搬状態が変化する。このような電波の伝搬状態の変化(言い換えれば、電波の乱れ)は、フェージングなどと呼ばれる場合がある。照明システム100は、このようなフェージングに基づいて照明装置20の発光状態を変化させることができる。例えば、人40が商品棚30の前に通りかかったときに照明装置20の発光状態が変化すれば、アイキャッチ効果を得ることができる。
【0013】
以下、照明システム100が備える各構成要素について
図2を参照しながら詳細に説明する。
図2は、照明システム100の機能構成を示すブロック図である。なお、
図2では、照明システム100に加えて、携帯端末50が図示されている。
【0014】
[無線タグ]
まず、無線タグ10の構成について説明する。無線タグ10は、無線通信装置の一例であって、照明装置20から送信される信号を受信する受信機である。
図3は、無線タグ10の外観図である。
図3に示されるように、無線タグ10は、例えば、カード状である。無線タグ10は、第一電波通信部11と、第一信号処理部12と、第一記憶部13と、収容体15とを備え、収容体15には、第一電波通信部11、第一信号処理部12、及び、第一記憶部13が収容される、無線タグ10は、さまざまな場所に取り付けることができる。なお、無線タグ10は、シール状またはスティック状などどのような形状であってもよい。無線タグ10は、例えば、内部電源を有するアクティブ型であるが、照明装置20から受信した電波によって動作するパッシブ型であってもよい。
【0015】
第一電波通信部11は、無線タグ10が照明装置20と電波通信を行うための無線通信回路である。電波通信における電波の周波数は、例えば、700MHz以上2.4GHz以下である。なお、電波には、可視光及び赤外線は含まれない。
【0016】
第一信号処理部12は、第一電波通信部11が照明装置20から受信した信号の受信強度(RSSI:Received Signal Strength Indication)を計測し、計測した受信強度を示す受信強度情報を第一電波通信部11に照明装置20へ送信させるための信号処理を行う。第一信号処理部12は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサまたは専用回路によって実現されてもよい。第一信号処理部12は、計測部14を有する。
【0017】
計測部14は、第一電波通信部11が無線タグ10から受信した信号の受信強度を計測する。なお、計測部14は、第一電波通信部11と一体のデバイスとして実現されてもよい。
【0018】
第一記憶部13は、第一信号処理部12が上記信号処理を行うために実行するプログラム等が記憶される記憶装置である。第一記憶部13は、例えば、半導体メモリなどによって実現される。
【0019】
なお、無線タグ10は、メタマテリアルなどの材料を備え、無線タグ10が誘電体などに取り付けられたときの特性劣化が抑制された構成であってもよい。
【0020】
[照明装置]
次に、照明装置20について説明する。照明装置20は、照明装置20が設置された空間を照明する。照明装置20は、具体的には、ペンダントライトであるが、シーリングライト、ダウンライト、または、スポットライトなどであってもよく、照明装置20の具体的態様は、特に限定されない。照明装置20は、第二電波通信部21と、第二信号処理部22と、発光制御回路23と、光源24と、第二記憶部25とを備える。
【0021】
第二電波通信部21は、照明装置20が無線タグ10と無線通信を行うための無線通信回路である。第二電波通信部21は、例えば、第二信号処理部22の制御に基づいて、受信強度の計測用の信号(以下、単に計測用信号とも記載される)を送信する。また、第二電波通信部21は、受信強度情報を無線タグ10から受信する。
【0022】
第二信号処理部22は、照明装置20に関する信号処理を行う。第二信号処理部22は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサまたは専用回路によって実現されてもよい。第二信号処理部22は、取得部26と、制御部27とを備える。
【0023】
取得部26は、受信強度情報から受信強度を取得する。制御部27は、取得された受信強度に基づいて、光源24の発光状態を制御する。発光状態の制御は、例えば、点灯及び消灯を含む調光制御であるが、光源24が調色に対応している場合は調色制御であってもよい。また、発光制御は、スケジュールに基づいて光源24を制御するスケジュール制御であってもよい。
【0024】
発光制御回路23は、制御部27の制御に基づいて電圧及び電流を光源24に供給する。発光制御回路23は、具体的には、PWM(Pulse Width Modulation)制御回路などの調光回路である。
【0025】
光源24は、発光制御回路23から供給される電圧及び電流によって発光する照明用の白色光源である。光源24は、具体的には、蛍光管またはLEDなどによって実現される。光源24は、半導体レーザ等の半導体発光素子、有機EL(Electro Luminescence)または無機EL等の固体発光素子であってもよい。
【0026】
第二記憶部25は、制御部27が実行する制御プログラム等が記憶される記憶装置である。第二記憶部25は、例えば、半導体メモリなどによって実現される。
【0027】
なお、
図4に示されるように、照明装置20は、光源24が発する光の照射範囲28内に、第二電波通信部21の通信可能範囲29を有している。
図4は、光源24が発する光の照射範囲28、及び、第二電波通信部21の通信可能範囲29の一例を示す図である。そこで、無線タグ10は、例えば、光源24が発する光の照射範囲28内に設置される。
【0028】
[携帯端末]
次に、携帯端末50について説明する。携帯端末50は、無線タグ10及び照明装置20を相互に通信可能な状態にする初期設定作業(ペアリング作業などとも呼ばれる)に用いられる携帯型の情報端末である。また、後述のように、携帯端末50は、閾値の設定にも用いられる。また、携帯端末50は、初期設定後は、照明装置20のリモートコントローラとして使用することができる。携帯端末50は、具体的には、例えば、タブレット端末またはスマートフォンである。携帯端末50は、操作受付部51と、情報処理部52と、第三電波通信部53と、記憶部54と、表示部55とを備える。
【0029】
操作受付部51は、照明システム100のユーザ、または、初期設定作業を行う作業者などの操作を受け付ける。操作受付部51は、例えば、タッチパネル、及び、ハードウェアボタンなどによって実現される。
【0030】
情報処理部52は、操作受付部51によって受け付けられた操作に基づいて、各種情報処理を行う。情報処理部52は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサによって実現されてもよい。
【0031】
第三電波通信部53は、携帯端末50が照明装置20と通信を行うための無線通信回路である。
【0032】
記憶部54は、情報処理部52によって実行される制御プログラムなどが記憶される記憶装置である。記憶部54は、例えば、半導体メモリによって実現される。
【0033】
表示部55は、情報処理部52の制御に基づいて画像を表示する。表示部55は、具体的には、液晶パネルまたは有機ELパネルなどを表示デバイスとして含むディスプレイである。
【0034】
[閾値の設定方法]
照明システム100において、照明装置20の制御部27は、具体的には、取得部26によって取得された受信強度と閾値とを比較することにより、光源24の発光状態を制御する。この閾値は、あらかじめ定められた値であってもよいが、ユーザによって任意に設定されてもよい。以下、閾値の設定方法について説明する。
図5は、閾値の設定方法のシーケンス図である。
【0035】
まず、ユーザは、無線タグ10と照明装置20との間(つまり、第一電波通信部11と第二電波通信部21との間)に検知対象の物体が存在しない状態(例えば、
図1の(a)のような状態)を作り、この状態における受信強度の計測を指示する第一操作を行う。携帯端末50の情報処理部52は、操作受付部51によって第一操作が受け付けられると(S11)、第三電波通信部53に照明装置20へ第一指示信号を送信させる(S12)。
【0036】
照明装置20の第二信号処理部22は、第二電波通信部21によって第一指示信号が受信されると、受信強度の計測用の信号(以下、単に計測用信号とも記載される)を第二電波通信部21に送信させる(S13)。計測用信号は、所定期間よりも長い期間、継続して送信される。
【0037】
無線タグ10の計測部14は、第一電波通信部11によって計測用信号が受信されている間、計測用信号の受信強度を計測する(S14)。第一信号処理部12は、計測された受信強度の所定期間における平均値を示す第一受信強度情報を生成し、生成した第一受信強度情報を第一電波通信部11に送信させる(S15)。
【0038】
照明装置20の取得部26は、第二電波通信部21によって受信された第一受信強度情報から第一受信強度(具体的には、上記所定期間における平均値)を取得し(S16)、第二信号処理部22は、取得された第一受信強度を第二記憶部25に記憶する(S17)。
【0039】
次に、ユーザは、無線タグ10と照明装置20との間(つまり、第一電波通信部11と第二電波通信部21との間)に検知対象の物体が存在する状態(例えば、
図1の(b)のような状態)を作り、この状態における受信強度の計測を指示する第二操作を行う。携帯端末50の情報処理部52は、操作受付部51によって第二操作が受け付けられると(S18)、第三電波通信部53に照明装置20へ第二指示信号を送信させる(S19)。
【0040】
照明装置20の制御部27は、第二電波通信部21によって第二指示信号が受信されると、計測用信号を第二電波通信部21に送信させる(S20)。計測用信号は、所定期間よりも長い期間、継続して送信される。
【0041】
無線タグ10の計測部14は、第一電波通信部11によって計測用信号が受信されている間、計測用信号の受信強度を計測する(S21)。第一信号処理部12は、計測された受信強度の所定期間における平均値を示す第二受信強度情報を生成し、生成した第二受信強度情報を第一電波通信部11に送信させる(S22)。
【0042】
照明装置20の取得部26は、第二電波通信部21によって受信された第二受信強度情報から第二受信強度(具体的には、所定期間における平均値)を取得し(S23)、第二信号処理部22は、取得された第二受信強度を第二記憶部25に記憶する(S24)。
【0043】
そして、制御部27は、第二記憶部25に記憶された第一受信強度及び第二受信強度に基づいて閾値を決定する(S25)。制御部27は、例えば、第一受信強度及び第二受信強度の平均値を閾値として決定するが、第一受信強度よりも小さく第二受信強度よりも大きい値を閾値として決定すればよい。決定された閾値は、第二記憶部25に記憶される。
【0044】
以上説明したように、ユーザは、携帯端末50を操作することにより、閾値を設定することができる。
【0045】
なお、無線タグ10と照明装置20との間に物体がある場合は、受信強度は低下する傾向にあるため、第二受信強度は、第一受信強度よりも小さくなるはずである。にもかかわらず、第二受信強度と第一受信強度とがあまり変わらないような場合、無線タグ10の設置位置が適切でない可能性がある。
【0046】
そこで、制御部27は、取得された第一受信状態、及び、取得された第二受信状態の差が所定値よりも小さい(つまり、第二受信強度と第一受信強度とにあまり差がない)場合に、無線タグ10の設置位置に関する通知を行うための通知情報を第二電波通信部21に送信させる。携帯端末50の情報処理部52は、第三電波通信部53によって通知情報が受信されると、表示部55に無線タグ10の設置位置に関する通知を行うための画像を表示させる。
図6は、無線タグ10の設置位置に関する通知を行うための画像の一例を示す図である。
【0047】
このような画像が表示されれば、ユーザは、無線タグ10の設置位置を見直すことができる。無線タグ10の設置位置が見直された後に上記ステップS11~ステップS25の処理がもう一度行われれば、適切な閾値が設定される。
【0048】
[動作例]
次に、照明システム100の動作例について説明する。
図7は、照明システム100の動作例のフローチャートである。
【0049】
まず、制御部27は、発光制御回路23を介して光源24を第一発光状態で発光させる(S31)。第一発光状態は、例えば、通常の発光状態であるが、消灯状態であってもよい。第一発光状態は特に限定されない。
【0050】
次に、制御部27は、計測用信号を第二電波通信部21に無線タグ10へ送信させる(S32)。無線タグ10は、第一電波通信部11によって受信された計測用信号の受信強度を計測部14によって計測し、計測された受信強度を示す受信強度情報を第一電波通信部11によって送信する。
【0051】
第二電波通信部21は、受信強度情報を受信し(S33)、取得部26は、第二電波通信部21によって受信された受信強度情報から受信強度を取得する(S34)。
【0052】
制御部27は、取得された受信強度と第二記憶部25に記憶された閾値とを比較することにより、受信強度が閾値未満であるか否かを判定する(S35)。
【0053】
受信強度が閾値以上である場合、無線タグ10と照明装置20との間には物体が存在せず、
図1の(a)の状態に近いと考えられる。そこで、制御部27は、受信強度が閾値以上であると判定すると(S35でNo)、第一発光状態で光源24を発光させたまま、再び計測用信号を送信する(S31)。
【0054】
一方、受信強度が閾値未満である場合、無線タグ10と照明装置20との間には物体が存在し、
図1の(b)の状態に近いと考えられる。そこで、制御部27は、受信強度が閾値未満であると判定すると(S35でYes)、発光制御回路23を介して光源24を第一発光状態と異なる第二発光状態で発光させる(S36)。つまり、光源24の発光状態が変更される。第二発光状態は、例えば、第一発光状態と明るさ及び色温度の少なくとも一方が異なる発光状態である。第二発光状態は第一発光状態と異なればよく、具体的な状態については特に限定されない。
【0055】
以上説明したように、照明システム100は、無線タグ10及び照明装置20の間の電波の伝搬状態に基づいて光源24の発光状態を制御することができる。具体的には、照明システム100は、第二電波通信部21によって送信された計測用信号の第一電波通信部11における受信状態に基づいて、光源24の発光状態を制御することができる。
【0056】
[変形例1]
上記実施の形態では、無線タグ10によって受信強度が計測された。しかしながら、照明装置20によって受信強度が計測されてもよい。この場合、照明装置20は、指示信号を無線タグ10に送信し、無線タグ10は、指示信号に応じて計測用信号を照明装置20に返信する。照明装置20は、返信された計測用信号の受信強度を計測する計測部を備える。
【0057】
このような構成によれば、無線タグ10の構成をさらに簡素化することができ、無線タグ10の小型化及び薄型化が容易となる。
【0058】
[変形例2]
上記実施の形態では、受信強度の絶対値が判定に用いられたが、受信強度の絶対値は、受信状態の一例であり、受信状態は、受信強度の絶対値に限定されない。例えば、判定には、受信強度の振れ幅が用いられてもよい。発明者らの知見によれば、無線タグ10と照明装置20との間に物体が存在する場合には、受信強度の振れ幅が大きくなり、無線タグ10と照明装置20との間に物体が存在しない場合には、受信強度の振れ幅が小さくなる。そこで、この場合、制御部27は、受信強度の振れ幅が閾値未満であると判定すると、光源24の第一発光状態を維持し、受信強度の振れ幅が閾値以上であると判定すると、光源24を第一発光状態から第二発光状態に変更する。
【0059】
また、判定には、受信強度に代えて他の受信状態を示すパラメータが用いられてもよい。例えば、判定には、計測用信号の到達時間が用いられてもよい。計測用信号に送信タイミングを示す情報が含まれれば、計測用信号を受信した無線タグ10は到達時間を算出することができ、到達時間を示す到達時間情報を照明器具に返信することができる。この場合、制御部27は、例えば、到達時間が閾値未満であると判定すると、光源24の第一発光状態を維持し、到達時間が閾値以上であると判定すると、光源24を第一発光状態から第二発光状態に変更する。
【0060】
[変形例3]
上記実施の形態では、照明システム100は、店舗におけるアイキャッチ用途に用いられたが、照明システム100の使用はこのような態様に限定されない。
図8は、照明システム100の別の使用用途を説明するための図である。
【0061】
図8では、照明装置20は、トイレの天井に取り付けられる。ここで、無線タグ10がトイレの個室の床または壁に取り付けられれば、人40が個室内にいるときに人40が無線タグ10と照明装置20との間に位置する。このため、照明装置20は、個室内の人40の有無に応じて光源24の発光状態を変更することができる。照明装置20は、例えば、個室内に人40がいるときに光源を点灯させ、個室内に人40がいないときに光源を消灯することができる。つまり、照明システム100は、無線タグ10と照明装置20との間の電波の伝搬状態を人感センサ的に使用することができる。
【0062】
なお、赤外線センサを用いて照明装置20を点灯及び消灯させる従来の構成が知られているが、このような構成においては、個室内の人40の動きが少ないと個室内に人40がいるにも関わらず照明装置20が消灯してしまうことがある。照明システム100では、このように人40の動きが少ない場合に照明装置20が消灯してしまうことが抑制される。
【0063】
[変形例4]
また、照明システム100は、無線タグ10と照明装置20との間の電波の伝搬状態を光源24の制御以外に使用するシステムに利用されてもよい。
図9は、照明システム100が商品の在庫管理システムとして利用される例を説明するための図である。
【0064】
図9では、照明システム100は、商品60の在庫管理に用いられる。例えば、無線タグ10が店舗における商品棚30の載置面に取り付けられれば、商品棚30に商品60があるときには、商品60が無線タグ10と照明装置20との間に位置する。このため、照明装置20は、無線タグ10と照明装置20との間の電波の伝搬状態(つまり、受信状態)に基づいて、商品60の有無を判定することができる。
【0065】
ここで、
図10に示されるように、照明装置20からサーバ装置70へ商品60の有無を示す情報が送信されれば、サーバ装置70は、商品60の在庫を管理することができる。
図10は、照明システム100を利用した商品60の在庫管理システムの概要を示す図である。ユーザは、例えば、携帯端末50などの情報端末を用いてサーバ装置70にアクセスすることにより、商品60の在庫情報を取得することができる。
【0066】
[変形例5]
また、照明システム100は、無線タグ10及び照明装置20を複数組備えてもよい。
図11は、無線タグ10及び照明装置20を複数組備える照明システムの概要を示す図である。
【0067】
図11に示される照明システム100aにおいては、複数の照明装置20が携帯端末50を通じて行われたペアリング作業によって相互に通信可能である。そして1つの照明装置20は、サーバ装置70と通信可能である。このような照明システム100aは、複数組の無線タグ10及び照明装置20のそれぞれから、当該無線タグ10及び照明装置20の間における物体の有無の検知ログをサーバ装置70に送信することができる。ユーザは、携帯端末50などの情報端末を用いてサーバ装置70にアクセスすることにより、検知ログ情報を取得することができる。
【0068】
[変形例6]
上記実施の形態において、照明システム100は、空調機器またはスピーカなどと連携し、受信強度に基づいて空調機器またはスピーカをさらに制御してもよい。
【0069】
[効果等]
以上説明したように、照明システム100は、無線タグ10と、照明装置20とを備える。無線タグ10は、第一電波通信部11を備える。照明装置20は、光源24と、第一電波通信部11と通信する第二電波通信部21と、第一電波通信部11及び第二電波通信部21の一方によって送信された信号の他方における受信状態を取得する取得部26と、取得された受信状態に基づいて、光源24の発光状態を制御する制御部27とを備える。無線タグ10は、無線通信装置の一例である。
【0070】
このような照明システム100は、無線タグ10及び照明装置20の間の電波の伝搬状態に基づいて光源24の発光状態を制御することができる。
【0071】
また、例えば、無線タグ10は、光源24が発する光の照射範囲28内に設置される。
【0072】
このような照明システム100は、光源24が発する光の照射範囲28における電波の伝搬状態に基づいて光源24の発光状態を制御することができる。
【0073】
また、例えば、無線タグ10は、さらに、第二電波通信部21によって送信された信号の第一電波通信部11における受信状態を計測する計測部14を備える。第二電波通信部21は、計測された受信状態を示す受信状態情報を第一電波通信部11から受信する。取得部26は、受信された受信状態情報から受信状態を取得する。
【0074】
このような照明システム100は、第二電波通信部21によって送信された信号の第一電波通信部11における受信状態に基づいて、光源24の発光状態を制御することができる。
【0075】
また、例えば、無線タグ10は、さらに、第一電波通信部11、及び、計測部14を収容する収容体15を備える。
【0076】
このような無線タグ10は、第一電波通信部11、及び、計測部14を一体的に保持することができる。
【0077】
また、例えば、制御部27は、取得された受信状態と閾値とを比較することにより、光源24の発光状態を制御する。取得部26は、第一電波通信部11と第二電波通信部21との間に物体が存在しない状態における第一受信状態、及び、第一電波通信部11と第二電波通信部21との間に物体が存在する状態における第二受信状態を取得する。制御部27は、取得された第一受信状態及び第二受信状態に基づいて閾値を決定する。
【0078】
このような照明システム100は、実測された受信状態に基づいて閾値を決定することができる。
【0079】
また、例えば、制御部27は、取得された第一受信状態、及び、取得された第二受信状態の差が所定値よりも小さい場合に、無線タグ10の設置位置に関する通知を行うための通知情報を第二電波通信部21に送信させる。
【0080】
このような照明システム100によれば、ユーザは、無線タグ10の設置位置を見直すことができる。
【0081】
また、照明システム100が実行する制御方法は、第一電波通信部11及び第二電波通信部21の一方によって送信された信号の他方における受信状態を取得し、取得された受信状態に基づいて、光源24の発光状態を制御する。
【0082】
このような制御方法は、無線タグ10及び照明装置20の間の電波の伝搬状態に基づいて光源24の発光状態を制御することができる。
【0083】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0084】
例えば、照明システムには携帯端末が含まれ、上記実施の形態において照明装置によって行われた処理の一部または全部が携帯端末によって行われてもよい。例えば、閾値の決定処理は、携帯端末によって行われてもよい。
【0085】
また、上記実施の形態において、照明装置は、例えば、照明器具と当該照明器具に取り付けられるランプ(言い換えれば、照明用光源)によって構成されるが、照明装置の具体的態様は特に限定されない。例えば、照明装置は、上記ランプの態様で実現されてもよい。
【0086】
また、上記実施の形態で説明した装置間の通信方法は、一例である。装置間の通信方法については特に限定されるものではない。装置間で行われる無線通信は、例えば、特定小電力無線、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、または、Wi-Fi(登録商標)などの通信規格を用いた無線通信などである。
【0087】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0088】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0089】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0090】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。例えば、本発明は、照明システムを構成する装置(無線タグ、または、照明装置)として実現されてもよい。また、本発明は、上記実施の形態の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよいし、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。また、本発明は、携帯端末を、上記実施の形態で説明されたような閾値を設定するためのユーザインターフェースとして機能させるためのプログラムとして実現されてもよいし、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0091】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0092】
10 無線タグ(無線通信装置)
11 第一電波通信部
14 計測部
15 収容体
20 照明装置
21 第二電波通信部
24 光源
26 取得部
27 制御部
28 照射範囲
40 人(物体)
60 商品(物体)
70 サーバ装置
100、100a 照明システム