IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オリヅルセラピューティクス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-複素環化合物 図1
  • 特許-複素環化合物 図2
  • 特許-複素環化合物 図3
  • 特許-複素環化合物 図4
  • 特許-複素環化合物 図5
  • 特許-複素環化合物 図6
  • 特許-複素環化合物 図7
  • 特許-複素環化合物 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-06
(45)【発行日】2023-04-14
(54)【発明の名称】複素環化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20230407BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20230407BHJP
   C07D 403/04 20060101ALI20230407BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20230407BHJP
   A61K 31/4184 20060101ALI20230407BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20230407BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20230407BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20230407BHJP
   C07D 417/14 20060101ALI20230407BHJP
   C07D 409/14 20060101ALI20230407BHJP
   C07D 413/14 20060101ALI20230407BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20230407BHJP
   C12N 5/077 20100101ALI20230407BHJP
   C12N 5/10 20060101ALN20230407BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20230407BHJP
【FI】
C07D401/14 CSP
A61P9/04
C07D403/04
A61K31/454
A61K31/4184
A61K31/5377
A61K31/4545
C07D405/14
C07D417/14
C07D409/14
C07D413/14
A61K31/496
C12N5/077 ZNA
C12N5/10
C12N15/12
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020509307
(86)(22)【出願日】2019-03-28
(86)【国際出願番号】 JP2019013529
(87)【国際公開番号】W WO2019189553
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】P 2018069872
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】521442589
【氏名又は名称】オリヅルセラピューティクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(72)【発明者】
【氏名】吉田 善紀
(72)【発明者】
【氏名】三木 健嗣
(72)【発明者】
【氏名】海江田 啓
(72)【発明者】
【氏名】近藤 滋
(72)【発明者】
【氏名】奈良 洋
(72)【発明者】
【氏名】池浦 義典
【審査官】宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-521571(JP,A)
【文献】特開2017-060422(JP,A)
【文献】特開平04-346978(JP,A)
【文献】国際公開第2015/182765(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/026491(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D、C12N
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
環Aおよび環Bは、それぞれ独立して、さらに置換されていてもよいベンゼン環を示し、
環Cは、
(1) ハロゲン原子、
(2) ニトロ基、
(3) シアノ基、
(4) アミノ基、
(5) ヒドロキシ基、および
(6) ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基
から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル基でさらに置換されていてもよいイミダゾール環を示し、
Lは、結合手または置換されていてもよいメチレン基を示し、
は、水素原子または置換基を示し、
環Dは、さらに置換されていてもよい環を示す。]
で表される化合物またはその塩。
【請求項2】
式(I)中、
環Aが、ベンゼン環であり;
環Bが、ベンゼン環であり;
環Cが、C1-6アルキル基でさらに置換されていてもよいイミダゾール環であり;
Lが、結合手またはメチレン基であり;
が、
(1) 水素原子、
(2) ハロゲン原子、
(3) モノ-またはジ-C1-6アルキルアミノ基、
(4) 5ないし14員芳香族複素環基、または
(5) 1ないし3個のC1-6アルキル基で置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環基
であり;かつ
環Dが、
(1)(a) ハロゲン原子、
(b) ヒドロキシ基、
(c) 1~3個のC1-6アルコキシ基で置換されていてもよいC1-6アルキル基、
(d)(i) カルボキシ基、
(ii) C1-6アルコキシ-カルボニル基、
(iii) C7-16アラルキルオキシ-カルボニル基、
(iv)(I)(A) C3-10シクロアルキル基、
(B) C6-14アリール基、
(C) 1ないし3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC6-14アリールアミノ基、
(D) 5ないし14員芳香族複素環基、
(E) 3ないし14員非芳香族複素環基、および
(F) C1-6アルキル基およびC7-16アラルキル基から選ばれる置換基でモノ-またはジ-置換されていてもよいカルバモイル基
から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル基、
(II) 1ないし3個のC6-14アリール基で置換されていてもよいC2-6アルケニル基、
(III) 1~3個のC1-6アルキル基で置換されていてもよいC3-10シクロアルキル基、
(IV)(A) ハロゲン原子、および
(B) C1-6アルキル基
から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよいC6-14アリール基、
(V) C7-16アラルキル基、
(VI) 5ないし14員芳香族複素環基、および
(VII) 3ないし14員非芳香族複素環基
から選ばれる置換基でモノ-またはジ-置換されていてもよいカルバモイル基、および
(v)(I) ヒドロキシ基、および
(II) C1-6アルキル基
から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基
から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、および
(e) C7-16アラルキルオキシ基
から選ばれる1~3個の置換基でさらに置換されていてもよいベンゼン環、
(2) シクロヘキサン環、
(3) ピリジン環、
(4) イソオキサゾール環、
(5) チオフェン環、
(6) 1~3個のC1-6アルコキシ-カルボニル基でさらに置換されていてもよいピペリジン環、または
(7) テトラヒドロピラン環
である、
請求項1に記載の化合物またはその塩。
【請求項3】
環Aが、ベンゼン環であり;
環Bが、ベンゼン環であり;
環Cが、イミダゾール環であり;
Lが、結合手であり;
が、3ないし8員単環式非芳香族複素環基であり;かつ
環Dが、
(1)(a) ハロゲン原子、
(b) ヒドロキシ基、および
(c) 9ないし14員縮合多環式非芳香族複素環基でモノ-またはジ-置換されていてもよいカルバモイル基で置換されていてもよいC 1-6 アルコキシ基
から選ばれる1~3個の置換基でさらに置換されていてもよいベンゼン環、または
(2) ピリジン環
である、
請求項1に記載の化合物またはその塩。
【請求項4】
環Aが、ベンゼン環であり;
環Bが、ベンゼン環であり;
環Cが、イミダゾール環であり;
Lが、結合手であり;
が、3ないし8員単環式非芳香族環状アミノ基であり;かつ
環Dが、
(a) ハロゲン原子、および
(b) 9ないし14員縮合多環式非芳香族複素環基でモノ-置換されたカルバモイル基で置換されたC 1-6 アルコキシ基
から選ばれる1個の置換基でさらに置換されたベンゼン環である、
請求項1に記載の化合物またはその塩。
【請求項5】
N-(1,1-ジオキシド-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾチオフェン-5-イル)-2-(4-(5-(1-オキソ-5-(ピペリジン-1-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)フェノキシ)アセトアミド、またはその塩。
【請求項6】
2-(2-(4-ブロモフェニル)-1H-ベンゾイミダゾール-5-イル)-5-(モルホリン-4-イル)イソインドリン-1-オン、またはその塩。
【請求項7】
5-(ピペリジン-1-イル)-2-(2-(ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-5-イル)イソインドリン-1-オン、またはその塩。
【請求項8】
5-(ピペリジン-1-イル)-2-(2-(ピリジン-4-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-5-イル)イソインドリン-1-オン、またはその塩。
【請求項9】
2-(2-(4-ヒドロキシフェニル)-1H-ベンゾイミダゾール-5-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)イソインドリン-1-オン、またはその塩。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の化合物またはその塩を含有してなる心筋細胞成熟促進剤。
【請求項11】
未成熟心筋細胞を請求項1~9のいずれかに記載の化合物またはその塩の存在下で培養する工程を含む、成熟心筋細胞の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複素環化合物、特に心筋細胞成熟促進化作用を有する複素環化合物、及び成熟心筋細胞の製造方法に関する。
【0002】
(発明の背景)
心臓疾患は世界の死因1位であり、重症心不全患者においては心移植が現在唯一の治療法であるが、心移植はドナー不足という問題を抱えている。心移植に代わる治療法として、多能性幹細胞(例、iPS細胞(人工多能性幹細胞)、ES細胞(胚性幹細胞)等)由来の心筋細胞移植が有望視されており、早急な実現化が望まれている。 また、薬剤の毒性試験や心疾患モデル研究細胞としても多能性幹細胞(例、iPS細胞、ES細胞等)由来の心筋細胞が必要とされている。
iPS細胞由来の成熟心筋細胞を再生医療に応用するためには、効率性と安全性向上が必須である。効率性については、成熟を誘導できる心筋細胞の数が少ないことや、培養液中の増殖因子などのタンパク質が非常に高価でコスト効率が悪いという問題がある。安全性については、心筋細胞の純度が低く、心筋以外の増殖性細胞が混入するため癌化リスクがあることが問題となる。
また心筋細胞を用いた薬剤の毒性試験や心疾患モデル研究を行うためには、生体内の心筋細胞を十分に模倣した成熟心筋細胞を大量に集める必要がある。心筋細胞は、出生と同時にその分裂能を喪失し、その再生が極めて困難であるという性質を有するため、大量の心筋細胞を得るために、多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する研究が多数行われてきた(特許文献1、特許文献2、非特許文献1、非特許文献2および非特許文献3)。
しかし、ヒト多能性幹細胞由来心筋細胞は一般的に胎児性心筋細胞に類似した未成熟な段階に留まり、成人心筋細胞と比べてイオンチャネル機能が不十分であると言われており、イオンチャンネルに関する薬物毒性や治療薬をスクリーニングするためには、成熟した心筋細胞を用いて行う必要がある。
従って、心筋細胞移植および薬物毒性や治療薬のスクリーニングに用いる細胞として成熟した心筋細胞およびその製造方法が求められている。
【0003】
一方、特許文献3には、心疾患、肺疾患、中枢神経系障害(例、アルツハイマー病、虚血性疾患)の治療に有用なベンズイミダゾール誘導体として、以下の式
【0004】
【化1】
【0005】
(式中の各記号は文献に記載された通りである。)
で表される化合物が報告されている。
【0006】
未成熟な心筋細胞であっても長期間(例えば、1年以上)培養することで、成熟した心筋細胞を得ることは可能であるが、成熟心筋細胞の商用製法としては、時間がかかり過ぎ、高価な培地や培地添加物の費用も嵩む。
したがって、現在、安価で短期間に効率よく高純度の成熟した心筋細胞を得ることができる心筋細胞成熟促進化作用を有する低分子化合物の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】WO2007/002136
【文献】WO2009/118928
【文献】DE4212748
【非特許文献】
【0008】
【文献】Yan P, et al, Biochem Biophys Res Commun. 379:115-20 (2009)
【文献】Laflamme MA, et al, Nat Biotechnol, 25:1015-1024 (2007)
【文献】Yang L et al, Nature, 453:524-528 (2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、安価で短期間に効率よく高純度の成熟した心筋細胞を得ることができる、心筋細胞成熟促進化作用を有する低分子化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、下記の式(I)で表される化合物またはその塩(本明細書中、化合物(I)と称する場合がある。)が、心筋細胞成熟促進化作用を有することを見出し、更なる研究の結果、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、以下の通りである。
[1] 式(I):
【0012】
【化2】
【0013】
[式中、
環Aおよび環Bは、それぞれ独立して、さらに置換されていてもよいベンゼン環を示し、
環Cは、
(1) ハロゲン原子、
(2) ニトロ基、
(3) シアノ基、
(4) アミノ基、
(5) ヒドロキシ基、および
(6) ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基
から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル基でさらに置換されていてもよいイミダゾール環を示し、
Lは、結合手または置換されていてもよいメチレン基を示し、
は、水素原子または置換基を示し、
環Dは、さらに置換されていてもよい環を示す。]
で表される化合物またはその塩(以下、化合物(I)と称する)。
【0014】
[2] 式(I)中、
環Aが、ベンゼン環であり;
環Bが、ベンゼン環であり;
環Cが、C1-6アルキル基でさらに置換されていてもよいイミダゾール環であり;
Lが、結合手またはメチレン基であり;
が、
(1) 水素原子、
(2) ハロゲン原子、
(3) モノ-またはジ-C1-6アルキルアミノ基、
(4) 5ないし14員芳香族複素環基、または
(5) 1ないし3個のC1-6アルキル基で置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環基
であり;かつ
環Dが、
(1)(a) ハロゲン原子、
(b) ヒドロキシ基、
(c) 1~3個のC1-6アルコキシ基で置換されていてもよいC1-6アルキル基、
(d)(i) カルボキシ基、
(ii) C1-6アルコキシ-カルボニル基、
(iii) C7-16アラルキルオキシ-カルボニル基、
(iv)(I)(A) C3-10シクロアルキル基、
(B) C6-14アリール基、
(C) 1ないし3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC6-14アリールアミノ基、
(D) 5ないし14員芳香族複素環基、
(E) 3ないし14員非芳香族複素環基、および
(F) C1-6アルキル基およびC7-16アラルキル基から選ばれる置換基でモノ-またはジ-置換されていてもよいカルバモイル基
から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル基、
(II) 1ないし3個のC6-14アリール基で置換されていてもよいC2-6アルケニル基、
(III) 1~3個のC1-6アルキル基で置換されていてもよいC3-10シクロアルキル基、
(IV)(A) ハロゲン原子、および
(B) C1-6アルキル基
から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよいC6-14アリール基、
(V) C7-16アラルキル基、
(VI) 5ないし14員芳香族複素環基、および
(VII) 3ないし14員非芳香族複素環基
から選ばれる置換基でモノ-またはジ-置換されていてもよいカルバモイル基、および
(v)(I) ヒドロキシ基、および
(II) C1-6アルキル基
から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基
から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、および
(e) C7-16アラルキルオキシ基
から選ばれる1~3個の置換基でさらに置換されていてもよいベンゼン環、
(2) シクロヘキサン環、
(3) ピリジン環、
(4) イソオキサゾール環、
(5) チオフェン環、
(6) 1~3個のC1-6アルコキシ-カルボニル基でさらに置換されていてもよいピペリジン環、または
(7) テトラヒドロピラン環
である、
上記[1]に記載の化合物またはその塩。
【0015】
[3] N-(1,1-ジオキシド-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾチオフェン-5-イル)-2-(4-(5-(1-オキソ-5-(ピペリジン-1-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)フェノキシ)アセトアミド、またはその塩。
[4] 2-(2-(4-ブロモフェニル)-1H-ベンゾイミダゾール-5-イル)-5-(モルホリン-4-イル)イソインドリン-1-オン、またはその塩。
[5] 5-(ピペリジン-1-イル)-2-(2-(ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-5-イル)イソインドリン-1-オン、またはその塩。
[6] 5-(ピペリジン-1-イル)-2-(2-(ピリジン-4-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-5-イル)イソインドリン-1-オン、またはその塩。
[7] 2-(2-(4-ヒドロキシフェニル)-1H-ベンゾイミダゾール-5-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)イソインドリン-1-オン、またはその塩。
【0016】
[8] 上記[1]に記載の化合物またはその塩を含有してなる心筋細胞成熟促進剤。
[9] 未成熟心筋細胞を上記[1]に記載の化合物またはその塩の存在下で培養する工程を含む、成熟心筋細胞の製造方法。
[10] 上記[9]に記載の方法で得られた成熟心筋細胞。
【発明の効果】
【0017】
上記化合物(I)は、心筋細胞を成熟させる作用を有し、心筋細胞成熟促進剤として有用である。上記化合物を用いる心筋細胞成熟促進化方法は、未成熟心筋細胞を長期間培養する方法と比較して、安価に短期間で未成熟心筋細胞を成熟させる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、試験例2における、フローサイトメーターによるmCherryの発現解析(コントロール(添加なし))の結果を示す図である。
図2図2は、試験例2における、フローサイトメーターによるmCherryの発現解析(コントロール(DMSO添加))の結果を示す図である。
図3図3は、試験例2における、フローサイトメーターによるmCherryの発現解析(実施例8の化合物の添加)の結果を示す図である。
図4図4は、試験例2における、フローサイトメーターによるmCherryの発現解析(実施例46の化合物の添加)の結果を示す図である。
図5図5は、試験例2における、フローサイトメーターによるmCherryの発現解析(実施例45の化合物の添加)の結果を示す図である。
図6図6は、試験例2における、フローサイトメーターによるmCherryの発現解析(実施例4の化合物の添加)の結果を示す図である。
図7図7は、試験例2における、フローサイトメーターによるmCherryの発現解析(実施例17の化合物の添加)の結果を示す図である。
図8図8は、試験例3における、フローサイトメーターによるmCherryの発現解析の結果を示す図である。上から順に、コントロール(添加なし)、コントロール(DMSO添加)、実施例8の化合物および化合物Aの添加(実施例8: 8-9日, 化合物A: 10-15日)、実施例8の化合物および化合物Aの添加(実施例8: 8-15 日, 化合物A: 10-15 日)の場合の結果を示す。
【0019】
(発明の詳細な説明)
以下、本明細書中で用いられる各置換基の定義について詳述する。特記しない限り各置換基は以下の定義を有する。
本明細書中、「ハロゲン原子」としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
本明細書中、「C1-6アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1-エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチルが挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル基」としては、例えば、1ないし7個、好ましくは1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC1-6アルキル基が挙げられる。具体例としては、メチル、クロロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、エチル、2-ブロモエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、テトラフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、プロピル、2,2―ジフルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、イソプロピル、ブチル、4,4,4-トリフルオロブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、5,5,5-トリフルオロペンチル、ヘキシル、6,6,6-トリフルオロヘキシルが挙げられる。
本明細書中、「C2-6アルケニル基」としては、例えば、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、3-メチル-2-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、4-メチル-3-ペンテニル、1-ヘキセニル、3-ヘキセニル、5-ヘキセニルが挙げられる。
本明細書中、「C2-6アルキニル基」としては、例えば、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、4-ペンチニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、4-ヘキシニル、5-ヘキシニル、4-メチル-2-ペンチニルが挙げられる。
本明細書中、「C3-10シクロアルキル基」としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、アダマンチルが挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC3-10シクロアルキル基」としては、例えば、1ないし7個、好ましくは1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC3-10シクロアルキル基が挙げられる。具体例としては、シクロプロピル、2,2-ジフルオロシクロプロピル、2,3-ジフルオロシクロプロピル、シクロブチル、ジフルオロシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルが挙げられる。
本明細書中、「C3-10シクロアルケニル基」としては、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニルが挙げられる。
本明細書中、「C6-14アリール基」としては、例えば、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリルが挙げられる。
本明細書中、「C7-16アラルキル基」としては、例えば、ベンジル、フェネチル、ナフチルメチル、フェニルプロピルが挙げられる。
【0020】
本明細書中、「C1-6アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシが挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基」としては、例えば、1ないし7個、好ましくは1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC1-6アルコキシ基が挙げられる。具体例としては、メトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、4,4,4-トリフルオロブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシが挙げられる。
本明細書中、「C3-10シクロアルキルオキシ基」としては、例えば、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ、シクロオクチルオキシが挙げられる。
本明細書中、「C1-6アルキルチオ基」としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオが挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルチオ基」としては、例えば、1ないし7個、好ましくは1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC1-6アルキルチオ基が挙げられる。具体例としては、メチルチオ、ジフルオロメチルチオ、トリフルオロメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、4,4,4-トリフルオロブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオが挙げられる。
本明細書中、「C1-6アルキル-カルボニル基」としては、例えば、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、2-メチルプロパノイル、ペンタノイル、3-メチルブタノイル、2-メチルブタノイル、2,2-ジメチルプロパノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイルが挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル-カルボニル基」としては、例えば、1ないし7個、好ましくは1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC1-6アルキル-カルボニル基が挙げられる。具体例としては、アセチル、クロロアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、プロパノイル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイルが挙げられる。
本明細書中、「C1-6アルコキシ-カルボニル基」としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec-ブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニルが挙げられる。
本明細書中、「C6-14アリール-カルボニル基」としては、例えば、ベンゾイル、1-ナフトイル、2-ナフトイルが挙げられる。
本明細書中、「C7-16アラルキル-カルボニル基」としては、例えば、フェニルアセチル、フェニルプロピオニルが挙げられる。
本明細書中、「5ないし14員芳香族複素環カルボニル基」としては、例えば、ニコチノイル、イソニコチノイル、テノイル、フロイルが挙げられる。
本明細書中、「3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基」としては、例えば、モルホリニルカルボニル、ピペリジニルカルボニル、ピロリジニルカルボニルが挙げられる。
【0021】
本明細書中、「モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基」としては、例えば、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、N-エチル-N-メチルカルバモイルが挙げられる。
本明細書中、「モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基」としては、例えば、ベンジルカルバモイル、フェネチルカルバモイルが挙げられる。
本明細書中、「C1-6アルキルスルホニル基」としては、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、sec-ブチルスルホニル、tert-ブチルスルホニルが挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルスルホニル基」としては、例えば、1ないし7個、好ましくは1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC1-6アルキルスルホニル基が挙げられる。具体例としては、メチルスルホニル、ジフルオロメチルスルホニル、トリフルオロメチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、4,4,4-トリフルオロブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、ヘキシルスルホニルが挙げられる。
本明細書中、「C6-14アリールスルホニル基」としては、例えば、フェニルスルホニル、1-ナフチルスルホニル、2-ナフチルスルホニルが挙げられる。
【0022】
本明細書中、「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基、アシル基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいカルバモイル基、置換されていてもよいチオカルバモイル基、置換されていてもよいスルファモイル基、置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいスルファニル(SH)基、置換されていてもよいシリル基が挙げられる。
本明細書中、「炭化水素基」(「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」を含む)としては、例えば、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10シクロアルケニル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基が挙げられる。
【0023】
本明細書中、「置換されていてもよい炭化水素基」としては、例えば、下記の置換基群Aから選ばれる置換基を有していてもよい炭化水素基が挙げられる。
[置換基群A]
(1)ハロゲン原子、
(2)ニトロ基、
(3)シアノ基、
(4)オキソ基、
(5)ヒドロキシ基、
(6)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基、
(7)C6-14アリールオキシ基(例、フェノキシ、ナフトキシ)、
(8)C7-16アラルキルオキシ基(例、ベンジルオキシ)、
(9)5ないし14員芳香族複素環オキシ基(例、ピリジルオキシ)、
(10)3ないし14員非芳香族複素環オキシ基(例、モルホリニルオキシ、ピペリジニルオキシ)、
(11)C1-6アルキル-カルボニルオキシ基(例、アセトキシ、プロパノイルオキシ)、
(12)C6-14アリール-カルボニルオキシ基(例、ベンゾイルオキシ、1-ナフトイルオキシ、2-ナフトイルオキシ)、
(13)C1-6アルコキシ-カルボニルオキシ基(例、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、プロポキシカルボニルオキシ、ブトキシカルボニルオキシ)、
(14)モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイルオキシ基(例、メチルカルバモイルオキシ、エチルカルバモイルオキシ、ジメチルカルバモイルオキシ、ジエチルカルバモイルオキシ)、
(15)C6-14アリール-カルバモイルオキシ基(例、フェニルカルバモイルオキシ、ナフチルカルバモイルオキシ)、
(16)5ないし14員芳香族複素環カルボニルオキシ基(例、ニコチノイルオキシ)、
(17)3ないし14員非芳香族複素環カルボニルオキシ基(例、モルホリニルカルボニルオキシ、ピペリジニルカルボニルオキシ)、
(18)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルスルホニルオキシ基(例、メチルスルホニルオキシ、トリフルオロメチルスルホニルオキシ)、
(19)C1-6アルキル基で置換されていてもよいC6-14アリールスルホニルオキシ基(例、フェニルスルホニルオキシ、トルエンスルホニルオキシ)、
(20)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルチオ基、
(21)5ないし14員芳香族複素環基、
(22)3ないし14員非芳香族複素環基、
(23)ホルミル基、
(24)カルボキシ基、
(25)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル-カルボニル基、
(26)C6-14アリール-カルボニル基、
(27)5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、
(28)3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、
(29)C1-6アルコキシ-カルボニル基、
(30)C6-14アリールオキシ-カルボニル基(例、フェニルオキシカルボニル、1-ナフチルオキシカルボニル、2-ナフチルオキシカルボニル)、
(31)C7-16アラルキルオキシ-カルボニル基(例、ベンジルオキシカルボニル、フェネチルオキシカルボニル)、
(32)カルバモイル基、
(33)チオカルバモイル基、
(34)モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、
(35)C6-14アリール-カルバモイル基(例、フェニルカルバモイル)、
(36)5ないし14員芳香族複素環カルバモイル基(例、ピリジルカルバモイル、チエニルカルバモイル)、
(37)3ないし14員非芳香族複素環カルバモイル基(例、モルホリニルカルバモイル、ピペリジニルカルバモイル)、
(38)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルスルホニル基、
(39)C6-14アリールスルホニル基、
(40)5ないし14員芳香族複素環スルホニル基(例、ピリジルスルホニル、チエニルスルホニル)、
(41)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルスルフィニル基、
(42)C6-14アリールスルフィニル基(例、フェニルスルフィニル、1-ナフチルスルフィニル、2-ナフチルスルフィニル)、
(43)5ないし14員芳香族複素環スルフィニル基(例、ピリジルスルフィニル、チエニルスルフィニル)、
(44)アミノ基、
(45)モノ-またはジ-C1-6アルキルアミノ基(例、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、N-エチル-N-メチルアミノ)、
(46)モノ-またはジ-C6-14アリールアミノ基(例、フェニルアミノ)、
(47)5ないし14員芳香族複素環アミノ基(例、ピリジルアミノ)、
(48)C7-16アラルキルアミノ基(例、ベンジルアミノ)、
(49)ホルミルアミノ基、
(50)C1-6アルキル-カルボニルアミノ基(例、アセチルアミノ、プロパノイルアミノ、ブタノイルアミノ)、
(51)(C1-6アルキル)(C1-6アルキル-カルボニル)アミノ基(例、N-アセチル-N-メチルアミノ)、
(52)C6-14アリール-カルボニルアミノ基(例、フェニルカルボニルアミノ、ナフチルカルボニルアミノ)、
(53)C1-6アルコキシ-カルボニルアミノ基(例、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、プロポキシカルボニルアミノ、ブトキシカルボニルアミノ、tert-ブトキシカルボニルアミノ)、
(54)C7-16アラルキルオキシ-カルボニルアミノ基(例、ベンジルオキシカルボニルアミノ)、
(55)C1-6アルキルスルホニルアミノ基(例、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ)、
(56)C1-6アルキル基で置換されていてもよいC6-14アリールスルホニルアミノ基(例、フェニルスルホニルアミノ、トルエンスルホニルアミノ)、
(57)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル基、
(58)C2-6アルケニル基、
(59)C2-6アルキニル基、
(60)C3-10シクロアルキル基、
(61)C3-10シクロアルケニル基、及び
(62)C6-14アリール基。
【0024】
「置換されていてもよい炭化水素基」における上記置換基の数は、例えば、1ないし5個、好ましくは1ないし3個である。置換基数が2個以上の場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
本明細書中、「複素環基」(「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」を含む)としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子をそれぞれ含有する、(i)芳香族複素環基、(ii)非芳香族複素環基および(iii)7ないし10員複素架橋環基が挙げられる。
【0025】
本明細書中、「芳香族複素環基」(「5ないし14員芳香族複素環基」を含む)としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子を含有する5ないし14員(好ましくは5ないし10員)の芳香族複素環基が挙げられる。
該「芳香族複素環基」の好適な例としては、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニルなどの5ないし6員単環式芳香族複素環基;
ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、イミダゾピリジニル、チエノピリジニル、フロピリジニル、ピロロピリジニル、ピラゾロピリジニル、オキサゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、イミダゾピラジニル、イミダゾピリミジニル、チエノピリミジニル、フロピリミジニル、ピロロピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、オキサゾロピリミジニル、チアゾロピリミジニル、ピラゾロトリアジニル、ナフト[2,3-b]チエニル、フェノキサチイニル、インドリル、イソインドリル、1H-インダゾリル、プリニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、カルバゾリル、β-カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニルなどの8ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)芳香族複素環基が挙げられる。
【0026】
本明細書中、「非芳香族複素環基」(「3ないし14員非芳香族複素環基」を含む)としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子を含有する3ないし14員(好ましくは4ないし10員)の非芳香族複素環基が挙げられる。
該「非芳香族複素環基」の好適な例としては、アジリジニル、オキシラニル、チイラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロフラニル、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、テトラヒドロイソチアゾリル、テトラヒドロオキサゾリル、テトラヒドロイソオキサゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピリジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロチオピラニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロピリダジニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、アゼパニル、ジアゼパニル、アゼピニル、オキセパニル、アゾカニル、ジアゾカニルなどの3ないし8員単環式非芳香族複素環基;
ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロベンゾチアゾリル、ジヒドロベンゾイソチアゾリル、ジヒドロナフト[2,3-b]チエニル、テトラヒドロイソキノリル、テトラヒドロキノリル、4H-キノリジニル、インドリニル、イソインドリニル、テトラヒドロチエノ[2,3-c]ピリジニル、テトラヒドロベンゾアゼピニル、テトラヒドロキノキサリニル、テトラヒドロフェナントリジニル、ヘキサヒドロフェノチアジニル、ヘキサヒドロフェノキサジニル、テトラヒドロフタラジニル、テトラヒドロナフチリジニル、テトラヒドロキナゾリニル、テトラヒドロシンノリニル、テトラヒドロカルバゾリル、テトラヒドロ-β-カルボリニル、テトラヒドロアクリジニル、テトラヒドロフェナジニル、テトラヒドロチオキサンテニル、オクタヒドロイソキノリルなどの9ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)非芳香族複素環基が挙げられる。
【0027】
本明細書中、「7ないし10員複素架橋環基」の好適な例としては、キヌクリジニル、7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタニルが挙げられる。
本明細書中、「含窒素複素環基」としては、「複素環基」のうち、環構成原子として少なくとも1個以上の窒素原子を含有するものが挙げられる。
本明細書中、「置換されていてもよい複素環基」としては、例えば、前記した置換基群Aから選ばれる置換基を有していてもよい複素環基が挙げられる。
「置換されていてもよい複素環基」における置換基の数は、例えば、1ないし3個である。置換基数が2個以上の場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0028】
本明細書中、「アシル基」としては、例えば、「ハロゲン原子、ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基およびカルバモイル基から選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10シクロアルケニル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、5ないし14員芳香族複素環基および3ないし14員非芳香族複素環基から選ばれる1または2個の置換基」をそれぞれ有していてもよい、ホルミル基、カルボキシ基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、スルフィノ基、スルホ基、スルファモイル基、ホスホノ基が挙げられる。
また、「アシル基」としては、炭化水素-スルホニル基、複素環-スルホニル基、炭化水素-スルフィニル基、複素環-スルフィニル基も挙げられる。
ここで、炭化水素-スルホニル基とは、炭化水素基が結合したスルホニル基を、複素環-スルホニル基とは、複素環基が結合したスルホニル基を、炭化水素-スルフィニル基とは、炭化水素基が結合したスルフィニル基を、複素環-スルフィニル基とは、複素環基が結合したスルフィニル基を、それぞれ意味する。
「アシル基」の好適な例としては、ホルミル基、カルボキシ基、C1-6アルキル-カルボニル基、C2-6アルケニル-カルボニル基(例、クロトノイル)、C3-10シクロアルキル-カルボニル基(例、シクロブタンカルボニル、シクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル、シクロヘプタンカルボニル)、C3-10シクロアルケニル-カルボニル基(例、2-シクロヘキセンカルボニル)、C6-14アリール-カルボニル基、C7-16アラルキル-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、C6-14アリールオキシ-カルボニル基(例、フェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル)、C7-16アラルキルオキシ-カルボニル基(例、ベンジルオキシカルボニル、フェネチルオキシカルボニル)、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、モノ-またはジ-C2-6アルケニル-カルバモイル基(例、ジアリルカルバモイル)、モノ-またはジ-C3-10シクロアルキル-カルバモイル基(例、シクロプロピルカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-カルバモイル基(例、フェニルカルバモイル)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基、5ないし14員芳香族複素環カルバモイル基(例、ピリジルカルバモイル)、チオカルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-チオカルバモイル基(例、メチルチオカルバモイル、N-エチル-N-メチルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C2-6アルケニル-チオカルバモイル基(例、ジアリルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C3-10シクロアルキル-チオカルバモイル基(例、シクロプロピルチオカルバモイル、シクロヘキシルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-チオカルバモイル基(例、フェニルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-チオカルバモイル基(例、ベンジルチオカルバモイル、フェネチルチオカルバモイル)、5ないし14員芳香族複素環チオカルバモイル基(例、ピリジルチオカルバモイル)、スルフィノ基、C1-6アルキルスルフィニル基(例、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル)、スルホ基、C1-6アルキルスルホニル基、C6-14アリールスルホニル基、ホスホノ基、モノ-またはジ-C1-6アルキルホスホノ基(例、ジメチルホスホノ、ジエチルホスホノ、ジイソプロピルホスホノ、ジブチルホスホノ)が挙げられる。
【0029】
本明細書中、「置換されていてもよいアミノ基」としては、例えば、「置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基、C7-16アラルキル-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基、C1-6アルキルスルホニル基およびC6-14アリールスルホニル基から選ばれる1または2個の置換基」を有していてもよいアミノ基が挙げられる。
置換されていてもよいアミノ基の好適な例としては、アミノ基、モノ-またはジ-(ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル)アミノ基(例、メチルアミノ、トリフルオロメチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、プロピルアミノ、ジブチルアミノ)、モノ-またはジ-C2-6アルケニルアミノ基(例、ジアリルアミノ)、モノ-またはジ-C3-10シクロアルキルアミノ基(例、シクロプロピルアミノ、シクロヘキシルアミノ)、モノ-またはジ-C6-14アリールアミノ基(例、フェニルアミノ)、モノ-またはジ-C7-16アラルキルアミノ基(例、ベンジルアミノ、ジベンジルアミノ)、モノ-またはジ-(ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル)-カルボニルアミノ基(例、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ)、モノ-またはジ-C6-14アリール-カルボニルアミノ基(例、ベンゾイルアミノ)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルボニルアミノ基(例、ベンジルカルボニルアミノ)、モノ-またはジ-5ないし14員芳香族複素環カルボニルアミノ基(例、ニコチノイルアミノ、イソニコチノイルアミノ)、モノ-またはジ-3ないし14員非芳香族複素環カルボニルアミノ基(例、ピペリジニルカルボニルアミノ)、モノ-またはジ-C1-6アルコキシ-カルボニルアミノ基(例、tert-ブトキシカルボニルアミノ)、5ないし14員芳香族複素環アミノ基(例、ピリジルアミノ)、カルバモイルアミノ基、(モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル)アミノ基(例、メチルカルバモイルアミノ)、(モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル)アミノ基(例、ベンジルカルバモイルアミノ)、C1-6アルキルスルホニルアミノ基(例、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ)、C6-14アリールスルホニルアミノ基(例、フェニルスルホニルアミノ)、(C1-6アルキル)(C1-6アルキル-カルボニル)アミノ基(例、N-アセチル-N-メチルアミノ)、(C1-6アルキル)(C6-14アリール-カルボニル)アミノ基(例、N-ベンゾイル-N-メチルアミノ)が挙げられる。
【0030】
本明細書中、「置換されていてもよいカルバモイル基」としては、例えば、「置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基、C7-16アラルキル-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基およびモノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基から選ばれる1または2個の置換基」を有していてもよいカルバモイル基が挙げられる。
置換されていてもよいカルバモイル基の好適な例としては、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、モノ-またはジ-C2-6アルケニル-カルバモイル基(例、ジアリルカルバモイル)、モノ-またはジ-C3-10シクロアルキル-カルバモイル基(例、シクロプロピルカルバモイル、シクロヘキシルカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-カルバモイル基(例、フェニルカルバモイル)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルボニル-カルバモイル基(例、アセチルカルバモイル、プロピオニルカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-カルボニル-カルバモイル基(例、ベンゾイルカルバモイル)、5ないし14員芳香族複素環カルバモイル基(例、ピリジルカルバモイル)が挙げられる。
【0031】
本明細書中、「置換されていてもよいチオカルバモイル基」としては、例えば、「置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基、C7-16アラルキル-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基およびモノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基から選ばれる1または2個の置換基」を有していてもよいチオカルバモイル基が挙げられる。
置換されていてもよいチオカルバモイル基の好適な例としては、チオカルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-チオカルバモイル基(例、メチルチオカルバモイル、エチルチオカルバモイル、ジメチルチオカルバモイル、ジエチルチオカルバモイル、N-エチル-N-メチルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C2-6アルケニル-チオカルバモイル基(例、ジアリルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C3-10シクロアルキル-チオカルバモイル基(例、シクロプロピルチオカルバモイル、シクロヘキシルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-チオカルバモイル基(例、フェニルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-チオカルバモイル基(例、ベンジルチオカルバモイル、フェネチルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルボニル-チオカルバモイル基(例、アセチルチオカルバモイル、プロピオニルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-カルボニル-チオカルバモイル基(例、ベンゾイルチオカルバモイル)、5ないし14員芳香族複素環チオカルバモイル基(例、ピリジルチオカルバモイル)が挙げられる。
【0032】
本明細書中、「置換されていてもよいスルファモイル基」としては、例えば、「置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基、C7-16アラルキル-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基およびモノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基から選ばれる1または2個の置換基」を有していてもよいスルファモイル基が挙げられる。
置換されていてもよいスルファモイル基の好適な例としては、スルファモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-スルファモイル基(例、メチルスルファモイル、エチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル、N-エチル-N-メチルスルファモイル)、モノ-またはジ-C2-6アルケニル-スルファモイル基(例、ジアリルスルファモイル)、モノ-またはジ-C3-10シクロアルキル-スルファモイル基(例、シクロプロピルスルファモイル、シクロヘキシルスルファモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-スルファモイル基(例、フェニルスルファモイル)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-スルファモイル基(例、ベンジルスルファモイル、フェネチルスルファモイル)、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルボニル-スルファモイル基(例、アセチルスルファモイル、プロピオニルスルファモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-カルボニル-スルファモイル基(例、ベンゾイルスルファモイル)、5ないし14員芳香族複素環スルファモイル基(例、ピリジルスルファモイル)が挙げられる。
【0033】
本明細書中、「置換されていてもよいヒドロキシ基」としては、例えば、「置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基、C7-16アラルキル-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基、C1-6アルキルスルホニル基およびC6-14アリールスルホニル基から選ばれる置換基」を有していてもよいヒドロキシ基が挙げられる。
置換されていてもよいヒドロキシ基の好適な例としては、ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニルオキシ基(例、アリルオキシ、2-ブテニルオキシ、2-ペンテニルオキシ、3-ヘキセニルオキシ)、C3-10シクロアルキルオキシ基(例、シクロヘキシルオキシ)、C6-14アリールオキシ基(例、フェノキシ、ナフチルオキシ)、C7-16アラルキルオキシ基(例、ベンジルオキシ、フェネチルオキシ)、C1-6アルキル-カルボニルオキシ基(例、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ、ピバロイルオキシ)、C6-14アリール-カルボニルオキシ基(例、ベンゾイルオキシ)、C7-16アラルキル-カルボニルオキシ基(例、ベンジルカルボニルオキシ)、5ないし14員芳香族複素環カルボニルオキシ基(例、ニコチノイルオキシ)、3ないし14員非芳香族複素環カルボニルオキシ基(例、ピペリジニルカルボニルオキシ)、C1-6アルコキシ-カルボニルオキシ基(例、tert-ブトキシカルボニルオキシ)、5ないし14員芳香族複素環オキシ基(例、ピリジルオキシ)、カルバモイルオキシ基、C1-6アルキル-カルバモイルオキシ基(例、メチルカルバモイルオキシ)、C7-16アラルキル-カルバモイルオキシ基(例、ベンジルカルバモイルオキシ)、C1-6アルキルスルホニルオキシ基(例、メチルスルホニルオキシ、エチルスルホニルオキシ)、C6-14アリールスルホニルオキシ基(例、フェニルスルホニルオキシ)が挙げられる。
【0034】
本明細書中、「置換されていてもよいスルファニル基」としては、例えば、「置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基および5ないし14員芳香族複素環基から選ばれる置換基」を有していてもよいスルファニル基、ハロゲン化されたスルファニル基が挙げられる。
置換されていてもよいスルファニル基の好適な例としては、スルファニル(-SH)基、C1-6アルキルチオ基、C2-6アルケニルチオ基(例、アリルチオ、2-ブテニルチオ、2-ペンテニルチオ、3-ヘキセニルチオ)、C3-10シクロアルキルチオ基(例、シクロヘキシルチオ)、C6-14アリールチオ基(例、フェニルチオ、ナフチルチオ)、C7-16アラルキルチオ基(例、ベンジルチオ、フェネチルチオ)、C1-6アルキル-カルボニルチオ基(例、アセチルチオ、プロピオニルチオ、ブチリルチオ、イソブチリルチオ、ピバロイルチオ)、C6-14アリール-カルボニルチオ基(例、ベンゾイルチオ)、5ないし14員芳香族複素環チオ基(例、ピリジルチオ)、ハロゲン化チオ基(例、ペンタフルオロチオ)が挙げられる。
【0035】
本明細書中、「置換されていてもよいシリル基」としては、例えば、「置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基およびC7-16アラルキル基から選ばれる1ないし3個の置換基」を有していてもよいシリル基が挙げられる。
置換されていてもよいシリル基の好適な例としては、トリ-C1-6アルキルシリル基(例、トリメチルシリル、tert-ブチル(ジメチル)シリル)が挙げられる。
【0036】
本明細書中、「炭化水素環」としては、例えば、C6-14芳香族炭化水素環、C3-10シクロアルカン、C3-10シクロアルケンが挙げられる。
本明細書中、「C6-14芳香族炭化水素環」としては、例えば、ベンゼン、ナフタレンが挙げられる。
本明細書中、「C3-10シクロアルカン」としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンが挙げられる。
本明細書中、「C3-10シクロアルケン」としては、例えば、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンが挙げられる。
本明細書中、「複素環」としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子をそれぞれ含有する、芳香族複素環および非芳香族複素環が挙げられる。
【0037】
本明細書中、「芳香族複素環」としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子を含有する5ないし14員(好ましくは5ないし10員)の芳香族複素環が挙げられる。該「芳香族複素環」の好適な例としては、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、1,2,4-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、トリアジンなどの5ないし6員単環式芳香族複素環;
ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾトリアゾール、イミダゾピリジン、チエノピリジン、フロピリジン、ピロロピリジン、ピラゾロピリジン、オキサゾロピリジン、チアゾロピリジン、イミダゾピラジン、イミダゾピリミジン、チエノピリミジン、フロピリミジン、ピロロピリミジン、ピラゾロピリミジン、オキサゾロピリミジン、チアゾロピリミジン、ピラゾロピリミジン、ピラゾロトリアジン、ナフト[2,3-b]チオフェン、フェノキサチイン、インド-ル、イソインドール、1H-インダゾール、プリン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、カルバゾール、β-カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジンなどの8ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)芳香族複素環が挙げられる。
【0038】
本明細書中、「非芳香族複素環」としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子を含有する3ないし14員(好ましくは4ないし10員)の非芳香族複素環が挙げられる。該「非芳香族複素環」の好適な例としては、アジリジン、オキシラン、チイラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロフラン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、オキサゾリン、オキサゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、チアゾリン、チアゾリジン、テトラヒドロイソチアゾール、テトラヒドロオキサゾール、テトラヒドロイソオキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピリジン、ジヒドロチオピラン、テトラヒドロピリミジン、テトラヒドロピリダジン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、モルホリン、チオモルホリン、アゼパニン、ジアゼパン、アゼピン、アゾカン、ジアゾカン、オキセパンなどの3ないし8員単環式非芳香族複素環;
ジヒドロベンゾフラン、ジヒドロベンゾイミダゾール、ジヒドロベンゾオキサゾール、ジヒドロベンゾチアゾール、ジヒドロベンゾイソチアゾール、ジヒドロナフト[2,3-b]チオフェン、テトラヒドロイソキノリン、テトラヒドロキノリン、4H-キノリジン、インドリン、イソインドリン、テトラヒドロチエノ[2,3-c]ピリジン、テトラヒドロベンゾアゼピン、テトラヒドロキノキサリン、テトラヒドロフェナントリジン、ヘキサヒドロフェノチアジン、ヘキサヒドロフェノキサジン、テトラヒドロフタラジン、テトラヒドロナフチリジン、テトラヒドロキナゾリン、テトラヒドロシンノリン、テトラヒドロカルバゾール、テトラヒドロ-β-カルボリン、テトラヒドロアクリジン、テトラヒドロフェナジン、テトラヒドロチオキサンテン、オクタヒドロイソキノリンなどの9ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)非芳香族複素環が挙げられる。
本明細書中、「含窒素複素環」としては、「複素環」のうち、環構成原子として少なくとも1個以上の窒素原子を含有するものが挙げられる。
【0039】
本明細書中、「環」としては、「炭化水素環」および「複素環」が挙げられる。
本明細書中、「5ないし6員単環式芳香族環状アミノ基」としては、「5ないし6員単環式芳香族複素環基」のうち、環構成原子として少なくとも1個以上の窒素原子を含有し、かつ窒素原子上に結合手を有する5ないし6員単環式芳香族複素環基が挙げられ、具体的には、1-ピロリル、1-イミダゾリル、1-ピラゾリル、1-トリアゾリル、1-テトラゾリル等が挙げられる。
本明細書中、「3ないし8員単環式非芳香族環状アミノ基」としては、「3ないし8員単環式非芳香族複素環基」のうち、環構成原子として少なくとも1個以上の窒素原子を含有し、かつ窒素原子上に結合手を有する3ないし8員単環式非芳香族複素環基が挙げられ、具体的には、1-アジリジニル、1-アゼチジニル、1-ピロリニル、1-イミダゾリジニル、1-ピラゾリジニル、3-オキサゾリジニル、3-チアゾリジニル、3-テトラヒドロイソオキサゾリル、3-テトラヒドロイソチアゾリル、1-ピペリジル、1-ピペラジニル、4-モルホリニル、4-チオモルホリニル等が挙げられる。
【0040】
以下に、式(I)中の各記号の定義について詳述する。
環Aおよび環Bは、それぞれ独立して、さらに置換されていてもよいベンゼン環を示す。
【0041】
環Aで示される「さらに置換されていてもよいベンゼン環」は、式(I)中のRに加えて、さらに置換基を有していてもよい。このような置換基としては、置換基群Aから選択される置換基が挙げられる。これら置換基の数は、1ないし3個、好ましくは1または2個である。置換基数が2個以上の場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0042】
環Aは、好ましくは、ベンゼン環である。
【0043】
環Bで示される「さらに置換されていてもよいベンゼン環」は、式(I)中の
【0044】
【化3】
【0045】
に加えて、さらに置換基を有していてもよい。このような置換基としては、置換基群Aから選択される置換基が挙げられる。これら置換基の数は、1ないし3個、好ましくは1または2個である。置換基数が2個以上の場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0046】
環Bは、好ましくは、ベンゼン環である。
【0047】
環Cは、式(I)中の-L-環Dに加えて、
(1) ハロゲン原子、
(2) ニトロ基、
(3) シアノ基、
(4) アミノ基、
(5) ヒドロキシ基、および
(6) ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基
から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル基でさらに置換されていてもよいイミダゾール環を示す。
【0048】
環Cは、好ましくは、C1-6アルキル基(例、メチル)でさらに置換されていてもよいイミダゾール環である。
環Cは、より好ましくは、イミダゾール環である。
【0049】
なお、式(I)中、式:
【0050】
【化4】
【0051】
で表される部分構造は、式:
【0052】
【化5】
【0053】
(式中、Rは、
(1) 水素原子、または
(2)(a) ハロゲン原子、
(b) ニトロ基、
(c) シアノ基、
(d) アミノ基、
(e) ヒドロキシ基、および
(f) ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基
から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル基
を示す。)
で表される部分構造である。
【0054】
Lは、結合手または置換されていてもよいメチレン基を示す。
Lで示される「置換されていてもよいメチレン基」における置換基としては、置換基群Aから選択される置換基が挙げられる。これら置換基の数は、1または2個、好ましくは1個である。置換基数が2個の場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0055】
Lは、好ましくは、結合手またはメチレン基である。
Lは、より好ましくは、結合手である。
【0056】
は、水素原子または置換基を示す。
は、好ましくは、
(1) 水素原子、
(2) ハロゲン原子(例、臭素原子)、
(3) 置換されていてもよいアミノ基(好ましくは、モノ-またはジ-C1-6アルキルアミノ基(例、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ))、
(4) 置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環基(好ましくは、5ないし6員単環式芳香族複素環基、より好ましくは、5ないし6員単環式芳香族環状アミノ基(例、1-ピロリル))、または
(5) 置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環基(好ましくは、3ないし8員単環式非芳香族複素環基、より好ましくは、3ないし8員単環式非芳香族環状アミノ基(例、1-ピペリジル、1-ピペラジニル、4-モルホリニル))
である。
【0057】
上記「置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環基」および「置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環基」における置換基としては、それぞれ置換基群Aから選択される置換基が挙げられる。これら置換基の数は、好ましくは1ないし3個である。置換基数が2個以上の場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0058】
は、より好ましくは、
(1) 水素原子、
(2) ハロゲン原子(例、臭素原子)、
(3) モノ-またはジ-C1-6アルキルアミノ基(例、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ)、
(4) 5ないし14員芳香族複素環基(好ましくは、5ないし6員単環式芳香族複素環基、より好ましくは、5ないし6員単環式芳香族環状アミノ基(例、1-ピロリル))、または
(5) 1ないし3個のC1-6アルキル基(例、メチル)で置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環基(好ましくは、3ないし8員(好ましくは5ないし6員)単環式非芳香族複素環基、より好ましくは、3ないし8員(好ましくは5ないし6員)単環式非芳香族環状アミノ基(例、1-ピペリジル、1-ピペラジニル、4-モルホリニル))
である。
【0059】
は、さらに好ましくは、3ないし8員(好ましくは5ないし6員)単環式非芳香族複素環基(好ましくは、3ないし8員(好ましくは5ないし6員)単環式非芳香族環状アミノ基(例、1-ピペリジル、4-モルホリニル))である。
【0060】
は、さらにより好ましくは、3ないし8員(好ましくは5ないし6員)単環式非芳香族環状アミノ基(例、1-ピペリジル、4-モルホリニル)である。
【0061】
は、特に好ましくは、6員単環式非芳香族環状アミノ基(例、1-ピペリジル、4-モルホリニル)である。
【0062】
環Dは、さらに置換されていてもよい環を示す。
環Dで示される「さらに置換されていてもよい環」における「環」は、好ましくは、C6-14芳香族炭化水素環(例、ベンゼン)、C3-10シクロアルカン(好ましくは、C3-8シクロアルカン(例、シクロヘキサン))、5ないし14員芳香族複素環(好ましくは、5ないし6員単環式芳香族複素環(例、ピリジン、イソオキサゾール、チオフェン))または3ないし14員非芳香族複素環(好ましくは、3ないし8員単環式非芳香族複素環(例、ピペリジン、テトラヒドロピラン))であり、より好ましくは、ベンゼン環、シクロヘキサン環、ピリジン環、イソオキサゾール環、チオフェン環、ピペリジン環またはテトラヒドロピラン環であり、特に好ましくは、ベンゼン環である。
【0063】
環Dは、好ましくは、
(1) さらに置換されていてもよいC6-14芳香族炭化水素環(例、ベンゼン)、
(2) さらに置換されていてもよいC3-10シクロアルカン(好ましくは、C3-8シクロアルカン(例、シクロヘキサン))、
(3) さらに置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環(好ましくは、5ないし6員単環式芳香族複素環(例、ピリジン、イソオキサゾール、チオフェン))、または
(4) さらに置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環(好ましくは、3ないし8員単環式非芳香族複素環(例、ピペリジン、テトラヒドロピラン))
である。
【0064】
上記「さらに置換されていてもよいC6-14芳香族炭化水素環」、「さらに置換されていてもよいC3-10シクロアルカン」、「さらに置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環」および「さらに置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環」は、式(I)中の-L-環C/環Bに加えて、それぞれさらに置換基を有していてもよい。このような置換基としては、それぞれ上記「置換基」が挙げられる。これら置換基の数は、好ましくは1ないし3個である。置換基数が2個以上の場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0065】
環Dは、より好ましくは、
(1)(a) ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、
(b) ヒドロキシ基、
(c) 1~3個のC1-6アルコキシ基(例、メトキシ)で置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル)、
(d)(i) カルボキシ基、
(ii) C1-6アルコキシ-カルボニル基(例、メトキシカルボニル)、
(iii) C7-16アラルキルオキシ-カルボニル基(例、ベンジルオキシカルボニル)、
(iv)(I)(A) C3-10シクロアルキル基(例、シクロプロピル)、
(B) C6-14アリール基(例、フェニル)、
(C) 1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素原子)で置換されていてもよいC6-14アリールアミノ基(例、フェニルアミノ)、
(D) 5ないし14員芳香族複素環基(好ましくは、5ないし6員単環式芳香族複素環基(例、ピリジル))、
(E) 3ないし14員非芳香族複素環基(好ましくは、3ないし8員単環式非芳香族複素環基(例、テトラヒドロピラニル))、および
(F) C1-6アルキル基(例、メチル)およびC7-16アラルキル基(例、2-フェニルエチル)から選ばれる置換基でモノ-またはジ-置換されていてもよいカルバモイル基
から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル)、
(II) 1ないし3個のC6-14アリール基(例、フェニル)で置換されていてもよいC2-6アルケニル基(例、ペンタ-2-イル)、
(III) 1~3個のC1-6アルキル基(例、メチル)で置換されていてもよいC3-10シクロアルキル基(例、シクロプロピル)、
(IV)(A) ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子)、および
(B) C1-6アルキル基(例、メチル)
から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよいC6-14アリール基(例、フェニル)、
(V) C7-16アラルキル基(例、ベンジル)、
(VI) 5ないし14員芳香族複素環基(好ましくは、5ないし6員単環式芳香族複素環基(例、ピリジル))、および
(VII) 3ないし14員非芳香族複素環基(好ましくは、3ないし8員単環式非芳香族複素環基(例、テトラヒドロピラニル)、9ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)非芳香族複素環基(例、1,1-ジオキシドジヒドロベンゾチエニル))
から選ばれる置換基でモノ-またはジ-置換されていてもよいカルバモイル基、および
(v)(I) ヒドロキシ基、および
(II) C1-6アルキル基(例、メチル)
から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基(好ましくは、3ないし8員単環式非芳香族複素環カルボニル基(例、ピロリジニルカルボニル、ピペリジルカルボニル、モルホリニルカルボニル、1,1-ジオキシドチアゾリジニルカルボニル))
から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ヘキシルオキシ)、および
(e) C7-16アラルキルオキシ基(例、ベンジルオキシ)
から選ばれる1~3個の置換基でさらに置換されていてもよいC6-14芳香族炭化水素環(例、ベンゼン)、
(2) C3-10シクロアルカン(好ましくは、C3-8シクロアルカン(例、シクロヘキサン))、
(3) 5ないし14員芳香族複素環(好ましくは、5ないし6員単環式芳香族複素環(例、ピリジン、イソオキサゾール、チオフェン))、または
(4) 1~3個のC1-6アルコキシ-カルボニル基(例、tert-ブトキシカルボニル)でさらに置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環(好ましくは、3ないし8員単環式非芳香族複素環(例、ピペリジン、テトラヒドロピラン))
である。
【0066】
環Dは、さらに好ましくは、
(1)(a) ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、
(b) ヒドロキシ基、
(c) 1~3個のC1-6アルコキシ基(例、メトキシ)で置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル)、
(d)(i) カルボキシ基、
(ii) C1-6アルコキシ-カルボニル基(例、メトキシカルボニル)、
(iii) C7-16アラルキルオキシ-カルボニル基(例、ベンジルオキシカルボニル)、
(iv)(I)(A) C3-10シクロアルキル基(例、シクロプロピル)、
(B) C6-14アリール基(例、フェニル)、
(C) 1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素原子)で置換されていてもよいC6-14アリールアミノ基(例、フェニルアミノ)、
(D) 5ないし14員芳香族複素環基(好ましくは、5ないし6員単環式芳香族複素環基(例、ピリジル))、
(E) 3ないし14員非芳香族複素環基(好ましくは、3ないし8員単環式非芳香族複素環基(例、テトラヒドロピラニル))、および
(F) C1-6アルキル基(例、メチル)およびC7-16アラルキル基(例、2-フェニルエチル)から選ばれる置換基でモノ-またはジ-置換されていてもよいカルバモイル基
から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル)、
(II) 1ないし3個のC6-14アリール基(例、フェニル)で置換されていてもよいC2-6アルケニル基(例、ペンタ-2-イル)、
(III) 1~3個のC1-6アルキル基(例、メチル)で置換されていてもよいC3-10シクロアルキル基(例、シクロプロピル)、
(IV)(A) ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子)、および
(B) C1-6アルキル基(例、メチル)
から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよいC6-14アリール基(例、フェニル)、
(V) C7-16アラルキル基(例、ベンジル)、
(VI) 5ないし14員芳香族複素環基(好ましくは、5ないし6員単環式芳香族複素環基(例、ピリジル))、および
(VII) 3ないし14員非芳香族複素環基(好ましくは、3ないし8員単環式非芳香族複素環基(例、テトラヒドロピラニル)、9ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)非芳香族複素環基(例、1,1-ジオキシドジヒドロベンゾチエニル))
から選ばれる置換基でモノ-またはジ-置換されていてもよいカルバモイル基、および
(v)(I) ヒドロキシ基、および
(II) C1-6アルキル基(例、メチル)
から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基(好ましくは、3ないし8員単環式非芳香族複素環カルボニル基(例、ピロリジニルカルボニル、ピペリジルカルボニル、モルホリニルカルボニル、1,1-ジオキシドチアゾリジニルカルボニル))
から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ヘキシルオキシ)、および
(e) C7-16アラルキルオキシ基(例、ベンジルオキシ)
から選ばれる1~3個の置換基でさらに置換されていてもよいベンゼン環、
(2) シクロヘキサン環、
(3) ピリジン環、
(4) イソオキサゾール環、
(5) チオフェン環、
(6) 1~3個のC1-6アルコキシ-カルボニル基(例、tert-ブトキシカルボニル)でさらに置換されていてもよいピペリジン環、または
(7) テトラヒドロピラン環
である。
【0067】
環Dは、さらにより好ましくは、
(a) ハロゲン原子(例、臭素原子)、および
(b)(i)(I) 1~3個のC3-6シクロアルキル基(例、シクロプロピル)で置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、イソブチル)、および
(II) 3ないし8員単環式非芳香族複素環基(例、テトラヒドロピラニル)
から選ばれる置換基でモノ-またはジ-置換されていてもよいカルバモイル基、および
(ii)(I) ヒドロキシ基、および
(II) C1-6アルキル基(例、メチル)
から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよい3ないし8員単環式非芳香族複素環カルボニル基(例、ピペリジルカルボニル)
から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基(例、メトキシ)
から選ばれる1~3個の置換基でさらに置換されていてもよいベンゼン環である。
【0068】
別の実施態様として、環Dは、さらにより好ましくは、
(1)(a) ハロゲン原子(例、臭素原子)、
(b) ヒドロキシ基、および
(c) 9ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)非芳香族複素環基(例、1,1-ジオキシドジヒドロベンゾチエニル)でモノ-またはジ-置換されていてもよいカルバモイル基で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基(例、メトキシ)
から選ばれる1~3個の置換基でさらに置換されていてもよいベンゼン環、または
(2) ピリジン環
である。
【0069】
当該実施態様において、環Dは、特に好ましくは、
(a) ハロゲン原子(例、臭素原子)、および
(b) 9ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)非芳香族複素環基(例、1,1-ジオキシドジヒドロベンゾチエニル)でモノ-置換されたカルバモイル基で置換されたC1-6アルコキシ基(例、メトキシ)
から選ばれる1個の置換基でさらに置換されたベンゼン環である。
【0070】
化合物(I)の好ましい態様としては、以下の化合物が挙げられる。
【0071】
[化合物A]
環Aが、さらに置換されていてもよいベンゼン環であり;
環Bが、さらに置換されていてもよいベンゼン環であり;
環Cが、
(1) ハロゲン原子、
(2) ニトロ基、
(3) シアノ基、
(4) アミノ基、
(5) ヒドロキシ基、および
(6) ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基
から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル基でさらに置換されていてもよいイミダゾール環であり;
Lが、結合手または置換されていてもよいメチレン基であり;
が、
(1) 水素原子、
(2) ハロゲン原子(例、臭素原子)、
(3) 置換されていてもよいアミノ基(好ましくは、モノ-またはジ-C1-6アルキルアミノ基(例、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ))、
(4) 置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環基(好ましくは、5ないし6員単環式芳香族複素環基、より好ましくは、5ないし6員単環式芳香族環状アミノ基(例、1-ピロリル))、または
(5) 置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環基(好ましくは、3ないし8員単環式非芳香族複素環基、より好ましくは、3ないし8員単環式非芳香族環状アミノ基(例、1-ピペリジル、1-ピペラジニル、4-モルホリニル))
であり;かつ
環Dが、
(1) さらに置換されていてもよいC6-14芳香族炭化水素環(例、ベンゼン)、
(2) さらに置換されていてもよいC3-10シクロアルカン(好ましくは、C3-8シクロアルカン(例、シクロヘキサン))、
(3) さらに置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環(好ましくは、5ないし6員単環式芳香族複素環(例、ピリジン、イソオキサゾール、チオフェン))、または
(4) さらに置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環(好ましくは、3ないし8員単環式非芳香族複素環(例、ピペリジン、テトラヒドロピラン))
である、
化合物(I)。
【0072】
[化合物B]
環Aが、ベンゼン環であり;
環Bが、ベンゼン環であり;
環Cが、C1-6アルキル基(例、メチル)でさらに置換されていてもよいイミダゾール環であり;
Lが、結合手またはメチレン基であり;
が、
(1) 水素原子、
(2) ハロゲン原子(例、臭素原子)、
(3) モノ-またはジ-C1-6アルキルアミノ基(例、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ)、
(4) 5ないし14員芳香族複素環基(好ましくは、5ないし6員単環式芳香族複素環基、より好ましくは、5ないし6員単環式芳香族環状アミノ基(例、1-ピロリル))、または
(5) 1ないし3個のC1-6アルキル基(例、メチル)で置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環基(好ましくは、3ないし8員(好ましくは5ないし6員)単環式非芳香族複素環基、より好ましくは、3ないし8員(好ましくは5ないし6員)単環式非芳香族環状アミノ基(例、1-ピペリジル、1-ピペラジニル、4-モルホリニル))
であり;かつ
環Dが、
(1)(a) ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、
(b) ヒドロキシ基、
(c) 1~3個のC1-6アルコキシ基(例、メトキシ)で置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル)、
(d)(i) カルボキシ基、
(ii) C1-6アルコキシ-カルボニル基(例、メトキシカルボニル)、
(iii) C7-16アラルキルオキシ-カルボニル基(例、ベンジルオキシカルボニル)、
(iv)(I)(A) C3-10シクロアルキル基(例、シクロプロピル)、
(B) C6-14アリール基(例、フェニル)、
(C) 1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素原子)で置換されていてもよいC6-14アリールアミノ基(例、フェニルアミノ)、
(D) 5ないし14員芳香族複素環基(好ましくは、5ないし6員単環式芳香族複素環基(例、ピリジル))、
(E) 3ないし14員非芳香族複素環基(好ましくは、3ないし8員単環式非芳香族複素環基(例、テトラヒドロピラニル))、および
(F) C1-6アルキル基(例、メチル)およびC7-16アラルキル基(例、2-フェニルエチル)から選ばれる置換基でモノ-またはジ-置換されていてもよいカルバモイル基
から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル)、
(II) 1ないし3個のC6-14アリール基(例、フェニル)で置換されていてもよいC2-6アルケニル基(例、ペンタ-2-イル)、
(III) 1~3個のC1-6アルキル基(例、メチル)で置換されていてもよいC3-10シクロアルキル基(例、シクロプロピル)、
(IV)(A) ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子)、および
(B) C1-6アルキル基(例、メチル)
から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよいC6-14アリール基(例、フェニル)、
(V) C7-16アラルキル基(例、ベンジル)、
(VI) 5ないし14員芳香族複素環基(好ましくは、5ないし6員単環式芳香族複素環基(例、ピリジル))、および
(VII) 3ないし14員非芳香族複素環基(好ましくは、3ないし8員単環式非芳香族複素環基(例、テトラヒドロピラニル)、9ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)非芳香族複素環基(例、1,1-ジオキシドジヒドロベンゾチエニル))
から選ばれる置換基でモノ-またはジ-置換されていてもよいカルバモイル基、および
(v)(I) ヒドロキシ基、および
(II) C1-6アルキル基(例、メチル)
から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基(好ましくは、3ないし8員単環式非芳香族複素環カルボニル基(例、ピロリジニルカルボニル、ピペリジルカルボニル、モルホリニルカルボニル、1,1-ジオキシドチアゾリジニルカルボニル))
から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ヘキシルオキシ)、および
(e) C7-16アラルキルオキシ基(例、ベンジルオキシ)
から選ばれる1~3個の置換基でさらに置換されていてもよいC6-14芳香族炭化水素環(例、ベンゼン)、
(2) C3-10シクロアルカン(好ましくは、C3-8シクロアルカン(例、シクロヘキサン))、
(3) 5ないし14員芳香族複素環(好ましくは、5ないし6員単環式芳香族複素環(例、ピリジン、イソオキサゾール、チオフェン))、または
(4) 1~3個のC1-6アルコキシ-カルボニル基(例、tert-ブトキシカルボニル)でさらに置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環(好ましくは、3ないし8員単環式非芳香族複素環(例、ピペリジン、テトラヒドロピラン))
である、
化合物(I)。
【0073】
[化合物C]
環Aが、ベンゼン環であり;
環Bが、ベンゼン環であり;
環Cが、C1-6アルキル基(例、メチル)でさらに置換されていてもよいイミダゾール環であり;
Lが、結合手またはメチレン基であり;
が、
(1) 水素原子、
(2) ハロゲン原子(例、臭素原子)、
(3) モノ-またはジ-C1-6アルキルアミノ基(例、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ)、
(4) 5ないし14員芳香族複素環基(好ましくは、5ないし6員単環式芳香族複素環基、より好ましくは、5ないし6員単環式芳香族環状アミノ基(例、1-ピロリル))、または
(5) 1ないし3個のC1-6アルキル基(例、メチル)で置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環基(好ましくは、3ないし8員(好ましくは5ないし6員)単環式非芳香族複素環基、より好ましくは、3ないし8員(好ましくは5ないし6員)単環式非芳香族環状アミノ基(例、1-ピペリジル、1-ピペラジニル、4-モルホリニル))
であり;かつ
環Dが、
(1)(a) ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、
(b) ヒドロキシ基、
(c) 1~3個のC1-6アルコキシ基(例、メトキシ)で置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル)、
(d)(i) カルボキシ基、
(ii) C1-6アルコキシ-カルボニル基(例、メトキシカルボニル)、
(iii) C7-16アラルキルオキシ-カルボニル基(例、ベンジルオキシカルボニル)、
(iv)(I)(A) C3-10シクロアルキル基(例、シクロプロピル)、
(B) C6-14アリール基(例、フェニル)、
(C) 1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素原子)で置換されていてもよいC6-14アリールアミノ基(例、フェニルアミノ)、
(D) 5ないし14員芳香族複素環基(好ましくは、5ないし6員単環式芳香族複素環基(例、ピリジル))、
(E) 3ないし14員非芳香族複素環基(好ましくは、3ないし8員単環式非芳香族複素環基(例、テトラヒドロピラニル))、および
(F) C1-6アルキル基(例、メチル)およびC7-16アラルキル基(例、2-フェニルエチル)から選ばれる置換基でモノ-またはジ-置換されていてもよいカルバモイル基
から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル)、
(II) 1ないし3個のC6-14アリール基(例、フェニル)で置換されていてもよいC2-6アルケニル基(例、ペンタ-2-イル)、
(III) 1~3個のC1-6アルキル基(例、メチル)で置換されていてもよいC3-10シクロアルキル基(例、シクロプロピル)、
(IV)(A) ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子)、および
(B) C1-6アルキル基(例、メチル)
から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよいC6-14アリール基(例、フェニル)、
(V) C7-16アラルキル基(例、ベンジル)、
(VI) 5ないし14員芳香族複素環基(好ましくは、5ないし6員単環式芳香族複素環基(例、ピリジル))、および
(VII) 3ないし14員非芳香族複素環基(好ましくは、3ないし8員単環式非芳香族複素環基(例、テトラヒドロピラニル)、9ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)非芳香族複素環基(例、1,1-ジオキシドジヒドロベンゾチエニル))
から選ばれる置換基でモノ-またはジ-置換されていてもよいカルバモイル基、および
(v)(I) ヒドロキシ基、および
(II) C1-6アルキル基(例、メチル)
から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基(好ましくは、3ないし8員単環式非芳香族複素環カルボニル基(例、ピロリジニルカルボニル、ピペリジルカルボニル、モルホリニルカルボニル、1,1-ジオキシドチアゾリジニルカルボニル))
から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ヘキシルオキシ)、および
(e) C7-16アラルキルオキシ基(例、ベンジルオキシ)
から選ばれる1~3個の置換基でさらに置換されていてもよいベンゼン環、
(2) シクロヘキサン環、
(3) ピリジン環、
(4) イソオキサゾール環、
(5) チオフェン環、
(6) 1~3個のC1-6アルコキシ-カルボニル基(例、tert-ブトキシカルボニル)でさらに置換されていてもよいピペリジン環、または
(7) テトラヒドロピラン環
である、
化合物(I)。
【0074】
[化合物D]
環Aが、ベンゼン環であり;
環Bが、ベンゼン環であり;
環Cが、イミダゾール環であり;
Lが、結合手であり;
が、3ないし8員(好ましくは5ないし6員)単環式非芳香族複素環基(好ましくは、3ないし8員(好ましくは5ないし6員)単環式非芳香族環状アミノ基(例、1-ピペリジル、4-モルホリニル))であり;かつ
環Dが、
(a) ハロゲン原子(例、臭素原子)、および
(b)(i)(I) 1~3個のC3-6シクロアルキル基(例、シクロプロピル)で置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、イソブチル)、および
(II) 3ないし8員単環式非芳香族複素環基(例、テトラヒドロピラニル)
から選ばれる置換基でモノ-またはジ-置換されていてもよいカルバモイル基、および
(ii)(I) ヒドロキシ基、および
(II) C1-6アルキル基(例、メチル)
から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよい3ないし8員単環式非芳香族複素環カルボニル基(例、ピペリジルカルボニル)
から選ばれる1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基(例、メトキシ)
から選ばれる1~3個の置換基でさらに置換されていてもよいベンゼン環である、
化合物(I)。
【0075】
[化合物E]
環Aが、ベンゼン環であり;
環Bが、ベンゼン環であり;
環Cが、イミダゾール環であり;
Lが、結合手であり;
が、3ないし8員(好ましくは5ないし6員)単環式非芳香族複素環基(好ましくは、3ないし8員(好ましくは5ないし6員)単環式非芳香族環状アミノ基(例、1-ピペリジル、4-モルホリニル))であり;かつ
環Dが、
(1)(a) ハロゲン原子(例、臭素原子)、
(b) ヒドロキシ基、および
(c) 9ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)非芳香族複素環基(例、1,1-ジオキシドジヒドロベンゾチエニル)でモノ-またはジ-置換されていてもよいカルバモイル基で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基(例、メトキシ)
から選ばれる1~3個の置換基でさらに置換されていてもよいベンゼン環、または
(2) ピリジン環
である、
化合物(I)。
【0076】
[化合物F]
環Aが、ベンゼン環であり;
環Bが、ベンゼン環であり;
環Cが、イミダゾール環であり;
Lが、結合手であり;
が、3ないし8員(好ましくは5ないし6員)単環式非芳香族環状アミノ基(例、1-ピペリジル、4-モルホリニル)であり;かつ
環Dが、
(a) ハロゲン原子(例、臭素原子)、および
(b) 9ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)非芳香族複素環基(例、1,1-ジオキシドジヒドロベンゾチエニル)でモノ-置換されたカルバモイル基で置換されたC1-6アルコキシ基(例、メトキシ)
から選ばれる1個の置換基でさらに置換されたベンゼン環である、
化合物(I)。
【0077】
[化合物G]
N-(1,1-ジオキシド-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾチオフェン-5-イル)-2-(4-(5-(1-オキソ-5-(ピペリジン-1-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)フェノキシ)アセトアミド、またはその塩(実施例17)。
2-(2-(4-ブロモフェニル)-1H-ベンゾイミダゾール-5-イル)-5-(モルホリン-4-イル)イソインドリン-1-オン、またはその塩(実施例8)。
5-(ピペリジン-1-イル)-2-(2-(ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-5-イル)イソインドリン-1-オン、またはその塩(実施例46)。
5-(ピペリジン-1-イル)-2-(2-(ピリジン-4-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-5-イル)イソインドリン-1-オン、またはその塩(実施例45)。
2-(2-(4-ヒドロキシフェニル)-1H-ベンゾイミダゾール-5-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)イソインドリン-1-オン、またはその塩(実施例4)。
【0078】
化合物(I)の具体例としては、後述の実施例1~73の化合物が挙げられる。
【0079】
式(I)で表される化合物の塩としては、薬理学的に許容される塩が好ましく、このような塩としては、例えば、無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩等が挙げられる。
無機塩基との塩の好適な例としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩;アンモニウム塩等が挙げられる。
有機塩基との塩の好適な例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン]、tert-ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N-ジベンジルエチレンジアミン等との塩が挙げられる。
無機酸との塩の好適な例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等との塩が挙げられる。
有機酸との塩の好適な例としては、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等との塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、アルギニン、リジン、オルニチン等との塩が挙げられる。
酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、アスパラギン酸、グルタミン酸等との塩が挙げられる。
【0080】
化合物(I)の製造法について以下に説明する。
【0081】
以下の製造方法における各工程で用いられた原料や試薬、ならびに得られた化合物は、それぞれ塩を形成していてもよい。このような塩としては、例えば、前述の式(I)で表される化合物の塩と同様のもの等が挙げられる。
【0082】
各工程で得られた化合物が遊離化合物である場合には、自体公知の方法により、目的とする塩に変換することができる。逆に各工程で得られた化合物が塩である場合には、自体公知の方法により、遊離体または目的とする他の種類の塩に変換することができる。
【0083】
各工程で得られた化合物は反応液のままか、または粗生成物として得た後に、次反応に用いることもできる、あるいは、各工程で得られた化合物を、常法に従って、反応混合物から濃縮、晶出、再結晶、蒸留、溶媒抽出、分溜、クロマトグラフィーなどの分離手段により単離および/または精製することができる。
【0084】
各工程の原料や試薬の化合物が市販されている場合には、市販品をそのまま用いることができる。
【0085】
各工程の反応において、反応時間は、用いる試薬や溶媒により異なり得るが、特に記載の無い場合、通常1分~48時間、好ましくは10分~8時間である。
【0086】
各工程の反応において、反応温度は、用いる試薬や溶媒により異なり得るが、特に記載が無い場合、通常-78℃~300℃、好ましくは-78℃~150℃である。
【0087】
各工程の反応において、圧力は、用いる試薬や溶媒により異なり得るが、特に記載が無い場合、通常1気圧~20気圧、好ましくは1気圧~3気圧である。
【0088】
各工程の反応において、例えば、Biotage社製InitiatorなどのMicrowave合成装置を用いることがある。反応温度は、用いる試薬や溶媒により異なり得るが、特に記載がない場合、通常室温~300℃、好ましくは50℃~250℃である。反応時間は、用いる試薬や溶媒により異なり得るが、特に記載の無い場合、通常1分~48時間、好ましくは1分~8時間である。
【0089】
各工程の反応において、試薬は、特に記載が無い場合、基質に対して0.5当量~20当量、好ましくは0.8当量~5当量が用いられる。試薬を触媒として使用する場合、試薬は基質に対して0.001当量~1当量、好ましくは0.01当量~0.2当量が用いられる。試薬が反応溶媒を兼ねる場合、試薬は溶媒量が用いられる。
【0090】
各工程の反応において、特に記載が無い場合、これらの反応は、無溶媒、あるいは適当な溶媒に溶解または懸濁して行われる。溶媒の具体例としては、実施例に記載されている溶媒、あるいは以下が挙げられる。
アルコール類:メタノール、エタノール、tert-ブチルアルコール、2-メトキシエタノールなど;
エーテル類:ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタンなど;
芳香族炭化水素類:クロロベンゼン、トルエン、キシレンなど;
飽和炭化水素類:シクロヘキサン、ヘキサンなど;
アミド類:N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドンなど;
ハロゲン化炭化水素類:ジクロロメタン、四塩化炭素など;
ニトリル類:アセトニトリルなど;
スルホキシド類:ジメチルスルホキシドなど;
芳香族有機塩基類:ピリジンなど;
酸無水物類:無水酢酸など;
有機酸類:ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸など;
無機酸類:塩酸、硫酸など;
エステル類:酢酸エチルなど;
ケトン類:アセトン、メチルエチルケトンなど;
水。
上記溶媒は、二種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
【0091】
各工程の反応において塩基を用いる場合、例えば、以下に示す塩基、あるいは実施例に記載されている塩基が用いられる。
無機塩基類:水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウムなど;
有機塩基類:トリエチルアミン、ジエチルアミン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジメチルアニリン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、イミダゾール、ピペリジンなど;
金属アルコキシド類:ナトリウムエトキシド、カリウムtert-ブトキシドなど;
アルカリ金属水素化物類:水素化ナトリウムなど;
金属アミド類:ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジドなど;
有機リチウム類:n-ブチルリチウムなど。
【0092】
各工程の反応において酸または酸性触媒を用いる場合、例えば、以下に示す酸や酸性触媒、あるいは実施例に記載されている酸や酸性触媒が用いられる。
無機酸類:塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸、リン酸など;
有機酸類:酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、p-トルエンスルホン酸、10-カンファースルホン酸など;
ルイス酸:三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、ヨウ化亜鉛、無水塩化アルミニウム、無水塩化亜鉛、無水塩化鉄など。
【0093】
各工程の反応は、特に記載の無い限り、自体公知の方法、例えば、第5版実験化学講座、13巻~19巻(日本化学会編);新実験化学講座、14巻~15巻(日本化学会編);精密有機化学 改訂第2版(L. F. Tietze,Th. Eicher、南江堂);改訂 有機人名反応 そのしくみとポイント(東郷秀雄著、講談社);ORGANIC SYNTHESES Collective Volume I~VII(John Wiley & Sons Inc.);Modern Organic Synthesis in the Laboratory A Collection of Standard Experimental Procedures(Jie Jack Li著、OXFORD UNIVERSITY出版);Comprehensive Heterocyclic Chemistry III、Vol.1~Vol.14(エルゼビア・ジャパン株式会社);人名反応に学ぶ有機合成戦略(富岡清監訳、化学同人発行);コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーションズ(VCH Publishers Inc.)1989年刊などに記載された方法、あるいは実施例に記載された方法に準じて行われる。
【0094】
各工程において、官能基の保護または脱保護反応は、自体公知の方法、例えば、Wiley-Interscience社2007年刊「Protective Groups in Organic Synthesis, 4th Ed.」(Theodora W. Greene, Peter G. M. Wuts著);Thieme社2004年刊「Protecting Groups 3rd Ed.」(P.J.Kocienski著)などに記載された方法、あるいは実施例に記載された方法に準じて行われる。
アルコールなどの水酸基やフェノール性水酸基の保護基としては、例えば、メトキシメチルエーテル、ベンジルエーテル、tert-ブチルジメチルシリルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテルなどのエーテル型保護基;酢酸エステルなどのカルボン酸エステル型保護基;メタンスルホン酸エステルなどのスルホン酸エステル型保護基;tert-ブチルカルボネートなどの炭酸エステル型保護基などが挙げられる。
アルデヒドのカルボニル基の保護基としては、例えば、ジメチルアセタールなどのアセタール型保護基;1,3-ジオキサンなどの環状アセタール型保護基などが挙げられる。
ケトンのカルボニル基の保護基としては、例えば、ジメチルケタールなどのケタール型保護基;1,3-ジオキサンなどの環状ケタール型保護基;O-メチルオキシムなどのオキシム型保護基;N,N-ジメチルヒドラゾンなどのヒドラゾン型保護基などが挙げられる。
カルボキシル基の保護基としては、例えば、メチルエステルなどのエステル型保護基;N,N-ジメチルアミドなどのアミド型保護基などが挙げられる。
チオールの保護基としては、例えば、ベンジルチオエーテルなどのエーテル型保護基;チオ酢酸エステル、チオカルボネート、チオカルバメートなどのエステル型保護基などが挙げられる。
アミノ基や、イミダゾール、ピロール、インドールなどの芳香族ヘテロ環の保護基としては、例えば、ベンジルカルバメートなどのカルバメート型保護基;アセトアミドなどのアミド型保護基;N-トリフェニルメチルアミンなどのアルキルアミン型保護基、メタンスルホンアミドなどのスルホンアミド型保護基などが挙げられる。
保護基の除去は、自体公知の方法、例えば、酸、塩基、紫外光、ヒドラジン、フェニルヒドラジン、N-メチルジチオカルバミン酸ナトリウム、テトラブチルアンモニウムフルオリド、酢酸パラジウム、トリアルキルシリルハライド(例えば、トリメチルシリルヨージド、トリメチルシリルブロミド)を使用する方法や還元法などを用いて行うことができる。
【0095】
各工程において、還元反応を行う場合、使用される還元剤としては、水素化アルミニウムリチウム、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL-H)、水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリアセトキシホウ素テトラメチルアンモニウムなどの金属水素化物類;ボランテトラヒドロフラン錯体などのボラン類;ラネーニッケル;ラネーコバルト;水素;ギ酸;トリエチルシランなどが挙げられる。炭素-炭素二重結合あるいは三重結合を還元する場合は、パラジウム-カーボンやLindlar触媒などの触媒を用いる方法がある。
【0096】
各工程において、酸化反応を行う場合、使用される酸化剤としては、m-クロロ過安息香酸(mCPBA)、過酸化水素、tert-ブチルヒドロペルオキシドなどの過酸類;過塩素酸テトラブチルアンモニウムなどの過塩素酸塩類;塩素酸ナトリウムなどの塩素酸塩類;亜塩素酸ナトリウムなどの亜塩素酸塩類;過ヨウ素酸ナトリウムなどの過ヨウ素酸類;ヨードシルベンゼンなどの高原子価ヨウ素試薬;二酸化マンガン、過マンガン酸カリウムなどのマンガンを有する試薬;四酢酸鉛などの鉛類;クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、二クロム酸ピリジニウム(PDC)、ジョーンズ試薬などのクロムを有する試薬;N-ブロモスクシンイミド(NBS)などのハロゲン化合物類;酸素;オゾン;三酸化硫黄・ピリジン錯体;四酸化オスミウム;二酸化セレン;2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(DDQ)などが挙げられる。
【0097】
各工程において、ラジカル環化反応を行う場合、使用されるラジカル開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)などのアゾ化合物;4-4’-アゾビス-4-シアノペンタン酸(ACPA)などの水溶性ラジカル開始剤;空気あるいは酸素存在下でのトリエチルホウ素;過酸化ベンゾイルなどが挙げられる。また、使用されるラジカル反応試剤としては、トリブチルスタナン、トリストリメチルシリルシラン、1,1,2,2-テトラフェニルジシラン、ジフェニルシラン、ヨウ化サマリウムなどが挙げられる。
【0098】
各工程において、Wittig反応を行う場合、使用されるWittig試薬としては、アルキリデンホスホラン類などが挙げられる。アルキリデンホスホラン類は、自体公知の方法、例えば、ホスホニウム塩と強塩基を反応させることで調製することができる。
【0099】
各工程において、Horner-Emmons反応を行う場合、使用される試薬としては、ジメチルホスホノ酢酸メチル、ジエチルホスホノ酢酸エチルなどのホスホノ酢酸エステル類;アルカリ金属水素化物類、有機リチウム類などの塩基が挙げられる。
【0100】
各工程において、Friedel-Crafts反応を行う場合、使用される試薬としては、ルイス酸と酸クロリドとの組み合せ、あるいはルイス酸とアルキル化剤(例、ハロゲン化アルキル類、アルコール、オレフィン類など)との組み合わせが挙げられる。あるいは、ルイス酸の代わりに、有機酸や無機酸を用いることもでき、酸クロリドの代わりに、無水酢酸などの酸無水物を用いることもできる。
【0101】
各工程において、芳香族求核置換反応を行う場合、試薬としては、求核剤(例、アミン類、イミダゾールなど)と塩基(例、有機塩基類など)が用いられる。
【0102】
各工程において、カルボアニオンによる求核付加反応、カルボアニオンによる求核1,4-付加反応(Michael付加反応)、あるいはカルボアニオンによる求核置換反応を行う場合、カルボアニオンを発生するために用いる塩基としては、有機リチウム類、金属アルコキシド類、無機塩基類、有機塩基類などが挙げられる。
【0103】
各工程において、Grignard反応を行う場合、Grignard試薬としては、フェニルマグネシウムブロミドなどのアリールマグネシウムハライド類;メチルマグネシウムブロミドなどのアルキルマグネシウムハライド類が挙げられる。Grignard試薬は、自体公知の方法、例えばエーテルあるいはテトラヒドロフランを溶媒として、ハロゲン化アルキルまたはハロゲン化アリールと、金属マグネシウムとを反応させることにより調製することができる。
【0104】
各工程において、Knoevenagel縮合反応を行う場合、試薬としては、二つの電子求引基に挟まれた活性メチレン化合物(例、マロン酸、マロン酸ジエチル、マロノニトリルなど)および塩基(例、有機塩基類、金属アルコキシド類、無機塩基類)が用いられる。
【0105】
各工程において、Vilsmeier-Haack反応を行う場合、試薬としては、塩化ホスホリルとアミド誘導体(例、N,N-ジメチルホルムアミドなど)が用いられる。
【0106】
各工程において、アルコール類、アルキルハライド類、スルホン酸エステル類のアジド化反応を行う場合、使用されるアジド化剤としては、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、トリメチルシリルアジド、アジ化ナトリウムなどが挙げられる。例えば、アルコール類をアジド化する場合、ジフェニルホスホリルアジドと1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)を用いる方法やトリメチルシリルアジドとルイス酸を用いる方法などがある。
【0107】
各工程において、還元的アミノ化反応を行う場合、使用される還元剤としては、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素、ギ酸などが挙げられる。基質がアミン化合物の場合は、使用されるカルボニル化合物としては、パラホルムアルデヒドの他、アセトアルデヒドなどのアルデヒド類、シクロヘキサノンなどのケトン類が挙げられる。基質がカルボニル化合物の場合は、使用されるアミン類としては、アンモニア、メチルアミンなどの1級アミン;ジメチルアミンなどの2級アミンなどが挙げられる。
【0108】
各工程において、光延反応を行う場合、試薬としては、アゾジカルボン酸エステル類(例、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)など)およびトリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等のホスフィン類が用いられる。
【0109】
各工程において、エステル化反応、アミド化反応、あるいはウレア化反応を行う場合、使用される試薬としては、酸クロリド、酸ブロミドなどのハロゲン化アシル体;酸無水物、活性エステル体、硫酸エステル体など活性化されたカルボン酸類が挙げられる。カルボン酸の活性化剤としては、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSCD)などのカルボジイミド系縮合剤;4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロライド-n-ハイドレート(DMT-MM)などのトリアジン系縮合剤;1,1-カルボニルジイミダゾール(CDI)などの炭酸エステル系縮合剤;ジフェニルリン酸アジド(DPPA);ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリスジメチルアミノホスホニウム塩(BOP試薬);ヨウ化2-クロロ-1-メチル-ピリジニウム(向山試薬);塩化チオニル;クロロギ酸エチルなどのハロギ酸低級アルキル;O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロリン酸塩(HATU);硫酸;あるいはこれらの組み合わせなどが挙げられる。カルボジイミド系縮合剤を用いる場合、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、N-ヒドロキシコハク酸イミド(HOSu)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)などの添加剤をさらに反応に加えてもよい。
【0110】
各工程において、カップリング反応を行う場合、使用される金属触媒としては、酢酸パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリエチルホスフィン)パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、塩化1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)などのパラジウム化合物;テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)などのニッケル化合物;塩化トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(III)などのロジウム化合物;コバルト化合物;酸化銅、ヨウ化銅(I)などの銅化合物;白金化合物などが挙げられる。さらに反応に塩基を加えてもよく、このような塩基としては、無機塩基類などが挙げられる。
【0111】
各工程において、チオカルボニル化反応を行う場合、チオカルボニル化剤としては、代表的には五硫化二リンが用いられるが、五硫化二リンの他に、2,4-ビス(4-メトキシフェニル)-1,3,2,4-ジチアジホスフェタン-2,4-ジスルフィド(Lawesson試薬)などの1,3,2,4-ジチアジホスフェタン-2,4-ジスルフィド構造を持つ試薬を用いてもよい。
【0112】
各工程において、Wohl-Ziegler反応を行う場合、使用されるハロゲン化剤としては、N-ヨードコハク酸イミド、N-ブロモコハク酸イミド(NBS)、N-クロロコハク酸イミド(NCS)、臭素、塩化スルフリルなどが挙げられる。さらに、熱、光、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルなどのラジカル開始剤を反応に加えることで、反応を加速させることができる。
【0113】
各工程において、ヒドロキシ基のハロゲン化反応を行う場合、使用されるハロゲン化剤としては、ハロゲン化水素酸と無機酸の酸ハロゲン化物、具体的には、塩素化では、塩酸、塩化チオニル、オキシ塩化リンなど、臭素化では、48%臭化水素酸などが挙げられる。また、トリフェニルホスフィンと四塩化炭素または四臭化炭素などとの作用により、アルコールからハロゲン化アルキル体を得る方法を用いてもよい。あるいは、アルコールをスルホン酸エステルに変換の後、臭化リチウム、塩化リチウムまたはヨウ化ナトリウムと反応させるような2段階の反応を経てハロゲン化アルキル体を合成する方法を用いてもよい。
【0114】
各工程において、Arbuzov反応を行う場合、使用される試薬としては、ブロモ酢酸エチルなどのハロゲン化アルキル類;トリエチルホスファイトやトリ(イソプロピル)ホスファイトなどのホスファイト類が挙げられる。
【0115】
各工程において、スルホン酸エステル化反応を行う場合、使用されるスルホニル化剤としては、メタンスルホニルクロリド、p-トルエンスルホニルクロリド、メタンスルホン酸無水物、p-トルエンスルホン酸無水物などが挙げられる。
【0116】
各工程において、加水分解反応を行う場合、試薬としては、酸または塩基が用いられる。また、tert-ブチルエステルの酸加水分解反応を行う場合、副生するtert-ブチルカチオンを還元的にトラップするためにギ酸やトリエチルシランなどを加えることがある。
【0117】
各工程において、脱水反応を行う場合、使用される脱水剤としては、硫酸、五酸化二リン、オキシ塩化リン、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド、アルミナ、ポリリン酸などが挙げられる。
【0118】
化合物(I)は化合物(II)より以下の方法で製造することができる。
【0119】
【化6】
【0120】
[式中の各記号は前記と同義である。]
【0121】
化合物(II)は、自体公知の方法に従って合成するか、または市販のものをそのまま使用することができる。
【0122】
化合物(III)は、化合物(II)をアミド化反応に供することにより製造できる。
【0123】
化合物(IV)は、化合物(III)を光延反応に供することにより製造できる。
【0124】
化合物(V)は、化合物(IV)を還元反応に供することにより製造できる。
【0125】
化合物(I)は、化合物(V)の環化反応により製造することができる。反応剤としては、-L-環Dに対応するアルデヒド、酸クロリド等が挙げられる。亜硫酸水素ナトリウム、トリエチルアミン等を加えることがある。
【0126】
このようにして得られた化合物(I)において、分子内の官能基は、自体公知の化学反応を組み合わせることにより目的の官能基に変換することもできる。ここで、化学反応の例としては、酸化反応、還元反応、アルキル化反応、アシル化反応、ウレア化反応、加水分解反応、アミノ化反応、エステル化反応、アリールカップリング反応、脱保護反応等が挙げられる。
【0127】
上記製造法において、原料化合物が置換基としてアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、カルボニル基またはメルカプト基を有する場合、これらの基にペプチド化学等で一般的に用いられるような保護基が導入されていてもよく、反応後に必要に応じて保護基を除去することにより目的化合物を得ることができる。
【0128】
上記製造法により得られた化合物(I)は、公知の手段、例えば、溶媒抽出、液性変換、転溶、晶出、再結晶、クロマトグラフィー等によって単離精製することができる。
化合物(I)が、光学異性体、立体異性体、位置異性体、回転異性体を含有する場合には、これらも化合物(I)として含有されるとともに、自体公知の合成手法、分離手法によりそれぞれを単品として得ることができる。例えば、化合物(I)に光学異性体が存在する場合には、該化合物から分割された光学異性体も化合物(I)に包含される。
ここで、光学異性体は自体公知の方法により製造することができる。
化合物(I)は、結晶であってもよい。
化合物(I)の結晶(以下、本発明の結晶と略記することがある)は、化合物(I)に自体公知の結晶化法を適用して、結晶化することによって製造することができる。
【0129】
本明細書中、融点は、例えば、微量融点測定器(ヤナコ、MP-500D型またはBuchi、B-545型)またはDSC(示差走査熱量分析)装置(SEIKO、EXSTAR6000)等を用いて測定される融点を意味する。
一般に、融点は、測定機器、測定条件等によって変動する場合がある。本明細書中の結晶は、通常の誤差範囲内であれば、本明細書に記載の融点と異なる値を示す結晶であってもよい。
【0130】
上記化合物は、水和物、非水和物、溶媒和物、無溶媒和物のいずれであってもよい。
また、上記化合物は、同位元素(例、H、H、11C、14C、18F、35S、125Iなど)などで標識または置換された化合物であってもよい。
HをH(D)に変換した重水素変換体も、上記化合物に包含される。
互変異性体も、上記化合物に包含される。
上記化合物は、薬学的に許容され得る共結晶または共結晶塩であってもよい。ここで、共結晶または共結晶塩とは、各々が異なる物理的特性(例えば、構造、融点、融解熱、吸湿性、溶解性および安定性等)を持つ、室温で二種またはそれ以上の独特な固体から構成される結晶性物質を意味する。共結晶または共結晶塩は、自体公知の共結晶化法に従い製造することができる。
【0131】
本発明の心筋細胞成熟促進剤は、そのまま、あるいは、薬理学的に許容される担体を配合し、自体公知の方法で製剤化して用いられる。
【0132】
化合物(I)は、優れた心筋細胞成熟促進化作用を有するので、心筋細胞成熟促進剤として有用である。従って、未成熟心筋細胞を化合物(I)またはその塩の存在下で培養することにより、培地成分のみで培養するよりも短期間に、成熟心筋細胞を製造することができる。
【0133】
本明細書中、「多能性(pluripotency)」とは、種々の異なった形態や機能を持つ組織や細胞に分化でき、3胚葉のどの系統の細胞にも分化し得る能力を意味する。「多能性(pluripotency)」は、胚盤には分化できず、したがって個体を形成する能力はないという点で、胚盤を含めて、生体のあらゆる組織に分化しうる「全能性(totipotency)」とは区別される。
【0134】
本明細書中、「多能性(multipotency)」とは、複数の限定的な数の系統の細胞へと分化できる能力を意味する。例えば、間葉系幹細胞、造血幹細胞、神経幹細胞はmultipotentだが、pluripotentではない。
【0135】
本明細書中、「幹細胞(stem cell)」としては、例えば、多能性幹細胞(pluripotent stem cell)が挙げられる。
【0136】
化合物(I)を適用する「心筋細胞」は、特に限定はないが、好ましくは、哺乳動物(例、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、ブタ、サル、ヒト)由来であり、より好ましくはヒト由来である。
【0137】
化合物(I)により成熟促進可能な心筋細胞としては、後述するマーカー発現レベル、形態や構造(例、サルコメア、ミトコンドリア)、性質(例、拍動状態、電位生理学的な成熟度)などから未成熟な状態と判断できれば特に限定はない。
化合物(I)により成熟促進可能な心筋細胞はまた、多能性幹細胞から分化誘導された細胞であってもよい。あるいは、生体から分離された未熟な心筋細胞(例えば、マウスやラットの胎仔もしくは新生仔由来の心筋細胞)であってもよい。
【0138】
多能性幹細胞は、以下のものに限定されないが、例えば、胚性幹(ES)細胞、精子幹細胞(「GS細胞」)、胚性生殖細胞(「EG細胞」)、人工多能性幹(iPS)細胞、核移植により得られるクローン胚由来の胚性幹(ntES)細胞などが含まれる。好ましい多能性幹細胞は、ES細胞、iPS細胞およびntES細胞である。
【0139】
(A) 胚性幹細胞
ES細胞は、ヒトやマウスなどの哺乳動物の初期胚(例えば胚盤胞)の内部細胞塊から樹立された、多能性と自己複製による増殖能を有する幹細胞である。
ES細胞は、受精卵の8細胞期、桑実胚後の胚である胚盤胞の内部細胞塊に由来する胚由来の幹細胞であり、成体を構成するあらゆる細胞に分化する能力、いわゆる分化多能性と、自己複製による増殖能とを有している。ES細胞は、マウスで1981年に発見され(M.J. Evans and M.H. Kaufman (1981), Nature 292:154-156)、その後、ヒト、サルなどの霊長類でもES細胞株が樹立された (J.A. Thomson et al. (1998), Science 282:1145-1147; J.A. Thomson et al. (1995), Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 92:7844-7848;J.A. Thomson et al. (1996), Biol. Reprod., 55:254-259; J.A. Thomson and V.S. Marshall (1998), Curr. Top. Dev. Biol., 38:133-165)。
ES細胞は、対象動物の受精卵の胚盤胞から内部細胞塊を取出し、内部細胞塊を線維芽細胞のフィーダー上で培養することによって樹立することができる。また、継代培養による細胞の維持は、白血病抑制因子(leukemia inhibitory factor (LIF))、塩基性線維芽細胞成長因子(basic fibroblast growth factor (bFGF))などの物質を添加した培養液を用いて行うことができる。ヒトおよびサルのES細胞の樹立と維持の方法については、例えばUSP5,843,780; Thomson JA, et al. (1995), Proc Natl. Acad. Sci. U S A. 92:7844-7848; Thomson JA, et al. (1998), Science. 282:1145-1147; H. Suemori et al. (2006), Biochem. Biophys. Res. Commun., 345:926-932; M. Ueno et al. (2006), Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103:9554-9559; H. Suemori et al. (2001), Dev. Dyn., 222:273-279;H. Kawasaki et al. (2002), Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 99:1580-1585;Klimanskaya I, et al. (2006), Nature. 444:481-485などに記載されている。
ES細胞作製のための培養液として、例えば0.1mM 2-メルカプトエタノール、0.1mM 非必須アミノ酸、2mM L-グルタミン酸、20% KSR及び4ng/ml bFGFを補充したDMEM/F-12培養液を使用し、37℃、2% CO2/98% 空気の湿潤雰囲気下でヒトES細胞を維持することができる(O. Fumitaka et al. (2008), Nat. Biotechnol., 26:215-224)。また、ES細胞は、3~4日おきに継代する必要があり、このとき、継代は、例えば1mM CaCl2及び20% KSRを含有するPBS中の0.25% トリプシン及び0.1mg/mlコラゲナーゼIVを用いて行うことができる。
ES細胞の選択は、一般に、アルカリホスファターゼ、Oct-3/4、Nanogなどの遺伝子マーカーの発現を指標にしてReal-Time PCR法で行うことができる。特に、ヒトES細胞の選択では、OCT-3/4、NANOG、ECADなどの遺伝子マーカーの発現を指標とすることができる(E. Kroon et al. (2008), Nat. Biotechnol., 26:443-452)。
ES細胞としては、マウスES細胞であれば、inGenious targeting laboratory社、理研(理化学研究所)等が樹立した各種マウスES細胞株が利用可能であり、ヒトES細胞であれば、NIH、理研、京都大学、Cellartis社が樹立した各種ヒトES細胞株が利用可能である。たとえば、ヒトES細胞株としては、NIHのCHB-1~CHB-12株、RUES1株、RUES2株、HUES1~HUES28株等、WisCell ResearchのH1株、H9株、理研のKhES-1株、KhES-2株、KhES-3株、KhES-4株、KhES-5株、SSES1株、SSES2株、SSES3株等を利用することができる。あるいは、臨床グレードの細胞株並びにそれらの細胞株を用いて作製された研究用および臨床用の細胞株等を用いてもよい。
【0140】
(B) 精子幹細胞
精子幹細胞は、精巣由来の多能性幹細胞であり、精子形成のための起源となる細胞である。この細胞は、ES細胞と同様に、種々の系列の細胞に分化誘導可能であり、例えばマウス胚盤胞に移植するとキメラマウスを作出できるなどの性質をもつ(M. Kanatsu-Shinohara et al. (2003) Biol. Reprod., 69:612-616; K. Shinohara et al. (2004), Cell, 119:1001-1012)。神経膠細胞系由来神経栄養因子(glial cell line-derived neurotrophic factor (GDNF))を含む培養液で自己複製可能であるし、またES細胞と同様の培養条件下で継代を繰り返すことによって、精子幹細胞を得ることができる(竹林正則ら(2008),実験医学,26巻,5号(増刊),41~46頁,羊土社(東京、日本))。
【0141】
(C) 胚性生殖細胞
胚性生殖細胞は、胎生期の始原生殖細胞から樹立される、ES細胞と同様な多能性をもつ細胞であり、LIF、bFGF、幹細胞因子(stem cell factor)などの物質の存在下で始原生殖細胞を培養することによって樹立しうる(Y. Matsui et al. (1992), Cell, 70:841-847; J.L. Resnick et al. (1992), Nature, 359:550-551)。
【0142】
(D) 人工多能性幹細胞
「人工多能性幹細胞(iPSC)」とは、哺乳動物体細胞又は未分化幹細胞に、特定の因子(核初期化因子)を導入して再プログラミングすることにより得られる細胞を指す。現在、「人工多能性幹細胞」にはさまざまなものがあり、山中らにより、マウス線維芽細胞にOct3/4・Sox2・Klf4・c-Mycの4因子を導入することにより、樹立されたiPSC(Takahashi K, Yamanaka S., Cell, (2006) 126: 663-676)のほか、同様の4因子をヒト線維芽細胞に導入して樹立されたヒト細胞由来のiPSC(Takahashi K, Yamanaka S., et al. Cell, (2007) 131: 861-872.)、上記4因子導入後、Nanogの発現を指標として選別し、樹立したNanog-iPS細胞(Okita, K., Ichisaka, T., and Yamanaka, S. (2007). Nature 448, 313-317.)、c-Mycを含まない方法で作製されたiPS細胞(Nakagawa M, Yamanaka S., et al. Nature Biotechnology, (2008) 26, 101 - 106)、ウイルスフリー法で6因子を導入して樹立されたiPS細胞(Okita K et al. Nat. Methods 2011 May;8(5):409-12, Okita K et al. Stem Cells. 31(3):458-66.)も用いることができる。また、Thomsonらにより作製されたOCT3/4・SOX2・NANOG・LIN28の4因子を導入して樹立された人工多能性幹細胞(Yu J., Thomson JA. et al., Science (2007) 318: 1917-1920.)、Daleyらにより作製された人工多能性幹細胞(Park IH, Daley GQ. et al., Nature (2007) 451: 141-146)、桜田らにより作製された人工多能性幹細胞(特開2008-307007号)等も用いることができる。
このほか、公開されているすべての論文(例えば、Shi Y., Ding S., et al., Cell Stem Cell, (2008) Vol3, Issue 5,568-574;、Kim JB., Scholer HR., et al., Nature, (2008) 454, 646-650;Huangfu D., Melton, DA., et al., Nature Biotechnology, (2008) 26, No 7, 795-797)、あるいは特許(例えば、特開2008-307007号、特開2008-283972号、US2008-2336610、US2009-047263、WO2007-069666、WO2008-118220、WO2008-124133、WO2008-151058、WO2009-006930、WO2009-006997、WO2009-007852)に記載されている当該分野で公知の人工多能性幹細胞のいずれも用いることができる。
人工多能性細胞株としては、NIH、理研、京都大学等が樹立した各種iPSC株が利用可能である。例えば、ヒトiPSC株であれば、理研のHiPS-RIKEN-1A株、HiPS-RIKEN-2A株、HiPS-RIKEN-12A株、Nips-B2株、京都大学の253G1株、201B7株、409B2株、454E2株、606A1株、610B1株、648A1株等が挙げられる。あるいは、京都大学やCellular Dynamics International等から提供される臨床グレードの細胞株並びにそれらの細胞株を用いて作製された研究用および臨床用の細胞株等を用いてもよい。
【0143】
本明細書中で使用する「体細胞」なる用語は、卵子、卵母細胞、ES細胞などの生殖系列細胞または分化全能性細胞を除くあらゆる動物細胞(好ましくは、ヒトを含む哺乳動物細胞)をいう。体細胞には、非限定的に、胎児(仔)の体細胞、新生児(仔)の体細胞、及び成熟した健全なもしくは疾患性の体細胞のいずれも包含されるし、また、初代培養細胞、継代細胞、及び株化細胞のいずれも包含される。具体的には、体細胞は、例えば(1)神経幹細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞、歯髄幹細胞等の組織幹細胞(体性幹細胞)、(2)組織前駆細胞、(3)リンパ球、上皮細胞、内皮細胞、筋肉細胞、線維芽細胞(皮膚細胞等)、毛細胞、肝細胞、胃粘膜細胞、腸細胞、脾細胞、膵細胞(膵外分泌細胞等)、脳細胞、肺細胞、腎細胞および脂肪細胞等の分化した細胞などが例示される。
本発明において、体細胞を採取する由来となる哺乳動物個体は特に制限されないが、好ましくはヒトである。得られるiPS細胞がヒトの再生医療用途に使用される場合には、拒絶反応が起こらないという観点から、患者本人またはHuman leukocyte antigen(HLA)の型が同一もしくは実質的に同一である他人から体細胞を採取することが特に好ましい。ここでHLAの型が「実質的に同一」とは、免疫抑制剤などの使用により、該体細胞由来のiPS細胞から分化誘導することにより得られた細胞を患者に移植した場合に移植細胞が生着可能な程度にHLAの型が一致していることをいう。例えば主たるHLA(例えばHLA-A、HLA-BおよびHLA-DRの3遺伝子座)が同一である場合などが挙げられる(以下同じ)。一方、ヒトに投与(移植)しない場合、例えば、候補薬剤の心筋細胞への毒性を試験する方法においては、iPS細胞のソースとなる体細胞の由来は特に制限されない。患者の薬剤感受性や副作用の有無を評価するためのスクリーニング用の細胞のソースとしてiPS細胞を使用する場合には、患者本人または薬剤感受性や副作用と相関する遺伝子多型が同一である他人から体細胞を採取することが望ましい。
【0144】
(E) 核移植により得られたクローン胚由来のES細胞
nt ES細胞は、核移植技術によって作製されたクローン胚由来のES細胞であり、受精卵由来のES細胞とほぼ同じ特性を有している(T. Wakayama et al. (2001), Science, 292:740-743; S. Wakayama et al. (2005), Biol. Reprod., 72:932-936; J. Byrne et al. (2007), Nature, 450:497-502)。すなわち、未受精卵の核を体細胞の核と置換することによって得られたクローン胚由来の胚盤胞の内部細胞塊から樹立されたES細胞がnt ES(nuclear transfer ES)細胞である。nt ES細胞の作製のためには、核移植技術(J.B. Cibelli et al. (1998), Nature Biotechnol., 16:642-646)とES細胞作製技術(上記)との組み合わせが利用される(若山清香ら(2008),実験医学,26巻,5号(増刊), 47~52頁)。核移植においては、哺乳動物の除核した未受精卵に、体細胞の核を注入し、数時間培養することで初期化することができる。
【0145】
本発明において「心筋細胞」とは、少なくとも心筋トロポニン(cTNT)、αMHC(α myosin heavy chain、MYH6)およびβMHC(MYH7)から成る群から選択される少なくとも一つのマーカー遺伝子を発現している細胞を意味する。cTNTは、ヒトの場合NCBIのaccession番号NM_000364が例示され、マウスの場合、NM_001130176が例示される。αMHCは、ヒトの場合NCBIのaccession番号NM_002471が例示され、マウスの場合、NM_001164171が例示される。βMHCは、ヒトの場合NCBIのaccession番号NM_000257が例示され、マウスの場合、NM_080728 が例示される。
心筋細胞は成熟化するにつれてトロポニンI1(TNNI1)の発現が減少し、トロポニンI3(TNNI3)の発現が上昇するアイソフォームスイッチが起こることが知られている(Fikru B. Bedada,(2014) 3(4): 594-605.)。本明細書において、心筋が成熟化した(している)とは、少なくともTNNI3の発現が上昇していることを意味する。
【0146】
多能性幹細胞から未成熟の心筋細胞への分化誘導方法として、例えばLaf Lamme MAらにより報告された方法により、多能性幹細胞から心筋細胞を製造することができる(Laflamme ΜΑ &Murry CE, Nature 2011, Review)。
この他にも特に特定されないが、例えば、人工多能性幹細胞を浮遊培養により細胞塊(胚様体)を形成させて心筋細胞を製造する方法、Bone Morphogenic Protein(BMP)シグナル伝達を抑制する物質の存在下で心筋細胞を製造する方法(WO2005/033298)、Activin AとBMPを順に添加させて心筋細胞を製造する方法(WO2007/002136)、カノニカルWntシグナル経路の活性化を促す物質の存在下で心筋細胞を製造する方法(WO2007/126077)および人工多能性幹細胞からFLk/KDR陽性細胞を単離し、シクロスポリンAの存在下で心筋細胞を製造する方法(WO2009/118928)などが例示される。
また、胚様体形成法でサイトカインを用いて心筋細胞を分化誘導する方法(Yang L, et al.、 Human cardiovascular progenitor cells develop from a KDR+ embryonic-stem-cell-derived population.、 Nature.、 2008 May 22;453(7194):524-8)、接着培養でサイトカインを使わずに心筋細胞を分化誘導する方法(Lian X, et al.、 Robust cardiomyocyte differentiation from human pluripotent stem cells via temporal modulation of canonical Wnt signaling.、 Proc Natl Acad Sci U S A.、 2012 July 3;109(27):E1848-57)、接着培養と、浮遊培養とを併用し、サイトカインを使わずに心筋細胞を分化誘導する方法(Minami I, et al.、 A small molecule that promotes cardiac differentiation of human pluripotent stem cells under defined, cytokine- and xeno-free conditions.、 Cell Rep.、 2012 Nov 29;2(5):1448-60)なども提案されている。
【0147】
未成熟の心筋細胞を多能性幹細胞から得るための培地としては、自体公知の培地を特に限定されずに用いることができる。例えばIMDM培地、Medium 199培地、Eagle's Minimum Essential Medium (EMEM)培地、αMEM培地、Dulbecco's modified Eagle's Medium (DMEM)培地、Ham's F12培地、RPMI 1640培地、Fischer's培地、Neurobasal Medium(ライフテクノロジーズ)、StemPro34(invitrogen)、StemFit AK02からC液を除いた培地(AJINOMOTO AK02のA液400mLおよびB液100mLの計500mL)、Essential 6 medium (Thermo Fischer Scientific)およびこれらの混合培地などが用いられる。
これらの培地には、細胞や培養条件毎に、自体公知の添加物を添加することができる。例えば、培地は、血清が含有されていてもよいし、あるいは無血清でもよい。さらに必要に応じて、培地は、例えば、アルブミン、トランスフェリン、Knockout Serum Replacement(KSR)(ES細胞培養時のFBSの血清代替物)、N2サプリメント(Invitrogen)、B27サプリメント(Invitrogen)、脂肪酸、インスリン、コラーゲン前駆体、微量元素、2-メルカプトエタノール、1-チオールグリセロールなどの1つ以上の血清代替物を含んでもよいし、脂質、アミノ酸、L-グルタミン、Glutamax(Invitrogen)、非必須アミノ酸、ビタミン、増殖因子、低分子化合物、抗生物質、抗酸化剤、ピルビン酸、緩衝剤、無機塩類などの1つ以上の物質を含んでいてもよい。これらの中でも好ましい培地は、トランスフェリン、1-チオールグリセロール、L-グルタミン、アスコルビン酸をそれぞれ含有するStemPro34またはStemFit AK02からC液を除いた培地、もしくはB27サプリメントを含有するRPMI1640である。
【0148】
上記培地を用いて心筋細胞へ分化誘導する最初の添加物としては、アクチビンA、BMP4およびbFGFの組み合わせか、あるいはCHIR99021が挙げられる。
アクチビンA、BMP4およびbFGFの組み合わせの場合、これらの添加物の使用濃度は、好ましくは、アクチビンAが1ng/ml~100ng/ml、BMP4が1ng/ml~100ng/ml、bFGFが1ng/ml~100ng/mlであり、より好ましくは、アクチビンAが6ng/ml、BMP4が10ng/ml、bFGFが5ng/mlである。
CHIR99021の場合、その使用濃度は、好ましくは100nM~100μMであり、より好ましくは4~6μMである。
【0149】
上記添加物を加えた後、血管内皮増殖因子(VEGF)及びWnt阻害剤を培地へ添加することで心筋細胞へ誘導することができる。
使用するVEGFの濃度は、好ましくは1~100ng/mlであり、より好ましくは10ng/mlである。
Wnt阻害剤としては、DKK1タンパク質(例えば、ヒトの場合、NCBIのアクセッション番号:NM_012242)、スクレロスチン(例えば、ヒトの場合、NCBIのアクセッション番号:NM_025237)、IWR-1(Merck Millipore)、IWP-2(Sigma-Aldrich)、IWP-3(Sigma-Aldrich)、IWP-4(Sigma-Aldrich)、PNU-74654(Sigma-Aldrich)、XAV939(Sigma-Aldrich)およびこれらの誘導体などが例示され、中でも、IWP-3、IWP-4、IWR-1が好ましく用いられる。
使用するWnt阻害剤の濃度、Wntを阻害する濃度であれば特に限定されないが1nM~50μMが好ましく、特に好ましくは1~2μMである。
【0150】
未成熟の心筋細胞を多能性幹細胞から得るための培養期間としては、例えば、5~365日、好ましくは5~100日、より好ましくは5~60日、さらに好ましくは5~40日、さらに一層好ましくは5~30日である。
【0151】
本発明の心筋細胞成熟促進剤における化合物の使用量は、特に限定するものではないが、未成熟の心筋細胞1×10~1×10細胞あたり、例えば、0.01~100μM、好ましくは0.1~30μM、さらに好ましくは1~10μMである。
【0152】
本発明の心筋細胞成熟促進剤は、本明細書に記載される特定の化合物を単独で含んでもよいし、またはこれらの化合物の1以上の組み合わせを含んでいてもよい。あるいは、本発明の心筋細胞成熟促進剤は、本明細書に記載される特定の化合物の1以上と、心筋細胞成熟促進化作用を有する本明細書に記載された以外の化合物(例えば本明細書の試験例に記載の方法などに従って心筋細胞成熟促進化作用を有することが確認できる化合物、例えば、2-メトキシ-5-((Z)-2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)ビニル)フェノール、(1-エチル-1H-ベンゾトリアゾール-5-イル)メチル (2-(2-メトキシ-4-メチルフェニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-5-イル)カルバマート、(2'beta)-22-オキソビンカロイコブラスチン、2-(2-(4-クロロフェニル)エチル)-6-(2-フリル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン、4,5-アンヒドロ-1,2-ジデオキシ-4-メチル-2-((N-(モルホリン-4-イルアセチル)-L-アラニル-O-メチル-L-チロシル)アミノ)-1-フェニル-L-threo-ペント-3-ウロース、3-(3-メトキシフェニル)-N7,N7-ジメチルイソキノリン-1,7-ジアミン、メチル 4-(2-ベンジルベンゾイル)-2,5-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキシラート、2'-(4-アミノフェニル)-1H,1'H-2,5'-ビベンゾイミダゾール-5-アミン、およびそれらの塩)の1以上を組み合わせて含んでいてもよい。
【0153】
心筋細胞の成熟度の指標としては、心筋成熟化マーカーの発現レベル、形態や構造(例、サルコメア、ミトコンドリア)、性質(例、拍動状態、電位生理学的な成熟度)などが挙げられる。これらの指標は自体公知の方法で確認できる。
例えば、心筋成熟化マーカーの発現レベルは、マーカー遺伝子の発現量をPCRを用いて測定する;マーカータンパク質の発現量をウエスタンブロット等により解析する;または蛍光標識により顕微鏡もしくはフローサイトメーターにより解析することができる。電位生理学的な成熟度の指標は、パッチクランプにより静止膜電位の深さ等を用いることができる。サルコメアの微細構造やミトコンドリアの指標は、電子顕微鏡により観察するか;蛍光標識により顕微鏡もしくはフローサイトメーターにより解析するか;またはextracellular flux analyzerなどにより機能解析することができる。
【0154】
一つの実施形態では、本発明の化合物(I)を用いて得られた成熟した心筋細胞は心臓の再生医療に用いることができる。例えば、心臓疾患に罹患している患者の心臓に、本発明の方法で製造した心筋細胞の細胞塊を含む組成物を投与することができる。具体的には、本発明の方法で得られた心筋細胞は、そのまま細胞懸濁液として、あるいは、心筋シート(単層または多層)の形で、心疾患患者の心臓に移植してもよい。心筋シートの製造法については、例えば、WO2012/133945、WO2013/137491、WO2014/192909、WO2016/076368を参照のこと。
別の実施形態では、本発明の化合物(I)を用いて得られた心筋細胞は均一に成熟しており、心疾患の治療のための薬剤スクーニングや薬剤の心毒性評価に利用することもできる。例えば、本発明の方法で得られた心筋細胞に試験薬剤を投与し、心筋細胞の応答を調べることにより、試験薬剤の効果や毒性の評価を行うことができる。
別の実施形態では、本発明の化合物(I)を用いて得られた自動能が低下した心筋細胞は心臓の再生医療に用いることができる。
【実施例
【0155】
本発明は、更に以下の実施例、試験例によって詳しく説明されるが、これらは本発明を限定するものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
以下の実施例中の「室温」は通常約10℃ないし約35℃を示す。混合溶媒において示した比は、特に断らない限り容量比を示す。%は、特に断らない限り重量%を示す。
実施例のカラムクロマトグラフィーにおける溶出は、特に言及しない限り、TLC(Thin Layer Chromatography,薄層クロマトグラフィー)による観察下に行った。TLC観察においては、TLCプレートとしてメルク(Merck)社製の60 F254を用い、展開溶媒として、カラムクロマトグラフィーで溶出溶媒として用いた溶媒を用いた。また、検出にはUV検出器を採用した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにおいて、NHと記載した場合はアミノプロピルシラン結合シリカゲルを、Diolと記載した場合は3-(2,3-ジヒドロキシプロポキシ)プロピルシラン結合シリカゲルを用いた。分取HPLC(高速液体クロマトグラフィー)において、C18と記載した場合はオクタデシル結合シリカゲルを用いた。溶出溶媒において示した比は、特に断らない限り容量比を示す。
H NMRの解析にはACD/SpecManager(商品名)ソフトウエアなどを用いた。水酸基やアミノ基などのプロトンピークが非常に緩やかなピークについては記載していないことがある。
MSは、LC/MSにより測定した。イオン化法としては、ESI法、または、APCI法を用いた。データは実測値(found)を示す。通常、分子イオンピークが観測されるがフラグメントイオンとして観測されることがある。塩の場合は、通常、フリー体の分子イオンピークもしくはフラグメントイオンピークが観測される。
旋光度([α])における試料濃度(c)の単位はg/100mLである。
元素分析値(Anal.)は計算値(Calcd)と実測値(Found)として示す。
【0156】
実施例の粉末X線回折によるピークは、線源としてCu Kα線を用い、Ultima IV(Rigaku Corporation,Japan)を使って室温において測定されるピークを意味する。測定条件は以下のとおりである。
Electric pressure/Electric current:40 kV/50 mA
Scan speed:6 degree/min
Scan range of 2 Theta:2-35 degree
実施例の粉末X線回折による結晶化度はHermans法により算出した。
以下の実施例においては下記の略号を使用する。
mp:融点
MS:マススペクトル
M:モル濃度
N:規定度
CDCl:重クロロホルム
DMSO-d:重ジメチルスルホキシド
H NMR:プロトン核磁気共鳴
LC/MS:液体クロマトグラフ質量分析計
ESI:electrospray ionization、エレクトロスプレーイオン化
APCI:atomospheric pressure chemical ionization、大気圧化学イオン化
THF : テトラヒドロフラン
MeOH : メタノール
EtOH : エタノール
TEA : トリエチルアミン
DEAD : ジエチル (E)-ジアゼン-1,2-ジカルボキシラート
【0157】
実施例1
2-(2-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール-5-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)イソインドリン-1-オン
【0158】
A) 5-(ピペリジン-1-イル)-2-ベンゾフラン-1(3H)-オン
5-ブロモ-2-ベンゾフラン-1(3H)-オン(25.0g)とピペリジン(13.92mL)とトルエン(250mL)の混合物に酢酸パラジウム(2.63g)と2,2’-ビス(ジフェニルフォスフィノ)-1,1’-ビナフチル(10.96g)と炭酸セシウム(26.78g)を室温で加えた。混合物を100 ℃で12時間撹拌した。混合物にジクロロメタンを加え、セライトで不純物を濾去し、濾液を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル)で精製し、標題化合物(13.0g)を得た。
MS: [M+H]+218.
【0159】
B) N-(4-アミノ-3-ニトロフェニル)-2-(ヒドロキシメチル)-4-(ピペリジン-1-イル)ベンズアミド
2-ニトロベンゼン-1,4-ジアミン(9.17g)とTHF(200mL)の混合物に2Mトリメチルアルミニウムトルエン溶液(65.89mL)を0 ℃で滴下し、混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物に5-(ピペリジン-1-イル)-2-ベンゾフラン-1(3H)-オン(13.0g)とTHF(100mL)の混合物を室温で加え、反応混合物を室温で48時間撹拌した。混合物に0 ℃にて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、セライトで不純物を濾去し、濾液を酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH /ジクロロメタン)で精製し、標題化合物(3.35g)を得た。
MS[M+H]+371.
【0160】
C) 2-(4-アミノ-3-ニトロフェニル)-5-(ピペリジン-1-イル)イソインドリン-1-オン
N-(4-アミノ-3-ニトロフェニル)-2-(ヒドロキシメチル)-4-(ピペリジン-1-イル)ベンズアミド(3.35g)、トリブチルホスフィン(2.9mL)とTHF(130mL)の混合物にDEAD(5.12mL)を室温で加えた。混合物を室温で 16時間撹拌後、反応液を濃縮した。得られた残渣に水と酢酸エチルを加え、生じた固体をろ過し、酢酸エチルで洗浄後乾燥し、標題化合物(1.68g)を得た。
MS[M+H]+353.
【0161】
D) 2-(3,4-ジアミノフェニル)-5-(ピペリジン-1-イル)イソインドリン-1-オン
2-(4-アミノ-3-ニトロフェニル)-5-(ピペリジン-1-イル)イソインドリン-1-オン(1.68g)とEtOH(80mL)の混合物に10%パラジウム炭素(1.68g)を室温で加えた。混合物を3.4気圧の水素雰囲気下、室温で12時間撹拌した。触媒を濾去し、濾液を減圧下濃縮して標題化合物(1.0g)を得た。
MS[M+H]+323.
【0162】
E) 2-(2-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール-5-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)イソインドリン-1-オン
2-(3,4-ジアミノフェニル)-5-(ピペリジン-1-イル)イソインドリン-1-オン(0.075g)とTHF(2mL)の混合物にTEA(0.035mL)と、ベンゾイル クロリド(0.027mL)とTHF(1mL)の混合物を0 ℃で加えた。混合物を0 ℃で30分間撹拌後、室温で1時間撹拌し、反応液を濃縮した。得られた残渣を酢酸エチル-THF-水で分配し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣にMeOH(5mL)と濃塩酸(0.3mL)を加え、混合物を12時間還流し、反応液を濃縮した。得られた残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、生じた固体をろ取し、酢酸エチルで洗浄後乾燥し、標題化合物(0.037g)を得た。
【0163】
実施例2
2-(2-ベンジル-1H-ベンゾイミダゾール-5-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)イソインドリン-1-オン
フェニルアセトアルデヒド(0.046g)とEtOH(2mL)の混合物に亜硫酸水素ナトリウム(0.181g)と2-(3,4-ジアミノフェニル)-5-(ピペリジン-1-イル)イソインドリン-1-オン(0.125g)を0 ℃で加えた。室温で 16時間撹拌後、反応液を濃縮した。得られた残渣に水を加え、生じた固体をろ過し、水で洗浄した。残渣をHPLC(L-Column 2 ODS, 移動相:水/アセトニトリル(0.1% ギ酸含有系))で精製し、標題化合物(0.024g)を得た。
【0164】
実施例3
2-(2-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-1H-ベンゾイミダゾール-5-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)イソインドリン-1-オン
4-(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(0.082g)とEtOH(2mL)の混合物に亜硫酸水素ナトリウム(0.181g)と2-(3,4-ジアミノフェニル)-5-(ピペリジン-1-イル)イソインドリン-1-オン(0.125g)を0 ℃で加えた。室温で 18時間撹拌後、反応液を濃縮した。残渣に水を加え、生じた固体をろ過し、水で洗浄後乾燥した。残渣をHPLC(L-Column 2 ODS, 移動相:水/アセトニトリル(10 mM 酢酸アンモニウム系))で精製し、標題化合物(0.030g)を得た。
【0165】
実施例4
2-(2-(4-ヒドロキシフェニル)-1H-ベンゾイミダゾール-5-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)イソインドリン-1-オン
2-(2-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-1H-ベンゾイミダゾール-5-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)イソインドリン-1-オン(0.150g)とMeOH(6mL)とTHF(3mL)の混合物に10%パラジウム炭素(0.1g)を室温で加えた。混合物を常圧の水素雰囲気下、室温で16時間撹拌した。触媒を濾去し、濾液を減圧下濃縮した。残渣をジエチルエーテルとMeOHで洗浄後乾燥し標題化合物(0.070g)を得た。
【0166】
実施例5
メチル(4-(5-(1-オキソ-5-(ピペリジン-1-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)フェノキシ)アセタート
メチル (4-ホルミルフェノキシ)アセタート(0.120g)とEtOH(3mL)の混合物に亜硫酸水素ナトリウム(0.290g)と2-(3,4-ジアミノフェニル)-5-(ピペリジン-1-イル)イソインドリン-1-オン(0.2g)を0 ℃で加えた。室温で 16時間撹拌後、反応液を濃縮した。得られた残渣に水を加え、生じた固体をろ過し、水で洗浄後乾燥した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH /ジクロロメタン)で精製し、標題化合物(0.120g)を得た。
【0167】
実施例6
(4-(5-(1-オキソ-5-(ピペリジン-1-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)フェノキシ)酢酸
メチル (4-(5-(1-オキソ-5-(ピペリジン-1-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)フェノキシ)アセタート(1.3g)とTHF(13mL)と水(13mL)の混合物に水酸化リチウム(0.330g)を室温で加えた。室温で 16時間撹拌後、反応液に水を加え、酢酸エチル-水で分配し、水層に1N塩酸を加え酸性(pH<4)にした。生じた固体をろ過し、水及びMeOHで洗浄後乾燥し、標題化合物(0.710g)を得た。
【0168】
実施例8
2-(2-(4-ブロモフェニル)-1H-ベンゾイミダゾール-5-イル)-5-(モルホリン-4-イル)イソインドリン-1-オン
【0169】
A) 5-(4-モルホリニル)-2-ベンゾフラン-1(3H)-オン
酢酸パラジウム(0.948g)と2,2’-ビス(ジフェニルフォスフィノ)-1,1’-ビナフチル(3.95g)と炭酸セシウム(9.64g)とトルエン(70mL)の混合物を窒素雰囲気下5分間攪拌した。この混合物に5-ブロモ-2-ベンゾフラン-1(3H)-オン(9.0g)とモルホリン(4.4mL)を加え、窒素雰囲気下100度で4時間攪拌した。混合物を冷却後、減圧下濃縮した。残渣にクロロホルムを加え、セライトで不溶物を濾去し、濾液を減圧下留去した。残渣に酢酸エチルを加え、生じた固体をろ取し、粗生成物を得た。THFと酢酸エチルで結晶化し、標題化合物(6.39g)を得た。
1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ3.31-3.36 (4H, m), 3.85-3.90 (4H, m), 5.22 (2H, s), 6.82 (1H, d, J = 1.6 Hz), 7.00 (1H, dd, J = 8.8, 2.2 Hz), 7.77 (1H, d, J = 8.8 Hz).
【0170】
B) 2-(4-ブロモフェニル)-5-ニトロ-1H-ベンゾイミダゾール
4-ニトロベンゼン-1,2-ジアミン(5.0g)とトリエチルアミン(5.0mL)とTHF(80mL)の混合物に4-ブロモベンゾイル クロリド(7.17g)とTHF(20mL)の混合物を0度で滴下し、30分間攪拌後、室温で1時間攪拌した。混合物を減圧下濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、生じた固体をろ取し、水で洗浄後、粗生成物を得た。この粗生成物とメタノール(100mL)の混合物に濃塩酸(10mL)を加え、80度で22時間攪拌後、減圧下濃縮した。残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、生じた固体をろ取し、水で洗浄し、酢酸エチルで洗浄し、標題化合物(8.84g)を得た。
1H NMR (200 MHz, DMSO-d6) δ7.71 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.81 (1H, dd, J = 9.0, 0.6 Hz), 8.17 (1H, dd, J = 8.9, 2.3 Hz), 8.28 (2H, d, J = 8.8 Hz), 8.50 (1H, d, J = 2.0 Hz).
【0171】
C) 2-(4-ブロモフェニル)-1H-ベンゾイミダゾール-5-アミン
2-(4-ブロモフェニル)-5-ニトロ-1H-ベンゾイミダゾール(7.68g)と塩化すず(II)二水和物(27.2g)とエタノール(300mL)の混合物を65度で3時間攪拌した。室温まで冷却後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、pH=8としてから減圧下濃縮した。残渣に酢酸エチルと水を加え、セライトで不溶物を濾去し、水層を分離し、酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣を酢酸エチルで洗浄し、標題化合物(5.61g)を得た。
1H NMR (200 MHz, DMSO-d6) δ4.96 (2H, br), 6.54 (1H, dd, J = 8.7, 2.1 Hz), 6.67 (1H, s), 7.29 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.70 (2H, d, J = 8.6 Hz), 8.00 (2H, d, J = 8.4 Hz), 12.18 (1H, brs).
【0172】
D) N-(2-(4-ブロモフェニル)-1H-ベンゾイミダゾール-5-イル)-2-(ヒドロキシメチル)-4-(4-モルホリニル)ベンゾアミド
2-(4-ブロモフェニル)-1H-ベンゾイミダゾール-5-アミン(1.0g)とTHF(100mL)の混合物にジメチルアルミニウムクロリドの1Mヘキサン溶液(13.9mL)を滴下し、5分間攪拌し、5-(4-モルホリニル)-2-ベンゾフラン-1(3H)-オン(760.9mg)を加え4日間攪拌した。0.005N塩酸を少しずつ加え、生じた固体をろ取し、0.005N塩酸、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で洗浄し、粗生成物を得た。THF-メタノールで結晶化し、標題化合物(1.033g)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ3.22 (4H, m), 3.77 (4H, m), 4.69 (2H, d, J = 4.3 Hz), 5.43 (1H, t, J = 4.8 Hz), 6.93 (1H, dd, J = 8.7, 2.5 Hz), 7.16 (1H, d, J = 2.4 Hz), 7.44 (1H, s), 7.57 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.77 (2H, m), 8.09 (2H, d, J = 8.5 Hz), 8.20 (1H, s), 10.33 (1H, s), 12.92 (1H, s).
【0173】
E) 2-(2-(4-ブロモフェニル)-1H-ベンゾイミダゾール-5-イル)-5-(モルホリン-4-イル)イソインドリン-1-オン
N-(2-(4-ブロモフェニル)-1H-ベンゾイミダゾール-5-イル)-2-(ヒドロキシメチル)-4-(4-モルホリニル)ベンゾアミド(0.95g)とN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)の混合物にトリブチルホスフィン(1.75mL)を加えた後、DEAD(1.36mL)を滴下した。混合物を1時間撹拌後、反応液を濃縮した。得られた残渣に酢酸エチルと少量の水を加え、3分間加熱還流した。混合物を冷却後、生じた固体をろ過し、酢酸エチルで洗浄後乾燥し、標題化合物(807mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ3.29 (4H, t, J = 4.7 Hz), 3.77 (4H, t, J = 4.3 Hz), 4.99 (2H, s), 7.11 (2H, m), 7.72 (5H, m), 8.14 (3H, m), 13.00 (1H, s).
【0174】
実施例17
N-(1,1-ジオキシド-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾチオフェン-5-イル)-2-(4-(5-(1-オキソ-5-(ピペリジン-1-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)フェノキシ)アセトアミド
(4-(5-(1-オキソ-5-(ピペリジン-1-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)フェノキシ)酢酸(15mg)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.027mL)とN,N-ジメチルアセトアミド(1mL)の混合物にクロロ-N,N,N',N'-ビス(テトラメチレン)ホルムアミジニウム ヘキサフルオロホスファート(16mg)を室温で加え、室温で0.5時間攪拌した。混合物に5-アミノ-2,3-ジヒドロベンゾ[b]チオフェン 1,1-ジオキシド (11.4mg)を室温で加え、3日間攪拌した。混合物を濾過し、残渣をHPLC(YMCTriartC18, 移動相:水/アセトニトリル(10 mM 重炭酸アンモニウム系))で精製し、標題化合物(8.7mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.57-1.67 (6H, m), 3.36-3.39 (6H, m), 3.53-3.61 (2H, m), 4.87 (2H, s), 4.95 (2H, s), 7.01-7.13 (2H, m), 7.14-7.22 (2H, m), 7.49-7.79 (5H, m), 7.91 (1H, s), 7.98-8.28 (3H, m), 10.57 (1H, brs), 12.78 (1H, brs).
【0175】
実施例9-16および18-28
(4-(5-(1-オキソ-5-(ピペリジン-1-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)フェノキシ)酢酸(0.029g、0.06mmol)、クロロ-N,N,N',N'-ビス(テトラメチレン)ホルムアミジニウム ヘキサフルオロホスファート(0.030g)とN,N-ジメチルアセトアミド(1mL)の混合物にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.052mL)を室温で滴下し、室温で0.5時間攪拌した。混合物に対応するアミン(0.12mmol)を室温で加え、2時間攪拌した。混合物に水(0.5mL)を加え、60℃で濃縮した。残渣をHPLC(YMCTriartC18, 移動相:水/アセトニトリル(10 mM 重炭酸アンモニウム系))で精製し、実施例化合物9~16および18~28を得た。
【0176】
実施例29-38
対応するアミン(0.16mmol)、実施例1の工程A-C、実施例5-6においてピペリジンの代わりにモルホリンを用いて合成された2-(4-(5-(5-モルホリノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-2H-イソインドリン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)フェノキシ)酢酸(0.039g、0.08mmol)、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N′,N′-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(0.037g)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.056mmol)とN,N-ジメチルホルムアミド(1mL)の混合物を室温で16時間攪拌し、混合物を60℃で濃縮した。残渣をHPLC(YMCTriartC18, 移動相:水/アセトニトリル(10 mM 重炭酸アンモニウム系))で精製し、実施例化合物29-38を得た。
【0177】
実施例45
5-(ピペリジン-1-イル)-2-(2-(ピリジン-4-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-5-イル)イソインドリン-1-オン
2-(3,4-ジアミノフェニル)-5-(ピペリジン-1-イル)イソインドリン-1-オン(0.125g)とTHF(3mL)の混合物にTEA(0.119mL)と、イソニコチノイルクロリド塩酸塩(0.069g)とTHF(2mL)の混合物を0 ℃で加えた。混合物を0 ℃で30分間撹拌後、室温で16時間撹拌し、反応液を濃縮した。得られた残渣を酢酸エチル-THF-水で分配し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣にMeOH(10mL)と濃塩酸(0.6mL)を加え、混合物を70 ℃で16時間還流し、反応液を濃縮した。得られた残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、生じた固体をろ取し、粗生成物を得た。この粗生成物をHPLC(L-Column 2 ODS, 移動相:水/アセトニトリル(10 mM 重炭酸アンモニウム系))で精製し、標題化合物(32mg)を得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 1.62 (6H, brs), 3.37 (4H, brs), 4.96 (2H, s), 7.07-7.10 (2H, m), 7.57 (1H, d, J = 8.2 Hz), 7.69 (2H, q, J = 8.7 Hz), 8.09 (2H, d, J = 4.6 Hz), 8.19 (1H, s), 8.74 (2H, d, J = 4.9 Hz).
【0178】
実施例46
5-(ピペリジン-1-イル)-2-(2-(ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-5-イル)イソインドリン-1-オン
ニコチンアルデヒドとEtOHの混合物に亜硫酸水素ナトリウム(0.290g)と2-(3,4-ジアミノフェニル)-5-(ピペリジン-1-イル)イソインドリン-1-オン(0.200g)を0 ℃で加えた。混合物を室温で16時間撹拌後、反応液を濃縮した。得られた残渣に水を加え、生成した固体をろ取し、水で洗浄後乾燥し粗生成物を得た。この粗生成物をHPLC(L-Column 2 ODS, 移動相:水/アセトニトリル(10 mM 重炭酸アンモニウム系))で精製し、標題化合物(48mg)を得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 1.62 (6H, brs), 3.37 (4H, brs), 4.96 (2H, d, J = 7.0 Hz), 7.07-7.10 (2H, m), 7.56-7.60 (3H, m), 7.72 (0.6H, d, J = 8.5 Hz), 7.88 (0.4H, d, J = 8.5 Hz), 8.09 (0.4H, brs), 8.29 (0.6H, brs), 8.47-8.51 (1H, m), 8.67-8.68 (1H, m), 9.34-9.36 (1H, m), 13.10 (1H, brs).
【0179】
実施例化合物を以下の表に示す。表中のMSは実測値を示す。以下の表中の実施例番号7、39~44および47~73の化合物は、上記の実施例に示した方法またはそれらに準じた方法に従って製造した。
【0180】
【表1-1】
【0181】
【表1-2】
【0182】
【表1-3】
【0183】
【表1-4】
【0184】
【表1-5】
【0185】
【表1-6】
【0186】
【表1-7】
【0187】
【表1-8】
【0188】
【表1-9】
【0189】
【表1-10】
【0190】
【表1-11】
【0191】
【表1-12】
【0192】
【表1-13】
【0193】
【表1-14】
【0194】
【表1-15】
【0195】
【表1-16】
【0196】
【表1-17】
【0197】
【表1-18】
【0198】
【表1-19】
【0199】
【表1-20】
【0200】
【表1-21】
【0201】
【表1-22】
【0202】
【表1-23】
【0203】
【表1-24】
【0204】
【表1-25】

【0205】
試験例1
心筋細胞の成熟化を検出するため、TNNI1の遺伝子座にEmGFP(配列番号1)、TNNI3の遺伝子座にmCherry(配列番号2)のレポータータンパク質の配列を挿入したダブルノックインのヒトiPS細胞株を作製した(ヒトiPS細胞はCTL社より購入したPBMC (LP_167, Sample ID:20130318)を用いてエピソーマルベクター(搭載遺伝子;OCT3/4, KLF4, SOX2, L-MYC, LIN28, mouse p53DD)により作製された(参考文献;Okita K, et al. Stem Cells. 2012 Nov 29. doi: 10.1002/stem.1293)。
上記レポーターiPS細胞株の維持培養は従来法で行った(Okita K, et al. Stem Cells. 2012 Nov 29. doi: 10.1002/stem.1293)。
【0206】
心筋細胞への分化誘導は、レポーターiPS細胞株を0.5×TrypLE select (ライフテクノロジーズ、0.5 mM EDTA/PBSで1/2希釈)で4~5分処理後、セルスクレーパー(IWAKI)で細胞を剥離し、ピペッティングによりシングルセルへと解離した。遠心分離(1,000 rpm, 5 min)により培地を除去し、得られた細胞を、30mLバイオリアクター1本(ABLE)あたり1×107cells播種して、StemFit AK02からC液を除いた培地(AJINOMOTO AK02のA液400mLおよびB液100mLの計500mL)に1%L-グルタミン、トランスフェリン150μg/mL、アスコルビン酸50μg/mL(sigma)、モノチオグリセロール4×10-4 M、10μM Rock inhibitor(Y-27632)、2ng/mL BMP4(R&D)および0.5% Matrigel(Growth Factor Reduced)を添加し、37℃、5%酸素条件下にて培養(55rpm、浮遊撹拌培養法)して、胚様体を形成させた(0日目)。
翌日(1日目)、10μg/mLのアクチビンAを9μL(最終濃度3 ng/mL)、10μg/mLのbFGFを15μL(最終濃度5 ng/mL)および10μg/mLのBMP4を24μL(最終濃度10 ng/mL)をバイオリアクター中へ添加し、37℃、5%酸素条件にてさらに2日間培養した。
続いて(3日目)、得られた胚様体を50 mL遠沈管に回収して遠心分離に供した(200 g、1 min)後、培地を除去し、StemFit AK02からC液を除いた培地(AJINOMOTO AK02のA液400mLおよびB液100mLの計500mL)に1%L-グルタミン、トランスフェリン150μg/mL、アスコルビン酸50μg/mL(sigma)、モノチオグリセロール4×10-4 M、10 ng/mL VEGF、1μM IWP-3、0.6 μM Dorsomorphinおよび5.4 μM SB431542を添加した培地中で、37℃、5%酸素条件下(55rpm、浮遊撹拌培養法)で、3日間培養した。
続いて(6日目)、バイオリアクターを静置して胚様体を沈降させ、培地の80~90%除去した後、1%L-グルタミン、トランスフェリン150μg/mL、アスコルビン酸50μg/mL(sigma)、モノチオグリセロール4×10-4 Mおよび5 ng/mL VEGFを添加したStemFit AK02からC液を除いた培地(AJINOMOTO AK02、A液400mLおよびB液100mLの計500mL)をtotal 30mLになるよう添加し、8日間、37℃、5%酸素条件下で培養した(55rpm、浮遊撹拌培養法)。この間、2~3日に1度同じ条件の培地に交換した。
【0207】
分化誘導開始から14日目の胚様体を、2 mg/mLcollagenase type I (Sigma)で2時間処理し、0.25% trypsin/EDTA(Invitrogen)で10分間処理した。50% FBS/IMDM(Thermo Fisher Science)を添加して、ピペッティングにより単一の細胞(single cell)とした後、遠心分離に供した(1,000 rpm、5分)。遠心分離後、上清を除去し、StemFit AK02培地を基本とした心筋分化培地AK02培地(AJINOMOTO AK02のA液400mLおよびB液100mLの計500mLにアスコルビン酸50μg/mL、L-グルタミン2mM、トランスフェリン150mg/mL、モノチオグリセロール4×10-4 M、VEGF 5 ng/mlを混合したもの)100mLに再懸濁した。再懸濁した細胞を、あらかじめiMatrix-511(ニッピより購入)でコートしたCellCarrier-384 Ultra Microplate(パーキンエルマー/6057300)上に1.0×104細胞/ウェルにて播種し、StemFit AK02培地を基本とした心筋分化培地AK02培地(AJINOMOTO AK02のA液400mLおよびB液100mLの計500mLにアスコルビン酸50μg/mL、L-グルタミン2mM、トランスフェリン150mg/mL、モノチオグリセロール4×10-4Mを混合したものを1ウェルあたり70μL)で培養した。
評価化合物を、1ウェルあたり1化合物(1または30μM)を50μL、培養3日目および6日目に添加した。培養8日目に、パラホルムアルデヒド(和光純薬、163-20145)で固定し、1次抗体としてラット抗mCherry(インビトロジェン、M11217)、2次抗体としてヤギ抗ラットIgGアレクサ647(インビトロジェン、A-21247)を用いた免疫染色をした。HCS(high contents screening)システム(パーキンエルマー/OperaPhenix ハイコンテンツイメージングシステム)を用いて撮影モードNon-Confocal、対物レンズ10×air NA0.3でアレクサ647の発現量を測定した。
蛍光強度から化合物を添加していないコントロールウェルの平均蛍光強度(n=60の平均値)は797だった。結果を表2に示す(n=3(実施例1~7、9~59、61~71)または6(実施例8,60,72および73)の平均値)。なお、表2中の「-」は、細胞数減少により評価不可能である旨を意味する。
【0208】
【表2-1】
【0209】
【表2-2】
【0210】
試験例2
心筋細胞の成熟化を検出するため、TNNI1の遺伝子座にEmGFP(配列番号1)、TNNI3の遺伝子座にmCherry(配列番号2)のレポータータンパク質の配列を挿入したダブルノックインのヒトiPS細胞株を作製した(ヒトiPS細胞はCTL社より購入したPBMC (LP_167, Sample ID:20130318)を用いてエピソーマルベクター(搭載遺伝子;OCT3/4, KLF4, SOX2, L-MYC, LIN28, mouse p53DD)により作製された(参考文献;Okita K, et al. Stem Cells. 2012 Nov 29. doi: 10.1002/stem.1293)。
上記レポーターiPS細胞株の維持培養は従来法で行った(Okita K, et al. Stem Cells. 2012 Nov 29. doi: 10.1002/stem.1293)。
【0211】
心筋細胞への分化誘導は、レポーターiPS細胞株を0.5×TrypLE select (ライフテクノロジーズ、0.5 mM EDTA/PBSで1/2希釈)で4~5分処理後、セルスクレーパー(IWAKI)で細胞を剥離し、ピペッティングによりシングルセルへと解離した。遠心分離(1,000 rpm, 5 min)により培地を除去し、得られた細胞を6 well plate 1 wellあたり2x106cells/1.5mLになるように、StemPro-34 SFM (ThermoFisher)に1%L-グルタミン、トランスフェリン150μg/mL、アスコルビン酸50μg/mL(sigma)、モノチオグリセロール4×10-4 M、10μM Rock inhibitor(Y-27632)、2ng/mL BMP4(R&D)および0.5% Matrigel(Growth Factor Reduced)を添加した培地で懸濁し、37℃、5%酸素条件下にて静置培養して、胚様体を形成させた(0日目)。
翌日(1日目)、胚様体の入った6 well plate 1 wellに、1.5 mLのStemPro-34 SFM (ThermoFisher)に1%L-グルタミン、トランスフェリン150μg/mL、アスコルビン酸50μg/mL(sigma)、モノチオグリセロール4×10-4 M、10μg/mLのアクチビンAを1.8μL(濃度12 ng/mL)、10μg/mLのbFGFを15μL(濃度10 ng/mL)および10μg/mLのBMP4を2.7μL(濃度18 ng/mL)を添加し、0日目の培地と合わせて最終3 mL(アクチビンA: 6ng/ml, bFGF: 5ng/ml, BMP4: 10ng/ml)として、37℃、5%酸素条件にてさらに2日間培養した。
続いて(3日目)、胚様体の入った6 well plateを傾け、胚様体をwellの端に沈降するまで1~2分静置し、胚様体を吸わないように上清をアスピレートした。その後IMDM (ThermoFisher)培地を添加し、上記と同様に傾けて1~2分静置し、胚様体を吸わないように上清をアスピレートした後、6 well plate 1 wellに、3 mLのStemPro-34 SFM (ThermoFisher)に1%L-グルタミン、トランスフェリン150μg/mL、アスコルビン酸50μg/mL(sigma)、モノチオグリセロール4×10-4 M、10 ng/mL VEGF、1μM IWP-3、0.6 μM Dorsomorphinおよび5.4 μM SB431542を添加した培地を加え、37℃、5%酸素条件下で、3日間培養した。
続いて(6日目)、胚様体の入った6 well plateを傾け、胚様体をwellの端に沈降するまで1~2分静置し、胚様体を吸わないように上清をアスピレートした後、6 well plate 1 wellに、2 mLのStemPro-34 SFM (ThermoFisher)に1%L-グルタミン、トランスフェリン150μg/mL、アスコルビン酸50μg/mL(sigma)、モノチオグリセロール4×10-4 M、5 ng/mL VEGFを添加した培地を加え、2日間、37℃、5%酸素条件下で培養した。
続いて(8日目)、胚様体の入った6 well plateを傾け、胚様体をwellの端に沈降するまで1~2分静置し、胚様体を吸わないように上清をアスピレートした後、6 well plate 1 wellに、2 mLのStemPro-34 SFM (ThermoFisher)に、(1) 1%L-グルタミン、トランスフェリン150μg/mL、アスコルビン酸50μg/mL(sigma)、モノチオグリセロール4×10-4 Mおよび5 ng/mL VEGF、並びに(2) 表3に示す評価化合物 (各3μM)またはDMSO (培地容積に対して0.1%添加)を、それぞれ添加した培地を加え、37℃、5%酸素条件下で、2日間培養した。
続いて(10日目)、胚様体の入った6 well plateを傾け、胚様体をwellの端に沈降するまで1~2分静置し、胚様体を吸わないように上清をアスピレートした後、6 well plate 1 wellに、3 mLのStemPro-34 SFM (ThermoFisher)に、(1) 1%L-グルタミン、トランスフェリン150μg/mL、アスコルビン酸50μg/mL(sigma)、モノチオグリセロール4×10-4 Mおよび5 ng/mL VEGF、並びに(2) 表3に示す評価化合物 (各3μM)またはDMSO (培地容積に対して0.1%添加)を、それぞれ添加した培地を加え、37℃、通常酸素条件下で、6日間培養した。13日目に同じ条件の培地で培地交換を行った。
【0212】
16日目、各条件の胚様体を蛍光顕微鏡で撮影後、胚様体の入った6 well plateを傾け、胚様体をwellの端に沈降するまで1~2分静置し、胚様体を吸わないように上清をアスピレートした。その後、2 mLのPBSを加えて上記と同様に傾けて1~2分静置し、胚様体を吸わないようにPBSをアスピレートして、1 wellあたり3 mLのIMDMにDNase 10μg/mL、Liberase 100μg/mLを加えた溶液を添加し、37℃、通常酸素条件下で1時間静置した。1時間後、plateを傾けて胚様体をwellの端に沈降するまで1~2分静置し、胚様体を吸わないように上清をアスピレートした。その後、2 mLのPBSを加えて上記と同様に傾けて1~2分静置し、胚様体を吸わないようにPBSをアスピレートして、1 wellあたり2 mLのTrypLE selectにDNase 10μg/mLを添加した溶液を添加し、37℃、通常酸素条件下で10分静置した。その後、1 wellあたり2 mLのStemPro-34 SFM (ThermoFisher)に1%L-グルタミン、トランスフェリン150μg/mL、アスコルビン酸50μg/mL(sigma)、モノチオグリセロール4×10-4 M、5 ng/mL VEGF、DNase 10μg/mLを添加した培地を加え、ピペッティングにより単一の細胞(single cell)とした後、遠心分離に供した(1,000 rpm、5分)。遠心分離後、上清を除去し、1~2 mLの2%FBS/PBSで懸濁後、フローサイトメーター(BD FACSAria Fusionセルソーター)でTNNI1+細胞におけるmCherryの発現解析を行った。結果を表3および図1~7に示す。
【0213】
【表3】
【0214】
試験例3
心筋細胞の成熟化を検出するため、TNNI1の遺伝子座にEmGFP(配列番号1)、TNNI3の遺伝子座にmCherry(配列番号2)のレポータータンパク質の配列を挿入したダブルノックインのヒトiPS細胞株を作製した(ヒトiPS細胞はCTL社より購入したPBMC (LP_167, Sample ID:20130318)を用いてエピソーマルベクター(搭載遺伝子;OCT3/4, KLF4, SOX2, L-MYC, LIN28, mouse p53DD)により作製された(参考文献;Okita K, et al. Stem Cells. 2012 Nov 29. doi: 10.1002/stem.1293)。
上記レポーターiPS細胞株の維持培養は従来法で行った(Okita K, et al. Stem Cells. 2012 Nov 29. doi: 10.1002/stem.1293)。
【0215】
心筋細胞への分化誘導は、レポーターiPS細胞株を0.5×TrypLE select (ライフテクノロジーズ、0.5 mM EDTA/PBSで1/2希釈)で4~5分処理後、セルスクレーパー(IWAKI)で細胞を剥離し、ピペッティングによりシングルセルへと解離した。遠心分離(1,000 rpm, 5 min)により培地を除去し、得られた細胞を6 well plate 1 wellあたり2x106cells/1.5mLになるように、StemPro-34 SFM (ThermoFisher)に1%L-グルタミン、トランスフェリン150μg/mL、アスコルビン酸50μg/mL(sigma)、モノチオグリセロール4×10-4 M、10μM Rock inhibitor(Y-27632)、2ng/mL BMP4(R&D)および0.5% Matrigel(Growth Factor Reduced)を添加した培地で懸濁し、37℃、5%酸素条件下にて静置培養して、胚様体を形成させた(0日目)。
翌日(1日目)、胚様体の入った6 well plate 1 wellに、1.5 mLのStemPro-34 SFM (ThermoFisher)に1%L-グルタミン、トランスフェリン150μg/mL、アスコルビン酸50μg/mL(sigma)、モノチオグリセロール4×10-4 M、10μg/mLのアクチビンAを1.8μL(濃度12 ng/mL)、10μg/mLのbFGFを15μL(濃度10 ng/mL) および10μg/mLのBMP4を2.7μL(濃度18 ng/mL)を添加し、0日目の培地と合わせて最終3 mL L(アクチビンA: 6ng/ml, bFGF: 5ng/ml, BMP4: 10ng/ml)として、37℃、5%酸素条件にてさらに2日間培養した。
続いて(3日目)、胚様体の入った6 well plateを傾け、胚様体をwellの端に沈降するまで1~2分静置し、胚様体を吸わないように上清をアスピレートした。その後IMDM (ThermoFisher)培地を添加し、上記と同様に傾けて1~2分静置し、胚様体を吸わないように上清をアスピレートした後、6 well plate 1 wellに、3 mLのStemPro-34 SFM (ThermoFisher)に1%L-グルタミン、トランスフェリン150μg/mL、アスコルビン酸50μg/mL(sigma)、モノチオグリセロール4×10-4 M、10 ng/mL VEGF、1μM IWP-3、0.6 μM Dorsomorphinおよび5.4 μM SB431542を添加した培地を加え、37℃、5%酸素条件下で、3日間培養した。
続いて(6日目)、胚様体の入った6 well plateを傾け、胚様体をwellの端に沈降するまで1~2分静置し、胚様体を吸わないように上清をアスピレートした後、6 well plate 1 wellに、2 mLのStemPro-34 SFM (ThermoFisher)に1%L-グルタミン、トランスフェリン150μg/mL、アスコルビン酸50μg/mL(sigma)、モノチオグリセロール4×10-4 M、5 ng/mL VEGFを添加した培地を加え、2日間、37℃、5%酸素条件下で培養した。
続いて(8日目)、胚様体の入った6 well plateを傾け、胚様体をwellの端に沈降するまで1~2分静置し、胚様体を吸わないように上清をアスピレートした後、6 well plate 1 wellに、2 mLのStemPro-34 SFM (ThermoFisher)に、(1) 1%L-グルタミン、トランスフェリン150μg/mL、アスコルビン酸50μg/mL(sigma)、モノチオグリセロール4×10-4 Mおよび5 ng/mL VEGF、並びに(2) 3 μMの実施例8の化合物またはDMSO (培地容積に対して0.1%添加)を、それぞれ添加した培地を加え、37℃、5%酸素条件下で、2日間培養した。
10日目に、2 mLのStemPro-34 SFM (ThermoFisher)に、(1) 1%L-グルタミン、トランスフェリン150μg/mL、アスコルビン酸50μg/mL(sigma)、モノチオグリセロール4×10-4 Mおよび5 ng/mL VEGF、並びに(2) 40 nMの化合物A (構造は以下に示す通りである。)、または3 μMの実施例8の化合物および40 nMの化合物Aの混合物、またはDMSO (培地容積に対して0.1%添加)をそれぞれ添加した培地で、培地交換を行い、37℃、正常酸素条件下で6日間培養した。13日目に同じ条件の培地で培地交換を行った。
【0216】
16日目、各条件の胚様体を蛍光顕微鏡で撮影後、胚様体の入った6 well plateを傾け、胚様体をwellの端に沈降するまで1~2分静置し、胚様体を吸わないように上清をアスピレートした。その後、2 mLのPBSを加えて上記と同様に傾けて1~2分静置し、胚様体を吸わないようにPBSをアスピレートして、1 wellあたり3 mLのIMDMにDNase 10μg/mL、Liberase 100μg/mLを加えた溶液を添加し、37℃、通常酸素条件下で1時間静置した。1時間後、plateを傾けて胚様体をwellの端に沈降するまで1~2分静置し、胚様体を吸わないように上清をアスピレートした。その後、2 mLのPBSを加えて上記と同様に傾けて1~2分静置し、胚様体を吸わないようにPBSをアスピレートして、1 wellあたり2 mLのTrypLE selectにDNase 10μg/mLを添加した溶液を添加し、37℃、通常酸素条件下で10分静置した。その後、1 wellあたり2 mLのStemPro-34 SFM (ThermoFisher)に1%L-グルタミン、トランスフェリン150μg/mL、アスコルビン酸50μg/mL(sigma)、モノチオグリセロール4×10-4 M、5 ng/mL VEGF、DNase 10μg/mLを添加した培地を加え、ピペッティングにより単一の細胞(single cell)とした後、遠心分離に供した(1,000 rpm、5分)。遠心分離後、上清を除去し、1~2 mLの2%FBS/PBSで懸濁後、フローサイトメーター(BD FACSAria Fusionセルソーター)でTNNI1+細胞におけるmCherryの発現解析を行った。結果を表4および図8に示す。
【0217】
【化7】
【0218】
【表4】
【0219】
試験例4
心筋細胞の電気生理学的機能を解析するためヒトiPS細胞株409B2 (Cell Applications, Inc社より購入したHDF1388を用いてエピソーマルベクター(pCXLE-hOCT3/4-shp53-F、pCXLE-hSK、pCXLE-hUL)により作製された(参考文献; Okita et al., Nat Methods. 8(5):409-12.(2011))を使用した。
上記iPS細胞株の維持培養は従来法で行った(Takahashi K, et al. Cell. 131: 861-72, 2007およびNakagawa M, et al. Nat Biotechnol. 2
6: 101-6, 2008)。
【0220】
心筋細胞への分化誘導は、iPS細胞株をCTK solution(ReproCELL)で2分処理後、溶液を除去し、続いてAccumax(Innovative Cell Technologies)で5分処理後、ピペッティングによりシングルセルへと解離した。遠心分離(1,000 rpm, 5 min)により細胞を回収し、1wellあたり5000 cells/70μLを低接着96wellディッシュ(Corning)へ播種し、StemPro-34 SFM (ThermoFisher)に1%L-グルタミン、トランスフェリン150μg/mL、アスコルビン酸50μg/mL(sigma)、モノチオグリセロール4×10-4 M、10μM Rock inhibitor(Y-27632)、2ng/mL BMP4(R&D)および0.5% Matrigel(Growth Factor Reduced)を添加した培地で37℃・5%酸素条件下にて培養して、胚様体を形成させた(0日目)。
翌日(1日目)、胚様体の入った96 well plate 1 wellに、1%L-グルタミン、トランスフェリン150μg/mL、アスコルビン酸50μg/mL(sigma)、モノチオグリセロール4×10-4 M、12 ng/mLアクチビンA、10 ng/mL bFGF および18 ng/mL BMP4を添加したStemPro-34 SFM (ThermoFisher) 70 μLを添加し、0日目の培地と合わせて最終140 μLとして、37℃、5%酸素条件にてさらに2日間培養した。
続いて(3日目)、得られた胚様体を回収し、遠心(1,000rpm, 3min)後、培地を除去してAccumax(innovative cell technologies)を添加した。5分後、ピペッティングによりシングルセルへ解離し、IMDM(invitrogen)を5ml加え、遠心分離(1,000 rpm, 5 min)により培地を除去した。低接着96 well plate (Corning) 1 wellあたり10000 cells/100 μLを播種し、1%L-グルタミン、トランスフェリン150μg/mL、アスコルビン酸50μg/mL(sigma)、モノチオグリセロール4×10-4 M、10 ng/mL VEGFおよび1μM IWP-3を添加したStemPro-34 SFM (ThermoFisher)中で、37℃・5%酸素条件下で、3日間培養した。
続いて(6日目)、得られた胚様体を回収し、1wellあたりEB数が60個を上回らないように低接着6well plateへと移した。胚様体の入った6 well plateを傾け、胚様体をwellの端に沈降するまで1~2分静置し、胚様体を吸わないように上清をアスピレートした後、6 well plate 1 wellに、2 mLのStemPro-34 SFM (ThermoFisher)に1%L-グルタミン、トランスフェリン150μg/mL、アスコルビン酸50μg/mL(sigma)、モノチオグリセロール4×10-4 M、5 ng/mL VEGFを添加した培地を加え、4日間、37℃、5%酸素条件下で培養した。8日目に同様の培地で培地交換を行った。
続いて(10日目)、胚様体の入った6 well plateを傾け、胚様体をwellの端に沈降するまで1~2分静置し、胚様体を吸わないように上清をアスピレートした後、6 well plate 1 wellに、2 mLのStemPro-34 SFM (ThermoFisher)に1%L-グルタミン、トランスフェリン150μg/mL、アスコルビン酸50μg/mL(sigma)、モノチオグリセロール4×10-4 M、5 ng/mL VEGFを添加した培地を加え、37℃、通常酸素条件下で、10日間培養した。この間、2~3日に1度同じ条件の培地に交換した。
続いて(20日目)、胚様体の入った6 well plateを傾け、胚様体をwellの端に沈降するまで1~2分静置し、胚様体を吸わないように上清をアスピレートした。その後、2 mLのPBSを加えて上記と同様に傾けて1~2分静置し、胚様体を吸わないようにPBSをアスピレートして、1 wellあたり3 mLのIMDMにDNase 10μg/mL、Liberase 100μg/mLを加えた溶液を添加し、37℃、通常酸素条件下で1時間静置した。1時間後、plateを傾けて胚様体をwellの端に沈降するまで1~2分静置し、胚様体を吸わないように上清をアスピレートした。その後、2 mLのPBSを加えて上記と同様に傾けて1~2分静置し、胚様体を吸わないようにPBSをアスピレートして、1 wellあたり2 mLのTrypLE selectにDNase 10μg/mLを添加した溶液を添加し、37℃、通常酸素条件下で10分静置した。その後、1 wellあたり2 mLのStemPro-34 SFM (ThermoFisher)に1%L-グルタミン、トランスフェリン150μg/mL、アスコルビン酸50μg/mL(sigma)、モノチオグリセロール4×10-4 M、5 ng/mL VEGF、DNase 10μg/mLを添加した培地を加え、ピペッティングにより単一の細胞(single cell)とした後、遠心分離に供した(1,000 rpm、5分)。遠心分離後、上清を除去し、1~2 mLの2%FBS/PBSで懸濁し、SIRPa及びLineage(CD31, CD49a, CD90, CD140b)抗体で染色後、フローサイトメーター(BD FACSAri Fusionセルソーター)でSIRPa+Lin-細胞群を分取した(Dubois NC, et al. Nat Biotechnol. 29: 1011-8, 2011参照)。分取した細胞を遠心分離に供した後(1,000 rpm、5分)、StemPro-34 SFM (ThermoFisher)に1%L-グルタミン、トランスフェリン150μg/mL、アスコルビン酸50μg/mL(sigma)、モノチオグリセロール4×10-4 M、5 ng/mL VEGFを添加した培地で懸濁し、あらかじめフィブロネクチンコートしたガラスボトムディッシュに5x104 cells/5μLになるように播種して、37℃、通常酸素条件下で2~3時間静置した。その後、2mLのStemPro-34 SFM (ThermoFisher)に1%L-グルタミン、トランスフェリン150μg/mL、アスコルビン酸50μg/mL(sigma)、モノチオグリセロール4×10-4 M、5 ng/mL VEGFを添加した培地を加え、37℃、通常酸素条件下で5日間培養した。この間、2~3日に1度同じ条件の培地に交換した。
【0221】
25日目、dishから培地を除去し、評価化合物I(実施例8の化合物 30μM)、評価化合物II(実施例8の化合物 30μMおよび化合物A 40nMの混合物)、またはコントロールとしてDMSO(終濃度0.1%)を添加した培地(StemPro-34 SFM (ThermoFisher)に1%L-グルタミン、トランスフェリン150μg/mL、アスコルビン酸50μg/mL(sigma)、モノチオグリセロール4×10-4 M、5 ng/mL VEGF)に交換し、37℃、通常酸素条件下で4日間培養し、28日目の細胞を膜電位解析に供した。
28日目の細胞のdishから培地を除去し、200μLのゲイ平衡塩類溶液(シグマ)あたり0.2 μL のFluoVoltTM膜電位色素(インビトロジェン, F10488)を添加した溶液をdishのガラス部分に滴下し、37℃、通常酸素条件下で15分間インキュベートした。インキュベート後、膜電位色素を含む溶液を除去し、1mLゲイ平衡塩類溶液をdishに添加して顕微鏡ステージ上のインキュベーター(37℃、通常酸素)にて1時間インキュベートした。インキュベート後の細胞はAquaCosmos2.6(浜松ホトニクス)を用いて490nmの励起光で5.9ミリ秒ごとに30秒間の蛍光反応を測定した。測定範囲(ROI)は512x64ピクセルに設定し、1dishあたり3つのROIを測定した。結果を表5に示す。
【0222】
【表5】
【産業上の利用可能性】
【0223】
化合物(I)は、心筋細胞の成熟を促す作用を有するので、心筋細胞成熟促進剤として有用である。
【0224】
本出願は、日本で2018年3月30日に出願された特願2018-69872号を基礎としており、その内容は本明細書にすべて包含される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【配列表】
0007257698000001.app