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  • 特許-調光電源装置および撮像装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-06
(45)【発行日】2023-04-14
(54)【発明の名称】調光電源装置および撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/125 20200101AFI20230407BHJP
   H05B 47/16 20200101ALI20230407BHJP
   G03B 15/05 20210101ALI20230407BHJP
【FI】
H05B47/125
H05B47/16
G03B15/05
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018170667
(22)【出願日】2018-09-12
(65)【公開番号】P2020043011
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-09-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 画像センシング展2018 平成30年6月13日~15日
(73)【特許権者】
【識別番号】300074101
【氏名又は名称】株式会社レイマック
(74)【代理人】
【識別番号】100121337
【弁理士】
【氏名又は名称】藤河 恒生
(74)【代理人】
【識別番号】100094248
【弁理士】
【氏名又は名称】楠本 高義
(74)【代理人】
【識別番号】100185454
【弁理士】
【氏名又は名称】三雲 悟志
(72)【発明者】
【氏名】椎原 貴幸
(72)【発明者】
【氏名】奥西 伊平
(72)【発明者】
【氏名】永谷 弘之
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-530790(JP,A)
【文献】特開2011-113794(JP,A)
【文献】特開2012-245349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を調光し、該光源の発光と該光源で発光された光の反射光を受光するカメラの撮影と同期されるようトリガー入力される調光電源装置であって、
前記光源の点灯と消灯の時間、点灯周波数および点灯期間のデータを保持したレジスタ部と、
前記トリガー入力されると前記レジスタ部に保持されたデータに基づいて光源を調光するロジック部と、
前記ロジック部が光源を調光中に、該ロジック部から光源を調光中であることの信号が入力され、該信号の入力されていない前記点灯期間外にレジスタ部にデータを書き込むデータ書き込み部と、
を備え、
前記レジスタ部が、
前記光源の点灯と消灯の1サイクルに占める点灯時間のデータ、または、1サイクルに占める消灯時間のデータを保持したパルス幅レジスタと、
前記光源が点灯するサイクル数のデータを保持した点灯期間レジスタと、
前記光源の点灯と消灯の1サイクルあたりのクロックの数のデータを保持した分解能レジスタと、
前記クロックの周期のデータを保持した周波数レジスタと、
を備えたことを特徴とする調光電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の調光電源装置であって、
前記レジスタ部が、前記ロジック部を駆動させるためのトリガーのパルス幅のデータを保持するトリガー時間レジスタを備えたことを特徴とする調光電源装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の調光電源装置と、
前記調光電源装置で調光される光源と、
前記光源で発光された光の反射光を受光するカメラと、
を備え、
前記光源の発光とカメラの受光が同期されたことを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光電源装置およびその調光電源装置を用いた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、発光ダイオードなどの光源を調光するために調光電源装置が使用されている。その調光電源装置においては、パルス幅変調(PWM)された信号を利用して光源を調光するものが存在する(下記特許文献1参照)。また、調光電源装置を用いた撮像装置にあっては、調光電源装置により調光された光源の光を被照射物に照射し、反射光をカメラの受光素子で受光する。これにより、受光量に応じて画像データを生成し、その画像データをコンピュータで画像処理することで被照射物の形状、色、傷などを検査することができる。
【0003】
しかし、光源の点灯とカメラの露光が同期されるように考慮する必要がある。同期されなければ、撮影時の光量が少なくなり、被照射物が鮮明に写らない。光源を常時点灯させれば上記のようなことは無いが、光源の負荷が大きくなり、消費電力も大きくなる。また、カメラの性能に合わせて適宜光源の点灯と消灯を制御できることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-88390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、光源への負荷が小さく、柔軟性の有る調光電源装置およびその調光電源装置を用いた撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の調光電源装置は、光源を調光し、光源の発光と光源で発光された光の反射光を受光するカメラの撮影と同期されるようトリガー入力される装置である。調光電源装置は、レジスタ部、ロジック部、データ書き込み部を備える。レジスタ部は、光源の点灯と消灯の時間、点灯周波数および点灯期間のデータを保持する。ロジック部は、トリガー入力されるとレジスタ部に保持されたデータに基づいて光源を調光する。データ書き込み部は、ロジック部にトリガー入力される前またはロジック部による光源の調光後にレジスタ部にデータを書き込む。
【0007】
レジスタ部は、パルス幅レジスタ、点灯期間レジスタ、分解能レジスタを備える。パルス幅レジスタは、光源の点灯と消灯の1サイクルに占める点灯時間のデータ、または、1サイクルに占める消灯時間のデータを保持する。点灯期間レジスタは、光源が点灯するサイクル数のデータを保持する。分解能レジスタは、光源の点灯と消灯の1サイクルあたりのクロックの数のデータを保持する。
【0008】
また、レジスタ部はクロックの周期のデータを保持する周波数レジスタを備える。さらにレジスタ部は、ロジック部を駆動させるためのトリガーのパルス幅のデータを保持したトリガー時間レジスタを備える。
【0009】
本発明の撮像装置は、上記の調光電源装置と、調光電源装置で調光される光源と、光源で発光された光の反射光を受光するカメラとを備える。光源の発光とカメラの受光は同期される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、光源への負荷が小さく、柔軟性の有る調光電源装置およびその調光電源装置を用いた撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】調光電源装置の構成を示す回路ブロック図である。
図2】基準クロックに基づいて生成された動作クロックを示す波形図である。
図3】動作クロックが異なると点灯時間が異なることを示す波形図である。
図4】トリガーの後に点灯期間が4サイクルの場合を示す波形図である。
図5】1サイクルの動作クロック数の違いを示す波形図である。
図6】光源の一例を示す回路図である。
図7】撮像装置の構成を示す模式構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態に係る調光電源装置および撮像装置について図面を参照して説明する。
【0013】
図1に示す調光電源装置10は、調光用FPGA(Field Programmable Gate Array)12によって光源14を調光する装置である。調光用FPGA12は、データを保持(記憶)するレジスタ部16、そのレジスタ部16に保持されたデータに基づいて光源14を調光するロジック部18、レジスタ部16のデータを書き換えるデータ書き込み部20を備える。
【0014】
レジスタ部16は光源14の点灯と消灯の時間、点灯周波数および点灯期間のデータを保持する回路であり、たとえば複数のフリップフロップ(flip-flop)で構成することができる。レジスタ部16はパルス幅レジスタ22、点灯期間レジスタ24、分解能レジスタ26、周波数レジスタ28を備える。それらのレジスタ22、24、26、28に保持されたデータによって、光源14の点灯と消灯の時間、点灯周波数および点灯時間が決定される。
【0015】
レジスタ部16に外部の発振回路から基準クロックが入力される。基準クロックは数十Hz~数MHzのパルス列である。レジスタ部16は基準クロックが入力されると、保持されているデータをロジック部18に出力する。ロジック部18はそのデータによって光源14を調光する。
【0016】
周波数レジスタ28で保持されるデータは動作クロックの1周期における基準クロックのクロック数(周期)である。図2に2周期の基準クロックで1周期の動作クロックaと3周期の基準クロックで1周期の動作クロックbを示している。動作クロックの1周期あたりの基準クロックのクロック数が多くなれば、動作クロックの1周期が長くなり、後に説明する1サイクルが長くなる。たとえば動作クロックa、bの4周期分を光源14の点灯時間とする調光出力a、bを図3に示す。動作クロックaの周期よりも動作クロックbの周期が長く、調光出力aの周期よりも調光出力bの周期が長くなっている。なお、調光出力a、bはロジック部18から光源ドライバ32への信号出力である。
【0017】
光源14の1回の点灯と消灯を1サイクルとする。パルス幅レジスタ22は、1サイクルあたりの点灯時間のデータを保持する。1サイクルの時間T0a、T0bと光源14の点灯時間T1a、T1bは動作クロックa、bのクロック数(周期)である。図3の調光出力a、bは、1サイクルT0a、T0bの動作クロックのクロック数が8であり、点灯時間T1a、T1bの動作クロックのクロック数が4である。なお、動作クロックaとbは共に1サイクルT0a、T0bあたりの点灯時間T1a、T1bの比率が50%であるが、実際には50%に限定されない。
【0018】
図4に示すように、1回の点灯時間T1cと消灯時間T2cを1サイクルT0cとした場合に、光源14が点灯するサイクル数を点灯期間TLcとする。点灯期間レジスタ24は、光源14の点灯期間のデータを保持する。図4の調光出力cの場合、光源14の点灯期間TLcは4サイクルである。図4の場合、光源14は点灯期間TLcの間に一定周期で4回点灯する。点灯時間T1cの合計に応じて光源14の総光量が変動する。
【0019】
分解能レジスタ26は、光源14の点灯と消灯の1サイクルT0cあたりの動作クロックのクロック数(周期)のデータを保持する。動作クロックのクロック数が多くなれば、1サイクルT0cが長くなる。図5は同じ動作クロックcでクロック数が4の場合と5の場合の調光出力c、dを示している。調光出力cのクロック数よりも調光出力dのクロック数が多く、1サイクルの長さはT0c<T0dとなっている。
【0020】
さらに、レジスタ部16はトリガー時間レジスタ30を備える。トリガー時間レジスタ30は、図4に示すように、トリガーの最小(最短)のパルス幅Tdのデータを保持する。たとえば、パルス幅Tdのデータとして基準クロックのパルス幅を用いる。ロジック部18にトリガーが入力されても、保持されたデータのパルス幅Tdよりも短いトリガーは無効にし、ロジック部18は起動しない。
【0021】
ロジック部18はトリガー入力されることで起動し、レジスタ部16から出力されたデータに基づいて光源14を調光するためのロジック回路(logic circuit)である。ロジック部18は、トリガー時間レジスタ30に記憶されたパルス幅Td以上のトリガーが入力されると起動する。パルス幅レジスタ22、点灯期間レジスタ24、分解能レジスタ26および周波数レジスタ28に格納されたデータは、基準クロックに合わせてロジック部18に出力される。ロジック部18に入力されたデータによって、光源14の点灯と消灯の時間、点灯期間および点灯周波数が決定される。なお、点灯周波数は1サイクルあたりの動作クロックのクロック数である。それらのデータを使用して、ロジック部18は光源14を調光することができる。ロジック部18はトリガーが入力されてから所望の遅延時間Tdlの後に調光する。また、調光時にデータ書き込み部20に信号を入力し、データ書き込み部20にロジック部18が調光状態であることを認識させる。
【0022】
データ書き込み部20はCPUなどの回路で構成される。データ書き込み部20はLAN等の通信手段を介してデータ更新手段である外部のコンピュータ等に接続されている。コンピュータ等からデータ書き込み部20にレジスタ部16で保持されるデータが入力される。データ書き込み部20は入力されたデータをレジスタ部16に書き込んで、保持されているデータを更新する。ロジック部18からデータ書き込み部20に信号が入力されているときは、ロジック部18が駆動しており、レジスタ部16のデータを書き換えることはしない。調光途中でデータが書き換えられて、調光内容を変更してしまう事態を防止している。
【0023】
レジスタ部16で保持されるデータが書き換えられることで、光源14を種々の方法で発光させることできる。たとえば、パルス幅変調によって光源14を発光させていたのを、パルス周波数変調になるようにデータを書き換えることができ、その逆も可能である。
【0024】
レジスタ部16、ロジック部18およびデータ書き込み部20は1つの調光用FPGA12に搭載されている。1つの調光用FPGA12にまとめられることで、回路の配線がまとめられ、構成が簡略化されている。
【0025】
光源ドライバ32は、調光用FPGA12のロジック部18からの調光データに応じて光源14に所定の電力を出力するための回路である。調光用FPGA12と光源ドライバ32は筐体34に収納されている。光源ドライバ32は出力部である端子36を介して光源14に電力供給する。
【0026】
このように、光源14は、端子36を介して調光電源装置10の光源ドライバ32に接続されており、調光電源装置10によって調光される。光源14は、図6に示すように、複数の発光ダイオードを直並列に並べた回路で構成することができる。なお、光源14は、図6の回路構成に限定されず、種々の回路構成を採用することができる。
【0027】
次に、撮像装置について説明する。図7に示すように、撮像装置38は、調光電源装置10、光源14およびカメラ40を備える。カメラ40は、CCDまたはCMOSの撮像素子を備える。光源14は、たとえば複数の発光ダイオードを中央空間44が存在するようにリング状に並べたものを使用し、被照射物42に光L1を照射する。これによる反射光L2は、中央空間44を通過し、カメラ40の撮像素子で受光される。カメラ40の受光のタイミングと光源14の発光のタイミングが同期するように、ロジック部18にトリガーを入力するための装置とカメラ40の撮影を制御する装置を同一の制御装置、たとえば同一のコンピュータ46またはPLCであってもよい。コンピュータ46またはPLCが光源14の発光とカメラ40の撮影が同期するように調光電源装置10にトリガーを出力し、カメラ40に撮影を制御する信号を出力する。
【0028】
コンピュータ46は、カメラ40の受光素子で受光された光量に応じて画像データを作成し、作成された画像データを画像処理してもよい。画像処理によって、被照射物42の形状、色、傷などの外観を検査する。検査はコンピュータ46に画像処理プログラムを記憶させておき、その画像処理プログラムで行ってもよい。
【0029】
被照射物42が載置されている台48はコンベヤにして、移送されている被照射物42に対して光源14から光L1を照射し、カメラ38で受光してもよい。
【0030】
以上のように、調光電源装置10は、光源14の点灯と消灯のデューティー比、点灯周波数、点灯期間を制御できる。本実施形態の調光出力はパルス幅変調とパルス周波数変調の少なくともいずれかされた信号になっている。カメラ40の露光時間(受光時間)に光源14が点灯されるように調光することができ、カメラ40の露光に必要な光量を得ることができる。消灯時間を設けていることで、光源14への負担が小さく、低消費電力になる。カメラ40の露光に合わせて光源14の点灯時間を調整できるため、調光電源装置10を種々のカメラ40に柔軟に適合できる。
【0031】
以上、一実施形態を説明したが本願は上記の実施形態に限定されるものではない。たとえば、パルス幅レジスタ22は、光源14の点灯と消灯の1サイクルに占める点灯時間のデータではなく、1サイクルに占める消灯時間のデータを保持してもよい。消灯時間は動作クロックのクロック数であり、図3の調光出力a、bの場合、消灯時間T2a、T2bの動作クロックのクロック数は4である。
【0032】
点灯周波数は1サイクルあたりの動作クロックのクロック数としたが、1動作クロック当たりの基本クロック数がわかっているため、1サイクルあたりの基本クロック数であってもよい。
【0033】
上記の実施形態において基準クロックと動作クロックが同一周期になり、動作クロックの周期を変更しないのであれば、図1の周波数レジスタ28を省略してもよい。また、パルス幅レジスタ22、点灯期間レジスタ24、分解能レジスタ26で光源14の点灯と消灯の時間、点灯周波数および点灯期間を変更するのであれば、周波数レジスタ28を省略することが可能である。
【0034】
光源14は発光ダイオードをリング状に並べた構成に限定されない。光源14は発光ダイオードをライン状に並べてもよいし、四角形や三角形などの所定の形状になるように並べてもよい。
【0035】
カメラ40の撮像素子は、方形のCCDまたはCMOSに限定されず、ライン状に受光ダイオードを並べたラインセンサであってもよい。カメラ40の撮像素子はカラー画像または白黒画像のいずれを生成できるものであってもよい。コンピュータ46で画像データを生成せず、カメラ40の画像エンジンで画像データを生成してもよい。
【0036】
調光電源装置10とカメラ40を組み合わせず、調光電源装置10を単に光源14を調光するだけの装置として使用してもよい。
【0037】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
【符号の説明】
【0038】
10:調光電源装置
12:調光FPGA
14:光源
16:レジスタ部
18:ロジック部
20:データ書き込み部
22:パルス幅レジスタ
24:点灯期間レジスタ
26:分解能レジスタ
28:周波数レジスタ
30:トリガー時間レジスタ
32:光源ドライバ
34:筐体
36:端子
38:撮像装置
40:カメラ
42:被照射物
44:リング状の光源の中央空間
46:コンピュータ
48:載置台
T0a、T0b、T0c、T0d:1サイクル
T1a、T1b、T1c:点灯時間
T2a、T2b、T2c:消灯時間
TLc:点灯期間
Td:トリガーのパルス幅
Tdl:遅延時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7