(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-06
(45)【発行日】2023-04-14
(54)【発明の名称】燃料電池用弾性体セルフレームおよびその製造方法とそれを用いた単位セル
(51)【国際特許分類】
H01M 8/0273 20160101AFI20230407BHJP
H01M 8/0276 20160101ALI20230407BHJP
H01M 8/0284 20160101ALI20230407BHJP
H01M 8/1004 20160101ALI20230407BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20230407BHJP
【FI】
H01M8/0273
H01M8/0276
H01M8/0284
H01M8/1004
H01M8/10 101
(21)【出願番号】P 2019068666
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2021-10-08
(31)【優先権主張番号】10-2018-0160111
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ビョン-ホン
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ジンヒョク
(72)【発明者】
【氏名】ホ、ソンイル
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表平07-501417(JP,A)
【文献】特開2009-252479(JP,A)
【文献】国際公開第2011/083548(WO,A1)
【文献】特開2004-319461(JP,A)
【文献】特開2013-168353(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102347503(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02
H01M 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池の単位セルを構成するセルフレームであって、
膜電極接合体と、その両面に配置される一対の気体拡散層とが接合されたインサート;および
前記インサートの外郭領域で前記インサートの枠の下面と上面にそれぞれ配置される一対のシート状弾性体フレームが互いに熱融着されて一体に形成される弾性体フレーム;を含み、
前記弾性体フレームを形成する一対のシート状弾性体フレームは、互いに対面する領域が曲面状に形成される、燃料電池用弾性体セルフレーム。
【請求項2】
燃料電池の単位セルを構成するセルフレームであって、
膜電極接合体と、その両面に配置される一対の気体拡散層とが接合されたインサート;および
前記インサートの外郭領域で前記インサートの枠の下面と上面にそれぞれ配置される一対のシート状弾性体フレームが互いに熱融着されて一体に形成される弾性体フレーム;を含み、
前記弾性体フレームを形成する一対のシート状弾性体フレームは、互いに対面する領域が互いに対応する凹凸構造で形成される、燃料電池用弾性体セルフレーム。
【請求項3】
前記弾性体フレームは、
前記インサートの枠の下面および側面を取り囲むように配置される第1弾性体フレームと、
前記インサートの枠の上面および側面を取り囲むように配置され、前記インサートの外郭領域で前記第1弾性体フレームの上面と対面する第2弾性体フレームとからなる、請求項1又は2に記載の燃料電池用弾性体セルフレーム。
【請求項4】
前記第1弾性体フレームには、前記インサートが配置される第1反応面貫通孔が形成され、前記第1反応面貫通孔の内周面には、前記インサートの下面および側面を包み込む第1段差部が形成され、
前記第2弾性体フレームには、前記インサートが配置される第2反応面貫通孔が形成され、前記第2反応面貫通孔の内周面には、前記インサートの上面および側面を包み込む第2段差部が形成されることを特徴とする、請求項3に記載の燃料電池用弾性体セルフレーム。
【請求項5】
前記インサート、前記第1弾性体フレームおよび前記第2弾性体フレームの間には、
前記インサートの外郭領域で前記第1弾性体フレームの上面と第2弾性体フレームの下面とが対面して熱融着される第1融着部;
前記第1弾性体フレームの第1段差部と前記インサートの下面とが対面して熱融着される第2融着部;
前記第2弾性体フレームの第2段差部と前記インサートの上面とが対面して熱溶着される第3融着部;および
前記第1段差部および第2段差部と前記インサートの側面とが対面して熱融着される第4融着部;が形成されることを特徴とする、請求項4に記載の燃料電池用弾性体セルフレーム。
【請求項6】
前記第1弾性体フレームの一側には、反応ガスおよび冷却水が流入する複数の第1流入マニホールド貫通孔が形成され、前記第1弾性体フレームの他側には、反応ガスおよび冷却水が排出される複数の第1排出マニホールド貫通孔が形成され、
前記第2弾性体フレームの一側には、前記第1流入マニホールド貫通孔と連通する複数の第2流入マニホールド貫通孔が形成され、前記第2弾性体フレームの他側には、前記第1排出マニホールド貫通孔と連通する複数の第2排出マニホールド貫通孔が形成されることを特徴とする、請求項3に記載の燃料電池用弾性体セルフレーム。
【請求項7】
前記第1弾性体フレームの下面および前記第2弾性体フレームの上面のうちの少なくとも一面には、インサートの外郭領域に沿って前記インサートを取り囲む少なくとも一つの突起シールが形成されることを特徴とする、請求項3に記載の燃料電池用弾性体セルフレーム。
【請求項8】
前記弾性体フレームは、
前記インサートの枠の下面および側面を取り囲むように配置され、前記インサートが配置される第3反応面貫通孔が形成され、前記第3反応面貫通孔の内周面には前記インサートの下面および側面を包み込む第3段差部が形成される第3弾性体フレームと、
前記インサートの枠の上面を取り囲むように配置され、前記インサートの枠において前記第3弾性体フレームの第3段差部の内周面と対面する第4弾性体フレームとからなることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の燃料電池用弾性体セルフレーム。
【請求項9】
前記インサート、前記第3弾性体フレームおよび前記第4弾性体フレームの間には、
前記第3弾性体フレームの第3段差部と前記インサートの下面とが対面して熱融着される第5融着部;
前記第4弾性体フレームと前記インサートの上面とが対面して熱融着される第6融着部;
前記第3弾性体フレームの第3段差部と前記インサートの側面とが対面して熱融着される第7融着部;および
前記第3弾性体フレームの第3段差部と前記第4弾性体フレームの側面とが対面して熱融着される第8融着部;が形成されることを特徴とする、請求項8に記載の燃料電池用弾性体セルフレーム。
【請求項10】
前記第3弾性体フレームの一側には、反応ガスおよび冷却水が流入する複数の第3流入マニホールド貫通孔が形成され、前記第3弾性体フレームの他側には、反応ガスおよび冷却水が排出される複数の第3排出マニホールド貫通孔が形成され、
前記第4弾性体フレームは、前記インサートとは外周面の大きさが同一であることを特徴とする、請求項8に記載の燃料電池用弾性体セルフレーム。
【請求項11】
前記第3弾性体フレームの下面および上面のうちの少なくとも一面には、前記インサートの外郭領域に沿って前記インサートを取り囲む少なくとも一つの突起シールが形成されることを特徴とする、請求項8に記載の燃料電池用弾性体セルフレーム。
【請求項12】
前記弾性体フレームを形成する一対のシート状弾性体フレームは、熱可塑性弾性体(TPE)で形成されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の燃料電池用弾性体セルフレーム。
【請求項13】
燃料電池スタックの単位セルを構成するセルフレームを製造する方法であって、
膜電極接合体の両面にそれぞれ気体拡散層を接合してインサートを準備するインサート準備段階と、
弾性体フレームを形成する一対のシート状弾性体フレームを準備する弾性体フレーム準備段階と、
前記インサートを挟んで前記一対の
シート状弾性体フレームを配置する配置段階と、
前記一対の
シート状弾性体フレームに熱を加えながら圧着して、相互間を熱融着させて一体に形成する接合段階とを含み、
前記弾性体フレームを形成する一対のシート状弾性体フレームは、互いに対面する領域が曲面状に形成される、燃料電池用弾性体セルフレームの製造方法。
【請求項14】
燃料電池スタックの単位セルを構成するセルフレームを製造する方法であって、
膜電極接合体の両面にそれぞれ気体拡散層を接合してインサートを準備するインサート準備段階と、
弾性体フレームを形成する一対のシート状弾性体フレームを準備する弾性体フレーム準備段階と、
前記インサートを挟んで前記一対の
シート状弾性体フレームを配置する配置段階と、
前記一対の
シート状弾性体フレームに熱を加えながら圧着して、相互間を熱融着させて一体に形成する接合段階とを含み、
前記弾性体フレームを形成する一対のシート状弾性体フレームは、互いに対面する領域が互いに対応する凹凸構造で形成される、燃料電池用弾性体セルフレームの製造方法。
【請求項15】
前記弾性体フレーム準備段階で、前記弾性体フレームは、熱可塑性弾性体(TPE)をシート状に成形して準備することを特徴とする、請求項13又は14に記載の燃料電池用弾性体セルフレームの製造方法。
【請求項16】
前記接合段階は、前記一対の弾性体フレームの間に前記インサートが介在した状態で、前記インサートの外郭領域に該当する領域の一部または全部に熱を加えながら圧着して一対の弾性体フレームを接合させることを特徴とする、請求項13又は14に記載の燃料電池用弾性体セルフレームの製造方法。
【請求項17】
前記接合段階で一対の弾性体フレームに加えられる熱は、前記弾性体フレームの溶融温度よりも高い温度であることを特徴とする、請求項13又は14に記載の燃料電池用弾性体セルフレームの製造方法。
【請求項18】
前記接合段階では、別途の接着部材なしに一対の弾性体フレームが互いに熱融着されて接合されることを特徴とする、請求項13又は14に記載の燃料電池用弾性体セルフレームの製造方法。
【請求項19】
膜電極接合体と、その両面に配置される一対の気体拡散層とが接合されたインサート;
前記インサートの外郭領域で前記インサートの枠の下面と上面にそれぞれ配置される一対のシート状弾性体フレームが互いに熱融着されて一体に形成される弾性体フレームを含む弾性体セルフレーム;および
前記弾性体セルフレームの両面に配置されて反応ガスおよび冷却水の流動を誘導する一対の分離板;を含み、
前記弾性体フレームを形成する一対のシート状弾性体フレームは、互いに対面する領域が曲面状に形成される、燃料電池用単位セル。
【請求項20】
膜電極接合体と、その両面に配置される一対の気体拡散層とが接合されたインサート;
前記インサートの外郭領域で前記インサートの枠の下面と上面にそれぞれ配置される一対のシート状弾性体フレームが互いに熱融着されて一体に形成される弾性体フレームを含む弾性体セルフレーム;および
前記弾性体セルフレームの両面に配置されて反応ガスおよび冷却水の流動を誘導する一対の分離板;を含み、
前記弾性体フレームを形成する一対のシート状弾性体フレームは、互いに対面する領域が互いに対応する凹凸構造で形成される、燃料電池用単位セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用弾性体セルフレームおよびその製造方法とそれを用いた単位セルに係り、さらに詳細には、一対のシート状弾性体フレームを用いて別途の接着部材なしに膜電極接合体および気体拡散層と一体に接合される燃料電池用弾性体セルフレームおよびその製造方法とそれを用いた単位セルに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、燃料が持っている化学エネルギーをスタック内で電気化学的に反応させて電気エネルギーに変換する一種の発電装置であって、産業用、家庭用および車両の駆動電力を供給するだけでなく、携帯用装置などの小型電子製品の電力供給に使用でき、最近、その使用領域が高効率のクリーンエネルギー源として益々拡大している。
【0003】
一般的な燃料電池の単位セルは、最も内側に膜電極接合体(MEA:Membrane-Electrode Assembly)が位置するが、この膜電極接合体は、水素イオン(Proton)を移動させることができる高分子電解質膜と、この高分子電解質膜の両面に水素と酸素とが反応できるように塗布された触媒層、すなわち空気極(Cathode)および燃料極(Anode)で構成されている。
【0004】
また、前記膜電極接合体の一面と他面、すなわち、空気極および燃料極が位置した外側部分には、反応ガスを供給し、反応により発生した生成水を排出する一対の分離板が配置される。この時、膜電極接合体と分離板との間には、反応ガスおよび生成水の流動を拡散させるかスムーズにする気体拡散層(GDL:Gas Diffusion Layer)が介在できる。
【0005】
一方、従来は、単位セルの気密維持および積層工程における便宜のために膜電極接合体とガスケットとを一体化させた膜-電極-ガスケット接合体(Membrane-Electrode-Gasket Assembly、MEGA)を製作して使用したりもした。
【0006】
また、最近では、膜電極接合体に気体拡散層を接合したインサートとガスケットとを一体化させた一体型フレームが提案されている。
【0007】
ところが、従来の一体型フレームは、プラスチック材質のフレームとインサートとを接着剤を用いて接合させた。また、従来の一体型フレームを用いて単位セルを製作する場合、分離板と一体型フレームとの接合のために、別途の接着部材およびシール部材が必要であった。このような工程は、材料費および生産コストを上昇させる原因となった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2017-212126号公報(2017年11月30日)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0011716号(2018年2月2日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、一対のシート状弾性体フレームを用いて別途の接着部材なしに膜電極接合体および気体拡散層と一体に接合される燃料電池用弾性体セルフレームおよびその製造方法とそれを用いた単位セルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係る燃料電池用弾性体セルフレームは、燃料電池の単位セルを構成するセルフレームであって、膜電極接合体と、その両面に配置される一対の気体拡散層とが接合されたインサート;および前記インサートの外郭領域で前記インサートの枠の下面と上面にそれぞれ配置される一対のシート状弾性体フレームが互いに熱融着されて一体に形成される弾性体フレーム;を含む。
【0011】
前記弾性体フレームは、前記インサートの枠の下面および側面を取り囲むように配置される第1弾性体フレームと;前記インサートの枠の上面および側面を取り囲むように配置され、前記インサートの外郭領域で前記第1弾性体フレームの上面と対面する第2弾性体フレームとからなることを特徴とする。
【0012】
前記第1弾性体フレームには、前記インサートが配置される第1反応面貫通孔が形成され、前記第1反応面貫通孔の内周面には、前記インサートの下面および側面を包み込む第1段差部が形成され、前記第2弾性体フレームには、前記インサートが配置される第2反応面貫通孔が形成され、前記第2反応面貫通孔の内周面には、前記インサートの上面および側面を包み込む第2段差部が形成されることを特徴とする。
【0013】
前記インサート、前記第1弾性体フレームおよび前記第2弾性体フレームの間には、前記インサートの外郭領域で前記第1弾性体フレームの上面と前記第2弾性体フレームの下面とが対面して熱融着される第1融着部と、前記第1弾性体フレームの第1段差部と前記インサートの下面とが対面して熱融着される第2融着部と、前記第2弾性体フレームの第2段差部と前記インサートの上面とが対面して熱溶着される第3融着部と、前記第1段差部および第2段差部と前記インサートの側面とが対面して熱融着される第4融着部とが形成されることを特徴とする。
【0014】
前記第1弾性体フレームの一側には、反応ガスおよび冷却水が流入する複数の第1流入マニホールド貫通孔が形成され、前記第1弾性体フレームの他側には、反応ガスおよび冷却水が排出される複数の第1排出マニホールド貫通孔が形成され、前記第2弾性体フレームの一側には、前記第1流入マニホールド貫通孔と連通する複数の第2流入マニホールド貫通孔が形成され、前記第2弾性体フレームの他側には、前記第1排出マニホールド貫通孔と連通する複数の第2排出マニホールド貫通孔が形成されることを特徴とする。
【0015】
前記第1弾性体フレームの下面および前記第2弾性体フレームの上面のうちの少なくとも一面には、インサートの外郭領域に沿って前記インサートを取り囲む少なくとも一つの突起シールが形成されることを特徴とする。
【0016】
前記弾性体フレームは、前記インサートの枠の下面および側面を取り囲むように配置され、前記インサートが配置される第3反応面貫通孔が形成され、前記第3反応面貫通孔の内周面には前記インサートの下面および側面を包み込む第3段差部が形成される第3弾性体フレームと;前記インサートの枠の上面を取り囲むように配置され、前記インサートの枠において前記第3弾性体フレームの第3段差部の内周面と対面する第4弾性体フレームと;からなることを特徴とする。
【0017】
前記インサート、前記第3弾性体フレームおよび前記第4弾性体フレームの間には、前記第3弾性体フレームの第3段差部と前記インサートの下面とが対面して熱融着される第5融着部;前記第4弾性体フレームと前記インサートの上面とが対面して熱融着される第6融着部;前記第3弾性体フレームの第3段差部と前記インサートの側面とが対面して熱融着される第7融着部;および前記第3弾性体フレームの第3段差部と前記第4弾性体フレームの側面とが対面して熱融着される第8融着部;が形成されることを特徴とする。
【0018】
前記第3弾性体フレームの一側には、反応ガスおよび冷却水が流入する複数の第3流入マニホールド貫通孔が形成され、前記第3弾性体フレームの他側には、反応ガスおよび冷却水が排出される複数の第3排出マニホールド貫通孔が形成され、前記第4弾性体フレームは、前記インサートとは外周面の大きさが同一であることを特徴とする。
【0019】
前記第3弾性体フレームの下面および上面のうちの少なくとも一面には、前記インサートの外郭領域に沿って前記インサートを取り囲む少なくとも一つの突起シールが形成されることを特徴とする。
【0020】
前記弾性体フレームを形成する一対のシート状弾性体フレームは、互いに対面する領域が曲面状に形成されることを特徴とする。
【0021】
前記弾性体フレームを形成する一対のシート状弾性体フレームは、互いに対面する領域が互いに対応する凹凸構造で形成されることを特徴とする。
【0022】
前記弾性体フレームを形成する一対のシート状弾性体フレームは、熱可塑性弾性体(TPE, Thermo Plastic Elastomer )で形成されることを特徴とする。
【0023】
一方、本発明の一実施形態に係る燃料電池用弾性体セルフレームの製造方法は、燃料電池スタックの単位セルを構成するセルフレームを製造する方法であって、膜電極接合体の両面にそれぞれ気体拡散層を接合してインサートを準備するインサート準備段階と、一対のシート状弾性体フレームを準備する弾性体フレーム準備段階と、前記インサートを挟んで前記一対の弾性体フレームを配置する配置段階と、前記一対の弾性体フレームに熱を加えながら圧着して、相互間を熱融着させて一体に形成する接合段階とを含む。
【0024】
前記弾性体フレーム準備段階で、前記弾性体フレームは、熱可塑性弾性体(TPE)をシート状に成形して準備することを特徴とする。
【0025】
前記接合段階は、前記一対の弾性体フレームの間に前記インサートが介在した状態で、前記インサートの外郭領域に該当する領域の一部または全部に熱を加えながら圧着して一対の弾性体フレームを接合させることを特徴とする。
【0026】
前記接合段階で一対の弾性体フレームに加えられる熱は、前記弾性体フレームの溶融温度よりも高い温度であることを特徴とする。
【0027】
前記接合段階では、別途の接着部材なしに一対の弾性体フレームが互いに熱融着されて接合されることを特徴とする。
【0028】
一方、本発明の一実施形態に係る燃料電池用単位セルは、膜電極接合体と、その両面に配置される一対の気体拡散層とが接合されたインサート;前記インサートの外郭領域で前記インサートの枠の下面と上面にそれぞれ配置される一対のシート状弾性体フレームが互いに熱融着されて一体に形成される弾性体フレームを含む弾性体セルフレーム;および前記弾性体セルフレームの両面に配置されて反応ガスおよび冷却水の流動を誘導する一対の分離板;を含む。
【発明の効果】
【0029】
本発明の実施形態によれば、次の効果がある。
【0030】
第一に、インサートとの界面接合のために別途の接着部材が不要であり、これにより材料費を低減するとともに接着剤塗布工程などを取り除いて製造コストを削減することができる。
【0031】
第二に、別途のシール部材なしに反応領域の気密を確保することができ、シール部材が不要となることにより材料費を低減するとともにシール部材成形工程などを取り除いて製造コストを削減することができる。
【0032】
第三に、反応領域で生成された水分が電解質膜を介してセルの外部へ拡散されることを根本的に遮断することができるので、セル間の電気的ショートを防止することができ、水分の漏れによる燃料電池スタックの腐食を防止することができる。
【0033】
第四に、反応領域以外の領域に使用された電解質膜を使用しなくてもよいので、材料費の面でコストを削減することができる。
【0034】
第五に、従来のプラスチックフレームに比べてセルピッチの低減に有利であり、体積の低減によるスタック小型化を図ることができる。
【0035】
第六に、従来のプラスチックフレームに接着部材およびシール部材を使用することと比較して重量低減の効果を期待することができる。
【0036】
第七に、燃料電池のスタック積層時に一体化工程の縮小により生産ラインの単純化よびスタック生産性(セル積層性)を向上させることができる。
【0037】
第八に、単位セルの構成部品を金型内に装着した後に熱融着して一体化することにより、インサートとの接合精度を向上させることができるため、不良率の低減および大量生産を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の一実施形態に係る燃料電池用弾性体セルフレームを示す分解斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る燃料電池用弾性体セルフレームを示す要部断面図である。
【
図3】本発明の他の実施形態に係る燃料電池用弾性体セルフレームを示す分解斜視図である。
【
図4】本発明の他の実施形態に係る燃料電池用弾性体セルフレームを示す要部断面図である。
【
図5】本発明の変形例に係る燃料電池用弾性体セルフレームを示す要部断面図である。
【
図6】本発明の変形例に係る燃料電池用弾性体セルフレームを示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態をより詳細に説明する。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現される。単に、本実施形態は、本発明の開示を完全たるものにし、当該分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものである。図面上での同一符号は同一の要素を指し示す。
【0040】
図1は本発明の一実施形態に係る燃料電池用弾性体セルフレームを示す分解斜視図、
図2は本発明の一実施形態に係る燃料電池用弾性体セルフレームを示す要部断面図である。このとき、
図2は
図1のA-A線に沿った断面図である。
【0041】
図示の如く、本発明の一実施形態に係る燃料電池用弾性体セルフレームは、一対の分離板と共に燃料電池の単位セルを構成する要素であって、膜電極接合体110と、その両面に配置される一対の気体拡散層120とが接合されたインサート100;および熱融着によって前記インサート100の外郭領域に一体に形成される弾性体フレーム210、220;を含む。
【0042】
インサート100は、膜電極接合体110と一対の気体拡散層120とを積層させた接合体であって、好ましくは、膜電極接合体110の一面および他面に気体拡散層120がそれぞれ配置されて積層される。
【0043】
膜電極接合体110は、 水素イオン(Proton)を移動させることができる高分子電解質膜と、この高分子電解質膜の両面に水素と酸素とが反応できるように塗布された触媒層、すなわち空気極(Cathode)および燃料極(Anode)で構成される一般的な膜電極接合体として実現される。
【0044】
気体拡散層120は、分離板(図示せず)を介して流動する反応ガスを膜電極接合体110に拡散させながら通過させる手段であって、基材単独からなるか、或いは、基材と該基材の一面に形成される微細気孔層(MPL,Microporous Layer)とからなる。このとき、基材および微細気孔層の素材は、一般的な気体拡散層に適用される素材である。
【0045】
弾性体フレーム210、220は、インサート100の気密維持および積層工程における便宜のためにインサート100の外郭領域に一体に形成される手段であって、弾性体フレーム210、220は、所定の形状を維持しながら、別途の接着部材なしに熱融着によって接着するために熱可塑性弾性体(TPE;Thermo Plastic Elastomer)で形成される。
【0046】
付け加えると、弾性体フレーム210、220は、インサート100の外郭領域でインサート100の枠の下面と上面にそれぞれ配置される一対のシート状弾性体フレーム210、220が互いに熱融着されて一体に形成される。ここで、インサート100の「外郭領域」とは、インサートの縁領域とその周辺の空間を含む領域を意味し、インサート100の「枠」とは、インサート100の縁領域を意味する。
【0047】
例えば、
図1および
図2に示すように、弾性体フレーム210、220は、インサート100の枠の下面および側面を取り囲むように配置される第1弾性体フレーム210と;インサート100の枠の上面および側面を取り囲むように配置される第2弾性体フレーム220と;からなる。このとき、インサート100の外郭領域で第1弾性体フレーム210の上面と第2弾性体フレーム220の下面とが互いに対面する。
【0048】
特に、第1弾性体フレーム210と第2弾性体フレーム220には、インサート100との気密な接着のためにインサート100との界面を拡張させることができる。
【0049】
例えば、第1弾性体フレーム210には、インサート100が配置される第1反応面貫通孔213が形成され、第1反応面貫通孔213の内周面には、インサート100の下面および側面を包み込む第1段差部214が形成され、第2弾性体フレーム220には、インサート100が配置される第2反応面貫通孔223が形成され、第2反応面貫通孔223の内周面には、インサート100の上面および側面を包み込む第2段差部224が形成される。そのため、第1弾性体フレーム210と第2弾性体フレーム220は、インサート100が配置される面を基準に互いに対称となる構造を持つ。
【0050】
これにより、インサート100、第1弾性体フレーム210および第2弾性体フレーム220の間にはそれぞれの界面に熱融着による融着部が形成され、互いに強固な接合および一体化がなされる。
【0051】
具体的には、
図2に示すように、インサート100の外郭領域で第1弾性体フレーム210の上面と第2弾性体フレーム220の下面とが対面して熱融着される第1融着部H1と;第1弾性体フレーム210の第1段差部214とインサート100の下面とが対面して熱融着される第2融着部H2と、第2弾性体フレーム220の第2段差部224とインサート100の上面とが対面して熱融着される第3融着部H3と、第1段差部214および第2段差部224とインサート100の側面とが対面して熱融着される第4融着部H4とが形成される。
【0052】
一方、弾性体フレーム210、220には、インサート100によって形成される反応面に対して反応ガスおよび冷却水を流入または排出させるマニホールドを形成するための流入マニホールド貫通孔と排出マニホールド貫通孔が形成される。
【0053】
例えば、第1弾性体フレーム210の一側には、反応ガスおよび冷却水が流入する複数の第1流入マニホールド貫通孔211が形成され、第1弾性体フレーム210の他側には、反応ガスおよび冷却水が排出される複数の第1排出マニホールド貫通孔212が形成される。そして、第2弾性体フレーム220の一側には、複数の第2流入マニホールド貫通孔221が形成され、第2弾性体フレーム220の他側には、複数の第2排出マニホールド貫通孔222が形成される。
【0054】
そのため、第1弾性体フレーム210に形成された複数の第1流入マニホールド貫通孔211と、第2弾性体フレーム220に形成された複数の第2流入マニホールド貫通孔221とは、互いに対応する位置に配置されて互いに連通する。そして、第1弾性体フレーム210に形成された複数の第1排出マニホールド貫通孔212と、第2弾性体フレーム220に形成された複数の第2排出マニホールド貫通孔222も、互いに対応する位置に配置されて互いに連通する。
【0055】
一方、弾性体フレーム210、220には、分離板との気密および接着のための手段が形成できる。
【0056】
例えば、第1弾性体フレーム210の下面には、インサート100の外郭領域に沿ってインサートを取り囲む少なくとも一つの第1突起シール215が形成できる。そして、第2弾性体フレーム220の上面には、インサート100の外郭領域に沿ってインサート100を取り囲む少なくとも一つの第2突起シール225が形成できる。
【0057】
一方、本発明に係る弾性体フレームは、その形状を変更して実現できる。
【0058】
図3は本発明の他の実施形態に係る燃料電池用弾性体セルフレームを示す分解斜視図、
図4は本発明の他の実施形態に係る燃料電池用弾性体セルフレームを示す要部断面図である。
【0059】
本発明の他の実施形態に係る燃料電池用弾性体セルフレームは、前述した実施形態と同様に、インサート100と弾性体フレーム310、320を含む。このとき、インサート100は、前述した実施形態のインサート100と同様である。
【0060】
ただし、弾性体フレーム310、320は、インサート100の枠の下面および側面を取り囲むように配置される第3弾性体フレーム310と;インサート100の枠の上面を取り囲むように配置される第4弾性体フレーム320と;からなる。このとき、インサート100の枠において第3弾性体フレーム310の側面と第4弾性体フレーム320の側面とが互いに対面する。
【0061】
例えば、
図4に示すように、第3弾性体フレーム310には、インサート100が配置される第3反応面貫通孔313が形成され、第3反応面貫通孔313の内周面には、インサート100の下面および側面を包み込む第3段差部314が形成される。この時、第3段差部314によって形成されるインサート100が装着される領域の深さは、インサートの厚さと第4弾性体フレーム320の厚さとの和と同一に形成されることが好ましい。
【0062】
そして、第4弾性体フレーム320は、インサート100が配置される第4反応面貫通孔323が形成され、インサート100とは外周面の大きさが同一に形成されて、インサート100とともに第3弾性体フレーム310の第3段差部314に装着された状態で第3弾性体フレーム310の上面と第4弾性体フレーム320の上面が面一となるように形成されることが好ましい。このとき、インサート100の枠において第3弾性体フレーム310の第3段差部314の内周面と第4弾性体フレーム320の外周面とが対面する。
【0063】
これにより、インサート100、第3弾性体フレーム310および第4弾性体フレーム320の間にはそれぞれの界面に熱融着による融着部が形成され、互いに強固な接合と一体化がなされる。
【0064】
具体的には、
図4に示すように、第3弾性体フレーム310の第3段差部314とインサート100の下面とが対面して熱融着される第5融着部H5;第4弾性体フレーム320とインサート100の上面とが対面して熱融着される第6融着部H6;第3弾性体フレーム310の第3段差部314とインサート100の側面とが対面して熱融着される第7融着部H7;および第3弾性体フレーム310の第3段差部314と第4弾性体フレーム320の側面とが対面して熱融着される第8融着部H8が形成される。
【0065】
一方、第3弾性体フレーム310と第4弾性体フレーム320からなる弾性体フレーム310、320にも、インサート100によって形成される反応面に対して反応ガスおよび冷却水を流入または排出させるマニホールドを形成するための流入マニホールド貫通孔と排出マニホールド貫通孔が形成される。
【0066】
例えば、第3弾性体フレーム310の一側には、反応ガスおよび冷却水が流入する複数の第3流入マニホールド貫通孔311が形成され、第3弾性体フレーム310の他側には、反応ガスおよび冷却水が排出される複数の第3排出マニホールド貫通孔312が形成される。
【0067】
また、第3弾性体フレーム310と第4弾性体フレーム320からなる弾性体フレームにも、分離板との気密および接着のための手段が形成できる。
【0068】
例えば、第3弾性体フレーム310の下面および上面のうちの少なくとも一面には、インサート100の外郭領域に沿ってインサート100を取り囲む少なくとも一つの第3突起シール315が形成できる。
【0069】
一方、第3弾性体フレーム310と第4弾性体フレーム320との強固な密着のために、第4弾性体フレーム320は、第3弾性体フレーム310よりも弾性が小さい素材で形成することが好ましい。
【0070】
図5および
図6は本発明の変形例に係る燃料電池用弾性体セルフレームを示す要部断面図であって、弾性体フレームを形成する一対のシート状弾性体フレームの界面形状を変更して相互間の接着力を向上させることができる。
【0071】
図5に示すように、一対のシート状弾性体フレームは、互いに対面する領域を曲面状に形成してシート状弾性体フレーム410、420の界面の面積を拡張することができる。
【0072】
例えば、弾性体フレーム410、420は、インサート100の枠の下面および側面を取り囲むように配置される第5弾性体フレーム410と;インサート100の枠の上面および側面を取り囲むように配置される第6弾性体フレーム420と;からなる。このとき、インサート100の外郭領域で第5弾性体フレーム410の上面と第6弾性体フレーム420の下面とが互いに対面する。
【0073】
ただし、第5弾性体フレーム410の上面は、平面ではなく、曲面416に形成され、第6弾性体フレーム420の下面は、第5弾性体フレーム410の上面と対応する曲面426に形成して第5弾性体フレーム410の上面と第6弾性体フレーム420の下面との界面が曲面状に対面するようにする。
【0074】
また、
図6に示すように、一対のシート状弾性体フレーム510、520は、互いに対面する領域を互いに対応する凹凸構造で形成してシート状弾性体フレーム510、520の界面の面積を拡張することができている。
【0075】
例えば、弾性体フレーム510、520は、インサートの枠の下面および側面を取り囲むように配置される第7弾性体フレーム510と;インサート100の枠の上面および側面を取り囲むように配置される第8弾性体フレーム520と;からなる。このとき、インサート100の外郭領域で第7弾性体フレーム510の上面と第8弾性体フレーム520の下面とが互いに対面する。
【0076】
ただし、第7弾性体フレーム510の上面は、平面ではなく、凹凸構造、すなわち、突出部517および凹溝518が形成され、第8弾性体フレーム520の下面は、第7弾性体フレーム510の上面に形成された凹溝518および突出部517に対応する凹溝528および突出部527を形成して、第7弾性体フレーム510の上面と第8弾性体フレーム520の下面との界面が凹凸構造の形で対面するようにする。
【0077】
一方、上述したように構成される燃料電池用弾性体セルフレームを製造する方法について説明する。
【0078】
本発明の一実施形態に係る燃料電池用弾性体セルフレームの製造方法は、膜電極接合体110の両面にそれぞれ気体拡散層120を接合してインサート100を準備するインサート準備段階と、一対のシート状弾性体フレーム210、220を準備する弾性体フレーム準備段階と、前記インサート100を挟んで前記一対の弾性体フレーム210、220を配置する配置段階と、前記一対の弾性体フレーム210、220に熱を加えながら圧着して相互間を熱融着させて一体に形成する接合段階とを含む。
【0079】
インサート準備段階は、膜電極接合体110と気体拡散層120とを接合してインサート100を準備する段階である。
【0080】
この時、膜電極接合体110は、高分子電解質膜と、この高分子電解質膜の両面に空気極(Cathode)および燃料極(Anode)が形成される一般的な膜電極接合体を準備する。
【0081】
また、気体拡散層120も、基材単独からなるか、或いは、基材と該基材の一面に形成される微細気孔層(MPL)とからなる一般的な気体拡散層を準備する。
【0082】
また、膜電極接合体110の両面に気体拡散層120を積層してインサート100を準備する。
【0083】
弾性体フレーム準備段階は、インサート100の上面と下面に配置されるシート状の弾性体フレーム210、220を準備する段階である。
【0084】
このとき、弾性体フレーム210、220は、熱可塑性弾性体(TPE;Thermo Plastic Elastomer)をシート状に成形して準備する。このとき、好ましくは、熱可塑性弾性体を射出成形によってシート状に成形して弾性体フレームを準備する。
【0085】
配置段階は、インサート100の枠が一対の弾性体フレーム210、220と重畳するように配置する。好ましくは、インサート100の枠の下面が第1弾性体フレーム210の段差部214に装着されながら、インサート100の枠の側面が第1弾性体フレーム210の第1反応面貫通孔213の内周面に対面するようにする。また、インサート100の枠の上面が第2弾性体フレーム220の段差部224に装着されながら、インサート100の枠の側面が第2弾性体フレーム220の第2反応面貫通孔223の内周面に対面するようにする。
【0086】
接合段階は、一対の弾性体フレーム210、220とインサート100を弾性体フレーム210、220の熱融着によって互いに接合させる段階である。
【0087】
このため、ホットプレス金型内に一対の弾性体フレーム210、220とインサート100を装着させる。このとき、インサート100は、一対の弾性体フレーム210、220の間に介在するように配置する。
【0088】
そして、ホットプレス金型を作動させてインサート100の外郭領域に該当する領域の一部または全部に熱を加えながら圧着させることにより、一対の弾性体フレーム210、220が接合されるとともに一対の弾性体フレーム210、220とインサート100で互いに接合される。
【0089】
そのため、一対の弾性体フレーム210、220とインサート100は、別途の接着部材がなくても、その界面で弾性体フレーム210、220が熱融着されて接合される。
【0090】
この時、一対の弾性体フレーム210、220とインサート100との強固な接合のために一対の弾性体フレーム210、220に加わる熱は、前記弾性体フレーム210、220の溶融温度よりも高い温度であることが好ましい。
【0091】
一方、上述したように構成される燃料電池用弾性体セルフレームは、分離板と共に燃料電池用単位セルを構成する。
【0092】
付け加えると、燃料電池用単位セルは、膜電極接合体と、その両面に配置される一対の気体拡散層とが接合されたインサート;前記インサートの外郭領域で前記インサートの枠の下面と上面にそれぞれ配置される一対のシート状弾性体フレームが互いに熱融着されて一体に形成される弾性体フレームを含む弾性体セルフレーム;および前記セルフレームの両面に配置されて反応ガスおよび冷却水の流動を誘導する一対の分離板とを含む。
【0093】
本発明を添付図面と前述した好適な実施形態を参照して説明したが、本発明は、それに限定されず、後述される特許請求の範囲によって限定される。よって、本技術分野における通常の知識を有する者であれば、後述される特許請求の範囲の技術的思想から逸脱することなく、本発明を多様に変更および修正することができる。
【符号の説明】
【0094】
100 インサート
110 膜電極接合体(MEA)
120 気体拡散層(GDL)
210、220、310、320、410、420、510、520 弾性体フレーム
211、221、311 流入マニホールド貫通孔
212、222、312 排出マニホールド貫通孔
213、223、313、323 反応面貫通孔
214、224、314 段差部
215、225、315 突起シール
416、426 曲面
517、527 突出部
518、528 凹溝
H1~H8 融着部