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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-06
(45)【発行日】2023-04-14
(54)【発明の名称】建物の断熱構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/76 20060101AFI20230407BHJP
   E04B 1/348 20060101ALI20230407BHJP
   E04B 5/43 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
E04B1/76 500J
E04B1/348 P
E04B5/43 H
E04B5/43 G
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019002957
(22)【出願日】2019-01-10
(65)【公開番号】P2020111943
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】金子 翔太
(72)【発明者】
【氏名】小島 昌幸
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-133641(JP,A)
【文献】特開2002-161589(JP,A)
【文献】特開平11-093301(JP,A)
【文献】特開平10-252156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/76
E04B 1/348
E04B 5/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の柱と前記柱に連結される天井大梁及び床大梁とを有して構成される建物ユニットを備え、複数の前記建物ユニットが組み合わされて複数階で構築されるユニット式の建物に適用され、
建物全体を囲む外周部分に沿って設けられ、当該建物の外周部分を断熱する外周断熱層を備える建物の断熱構造であって、
上下に並ぶ前記建物ユニットのうち下階側の下階ユニットの天井大梁と上階側の上階ユニットの床大梁とを含む範囲となる階間部には、下階空間と上階空間とを連通する開口部が設けられており、
前記階間部において、前記下階ユニットの天井面材の上面側には、その天井面材に沿って天井断熱層が設けられ、前記上階ユニットの床面材の下面側には、その床面材に沿って床断熱層が設けられ、前記開口部の周りとなる開口周囲部には、前記天井断熱層と前記床断熱層とを繋ぐ繋ぎ断熱層が設けられている建物の断熱構造。
【請求項2】
前記下階ユニット側では、当該下階ユニットの前記天井大梁と前記上階ユニットの前記床大梁との間となる部分を通して、前記天井面材に沿う方向に前記天井断熱層が設けられており、
前記上階ユニット側では、当該上階ユニットの前記床大梁とその上方の前記床面材との間となる部分を通して、前記床面材に沿う方向に前記床断熱層が設けられている請求項1に記載の建物の断熱構造。
【請求項3】
前記天井断熱層は、前記下階ユニットの天井面材の上に敷設された天井断熱材を有し、その天井断熱材の余剰部分を、前記階間部における前記開口周囲部に沿って上下方向に延ばすことで、前記繋ぎ断熱層が構成されている請求項1又は請求項2に記載の建物の断熱構造。
【請求項4】
前記天井断熱層は、前記下階ユニットの天井面材の上に配設された天井断熱材を有し、
前記床断熱層は、前記上階ユニットの床面材の下に配設された床断熱材を有し、
前記天井断熱材及び前記床断熱材の一方は他方よりも変形が容易となるように構成されており、この一方の断熱材の余剰部分を、前記階間部における前記開口周囲部に沿って上下方向に延ばすことで、前記繋ぎ断熱層が構成されている請求項1又は請求項2に記載の建物の断熱構造。
【請求項5】
前記余剰部分によって前記繋ぎ断熱層を構成している断熱材は、当該断熱材にて前記上階ユニットの前記床大梁と前記下階ユニットの前記天井大梁との間を通過している部分が潰れた状態となるようにしてそれら床大梁及び天井大梁に当接していることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の建物の断熱構造。
【請求項6】
前記建物の外壁部に外壁断熱層が設けられており、
前記床断熱層及び前記天井断熱層は、前記外壁断熱層よりも断熱性能が高くなっている請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の建物の断熱構造。
【請求項7】
前記上階ユニットは、互いに対向する前記床大梁の間に架け渡された複数の床小梁と、前記床小梁に加えられた振動エネルギを吸収する制振ダンパとを有し、
前記制振ダンパは、前記床小梁に固定されるブラケットと、そのブラケットにより支持され前記床小梁と横並びの位置に配置される制振部材とを有しており、
前記床小梁には、その上面側に、前記床面材を支えかつ前記床断熱層の一部となる根太が設けられるとともに、下面側に前記制振ダンパが固定されている請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載の建物の断熱構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニット式の複数階建物における断熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物では、断熱構造として建物全体を囲む外周部分に沿って断熱材を設けた構造が知られている。具体的には、例えば2階建て建物において1階部分の床部と、2階部分の天井部と、1階及び2階部分の外壁とにそれぞれ断熱材を設けて、断熱材により建物全体を囲むようにした構成が知られている。なお、建物の断熱構造としては、床面材に沿って断熱材を設ける構成(床断熱構造)以外に、基礎の内周面に沿って断熱材を設ける構成(基礎断熱構造)が知られている。また、天井面材に沿って断熱材を設ける構成(天井断熱構造)以外に、屋根面材に沿って断熱材を設ける構成(屋根断熱構造)が知られている。
【0003】
また、建物として、複数の建物ユニットが組み合わされて構築される複数階のユニット式建物が一般に知られており、そのユニット式建物に関する断熱構造として、例えば特許文献1に記載された技術が知られている。特許文献1には、上階空間と下階空間との間に階間部が設けられている複数階のユニット式建物において、階間部に下階部分の天井面材と上階部分の床面材のそれぞれに沿って断熱層が設けられるとともに、それら各断熱層が、第1断熱部と、その第1断熱部よりも断熱性能の低い第2断熱部とを有している構成が記載されている。例えば、それら各断熱層では、建物内側ほど断熱性能の低い断熱材が用いられる構成となっている。かかる技術では、天井部や床部の断熱層についてコスト低減を実現できるものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-133641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、階間部において天井面材や床面材に沿って設けられる断熱層の断熱性能が、天井面材や床面材の面内方向で相違しているため、それら天井面材や床面材において局所的に低温部分ができることが懸念される。具体的には、ユニット式建物では、下階側の建物ユニットの天井大梁と上階側の建物ユニットの床大梁とを含む部分が階間部となっており、その階間部には中空の階間空間が形成されている。そのため、例えば冬場などの低温時において低温の外気が階間空間に流入すると、階間空間内の冷気により、建物の中央付近であっても局所的に低温部分が生じることが考えられる。
【0006】
また、複数階建物では、一般に上階空間と下階空間との行き来を可能にする階段が設けられ、その階段は、階間部に形成された開口部に設けられる。この場合、開口部の周りが階間空間に囲まれていると、やはり局所的な低温部分になることが考えられる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、複数階のユニット式建物において好適なる断熱を実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。
【0009】
手段1.複数の柱(柱21)と前記柱に連結される天井大梁(天井大梁22)及び床大梁(床大梁23)とを有して構成される建物ユニット(建物ユニット20)を備え、複数の前記建物ユニットが組み合わされて複数階で構築されるユニット式の建物(建物10)に適用され、建物全体を囲む外周部分に沿って当該建物を断熱する断熱構造であって、
上下に並ぶ前記建物ユニットのうち下階(一階部分14)側の下階ユニット(下階ユニット20A)の天井大梁と上階(二階部分15)側の上階ユニット(上階ユニット20B)の床大梁とを含む範囲となる階間部(階間部16)には、下階空間と上階空間とを連通する開口部(開口部17)が設けられており、
前記階間部において、前記下階ユニットの天井面材(天井面材27)の上面側には、その天井面材に沿って天井断熱層(階間天井断熱層34)が設けられ、前記上階ユニットの床面材(床面材28)の下面側には、その床面材に沿って床断熱層(階間床断熱層35)が設けられ、前記開口部の周りとなる開口周囲部(開口周囲部18)には、前記天井断熱層と前記床断熱層とを繋ぐ繋ぎ断熱層(繋ぎ断熱層36)が設けられている建物の断熱構造。
【0010】
建物ユニットは、各々に床大梁及び天井大梁を有する構成となっているため、複数の建物ユニットからなるユニット式の複数階建物では、下階ユニットと上階ユニットとの境界部を含む部分に、下階ユニットの天井大梁と上階ユニットの床大梁とを含む範囲で階間部が形成されている。この場合、冬場などの低温時には、階間部内が低温になることで、建物中央寄りの部分であっても局所的な冷えが生じることが懸念される。また、階間部に設けられた開口部にも冷えが伝わることが懸念される。
【0011】
この点、本発明では、階間部において、下階ユニットの天井面材にその天井面材に沿って天井断熱層を設け、上階ユニットの床面材にその床面材に沿って床断熱層を設け、開口部の周りとなる開口周囲部に、天井断熱層と床断熱層とを繋ぐ繋ぎ断熱層を設ける構成としたため、階間部における局所的な冷えを抑制することが可能となる。その結果、複数階のユニット式建物において好適なる断熱を実現することができる。
【0012】
手段2.前記下階ユニット側では、当該下階ユニットの前記天井大梁と前記上階ユニットの前記床大梁との間となる部分を通して、前記天井面材に沿う方向に前記天井断熱層が設けられており、
前記上階ユニット側では、当該上階ユニットの前記床大梁とその上方の前記床面材との間となる部分を通して、前記床面材に沿う方向に前記床断熱層が設けられている手段1に記載の建物の断熱構造。
【0013】
上記構成では、下階ユニット側において、下階ユニットの天井大梁と上階ユニットの床大梁との間となる部分を通して、天井面材に沿う方向に天井断熱層が設けられていることにより、天井大梁付近における下階空間の冷えを抑制できる。また、上階ユニット側において、上階ユニットの床大梁と床面材との間となる部分を通して、床面材に沿う方向に床断熱層が設けられていることにより、床大梁付近における上階空間の冷えを抑制できる。
【0014】
手段3.前記天井断熱層は、前記下階ユニットの天井面材の上に敷設された天井断熱材(天井断熱材42)を有し、その天井断熱材の余剰部分(余剰部分42a)を、前記階間部における前記開口周囲部に沿って上下方向に延ばすことで、前記繋ぎ断熱層が構成されている手段1又は手段2に記載の建物の断熱構造。
【0015】
上記構成では、天井断熱層として用いられる天井断熱材の余剰部分により、開口周囲部の繋ぎ断熱層が構成されており、開口周囲部において適切なる断熱性能の付与と繋ぎ断熱層を設ける際の作業性向上とを実現することができる。
【0016】
手段4.前記天井断熱層は、前記下階ユニットの天井面材の上に配設された天井断熱材(天井断熱材42)を有し、
前記床断熱層は、前記上階ユニットの床面材の下に配設された床断熱材(床断熱材46)を有し、
前記天井断熱材及び前記床断熱材の一方は他方よりも変形が容易となるように構成されており、この一方の断熱材の余剰部分(例えば余剰部分42a)を、前記階間部における前記開口周囲部に沿って上下方向に延ばすことで、前記繋ぎ断熱層が構成されている手段1又は手段2に記載の建物の断熱構造。
【0017】
上記構成では、天井断熱材及び床断熱材のうち比較的変形が容易な一方の余剰部分により、開口周囲部の繋ぎ断熱層が構成されており、開口周囲部において適切なる断熱性能の付与と繋ぎ断熱層を設ける際の作業性向上とを実現することができる。
【0018】
手段5.前記余剰部分によって前記繋ぎ断熱層を構成している断熱材は、当該断熱材にて前記上階ユニットの前記床大梁と前記下階ユニットの前記天井大梁との間を通過している部分が潰れた状態となるようにしてそれら床大梁及び天井大梁に当接していることを特徴とする手段3又は手段4に記載の建物の断熱構造。
【0019】
手段4や手段5に示したように床断熱材や天井断熱材の余剰部分を用いて繋ぎ断熱層を構成する場合には、断熱材の位置ずれの影響が繋ぎ断熱層の断熱性能に及ぶ可能性がある。ここで、本手段に示すように、断熱材にて上下階のユニットの大梁の間を通過する部分が潰れた状態(圧縮された状態)となるようして当該断熱材が両大梁に当接する構成とすれば、上下の大梁によって断熱材の位置ずれを抑えることができる。これにより、上記不都合の発生を好適に抑制できる。
【0020】
手段6.前記建物の外壁部に外壁断熱層(外壁断熱層31)が設けられており、
前記床断熱層及び前記天井断熱層は、前記外壁断熱層よりも断熱性能が高くなっている手段1乃至手段5のいずれか1つに記載の建物の断熱構造。
【0021】
この場合、床断熱層及び天井断熱層が、外壁断熱層よりも断熱性能が高くなっている(換言すれば、例えば熱貫流率が低くなっている)ことにより、建物全体における断熱性能を好適に向上させることができる。
【0022】
手段7.前記上階ユニットは、互いに対向する前記床大梁の間に架け渡された複数の床小梁(床小梁26)と、前記床小梁に加えられた振動エネルギを吸収する制振ダンパ(制振ダンパ61)とを有し、
前記制振ダンパは、前記床小梁に固定されるブラケット(ブラケット62)と、そのブラケットにより支持され前記床小梁と横並びの位置に配置される制振部材(制振部材63)とを有しており、
前記床小梁には、その上面側に、前記床面材を支えかつ前記床断熱層の一部となる根太(根太45)が設けられるとともに、下面側に前記制振ダンパが固定されている手段1乃至手段6のいずれか1つに記載の建物の断熱構造。
【0023】
上階空間から下階空間への音や振動の影響を無くすべく、上階ユニットの床小梁に制振ダンパを設ける技術が知られている。また、制振ダンパは、床面材の下方(すなわち階間部内)における納まりを考えると、ブラケットにより支持される制振部材(重り等)が、床小梁と横並びの位置に配置されることが望ましい。この場合、上記のとおり上階ユニットの床面材の下面側に床断熱層を設ける構成では、制振ダンパの制振部材と床断熱材とが互いに干渉することが考えられる。
【0024】
この点、上記構成では、上階ユニットの床小梁において、その上面側に、床面材を支えかつ床断熱層の一部となる根太を設けるとともに、下面側に制振ダンパを固定したため、上階ユニットの床部の断熱性を高めつつ、床面材から制振ダンパを離して配置することで制振部材と床断熱材との干渉を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】建物の概略を示す正面図。
図2】建物の断熱層を示す正面図。
図3】階間部における断熱構造を示す縦断面図。
図4】開口部の周りにおける断熱構造を示す縦断面図。
図5】制振ダンパの周りにおける床断熱構造を示す図。
図6】ユニット式建物の概要を示す斜視図。
図7】建物ユニットを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態の建物は、複数の建物ユニットが互いに組み合わされて構築される複数階のユニット式建物となっている。図6は、そのユニット式建物の概要を示す斜視図であり、図7は建物ユニットを示す斜視図である。
【0027】
図6に示すように、住宅等の建物10は、基礎11の上に設けられた建物本体12と、建物本体12の上に設けられた屋根13とを備えている。建物10は二階建てとされ、一階部分14と二階部分15とを有している。建物本体12は、複数の建物ユニット20が互いに連結されることにより構成されている。一階部分14及び二階部分15では、建物ユニット20が上下に並べて配置されており、以下の説明では、一階部分14の建物ユニット20を下階ユニット20A、二階部分15の建物ユニット20を上階ユニット20Bとも称する。
【0028】
建物ユニット20は、図7に示すように、その四隅に配設される4本の柱21と、各柱21の上端部及び下端部をそれぞれ連結する各4本の天井大梁22及び床大梁23とを備えている。そして、それら柱21、天井大梁22及び床大梁23により直方体状の骨格(フレーム)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなり、天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなる。
【0029】
建物ユニット20の長辺部の相対する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁25が架け渡されている。同じく建物ユニット20の長辺部の相対する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁26が架け渡されている。天井小梁25と床小梁26とはそれぞれ同間隔でかつ各々上下に対応する位置に設けられている。例えば、天井小梁25はリップ溝形鋼よりなり、床小梁26は角形鋼よりなる。天井小梁25によって天井面材27が支持され、床小梁26によって床面材28が支持されている。
【0030】
図1は、建物10の概略を示す正面図であり、図1には、各建物ユニット20の構造のうち天井大梁22と床大梁23とが示されている。
【0031】
図1において、下階ユニット20Aの天井大梁22と上階ユニット20Bの床大梁23とを含む範囲は階間部16となっている。階間部16は、一階部分14の屋内空間である下階空間S1と、二階部分15の屋内空間である上階空間S2との間に設けられている。階間部16内の空間が後述する階間空間である。階間部16には、下階空間S1と上階空間S2とを連通する開口部17が設けられている。開口部17は、例えば階段が設けられる階段開口、又は吹き抜けが設けられる吹き抜け開口である。なお、図中のSLは、一階部分14及び二階部分15の上下方向の境界を示すスタッキングラインである。
【0032】
本実施形態の建物10は、建物全体を囲む外周部分に沿って建物10を断熱する断熱構造を有しており、図2には、建物外周部分における断熱層が示されている。本実施形態では、建物10の最下階床部の断熱構造として、下階ユニット20Aの床面材28の下面側を断熱する床下断熱構造が用いられ、建物10の最上階天井部の断熱構造として、上階ユニット20Bの天井面材27の上面側を断熱する天井断熱構造が用いられている。
【0033】
建物10における断熱基本構造として、建物10の各階の外壁部には外壁断熱層31が設けられている。建物10の一階部分14の床部には、最下階床断熱層32が設けられている。また、建物10の二階部分15(最上階)の天井部には、最上階天井断熱層33が設けられている。これら各断熱層31~33は、言うなれば建物外周を断熱する外周断熱層である。
【0034】
その断熱基本構造は周知であるため、構成を簡単に説明すると、建物10の外壁部には、外壁フレームと外壁面材とを有する外壁パネルが固定されており、外壁フレームの内側(すなわち屋内側)に、グラスウール等よりなる壁内断熱材が設けられている。この壁内断熱層により外壁断熱層31が構成されている。また、建物10の最下階床部には、下階ユニット20Aの床面材28に沿って床下断熱材が設けられており、その床下断熱材により最下階床断熱層32が構成されている。さらに、建物10の最上階天井部には、上階ユニット20Bの天井面材27に沿って天井裏断熱材が設けられており、その天井裏断熱材により最上階天井断熱層33が構成されている。
【0035】
ところで、建物10では、外壁付近から建物内側に向けて水平方向に床大梁23や天井大梁22が延びており、冬場などの低温時において低温の外気が階間空間S3に流入すると、階間空間S3内の冷気により、建物10の中央付近であっても局所的に低温部分が生じることが考えられる。また、階段等を形成するための開口部17の周りが階間空間S3に囲まれていると、やはり局所的な低温部分になることが考えられる。
【0036】
そこで本実施形態では、上述した建物外周部の各断熱層31~33(外周断熱層)に加え、建物10の階間部16における局所的な冷えを抑制すべく、階間部断熱層を設ける構成としている。この場合、図2に示すように、階間部16に、階間天井断熱層34と、階間床断熱層35と、それら階間天井断熱層34及び階間床断熱層35を繋ぐ繋ぎ断熱層36とを設ける構成としている。以下、図3を参照して階間部16の基本構造及び断熱構造について詳しく説明する。図3は、階間部16の縦断面図であり、図1のA-A線断面図に相当する。
【0037】
下階ユニット20Aにおいて、天井大梁22及び天井小梁25の下面には、天井下地材としての野縁41を介して、石膏ボード等よりなる天井面材27が固定されている。野縁41は、天井大梁22や天井小梁25に沿って延びる長尺部材である。
【0038】
また、上階ユニット20Bにおいて、床大梁23及び床小梁26の上面には、床下地材としての根太45を介して、床面材28が固定されている。根太45は、木製の角材よりなり、床大梁23や床小梁26に沿って延びる長尺部材である。床大梁23の上面と床小梁26の上面とは同じ高さ位置になるように構成されており、床大梁23の上方及び床小梁26の上方では、それぞれ根太45に対して床面材28が固定されている。なお、床面材28は、例えばフローリング材等よりなる床仕上面材と、その下側に設けられた合板やパーティクルボード等よりなる床下地面材とを含む。
【0039】
階間部16内にて下階ユニット20Aの天井面材27と上階ユニット20Bの床面材28との間に形成された空間(階間空間S3)には、天井面材27の上面に沿って天井断熱材42が設けられている。天井断熱材42は、グラスウール等の繊維系断熱材よりなり、天井小梁25を上から覆うようにして設けられている。また、天井断熱材42は、下階ユニット20Aの天井大梁22と上階ユニット20Bの床大梁23との間(梁間隙間)に押し潰された状態で入り込み、かつ水平方向に並ぶ各下階ユニット20Aにおいて隣り合う各天井大梁22を上から覆うようにして設けられている。この場合、天井断熱材42は、水平方向に並ぶ各下階ユニット20Aに跨がるようにして設けられている。なお、水平方向に並ぶ下階ユニット20Aの各天井大梁22の間(天井大梁22のウエブ間)には、天井断熱材42の一部が膨張状態で入り込むとともに、梁間断熱材43が充填されている。本実施形態では、天井断熱材42により天井断熱層が形成されている。
【0040】
また、階間空間S3には、床面材28の下面に沿って床断熱材46が設けられている。床断熱材46は、板状に成形された断熱材よりなり、床面材28の下面側において隣り合う根太45の間となる位置にそれぞれ固定されている。床断熱材46は、同一の建物ユニット20における根太45間だけでなく、水平方向に並ぶ各上階ユニット20Bにおいて隣り合う各床大梁23上の根太45間にも設けられている。つまり、隣り合う各床大梁23上の根太45には、ユニット繋ぎ部分の床面材28a(床繋ぎ材)が固定され、その床面材28aの下面にも、床面材28の下面と同様に床断熱材46が固定されている。要するに、床面材28,28aの下面側では、根太45と床断熱材46とが交互に並べて設けられている。
【0041】
この場合、木材よりなる根太45は、金属製の床小梁26に比べて断熱性能が高いため、床小梁26と床面材28,28aとの間に根太45を介在させることにより、床小梁26が冷えていてもその冷えの伝わりが遮断される。本実施形態では、床断熱材46により床断熱層が形成されている。
【0042】
なお、図示のとおり、階間空間S3には、床小梁26を囲むように小梁断熱材47が設けられており、階間空間S3の冷えが床小梁26に伝わることを抑制している。それら小梁断熱材47と同様に、階間空間S3に床大梁23を囲むようにして床大梁断熱材を設けてもよい。
【0043】
階間天井断熱層34及び階間床断熱層35を構成する断熱材については、上記外壁断熱層31を構成する断熱材よりも熱貫流率が低くなっている。これにより、建物全体での断熱性能を好適に向上させることができる。なお、壁面と比較して床面は居住者が触れる機会が多い部分である。故に、各断熱層のうち階間床断熱層35の熱貫流率を低くすることには、断熱性能を向上させたことによる効果を居住者が享受しやすくなるというメリットがある。
【0044】
次に、図4を参照して、開口部17の周りにおける断熱構造について説明する。図4は、開口部17及びその周辺を示す階間部16の縦断面図である。
【0045】
開口部17では、天井小梁25及び床小梁26に対して区画面材51が固定されており、その区画面材51により階間空間S3が水平方向に区画されている。階間空間S3において開口部17の周りとなる開口周囲部18には、階間天井断熱層34と階間床断熱層35とを繋ぐ上記繋ぎ断熱層36が設けられている。なお、区画面材51を天井大梁22及び床大梁23に固定する構成としてもよい。
【0046】
本実施形態では、階間天井断熱層34を構成する天井断熱材42の一部を用いて繋ぎ断熱層36が構成されている。具体的には、天井断熱材42は、その横幅(図4における左右の大きさ)が開口部17を除いた階間空間S3の横幅よりも大きくなるように形成されており、当該天井断熱材42が所定の設置位置に配設された状態、すなわち外壁側(例えば外壁側の大梁)を基準として天井面材27に沿うように配設(敷設)された状態では、当該天井断熱材42における開口周囲部18側の一部が余剰となるように構成されている。
【0047】
天井断熱材42については、上記余剰部分(以下、余剰部分42aという)が区画面材51に沿って上下方向に延びるようにしておよそ90度に折れ曲がるようにして配置されている。この状態では、余剰部分42aが区画面材51とその取付対象(小梁25,26)とに重なっている。余剰部分42aの先端部分については、少し潰れた状態で床断熱材46の下面に当接しており、階間床断熱層35と繋ぎ断熱層36との間に隙間が生じることが抑制されている。これにより、開口周囲部18においては階間天井断熱層34及び階間床断熱層35が繋ぎ断熱層36を介して隙間なく繋がっている。
【0048】
余剰部分42aについては上述した折れ曲がり状態で上記取付対象(小梁25,26)及び床断熱材46に重なってはいるものの、区画面材51、小梁25,26、床断熱材46に対して非固定、詳しくは自由端となっている。施工現場にて繋ぎ断熱層36を形成する場合には、天井断熱材42を余剰部分42a側の端部がフロアライン等から上方に突出するようにして折れ曲がった状態とした後に、床面材28及び床断熱材46が組み合わされてなる床ユニットが当該端部に載るようにして上方から設置される。これにより、天井断熱材42の端部が床断熱材46によって押し潰され、階間床断熱層35と繋ぎ断熱層36とが繋がる。故に、作業者の手が届きにくい階間空間S3であっても階間床断熱層35と繋ぎ断熱層36とを容易に繋げることができる。
【0049】
なお、天井断熱材42については所定の設置位置に配設された状態では、下階ユニット20Aの天井大梁22と上階ユニット20Bの床大梁23との間に圧縮された状態で入り込んでおり(大梁22,23によって挟まれており)、それら大梁22,23によって天井面材27に沿う方向での位置ずれが抑制されている。これにより、余剰部分42aを非固定として作業性の低下を抑制した場合であっても、天井断熱材42の位置ずれ等によって断熱が上手く行われなくなるといった不都合を生じにくくしている。
【0050】
天井断熱材42については、グラスウール等の繊維系断熱材よりなり、板状の床断熱材46と比べて変形が容易となっている。相対的に変形困難な床断熱材46ではなく相対的に変形容易な天井断熱材42によって繋ぎ断熱層36を構成することで、繋ぎ断熱層36の形成作業を容易化している。
【0051】
本実施形態に示す建物10には、上階ユニット20Bの床部に、床小梁26に加えられた振動エネルギを吸収する制振ダンパ61が設けられている。以下、図5を参照して、この制振ダンパ61について説明する。図5(a)は、制振ダンパ61を含む床部の構造を示す縦断面図であり、図5(b)は、同構造の平面図である。
【0052】
制振ダンパ61は、床小梁26に固定されたブラケット62と、そのブラケット62により支持され、床小梁26と横並びの位置に配置される制振部材63とを有している。ブラケット62は、床小梁26の下面に溶接等により固定され、床小梁26の側方に突出している。制振部材63は、例えば弾性変形可能なゴム等の材料よりなる弾性部材63aと、弾性部材63aを介してブラケット62に取り付けられた重り部材63bとを有している。制振部材63は、床小梁26を挟んで両側方においてブラケット62上に載置された状態で固定されている。上階ユニット20Bの床部において振動が生じた場合には、床小梁26の揺れ(振動エネルギ)が制振ダンパ61に吸収される。これにより、当該床部における衝撃音が低減される。
【0053】
ここで、制振ダンパ61は、床面材28の下方(すなわち階間空間S3)における納まりを考えると、制振部材63が床小梁26と横並びの位置に配置されることが望ましい。この場合、上記のとおり上階ユニット20Bの床面材28の下面側に階間床断熱層35を設ける構成では、制振部材63と階間床断熱層35を構成する床断熱材46とが互いに干渉することが懸念される。本実施形態においては、そのような懸念を解消する工夫がなされていることを特徴の1つとしている。以下、当該工夫について説明する。
【0054】
既に説明したように、床小梁26には、その上面側に、床面材28を支えかつ床断熱層の一部となる根太45が配設されており、床面材28はこの根太45を介して床小梁26に固定されている。床面材28と床小梁26との間に根太45を介在させることにより、階間空間S3の冷えが床小梁26を介して床面材28に伝わることを抑制し、且つ床面材28から制振ダンパ61を離して配置することが可能となっている。つまり、階間床断熱層35の断熱性能を高めつつ、制振機能を好適に発揮させることが可能となっている。
【0055】
床断熱材46は、隣り合うように根太45の間を埋めるように配設された第1断熱材46aを有している。第1断熱材46aにて根太45と対峙している端部であって上記制振部材63の上方となる部分には根太45側に開放された切欠きが形成されており、当該切欠きを埋めるようにして第2断熱材46bが配設されている。つまり、床断熱材46は、床面材28に沿う方向に配列された第1断熱材46a及び第2断熱材46bが組み合わされてなる。
【0056】
第2断熱材46bは、制振部材63の上方に位置しており、第1断熱材46aよりも薄くなっている。このような厚さの違いにより、床断熱材46の下面にて制振部材63の上方となる部分には上方に凹む凹部46cが形成されている。凹部46cには制振部材63の上端部が挿入されており、凹部46cの底部と制振部材63との間には当該制振部材63の動作を許容する隙間が確保されている。これにより、床断熱材46と制振部材63との干渉が回避されている。
【0057】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0058】
建物ユニット20が上下に組み合わされてなる二階建ての建物10では、冬場などの低温時には、階間部16内が低温になることで、建物中央寄りの部分であっても局所的な冷えが生じることが懸念される。また、階間部16に設けられた開口部17にも冷えが伝わることが懸念される。この点、本実施形態においては、階間部16において、下階ユニット20Aの天井面材27にその天井面材27に沿って階間天井断熱層34を設け、上階ユニット20Bの床面材28にその床面材28に沿って階間床断熱層35を設け、開口部17の周りとなる開口周囲部18に、階間天井断熱層34と階間床断熱層35とを繋ぐ繋ぎ断熱層36を設ける構成としたため、階間部16(開口部17を含む)における局所的な冷えを抑制することが可能となる。その結果、複数階のユニット式建物において好適なる断熱を実現することができる。
【0059】
下階ユニット20A側では、当該下階ユニット20Aの天井大梁22と上階ユニット20Bの床大梁23との間となる部分を通して、天井面材27に沿う方向に階間天井断熱層34が設けられており、上階ユニット20B側では、当該上階ユニット20Bの床大梁23とその上方の床面材28との間となる部分を通して、床面材28に沿う方向に階間床断熱層35が設けられている。この構成によれば、下階ユニット20Aの天井大梁22付近における下階空間S1の冷えを抑制できる。また、上階ユニット20Bの床大梁23付近における上階空間S2の冷えを抑制できる。特に、天井と比べて床については居住者が触れる機会が多くなる。故に、床面材28と天井大梁22に階間床断熱層35を設けて上記冷えが居住者に伝わりにくくすることにより、断熱性能の向上効果を好適に発揮させることができる。
【0060】
階間天井断熱層34を構成する天井断熱材42の余剰部分42aを区画面材51に沿って配設することで開口周囲部18の繋ぎ断熱層36が構成されている。このような構成とすることで、開口周囲部18において適切なる断熱性能の付与と繋ぎ断熱層36を設ける際の作業性向上とを実現することができる。
【0061】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。因みに、以下の各構成を個別に上記実施形態に対して適用してもよく、一部又は全部を組み合わせて上記実施形態に対して適用してもよい。
【0062】
・上記実施形態では、天井断熱材42の余剰部分42aを区画面材51に沿って配設することで開口周囲部18にて繋ぎ断熱層36を構築したが、繋ぎ断熱層36の具体的構造については任意である。
【0063】
例えば、天井断熱材42や床断熱材46とは別に設けられた断熱材を区画面材51に沿って配設することで繋ぎ断熱層を構築してもよい。このような構成とする場合には、階間床断熱層35と同様に、区画面材51が天井小梁25や床小梁26に木製の下地材を介して固定される構成とし、それら下地材の間の隙間を埋めるようにして板状の断熱材を配設することで繋ぎ断熱層を構成してもよい。
【0064】
また、上記実施形態に示した構成に代えて又は加えて床断熱材46を天井断熱材42と同様に変形容易とし(グラスウール等の繊維系断熱材で形成し)、当該床断熱材46の余剰部分を区画面材51に沿って配設することで繋ぎ断熱層を構築してもよい。このように変形容易な床断熱材46の余剰部分によって繋ぎ断熱層を構築する場合には、余剰部分が自重によって天井断熱材42側に垂れ下がるため、余剰部分を十分に確保してさえいれば天井断熱材42の弾力等に依存することなく余剰部分が天井断熱材42に当接した状態を維持しやすくなる。
【0065】
なお、天井断熱材及び床断熱材の一方が他方よりも変形容易となるように形成されている場合には、この変形容易な一方に余剰部分を設け、当該余剰部分を区画面材51に沿って配設する構成とすることが作業性の低下を抑制する上で好ましい。
【0066】
また、区画面材51を覆うことができるのであれば、断熱材の余剰部分をどのようにして配置するかは任意である。例えば、余剰部分を折り返すことで繋ぎ断熱層36を形成してもよいし、余剰部分を丸めることで繋ぎ断熱層を形成してもよい。このような変更を行う場合であって、繋ぎ断熱層36用の余剰部分を有する一方の断熱材と他方の断熱材との間に隙間が生じないように、当該余剰部分が他方の断熱材に押し付けられた状態となるようにしておくことが好ましい。
【0067】
・上記実施形態では、天井断熱材42にて下階ユニット20Aの天井大梁22と上階ユニット20Bの床大梁23とによって挟まれている部分が潰れた状態(圧縮された状態)となるように構成とした。これは天井断熱材42の位置ずれ等を抑え、上記余剰部分42aと区画面材51や床断熱材46との離れを抑制する上で好ましい。天井断熱材42(余剰部分42a)の位置ずれを抑えることで繋ぎ断熱層36の断熱性能を安定して発揮させる上では、上記構成に代えて余剰部分42aを区画面材51や床断熱材46に固定する構成とすることも可能である。
【0068】
・上記実施形態に示した階間床断熱層35においては、床面材28と床小梁26との間に根太45を介在させることで床小梁26の高さ位置を引き下げた上で、厚さの異なる断熱材46a,46bを組み合わせることで床断熱材46に凹部46cを形成し、床断熱材46と制振ダンパ61との干渉を回避する構成としたが、根太の追加による床小梁の高さ位置の引き下げによって制振ダンパと床断熱材との干渉を回避可能である場合には上記凹部に相当する構成は省略してもよい。
【0069】
・上記実施形態では、外壁断熱層31を構成している壁断熱材よりも階間天井断熱層34を構成している天井断熱材42や階間床断熱層35を構成している床断熱材46の方が熱貫流率が低い(断熱性能が高い)構成としたが、壁断熱材と天井断熱材42及び床断熱材46との熱貫流率を同一とする構成や、壁断熱材よりも天井断熱材42や床断熱材46の方が熱貫流率が高い(断熱性能が低い)構成とすることも可能である。
【0070】
・上記実施形態では、開口部17を区画形成している区画面材51と繋ぎ断熱層36(余剰部分42a)との間に下階ユニット20Aの天井小梁25及び上階ユニット20Bの床小梁26が位置する構成としたが、区画面材51と繋ぎ断熱層36(余剰部分42a)との間に天井小梁25及び床小梁26が位置しない構成とすることも可能である。
【0071】
・上記実施形態では、建物10の最下階床部の断熱構造として床断熱構造を用いたが、これに代えて、基礎11の内周面に沿って断熱材を設ける基礎断熱構造を用いてもよい。また、建物10の最上階天井部の断熱構造として天井断熱構造を用いたが、これに代えて、屋根面材に沿って断熱材を設ける屋根断熱構造を用いてもよい。
【0072】
・ユニット式建物の階数は、複数階であれば任意である。例えば三階建て建物、四階建て建物においても本発明の適用が可能である。
【符号の説明】
【0073】
10…建物、16…階間部、17…開口部、18…開口周囲部、20…建物ユニット、20A…下階ユニット、20B…下階ユニット、21…柱、22…天井大梁、23…床大梁、26…床小梁、27…天井面材、28…床面材、31…外壁断熱層、34…階間天井断熱層、35…階間床断熱層、36…繋ぎ断熱層、42…天井断熱材、42a…余剰部分、45…根太、46…床断熱材、61…制振ダンパ、62…ブラケット、63…制振部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7