(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-06
(45)【発行日】2023-04-14
(54)【発明の名称】印刷装置とその制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20230407BHJP
B41J 21/00 20060101ALI20230407BHJP
G03G 15/23 20060101ALI20230407BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20230407BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20230407BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
B41J29/38 501
B41J21/00 Z
G03G15/23
G03G21/14
G06F3/12 308
G06F3/12 350
H04N1/00 127B
H04N1/00 567Z
(21)【出願番号】P 2019044192
(22)【出願日】2019-03-11
【審査請求日】2022-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 翔
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-046594(JP,A)
【文献】特開2012-058906(JP,A)
【文献】特開2006-301294(JP,A)
【文献】特開2017-154372(JP,A)
【文献】特開平08-278728(JP,A)
【文献】特開平10-143342(JP,A)
【文献】特開2006-031614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 21/00
G03G 15/23
G03G 21/14
G06F 3/12
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置から
複数ページ分の画像データ
と印刷設定を受信し、受信した前記画像データに基づく画像を印刷する印刷装置であって、
前記画像データに含まれる画像データの1部のページ数
と、印刷に使用される用紙の情報が切り替わるページ数の情報とを受信する受信手段と、
受信した前記1部のページ数
と、印刷に使用される用紙の情報が切り替わるページ数の前記情報に基づき、用紙の情報を切り替えることなく印刷されるページ数が奇数であるかを判定す
る判定手段と、
受信した前記
印刷設定に両面印刷の実行を指示する設定値が含まれており、かつ、前
記判定手段
により用紙の情報を切り替えることなく印刷されるページ数が奇数であると判定された場合、前記用紙の情報が切り替わるページの1つ前のページの画像データに基づく画像が印刷される用紙の反対面に、受信した前記画像データに基づく画像の印刷がなされないよう制御する制御手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記用紙の情報が切り替わるページの画像データと前記用紙の情報が切り替わるページの1ページ前の画像データの間に白紙データを挿入することで、前記用紙の情報が切り替わるページの1ページ前の画像データに基づく画像が印刷される用紙の反対面に、受信した前記画像データに基づく画像の印刷がなされないよう制御することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記用紙の情報は、用紙サイズまたは用紙種類に関する情報であることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
受信した前記画像データは、1部の画像データが印刷部数に応じた回数繰り返されたデータであることを特徴とする請求項1
乃至3のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項5】
受信した前記画像データに含まれる各部の画像データは、最終ページから順番に並べられていることを特徴とする請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記印刷装置は、フェースアップ排紙を行う印刷装置であることを特徴とする請求項1乃至
5のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記印刷装置は、前記フェースアップ排紙を行うことを前記情報処理装置に通知する通知手段を、更に有することを特徴とする請求項
6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記印刷装置は、
受信した前記画像データのページ数に応じて課金を行う印刷装置で
あることを特徴とする請求項1乃至
7のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記受信手段は、前記情報処理装置から前記1部のページ数と印刷に使用される用紙の情報が切り替わるページ数の情報とを受信することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記1部のページ数と、印刷に使用される用紙の情報が切り替わるページ数の前記情報は、所定のプロトコルの定義に乗って記述される情報であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記所定のプロトコルは、Internet Printing Protocolであることを特徴とする請求項10に記載の印刷装置。
【請求項12】
情報処理装置から
複数ページ分の画像データ
と印刷設定を受信し、受信した前記画像データに基づく画像を印刷する印刷装置の制御方法であって、
前記画像データに含まれる画像データの1部のページ数
と、印刷に使用される用紙の情報が切り替わるページ数の情報とを受信する受信工程と、
受信した前記1部のページ数
と、印刷に使用される用紙の情報が切り替わるページ数の前記情報に基づき、用紙の情報を切り替えることなく印刷されるページ数が奇数であるかを判定す
る判定工程と、
受信した前記印刷設定に両面印刷の実行を指示する設定値が含まれており、かつ、前
記判定工程において
用紙の情報を切り替えることなく印刷されるページ数が奇数であると判定された場合、前記用紙の情報が切り替わるページの1つ前のページの画像データに基づく画像が印刷される用紙の反対面に、受信した前記画像データに基づく画像の印刷がなされないよう制御する制御工程と、
を有することを特徴とする印刷装置
の制御方法。
【請求項13】
コンピュータを、請求項1乃至
11のいずれか一項に記載の印刷装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置とその制御方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
IPP規格(IPP:Internet Printing Protocol(非特許文献1))に準拠する印刷において、印刷装置へPWGラスタフォーマットの印刷ジョブを送信する場合に、複数部の印刷の場合、1ジョブ中に複数回ページデータを生成することが知られている。ここで、PWGラスタフォーマットの印刷ジョブで、原稿データが奇数ページでかつ両面印刷の場合、印刷ジョブを投入するホスト側では、部毎の最終ページに白紙ページを挿入する。これにより、1部目の最終ページと2部目の先頭ページが同シートの両面に張り付くことを防止している。
【0003】
しかし、ホスト側で面付制御用の白紙ページを挿入することは、印刷ページ数に応じて料金を徴収する課金型のMFPなどでは白紙ページの印刷にも料金が発生してしまうため望ましくない。また、IPPでは、部の区切りを判断する情報(1部あたりのページ数を示すIPP属性:job-pages-per-set(非特許文献2))を印刷ジョブのジョブ属性に設定することが知られている。
【0004】
また印刷ジョブをドキュメント単位でブロックに分けて、ブロックの末ページがおもて面に割り当たった場合に、裏面に白紙データを挿入する技術がある(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【文献】RFC2911[平成30年11月21日検索](https://tools.ietf.org/html/rfc2911)
【文献】PWG5100.1[平成30年11月22日検索](https://ftp.pwg.org/pub/pwg/candidates/cs-ippfinishings20-20141219-5100.1.pdf)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ラスタフォーマットで、且つ、両面印刷の場合においても、両面印刷に起因する白紙ページの印刷を課金対象から除外するために、両面印刷制御用の白紙ページを、プリンタ側で挿入し、課金対象外として取り扱うことが考えられる。その際、前述した部の区切りを示す属性情報から、プリンタ側で部の区切り位置を判断し、1部あたりのページ数が奇数の両面印刷の場合に、面付制御用の白紙ページを挿入し、当該白紙ページを課金対象外として取り扱うことが考えられる。しかしながら、1部あたりのページ数が奇数の両面印刷の場合に、単純に、最終ページに相当する箇所に白紙ページを挿入するだけでは、ユーザの意図する印刷結果とは異なる印刷物が出力されてしまうケースがある。
【0008】
【0009】
【0010】
図7の印刷ジョブは、5ページ(P1~P5)、両面印刷、フェースアップ排紙、ページ例外(IPP属性:overrides)で、P1のみP2~P5と別サイズがセットされたジョブである。この印刷ジョブでは、1部あたりのページ数が5であるため奇数で、かつ、フェースアップ排紙であるため、先頭に白紙ページを挿入する。しかし、P2とP1は
互いに異なるサイズなので、P2とP1の間にも白紙ページを挿入する必要がある。このように、単純に1部あたりのページ数を示す属性情報に基づいて白紙ページの挿入位置を判定すると、ユーザの意図しない印刷物が出力されてしまうおそれがある。尚、特許文献
1は、全ページのデータを蓄積可能なプリンタが前提となっている。しかし、フェースアップ排紙で、かつ全ページのデータを蓄積しないなプリンタであっても、先頭に白紙ページを挿入したい場合がある。
【0011】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点の少なくとも一つを解決することにある。
【0012】
本発明の目的は、例えば、ページ例外により印刷情報が印刷ジョブの途中で切り替わる場合であっても、両面印刷のための白紙ページを印刷装置で挿入できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係る印刷装置は以下のような構成を備える。即ち、
情報処理装置から複数ページ分の画像データと印刷設定を受信し、受信した前記画像データに基づく画像を印刷する印刷装置であって、
前記画像データに含まれる画像データの1部のページ数と、印刷に使用される用紙の情報が切り替わるページ数の情報とを受信する受信手段と、
受信した前記1部のページ数と、印刷に使用される用紙の情報が切り替わるページ数の前記情報に基づき、用紙の情報を切り替えることなく印刷されるページ数が奇数であるかを判定する判定手段と、
受信した前記印刷設定に両面印刷の実行を指示する設定値が含まれており、かつ、前記判定手段により用紙の情報を切り替えることなく印刷されるページ数が奇数であると判定された場合、前記用紙の情報が切り替わるページの1つ前のページの画像データに基づく画像が印刷される用紙の反対面に、受信した前記画像データに基づく画像の印刷がなされないよう制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、例えば、ページ例外により印刷情報が印刷ジョブの途中で切り替わる場合であっても、両面印刷のための白紙ページを印刷装置で挿入できるので、意図通りの印刷物を出力できるという効果がある。
【0015】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照とした以下の説明により明らかになるであろう。なお、添付図面においては、同じ若しくは同様の構成には、同じ参照番号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
添付図面は明細書に含まれ、その一部を構成し、本発明の実施形態を示し、その記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
【
図1】本発明の実施形態に係る印刷システムの構成を説明する図。
【
図2】実施形態に係る印刷装置のハードウェア構成を説明するブロック図。
【
図3】実施形態に係るMFPのソフトウェア構成を説明する機能ブロック図。
【
図4】一般的な印刷システムにおける基本的な印刷シーケンスを説明する図。
【
図5】5ページのドキュメントを両面印刷で印刷し、フェースダウンで出力する例を示す図。
【
図6】5ページのドキュメントを両面印刷で印刷し、フェースアップで出力する例を示す図。
【
図8】ページ(P1)のサイズが異なる、計5ページのドキュメントを両面印刷で印刷し、フェースアップで出力する例を示す図。
【
図9】情報処理装置からMFPに送信される印刷ジョブの属性の一例を示す図。
【
図10】実施形態に係るMFPによる処理を説明するフローチャート。
【
図11】実施形態に係るMFPによる、1ページのみサイズが異なる計5ページの両面印刷で、フェースアップ出力例を示す図。
【
図12】実施形態に係るMFP101による、1ページのみサイズが異なる計5ページの両面印刷で、フェースダウン出力例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これら複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一もしくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る印刷システムの構成を説明する図である。
【0019】
LAN(Local Area Network)100上には、印刷装置101、AP(アクセスポイント)102が互いに通信可能に接続されている。実施形態では、情報処理装置の一例として、タブレット、スマートフォン、PCなどの携帯端末103,104,105を例に説明する。尚、以下の説明では、タブレット103、スマートフォン104、PC105などを総称して情報処理装置と呼ぶ。この情報処理装置は、AP102を介してLAN100上の印刷装置101と互いに通信できる。また印刷設定を管理する管理サーバ106は、印刷装置101が印刷ジョブを処理する際、情報処理装置の各ユーザが設定可能な印刷機能に関する情報を管理する。印刷装置101は、情報処理装置からの印刷ジョブ依頼を受けると印刷処理を行う。
【0020】
印刷装置101はシート(記録媒体)に画像を印刷する印刷機能を有し、ネットワーク100を介して受信した印刷データに基づく印刷処理を実行できる。実施形態では、印刷システムの一例として上記の構成例で説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも1つ以上の情報処理装置と印刷装置とがネットワークを介して通信可能に接続されていればよい。またネットワークは無線であっても有線であっても良い。
【0021】
図2は、実施形態に係る印刷装置101のハードウェア構成を説明するブロック図である。この印刷装置101はシートに画像を印刷する印刷機能を有する。実施形態では、印刷装置を例に説明するが、印刷装置にスキャナやFAX機能を含む複合機(MFP:Multi Function Peripheral)等の印刷装置であってもよい。
【0022】
CPU(Central Processing Unit)211を含む制御部210は、MFP101全体の動作を制御する。CPU211は、ROM(Read Only Memory)212又はストレージ214に記憶されたプログラムをRAM(Random Access Memory)213に展開し、その展開されたプログラムを実行して印刷制御などの各種制御を行う。ROM212は、CPU211で実行可能な制御プログラムやブートプログラム等を格納する。RAM213は、CPU211の主記憶メモリであり、ワークエリア又は各種制御プログラムを展開するための一時記憶領域として用いられる。ストレージ214は、印刷データ、画像データ、各種プログラム、及び各種設定情報を記憶する。実施形態では、ストレージ214としてHDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶装置を想定しているが、SSD(Solid State Drive)などの不揮発性メモリを用いても良い。
【0023】
尚、実施形態1に係る印刷装置101では、1つのCPU211が1つのメモリ(RAM213)を用いて後述するフローチャートに示す各処理を実行するものとするが、他の様態であっても構わない。例えば複数のCPU、RAM、ROM、及びストレージを協働させても良い。またASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェア回路を用いて一部の処理を実行するようにしてもよい。
【0024】
操作部インタフェース(I/F)215は、操作部216と制御部210とを接続する。操作部216には、タッチパネル機能を有する表示部や各種ハードキーなどが備えられ、情報を表示する表示部や、ユーザの指示を受け付ける受付部として機能する。印刷部I/F219は、印刷部(プリンタエンジン)220と制御部210とを接続する。情報処理装置から受信した印刷ジョブを解析して生成された画像データは、印刷部I/F219を介して制御部210から印刷部220に転送される。印刷部220は制御部210を介して制御コマンド及び印刷すべき印刷ジョブを受信し、その印刷ジョブに基づいて給紙カセット(不図示)から給送されたシートに画像を印刷する。印刷部220は、用紙の搬送経路と定着器の位置、及び反転機構の有無に応じて、フェースアップ排紙、或いは、フェースダウン排紙、またはこれらの両方を実行できる。尚、印刷部220の印刷方式は、電子写真方式であってもよいし、インクジェット方式であってもよい。また熱転写方式などその他の印刷方式を適用することもできる。また制御部210は、通信部I/F223を介してLAN100に接続される。通信部I/F223は、LAN100上の情報処理装置に画像データや情報を送信、LAN100上の情報処理装置から印刷ジョブや情報を受信する。
【0025】
画像処理部224は、LAN100を介して受信した印刷ジョブを展開して印刷に用いる画像データを生成するRIP(Raster Image Processor)の機能を備えている。また画像処理部224は、印刷ジョブを展開して得られた画像データの解像度変換や補正処理を行うこともできる。尚、実施形態では、画像処理部224がハードウェア回路(ASIC又はFPGAなど)で実現されることを想定しているが、これに限定されるものではない。例えば、MFP101が画像処理用途向けのプロセッサを更に備え、そのプロセッサが画像処理プログラムを実行することにより、画像処理や、印刷データへの展開処理を実現してもよい。この場合、そのプロセッサとCPU211とが協働して処理を実現するものとする。更には、画像処理を行うためのプログラムをCPU211が実行し、画像処理や印刷データの展開処理を行うように構成することもできる。また、これらのいずれかの組み合わせにより画像処理を行うようにしてもよい。
【0026】
シート処理部I/F221は、制御部210とシート処理部222とを接続する。シート処理部222は、制御部210から制御コマンドを受信し、その制御コマンドに従って印刷部220により印刷されたシートに、例えばステイプルや折り、製本などの後処理を施す。
【0027】
図3は、実施形態に係るMFP101のソフトウェア構成を説明する機能ブロック図である。尚、この
図3に示す各機能ブロックは、実施形態では、CPU211がRAM213に展開したプログラムを実行することにより達成されるものとする。
【0028】
IPPプリントサービス制御部315は、エンジン制御部314から取得する印刷部220の能力情報を情報処理装置に通知する。この能力情報には、利用可能な用紙サイズや用紙種類、片面/両面、ステイプル、パンチなどのフィニッシング設定など、通常の印刷設定画面に表示する詳細仕様を含む。本実施形態の属性情報は、能力情報を含む。
【0029】
これにより情報処理装置は、MFP101から受信した能力情報に基づき印刷設定画面を生成する。そしてユーザは、その能力情報に基づいて作成された印刷設定画面を介して印刷設定を行い、印刷ボタンを押下する。このとき情報処理装置は、MFP101から通知された能力情報に基づいて印刷設定画面を制御する。印刷ボタンが押下されると情報処理装置は、ジョブ属性としての属性情報を生成し、ユーザが作成した設定の検証(ValidateJobリクエスト)をMFP101に依頼する。
【0030】
IPPプリントサービス制御部315は、この検証依頼を受信すると、仮の印刷設定情報をジョブ設定保存・検証部303に渡す。ジョブ設定保存・検証部303は、情報処理装置が設定したジョブ属性と、MFP101の印刷機能とを比較し、印刷が可能な場合は、IPPプリントサービス制御部315を経由して、情報処理装置に印刷OKを通知する。一方、その印刷設定情報が、印刷装置101で組み合わせ不可能な印刷設定を含む場合は、処理不能としてNGを情報処理装置に通知し、印刷設定項目の見直しを要求する。
【0031】
IPPプリントサービス制御部315は、情報処理装置から印刷ジョブを受信すると、印刷ジョブ生成部302に、その印刷ジョブを渡す。またその印刷ジョブの設定情報をジョブ設定保存・検証部303に渡す。
【0032】
UI制御部301は、処理中の印刷ジョブの状態に関する情報をジョブ制御部307から取得し、印刷ジョブの処理状況をUI画面に表示する。印刷ジョブ生成部302は、情報処理装置からの印刷ジョブをIPPプリントサービス制御部315経由で受信し、描画データをデータ受信制御部305に書き込むと共に、ジョブ制御部307に新規ジョブとして登録し、印刷処理の開始を要求する。更に印刷ジョブ生成部302は、印刷ジョブに適用する印刷設定情報を、ジョブ設定保存・検証部303経由でジョブ属性保存部308に渡す。
【0033】
データ受信制御部305は、印刷ジョブ生成部302が受信した印刷ジョブのバッファ領域であり、印刷ジョブ毎にストレージ214に一時保存する。ジョブ制御部307が、PDL解析部306に印刷ジョブのPDL解析処理を指示すると、PDL解析部306が、その印刷ジョブをデータ受信制御部305に要求する。これによりデータ受信制御部305は、その印刷ジョブのデータをPDL解析部306に渡す。そしてジョブ制御部307は、PDL解析部306に印刷ジョブの解析指示を行う。ページ制御部309は、PDL解析部306が生成するページデータに関して、画像データをページ保存部310に、ページ属性情報をページ属性保存部311に保存する。
【0034】
ジョブ属性保存部308は、印刷ジョブの属性情報を保存する。この属性情報は「部数」、「印刷面(片面/両面)設定」、「フィニッシング設定」などIPPのジョブ属性、ドキュメント属性として設定されるものである。ページ制御部309は、PDL解析部306のページ解析処理、RIP制御部313のRIP処理、印刷制御部312の印刷制御処理を制御する。印刷制御部312は、ページ保存部310からRIP済みの画像データを取得し、CMYKに色分解してエンジン制御部314に転送する。エンジン制御部314は、印刷制御部312からの、ページ単位のCMYK別の画像データを受け取り、印刷部220を制御して各ページの印刷処理を行う。
【0035】
ここでPDL解析部306によって、受信したジョブ属性が解析される際、1部あたりのページ数を示すIPP属性(job-pages-per-set)や、ページ例外を表すIPP属性(overrides)が解析されて、ジョブ属性保存部308に保存される。ジョブ属性保存部308に保存されたジョブ属性、及び、ページ属性保存部311に保存されたページ属性に基づいて、ページ制御部309が、両面印刷用の白紙ページの挿入など、ページを制御する。
【0036】
図4は、一般的な印刷システムにおける基本的な印刷シーケンスを説明する図である。
【0037】
印刷画面を開くユーザ操作を検知すると情報処理装置等のホスト端末は、S401で、図示省略の印刷画面を表示する。続いてホスト端末はS402で、プリンタの探索要求をネットワーク上にブロードキャストする。ここでは、一例としてmDNSによるデバイス探索が行われるものとする。続けてS403で、探索要求を受信した印刷装置などのプリンタは、ホスト端末に探索要求に対する応答を送信する。これによりホスト端末は、探索要求に対する応答を受信すると、S404でプリンタの検出結果を操作部へリスト表示する。そしてユーザがS405で、操作部を介してプリンタを選択する。これによりホスト端末はS406で、そのユーザによるプリンタの選択を受信し、S407で、その選択されたプリンタに印刷能力情報を問い合わせる。これによりプリンタは、その印刷能力情報を受け取るとS408で、自身の印刷能力情報を応答する。
【0038】
これによりホスト端末は、その印刷能力情報の応答を受信するとS409で、そのプリンタを仮登録し、S410でプリンタに対して印刷テストを行う。これによりプリンタはS411で、印刷テストに対して応答する。そしてホスト端末は、印刷テストに対する応答を受信するとS412で、そのプリンタを本登録する。
【0039】
その後、S413でユーザが操作部から印刷設定と印刷指示を行うと、その印刷指示を受信したホスト端末はS414で印刷ジョブを生成する。そしてホスト端末はS415で、その生成した印刷ジョブを、その登録されたプリンタに対して送信する。
【0040】
ここで、印刷データをどのフォーマットで、どの順番で送信するかは、プリンタの印刷能力情報によって変わる。例えば、PDFファイルを印刷する際に、プリンタの受信能力がPDFファイルのサイズよりも大きい場合は、PDFファイルをそのまま送信する。一方、プリンタの受信能力よりも、PDFファイルのサイズの方が大きい場合、ホストがPDFファイルを1ページ単位のPWGラスタフォーマットへ変換する。そして、ホストは、PWGラスタフォーマットで、プリンタが印刷する順番に1ページずつ画像データを送信する。そしてプリンタはS416で、受信した印刷ジョブに基づき、印刷を行う。
【0041】
次に
図5を参照して、フェースダウン印刷におけるプリンタで実行すべき白紙ページの挿入の具体例を説明する。
【0042】
図5は、5ページのドキュメントを両面印刷で印刷し、フェースダウンで出力する例を示す図である。
【0043】
フェースダウン印刷では、片面印刷は、印刷面が下を向いた状態(下面)で排紙される。一方、両面印刷では、一面目が用紙に印刷され、用紙が両面パスで反転され、二面目が印刷されて排紙される。この結果、両面印刷では、印刷された一面目が上面で、二面目が下面の向きで排紙される。両面印刷において、印刷物の表紙となるべき1ページ目が印刷された面を、片面印刷の場合と同様に下面の向きで排紙するためには、プリンタで、2ページずつのセットで紙にページを割付けて、若いページが二面目(下面)になるように印刷を行う。例えば、P1とP2を同じ用紙に両面印刷する際に、用紙のおもて面にP2を印刷した後、その用紙を反転して、その用紙の裏面にP1を印刷して、裏面を下向き(下面)にして排紙する。
【0044】
また、印刷ジョブの受信ページを順に処理して、P5を受信した後、P6が存在しないと判明すると、プリンタは、P5に対する裏面に白紙ページ501を挿入する。この白紙ページ501はプリンタで挿入しているため、その白紙ページは非課金ページとして扱える。つまり、課金対象ページとしてカウントアップされない。
【0045】
一方、フェースアップ排紙の場合は、白紙ページの挿入を異なる位置に行う必要がある。具体例な白紙ページの挿入位置について
図6を用いて説明する。
【0046】
図6は、5ページのドキュメントを両面印刷で印刷し、フェースアップで出力する例を示す図である。
【0047】
フェースアップ排紙では、片面印刷は、印刷面が上面の向きで排紙される。一方、両面印刷では、一面目が用紙に印刷された後、その用紙が両面パスで反転され、二面目に印刷されて排紙される。この結果、両面印刷では、一面目が下面、二面目が上面の向きで排紙される。フェースアップ排紙での両面印刷では、印刷物の表紙となるべき1ページ目を印刷した面を、片面印刷の場合と同様に、上面の向きで排紙するため、ホスト側で、逆順に印刷データを投入する。つまり、部の最終ページから印刷データを投入して、プリンタは、受信したページの順番で印刷する。ここでプリンタは、受信したジョブの1部当たりのページ数(job-pages-per-set)が奇数の場合、1枚目の下面に白紙ページ601を挿入する。こうすることで、残りのページを順に印刷すると、それ以降の白紙ページは不要となる。またフェースダウン印刷での白紙ページの挿入と同様に、プリンタにおける白紙ページの挿入であるため、その白紙ページは非課金ページとして扱える。
【0048】
実施形態では、上述のケースに加えて用紙サイズなどが混在しているケースを考慮する。
【0049】
図7を参照して前述したように、もし先頭ページに白紙ページを挿入しなければ、P1に対応する白紙ページを挿入するだけで済むが、先頭ページに白紙ページを挿入してしまった結果、合計3ページの白紙ページを挿入することになってしまう。このような
図7に示す課題に対して、ホストで白紙ページを挿入する例を
図8に示す。
【0050】
図8は、ページ(P1)のサイズが異なる、計5ページのドキュメントを両面印刷で印刷し、フェースアップで出力する例を示す図である。。
【0051】
ホストで、ページ(P1)の裏面に対応する白紙ページを挿入することで、プリンタで白紙ページ数を挿入する必要がないため、白紙ページ数が合計1ページに留まっている。しかし、この白紙ページはホストで挿入しているため、プリンタではこのページが白紙かどうか判定できない。そのため、プリンタはこの白紙ページを、非課金のページとして扱えないため、課金対象のページとしてカウントしてしまう。
【0052】
【0053】
図9は、情報処理装置からMFP101に送信される印刷ジョブの属性の一例を示す図である。
【0054】
この印刷ジョブ属性の例では、3部の印刷で、両面印刷であり、1部当たりのページ数が7ページである。用紙サイズは、レターサイズであるが、ページ例外属性により1ページ目がリーガルサイズである。また印刷データは逆順に投入される。
【0055】
図10は、実施形態に係るMFP101による処理を説明するフローチャートである。尚、このフローチャートに示す各動作(ステップ)は、CPU211がROM212又はストレージ214に記憶された各制御モジュールを実現するためのプログラムをRAM213に展開して実行することにより実現される。また、一部の処理は、CPU211によって実現される制御モジュールと画像処理部224や通信部I/F223などの各部とが協働して実現する。また
図10に示すフローチャートは、情報処理装置103~105などのプリントクライアントからIPPの印刷ジョブを受信したことに従って実行される一連の制御を示している。
【0056】
まずS1001でCPU211は、
図9に示すジョブ属性から、1部当たりのページ数を取得し、S1002でページ例外属性を取得する。更にS1003で用紙情報を取得する。
【0057】
そしてS1004に進みCPU211は、次ページのデータへと処理を進める。初回は次ページである1ページ目を、印刷対象のページに設定して処理を進める。2回目以降は、印刷対象のページの次ページを、新しく現在のページと設定して処理を進める。そしてS1005に進みCPU211は、印刷対象のページの用紙情報を取得する。用紙情報は、用紙サイズ、用紙タイプ、両面印刷の可否などである。この用紙情報は、S1003で取得した用紙情報をベースに、S1002で取得したページ例外属性の範囲内のページであれば、ページ例外属性の用紙情報で上書きされた用紙情報である。
【0058】
次にS1006に進みCPU211は、印刷対象のページを両面印刷するか判定し、両面印刷であればS1007へ、両面印刷でなければS1011へ処理を進める。S1007でCPU211は、印刷対象のページと同一種類の用紙に印刷するページが連続しているページ数が、奇数かを判定する。奇数であればS1008へ、偶数であればS1011へ処理を進める。これは、偶数であれば白紙ページを挿入しなくても両面印刷ができるのに対して、同じ用紙種類のページが連続している数が奇数の場合は、同一種類の用紙が連続するページのどこかに両面印刷用に白紙ページを挿入する必要があるためである。同一用紙の連続を確認するために、S1001~S1003で取得した属性を用いる。
【0059】
S1008でCPU211は、フェースアップ排紙(又は出力)かどうかを判定し、そうであればS1009へ、フェースダウン排紙(又は出力)であればS1012へ処理を進める。これは、
図5と
図6を参照して説明したように、フェースアップ排紙かフェースダウン排紙かによって、白紙ページの挿入位置が変わるので、処理を切り替えている。即ち、S1009でCPU211は、前ページは現在のページと同じ用紙情報か判定し、同じであればS1011に進み、そうでなければS1010へ処理を進める。尚、1ページ目は前のページが存在しないため、前のページと用紙情報が異なると判定する。S1010でCPU211は、白紙ページを挿入してS1011に進む。この白紙ページの挿入は、MFP101におけるページの挿入であるため、非課金ページとして扱え、課金対象ページの印刷カウントをカウントアップしない。S1011で、CPU211は、現在のページを印刷してS1014に処理を進める。
【0060】
S1012はフェースダウンでの排紙又は出力の場合で、CPU211は、次ページの用紙情報を取得する。そしてS1013に進みCPU211は、次ページと現在の印刷対象のページが同じ用紙情報か判定し、同じであればS1011に進み、そうでなければS1010へ処理を進めて、白紙ページを挿入してS1011に進んで、そのページを印刷する。S1014でCPU211は、ジョブ終了かを判定し、最終ページまで印刷し終えていたら、この処理を終了し、まだ残りのページがあればS1004へ処理を進める。
【0061】
このようにしてMFP101が
図10に示す処理を実行することによる処理結果の一例を
図11と
図12に示す。
【0062】
図11は、実施形態に係るMFP101による、1ページのみサイズが異なる計5ページの両面印刷で、フェースアップ出力例を示す図である。この場合、印刷ジョブに含まれるページは逆順に配列されている。
【0063】
図12は、実施形態に係るMFP101による、1ページのみサイズが異なる計5ページの両面印刷で、フェースダウン出力例を示す図である。この場合、印刷ジョブに含まれるページは正順に配列されている。
【0064】
MFP101は、P2からP5の処理中は、同じ用紙情報が偶数ページ続いているため白紙ページの挿入は行わない。一方、P1を処理する際は、P1は同じ用紙情報が1ページ、つまり奇数ページしか連続しない。ここで、フェースアップの排紙の場合は、前ページP2と用紙サイズが異なるので、
図11に示すように、白紙ページを挿入する。また、フェースダウン排紙においても、次ページP2と用紙サイズが異なるので、
図12に示すように白紙ページの挿入を行う。
【0065】
以上説明したように本実施形態によれば、ページ例外属性で用紙情報が途中で切り替わる印刷ジョブであっても、印刷装置側で白紙ページを挿入できるため、その白紙ページを非課金ページとして扱えることができる。
【0066】
また実施形態によれば、IPPを用いた印刷処理においてもユーザにとって適切な課金処理を行いつつ、ユーザの意図する印刷物を出力できるという効果がある。
【0067】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0068】
本発明は上記実施形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。
【符号の説明】
【0069】
101…印刷装置(MFP)、103~104…情報処理装置、211…CPU、212…ROM、213…RAM